ミオスタチン・アンタゴニストの使用

【課題】性腺機能低下症、リウマチ性悪液質、火傷による悪液質、化学物質の投与による悪液質、糖尿病による悪液質、糖尿病性腎症、プラダー・ウィリー症候群、過剰なTNF-α、ならびに他の筋肉関連、代謝および炎症性傷害から生じる障害を治療するための方法の提供。
【解決手段】フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF−11プロドメイン、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体などのミオスタチン・アンタゴニストの投与。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願に対するクロス・リファレンス
本出願は、その全開示に依存して参考文献として援用される、2005年12月6日出願の米
国仮出願第60/742,731号の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)ファミリーメンバーのミオス
タチン、ミオスタチン・アンタゴニスト、および多様な疾患の治療のためのこれらのアン
タゴニストの使用に関する。
【0003】
背景
増殖/分化因子8(GDF-8)としても知られるミオスタチンは、骨格筋量制御に関与する
ことが知られるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)ファミリーメンバーである
。TGF-β-GDFファミリーのメンバーの大部分は、多くの組織種で非特異的に発現され、そ
して様々な多面的作用を発揮する。しかし、ミオスタチンは、主に、発生中の細胞および
成人骨格筋組織で発現し、そして骨格筋増殖を負に制御するのに必須の役割を果たす(Mc
Pherronら, Nature(London)387, 83-90(1997))。最近の研究によって、ミオスタチ
ン発現はまた、心臓、脂肪および前脂肪組織でも測定可能であることが示されている。
【0004】
ミオスタチン・タンパク質は、進化的に非常に保存されている(McPherronら, PNAS US
A 94:12457-12461(1997))。ミオスタチンの生物学的に活性なC末端領域は、ヒト、マ
ウス、ラット、ウシ、ニワトリ、および七面鳥の配列間で100パーセントの配列同一性を
有する。ミオスタチン機能もまた、種間で保存されているようである。これは、ミオスタ
チン遺伝子に変異を有する動物の表現型から明らかである。ウシの2品種、ベルジアン・
ブルー(Belgian Blue)(Hanset R., Muscle Hypertrophy of Genetic Origin and its
Use to Improve Beef Production, King, J.W.G. & Menissier, F.監修(Nijhoff, The
Hague, The Netherlands)pp.437-449)およびピエモンテ(Piedmontese)(Masoero, G.
& Poujardieu, B, Muscle Hypertrophy of Genetic Origin and its Use to Improve B
eef Production, King, J.W.G. & Menissier, F.監修(Nijhoff, The Hague, The Nethe
rlands)pp.450-459)は、「筋肉肥大(double muscling)」表現型および筋量増加によ
って特徴付けられる。これらの品種は、ミオスタチン遺伝子のコード領域に変異を含有す
ることが示された(McPherronら PNAS(1997)上記)。さらに、ミオスタチンをコードす
る遺伝子(Mstn)をターゲットとした欠失を含有するマウスは、筋量の劇的な増加を示し
、これには相応する脂肪の増加が伴わない。Mstn-/-マウスの個々の筋肉の重量は、筋線
維肥大および過形成の結果、対照動物のもののおよそ100〜200パーセントである(Zimmer
sら, Science 296, 1486(2002))。
【0005】
ミオスタチン・アンタゴニストを用いて、すでに認識されたものに加えてさらなる障害
を治療可能であることを現在、発見した。本発明は、ミオスタチン・アンタゴニストを用
いた、これらのさらなる障害のための治療法を提供する。
【0006】
発明の概要
本発明は、多様な疾患状態のための治療法を提供する。これらの治療は、こうした治療
が必要な被験体に1以上のミオスタチン・アンタゴニストを投与することを含む。ミオス
タチン・アンタゴニストを予防的に投与して、こうした状態の発展を防止してもよいし、
そして必要に応じて、状態が発展する前または発展した後のいずれかに、ミオスタチン・
アンタゴニストを被験体に投与してもよい。本発明はさらに、以下に列挙する状態を治療
するための医薬組成物の調製におけるミオスタチン・アンタゴニストの使用を提供する。
【0007】
1つの態様において、本発明は、性腺機能低下症の影響を治療する必要がある被験体に
おいて、こうした影響を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少
なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与すること
を含む、前記方法を提供する。1つの態様において、性腺機能低下症はアンドロゲン枯渇
療法の結果として生じる。別の態様において、性腺機能低下症は、性腺機能の加齢に伴う
減少から生じる。
【0008】
本発明はまた、リウマチ性悪液質を患う被験体において、こうした悪液質を治療する方
法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオスタチン・アン
タゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法も提供する。
【0009】
本発明はまた、火傷傷害による悪液質の治療が必要な被験体において、こうした悪液質
を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオス
タチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法も提
供する。
【0010】
本発明はまた、化学療法剤などの化学物質での治療による悪液質を治療する必要がある
被験体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と
混合した少なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投
与することを含む、前記方法も提供する。
【0011】
本発明はまた、糖尿病による悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪
液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミ
オスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を投与することを含む、前記方法も提供する

【0012】
本発明はまた、糖尿病性腎症を患う被験体において、糖尿病性腎症を治療する方法であ
って、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニ
ストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法も提供する。
【0013】
本発明はまた、成長ホルモン、インスリン増殖因子-1(IGF-1)、成長ホルモン分泌促
進因子、および成長ホルモン-IGF-1軸に関連する他の物質によって現在治療されている疾
患または状態を治療する代替法も提供する。ミオスタチン・アンタゴニストは、成長ホル
モンの潜在的に危険な副作用を伴わずに、こうした疾患を治療する方法を提供する。1つ
の態様において、本発明は、プラダー・ウィリー症候群を患う被験体において、その影響
を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した1以上のミオスタチン・
アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、炎症障害を患う被験体において、TNF-αを減少させる方法であって、1
以上のミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、
前記方法も提供する。
【0015】
上に列挙する治療法に関して、ミオスタチン・アンタゴニストには、限定されるわけで
はないが、以下のアンタゴニストが含まれる:フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメ
イン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアン
タゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性
抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合
タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体
、およびミオスタチン結合剤。
【0016】
ミオスタチン結合剤は、以下に提供する詳細な説明に、広範囲に渡って記載される。本
明細書において、用語「ミオスタチン結合剤」には、本明細書に記載するすべての結合剤
が含まれる。例えば、本明細書に記載する治療に有用なミオスタチン・アンタゴニストは
、アミノ酸配列WMCPP(配列番号633)を含む、少なくとも1つのペプチドを含む、典型的
な結合剤である。別の態様において、ミオスタチン結合剤は、アミノ酸配列Ca1a2Wa3WMCP
P(配列番号352)を含み、ここでa1、a2およびa3は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミ
ノ酸、または塩基性アミノ酸から選択される。別の態様において、ミオスタチン結合剤は
、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、ここでb1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1
つから選択され;b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;b3は、P、RおよびQのいず
れか1つから選択され、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、前記配列のペプチド、
およびその生理学的に許容されうる塩を含む。別の態様において、ミオスタチン結合剤は
、式:
c1c2c3c4c5c6Cc7c8Wc9WMCPPc10c11c12c13(配列番号354)、式中:
c1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
c7は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c8は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c9は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;そして
c10〜c13は、アミノ酸いずれかであり;
そして長さが20〜50アミノ酸の間であるペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩
を含む。
【0017】
別の態様において、ミオスタチン結合剤は、式:
d1d2d3d4d5d6Cd7d8Wd9WMCPPd10d11d12d13(配列番号355)、式中
d1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
d7は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
d8は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
d9は、P、RおよびQのいずれか1つから選択され;そして
d10〜d13は、アミノ酸いずれかから選択され;
そして長さが20〜50アミノ酸の間であるペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩
を含む。
【0018】
本明細書に記載する障害の治療のためのミオスタチン・アンタゴニストとして有用な結
合剤のさらなる態様は、以下のペプチドの少なくとも1つを含む:
(1)配列WYe1e2Ye3G(配列番号356)
ここでe1は、P、SまたはYであり、
e2は、CまたはQであり、そして
e3は、GまたはHである、
を含み、ペプチドの長さが7〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能なペプチ
ド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(2)配列f1EMLf2SLf3f4LL(配列番号455)、
ここでf1は、MまたはIであり、
f2は、アミノ酸いずれかであり、
f3は、LまたはFであり、
f4は、E、QまたはDである、
を含み;そしてペプチドの長さが7〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(3)配列Lg1g2LLg3g4L(配列番号456)、ここで
g1は、Q、DまたはEであり、
g2は、S、Q、DまたはEであり、
g3は、アミノ酸いずれかであり、
g4は、L、W、F、またはYである、
を含み、そしてペプチドの長さが8〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(4)配列h1h2h3h4h5h6h7h8h9(配列番号457)、ここで
h1は、RまたはDであり、
h2は、アミノ酸いずれかであり、
h3は、A、T、SまたはQであり、
h4は、LまたはMであり、
h5は、LまたはSであり、
h6は、アミノ酸いずれかであり、
h7は、FまたはEであり、
h8は、W、FまたはCであり、
h9は、L、F、MまたはKである、
を含み、そしてペプチドの長さが9〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩。

以下の詳細な説明に、より完全に記載される別の態様において、ミオスタチン・アンタ
ゴニストとして有用な結合剤は、ポリマーまたはFcドメインなどの少なくとも1つのビヒ
クルを含み、そして少なくとも1つのリンカー配列をさらに含むことも可能である。この
態様において、本発明の結合剤は、少なくとも1つのミオスタチン結合ペプチドが、少な
くとも1つのビヒクルに結合するように構築される。単数または複数のペプチドが直接、
またはリンカー配列を介して間接的に、ペプチドのN末端、C末端またはアミノ酸側鎖で、
ビヒクルに結合され、それによってペプチボディ(peptibody)を提供する。この態様に
おいて、本発明の結合剤は、以下の一般化された構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;そして
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独
立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する。この一般化された構造を有する結合剤の
態様において、ペプチドP1、P2、P3、およびP4は、以下の詳細な説明に記載されるような
、本明細書において提供するペプチド配列のいずれか1以上から独立に選択されることが
可能である。例えば、典型的な態様において、P1、P2、P3、およびP4は、以下の配列:配
列番号633、配列番号352、配列番号353、配列番号354、配列番号355、配列番号356、配列
番号455、配列番号456、および配列番号457のいずれかを含む1以上のペプチドから独立に
選択される。別の態様において、P、P1、P2、P3、およびP4は、以下の配列:配列番号305
〜351、および配列番号357〜454のいずれかを含む1以上のペプチドから独立に選択される
。ミオスタチン結合剤のさらなる態様を、以下の発明の詳細な説明に提供する。
【0019】
本発明はまた、性腺機能低下症、リウマチ性悪液質、火傷による悪液質、化学物質によ
る悪液質、糖尿病による悪液質、糖尿病性腎症、プラダー・ウィリー症候群、被験体にお
ける過剰なTNF-α、および他の障害を治療するための、1以上のミオスタチン・アンタゴ
ニストを含む、薬学的に許容されうる組成物も提供する。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、ミオスタチン結合剤を含むミオスタチン・アンタゴニストを用いて、多様な
障害を治療する医薬組成物および方法を提供する。本発明は、性腺機能低下症の影響を治
療する必要がある被験体において、こうした影響を治療する方法であって、薬学的に許容
されうる担体と混合した少なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量
を該被験体に投与することを含む、前記方法を提供する。1つの態様において、性腺機能
低下症はアンドロゲン枯渇療法の結果として生じる。第二の態様において、性腺機能低下
症は、性腺機能の加齢に伴う減少から生じる。
【0021】
本発明はまた、リウマチ性悪液質を患う被験体において、こうした悪液質を治療する方
法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオスタチン・アン
タゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法も提供する。本発
明はまた、過剰なTNF-αによって特徴付けられる炎症状態を患う被験体において、TNF-α
を減少させる方法も提供する。本発明はまた、火傷傷害による悪液質の治療が必要な被験
体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合
した少なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与す
ることを含む、前記方法も提供する。
【0022】
本発明はまた、化学療法剤などの化学物質での治療による悪液質の治療が必要な被験体
において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合し
た少なくとも1つのミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与する
ことを含む、前記方法も提供する。
【0023】
本発明はまた、糖尿病による悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪
液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミ
オスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法
も提供する。本発明はまた、糖尿病性腎症を患う被験体において、糖尿病性腎症を治療す
る方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオスタチン・
アンタゴニストの療法的有効量を投与することを含む、前記方法も提供する。
【0024】
本発明はまた、成長ホルモン、インスリン増殖因子-1(IGF-1)、成長ホルモン分泌促
進因子、および成長ホルモン-IGF-1軸に関連する他の物質によって以前治療されていた疾
患または状態を治療する代替法も提供する。ミオスタチン・アンタゴニストは、これらの
物質の潜在的に危険な副作用を伴わずに、こうした疾患を治療する方法を提供する。1つ
の態様において、本発明は、プラダー・ウィリー症候群を患う被験体において、その影響
を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合した少なくとも1つのミオス
タチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法を提
供する。
【0025】
本発明にしたがって、ミオスタチン・アンタゴニストには、限定されるわけではないが
、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、他のTGF-βプロ
ドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体
または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断
片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶
性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタ
チン結合剤が含まれる。これらのアンタゴニストを、以下により完全に記載する。
【0026】
1つの態様において、ミオスタチン・アンタゴニストは、以下により完全に記載するミ
オスタチン結合剤である。
ミオスタチン
ミオスタチンは、GDF-8としても知られる増殖因子であり、TGF-βファミリーのメンバ
ーである。ミオスタチンは、骨格筋組織の負の制御因子であることが知られる。ミオスタ
チンは、不活性プレプロタンパク質として合成され、タンパク質分解的切断によって活性
化される(Zimmersら、上記(2002))。前駆体タンパク質が切断されて、NH2末端不活性
プロドメイン、および約25kDaのホモ二量体の形をとる成熟活性型のおよそ109アミノ酸の
COOH末端タンパク質が生じる(Zimmersら、上記(2002))。現在、成熟二量体は、プロ
ペプチドに結合した不活性の潜在型複合体として血液中で循環すると考えられている(Zi
mmersら、上記(2002))。
【0027】
本明細書において、用語「全長ミオスタチン」は、McPherronら、PNAS USA 94, 12457
(1997)に記載される全長ヒト・プレプロタンパク質配列とともに、アレル変異体および
種間相同体を含む、関連全長ポリペプチド(McPherronら、上記(1997))を指す。本明
細書において、用語「プロドメイン」または「プロペプチド」は、切り離されて活性COOH
末端タンパク質を放出する、不活性NH2末端タンパク質を指す。本明細書において、用語
「ミオスタチン」または「成熟ミオスタチン」は、単量体、二量体、マルチマー型または
他の型の、生物学的に活性である成熟COOH末端ポリペプチドを指す。「ミオスタチン」ま
たは「成熟ミオスタチン」はまた、生物学的に活性な成熟ミオスタチンの断片とともに、
アレル変異体、スプライス変異体、ならびに融合ペプチドおよび融合ポリペプチドを含む
、関連ポリペプチドを指す。成熟ミオスタチンCOOH末端タンパク質は、ヒト、マウス、ニ
ワトリ、ブタ、七面鳥、およびラットを含む多くの種間で100%の配列同一性を有すると
報告されている(Leeら, PNAS 98, 9306(2001))。ミオスタチンは、どのように調製さ
れたかに応じて、ターゲティング配列などのさらなる末端残基、またはメチオニン残基お
よびリジン残基および/またはタグ、または融合タンパク質配列を含むことも、また含ま
ないことも可能である。
【0028】
ミオスタチン・アンタゴニスト
本明細書において、用語「ミオスタチン・アンタゴニスト」は、「ミオスタチン阻害剤
」と交換可能に用いられる。本発明によるミオスタチン・アンタゴニストは、ミオスタチ
ンの少なくとも1つの活性を阻害するかまたは遮断し、あるいはミオスタチンまたはその
受容体の発現を遮断する。ミオスタチン活性の阻害または遮断は、例えば、ミオスタチン
のその受容体への結合に干渉し、そして/またはミオスタチンのその受容体への結合の結
果として生じるシグナル伝達を遮断する、1以上の阻害剤を使用することによって、達成
可能である。アンタゴニストには、ミオスタチン自体に結合する物質、またはミオスタチ
ン受容体に結合する物質が含まれる。例えば、ミオスタチン・アンタゴニストには、限定
されるわけではないが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、増殖および分化
因子11(GDF-11)プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合する
アンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニス
ト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体
融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体(可溶性リガンド)、オリゴヌクレオチド、
小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤が含まれる。これらを、以下により
詳細に記載する。
【0029】
フォリスタチンは、例えば、Amthorら, Dev Biol 270, 19-30(2004)および本明細書
に参考文献として援用される米国特許第6,004,937号に記載されるように、ミオスタチン
を阻害する。他の阻害剤には、例えば、Hillら, Mol. Endo. 17(6):1144-1154(2003
)に記載されるような、増殖および分化因子関連血清タンパク質-1(GASP)を含むTGF-β
結合タンパク質が含まれる。ミオスタチン・アンタゴニストには、本明細書に参考文献と
して援用されるPCT公報WO 02/09641に記載されるような、ミオスタチン、およびGDF-11
を含む関連GDFタンパク質のプロペプチド領域が含まれる。ミオスタチン・アンタゴニス
トには、例えば、Bogdanovischら, FASEB J 19, 543-549(2005)に記載されるようなプ
ロドメインのFc融合体を含む、修飾および安定化プロペプチドが、さらに含まれる。さら
なるミオスタチン・アンタゴニストには、単量体型または二量体型のミオスタチン・プロ
タンパク質および/または成熟タンパク質を含む、ミオスタチンに結合してミオスタチン
を阻害するかまたは中和する抗体または抗体断片が含まれる。こうした抗体は、例えば、
本明細書に参考文献としてすべて援用される、米国特許出願US 2004/0142383、およびUS
特許出願2003/1038422、およびPCT公報WO 2005/094446、PCT公報2006/116269に記載さ
れる。アンタゴニスト性ミオスタチン抗体には、ミオスタチン・プロタンパク質に結合し
、そして成熟活性型への切断を防止する抗体が、さらに含まれる。
【0030】
本明細書において、用語「抗体」は、ポリクローナル抗体(例えばAntibodies: A Lab
oratory Manual, HarlowおよびLane(監修), Cold Spring Harbor Press, (1988)を参
照されたい)、およびモノクローナル抗体(例えば、米国特許第RE 32,011号、第4,902,6
14号、第4,543,439号、および第4,411,993号、ならびにMonoclonal Antibodies: A New
Dimension in Biological Analysis, Plenum Press, Kennett, McKearnおよびBechtol(
監修)(1980)を参照されたい)を含む、完全な(intact)抗体を指す。本明細書におい
て、用語「抗体」はまた、F(ab)、F(ab')、F(ab')2、Fv、Fc、および一本鎖抗体な
どの抗体断片、またはこれらの組み合わせも指し、これらは、組換えDNA技術によって、
あるいは完全な抗体の酵素的または化学的切断によって、産生される。用語「抗体」はま
た、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗
体である、二重特異性抗体または二官能性抗体も指す。二重特異性抗体は、ハイブリドー
マの融合またはFab'断片の連結を含む、多様な方法によって産生可能である(Songsivila
iら, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321(1990), Kostelnyら, J. Immunol. 148:1547-
1553(1992)を参照されたい)。本明細書において、用語「抗体」はまた、キメラ抗体、
すなわち1以上の非ヒト抗体免疫グロブリンの可変領域またはその断片にカップリングし
たヒト抗体免疫グロブリンの定常領域を有する抗体も指す(例えば、米国特許第5,595,89
8号および米国特許第5,693,493号を参照されたい)。用語「抗体」はまた、「ヒト化」抗
体(例えば米国特許第4,816,567号およびWO 94/10332を参照されたい)、ミニボディ(W
O 94/09817)、一本鎖Fv-Fc融合体(Powersら, J Immunol. Methods 251:123-135(200
1))、およびトランスジェニック動物によって産生された抗体も指し、ここで、ヒト抗
体産生遺伝子の一部を含有するが、内因性抗体の産生が欠損しているトランスジェニック
動物は、ヒト抗体を産生可能である(例えば、Mendezら, Nature Genetics 15:146-156
(1997)、および米国特許第6,300,129号を参照されたい)。用語「抗体」にはまた、マ
ルチマー抗体、またはヘテロ二量体抗体などのタンパク質のより高次の複合体も含まれる
。「抗体」にはまた、抗イディオタイプ抗体も含まれる。
【0031】
ミオスタチン・アンタゴニストには、ミオスタチンに結合し、そして少なくとも1つの
活性を阻害する可溶性受容体がさらに含まれる。本明細書において、用語「可溶性受容体
」には、修飾されたかまたは別の方式で、ミオスタチンに特異的に結合し、そしてミオス
タチン・シグナル伝達を遮断するかまたは阻害することが可能である、ミオスタチン受容
体の一部切除(truncated)型または断片が含まれる。ミオスタチン受容体のこれらの一
部切除型には、例えば、天然存在可溶性ドメイン、ならびにN末端またはC末端のタンパク
質分解による変形が含まれる。可溶性ドメインには、単独の、あるいはさらなるペプチド
または修飾に結合した、受容体の細胞外ドメインのすべてまたは一部が含まれる。ミオス
タチンは、Leeら, PNAS 98(16), 9306-9311(2001)に記載されるような、アクチビンI
IB型受容体(ActRIIB)およびアクチビンIIA型受容体(ActRIIA)を含むアクチビン受容
体に結合する。可溶性受容体融合タンパク質、例えば、どちらも本明細書に参考文献とし
て援用される、米国特許出願公報2004/0223966およびPCT公報WO 2006/012627に記載さ
れるような可溶性受容体Fcもまた、アンタゴニストとして作用しうる。
【0032】
ミオスタチン・アンタゴニストには、ミオスタチン受容体への結合に関して、ミオスタ
チンと競合する、可溶性リガンドがさらに含まれる。本明細書において、用語「可溶性リ
ガンド・アンタゴニスト」は、ミオスタチン・アクチビンIIB型受容体(またはActRIIA)
に結合し、そしてミオスタチンと競合することによって、ミオスタチン-受容体シグナル
伝達を遮断することが可能である、可溶性のペプチド、ポリペプチドまたはペプチド模倣
体を指す。可溶性リガンド・アンタゴニストには、リガンドに対する実質的な相同性を維
持するが、リガンドの活性を維持しない、N末端またはC末端一部切除、置換、欠失、およ
びアミノ酸残基に対する非アミノ酸ペプチド模倣体の置換などのアミノ酸配列における他
の改変を含む、「ミオスタチン類似体」とも称される、ミオスタチンの変異体が含まれる
。可溶性リガンド・アンタゴニストは、例えば、受容体に結合可能であってもよいが、シ
グナル伝達を可能にしない。本発明の目的のため、タンパク質は、アミノ酸配列において
、互いに少なくとも80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95
%同一であれば、別のタンパク質に「実質的に類似」である。
【0033】
ミオスタチン・アンタゴニストには、ポリヌクレオチド・アンタゴニストがさらに含ま
れる。これらのアンタゴニストには、ターゲットmRNA(センス)またはDNA(アンチセン
ス)配列に結合可能な一本鎖ポリヌクレオチド配列(RNAまたはDNAいずれか)を含むアン
チセンスまたはセンス・オリゴヌクレオチドが含まれる。本発明にしたがったアンチセン
スまたはセンス・オリゴヌクレオチドは、ミオスタチンまたはその受容体、転写因子、あ
るいはミオスタチンまたはその受容体の発現に関与する他のポリヌクレオチドをコードす
る、ターゲットとされるポリヌクレオチド配列の断片を含む。こうした断片は、一般的に
、少なくとも約14ヌクレオチド、典型的には、約14〜約30ヌクレオチドを含む。所定のタ
ンパク質をコードする核酸配列に基づいて、アンチセンスまたはセンス・オリゴヌクレオ
チドを得る能力は、例えば、SteinおよびCohen, Cancer Res. 48:2659, 1988、ならびに
van der Krolら, BioTechniques 6:958, 1988に記載される。アンチセンスまたはセンス
・オリゴヌクレオチドがターゲット核酸配列に結合した結果、RNaseHによるmRNAの分解増
進、スプライシングの阻害、転写または翻訳の未成熟な終結、または他の手段を含むいく
つかの手段の1つによって、タンパク質の発現を遮断するかまたは阻害する二重鎖が形成
される。こうして、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを用いて、タンパク質の発現を遮
断してもよい。アンチセンスまたはセンス・オリゴヌクレオチドは、修飾糖-ホスホジエ
ステル主鎖(またはWO91/06629に記載されるものなどの他の糖連結)を有するオリゴヌ
クレオチドをさらに含み、そしてここで、こうした糖連結は内因性ヌクレアーゼに耐性で
ある。耐性糖連結を持つ、こうしたオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定である(すな
わち酵素分解に抵抗可能である)が、ターゲット・ヌクレオチド配列に結合可能な配列特
異性を保持する。センスまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチドの他の例には、WO90/
10448に記載されるものなどの有機部分、およびポリ(L)-リジンなどの、ターゲット核
酸配列に対するオリゴヌクレオチドのアフィニティーを増加させる他の部分に、共有結合
されたオリゴヌクレオチドが含まれる。さらになお、エリプチシンなどの挿入剤、および
アルキル化剤または金属複合体を、センスまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチドに結
合させて、ターゲット・ヌクレオチド配列に対するアンチセンスまたはセンス・オリゴヌ
クレオチドの結合特異性を修飾してもよい。
【0034】
例えば、リポフェクション、CaPO4媒介性DNAトランスフェクション、エレクトロポレー
ションを含む遺伝子トランスファー法いずれかによって、あるいはエプスタイン-バー・
ウイルスまたはアデノウイルスなどの遺伝子トランスファーベクターを用いることによっ
て、ターゲット核酸を含有する細胞内に、アンチセンスまたはセンス・オリゴヌクレオチ
ドを導入してもよい。WO 91/04753に記載されるように、リガンド結合分子とのコンジュ
ゲートを形成することによって、ターゲット核酸を含有する細胞内に、センスまたはアン
チセンス・オリゴヌクレオチドを導入してもよい。適切なリガンド結合分子には、限定さ
れるわけではないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または細胞表面受
容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド-結合分子のコンジュゲ
ート化は、リガンド-結合分子が、対応する分子または受容体に結合する能力に実質的に
干渉せず、あるいはセンスもしくはアンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはそのコンジ
ュゲート化型が細胞内に進入するのを実質的に遮断しない。あるいは、WO 90/10448に記
載されるように、オリゴヌクレオチド-脂質複合体の形成によって、ターゲット核酸を含
有する細胞内に、センスまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチドを導入してもよい。セ
ンスまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチド-脂質複合体は、好ましくは、内因性リパ
ーゼによって、細胞内で解離する。
【0035】
ミオスタチンまたはミオスタチン受容体の発現を防止するためのさらなる方法は、例え
ばBosherら, Nature Cell Biol 2, E31-E36(2000)に記載されるような、特異的小干渉R
NA(siRNA)の導入によって生じるRNA干渉(RNAi)である。本発明によるアンタゴニスト
性核酸分子は、in vivoまたはin vitroで、ミオスタチンの機能的活性を阻害するかまた
は排除することが可能である。1つの態様において、選択的アンタゴニストは、ミオスタ
チンの機能的活性を少なくとも約10%、別の態様において、少なくとも約50%、別の態様
において、少なくとも約80%阻害するであろう。
【0036】
ミオスタチン・アンタゴニストには、ミオスタチンまたはその受容体のいずれかに結合
する、小分子アンタゴニストがさらに含まれる。小分子は、ミオスタチンまたはその受容
体への結合に関してスクリーニングし、その後、本明細書に記載する結合剤の選択と同様
に、特異的および非特異的溶出を行うことによって選択される。
【0037】
ミオスタチン結合剤を以下に記載する。
本明細書において、用語「ミオスタチンに結合可能な」または「ミオスタチンに結合ア
フィニティーを有する」は、以下の実施例に記載するファージELISAアッセイ、BIAcore(
登録商標)またはKinExATMアッセイによって示されるような、ミオスタチンに結合する本
明細書記載の結合剤などのミオスタチン・アンタゴニストを指す。
【0038】
本明細書において、用語「ミオスタチン活性を修飾可能」は、ミオスタチンの少なくと
も1つの生物学的活性に関するアゴニストまたはアンタゴニストいずれかとしての物質の
作用を指す。本明細書において、「アゴニスト」または「模倣体(mimetic)」活性は、
例えば本明細書に参考文献として援用される国際出願WO 01/83525、2001年5月2日出願に
記載されるように、目的のタンパク質と相互作用するタンパク質に匹敵する生物学的活性
を有する物質を指す。
【0039】
本明細書において、用語「ミオスタチン活性を阻害する」または「ミオスタチン活性を
アンタゴナイズする」は、例えばpMARE C2C12細胞に基づくミオスタチン活性アッセイな
どのin vitroアッセイによって、または以下に記載するようなin vivo動物試験によって
示されるように、ミオスタチン・アンタゴニストが、ミオスタチン活性またはシグナル伝
達を減少させるかまたは遮断する能力を指す。
【0040】
本発明は、本明細書に論じる障害を治療するための、医薬組成物におけるミオスタチン
・アンタゴニストの組み合わせ、例えば本明細書記載のものの使用を意図する。
ミオスタチン結合剤
本発明のミオスタチン結合剤は、少なくとも1つのミオスタチン結合ペプチドを含む。1
つの態様において、本発明の結合剤は、ポリマーまたはFcドメインなどの少なくとも1つ
のビヒクルに共有結合した、少なくとも1つのミオスタチン結合ペプチドを含む。ミオス
タチン結合ペプチドを少なくとも1つのビヒクルに結合させて、結合剤の生物学的活性を
増加させ、そして/またはin vivoでの分解を減少させ、in vivoでの半減期を増加させ、
in vivoでの毒性または免疫原性を減少させることによって、療法剤としての結合剤の有
効性を増加させることを意図する。結合剤は、ペプチドおよびビヒクルを連結するリンカ
ー配列をさらに含むことも可能である。単数または複数のペプチドが直接、またはリンカ
ー配列を介して間接的に、ペプチドのN末端、C末端またはアミノ酸側鎖で、ビヒクルに結
合される。この態様において、本発明の結合剤は、以下の構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;そして
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々
独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]
を有する。
【0041】
システイニル残基を含有するペプチドはいずれも、別のCys含有ペプチドと架橋される
ことも可能であり、これらのいずれかまたは両方がビヒクルに連結されてもよい。1より
多いCys残基を有するペプチドはいずれも、ペプチド内ジスルフィド結合を形成すること
もまた、可能である。
【0042】
1つの態様において、ビヒクルは以下に定義するFcドメインである。この態様は、「ペ
プチボディ(peptibody)」と称される。本明細書において、用語「ペプチボディ」は、
少なくとも1つのペプチドに結合した抗体Fcドメインを含む分子を指す。ペプチボディの
産生は、本明細書に参考文献として援用されるPCT公報WO 00/24782、2000年5月4日公開
に一般的に記載される。典型的なペプチボディは、以下の実施例に記載するように、それ
ぞれ、1コピーおよび2コピーのペプチド(タンデムに結合される)を有する、1×および2
×の形態として提供される。
【0043】
ペプチド
本明細書において、用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結される約5〜約90
アミノ酸の分子を指す。本発明のペプチドは、好ましくは、長さ約5〜約50アミノ酸の間
、より好ましくは、長さ約10〜30アミノ酸の間、そして最も好ましくは、長さ約10〜25ア
ミノ酸の間であり、そしてミオスタチン・タンパク質に結合することが可能である。
【0044】
本発明のペプチドは、天然存在タンパク質配列の部分を含んでもよく、天然存在タンパ
ク質由来のランダム化配列であってもよく、または完全にランダム化配列であってもよい
。本発明のペプチドは、化学合成、タンパク質の消化、または組換え技術を含む、当該技
術分野に知られる方法いずれかによって生成可能である。ミオスタチンに結合可能なペプ
チドを生成するには、ファージディスプレイおよびRNA-ペプチド・スクリーニング、およ
び他のアフィニティースクリーニング技術が特に有用である。
【0045】
ファージディスプレイ技術は、例えば、各々、本明細書に参考文献として援用される、
Scottら, Science 249:386(1990);Devlinら, Science 249:404(1990);米国特許
第5,223,409号、1993年6月29日発行;米国特許第5,733,731号、1998年3月31日発行;米国
特許第5,498,530号、1996年3月12日発行;米国特許第5,432,018号、1995年7月11日発行;
米国特許第5,338,665号、1994年8月16日発行;米国特許第5,922,545号、1999年7月13日発
行;WO 96/40987、1996年12月19日公開;およびWO 98/15833、1998年4月16日公開に記
載される。ファージライブラリーを用いて、繊維状ファージのコートタンパク質との融合
によって、ランダムペプチド配列をディスプレイする。典型的には、ディスプレイされた
ペプチドは、ターゲット分子に対して特異的かまたは非特異的のいずれかでアフィニティ
ー溶出される。保持されたファージを、アフィニティー精製および再増殖の連続周期によ
って濃縮してもよい。例えば以下に記載するファージELISAを用い、そして次いで配列決
定することによって、さらなる分析のために、最適結合ペプチドが選択される。場合によ
って、変異誘発ライブラリーを生成して、そしてスクリーニングし、最適結合剤の配列を
さらに最適化してもよい(Lowman, Ann Rev Biophys Biomol Struct 26:401-24(1997)
)。
【0046】
ミオスタチン結合ペプチドを生成する他の方法には、当該技術分野に知られるさらなる
アフィニティー選択技術が含まれる。ペプチドライブラリーをlacリプレッサーのカルボ
キシル末端で融合させて、そして大腸菌(E. coli)で発現させてもよい。大腸菌に基づ
く別の方法は、ペプチドグリカン会合リポタンパク質(PAL)との融合によって、細胞の
外膜上でのディスプレイを可能にする。本明細書において、これ以降、これらの方法およ
び関連法を、まとめて「大腸菌ディスプレイ」と称する。別の方法において、リボソーム
放出前にランダムRNAの翻訳を停止して、会合するRNAがまだ付着したポリペプチドのライ
ブラリーを生じる。本明細書において、これ以降、この方法および関連法を、まとめて「
リボソーム・ディスプレイ」と称する。他の方法は、RNAに対するペプチドの化学的連結
を使用する。例えば、RobertsおよびSzostak, Proc Natl Acad Sci USA, 94:12297-303
(1997)を参照されたい。本明細書において、これ以降、これらの方法および関連法を、
まとめて「RNA-ペプチド・スクリーニング」と称する。酵母2ハイブリッドスクリーニン
グ法もまた、ミオスタチンに結合する本発明のペプチドを同定するのに使用可能である。
さらに、化学的に得られるペプチドライブラリーが開発されてきており、該ライブラリー
では、ペプチドは安定な非生物学的物質、例えばポリエチレン・ロッドまたは溶媒浸透性
樹脂上に固定されている。別の化学的に得られるペプチドライブラリーは、フォトリソグ
ラフィーを用いて、ガラススライド上に固定されたペプチドをスキャンする。本明細書に
おいて、これ以降、これらの方法および関連法を、まとめて「化学的ペプチド・スクリー
ニング」と称する。化学的ペプチド・スクリーニングは、D-アミノ酸および他の類似体と
ともに、非ペプチド物質の使用を可能にする点で好適でありうる。生物学的方法および化
学的方法はどちらも、WellsおよびLowman, Curr Opin Biotechnol 3:355-62(1992)に
概説される。
【0047】
さらに、ミオスタチンに結合可能な選択されたペプチドを、「合理的設計」の使用を通
じて、さらに改善することも可能である。このアプローチでは、ペプチド配列に段階的な
変化を作製し、そして、ペプチドの結合アフィニティーまたは特異性、あるいはペプチド
の何らかの他の特性に対する置換の影響を、適切なアッセイで観察する。この技術の一例
は、一度に1つの残基をアラニンで置換する、「アラニン・ウォーク」または「アラニン
・スキャン」と称されるものである。2つの残基を置換する場合は、「二重アラニン・ウ
ォーク」と称される。アミノ酸置換を含有する、生じたペプチドを、活性増進または何ら
かのさらなる好適な特性に関して試験する。
【0048】
さらに、タンパク質-タンパク質相互作用の構造分析を用いて、より大きいタンパク質
の相互作用を模倣するペプチドを示唆することも可能である。こうした分析において、タ
ンパク質の結晶構造は、タンパク質の非常に重要な残基の同一性および相対的な配向を示
唆することも可能であり、この結晶構造からペプチドを設計してもよい。例えば、Takasa
kiら, Nature Biotech 15:1266(1977)を参照されたい。これらの方法を用いて、ター
ゲットとされるタンパク質、およびファージディスプレイまたは他のアフィニティー選択
法によって選択されたペプチドの間の相互作用を調べ、それによって、結合アフィニティ
ーおよび該ペプチドが該タンパク質の活性を阻害する能力を増加させる、ペプチドのさら
なる修飾を示唆することもまた、可能である。
【0049】
1つの態様において、本発明のペプチドは、関連ペプチドのファミリーとして生成され
る。典型的なペプチドは、配列番号1〜132に代表される。これらの典型的なペプチドは、
選択法を通じて得られたものであり、該選択法では、本明細書に記載するようなファージ
ディスプレイ技術などのアフィニティー選択技術によって、ファージディスプレイ技術に
より生成された最適結合剤をファージELISAでさらに分析して、候補ペプチドを得た。
【0050】
本発明のペプチドは、「アフィニティー成熟」のプロセスによってさらに改善可能であ
る。この方法は、ファージディスプレイまたは他の選択技術を用いて、本発明のペプチド
およびペプチボディのアフィニティーまたは活性を増加させることに関する。例えば、コ
ンセンサス配列に基づいて、「コア」アミノ酸(コンセンサス配列から決定される)が一
定に保持されるかまたはその発生頻度が偏向した(biased)、定方向(directed)二次フ
ァージディスプレイ・ライブラリーを生成してもよい。あるいは、個々のペプチド配列を
用いて、偏向定方向ファージディスプレイ・ライブラリーを生成してもよい。よりストリ
ンジェントな条件下で、こうしたライブラリーをパニングすると、ミオスタチンへの増進
した結合、ミオスタチンへの選択的結合、または何らかのさらなる望ましい特性を持つペ
プチドを産生することができる。しかし、次いで、化学的合成または組換え的合成を含む
、いくつもの既知の方法によって、アフィニティー成熟配列を有するペプチドを産生して
もよい。これらのペプチドを用いて、細胞に基づくアッセイおよびin vivoアッセイにお
いて、より高い阻害活性を示す、多様な形態のペプチボディなどの結合剤を生成する。
【0051】
以下の実施例6は、アフィニティー成熟ペプチドを産生するための、上述の「第1周期」
ペプチドのアフィニティー成熟を記載する。典型的なアフィニティー成熟ペプチボディを
表IVおよびVに提示する。次いで、これらのペプチドから作製されて生じた1×および2×
ペプチボディを、結合アフィニティー、ミオスタチン活性を中和する能力、アクチビンな
どの特定の他のTGF-βファミリーメンバーと対照的な、ミオスタチンに対する特異性、な
らびに以下に記載するようなさらなるin vitroおよびin vivo活性に関して、さらに性質
決定した。アフィニティー成熟ペプチドおよびペプチボディは、同じファミリーの第1周
期ペプチドと区別するため、ファミリー名の前に接頭辞「m」を付けて称される。
【0052】
本発明にしたがったさらなるアフィニティー成熟のために選択される、典型的な第1周
期ペプチドには、以下のペプチドが含まれた:TN8-19 QGHCTRWPWMCPPY(配列番号33)、
および直鎖ペプチド、直鎖-2 MEMLDSLFELLKDMVPISKA(配列番号104)、直鎖-15 HHGWNYLR
KGSAPQWFEAWV(配列番号117)、直鎖-17 RATLLKDFWQLVEGYGDN(配列番号119)、直鎖-20
YREMSMLEGLLDVLERLQHY(配列番号122)、直鎖-21 HNSSQMLLSELIMLVGSMMQ(配列番号123)
、直鎖-24 EFFHWLHNHRSEVNHWLDMN(配列番号126)。これら各々のアフィニティー成熟フ
ァミリーを以下の表IVおよびVに提示する。
【0053】
本発明のペプチドにはまた、ミオスタチンに結合可能な選択したペプチドの変異体およ
び誘導体が含まれる。本明細書において、用語「変異体」は、元来のアミノ酸配列に1以
上のアミノ酸が挿入されたか、元来のアミノ酸から1以上のアミノ酸が欠失されたか、ま
たは元来のアミノ酸に1以上のアミノ酸が置換され、そしてなおミオスタチンに結合可能
なペプチドを指す。挿入変異体および置換変異体は、天然アミノ酸とともに、非天然存在
アミノ酸を含有してもよい。本明細書において、用語「変異体」には、ミオスタチンに結
合する能力をなお保持するペプチド断片が含まれる。本明細書において、用語「誘導体」
は、挿入変異体、欠失変異体、および置換変異体と何らかの点で別個に、化学的に修飾さ
れたペプチドを指す。本発明のペプチドおよびペプチボディの変異体および誘導体を以下
により完全に記載する。
【0054】
ビヒクル
本明細書において、用語「ビヒクル」は、本発明の1以上のペプチドに結合することが
可能な分子を指す。好ましくは、ビヒクルは、本発明の結合剤に少なくとも1つの望まし
い特性を与える。ペプチドは、単独では、腎ろ過、細網内皮系における細胞性クリアラン
ス機構、またはタンパク質分解的分解のいずれかによって、in vivoで除去される可能性
がある。ビヒクルへの結合は、結合剤の分解を減少させ、そして/または半減期を増加さ
せ、毒性を減少させ、免疫原性を減少させ、そして/または結合剤の生物学的活性を増加
させることによって、結合剤の療法的価値を改善する。
【0055】
典型的なビヒクルには、Fcドメイン;ポリエチレングリコール(PEG)、ポリリジン、
デキストランなどの直鎖ポリマー;分枝鎖ポリマー(例えばDenkenwalterらに対する米国
特許第4,289,872号、1981年9月15日登録;Tamに対する米国特許第5,229,490号、1993年7
月20日登録;FrechetらによるWO93/21259、1993年10月28日公開を参照されたい);脂質
;コレステロール群(ステロイドなど);炭水化物またはオリゴ糖;あるいはサルベージ
受容体に結合するいずれかの天然または合成タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが
含まれる。
【0056】
1つの態様において、本発明のミオスタチン結合剤は、ペプチド(単数または複数)の
アミノ酸残基の1つのN末端、C末端または側鎖を通じて、少なくとも1つのビヒクル(F1
F2)に結合した少なくとも1つのペプチドを有する。多数のビヒクルもまた使用可能であ
り;例えば各末端にFcドメインが、または1つの末端にFcドメインが、そしてもう一方の
末端または側鎖にPEG基があってもよい。
【0057】
Fcドメインは1つの好ましいビヒクルである。本明細書において、用語「Fcドメイン」
には、天然FcおよびFc変異体分子、ならびに以下に定義するような配列が含まれる。本明
細書において、用語「天然Fc」は、組換えDNA技術によって、または完全な抗体の酵素的
切断もしくは化学的切断によって産生される、抗体の非抗原結合断片、またはその断片の
アミノ酸配列を指す。好ましいFcは、完全ヒトFcであり、そしてIgG1およびIgG2などの免
疫グロブリンいずれに由来してもよい。しかし、部分的にヒトであるか、または非ヒト種
に由来するFc分子もまた、本明細書に含まれる。天然Fc分子は、共有結合(すなわちジス
ルフィド結合)および非共有結合によって二量体型またはマルチマー型に連結されること
も可能な、単量体ポリペプチドで構成される。天然Fc分子の単量体サブユニット間の分子
間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えばIgG、IgA、IgE)またはサブクラス(例えばI
gG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)に応じて、1〜4の範囲である。天然Fcの一例は、IgGの
パパイン消化から生じるジスルフィド結合二量体である(Ellisonら(1982), Nucl Acid
s Res 10:4071-9を参照されたい)。用語「天然Fc」は、本明細書において、単量体型、
二量体型、およびマルチマー型を指すように用いられる。
【0058】
本明細書において、用語「Fc変異体」は、例えばどちらも本明細書に参考文献として援
用されるWO 97/34631およびWO 96/32478に記載されるような、サルベージ受容体への結
合が維持されるという条件付きの天然Fc配列の修飾型を指す。Fc変異体は、例えば、残基
を置換するかまたは欠失させるか、残基を挿入するか、あるいは該部位を含有する部分を
一部切除することによって、構築可能である。挿入残基または置換残基はまた、ペプチド
模倣体またはD-アミノ酸などの改変されたアミノ酸であることも可能である。Fc変異体は
、いくつかの理由で望ましい可能性があり、理由のいくつかを以下に記載する。典型的な
Fc変異体には、以下の分子および配列が含まれる:
1. ジスルフィド結合形成に関与する部位が除去されている。こうした除去によって
、本発明の分子を産生するのに用いる宿主細胞に存在する、他のシステイン含有タンパク
質との反応が回避可能である。この目的のため、N末端のシステイン含有セグメントを一
部切除してもよいし、あるいはシステイン残基を欠失させるか、または他のアミノ酸(例
えばアラニル、セリル)で置換してもよい。システイン残基を除去する場合であっても、
一本鎖Fcドメインはなお、非共有的に一緒に保持される二量体Fcドメインを形成すること
も可能である。
【0059】
2. 選択した宿主細胞に、より適合するように、天然Fcが修飾されている。例えば、
典型的な天然FcのN末端近傍に位置し、プロリン・イミノペプチダーゼなどの大腸菌の消
化酵素に認識されうる、PA配列を除去してもよい。分子が大腸菌などの細菌細胞で組換え
的に発現される場合は特に、N末端メチオニル残基を付加してもよい。
【0060】
3. 選択した宿主細胞で発現した際、N末端が不均一になるのを防止するため、天然Fc
のN末端部分が除去されている。この目的のため、N末端の最初の20アミノ酸残基のいずれ
か、特に1位、2位、3位、4位および5位のものを欠失させてもよい。
【0061】
4. 1以上のグリコシル化部位が除去されている。典型的にグリコシル化される残基(
例えばアスパラギン)は、細胞溶解反応を与えうる。こうした残基を欠失させるか、また
は非グリコシル化残基(例えばアラニン)で置換してもよい。
【0062】
5. 補体との相互作用に関与する部位、例えばC1q結合部位が除去されている。例えば
、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させるかまたは置換してもよい。本発明の分子には、補体動
員は好適でない可能性もあり、そしてしたがって、こうしたFc変異体によってこれを回避
することも可能である。
【0063】
6. サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響を及ぼす部位が除去されている
。天然Fcは、特定の白血球と相互作用するための部位を有する可能性があり、こうした部
位は、本発明の融合分子には必要ではなく、そしてしたがって、除去してもよい。
【0064】
7. ADCC部位が除去されている。ADCC部位は当該技術分野に知られる。例えばIgG1に
おけるADCC部位に関しては、Molec Immunol 29(5):633-9(1992)を参照されたい。こ
れらの部位もまた、本発明の融合分子には必要ではなく、そしてしたがって、除去しても
よい。
【0065】
8. 天然Fcが非ヒト抗体に由来する場合、天然Fcをヒト化してもよい。典型的には、
天然Fcをヒト化するため、非ヒト天然Fcの選択残基を、ヒト天然Fcに通常見られる残基で
置換する。抗体をヒト化する技術は当該技術分野に周知である。
【0066】
用語「Fcドメイン」には、全抗体を消化するのであれ、または他の手段によって産生す
るのであれ、単量体型またはマルチマー型の分子が含まれる。本明細書において、用語「
マルチマー」は、FcドメインまたはFcドメインを含む分子にについていうとき、共有的に
、非共有的に、または共有相互作用および非共有相互作用の両方によって会合する2以上
のポリペプチド鎖を有する分子を指す。IgG分子は、典型的には二量体を形成し;IgMは五
量体;IgDは二量体;そしてIgAは単量体、二量体、三量体、または四量体を形成する。マ
ルチマーは、配列を利用して、そしてFcの天然Ig供給源の活性を生じることによって、ま
たはこうした天然Fcを誘導体化することによって、形成可能である。用語「二量体」は、
FcドメインまたはFcドメインを含む分子についていうとき、共有的にまたは非共有的に会
合する2つのポリペプチド鎖を有する分子を指す。
【0067】
さらに、本発明にしたがった別のビヒクルは、サルベージ受容体に結合可能な非Fcドメ
イン・タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、または小分子(例えばペ
プチド模倣体化合物)である。例えば、Prestaらに対する米国特許第5,739,277号、1998
年4月14日登録に記載されるようなポリペプチドをビヒクルとして用いてもよい。また、F
cRnサルベージ受容体に対する結合に関して、ファージディスプレイによってペプチドを
選択してもよい。こうしたサルベージ受容体結合化合物もまた、「ビヒクル」の意味の中
に含まれ、そして本発明の範囲内である。こうしたビヒクルは、半減期を増加させ(例え
ばプロテアーゼに認識される配列を回避することによって)そして免疫原性を減少させる
(例えば抗体ヒト化において発見されるような、非免疫原性配列を好むことによって)よ
うに選択されるべきである。
【0068】
さらに、ポリマービヒクルもまた、本発明の結合剤を構築するために使用可能である。
ビヒクルとして有用な化学部分を結合させる多様な手段が現在利用可能であり、例えば本
明細書に参考文献として完全に援用される、特許協力条約(「PCT」)国際公報第WO 96/
11953号、表題「N末端が化学的に修飾されたタンパク質組成物および方法」を参照された
い。このPCT公報は、とりわけ、タンパク質のN末端への水溶性ポリマーの選択的結合を開
示する。
【0069】
好ましいポリマービヒクルは、ポリエチレングリコール(PEG)である。PEG基は、いか
なる好適な分子量のものであってもよく、そして直鎖であってもまたは分枝鎖であっても
よい。PEGの平均分子量は、好ましくは約2kDa〜約100kDa、より好ましくは約5kDa〜約50k
Da、最も好ましくは約5kDa〜約10kDaの範囲であろう。PEG基は、一般的に、アシル化また
は還元性アルキル化を介し、PEG部分上の反応基(例えばアルデヒド基、アミノ基、チオ
ール基、またはエステル基)を通じて、本発明の化合物上の反応基(例えばアルデヒド基
、アミノ基、またはエステル基)に対して、本発明の化合物と結合されるであろう。合成
ペプチドのPEG化に有用な戦略は、相互に、互いに対して反応性である特別の官能性を各
々所持するペプチドおよびPEG部分を、溶液中でコンジュゲート連結を形成することを通
じて結合することからなる。ペプチドは、当該技術分野に知られるような慣用的固相合成
で容易に調製可能である。ペプチドを、特定の部位で、適切な官能基で「プレ活性化」す
る。前駆体を精製し、そしてPEG部分と反応させる前に完全に性質決定する。ペプチドとP
EGの連結は、通常、水性相で行われ、そして逆相分析用HPLCによって、容易に監視可能で
ある。分取用HPLCによってPEG化ペプチドを容易に精製し、そして分析用HPLC、アミノ酸
分析、およびレーザー脱離質量分析によって性質決定することも可能である。
【0070】
多糖ポリマーが、タンパク質修飾に使用可能な水溶性ポリマーの別の種類である。デキ
ストランは、主に1-6連結によって連結された個々のグルコース・サブユニットで構成さ
れる、多糖ポリマーである。デキストラン自体は、多くの分子量範囲で入手可能であり、
そして約1kDa〜約70kDaの分子量で容易に入手可能である。デキストランは、単独で、ま
たは別のビヒクル(例えばFc)と組み合わせて、ビヒクルとして、本発明で使用するのに
適した水溶性ポリマーである。例えば、WO 96/11953およびWO 96/05309を参照されたい
。療法免疫グロブリンまたは診断用免疫グロブリンにコンジュゲート化されたデキストラ
ンの使用が報告されている;例えば本明細書に参考文献として援用される欧州特許公報第
0 315 456号を参照されたい。デキストランを本発明にしたがったビヒクルとして用いる
場合、約1kDa〜約20kDaのデキストランが好ましい。
【0071】
リンカー
本発明の結合剤は、場合によって、「リンカー」基をさらに含むことも可能である。リ
ンカーは、主に、ペプチドおよびビヒクルの間のスペーサー、または本発明の結合剤の2
つのペプチドの間のスペーサーとして働く。1つの態様において、リンカーは、ペプチド
結合によってともに連結されたアミノ酸、好ましくはペプチド結合によって連結された1
〜20アミノ酸で構成され、アミノ酸は20の天然存在アミノ酸から選択される。これらのア
ミノ酸の1以上は、当業者に理解されるように、グリコシル化されることも可能である。1
つの態様において、1〜20アミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、
グルタミン、およびリジンから選択される。好ましくは、リンカーは、立体的に妨害され
ない、グリシンおよびアラニンなどのアミノ酸で大部分が構成される。したがって、典型
的なリンカーは、ポリグリシン(特に(Gly)5、(Gly)8)、ポリ(Gly-Ala)、および
ポリアラニンである。本明細書において、記号表示「g」はグリシン・ホモペプチドリン
カーを指す。表IIに示すような「gn」は、N末端の5×glyリンカーを指し、一方、「gc」
はC末端の5×glyリンカーを指す。GlyおよびAlaの組み合わせもまた好ましい。本発明の
結合剤を構築するのに有用な1つの典型的なリンカー配列は、以下のとおりである:gsgsa
tggsgstassgsgsatg(配列番号305)。このリンカー配列は、「k」または1k配列と称され
る。表IIに見られるような記号表示「kc」は、C末端のkリンカーを指し、一方、記号表示
「kn」は、N末端のkリンカーを指す。
【0072】
本発明のリンカーはまた、非ペプチドリンカーであってもよい。例えば、-NH-(CH2)s
-C(O)-、ここでs=2〜20である、などのアルキルリンカーを用いてもよい。これらのア
ルキルリンカーは、低次アルキル(例えばC1〜C6)、低次アシル、ハロゲン(例えばCl、
Br)、CN、NH2、フェニルなどの立体的に妨害しない基いずれかによってさらに置換され
てもよい。典型的な非ペプチドリンカーは、PEGリンカーであり、そして100〜5000kDa、
好ましくは100〜500kDaの分子量を有する。ペプチドリンカーを改変して、上と同じ方式
で誘導体を形成してもよい。
【0073】
典型的な結合剤
本明細書記載の結合剤は、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドを含む
。1つの態様において、ミオスタチン結合ペプチドは、長さ約5〜約50アミノ酸の間であり
、別の態様において、長さ約10〜30アミノ酸の間であり、そして別の態様において、長さ
約10〜25アミノ酸の間である。1つの態様において、ミオスタチン結合ペプチドは、アミ
ノ酸配列WMCPP(配列番号633)を含む。他の態様において、ミオスタチン結合ペプチドは
、アミノ酸配列Ca1a2Wa3WMCPP(配列番号352)を含み、ここでa1、a2およびa3は、中性疎
水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸から選択される。別の態様にお
いて、ミオスタチン結合ペプチドは、アミノ酸配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、ここ
でb1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;b2は、R、S、Qのいずれか1
つから選択され;b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択され、そして長さが10〜50ア
ミノ酸の間であるペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩を含む。
【0074】
別の態様において、ミオスタチン結合ペプチドは、式:
c1c2c3c4c5c6Cc7c8Wc9WMCPPc10c11c12c13(配列番号354)、式中:
c1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
c7は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c8は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c9は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;そして
c10〜c13は、アミノ酸いずれかであり;
そして長さが20〜50アミノ酸の間であるペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩
を含む。
【0075】
関連する態様において、ミオスタチン結合ペプチドは、式:
d1d2d3d4d5d6Cd7d8Wd9WMCPPd10d11d12d13(配列番号355)、式中
d1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
d7は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
d8は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
d9は、P、RおよびQのいずれか1つから選択され;そして
d10〜d13は、アミノ酸いずれかから選択され;
そして長さが20〜50アミノ酸の間であるペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩
を含む。
【0076】
結合剤のさらなる態様は、以下のペプチドの少なくとも1つを含む:
(1)配列WYe1e2Ye3G(配列番号356)
ここでe1は、P、SまたはYであり、
e2は、CまたはQであり、そして
e3は、GまたはHである、
を含み、ペプチドの長さが7〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能なペプチ
ド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(2)配列f1EMLf2SLf3f4LL(配列番号455)、
ここでf1は、MまたはIであり、
f2は、アミノ酸いずれかであり、
f3は、LまたはFであり、
f4は、E、QまたはDである、
を含み;そしてペプチドの長さが7〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(3)配列Lg1g2LLg3g4L(配列番号456)、ここで
g1は、Q、DまたはEであり、
g2は、S、Q、DまたはEであり、
g3は、アミノ酸いずれかであり、
g4は、L、W、F、またはYである、
を含み、そしてペプチドの長さが8〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩;
(4)配列h1h2h3h4h5h6h7h8h9(配列番号457)、ここで
h1は、RまたはDであり、
h2は、アミノ酸いずれかであり、
h3は、A、T、SまたはQであり、
h4は、LまたはMであり、
h5は、LまたはSであり、
h6は、アミノ酸いずれかであり、
h7は、FまたはEであり、
h8は、W、FまたはCであり、
h9は、L、F、MまたはKである、
を含み、そしてペプチドの長さが9〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な
ペプチド、およびその生理学的に許容されうる塩。

1つの態様において、本発明の結合剤は、以下の一般化された構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;そして
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々
独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]
を有する。
【0077】
この一般化された構造を有する結合剤の1つの態様において、ペプチドP1、P2、P3、お
よびP4は、以下の配列:配列番号633、配列番号352、配列番号353、配列番号354、配列番
号355、配列番号356、配列番号455、配列番号456、または配列番号457のいずれかを含む1
以上のペプチドから選択可能である。別の態様において、P、P1、P2、P3、およびP4は、
以下の配列:配列番号305〜351、および配列番号357〜454のいずれかを含む1以上のペプ
チドから独立に選択される。
【0078】
さらなる態様において、上記一般式を有する結合剤のビヒクルは、Fcドメインである。
ペプチドは、したがって、直接または間接的のいずれかでFcドメインに融合し、それによ
ってペプチボディを提供する。本発明のペプチボディは、ミオスタチンに高い結合アフィ
ニティーを示し、そして本明細書に提供するin vitroアッセイおよび動物におけるin viv
o試験によって示されるように、ミオスタチンの活性を阻害可能である。
【0079】
本発明はまた、本発明のペプチド、ペプチボディ、ならびにペプチドおよびペプチボデ
ィの変異体および誘導体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子も提供する。典型
的なヌクレオチド配列を以下に提供する。
【0080】
ペプチドおよびペプチボディの変異体および誘導体
本明細書記載の結合剤は、本明細書に記載するペプチドおよびペプチボディの変異体お
よび誘導体もまた含む。本発明のペプチドおよびペプチボディはどちらも、アミノ酸配列
に関して記載することも可能であるため、用語「変異体」および「誘導体」は、ペプチド
単独、またはペプチボディの構成要素としてのペプチドに適用して述べることも可能であ
る。本明細書において、用語「ペプチド変異体」は、元来のアミノ酸配列に1以上のアミ
ノ酸残基が挿入されたか、元来のアミノ酸から1以上のアミノ酸残基が欠失されたか、ま
たは元来のアミノ酸に1以上のアミノ酸が置換され、そしてミオスタチンに結合し、そし
てその活性を修飾する能力を保持するペプチドまたはペプチボディを指す。本明細書にお
いて、「変異体」の定義には、ペプチドまたはペプチボディの断片が含まれる。
【0081】
いかなる所定のペプチドまたはペプチボディも、変異体の1種または2種または3種すべ
てを含有してもよいことが理解される。挿入変異体および置換変異体は、天然アミノ酸と
ともに、非天然存在アミノ酸、または両方を含有してもよい。
【0082】
ペプチド変異体およびペプチボディ変異体はまた、リーダー配列またはシグナル配列が
除去された、成熟ペプチドおよび成熟ペプチボディ、ならびにアミノ酸が天然であること
もまたは非天然であることも可能なさらなるアミノ末端残基を有することも可能な、生じ
るタンパク質も含む。アミノ酸-1位にさらなるメチオニル残基を持つペプチボディ(Met-
1-ペプチボディ)が意図され、-2位および-1位にさらなるメチオニン残基およびリジン残
基を持つペプチボディ(Met-2-Lys-1-)も意図される。細菌宿主細胞における組換えタン
パク質産生の増進には、さらなるMet残基、Met-Lys残基、Lys残基(または一般的に1以上
の塩基性残基)を有する変異体が特に有用である。
【0083】
本発明のペプチド変異体またはペプチボディ変異体には、特定の発現系の使用から生じ
るさらなるアミノ酸残基を有するペプチドもまた含まれる。例えば、グルタチオン-S-ト
ランスフェラーゼ(GST)融合産物の一部として、所望のポリペプチドを発現する、商業
的に入手可能なベクターを使用すると、所望のポリペプチドからGST構成要素を切断した
後、アミノ酸-1位でさらなるグリシン残基を有する、所望のポリペプチドが提供される。
他のベクター系における発現から生じる変異体もまた意図され、アミノ酸配列に、一般的
には配列のカルボキシ末端および/またはアミノ末端に、ヒスチジンタグが取り込まれて
いるものが含まれる。
【0084】
一例において、天然存在または非天然存在アミノ酸いずれかの1以上のアミノ酸残基が
ペプチド・アミノ酸配列に付加される、挿入変異体が提供される。挿入は、タンパク質の
いずれかの末端または両末端に位置してもよいし、あるいはペプチボディ・アミノ酸配列
の内部領域内に位置してもよい。いずれかの末端または両末端にさらなる残基を持つ挿入
変異体には、例えば、融合タンパク質、およびアミノ酸タグまたは標識を含むタンパク質
が含まれてもよい。挿入変異体には、1以上のアミノ酸残基がペプチド・アミノ酸配列ま
たはその断片に付加されるペプチドが含まれる。
【0085】
挿入変異体はまた、ペプチドまたはペプチボディのアミノ末端および/またはカルボキ
シ末端を別のポリペプチド、その断片、または特定のタンパク質配列いずれの部分とも一
般的に認識されないアミノ酸に融合させた、融合タンパク質も含む。こうした融合タンパ
ク質の例は、免疫原性ポリペプチド、例えば免疫グロブリン定常領域、マーカータンパク
質などの長い循環半減期を持つタンパク質、所望のペプチドまたはペプチボディの精製を
容易にするタンパク質またはポリペプチド、およびマルチマー・タンパク質の形成を促進
するポリペプチド配列(二量体形成/安定性に有用なロイシンジッパーモチーフなど)で
ある。
【0086】
この種の挿入変異体は、一般的に、N末端またはC末端で、第二のポリペプチドのすべて
または部分に連結された、天然分子のすべてまたは実質的な部分を有する。例えば、融合
タンパク質は、典型的には、他の種由来のリーダー配列を使用して、異種宿主におけるタ
ンパク質の組換え体発現を可能にする。別の有用な融合タンパク質には、融合タンパク質
の精製を促進する免疫学的活性ドメイン、例えば抗体エピトープの付加が含まれる。融合
接合部またはその近傍に切断部位を含むと、精製後の外来(extraneous)ポリペプチドの
除去が容易になるであろう。他の有用な融合には、酵素由来の活性部位、グリコシル化ド
メイン、細胞性ターゲティングシグナルまたは膜貫通領域などの機能ドメインの連結が含
まれる。
【0087】
本発明で使用可能で、商業的に入手可能な多様な融合タンパク質発現系がある。特に有
用な系には、限定されるわけではないが、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)系
(Pharmacia)、マルトース結合タンパク質系(NEB、マサチューセッツ州ビバリー)、FL
AG系(IBI、コネチカット州ニューヘブン)、および6×His系(Qiagen、カリフォルニア
州チャツワース)が含まれる。これらの系は、少数のさらなるアミノ酸しか所持しない組
換えペプチドおよび/またはペプチボディを産生することが可能であり、ペプチドまたは
ペプチボディの活性に有意に影響を及ぼす可能性が低い。例えば、FLAG系および6×His系
はどちらも、短い配列しか付加せず、これら配列はどちらもほとんど抗原性でなく、そし
て天然コンフォメーションへのポリペプチドのフォールディングに不都合に影響を及ぼさ
ないことが知られる。有用であることが意図される別のN末端融合は、タンパク質または
ペプチドのN末端領域でのMet-Lys二ペプチドの融合である。こうした融合は、タンパク質
発現または活性の有益な増加を生じうる。
【0088】
所望のペプチドまたはペプチボディから融合パートナーを切除することが望ましい場合
、他の融合系は、ポリペプチドハイブリッドを生じる。1つの態様において、融合パート
ナーは、プロテアーゼの特異的認識配列を含有するペプチド配列によって、組換えペプチ
ボディに連結される。適切な配列の例は、タバコエッチ病ウイルスプロテアーゼに認識さ
れるもの(Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)または因子Xaに認識
されるもの(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)である。
【0089】
本発明はまた、一部切除組織因子(tTF)と組み合わせて、本発明のペプチドまたはペ
プチボディのすべてまたは部分を含む融合ポリペプチドも提供する。tTFは、米国特許第5
,877,289号;第6,004,555号;第6,132,729号;第6,132,730号;第6,156,321号;および欧
州特許第EP 0988056号に記載されるように、腫瘍血管凝固剤として作用する、ヒト凝血誘
導タンパク質の一部切除型からなる血管ターゲティング剤である。tTFを抗ミオスタチン
・ペプチボディまたはペプチド、あるいはその断片に融合させると、ターゲット細胞、例
えば骨格筋細胞、心筋細胞、線維芽細胞、前脂肪細胞、および場合によって脂肪細胞への
抗ミオスタチン・アンタゴニストの送達が促進される。
【0090】
別の側面において、本発明は、ペプチドまたはペプチボディ中の1以上のアミノ酸残基
が除去されている欠失変異体を提供する。欠失は、ペプチボディの一方の末端または両方
の末端での、あるいはペプチボディ・アミノ酸配列内の1以上の残基の除去から達成され
てもよい。欠失変異体には、必然的に、ペプチドまたはペプチボディのすべての断片が含
まれる。
【0091】
さらに別の側面において、本発明は、本発明のペプチドおよびペプチボディの置換変異
体を提供する。置換変異体には、1以上のアミノ酸残基が除去され、そして1以上の別のア
ミノ酸と交換されているペプチドおよびペプチボディが含まれ、交換するアミノ酸は、天
然存在または非天然存在であってもよい。置換変異体は、2つの分子が、特定の割合で同
一アミノ酸を有する点で、元来のペプチドまたはペプチボディに「類似」であるペプチド
またはペプチボディを生成する。置換変異体は、ペプチドまたはペプチボディ内の1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、15、および20アミノ酸の置換を含み、置換の数は、ペプチド
またはペプチボディのアミノ酸の10パーセントまでであることも可能である。1つの側面
において、置換の性質は保存的であるが、本発明は、非保存的置換もまた含み、そして非
慣用的アミノ酸もまた含む。
【0092】
関連ペプチドおよびペプチボディの同一性および類似性は、既知の方法によって容易に
計算可能である。こうした方法には、限定されるわけではないが、Computational Molecu
lar Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford University Press, ニューヨーク(1988);Bioc
omputing:Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, ニュ
ーヨーク(1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.およ
びGriffin, H.G.監修, Humana Press, ニュージャージー(1994);Sequence Analysis i
n Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press(1987);Sequence Analysis P
rimer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M. Stockton Press, ニューヨーク(1991
);およびCarilloら, SIAM J. Applied Math., 48:1073(1988)に記載されるものが含
まれる。
【0093】
2つのペプチド同士の関連性または同一性パーセントまたは2つのポリペプチド同士の関
連性または同一性パーセント、あるいはポリペプチドとペプチドの関連性または同一性パ
ーセントを決定する好ましい方法を設計して、試験する配列間の最大のマッチを得る。同
一性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに記述されている。2
つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータプログラム法には、限定されるわけ
ではないが、GAP(Devereuxら, Nucl. Acid. Res., 12:387(1984);Genetics Compute
r Group、ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン;BLASTP、BLASTNおよびFAS
TA(Altschulら, J. Mol. Biol., 215:403-410(1990))を含むGCGプログラムパッケー
ジが含まれる。BLASTXプログラムは、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)お
よび他のソース(BLAST Manual, Altschulら NCB/NLM/NIH Bethesda, MD 20894;Altsc
hulら、上記(1990))から公的に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズム
を用いて、同一性を決定することもまた可能である。
【0094】
2つのアミノ酸配列をアライメントするための特定のアライメントスキームは、2つの配
列の短い領域のみのマッチングを生じることも可能であり、そして2つの全長配列間に有
意な関係がない場合であっても、この小さいアライメント領域が非常に高い配列同一性を
有する可能性もある。したがって、特定の態様において、選択されるアライメント法は、
比較しているターゲットポリペプチドの全長の少なくとも10パーセント、すなわち少なく
とも400アミノ酸の配列を比較している場合は少なくとも40の隣接アミノ酸、少なくとも3
00〜約400アミノ酸の配列を比較している場合は、30の隣接アミノ酸、200〜約300アミノ
酸の配列を比較している場合は、少なくとも20の隣接アミノ酸、そして約100〜200アミノ
酸の配列を比較している場合は、少なくとも10の隣接アミノ酸に渡るアライメントを生じ
るであろう。例えば、コンピュータアルゴリズム、GAP(Genetics Computer Group、ウィ
スコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、配列同一性パーセントを決定
しようとする2つのポリペプチドを、それぞれのアミノ酸の最適マッチング(アルゴリズ
ムによって決定されるような「マッチング化スパン」)のためにアライメントする。特定
の態様において、ギャップ・オープニング・ペナルティ(典型的には平均対角の3倍とし
て計算される;「平均対角」は、用いる比較マトリックスの対角の平均である;「対角」
は、特定の比較マトリックスによって、完全なアミノ酸マッチ各々に割り当てられるスコ
アまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップ・オープニング・ペ
ナルティの1/10倍である)とともに、PAM250またはBLOSUM62などの比較マトリックスを
、アルゴリズムと組み合わせて用いる。特定の態様において、標準的比較マトリックス(
PAM250比較マトリックスに関してはDayhoffら, Atlas of Protein Sequence and Structu
re, 5(3)(1978);BLOSUM62比較マトリックスに関してはHenikoffら, Proc. Natl. Ac
ad. Sci USA, 89:10915-10919(1992)を参照されたい)もまたアルゴリズムに用いられ
る。
【0095】
例えば、特定の態様において、以下を用いてポリペプチド配列比較のパラメーターを作
成してもよい:アルゴリズム:Needlemanら, J. Mol. Biol., 48:443-453(1970);比
較マトリックス:Henikoffら、上記(1992)由来のBLOSUM62;ギャップペナルティ:12;
ギャップ長ペナルティ:4;類似性閾値:0、末端ギャップに対するペナルティなし。
【0096】
特定の態様において、ポリヌクレオチド分子配列(アミノ酸配列と対照的に)比較のパ
ラメーターは、以下を用いて作成可能である:アルゴリズム:Needlemanら、上記(1970
):比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0;ギャップペナルティ:50;ギャ
ップ長ペナルティ:3。
【0097】
プログラム・マニュアル、ウィスコンシン・パッケージ、バージョン9、1997年9月に示
されるものを含めて、他の典型的なアルゴリズム、ギャップ・オープニング・ペナルティ
、ギャップ伸長ペナルティ、比較マトリックス、類似性閾値などが、使用可能である。行
うべき特定の選択は、当業者には明らかであり、そしてDNA対DNA、タンパク質対タンパク
質、タンパク質対DNAなどの、行おうとする特定の比較に応じ;そしてさらに、比較が所
定の配列対間である(この場合、一般的にはGAPまたはBestFitが好ましい)か、または1
つの配列および大きな配列データベース間である(この場合、FASTAまたはBLASTAが好ま
しい)かに応じるであろう。
【0098】
20の慣用的(天然存在)アミノ酸の立体異性体(例えばD-アミノ酸)、α,α-二置換ア
ミノ酸などの非天然存在アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、および他の慣用的でない
アミノ酸もまた、本発明のペプチドに適した構成要素でありうる。非天然存在アミノ酸の
例には、例えば:アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、ベータ-アミノプロピオン酸、ア
ミノ酪酸、ピペリジン酸、アミノカプロン酸、アミノヘプタン酸、アミノイソ酪酸、アミ
ノピメリン酸、ジアミノ酪酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸
、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジ
ン、ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシン、サ
ルコシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニ
チン(orithine)、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリ
メチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミル
メチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、およ
び他の類似のアミノ酸およびアミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。
【0099】
天然存在残基は、共通の側鎖特性に基づいて、(重複する)種類に分けることも可能で
ある:
1)中性疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Met、Phe;
2)中性極性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、Tyr、Gly;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0100】
アミノ酸の置換は、保存的であることも可能であり、こうした置換は、元来のペプチド
と類似の機能的特性および化学的特性を有するペプチドを生じる。保存的アミノ酸置換は
、上記種類の1つのメンバーと、同じ種類の別のメンバーを交換することを伴う。保存的
変化は、非慣用的なアミノ酸残基を含むことも可能であり、これは典型的には、生物学的
系における合成よりも、化学的ペプチド合成によって取り込まれる。これらには、ペプチ
ド模倣体、およびアミノ酸部分の他の逆転(reversed)型または反転(inverted)型が含
まれる。
【0101】
非保存的置換は、これらの種類の1つのメンバーと別の種類のメンバーとの交換を伴っ
てもよい。これらの変化は、ペプチドの機能的特性および/または化学的特性に実質的な
修飾を生じることも可能である。こうした変化を作製する際、特定の態様にしたがって、
アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮してもよい。各アミノ酸には、疎水性および電荷特性
に基づいて、ヒドロパシー指数が割り当てられている。これらは:イソロイシン(+4.5
);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/
シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);ス
レオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロ
リン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アス
パラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5
)である。
【0102】
相互作用性の生物学的機能をタンパク質に与える際に、ヒドロパシーアミノ酸指数が重
要であることが、当該技術分野において理解されている。Kyteら, J. Mol. Biol., 157:
105-131(1982)。特定のアミノ酸を類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他の
アミノ酸で置換して、そしてなお類似の生物学的活性が保持されうることが知られる。特
定の態様において、ヒドロパシー指数に基づいて変化を作製する際、ヒドロパシー指数が
±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。特定の態様において、±1以内であるものが含
まれ、そして特定の態様において、±0.5以内であるものが含まれる。
【0103】
当該技術分野において、親水性に基づいて、類似アミノ酸の置換を有効に行うことが可
能であることもまた、理解されており、本発明の場合におけるように、それによって生成
された生物学的に機能性であるペプチボディまたはペプチドが免疫学的態様における使用
を意図される場合には特に当てはまる。特定の態様において、隣接するアミノ酸の親水性
によって決定されるような、タンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗
原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と相関する。
【0104】
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)
;リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン
(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン
(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン
(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1
.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);およびトリプトファン(-3.4)。
類似の親水性値に基づいて変化を作製する際、特定の態様において、親水性値が±2以内
であるアミノ酸の置換が含まれ、特定の態様において、±1以内であるものが含まれ、そ
して特定の態様において、±0.5以内であるものが含まれる。また、親水性に基づいて、
一次アミノ酸配列からエピトープを同定してもよい。これらの領域はまた、「エピトープ
コア領域」とも称される。
【0105】
典型的なアミノ酸置換を以下の表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
当業者は、例えばランダム置換によって本発明のペプチドおよびペプチボディの変異体
を産生し、そして本明細書に記載するアッセイを用いて、結合活性に関して、生じたペプ
チドまたはペプチボディを試験することも可能であろう。
【0108】
さらに、当業者は、類似のポリペプチドにおいて、活性または構造に重要な残基を同定
するため、構造-機能研究または三次元構造分析を再検討してもよい。こうした比較を考
慮して、類似のタンパク質において、活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応する、
タンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測してもよい。当業者は、こうして予測された
重要なアミノ酸残基に関して、化学的に類似のアミノ酸置換を選択してもよい。次いで、
本明細書に記載するような活性アッセイを用いて、変異体をスクリーニングしてもよい。
【0109】
多数の科学的刊行物が二次構造の予測に当てられてきている。Moult J., Curr. Op. in
Biotech., 7(4):422-427(1996);Chouら, Biochemistry, 13(2):222-245(1974
);Chouら, Biochemistry, 113(2):211-222(1974);Chouら, Adv. Enzymol. Relat
. Areas Mol. Biol., 47:45-148(1978);Chouら, Ann. Rev. Biochem., 47:251-276
およびChouら, Biophys. J., 26:367-384(1979)を参照されたい。さらに、二次構造を
予測するのを補助するコンピュータプログラムが現在利用可能である。二次構造を予測す
る1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%を越える配列同一性または40
%を越える類似性を有する、2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の
構造的トポロジーを有する。近年、タンパク質構造データベース(PDB)が大きくなり、
タンパク質構造内でのフォールディングのありうる数を含む、二次構造の予測可能性が増
進してきている。Holmら, Nucl. Acid. Res., 27(1):244-247(1999)を参照されたい
。所定のタンパク質には、限定される数のフォールディングしかなく、そして決定的な数
の構造が解明されたなら、構造予測は劇的により正確になるであろうことが示唆されてい
る(Brennerら, Curr. Op. Struct. Biol., 7(3):369-376(1997))。
【0110】
二次構造を予測するさらなる方法には、「スレッディング(threading)」(Jones, D.
, Curr. Opin. Struct. Biol., 7(3):377-87(1997);Sipplら, Structure, 4(1)
:15-19(1996))、「プロフィール分析」(Bowieら, Science, 253:164-170(1991)
;Gribskovら, Meth. Enzym., 183:146-159(1990);Gribskovら, Proc. Nat. Acad. S
ci., 84(13):4355-4358(1987))、および「進化連関(evolutionary linkage)」(
Holm、上記(1999)およびBrenner、上記(1999)を参照されたい)が含まれる。
【0111】
特定の態様において、ペプチド変異体またはペプチボディ変異体にはグリコシル化変異
体が含まれ、該変異体では、N結合型グリコシル化部位などの1以上のグリコシル化部位が
ペプチボディに付加されている。N結合型グリコシル化部位は、配列:Asn-X-SerまたはAs
n-X-Thrに特徴付けられ、ここで、Xと示されるアミノ酸残基は、プロリン以外のいかなる
アミノ酸残基であることも可能である。アミノ酸残基を置換するかまたは付加して、この
配列を生成すると、N結合型炭水化物鎖を付加するための潜在的な新規部位が提供される
。あるいは、この配列を除去する置換は、存在するN結合型炭水化物鎖を除去するであろ
う。やはり提供されるのは、1以上のN結合型グリコシル化部位(典型的には天然存在のも
のである)を除去し、そして1以上の新規N結合型部位を生成する、N結合型炭水化物鎖の
再配置である。
【0112】
本発明はまた、本発明のペプチドまたはペプチボディの「誘導体」も提供する。本明細
書において、用語「誘導体」は、ミオスタチンへの結合能を保持する、アミノ酸残基への
挿入、アミノ酸残基の欠失、または置換以外の、またはこれらに加えた修飾を指す。
【0113】
好ましくは、誘導体を生じるために本発明のペプチドに行う修飾は、共有性であり、そ
して例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分、および無機部分との化学的結合が含まれる
。本発明の誘導体は、ペプチボディの循環半減期を増加させるように調製可能であるし、
あるいはペプチボディが、所望の細胞、組織、または臓器をターゲットとする能力を改善
するように設計可能である。
【0114】
本発明は、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;
第4,791,192号;および第4,179,337号に記載されるように、ポリエチレングリコール、ポ
リオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールなどの1以上の水溶性ポ
リマー付着物を含むように共有的に修飾された誘導体結合剤をさらに含む。当該技術分野
に知られる、さらに他の有用なポリマーには、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、
デキストラン、セルロース、または他の炭水化物に基づくポリマー、ポリ-(N-ビニルピ
ロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピ
レンオキシド/エチレンオキシド・コポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば
グリセロール)およびポリビニルアルコールとともに、これらのポリマーの混合物が含ま
れる。特に好ましいのは、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有的に修飾
されたペプチボディである。水溶性ポリマーを、特定の位、例えばペプチボディのアミノ
末端に結合させてもよいし、またはポリペプチドの1以上の側鎖にランダムに付着させて
もよい。結合剤、例えばペプチボディ、および特にヒト化抗体の療法能を改善するための
PEGの使用が、Gonzalesらに対する米国特許第6,133,426号、2000年10月17日発行に記載さ
れる。
【0115】
本発明はまた、ミオスタチン結合剤のペプチドおよび/またはビヒクル部分を誘導体化
することも意図する。こうした誘導体は、化合物の可溶性、吸収、生物学的半減期等を改
善しうる。該部分は、別の方式で、化合物のいかなる望ましくない副作用等も除去するか
または減弱しうる。典型的な誘導体には、以下のような化合物が含まれる:
1. 誘導体またはそのある部分が環状である。例えば、ペプチド部分を修飾して2以上
のCys残基(例えばリンカー中)を含有させることも可能であり、これをジスルフィド結
合形成によって環状化することも可能である。
【0116】
2. 誘導体は分子間で架橋されるかまたは分子間の架橋が可能であるようにされてい
る。例えば、ペプチド部分を修飾して、1つのCys残基を含有させ、そしてそれによって、
同様の分子との分子間ジスルフィド結合を形成可能にすることも可能である。誘導体を、
C末端を通じて架橋することもまた可能である。
【0117】
3. 1以上のペプチジル[-C(O)NR-]連結(結合)が、非ペプチジル連結と交換され
ている。典型的な非ペプチジル連結は、-CH2-カルバメート[-CH2-OC(O)NR-]、ホスホ
ン酸、-CH2-スルホンアミド[-CH2-S(O)2NR-]、尿素[-NHC(O)NH-]、-CH2-二次ア
ミン、およびアルキル化ペプチド[-C(O)NR6-、ここでR6は低次アルキルである]であ
る。
【0118】
4. N末端が誘導体化されている。典型的には、N末端は、アシル化されているかまた
は置換アミンへと修飾されていることも可能である。典型的なN末端誘導体基には、-NRR1
(-NH2以外)、-NRC(O)R1、-NRC(O)OR1、-NRS(O)2R1、-NHC(O)NHR1、スクシンイ
ミド、またはベンジルオキシカルボニル-NH-(CBZ-NH-)、式中、RおよびR1は、各々独立
に水素または低次アルキルであり、そしてフェニル環は、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコ
キシ、クロロ、およびブロモからなる群より選択される1〜3の置換基で置換されているこ
とも可能である、が含まれる。
【0119】
5. 未結合(free)C末端が誘導体化されている。典型的には、C末端はエステル化さ
れているかまたはアミド化されている。例えば、当該技術分野に記載される方法を用いて
、本発明の化合物のC末端に(NH-CH2-CH2-NH22を付加してもよい。同様に、当該技術分
野に記載される方法を用いて、本発明の化合物のC末端に-NH2を付加する(または-NH2
で「キャッピング」する)ことも可能である。典型的なC末端誘導体基には、例えば、-C
(O)R2、式中、R2は低次アルコキシである、または-NR3R4、式中、R3およびR4は、独立
に水素またはC1〜C8アルキル(好ましくはC1〜C4アルキル)である、が含まれる。
【0120】
6. ジスルフィド結合を別の、好ましくはより安定な架橋部分(例えばアルキレン)
と交換する。例えば、Bhatnagarら, J Med Chem 39:3814-9(1996)、Albertsら, Thirt
eenth Am Pep Symp, 357-9(1993)を参照されたい。
【0121】
7. 1以上の個々のアミノ酸残基が修飾されている。以下に詳細に記載するように、多
様な誘導体化剤が、選択した側鎖または末端残基と特異的に反応することが知られる。
リジニル残基およびアミノ末端残基を、リジニル残基の電荷を逆転させるコハク酸また
は他のカルボン酸無水物と反応させてもよい。アルファ-アミノ含有残基を誘導体化する
他の適切な試薬には、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル;ピリドキサール
・リン酸;ピリドキサール;クロロボロハイドライド(chloroborohydride);トリニト
ロベンゼンスルホン酸;O-メチルイソ尿素;2,4-ペンタンジオン;およびグリオキシレー
トとのトランスアミナーゼ触媒反応が含まれる。
【0122】
フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、およびニン
ヒドリンを含む、いくつかの慣用的試薬のいずれか1つまたは組み合わせとの反応によっ
て、アルギニル残基を修飾してもよい。アルギニル残基の誘導体化には、グアニジン官能
基のpKaが高いため、反応をアルカリ条件で行う必要がある。さらに、これらの試薬は、
リジン基とともにアルギニン・イプシロン-アミノ基とも反応しうる。
【0123】
チロシル残基の特異的修飾は、広く研究されてきており、特に、芳香族ジアゾニウム化
合物またはテトラニトロメタンとの反応によって、チロシル残基にスペクトル標識を導入
することに関心が持たれている。最も一般的には、N-アセチルイミジゾールおよびテトラ
ニトロメタンを用いて、それぞれ、O-アセチルチロシル種および3-ニトロ誘導体を形成す
る。
【0124】
カルボジイミド(R'-N=C=N-R')、例えば1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-(4
-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カル
ボジイミドとの反応によって、カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)を
選択的に修飾してもよい。さらに、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパルチル
残基およびグルタミル残基をアスパラギニル残基およびグルタミニル残基に変換してもよ
い。
【0125】
グルタミニル残基およびアスパラギニル残基を脱アミド化して、対応するグルタミル残
基およびアスパルチル残基にしてもよい。あるいは、穏やかな酸性条件下で、これらの残
基を脱アミド化する。これらの残基のいずれの型も本発明の範囲内に属する。
【0126】
システイニル残基をアミノ酸残基または他の部分と交換して、ジスルフィド結合を除去
するか、または逆に架橋を安定化してもよい。例えばBhatnagarら(上記)を参照された
い。
【0127】
二官能性剤での誘導体化は、ペプチドまたはその機能する誘導体を、水不溶性支持体マ
トリックスに、または他の巨大分子ビヒクルに架橋するのに有用である。一般的に用いら
れる架橋剤には、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルア
ルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸とのエステ
ル、3,3'-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエ
ステルを含むホモ二官能性イミドエステル、およびビス-N-マレイミド-1,8-オクタンなど
の二官能性マレイミドが含まれる。メチル-3-[(p-アジドフェニル)ジチオ]プロピオ
イミデートなどの誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することが可能な光活性化可能
な中間体を生じる。あるいは、米国特許第3,969,287号;第3,691,016号;第4,195,128号
;第4,247,642号;第4,229,537号;および第4,330,440号に記載される、臭化シアン活性
化炭水化物などの反応性水不溶性マトリックスおよび反応性基質がタンパク質固定に使用
される。
【0128】
炭水化物(オリゴ糖)基を、タンパク質中のグリコシル化部位であることが知られる部
位に、好適に結合させてもよい。一般的に、O結合型オリゴ糖は、セリン(Ser)残基また
はスレオニン(Thr)残基に結合され、一方、N結合型オリゴ糖は、配列Asn-X-Ser/Thr、
ここでXはプロリン以外のいかなるアミノ酸であることも可能である、の一部である場合
のアスパラギン(Asn)残基に結合される。Xは、好ましくは、プロリン以外の19の天然存
在アミノ酸の1つである。N結合型およびO結合型オリゴ糖の構造および各種類に見られる
糖残基は異なる。両方に一般的に見られる糖の1種は、N-アセチルノイラミン酸(シアル
酸と称される)である。シアル酸は、通常、N結合型およびO結合型オリゴ糖両方の末端残
基であり、そしてその負電荷のため、グリコシル化化合物に酸性特性を与えることも可能
である。こうした部位(単数または複数)は、本発明の化合物のリンカー内に取り込まれ
てもよく、そして好ましくは、ポリペプチド化合物の組換え産生中に、細胞によってグリ
コシル化される(例えばCHO、BHK、COSなどの哺乳動物細胞において)。しかし、当該技
術分野に知られる合成法または半合成法によって、こうした部位をさらにグリコシル化し
てもよい。
【0129】
他のありうる修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル残基またはス
レオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、Cys中のイオウ原子の酸化、リジン側鎖、ア
ルギニン側鎖、およびヒスチジン側鎖のアルファ-アミノ基のメチル化が含まれる[例え
ばCreighton, Proteins:Structure and Molecule Properties(W.H. Freeman & Co.,
サンフランシスコ)pp.79-86(1983)を参照されたい]。
【0130】
また、本発明の化合物をDNAレベルで変化させてもよい。化合物部分いずれかのDNA配列
を、選択した宿主細胞とより適合するコドンに変化させてもよい。好ましい宿主細胞であ
る大腸菌に関して、当該技術分野において、最適化コドンが知られる。コドンを置換して
制限酵素部位を除去するか、またはサイレント制限酵素部位を含ませてもよく、これは選
択した宿主細胞におけるDNAのプロセシングを補助しうる。ビヒクル、リンカーおよびペ
プチドDNA配列を修飾して、前述の配列変化のいずれを含ませてもよい。
【0131】
構造の安定化または生体分解の減少を提供する非ペプチド類似体を含むさらなる誘導体
もまた、意図される。非ペプチド部分によって1以上の残基を交換することによって、選
択した阻害ペプチドに基づいて、ペプチド模倣類似体を調製してもよい。好ましくは、非
ペプチド部分は、ペプチドがその天然コンフォメーションを保持するか、またはミオスタ
チンを認識し、そしてミオスタチンに結合する能力を保持する、好ましい、例えば生物活
性のコンフォメーションを安定化するのを可能にする。1つの側面において、生じた類似
体/模倣体は、ミオスタチンに対する結合アフィニティーの増加を示す。ペプチドから非
ペプチド模倣類似体を調製する方法の一例が、Nachmanら, Regul Pept 57:359-370(199
5)に記載される。望ましい場合、例えば、本発明のペプチドのグリコシル化、アミド化
、カルボキシル化、またはリン酸化によって、あるいは酸付加塩、アミド、エステル、特
にC末端エステル、およびN-アシル誘導体の生成によって、本発明のペプチドを修飾して
もよい。ペプチボディもまた、他の部分との共有または非共有複合体を形成することによ
って、ペプチド誘導体を生成するよう修飾可能である。ペプチボディが含むアミノ酸側鎖
上の官能基に、あるいはNまたはC末端に、化学部分を結合することによって、共有結合複
合体を調製可能である。
【0132】
特に、限定されるわけではないが、放射標識、蛍光標識、酵素(例えば比色反応または
蛍光分析反応を触媒する)、基質、固体マトリックス、または担体(例えばビオチンまた
はアビジン)を含む、レポーター基に、ペプチドをコンジュゲート化可能であることが予
測される。したがって、本発明は、ペプチボディ分子を含む分子を提供し、ここで該分子
は、好ましくは、放射標識、蛍光標識、酵素、基質、固体マトリックス、および担体から
なる群より選択されるレポーター基をさらに含む。こうした標識は当業者に周知であり、
例えばビオチン標識が特に意図される。こうした標識の使用は、当業者に周知であり、そ
して例えば、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,996,345号;および第4,277,4
37号に記載される。有用であろう他の標識には、限定されるわけではないが、放射能標識
、蛍光標識および化学発光標識が含まれる。こうした標識の使用に関する米国特許には、
例えば、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;および第3,996,345号
が含まれる。本発明のペプチボディはいずれも、これらの標識のいずれかを1つ、2つ、ま
たはそれより多く含んでもよい。
【0133】
ペプチドおよびペプチボディを作製する方法
当該技術分野に知られる非常に多様な技術を用いて、本発明のペプチドを生成してもよ
い。例えば、慣用的技術にしたがって、溶液中または固体支持体上で、こうしたペプチド
を合成してもよい。多様な自動化合成装置が商業的に入手可能であり、そして既知のプロ
トコルにしたがって使用可能である。例えば、各々本明細書に参考文献として援用される
、StewartおよびYoung(上記);Tamら, J Am Chem Soc, 105:6442(1983);Merrifiel
d, Science 232:341-347(1986);BaranyおよびMerrifield, The Peptides, Grossおよ
びMeienhofer監修, Academic Press, New York, 1-284;Baranyら, Int J Pep Protein R
es, 30:705-739(1987);および米国特許第5,424,398号を参照されたい。
【0134】
固相ペプチド合成法は、0.1〜1.0mMアミン/gポリマーを含有するコポリ(スチレン-ジ
ビニルベンゼン)を用いる。ペプチド合成のこれらの方法は、アルファ-アミノ基のブチ
ルオキシカルボニル(t-BOC)または9-フルオレニルメチルオキシ-カルボニル(FMOC)保
護を用いる。どちらの方法も段階的合成を伴い、ペプチドのC末端から出発して、各段階
で単一のアミノ酸が付加されることによる(Coliganら, Curr Prot Immunol, Wiley Inte
rscience, 1991, 単元9を参照されたい)。化学合成完了に際して、低下した温度で酸処
理することによって(例えば、液体HF-10%アニソールで、0℃で約0.25〜約1時間)、合
成ペプチドを脱保護してt-BOCまたはFMOCアミノ酸ブロッキング基を除去し、そしてポリ
マーから切断してもよい。試薬を蒸発させた後、1%酢酸溶液を用いて、ポリマーからペ
プチドを抽出し、次いでこれを凍結乾燥して未精製(crude)物質を生じる。これは、通
常、5%酢酸を溶媒として用いて、Sephadex G-15上でのゲルろ過などの手法によって、精
製可能である。カラムの適切な分画を凍結乾燥すると、均質なペプチドまたはペプチド誘
導体が得られ、これを次いで、アミノ酸分析、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマ
トグラフィー、紫外吸光分光法、モル旋光度、可溶性などの標準的手法によって性質決定
し、そして固相エドマン分解によって定量することも可能である。
【0135】
ファージディスプレイ技術は、上述のような本発明のペプチドを同定するのに特に有効
でありうる。簡潔には、ファージライブラリーを調製し(例えばml 13ファージ、fdファ
ージ、またはラムダファージを用いる)、4〜約80アミノ酸残基の挿入物をディスプレイ
する。挿入物は、例えば完全縮重アレイ(completely degenerate array)または偏向ア
レイ(biased array)に相当することも可能である。所望の抗原に結合する挿入物を所持
するファージを選択し、そして所望の抗原に結合するファージの再選択を数周期行って、
このプロセスを反復する。DNA配列決定を行って、発現されたペプチドの配列を同定する
。この方式で、所望の抗原に結合する配列の最小直鎖部分を決定してもよい。最小直鎖部
分の一部または全部を含有する挿入物に加えて、その上流または下流に1以上のさらなる
縮重残基を含有する挿入物を含有する偏向ライブラリーを用いて、この方法を反復しても
よい。これらの手法は、本明細書に既に同定した結合剤より、ミオスタチンにさらにより
高い結合アフィニティーを持つ、本発明のペプチドを同定可能である。
【0136】
ペプチドを調製する方式にかかわらず、標準的組換えDNA法を用いて、こうしたペプチ
ド各々をコードする核酸分子を生成することも可能である。核酸コードの縮重のため、そ
れとともに特定の宿主細胞におけるコード優先のため、これらがコードするアミノ酸配列
を変化させることなく、こうした分子のヌクレオチド配列を適切に操作することも可能で
ある。
【0137】
本発明はまた、本発明のペプチドおよびペプチボディをコードするポリヌクレオチド配
列を含む核酸分子も提供する。これらの核酸分子には、本発明のペプチドおよびペプチボ
ディとともに、ペプチドおよびペプチボディの変異体および誘導体をコードするポリヌク
レオチドを含有するベクターおよび構築物が含まれる。典型的な核酸分子を以下の実施例
に提供する。
【0138】
組換えDNA技術はまた、本発明の全長ペプチボディおよび他の巨大ポリペプチド結合剤
、またはその断片を調製する好適な方法も提供する。ペプチボディまたは断片をコードす
るポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入して、このベクターを次いで、本発明の結合剤
を産生するために、宿主細胞に挿入してもよい。本発明の典型的なペプチボディの調製を
以下の実施例2に記載する。
【0139】
多様な発現ベクター/宿主系を利用して、本発明のペプチドおよびペプチボディを発現
することも可能である。これらの系には、限定されるわけではないが、組換えバクテリオ
ファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生
物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウ
イルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウ
イルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でトランスフェクションされたか、また
は細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;
あるいは動物細胞系が含まれる。1つの好ましい宿主細胞株は、以下の実施例2に記載する
ようなペプチボディの発現に用いる、大腸菌株2596(ATCC # 202174)である。組換えタ
ンパク質産生に有用な哺乳動物細胞には、限定されるわけではないが、VERO細胞、HeLa細
胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、COS細胞(COS-7など)、W138、BHK、He
pG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562および293細胞が含まれる。
【0140】
用語「発現ベクター」は、ポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現するためのプ
ラスミド、ファージ、ウイルスまたはベクターを指す。発現ベクターは、(1)遺伝子発
現を制御する役割を有する、単数または複数の遺伝子要素、例えばプロモーターまたはエ
ンハンサー、(2)mRNAに転写され、そしてタンパク質に翻訳される結合剤をコードする
構造または配列、ならびに(3)適切な転写開始および終結配列の集合体を含む、転写単
位を含んでもよい。酵母または真核発現系の使用に意図される構造単位には、好ましくは
、翻訳されたタンパク質が宿主細胞によって細胞外分泌されるのを可能にするリーダー配
列が含まれる。あるいは、組換えタンパク質がリーダー配列または輸送配列なしで発現さ
れる場合、アミノ末端メチオニル残基を含むことも可能である。この残基が、発現された
組換えタンパク質から続いて切断され、または切断されずに、最終ペプチド産物を提供す
ることも可能である。
【0141】
例えば、商業的に入手可能な発現系、例えばピキア発現系(Invitrogen、カリフォルニ
ア州サンディエゴ)を製造者の指示にしたがって用いて、ペプチドおよびペプチボディを
組換え的に発現してもよい。この系はまた、分泌を指示するプレ-プロ-アルファ配列に頼
るが、挿入物の転写は、メタノールによる誘導に際して、アルコールオキシダーゼ(AOX1
)プロモーターによって駆動される。細菌および哺乳動物細胞上清からペプチドを精製す
るのに用いる方法を用いて、分泌されたペプチドを酵母増殖培地から精製する。
【0142】
あるいは、ペプチドおよびペプチボディをコードするcDNAをバキュロウイルス発現ベク
ターpVL1393(PharMingen、カリフォルニア州サンディエゴ)内にクローニングしてもよ
い。製造者の指示(PharMingen)にしたがってこのベクターを用いて、sF9タンパク質不
含培地中でSpodoptera frugiperda細胞を感染させ、そして組換えタンパク質を産生して
もよい。ヘパリン-Sepharoseカラム(Pharmacia)を用いて、培地から組換えタンパク質
を精製し、そして濃縮してもよい。
【0143】
あるいは、ペプチドまたはペプチボディを昆虫系で発現させてもよい。タンパク質発現
のための昆虫系は、当業者に周知である。こうした系の1つにおいて、Autographa califo
rnica多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、Spodoptera frugiperda細胞
またはTrichoplusiaの幼虫において外来遺伝子を発現させてもよい。ペプチドコード配列
をウイルスの非必須領域、例えばポリヘドリン遺伝子内にクローニングし、そしてポリヘ
ドリン・プロモーターの制御下に置いてもよい。ペプチド挿入に成功すると、ポリヘドリ
ン遺伝子が不活性になり、そしてコートタンパク質コートを欠く組換えウイルスが産生さ
れるであろう。この組換えウイルスを用いて、S. frugiperda細胞またはTrichoplusiaの
幼虫を感染させて、その中でペプチドを発現させる(Smithら, J Virol 46:584(1983)
;Engelhardら, Proc Nat Acad Sci (USA)91:3224-7(1994))。
【0144】
別の例において、ペプチドをコードするDNA配列をPCRによって増幅し、そして適切なベ
クター、例えばpGEX-3X(Pharmacia)内にクローニングしてもよい。ベクターにコードさ
れるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、およびベクターのクローニング部位内
に挿入されたDNA断片にコードされるタンパク質を含む、融合タンパク質を産生するよう
に、pGEXベクターを設計する。例えば適切な切断部位を含むように、PCRプライマーを生
成してもよい。もっぱら発現を促進するために、融合部分を用いる場合、またはそうでな
ければ融合部分が目的のペプチドへの結合物として望ましくない場合、組換え融合タンパ
ク質を融合タンパク質のGST部分から切断してもよい。pGEX-3X/特異的結合剤ペプチド構
築物で大腸菌XL-1 Blue細胞(Stratagene、カリフォルニア州ラホヤ)を形質転換し、そ
して個々の形質転換体を単離してそして増殖させる。個々の形質転換体からプラスミドDN
Aを精製し、そして自動化配列決定装置を用いて、部分的に配列決定して、適切な配向で
、所望の特異的結合剤をコードする核酸挿入物が存在することを確認してもよい。
【0145】
細菌中で不溶性封入体として産生されることも可能な融合タンパク質を、以下のように
精製することも可能である。遠心分離によって宿主細胞を収集し;0.15M NaCl、10mM Tri
s、pH8、1mM EDTAで洗浄し;そして0.1mg/mlリゾチーム(Sigma、ミズーリ州セントルイ
ス)で、室温で15分間処理する。超音波処理によって溶解物を清浄にしてもよく、そして
12,000×gで10分間遠心分離することによって、細胞破片をペレットにしてもよい。融合
タンパク質を含有するペレットを、50mM Tris、pH8、および10mM EDTAに再懸濁し、50%
グリセロールに重層し、そして6000×gで30分間遠心分離してもよい。Mg++およびCa+
+を含まない標準的リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)にペレットを再懸濁してもよい。
再懸濁したペレットを、変性SDS-PAGE中で分画することによって、融合タンパク質をさら
に精製してもよい(Sambrookら、上記)。ゲルを0.4M KClに浸して、タンパク質を視覚化
してもよく、これを切除して、そしてSDSを含まないゲル泳動緩衝液に電気溶出してもよ
い。GST/融合タンパク質を、可溶性タンパク質として細菌中で産生する場合、GST精製モ
ジュール(Pharmacia)を用いて精製してもよい。
【0146】
融合タンパク質を消化に供して、本発明のペプチドからGSTを切断してもよい。消化反
応物(0.5ml PBS中の20〜40mg融合タンパク質、20〜30単位ヒト・トロンビン(4000U/mg
、Sigma))を室温で16〜48時間インキュベーションし、そして変性SDS-PAGEゲル上に装
填して、反応産物を分画してもよい。ゲルを0.4M KClに浸して、タンパク質バンドを視覚
化してもよい。自動化配列決定装置(Applied Biosystemsモデル473A、カリフォルニア州
フォスターシティ)を用いたアミノ酸配列分析によって、ペプチドの期待される分子量に
対応するタンパク質バンドの同一性を確認することも可能である。あるいは、ペプチドの
HPLCおよび/または質量分析を行うことによって、同一性を確認することも可能である。
【0147】
あるいは、ペプチドをコードするDNA配列を、所望のプロモーター、および場合によっ
てリーダー配列を含有するプラスミド内にクローニングしてもよい(Betterら, Science
240:1041-43(1988))。自動化配列決定によって、この構築物の配列を確認してもよい
。次いで、細菌のCaCl2インキュベーションおよび熱ショック処理を使用する標準法を用
いて、該プラスミドで大腸菌株MC1061を形質転換してもよい(Sambrookら、上記)。カル
ベニシリンを補充したLB培地中で、形質転換細菌を増殖させてもよく、そして適切な培地
中の増殖によって、発現タンパク質産生を誘導してもよい。存在する場合、リーダー配列
は、ペプチドの分泌を達成し、そして分泌中に切断されることも可能である。
【0148】
組換えペプチドおよびペプチボディの発現のための哺乳動物宿主系が当業者に周知であ
る。発現タンパク質をプロセシングするか、またはタンパク質活性を提供するのに有用で
あろう特定の翻訳後修飾を生じる、特定の能力に関して、宿主細胞株を選択してもよい。
タンパク質のこうした修飾には、限定されるわけではないが、アセチル化、カルボキシル
化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が含まれる。CHO、HeLa、MDCK、293
、WI38等の種々の宿主細胞は、こうした翻訳後活性のための特定の細胞機構および特徴的
な機序を有し、そして導入した外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングが確実に
なるように選択可能である。
【0149】
形質転換細胞が長期高収率タンパク質産生に用いられることが好ましい。こうした細胞
が、所望の発現カセットとともに、選択可能マーカーを含有するベクターで形質転換され
たら、選択培地に切り替える前に、細胞を強化培地で1〜2日間増殖させてもよい。導入さ
れた配列を発現するのに成功した細胞の増殖および回収を可能にするように、選択可能マ
ーカーを設計する。使用する細胞株に適した組織培養技術を用いて、安定に形質転換され
た細胞の耐性凝集塊を増殖させることも可能である。
【0150】
多くの選択系を用いて、組換えタンパク質産生のために形質転換された細胞を回収して
もよい。こうした選択系には、限定されるわけではないが、それぞれtk-細胞、hpgrt-細
胞またはaprt-細胞中の、HSVチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニン・ホスホリボ
シルトランスフェラーゼおよびアデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含
まれる。また、メトトレキセートへの耐性を与えるdhfr;ミコフェノール酸に対する耐性
を与えるgpt;アミノ配糖体G418に対する耐性を与え、そしてクロルスルフロンに対する
耐性を与えるneo;およびハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygroに関する選択の基
礎として、代謝拮抗剤耐性を用いてもよい。有用でありうるさらなる選択可能遺伝子には
、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用するのを可能にするtrpB、または細
胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用するのを可能にするhisDが含まれる。形質
転換体同定のための視覚的指標を与えるマーカーには、アントシアニン、β-グルクロニ
ダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質、ルシフェリンが含
まれる。
【0151】
結合剤の精製および再フォールディング
いくつかの場合、本発明のペプチドおよび/またはペプチボディなどの結合剤は、生物
学的に活性になるために、「再フォールディング」され、そして酸化されて適切な三次構
造になり、そしてジスルフィド連結が生成される必要がある可能性もある。当該技術分野
に周知の多くの方法を用いて、再フォールディングを達成してもよい。こうした方法には
、例えば、カオトロピック剤の存在下で、通常7より高いpHに、可溶化したポリペプチド
剤を曝露することが含まれる。カオトロープの選択は、封入体可溶化に用いる選択と類似
であるが、典型的には、カオトロープは、より低い濃度で用いられる。典型的なカオトロ
ピック剤はグアニジンおよび尿素である。大部分の場合、再フォールディング/酸化溶液
はまた、還元剤に加えて特定の比でその酸化型を含有して特定の酸化還元電位を生じ、ジ
スルフィド・シャフリングを可能にして、システイン架橋の形成を生じる。いくつかの通
常用いられるレドックス対には、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGS
H、塩化第二銅、ジチオスレイトールDTT/ジチアンDTT、および2-メルカプトエタノール
(bME)/ジチオ-bMEが含まれる。多くの場合、共溶媒(co-solvent)を用いて、再フォ
ールディングの効率を増加させることも可能である。一般的に用いられる共溶媒には、グ
リセロール、多様な分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニンが含まれる。
【0152】
本発明のペプチドおよびペプチボディを精製することが望ましい可能性もある。タンパ
ク質精製技術は当業者に周知である。これらの技術は、1つのレベルで、タンパク質性分
画および非タンパク質性分画の粗分画(crude fractionation)を伴う。他のタンパク質
からペプチドおよび/またはペプチボディを分離するように、クロマトグラフィー技術お
よび電気泳動技術を用いて、目的のペプチドまたはポリペプチドをさらに精製して、部分
的精製または完全精製(または均質になるまでの精製)を達成してもよい。本発明のペプ
チボディおよびペプチドの調製物に特に適した分析法は、イオン交換クロマトグラフィー
、排除クロマトグラフィー;ポリアクリルアミドゲル電気泳動;等電点電気泳動である。
ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは
同等のHPLCである。
【0153】
本発明の特定の側面は、本発明のペプチボディまたはペプチドの精製に関し、そして特
定の態様において、実質的な精製に関する。用語「精製されたペプチボディまたはペプチ
ド」は、本明細書において、他の構成要素から単離可能な組成物を指すよう意図され、こ
こでペプチボディまたはペプチドは、天然に得られうる状態に比較して、いずれかの度合
いに精製されている。したがって、精製されたペプチドまたはペプチボディはまた、天然
に生じうる環境にないペプチボディまたはペプチドも指す。
【0154】
一般的に、「精製された」は、多様な他の構成要素を除去する分画に供され、そしてそ
の発現される生物学的活性を実質的に保持する、ペプチド組成物またはペプチボディ組成
物を指すであろう。用語「実質的に精製された」を用いる場合、この意味は、ペプチボデ
ィまたはペプチドが組成物の主要な構成要素を形成し、例えば組成物中で約50%、約60%
、約70%、約80%、約90%、約95%またはそれより多くのタンパク質を構成する、ペプチ
ド組成物またはペプチボディ組成物を指すであろう。
【0155】
本開示の観点から、ペプチドまたはペプチボディの精製の度合いを定量する多様な方法
が当業者に知られるであろう。これらには、例えば、活性分画の特異的結合活性を測定す
るか、またはSDS/PAGE分析によって、分画内のペプチドまたはペプチボディの量を評価
することが含まれる。ペプチド分画またはペプチボディ分画の純度を評価するのに好まし
い方法は、分画の結合活性を計算し、これを最初の抽出物の結合活性に比較して、そして
こうして本明細書において「-倍精製数(-fold purification number)」によって評価さ
れる、精製の度合いを計算することである。結合活性の量を表すのに用いられる実際の単
位は、もちろん、精製を追跡するために選択された特定のアッセイ技術に応じるであろう
し、そしてペプチボディまたはペプチドが検出可能な結合活性を示すかどうかに応じるで
あろう。
【0156】
精製に使用するのに適した多様な技術が、当業者に周知であろう。これらには、例えば
、硫酸アンモニウム、PEG、抗体(免疫沈降)等を用いた沈殿、または熱変性、その後の
遠心分離;アフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテイン-A-Sepharose)、イオ
ン交換、ゲルろ過、逆相、ヒドロキシルアパタイトおよびアフィニティークロマトグラフ
ィーなどのクロマトグラフィー工程;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこうした
技術および他の技術の組み合わせが含まれる。当該技術分野に一般的に知られるように、
多様な精製工程を行う順序を変化させることも可能であるし、または特定の工程を省略し
、そしてなお、実質的に精製された結合剤の適切な調製法を生じることも可能であると考
えられる。
【0157】
本発明の結合剤を常に最も精製された状態で提供しなければならない、一般的な必要条
件はない。実際、実質的により精製されていない結合剤産物は、特定の態様において有用
性を有するであろうことが考えられる。より少ない精製工程を組み合わせて用いることに
よって、または同じ一般的精製スキームの異なる型を利用することによって、部分的精製
を達成することも可能である。例えば、HPLC装置を利用して行われる陽イオン交換カラム
クロマトグラフィーは、一般的に、低圧クロマトグラフィー系を利用する同じ技術よりも
、「-倍」高い精製を生じるであろう。相対的により低い度合いの精製を示す方法は、ペ
プチドまたはペプチボディの総回収に、あるいはペプチドまたはペプチボディの結合活性
を維持するのに有利である可能性もある。
【0158】
ペプチドまたはポリペプチドの移動が、SDS/PAGEの異なる条件で多様であり得、とき
に有意に多様であり得ることが知られる(Capaldiら, Biochem Biophys Res Comm, 76:4
25(1977))。したがって、異なる電気泳動条件下で、精製されたまたは部分的に精製さ
れた結合剤発現産物の見かけの分子量が多様でありうることが認識されるであろう。
【0159】
ミオスタチン結合剤および他のアンタゴニストの活性
ミオスタチンに結合し、そしてミオスタチン活性を阻害するかまたは遮断する能力に関
して、本明細書記載の結合剤を含むアンタゴニストを試験する。いかなる数のアッセイま
たは動物試験を用いて、結合剤がミオスタチン活性を阻害するかまたは遮断する能力を決
定してもよい。本発明のペプチドおよびペプチボディを性質決定するのに用いられるいく
つかのアッセイを、以下の実施例に記載する。1つのアッセイは、C2C12 pMARE-lucアッセ
イであり、該アッセイは、ミオスタチン/アクチビン応答要素(MARE)を含有するルシフ
ェラーゼ・レポーターベクターでトランスフェクションした、ミオスタチン応答性細胞株
(C2C12筋芽細胞)を利用する。一連のペプチボディ希釈物をミオスタチンとプレインキ
ュベーションし、そして次いで細胞をインキュベーション混合物に曝露することによって
、典型的なペプチボディをアッセイする。生じたルシフェラーゼ活性を測定し、そして一
連のペプチボディ希釈物から滴定曲線を生成する。次いで、IC50(ルシフェラーゼ活性に
よって測定されるようなミオスタチン活性の50%阻害を達成するペプチボディの濃度)を
決定した。以下に記載する第二のアッセイは、ミオスタチン結合剤およびミオスタチンと
その受容体に結合可能な抗体などの他のアンタゴニストの動力学パラメーターka(会合速
度定数)、kd(解離速度定数)、およびKD(解離平衡定数)を決定するためのBIAcore(
登録商標)アッセイである。解離平衡定数(KD、nMで表される)がより低いことは、ミオ
スタチンに対するペプチボディのアフィニティーがより高いことを示した。さらなるアッ
セイには、ペプチボディなどの結合剤が中和性である(受容体へのミオスタチンの結合を
妨げる)か、または非中和性である(受容体へのミオスタチンの結合を妨げない)かを決
定する、遮断アッセイ;本発明の結合剤が、ミオスタチンに選択的に結合して、そして特
定の他のTGF-βファミリーメンバーに結合しないかどうかを決定する、選択性アッセイ;
およびやはりKDを決定し、そしていくつかの状況では、より感受性であると見なされる、
KinEx ATMアッセイまたは溶液に基づく平衡アッセイが含まれる。これらのアッセイを実
施例3に記載する。
【0160】
図1は、ペプチドのペプチボディ型のIC50と比較したペプチドのIC50を示す。これは、
ミオスタチン活性を阻害する際に、ペプチボディがペプチド単独よりも、有意により有効
であることを示す。さらに、アフィニティー成熟ペプチボディは、一般的に、親ペプチド
およびペプチボディに比較して、改善されたIC50およびKD値を示す。いくつかの典型的な
アフィニティー成熟ペプチボディのIC50値を、以下の実施例7の表VIIに示す。さらに、い
くつかの場合、2つのペプチドがタンデムに結合された2×型のペプチボディを作製すると
、in vitroおよびin vivo両方で、ペプチボディの活性が増加する。
【0161】
in vivo活性を以下の実施例に示す。結合剤の活性には、限定されるわけではないが、
処置した動物モデルの総体重に対して、除脂肪体重を増加させ、筋力を増加させ、そして
脂肪量を減少させることが含まれる。本明細書記載のin vivo活性には、性腺機能低下症
、リウマチ性悪液質、癌悪液質、および不活動のモデルを含む動物モデルにおける、除脂
肪体重および筋力の消耗の減弱が含まれる。
【0162】
ミオスタチン・アンタゴニストの使用
本発明は、筋肉関連障害および他の障害の治療が必要な被験体に、単数または複数のミ
オスタチン・アンタゴニストの療法量を投与することによる、こうした障害のための方法
および治療を提供する。また、ミオスタチン・アンタゴニストを予防的に投与して、将来
の筋萎縮および関連障害に対する治療などを必要とする被験体において、こうした障害か
ら保護してもよい。本明細書において、用語「被験体」は、ミオスタチン関連障害のため
の治療が必要な、哺乳動物を含み、そしてヒト被験体を含む、いかなる動物も指す。1つ
の態様において、ミオスタチン・アンタゴニストは、本明細書記載の結合剤である。
【0163】
これらのミオスタチン関連障害には、限定されるわけではないが、筋萎縮の多様な型と
ともに、糖尿病および関連障害などの代謝障害、ならびに骨粗鬆症などの骨変性疾患が含
まれる。また、ミオスタチン・アンタゴニストを用いて、性腺機能低下症から生じる障害
、不活動から生じる障害、そうでなければ成長ホルモンまたは成長ホルモン分泌促進剤に
よって治療されるであろう障害、ならびに腫瘍関連悪液質、リウマチ性悪液質、および火
傷から生じる悪液質を含む多様な悪液質もまた、治療してもよい。
【0164】
以下の実施例に示すように、本明細書記載の典型的なペプチボディなどのミオスタチン
・アンタゴニストは、除脂肪体重を劇的に増加させ、脂肪量を減少させ、脂肪に対する筋
肉の比を改変し、そして筋力を増加させる。
【0165】
筋萎縮障害には、筋ジストロフィーおよび神経筋傷害が含まれる。これらの障害には、
限定されるわけではないが、デュシェンヌ筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、
ベッカー型筋ジストロフィー、デジュリン・ランドゥジー筋ジストロフィー、エルブ筋ジ
ストロフィー、エメリー・ドレフュス筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、脊椎硬
直症候群、筋-目-脳病、筋萎縮性側索硬化症、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、先天性
筋ジストロフィー、乳児神経軸索性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー(シュタ
イネルト病)、非ジストロフィー性(nondytrophic)筋緊張症、周期性四肢麻痺脊椎性筋
萎縮症、遺伝性運動感覚ニューロパシー、シャルコー-マリー-ツース(Carcot-Marie-Too
th)病、慢性炎症性ニューロパシー、末梢性ミオパシー、筋管/中心核ミオパシー、ネマ
リン・ミオパシー、ミニコア病、中心コア病、デスミノパシー、封入体筋炎、ミトコンド
リア・ミオパシー、先天性筋無力症候群、ポリオ後筋機能不全、およびEmery Lancet 359
:687-695(2002)およびKhuranaら, Nat. Rev. Drug Disc 2:379-386(2003)に記載さ
れる障害が含まれる。必要な被験体に1以上のミオスタチン・アンタゴニストの療法量を
投与することによって、これらの障害を治療してもよい。以下の実施例11に記載するよう
に、典型的なペプチボディおよび老齢mdxマウス・モデルを投与することによって、これ
を示す。
【0166】
ミオスタチン・アンタゴニストはまた、2型糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、高血
糖症、および肥満を含む代謝障害を治療するのにも有用である。例えば、ミオスタチンは
、特定の症例で、糖尿病の発展に影響を及ぼしうる。例えば、インスリンが刺激するグル
コース取り込みに対する骨格筋耐性が、インスリン非依存性(2型)糖尿病で知られる最
初の徴候であることが知られる(Correganら, Endocrinology 128:1682(1991))。ミ
オスタチンの欠損が、2つのマウスモデル、アグチ致死イエロー(Ay)(Yenら, FASEB J.
8:479(1994))、およびobese(Lepob/ob)の肥満および糖尿病表現型を部分的に減
弱させることが示されている。Ay/a、Mstn-/-二重変異体マウスでは、Ay/aMstn+/+
マウスと比較して、脂肪集積および総体重が劇的に減少した(McFerronら(2002)上記)
。さらに、Ay/a、Mstn-/-マウスでは、外因性グルコース負荷後、Ay/aMstn+/+マウ
スよりも血中グルコースレベルが劇的に低く、ミオスタチンの欠損がグルコース代謝を改
善することが示された。同様に、Lepob/obMstn-/-マウスは、Lepob/ob Mstn+/+
現型に比較した際、脂肪集積の減少を示した。以下の実施例において、典型的なペプチボ
ディを投与することによってミオスタチン活性を減少させるかまたは遮断すると、老齢動
物モデルにおいて、脂肪対筋肉比が減少することが示されている。したがって、糖尿病、
肥満、および高血糖状態の影響に苦しむ個体を、本明細書記載のミオスタチン結合剤など
の1以上のミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効用量で治療してもよい。
【0167】
糖尿病由来の他の合併症には、悪液質、ならびに高い血中グルコースおよび糖尿病の他
の影響による糖尿病性腎症が含まれる。以下の実施例15でわかるように、STZ誘導性糖尿
病マウスにおいて、2xmTN8-19-21に例示されるミオスタチン・アンタゴニストを投与する
と、体重損失が有意に減弱され、そして骨格筋量および除脂肪体重が保持された。アンタ
ゴニストは、STZ誘導性糖尿病マウスにおいて、骨格筋および除脂肪量の増加に加えて、
腎臓肥大、クレアチニン・クリアランス速度の増加を減弱し、そして24時間尿体積および
尿アルブミン排出を減少させた。これは、糖尿病性腎症発症の初期段階における、腎機能
の改善を示す。したがって、ミオスタチン・アンタゴニストは、糖尿病によって引き起こ
された悪液質を治療するのに、そして糖尿病性腎症を治療するのに有用である。
【0168】
さらなる筋萎縮障害は、うっ血性閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症(肺悪液質
)、心臓疾患または心不全(心臓悪液質)、癌(癌または腫瘍関連悪液質)、AIDSによる
萎縮、腎不全による萎縮、透析、尿毒症および関節リウマチに関連する悪液質(リウマチ
性悪液質)を含む慢性疾患から生じる。例えば、ミオスタチン免疫反応性タンパク質の血
清および筋内濃度は、AIDS関連筋萎縮を示す男性において増加していることが見出され、
そして脂肪不含量と逆相関していた(Gonzalez-Cadavidら, PNAS USA 95:14938-14943(
1998))。本明細書において、用語「悪液質」は、上述のものなどのいくつかの疾患から
生じる筋萎縮加速および除脂肪体重の損失の状態を指す。悪液質の治療は、典型的なペプ
チボディを用いて、腫瘍悪液質のマウス・モデルを処置することによって実証された。ネ
ズミcolon-24腺癌細胞株(ATCC# CRL 2639)を接種することによって生成した腫瘍を所
持するBalb/c雄マウス(Charles River Labs、マサチューセッツ州ウィルミントン)を
、ネズミFcに結合した2xmTN8-19-21(2xmTN8-19-21/muFc)またはネズミFcビヒクルで処
置した。ペプチボディで処置した動物は、Fcビヒクルで処置した対照動物に比較して、体
重、除脂肪体重損失の減弱、ならびに骨格筋量の保持を示した。これは、若いマウス(3
ヶ月)およびより老齢のマウス(12ヶ月)の両方で起きた。これは、癌悪液質などの悪液
質を、本明細書記載のミオスタチン結合剤などの1以上のミオスタチン・アンタゴニスト
の療法的投薬量で治療可能であることを示した。
【0169】
さらに、悪液質は、化学療法剤自体によっても引き起こされうる。以下の実施例16は、
5-フルオロウラシル(5-Fu)を用いた化学療法悪液質動物モデルの発症を示す。2xmTN8-1
9-21/muFcに例示されるミオスタチン・アンタゴニストは、このモデルにおいて、体重損
失を減弱し、そして5-Fuで処置した動物の生存を増加させた(実施例16、ならびに図11お
よび12を参照されたい)。化学療法剤は、癌を治療するのに用いられるすべての化学物質
を指す。
【0170】
炎症関連悪液質の治療
本明細書記載の結合剤を含むミオスタチン・アンタゴニストを用いて、炎症または関節
リウマチを含む他の免疫反応による悪液質を治療してもよい。関節リウマチ(RA)は、関
節炎症、進行性軟骨/骨糜爛、およびリウマチ性悪液質を導く、一般的な全身性自己免疫
疾患である。リウマチ性悪液質は、関節リウマチ患者において起こりうる、体の細胞量、
特に筋量の損失として記載される(Rallら, Rheumatology 43, 1219-1223(2004)、Roub
enoffら, J Clin Invest 93, 2379-2386(1994))。コラーゲン誘導性関節炎(CIA)は
、一般的に用いられるRAのマウス・モデルである。実施例12は、典型的なペプチボディで
のCIAマウスの処置を記載し、該ペプチボディは、図7に示すように、対照に見られる悪液
質による迅速な体重損失を防止した。この例は、本明細書記載のペプチボディを含むミオ
スタチン・アンタゴニストが、リウマチ性悪液質を治療するのに有用であることを示す。
さらに、ミオスタチン・アンタゴニストはまた、LPS(大腸菌リポ多糖)で処置した動物
におけるTNF-α(腫瘍壊死因子-α)のレベルを減少させることも示された。この実験を
以下の実施例14に記載する。これは、ミオスタチン・アンタゴニストがまた、RAなどの免
疫障害の炎症構成要素を治療するのにも有用であることを示す。
【0171】
さらに、火傷による傷害が、動物において、ミオスタチンmRNAの増加に寄与することも
見出されている(Landら, FASEB 15 1807-1809(2001))。本明細書記載の結合剤を含む
ミオスタチン・アンタゴニストは、火傷傷害から生じる消耗に苦しむ個体の治療に有用で
ある。
【0172】
筋消耗または萎縮を生じるさらなる状態は、車椅子または長期間の絶対安静での拘束な
どの身体障害による不活動から生じうる。長期間の絶対安静または不活動は、脳卒中、心
臓病、他の慢性疾病、脊椎損傷、昏睡、骨折または外傷、老齢または痴呆による脆弱、お
よび人工股関節または膝関節置換術などの手術からの回復のためであってもよい。例えば
、血漿ミオスタチン免疫応答性タンパク質は、長期間の絶対安静後に増加することが見出
された(Zachwiejaら, J Gravit Physiol. 6(2):11(1999))。体重、特に除脂肪体
重損失の防止が、非活動性萎縮のマウスモデル、後肢懸垂モデルで示されている。C57Bl
/6雄マウスを、尾で懸垂して、そして3mg/kgのプラセボまたはペプチボディ2xTN8-19-2
1を3日ごとに14日間投与した。典型的なペプチボディでの処置は、プラセボを投与した懸
垂対照マウスと比較して、懸垂マウスにおいて、除脂肪体重および筋力の損失を減弱させ
た。
【0173】
筋萎縮を生じる他の状態は、微小重力環境(宇宙飛行)への曝露である。例えば、スペ
ースシャトル飛行中、微小重力環境に曝露されたラットの筋肉は、曝露されていないラッ
トの筋肉と比較して、増加した量のミオスタチンを発現することが見出された(Lalaniら
, J. Endocrin 167(3):417-28(2000))。したがって、本明細書記載のミオスタチン
結合剤を含むミオスタチン・アンタゴニストを用いて、宇宙飛行による筋損失および衰弱
を防止してもよい。
【0174】
さらに、加齢性虚弱/筋肉減少症を、本明細書記載のミオスタチン結合剤を含むミオス
タチン・アンタゴニストで治療してもよい。これらの影響には、筋に対する脂肪の比の加
齢による増加、ならびに加齢による筋萎縮および衰弱が含まれる。本明細書において、用
語「筋肉減少症」は加齢とともに起こる筋量の損失を指す。平均血清ミオスタチン免疫応
答性タンパク質は、若年(19〜35歳)、中年(36〜75歳)、および老年(76〜92歳)の男
性群および女性群において、加齢とともに増加し、一方、平均筋量および脂肪不含量は、
これらの群において、加齢とともに下降した(Yarasheskiら, J Nutr Aging 6(5):343
-8(2002))。Mstn-/-成体ノックアウトマウスと比較した際の、Mstn+/+の脂肪量お
よび筋量の比較によって決定されるように、加齢による脂肪組織量の増加および筋量の減
少は、ミオスタチンレベルに比例することもまた示された(McFerronら, J. Clin. Inves
t 109, 595(2002))。Mstn-/-マウスは、Mstn+/+マウスと比較して、加齢とともに
集積される脂肪の減少を示した。
【0175】
ミオスタチンは、心筋において低レベルで発現し、そして梗塞後に心筋細胞で発現が上
方制御される(Sharmaら, J Cell Physiol. 180(1):1-9(1999))ため、心筋におい
てミオスタチンレベルを減少させると、梗塞後、心筋の回復が改善される可能性もある。
【0176】
さらに、ミオスタチンレベルを減少させることによって筋量を増加させると、骨強度が
改善され、そして骨粗鬆症および他の変性骨疾患を減少させることも可能である。例えば
、ミオスタチン欠損マウスが、マウス上腕骨のミネラル含量および密度の増加、ならびに
筋肉が結合する領域の、骨梁部および皮質骨両方のミネラル含量の増加とともに筋量の増
加を示すことが見出された(Hamrickら、 Calcif Tissue Int 71(1):63-8(2002))

【0177】
成長ホルモンに対する代替治療法
本発明の結合剤を含むミオスタチン・アンタゴニストを、成長ホルモン(GH)、インス
リン増殖因子-1、成長ホルモン分泌促進因子、またはアンドロゲンによって現在治療され
ている障害の代替治療法として、さらに用いてもよい。GHまたは成長ホルモン分泌促進因
子での治療は、以下に記載するプラダー・ウィリー病などの成長および筋関連障害の古典
的なタンパク質同化性の治療である。しかし、GH治療は、しばしば、負の影響を有する可
能性がある。ミオスタチン・アンタゴニストは、この治療の代替療法として有用であり、
GH関連療法の危険な副作用を伴わずに、より選択的な筋反応を生じる。ミオスタチン・ア
ンタゴニストはまた、GH抵抗性集団、またはGHに抵抗性になった老齢個体を治療するのに
も有用である。
【0178】
ミオスタチン・アンタゴニストは、例えば、通常は第15番染色体に関する遺伝的障害で
ある、プラダー・ウィリー症候群を治療するのに有用である。プラダー・ウィリーは、肥
満、筋緊張低下、または劣った筋緊張、およびこの障害に罹患した小児における著しい発
達遅延によって特徴付けられる(Wattendorfら, Amer Fam Physician 72(5), 827-830
(2005))。この遺伝的障害は、現在、成長ホルモンで治療されているが、これは幼い小
児には危険でありうる(Riedlら, Acta Paedriatr 94(7):97407(2005), Miller J,
J Clin Endocrinol Metab epub Nov 29(2005))。本明細書記載の結合剤を含むミオス
タチン・アンタゴニストは、筋量および筋力を増加させるとともに、筋肉に対する脂肪の
比率を減少させ、そしてしたがって、この状態を治療するのに有用である。
【0179】
性腺機能低下症の治療
本発明の結合剤を含むミオスタチン・アンタゴニストを用いて、性腺機能低下症の結果
を治療する必要がある被験体において、これを治療してもよい。本明細書において、用語
「性腺機能低下症」は、生殖器の不全または性腺ホルモン分泌の減少から生じる、男性お
よび女性両方における不十分なまたは減少した性腺機能を指す。本明細書において、性腺
機能低下症には、化学的または外科的去勢(精巣摘出術、あるいは一方または両方の精巣
の喪失とも称される)の結果、および加齢による腺機能低下症が含まれる。化学的または
外科的去勢を通じたアンドロゲン枯渇療法は、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、ならびに子宮内
膜症などの他の生殖器関連癌、ならびに他の障害を治療するために用いられる。性腺機能
低下症は、体重減少、特に、長期に渡る除脂肪体重減少および脂肪量増加によるもの、な
らびに筋力減少を生じうる。ミオスタチン・アンタゴニストでの精巣摘出マウスの処置を
以下の実施例13に記載する。ミオスタチン・ペプチボディ・アンタゴニストで処置した精
巣摘出動物は、Fcビヒクルで処置した動物に比較した際、除脂肪体重損失の減弱または逆
転を示す。これは、ミオスタチン・アンタゴニストが、アンドロゲン枯渇療法に供された
患者を含めて、性腺機能低下症の影響を治療するのに有用であることを示す。ミオスタチ
ン・アンタゴニストはまた、性腺機能低下症を患う被験体において、脂肪量の増加も防止
しうる。
【0180】
本発明はまた、動物に本明細書記載のミオスタチン結合剤などのミオスタチン・アンタ
ゴニストの有効投薬量を投与することによって、食用動物における筋量を増加させるため
の方法および組成物も提供する。成熟C末端ミオスタチン・ポリペプチドは、試験したす
べての種で同一であるため、ミオスタチン・アンタゴニストは、ウシ、ニワトリ、七面鳥
、およびブタを含む、農業で重要な種のいずれにおいても、筋量を増加させ、そして脂肪
を減少させるのに有効であると期待されるであろう。
【0181】
本発明のミオスタチン・アンタゴニストを、単独で、または他の療法剤と組み合わせて
用いて、療法効果を増進させるか、または潜在的な副作用を減少させることも可能である
。結合剤は典型的なミオスタチン・アンタゴニストである。本発明の結合剤は、結合剤の
療法価値を改善する、1以上の特性の望ましいが予期されぬ組み合わせを有する。これら
の特性には、活性増加、可溶性増加、分解減少、半減期増加、毒性減少、および免疫原性
減少が含まれる。したがって、本発明の結合剤は、広範な治療措置に有用である。さらに
、本発明の化合物の親水性および疎水性の特性はよくバランスがとれており、それによっ
てin vitroおよび特にin vivoでの使用両方に対して有用性が増進する。具体的には、本
発明の化合物は、体における吸収および生物学的利用能を可能にする、水性媒体中への適
切な度合いの可溶性を有する一方、化合物が、特定の筋肉塊などの推定上の作用部位へと
細胞膜を横断するのを可能にする、脂質中へのある度合いの可溶性を有する。
【0182】
本発明の結合剤は、適切な組成物中、有効投薬量で投与された際、ヒトを含む「被験体
」または動物いずれかを治療するのに有用である。
さらに、本発明のミオスタチン結合剤は、多くののアッセイにおいて、ミオスタチンを
検出し、そして定量するのに有用である。これらのアッセイを以下により詳細に記載する

【0183】
一般的に、本発明の結合剤は、例えばAsai監修, Methods in Cell Biology, 37, Antib
odies in Cell Biology, Academic Press, Inc., ニューヨーク(1993)中に記載される
のと類似の多様なアッセイにおいて、ミオスタチンに結合し、そしてこれを固定する捕捉
剤として有用である。ある方式で結合剤を標識するか、またはミオスタチンを検出しそし
て定量するのを可能にするように標識された抗結合剤抗体などの第三の分子と反応させる
ことも可能である。例えば、結合剤または第三の分子をビオチンなどの検出可能部分で修
飾することも可能であり、これが次いで、酵素標識ストレプトアビジン、または他のタン
パク質などの第四の分子に結合されることも可能である(Akerstrom, J Immunol 135:25
89(1985);Chaubert, Mod Pathol 10:585(1997))。
【0184】
特定のいずれかのアッセイ中、試薬の組み合わせ各々の後に、インキュベーション工程
および/または洗浄工程が必要でありうる。インキュベーション工程は、約5秒間〜数時
間の多様性がある可能性があり、好ましくは約5分間〜約24時間である。しかし、インキ
ュベーション時間は、アッセイ形式、溶液体積、濃度等に応じるであろう。通常、アッセ
イは周囲温度で行われるであろうが、ある範囲の温度で行われることも可能である。
【0185】
非競合結合アッセイ:
結合アッセイは、捕捉されたミオスタチンの量を直接測定する、非競合型であることも
可能である。例えば、1つの好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、結合剤を直接
固体支持体に結合させて、固定することも可能である。次いで、これらの固定された結合
剤を、試験試料中に存在するミオスタチンに結合させる。次いで、固定されたミオスタチ
ンを、ミオスタチンに対する標識抗体などの標識剤と結合させ、この標識剤を検出するこ
とも可能である。別の好ましい「サンドイッチ」アッセイにおいて、ビオチンなどの検出
可能部分を含有する、結合剤に特異的な第二の物質を添加し、これにストレプトアビジン
などの第三の標識分子が特異的に結合することも可能である(本明細書に参考文献として
援用される、HarlowおよびLane, Antibodies, A Laboratory Manual, 第14章, Cold Spri
ng Harbor Laboratory, ニューヨーク(1988)を参照されたい)。
【0186】
競合的結合アッセイ:
結合アッセイは競合型であることも可能である。試料中に存在するミオスタチンにより
、結合剤から置換されたかまたは競合して引き離されたミオスタチンの量を測定すること
によって、試料中に存在するミオスタチンの量を間接的に測定する。1つの好ましい競合
的結合アッセイにおいて、通常、標識された既知の量のミオスタチンを試料に添加し、そ
して次いで試料を結合剤と接触させる。結合剤に結合する標識ミオスタチンの量は、試料
に存在するミオスタチンの濃度に反比例する(例えば、HarlowおよびLane, Antibodies,
A Laboratory Manual, 第14章, pp.579-583, 上記に見られるプロトコルにしたがう)。
【0187】
別の好ましい競合結合アッセイにおいて、結合剤を固体支持体上に固定する。ミオスタ
チン/結合剤複合体中に存在するミオスタチンの量を測定することによるか、あるいは複
合体化していない、残ったミオスタチンの量を測定することによるかのいずれかで、結合
剤に結合したミオスタチンの量を測定することも可能である。
【0188】
他の結合アッセイ
本発明はまた、試料中のミオスタチンの存在を検出するかまたは定量するウェスタンブ
ロット法も提供する。該技術は、一般的に、分子量に基づいて、ゲル電気泳動によって、
試料タンパク質を分離し、そして該タンパク質を、ニトロセルロースフィルター、ナイロ
ンフィルター、または誘導体化ナイロンフィルターなどの適切な固体支持体に移すことを
含む。ミオスタチンに結合する結合剤またはその断片と試料をインキュベーションし、そ
して生じた複合体を検出する。これらの結合剤を直接標識することも可能であるし、ある
いは結合剤に特異的に結合する標識抗体を用いて続いて検出することも可能である。
【0189】
診断アッセイ
本発明の結合剤またはその断片は、ミオスタチン量の増加によって特徴付けられる状態
または疾患の診断に有用である可能性もある。高レベルのミオスタチンに関する診断アッ
セイには、ヒト体液、細胞抽出物または特定の組織抽出物において、ミオスタチンを検出
する結合剤および標識を利用した方法が含まれる。例えば、個体において、長期に渡り、
ミオスタチンの血清レベルを測定して、例えばYarasheskiら、上記に記載されるような、
加齢または不活動と関連する筋萎縮の開始を決定することも可能である。ミオスタチンレ
ベルの増加は、年齢が増加した男性群および女性群において、平均筋量および脂肪不含量
の減少と相関することが示された(Yarasheskiら、上記)。本発明の結合剤は、例えば、
長期に渡り、所定の個体のミオスタチンレベルの増加または減少を監視するのに有用であ
る可能性もある。こうしたアッセイにおいて、修飾を伴い、または伴わずに、結合剤を用
いることも可能である。好ましい診断アッセイにおいて、結合剤は、例えば標識またはレ
ポーター分子を結合させることによって、標識されるであろう。非常に多様な標識および
レポーター分子が知られ、これらのいくつかは、すでに本明細書に記載されている。特に
、本発明はヒト疾患の診断に有用である。
【0190】
ミオスタチンの結合剤を用いてミオスタチン・タンパク質を測定する、多様なプロトコ
ルが、当該技術分野に知られる。例には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオ
イムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化細胞選別(FACS)が含まれる。
【0191】
診断適用のため、特定の態様において、本発明の結合剤は、典型的には検出可能部分で
標識されるであろう。検出可能部分は、直接または間接的のいずれかで、検出可能シグナ
ルを産生可能なものいずれであることが可能である。例えば、検出可能部分は、3H、14C
32P、35S、または125Iなどの放射性同位体、フルオレセイン・イソチオシアネート、ロ
ーダミン、またはルシフェリンなどの蛍光化合物または化学発光化合物;あるいはアルカ
リホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、または西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシ
ダーゼなどの酵素であることも可能である(Bayerら, Meth Enz, 184:138(1990))。
【0192】
医薬組成物
本発明はまた、ターゲットとする疾患状態を治療するための、本明細書に記載する1以
上のミオスタチン・アンタゴニストの医薬組成物も提供する。こうした組成物は、1以上
のミオスタチン・アンタゴニストの療法的または予防的有効量を、薬学的に許容されうる
物質と組み合わせて含む。医薬組成物は、薬学的に許容されうる物質と混合された、ミオ
スタチンを部分的または完全に阻害するアンタゴニストを含む。典型的には、アンタゴニ
ストは、動物に投与するため、十分に精製されているであろう。
【0193】
医薬組成物は、例えば組成物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、等張性、におい、無菌
性、安定性、溶解速度または放出速度、吸着または浸透を修飾するか、維持するか、また
は保持するための製剤化物質を含有してもよい。適切な製剤化物質には、限定されるわけ
ではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン
など);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナト
リウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、他の有
機酸など);充填剤(bulking agent)(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート
剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリド
ン、ベータ-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン
など);増量剤(filler);単糖;二糖および他の炭水化物(グルコース、マンノース、
またはデキストリン類など);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブ
リンなど);着色剤;フレーバー剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニル
ピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤
(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール
、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素
);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖
アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤
(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80など
のポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパー
ル(tyloxapal));安定性増進剤(スクロースまたはソルビトール);等張化増進剤(t
onicity enhancing agent)(アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは塩化ナトリウムま
たは塩化カリウム)、マンニトールソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤およ
び/または薬学的補助剤が含まれる(Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, A
.R. Gennaro監修, Mack Publishing Company, 1990)。
【0194】
最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に
応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sci
ences、上記を参照されたい。こうした組成物は、結合剤の物理的状態、安定性、in vivo
放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼしうる。
【0195】
医薬組成物中の主なビヒクルまたは担体は、水性または非水性いずれであってもよい。
例えば、適切なビヒクルまたは担体は、注射用水、生理学的食塩水溶液または人工脳脊髄
液であって、場合によって非経口投与用の組成物に一般的な他の物質が補充されているも
のであることも可能である。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理
食塩水が、さらなる典型的なビヒクルである。他の典型的な医薬組成物は、約pH7.0〜8.5
のTris緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、これらはソルビトールまたはひ
いては適切な代用物を含んでもよい。本発明の1つの態様において、凍結乾燥ケークまた
は水性溶液の形で、場合による製剤(Remington's Pharmaceutical Sciences、上記)と
、望ましい度合いの純度を有する、選択した組成物を混合することによって、保存用の結
合剤組成物を調製してもよい。さらに、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて、結合剤
産物を凍結乾燥物として製剤化してもよい。
【0196】
医薬組成物を非経口送達用に選択してもよい。あるいは、吸入または経腸送達のため、
例えば経口、耳、眼、直腸、または膣送達のため、組成物を選択してもよい。こうした薬
学的に許容されうる組成物の調製は、当該技術分野の技術範囲内である。
【0197】
配合物構成要素は、投与部位に許容されうる濃度で存在する。例えば、緩衝液を用いて
、生理学的pHまたはわずかにより低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に、組成物を維
持する。
【0198】
非経口投与が意図される場合、本発明で使用する療法組成物は、発熱物質不含の、非経
口的に許容されうる水性溶液の形であることも可能であり、薬学的に許容されうるビヒク
ル中の所望の結合剤を含む。非経口注射に特に適したビヒクルは、無菌蒸留水であり、こ
の中で結合剤は、適切に保存された無菌等張溶液として製剤化される。さらに別の調製は
、産物の徐放または持続放出を提供し、次いで産物が蓄積注射(depot injection)を介
して送達されうる、注射可能ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー性化合物(ポ
リ乳酸、ポリグリコール酸)、ビーズ、またはリポソームなどの物質とともに所望の分子
の製剤化を伴ってもよい。ヒアルロン酸もまた使用可能であり、そしてこれは循環中にあ
る期間の維持を促進する効果を有しうる。所望の分子を導入する他の適切な手段には移植
可能薬剤送達デバイスが含まれる。
【0199】
別の側面において、非経口投与に適した薬学的配合物を、水性溶液、好ましくは生理学
的に適合する緩衝液、例えばハンクス液、リンゲル液、または生理学的緩衝生理食塩水中
に製剤化してもよい。水性注射懸濁物は、懸濁物の粘性を増加させる物質、例えばカルボ
キシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有してもよい
。さらに、活性化合物の懸濁物を、適切な油性注射懸濁物として調製してもよい。適切な
親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、あるいはオレイン酸エチル、トリ
グリセリド、またはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。非脂質ポリカチオ
ン性アミノ酸ポリマーもまた、送達に使用可能である。場合によって、懸濁物はまた、化
合物の可溶性を増加させ、そして非常に濃縮された溶液の調製を可能にするのに適した安
定化剤または物質を含有してもよい。別の態様において、医薬組成物を吸入用に製剤化し
てもよい。例えば、結合剤を、吸入用の乾燥粉末として配合してもよい。また、ポリペプ
チドまたは核酸分子の吸入溶液を、エアロゾル送達のため、噴霧剤とともに製剤化しても
よい。さらに別の態様において、溶液を噴霧してもよい。肺投与はPCT出願番号PCT/US94
/001875にさらに記載され、該出願は、化学的修飾タンパク質の肺送達を記載する。
【0200】
特定の製剤が経口投与可能であることもまた意図される。本発明の1つの態様において
、この様式で投与される結合剤分子を、錠剤およびカプセルなどの固体投薬型の配合に通
例用いられる担体を含み、または含まずに、製剤化してもよい。例えば、生物学的利用能
が最大になり、そして前全身分解が最小になる胃腸管の地点で、製剤の活性部分が放出さ
れるように、カプセルを設計してもよい。結合剤分子の吸収を促進するため、さらなる物
質を含めてもよい。希釈剤、フレーバー剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、
錠剤崩壊剤、および製剤結合剤(binder)もまた、使用可能である。
【0201】
また、経口投与に適した投薬型で、当該技術分野に周知の薬学的に許容されうる担体を
用いて、経口投与のための医薬組成物を製剤化してもよい。こうした担体は、医薬組成物
が、患者に摂取される錠剤、丸剤、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、
懸濁剤等として製剤化されることを可能にする。
【0202】
活性化合物を固体賦形剤と合わせて、そして生じた顆粒混合物を(場合によって粉砕し
た後)プロセシングして、錠剤または糖剤コアを得ることによって、経口使用のための医
薬調製物を得ることも可能である。望ましい場合、適切な補助剤を添加することも可能で
ある。適切な賦形剤には、炭水化物またはタンパク質増量剤、例えば、ラクトース、スク
ロース、マンニトール、およびソルビトールを含む糖;トウモロコシ(corn)、コムギ(
wheat)、イネ(rice)、ジャガイモ(potato)、または他の植物由来のデンプン;メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロー
スナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;なら
びにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が含まれる。望ましい場合、架橋された
ポリビニルピロリドン、寒天、およびアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのそ
の塩などの、崩壊剤または可溶化剤を添加することも可能である。
【0203】
アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリ
エチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶
媒または溶媒混合物もまた含有可能な濃縮糖溶液などの、適切なコーティングと組み合わ
せて、糖剤コアを用いることも可能である。染料または色素を錠剤または糖剤コーティン
グに添加して、製品を識別するか、または活性化合物の量、すなわち投薬量を特徴づける
ことも可能である。
【0204】
経口的に使用可能な薬学的調製物には、ゼラチンで作製された押し込み型カプセルとと
もに、ゼラチンおよびコーティング、例えばグリセロールまたはソルビトールで作製され
たソフト密封カプセルもまた含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトースまたはデンプ
ンなどの増量剤または製剤結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤
、および場合によって安定化剤と混合された活性成分を含有することも可能である。ソフ
トカプセル中、安定化剤を含む、または含まない、適切な液体、例えば脂肪油、液体、ま
たは液体ポリエチレングリコールに、活性化合物を溶解するか、または懸濁することも可
能である。
【0205】
別の医薬組成物は、錠剤の製造に適した非毒性賦形剤と混合された、有効量の結合剤を
含むことも可能である。錠剤を、無菌水、または他の適切なビヒクルに溶解することによ
って、単位用量型で溶液を調製することも可能である。適切な賦形剤には、限定されるわ
けではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース
、またはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;あるいはデンプン、ゼラチン、またはア
カシアなどの結合剤;あるいはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク
などの潤滑剤が含まれる。
【0206】
さらなる医薬組成物が当業者に明らかであり、こうした組成物には、持続送達または徐
放送達製剤中の結合剤分子を伴う製剤が含まれる。多様な他の持続送達または徐放送達手
段、例えばリポソーム担体、生体内分解性微小粒子または多孔ビーズおよび蓄積注射を製
剤化する技術もまた、当業者に知られる。例えば、医薬組成物を送達するための多孔ポリ
マー微小粒子の徐放を記載する、PCT/US93/00829を参照されたい。持続放出調製物のさ
らなる例には、成型物品、例えばフィルムまたは微小カプセルの形の半透性ポリマーマト
リックスが含まれる。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラク
チド(US 3,773,919、EP 58,481)、L-グルタミン酸およびガンマ・エチル-L-グルタメー
トの共重合体(Sidmanら, Biopolymers, 22:547-556(1983))、ポリ(2-ヒドロキシエ
チル-メタクリレート)(Langerら, J. Biomed. Mater. Res., 15:167-277(1981);La
ngerら, Chem. Tech., 12:98-105(1982))、エチレン酢酸ビニル(Langerら、上記)
またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が含まれることも可能である。持続
放出組成物にはまた、当該技術分野に知られるいくつかの方法のいずれによっても調製可
能なリポソームが含まれる。例えばEppsteinら, PNAS(USA), 82:3688(1985);EP 36
,676;EP 88,046;EP 143,949を参照されたい。
【0207】
in vivo投与に用いようとする医薬組成物は、典型的には無菌でなければならない。こ
れは、無菌ろ過膜を通じたろ過によって達成可能である。組成物を凍結乾燥する場合、こ
の方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再構成前にまたはその後に行うことも可能である
。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥型で、または溶液中で保存することも可能である。
さらに、非経口組成物は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば静脈内溶
液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアル中に入れられる。
【0208】
医薬組成物を製剤化したら、溶液、懸濁物、ゲル、エマルジョン、固体、あるいは脱水
または凍結乾燥粉末として、無菌バイアル中で保存することも可能である。こうした製剤
は、すぐに使える型で、または投与前に再構成を要する型(例えば凍結乾燥型)いずれで
保存することも可能である。
【0209】
特定の態様において、本発明は、単回用量投与単位を生じるキットに関する。該キット
は、各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性製剤を有する第二の容器両方を
含有することも可能である。本発明の範囲内にやはり含まれるのは、単一チャンバーおよ
び多チャンバーのあらかじめ充填されたシリンジ(例えば液体シリンジおよびリオシリン
ジ(lyosyringes))を含有するキットである。
【0210】
療法的に使用すべき医薬組成物の有効量は、例えば、療法背景および目的に応じるであ
ろう。したがって当業者は、治療に適した投薬レベルが、部分的に、送達する分子、結合
剤分子を用いようとする徴候、投与経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面積または
臓器の大きさ)および状態(年齢および全身の健康状態)に応じて多様であろうことを認
識するであろう。したがって、臨床医は、投薬量を滴定し、そして投与経路を調節して、
最適療法効果を得ることも可能である。典型的な投薬量は、上述の要因に応じて、約0.1m
g/kg〜約100mg/kgまで、またはそれより多い範囲であることも可能である。他の態様に
おいて、投薬量は、0.1mg/kg〜約100mg/kgまで;または1mg/kg〜約100mg/kgまで;ま
たは5mg/kg〜約100mg/kgまでの範囲であることも可能である。
【0211】
いかなる化合物に関しても、まず、細胞培養アッセイにおいて、あるいはマウス、ラッ
ト、ウサギ、イヌ、ブタ、またはサルなどの動物モデルにおいて、療法的有効用量を概算
することも可能である。動物モデルを用いて、適切な濃度範囲および投与経路を決定する
こともまた可能である。次いで、こうした情報を用いて、ヒトにおける有用な用量および
投与経路を決定することも可能である。
【0212】
正確な投薬量は、治療を要する被験体に関する要因を考慮して決定されるであろう。投
薬量および投与を調整して、十分なレベルの活性化合物を提供するか、または望ましい効
果を維持する。考慮に入れることが可能な要因には、疾患状態の重症度、被験体の全身の
健康状態、被験体の年齢、体重、および性別、投与時間および投与頻度、薬剤併用(単数
または複数)、反応感度、ならびに療法への反応が含まれる。特定の製剤の半減期および
クリアランス速度に応じて、長く作用する医薬組成物を3〜4日ごとに、毎週、または2週
に一度、投与することも可能である。
【0213】
投薬頻度は、用いる製剤中の結合剤分子の薬物動態学パラメーターに応じるであろう。
典型的には、望ましい効果を達成する投薬量に達するまで、組成物を投与する。したがっ
て、単回用量として、または長期に渡る多数回の用量として(同じまたは異なる濃度/投
薬量で)、または連続注入として、組成物を投与してもよい。適切な投薬量のさらなる改
良がルーチンに行われる。適切な用量-反応データを使用して、適切な投薬量を確定する
ことも可能である。
【0214】
医薬組成物の投与経路は、既知の方法にしたがい、例えば経口投与、注射を通じた、静
脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋内、眼内、動脈内、門脈内、病巣内経路、髄
内、クモ膜下腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、舌下、尿道、膣、
または結腸手段、持続放出系によるもの、あるいは移植デバイスによるものである。望ま
しい場合、ボーラス注射によって、または注入によって連続して、または移植デバイスに
よって組成物を投与することも可能である。
【0215】
あるいは、またはさらに、所望の分子が吸収されているか、または被包されている、膜
、スポンジ、または別の適切な物質の移植を介して、組成物を局所投与することも可能で
ある。移植デバイスを用いる場合、デバイスを適切な組織または臓器内に移植することも
可能であり、そして所望の分子の送達は、分散、持続放出ボーラス投与、または連続投与
を介したものであることも可能である。
【0216】
いくつかの場合、ex vivo方式で医薬組成物を用いることが望ましい可能性もある。こ
うした場合、患者から取り出された細胞、組織、または臓器を医薬組成物に曝露し、その
後、細胞、組織および/または臓器を、続いて患者に移植しなおす。
【0217】
他の場合、本明細書に記載するものなどの方法を用いて、遺伝子操作した特定の細胞を
移植して、ポリペプチドを発現させ、そして分泌させることによって、ペプチボディなど
のミオスタチン・アンタゴニストを送達してもよい。こうした細胞は、動物細胞またはヒ
ト細胞であってもよいし、そして自己、異種(heterologous)、または異種(xenogeneic
)であってもよい。場合によって、細胞を不死化してもよい。免疫学的応答の可能性を減
少させるため、細胞を被包して、取り巻く組織の浸潤を回避することも可能である。被包
物質は、典型的には、生体適合性半透性ポリマー封入物または膜であり、これらはタンパ
ク質産物(単数または複数)の放出を可能にするが、患者免疫系による、または取り巻く
組織からの他の有害な因子による、細胞の破壊を防止する。
【0218】
本発明のミオスタチン・アンタゴニストを含有する医薬組成物を、必要な被験体に投与
して、ミオスタチン関連障害いずれかを治療してもよい。これらには、限定されるわけで
はないが筋ジストロフィーを含む筋萎縮障害、癌、AIDS、筋萎縮、関節リウマチ、腎不全
/尿毒症、慢性心不全、長期間の絶対安静、脊椎損傷、脳卒中、および加齢に関連するサ
ルコペニアによる筋萎縮が含まれる。さらに、肥満、糖尿病、高血糖を治療するため、そ
して骨密度を増加させるために、これらの組成物を投与してもよい。必要な被験体に本発
明の医薬組成物を投与して、性腺機能低下症、リウマチ性悪液質、過剰なTNF-α、火傷傷
害による悪液質、糖尿病、化学療法、糖尿病腎症、およびプラダー・ウィリー症候群など
のGHまたはGH関連剤で現在治療されている障害の治療の影響を治療してもよい。
【0219】
さらに、本発明の医薬組成物を、上に列挙する障害の現存する治療と組み合わせて投与
してもよい。これらには、例えば、ミオスタチン・アンタゴニストと組み合わせた、骨粗
鬆症および脆弱性を治療するために用いられるデノソマウブ(denosomaub)が含まれる。
【0220】
本発明が記載されてきているが、以下の実施例は、例示の目的で提供され、そして限定
のためではない。
実施例1
ミオスタチン結合ペプチドの同定
3つの繊維状ファージライブラリー、TN8-IX(5×109独立形質転換体)、TN12-I(1.4×
109独立形質転換体)、および直鎖(2.3×109独立形質転換体)(Dyax Corp.)を用いて
、ミオスタチン結合ファージに関して選択した。ミオスタチンでコーティングした表面上
で各ライブラリーをインキュベーションし、そして異なるパニング条件に供した:非特異
的溶出、および組換えヒト・アクチビン受容体IIB/Fcキメラ(R&D Systems, Inc.、ミ
ネソタ州ミネアポリス)を用いた特異的溶出、または以下に記載するようなミオスタチン
・プロペプチド溶出。3つのライブラリーすべてに関して、第一の選択周期では、非特異
的方式でファージを溶出させ、一方、第二および第三の選択周期では、受容体およびプロ
ミオスタチンを用いた。以下に記載するように選択法を行った。
【0221】
ミオスタチンの調製
以下のように、大腸菌K-12株2596(ATCC#202174)において、ミオスタチン・タンパク
質を組換え的に産生した。公開国際特許出願WO 00/24782に記載される方法にしたがって
、発現ベクターpCFM1656(ATCC番号69576)および米国特許第4,710,473号に記載される発
現ベクター系に由来するpAMG21発現ベクター(ATCC番号98113)に、ヒト・プロミオスタ
チン分子をコードするポリヌクレオチドをクローニングした。プロミオスタチンをコード
するポリヌクレオチドを哺乳動物発現ベクターから得た。標準的PCR法、ならびにNdeIお
よびBamHIの制限酵素部位を導入する以下のPCRプライマーを用いて、コード領域を増幅し
た。
【0222】
【化1】

【0223】
PCR産物およびベクターを両酵素で消化し、混合し、そして連結した。連結産物を大腸
菌株#2596に形質転換した。封入体の形で組換えタンパク質が発現されているかどうか、
顕微鏡で単一コロニーをチェックした。プラスミドを単離し、そして組換え遺伝子のコー
ド領域を通じて配列決定して、遺伝的忠実度を確認した。
【0224】
バッチ法を用いて、37℃で、10L発酵物から細菌ペーストを生成した。細胞密度が9.6 O
D600のときに培養物をHSLで誘導し、そして104 OD600の密度で、6時間後に採取した。ペ
ーストを-80℃で保存した。プロミオスタチンを発現する大腸菌ペーストを微小流動装置
(microfluidizer)中で16,000psiで溶解し、遠心分離して不溶性封入体分画を単離した
。ジチオスレイトールを含有する塩酸グアニジン中に封入体を再懸濁し、そして室温で可
溶化した。次いで、これを水性緩衝液中で30倍に希釈した。次いで、再フォールディング
されたプロミオスタチンを濃縮し、そして20mM Tris pH8.0に緩衝液交換し、そして陰イ
オン交換カラムに適用した。増加する塩化ナトリウム勾配で陰イオン交換カラムから溶出
させた。プロミオスタチンを含有する分画をプールした。大腸菌で産生されるプロミオス
タチンは、最初の23アミノ酸を欠き、そして残基24のアスパラギンの前のメチオニンで始
まる。成熟ミオスタチンを産生するため、プールしたプロミオスタチンを、プロペプチド
および成熟ミオスタチンC末端の間で酵素的に切断した。次いで、0.1%トリフルオロ酢酸
を含有するアセトニトリルの増加勾配を用いて、生じた混合物をC4-rpHPLCカラムに適用
した。成熟ミオスタチンを含有する分画をプールし、そしてspeed-vac中で乾燥させた。
【0225】
以下に記載する筋芽細胞C2C12に基づくアッセイにおいて、大腸菌から産生される組換
え成熟ミオスタチンを試験し、そして哺乳動物細胞系で商業的に産生された組換えネズミ
・ミオスタチン(R&D Systems, Inc.、ミネソタ州ミネアポリス)に比較した際、完全に
活性であることを見出した。大腸菌に産生された成熟ミオスタチンを、以下に記載するフ
ァージ-ディスプレイおよびスクリーニングアッセイに用いた。
【0226】
ミオスタチン・コーティング試験管の調製
0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)1ml中、ミオスタチン・タンパク質8μgの濃度で、
5ml ImmunoTM試験管(NUNC)上にミオスタチンを固定した。ミオスタチン・コーティング
ImmunoTM試験管を、軌道振盪(orbital shaking)を伴って、室温で1時間インキュベーシ
ョンした。次いで、5mlの2%ミルク-PBSを添加し、そして回転させながら室温で1時間イ
ンキュベーションすることによって、ミオスタチン・コーティングImmunoTM試験管をブロ
ッキングした。次いで、生じたミオスタチン・コーティングImmunoTM試験管をPBSで3回洗
浄した後、選択法に供した。陰性選択のため、さらなるImmunoTM試験管もまた、調製した
(ミオスタチンなし)。ミオスタチン・タンパク質の代わりに、1mlの2% BSA-PBSでImmu
noTM試験管をコーティングしたことを除いて、各パニング条件について、5〜10のImmunoT
M試験管を上記方法に供した。
【0227】
陰性選択
各パニング条件について、TN8-IXおよびTN12-Iライブラリー(TN8-IXは5×1011pfu、そ
してTN12-Iは1.4×1011pfu)では約100のランダムライブラリー同等物、そして直鎖ライ
ブラリー(2.3×1010pfu)では約10のランダムライブラリー同等物を、ライブラリースト
ックから一定量を分取し、そしてPBST(0.05%Tween-20を含むPBS)で1mlに希釈した。陰
性選択用に調製したImmunoTM試験管に、希釈したライブラリーストック1mlを添加し、そ
して軌道振盪を伴い、室温で10分間インキュベーションした。ファージ上清を抜き取って
、そして別の陰性選択工程のため、第二のImmunoTM試験管に添加した。この方式で、5〜1
0の陰性選択工程を行った。
【0228】
ミオスタチン結合に関する選択
上記の最後の陰性選択工程後、調製したミオスタチン・コーティングImmunoTM試験管に
ファージ上清を添加した。軌道振盪を伴い、ImmunoTM試験管を室温で1時間インキュベー
ションして、特異的ファージがミオスタチンに結合するのを可能にした。3つのライブラ
リー(TN8-IX、TN12-I、および直鎖ライブラリー)すべてを用いた、3周期の選択に関し
て、上清を廃棄した後、2%ミルク-PBSで約15回、PBSTで10回、そしてPBSで2回、ImmunoT
M試験管を洗浄したが、TN8-IXおよびTN12-Iライブラリーの二回目の選択周期に関しては
、2%ミルク-PBSで約14回、2%BSA-PBSで2回、PBSTで10回、そしてPBSで1回、ImmunoTM
験管を洗浄したことが例外であった。
【0229】
非特異的溶出
最後の洗浄工程後、100mMトリエチルアミン溶液(Sigma、ミズーリ州セントルイス)1m
lを添加して、軌道振盪を伴い、10分間インキュベーションすることによって、結合した
ファージをImmunoTM試験管から溶出させた。次いで、0.5mlの1M Tris-HCl(pH7.5)を用
いて、ファージ含有溶液のpHを中和した。
【0230】
結合したファージの受容体(ヒト・アクチビン受容体)溶出
第2周期および第3周期で、最後の洗浄工程後、1μMの受容体タンパク質(組換えヒト・
アクチビン受容体IIB/Fcキメラ、R&D Systems, Inc.、ミネソタ州ミネアポリス)1mlを
添加し、各条件に関して1時間インキュベーションすることによって、結合したファージ
をImmunoTM試験管から溶出させた。
【0231】
結合したファージのプロペプチド溶出
第2周期および第3周期で、最後の洗浄工程後、1μMのプロペプチド・タンパク質(上述
のように作製)1mlを添加し、各条件に関して1時間インキュベーションすることによって
、結合したファージをImmunoTM試験管から溶出させた。
【0232】
ファージ増幅
12.5μg/mlテトラサイクリンを含有するLB培地中で、新鮮な大腸菌(XL-1 Blue MRF'
)培養物をOD600=0.5まで増殖させた。各パニング条件について、この培養物20mlを氷上
で冷却し、そして遠心分離した。細菌ペレットを、1mlのminA塩溶液に再懸濁した。
【0233】
異なる溶出法由来の各混合物を濃縮細菌試料に添加し、そして37℃で15分間インキュベ
ーションした。2mlのNZCYM培地(2xNZCYM、50μg/mlアンピシリン)を各混合物に添加し
、そして37℃で15分間インキュベーションした。50μg/mlアンピシリンを含有する巨大N
ZCYM寒天プレート上に、生じた4ml溶液を蒔き、そして37℃で一晩インキュベーションし
た。
【0234】
巨大NZCYM寒天プレート上で一晩増殖させた各細菌/ファージ混合物を、35mlのLB培地
中に掻き取り、そしてさらなる35mlのLB培地で、寒天プレートをさらにリンスした。LB培
地中の生じた細菌/ファージ混合物を遠心分離して、細菌をペレットにして除いた。50μ
lのファージ上清を新鮮な試験管に移し、そして12.5mlのPEG溶液(20%PEG8000、3.5M酢
酸アンモニウム)を添加し、そして氷上で2時間インキュベーションして、ファージを沈
殿させた。沈殿したファージを遠心分離して落とし、そして6mlのファージ再懸濁緩衝液
(250mM NaCl、100mM Tris pH8、1mM EDTA)中に再懸濁した。残った細菌を遠心分離して
除き、そして1.5mlのPEG溶液を添加することにより、ファージを2回沈殿させることによ
って、このファージ溶液をさらに精製した。遠心分離工程後、ファージペレットを400μl
のPBSに再懸濁した。この溶液を最後の遠心分離に供して、残った細菌破片を除いた。標
準的プラーク形成アッセイ(Molecular Cloning, Maniatisら, 第3版)によって、生じた
ファージ調製物の力価を決定した。
【0235】
選択および増幅のさらなる周期
第二の周期において、第一の周期由来の増幅したファージ(1011pfu)を投入ファージ
として用いて、選択工程および増幅工程を行った。次に、第二の周期由来の増幅したファ
ージ(1011pfu)を投入ファージとして用いて、第三の周期の選択および増幅を行った。
第三の周期の溶出工程後、溶出したファージのわずかな割合を上述のプラーク形成アッセ
イにおけるように蒔いた。個々のプラークを摘み取り、そして各ウェルに100μlのTE緩衝
液を含有する96ウェルマイクロタイタープレートに蒔いた。これらのマスタープレートを
4℃で一晩インキュベーションして、ファージがTE緩衝液に溶出するのを可能にした。
【0236】
クローン分析
ファージELISA
ファージクローンをファージELISAに供して、そして次いで配列決定した。以下に論じ
るように配列をランク付けした。
【0237】
ファージELISAを以下のように行った。OD600が0.5に達するまで、大腸菌XL-1 Blue MRF
'培養物を増殖させた。この培養物30μlを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェル
に分注した。溶出したファージ10μlを各ウェルに添加し、そして室温で15分間細菌を感
染させた。12.5μg/mlのテトラサイクリンおよび50μg/mlのアンピシリンを含有する約
120μlのLB培地を各ウェルに添加した。次いで、マイクロタイタープレートを振盪しなが
ら37℃で一晩インキュベーションした。ミオスタチン・タンパク質(0.1M炭酸ナトリウム
緩衝液、pH9.6中、2μg/ml)で、96ウェルMaxisorpTMプレート(NUNC)を、4℃で一晩コ
ーティングした。対照として、別個のMaxisorpTMプレートを、PBS中で調製した2%BSAで
コーティングした。
【0238】
翌日、タンパク質でコーティングしたMaxisorpTMプレート中の液体を廃棄し、PBSで3回
洗浄し、そして各ウェルを、2%ミルク溶液300μlで、室温で1時間ブロッキングした。ミ
ルク溶液を廃棄し、そしてウェルをPBS溶液で3回洗浄した。最後の洗浄工程後、約50μl
のPBST-4%ミルクを、タンパク質でコーティングしたMaxisorpTMプレートの各ウェルに添
加した。96ウェルマイクロタイタープレート中の各ウェルから約50μlの一晩培養物を、
ミオスタチン・コーティングプレートの対応するウェルとともに、対照2%BSAコーティン
グ・プレートの対応するウェルに移した。2種のプレート中、100μlの混合物を、室温で1
時間インキュベーションした。MaxisorpTMプレートから液体を廃棄し、そしてPBSTで約3
回、続いてPBSで2回、ウェルを洗浄した。HRPコンジュゲート化抗M13抗体(Amersham Pha
rmacia Biotech)を約1:7,500に希釈し、そして希釈溶液100μlをMaxisorpTMプレートの
各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベーションした。液体を再び廃棄し、そしてPBS
Tで約3回、続いてPBSで2回、ウェルを洗浄した。100μlのLumiGloTM化学発光基質(KPL)
をMaxisorpTMプレートの各ウェルに添加し、そして反応が起こるように約5分間インキュ
ベーションした。MaxisorpTMプレートの化学発光単位をプレート読取装置(Lab System)
上で読み取った。
【0239】
ファージクローンの配列決定
各ファージクローンに関して、PCR法によって配列決定テンプレートを調製した。以下
のオリゴヌクレオチド対を用いて、500ヌクレオチド断片を増幅した:プライマー#1:5'
-CGGCGCAACTATCGGTATCAAGCTG-3'(配列番号294)およびプライマー#2:5'-CATGTACCGTAA
CACTGAGTTTCGTC-3'(配列番号295)。各クローンに関して、以下の混合物を調製した。
【0240】
【表2】

【0241】
サーモサイクラー(GeneAmp PCR系9700、Applied Biosystems)を用いて、以下のプロ
グラムを実行した:[94℃5分間;94℃30秒間、55℃30秒間、72℃45秒間]×30周期;72
℃7分間;4℃に冷却。製造者のプロトコルにしたがって、QIAquickマルチウェルPCR精製
キット(Qiagen)を用いて、各反応由来のPCR産物を清浄にした。10μlの各PCR反応物を
、1μlの色素(10×BBXSアガロースゲル装填色素)と混合して、1%アガロースゲル上で
泳動することによって、PCRの清浄化産物をチェックした。次いで、製造者が推奨するプ
ロトコルにしたがって、ABI377配列決定装置(Perkin Elmer)を用いて、残った産物を配
列決定した。
【0242】
配列ランク付けおよび分析
ヌクレオチド配列から翻訳したペプチド配列をELISAデータと相関させた。ミオスタチ
ン・コーティングウェル中で高い化学発光単位を、そして2%BSAコーティングウェル中で
低い化学発光単位を示したクローンを同定した。複数回生じた配列を同定した。これらの
基準に基づいて選択した候補配列を、ペプチボディとしてさらなる分析に供した。およそ
1200の個々のクローンを分析した。本発明のペプチボディを生成するため、これらのうち
、およそ132のペプチドを選択した。これらを以下の表Iに示す。配列番号1〜129を有する
ペプチドを用いて、同一名のペプチボディを生成した。表Iに示す配列番号130〜141を有
するペプチドは、リンカー配列によって付着された、配列番号1〜132のペプチドの2以上
を含む。また、配列番号130〜141を、同一名のペプチボディを生成するのにも用いた。
【0243】
ペプチドのTN-8由来群に関してコンセンサス配列を決定した。これらは以下のとおりで
ある:
【0244】
【化2】

【0245】
上記コンセンサス配列のすべてに関して、各コンセンサス配列の下線の「コア配列」は
、常にその位置で生じるアミノ酸である。「X」は、天然存在または修飾アミノ酸いずれ
かを指す。コア配列とともに含有される2つのシステインは、TN8-IXライブラリーにおけ
る固定アミノ酸である。
【0246】
【表3−1】

【0247】
【表3−2】

【0248】
【表3−3】

【0249】
【表3−4】

【0250】
【表3−5】

【0251】
実施例2
ペプチボディの生成
ペプチド-Fc融合タンパク質をコードするDNAの構築
ミオスタチンに結合可能なペプチドを、単独でまたは互いに組み合わせて用いて、ペプ
チドがヒトIgG1のFcドメインに融合した、融合タンパク質を構築した。各ペプチボディの
Fc部分のアミノ酸配列は以下のとおりである(アミノ末端からカルボキシル末端):
【0252】
【化3】

【0253】
ペプチドをN配置で融合させる(ペプチドをFc領域のN末端に結合させる)か、C配置で
融合させる(ペプチドをFc領域のC末端に結合させる)か、またはN、C配置で結合させた
(ペプチドをFc領域のN末端およびC末端両方に結合させた)。別個のベクターを用いて、
N末端融合体およびC末端融合体を発現させた。選択したファージ核酸に、オリゴヌクレオ
チド対(「オリゴ」)をアニーリングさせ、ペプチドをコードする二本鎖ヌクレオチド配
列を生成することによって、各ペプチボディを構築した。これらのポリヌクレオチド分子
をApaLからXhoIの断片として構築した。この断片を、あらかじめApaLIおよびXhoIで消化
した、N末端配向用のpAMG21-Fc N末端ベクターに、またはC末端配向用のpAMG21-Fc-C末端
ベクターに連結した。標準法を用い、エレクトロポレーションによって、生じた連結混合
物で、大腸菌株2596細胞または4167細胞(株2596細胞のhsdR-変異体)を形質転換した。
組換えタンパク質産物を産生し、そして正しいヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を
所持する能力に関して、クローンをスクリーニングした。修飾ペプチド各々に関して、単
一のこうしたクローンを選択した。
【0254】
pAMG21-2xBs-N(ZeoR)Fcと称される別のベクターを用いて、構築物の多くを生成した
。このベクターは、ベクター消化をBsmBIで行ったことを除いて、上記ベクターと類似で
ある。いくつかの構築物では、ペプチド配列をFcの両端で融合させた。これらの場合、ベ
クターは、pAMG21-2xBs-N(ZeoR)FcおよびpAMG21-2xBs-C-Fcの複合体であった。
【0255】
pAMG21の構築
すべて本明細書に参考文献として援用される、公開国際特許出願WO 00/24782に記載さ
れる方法にしたがって、pCFM1656(ATCC番号69576)および米国特許第4,710,473号に記載
される発現ベクター系から、発現プラスミドpAMG21(ATCC番号98113)を得る。
【0256】
Fc N末端ベクター
テンプレートとしてpAMG21 Fc_Gly5_Tpoベクターを用いて、Fc N末端ベクターを構築
した。5'PCRプライマー(以下)を設計して、pAMG Tpo Gly5のTpoペプチド配列を除去し
、そしてApaLIおよびXhoI部位を含有するポリリンカーと交換した。このベクターをテン
プレートとして用い、以下の5'プライマーおよび普遍的3'プライマーを用いて、Expand L
ongポリメラーゼでPCRを行った。
【0257】
【化4】

【0258】
生じたPCR産物をゲル精製し、そして制限酵素NdeIおよびBsrGIで消化した。Qiagen(カ
リフォルニア州チャツワース)ゲル精製スピンカラムを用いて、プラスミド、およびリン
カーとともに目的のペプチドをコードするポリヌクレオチド両方を、ゲル精製した。次い
で、標準的連結法を用いて、プラスミドおよび挿入物を連結し、そして生じた連結混合物
で大腸菌細胞(株2596)を形質転換した。単一コロニーを選択し、そしてDNA配列決定を
行った。正しいクローンを同定し、そして本明細書に記載する修飾ペプチドのベクター供
給源としてこれを用いた。
【0259】
Fc C末端ベクターの構築
テンプレートとしてpAMG21 Fc_Gly5_Tpoベクターを用いて、Fc C末端ベクターを構築
した。3'PCRプライマーを設計して、Tpoペプチド配列を除去し、そしてApaLIおよびXhoI
部位を含有するポリリンカーと交換した。普遍的5'プライマーおよび3'プライマーを用い
て、Expand LongポリメラーゼでPCRを行った。
【0260】
【化5】

【0261】
生じたPCR産物をゲル精製し、そして制限酵素BsrGIおよびBamHIで消化した。Qiagenゲ
ル精製スピンカラムを介して、プラスミド、およびリンカーとともに目的のペプチド各々
をコードするポリヌクレオチド両方を、ゲル精製した。次いで、標準的連結法を用いて、
プラスミドおよび挿入物を連結し、そして生じた連結混合物で大腸菌(株2596)細胞を形
質転換した。株2596(ATCC#202174)は、luxプロモーター、ならびに2つのラムダ温度感
受性リプレッサー、cI857s7およびlacIQリプレッサーを含有するよう修飾された大腸菌K-
12株である。単一コロニーを選択し、そしてDNA配列決定を行った。正しいクローンを同
定し、そして本明細書に記載する各ペプチボディの供給源としてこれを用いた。
【0262】
大腸菌における発現
Terrificブロス培地(前述のSambrookらの参考文献に引用される、TartofおよびHobbs,
“Improved media for growing plasmid and cosmid clones”, Bethesda Research Lab
s Focus, 第9巻, 12ページ, 1987を参照されたい)中、37℃で、大腸菌株2596中の各pAMG
21-Fc融合構築物の培養物を増殖させた。合成自己誘導剤(autoinducer)、N-(3-オキソ
ヘキサノイル)-DL-ホモセリン・ラクトンを、1ミリリットルあたり20ナノグラム(ng/m
l)の最終濃度になるように、培地に添加した後、luxPRプロモーターからの遺伝子産物発
現の誘導が達成された。培養物を37℃でさらに6時間インキュベーションした。次いで、
封入体の存在に関して、細菌培養物を顕微鏡によって検査し、そして遠心分離によって収
集した。誘導した培養物中に、屈折(refractile)封入体が観察されたことから、大腸菌
の不溶性分画でFc融合体が産生される可能性が最も高いことが示された。10%β-メルカ
プトエタノールを含有するLaemmli試料緩衝液に直接再懸濁することによって細胞ペレッ
トを溶解し、そして次いで、SDS-PAGEによって分析した。大部分の場合、SDS-PAGEゲル上
に、適切な分子量の強いクマシー染色バンドが観察された。
【0263】
ペプチボディのフォールディングおよび精製
高圧ホモジナイズ(15,000PSIで3パス)によって、水中(体積あたり1/10体積)で細
胞を破壊し、そして遠心分離(J-6B中4000RPMで30分間)によって封入体を採取した。6M
グアニジン、50mM Tris、8mM DTT、pH8.0中、1/10の比で、周囲温度で1時間、封入体を
可溶化した。可溶化した混合物を4M尿素、20%グリセロール、50mM Tris、160mMアルギニ
ン、3mMシステイン、1mMシスタミン、pH8.5に25倍に希釈した。混合物を低温中で一晩イ
ンキュベーションした。次いで、10mM Tris pH8.5、50mM NaCl、1.5M尿素に対して、混合
物を透析した。一晩透析した後、透析物のpHを酢酸でpH5に調整した。遠心分離によって
沈殿物を除去し、そして10mM NaAc、50mM NaCl、pH5で平衡化したSP-Sepharose Fast Flo
wカラムに、上清を4℃で装填した。装填後、カラムを10mM NaAc、50mM NaCl、pH5.2で洗
浄してベースラインにした。20カラム体積の、酢酸緩衝液中の50mM〜500mMのNaCl勾配で
、カラムを展開した。あるいは、ベースラインまで洗浄した後、5カラム体積の10mMリン
酸ナトリウムpH7.0でカラムを洗浄し、そして15カラム体積の、リン酸緩衝液中の0〜400m
MのNaCl勾配で、カラムを展開した。カラム分画をSDS-PAGEによって分析した。二量体ペ
プチボディを含有する分画をプールした。ゲルろ過によってもまた分画を分析し、凝集物
が存在するかどうかを決定した。
【0264】
表Iのペプチドから多くのペプチボディを調製した。ペプチドをヒトIgG1 Fc分子に結合
させて、表IIのペプチボディを形成した。表IIのペプチボディに関して、C配置は、指定
のペプチドが、FcのC末端に結合したことを示す。N配置は、指定のペプチドが、FcのN末
端に結合したことを示す。N、C配置は、1つのペプチドが各Fc分子のN末端に、1つがC末端
に結合したことを示す。2×の表示は、指定の2つのペプチドが、示したリンカーに分離さ
れて、互いにタンデムに結合し、そしてまた、FcのN末端またはC末端に、あるいはN、C両
末端に結合したことを示す。リンカーに分離されてタンデムに結合した2つのペプチドは
、例えばミオスタチン-TN8-29-19-8gと示され、これは、TN8-29ペプチドが、(gly)8
ンカーを介して、TN8-19ペプチドに結合したことを示す。ペプチド(単数または複数)は
、別に明記しない限り、(gly)5リンカー配列を介してFcに結合した。いくつかの場合、
ペプチド(単数または複数)はkリンカーを介して結合した。kまたは1kと示されるリンカ
ーは、gsgsatggsgstassgsgsatg(配列番号301)リンカー配列を指し、kcは、FcのC末端に
結合したリンカーを指し、そしてknはFcのN末端に結合したリンカーを指す。以下の表II
において、第4列はFcを第一のペプチドに結合するリンカー配列を指し、そして第5列は、
配置NまたはCまたは両方を指す。
【0265】
Fc分子は溶液中で二量体化するため、1つのペプチドを有するように構築されたペプチ
ボディは、実際には、ペプチド2コピーおよびFc分子2つを持つ二量体であり、そしてタン
デムに2つのペプチドを有する2×型は、実際には、ペプチド4コピーおよびFc分子2つを持
つ二量体であろう。
【0266】
表IIに示すペプチボディは、大腸菌で発現されるため、最初のアミノ酸残基はMet(M)
である。したがって、N配置のペプチボディは、例えば、Met-ペプチド-リンカー-Fc、ま
たはMet-ペプチド-リンカー-ペプチド-リンカー-Fcである。C配置のペプチボディは、例
えば、Met-Fc-リンカー-ペプチドまたはMet-Fc-リンカー-ペプチド-リンカー-ペプチドと
配置される。C、N配置のペプチボディは、両方の組み合わせ、例えば、Met-ペプチド-リ
ンカー-Fc-リンカー-ペプチドである。
【0267】
典型的なペプチボディをコードするヌクレオチド配列を以下の表IIに提供する。本発明
の典型的なペプチボディをコードするポリヌクレオチド配列には、以下のようなFcポリペ
プチド配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる:
【0268】
【化6】

【0269】
さらに、以下のようなgggggリンカーをコードするポリヌクレオチドが含まれる:
【0270】
【化7】

【0271】
ペプチボディをコードするポリヌクレオチドにはまた、メチオニンをコードするコドン
ATGおよびTAAなどの停止コドンも含まれる。
したがって、表IIの第一のペプチボディの構造は、以下のような、C配置および(gly)
5リンカーを持つTN8-Con1である:M-Fc-GGGGG-KDKCKMWHWMCKPP(配列番号303)。このペ
プチボディをコードする典型的なポリヌクレオチドは:
【0272】
【化8】

【0273】
であろう。
【0274】
【表4−1】

【0275】
【表4−2】

【0276】
【表4−3】

【0277】
【表4−4】

【0278】
【表4−5】

【0279】
【表4−6】

【0280】
【表4−7】

【0281】
【表4−8】

【0282】
【表4−9】

【0283】
【表4−10】

【0284】
【表4−11】

【0285】
【表4−12】

【0286】
【表4−13】

【0287】
実施例3
in vitroアッセイ
C2C12細胞に基づくミオスタチン活性アッセイ
本アッセイは、ミオスタチンの受容体への結合を阻害する度合いを測定することによっ
て試験される、阻害剤のミオスタチン中和能を示す。
【0288】
C2C12筋芽細胞(ATCC番号:CRL-1722)をpMARE-luc構築物でトランスフェクションする
ことによって、ミオスタチン応答性受容体細胞株を生成した。ミオスタチン/アクチビン
応答要素(Dennlerら, EMBO 17:3091-3100(1998))に相当するCAGA配列の12の反復を
、TATAボックスの上流で、pLuc-MCSレポーターベクター(Stratageneカタログ番号219087
)内にクローニングすることによって、pMARE-luc構築物を作製した。筋芽細胞C2C12細胞
は、天然に、その細胞表面上に、ミオスタチン/アクチビン受容体を発現する。ミオスタ
チンが細胞受容体に結合すると、Smad経路が活性化され、そしてリン酸化されたSmadが応
答要素に結合し(Macias-Silvaら, Cell 87:1215(1996))、ルシフェラーゼ遺伝子の
発現を生じる。次いで、製造者のプロトコルにしたがって、市販のルシフェラーゼレポー
ターアッセイキット(カタログ番号E4550、Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用
い、ルシフェラーゼ活性を測定する。pMARE-lucでトランスフェクションされた安定C2C12
細胞株(C2C12/pMAREクローン#44)を用い、以下の方法にしたがって、ミオスタチン活
性を測定した。
【0289】
同数のレポーター細胞(C2C12/pMAREクローン#44)を96ウェル培養に蒔いた。4nMで
固定したミオスタチン濃度で、ペプチボディの2つの希釈を用いて、最初の周期のスクリ
ーニングを行った。組換え成熟ミオスタチンを、それぞれ、40nMおよび400nMのペプチボ
ディと、室温で2時間、プレインキュベーションした。レポーター細胞培養物を、ペプチ
ボディを含み、または含まず、ミオスタチンで6時間処理した。処理した培養物において
、ルシフェラーゼ活性を測定することによって、ミオスタチン活性を測定した。まず、こ
のアッセイを用いて、レポーターアッセイにおいて、ミオスタチンシグナル伝達活性を阻
害したペプチボディ・ヒットを同定した。続いて、ミオスタチン濃度を4nMに固定して、9
点の滴定曲線を生成した。レポーター細胞培養物に混合物を添加する前に、ミオスタチン
を、以下の9つの濃度のペプチボディ各々と2時間プレインキュベーションした:0.04mM、
0.4nM、4nM、20nM、40nM、200nM、400nM、2μMおよび4μM。いくつかの典型的なペプチボ
ディのIC50値を表IIIに提供し、そしてアフィニティー成熟ペプチボディに関しては表VII
Iに提供する。
【0290】
BIAcore(登録商標)アッセイ
センサーチップCM5、およびランニング緩衝液として、0.005パーセントのP20界面活性
剤(Biacore, Inc.)を用いて、BIAcore(登録商標)3000(Biacore, Inc.、ニュージャ
ージー州ピスカタウェイ)装置上で、各候補ミオスタチン・ペプチボディのアフィニティ
ー分析を行った。製造者が示唆するプロトコルにしたがって、アミン・カップリングキッ
ト(Biacore, Inc.)を用い、一級アミン基を介して、研究用品質のCM5センサーチップ(
Biacore, Inc.)に、組換え成熟ミオスタチン・タンパク質を固定した。
【0291】
直接結合アッセイを用いて、ペプチボディをスクリーニングし、そして固定化ミオスタ
チンに結合する能力の順にランク付けした。2つの濃度(40および400nM)の各候補ミオス
タチン結合ペプチボディを、流速50μl/分で3分間、固定化ミオスタチン表面に注入する
ことによって、結合アッセイを行った。3分間解離させた後、表面を再生成した。結合シ
グナル強度に関して、それとともに解離速度に関して、結合曲線を定性的に比較した。BI
A evaluation 3.1コンピュータプログラム(Biacore, Inc.)を用いて、ka(会合速度定
数)、kd(解離速度定数)、およびKD(解離平衡定数)を含むペプチボディ結合動力学パ
ラメーターを決定した。解離平衡定数(nMで表す)がより低ければ、ミオスタチンに対す
るペプチボディのアフィニティーはより高い。ペプチボディKD値の例を表IIIに示し、そ
して以下のアフィニティー成熟ペプチボディに関しては、表VIに示す。
【0292】
ActRIIB/Fc表面上の遮断アッセイ
固定化ActRIIB/Fc(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)およびミオスタチンを
用いて、ペプチボディの存在下および非存在下、BIAcore(登録商標)アッセイ系で、遮
断アッセイを行った。アッセイを用いて、非中和(ActRIIB/Fcへのミオスタチン結合を
妨げないもの)または中和(ActRIIB/Fcへのミオスタチン結合を妨げるもの)として、
ペプチボディを分類した。いかなるペプチボディも存在しない、ベースラインのミオスタ
チン-ActRIIB/Fc結合をまず決定した。
【0293】
初期スクリーニング研究には、ペプチボディを試料緩衝液中、4nM、40nM,および400nM
に希釈し、そして4nMミオスタチン(やはり試料緩衝液中で希釈する)とインキュベーシ
ョンした。ペプチボディ:リガンド混合物が、室温で平衡に達するのを可能にし(少なく
とも5時間)、そして次いで、流速10μl/分で、20〜30分間、固定化ActRIIB/Fc表面上
に注入した。結合反応の増加(ペプチボディを含まない対照の結合を越える)は、ミオス
タチンへのペプチボディ結合が非中和性であることを示した。結合反応の減少(対照に比
較)は、ミオスタチンへのペプチボディ結合が、ActRIIB/Fcへのミオスタチン結合を遮
断することを示した。IC50値(中和ペプチボディ)またはEC50値(非中和ペプチボディ)
を得るため、全濃度系列の遮断アッセイを用いて、選択したペプチボディをさらに性質決
定した。ペプチボディ試料を、200nM〜0.05mMまで試料緩衝液中で連続希釈して、そして4
mMミオスタチンと、室温で平衡に達するまで(最小5時間)インキュベーションした後、
流速10μl/分で20〜30分間、固定化ActRIIB/Fc表面上に注入した。試料注入後、結合し
たリガンドを3分間、受容体から解離させた。ペプチボディ濃度に対して結合シグナルを
プロットし、4nMミオスタチンの存在下で、各ペプチボディのIC50値を計算した。例えば
、ペプチボディTN8-19、L2およびL17は、細胞に基づくアッセイにおいて、ミオスタチン
活性を阻害するが、TN-8-19の結合は、ミオスタチン/ActRIIB/Fc相互作用を遮断しない
ことから、TN-8-19が、他の2つのペプチボディで観察されるのと異なるエピトープに結合
することが示された。
【0294】
ペプチボディに対するエピトープ結合
精製ペプチボディをBIAcoreチップ上に固定して、第二のペプチボディを注入する前に
、ミオスタチンを捕捉し、そして捕捉されたミオスタチンに結合した二次ペプチボディの
量を決定した。別個のエピトープを持つペプチボディのみが、捕捉されたミオスタチンに
結合し、したがって類似のまたは別個のエピトープ結合特性を持つペプチボディの結合が
可能になる。例えば、ペプチボディTN8-19およびL23が、ミオスタチン上の異なるエピト
ープに結合することが示された。
【0295】
選択性アッセイ
BIAcore(登録商標)技術を用いて、これらのアッセイを行って、他のTGFβファミリー
メンバーへのペプチボディの結合の選択性を決定した。製造者が示唆するプロトコルにし
たがって、ActRIIB/Fc、TGFβRII/FcおよびBMPR-1A/Fc(すべてR&D Systems、ミネソ
タ州ミネアポリスから得られる)を研究用品質のセンサーチップに共有結合的にカップリ
ングした。BIAcoreアッセイは屈折率の変化を検出するため、いかなるペプチボディも存
在しない対照表面上の注入で検出された反応に比較した、固定化受容体表面上での注入で
検出された反応の間の相違は、それぞれ、受容体へのアクチビンA、TGFβ1、TGFβ3、お
よびBMP4の実際の結合に相当する。ペプチボディおよびTGFβ分子をプレインキュベーシ
ョンすると、結合反応の変化(増加または減少)は、TGFβファミリー分子へのペプチボ
ディ結合を示す。本発明のペプチボディはすべて、ミオスタチンに結合するが、アクチビ
ンA、TGFβ1、TGFβ3、またはBMP4に結合しない。
【0296】
KinEx ATM平衡アッセイ
KinEx ATM技術(Sapidyne Instruments, Inc.)を用いた、溶液に基づく平衡結合アッ
セイを用いて、ペプチボディ分子へのミオスタチン結合の解離平衡(KD)を測定した。こ
の溶液に基づくアッセイは、いくつかの例で、BIAcoreアッセイよりもより感受性である
と見なされる。Reacti-GelTM6Xを約50μg/mlのミオスタチンで一晩プレコーティングし
、そして次いで、BSAでブロッキングした。30pMおよび100pMのペプチボディ試料を、試料
緩衝液中、多様な濃度(0.5pM〜5nM)のミオスタチンと室温で8時間インキュベーション
した後、ミオスタチン・コーティングビーズの間を流動させた。スーパーブロック中の1m
g/mlの蛍光(Cy5)標識したヤギ抗ヒトFc抗体によって、ビーズに結合したペプチボディ
の量を定量した。結合シグナルは、所定のミオスタチン濃度で平衡状態の未結合ペプチボ
ディの濃度に比例する。KinEX ATMソフトウェア(Sapidyne Instruments, Inc.)に提供
される、二重曲線一部位均質結合モデル(dual-curve one-site homogeneous binding mo
del)を用いた競合曲線の非線形回帰から、KDを得た。
【0297】
実施例4
ミオスタチン阻害剤の比較
3つの典型的な第一周期ペプチボディが結合し(KD)そして阻害する(IC50)能力を、
可溶性受容体融合タンパク質actRIIB/Fc(R&D Systems, Inc.、ミネソタ州ミネアポリ
ス)に関して得たKD値およびIC50値と比較した。実施例3に記載するpMARE luc細胞に基づ
くアッセイを用いて、IC50値を決定し、そして実施例3に記載するBiacore(登録商標)ア
ッセイを用いて、KD値を決定した。
【0298】
【表5】

【0299】
ペプチボディは、受容体/Fc阻害剤より改善されたIC50値を有し、そして2つのペプチ
ボディにおいては、受容体/Fcと匹敵する結合アフィニティーを有する。
実施例5
ペプチドおよびペプチボディがミオスタチンを阻害する能力の比較
次のペプチド配列:QGHCTRWPWMCPPY(TN8-19)(配列番号33)を用い、上記実施例2に
記載する方法にしたがって、対応するペプチボディTN8-19(pb)を構築した。上記実施例
3に記載するC2C12に基づくアッセイを用いて、ミオスタチン阻害活性に関して、単独のペ
プチドおよびペプチボディを両方スクリーニングした。図1から、ペプチボディのIC50
ミオスタチンを50%阻害するのに有効な濃度)が、ペプチドのものより有意に低く、そし
てしたがって、ペプチボディの形態を取ることによって、ペプチドがミオスタチン活性を
阻害する能力が、実質的に改善されたことがわかる。
【0300】
実施例6
アフィニティー成熟ペプチドおよびペプチボディの生成
ペプチボディ生成に用いた第一周期ペプチドのいくつかを、アフィニティー成熟用に選
択した。選択したペプチドには、次のものが含まれた:システイン拘束TN8-19、QGHCTRWP
WMCPPY(配列番号33)、および直鎖ペプチド、直鎖-2 MEMLDSLFELLKDMVPISKA(配列番号1
04);直鎖-15 HHGWNYLRKGSAPQWFEAWV(配列番号117);直鎖-17 RATLLKDFWQLVEGYGDN(
配列番号119);直鎖-20 YREMSMLEGLLDVLERLQHY(配列番号122)、直鎖-21 HNSSQMLLSELI
MLVGSMMQ(配列番号123)、直鎖-24 EFFHWLHNHRSEVNHWLDMN(配列番号126)。コンセンサ
ス配列に基づいて、「コア」アミノ酸(コンセンサス配列から決定する)を一定に維持す
るかまたはその発生頻度を偏向させた、定方向二次ファージディスプレイ・ライブラリー
を生成した。あるいは、個々のペプチド配列を用いて、偏向定方向ファージディスプレイ
・ライブラリーを生成することも可能である。よりストリンジェントな条件下での、こう
したライブラリーのパニングによって、ミオスタチンへの結合が増進した、ミオスタチン
への選択的結合が増進した、またはさらなる何らかの望ましい特性を持つ、ペプチドを生
じることも可能である。
【0301】
ライブラリー用のドーピングしたオリゴの産生
コア配列が91%「ドーピング」された、すなわち各溶液が、相当する塩基(A、G、C、
またはT)91%、および他の3ヌクレオチド各々3%である、DNA合成装置中、オリゴヌクレ
オチドを合成した。TN8-19ファミリーでは、例えば、二次ファージライブラリーの構築に
用いた91%ドーピングオリゴは、以下のとおりであった:
【0302】
【化9】

【0303】
ここで、「N」は、4つのヌクレオチドA、T、C、およびGの各々に、等しく相当すること
を示し、Kは、GおよびTに等しく相当することを示し、そして小文字は、91%の表記の塩
基および3%の他の塩基各々の混合物に相当する。この方式で調製したオリゴヌクレオチ
ドファミリーを上記のようにPCR増幅し、上述のプロトコルにしたがって、ファージミド
ベクター、例えば修飾pCES1プラスミド(Dyax)、または入手可能なファージミドベクタ
ーいずれかに連結した。生成した二次ファージライブラリーは、すべて91%ドーピングさ
れ、そして1〜6.5×109の独立形質転換体を有した。上述のように、しかし以下の条件を
用いて、ライブラリーをパニングした:
第1周期パニング:
投入ファージ数:1012〜1013cfuのファージミド
選択法:Nunc Immuno試験管選択
陰性選択:2%BSAでコーティングしたNunc Immuno試験管を用いて各10分間2回
パニングコーティング:1mlの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中の1μgのミオスタ
チン・タンパク質でコーティング
結合時間:3時間
洗浄条件:6×2%ミルク-PBST;6×PBST;2×PBS
溶出条件:100mM TEA溶出
第2周期パニング:
投入ファージ数:1011cfuのファージミド
選択法:Nunc Immuno試験管選択
陰性選択:2%BSAでコーティングしたNunc Immuno試験管を用いて各30分間2回
パニングコーティング:1mlの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中の1μgのミオスタ
チン・タンパク質でコーティング
結合時間:1時間
洗浄条件:15×2%ミルク-PBST、1×2%ミルク-PBSTで1時間、10×2%BSA-PBST、1×2
%BSA-PBSTで1時間、10×PBSTおよび3×PBS
溶出条件:100mM TEA溶出
第3周期パニング:
投入ファージ数:1010cfuのファージミド
選択法:Nunc Immuno試験管選択
陰性選択:2%BSAでコーティングしたNunc Immuno試験管を用いて各10分間6回
パニングコーティング:1mlの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中の0.1μgのミオス
タチン・タンパク質でコーティング
結合時間:1時間
洗浄条件:15×2%ミルク-PBST、1×2%ミルク-PBSTで1時間、10×2%BSA-PBST、1×2
%BSA-PBSTで1時間、10×PBSTおよび3×PBS
溶出条件:100mM TEA溶出
二次ライブラリーのパニングによって、ミオスタチンへの結合が増進したペプチドを得
た。個々の選択クローンを上述のようなファージELISAに供し、そして配列決定した。
【0304】
ペプチドの以下のアフィニティー成熟TN8-19ファミリーを以下の表IVに示す。
【0305】
【表6−1】

【0306】
【表6−2】

【0307】
上に示すアフィニティー成熟TN-8-19-1からCon2(mTN8 con6配列を除く)由来のコンセ
ンサス配列は:Ca1a2Wa3WMCPP(配列番号352)である。これらのペプチドはすべて、配列
WMCPP(配列番号633)を含む。下線のアミノ酸は、すべての態様に存在するコアアミノ酸
に相当し、そしてa1、a2およびa3は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩
基性アミノ酸から選択される。このコンセンサス配列の1つの態様、Cb1b2Wb3WMCPP(配列
番号353)において、b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;b2は、R
、S、Qのいずれか1つから選択され;そしてb3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択さ
れる。これらのペプチドはすべて、配列WMCPP(配列番号633)を含む。配列番号352を含
むアフィニティー成熟TN8配列のより詳細な分析は、以下の式:
c1c2c3c4c5c6Cc7c8Wc9WMCPPc10c11c12c13(配列番号354)、を提供し、式中:
c1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
c5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
c6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
c7は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c8は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;
c9は、中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、または塩基性アミノ酸であり;そして
c10〜c13は、アミノ酸いずれかである。
【0308】
上記式の1つの態様において、b7は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択さ
れ;b8は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;そしてb9は、P、RおよびQのいずれか1つ
から選択される。これは以下の配列:
d1d2d3d4d5d6Cd7d8Wd9WMCPPd10d11d12d13(配列番号355)を提供し、式中:
d1は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d2は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d3は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d4は、存在しないか、またはアミノ酸いずれかであり;
d5は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは酸性ア
ミノ酸であり;
d6は、存在しないか、または中性疎水性アミノ酸、中性極性アミノ酸、もしくは塩基性
アミノ酸であり;
d7は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
d8は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
d9は、P、RおよびQのいずれか1つから選択され;
そしてd10〜d13は、アミノ酸いずれかから選択される。
【0309】
mTN8 con6シリーズのコンセンサス配列は、WYe1e2Ye3G(配列番号356)であり、ここで
e1は、P、SまたはYであり;e2は、CまたはQであり、そしてe3は、GまたはHである。
TN-19アフィニティー成熟ファミリーに加えて、直鎖L-2、L-15、L-17、L-20、L-21、お
よびL-24の第一周期のペプチドから、さらなるアフィニティー成熟ペプチドを産生した。
これらのファミリーを以下の表Vに示す。
【0310】
【表7−1】

【0311】
【表7−2】

【0312】
【表7−3】

【0313】
【表7−4】

【0314】
次いで、表IVおよびVに提供するアフィニティー成熟ペプチドを上述のペプチボディに
組み立て、そしてin vivoアッセイを用いてアッセイした。
アフィニティー成熟L2ペプチドは、f1EMLf2SLf3f4LL(配列番号455)のコンセンサス配
列を含み、ここでf1は、MまたはIであり;f2は、アミノ酸いずれかであり;f3は、Lまた
はFであり;そしてf4は、E、QまたはDである。
【0315】
アフィニティー成熟L15ペプチドファミリーは、配列Lg1g2LLg3g4L(配列番号456)を含
み、ここでg1は、Q、DまたはEであり、g2は、S、Q、DまたはEであり、g3は、アミノ酸い
ずれかであり、そしてg4は、L、W、F、またはYである。アフィニティー成熟L17ファミリ
ーは、配列:h1h2h3h4h5h6h7h8h9(配列番号457)を含み、ここでh1は、RまたはDであり
;h2は、アミノ酸いずれかであり;h3は、A、T、SまたはQであり;h4は、LまたはMであり
;h5は、LまたはSであり;h6は、アミノ酸いずれかであり;h7は、FまたはEであり;h8
、W、FまたはCであり;そしてh9は、L、F、MまたはKである。コンセンサス配列は、上に
示すペプチドのmL20、mL21およびmL24ファミリーに関して決定することもまた可能である

【0316】
上記実施例2に記載するように、FcのN末端(N配置)、C末端(C配置)、またはN末端お
よびC末端両方(N、C配置)で、配列番号296を有するヒトIgG1のFcドメインに結合するリ
ンカーを用いて、上述のようなこれらのアフィニティー成熟ペプチドからペプチボディを
構築した。指定するペプチドを、5グリシン(5G)、8グリシンまたはkリンカー配列を介
して、C末端またはN末端に結合させた。2×ペプチボディ型では、5gly、8glyまたはkなど
のリンカーでペプチドを結合した。例えばmTN8-19-22のように、アフィニティー成熟ペプ
チドおよびペプチボディを、小文字の「m」で示す。本発明のペプチボディは、ペプチド
がファージミドベクターにスプライシングされる2つのスプライス部位をさらに含有する
。これらのスプライス部位の位置は、AQ――ペプチド――LEである。ペプチボディは、一
般的に、これらのさらなるアミノ酸を含む(しかし、これらは表に列挙するペプチド配列
には含まれない)。いくつかのペプチボディで、LEアミノ酸をペプチド配列から除去した
。これらのペプチボディは、-LEと示される。
【0317】
典型的なペプチボディ、およびこれらをコードする典型的なポリヌクレオチド配列を以
下の表VIに示す。この表には、(ペプチド単独と対照的に)ペプチボディ配列、例えば2x
mTN8-19-7(配列番号615)およびLE配列が欠失したペプチボディ(配列番号617)の例が
含まれる。説明として、2×型のリンカー配列は、タンデムペプチド間のリンカーを指す
。これらのペプチボディ配列は、Fc、リンカー、AQおよびLE配列を含有する。付随するヌ
クレオチド配列は、存在するならばAQ/LEリンカー配列に加えたペプチド配列をコードす
るが、示すリンカーはコードしない。
【0318】
【表8−1】

【0319】
【表8−2】

【0320】
【表8−3】

【0321】
【表8−4】

【0322】
【表8−5】

【0323】
【表8−6】

【0324】
【表8−7】

【0325】
【表8−8】

【0326】
【表8−9】

【0327】
【表8−10】

【0328】
【表8−11】

【0329】
【表8−12】

【0330】
【表8−13】

【0331】
【表8−14】

【0332】
【表8−15】

【0333】
【表8−16】

【0334】
【表8−17】

【0335】
【表8−18】

【0336】
【表8−19】

【0337】
【表8−20】

【0338】
【表8−21】

【0339】
実施例7
アフィニティー成熟ペプチボディのin vitroスクリーニング
上述のプロトコルにしたがって、以下の典型的なペプチボディをスクリーニングして、
以下のKD値およびIC50値を得た。表VIIは、KinExATM溶液に基づくアッセイまたはBIAcore
(登録商標)アッセイによって決定されるように、親ペプチボディと比較した、選択した
アフィニティー成熟ペプチボディのKD値の範囲を示す。これらの値は、親ペプチボディと
比較して、ミオスタチンに対するアフィニティー成熟ペプチボディの結合アフィニティー
が増加したことを示す。表VIIIは、いくつかのアフィニティー成熟ペプチボディのIC50
を示す。値の範囲をこの表に示す。
【0340】
【表9】

【0341】
【表10−1】

【0342】
【表10−2】

【0343】
実施例8
典型的なペプチボディのin vivo同化活性
CD1 nu/nuマウスモデル(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州)を用い
て、ヒトFc領域(huFc)を含む本発明のペプチボディのin vivo有効性を決定した。この
モデルは迅速な同化反応で本発明の阻害剤に反応し、これは、乾燥筋量の増加および筋線
維タンパク質の増加に関連するが、体内の水含量の集積には関連しなかった。
【0344】
一例において、1×ペプチボディmTN8-19-21のin vivoでの有効性を以下の実験によって
示した。10匹の8週齢CD1 nu/nuマウスの群を週2回、または週1回、1mg/kg、3mg/kgお
よび10mg/kgの投薬量(皮下注射)で処置した。10匹の8週齢CD1 nu/nuマウスの対照群
には、週2回、10mg/kgでhuFc(ビヒクル)の(皮下)注射を投与した。1日おきに動物の
体重を測定し、そして第0日および第13日に、NMRによって除脂肪体重を測定した。次いで
、第14日に動物を屠殺し、そして腓腹筋のサイズを測定した。結果を図2および3に示す。
図2は、多様な投薬量でペプチボディを14日間に渡って投与した際の、対照に比較した、
マウスの総体重の増加を示す。図2からわかるように、すべての投薬量は、対照に比較し
て体重の増加を示し、示した投薬量すべては、第14日までに、対照を超える、統計的に有
意な増加を示した。図3は、核磁気共鳴(NMR)画像法(EchoMRI 2003、Echo Medical Sys
tems、テキサス州ヒューストン)によって測定されるような、第0日および第13日の除脂
肪体重の変化とともに、第14日に動物から切開された腓腹筋の重量変化を示す。
【0345】
別の例において、1xmTN8-19-32ペプチボディを、CD1 nu/nuマウスに、1mg/kg、3mg/
kg、10mg/kg、および30mg/kgで、週2回(biweekly)注射して投与し、huFc対照(ビヒ
クル)と比較した。ペプチボディ処置動物は、総体重の増加(未提示)とともに、NMR測
定によって決定されるように、第0日と比較して、第13日に、除脂肪体重の増加を示す。
除脂肪体重の増加を図4に示す。
【0346】
別の例において、in vivo同化有効性に関して、1×アフィニティー成熟ペプチボディを
2×アフィニティー成熟ペプチボディと比較した。CD1 nu/nu雄マウス(群あたり10匹)
を、1mg/kgおよび3mg/kgの1xmTN8-19-7および2xmTN8-19-7の週2回の注射で35日間処置
し、一方、対照群(10匹)には、huFc(3mg/kg)を週2回注射して投与した。図5に示す
ように、2×ペプチボディでの処置は、1×ペプチボディまたは対照と比較して、剖検時に
、より多い体重獲得および除脂肪屍体体重を生じた。
【0347】
実施例9
筋力増加
年齢が一致した正常な雄4ヶ月齢C57Bl/6マウスを、週あたり5mg/kgの2xmTN8-19-33、
2xmTN8-19-7、およびhuFcビヒクル対照群(10匹/群)の週2回の皮下注射で、30日間処置
した。さらなる注射をせずに動物を回復させた。回復期第18日に、握力を測定した。Colu
mbia Instruments測定装置、モデル1027dsm(オハイオ州コロンバス)を用いて、握力を
測定した。ペプチボディ処置は、握力の有意な増加を生じ、2xmTN8-19-33で前処置した動
物は、対照処置動物に比較して、握力の14%の増加を示し、一方、2xmTN8-19-7は、対照
処置マウスに比較して、握力の15%の増加を示した。
【0348】
実施例10
薬物動態学
LE配列を含まない代表的なペプチボディを用いて、in vivo薬物動態学実験を行った。1
0mg/kgおよび5mg/kgの投薬量をCD1 nu/nuマウスに投与して、そして以下のパラメータ
ーを決定した:Cmax(μg/ml)、曲線下面積(AUC)(μg-時間/ml)および半減期(時
間)。アフィニティー成熟ペプチボディの2×型が1×型よりも有意に長い半減期を有する
ことが見出された。例えば、1×アフィニティー成熟mTN8-19-22は、動物において約50.2
時間の半減期を有し、一方、2xmTN8-19-22は、約85.2時間の半減期を有する。アフィニテ
ィー成熟1xmTN8-7は、約65時間の半減期を有し、一方、2xmTN8-19-7は、約106時間の半減
期を有する。
【0349】
実施例11
mdxマウスの処置
本発明のペプチボディは、動物において、除脂肪筋量を増加させることが示され、そし
て筋萎縮を伴う多様な障害の治療に有用である。筋ジストロフィーは、これらの障害の1
つである。デュシェンヌ筋ジストロフィーのマウスモデルは、デュシェンヌmdxマウス(J
ackson Labratories、メイン州バーハーバー)である。老齢(10ヶ月齢)のmdxマウスに
、ペプチボディ1xmTN8-19-33(n=8/群)またはビヒクルhuFcタンパク質(N=6/群)の
いずれかを3ヶ月間注射した。投薬スケジュールは、1日おき、10mg/kg、皮下注射によっ
た。ペプチボディ処置は、老齢mdxマウスの体重を増加させそして維持するのに陽性の影
響を有した。図6Aに示すように、hu-Fc処置対照群に比較して、ペプチボディ処置群では
、体重の有意な増加が観察された。さらに、図6Bに示すように、脂肪量に対する除脂肪体
重の比もまた、対照群に比較して、ペプチボディ処置の結果、老齢mdxマウスで有意に増
加し、そして体重のうちの脂肪の割合が、対照群に比較して、ペプチボディ処置マウスで
減少することが、NMR分析によって明らかになった。
【0350】
実施例12
CIA関節炎マウス・モデルの処置
コラーゲン誘導性関節炎マウス・モデルは、関節リウマチのモデルとして広く用いられ
ている。実験第1日および第21日に、8週齢のDBA/1Jマウス(Jackson Labs、メイン州バ
ーハーバー)の尾の付け根に100μgウシ・コラーゲンII(Chorondex、ワシントン州レッ
ドモンド)を投与して免疫し、関節炎を誘導した。関節および足の発赤および/または腫
脹によってマウスの関節炎状態をスコア付けし、そしてこれに基づいて動物を選択した。
動物3群を確立した:コラーゲンを投与されない正常動物(正常、12匹の動物)、コラー
ゲンに加えてネズミFcビヒクルを投与した動物(CIA/ビヒクル、6匹の動物)、およびコ
ラーゲンに加えて、ネズミFcに結合したペプチボディ2xmTN8-19-21を投与した動物(2xmT
N8-19-21/muFc、2x-21とも称する)(CIA/ペプチボディ、8匹の動物)。これらの実験
および以下の実施例に用いたネズミFcは、ネズミIgG由来のFcである。CIA/ビヒクル動物
およびCIA/ペプチボディ動物には、第1日および第21日のコラーゲン投与に加えて、第8
日から始め、そして第50日まで連続して、週2回、5mg/kgのミオスタチン・ペプチボディ
2xmTN8-19-21/muFcまたはネズミFcビヒクルのみを皮下(s.c.)注射した。動物の体重を
4日ごとに測定した。結果を図7に示す。図7は、体重を喪失したCIA/ビヒクル動物に比較
して、CIA/ペプチボディ(2x21)動物の体重増加を示し、本明細書記載のペプチボディ
を含むミオスタチン・アンタゴニストが、対照動物に示されるリウマチ性悪液質に対抗可
能であることを示す。
【0351】
実施例13
精巣摘出マウスの処置
以下の実施例は、典型的なペプチボディでの精巣摘出C57Bl/6マウスの処置を記載する
。年齢および体重が一致した6ヶ月齢の外科的に精巣摘出したC57Bl/6マウス(Charles R
iver Laboratories、マサチューセッツ州ウィルミントン)の2群を、ネズミFcまたはペプ
チボディ2xmTN8-19-21/muFc(群あたり11匹の動物)のいずれかで処置した。マウスの2
群に3mg/kgペプチボディまたはネズミFcを、週2回IP注射した。処置は、手術の3週間後
に始まり、そして10週間続いた。各生存動物に核磁気共鳴(NMR)画像法を行って、研究
開始時、第7週および第10週の除脂肪量を評価した。以下の表でわかるように、ネズミFc
で処置した精巣摘出マウスは、第10週までに除脂肪量を喪失し始めた。Fcビヒクルに対し
て、ペプチボディを投与された精巣摘出群を比較すると、ネズミFcで処置した動物に比較
して、ペプチボディは、精巣摘出した動物において、除脂肪体重の獲得を改善したことが
示された。この結果を以下の表に示す。
【0352】
【表11】

【0353】
さらに、抗ミオスタチン・ペプチボディで精巣摘出マウスを処置すると、テストステロ
ン・レベルの増加は生じなかった。これらの結果は、本明細書記載のペプチボディなどの
ミオスタチン・アンタゴニストを用いて、アンドロゲン枯渇状態を治療可能であることを
示す。
【0354】
実施例14
TNF-αレベルの減少
雌BALB/cマウス、8〜10週齢(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ウィ
ルミントン)を、LPS負荷の1日前に、PBS対照または10mg/kgのペプチボディ2xTN8-19-21
/muFcで前処置した。各群は5匹の動物であった。第1日、0.5mg/kg(10μg/マウス)の
LPS(大腸菌055、B5由来のリポ多糖(Sigma))を静脈投与した。LPS投与30分後に、血清
試料を収集した。mTNF-α(腫瘍壊死因子α)レベルを測定した。結果は、ペプチボディ
で前処置した動物が、減少したレベルの血中mTNF-αを有することを示した。PBS処置動物
では、血中のmTNF-αが、平均およそ380pg/mlであった。ペプチボディ処置動物では、血
中mTNF-αが、平均およそ120pg/mlしかなかった。これは、ミオスタチン・アンタゴニス
トが、炎症に寄与する少なくとも1つのサイトカインを減少させて、関節リウマチおよび
他の免疫障害を治療する際のアンタゴニストの有効性に寄与しうることを示す。
【0355】
実施例15
糖尿病のSTZ誘導モデル
以下の実験の目的は、ストレプトゾトシン(STZ)誘導性糖尿病動物モデルにおけるミ
オスタチン・アンタゴニストの効果を決定することであった。さらに、ミオスタチン・ア
ンタゴニストが、糖尿病腎症の進行または発展を遅延させるかまたは防止するかどうかを
決定する実験を設計した。用いたペプチボディは、ネズミFcに結合した2xmTN8-19-21(2x
mTN8-19-21/muFcまたは2x-21)であった。対照ビヒクルはネズミFc単独であった。
【0356】
ストレプトゾトシン誘導性糖尿病:
多数回の低用量ストレプトゾトシン注射によって、糖尿病動物モデルを生成した。8週
齢のC57Bl/6マウスをCharles River Laboratoryから購入した。すべての動物を個々のケ
ージで1週間飼育した。動物体重を測定し、そして次いで無作為に2群(n=20/群)に分
けた。20匹のマウスに、40mg/kg(クエン酸緩衝溶液0.1mlに溶解)の低用量ストレプト
ゾトシン(STZ、Sigma Co.)を連続5日間注射した。20匹のマウスの別の群には、ビヒク
ル(0.1mlのクエン酸緩衝溶液)を連続5日間注射した。グルコース・オキシダーゼ法を用
いて、血中グルコース・レベルを測定した(Glucometer Elite、Bayer Corp.、インディ
アナ州エルクハート)。血中グルコース・レベルの測定によって、糖尿病の誘導を定義し
た。11mmol/lまたは200mg/dlを超える血中グルコース・レベルを、高血糖と見なした。
次いで、糖尿病および年齢一致正常マウスをさらに4ヶ月間維持した。体重、食物摂取お
よび血中グルコース・レベルを毎月測定した。STZ注射の4ヵ月後、20匹のマウスのうち16
匹が糖尿病を発展させ、そしてこれらを後の研究に用いた。体重にしたがって、糖尿病マ
ウスを2つの処置群に分けた。年齢一致正常マウスもまた、2つの処置群に分けた。
【0357】
実験設計:
第0日に始まって、どちらの糖尿病群にも5mg/kgのビヒクル(mu-Fc)または2xmTN8-19
-21を週3回6週間皮下注射した。体重および食物摂取を週3回測定した。STZを注射しなか
った非糖尿病マウスを、ビヒクル(muFc)で、そして同じ用量および同じスケジュールで
6週間処置した。第0日、第15日、第30日、および研究終了時に、グルコース・オキシダー
ゼ法を用いて、血中グルコース・レベルを測定した。研究設計を以下の表に提示する。
【0358】
【表12】

【0359】
2xmTN8-19-21/muFcで処置した糖尿病および年齢一致正常マウスにおける除脂肪および
脂肪量の変化を評価するため、Bruker Minispec NMR(Echo Medical Systems、テキサス
州ヒューストン)を用いて、開始時(第0日)、第2週(第15日)、第4週(第30日)およ
び研究終了時(第45日)に、体組成を測定した。
【0360】
研究終了時(第45日)、尿収集のため、マウスを個別代謝ケージに24時間拘束した。24
時間尿体積を重量測定法で測定し、そしてネズミ微量アルブミン尿アッセイキット(Alph
a Diagnostic、テキサス州サンアントニオ)を用い、酵素結合免疫吸着アッセイで、尿ア
ルブミン濃度を決定した。
【0361】
クレアチニン・クリアランス速度を計算することによって、腎機能を評価した。自動分
析装置Hitachi 717 Clinical Chemistry Auto Analyzer(Boehringer Mannheim、インデ
ィアナ州インディアナポリス)を用いて、酵素的方法(CRE、ミズホメディー、日本・佐
賀県)によって、血漿クレアチニン・レベルおよび尿クレアチニン・レベルを測定した。
自動分析装置を用いることによって、血中尿素窒素レベルを測定した。
【0362】
研究完了に際して、すべての動物を屠殺した(第46日)。CO2チャンバー中でマウスを
安楽死させ、そして心臓血液試料を収集し、そして全体組織解剖を行った。生化学分析の
ため、血清試料を-80℃で保存した。血中グルコースの血清レベル、血中尿素窒素(BUN)
、クレアチニン・レベルを測定した。安楽死直後、腓腹筋を取り除き、そして除脂肪屍体
体重を測定した。右側の腎臓の中央半分をイソペンタンN2溶液で固定し、そしてパラフィ
ン中に包埋した。糸球体構造を分析するため、片をH&EおよびPSA(過ヨウ素酸-シッフ)
染色した。
【0363】
結果を平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。non-paired T検定を行って、群間
の統計的相違を決定した。p値が0.05未満であるとき、統計的に有意であると見なした。
結果:STZ誘導性糖尿病マウスにおける、体重および血中グルコース変化
C57Bl/6マウスの体重および血中グルコースに対する、多数回の低用量STZ注射の結果
、年齢一致正常マウス群よりも有意により高い血中グルコース・レベルを有するSTZ処置
マウスが生じ、最初は、20匹の動物に関して、平均約120mg/dl平均血糖の正常レベルで
あったものが、STZ注射後の第2週には、平均約250〜280mg/dlに増加し、そして注射後の
第8〜18週には、最大350mg/dlになった。抗ミオスタチン・ペプチボディ処置を開始する
までの4ヶ月の期間全体で、STZ処置群および対照群の間で、体重変化に関する統計的に有
意な相違が見られた。対照群は、着実に体重を獲得し、平均すると、20週間に渡って、最
大40%の体重獲得であり(平均25gが、第20週後は、34または35グラムにまで増加した)
、一方、STZ群は、20週間の期間に渡って少ししか体重を獲得せず、20週間に渡って、約1
2〜14%しか増加しなかった(20週後、25g〜約28または29g)。
【0364】
STZ糖尿病および年齢一致正常マウスを2xmTN8-19-21/muFcおよびビヒクルで6週間処置
すると、ビヒクル処置糖尿病群に比較して、2x-21処置STZ糖尿病マウスにおいて、有意な
体重獲得増加が生じた。総体重は、ビヒクル投与マウスと比較して、2x-21を投与したSTZ
処置マウスに関しては、最大約1.5グラムさらに増加した。それぞれの第0日ベースライン
値に比較して、2xmTN8-19-21/muFcまたはビヒクルで処置した6週間後の体重純変化とし
て、体重変化量を示す。これを図8に示す。2x-21での6週間処置は、糖尿病動物において
、体重損失を有意に減弱した。
【0365】
2x-21で処置したSTZ糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける体組成変化
第0日ベースライン値に比較した2x-21またはビヒクルでの6週間処置後の除脂肪体重純
変化として、除脂肪体重を示す。これらの値を以下の表に示す。2x-21での処置は、ビヒ
クル処置対照マウス(0.94±1.94gおよび1.60±1.28g)に比較した際のSTZ糖尿病マウス
および年齢一致正常マウス両方(6.16±0.81gおよび8.56±0.75g)の除脂肪体重の純獲得
を有意に増加させた(p<0.05)。脂肪量の%変化は、各群におけるベースライン第0日値
に比較した、2x-21またはビヒクルでの6週間の処置後の純変化に相当する(以下の第二の
表を参照されたい)。STZ糖尿病マウスにおける脂肪量獲得%は、2x-21(-15.60±7.01)
およびビヒクル処置群(-21.59±6.84)の間で有意に異ならなかった。2x-21処置は、年
齢一致正常マウスにおいて、純脂肪量獲得を減少させた(-1.53±3.42対7.13±3.38)が
、統計的に有意な量には到達しなかった。
【0366】
【表13】

【0367】
【表14】

【0368】
2x-21で処置したSTZ糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける血中グルコース変

以下の表は、STZ糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける血中グルコース変化
に対する2xmTN8-19-21/muFcの影響を示す。血中グルコース・レベルは、STZ糖尿病マウ
スまたは年齢一致正常マウスのいずれにおいても、2x-21処置群およびビヒクル処置群の
間で有意には異ならなかった。
【0369】
【表15】

【0370】
腎臓重量/体重:
STZ糖尿病マウスの高血糖は、腎臓肥大と関連しているようである。STZ糖尿病マウスの
体重に対する腎臓重量比は、年齢一致正常マウスのものより高かった(0.98±0.04対0.67
±0.02)。6週間の2x-21処置は、腎臓重量/体重比を、ビヒクル処置糖尿病動物における
0.98±0.04から0.84±0.04の値まで有意に減少させた(p<0.05)。
【0371】
クレアチニン・クリアランス速度
糖尿病マウスに関しては、非糖尿病正常対照マウスに比較して、クレアチニン・クリア
ランス速度の増加傾向があった(図9)。糖尿病マウスの平均クレアチニン・クリアラン
ス速度は、年齢一致正常マウスより、2倍以上高かった。図9に示すように、2x-21での処
置は、ビヒクル処置糖尿病マウスに比較して、糖尿病マウスにおいて、クレアチニン・ク
リアランス速度を減少させ、腎機能を示した。
【0372】
24時間尿体積および尿アルブミン排出:
尿アルブミン排出および24時間尿体積は、糖尿病性腎症の初期段階中の腎傷害を決定す
る際に非常に重要なバイオマーカーである。結果は、尿アルブミン排出(図10A)および2
4時間尿体積の両方が、年齢一致正常マウスに比較した際、STZ糖尿病マウスで増加するこ
とを示した。2x-21処置は、糖尿病マウスにおいて、尿アルブミン・レベルを減少させ、
そしてまた、24時間尿体積も減少させた(図10B)。これは、腎機能の正常化を示した。
【0373】
ミオスタチン・ペプチボディ2xmTNF8-19-21/muFcの投与は、STZ誘導性糖尿病マウスに
おいて、体重損失を有意に減弱させ、そして骨格筋量および除脂肪体重を保持した。骨格
筋および除脂肪量の増加に加えて、2xmTN8-19-21/muFcは、STZ誘導性糖尿病マウスにお
いて、腎臓肥大、クレアチニン・クリアランス速度の増加を減弱させ、そして24時間尿体
積および尿アルブミン排出を減少させた。これは、糖尿病腎症の発症の初期段階における
、腎機能改善を示す。
【0374】
実施例16
5-フルオロウラシル化学療法誘導性悪液質のネズミ・モデルにおけるミオスタチン・ア
ンタゴニストの影響
化合物5-フルオロウラシル(5-Fu)は、一般的に、結腸直腸癌、乳癌、胃癌または膵臓
癌の患者において、療法剤として用いられる。5-Fu療法の副作用は、体重損失および筋萎
縮である。5-Fu誘導性悪液質の治療における抗ミオスタチン・アンタゴニスト療法の潜在
的な療法的利点を調べた。用いたペプチボディは、2xmTN8-19-21/muFc(2x-21とも称さ
れる)またはネズミFcに結合した2xmTN8-19-21であった。対照ビヒクルはネズミFc単独で
あった。
【0375】
この研究において、正常雄C57Bl/6マウスを4群に分け(n=24)、そして5-Fu(45〜50
mg/kg)またはビヒクル・リン酸緩衝溶液(PBS)の連続5日(第0日〜第4日)の腹腔内(
IP)投与に供した。2群を、5-Fu処置を始める(第0日)2週前(-第13日)または1週前(-
第6日)に始まって、毎週2回、10mg/kgの2x21で前処置し、そして5-Fu処置後、第24日の
研究終了時まで続けた。体重、除脂肪体重、および食物摂取を、5-Fu療法前および後に、
週2回またはより頻繁に監視した。最終研究のため、最後の投薬の0、2、24、96、168、33
6時間後に、血清を収集した。
【0376】
第0日、そして5-FU療法前、2x21で1週間または2週間、前処置した群の平均体重変化は
、5-Fu対照群の6.4%に比較して、それぞれ12.6%および13.9%であった(どちらもp<0.
0001)。これは、5-Fuのみの群の7.4%の増加に比較して、ペプチボディで1週間または2
週間、前処置した群における除脂肪体重の14.7%および16.2%の増加と匹敵した(p=0.0
01およびp<0.0001)。5-Fu投薬後の第6日、1週間または2週間の2x21前処置群の体重変化
は、5-Fuのみの群の-8.6%に比較して、-1.9%および-1.4%であり(どちらもp値<0.000
1であった);除脂肪体重は、5-Fuのみの群の-8.8%に比較して、-1.3%および-0.9%に
変化した(どちらもp値<0.0001)。回復中の第8日、1週間または2週間の2x21前処置群の
体重変化は、5-Fuのみの群の0.6%の増加に比較して、それぞれ、6.8%および8.5%に増
加した(p=0.0006およびp<0.0001)。同様に、除脂肪体重は、1週間または2週間で、4.
9%および6.0%に変化した。2x21前処置群を、5-Fuのみの群の-3.3%に比較した(それぞ
れ、p=0.001およびp<0.0001)。結果を図11に要約する。
【0377】
第8日〜第24日、ほぼすべてのマウスが重度の好中球減少症を示し、そして重度の副作
用のため、死亡したマウスもいた。5-Fu投与の前に2x21で1週間または2週間、前処置した
群の生存率は、5-Fuのみの群の13%の生存率に比較して、46%であった(それぞれ、p=0
.001およびp=0.009)。生存結果を図12に要約する。
【0378】
ANOVA反復測定法を用いて統計分析すると、5-Fuのみで処置した群に比較して、5-Fu処
置前に2x21ペプチボディで1週間または2週間、前処置した群は、-第13日〜第8日の研究経
過全体を通じて、有意により高い体重および除脂肪体重を有した(どちらも0.0001未満の
p値)。
【0379】
この研究からの結果は、1週間または2週間の10mg/kg、週2回の抗ミオスタチン・ペプ
チボディ、2x21での前処置は、C57Bl/マウスにおいて、5-Fuが誘導する体重損失および
筋萎縮を有意に改善するのに有効であることを示した。さらに、ペプチボディでの前処置
は、生存率および5-Fu化学療法に反応する期間を増加させた。したがって、本発明のミオ
スタチン結合剤などのミオスタチン・アンタゴニストを、化学療法剤または他の化学的剤
での治療の前にそしてこうした治療中に用いて、化学薬品悪液質を防止するかまたは改善
することも可能である。
【0380】
本発明は、本明細書に記載する特定の態様によって範囲を限定されず、こうした態様は
、本発明の個々の側面の単一の例示であると意図され、そして機能的に同等な方法および
構成要素が発明である。実際、本明細書に示し、そして記載するものに加えて、本発明の
多様な修飾が、前述の説明および付随する図から当業者には明らかであろう。こうした修
飾は、付随する請求項の範囲内に属すると意図される。
【0381】
本発明は、以下の態様であってもよい。
(1)性腺機能低下症の影響を治療する必要がある被験体において、こうした影響を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(2)性腺機能低下症がアンドロゲン枯渇療法の結果として生じる、(1)の方法。
(3)性腺機能低下症が、性腺機能の加齢に伴う減少から生じる、(1)の方法。
(4)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(1)の方法。
(5)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(1)の方法。
(6)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そしてL1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(1)の方法。
(7)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(1)の方法。
(8)関節リウマチによる悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(9)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(8)の方法。
(10)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(8)の方法。
(11)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そしてL1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(8)の方法。
(12)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(8)の方法。
(13)プラダー・ウィリー症候群の症状に悩まされている被験体において、その影響を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(14)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(13)の方法。
(15)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(13)の方法。
(16)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(13)の方法。
(17)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(13)の方法。
(18)火傷傷害による悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(19)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(18)の方法。
(20)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(18)の方法。
(21)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(18)の方法。
(22)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(18)の方法。
(23)糖尿病による悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(24)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(23)の方法。
(25)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(23)の方法。
(26)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(23)の方法。
(27)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(23)の方法。
(28)糖尿病性腎症を治療する必要がある被験体において、糖尿病性腎症を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(29)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(28)の方法。
(30)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(28)の方法。
(31)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(28)の方法。
(32)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(28)の方法。
(33)化学療法剤での治療による悪液質を治療する必要がある被験体において、こうした悪液質を治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(34)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(33)の方法。
(35)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(33)の方法。
(36)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(33)の方法。
(37)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(33)の方法。
(38)炎症状態を患う被験体において、過剰なTNF-αを治療する方法であって、薬学的に許容されうる担体と混合したミオスタチン・アンタゴニストの療法的有効量を該被験体に投与することを含む、前記方法。
(39)ミオスタチン・アンタゴニストが、フォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF-11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、(38)の方法。
(40)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、配列Cb1b2Wb3WMCPP(配列番号353)、[ここで
b1は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
b2は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
b3は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、(38)の方法。
(41)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(38)の方法。
(42)ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そしてその結合剤が、構造:
(X1a-F1-(X2b、またはそのマルチマー;
[ここでF1はビヒクルであり;そしてX1およびX2は、各々独立に
-(L1c-P1
-(L1c-P1-(L2d-P2
-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3
および-(L1c-P1-(L2d-P2-(L3e-P3-(L4f-P4
ここでP1、P2、P3、およびP4は、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜351および配列番号357〜454から選択され;
L1、L2、L3、およびL4は、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である
から選択される]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、(38)の方法。
【図面の簡単な説明】
【0382】
【図1】図1は、本明細書の実施例に記載するC2C12 pMAREルシフェラーゼアッセイを用いて、各々のIC50を決定するため、TN8-19ペプチドQGHCTRWPWMCPPY(配列番号32)およびTN8-19ペプチボディ(peptibody)(pb)の濃度(x軸)に対する発現されたルシフェラーゼ活性(y軸)によって測定した際のミオスタチン活性を示す。ペプチボディは、ペプチドと比較して、より低いIC50値を有する。
【図2】図2は、実施例8に記載するように、14日間に渡って、様々な投薬量の1xmTN8-19-21ペプチボディで処置したCD1 nu/nuマウスの総体重増加をhuFc対照で処置したマウスに比較して示すグラフである。
【図3】図3Aは、図2(実施例8)で処置したマウスの剖検時点での腓腹筋量の増加を示す。図3Bは、実施例8に記載する実験のNMRによって測定した第0日の除脂肪量と第13日のものを比較した際の増加を示す。
【図4】図4は、実施例8に記載する実験の第0日および第13日のNMRによって決定した際の、様々な投薬量の1xmTN8-19-32ペプチボディを週2回注射して処置したCD1 nu/nuマウスに関する除脂肪体重の増加を示す。
【図5】図5Aは、実施例8に記載するように、1xmTN8-19-7を週2回注射して35日間処置したCD1 nu/nuマウスの体重の増加を2xmTN8-19-7および対照動物と比較して示す。図5Bは、1×および2×の場合で1mg/kgおよび3mg/kg注射した動物の剖検時の除脂肪屍体体重の増加をビヒクル(huFc)を投与した動物(対照)と比較して示す。
【図6】図6Aは、1日おきに3ヶ月間、10mg/kgのアフィニティー成熟1xmTN8-19-33ペプチボディまたはhuFcビヒクルのいずれかで処置した老齢mdxマウスの体重に対する除脂肪筋量の増加を示す。図6Bは、同じマウスに関して、処置3ヵ月後にNMRによって測定されるような、体重と比較した脂肪量の変化を示す。
【図7】図7は、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcビヒクルで処置したコラーゲン誘導性関節炎(CIA)動物、ならびに正常な非CIA動物に関する、長期に渡る体重変化をグラムで示す。
【図8】図8は、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcまたはmuFcビヒクル対照で処置したストレプトゾトシン(STZ)誘導性糖尿病マウスにおける、長期に渡る相対的体重変化を示す。
【図9】図9は、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcまたはmuFcビヒクルでの処置後の、ストレプトゾトシン(STZ)誘導性糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける、クレアチン・クリアランス速度を示す。
【図10】図10Aは、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcまたはmuFcビヒクルでの処置後の、ストレプトゾトシン(STZ)誘導性糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける、尿アルブミン排出を示す。図10Bは、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcまたはmuFcビヒクルでの処置後の、ストレプトゾトシン(STZ)誘導性糖尿病マウスおよび年齢一致正常マウスにおける、24時間尿体積を示す。
【図11】図11は、C57Bl/6マウスの4群に関する、長期に渡る体重変化を示す;2群を、ペプチボディ2xmTN8-19-21/muFcで1週間、前処置し、次いで5-フルオロウラシル(5-Fu)またはビヒクル(PBS)で処置し;そして2群を、2xmTN8-19-21/muFcで2週間、前処置し、そして次いで5-フルオロウラシルまたはビヒクル(PBS)で処置した。図の底部に沿った三角形は、2xmTN8-19-21/muFcでの2週間の前処置の投与時期、2xmTN8-19-21/muFcの1週間の前処置の投与時期、および5-Fuの投与時期を示す。
【図12】図12は、上記図11に記載する動物の生存率パーセントを示し、処置しない正常マウス、5-Fuのみで処置した動物、2xmTN8-19-21/muFcで1週間、前処置し、そして次いで5-Fuで処置した動物、および2xmTN8-19-21/muFcで2週間、前処置し、そして次いで5-Fuで処置した動物を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
性腺機能低下症の影響を治療する必要がある被験体における、こうした影響の治療において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容されうる担体中にミオスタチン・アンタゴニストを含み、ここで該アンタゴニストはフォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF−11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、前記医薬組成物。
【請求項2】
性腺機能低下症がアンドロゲン枯渇療法の結果として生じる、請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
性腺機能低下症が、性腺機能の加齢に伴う減少から生じる、請求項1の医薬組成物。
【請求項4】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、配列WMCPP(配列番号353)、[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、請求項1の医薬組成物。
【請求項5】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、構造:
(X−F−(X、またはそのマルチマー;
[ここでFはビヒクルであり;そしてXおよびXは、各々独立に
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P
および−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択され、
ここでP、P、P、およびPは、各々ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして各々は配列WMCPP(配列番号353)、[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]を含み、
そしてここで、L、L、L、およびLは、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である;]
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、請求項1の医薬組成物。
【請求項6】
、P、P、およびPが、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜308、310〜313、315〜331、333および335〜346からなる群より選択される、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
aが0およびbが1、またはaが1およびbが0である、請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ビヒクルがFcドメインである、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
結合剤が、構造:F−L−P;F−L−P−L−P;P−L−F;P−L−P−L−F;を有し、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
結合剤が、構造F−(L)−PまたはF−L−P−L−Pを有し、ここでPおよびPは、配列番号311、325、326、336または337のいずれか1つから選択され、そしてここでLは(Gly)またはAQが続く(Gly)であり、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
糖尿病性腎症を治療する必要がある被験体における、糖尿病性腎症の治療において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容されうる担体中にミオスタチン・アンタゴニストを含み、ここで該アンタゴニストはフォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF−11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビンIIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、前記医薬組成物。
【請求項12】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、配列WMCPP(配列番号353)、[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、請求項11の医薬組成物。
【請求項13】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、構造:
(X−F−(X、またはそのマルチマー;
[ここでFはビヒクルであり;そしてXおよびXは、各々独立に
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P
および−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択され、
ここでP、P、P、およびPは、各々ミオスタチンに結合可能なペプチドであり;そして各々は配列WMCPP(配列番号353)[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]を含み、
そしてここで、L、L、L、およびLは、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である]、
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、請求項11の医薬組成物。
【請求項14】
、P、P、およびPは、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜308、310〜313、315〜331、333および335〜346からなる群より選択される、請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
aが0およびbが1、またはaが1およびbが0である、請求項13または14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ビヒクルがFcドメインである、請求項13ないし15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
結合剤が、構造:F−L−P;F−L−P−L−P;P−L−F;P−L−P−L−F;を有し、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
結合剤が、構造:F−(L)−PまたはF−L−P−L−Pを有し、ここでPおよびPは、配列番号311、325、326、336または337のいずれか1つから選択され、そしてここでLは(Gly)またはAQが続く(Gly)であり、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
過剰なTNF−αを治療する必要がある被験体における、過剰なTNF−αの治療において使用するための医薬組成物であって、薬学的に許容されうる担体中にミオスタチン・アンタゴニストを含み、ここで該アンタゴニストはフォリスタチン、ミオスタチン・プロドメイン、GDF−11プロドメイン、プロドメイン融合タンパク質、ミオスタチンに結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、アクチビンIIB型受容体に結合するアンタゴニスト性抗体または抗体断片、可溶性アクチビンIIB型受容体、可溶性アクチビン
IIB型受容体融合タンパク質、可溶性ミオスタチン類似体、オリゴヌクレオチド、小分子、ペプチド模倣体、およびミオスタチン結合剤からなる群より選択される、前記医薬組成物。
【請求項20】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、配列WMCPP(配列番号353)、[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]
を含み、そして長さが10〜50アミノ酸の間である、ミオスタチンに結合可能な少なくとも1つのペプチドおよびその生理学的に許容されうる塩を含む、請求項19の医薬組成物。
【請求項21】
ミオスタチン・アンタゴニストがミオスタチン結合剤であり、そして該結合剤が、構造:
(X−F−(X、またはそのマルチマー;
[ここでFはビヒクルであり;そしてXおよびXは、各々独立に
−(L−P
−(L−P−(L−P
−(L−P−(L−P−(L−P
および−(L−P−(L−P−(L−P−(L−P
から選択され、
ここでP、P、P、およびPは、各々ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして各々は配列WMCPP(配列番号353)、[ここで
は、アミノ酸T、I、またはRのいずれか1つから選択され;
は、R、S、Qのいずれか1つから選択され;
は、P、RおよびQのいずれか1つから選択される]を含み、
そしてここで、L、L、L、およびLは、各々リンカーであり;
そしてa、b、c、d、eおよびfは、各々独立に0または1である、但しaおよびbの少なくとも1つは1である;]
およびその生理学的に許容されうる塩を有する、請求項19の医薬組成物。
【請求項22】
、P、P、およびPが、ミオスタチンに結合可能なペプチドであり、そして独立に、配列番号305〜308、310〜313、315〜331、333および335〜346からなる群より選択される、
請求項20または21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
aが0およびbが1、またはaが1およびbが0である、請求項21または22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
ビヒクルがFcドメインである、請求項21ないし23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
結合剤が、構造:F−L−P;F−L−P−L−P;P−L−F;P−L−P−L−F;を有し、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
結合剤が、構造F−(L)−PまたはF−L−P−L−Pを有し、ここでPおよびPは、配列番号311、325、326、336または337のいずれ
か1つから選択され、そしてここでLは(Gly)またはAQが続く(Gly)であり、そしてここで、FはヒトIgG Fcドメインである、請求項25に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−28620(P2013−28620A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−200485(P2012−200485)
【出願日】平成24年9月12日(2012.9.12)
【分割の表示】特願2008−544468(P2008−544468)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】