説明

マーキングが施されたカプセル、カプセルの製造方法、およびカプセル剤

【課題】他との差別化が可能であり、また、容易に偽造するのが困難なカプセル、カプセル、およびカプセルの製造方法を提供する。
【解決手段】カプセル1は、内容物を充填可能なボディ2と、ボディ2に被せられるキャップ3と、ボディ2にキャップ3を抜け止め状態で結合する結合手段と、を有する。ボディ2の表面にはマーキング4が形成されている。ボディ2およびキャップ3を結合させた状態では、ボディ2に形成されたマーキング4はキャップ3により覆われている。ボディ2およびキャップ3を仮結合させた状態では、ボディ2に形成されたマーキング3は露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマーキングが施されたカプセルおよび前記カプセルの製造方法に関する。さらに本発明は、前記カプセルに薬剤や食品などの可食性の内容物が充填されてなるカプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル剤などの医薬品には、その識別などのために、従来から、表面に記号や文字、数字、模様などのマーキングを施すことが行われている。例えば、オフセット印刷やインクジェット印刷などにより、カプセル剤などの表面にインクを用いてマーキングを形成する方法が従来から広く行われている。また、特許文献1には、カプセル剤などの表面にレーザを照射することにより、マーキングを形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−122688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したマーキングは、カプセル剤などの表面の見やすい場所に施されるのが一般的であり、このマーキングにより、他種の内容物が充填されたカプセル剤との差別化が可能になっている。しかしながら、近年、カプセル剤などの医薬品の偽物がアジア諸国で氾濫しており、真正な医薬品(真正品)と外観(カプセル形状など)の見分けが困難な偽薬が多く取引されているのが現状である。そのため、医薬品に対しては偽造防止策が求められているが、カプセル剤などの表面に単にマーキングを施しただけでは、マーキングの真似が容易であるために、カプセル剤などに似たようなマーキングが施されると、「真正品」か「偽物」かの見分けをつけることができず、偽造防止の効果が期待できない。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、他との差別化が可能であり、また、容易に偽造するのが困難なカプセル、前記カプセルの製造方法、および前記カプセルを用いたカプセル剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、内容物を充填可能なボディと、前記ボディに被せられるキャップと、前記ボディに前記キャップを抜け止め状態で結合する結合手段と、を有するカプセルにおいて、前記ボディおよび前記キャップを結合させた状態で、前記ボディの前記キャップにより覆われる領域にマーキングが形成されていることを特徴とするカプセルにより達成される。
【0007】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ボディおよび前記キャップを仮結合させた状態では、前記ボディに形成された前記マーキングが露出していることを特徴としている。
【0008】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記結合手段は、前記ボディの外周面に形成された凹部と、前記キャップの内周面に形成された前記凹部に係合可能な凸部とからなり、前記ボディの先端が前記キャップの凸部の側面に突き当たることにより前記ボディおよび前記キャップが仮結合した状態が形成されることを特徴としている。
【0009】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記マーキングは、前記ボディの表面にレーザ光を照射することにより形成されることを特徴としている。
【0010】
本発明の前記目的は、上記した構成のカプセルの前記ボディ内に、内容物が充填されてなるカプセル剤によっても達成される。
【0011】
本発明の前記目的は、内容物を充填可能なボディと、前記ボディに被せられるキャップと、前記ボディに前記キャップを抜け止め状態で結合する結合手段と、を有するカプセルを製造する方法において、前記キャップおよび前記ボディを製造する工程と、前記ボディに前記キャップを仮結合させる工程と、前記ボディおよび前記キャップを仮結合させた空の状態において、前記ボディの前記キャップとの境界位置にレーザ光を照射することによりマーキングを形成する工程とを備えることを特徴とするカプセルの製造方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、他との差別化が可能であり、また、容易に偽造するのが困難なカプセルおよびカプセル剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るカプセルの斜視図である。
【図2】図1のカプセルの断面図である。
【図3】キャップおよびボディの断面図である。
【図4】仮結合状態のカプセルの斜視図である。
【図5】図4のカプセルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカプセル1の外観構成を、図2は、図1のカプセル1の内部構成を、それぞれ示している。
【0015】
本実施形態のカプセル1は、内容物を充填可能なボディ2と、ボディ2に被せられるキャップ3とを有する略長楕円球状のものであり、ボディ2およびキャップ3は、従来から公知の材料を用いて製造することができる。例えば、カプセルの材料として一般的なゼラチンや、近年注目されているヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの水溶性セルロース、その他、プルランなどを用いて、ボディ2およびキャップ3を製造することができる。また、ボディ2およびキャップ3の成形方法にも特に制限はなく、従来から公知の方法で成形することができる。例えば、ゼラチン溶液や水溶性セルロース溶液中に成型ピンを浸漬し、これらを成型ピンに付着させて均一な皮膜を作った後、これを乾燥固化させて成型ピンから抜き取るとともに整形して、ボディ2およびキャップ3を成形する、浸漬成形法が好適に用いられる。
【0016】
ボディ2は、図2および図3に示すように、一端に開口20を有するとともに、他端がドーム状に閉塞された円筒状に形成されており、開口20を介して内部空間21に、内容物を充填することが可能になっている。内容物としては、粉末状、顆粒状、タブレット状、または液状、ペースト状、スラリー状の薬剤または食品が所定量充填される。
【0017】
キャップ3は、図2および図3に示すように、一端に開口30を有するとともに、他端がドーム状に閉塞された円筒状に形成されており、キャップ3の内径は、ボディ2の外径よりも僅かに大きく形成されている。ボディ2の一端側をキャップ3の開口30からキャップ3に嵌め込み、ボディ2をキャップ3内の奥まで挿入して両者を結合することにより、ボディ2内の内容物がキャップ3により密閉される。
【0018】
ボディ2の開口20近くの外周面には、周方向に一周にわたって延びる凹部22が形成されている。一方、キャップ3の内周面には、長手方向の他端側の位置に、周方向に一周にわたって延びる凸部31が内側へ向けて突き出るように形成されている。凹部22および凸部31の横断面はそれぞれ略半円弧状を有しており、凸部31は、凹部22と係合可能な形状に形成されている。この凹部22および凸部31は、ボディ2とキャップ3とを抜け止め状態で結合させる結合手段を構成するものであり、凸部31が凹部22にしっかりと係合するところまでボディ2をキャップ3内に挿入することにより、ボディ2とキャップ3とが一体固定されて、キャップ3の開封が防止されている。なお、上記した凹部22および凸部31は、必ずしもボディ2の外周面およびキャップ3の内周面に、一周にわたって形成されている必要はなく、ボディ2の外周面およびキャップ3の内周面の一部にだけ形成されていてもよい。
【0019】
一般的にカプセル剤は、図4および図5に示すように、カプセルメーカーにより空のカプセル1が製造された後、上記したキャップ3とボディ2とを仮結合させた状態で、カプセルメーカーから製薬メーカーなどに供給されるのが一般的である。つまり、キャップ3をボディ2に被せた後、凹部22が凸部31と係合するまでボディ2をキャップ3内に挿入させることなく、ボディ2の一端縁がキャップ3の凸部31の側面に当るところまで、ボディ2をキャップ3内に挿入させた非ロック状態(仮結合状態)で、カプセル1は供給される。そして、製薬メーカーなどにおいて、ボディ2およびキャップ3が仮結合した状態で供給される空のカプセル1を、ボディ2とキャップ3とに一旦分離した後、ボディ2内に内容物を充填し、その後、再びボディ2にキャップ3を被せ、ボディ2をキャップ3の奥まで挿入して凹部22および凸部31を係合させて、キャップ3およびボディ2を抜け止め状態で結合することにより、内容物が充填されたカプセル剤が製造される。
【0020】
ボディ2およびキャップ3を仮結合させた状態において、ボディ2の表面のキャップ3との境界位置、つまり、ボディ2の表面のキャップ3の一端縁と隣接する直近位置には、図4および図5に示すように、マーキング4が施されており、このマーキング4により、該カプセル1に他種の内容物が充填されるカプセルと区別するための識別性が付与されている。マーキング4のデザインとしては、特に限定されるものではなく、文字、数字、図形、記号などを単独であるいは組み合せて使用することにより自由に設計することができ、例えば、製品名、製品の略号、販売会社の社章やロゴマーク、あるいは医薬品に使用される各種コードなどを用いることができる。
【0021】
マーキング4の形成方法としては、ボディ2の表面に、ゴムローラーなどを用いて文字などを印刷する転写式印刷、または、インクをドット印刷するインクジェット印刷など、カプセル1へのマーキング4の形成方法として一般に最もよく採用されているインクを用いた種々のマーキング方法を用いることも可能であるが、転写式印刷では、カプセル1(ボディ2)の表面状態や、カプセル1(ボディ2)のマーキング4を施す場所の雰囲気などの影響を受けやすく、曲面を持つカプセル1(ボディ2)の表面に明瞭なマーキング4を安定して施すためには管理が非常に煩雑となる。特に、本実施形態のように、ボディ2の表面のキャップ3との境界位置にマーキング4を形成する場合には、マーキング位置の近傍にキャップ3の厚み分の段差(凸凹)が存在しているために、前記境界位置に明瞭なマーキング4を形成するのが困難であるという問題がある。一方、インクジェット印刷においても、カプセル1(ボディ2)の表面のような曲面への印刷が難しいうえ、上記したようにマーキング位置の近傍に段差(凸凹)が存在すると、前記境界位置に明瞭なマーキング4を形成するのが困難となる。さらに加えて、インク液の乾燥が不十分であると、カプセル1の汚れやマーキング4のにじみなどを生じ、外観や品質に影響を与えるおそれがある。
【0022】
そのため、レーザ光を照射することにより、カプセル1(ボディ2)の表面にマーキング4を形成する方法が、上記したインクを用いたマーキング方法が抱える問題点を解決することができる点で好ましい。このレーザマーキング方法によると、レーザ光の照射位置を精密に調整することにより、カプセル1(ボディ2)の表面形状などの影響をほとんど受けることなく、その表面の所望の位置に所望形状のマーキング4をピンポイントに形成することができるため、たとえマーキング位置の近傍に段差(凸凹)が存在していても、該マーキング位置にマーキング4を明瞭に形成することができる。
【0023】
一方で、レーザ光の照射により、カプセル1(ボディ2)の表面を削ったり、あるいは、レーザ光の熱で焼いたり熱変性させたりすることによって、マーキング4を形成するようにすると、食刻や熱に伴うカプセル1の品質低下の懸念があり、使用者によってはカプセル1の安全性に対する不安を生じさせるおそれがある。よって、レーザ光の照射に伴い、分解などの化学変化を生じることなく変色を誘起する成分を、予めカプセル1(少なくともボディ2)に分散させる、あるいは予めカプセル1(少なくともボディ2)の表面に付着させるのが好ましい。この方法によると、レーザ光の照射により、レーザ光照射部分の前記変色誘起成分の変色を促すことで、該レーザ光照射部分にマーキング4を形成するため、カプセル1(ボディ2)の表面をレーザ光で削ったり、レーザ光の熱で焼いたり熱変性させたりすることなく、鮮明なマーキング4をカプセル1(ボディ2)の表面に形成可能であり、カプセル1の品質確保の面あるいは生産性向上の面で好適である。なお、上記した変色を誘起する成分(変色誘起成分)としては、レーザ照射により凝集することで変色を可能とする酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄などの変色誘起酸化物の少なくとも1種を好ましく挙げることができる。
【0024】
本実施形態のカプセル1では、マーキング4を、ボディ2の上記した境界位置に施すことにより、ボディ2およびキャップ3が仮結合した状態の空のカプセル1では、マーキング4が外部に露出するので、空のカプセル1の供給を受けた製薬メーカーなどは、マーキング4を容易に認識することができる。一方、上記した仮結合状態からボディ2をキャップ3内にさらに挿入して、ボディ2とキャップ3とを抜け止め状態で結合させると、ボディ2の表面のマーキング4はキャップ3により覆われて隠れる。よって、内容物が充填された後、ボディ2およびキャップ3が結合した状態のカプセル剤では、マーキング4を外部から視認することができず、カプセル剤が市場に出回った後においては、マーキング4の表示内容を容易に確認することができないようになっている。これにより、マーキング4の模倣を防止することができ、偽造品のカプセルやカプセル剤に似たようなマーキング4が施されるのを防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のカプセル1では、マーキング4を、レーザマーキング方法により、カプセル1の品質を低下させることなく、カプセル1(ボディ2)の上記した境界位置に明瞭に施しているところ、現状では、レーザマーキング装置が希少であることや、上記したように、カプセル1(ボディ2)の表面をレーザ光で削ったり、レーザ光の熱で焼いたり熱変性させたりすることによって、マーキング4を形成したのでは、カプセル1の安全性に対する不安があることから、レーザ光照射によりカプセル1にマーキング4を形成する方法は、広く普及していないのが実情である。これに対して、一般に広く普及しているインクを用いたマーキング方法では、カプセル1(ボディ2)の上記した境界位置にマーキング4を明瞭に形成することが困難である。よって、本実施形態のカプセル1では、偽造者がマーキング4の表示内容を確認できたとしても、偽造品のカプセルやカプセル剤に真正品と同じ位置に鮮明なマーキング4を施すことができないため、根本的に、カプセル1やカプセル剤の偽造を防止することが可能であり、また、仮に偽造品のカプセルやカプセル剤に真正品と同じ位置にマーキング4を施した場合には、表示されたマーキング4の質と真正品のカプセルやカプセル剤に表示されたマーキング4の質とを比べれば、マーキング4の鮮明さなどの点で容易に偽造を判別することが可能である。
【0026】
なお、本実施形態では、変色誘起成分(変色誘起酸化物)を、カプセル1に分散などさせることで、レーザ光の照射により、レーザ光照射部分の前記変色誘起成分を変色させてマーキング4を形成しているが、レーザ光の照射によるマーキング4の形成方法は何もこの実施形態に限られるものではなく、レーザ光の出力を小さくしたり、レーザ光の照射時間を短くしたりすることなどにより、食刻や熱に伴うカプセル1の品質の低下の危険性の懸念がなく、経口摂取による安全上の不安が解決可能であれば、カプセル1の表面をレーザ光で削ったり、またはレーザ光の熱で焼いたり熱変性させたりなどして、マーキング4を形成するようにしても構わない。
【0027】
次に、上記した構成のカプセル1の製造方法について説明する。まず、ボディ2およびキャップ3を製造する。ボディ2およびキャップ3は、ゼラチンやHPMCなどの水溶性セルロースなどを主成分としたカプセル調整液を用いて、従来から公知の方法(例えば浸漬成形法)で製造することができる。なお、この際、酸化チタン、黄色三二酸化鉄および三二酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1種の変色誘起酸化物を、前記カプセル調整液に添加することで、ボディ2およびキャップ3中に変色誘起酸化物を均一に分散させるのが好ましい。また、酸化チタン、黄色三二酸化鉄および三二酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1種の変色誘起酸化物を均一に分散させた被覆層を、少なくともボディ2の表面にコーティングするようにしてもよい。
【0028】
次に、ボディ2にキャップ3を被せた後、ボディ2の一端縁がキャップ3の凸部31の側面に当るところまで、ボディ2をキャップ3内に挿入して、両者を非ロック状態で仮結合させる。次に、ボディ2およびキャップ3を仮結合させた空の状態のカプセル1に対して、レーザ光走査装置(図示せず)を用いて、ボディ2の表面のキャップ3との境界位置にレーザ光を照射することにより、カプセル1にマーキング4を形成する。
【0029】
カプセル1に照射するレーザ光としては、特に限定されるものではなく、固体レーザ光、液体レーザ光、気体レーザ光を使用することができる。固体レーザ光としては、YLFレーザ光、YAGレーザ光、YVOレーザ光などを好ましく例示することができる。また、気体レーザ光としては、エキシマレーザ光、炭酸ガスレーザ光などを、液体レーザ光としては、色素レーザ光を、それぞれ好ましく例示することができる。特に、好ましくは固体レーザ光であり、基本・第2・第3・第4・第5高調波YVOレーザ発振器を好ましく挙げることができる。例えば、第3高調波発振器として、YVO4 Laser DS20H-355(Photonics Industries International, Inc)や、第4高調波発振器として、AVIA266-3000(COHERENT社)を利用することができる。また、照射するレーザ光は、連続発振型のレーザ光またはパルス発振型のレーザ光のいずれであってもよいが、パルス発振型のレーザ光の方が好ましい。パルス発振型のレーザ光の繰り返し周波数は、1Hz〜100MHzであり、好ましくは1Hz〜150kHzであり、より好ましくは10kHz〜100kHzである。
【0030】
また、照射するレーザ光の波長としては、157nm〜10800nmを有するものを用いることができ、紫外線領域の波長を有するレーザ光から赤外線領域の波長を有するレーザ光まで幅広く用いることができる。例えば、上記した変色誘起成分(変色誘起酸化物)を利用するときは、157nm〜1100nmの波長を有するレーザ光を用いることができ、その中でも紫外線領域の波長を有するレーザ光が好適である。例えば、351nm〜355nm、263nm〜266nm、248nm、210nm〜216nm、193nm、157nmの波長のレーザ光が好適ある。なお、カプセル1(ボディ2)の表面を熱で焼いたり熱変性させたりすることによりマーキング4を形成する場合は、赤外線領域の波長を有するレーザ光が好適であり、例えば、1064nm〜10800nmが好適である。また、カプセル1(ボディ2)の表面を削ることによりマーキング4を形成する場合には、短い波長が好ましい。
【0031】
また、照射するレーザ光の平均出力は、0.1W〜30kWであり、好ましくは0.1W〜100Wであり、より好ましくは0.5W〜50Wであり、さらに好ましくは1W〜20Wであり、最も好ましくは1W〜10Wである。
【0032】
また、レーザ光を、カプセル1(ボディ2)の表面に照射する際のレーザ光の走査方式としては、特に限定されるものではないが、例えば、電気信号に応じてミラーの回転角を変えることができる偏向器を用いたガルバノミラー型、共振周波数の正弦波で駆動させて用いる共振型の偏向器であるレゾナントスキャン型、複数のミラーを利用するポリゴンミラー型を例示することができるが、好ましくはガルバノミラー型である。
【0033】
また、レーザ光の照射方法としては、搬送ライン上に整列配置された移動中の複数のカプセル1に対して、レーザ光を照射するように構成してもよいし、または、搬送ラインの途中で、一定数量のカプセル1が納まる平型パン内にカプセル1を自動的に敷き詰めた後、静止した状態で複数のカプセル1に対してレーザ光を照射するように構成してもよい。
【0034】
このようにしてマーキング4が施されたカプセル1は、ボディ2およびキャップ3が仮結合した空の状態で、製薬メーカーなどに供給される。そして、製薬メーカーなどにおいて、カプセル自動充填機を用いて、ボディ2とキャップ3とを分離する工程、分離したボディ2内に内容物を充填する工程、内容物を充填したボディ2に再びキャップ3を被せて両者を抜け止め状態で結合させる工程の一連の工程を自動的に行う。その後、そのカプセル1のボディ2とキャップ3との隙間を例えばバンドシールなどでシールする処理やカプセル1の表面全体に腸溶性皮膜などをコーティングする処理などを行うことにより、内容物が充填されたカプセル剤が製造される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、マーキング4を、ボディ2およびキャップ3を仮結合させた状態において、ボディ2の表面のキャップ3との境界位置に形成しているが、ボディ2およびキャップ3を結合させた状態で、キャップ3により覆われている領域であれば、ボディ2の任意の位置に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態では、マーキング4をレーザ光の照射により形成しているが、インクを用いたマーキング方法によっても、鮮明なマーキング4をカプセル1に形成することができるのであれば、これに限られるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 カプセル
2 ボディ
3 キャップ
4 マーキング
22 凹部
31 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填可能なボディと、前記ボディに被せられるキャップと、前記ボディに前記キャップを抜け止め状態で結合する結合手段と、を有するカプセルにおいて、
前記ボディおよび前記キャップを結合させた状態で、前記ボディの前記キャップにより覆われる領域にマーキングが形成されていることを特徴とするカプセル。
【請求項2】
前記ボディおよび前記キャップを仮結合させた状態では、前記ボディに形成された前記マーキングが露出していることを特徴とする請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記結合手段は、前記ボディの外周面に形成された凹部と、前記キャップの内周面に形成された前記凹部に係合可能な凸部とからなり、
前記ボディの先端が前記キャップの凸部の側面に突き当たることにより前記ボディおよび前記キャップが仮結合した状態が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記マーキングは、前記ボディの表面にレーザ光を照射することにより形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカプセル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のカプセルの前記ボディ内に、内容物が充填されてなるカプセル。
【請求項6】
内容物を充填可能なボディと、前記ボディに被せられるキャップと、前記ボディに前記キャップを抜け止め状態で結合する結合手段と、を有するカプセルを製造する方法において、
前記キャップおよび前記ボディを製造する工程と、
前記ボディに前記キャップを仮結合させる工程と、
前記ボディおよび前記キャップを仮結合させた空の状態において、前記ボディの前記キャップとの境界位置にレーザ光を照射することによりマーキングを形成する工程とを備えることを特徴とするカプセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232522(P2012−232522A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103368(P2011−103368)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000228110)クオリカプス株式会社 (22)
【Fターム(参考)】