説明

マーカー

【課題】 マーカーを紙面に対して所定の角度と少々異なる角度で当てても、また、紙面に沿って移動する最中にこの傾斜角度が少々変動しても、一定の太さのアンダーラインを描くことができるマーカーを提供する。
【解決手段】 先端の塗布部が扁平な長方形で、かつ軸線に対して傾斜したペン体が軸筒の先端開口から突出するマーカーにおいて、ペン体の円柱部が突出する軸筒の先端開口を長円形にし、ペン体の尾端部に球形部を形成してこの球形部にインキ中継芯に当接し、かつ球形部を軸筒内の抱持部に回動可能に抱持し、軸筒の長円形の先端開口に沿って塗布部を長手方向に首振り可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端の塗布部が扁平な長方形で、かつ軸線に対して傾斜した、いわゆる斧形のペン体が軸筒の先端開口から突出するマーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太いアンダーラインなどを塗布するためのマーカーのペン体は、先端の塗布部が扁平な長方形で、かつ軸線に対して傾斜した、いわゆる斧形のものが使用され、マーカーを紙面に対して所定の角度、例えは25°程度傾けたときに、先端の細長い塗布部の全面が紙面にフィットする。そして、紙面に沿って塗布部の短手方向にマーカーを移動すると一定の太さのアンダーラインを描くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、マーカーを紙面に対して所定の角度傾けて紙面に沿って塗布部の短手方向に移動すると一定の太さのアンダーラインを描くことができるが、この傾斜角度は個人差があり、所定の角度と異なる角度で紙面に当てると、細長い塗布部の端部のいずれかが紙面から浮き上がり、アンダーラインが細くなる。また、最初に所定の角度で紙面に当てても、紙面に沿って移動する最中にこの傾斜角度が変動しやすく、その結果、塗布部の端部のいずれかが交互に紙面から浮き上がり、太さが不揃いで少し蛇行したアンダーラインが描けることになる。
【0004】
そこで本発明は、マーカーを紙面に対して所定の角度と少々異なる角度で当てても、また、紙面に沿って移動する最中にこの傾斜角度が少々変動しても、一定の太さのアンダーラインを描くことができるマーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明は、先端の塗布部が扁平な長方形で、かつ軸線に対して傾斜したペン体が軸筒の先端開口から突出するマーカーにおいて、ペン体の円柱部が突出する軸筒の先端開口を長円形にし、ペン体の尾端部に球形部を形成してこの球形部にインキ中継芯に当接し、かつ球形部を軸筒内の抱持部に回動可能に抱持し、軸筒の長円形の先端開口に沿って塗布部を長手方向に首振り可能にする。
【発明の効果】
【0006】
ペン体が細長い塗布部の長手方向に首振りできるので、マーカーを紙面に対して所定の角度と少々異なる角度で当てても、また、紙面に沿って移動する最中にこの傾斜角度が少々変動しても、その変動量に応じてペン体のマーカーの軸線に対する角度が変化し、細長い塗布部の端部のいずれかが紙面から浮き上がることがなく、全面が常に紙面に当たり、一定の太さのアンダーラインを描くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面に基づいて発明を実施するための最良の形態を説明する。図面は中綿式のマーカーに本発明を適用した例を示すが、マーカーは中綿式に限られるものではない。図1において、主軸2の先端に継ぎ手3が接続され、継ぎ手3の先端部に先口4が被せるように固定されている。継ぎ手3内には複数本の縦リブ31が形成されている。また、先口4の先端開口41は、図1(B)に示すように、長円形をしている。
【0008】
この主軸1と継ぎ手3および先口4で軸筒を構成しており、軸筒内に、極細繊維を引き揃えて棒状に成形されてインキを吸蔵した中綿6が配置されている。インキ中継芯5は連続気泡を有する合成樹脂で成形され、尾端の円錐部51が中綿6に差し込まれている。また、継ぎ手3の縦リブ31の段部33とインキ中継芯5先端の大径部52の間にスプリング7が介装され、インキ中継芯5は先端側に弾発されている。
【0009】
ペン体1は連続気泡を有する合成樹脂で成形され、中央は円柱部13であるが、その後端に球形部12が形成されている。そして、先端が塗布部11であるが、塗布部11は円柱部13の両側部をそり落として先端面を細長い長方形にしたものであり、塗布部11は軸線に対して25°傾斜している。球形部12にはインキ中継芯5の大径部52がスプリング7の弾発力により強く当接しており、中綿6内のインキはインキ中継芯5を介してペン体1に供給され、塗布に供される。
【0010】
継ぎ手3の縦リブ31には曲率が球形部12とほぼ等しい抱持部32が形成されており、球形部12が抱持部32に回動自由に抱持されている。なお、この抱持部は2部品構成により形成してもよい。そして、円柱部13が長円形の先端開口41にはまり込んで塗布部11が突出しているが、先端開口41両端の半円部の曲率は円柱部13の曲率にほぼ等しく、先端開口41の平行部の間隔は円柱部13の外径にほぼ等しくなっている。そして、塗布部11の長手方向は先端開口41の長手方向と一致しており、したがって、図1(A)において2点鎖線で示すように、塗布部11の長手方向は長円形の先端開口41に沿って首振りすることができる。この首振り角度は例えば±10°程度である。
【0011】
図2(B)に示すように、マーカーを紙面Pに対して25°傾けて塗布すると、塗布部11がペン体1の軸線、つまりマーカーの軸線に対して25°傾斜しているので、塗布部11は首振りすることなく全面が紙面Pにフィットし、この傾斜角度で塗布部11の短手方向に移動させると塗布部11の長手方向の巾に等しい太さのアンダーラインを描くことができる。次に、マーカーを紙面Pに対して25°±10°の範囲内で傾けて塗布するときにおいても、図2(A)や(C)に示すように、塗布部11が首振りして塗布部11の全面が紙面Pにフィットする。そして、紙面Pに沿って移動中に傾斜角度が25°±10°の範囲内で変動しても、その変動量に応じて塗布部11が首振りして塗布部11の端部のいずれかが紙面Pから浮き上がることがなく、常に一定の太さのアンダーラインを描くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明実施例の要部の断面図および平面図である。
【図2】塗布状態の説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1 ペン体
11 塗布部
12 球形部
13 円柱部
2 主軸
3 継ぎ手
31 縦リブ
32 抱持部
33 段部
4 先口
41 先端開口
5 インキ中継芯
51 円錐部
52 大径部
6 中綿
7 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端の塗布部が扁平な長方形で、かつ軸線に対して傾斜したペン体が軸筒の先端開口から突出するマーカーにおいて、
ペン体の円柱部が突出する軸筒の先端開口が長円形であり、該ペン体の尾端部に球形部が形成され、該球形部にインキ中継芯に当接し、かつ球形部が軸筒内の抱持部に回動可能に抱持され、軸筒の長円形の先端開口に沿って該塗布部が長手方向に首振り可能であることを特徴とするマーカー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−248493(P2009−248493A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101047(P2008−101047)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002314)セーラー万年筆株式会社 (49)
【Fターム(参考)】