マンホール蓋の着脱装置、熱交換器及び着脱方法
【課題】装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図る着脱装置を提供する。
【解決手段】この着脱装置は、アーム部材と、回転機構部と、支持部材と、を有する第1のアームと、第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームとを有し、第1と第2の関節部材で、第1の回転アームと支持部材、第1の回転アームと第2の回転アームをそれぞれ接続させる第2のアームと、第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、第2の回転アームと第3の関節部材で接続される装置本体部と、回動部を回動制御し、第1のアームをマンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する。
【解決手段】この着脱装置は、アーム部材と、回転機構部と、支持部材と、を有する第1のアームと、第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームとを有し、第1と第2の関節部材で、第1の回転アームと支持部材、第1の回転アームと第2の回転アームをそれぞれ接続させる第2のアームと、第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、第2の回転アームと第3の関節部材で接続される装置本体部と、回動部を回動制御し、第1のアームをマンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、熱交換器に備えられる内蓋式マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置、熱交換器及び着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器用のマンホール蓋は、熱交換器本体の開口部と、この開口部に取り付けられたフランジのそれぞれに取り付けられた内蓋と外蓋との二重蓋構造のものや内蓋のみの蓋構造からなる内蓋式マンホール蓋がある。従来、この内蓋式マンホール蓋を取り外す際には、熱交換器本体の開口部と、この開口部を開閉するマンホール蓋とがともに楕円形状に構成されているため、クレーンで吊るされた金属棒を90度回すことでマンホール蓋の短径を開口部の長径に一致するように旋回させた後、マンホール蓋を熱交換器の外部に引き出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−25180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱交換器に備えられるマンホール蓋の着脱装置では、この装置自体が大型になったり、着脱作業が煩わしいものとなるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることのできるマンホール蓋の着脱装置、熱交換器及び着脱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明のマンホール蓋の着脱装置は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置において、前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の熱交換器は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を備えるマンホール蓋の着脱装置と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の着脱方法は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱方法において、一端に前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り外し時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に押し込むステップと、前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせるステップと、前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内から抜き出すステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態のマンホールとマンホール蓋の構成を示す正面図である。
【図2】マンホール蓋の構成を示す側面図である。
【図3】マンホール蓋の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】マンホール蓋へのアーム取り付け前における本発明の一実施形態のマンホール蓋の着脱装置の構成を示す正面図である。
【図5】マンホール蓋へのアーム取り付け後における図4のA−A矢視の要部を示す一部断面図である。
【図6】着脱装置のアームの概略構成を示す下面図である。
【図7】同じく着脱装置のアームの概略構成を示す側面図である。
【図8】マンホール蓋取り外し時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図9】マンホール蓋回転時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図10】着脱装置によるマンホール蓋の回転動作を説明するための各工程を示す図である。
【図11】マンホール蓋の回転動作を示す概略斜視図である。
【図12】マンホール蓋に発生する力のモーメントを説明する図である。
【図13】マンホール蓋移動時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図14】着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図15】同じく、着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図16】同じく、着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図17】着脱装置によるマンホール蓋の吊り下げ動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態のマンホール座11とマンホール蓋21の構成を示す正面図である。図2は、マンホール蓋21の構成を示す側面図である。図3は、マンホール蓋の要部の構成を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、熱交換器は、図示しない給水入口と給水出口を有する水室1の側面に開口された穴部10と、この穴部10から突出したマンホール座11とを備える。
【0012】
この穴部10は、例えば円形に構成され、半球状の水室1の球側面に内外を貫通するように開口されている。なお、図1では、便宜上、穴部10の紙面の縦方向を0°の上方向及び180°の下方向として示し、この穴部10の紙面の横方向を90°の右方向及び270°の左方向として示す(以下の図も同様とする)。
【0013】
このマンホール座11は、筒形状からなり、穴部10を覆って水室1の球側面から突出している。このマンホール座11は、楕円形の中空の孔部11aを有する。孔部11aは、0°−180°方向が短径で、90°−270°方向が長径の楕円形に形成されている。この孔部11aは、熱交換器の使用時に蓋部20によって閉塞されている。また、このマンホール座11は、水室1内側及び外側に端面を有し、水室1外側の一端面には、所定間隔隔ててネジ穴が設けられ、このネジ穴には、マンホール蓋21の着脱時に植込みボルト12が螺合している。
【0014】
この蓋部20は、マンホール座11の水室1内側の一端面に取り付けられるマンホール蓋21と、マンホール座11の水室1外側の他端面に当接する左側ヨーク22及び右側ヨーク23と、マンホール蓋21と左側ヨーク22及び右側ヨーク23とをそれぞれ結合する2組のボルト24,26、ナット25,27とを備える。
【0015】
このマンホール蓋21は、マンホール座11の孔部11aより若干大きい相似の楕円形からなり、かつこの楕円形の短径がこの孔部11aの長径より短く構成されている。このマンホール蓋21は、中心軸、短径及び長径を、孔部11aの中心軸、短径及び長径にそれぞれ一致させた位置でマンホール座11の水室1内側の一端面に着脱可能に取り付ける。このマンホール蓋21は、図2及び図3に示すように、水室1外側に突出して孔部11aとほぼ同径の楕円形からなる段部21aと、この段部21aの長径(90°−270°)線上に設けられた2つのフック28,28と、フック28,28間に設けられた係止部29とを有する。装着時に、マンホール蓋21の段部21aは、マンホール座11の孔部11aに嵌め合わされる。
【0016】
図4は、マンホール蓋へのアーム31取り付け前における本発明の一実施形態のマンホール蓋21の着脱装置30の構成を示す正面図である。図5は、マンホール蓋へのアーム31取り付け後における図4のA−A矢視の要部を示す一部断面図である。
図2及び図3に示すように、フック28,28は、段部21aと一体に形成されている。このフック28,28は、逆L字状からなり、短片が段部21aから突出し、長片が段部21aと平行に設けられている。図3及図4に示すように、このフック28,28の長片は、マンホール蓋21の水室1への装着及び固定時に、ボルト24,26を挟むU字状の孔部28a,28aをそれぞれ有する。この孔部28a,28aには、段部21a側に挿入されたボルト24,26の頭部分がそれぞれ係止する。
【0017】
図3〜図5に示すように、係止部29は、マンホール蓋21の段部21aの中央部分に設けられている。この係止部29は、第1のアーム31の挿入が可能なように、上下(0°−180°)方向に所定間隔、例えば第1のアーム31の直径の長さ隔てて線対称に配設される2枚の側板からなる。この係止部29は、側板の同一位置の厚さ方向に、ボルトを互いに貫通させる穴がそれぞれ設けられている。この係止部29の側板間には、マンホール蓋21の着脱(マンホール蓋21への第1のアーム31取り付け)時に第1のアーム31が挿入されて、この穴と第1のアーム31の先端に設けられた穴とを貫通するようにボルト35を挿入して、係止部29と第1のアーム31を連結する。この連結により、マンホール蓋21は、この穴を中心として旋回可能になる。すなわち、ボルト35は、マンホール蓋21を回転可能に保持する回転軸として機能する。
【0018】
図1及び図4に示すように、左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、マンホール蓋21の装着時に、マンホール座11の孔部11aを跨ぐように所定間隔、例えばフック28,28間の長さ隔てて、縦(0°−180°)方向に平行に配置される。左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、厚さ方向にボルト24,26の先端が貫通する穴を有する。ボルト24,26の頭部分がフック28,28に係止された配置で、この穴を貫通したボルト24,26の先端にナット25,27がそれぞれ螺合されてネジ止めされると、左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、マンホール座11の水室1外側の一端面にそれぞれ当接して係止される。また、フック28,28にボルト24,26の頭部分がそれぞれ係止されたマンホール蓋21は、このナット25,27のねじ止めによって、マンホール座11の水室1内側の一端面に当接して段部21aが孔部11aに嵌合し、孔部11aを閉塞することが可能となる。
【0019】
図4及び図5に示すように、マンホール蓋21の着脱時にこのマンホール座11には、着脱装置30が取り付けられる。この着脱装置30は、マンホール蓋21に取り付けられる第1のアーム31と、複数の関節部材32c〜32eを有する第2のアーム32と、関節部材32c〜32eをそれぞれ回動する回動部33と、第2のアーム32と関節部材32eで接続される装置本体部37と、回動部33を回動制御する制御部39と、装置本体部37をマンホール座11に取り付けるための取付部材41とを備える。
【0020】
図6は、着脱装置のアーム31,32の概略構成を示す下面図である。図7は、同じく着脱装置のアーム31,32の概略構成を示す側面図である。
図6及び図7に示すように、第1のアーム31は、マンホール蓋21を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材31aと、アーム部材31aの軸を中心として回転させる回転機構部31bと、アーム部材31aを支持するとともに、回転機構部31bが配設される支持部材31cと、を有する。
【0021】
アーム部材31aの一端は、マンホール蓋21の係止部29に着脱可能に取り付けられるボルト貫通用の穴を有する。また、この第1のアーム31の他端には、アーム部材31aを回転させる回転機構部31bが配設されている。この回転機構部31bは、例えばウォーム軸からなる。そして、このウォーム軸31bは、支持部材31cに取り付けられ、例えばユーザによって右方向又は左方向に回転させることで、アーム部材31aを時計方向又は反時計方向に回転させることができる。また、この第1のアーム31では、マンホール座11の突出方向に移動可能になるように、支持部材31cが第2のアーム32の関節部材32cに取り付けられている。
【0022】
第2のアーム32は、第1及び第2の回転アーム32a,32bと、この第1及び第2の回転アーム32a,32bの両端に設けられた回動可能な関節部材32c〜32eと、を備える。第1の回転アーム32aは、関節部材32cによって、一端が第1のアーム31の支持部材31cと回転可能に接続されている。また、この第1の回転アーム32aは、関節部材32dによって、他端が第2の回転アーム32bの一端と回転可能に接続されている。また、第2の回転アーム32bは、関節部材32eによって、他端が装置本体部37と回転可能に接続されている。
【0023】
図4及び図5に示すように、装置本体部37は、第2のアーム32と関節部材32eで接続されるとともに、内部に回動部33と制御部39が配置される。
回動部33は、第2のアーム32及び装置本体部37内にそれぞれ配置され、図6、図7に示す関節部材32c〜32eをそれぞれ回動する。
【0024】
図8は、マンホール蓋取り外し時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。図9は、マンホール蓋回転時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【0025】
図4及び図5に示した制御部39は、回動部33を回動制御することで、図8及び図9に示すように、第1及び第2のアーム31,32の関節部材32c〜32eを中心にした回転を可能にしている。すなわち、制御部39は、この回転制御によって第1のアーム31を、マンホール座11の長手(紙面の左右)方向及び横(90°−270°)方向に移動させることができる。また、制御部39は、この回転制御において、第1のアーム31がマンホール座11の長手方向と常に水平になるように、各関節部材32c〜32eを回転制御することができる。
【0026】
図4及び図5に示すように、取付部材41は、装置本体部37をマンホール座11に着脱可能に固設させるものであり、平板面を有する略リング状に形成されている。この取付部材41の平板面には、紙面の略270°方向に装置本体部37が取り付けられている。また、この取付部材41は、マンホール座11のネジ穴とそれぞれ一致する位置に設けられ、植込みボルト12が貫通する穴を有する(図1参照)。そして、マンホール蓋21の着脱時に、取付部材41の穴を植込みボルト12に押し込んで、ボルト12にナット50を螺合させることで、装置本体部37をマンホール座11の水室1外側の一端面に固定することができる。
【0027】
また、この着脱装置30は、第1のアーム31を保持する台車34と、装置本体部37を移動調整する移動調整部36と、マンホール蓋21を摺動可能に載置する後述するスライドローラ42(図15、図16参照)とを備える。
【0028】
図5に示すように、台車34は、マンホール蓋21の着脱時に、第1のアーム31をマンホール座11の長手(紙面の左右)方向に移動可能に支持する。この台車34は、第1のアーム31の中心線がマンホール座11の孔部11aの中心線に一致するように、第1のアーム31を位置決めして保持するための支持部材34aを有する。この台車34は、支持部材34aによって第1のアームを支持して、第1のアーム31の移動に伴って、マンホール座11の紙面180°側の孔部11aの内面に沿って移動する。
【0029】
図4及び図5に示すように、移動調整部36は、マンホール蓋21の着脱動作時に装置本体部37を高さ(0°−180°)方向に移動調整するものである。この移動調整部36は、昇降調整用のボルト38を有し、このボルト38に例えばラチェットスパナ51を嵌合させて回すことで、装置本体部37が上記高さ方向の任意の位置になるように昇降調整するものである。これにより、第1のアーム31をマンホール座11の孔部11aの長手方向に平行のまま上下させることができる。
【0030】
スライドローラ42は、回転可能な複数のローラ42aを備える(図14、図15参照)。このスライドローラ42は、マンホール蓋21の挿入又は抜き取り時に、マンホール蓋21の下方、すなわちマンホール座11の孔部11a内の180°側に挿入される。そして、スライドローラ42は、装置本体部37の第1及び第2のアーム31,32の回転制御によって、ローラ42a上に載置されたマンホール蓋21を、水室1内側方向又は水室1外側方向に摺動可能とする。
【0031】
なお、上述した台車34及びスライドローラ42は、必ずしも着脱装置30の必須の構成要素ではなく、補助手段として用いることができるものである。
【0032】
図10は、着脱装置30によるマンホール蓋21の回転動作を説明するための図である。図11は、マンホール蓋の回転動作を示す概略斜視図である。図12は、マンホール蓋21に発生する力のモーメントを説明する図である。図13は、マンホール蓋移動時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
次に、着脱装置30によるマンホール蓋21の取り外し動作を図1、図4、図5、図8〜図13を用いて説明する。
【0033】
マンホール蓋21を取り外す時には、まず図1に示したボルト24を取り除いて、マンホール蓋21に接続されている左側ヨーク22を取り外し、マンホール座11の水室1外側の一端面に設けられたネジ穴に植込みボルト12を螺合させる。次に、着脱装置30の取付部材41の穴を植込みボルト12に押し込んで、ナット50を螺合させることで、装置本体部37をマンホール座11に固定する(図4参照)。この時、アームロックボルト40は、第2のアーム32に取り付けて固定しておき、装置本体部37のマンホール座11への固定後に取り外して第2のアーム32をフリーにする。
【0034】
次に、図8に示すように、第1のアーム31に台車34を取り付ける。さらに、この第1のアーム31の先端をマンホール蓋21の係止部29に取り付け、ボルト35で連結する。そして、装置本体部37のボルト38にラチェットスパナ51を嵌合させて回し、装置本体部37がマンホール座11の長手方向の任意の位置になるように昇降調整する(図5参照)。この調整後に図1に示したボルト26を取り除き、マンホール蓋21に接続されている右側ヨーク23を取り外す。
【0035】
次に、図8、図10(a)に示すように、着脱装置30は、装置本体部37によるアーム31,32の回転制御によって、第1のアーム31を水室1内側の方向に移動させ、マンホール蓋21を水室1内に押し込む。この時、台車34は、第1のアーム31を支持して、この第1のアーム31の移動に伴って、マンホール座11の孔部11aの内面に沿って水室1内側に移動する。この押し込み動作によって、マンホール蓋21は水室1内側に移動してマンホール座11から離反する。そして、この移動が終了すると、第1のアーム31を支持している台車34を取り除く。
【0036】
次に、図10(b)に示すように、ウォーム軸31bにラチェットスパナ51を嵌合させて回し、ウォーム軸31bを紙面手前から左に回転させることで、第1のアーム31を90°時計方向に回転させる。
【0037】
この第1のアーム31の回転に伴い、マンホール蓋21の係止部29の側板は、移動して上下(0°〜180°)方向から左右(90°−270°)方向に線対称に変更される(図10(b)〜図10(c)参照)。この変更によってマンホール蓋21の長径が、上下(0°〜180°)方向となって、マンホール座11の孔部11aの短径と一致するので、マンホール蓋21は係止部29の穴を貫通するボルト35を中心として自重で左旋回可能となる(図9、図10(d)及び図11(a)〜(b)参照)。
【0038】
ここでは、図12に示すように、(a)の状態では、マンホール蓋21の重心からの力のモーメントMは発生しないが、第1のアーム31が90°時計方向に回転させると、(b)の状態となってマンホール蓋21に力のモーメントMが発生する。この力のモーメントMの発生により、マンホール蓋21は、左旋回して回転軸35aとマンホール蓋21の重心とを結ぶ線Lが、引力の働く方向に沿って並ぶようになる(図12(c)参照)。この結果、段部21aの平面がマンホール座11の突出方向と平行になる(図10(e)、図11(c)及び図13参照)。
【0039】
図14〜図16は、着脱装置30によるマンホール蓋21の移動動作を説明するための各工程を示す図である。図17は、着脱装置30によるマンホール蓋21の吊り下げ動作を説明するための図である。
次に、図5に示すように、昇降調整用のボルト38にラチェットスパナ51を嵌合させて回し、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11aから抜き出せる位置(0°方向)になるように、移動調整部36によって装置本体部37を持ち上げる(図16参照)。これにより、装置本体部37は、図13に示すように、0°方向の所定位置に上昇し、マンホール蓋21が制御部39のアーム回転制御によってマンホール座11の孔部11aからの抜き出し可能となる。
【0040】
次に、図14に示すように、マンホール座11の孔部11a内の180°側にスライドローラ42を挿入し、装置本体部37のアーム回転制御によって、このスライドローラ42にマンホール蓋21を載置させる。そして、装置本体部37は、マンホール蓋21をスライドローラ42上を摺動させながら水室1外側に引き出す(図15参照)。また、この時に、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11a内を通り抜け易くように、移動調整部36の昇降を調整しながらマンホール蓋21を引き出すのが好ましい。
【0041】
次に、図15に示すように、このマンホール蓋21が水室1外側に引き出されると、ボルト35を外し、マンホール蓋21の係止部29から第1のアーム31の先端を取り外す。そして、アーム31,32を取り出しの邪魔にならない位置まで回転制御する。さらに、図16に示すように、係止部29の穴に再びボルト35を挿入し、そのボルト35にワイヤ52を掛る。次に、このワイヤ52を例えばクレーンのフック53に引掛けて、クレーンで吊り上げてマンホール蓋21を取り出す。そして、最後にスライドローラ42を取り出して、固定されていた装置本体部37をマンホール座11から取り外して、マンホール蓋21の取り出し作業が終了する。
【0042】
また、マンホール蓋21を熱交換器の水室1に取り付ける時には、上述した工程とは逆に、装置本体部37をマンホール座11に固定するとともに、マンホール座11の孔部11a内にスライドローラ42を挿入し、クレーンで吊り上げたマンホール蓋21をスライドローラ42上に載置する。
【0043】
次に、このマンホール蓋21を第1のアーム31の先端に取り付け、装置本体部37がマンホール座11の長手方向の任意の位置になるように昇降調整する。さらに、移動調整部36によって第1及び第2のアーム31,32を回転制御して、マンホール蓋21を、スライドローラ42上を摺動させて水室1内側に挿入する。そして、この挿入後にスライドローラ42を取り出す。
【0044】
次に、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11aを閉塞する位置になるように、第1のアーム31を下降させる。そして、この降下後にウォーム軸31bを紙面手前から左に回転させることで、第1のアーム31を90°時計方向に回転させる。
【0045】
次に、台車34をマンホール座11の孔部11a内に挿入して第1のアーム31を支持させ、水室1外側に移動させる。この引き戻し動作によって、マンホール蓋21はマンホール座11の水室1内側の端面に当接し、さらに第1のアーム31が引き戻されることによって、マンホール蓋21は右旋回して回転軸35aとマンホール蓋21の重心とを結ぶ線Lがマンホール座11の突出方向と平行になる。この結果、マンホール蓋21の長径及び短径が、マンホール座11の孔部11aの長径及び短径とそれぞれ一致し、段部21aが孔部11aに嵌合してこの孔部11aを閉塞することができる。そして、この閉塞後、台車34をマンホール座11の孔部11aから取り出す。
【0046】
なお、この引き戻し動作を行う前に、マンホール蓋21側の第1のアーム31の一端を、他端よりも若干降下させて、マンホール蓋21に力のモーメントMが発生させて、マンホール蓋21を小角度だけ右旋回させることも可能である。そして、この右旋回後に第1のアーム31を90°時計方向に回転させることで、この小角度を維持させたままマンホール蓋21を回転させることができるので、その後の引き戻し動作によるマンホール蓋21の右旋回動作がさらに容易になり、マンホール蓋21の装着がさらに簡便になる。
【0047】
次に、右側ヨーク23をマンホール蓋21に接続させた後、マンホール蓋21の係止部29との連結を解除した第1のアーム31の先端を取り外す。さらに、左側ヨーク22をマンホール蓋21に接続させ、着脱装置30をマンホール座11から取り外すことで、マンホール蓋21の取り付け作業が終了する。
【0048】
このように、この実施形態の着脱装置30によれば、第1及び第2のアーム31,32と、この第1及び第2のアーム31,32を回転制御する制御部39を備える着脱装置30をマンホール座11に装脱可能に取り付けて、マンホール蓋21をこの着脱装置30によって取り付け又は取り外すので、クレーンで金属棒を吊ることがなくなり、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることができる。
【0049】
また、この実施形態の着脱装置30によれば、第1のアーム31を位置決めして保持する台車34を用いるので、マンホール蓋21の位置とマンホール座11の孔部11aの位置とが一致し、位置決めが容易になるとともに、ずれることなくマンホール蓋21がこの孔部11aに嵌合され、孔部11aを完全に閉塞することができる。
【0050】
また、この実施形態の着脱装置30によれば、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11a内を移動する時には、マンホール蓋21を、スライドローラ42上に載置させて摺動させる。これにより、マンホール蓋の移動が容易になるとともに、マンホール蓋21が孔部11aにぶつかって孔部11aやマンホール蓋21を破損する恐れがなくなり、マンホール蓋21をさらに安全かつ的確に移動することができる。
【0051】
また、この実施形態の着脱装置30は、マンホール座11に取り付け可能な大きさから構成されるので、装置の小型、軽量化が図られ、これによる作業スペースの小規模化が可能となるとともに、着脱装置30の取り付け及びマンホール蓋21の着脱作業の時間を短縮することができる。
【0052】
さらに、この実施形態の着脱装置30によれば、装置が小型、軽量化が図られるので、熱交換器の水室1に常時取り付けておくことも可能である。この場合には、着脱装置30の取り付け、取り外しの手間が省け、さらにマンホール蓋21の着脱作業の時間短縮が図られる。
【0053】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…水室、10…穴部、11…マンホール座、11a…孔部、12…ボルト、20…蓋部、21…マンホール蓋、21a…段部、22…左側ヨーク、23…右側ヨーク、24,26…ボルト、25,27…ナット、28,28…フック、28a,28a…孔部、29…係止部、30…着脱装置、31,32…アーム、31a…アーム部材、31b…回転機構部(ウォーム軸)、31c…支持部材、32a,32b…回転アーム、32c〜32e…関節部材、33…回動部、34…台車、34a…支持部材、35,38…ボルト、35a…回転軸、36…移動調整部、37…装置本体部、39…制御部、40…アームロックボルト、41…取付部材、42…スライドローラ、42a…ローラ、50…ナット、51…ラチェットスパナ、52…ワイヤ、53…フック、L…回転軸とマンホール蓋の重心とを結ぶ線、M…力のモーメント。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、熱交換器に備えられる内蓋式マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置、熱交換器及び着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器用のマンホール蓋は、熱交換器本体の開口部と、この開口部に取り付けられたフランジのそれぞれに取り付けられた内蓋と外蓋との二重蓋構造のものや内蓋のみの蓋構造からなる内蓋式マンホール蓋がある。従来、この内蓋式マンホール蓋を取り外す際には、熱交換器本体の開口部と、この開口部を開閉するマンホール蓋とがともに楕円形状に構成されているため、クレーンで吊るされた金属棒を90度回すことでマンホール蓋の短径を開口部の長径に一致するように旋回させた後、マンホール蓋を熱交換器の外部に引き出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−25180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱交換器に備えられるマンホール蓋の着脱装置では、この装置自体が大型になったり、着脱作業が煩わしいものとなるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることのできるマンホール蓋の着脱装置、熱交換器及び着脱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明のマンホール蓋の着脱装置は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置において、前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の熱交換器は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を備えるマンホール蓋の着脱装置と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明の着脱方法は、側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱方法において、一端に前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り外し時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に押し込むステップと、前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせるステップと、前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内から抜き出すステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態のマンホールとマンホール蓋の構成を示す正面図である。
【図2】マンホール蓋の構成を示す側面図である。
【図3】マンホール蓋の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】マンホール蓋へのアーム取り付け前における本発明の一実施形態のマンホール蓋の着脱装置の構成を示す正面図である。
【図5】マンホール蓋へのアーム取り付け後における図4のA−A矢視の要部を示す一部断面図である。
【図6】着脱装置のアームの概略構成を示す下面図である。
【図7】同じく着脱装置のアームの概略構成を示す側面図である。
【図8】マンホール蓋取り外し時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図9】マンホール蓋回転時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図10】着脱装置によるマンホール蓋の回転動作を説明するための各工程を示す図である。
【図11】マンホール蓋の回転動作を示す概略斜視図である。
【図12】マンホール蓋に発生する力のモーメントを説明する図である。
【図13】マンホール蓋移動時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【図14】着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図15】同じく、着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図16】同じく、着脱装置によるマンホール蓋の移動動作を説明するための工程を示す図である。
【図17】着脱装置によるマンホール蓋の吊り下げ動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態のマンホール座11とマンホール蓋21の構成を示す正面図である。図2は、マンホール蓋21の構成を示す側面図である。図3は、マンホール蓋の要部の構成を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、熱交換器は、図示しない給水入口と給水出口を有する水室1の側面に開口された穴部10と、この穴部10から突出したマンホール座11とを備える。
【0012】
この穴部10は、例えば円形に構成され、半球状の水室1の球側面に内外を貫通するように開口されている。なお、図1では、便宜上、穴部10の紙面の縦方向を0°の上方向及び180°の下方向として示し、この穴部10の紙面の横方向を90°の右方向及び270°の左方向として示す(以下の図も同様とする)。
【0013】
このマンホール座11は、筒形状からなり、穴部10を覆って水室1の球側面から突出している。このマンホール座11は、楕円形の中空の孔部11aを有する。孔部11aは、0°−180°方向が短径で、90°−270°方向が長径の楕円形に形成されている。この孔部11aは、熱交換器の使用時に蓋部20によって閉塞されている。また、このマンホール座11は、水室1内側及び外側に端面を有し、水室1外側の一端面には、所定間隔隔ててネジ穴が設けられ、このネジ穴には、マンホール蓋21の着脱時に植込みボルト12が螺合している。
【0014】
この蓋部20は、マンホール座11の水室1内側の一端面に取り付けられるマンホール蓋21と、マンホール座11の水室1外側の他端面に当接する左側ヨーク22及び右側ヨーク23と、マンホール蓋21と左側ヨーク22及び右側ヨーク23とをそれぞれ結合する2組のボルト24,26、ナット25,27とを備える。
【0015】
このマンホール蓋21は、マンホール座11の孔部11aより若干大きい相似の楕円形からなり、かつこの楕円形の短径がこの孔部11aの長径より短く構成されている。このマンホール蓋21は、中心軸、短径及び長径を、孔部11aの中心軸、短径及び長径にそれぞれ一致させた位置でマンホール座11の水室1内側の一端面に着脱可能に取り付ける。このマンホール蓋21は、図2及び図3に示すように、水室1外側に突出して孔部11aとほぼ同径の楕円形からなる段部21aと、この段部21aの長径(90°−270°)線上に設けられた2つのフック28,28と、フック28,28間に設けられた係止部29とを有する。装着時に、マンホール蓋21の段部21aは、マンホール座11の孔部11aに嵌め合わされる。
【0016】
図4は、マンホール蓋へのアーム31取り付け前における本発明の一実施形態のマンホール蓋21の着脱装置30の構成を示す正面図である。図5は、マンホール蓋へのアーム31取り付け後における図4のA−A矢視の要部を示す一部断面図である。
図2及び図3に示すように、フック28,28は、段部21aと一体に形成されている。このフック28,28は、逆L字状からなり、短片が段部21aから突出し、長片が段部21aと平行に設けられている。図3及図4に示すように、このフック28,28の長片は、マンホール蓋21の水室1への装着及び固定時に、ボルト24,26を挟むU字状の孔部28a,28aをそれぞれ有する。この孔部28a,28aには、段部21a側に挿入されたボルト24,26の頭部分がそれぞれ係止する。
【0017】
図3〜図5に示すように、係止部29は、マンホール蓋21の段部21aの中央部分に設けられている。この係止部29は、第1のアーム31の挿入が可能なように、上下(0°−180°)方向に所定間隔、例えば第1のアーム31の直径の長さ隔てて線対称に配設される2枚の側板からなる。この係止部29は、側板の同一位置の厚さ方向に、ボルトを互いに貫通させる穴がそれぞれ設けられている。この係止部29の側板間には、マンホール蓋21の着脱(マンホール蓋21への第1のアーム31取り付け)時に第1のアーム31が挿入されて、この穴と第1のアーム31の先端に設けられた穴とを貫通するようにボルト35を挿入して、係止部29と第1のアーム31を連結する。この連結により、マンホール蓋21は、この穴を中心として旋回可能になる。すなわち、ボルト35は、マンホール蓋21を回転可能に保持する回転軸として機能する。
【0018】
図1及び図4に示すように、左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、マンホール蓋21の装着時に、マンホール座11の孔部11aを跨ぐように所定間隔、例えばフック28,28間の長さ隔てて、縦(0°−180°)方向に平行に配置される。左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、厚さ方向にボルト24,26の先端が貫通する穴を有する。ボルト24,26の頭部分がフック28,28に係止された配置で、この穴を貫通したボルト24,26の先端にナット25,27がそれぞれ螺合されてネジ止めされると、左側ヨーク22及び右側ヨーク23は、マンホール座11の水室1外側の一端面にそれぞれ当接して係止される。また、フック28,28にボルト24,26の頭部分がそれぞれ係止されたマンホール蓋21は、このナット25,27のねじ止めによって、マンホール座11の水室1内側の一端面に当接して段部21aが孔部11aに嵌合し、孔部11aを閉塞することが可能となる。
【0019】
図4及び図5に示すように、マンホール蓋21の着脱時にこのマンホール座11には、着脱装置30が取り付けられる。この着脱装置30は、マンホール蓋21に取り付けられる第1のアーム31と、複数の関節部材32c〜32eを有する第2のアーム32と、関節部材32c〜32eをそれぞれ回動する回動部33と、第2のアーム32と関節部材32eで接続される装置本体部37と、回動部33を回動制御する制御部39と、装置本体部37をマンホール座11に取り付けるための取付部材41とを備える。
【0020】
図6は、着脱装置のアーム31,32の概略構成を示す下面図である。図7は、同じく着脱装置のアーム31,32の概略構成を示す側面図である。
図6及び図7に示すように、第1のアーム31は、マンホール蓋21を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材31aと、アーム部材31aの軸を中心として回転させる回転機構部31bと、アーム部材31aを支持するとともに、回転機構部31bが配設される支持部材31cと、を有する。
【0021】
アーム部材31aの一端は、マンホール蓋21の係止部29に着脱可能に取り付けられるボルト貫通用の穴を有する。また、この第1のアーム31の他端には、アーム部材31aを回転させる回転機構部31bが配設されている。この回転機構部31bは、例えばウォーム軸からなる。そして、このウォーム軸31bは、支持部材31cに取り付けられ、例えばユーザによって右方向又は左方向に回転させることで、アーム部材31aを時計方向又は反時計方向に回転させることができる。また、この第1のアーム31では、マンホール座11の突出方向に移動可能になるように、支持部材31cが第2のアーム32の関節部材32cに取り付けられている。
【0022】
第2のアーム32は、第1及び第2の回転アーム32a,32bと、この第1及び第2の回転アーム32a,32bの両端に設けられた回動可能な関節部材32c〜32eと、を備える。第1の回転アーム32aは、関節部材32cによって、一端が第1のアーム31の支持部材31cと回転可能に接続されている。また、この第1の回転アーム32aは、関節部材32dによって、他端が第2の回転アーム32bの一端と回転可能に接続されている。また、第2の回転アーム32bは、関節部材32eによって、他端が装置本体部37と回転可能に接続されている。
【0023】
図4及び図5に示すように、装置本体部37は、第2のアーム32と関節部材32eで接続されるとともに、内部に回動部33と制御部39が配置される。
回動部33は、第2のアーム32及び装置本体部37内にそれぞれ配置され、図6、図7に示す関節部材32c〜32eをそれぞれ回動する。
【0024】
図8は、マンホール蓋取り外し時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。図9は、マンホール蓋回転時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
【0025】
図4及び図5に示した制御部39は、回動部33を回動制御することで、図8及び図9に示すように、第1及び第2のアーム31,32の関節部材32c〜32eを中心にした回転を可能にしている。すなわち、制御部39は、この回転制御によって第1のアーム31を、マンホール座11の長手(紙面の左右)方向及び横(90°−270°)方向に移動させることができる。また、制御部39は、この回転制御において、第1のアーム31がマンホール座11の長手方向と常に水平になるように、各関節部材32c〜32eを回転制御することができる。
【0026】
図4及び図5に示すように、取付部材41は、装置本体部37をマンホール座11に着脱可能に固設させるものであり、平板面を有する略リング状に形成されている。この取付部材41の平板面には、紙面の略270°方向に装置本体部37が取り付けられている。また、この取付部材41は、マンホール座11のネジ穴とそれぞれ一致する位置に設けられ、植込みボルト12が貫通する穴を有する(図1参照)。そして、マンホール蓋21の着脱時に、取付部材41の穴を植込みボルト12に押し込んで、ボルト12にナット50を螺合させることで、装置本体部37をマンホール座11の水室1外側の一端面に固定することができる。
【0027】
また、この着脱装置30は、第1のアーム31を保持する台車34と、装置本体部37を移動調整する移動調整部36と、マンホール蓋21を摺動可能に載置する後述するスライドローラ42(図15、図16参照)とを備える。
【0028】
図5に示すように、台車34は、マンホール蓋21の着脱時に、第1のアーム31をマンホール座11の長手(紙面の左右)方向に移動可能に支持する。この台車34は、第1のアーム31の中心線がマンホール座11の孔部11aの中心線に一致するように、第1のアーム31を位置決めして保持するための支持部材34aを有する。この台車34は、支持部材34aによって第1のアームを支持して、第1のアーム31の移動に伴って、マンホール座11の紙面180°側の孔部11aの内面に沿って移動する。
【0029】
図4及び図5に示すように、移動調整部36は、マンホール蓋21の着脱動作時に装置本体部37を高さ(0°−180°)方向に移動調整するものである。この移動調整部36は、昇降調整用のボルト38を有し、このボルト38に例えばラチェットスパナ51を嵌合させて回すことで、装置本体部37が上記高さ方向の任意の位置になるように昇降調整するものである。これにより、第1のアーム31をマンホール座11の孔部11aの長手方向に平行のまま上下させることができる。
【0030】
スライドローラ42は、回転可能な複数のローラ42aを備える(図14、図15参照)。このスライドローラ42は、マンホール蓋21の挿入又は抜き取り時に、マンホール蓋21の下方、すなわちマンホール座11の孔部11a内の180°側に挿入される。そして、スライドローラ42は、装置本体部37の第1及び第2のアーム31,32の回転制御によって、ローラ42a上に載置されたマンホール蓋21を、水室1内側方向又は水室1外側方向に摺動可能とする。
【0031】
なお、上述した台車34及びスライドローラ42は、必ずしも着脱装置30の必須の構成要素ではなく、補助手段として用いることができるものである。
【0032】
図10は、着脱装置30によるマンホール蓋21の回転動作を説明するための図である。図11は、マンホール蓋の回転動作を示す概略斜視図である。図12は、マンホール蓋21に発生する力のモーメントを説明する図である。図13は、マンホール蓋移動時における図4のB−B矢視の要部を示す一部断面図である。
次に、着脱装置30によるマンホール蓋21の取り外し動作を図1、図4、図5、図8〜図13を用いて説明する。
【0033】
マンホール蓋21を取り外す時には、まず図1に示したボルト24を取り除いて、マンホール蓋21に接続されている左側ヨーク22を取り外し、マンホール座11の水室1外側の一端面に設けられたネジ穴に植込みボルト12を螺合させる。次に、着脱装置30の取付部材41の穴を植込みボルト12に押し込んで、ナット50を螺合させることで、装置本体部37をマンホール座11に固定する(図4参照)。この時、アームロックボルト40は、第2のアーム32に取り付けて固定しておき、装置本体部37のマンホール座11への固定後に取り外して第2のアーム32をフリーにする。
【0034】
次に、図8に示すように、第1のアーム31に台車34を取り付ける。さらに、この第1のアーム31の先端をマンホール蓋21の係止部29に取り付け、ボルト35で連結する。そして、装置本体部37のボルト38にラチェットスパナ51を嵌合させて回し、装置本体部37がマンホール座11の長手方向の任意の位置になるように昇降調整する(図5参照)。この調整後に図1に示したボルト26を取り除き、マンホール蓋21に接続されている右側ヨーク23を取り外す。
【0035】
次に、図8、図10(a)に示すように、着脱装置30は、装置本体部37によるアーム31,32の回転制御によって、第1のアーム31を水室1内側の方向に移動させ、マンホール蓋21を水室1内に押し込む。この時、台車34は、第1のアーム31を支持して、この第1のアーム31の移動に伴って、マンホール座11の孔部11aの内面に沿って水室1内側に移動する。この押し込み動作によって、マンホール蓋21は水室1内側に移動してマンホール座11から離反する。そして、この移動が終了すると、第1のアーム31を支持している台車34を取り除く。
【0036】
次に、図10(b)に示すように、ウォーム軸31bにラチェットスパナ51を嵌合させて回し、ウォーム軸31bを紙面手前から左に回転させることで、第1のアーム31を90°時計方向に回転させる。
【0037】
この第1のアーム31の回転に伴い、マンホール蓋21の係止部29の側板は、移動して上下(0°〜180°)方向から左右(90°−270°)方向に線対称に変更される(図10(b)〜図10(c)参照)。この変更によってマンホール蓋21の長径が、上下(0°〜180°)方向となって、マンホール座11の孔部11aの短径と一致するので、マンホール蓋21は係止部29の穴を貫通するボルト35を中心として自重で左旋回可能となる(図9、図10(d)及び図11(a)〜(b)参照)。
【0038】
ここでは、図12に示すように、(a)の状態では、マンホール蓋21の重心からの力のモーメントMは発生しないが、第1のアーム31が90°時計方向に回転させると、(b)の状態となってマンホール蓋21に力のモーメントMが発生する。この力のモーメントMの発生により、マンホール蓋21は、左旋回して回転軸35aとマンホール蓋21の重心とを結ぶ線Lが、引力の働く方向に沿って並ぶようになる(図12(c)参照)。この結果、段部21aの平面がマンホール座11の突出方向と平行になる(図10(e)、図11(c)及び図13参照)。
【0039】
図14〜図16は、着脱装置30によるマンホール蓋21の移動動作を説明するための各工程を示す図である。図17は、着脱装置30によるマンホール蓋21の吊り下げ動作を説明するための図である。
次に、図5に示すように、昇降調整用のボルト38にラチェットスパナ51を嵌合させて回し、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11aから抜き出せる位置(0°方向)になるように、移動調整部36によって装置本体部37を持ち上げる(図16参照)。これにより、装置本体部37は、図13に示すように、0°方向の所定位置に上昇し、マンホール蓋21が制御部39のアーム回転制御によってマンホール座11の孔部11aからの抜き出し可能となる。
【0040】
次に、図14に示すように、マンホール座11の孔部11a内の180°側にスライドローラ42を挿入し、装置本体部37のアーム回転制御によって、このスライドローラ42にマンホール蓋21を載置させる。そして、装置本体部37は、マンホール蓋21をスライドローラ42上を摺動させながら水室1外側に引き出す(図15参照)。また、この時に、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11a内を通り抜け易くように、移動調整部36の昇降を調整しながらマンホール蓋21を引き出すのが好ましい。
【0041】
次に、図15に示すように、このマンホール蓋21が水室1外側に引き出されると、ボルト35を外し、マンホール蓋21の係止部29から第1のアーム31の先端を取り外す。そして、アーム31,32を取り出しの邪魔にならない位置まで回転制御する。さらに、図16に示すように、係止部29の穴に再びボルト35を挿入し、そのボルト35にワイヤ52を掛る。次に、このワイヤ52を例えばクレーンのフック53に引掛けて、クレーンで吊り上げてマンホール蓋21を取り出す。そして、最後にスライドローラ42を取り出して、固定されていた装置本体部37をマンホール座11から取り外して、マンホール蓋21の取り出し作業が終了する。
【0042】
また、マンホール蓋21を熱交換器の水室1に取り付ける時には、上述した工程とは逆に、装置本体部37をマンホール座11に固定するとともに、マンホール座11の孔部11a内にスライドローラ42を挿入し、クレーンで吊り上げたマンホール蓋21をスライドローラ42上に載置する。
【0043】
次に、このマンホール蓋21を第1のアーム31の先端に取り付け、装置本体部37がマンホール座11の長手方向の任意の位置になるように昇降調整する。さらに、移動調整部36によって第1及び第2のアーム31,32を回転制御して、マンホール蓋21を、スライドローラ42上を摺動させて水室1内側に挿入する。そして、この挿入後にスライドローラ42を取り出す。
【0044】
次に、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11aを閉塞する位置になるように、第1のアーム31を下降させる。そして、この降下後にウォーム軸31bを紙面手前から左に回転させることで、第1のアーム31を90°時計方向に回転させる。
【0045】
次に、台車34をマンホール座11の孔部11a内に挿入して第1のアーム31を支持させ、水室1外側に移動させる。この引き戻し動作によって、マンホール蓋21はマンホール座11の水室1内側の端面に当接し、さらに第1のアーム31が引き戻されることによって、マンホール蓋21は右旋回して回転軸35aとマンホール蓋21の重心とを結ぶ線Lがマンホール座11の突出方向と平行になる。この結果、マンホール蓋21の長径及び短径が、マンホール座11の孔部11aの長径及び短径とそれぞれ一致し、段部21aが孔部11aに嵌合してこの孔部11aを閉塞することができる。そして、この閉塞後、台車34をマンホール座11の孔部11aから取り出す。
【0046】
なお、この引き戻し動作を行う前に、マンホール蓋21側の第1のアーム31の一端を、他端よりも若干降下させて、マンホール蓋21に力のモーメントMが発生させて、マンホール蓋21を小角度だけ右旋回させることも可能である。そして、この右旋回後に第1のアーム31を90°時計方向に回転させることで、この小角度を維持させたままマンホール蓋21を回転させることができるので、その後の引き戻し動作によるマンホール蓋21の右旋回動作がさらに容易になり、マンホール蓋21の装着がさらに簡便になる。
【0047】
次に、右側ヨーク23をマンホール蓋21に接続させた後、マンホール蓋21の係止部29との連結を解除した第1のアーム31の先端を取り外す。さらに、左側ヨーク22をマンホール蓋21に接続させ、着脱装置30をマンホール座11から取り外すことで、マンホール蓋21の取り付け作業が終了する。
【0048】
このように、この実施形態の着脱装置30によれば、第1及び第2のアーム31,32と、この第1及び第2のアーム31,32を回転制御する制御部39を備える着脱装置30をマンホール座11に装脱可能に取り付けて、マンホール蓋21をこの着脱装置30によって取り付け又は取り外すので、クレーンで金属棒を吊ることがなくなり、装置の小型化、マンホール蓋の着脱作業の簡便化を図ることができる。
【0049】
また、この実施形態の着脱装置30によれば、第1のアーム31を位置決めして保持する台車34を用いるので、マンホール蓋21の位置とマンホール座11の孔部11aの位置とが一致し、位置決めが容易になるとともに、ずれることなくマンホール蓋21がこの孔部11aに嵌合され、孔部11aを完全に閉塞することができる。
【0050】
また、この実施形態の着脱装置30によれば、マンホール蓋21がマンホール座11の孔部11a内を移動する時には、マンホール蓋21を、スライドローラ42上に載置させて摺動させる。これにより、マンホール蓋の移動が容易になるとともに、マンホール蓋21が孔部11aにぶつかって孔部11aやマンホール蓋21を破損する恐れがなくなり、マンホール蓋21をさらに安全かつ的確に移動することができる。
【0051】
また、この実施形態の着脱装置30は、マンホール座11に取り付け可能な大きさから構成されるので、装置の小型、軽量化が図られ、これによる作業スペースの小規模化が可能となるとともに、着脱装置30の取り付け及びマンホール蓋21の着脱作業の時間を短縮することができる。
【0052】
さらに、この実施形態の着脱装置30によれば、装置が小型、軽量化が図られるので、熱交換器の水室1に常時取り付けておくことも可能である。この場合には、着脱装置30の取り付け、取り外しの手間が省け、さらにマンホール蓋21の着脱作業の時間短縮が図られる。
【0053】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…水室、10…穴部、11…マンホール座、11a…孔部、12…ボルト、20…蓋部、21…マンホール蓋、21a…段部、22…左側ヨーク、23…右側ヨーク、24,26…ボルト、25,27…ナット、28,28…フック、28a,28a…孔部、29…係止部、30…着脱装置、31,32…アーム、31a…アーム部材、31b…回転機構部(ウォーム軸)、31c…支持部材、32a,32b…回転アーム、32c〜32e…関節部材、33…回動部、34…台車、34a…支持部材、35,38…ボルト、35a…回転軸、36…移動調整部、37…装置本体部、39…制御部、40…アームロックボルト、41…取付部材、42…スライドローラ、42a…ローラ、50…ナット、51…ラチェットスパナ、52…ワイヤ、53…フック、L…回転軸とマンホール蓋の重心とを結ぶ線、M…力のモーメント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置において、
前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、
回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、
前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、
前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、
前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、
を具備することを特徴とするマンホール蓋の着脱装置。
【請求項2】
前記装置本体部は、前記熱交換器から突出した前記マンホール座の端面に着脱可能に配設される
ことを特徴とする請求項1記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項3】
前記アーム部材の一端は、前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有し、
前記マンホール蓋の取り外し時に、前記回転機構部が前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせる
ことを特徴とする請求項1または2記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項4】
前記マンホール蓋の取り付け時に、前記回転機構部が前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントが発生しないようにする
ことを特徴とする請求項3記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項5】
前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向に移動可能に支持する支持部
をさらに具備ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記第1のアームを支持して前記第1のアームの移動に伴って、前記マンホール座の孔部内面に沿って移動する台車からなる
ことを特徴とする請求項5記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項7】
前記マンホール座の孔部内に配置され、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようになった際の前記マンホール蓋を摺動可能に載置させる摺動部を
さらに具備することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項8】
前記摺動部は、前記載置されたマンホール蓋を、前記マンホール座の突出方向に摺動させる複数のローラを有する
ことを特徴とする請求項7記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項9】
前記装置本体部を前記マンホール座の突出方向と直交する鉛直方向に移動調整する移動調整部を
さらに具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項10】
側面に形成された穴部と、
前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、
前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を備えるマンホール蓋の着脱装置と、
を具備することを特徴とする熱交換器。
【請求項11】
側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱方法において、
一端に前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り外し時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に押し込むステップと、
前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせるステップと、
前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内から抜き出すステップと、
を含むことを特徴とする着脱方法。
【請求項12】
前記着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り付け時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に挿入するステップと、
前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントが発生しないようにさせるステップと、
前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記マンホール座に嵌合させて前記穴部を閉塞させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の着脱方法。
【請求項1】
側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱装置において、
前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、
回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、
前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、
前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、
前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、
を具備することを特徴とするマンホール蓋の着脱装置。
【請求項2】
前記装置本体部は、前記熱交換器から突出した前記マンホール座の端面に着脱可能に配設される
ことを特徴とする請求項1記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項3】
前記アーム部材の一端は、前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有し、
前記マンホール蓋の取り外し時に、前記回転機構部が前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせる
ことを特徴とする請求項1または2記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項4】
前記マンホール蓋の取り付け時に、前記回転機構部が前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントが発生しないようにする
ことを特徴とする請求項3記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項5】
前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向に移動可能に支持する支持部
をさらに具備ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記第1のアームを支持して前記第1のアームの移動に伴って、前記マンホール座の孔部内面に沿って移動する台車からなる
ことを特徴とする請求項5記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項7】
前記マンホール座の孔部内に配置され、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようになった際の前記マンホール蓋を摺動可能に載置させる摺動部を
さらに具備することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項8】
前記摺動部は、前記載置されたマンホール蓋を、前記マンホール座の突出方向に摺動させる複数のローラを有する
ことを特徴とする請求項7記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項9】
前記装置本体部を前記マンホール座の突出方向と直交する鉛直方向に移動調整する移動調整部を
さらに具備することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のマンホール蓋の着脱装置。
【請求項10】
側面に形成された穴部と、
前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、
前記マンホール蓋を着脱可能に保持する一端を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームを少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を備えるマンホール蓋の着脱装置と、
を具備することを特徴とする熱交換器。
【請求項11】
側面に形成された穴部と、前記穴部から突出し、楕円形の中空の孔部を有する筒形状のマンホール座と、内側から前記孔部を着脱可能に閉塞する楕円形のマンホール蓋と、を備える熱交換器の前記マンホール蓋を着脱させるマンホール蓋の着脱方法において、
一端に前記マンホール蓋の重心と離間して配置され、このマンホール蓋を回転可能に保持する回転軸を有する棒形状のアーム部材と、前記アーム部材の軸を中心として回転させる回転機構部と、前記アーム部材を支持するとともに、前記回転機構部が配設される支持部材と、を有する第1のアームと、回動可能な第1〜第3の関節部材と、第1及び第2の回転アームと、を少なくとも有し、前記第1の回転アームの一端と前記支持部材が前記第1の関節部材で接続され、前記第1の回転アームの他端と前記第2の回転アームの一端が前記第2の関節部材で接続される第2のアームと、前記第1〜第3の関節部材を回動する回動部と、前記第2の回転アームの他端と前記第3の関節部材で接続される装置本体部と、前記回動部を回動制御し、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前後に移動させる制御部と、を具備する着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り外し時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に押し込むステップと、
前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントを発生させ、前記回転軸と前記マンホール蓋の重心とを結ぶ線が、引力の働く方向に沿って並ぶようにさせるステップと、
前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内から抜き出すステップと、
を含むことを特徴とする着脱方法。
【請求項12】
前記着脱装置のうち前記制御部が、前記マンホール蓋の取り付け時に、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の前に移動させ、前記マンホール蓋を前記熱交換器内に挿入するステップと、
前記回転機構部が、前記アーム部材の軸を中心として回転させて、前記マンホール蓋の自重による力のモーメントが発生しないようにさせるステップと、
前記制御部が、前記第1のアームを前記マンホール座の突出方向の後に移動させ、前記マンホール蓋を前記マンホール座に嵌合させて前記穴部を閉塞させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の着脱方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−144889(P2012−144889A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3247(P2011−3247)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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