説明

マーク検出装置

【課題】マークシート等の原稿上におけるマークを、ユーザーに面倒な操作を要求することなく、従来よりも低減されたコストで精度良く検出可能にする
【課題を解決するための手段】複合機1は、原稿読取部5により読み取られた未記入マークシート及び記入済マークシートの両読取データの差分を算出する差分算出部103と、記入済マークシートの読取データにおいて、差分算出部103により算出された差分が所定値よりも大きい値となって集合する領域を、変換部102による変換処理及びクライアントコンピューター7の判別部74による判別処理を行うマークシート領域として判定する領域判定部104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク検出装置に関し、特に、マーク検出装置による原稿の読み取りで得た読取データに基づいて、当該原稿上にマークの記載があるか否かを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マークシート等の特殊原稿上に記載されたマークを読み取る装置として、OMR(Optical Mark Reading:光学式マーク読取)装置が知られている。このOMR装置は、原稿表面に光を照射した反射光に基づいて、当該原稿上にマークが存在するか否かを検出するものである。また、特許文献1には、画像形成装置によりマークシートを読み取る場合に、マークシートに応じた適切な解像度等を設定することによって、マークシート読取時の読取時間を短縮する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−354212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マークシート等の原稿に記載されたマークの有無(マークか否か)を検出するためには、上記OMR装置が必要であるため、当該マーク検出を行う者はOMR装置を購入する必要があるが、OMR装置の購入はコスト面での負担を生じさせるため、当該コスト面での負担を軽減することが望まれる。また、特許文献1に示されるような画像形成装置によりマークシートを読み取る場合には、マークの読取精度を更に向上させることが望まれる。さらには、マーク検出時にユーザーに要求される操作は、簡単であることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、マークシート等の原稿上におけるマークを、ユーザーに面倒な操作を要求することなく、従来よりも低減されたコストで精度良く検出可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、原稿上の画像を読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた読取データが示す画像の各部分を、OCR処理により、予め定められた複数の標準パターンのいずれに一致するかを照合し、一致するとされた当該標準パターンに対応付けられたキャラクターに変換する変換部と、
前記変換部による変換後のキャラクターが、予め定められた第1の基準キャラクターである場合に、前記原稿上における前記判別対象とされた画像部分がマークであると判別し、前記変換部による変換後のキャラクターが当該第1の基準キャラクターではない、又は前記変換部によるキャラクターへの変換が不可能である場合に、前記原稿上における前記判別対象とされた画像部分がマークではないと判別する判別部と、
前記読取部によって原稿として読み取られた未記入マークシートの読取データと、記入済マークシートの読取データの差分を算出する差分算出部と、
前記記入済マークシートの読取データにおいて、前記差分算出部によって算出された差分が予め定められた値よりも大きい値となって集合する領域を検出し、当該検出した領域を、前記変換部による変換処理及び前記判別部による判別処理を行うマークシート領域として判定する領域判定部とを備え、
前記変換部及び前記判別部は、前記記入済マークシートの読取データであって、前記領域判定部によって判定されたマークシート領域となる読取データに対して、前記変換処理及び前記判別処理を行うマーク検出装置である。
【0007】
この発明によれば、上記変換部が、読取部によって読み取られた読取データをOCR処理によりキャラクターに変換し、判別部は、当該変換後のキャラクターが上記第1の基準キャラクターである場合に、原稿上における上記判別対象とされた画像部分がマークであると判別し、当該第1の基準キャラクターではない、又はキャラクター変換不可能であった場合に、原稿上における前記判別対象とされた画像部分がマークではないと判別する。このため、OMR処理を行うための特別な装置を購入しなくても、OCR処理が可能な画像形成装置等の読取装置を用いて、マークシート等の原稿上におけるマーク有無の判別が可能となる。
【0008】
また、一旦OCR処理によるキャラクター変換を行って、当該変換されたキャラクターに基づいてマークか否かを判別するため、読取データの示す画像の形状から直接にマークか否かの検出を行う得場合よりも精度を向上させることができる。これにより、企業や事務所等の職場環境に一般的に備えられている画像形成装置等を用いて、当該マークを精度良く検出でき、OMR装置を購入する必要がない分、従来よりも低減されたコストで当該マークの検出が可能になる。
【0009】
さらに、差分算出部が、読取部によって読み取られた未記入マークシートの読取データと、記入済マークシートの読取データの差分を算出し、領域判定部が、記入済マークシートの読取データにおいて、当該差分が予め定められた値よりも大きい値となって集合する領域を、変換部による変換処理及び判別部による判別処理を行うマークシート領域として判定し、変換部及び判別部が、上記記入済マークシートの読取データであって、当該マークシート領域となる読取データに対して、変換処理及び判別処理を行わせる。
【0010】
このため、同一の原稿に、上記変換処理及び判別処理によるマーク検出の対象とする領域と、当該マーク検出の対象としない領域とが混在する場合であっても、ユーザーにマーク検出の対象とする領域を判定する操作を求めることなく、当該マーク検出の対象とする領域を的確に抽出して、当該抽出した領域にのみ変換処理及び判別処理を行うことが可能となる。これにより、マーク検出時にユーザーに要求される操作が、簡単になる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマーク検出装置であって、前記変換部及び前記判別部は、前記マークシート領域となる前記記入済マークシートの読取データに対して前記変換処理及び前記判別処理を行い、
前記マークシート領域以外の領域の読取データに対しては、予め指定された内容での処理が行われるものである。
【0012】
この発明によれば、上記マークシート領域となる読取データに対しては、変換部による変換処理及び判別部による判別処理を行って上記マーク検出の判別結果を得るようにし、マークシート領域以外の領域となる読取データに対しては、例えば、単に読取部による読取で得られた読取データ(ビットマップ形式、JPEG形式、TIFF形式等)のままとしたり、変換部による上記キャラクター変換のみを行うものとすることが可能である。このため、領域判定部により判定されたマークシート領域か否かに応じて、読取データに対して異なる処理を行うことが可能になる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のマーク検出装置は、前記差分算出部は、前記読取部によって読み取られる複数の原稿の読取データのうち、データ量が最も少ない読取データを、前記未記入マークシートの読取データとして用いるものである。
【0014】
この発明によれば、差分算出部が、読取部によって読み取られる複数の原稿の読取データのうち、最もデータ量が少ない読取データを、未記入マークシートの読取データとして用いるので、ユーザーは、上記差分を算出するために用いる未記入マークシートの画像データを当該マーク検出装置に認識させる特別な操作を行う必要がない。例えば、ユーザーは、未記入マークシートと記入済マークシートを区別せずに読取部に一度に読み取らせても、上記マークシート領域を判定して、当該マークシート領域をマーク検出の対象とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マークシート等の原稿上におけるマークを、ユーザーに面倒な操作を要求することなく、従来よりも低減されたコストで精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】マーク検出装置の一部をなす画像読取装置としての複合機の機械的構成を示す断面図である。
【図2】複合機の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】マーク検出装置によるマーク検出処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図4】原稿表面の例を示す図である。
【図5】原稿上に印刷された印の画像及び当該印内に記入されたマークの画像の例を示す図である。
【図6】差分算出部によって算出された差分のマッピング例を示す図である。
【図7】差分の値が大きい画素の分布を示す分布マップの例を示す図である。
【図8】集計データの例を示す図である。
【図9】(A)は変換部によって変換されたキャラクター群の例を仮想的に示す図、(B)は数式の例を示す図、(C)は集計値列の例を示す図である。
【図10】マーク検出装置によるマーク検出処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図11】マーク検出装置によるマーク検出処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るマーク検出装置としての画像読取装置及びコンピューターについて図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係るマーク検出装置は、画像読取装置が有する一部の構成と、コンピューターが有する一部の構成とを備えてなる。図1は、当該マーク検出装置の一部をなす画像読取装置としての複合機の機械的構成を示す断面図である。複合機1は、コピー機能、プリンター機能、スキャナ機能、およびファクシミリ機能等の複数の機能を兼ね備えている。複合機1は、装置本体2と、装置本体2の側方(図1においては左方)に配設された給送装置3とを備える。装置本体2は、本体部20と、手差しトレイ4と、装置本体2の上部に配設された原稿読取部(読取部)5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部(読取部。但し、読取部として必須ではない)6とを備えている。
【0019】
また、複合機1のフロント部には、操作部47が設けられている。操作部47は、スタートキー471、テンキー472、表示部473、リセットキー474、及びストップキー475等を備えている。
【0020】
表示部473は、複合機1が備える前記の各機能に関する操作ガイド情報等を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)等からなる液晶ディスプレイであり、前記各機能を利用する際に必要な各種設定をユーザーが入力可能とするためにタッチパネル機能を有している。
【0021】
スタートキー471は、ユーザーが印刷実行指示を入力するためのキーである。テンキー472は、印刷部数等の数値を入力するためのキーである。リセットキー474は、表示部473で設定された設定内容をリセットするためのキーである。ストップキー475は、実行中の印刷動作を停止させるためのキーである。
【0022】
原稿読取部5は、CCD(ChargeCoupled Device)及び画像照射ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52と、原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成されている。原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、スキャナ部51は、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、当該原稿面を走査しつつ取得した前記原稿の画像データを後述する主制御部100へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、スキャナ部51は、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿給送部6による前記原稿の搬送動作と同期して、当該搬送動作により搬送された当該原稿を、原稿読取スリット53を介して読取し、当該読み取った原稿の画像データを主制御部100へ出力する。
【0023】
原稿給送部6は、原稿が載置される原稿載置台61と、画像読み取り済みの原稿が排出される原稿排出部62と、原稿搬送機構63と、を備える。原稿搬送機構63は、図略の給紙ローラ、搬送ローラ、及び用紙反転機構を備えている。原稿搬送機構63は、給紙ローラ及び搬送ローラの駆動により、原稿載置台61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能とした後、原稿排出部62へと排出する。また、原稿搬送機構63は、用紙反転機構が原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送することで、当該原稿の両面の画像を、原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能にしている。
【0024】
さらに原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように装置本体2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0025】
装置本体2は、それぞれサイズが異なる記録用紙(記録媒体の一例)を収納する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録用紙に画像を形成して出力する画像形成部40とを備える。
【0026】
画像形成部40は、画像形成機構12と、定着部45とを備える。画像形成機構12は、給紙カセット461、給送装置3、及び手差しトレイ4から給紙された記録用紙Pにトナー像を形成する画像形成動作を行う。画像形成機構12は、中間転写ベルト125と、この中間転写ベルト125に隣接して配設された、マゼンタ用、シアン用、イエロー用及びブラック用にそれぞれの画像形成ユニット12M,12C,12Y,12Bと、中間転写ベルト125を無担走行させる駆動ローラ125aと、二次転写ローラ41とを備えている。
【0027】
各画像形成ユニット12M,12C,12Y,12Bは、それぞれに、感光体ドラム121と、現像装置122と、トナーカートリッジ(図略)と、帯電装置123と、露光装置124と、一次転写ローラ126と、ドラムクリーニング装置127とを備えている。
【0028】
主制御部100は、プリントジョブ等の実行時に、各色毎の画像形成ユニット12M,12C,12Y,12Bを駆動制御して、中間転写ベルト125の表面に、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのトナー像の転写を重なり合うように行わせ、カラーのトナー像を中間転写ベルト125の表面に形成させる(中間転写(一次転写))。
【0029】
二次転写ローラ41は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーの上記トナー像を、用紙搬送部411から搬送されてきた記録用紙Pに転写させる。当該トナー像が転写された記録用紙Pは定着部45により当該トナー像が定着される。
【0030】
用紙搬送部411は、用紙搬送路L1と、用紙逆送路L2と、搬送ローラ463、464、及び465を備え、用紙搬送路Lに設けられた搬送ローラ463及び464の駆動により、トナー像が定着された記録紙をスタックトレイ71は排出トレイ48まで搬送する。
【0031】
画像形成部40が記録用紙の両面に画像を形成して出力する場合には、用紙搬送部441は、画像形成部40において一方の面に画像が形成された前記記録用紙を、排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とした後、当該記録用紙を搬送ローラ463の反転によりスイッチバックさせて用紙逆送路L2に送ることで画像形成部40の上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部40により当該記録用紙の他方の面に画像が形成される。
【0032】
次に、複合機1の構成を説明する。図2は複合機1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0033】
複合機1は、制御ユニット10を備える。制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、複合機1の全体的な動作制御を司る。
【0034】
制御ユニット10は、原稿読取部5、画像処理部31、画像形成部40、操作部47、ファクシミリ通信部92、HDD(ハードディスクドライブ)81、並びに、ネットワークインターフェイス部91と接続されている。
【0035】
制御ユニット10は、主制御部100と、ネットワーク制御部101と、変換部102と、差分算出部103と、領域判定部104とを備えている。
【0036】
主制御部100は、上述した複合機1の全体的な動作制御を司る。主制御部100は、スキャナ機能、プリンター機能、コピー機能及びプリンター機能の各機能についての動作制御を実行するために必要な各機構部の駆動及び処理を制御する。
【0037】
ネットワーク制御部101は、LAN又はインターネットを通じて外部装置、例えばクライアントコンピューター7等とのネットワーク通信を行うための制御を担当する。例えば、ネットワーク制御部101は、ネットワークインターフェイス部91から、後述する変換部102により変換された変換後のキャラクター群からなるデータをクライアントコンピューター7等に送信する。
【0038】
変換部102は、原稿読取部5によって読み取られた読取データが示す画像の各部分を、予め定められた複数の標準パターンのいずれに一致するかを照合し、一致するとされた当該標準パターンに対応付けられたキャラクターにOCR処理により変換する。例えば、変換部102は、文字や記号等のキャラクターを示す画像として、当該各文字や記号等毎に対応付けられたそれぞれの画像を示すパターンを上記標準パターンとして複数予め記憶している。変換部102は、当該標準パターンをテンプレートとして用い、原稿読取部5によって読み取られた読取データが示す画像の各部分に対して、当該テンプレートを重ねながら順次一致するか否かを照合し、標準パターンと当該各部分について画素データレベル対応の相関を調べることにより、当該テンプレートと同じ又は近似する画像部分を上記読取データから検出する(パターンマッチング)。変換部102は、このように検出したテンプレートと同じ又は近似する画像部分を、当該テンプレートに対応付けられたキャラクターに変換する。
【0039】
差分算出部103は、原稿読取部5によって原稿として読み取られた未記入マークシートの読取データと、記入済マークシートの読取データの差分を算出する。差分算出部103による当該差分算出処理の詳細は後述する。ここで、マークシートとは、白抜き正方形状の印pが印刷されており、当該印pにより記入者がマークを記入すべき位置が示された用紙である。未記入マークシートとは、当該マークシートに記入者が未マークを記入しておらず、上記印p等の当初から用紙に印刷されている画像のみを表面に有するマークシートである。記入済マークシートとは、当該マークシート上の白抜き正方形状の印p内に記入者により既にマークが記入された状態のマークシートをいう。また、当該マークとは、原稿としてのマークシート上に印刷により示された指定位置に筆記具での塗りつぶし等により人の手書き等で記入された印をいう。例えば、原稿の全部又は一部が所謂マークシートである場合に、当該マークシート上の所定箇所に、人により筆記具で記入された印等が当該マークである。
【0040】
領域判定部104は、記入済マークシートの読取データにおいて、差分算出部103によって算出された差分のうち、予め定められた値よりも大きい値となる差分が集合して存在する領域を検出し、当該検出した領域を、変換部102による変換処理、及びクライアントコンピューター7の判別部74による判別処理を行うマークシート領域として判定する。
【0041】
なお、記入済マークシートの読取データであって、領域判定部104によって判定された上記マークシート領域となる読取データに対しては、変換部102が上記変換処理を行い、判別部74が判別処理を行う。
【0042】
原稿読取部5のスキャナ部51は、画像照射ランプ511及びCCDセンサー512を備える。スキャナ部51は、画像照射ランプ511により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー512で受光することにより、原稿から画像を読み取る。
【0043】
画像処理部31は、原稿読取部5で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部31は、原稿読取部5により読み取られた画像が画像形成部40により画像形成された後の品質を向上させるために、予め定められた画像処理を行う。画像処理部31は、補正部311及び画像加工部312を備える。補正部311は、画像形成部40の画像出力プロセスデータとしての帯電装置123の出力電圧、露光装置124の露光光量、現像装置122の現像バイアス電圧、一次転写ローラ126の転写バイアス、二次転写ローラ41の転写バイアス等の値を調整する。画像加工部312は、例えば、原稿読取部5で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行い、或いは、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。画像処理部31により処理された画像データは、画像メモリー35に記憶され、又は、画像形成部40或いはファクシミリ通信部92等に出力される。
【0044】
画像メモリー35は、上記原稿読取部5で読み取られた画像データ等を記憶する。
【0045】
用紙搬送部411は、図1に示した給紙カセット461、給紙ローラ462、及び搬送ローラ463,464,465等から構成され、給紙カセット461に収納されている記録用紙を画像形成部40及び排出トレイ48まで搬送する。
【0046】
画像形成部40は、上述したように、画像形成ユニット12M、12C、12Y、12Bと、駆動ローラ125aに張架された中間転写ベルト125と、二次転写ローラ41等を備えている。画像形成部40による画像形成対象となる画像データは、原稿読取部5で読み取られた画像データ、LAN及びネットワークインターフェイス部91を介してローカルエリア内のクライアントコンピューター7等から送信されてきた画像データ等から送信されてきた画像データ等である。
【0047】
操作部47は、表示部473等を備え、表示部473によるタッチパネル機能及び上述した各操作キー群により複合機1についてのユーザーからの指示を受け付ける。
【0048】
ファクシミリ通信部92は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。ファクシミリ通信部92は、例えば原稿読取部5によって読み取られた原稿の画像データを、電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0049】
HDD(ハードディスクドライブ)81は、原稿読取部5によって読み取られた画像データ及び同画像データに設定されている出力形式等の種々のデータ等を記憶する。HDD81に記憶されている画像データは、複合機1及びこれに採用される各種プログラムで用いられる。
【0050】
ネットワークインターフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN5等を介して、クライアントコンピューター7等と種々のデータの送受信を行う。例えば、ネットワークインターフェイス部91は、ネットワークインターフェイス部91及びLAN5等を介して、変換部102によって変換されたキャラクター群からなるデータをクライアントコンピューター7に送信する。
【0051】
クライアントコンピューター7は、ネットワーク制御部70と、主制御部72と、表示部73と、判別部74と、表示制御部75と、集計部78と、操作部701とを備える。ネットワーク制御部70は、ネットワークを通じたデータ通信を制御する。主制御部72は、クライアントコンピューター7の全体的な動作制御を司る。CPU、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成されてクライアントコンピューター7に備えられる制御ユニットがネットワーク制御部70乃至集計部78として機能してもよいし、ネットワーク制御部70乃至集計部78のそれぞれが回路により別個に構成されていてもよい。
【0052】
なお、クライアントコンピューター7は、当該マーク検出装置の一部をなすコンピューターの一実施形態である。
【0053】
判別部74は、例えば、変換部102によって変換されるキャラクターのうち、黒一色の四角形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似た

…等の複数のキャラクターを第1の基準キャラクターとして予め記憶している。
【0054】
判別部74は、複合機1の変換部102による上記変換後のキャラクターが、予め定められた第1の基準キャラクターであるか否かを判断し、当該キャラクターが第1の基準キャラクターであれば、複合機1の原稿読取部5によって読み取られた読取データにおける当該キャラクターに対応するとされた画像部分がマークであると判別し、変換部102による上記変換後のキャラクターが第1の基準キャラクターではない場合、又は、変換部102によるキャラクターへの変換が不可能である場合には、前記変換部102による変換対象とされた画像部分がマークではないと判別する。
【0055】
表示制御部75は、表示部73に表示を行わせるための表示制御を行う。
【0056】
集計部78は、原稿読取部5によって読み取られた読取データが示す画像の各部分について上記判別部74により判別されたマークであるか否かの判別結果を集計する。
【0057】
操作部701は、例えばキーボード又はマウスポインタ等を備え、クライアントコンピューター7による動作及び処理についてのユーザーからの指示を受け付ける。
【0058】
次に、マーク検出装置によるマーク検出処理の第1実施形態を説明する。図3はマーク検出装置によるマーク検出処理の第1実施形態を示すフローチャートである。図4は原稿表面の例を示す図である。図5に、原稿m上に印刷された印pの画像、及び当該印p内に記入されたマークの画像の例を示す図である。図6は、差分算出部103によって算出された差分のマッピング例を示す図である。図7は、差分の値が大きい画素の分布を示す分布マップの例を示す図である。図8は、集計データの例を示す図である。図9は、(A)は変換部によって変換されたキャラクター群の例を仮想的に示す図、(B)は数式の例を示す図、(C)は集計値列の例を示す図である。
【0059】
ユーザーによる操作部47の操作で、原稿読取部5によって読み取られた読取データの示す画像から、予め定められたマークの形状を示す画像を検出するマーク検出処理の実行を求めるマーク検出指示が操作部47に入力されると(S1でYES)、主制御部100は、表示部473に、未記入のマークシートを原稿として原稿読取部5に読み取らせることを促す旨のメッセージを表示させ、ユーザーから、未記入のマークシートの読込を実行する未記入シート読込指示が操作部47に入力されるのを待機する(S2)。
【0060】
ユーザーにより未記入シート読込指示が操作部47に入力され、主制御部100が当該指示を受け付けると(S2でYES)、主制御部100は、原稿読取部5に、この時点で原稿載置台61又は原稿第52に載置されている原稿を、未記入のマークシートとして読み取らせる(S3)。
【0061】
例えば、図4に示すように、当該読取の対象とする未記入のマークシートの表面上には、白抜きの正方形状の印pが印刷されており、当該印pにより記入者がマークを記入すべき位置が示されている。
【0062】
続いて、主制御部100は、表示部473に、記入済のマークシートを原稿として原稿読取部5に読み取らせることを促す旨のメッセージを表示させ、ユーザーから、記入済のマークシートの読込を実行する記入済シート読込指示が操作部47に入力されるのを待機する(S4)。
【0063】
ユーザーにより上記記入済シート読込指示が操作部47に入力され、主制御部100が当該指示を受け付けると(S4でYES)、主制御部100は、原稿読取部5に、この時点で原稿載置台61又は原稿第52に載置されている原稿を、記入済のマークシートとして読み取らせる(S5)。なお、複数の原稿が原稿載置台61に載置されている場合は、主制御部100は当該全ての原稿を原稿読取部5に読み取らせる。
【0064】
例えば、当該読取の対象とする記入済みのマークシートの表面上には、印pで囲まれた領域に記入者がマークを筆記具等で書き込むことによって記されたマークが記載されている。印p及び印pを示す四角形状の内側全てが塗りつぶされた黒一色の四角形状の画像又はこれ近似する画像となるマークmkは、図5に例を示す形状となる。このようにマークが記入された記入済みのマークシートを原稿として原稿読取部5が読み取ると、印pの画像と(マーク未記入箇所)、当該印p内に記入されたマークmkの画像と、更には、マークシート上に記載された各種の文字又は図形等が読み取られる。
【0065】
なお、上記S1の当該マーク検出指示、S2の未記入シート読込指示、及びS4の記入済シート読込指示は、ユーザーによるクライアントコンピューター7の操作部701の操作により当該クライアントコンピューター7に入力され、ネットワーク制御部70が複合機1側に当該マーク検出指示を出力し、複合機1のネットワーク制御部101が当該各指示を受け取り、主制御部100が当該各指示に従って、上述した各処理を行うようにしてもよい。
【0066】
そして、差分算出部103は、S3において得られた未記入マークシートの読取データと、S5で得られた記入済マークシートの読取データの差分を算出する(S6)。例えば、差分算出部103は、S3で得られた未記入のマークシートの読取データが示す画像と、S5で得られた記入済のマークシートの読取データが示す画像とを画素値レベルで比較し、これら両画像の領域において同一の位置となる画素同士の画素値の差分を算出し、これら各画素同士の画素値の差分を、当該各画素の位置に応じて配列して示すマッピングを作成する。S5で読み取られるマークシートが複数の場合は、差分算出部103は、上記差分を、S3で得られた未記入のマークシートの読取データが示す画像に対して、S5で得られた複数の記入済のマークシートの読取データが示す画像のそれぞれを比較して画素単位で算出し、さらに、読取データの示す画像を構成する各画素位置毎に、全ての記入済マークシートの読取データが示す画像の各画素の差分平均値を算出し、当該差分平均値を用いて上記マッピングを形成する。当該差分平均値を用いて作成したマッピングの例を図6に示す。
【0067】
この後、領域判定部104は、上記S6において差分算出部103により算出された未記入マークシート及び記入済マークシートの両読取データの差分に基づいてマークシート領域を判定する(S7)。すなわち、領域判定部104は、記入済マークシートの読取データにおいて、差分算出部103によって算出された差分のうち、予め定められた値よりも大きい値となる差分が集合して存在する領域を検出する。例えば、領域判定部104は、差分算出部103によって作成された上記マッピング(図6)を用いて、当該差分が予め定められた値(例えば、255段階による画素値の場合に20。当該値に限定する趣旨ではない)よりも大きい値となっている画素及び当該画素の位置を判定し、記入済マークシートの読取データにおける、当該差分が大となる画素の分布を示す分布マップを作成する。当該分布マップの例を図7に示す。なお、図7は、図6よりも大きなスケールでの表示としている。
【0068】
さらに、領域判定部104は、記入済マークシートの読取データにおいて、当該予め定められた値よりも大きい値となっている当該画素が集中して分布している領域を検出する。例えば、領域判定部104は、上記図7に例を示す分布マップを用いて、上記の記入済マークシートの読取データが示す画像の領域において、マークmkと想定される画像に対応する画素(差分が予め定められた値よりも大きい値となっている画素)が多く存在し、当該画素の分布密度が予め定められた単位面積の領域毎に、規定された密度(例えば、50%)よりも高くなっている全ての領域を判定し、当該判定された全ての領域からなる領域を、変換部102による変換処理及び判別部74による判別処理を行うマークシート領域a1として判定する。
【0069】
このようなマークシート領域の判定によれば、マークシートm上に記入者により記入されたマークは、原稿読取部5によって読み取られた画像から、上記差分が大となる画素の集合として抽出され、当該差分が大となる画素の分布密度が高い領域がマークシート領域a1として判定されるので、記入者により記入されて変化した画像、すなわち、記入者により記入されたマークを示す画像の存在する領域が当該マークシート領域として抽出されることになる。
【0070】
そして、変換部102は、S5で原稿読取部5により読み取られた記入済みのマークシートの読取データが示す画像における上記マークシート領域部分について、上述したOCR処理によるキャラクター変換を行う(S8)。例えば、変換部102は、上記マークシート領域部分の各部に対して、標準パターンをテンプレートとして用いて上述したOCR処理によるキャラクターへの変換処理を行う。ここで、当該読取データの示す画像におけるマークシート領域部分には、印pの画像及び当該印p内に記入されたマークmkの画像が含まれるため、変換部102は、これら印pの画像及びマークmkの画像をキャラクターに変換する。
【0071】
ここで、マークmkは、図5に示したように、正方形状で黒一色の画像又はこれ近似する画像となるため、マークmkは、変換部102のOCR処理により、黒一色の正方形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似た

…等のキャラクターに変換される。
【0072】
一方、記入者によるマークの記入がされておらず、図5に形状を示したような白抜き正方形状の印pは、変換部102のOCR処理により、白抜き正方形状の画像又はこれに近似する画像に形状が似た

…等のキャラクターに変換される。
【0073】
なお、変換部102によって、上記黒一色の正方形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似たキャラクター、又は、白抜き正方形状の画像又はこれに近似する画像に形状が似たキャラクターのいずれにも変換が不可能であった画像部分については、変換部102は、当該変換が不可能であることを示す情報を当該変換結果として記憶しておく。
【0074】
この後、ネットワーク制御部101は、ネットワークインターフェイス部91から、後述する判別処理及び集計処理を行うためのクライアントコンピューター7に、S8において上記変換部102により上記マークシート領域を対象として変換されたキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータを送信する(S9)。
【0075】
クライアントコンピューター7では、ネットワーク制御部70が図略のネットワークインターフェイス部を介して、上記変換後のキャラクター群からなるデータを受信すると(SS1)、その判別部74は、当該変換されたキャラクターが、上述した第1の基準キャラクターであるか否かを判断し(SS2)、当該キャラクターが第1の基準キャラクターであれば(SS2でYES)、原稿読取部5によって読み取られた読取データが示す画像において、当該キャラクターに対応する画像部分が、記入者によって記入されたマークmkであると判別する(SS3)。また、判別部74は、当該変換されたキャラクターが第1の基準キャラクターではない場合、又は、変換部102による上記キャラクター変換が不可能であることを示す情報については(SS2でNO)、原稿読取部5によって読み取られた記入済みのクライアントの読取データが示す画像において、当該キャラクター又は上記情報に対応する画像部分が、記入者によって記入されたマークmkではないと判別する(SS5)。
【0076】
すなわち、変換部102による上記変換は、読み取られた原稿の画像データに対して単にOCR処理を行うものであるが、この判別部74では、当該OCR処理により変換されたキャラクターが、上記記入されたマークmkを示す画像が変換されてなるキャラクターか否かが判別される。
【0077】
例えば、上記第1の基準キャラクターとして、上記記入されたマークmkを示す黒一色の四角形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似た

…等のキャラクターが予め選定され、当該選定された複数のキャラクターが第1の基準キャラクターとして判別部74に予め記憶されている。なお、上記マークが記入されず白抜き正方形状の印pを示す画像又はこれに近似する画像は、変換部102により、当該白抜き正方形状の画像に近似する

…等のキャラクターに変換されると想定されるため、第1の基準キャラクターとしては、少なくとも、これらのキャラクターは除外したものが記憶されることが望ましい。
【0078】
これにより、原稿上に記載された或る画像が原稿読取部5により読み込まれて、いずれかのキャラクターに変換部102により変換されたときに、判別部74が、当該変換されたキャラクターが第1キャラクターに該当することをもって、上記読み込まれた画像がマークmkであると判別することで、原稿上にマークmkが存在することを正確に識別できる。
【0079】
上記のようにして、原稿読取部5によって読み取られた記入済みのマークシート(当該読み取られた記入済みのマークシートが複数枚である場合はその全て)の読取データが示す画像における上記マークシート領域の全ての部分について上記キャラクター変換及び判別が行われると、集計部78により集計が行われる(SS4)。そして、当該マーク検出処理としての一連の処理を終了する(END)。
【0080】
例えば、図4に示したように、原稿m上に各問毎に5つの印pが印刷されており、当該5つの印pのうちの一つに記入者によりマークmkが記入される場合、集計部78は、判別部74によって判別された各原稿についての判別結果を用いて、複数の原稿のそれぞれの問(図4のQ1,Q2,Q3,…)毎に、第1番目から第5番目の各印pに記されたマークmkの数を算出し、例えば、図8に示すような集計データを作成する。
【0081】
このような集計を行う場合、集計部78は、判別部74によって判別された各原稿についての各判別結果が示す、マークmkであるか否かの情報と、各判別結果に対応するマークmk又は印pの位置を示す情報とを用いて、複数の原稿のそれぞれの問(図4のQ1,Q2,Q3,…)毎に、第1番目から第5番目の各印pに記されたマークmkの数を算出し、図8に示す集計データを作成する。例えば、マークシートとしての原稿には、それぞれの問(図4のQ1,Q2,Q3,…)の近傍に黒色等のインクで図略のタイミングマークが印刷されているものとする。この場合、変換部102は、各原稿についての読取データの示す画像の各部分をキャラクター変換する際、当該各原稿についての読取データの示す画像から当該タイミングマークの画像を検出し、当該検出したタイミングマークに基づいて各問毎にマークmk又は印pの位置情報を取得する。変換部102による当該タイミングマークの検出は、例えば、上述したパターンマッチングと同様にして行う。
【0082】
また、集計としては、上述したものの他、以下に示すものを用いることができる。例えば、変換部102によって変換されたデータの示すキャラクター群をネットワーク制御部70が受信したとき、判別部74は、当該キャラクター群を示すデータを各問毎に区分けし、各原稿のデータ毎に整列させる(図9(A))。判別部74及び集計部78は、関数からなる数式を用いて、図9(C)に示す集計値列を算出する。この場合、判別部74は、上記数式として、例えば、各原稿の各問毎に、当該問に含まれる第1番目から第5番目までの印pに対して、白抜き正方形状の画像に近似する

…等のキャラクター群に該当しない注目キャラクターであるかを順次検出して、当該注目キャラクターが検出された印pが何番目であるかを検出し、当該検出した何番目であるかの情報を判別結果とする数式を用いる。なお、当該数式の例は、図9(B)に示している。集計部78は、当該注目キャラクターが検出された印pが何番目であるかを示す当該判別部74による判別結果を各問毎に区分けし、各原稿のデータ毎に整列させた集計値列を作成する(図9(C))。
【0083】
複合機1による当該マーク検出処理によれば、ユーザーは、OMR処理が可能な特別な装置を購入しなくても、OCR処理が可能な画像形成装置等に備えられる読取装置を用いて、マークシート等の原稿上におけるマーク検出が可能である。これにより、企業や事務所等の職場環境に一般的に備えられている画像形成装置等を用いて当該マークを精度良く検出できることとなるため、OMR装置を購入する必要がない分、従来よりも低減されたコストで当該マークの検出が可能になる。
【0084】
また、一旦OCR処理によるキャラクター変換を行って、当該変換されたキャラクターに基づいてマークか否かを判別するため、読取データの示す画像の形状から直接にマークか否かの検出を行う場合よりもマーク検出精度を向上させることができる。単に読取データが示す画像の形状から直接にマークか否かの判定を行う場合は、単に原稿上の汚れ等を画像として読み取ってしまったり、読取が必要な画像の一部が欠落したりすることでマークか否かの判定に悪影響を及ぼす虞があるが、本発明では、一度OCR変換によるキャラクター変換後のキャラクターに基づいてマークか否かの判定を行うため、読取部の読取能力の変更によるマーク検出精度の低下が抑制される。
【0085】
また、上記マークシート領域の判定処理が行われることで、一つのマークシート(記入済みのマークシート)に、上記変換処理及び判別処理によるマーク検出の対象とする領域と、当該マーク検出の対象としない領域とが混在する場合であっても、ユーザーにマーク検出の対象とする領域を判定する操作を求めることなく、当該マーク検出の対象とする領域を的確に抽出して、当該抽出した領域にのみ変換処理及び判別処理を行うことが可能となる。これにより、マーク検出時にユーザーに要求される操作が簡単になる。例えば、図4に示したマークシートmではなく、文字等からなる問題文部分と、当該問題に対する答えとしてのマーク記入欄(例えば上記印pが複数並べられてなる)とが交互に印刷されたアンケート回答用紙を、原稿として読み取る場合であっても、マーク検出の対象とする領域を的確に抽出して、問題分部分をマーク検出の対象とせずに、当該抽出した領域にのみ変換処理及び判別処理を行うことが可能となる。
【0086】
なお、上記マーク検出処理では、判別部74は、第1の基準キャラクターとして、上記記入されたマークmkを示す黒一色の四角形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似た

…等のキャラクターを記憶しており、変換部102により変換されたキャラクターが当該第1の基準キャラクターである場合に、原稿読取部5によって読み取られた読取データの示す画像のうち当該キャラクターに該当する部分が、マークmkであると判別するが、これに代えて、判別部74は、白抜き正方形状の画像に近似する

…等の予め選定されて記憶しているキャラクター群に該当しないキャラクターを、上記第1の基準キャラクターとし、上記マークか否かの判別に用いるようにしてもよい。
【0087】
また、上記マーク検出では、変換部102によって、上記黒一色の正方形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似たキャラクター、又は、白抜き正方形状の画像又はこれに近似する画像に形状が似たキャラクターのいずれにも変換が不可能であった画像部分については、変換部102は、当該変換が不可能であることを示す情報を当該変換結果として記憶するものとしているが、変換部102による変換が上記のようにいずれも不可能である場合には、当該変換が不可能であることを示す情報を当該変換結果として記憶しないものとし、変換部102により、上記黒一色の正方形状の画像又はこれ近似する画像に形状が似たキャラクター、又は、白抜き正方形状の画像又はこれに近似する画像に形状が似たキャラクターに変換されたキャラクター群をネットワーク制御部101等からクライアントコンピューター7に送信するようしてもよい。この場合、判別部74は、当該送信されてきたキャラクター群について上記判別処理を行う(SS2乃至SS5)。なお、後述する第2及び第3実施形態についても同様である。
【0088】
次に、マーク検出装置によるマーク検出処理の第2実施形態を説明する。図10はマーク検出装置によるマーク検出処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、上述した第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0089】
この第2実施形態では、原稿読取部5によって読み取られた記入済みのマークシートの読取データが示す画像における上記マークシート領域については、複合機1の変換部102による上記変換処理、及びクライアントコンピューター7の判別部74による上記判別処理を行うが、マークシート領域以外の領域には、予め指定された内容での処理が行われる。
【0090】
第2実施形態では、領域判定部104によりマークシート領域が判定されると(S17)、S14での原稿読取部5による読取で得られた上記記入済マークシートの読取データが示す画像の全領域に対して、変換部102が上記OCR処理による変換処理を行う(S18)。この後、ネットワーク制御部101は、ネットワークインターフェイス部91から、クライアントコンピューター7に、S17で判定されたマークシート領域を示す情報と、S18において上記記入済マークシートの読取データが示す画像の全領域を対象として変換されたキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータとを送信する(S19)。
【0091】
クライアントコンピューター7では、ネットワーク制御部70が図略のネットワークインターフェイス部を介して、上記変換後のキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータを受信すると(SS11)、その判別部74は、当該受信したマークシート領域を示す情報に従って、当該変換後のキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータのうち、当該マークシート領域のみに対して、上記第1の基準キャラクターであるか否かの判断を行う(SS12)。判別部74は、当該キャラクターが第1の基準キャラクターであれば(SS12でYES)、当該キャラクターに対応する画像部分が上記マークmkであると判別し(SS13)、当該変換されたキャラクターが第1の基準キャラクターではない場合、又は、変換部102による上記キャラクター変換が不可能であることを示す情報については(SS12でNO)、原稿読取部5によって読み取られた記入済みのクライアントの読取データが示す画像において、当該第1の基準キャラクターではないキャラクター又は上記情報に対応する画像部分が、記入者によって記入されたマークmkではないと判別する(SS15)。
【0092】
上記のようにして、原稿読取部5によって読み取られた記入済みのマークシート(当該読み取られた記入済みのマークシートが複数枚である場合はその全て)の読取データが示す画像における上記マークシート領域については、上記キャラクター変換及び判別が行われた結果に対して集計部78が上記集計を行う(SS14)。そして、当該マーク検出処理としての一連の処理を終了する(END)。但し、集計部78は、上記マークシート領域以外の領域については、当該集計を行わず、S18での変換結果が示すキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータのままで出力可能なデータ形式とする。
【0093】
また、上記では、S18において、S14の原稿読取部5による読取で得られた上記記入済マークシートの読取データが示す画像の全領域に対して、変換部102が上記変換処理を行うものしたが、これに代えて、変換部102は、当該記入済マークシートの読取データが示す画像のマークシート領域に対して上記変換処理を行い、マークシート領域以外の領域に関しては、原稿読取部5により読み取られて当該変換部102による変換が行われていない状態のビットマップ形式、JPEG形式、TIFF形式等のイメージデータとするようにしてもよい。この場合、ネットワーク制御部101は、クライアントコンピューター7に、上記記入済マークシートの読取データが示す画像のマークシート領域を対象として変換されたキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータと、上記マークシート領域以外の領域のイメージデータとを送信する(S19)。そして、クライアントコンピューター7では、判別部74が、上記マークシート領域を対象として変換されたキャラクター群及び上記変換が不可能であることを示す情報からなるデータを対象として、マークか否かを検出する上記判別処理を行う(SS12)。そして、集計部78は、上記マークシート領域についての判別結果のみ上記集計を行い、上記マークシート領域以外のイメージデータについては当該集計を行わず、当該イメージデータのままで出力可能なデータ形式とする。
【0094】
この第2実施形態によれば、上記マークシート領域となる読取データに対してのみ、複合機1の変換部102による変換処理及びクライアントコンピューター7の判別部74による判別処理を行って上記マーク検出の判別結果を得るようにし、マークシート領域以外の領域となる読取データに対しては、例えば、原稿読取部5による読取で得られた読取データ(ビットマップ形式、JPEG形式、TIFF形式等)のままとしたり、変換部102による上記OCR処理によるキャラクター変換のみを行うものとすることが可能である。このため、領域判定部104により判定されたマークシート領域か否かに応じて、読取データに対して異なる処理を行って、当該マーク検出装置により得られるデータが有効に利用される可能性を高めることができる。
【0095】
次に、マーク検出装置によるマーク検出処理の第3実施形態を説明する。図11はマーク検出装置によるマーク検出処理の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、上述した第1又は第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。また、当該第3実施形態においてはクライアントコンピューター7における処理は第1及び第2実施形態と同様であるので図示を省略する。
【0096】
この第3実施形態では、複合機1の差分算出部103が、原稿読取部5によって読み取られた複数の原稿の読取データのうち、データ量が最も少ない読取データを上記未記入マークシートの読取データとして用いる。
【0097】
第3実施形態では、図11に示すように、ユーザーによりマーク検出指示が操作部47に入力されると(S21でYES)、主制御部100は、原稿読取部5に、この時点で原稿載置台61又は原稿第52に載置されている全てのマークシート(原稿)を読み取らせる(S22)。
【0098】
ここで、差分算出部103は、S22で原稿読取部5により読み取られた前記マークシートの読取データから、各マークシートの読取データのそれぞれのデータ量を算出する(S23)。そして、差分算出部103は、当該S23で算出した各マークシートの読取データのデータ量に基づいて、当該データ量が最小となる読取データを判定し、当該判定した読取データを未記入マークシートの読取データとして記憶する(S24)。
【0099】
差分算出部103は、この後に行う未記入マークシートの読取データが示す画像と記入済マークシートの読取データが示す画像の差分算出処理において、上記未記入マークシートの読取データとして記憶した読取データを、当該差分算出に用いる未記入マークシートの読取データとして用いる。
【0100】
なお、上記S24の処理後は、第1実施形態におけるS6乃至S9、又は第2実施形態におけるS16乃至S19に相当するマークシート領域判定処理が実行される(S25)。
【0101】
この実施形態では、ユーザーによるマーク記入が行われておらず、原稿読取部5によって読み取られる画像が少なく、原稿読取部5による読取データのデータ量が最も小さいと想定される未記入マークシートの読取データを的確に抽出して、差分算出部103による上記差分算出処理に用いることが可能である。このため、ユーザーは、上記差分を算出するために用いる未記入マークシートの画像データを当該マーク検出装置に認識させる特別な操作(例えば、図3に示したS2及びS3の処理等)を行う必要がない。例えば、ユーザーは、未記入マークシートと記入済マークシートを区別せずに原稿読取部5に一度に読み取らせても、上記マークシート領域が判定され、当該マークシート領域に対してマーク検出を行うことができる。
【0102】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の一実施形態に係るマーク検出装置が、画像読取装置としての複合機1の一部構成と、クライアントコンピューター7の一部構成とを備えてなるとして説明しているが、本発明に係るマーク検出装置はこれに限定されない。例えば、上記画像読取装置としては、複合機1に代えて、スキャナ装置等の原稿上の画像を読取可能な装置を用いることも可能である。また、上記実施形態では、マーク検出装置は、複合機1の一部構成と、クライアントコンピューター7の一部構成とを備えてなるとしているが、複合機1が当該クライアントコンピューター7の一部構成までを備え、複合機1等の画像形成装置のみでマーク検出装置をなすものとしてもよい。
【0103】
なお、図1乃至図11を用いて上記各実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0104】
1 複合機
5 原稿読取部
6 原稿給送部
61 原稿載置台
10 制御ユニット
100 主制御部
102 変換部
103 差分算出部
104 領域判定部
7 クライアントコンピューター
72 主制御部
74 判別部
78 集計部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿上の画像を読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた読取データが示す画像の各部分を、OCR処理により、予め定められた複数の標準パターンのいずれに一致するかを照合し、一致するとされた当該標準パターンに対応付けられたキャラクターに変換する変換部と、
前記変換部による変換後のキャラクターが、予め定められた第1の基準キャラクターである場合に、前記原稿上における前記判別対象とされた画像部分がマークであると判別し、前記変換部による変換後のキャラクターが当該第1の基準キャラクターではない、又は前記変換部によるキャラクターへの変換が不可能である場合に、前記原稿上における前記判別対象とされた画像部分がマークではないと判別する判別部と、
前記読取部によって原稿として読み取られた未記入マークシートの読取データと、記入済マークシートの読取データの差分を算出する差分算出部と、
前記記入済マークシートの読取データにおいて、前記差分算出部によって算出された差分が予め定められた値よりも大きい値となって集合する領域を検出し、当該検出した領域を、前記変換部による変換処理及び前記判別部による判別処理を行うマークシート領域として判定する領域判定部とを備え、
前記変換部及び前記判別部は、前記記入済マークシートの読取データであって、前記領域判定部によって判定されたマークシート領域となる読取データに対して、前記変換処理及び前記判別処理を行うマーク検出装置。
【請求項2】
前記変換部及び前記判別部は、前記マークシート領域となる前記記入済マークシートの読取データに対して前記変換処理及び前記判別処理を行い、
前記マークシート領域以外の領域の読取データに対しては、予め指定された内容での処理が行われる請求項1に記載のマーク検出装置。
【請求項3】
前記差分算出部は、前記読取部によって読み取られる複数の原稿の読取データのうち、データ量が最も少ない読取データを、前記未記入マークシートの読取データとして用いる請求項1又は請求項2に記載のマーク検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−45309(P2013−45309A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183174(P2011−183174)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】