説明

マークカード読取装置

【課題】
宝くじや、公営競技のシステムは、マークカードの所定の位置に記入し、そのマークカードを読み取ることで、投票券などを自動発行している。このようなシステムでは、読取装置のなかのセンサ部などに汚れが混入により、誤って認識されたり、記入エラーとならないような認識処理が望まれている。
【解決手段】
マーク「有」と認識された記入枠の左右のエリアと判定すべき記入枠のエリアの濃度情報を含む認識計算を実施し、一定の比率があれるか否かでマークの妥当性をチェックし、一定の比率があれば、正しくマーク「有」と認識し、無ければゴミなどの汚れの可能性があるとして「無」と認識する。上記により、読取部のスキャナ汚れや、マークカードのインクの擦れ、ゴミなどによる誤認識を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝くじや、公営競技などのシステムで使用されているマークカードの認識処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宝くじや、公営競技のシステムは、マークカードの所定の位置に記入し、そのマークカードを読み取ることで、投票券などを自動発行している。このようなシステムでは、読取装置のなかのセンサ部などに汚れが混入により、誤って認識されたり、記入エラーとならないような認識処理が望まれている。
【0003】
従来、マークカードの読取装置としては、特開2002−251642号公報(特許文献1)に記載のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−251642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、隣接するマーク欄に広がるようなマークによる誤った読み取りを防止することができる認識処理方法が提示されている。タイミングマークの間に対応するマーク欄間の画像イメージデータを切り出して状態を認識し、長さや高さ情報により前後のマーク欄を正常・異常を判定することで、インクの擦れなどにより発生するマークの誤認識による間違った投票券の発行を防止できるが、下記問題があった。
【0006】
(1)実際に判定するマーク欄の情報を使用せず判定するため、インク擦れや、汚れなどによりマーク欄が「有り」と判定されてもエラー検出することができない。
【0007】
(2)タイミングマークの間に対応するマーク欄間の連続した長さ、高さのみで前後のマーク欄を判定しているが、実際のインク擦れや、汚れなどは、濃度差や、擦れ、途切れなどあるために、正確に判定できない。
【0008】
(3)実際に判定するマーク欄が「有り」でその隣接する部分に擦れなどがあると、擦れや汚れの特徴をチェックしていないため、正常に読み取っても問題ないマーク欄もエラーにしてしまう。
【0009】
(4)マーク欄が2個続いた場合、1つが擦れの可能性有りとして、タイミングマークの間に対応するマーク欄間の画像イメージデータを切り出して状態を認識しているため、マーク欄が1個単独で「有り」となった場合は、擦れや汚れのチェックができない。
【0010】
本発明は、これらの課題に鑑み、マーク欄で「有り」と判定された部分に関してのみ、該当マーク欄と、前後のタイミングマークの間に対応するマーク欄間の画像イメージデータとその濃度情報を使用して実際のインク擦れや、ゴミによる汚れなどの濃度情報と、判定するマーク欄の濃度情報などにより、正確な認識処理するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
マーク「有」と認識された記入枠の左右のエリアと判定すべき記入枠のエリアの濃度情報を含む認識計算を実施し、一定の比率があれるか否かでマークの妥当性をチェックし、一定の比率があれば、正しくマーク「有」と認識し、無ければゴミなどの汚れの可能性があるとして「無」と認識する。上記により、読取部のスキャナ汚れや、マークカードのインクの擦れ、ゴミなどによる誤認識を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読取部のスキャナ汚れや、マークカードのインクの擦れ、ゴミなどによる誤認識を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明における汚れ検知機能を示す説明図である。図1に示すようなマークカードを搬送しながら、スキャナにて画像イメージを取得し、画像イメージからタイミングマークを元に記入枠のマーク有無を判定している。図1では読み取り途中から汚れがついた例で、画像イメージでは横線が入ったように見える。
【0015】
(1)、(2)ともに記入枠の判定結果はマーク「有」である。(1)の部分においては、汚れのみで本来「有」と判定していけない。マークカード全体について、通常通り記入欄の認識を実施し、その結果、マーク「有」と認識した部分について、ゴミなどの汚れの影響でご認識していないかチェックする。
【0016】
マーク「有」と認識された記入枠の左右のエリアと判定すべき記入枠のエリアの濃度情報を含む認識計算を実施し、一定の比率があれるか否かでマークの妥当性をチェックし、一定の比率があれば、正しくマーク「有」と認識し、無ければゴミなどの汚れの可能性があるとして「無」と認識する。
【0017】
(1)の場合は、記入枠と左の判定エリアを比較すると濃度比が規定値ないため、画像汚れの可能性があると認識し、認識結果を「無」とする。(仮に左チェックで濃度比があれば、右側を実施するが、本例の場合は、左チェックで濃度比がないため、ここで処理をやめる) (2)の場合は、記入枠と左の判定エリアを比較すると濃度比が規定値有り、また、記入枠と右の判定エリアを比較すると濃度比が規定値有るため、画像汚れの可能性が無いと認識し、認識結果を「有」とする。
【0018】
上記により、読取部のスキャナ汚れや、マークカードのインクの擦れ、ゴミなどによる誤認識を防止できる。
【0019】
図2は、実施例1としてマークカード読取部100の概略構成を示す説明図である。マークカード読取部100は、媒体挿入部101、搬送機構部102、媒体排出部103、制御部104、読取部105を備えている。
【0020】
媒体挿入部101は、記入されたマークカード106を挿入する部分である。搬送機構部102は、マークカード106を搬送する部分である。媒体排出部103は、読み取ったマークカードを排出する部分である。制御部104は、全体のエレキ的制御を行う部分である。
【0021】
読取部105は、記入されたマークカード106の表面をスキャナで読み取りる部分である。 全体の動きとしては、記入されたマークカードが挿入すると、搬送機構部で搬送し、読取部で画像イメージを読み取り、排出部に排出される。制御部で認識した結果を表示または、上位へ送信する。
【0022】
図3は、実施例1におけるマークカード読取装置の構成例を示す説明図である。マークカード読取部200は、演算部201、制御部202、通信制御部212、記憶部203、挿入/排出機構制御部207、搬送機構制御部208、イメージ読取制御部209と、顧客操作部210、投票券発券部で構成されている。
【0023】
演算部201は、各種プログラムの演算を行う。制御部202は、各種プログラムやタスクの制御を行う。記憶部203は、各種プログラムや、パラメータ等の記憶を行う。本体制御プログラム部204は、装置全体の制御と、各種プログラム、各制御部の制御を行う。マーク認識プログラム部205は、取得したイメージデータをもとにタイミングマーク位置などを割り出し、記入枠のマーク有無判定を行う。
【0024】
1次2次判定パラメータ格納部206は、1次、2次判定で使用する各種判定に必要なパラメータを格納する。挿入/排出機構制御部207は、媒体の挿入、媒体の排出制御を行う。搬送機構制御部208は、媒体の搬送全般の制御を行う。イメージ読取制御部210は、感度設定、印刷色や検出ビット数の制御、イメージデータの読取制御を行う。
【0025】
顧客操作部210は、LCD表示制御や、タッチパネルやスイッチの制御を行う。投票券発券部211は、記入されたマークカードの読取結果に基いた投票券の発券を行う。通信制御部212は、上位装置などとの通信の制御を行う。
【0026】
図4は、実施例1における全体動作フローを示す説明図である。読取部で取得した画像イメージデータをもとに認識処理を実施する。通常通りマーク全体判定(マーク有無)判定する。マーク有と判定した記入枠(N個)について、左右2箇所の余白部の「画像汚れ」有無を判定する。N個全て第1判定OK?であれば、正常終了する。N個全て第1判定OK?でなけば、次処理を行う。
【0027】
第1判定NGの記入枠(M個)について記入枠と余白の濃度比により「画像汚れ」(マーク妥当性)を判定する。M個全て第2判定OK?であれば、正常終了する。M個全て第2判定OK?でなければ、スキャナ部汚れ有りとして表示または、上位へ応答する。
【0028】
本発明では、マーク認識処理でマーク有と判定されたマークについて、汚れの可能性があるものを抽出し“記入マーク”か“汚れ”かを識別する。
【0029】
(a)〜(c)の順で処理を進める。
(a)第1次判定と第2次判定の2ステップでゴミを検知する。
(b)第1次判定の目的は、明らかに“記入マーク”を素早く検出して、汚れと思われる記入マーク見つけ出し、第2次判定に移行する。マークの有無判定(濃度レベル中以上のマーク)に対して、
(第1判定)
A:周りが汚れていないマーク
B:記入枠がしっかりしたマーク(高い濃度)である事
1つでも汚れと思われる記入マークを2次判定に移行する。
(c) 第2次判定の目的は、第1次判定で汚れと思われるマークを“記入マーク”か“汚れ”かを識別する。汚れと思われるマークに対して1つでも汚れと識別した場合は、“読取部汚れエラー”とする。例えば、顧客操作部では清掃メッセージなどが表示される。
【0030】
図5は、実施例1に1次判定、2次判定詳細フローを示す説明図である。動作は、(1)〜(4)の順で処理を進める。記入枠のマーク有無判定は、記入枠内の全ての画素毎の多値データから記入枠としての濃度レベルを算出している。本実施例では、濃度計算結果を3段階(大・中・小)とし、中以上をマーク有りと判定している。また、濃度計算結果の中は薄め、大以上はしっかりしたマークと位置付け以下判定を実施するものとする。
(1)マーク有り(濃度レベル大以上)の場合は、2次判定へ移行する。
(2)感度レベル中以上〜濃度レベル大未満のマークについて、マーク有位置の左右余白エリアを以下の方法で、汚れ有無チェックを行う。
【0031】
図6は、実施例1における1次判定の説明図である。本実施例では、仮想余白エリアサイズ縦10画素×横3画素のエリアとして説明する。また、第1判定は、処理時間を短縮のため、横の真ん中1ラインをチェックする。左右余白のそれぞれについて、10画素×1画素のエリアの規定濃度以上の画素をカウント)し汚れの可能性があるかどうか判定する。
・規定濃度以上が2画素未満 ⇒ 「汚れ可能性無」
・規定濃度以上が2画素以上 ⇒ 「汚れ可能性有」
(例えば、左→右の順で処理する場合、左で汚れ可能性有と判断された場合、右は認識せず2次判定に移行する。)
本実施例では、タイミングマークの中心に、仮想余白エリアサイズ(10×3)としているが、位置はタイミングマーク間の中心でなくてもよいし、仮想余白エリアサイズも任意でもよい。
【0032】
本処理の目的は、処理時間を短くするために、仮想余白エリア部分の一部(1ライン)だけで、汚れの可能性があるか簡易チェックしている。ライン数などは任意でもよい。また、判定する濃度や画素数も任意でよい。
【0033】
次に、第2次判定、の詳細仕様(検出アルゴリズム)を説明する。「汚れ可能性有」マーク位置について、下記(3)(4)のチェックを行い、「記入マーク」か「非記入マーク」か「汚れ」かを判定する。図7は、実施例1における2次判定の説明図である。
【0034】
(3)「汚れ可能性有」マーク位置について、マーク高さチェックを行い、記入マークなのか汚れなのかを判定する。汚れと判断された場合は、マークなしに変換する。
・マーク高さ 規定値未満 ⇒ 「非記入マーク」に変換
・マーク高さ 規定値以上 ⇒ 判定(4)へ移行
なお、マーク高さは、任意でよい。
【0035】
(4)記入マーク対象の左右余白を、仮想余白エリアとして、記入枠と同様のマーク認識を行い、マーク濃度を求めて、記入マークと左右の仮想余白エリアを濃度比較を行う。左右の仮想余白エリア、記入枠の各濃度レベルを比較、記入枠の濃度レベル対して、左あるいは右仮想余白エリアマークの±50%以内の濃度レベル差であれば、汚れと判断し“汚れエラー”をセットする(例えば、左→右の順で処理する場合、左で汚れと判断された場合、右は認識しない)。なお、濃度レベル差(比率)は、任意でよい。また、第1判定、第2判定内容は、必要な内容だけ実施したり、順番を入替えてもよい。
【0036】
以上説明した実施例によれば、読取部のスキャナ汚れや、マークカードのインクの擦れ、ゴミなどによる誤認識を防止できる。なお、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明における汚れ検知機能を示す説明図である。
【図2】本発明におけるマークカード読取部100の概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明におけるマークカード読取装置の構成例を示す説明図である。
【図4】本発明における全体動作フローを示す説明図である。
【図5】本発明における1次判定、2次判定詳細フローを示す説明図である。
【図6】本発明における1次判定の説明図である。
【図7】本発明における2次判定の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
100‥マークカード読取部、101‥媒体挿入部、102‥搬送機構部、103‥媒体排出部、104‥制御部、105‥読取部、106‥マークカード、200‥マークカード読取部、201‥演算部、202‥制御部、203‥記憶部、204‥本体制御プログラム部、205‥マーク認識プログラム部、206‥1次2次判定パラメータ格納部、207‥挿入/排出機構制御部、208‥搬送機構制御部(ゲート切替含)、209‥イメージ読取制御部、210‥顧客操作部、211‥投票券発券部、212‥通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーク記入済みのマークカードを挿入する挿入部と、
前記挿入されたマークカードを搬送する搬送機構と、
前記マーク記入済みのマークカードの記入内容を読み取る読取部と、
前記内容が読み取られたマークカードを排出する排出部と、
からなるマークカード読取装置であって、
前記マークカードに記入されたマークと汚れとを判別する制御部を有することを特徴とするマークカード読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマークカード読取装置であって、
前記制御部は前記マークカードのマーク記入枠部と左右余白部との濃度比を用いて記入済みマークと汚れとを判別することを特徴とするマークカード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−48167(P2007−48167A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233886(P2005−233886)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】