マンホール管の埋設構造
【課題】地盤が液状化するほどの強い地震発生時にマンホール管が高圧地下水で浮き上げられる現象が発生しているが、従来では、簡単で且つ有効なマンホール管浮き上がり防止技術がなかった。
【解決手段】地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管埋設構造において、マンホール管1を、その筒体部11の該私有面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設しているとともに、強い地震発生時に面状透水材2の通水部21を通って上昇する高圧地下水を逃がすための水逃がし構造(水吸収部3や水抜穴18)を採用していることにより、地盤が液状化するほどの強い地震時に発生する高圧地下水を、マンホール管筒体部外周面の面状透水材2を通してマンホール管浮き上げ力のかからない場所に速やかに逃がすことができるようにしている。
【解決手段】地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管埋設構造において、マンホール管1を、その筒体部11の該私有面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設しているとともに、強い地震発生時に面状透水材2の通水部21を通って上昇する高圧地下水を逃がすための水逃がし構造(水吸収部3や水抜穴18)を採用していることにより、地盤が液状化するほどの強い地震時に発生する高圧地下水を、マンホール管筒体部外周面の面状透水材2を通してマンホール管浮き上げ力のかからない場所に速やかに逃がすことができるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、下水道のような地下水路の保守・点検用に埋設されたマンホール管の埋設構造に関し、特に強い地震発生時の地盤液状化によるマンホール管の浮き上がりを防止するためのマンホール管の埋設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13(A)には、下水等の水路における一般的なマンホール管の埋設構造を示しているが、この図13(A)のマンホール管埋設構造は、有底筒形のマンホール管Cを地表面から下向き姿勢で地中に埋設し、該マンホール管Cの底部付近に複数本の水路管4,5を接続して構成されている。
【0003】
この種のマンホール管Cは、一般にプレキャストコンクリート製のものが多い。又、マンホール管Cは、かなりの内径(例えば90〜150cm)及び深さ(例えば2〜8m)を有している。尚、この種のマンホール管Cは、比較的小型のものでは底板部12Cと筒体部11Cとを一体成形したものもあるが、一般的には底板部12Cと筒体部11Cを別体に成形し且つ筒体部11Cも上下複数個に分割成形して、設置現場で順次組立てる場合が多い(この種のものを一般的に組立てマンホールと呼んでいる)。
【0004】
図13(A)のマンホール管埋設構造では、マンホール管Cの埋設位置の地盤土壌8を所定内径で所定深さまで掘削して縦坑を形成し、その縦坑内にマンホール管Cを設置し、マンホール管底部付近に水路管4,5を接続し、縦坑内の余剰空所に土壌を埋め戻し(埋め戻し土壌9)、マンホール管周囲の地盤土壌上に舗装10を施して完成させる。マンホール管Cの上部開口には、蓋13が被される。
【0005】
この種の水路工事(例えば下水工事)は、一般に平坦な現場で多く行われているが、平坦な地盤では、地下水位の深さ(図13(A)の符号L)が比較的浅い位置にあることがある(特に、海を埋め立てた造成地では、地表面から1m程度の深さに地下水位Lがあることがある)。
【0006】
そして、強い地震が発生したときには、地下水位Lの深さが浅いと地盤の液状化が起こり易くなる(特に砂質地盤の場合は液状化現象が強く現れる)。尚、地盤の液状化現象は、地震により地盤が強く振動したときに、地下水の間隙水圧が高くなって土粒子が水中に浮かんだ状態になることで起こるものである。
【0007】
ところで、図13(A)に示すマンホール管埋設状態において、マンホール管Cの周囲の地盤8が地震により液状化すると、マンホール管Cに対する保持力(摩擦力)が小さくなるとともに、マンホール管内部が空洞であるのでマンホール管Cの比重が周囲の液状化地盤の比重より軽くなって、マンホール管Cに浮力が発生する。他方、地下水の間隙水圧が高くなって地盤8が液状化すると、図13(B)に示すようにマンホール管Cの周囲に噴砂現象(符号Dの矢印)が発生し、その噴砂現象によるマンホール管押し上げ力が加わる。従って、マンホール管埋設場所で地盤の液状化が起こると、図13(B)に示すように、マンホール管Cが浮き上がるという被害が発生することがある。尚、マンホール管Cが浮き上がると、図13(B)に示すように水路管4,5の接続部分が破断してしまい、大掛かりな補修作業が必要となる。
【0008】
このような地盤液状化によるマンホール管の浮き上がりを防止するための公知技術として、特開平8−165666号公報(特許文献1)に示されるものがある。この特開平8−165666号公報のマンホール管埋設構造は、図14に示すように地中に埋設したマンホール管Cの筒体部11Cの外周面と地盤土壌8との間に礫材層からなる透水経路41を設ける一方、該透水経路41の上端部を透水性舗装42で被覆して構成されている。尚、透水経路(礫材層)41には、一般に粒径が30〜50mm程度の砕石が用いられているが、各砕石間に多数の小空間部があって該各小空間部が蛇行しながら連続している。又、透水性舗装42部分は、比較的小粒径の多数の骨材を結着させたもので、各骨材間の小空間部が蛇行状態で連続している。
【0009】
そして、特開平8−165666号公報のマンホール管埋設構造では、地震時に発生した地盤8中の過剰間隙水を、礫材層からなる透水経路41内を通し、さらに透水性舗装42部分を通して地表面に逃がすことができ、それによってマンホール管埋設付近の地盤の液状化を緩和してマンホール管の浮き上がりを防止し得る、とされている。
【0010】
【特許文献1】特開平8−165666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、地盤を液状化させるほどの強い地震が発生したときに、地下水の間隙水圧が地盤の液状化を起こさせるまで高圧になるのはごく短時間(数秒程度)であり、その後、強振動が数10秒間継続することで、地盤中の地下水が過剰間隙水圧となって地盤液状化による大きな被害が発生することになる。そして、強い地震の発生時に、マンホール管周囲の地盤の液状化を防ぐには、どれだけ短時間で地下水の過剰間隙水圧を低下させるか(又は地下水が地盤液状化を起こす高圧まで上昇させないか)にかかっている。
【0012】
ところが、上記した特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造では、地震により間隙水圧が高くなった地下水を透水経路(礫材層)41及び透水性舗装42を通して地表面に逃がすことができると記載されているが、透水経路中及び透水性舗装中の各空間部は非常に短い間隔で蛇行していて、高圧の地下水が透水経路41部分や透水性舗装42部分を通過するときに何度も砕石や骨材に衝突するようになる。
【0013】
従って、高圧地下水が透水経路41中及び透水性舗装42中を通るのにかなり大きな流通抵抗があり、該透水経路41及び透水性舗装42を通って地下水圧力が減圧されるスピードより地盤の強振動継続による地下水の間隙水圧の上昇スピードが早くなることが考えられる。特に、透水性舗装42部分は、小粒径の骨材が密に結合されているので、該透水性舗装42部分の各空間部(水通路となる)は非常に微細な状態で蛇行しているので、そこを上昇地下水が通過する際の抵抗は非常に大きいものとなる。
【0014】
このように、上記特許文献1のマンホール管埋設構造では、強い地震が発生時に、高圧になった地下水の一部を地表面に逃がすことで若干の地下水減圧効果が期待できるものの、地下水の液状化防止対策(マンホール管の浮き上がり防止対策)としては不十分であった。
【0015】
又、特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造では、マンホール管外周部の透水経路41として礫材層を採用しているが、この礫材層は縦長であり、且つ狭い間隔内に充填する必要があるので、その透水経路(礫材層)41の形成が面倒であるという問題もあった。
【0016】
そこで、本願発明は、地盤が液状化するほどの強い地震が発生したときでも、マンホール管近傍で発生する地下水の間隙水圧を効率よく低下させ得るようにするとともに、比較的簡易に構築できるようにした、マンホール管の埋設構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0018】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0019】
この種のマンホール管は、一般にプレキャストコンクリート製のものが多いが、合成樹脂製のものもある。又、マンホール管は、有底筒状でかなりの内径(例えば90〜150cm)及び深さ(例えば2〜8m)を有している。尚、マンホール管は、一般に円筒形のものが多いが、楕円筒形や角筒形のものもある。マンホール管の底部付近には、各水路管の端部を接続するための複数個の接続穴が形成される。
【0020】
そして、本願請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管を、その筒体部の外周面と地盤土壌との間に面状透水材を介在させた状態で地中に埋設している。尚、埋設されたマンホール管の底部寄りには、流入側水路管と流出側水路管が接続され、又マンホール管の上部開口には蓋が被される。
【0021】
面状透水材は、マンホール管の筒体部外周のほぼ全面を被覆するように設置されている。面状透水材としては、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部を有し且つ該通水部の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルターを設けたものが使用される。この面状透水材は、土木用透水フイルターとして市販されているもので、例えば線径が1〜2mm程度の合成樹脂線材を立体網状に絡め合わせて、3〜5cm厚さの面状に成形するとともに、その片面(両面でも可)に不織布等の透水性のあるシート状のフイルターを貼着したものである。この面状透水材の通水部は、空隙率が非常に大きく(例えば80〜90%の空隙率)、該通水部内を地下水が流通する際にさほどの流水抵抗は発生しない。
【0022】
又、この請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管筒体部の外周面を被覆している面状透水材の上部寄り外周部に、面状透水材の通水部内を通って上昇し該面状透水材の上部寄り位置の外面から放出される水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部を設けている。
【0023】
この水吸収部は、舗装面の下面において礫材層を所定厚さ(例えば20〜40cm厚さ)で半径方向に所定幅(例えば100〜150cm幅)の環状に敷設したものである。この礫材層は、粒径が30〜50mm程度の礫材(一般に砕石が使用される)を充填したもので、各礫材間に多数の小空間部がある。従って、この礫材層からなる水吸収部には、各礫材間の多数の小空間部に一時的ではあるが多量の水を吸収することができるものである。この礫材層の内端部は面状透水材の上部寄り部分に連続しており、面状透水材の通水部を通って上昇した地下水を面状透水材外面のフイルターを通して速やかに水吸収部(礫材層)内に吸収させ得るようになっている。尚、この水吸収部となる礫材層は、地表近くにあるので通常時には地下水が溜まらない高さであり(各礫材間の小空間部には空気が入っている)、従って地下水が面状透水材(通水部)を通って上昇すると該水吸収部(礫材層)に水が容易に(速やかに)侵入するようになる。
【0024】
ところで、この請求項1のマンホール管埋設構造は、次のようにして構築される。まず、マンホール管埋設位置にマンホール管筒体部の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削する。他方、地上において、予めマンホール管の外周面に面状透水材を巻付けて貼着し、面状透水材付きマンホール管としておく。そして、掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管を吊り降ろして設置した後、縦孔内面と面状透水材外面間の空所に所定高さまで土壌を埋め戻し、その上部に水吸収部となる礫材層を所定厚さだけ敷設し、さらにその上部を舗装すれば、構築作業が完了する。尚、水吸収部(礫材層)は、地表面近くに設けられるので、該水吸収部(礫材層)の敷設作業は比較的容易に行える。
【0025】
この請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管外周面を被覆している面状透水材に地盤土壌が接触しているので、地下水が面状透水材のフイルターを通って通水部内に侵入するようになっている。又、面状透水材のフイルターは、地盤土壌(土砂)が通水部内に侵入するのを阻止する機能があり、該通水部内が土砂で目詰まりしないようになっている。
【0026】
又、強い地震が発生してマンホール管周囲の地下水が過剰水圧になると、マンホール管外周面にある面状透水材の通水部内が低圧であるので、過剰水圧の地下水がフイルターを通って通水部内に侵入し、続いて該通水部内を上昇した後、面状透水材の上部寄り位置からフイルターを通って水吸収部(礫材層)中に侵入するようになる。又、通水部は空隙率が大きい(施工状態での空隙率が75〜85%ある)ので、該通水部中を上昇する水の流通抵抗が非常に小さく、地盤中で発生した高圧地下水を順次速やかに水吸収部に吸収させることができる。
【0027】
従って、この請求項1のマンホール管埋設構造では、液状化が起こり易い地盤で強い地震が発生したときでも、地盤の液状化を抑制できるとともに、マンホール管の浮き上がりを防止できる構造となっている。
【0028】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明も、マンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0029】
この請求項2のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、その筒体部の上部寄り位置の周囲に該筒体部を内外に貫通する多数個の水抜穴を形成したものを使用している。この水抜穴は、穴径が例えば20〜30mm程度のものを周方向に比較的密状態(例えば周方向に50〜200mm間隔)で上下複数段に設けることができる。又、同高さにある各水抜穴は、筒体部外周面に凹状の周溝を形成して該周溝で連続させるようにするとよい。尚、この各水抜穴は、後述するように面状透水材の通水部を通って上昇してきた高圧地下水をマンホール管の内部空所に導くためのものである。
【0030】
そして、この請求項2のマンホール管埋設構造でも、マンホール管を、その筒体部の外周面と地盤土壌との間に面状透水材を介在させた状態で埋設している。この面状透水材は、上記請求項1のものと同じもの(内面側に通水部を有し外面にフイルターを有している)を使用している。又、面状透水材は、マンホール管筒体部の各水抜穴を被覆する高さまで介在させている。
【0031】
この請求項2のマンホール管埋設構造を構築するには、まずマンホール管埋設位置にマンホール管筒体部の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削し、その掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管を吊り降ろして設置した後、縦孔内面と面状透水材外面間の空所に土壌を埋め戻した後、その上部を舗装すればよい。
【0032】
この請求項2のマンホール管埋設構造でも、上記請求項1のものと同様に、マンホール管外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けているので、地下水が面状透水材のフイルターを通って通水部内に侵入するようになっている。尚、面状透水材のフイルターは、地盤土壌(土砂)が通水部内に侵入するのを阻止する機能があり、通水部内が土砂で目詰まりしないようになっている。
【0033】
又、強い地震が発生してマンホール管周囲の地下水が過剰水圧になると、マンホール管外周面にある面状透水材の通水部内が低圧であるので、過剰水圧の地下水がフイルターを通って通水部内に侵入し、続いて通水部内を上昇した後、マンホール管筒体部の上部寄り位置にある各水抜穴を通ってマンホール管の内部空所に流入するようになる。又、面状透水材の通水部は空隙率が大きいので、該通水部中を上昇する水の流通抵抗が小さく、地盤中で発生した過剰圧力水を順次速やかにマンホール管の内部空所に流入させることができる。
【0034】
従って、この請求項2のマンホール管埋設構造では、液状化が起こり易い地盤で強い地震が発生したときでも、地盤の液状化を抑制できるとともに、マンホール管の浮き上がりを防止できる構造となっている。
【0035】
尚、この請求項2のマンホール管埋設構造において、強い地震発生時に面状透水材の通水部内を上昇する水を排出するのに、上記請求項1で採用した水吸収部(マンホール管上部寄り外周部に設けた礫材層)を併用してもよい。このように、面状透水材の通水部中を上昇する水を、各水抜穴からマンホール管の内部空所に流入させるとともに、マンホール管上部寄り外周部の水吸収部(礫材層)に吸収させるようにすると、通水部中を上昇する水の排出効率が一層良好となる。
【0036】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明も、マンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0037】
この請求項3のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体と上部筒体とに分割したものを使用している。この下部筒体の上面又は上部筒体の下面には、周方向に小間隔をもって筒壁内外に跨がる多数の水抜き用凹溝を形成している。そして、この下部筒体と上部筒体とを上下に合体させると、その接合部に各水抜き用凹溝からなる多数の水抜穴が筒壁を内外に貫通する状態で形成される。尚、この各水抜き用凹溝からなる水抜穴は、上記請求項2の水抜穴と同じ機能を有するものである。
【0038】
そして、この請求項3のマンホール管埋設構造では、下部筒体と上部筒体とを合体させてなるマンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材(上記請求項1又は請求項2のものと同じもの)を介在させた状態で埋設している。又、面状透水材は、マンホール管の各水抜き用凹溝を被覆する高さまで介在させている。
【0039】
この請求項3のように、マンホール管として、その上部寄り位置において下部筒体と上部筒体に分割したもの使用すると、下部筒体の上面又は上部筒体の下面に水抜穴となる水抜き用凹溝を筒体成形時(型枠成形時)に同時に成形できる。
【発明の効果】
【0040】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1のマンホール管埋設構造は、マンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けた状態で埋設しているとともに、面状透水材の上部寄り外周部に水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部を設けて構成している。
【0041】
そして、この請求項1のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時における高圧地下水を、面状透水材の通水部内を通して上昇させた後、その上部寄り位置から水吸収部(礫材層)内に吸収させ得るようになっている。
【0042】
従って、この請求項1のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時にマンホール管近傍で起きる地盤土壌の液状化を抑制でき、それによってマンホール管の浮き上がりを防止できるという効果がある。
【0043】
又、この請求項1のマンホール管埋設構造では、高圧地下水を上昇させる通路となる面状透水材は、単にマンホール管外周面に貼着することで設置できるので、このマンホール管埋設構造を簡単に構築できるという効果もある。即ち、特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造のように、マンホール管外周部の透水経路として礫材層を採用したものでは、その透水経路(礫材層)の形成が非常に面倒であるが、本願請求項1のように面状透水材を単にマンホール管外周面に貼着し得るようにしたものでは、その面状透水材の設置が容易となる。
【0044】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、その筒体部の上部寄り位置の周囲に筒体部を内外に貫通する多数個の水抜穴を形成したものを使用し、このマンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けた状態で埋設して構成している。
【0045】
そして、この請求項2のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時における高圧地下水が、マンホール管外周面の面状透水材(通水部)内を通って上昇し、さらに面状透水材の上部寄り位置から水抜穴を通ってマンホール管の内部空所に放出されるようになっている。
【0046】
従って、この請求項2のマンホール管埋設構造でも、強い地震発生時にマンホール管近傍で起きる地盤土壌の液状化を抑制でき、それによってマンホール管の浮き上がりを防止できるとともに、面状透水材は単にマンホール管外周面に取付ける(貼着する)ことで設置できるので、このマンホール管埋設構造を簡単に構築できるという効果がある。
【0047】
又、この請求項2のマンホール管埋設構造のように、強い地震発生時において面状透水材(通水部)内を通って上昇する高圧地下水を多数の水抜穴からマンホール管の内部空所に放出させ得るようにしたものでは、高圧地下水の排出場所としてマンホール管の内部空所を利用できるので、マンホール管の外側に排水場所(例えば請求項1の礫材層からなる水吸収部)を設ける必要がないかあるいは該マンホール管外側の排水場所を小さくでき、面状透水材(通水部)内を通って上昇する高圧地下水の排出処理構造が簡単となるという効果がある。
【0048】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3のマンホール管埋設構造でも、上記請求項2と同様に、強い地震発生時における高圧地下水が、マンホール管外周面の面状透水材(通水部)内を通って上昇し、さらに面状透水材の上部寄り位置から水抜穴(水抜き用凹溝)を通ってマンホール管の内部空所に放出されるようになっている。
【0049】
従って、この請求項3のマンホール管埋設構造でも、上記請求項2の各効果(地盤土壌の液状化を抑制すること、高圧地下水の排出場所としてマンホール管の内部空所を利用できること等)を達成し得る。
【0050】
又、この請求項3で使用されるマンホール管では、上下に分割した下部筒体の上面又は上部筒体の下面に水抜き用凹溝を形成して、下部筒体と上部筒体とを合体させた時に各水抜き用凹溝を上記請求項2の水抜穴として機能させるようにしているが、この水抜き用凹溝は、下部筒体又は上部筒体の成形時(型枠成形される)に同時に且つ簡単に形成することができ、上記請求項2の水抜穴のように筒体部を貫通して形成する場合より加工が簡単であるという効果がある。
【実施例】
【0051】
図1〜図12を参照して本願実施例のマンホール管埋設構造を説明すると、図1〜図5には第1実施例(本願請求項1に対応)を示し、図6〜図8には第2実施例(本願請求項2に対応)を示し、図9〜図10には第3実施例(本願請求項3に対応)を示し、図11〜図12には第4実施例(本願請求項3に対応)を示している。
【0052】
図1〜図5の第1実施例
第1実施例で使用される図1のマンホール管1は、プレキャストコンクリート製で、筒体部11の底部に底板部12を有する有底円筒状のものが使用されている。尚、一般的なマンホール管は、内径が90〜150cmで深さが2〜8m程度の大きさで、底板部12と筒体部11を別体に成形し且つ筒体部11も上下複数個に分割成形して、設置現場で順次組立てるものが多いが、図示例では、マンホール管1として、筒体部11と底板部12とを一体にし且つ筒体部11も一体にした状態で表示している。
【0053】
マンホール管1の底部付近には、各水路管4,5(図3)の端部を接続するための複数個(図示例では2つ)の接続穴14,15が形成されている。
【0054】
マンホール管1は、図3に示すように地表面から下向き姿勢で埋設されるが、本願のマンホール管埋設構造では、マンホール管1の筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に通水性を有する面状透水材2を介在させている。
【0055】
面状透水材2としては、図1〜図5に示すように、内面側に水を流通させ得る通水部21を有し且つ該通水部21の外面に透水性のあるフイルター22を設けたものが使用されている。
【0056】
この面状透水材2は、土木用透水フイルターとして市販されているもので、通水部21として例えば線径が1〜2mm程度の合成樹脂線材を立体網状に絡め合わせて、3〜5cm厚さの面状に成形しているとともに、その片面(両面でも可)に不織布等の透水性のあるシート状のフイルター22を貼着したものである。通水部21は、自然状態で80〜90%程度の空隙率を有し且つ圧縮力に対してかなりの強度を有している(圧縮力が98kPaのときの空隙率が75〜85%程度である)。従って、この通水部21内を地下水が流通する際に、さほどの流水抵抗は発生しない。又、フイルター22は、地下水を通水部21側に通過させる一方、地盤土壌8が通水部21側に侵入するのを阻止する(通水部21が土壌で目詰まりするのを防止する)ものである。尚、図示の実施例では、面状透水材2として、マンホール管1のほぼ外周全面を被覆する1枚もので記載しているが、実際には上下幅が例えば1m程度(この幅は特に限定するものではない)の分割面状透水材が複数枚使用される。そして、この面状透水材2は、図1に示すようにマンホール管筒体部11の外周面における上端寄りの一部の高さ(図3のアスファルト舗装10の厚さとほぼ同じ)を残してほぼ全面を被覆するようにして取付けられる。面状透水材2の取付方法としては、面状透水材2の内面を筒体部11の外面に接着剤で貼着する方法が採用できる。又、面状透水材2におけるマンホール管筒体部11の水路管取付穴14,15が対応する部分には、水路管挿通用の穴が開けられて、図1に示す面状透水材付きのマンホール管1が構成される。尚、面状透水材2は、マンホール管1の外周面に対して地上で組付ける。
【0057】
第1実施例のマンホール管埋設構造は、図3〜図5に示すものであるが、この第1実施例のマンホール管埋設構造は次のようにして構築される。まず、マンホール管埋設位置にマンホール管筒体部11の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削する。他方、地上において、予めマンホール管1の外周面に面状透水材2を取付けて(貼着して)、図1に示す面状透水材付きマンホール管としておく。そして、掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管1を吊り降ろして設置し、マンホール管1の底部寄りに各水路管(流入側水路管4と流出側水路管5)を接続し、マンホール管1の上部開口に蓋13を被せる。その後、縦孔内面と面状透水材2の外面間の空所に所定高さまで土壌を埋め戻し、その上部に後述する水吸収部3となる礫材層を所定厚さだけ敷設した後、その上部をアスファルト材やコンクリート材で舗装(符号10)すれば、構築作業が完了する。尚、図3〜図5において、面状透水材2のフイルター22は理解し易くするために点線状態で表示している。
【0058】
この第1実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1(面状透水材2)の上部寄り外周部に礫材層からなる水吸収部3を設けているが、この水吸収部3は、舗装面10の下面において粒径が30〜50mm程度の砕石からなる礫材層を所定厚さ(例えば20〜40cm厚さ)で所定幅(例えば半径方向に100〜150cm幅)の環状に敷設したものである。尚、水吸収部(礫材層)3は、地表面近くに設けられるので、該水吸収部(礫材層)3の敷設作業は比較的容易に行える。
【0059】
この水吸収部(礫材層)3内には、各砕石間に多数の小空間部があって、該各小空間部に一時的ではあるが多量の水を吸収できるようになっている。又、この水吸収部(礫材層)3の内端部は面状透水材2の上部寄り部分の外面(フイルター22)に連続しており、図4に矢印で示すように面状透水材2の通水部21を通って上昇した地下水を速やかに水吸収部(礫材層)3内に吸収し得るようになっている。
【0060】
この水吸収部3となる礫材層は、地表近くにあるので通常時には地下水位L(図3)より高位置にあり、各礫材間の小空間部には空気が入っている。従って、地下水が面状透水材2の通水部21を通って上昇すると、その水がフイルター22を通して水吸収部3の小空間部(空気層)に容易に(速やかに)侵入するようになる。
【0061】
図3〜図5に示すマンホール管1の埋設状態では、マンホール管1の内部空所Sが空洞であり、又、地表面から所定深さの地盤土壌8中には地下水(水位L)があって、マンホール管1には浮力が働いている。そして、この第1実施例のマンホール管埋設構造において、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときには、次のような作用が発生する。
【0062】
まず、地盤土壌8中の地下水の間隙水圧が高圧になり、マンホール管外周部付近で発生した高圧地下水がマンホール管外周部の面状透水材2のフイルター22を通して通水部21(高圧地下水より低圧である)内に侵入して、該通水部21内を上昇する(図4の矢印参照)。このとき、通水部21内は空隙率が大きいので、水の流通抵抗が非常に小さく、従って該通水部21を通る水の上昇スピードは速いという特性がある。そして、通水部21内を上昇する高圧地下水は、面状透水材2の上端部寄り位置から図4に矢印で示すように周囲の水吸収部(礫材層)3内に侵入していき、該水吸収部3内に吸収される。
【0063】
このように、第1実施例のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時にマンホール管外周部近傍で発生する高圧地下水を、順次速やかに水吸収部3内に吸収させることができるので、マンホール管外周部近傍の地下水を減圧でき、地盤の液状化が抑制されることにより、マンホール管1の浮き上がりを防止できるという機能が生じる。
【0064】
図6〜図8に示す第2実施例
この第2実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1Aとして、図6に示すように筒体部11の上部寄り位置に上下2段の周溝17,17を形成する一方、該各周溝17,17の底部にマンホール管筒体部11を貫通してマンホール管1の内部空所Sに達する水抜穴18,18・・を多数個形成したものが採用される。
【0065】
各水抜穴18,18・・は、図示例では穴径が20〜30mm程度で各周溝17,17においてそれぞれ周方向に角度15°間隔をもって合計24個ずつ形成している。尚、水抜穴18が設けられる周溝17の形成段数、各周溝17に設けられる各水抜穴18の穴径及び個数等については、それぞれ適宜個数又は適宜数値に設定できる。
【0066】
この各水抜穴18,18・・は、マンホール管埋設状態において、地下水位L(図7)よりかなり高位置に設けられていて、通常状態で地下水が水抜穴18を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しないようにしている。又、該各水抜穴18,18・・は、図7及び図8に示すように、マンホール管筒体部11の内面に向けて上向き傾斜状態で形成しており、降雨水が地中に浸透してきたときに、その浸透水が各水抜穴18,18・・を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しないようにしている。
【0067】
尚、図6に示す第2実施例のマンホール管1Aのその他の構成は、上記第1実施例のマンホール管1と同じである。又、この第2実施例のマンホール管埋設構造でも、図7及び図8に示すように、マンホール管筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態でマンホール管1Aを埋設しているが、この第2実施例で使用される面状透水材2も、上記第1実施例のものと同じである。
【0068】
そして、この第2実施例のマンホール管埋設構造は、図7に示すように、マンホール管筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で、マンホール管1を埋設しているが、この埋設状態では、上下の各周溝17,17部分も面状透水材2で被覆している。
【0069】
ところで、この第2実施例のマンホール管埋設構造では、各水抜穴18,18・・が面状透水材2の通水部21を上昇してくる高圧地下水の逃がし通路となる関係で、筒体部11の上部寄り外周部には第1実施例の水吸収部(礫材層)3は設けていないが、この第2実施例でも、各水抜穴18,18・・とともに第1実施例の礫材層からなる水吸収部3を併用してもよい。尚、この第2実施例のマンホール管埋設構造におけるその他の構成は、上記第1実施例のものと同じである。
【0070】
図7及び図8に示す第2実施例の埋設構造マンホール管埋設構造では、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときに、地盤土壌8中で発生する高圧地下水が面状透水材2のフイルター22を通して通水部21内に侵入した後、該通水部21中を上昇する。そして、通水部21中を上昇する高圧地下水が上下の周溝17,17の高さに達すると、該高圧地下水が通水部21から各周溝17,17内に流入し、続いて該各周溝17,17から多数の水抜穴18,18・・に分散されてマンホール管1Aの内部空所S内に放出される。従って、この第2実施例のマンホール管埋設構造であっても、強い地震発生時にマンホール管外周部近傍で発生する高圧地下水を、順次速やかにマンホール管1の内部空所S内に放出することができる(地盤の液状化が抑制されることにより、マンホール管の浮き上がりを防止できる)。
【0071】
図9〜図10に示す第3実施例
この第3実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1Bとして、図9に示すようにマンホール管の上部寄り位置において下部筒体6と上部筒体7とに分割したものを使用している。尚、この第3実施例のマンホール管1Bは、下部筒体6と上部筒体7とを合体させて埋設させるが、下部筒体6と上部筒体7との接合部は、マンホール管埋設状態において、地下水位L(図10)より高位置となるように設定されている。
【0072】
下部筒体6は、適宜厚さを有する筒体部11の下部に底板部12を有している。この下部筒体6の上面(筒体部11の上面)には、周方向に小間隔(例えば角度15°間隔)をもって多数(合計24個)の水抜き用凹溝19,19・・を形成している。この各水抜き用凹溝19,19・・は、下部筒体6の上面を単に凹み形状に成形したものであるから、下部筒体6の成形時(型枠成形される)に同時に且つ簡単に形成できる。
【0073】
各水抜き用凹溝19,19・・は、特に限定するものではないが、幅が30〜40mmで深さが20〜30mm程度のものが好ましい。又、各水抜き用凹溝19,19・・の底面は、内方に向けて若干昇り傾斜させている。尚、この各水抜き用凹溝19,19・・は、下部筒体6と上部筒体7とを合体させた状態でマンホール管1Bの周壁内外を貫通する水抜穴として機能するものである。
【0074】
この第3実施例では、上部筒体7として上部側が小径となり且つ中心が偏心した傾斜筒壁状のものを採用している。尚、他の実施例では、上部筒体7も直筒状のものを採用することができる。
【0075】
下部筒体6の上面と上部筒体7の下面とは、図示省略しているが周凹溝と周凸条により相互に凹凸嵌合させて、位置ずれしないようにしている。そして、下部筒体6と上部筒体7とを上下に合体させることで、図10に示すように一連のマンホール管1Bを構成するが、このマンホール管1Bには、下部筒体6と上部筒体7の接続部の周囲に各水抜き用凹溝19,19・・からなる多数(合計24個)の水抜穴が形成される。
【0076】
図10に示す第3実施例のマンホール管埋設構造では、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたマンホール管1Bを、その外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設して構成されている。又、面状透水材2は、下部筒体6と上部筒体7の接続部にある各水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・を被覆する高さまで設置されている。
【0077】
そして、この第3実施例(図10)のマンホール管埋設構造でも、通常状態での地下水位Lが各水抜穴19,19・・より低位置にあるので、該地下水が水抜穴19を通ってマンホール管の内部空所Sに流入することはない。又、各水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・は、その底面が内方に向けて若干昇り傾斜しているので、降雨水が地中に浸透してきたときに、その浸透水が各水抜穴19,19・・を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しない。
【0078】
尚、この第3実施例(図10)のマンホール管埋設構造でも、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときに、地盤土壌8中で発生する高圧地下水が面状透水材2のフイルター22を通して通水部21内に侵入した後、該通水部21中を上昇する。そして、通水部21中を上昇する高圧地下水が水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・の高さに達すると、該高圧地下水が通水部21から各水抜穴19,19・・に分散されてマンホール管1Aの内部空所S内に放出される。従って、この第3実施例のマンホール管埋設構造でも、上記第2実施例のものと同じ機能を有する(地盤の液状化が抑制されることによりマンホール管の浮き上がりを防止でき、且つ高圧地下水をマンホール管の内部空所S内に逃がすことができる)。
【0079】
図11〜図12に示す第4実施例
この第4実施例のマンホール管埋設構造で使用される図11のマンホール管1Cは、上記第3実施例(図9)のマンホール管1Bの変形例を示すものであり、図11に示すマンホール管1Cも、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体6と上部筒体7とに分割したものを使用している。
【0080】
そして、図11のマンホール管1Cでは、上記第3実施例(図9)のマンホール管1Bとは逆に、上部筒体7の下面に周方向に小間隔(角度15°間隔)をもって多数(合計24個)の水抜き用凹溝20,20・・を形成している。尚、この上部筒体7下面の各水抜き用凹溝20,20・・は、上向きに凹入したものであるが、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたときに、マンホール管1Cの周壁を内外に貫通して水抜穴としての機能を有するものである。
【0081】
下部筒体6の筒体部11の上面11aは、内方に向けて若干昇り傾斜面となっている。この筒体部上面11aは、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたときに(マンホール管1Cとなる)、各水抜き用凹溝20,20・・で形成される水抜穴の底面になるものであり、該底面(筒体部上面11a)を内方に向けて若干昇り傾斜面とすることで、降雨時に地盤土壌8中を浸透してくる浸透水が各水抜穴(水抜き用凹溝)20,20・・を通ってマンホール管1Cの内部空所S内に流入しないようにしている。
【0082】
この図11のマンホール管1Cも、図12に示すように、マンホール管外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設して、第4実施例のマンホール管埋設構造を構成する。
【0083】
尚、この第4実施例のマンホール管埋設構造も、上記第3実施例のものと同様の機能(効果)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本願第1実施例のマンホール管埋設構造で使用される面状透水材付きマンホール管の斜視図である。
【図2】図1のマンホール管に取付けられている面状透水材の斜視図である。
【図3】図1の面状透水材付きマンホール管を使用した本願第1実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】図3のV−V断面図である。
【図6】本願第2実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図7】図6のマンホール管を使用した本願第2実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図8】図7の一部拡大図である。
【図9】本願第3実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図10】図9のマンホール管を使用した本願第3実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図11】本願第4実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図12】図11のマンホール管を使用した本願第4実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図13】従来のマンホール管埋設構造の説明図である。
【図14】公知(特許文献1)のマンホール管埋設構造の説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A〜1Cはマンホール管、2は面状透水材,3は水吸収部(礫材層)、8は地盤土壌、11は筒体部、17は周溝、18は水抜穴、19,20は水抜き用凹溝、21は通水部、22はフイルター、Sは内部空所である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、下水道のような地下水路の保守・点検用に埋設されたマンホール管の埋設構造に関し、特に強い地震発生時の地盤液状化によるマンホール管の浮き上がりを防止するためのマンホール管の埋設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13(A)には、下水等の水路における一般的なマンホール管の埋設構造を示しているが、この図13(A)のマンホール管埋設構造は、有底筒形のマンホール管Cを地表面から下向き姿勢で地中に埋設し、該マンホール管Cの底部付近に複数本の水路管4,5を接続して構成されている。
【0003】
この種のマンホール管Cは、一般にプレキャストコンクリート製のものが多い。又、マンホール管Cは、かなりの内径(例えば90〜150cm)及び深さ(例えば2〜8m)を有している。尚、この種のマンホール管Cは、比較的小型のものでは底板部12Cと筒体部11Cとを一体成形したものもあるが、一般的には底板部12Cと筒体部11Cを別体に成形し且つ筒体部11Cも上下複数個に分割成形して、設置現場で順次組立てる場合が多い(この種のものを一般的に組立てマンホールと呼んでいる)。
【0004】
図13(A)のマンホール管埋設構造では、マンホール管Cの埋設位置の地盤土壌8を所定内径で所定深さまで掘削して縦坑を形成し、その縦坑内にマンホール管Cを設置し、マンホール管底部付近に水路管4,5を接続し、縦坑内の余剰空所に土壌を埋め戻し(埋め戻し土壌9)、マンホール管周囲の地盤土壌上に舗装10を施して完成させる。マンホール管Cの上部開口には、蓋13が被される。
【0005】
この種の水路工事(例えば下水工事)は、一般に平坦な現場で多く行われているが、平坦な地盤では、地下水位の深さ(図13(A)の符号L)が比較的浅い位置にあることがある(特に、海を埋め立てた造成地では、地表面から1m程度の深さに地下水位Lがあることがある)。
【0006】
そして、強い地震が発生したときには、地下水位Lの深さが浅いと地盤の液状化が起こり易くなる(特に砂質地盤の場合は液状化現象が強く現れる)。尚、地盤の液状化現象は、地震により地盤が強く振動したときに、地下水の間隙水圧が高くなって土粒子が水中に浮かんだ状態になることで起こるものである。
【0007】
ところで、図13(A)に示すマンホール管埋設状態において、マンホール管Cの周囲の地盤8が地震により液状化すると、マンホール管Cに対する保持力(摩擦力)が小さくなるとともに、マンホール管内部が空洞であるのでマンホール管Cの比重が周囲の液状化地盤の比重より軽くなって、マンホール管Cに浮力が発生する。他方、地下水の間隙水圧が高くなって地盤8が液状化すると、図13(B)に示すようにマンホール管Cの周囲に噴砂現象(符号Dの矢印)が発生し、その噴砂現象によるマンホール管押し上げ力が加わる。従って、マンホール管埋設場所で地盤の液状化が起こると、図13(B)に示すように、マンホール管Cが浮き上がるという被害が発生することがある。尚、マンホール管Cが浮き上がると、図13(B)に示すように水路管4,5の接続部分が破断してしまい、大掛かりな補修作業が必要となる。
【0008】
このような地盤液状化によるマンホール管の浮き上がりを防止するための公知技術として、特開平8−165666号公報(特許文献1)に示されるものがある。この特開平8−165666号公報のマンホール管埋設構造は、図14に示すように地中に埋設したマンホール管Cの筒体部11Cの外周面と地盤土壌8との間に礫材層からなる透水経路41を設ける一方、該透水経路41の上端部を透水性舗装42で被覆して構成されている。尚、透水経路(礫材層)41には、一般に粒径が30〜50mm程度の砕石が用いられているが、各砕石間に多数の小空間部があって該各小空間部が蛇行しながら連続している。又、透水性舗装42部分は、比較的小粒径の多数の骨材を結着させたもので、各骨材間の小空間部が蛇行状態で連続している。
【0009】
そして、特開平8−165666号公報のマンホール管埋設構造では、地震時に発生した地盤8中の過剰間隙水を、礫材層からなる透水経路41内を通し、さらに透水性舗装42部分を通して地表面に逃がすことができ、それによってマンホール管埋設付近の地盤の液状化を緩和してマンホール管の浮き上がりを防止し得る、とされている。
【0010】
【特許文献1】特開平8−165666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、地盤を液状化させるほどの強い地震が発生したときに、地下水の間隙水圧が地盤の液状化を起こさせるまで高圧になるのはごく短時間(数秒程度)であり、その後、強振動が数10秒間継続することで、地盤中の地下水が過剰間隙水圧となって地盤液状化による大きな被害が発生することになる。そして、強い地震の発生時に、マンホール管周囲の地盤の液状化を防ぐには、どれだけ短時間で地下水の過剰間隙水圧を低下させるか(又は地下水が地盤液状化を起こす高圧まで上昇させないか)にかかっている。
【0012】
ところが、上記した特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造では、地震により間隙水圧が高くなった地下水を透水経路(礫材層)41及び透水性舗装42を通して地表面に逃がすことができると記載されているが、透水経路中及び透水性舗装中の各空間部は非常に短い間隔で蛇行していて、高圧の地下水が透水経路41部分や透水性舗装42部分を通過するときに何度も砕石や骨材に衝突するようになる。
【0013】
従って、高圧地下水が透水経路41中及び透水性舗装42中を通るのにかなり大きな流通抵抗があり、該透水経路41及び透水性舗装42を通って地下水圧力が減圧されるスピードより地盤の強振動継続による地下水の間隙水圧の上昇スピードが早くなることが考えられる。特に、透水性舗装42部分は、小粒径の骨材が密に結合されているので、該透水性舗装42部分の各空間部(水通路となる)は非常に微細な状態で蛇行しているので、そこを上昇地下水が通過する際の抵抗は非常に大きいものとなる。
【0014】
このように、上記特許文献1のマンホール管埋設構造では、強い地震が発生時に、高圧になった地下水の一部を地表面に逃がすことで若干の地下水減圧効果が期待できるものの、地下水の液状化防止対策(マンホール管の浮き上がり防止対策)としては不十分であった。
【0015】
又、特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造では、マンホール管外周部の透水経路41として礫材層を採用しているが、この礫材層は縦長であり、且つ狭い間隔内に充填する必要があるので、その透水経路(礫材層)41の形成が面倒であるという問題もあった。
【0016】
そこで、本願発明は、地盤が液状化するほどの強い地震が発生したときでも、マンホール管近傍で発生する地下水の間隙水圧を効率よく低下させ得るようにするとともに、比較的簡易に構築できるようにした、マンホール管の埋設構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0018】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0019】
この種のマンホール管は、一般にプレキャストコンクリート製のものが多いが、合成樹脂製のものもある。又、マンホール管は、有底筒状でかなりの内径(例えば90〜150cm)及び深さ(例えば2〜8m)を有している。尚、マンホール管は、一般に円筒形のものが多いが、楕円筒形や角筒形のものもある。マンホール管の底部付近には、各水路管の端部を接続するための複数個の接続穴が形成される。
【0020】
そして、本願請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管を、その筒体部の外周面と地盤土壌との間に面状透水材を介在させた状態で地中に埋設している。尚、埋設されたマンホール管の底部寄りには、流入側水路管と流出側水路管が接続され、又マンホール管の上部開口には蓋が被される。
【0021】
面状透水材は、マンホール管の筒体部外周のほぼ全面を被覆するように設置されている。面状透水材としては、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部を有し且つ該通水部の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルターを設けたものが使用される。この面状透水材は、土木用透水フイルターとして市販されているもので、例えば線径が1〜2mm程度の合成樹脂線材を立体網状に絡め合わせて、3〜5cm厚さの面状に成形するとともに、その片面(両面でも可)に不織布等の透水性のあるシート状のフイルターを貼着したものである。この面状透水材の通水部は、空隙率が非常に大きく(例えば80〜90%の空隙率)、該通水部内を地下水が流通する際にさほどの流水抵抗は発生しない。
【0022】
又、この請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管筒体部の外周面を被覆している面状透水材の上部寄り外周部に、面状透水材の通水部内を通って上昇し該面状透水材の上部寄り位置の外面から放出される水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部を設けている。
【0023】
この水吸収部は、舗装面の下面において礫材層を所定厚さ(例えば20〜40cm厚さ)で半径方向に所定幅(例えば100〜150cm幅)の環状に敷設したものである。この礫材層は、粒径が30〜50mm程度の礫材(一般に砕石が使用される)を充填したもので、各礫材間に多数の小空間部がある。従って、この礫材層からなる水吸収部には、各礫材間の多数の小空間部に一時的ではあるが多量の水を吸収することができるものである。この礫材層の内端部は面状透水材の上部寄り部分に連続しており、面状透水材の通水部を通って上昇した地下水を面状透水材外面のフイルターを通して速やかに水吸収部(礫材層)内に吸収させ得るようになっている。尚、この水吸収部となる礫材層は、地表近くにあるので通常時には地下水が溜まらない高さであり(各礫材間の小空間部には空気が入っている)、従って地下水が面状透水材(通水部)を通って上昇すると該水吸収部(礫材層)に水が容易に(速やかに)侵入するようになる。
【0024】
ところで、この請求項1のマンホール管埋設構造は、次のようにして構築される。まず、マンホール管埋設位置にマンホール管筒体部の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削する。他方、地上において、予めマンホール管の外周面に面状透水材を巻付けて貼着し、面状透水材付きマンホール管としておく。そして、掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管を吊り降ろして設置した後、縦孔内面と面状透水材外面間の空所に所定高さまで土壌を埋め戻し、その上部に水吸収部となる礫材層を所定厚さだけ敷設し、さらにその上部を舗装すれば、構築作業が完了する。尚、水吸収部(礫材層)は、地表面近くに設けられるので、該水吸収部(礫材層)の敷設作業は比較的容易に行える。
【0025】
この請求項1のマンホール管埋設構造では、マンホール管外周面を被覆している面状透水材に地盤土壌が接触しているので、地下水が面状透水材のフイルターを通って通水部内に侵入するようになっている。又、面状透水材のフイルターは、地盤土壌(土砂)が通水部内に侵入するのを阻止する機能があり、該通水部内が土砂で目詰まりしないようになっている。
【0026】
又、強い地震が発生してマンホール管周囲の地下水が過剰水圧になると、マンホール管外周面にある面状透水材の通水部内が低圧であるので、過剰水圧の地下水がフイルターを通って通水部内に侵入し、続いて該通水部内を上昇した後、面状透水材の上部寄り位置からフイルターを通って水吸収部(礫材層)中に侵入するようになる。又、通水部は空隙率が大きい(施工状態での空隙率が75〜85%ある)ので、該通水部中を上昇する水の流通抵抗が非常に小さく、地盤中で発生した高圧地下水を順次速やかに水吸収部に吸収させることができる。
【0027】
従って、この請求項1のマンホール管埋設構造では、液状化が起こり易い地盤で強い地震が発生したときでも、地盤の液状化を抑制できるとともに、マンホール管の浮き上がりを防止できる構造となっている。
【0028】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明も、マンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0029】
この請求項2のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、その筒体部の上部寄り位置の周囲に該筒体部を内外に貫通する多数個の水抜穴を形成したものを使用している。この水抜穴は、穴径が例えば20〜30mm程度のものを周方向に比較的密状態(例えば周方向に50〜200mm間隔)で上下複数段に設けることができる。又、同高さにある各水抜穴は、筒体部外周面に凹状の周溝を形成して該周溝で連続させるようにするとよい。尚、この各水抜穴は、後述するように面状透水材の通水部を通って上昇してきた高圧地下水をマンホール管の内部空所に導くためのものである。
【0030】
そして、この請求項2のマンホール管埋設構造でも、マンホール管を、その筒体部の外周面と地盤土壌との間に面状透水材を介在させた状態で埋設している。この面状透水材は、上記請求項1のものと同じもの(内面側に通水部を有し外面にフイルターを有している)を使用している。又、面状透水材は、マンホール管筒体部の各水抜穴を被覆する高さまで介在させている。
【0031】
この請求項2のマンホール管埋設構造を構築するには、まずマンホール管埋設位置にマンホール管筒体部の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削し、その掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管を吊り降ろして設置した後、縦孔内面と面状透水材外面間の空所に土壌を埋め戻した後、その上部を舗装すればよい。
【0032】
この請求項2のマンホール管埋設構造でも、上記請求項1のものと同様に、マンホール管外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けているので、地下水が面状透水材のフイルターを通って通水部内に侵入するようになっている。尚、面状透水材のフイルターは、地盤土壌(土砂)が通水部内に侵入するのを阻止する機能があり、通水部内が土砂で目詰まりしないようになっている。
【0033】
又、強い地震が発生してマンホール管周囲の地下水が過剰水圧になると、マンホール管外周面にある面状透水材の通水部内が低圧であるので、過剰水圧の地下水がフイルターを通って通水部内に侵入し、続いて通水部内を上昇した後、マンホール管筒体部の上部寄り位置にある各水抜穴を通ってマンホール管の内部空所に流入するようになる。又、面状透水材の通水部は空隙率が大きいので、該通水部中を上昇する水の流通抵抗が小さく、地盤中で発生した過剰圧力水を順次速やかにマンホール管の内部空所に流入させることができる。
【0034】
従って、この請求項2のマンホール管埋設構造では、液状化が起こり易い地盤で強い地震が発生したときでも、地盤の液状化を抑制できるとともに、マンホール管の浮き上がりを防止できる構造となっている。
【0035】
尚、この請求項2のマンホール管埋設構造において、強い地震発生時に面状透水材の通水部内を上昇する水を排出するのに、上記請求項1で採用した水吸収部(マンホール管上部寄り外周部に設けた礫材層)を併用してもよい。このように、面状透水材の通水部中を上昇する水を、各水抜穴からマンホール管の内部空所に流入させるとともに、マンホール管上部寄り外周部の水吸収部(礫材層)に吸収させるようにすると、通水部中を上昇する水の排出効率が一層良好となる。
【0036】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明も、マンホール管の埋設構造を対象にしている。
【0037】
この請求項3のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体と上部筒体とに分割したものを使用している。この下部筒体の上面又は上部筒体の下面には、周方向に小間隔をもって筒壁内外に跨がる多数の水抜き用凹溝を形成している。そして、この下部筒体と上部筒体とを上下に合体させると、その接合部に各水抜き用凹溝からなる多数の水抜穴が筒壁を内外に貫通する状態で形成される。尚、この各水抜き用凹溝からなる水抜穴は、上記請求項2の水抜穴と同じ機能を有するものである。
【0038】
そして、この請求項3のマンホール管埋設構造では、下部筒体と上部筒体とを合体させてなるマンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材(上記請求項1又は請求項2のものと同じもの)を介在させた状態で埋設している。又、面状透水材は、マンホール管の各水抜き用凹溝を被覆する高さまで介在させている。
【0039】
この請求項3のように、マンホール管として、その上部寄り位置において下部筒体と上部筒体に分割したもの使用すると、下部筒体の上面又は上部筒体の下面に水抜穴となる水抜き用凹溝を筒体成形時(型枠成形時)に同時に成形できる。
【発明の効果】
【0040】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1のマンホール管埋設構造は、マンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けた状態で埋設しているとともに、面状透水材の上部寄り外周部に水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部を設けて構成している。
【0041】
そして、この請求項1のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時における高圧地下水を、面状透水材の通水部内を通して上昇させた後、その上部寄り位置から水吸収部(礫材層)内に吸収させ得るようになっている。
【0042】
従って、この請求項1のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時にマンホール管近傍で起きる地盤土壌の液状化を抑制でき、それによってマンホール管の浮き上がりを防止できるという効果がある。
【0043】
又、この請求項1のマンホール管埋設構造では、高圧地下水を上昇させる通路となる面状透水材は、単にマンホール管外周面に貼着することで設置できるので、このマンホール管埋設構造を簡単に構築できるという効果もある。即ち、特許文献1(図14)のマンホール管埋設構造のように、マンホール管外周部の透水経路として礫材層を採用したものでは、その透水経路(礫材層)の形成が非常に面倒であるが、本願請求項1のように面状透水材を単にマンホール管外周面に貼着し得るようにしたものでは、その面状透水材の設置が容易となる。
【0044】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2のマンホール管埋設構造では、マンホール管として、その筒体部の上部寄り位置の周囲に筒体部を内外に貫通する多数個の水抜穴を形成したものを使用し、このマンホール管を、その外周面と地盤土壌との間に面状透水材を設けた状態で埋設して構成している。
【0045】
そして、この請求項2のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時における高圧地下水が、マンホール管外周面の面状透水材(通水部)内を通って上昇し、さらに面状透水材の上部寄り位置から水抜穴を通ってマンホール管の内部空所に放出されるようになっている。
【0046】
従って、この請求項2のマンホール管埋設構造でも、強い地震発生時にマンホール管近傍で起きる地盤土壌の液状化を抑制でき、それによってマンホール管の浮き上がりを防止できるとともに、面状透水材は単にマンホール管外周面に取付ける(貼着する)ことで設置できるので、このマンホール管埋設構造を簡単に構築できるという効果がある。
【0047】
又、この請求項2のマンホール管埋設構造のように、強い地震発生時において面状透水材(通水部)内を通って上昇する高圧地下水を多数の水抜穴からマンホール管の内部空所に放出させ得るようにしたものでは、高圧地下水の排出場所としてマンホール管の内部空所を利用できるので、マンホール管の外側に排水場所(例えば請求項1の礫材層からなる水吸収部)を設ける必要がないかあるいは該マンホール管外側の排水場所を小さくでき、面状透水材(通水部)内を通って上昇する高圧地下水の排出処理構造が簡単となるという効果がある。
【0048】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3のマンホール管埋設構造でも、上記請求項2と同様に、強い地震発生時における高圧地下水が、マンホール管外周面の面状透水材(通水部)内を通って上昇し、さらに面状透水材の上部寄り位置から水抜穴(水抜き用凹溝)を通ってマンホール管の内部空所に放出されるようになっている。
【0049】
従って、この請求項3のマンホール管埋設構造でも、上記請求項2の各効果(地盤土壌の液状化を抑制すること、高圧地下水の排出場所としてマンホール管の内部空所を利用できること等)を達成し得る。
【0050】
又、この請求項3で使用されるマンホール管では、上下に分割した下部筒体の上面又は上部筒体の下面に水抜き用凹溝を形成して、下部筒体と上部筒体とを合体させた時に各水抜き用凹溝を上記請求項2の水抜穴として機能させるようにしているが、この水抜き用凹溝は、下部筒体又は上部筒体の成形時(型枠成形される)に同時に且つ簡単に形成することができ、上記請求項2の水抜穴のように筒体部を貫通して形成する場合より加工が簡単であるという効果がある。
【実施例】
【0051】
図1〜図12を参照して本願実施例のマンホール管埋設構造を説明すると、図1〜図5には第1実施例(本願請求項1に対応)を示し、図6〜図8には第2実施例(本願請求項2に対応)を示し、図9〜図10には第3実施例(本願請求項3に対応)を示し、図11〜図12には第4実施例(本願請求項3に対応)を示している。
【0052】
図1〜図5の第1実施例
第1実施例で使用される図1のマンホール管1は、プレキャストコンクリート製で、筒体部11の底部に底板部12を有する有底円筒状のものが使用されている。尚、一般的なマンホール管は、内径が90〜150cmで深さが2〜8m程度の大きさで、底板部12と筒体部11を別体に成形し且つ筒体部11も上下複数個に分割成形して、設置現場で順次組立てるものが多いが、図示例では、マンホール管1として、筒体部11と底板部12とを一体にし且つ筒体部11も一体にした状態で表示している。
【0053】
マンホール管1の底部付近には、各水路管4,5(図3)の端部を接続するための複数個(図示例では2つ)の接続穴14,15が形成されている。
【0054】
マンホール管1は、図3に示すように地表面から下向き姿勢で埋設されるが、本願のマンホール管埋設構造では、マンホール管1の筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に通水性を有する面状透水材2を介在させている。
【0055】
面状透水材2としては、図1〜図5に示すように、内面側に水を流通させ得る通水部21を有し且つ該通水部21の外面に透水性のあるフイルター22を設けたものが使用されている。
【0056】
この面状透水材2は、土木用透水フイルターとして市販されているもので、通水部21として例えば線径が1〜2mm程度の合成樹脂線材を立体網状に絡め合わせて、3〜5cm厚さの面状に成形しているとともに、その片面(両面でも可)に不織布等の透水性のあるシート状のフイルター22を貼着したものである。通水部21は、自然状態で80〜90%程度の空隙率を有し且つ圧縮力に対してかなりの強度を有している(圧縮力が98kPaのときの空隙率が75〜85%程度である)。従って、この通水部21内を地下水が流通する際に、さほどの流水抵抗は発生しない。又、フイルター22は、地下水を通水部21側に通過させる一方、地盤土壌8が通水部21側に侵入するのを阻止する(通水部21が土壌で目詰まりするのを防止する)ものである。尚、図示の実施例では、面状透水材2として、マンホール管1のほぼ外周全面を被覆する1枚もので記載しているが、実際には上下幅が例えば1m程度(この幅は特に限定するものではない)の分割面状透水材が複数枚使用される。そして、この面状透水材2は、図1に示すようにマンホール管筒体部11の外周面における上端寄りの一部の高さ(図3のアスファルト舗装10の厚さとほぼ同じ)を残してほぼ全面を被覆するようにして取付けられる。面状透水材2の取付方法としては、面状透水材2の内面を筒体部11の外面に接着剤で貼着する方法が採用できる。又、面状透水材2におけるマンホール管筒体部11の水路管取付穴14,15が対応する部分には、水路管挿通用の穴が開けられて、図1に示す面状透水材付きのマンホール管1が構成される。尚、面状透水材2は、マンホール管1の外周面に対して地上で組付ける。
【0057】
第1実施例のマンホール管埋設構造は、図3〜図5に示すものであるが、この第1実施例のマンホール管埋設構造は次のようにして構築される。まず、マンホール管埋設位置にマンホール管筒体部11の外径よりやや大きい内径の縦孔を掘削する。他方、地上において、予めマンホール管1の外周面に面状透水材2を取付けて(貼着して)、図1に示す面状透水材付きマンホール管としておく。そして、掘削した縦孔内に、面状透水材付きマンホール管1を吊り降ろして設置し、マンホール管1の底部寄りに各水路管(流入側水路管4と流出側水路管5)を接続し、マンホール管1の上部開口に蓋13を被せる。その後、縦孔内面と面状透水材2の外面間の空所に所定高さまで土壌を埋め戻し、その上部に後述する水吸収部3となる礫材層を所定厚さだけ敷設した後、その上部をアスファルト材やコンクリート材で舗装(符号10)すれば、構築作業が完了する。尚、図3〜図5において、面状透水材2のフイルター22は理解し易くするために点線状態で表示している。
【0058】
この第1実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1(面状透水材2)の上部寄り外周部に礫材層からなる水吸収部3を設けているが、この水吸収部3は、舗装面10の下面において粒径が30〜50mm程度の砕石からなる礫材層を所定厚さ(例えば20〜40cm厚さ)で所定幅(例えば半径方向に100〜150cm幅)の環状に敷設したものである。尚、水吸収部(礫材層)3は、地表面近くに設けられるので、該水吸収部(礫材層)3の敷設作業は比較的容易に行える。
【0059】
この水吸収部(礫材層)3内には、各砕石間に多数の小空間部があって、該各小空間部に一時的ではあるが多量の水を吸収できるようになっている。又、この水吸収部(礫材層)3の内端部は面状透水材2の上部寄り部分の外面(フイルター22)に連続しており、図4に矢印で示すように面状透水材2の通水部21を通って上昇した地下水を速やかに水吸収部(礫材層)3内に吸収し得るようになっている。
【0060】
この水吸収部3となる礫材層は、地表近くにあるので通常時には地下水位L(図3)より高位置にあり、各礫材間の小空間部には空気が入っている。従って、地下水が面状透水材2の通水部21を通って上昇すると、その水がフイルター22を通して水吸収部3の小空間部(空気層)に容易に(速やかに)侵入するようになる。
【0061】
図3〜図5に示すマンホール管1の埋設状態では、マンホール管1の内部空所Sが空洞であり、又、地表面から所定深さの地盤土壌8中には地下水(水位L)があって、マンホール管1には浮力が働いている。そして、この第1実施例のマンホール管埋設構造において、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときには、次のような作用が発生する。
【0062】
まず、地盤土壌8中の地下水の間隙水圧が高圧になり、マンホール管外周部付近で発生した高圧地下水がマンホール管外周部の面状透水材2のフイルター22を通して通水部21(高圧地下水より低圧である)内に侵入して、該通水部21内を上昇する(図4の矢印参照)。このとき、通水部21内は空隙率が大きいので、水の流通抵抗が非常に小さく、従って該通水部21を通る水の上昇スピードは速いという特性がある。そして、通水部21内を上昇する高圧地下水は、面状透水材2の上端部寄り位置から図4に矢印で示すように周囲の水吸収部(礫材層)3内に侵入していき、該水吸収部3内に吸収される。
【0063】
このように、第1実施例のマンホール管埋設構造では、強い地震発生時にマンホール管外周部近傍で発生する高圧地下水を、順次速やかに水吸収部3内に吸収させることができるので、マンホール管外周部近傍の地下水を減圧でき、地盤の液状化が抑制されることにより、マンホール管1の浮き上がりを防止できるという機能が生じる。
【0064】
図6〜図8に示す第2実施例
この第2実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1Aとして、図6に示すように筒体部11の上部寄り位置に上下2段の周溝17,17を形成する一方、該各周溝17,17の底部にマンホール管筒体部11を貫通してマンホール管1の内部空所Sに達する水抜穴18,18・・を多数個形成したものが採用される。
【0065】
各水抜穴18,18・・は、図示例では穴径が20〜30mm程度で各周溝17,17においてそれぞれ周方向に角度15°間隔をもって合計24個ずつ形成している。尚、水抜穴18が設けられる周溝17の形成段数、各周溝17に設けられる各水抜穴18の穴径及び個数等については、それぞれ適宜個数又は適宜数値に設定できる。
【0066】
この各水抜穴18,18・・は、マンホール管埋設状態において、地下水位L(図7)よりかなり高位置に設けられていて、通常状態で地下水が水抜穴18を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しないようにしている。又、該各水抜穴18,18・・は、図7及び図8に示すように、マンホール管筒体部11の内面に向けて上向き傾斜状態で形成しており、降雨水が地中に浸透してきたときに、その浸透水が各水抜穴18,18・・を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しないようにしている。
【0067】
尚、図6に示す第2実施例のマンホール管1Aのその他の構成は、上記第1実施例のマンホール管1と同じである。又、この第2実施例のマンホール管埋設構造でも、図7及び図8に示すように、マンホール管筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態でマンホール管1Aを埋設しているが、この第2実施例で使用される面状透水材2も、上記第1実施例のものと同じである。
【0068】
そして、この第2実施例のマンホール管埋設構造は、図7に示すように、マンホール管筒体部11の外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で、マンホール管1を埋設しているが、この埋設状態では、上下の各周溝17,17部分も面状透水材2で被覆している。
【0069】
ところで、この第2実施例のマンホール管埋設構造では、各水抜穴18,18・・が面状透水材2の通水部21を上昇してくる高圧地下水の逃がし通路となる関係で、筒体部11の上部寄り外周部には第1実施例の水吸収部(礫材層)3は設けていないが、この第2実施例でも、各水抜穴18,18・・とともに第1実施例の礫材層からなる水吸収部3を併用してもよい。尚、この第2実施例のマンホール管埋設構造におけるその他の構成は、上記第1実施例のものと同じである。
【0070】
図7及び図8に示す第2実施例の埋設構造マンホール管埋設構造では、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときに、地盤土壌8中で発生する高圧地下水が面状透水材2のフイルター22を通して通水部21内に侵入した後、該通水部21中を上昇する。そして、通水部21中を上昇する高圧地下水が上下の周溝17,17の高さに達すると、該高圧地下水が通水部21から各周溝17,17内に流入し、続いて該各周溝17,17から多数の水抜穴18,18・・に分散されてマンホール管1Aの内部空所S内に放出される。従って、この第2実施例のマンホール管埋設構造であっても、強い地震発生時にマンホール管外周部近傍で発生する高圧地下水を、順次速やかにマンホール管1の内部空所S内に放出することができる(地盤の液状化が抑制されることにより、マンホール管の浮き上がりを防止できる)。
【0071】
図9〜図10に示す第3実施例
この第3実施例のマンホール管埋設構造では、マンホール管1Bとして、図9に示すようにマンホール管の上部寄り位置において下部筒体6と上部筒体7とに分割したものを使用している。尚、この第3実施例のマンホール管1Bは、下部筒体6と上部筒体7とを合体させて埋設させるが、下部筒体6と上部筒体7との接合部は、マンホール管埋設状態において、地下水位L(図10)より高位置となるように設定されている。
【0072】
下部筒体6は、適宜厚さを有する筒体部11の下部に底板部12を有している。この下部筒体6の上面(筒体部11の上面)には、周方向に小間隔(例えば角度15°間隔)をもって多数(合計24個)の水抜き用凹溝19,19・・を形成している。この各水抜き用凹溝19,19・・は、下部筒体6の上面を単に凹み形状に成形したものであるから、下部筒体6の成形時(型枠成形される)に同時に且つ簡単に形成できる。
【0073】
各水抜き用凹溝19,19・・は、特に限定するものではないが、幅が30〜40mmで深さが20〜30mm程度のものが好ましい。又、各水抜き用凹溝19,19・・の底面は、内方に向けて若干昇り傾斜させている。尚、この各水抜き用凹溝19,19・・は、下部筒体6と上部筒体7とを合体させた状態でマンホール管1Bの周壁内外を貫通する水抜穴として機能するものである。
【0074】
この第3実施例では、上部筒体7として上部側が小径となり且つ中心が偏心した傾斜筒壁状のものを採用している。尚、他の実施例では、上部筒体7も直筒状のものを採用することができる。
【0075】
下部筒体6の上面と上部筒体7の下面とは、図示省略しているが周凹溝と周凸条により相互に凹凸嵌合させて、位置ずれしないようにしている。そして、下部筒体6と上部筒体7とを上下に合体させることで、図10に示すように一連のマンホール管1Bを構成するが、このマンホール管1Bには、下部筒体6と上部筒体7の接続部の周囲に各水抜き用凹溝19,19・・からなる多数(合計24個)の水抜穴が形成される。
【0076】
図10に示す第3実施例のマンホール管埋設構造では、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたマンホール管1Bを、その外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設して構成されている。又、面状透水材2は、下部筒体6と上部筒体7の接続部にある各水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・を被覆する高さまで設置されている。
【0077】
そして、この第3実施例(図10)のマンホール管埋設構造でも、通常状態での地下水位Lが各水抜穴19,19・・より低位置にあるので、該地下水が水抜穴19を通ってマンホール管の内部空所Sに流入することはない。又、各水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・は、その底面が内方に向けて若干昇り傾斜しているので、降雨水が地中に浸透してきたときに、その浸透水が各水抜穴19,19・・を通ってマンホール管の内部空所Sに流入しない。
【0078】
尚、この第3実施例(図10)のマンホール管埋設構造でも、地盤に液状化が起こるほどの強い地震が発生したときに、地盤土壌8中で発生する高圧地下水が面状透水材2のフイルター22を通して通水部21内に侵入した後、該通水部21中を上昇する。そして、通水部21中を上昇する高圧地下水が水抜穴(水抜き用凹溝)19,19・・の高さに達すると、該高圧地下水が通水部21から各水抜穴19,19・・に分散されてマンホール管1Aの内部空所S内に放出される。従って、この第3実施例のマンホール管埋設構造でも、上記第2実施例のものと同じ機能を有する(地盤の液状化が抑制されることによりマンホール管の浮き上がりを防止でき、且つ高圧地下水をマンホール管の内部空所S内に逃がすことができる)。
【0079】
図11〜図12に示す第4実施例
この第4実施例のマンホール管埋設構造で使用される図11のマンホール管1Cは、上記第3実施例(図9)のマンホール管1Bの変形例を示すものであり、図11に示すマンホール管1Cも、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体6と上部筒体7とに分割したものを使用している。
【0080】
そして、図11のマンホール管1Cでは、上記第3実施例(図9)のマンホール管1Bとは逆に、上部筒体7の下面に周方向に小間隔(角度15°間隔)をもって多数(合計24個)の水抜き用凹溝20,20・・を形成している。尚、この上部筒体7下面の各水抜き用凹溝20,20・・は、上向きに凹入したものであるが、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたときに、マンホール管1Cの周壁を内外に貫通して水抜穴としての機能を有するものである。
【0081】
下部筒体6の筒体部11の上面11aは、内方に向けて若干昇り傾斜面となっている。この筒体部上面11aは、下部筒体6と上部筒体7とを合体させたときに(マンホール管1Cとなる)、各水抜き用凹溝20,20・・で形成される水抜穴の底面になるものであり、該底面(筒体部上面11a)を内方に向けて若干昇り傾斜面とすることで、降雨時に地盤土壌8中を浸透してくる浸透水が各水抜穴(水抜き用凹溝)20,20・・を通ってマンホール管1Cの内部空所S内に流入しないようにしている。
【0082】
この図11のマンホール管1Cも、図12に示すように、マンホール管外周面と地盤土壌8との間に面状透水材2を介在させた状態で埋設して、第4実施例のマンホール管埋設構造を構成する。
【0083】
尚、この第4実施例のマンホール管埋設構造も、上記第3実施例のものと同様の機能(効果)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本願第1実施例のマンホール管埋設構造で使用される面状透水材付きマンホール管の斜視図である。
【図2】図1のマンホール管に取付けられている面状透水材の斜視図である。
【図3】図1の面状透水材付きマンホール管を使用した本願第1実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】図3のV−V断面図である。
【図6】本願第2実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図7】図6のマンホール管を使用した本願第2実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図8】図7の一部拡大図である。
【図9】本願第3実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図10】図9のマンホール管を使用した本願第3実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図11】本願第4実施例のマンホール管埋設構造で使用されるマンホール管の斜視図である。
【図12】図11のマンホール管を使用した本願第4実施例のマンホール管埋設構造の縦断面図である。
【図13】従来のマンホール管埋設構造の説明図である。
【図14】公知(特許文献1)のマンホール管埋設構造の説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A〜1Cはマンホール管、2は面状透水材,3は水吸収部(礫材層)、8は地盤土壌、11は筒体部、17は周溝、18は水抜穴、19,20は水抜き用凹溝、21は通水部、22はフイルター、Sは内部空所である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1)は、その筒体部(11)の外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌(8)の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)の上部寄り外周部に、面状透水材(2)の通水部(21)内を通って上昇し該面状透水材(2)の上部寄り位置の外面から放出される水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部(3)を設けている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【請求項2】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1A)として、その筒体部(11)の上部寄り位置の周囲に該筒体部(11)を内外に貫通する多数個の水抜穴(18,18・・)を形成したものを使用し、
マンホール管(1A)は、その筒体部(11)の外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)は、マンホール管筒体部(11)の前記各水抜穴(18,18・・)を被覆する高さまで介在させている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【請求項3】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1B,1C)として、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体(6)と上部筒体(7)とに分割し且つ前記下部筒体(6)の上面又は前記上部筒体(7)の下面に周方向に小間隔をもって筒壁内外に跨がる多数の水抜き用凹溝(19,20)を形成したものを使用し、
前記下部筒体(6)と前記上部筒体(7)とを上下に合体させてなるマンホール管(1B,1C)を、その外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)は、マンホール管(1B,1C)の前記各水抜き用凹溝(19,20)を被覆する高さまで介在させている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【請求項1】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1)は、その筒体部(11)の外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌(8)の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)の上部寄り外周部に、面状透水材(2)の通水部(21)内を通って上昇し該面状透水材(2)の上部寄り位置の外面から放出される水を吸収し得る礫材層からなる水吸収部(3)を設けている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【請求項2】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1A)として、その筒体部(11)の上部寄り位置の周囲に該筒体部(11)を内外に貫通する多数個の水抜穴(18,18・・)を形成したものを使用し、
マンホール管(1A)は、その筒体部(11)の外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)は、マンホール管筒体部(11)の前記各水抜穴(18,18・・)を被覆する高さまで介在させている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【請求項3】
地表面から下向き姿勢で埋設したマンホール管の埋設構造であって、
マンホール管(1B,1C)として、マンホール管の上部寄り位置において下部筒体(6)と上部筒体(7)とに分割し且つ前記下部筒体(6)の上面又は前記上部筒体(7)の下面に周方向に小間隔をもって筒壁内外に跨がる多数の水抜き用凹溝(19,20)を形成したものを使用し、
前記下部筒体(6)と前記上部筒体(7)とを上下に合体させてなるマンホール管(1B,1C)を、その外周面と地盤土壌(8)との間に、内面側に水を上下方向に流通させ得る所定厚さの通水部(21)を有し且つ該通水部(21)の外面に透水性があるとともに地盤土壌の侵入を阻止し得るフイルター(22)を設けてなる面状透水材(2)を介在させた状態で埋設しているとともに、
前記面状透水材(2)は、マンホール管(1B,1C)の前記各水抜き用凹溝(19,20)を被覆する高さまで介在させている、
ことを特徴とするマンホール管の埋設構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−92293(P2007−92293A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279258(P2005−279258)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(502443105)有限会社アスラック (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(502443105)有限会社アスラック (15)
【Fターム(参考)】
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