説明

マークカード読取装置および方法

【課題】ドロップアウトカラーで示された記入必須欄に記入されたマークから記入者の癖を把握し、ドロップアウトカラー以外の記入欄において記入された記入内容を前記癖と比較してマーク有無を精度よく認識するマークカード読取装置および方法を提供する。
【解決手段】マーク記入情報37の内、マークカードの記入必須部分に対して個別記入パターン情報を抽出し個別記入パターン情報記憶領域42に記憶させたと同様に、マークカードの記入必須部分以外に対しても、投影部32、前処理部33、パターン抽出部34を経て、記入パターン情報38を抽出し、抽出した情報を比較判断部39に送る。比較判断部39は、個別記入パターン情報記憶領域42に記憶されている記入者に特徴的な個別記入パターン情報とマークカードの記入必須部分以外の記入パターン情報38を比較して、両パターンが相似形であるか否かによって、マーク有無を判断し、その出力結果をマーク有無情報記憶領域43に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、券売機に挿入されたマークカードを読取って投票券を発行するマークカード読取装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば競輪、競馬、競艇、オートレース等の公営競技における投票券を発売する券売機において、多くの情報を短期間に処理するための仕組みとして、図8に示されるようなマークカードが知られている。このようなマークカードは、投票券購入者(以下ファンと記述)が公営競技における順位を当てるために、図8に示すマークカードに買い目をあらかじめ記入してから投票カードとして券売機に読みこませて投票券を得ることで、ファンが券売機に買い目情報をいちいち入力する必要がなく、発券時間の短縮と券売機のファンひとりあたりの占有時間の短縮を図るものとして実用に供されている。
【0003】
図8に示すマークカード80には、ドロップアウトカラーによって印刷されファンがマークを記入する記入枠81、82が設けられており、ファンはその記入枠内に買い目を記入することとしている。
【0004】
しかし図8に示した従来のマークカードの使用に関して、記入者の記入箇所を識別するマークカードの地紋の印刷部は、読取センサ(図示せず)で読んだ時には何も記述がないように認識させるドロップアウトカラーによる印刷がなされているため、特に高齢者によって記入がなされる場合にはマークカードの地紋の印刷部が読みづらい上に記入しにくく、また記入の際に使用された筆記具がドロップアウトカラーに近い色のものであった場合には、記入内容が認識されず、さらには記入者に例えば黒丸、黒四角、レ点、横棒、縦棒などのマークを記入させてそれを読取装置で読み取るのであるが、記入者による記入には、上記のようなマークであっても記入癖があり、記入方法によっては記入内容を読み取ることができない、というさまざまな問題点が指摘されている。
【0005】
そんな中、特許文献1には、白又は黒の無地のマークシートを原稿に混載させて画像読み取りを行い、読み取られた画像信号から濃度のヒストグラムを作成し、ヒストグラムのピークが所定の閾値を越え、またヒストグラムの所定部における面積が所定の閾値を越えるか否かの判別を行ってその原稿がマークシートであるか否かを2種類の波長光源を使用して判別する技術が開示されている。また特許文献2には、投票用マークカードに所定の文字列を非ドロップアウトカラーで印刷しておくとともに所定の文字列の周囲四方にドロップアウトカラーで印刷されたマークラインを設けておき、少なくとも2本のマークラインがマークされた場合にはマークラインにより囲まれた記入内容が有効と判断される投票用マークカードが開示されている。また特許文献3には、縦と横のマーク読取り指標延長上の矩形部分の黒画素の割合を求めてヒストグラムを作成し、未記入黒画素の割合と記入部の黒画素の割合との中間をしきい値として記入か汚れかを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−88669号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118388号
【特許文献3】特開2007−42129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら図8に示した従来のマークカードには上述したように使用に関して様々な問題点がある上、さらに上記した特許文献のいずれにも、ドロップアウトカラーで印刷された記入必須欄に記入者によって記入されたマークから記入者の癖を把握し、ドロップアウトカラー以外で印字された記入欄に記入者によって記入された記入内容を前記癖と比較してマーク有無を精度よく認識することについて些かの言及もなされていない。
【0008】
したがって本発明の目的は、ドロップアウトカラーで示された記入必須欄に記入されたマークから記入者の癖を把握し、ドロップアウトカラー以外で示された記入欄において記入された記入内容を前記癖と比較してマーク有無を精度よく認識するマークカード読取装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ドロップアウトカラーで示された記入必須欄に記入されたマークから記入者の癖を把握し、ドロップアウトカラー以外で示された記入欄において記入された記入内容を前記癖と比較してマーク有無を精度よく認識することを可能とするもので、以下に本発明の態様を列挙する。
【0010】
本発明の一態様は、ドロップアウトカラーにより記入枠が印刷された記入必須欄と、ドロップアウトカラー以外のカラーにより記入枠が印刷された任意記入欄と、を有するマークカードのマーク有無を認識するマークカード読取装置であって、該マークカード読取装置は、前記マークカードの全体イメージを画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の画像データを出力するマークカード読取手段と、あらかじめ該マークカード読取手段により、マーク未記入状態のマークカード読取結果を未記入時読取結果情報として記憶させる記憶部と、前記マークカード読取手段から出力された前記マークカード全体の画像データから、マーク記入状態のマークカード読取結果を前記記憶部に記憶された未記入時読取結果情報と比較し、その差分からマーク記入情報のみを抽出するマーク記入情報抽出手段と、該マーク記入情報抽出手段で抽出されたマーク記入情報にしたがって、前記マークカード読取手段により得られた前記記入必須欄に記入されたマークに対する画素を投影したあと、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出してマークカード記入者に特徴的な個別記入パターン情報を取得して個別記入パターン情報として記憶部に記憶するとともに、前記マーク記入情報抽出手段で抽出された前記マーク記入情報にしたがって、前記マークカード読取手段により得られた前記記入必須欄以外に記入されたマークに対する画素を投影した後、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出して記入パターン情報を取得して、前記取得された記入パターン情報と前記記憶部に記憶された個別記入パターン情報とを比較し、比較結果から両パターンが相似形であるか否かによりマーク有無を判断するマーク有無判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明の別の態様は、前記の態様において、前記マークカード読取手段は、前記画像センサで読みとるための読取光源を複数備え、該読取光源を変えることによって前記マーク有無を判断するためのパターン情報を複数得られるようにするものである。
【0012】
また本発明の別の態様は、前記記入必須欄に記入されたマークから抽出される前記記入者に特徴的な個別記入パターン情報は、マークカード記入者の記入癖を把握するために利用されることを特徴とする。
【0013】
また本発明の別の態様は、前記前処理は、X方向およびY方向における黒画素の途切れを埋めることにより記入されたマークに対する読取誤差を無くすことを特徴とする。
また本発明の別の態様は、前記黒画素のパターン抽出は、前記前処理されたX方向およびY方向における黒画素に対するヒストグラムを抽出することにより行われることを特徴とする。
【0014】
また本発明の別の一態様は、ドロップアウトカラーにより記入枠が印刷された記入必須欄と、ドロップアウトカラー以外のカラーにより記入枠が印刷された任意記入欄と、を有するマークカードのマーク有無を認識するマークカード読取方法であって、マーク未記入状態のマークカードの全体イメージを画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の画像データを未記入時読取結果情報として記憶する過程と、マーク記入状態のマークカードの全体イメージを前記画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の読取結果画像データを作成する過程と、作成した前記読取結果画像データと、記憶された前記未記入時読取結果情報とを比較し、マーク記入情報のみを抽出する過程と、抽出した前記マーク記入情報にしたがって、前記記入必須欄の記入部分に対する画素を投影した後、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出してマークカード記入者に特徴的な個別記入パターン情報を取得して、個別記入パターン情報として記憶する過程と、抽出した前記マーク記入情報にしたがって、前記マークカードの記入必須欄以外の記入部分に対する画素を投影した後、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出して記入パターン情報を取得する過程と、該抽出した記入パターン情報と、記憶された前記記入者に特徴的な個別記入パターン情報とを比較し、該比較結果から両パターンが相似形であるか否かによりマーク有無を判断する過程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ドロップアウトカラーで示された記入必須欄に記入されたマークから記入者の癖を把握し、ドロップアウトカラー以外で示された記入欄において記入された記入内容を前記癖と比較してマーク有無を精度よく認識することができる。またマークのために使用された筆記具による読取誤りを防止するとともに汚れ等のノイズによる誤認識を防ぎ、認識率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るマークカード読取装置に適用されるマークカードの構成を示す図である。
【図2】図1に示したマークカードの記入必須欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である。
【図3】図1に示したマークカードの記入必須欄以外の欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である
【図4】図3に示したマークカードの記入必須欄以外の欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である
【図5】図4に示した差分情報に対して画像処理を施し、補正した後の差分情報に対するX,Y方向の投影黒画素数の変化を検出する様子を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るマークカード読取装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係るマークカード読取装置におけるマーク認識処理の手順を説明する図である。
【図8】従来のマークカード読取装置に適用されるマークカードの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るマークカード読取装置に適用されるマークカードの構成を示す図である。図1に示すマークカード10には、ドロップアウトカラーによって記入する枠が印刷され、当該枠内に記入者が所定のマークを記入することが必須であるとされる記入必須欄11と、該記入必須欄11以外の欄12とが設けられ、該記入必須欄11以外の欄12はドロップアウトカラーに限定されず、自由な色で地紋印字する。マークカードが投票カードの場合、記入必須欄11には通常、賭式を区別する式別マーク欄などが設けられている。また記入必須欄11に地紋印字する場合には、ドロップアウトカラーで印字することとなる。これは、記入必須欄11が記入者により記入されたマークの状態を正確に把握するために設けられているからである。また、記入必須欄11以外の欄12は、自由な色で地紋印字されているため、記入者が高齢であっても、記入すべき記入欄の視認性が向上するので記入位置を誤ることなく記入することができる。
【0018】
図2は、図1に示したマークカードの記入必須欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である。まず図2の(A)は、記入必須欄11に対して未記入状態におけるイメージセンサ(画像センサ)(後述する)の出力状態を示しており、X,Y方向とも黒画素を検出しない。
【0019】
図2の(B)は、記入必須欄11に対して記入者がマークとして黒丸を記入した場合のイメージセンサ(画像センサ)(後述する)の出力状態を示しており、当該黒丸について画像処理(後述する)を行って、まずX方向における投影黒ドット数の変化を検出して、その変化の様子112をヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておくと共に、Y方向に対しても投影黒ドット数の変化を検出して、その変化の様子113をヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておく。
【0020】
図2の(C)は、記入必須欄11に対して記入者がマークとしてレ点を記入した場合のイメージセンサ(画像センサ)(後述する)の出力状態を示しており、レ点について画像処理(後述する)を行ってX,Y方向の投影黒画素数の変化を検出する。当該レ点についてまずX方向における投影黒ドット数の変化を検出して、その変化の様子114をヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておく。またY方向の場合には、レ点に対して前処理115を行って、処理すべき黒画素の補正を行っておき、その上で投影黒ドット数の変化を検出して、その変化の様子117をヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておく。メモリに分布(パターン)として記憶された前記変化の様子114,117は、上述した黒丸データと同じであるためその内容についての説明を割愛する。
【0021】
ここで、上記前処理で画素補正されたレ点116について説明すると、白→黒→白→(白)→黒→白などの変化経過を辿る場合には、白を黒に補正して黒画素の途切れを埋める処理、すなわち白→黒→(黒)→白とみなして投影黒ドット数のカウントを行うこととしている。また上述のような変化の様子112,113,114,117をX,Y方向でそれぞれヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリに記憶しておくことで、認識エリアに対しての記入位置ずれや記入サイズの違いをマーク変化状態の相似形として判断できるためマーク記入に対する判定誤りを吸収することができる。
【0022】
図3は、図1に示したマークカードの記入必須欄以外の欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である。図3において記入必須欄以外の欄12には、ドロップアウトカラーに限定されず、自由な色であらかじめ地紋印字121が施されていて、該欄12にマーク等が未記入の状態のとき、このマークカードを本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った場合、記入必須欄以外の欄12に相当する枠の読取結果131と記入必須欄以外の欄12内の印字121の読取結果132を示すイメージセンサ(後述する)の出力状態を示しており、この読取結果をあらかじめデータベース(図示せず)に登録しておき、これを後で利用する。
【0023】
また図4は、図3に示したマークカードの記入必須欄以外の欄における本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った結果を示す図である。図4において記入必須欄以外の欄12の地紋印字121が施されている部分に記入者が上記図2に示したような黒丸122を記入した場合を示しており、これを本発明の実施形態に係るマークカード読取装置で読取った場合、記入必須欄以外の欄12に相当する枠の読取結果131内にあって地紋印字121上に記入された黒丸マーク122の読取結果133がイメージセンサ(後述する)の出力状態として出力される。この出力状態において読取結果である黒丸マーク133からデータベース(図示せず)に登録してある未記入時の地紋印字121の読取結果132を減算による差分抽出134を行って、差分情報135を抽出し、これをメモリ(図示せず)に一旦記憶する。
【0024】
図5は、図4に示した差分情報に対して画像処理を施し、補正した後の差分情報に対するX,Y方向の投影黒画素数の変化を検出する様子を示す図である。図5に示すように抽出された差分情報135に対してまずX方向の前処理136を施して補正したX方向の黒画素137を得る。このX方向の黒画素137を得るに当たっては上述した図2における前処理115による黒画素補正と同様に、白→黒→白→黒→白の変化経過を辿る場合には、白→黒→黒→黒→白とみなして投影黒ドット数のカウントを行う。次いでY方向の前処理138を施して補正したY方向の黒画素139を得る。このY方向の黒画素139を得るに当たっては上述した図2における前処理115による黒画素補正と同様に、白→黒→白→白→白→白→黒→白の変化経過を辿る場合には、白→黒→黒→黒→黒→黒→黒→白とみなして投影黒ドット数のカウントを行う。このように黒画素補正した得られたX,Y方向の差分情報137、139に対してさらに前処理140,141を施して黒画素補正が完了した差分情報142を得る。この黒画素補正が完了した差分情報142に対してX方向における投影黒ドット数の変化を検出し、その変化の様子143をX方向でヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておく。またY方向における投影黒ドット数の変化を検出し、その変化の様子144をY方向でヒストグラム処理してその分布(パターン)をメモリ(図示せず)に記憶しておく。このようにしてメモリにパターン化されて記憶された変化の様子112,113(記入必須欄における記入状態)と同じくメモリにパターン化されて記憶された変化の様子143,144(記入状態)とを比較し、パターンの比較結果で両者が相似形であると確認された場合には、記入者によるマークカードの記入必須欄以外の欄におけるマーク記入有りとすることで、認識エリアに対しての記入位置ずれや記入サイズの違いに基づくマーク記入に対する判定誤りを吸収することができる。
【0025】
図6は、本発明の実施形態に係るマークカード読取装置の構成を示すブロック図である。図6において本発明の実施形態に係るマークカード読取装置は、大きな構成要素として、読取部20と、演算部30と、記憶部40と、を有して構成されている。そのうち、読取部20は、イメージセンサ部21とマークカード搬送部22とで構成される。また演算部30は、画像構成部31と、投影部32と、前処理部33と、パターン抽出部34と、差分部36と、比較判断部39とを備えて構成される。また記憶部40は、未記入時読取結果情報記憶領域41と、個別記入パターン情報記憶領域42と、マーク有無情報記憶領域43とを備えて構成される。
【0026】
図6において読取部20はマークカード10(図1参照)をマークカード搬送部22で搬送しながらイメージセンサ部21のイメージセンサでマークカード10の画像を順次読み込み画像データを採取してその結果を演算部30の画像構成部31に送る。
【0027】
一方、演算部30の画像構成部31は、マーク認識処理を開始する前提として、読取部20から送られてきた、マークカードの記入必須欄11および記入必須欄以外の欄12に未記入の状態又は地紋印字された状態を含む全ての画像データを未記入時読取結果情報として記憶部40の未記入時読取結果情報記憶領域41にあらかじめ記憶させる。そうした後にマーク認識処理(図7参照)を開始し、実際に、マークカード10をマークカード搬送部22で搬送しながら読取部20のイメージセンサにより得られた画像データを順次読み込み、画像構成部31にて記入必須欄11および記入必須欄以外の欄12に記入のある画像データを含んで読取結果画像データ35として差分部36に送出する。差分部36は、読取結果画像データ35と未記入時読取結果情報記憶領域41に記憶された未記入時読取結果情報を比較して、その差分からマーク記入情報37のみを抽出して投影部32に送出する。
【0028】
画像構成部31から出力される、前記イメージセンサにより得られた画素について、マークカード10の記入必須部分11におけるマーク記入情報37にしたがって、投影部32、前処理部33、パターン抽出部34を経て、記入者に特徴的な個別記入パターン情報を抽出し、記憶部40の個別記入パターン情報記憶領域42に記憶させる。ここにおいて投影部32は、画像構成部31から出力される、前記イメージセンサにより得られた画素について、前記マーク記入情報37を使ってマーク記入がある箇所に投影を行って(焦点を当てて)、上記図2,図4,図5において説明したようにX,Y方向における黒画素数をカウントにより求め、また前処理部33は、投影部32により投影された画素について、図2,図4,図5において説明したように黒画素補正を行い、さらにパターン抽出部34は、前処理部33により前処理(補正)された黒画素について、図2,図4,図5において説明したように、X,Y方向における黒画素の変化の状態をヒストグラム処理して分布(パターン)を得る。
【0029】
次いで画像構成部31から出力される、前記イメージセンサにより得られた画素について、マークカード10の記入必須部分以外12のマーク記入情報37にしたがって、マークカードの記入必須部分以外12に対して、投影部32、前処理部33、パターン抽出部34を経て、記入パターン情報38を抽出し、抽出した情報を比較判断部39に送る。比較判断部39は、個別記入パターン情報記憶領域42に記憶されている記入者に特徴的な個別記入パターン情報とマークカードの記入必須部分以外12の記入パターン情報38を比較して、両パターンが相似形であるか否かによって、マーク有無を判断し、その出力結果をマーク有無情報記憶領域43に記憶させる。
【0030】
図7は、本発明の実施形態に係るマークカード読取装置におけるマーク認識処理の手順を説明する図である。なお図示例ではステップを“S”と略記する。図7におけるマーク認識処理は、処理開始の前提としてマークカード10の画像全体を読取部20のイメージセンサで順次読み込み、マークカード10中の記入必須欄11および記入必須欄以外の欄12における未記入の状態又は地紋印字された状態を含むマークカード全体の画像データを演算部30の画像構成部31に送り、画像構成部31は送られてきた画像データを記憶部40の未記入時読取結果情報記憶領域41に未記入時読取結果情報として記憶させる。そうした後で、実際に、マークカード10を搬送しながら読取部20のイメージセンサにより得られた画像データを順次読み込み、画像構成部31にてマークカード全体の読取結果画像データ35を作成する(ステップS1)。次いで、差分部36にて上記読取結果画像データ35と、記憶部40の未記入時読取結果情報記憶領域41から読み取った未記入時読取結果情報を比較し、マーク記入情報37のみを抽出する(ステップS2)。そして抽出したマーク記入情報37にしたがって、マークカード10の記入必須部分11(図2参照)に対し、投影部32、前処理部33、パターン抽出部34(図6参照)を経て、記入者に特徴的な個別記入パターン情報を抽出し、記憶部40の個別記入パターン情報記憶領域42に記憶させる(ステップS3)。
【0031】
次に抽出したマーク記入情報37にしたがって、マークカード10の記入必須欄以外の記入部分12(図4参照)に対し、全てのマーク有無を判断したかを判定する(ステップS4)。そして全てのマーク有無を判断していない(ステップS4:No)場合には、ステップS5に進み、抽出したマーク記入情報37にしたがって、マークカード10の記入必須欄以外の記入部分12に対し、投影部32、前処理部33、パターン抽出部34(図6参照)を経て記入パターン情報38を抽出する(ステップS5)。次いで比較判断部39にて、記入パターン情報38と個別記入パターン情報記憶領域42に記憶されている記入者に特徴的な個別記入パターン情報とを比較する(ステップS6)。比較した上で両パターンが相似形であるか否かを判定する(ステップS7)。判定の結果、両パターンが相似形である(ステップS7:Yes)場合には、マーク有りと判断して、ステップS4に戻る。また判定の結果、両パターンが相似形でない(ステップS7:No)場合には、マーク無しと判断して、ステップS4に戻る。また全てのマーク有無を判断した(ステップS4:Yes)場合には、ステップS10に進み、マーク認識処理を終了する。
【0032】
なお、記入者が用いる筆記具の色(カラー)によってはドロップアウトされてしまう可能性があるので、イメージセンサで読みとるための読取光源を複数備え、該読取光源を変えることによって前記マーク有無を判断するためのパターン情報を複数得られるようにし、得られた複数パターン情報のいずれかでマーク有無が認識できるようにする。これにより、筆記具の色(カラー)によるマーク有無の検出漏れを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0033】
10 マークカード
11 記入必須欄
12 記入必須欄以外の欄
20 読取部
21 イメージセンサ部
22 マークカード搬送部
30 演算部
31 画像構成部
32 投影部
33 前処理部
34 パターン抽出部
35 読取結果画像データ
36 差分部
37 マーク記入情報
38 記入パターン情報
39 比較判断部
36 差分部
39 比較判断部
40 記憶部
41 未記入時読取結果情報記憶領域
42 個別パターン情報記憶領域
43 マーク有無情報記憶領域
111 マーク記入例1における読取結果(黒丸)
111’ マーク記入例2における読取結果(レ点)
112 X方向黒ドット数変化
113 Y方向黒ドット数変化
114 X方向黒ドット数変化
115 前処理
116 補正後のレ点読取結果
117 Y方向黒ドット数変化
121 記入必須欄以外の欄における地紋印字
122 地紋印字への黒丸記入状態
131 記入必須欄以外の欄の読取結果
132 地紋印字読取結果
133 地紋印字への記入状態読取結果
134 差分抽出
135 差分情報
136 前処理
137 X方向における前処理補正による差分情報
138 前処理
139 Y方向における前処理補正による差分情報
140 前処理
141 前処理
142 前処理による補正後の差分情報
143 X方向における黒ドット数変化
144 Y方向における黒ドット数変化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロップアウトカラーにより記入枠が印刷された記入必須欄と、ドロップアウトカラー以外のカラーにより記入枠が印刷された任意記入欄と、を有するマークカードのマーク有無を認識するマークカード読取装置であって、
該マークカード読取装置は、
前記マークカードの全体イメージを画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の画像データを出力するマークカード読取手段と、
あらかじめ該マークカード読取手段により、マーク未記入状態のマークカード読取結果を未記入時読取結果情報として記憶させる記憶部と、
前記マークカード読取手段から出力された前記マークカード全体の画像データから、マーク記入状態のマークカード読取結果を前記記憶部に記憶された未記入時読取結果情報と比較し、その差分からマーク記入情報のみを抽出するマーク記入情報抽出手段と、
該マーク記入情報抽出手段で抽出されたマーク記入情報にしたがって、前記マークカード読取手段により得られた前記記入必須欄に記入されたマークに対する画素を投影したあと、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出してマークカード記入者に特徴的な個別記入パターン情報を取得して個別記入パターン情報として記憶部に記憶するとともに、前記マーク記入情報抽出手段で抽出された前記マーク記入情報にしたがって、前記マークカード読取手段により得られた前記記入必須欄以外に記入されたマークに対する画素を投影した後、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出して記入パターン情報を取得して、前記取得された記入パターン情報と前記記憶部に記憶された個別記入パターン情報とを比較し、比較結果から両パターンが相似形であるか否かによりマーク有無を判断するマーク有無判断手段と、
を備えることを特徴とするマークカード読取装置。
【請求項2】
前記マークカード読取手段は、前記画像センサで読みとるための読取光源を複数備え、該読取光源を変えることによって前記マーク有無を判断するためのパターン情報を複数得られるようにすることを特徴とする請求項1に記載のマークカード読取装置。
【請求項3】
前記記入必須欄に記入されたマークから抽出される前記記入者に特徴的な個別記入パターン情報は、マークカード記入者の記入癖を把握するために利用されることを特徴とする請求項1に記載のマークカード読取装置。
【請求項4】
前記前処理は、X方向およびY方向における黒画素の途切れを埋めることにより記入されたマークに対する読取誤差を無くすことを特徴とする請求項1に記載のマークカード読取装置。
【請求項5】
前記黒画素のパターンを抽出は、前記前処理されたX方向およびY方向における黒画素に対するヒストグラムを抽出することにより行われることを特徴とする請求項1に記載のマークカード読取装置。
【請求項6】
ドロップアウトカラーにより記入枠が印刷された記入必須欄と、ドロップアウトカラー以外のカラーにより記入枠が印刷された任意記入欄と、を有するマークカードのマーク有無を認識するマークカード読取方法であって、
マーク未記入状態のマークカードの全体イメージを画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の画像データを未記入時読取結果情報として記憶する過程と、
マーク記入状態のマークカードの全体イメージを前記画像センサで読み取り、読取ったマークカード全体の読取結果画像データを作成する過程と、
作成した前記読取結果画像データと、記憶された前記未記入時読取結果情報とを比較し、マーク記入情報のみを抽出する過程と、
抽出した前記マーク記入情報にしたがって、前記記入必須欄の記入部分に対する画素を投影した後、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出してマークカード記入者に特徴的な個別記入パターン情報を取得して、個別記入パターン情報として記憶する過程と、
抽出した前記マーク記入情報にしたがって、前記マークカードの記入必須欄以外の記入部分に対する画素を投影したあと、前処理してさらに黒画素のパターンを抽出して記入パターン情報を取得する過程と、
該抽出した記入パターン情報と、記憶された前記記入者に特徴的な個別記入パターン情報とを比較し、該比較結果から両パターンが相似形であるか否かによりマーク有無を判断する過程と、
を含むことを特徴とするマークカード読取方法。
【請求項7】
前記記入必須欄に記入されたマークから抽出される前記記入者に特徴的な個別記入パターン情報は、マークカード記入者の記入癖を把握するために利用されることを特徴とする請求項6に記載のマークカード読取方法。
【請求項8】
前記前処理は、X方向およびY方向における黒画素の途切れを埋めることにより記入されたマークに対する読取誤差を無くすことを特徴とする請求項6に記載のマークカード読取方法。
【請求項9】
前記黒画素のパターン抽出は、前記前処理されたX方向およびY方向における黒画素に対するヒストグラムを抽出することにより行われることを特徴とする請求項6に記載のマークカード読取方法。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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