説明

マンホール蓋開閉装置

【課題】マンホール蓋を持ち上げた状態でマンホールの箇所から移動させることができると共に、再度、マンホール蓋をマンホールの箇所まで戻し、位置合わせを行う一連のマンホール蓋開閉作業を安全かつ高度な技量なしに行うことができるマンホール蓋開閉装置を提供する。
【解決手段】地上Gに載置した基部フレーム2に旋回フレーム3の基端を枢着し、旋回フレーム3の先端は、地上Gに支持載置された状態とし、旋回フレーム3の基部には、操作ワイヤ巻取用のウインチ34を設け、ウインチ34に巻取自在の操作ワイヤWは、旋回フレーム方向に伸延し、中途より下方に屈曲させて吊下状態とし、操作ワイヤWの先端に、マンホール蓋Mの係止孔に係合自在のフック51,51を設け、基部フレーム2と旋回フレーム3との枢着部4には、旋回フレーム3を旋回作動するための旋回操作機構を連設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール蓋を開閉するためのマンホール蓋開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、路面に設置してあるマンホール蓋を作業者が専用工具を用いて人力により設置箇所から取り外し、持ち上げ、移動させる一連の作業を行っている。この一連の作業は、作業者にとって、腰を痛めたり、蓋の落下等により手や足を挟む危険な作業をともなうため、安全に作業を行える装置が望まれていた。
【0003】
そこで、上記一連の作業を行えるマンホール蓋の開閉装置が考えられている。特許文献1のマンホール蓋開閉装置は、下部に移動用キャスタを備えたフレームよりなる本体ベースと、本体ベースに一体に連結したマンホール蓋を把持昇降するリフト部材と、本体ベースの後部に取り付けた昇降操作部材とから構成されている。
【0004】
マンホール蓋開閉装置を用いて、マンホール蓋の開閉を行う手順としては、本体ベースをマンホール蓋の上方に運搬し、この本体ベースに連動連結されているリフト部材をマンホール蓋と連繋した後、昇降操作部材を操作することによりリフト部材を介してマンホール蓋を持ち上げ、このリフト部材と一体の本体ベースをマンホール周辺に移動することで、マンホール蓋をマンホールの箇所から外して、その周辺の別の場所に移動することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−95411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のマンホール蓋開閉装置では、上述したようにマンホール蓋をマンホールの箇所からマンホール周辺の別の場所に移動したのち、作業者がマンホール内に侵入して所定の作業を行うこととなるため、マンホール内での作業終了後には作業者は一旦地上に這い上がり、再度、マンホール蓋をマンホールの箇所に戻すこととなる。すなわち、マンホール蓋を把持して一体化した本体ベースを元のマンホールの箇所に戻すことになるが、このとき、マンホール蓋の開口部の真上にマンホール蓋が位置するように、本体ベースを移動して位置合わせを行う必要があり、作業員にとって、非常に重いマンホール蓋を吊り下げた状態で本体ベースを移動させながら位置を合わせる作業は危険をともなうと共に、位置合わせのための高度な技量を必要としていた。
【0007】
そこで、本発明は、マンホール蓋を持ち上げた状態でマンホールの箇所から移動させることができると共に、再度、マンホール蓋をマンホールの箇所まで戻し、位置合わせを行う一連のマンホール蓋開閉作業を安全かつ高度な技量なしに行うことができるマンホール蓋開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、地上に載置した基部フレームに旋回フレームの基端を枢着し、前記旋回フレームの先端は、地上に支持載置された状態とし、前記旋回フレームの基部には、操作ワイヤ巻取用のウインチを設け、前記ウインチに巻取自在の操作ワイヤは、前記旋回フレーム方向に伸延し、中途より下方に屈曲させて吊下状態とし、前記操作ワイヤの先端に、マンホール蓋の係止孔に係合自在のフックを設け、前記基部フレームと前記旋回フレームとの枢着部には、前記旋回フレームを旋回作動するための旋回操作機構を連設したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマンホール蓋開閉装置において、前記旋回操作機構は、操作ハンドルを有し、前記基部フレームに配設したウォームギヤ装置と、前記ウォームギヤ装置のウォームギヤに旋回自在に連動連結した旋回フレームとより構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のマンホール蓋開閉装置において、前記旋回フレームは、前記基部フレームとの枢着部を配設した基体フレームを中心に一定角度で拡開した左右フレーム体と、その先端に架設した先端フレーム体とにより略三角形状に構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置において、前記操作ワイヤの吊下先端部には、左右のフックを保持するためのフック掛けロッドと前記フック掛けロッドの略中央に交差して連設したスタビライザとを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置において、ウォームギヤ装置のウォームギヤの周辺方向には、ウォームギヤの歯間に傾倒自在のストッパ片が係合することによりウォームギヤの回転を停止するように構成したギヤストッパ装置を配設し、前記ギヤストッパ装置は、基部フレームの下部に起伏自在に枢支した作業台の起立操作によって、ギヤ回転停止作動を行うように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置において、前記旋回フレーム先端の下部にはキャスタを設け、
前記キャスタは、別途マンホールの周辺に敷設した半円弧状の受板上を旋回走行可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、地上に載置した基部フレームに旋回フレームの基端を枢着し、前記旋回フレームの先端は、地上に支持載置された状態とし、前記旋回フレームの基部には、操作ワイヤ巻取用のウインチを設け、前記ウインチに巻取自在の操作ワイヤは、前記旋回フレーム方向に伸延し、中途より下方に屈曲させて吊下状態とし、前記操作ワイヤの先端に、マンホール蓋の係止孔に係合自在のフックを設け、前記基部フレームと前記旋回フレームとの枢着部には、前記旋回フレームを旋回作動するための旋回操作機構を連設している。
このように構成することにより、マンホール蓋の係止孔に操作ワイヤ先端のフックを係合し、操作ワイヤをウインチで巻き取ることで、マンホール蓋を上方に吊上げられ、次いで、この吊下状態のマンホール蓋が旋回フレームの旋回作動により、マンホールの箇所から離間した別の位置へ安全に移動することができる。また、逆の手順を行うことで、吊下げたマンホール蓋を旋回フレームの逆の旋回作動により、マンホール蓋を離間した別の位置からマンホールの箇所へ移動して、マンホールの開口部にマンホール蓋を位置合わせして、容易に閉蓋することができる。作業者にとっては、これらの一連の作業を基部フレームを移動することなく、旋回フレームの旋回操作のみでマンホール蓋の移動が行え、旋回量を予め設定しておけばマンホール蓋をマンホールの位置に合わせる作業において旋回量を基準にして元に戻せばマンホールの真上にマンホール蓋を位置合わせすることができ、しかも、ウインチにより滑車の原理を応用して少ない労力で重量物のマンホール蓋の持ち上げを行うことができ、作業者にとっては安全で、かつ、高度な技量なしにマンホール蓋の位置合わせを容易にした開閉作業を行うことができる効果がある。
【0015】
本発明の請求項2に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、前記旋回操作機構は、操作ハンドルを有し、前記基部フレームに配設したウォームギヤ装置と、前記ウォームギヤ装置のウォームギヤに旋回自在に連動連結した旋回フレームとより構成している。
このように構成することにより、操作ハンドルを操作することで、ウォームギヤ装置を介して少ない労力で旋回フレームを旋回することができ、特にマンホール蓋の持ち上げ後の移動やマンホール内の作業終了後に元のマンホールの箇所に戻すための移動についても、基部フレームは定置状態で装置全体を動かす必要もなく、ウォームギヤ装置の操作のみにより基部フレームを中心とした旋回フレームの反復旋回動作により容易に行うことができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、前記旋回フレームは、前記基部フレームとの枢着部を配設した基体フレームを中心に一定角度で拡開した左右フレーム体と、その先端に架設した先端フレーム体とにより略三角形状に構成している。
このように構成することにより、旋回フレームが基部フレームとの枢着部を中心に旋回作動する場合にマンホール蓋をバランスよく吊下げることが可能となり、しかも、略三角形状であるため重量物のマンホール蓋を吊下支持するのに充分な強度を有し、吊下したマンホール蓋の左右バランスも保持し易くなる効果がある。
【0017】
本発明の請求項4に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、前記操作ワイヤの吊下先端部には、左右のフックを保持するためのフック掛けロッドと前記フック掛けロッドの略中央に交差して連設したスタビライザとを設けている。
このように構成することにより、マンホール蓋をフック掛けロッドの左右のフックで吊下し、吊下位置と交差する方向において、スタビライザを同マンホール蓋に当接させるため、操作ワイヤに吊下げた状態のマンホール蓋を水平状態に安定させることができ、閉蓋時のマンホール蓋の位置合わせ作業も水平安定状態で容易に行え、作業者は全体的な作業を安全にかつ迅速に正確に行うことができる効果がある。
【0018】
本発明の請求項5に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、ウォームギヤ装置のウォームギヤの周辺方向には、ウォームギヤの歯間に傾倒自在のストッパ片が係合することによりウォームギヤの回転を停止するように構成したギヤストッパ装置を配設し、前記ギヤストッパ装置は、基部フレームの下部に起伏自在に枢支した作業台の起立操作によって、ギヤ回転停止作動を行うように構成している。
このように構成することにより、作業時以外では作業台を起立させると、ギヤストッパ装置のストッパ片がウォームギヤの歯間に係合し、ウォームギヤ装置が作動しないようにすることができるため旋回フレームがロックされて、非作業時に不用意に旋回フレームが旋回作動しマンホール周辺の作業者に不測の危害を及ぼさないと共に、装置運搬時等における旋回フレームの不用な動きをロックすることができる効果がある。
【0019】
本発明の請求項6に記載のマンホール蓋開閉装置によれば、前記旋回フレーム先端の下部にはキャスタを設け、前記キャスタは、別途マンホールの周辺に敷設した半円弧状の受板上を旋回走行可能に構成している。
このように構成することにより、半円弧状の受板上を旋回フレームの先端下部が滑動しながら旋回運動をすることができ、マンホール周辺の地面に凸凹があっても、その上面に受板が敷設されているため少ない労力で旋回フレームをフレーム基部を中心に旋回することができる。特に重量物のマンホール蓋を吊下した状態の旋回フレームには大きな荷重がかかっているので、旋回動作も緩慢で円滑に動きにくいが半円弧状の受板上を旋回フレームの先端がキャスタを介して旋回可能となるため、旋回動作が円滑に行え、マンホール蓋の移動を少ない労力で容易に行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態のマンホール蓋開閉装置を示す平面図である。
【図2】本発明に係る実施形態のマンホール蓋開閉装置を示す側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図2のC−C断面図である。
【図6】図2のD−D断面図である。
【図7】ギヤストッパ装置の動作状態を示す説明図である。
【図8】ギヤケース内を示す平面図である。
【図9】ギヤストッパ装置の動作状態を示す側断面である。
【図10】マンホール蓋開閉装置の駆動状態を示す平面図である。
【図11】マンホール蓋開閉装置を用いたマンホール蓋の開閉作業手順を示す斜視図である。
【図12】マンホール蓋開閉装置を用いたマンホール蓋の開閉作業手順を示す斜視図である。
【図13】マンホール蓋開閉装置を用いたマンホール蓋の開閉作業手順を示す斜視図である。
【図14】マンホール蓋開閉装置を用いたマンホール蓋の開閉作業手順を示す斜視図である。
【図15】マンホール蓋開閉装置を用いたマンホール蓋の開閉作業手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のマンホール蓋開閉装置は、地上に載置した基部フレームに旋回フレームの基端を枢着し、前記旋回フレームの先端は、地上に支持載置された状態とし、前記旋回フレームの基部には、操作ワイヤ巻取用のウインチを設け、前記ウインチに巻取自在の操作ワイヤは、前記旋回フレーム方向に伸延し、中途より下方に屈曲させて吊下状態とし、前記操作ワイヤの先端に、マンホール蓋の係止孔に係合自在のフックを設け、前記基部フレームと前記旋回フレームとの枢着部には、前記旋回フレームを旋回作動するための旋回操作機構を連設している。
【0022】
また、前記旋回操作機構は、操作ハンドルを有し、前記基部フレームに配設したウォームギヤ装置と、前記ウォームギヤ装置のウォームギヤに旋回自在に連動連結した旋回フレームとより構成している。
【0023】
また、前記旋回フレームは、前記基部フレームとの枢着部を配設した基体フレームを中心に一定角度で拡開した左右フレーム体と、その先端に架設した先端フレーム体とにより略三角形状に構成している。
【0024】
また、前記操作ワイヤの吊下先端部には、左右のフックを保持するためのフック掛けロッドと前記フック掛けロッドの略中央に交差して連設したスタビライザとを設けている。
【0025】
また、ウォームギヤ装置のウォームギヤの周辺方向には、ウォームギヤの歯間に傾倒自在のストッパ片が係合することによりウォームギヤの回転を停止するように構成したギヤストッパ装置を配設し、前記ギヤストッパ装置は、基部フレームの下部に起伏自在に枢支した作業台の起立操作によって、ギヤ回転停止作動を行うように構成している。
【0026】
また、前記旋回フレーム先端の下部にはキャスタを設け、前記キャスタは、別途マンホールの周辺に敷設した半円弧状の受板上を旋回走行可能に構成している。
【0027】
以下、本発明に係るマンホール蓋開閉装置について図1から図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態のマンホール蓋開閉装置を構成する各構成部について順に説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、基部フレーム2は、下部を地上面Gに設置可能な下部方形フレーム10と、その上方に設けた支持板11と、支持板11の上端に載置したギヤケース12とよりなる。
【0029】
ギヤケース12上面には、旋回フレーム3の基端である基体フレーム31が枢着されており、旋回フレーム3は、ギヤケース12を中心に左右に旋回自在に構成されている。
【0030】
すなわち、旋回フレーム3は、枢着部4の一部を構成する基体フレーム31と基体フレーム31を中心として一定角度で拡開した左右フレーム体32,32と、その先端に架設した先端フレーム体33とよりなり、これらのフレーム体によって略三角形状に構成されている。
【0031】
旋回フレーム3の基体フレーム31には、巻取ハンドル35を設けたウインチ34が配設されており、ウインチ34には、操作ワイヤWが巻取り解舒自在に連結されている。また、図3に示すように、ウインチ34には、入切操作が可能なラチェット機構(図示しない)が設けられており、ウインチ34の操作ワイヤWの巻取り作動時には、ラチェット機構は巻取り障害とならず、他方、ウインチ34に巻き取られた操作ワイヤWに引き出し力が生じた際には、ラチェット機構がウインチ34の回転を規制するようなワンウエイ作動機構に構成されている。このように、ウインチ34により操作ワイヤWを巻取り解舒自在としたためにウインチ34のワイヤ巻取りドラムの径を小さくするために滑車の原理を応用して少ない巻取り応力で大きな作業量を確保し、重量物のマンホール蓋の持ち上げ作業を容易にすることができる。
【0032】
図2及び図5に示すように、操作ワイヤWは、ウインチ34から旋回フレーム3の先端方向に伸延し、左右フレーム体32,32の中途に架設した中間フレーム36上の受ローラ37により下方に屈曲して吊下状態となる。操作ワイヤWの下端には、左右のフック51,51を吊下するための棒状としたフック掛けロッド52と、このフック掛けロッド52の中央で交差した棒状の支持ロッド53よりなる十字形状の蓋係止機構5が連設されている。
【0033】
フック掛けロッド52と交差した支持ロッド53の左右には、蓋押え螺杆54,54が上下位置調整自在に垂直に螺着されており、支持ロッド53と蓋押え螺杆54,54によりスタビライザを構成している。また、フック掛けロッド52の両端部には、ガイド棒41,41が立設されており、このガイド棒41,41は中間フレーム36の両端部に穿設した挿通孔に上下摺動自在に挿貫され、これらガイド棒41,41によりフック掛けロッド52は、両端をガイドされながら上下方向の移動を円滑に行える。
【0034】
なお、蓋押え螺杆54の下端は、マンホール蓋Mをフック51,51により引き上げる際のマンホール蓋Mの水平安定状態を保持するためにマンホール蓋M上面に当接自在としている。
【0035】
図2に示すように、旋回フレーム3基端の基体フレーム31には、枢軸38が固設状態で垂設されており、枢軸部分を枢着部としている。この枢軸38は、基部フレーム2上部のギヤケース12内に伸延されている。
【0036】
図8に示すように、ギヤケース12には、同ギヤケース12外に伸延した操作ハンドル14に連設したウォーム15とウォームギヤ16とからなるウォームギヤ装置13と、後述するギヤストッパ装置20とが内蔵されている。上記旋回フレーム3とウォームギヤ装置13と枢軸38とにより旋回操作機構が構成されている。
【0037】
図7に示すように、基体フレーム31から垂設した枢軸38は、ウォームギヤ16に連動連設されており、従って、操作ハンドル14の操作を行うことにより、ウォーム15を回転させて、ウォームギヤ16に動力を伝達し、かかるウォームギヤ装置13の作動を介して、枢軸38を回転し、一体の旋回フレーム3を旋回させることができる。
【0038】
また、図8及び図9に示すように、ウォームギヤ16の周辺方向には、ギヤストッパ装置20を配設しており、ギヤストッパ装置20は、ギヤケース12内底部に立設した左右保持フレーム21,21と、左右保持フレーム21,21間に上端を枢支した傾動ロッド22と、傾動ロッド22の中途に突設し、ウォームギヤ16の歯間と係合自在としたストッパ片23と、ウォームギヤ16の基板と傾動ロッド22との中間に介設したスプリング24とよりなる。
【0039】
また、図7に示すように、基部フレーム2の下端部には、起伏自在に作業台6を枢支連設している。この作業台6は、マンホール蓋Mを開閉する作業以外の不使用時には手動により、基部フレーム2に設けた係合フック18を作業台6の把持体6aに係合させて起立させておくように構成されている。また、作業台6が起立する作動軌跡範囲内には、傾動ロッド22の先端が当接するように構成されている。
【0040】
このように構成することにより、作業時以外で作業台を起立させると、傾動ロッド22の先端が当接し、傾動ロッド22は上端の枢支部25を中心に傾動し、傾動ロッド22のストッパ片23がウォームギヤ16の歯間16a,16aに係合することになるため、ウォームギヤ装置13は固定されて旋回フレーム3がロック状態となり、非作業時に不用意に旋回作動し周辺の作業者に危害を及ぼすことがないと共に、運搬時等における旋回フレーム3の不用な動きをロックすることができる効果がある。
【0041】
図6に示すように、旋回フレーム3における先端フレーム体33の左右端には、縦フレーム39を垂設し、その下端には、キャスタC,Cを設けており、これらのキャスタは旋回フレーム3の先端旋回軌跡に対応する半円弧状の受板7上を旋回走行する。また、旋回フレーム3の先端フレーム体33の下端間に架設した連結フレーム44には、上下位置調節自在に補助キャスタC,Cを配設しており、マンホール蓋Mの脱着作業に際して旋回フレーム3を水平に保持するために、補助キャスタC,Cを上下位置調節することができるように構成している。なお、図中、43は補助キャスタを支持したブラケット板、45はブラケット板43に立設し、連結フレーム44に螺合した調節螺杆、42は調節螺杆の頭部に設けた回転操作部である。また、先端フレーム体33の上部には、取手部39aを配設している。70は左右フレーム体32,32や先端フレーム体33上部に設けた取手である。
【0042】
図10に示すように、受板7は、本発明のマンホール蓋開閉装置とは別途に準備するものであり、一定の幅員を有し、表面はキャスタC,Cが走行し易いような滑動面としており、作業者の運搬に便利なように外周縁に複数個の把手7aを突設している。
【0043】
図5に示すように、上記フック掛けロッド52の上表面には、一定間隔ごとにフック51を吊下した環体56の定置間の凸部52aを一定間隔で複数個隆起させている。
【0044】
フック51は、環体56に吊下し、環体56をフック掛けロッド52に吊下し、フック掛けロッド52の凸部52aにより環体56の位置決めを行うことにより、フック51とマンホール蓋Mの係合孔との対応位置の調節を行うことができる。なお、図1及び図2中の70は、受板7を収容するための保持ポールである。すなわち、折り畳んだ受板7は、先端フレーム体33上の2本の保持ポール70に受板7の把手7aが挿通され、さらに、左右フレーム体32,32上の2本の保持ポール70,70間に受板7の内周面が当接された状態で収容される。このような構成とすることで、マンホール蓋開閉装置1に受板7の収容場所を確保し、さらに、マンホール蓋開閉装置1に受板7を収容した状態で、重心が不安定な半円弧状の受板7を安全に運搬することができる。
【0045】
[マンホール蓋を開閉する作業手順]
本実施形態のマンホール蓋開閉装置を用いた、マンホール蓋を開閉する作業手順について図11から図15を参照しながら説明する。
【0046】
先ず、開閉作業を行うマンホール蓋Mの周辺に、マンホール蓋開閉装置1を運搬し、マンホール蓋Mの周辺に円弧状に受板7を敷設し、その上面に旋回フレーム3先端のキャスタCを載置する。そして、マンホール蓋Mの真上にマンホール蓋開閉装置1を架橋するように設置している。
【0047】
同時に旋回フレーム3の中央部、すなわち、左右フレーム体32,32の中途に吊下した蓋係止機構5がマンホール蓋Mの真上方向に位置するように基部フレーム2と旋回フレーム3との位置合わせを行う。
【0048】
次に、図11に示すように、基部フレーム2下部の左右のアウトリガー17,17を伸ばし、基部フレーム2の位置を固定した後に、起立状態の作業台6を倒して、この作業台6を地面に設置した状態となす(図7参照)。このとき、ギヤストッパ装置20の傾動ロッド22がスプリング24により押上げられ、ウォームギヤ16の歯間に係合していたストッパ片23が離脱することとなり、旋回フレーム3のロックが解除される(図9参照)。
【0049】
そして、ウインチ34に巻かれた操作ワイヤWを繰出して、操作ワイヤW先端の蓋係止機構5をマンホール蓋M上方の所定高さ位置まで降下する。フック掛けロッド52の上表面に設けた各凸部52aを用いて左右の環体56,56の位置決めを行い、左右のフック51,51をマンホール蓋Mの係合孔に係合させる。次に、蓋係止機構5の支持ロッド53の端部に螺着した蓋押え螺杆54,54を伸ばして、蓋押え螺杆54,54の先端をマンホール蓋M上面に当接させる。
【0050】
図12に示すように、作業者(図示しない)は、作業台6を踏んだ状態で巻取ハンドル35を回すと操作ワイヤWがウインチ34に巻回される。そして、操作ワイヤW先端の蓋係止機構5を介してマンホール蓋Mは、マンホールの開口部から引き上げられる。すなわち、旋回フレーム3の中間フレーム36の両端に摺動自在に垂下したガイド棒41,41に蓋係止機構5のフック掛けロッド52がガイドされながら引き上げられる。そして、マンホール蓋Mを所定の高さ位置、すなわち、地上面Gより一定高さまで引き上げた後は、ウインチ34による巻き上げ作業を停止する。
【0051】
かかるマンホール蓋Mの引き上げ状態において、図13及び図14に示すように、マンホール蓋開閉装置1の基部フレーム2に設けたウォームギヤ装置13の操作ハンドル14を操作し、ギヤケース12内のウォーム15を介してウォームギヤ16に動力を伝達するとウォームギヤ16と枢軸38が回転し、枢軸38と一体の旋回フレーム3が旋回する。このとき、先端フレーム体33の縦フレーム39下端のキャスタC,Cは、旋回フレーム3の先端旋回軌跡に対応する半円弧状の受板7上を旋回走行し、このような旋回作動によりマンホール蓋Mをマンホールの箇所の開口部上方から離間した位置まで移動することができる。
【0052】
かかる状態では、マンホール真上には、旋回フレーム3は旋回移動して存在しないため作業者はマンホール中に侵入できる。そして、作業者は、マンホール内での作業を終了したのちに、上述した手順と逆の手順を行いマンホール蓋Mのマンホールに閉蓋する。すなわち、ウォームギヤ装置13の操作ハンドル14を上記と逆に操作することにより、ギヤケース12内のウォーム15を逆に回動させて、ウォームギヤ16に動力を伝達し、かかるウォームギヤ装置13の作動を介して、枢軸38を逆回転し、一体の旋回フレーム3を旋回させる。このとき、キャスタC,Cは、旋回フレーム3の先端旋回軌跡に対応する半円弧状の受板7上を上記と逆方向に旋回し、このような旋回作動によりマンホール蓋Mを離間した位置から設置箇所の開口部上方まで移動することができる(図15参照)。換言すれば、持ち上げたマンホール蓋Mを旋回フレーム3の旋回により元の位置と別の位置に移動させる際に、旋回フレーム3の旋回角度を機械的に或は作業者の記憶により、学習しておけば、この基準の旋回角度で旋回フレーム3を元に戻せば正確な精度をもって、元のマンホールの位置の真上にマンホール蓋Mを移動させることができ、その状態でマンホール蓋Mを操作ワイヤWにより降下させれば、複雑な位置合わせ作業を経ることなくマンホール蓋Mの脱着作業が可能となる。
【0053】
なお、本発明を実施形態を通して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の主旨を逸脱することのない限り、各構成要素の形状のレイアウトなどは適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0054】
C キャスタ
M マンホール蓋
W 操作ワイヤ
1 マンホール蓋開閉装置
2 基部フレーム
3 旋回フレーム
4 枢着部
5 蓋係止機構
6 作業台
7 受板
10 下部方形フレーム
11 支持板
12 ギヤケース
13 ウォームギヤ装置
14 操作ハンドル
15 ウォーム
16 ウォームギヤ
20 ギヤストッパ装置
21 左右保持フレーム
22 傾動ロッド
23 ストッパ片
24 スプリング
25 枢支部
31 基体フレーム
32 左右フレーム体
33 先端フレーム体
34 ウインチ
35 巻取ハンドル
36 中間フレーム
37 受ローラ
38 枢軸
39 縦フレーム
51 フック
52 フック掛けロッド
53 支持ロッド
54 蓋押え螺杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に載置した基部フレームに旋回フレームの基端を枢着し、
前記旋回フレームの先端は、地上に支持載置された状態とし、前記旋回フレームの基部には、操作ワイヤ巻取用のウインチを設け、
前記ウインチに巻取自在の操作ワイヤは、前記旋回フレーム方向に伸延し、中途より下方に屈曲させて吊下状態とし、
前記操作ワイヤの先端に、マンホール蓋の係止孔に係合自在のフックを設け、
前記基部フレームと前記旋回フレームとの枢着部には、前記旋回フレームを旋回作動するための旋回操作機構を連設した
ことを特徴とするマンホール蓋開閉装置。
【請求項2】
前記旋回操作機構は、操作ハンドルを有し、前記基部フレームに配設したウォームギヤ装置と、前記ウォームギヤ装置のウォームギヤに旋回自在に連動連結した旋回フレームとより構成した
ことを特徴とする請求項1に記載のマンホール蓋開閉装置。
【請求項3】
前記旋回フレームは、前記基部フレームとの枢着部を配設した基体フレームを中心に一定角度で拡開した左右フレーム体と、その先端に架設した先端フレーム体とにより略三角形状に構成した
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマンホール蓋開閉装置。
【請求項4】
前記操作ワイヤの吊下先端部には、左右のフックを保持するためのフック掛けロッドと前記フック掛けロッドの略中央に交差して連設したスタビライザとを設けた
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置。
【請求項5】
ウォームギヤ装置のウォームギヤの周辺方向には、ウォームギヤの歯間に傾倒自在のストッパ片が係合することによりウォームギヤの回転を停止するように構成したギヤストッパ装置を配設し、前記ギヤストッパ装置は、基部フレームの下部に起伏自在に枢支した作業台の起立操作によって、ギヤ回転停止作動を行うように構成した
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置。
【請求項6】
前記旋回フレーム先端の下部にはキャスタを設け、
前記キャスタは、別途マンホールの周辺に敷設した半円弧状の受板上を旋回走行可能に構成した
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のマンホール蓋開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−41732(P2012−41732A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183831(P2010−183831)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(596002767)トヨタ自動車九州株式会社 (20)
【Fターム(参考)】