説明

ミキサの排出ゲート

【課題】 装置構成がシンプルで低廉ながらも、排出ゲートでの付着物を抑制できてゲート蓋閉鎖時の噛み込みを低減可能なミキサの排出ゲートを提供する。
【解決手段】 ゲート蓋8の基端縁部と一体に固着したゲート軸10をその上面部を混合槽2内に臨ませるように排出口7の側縁部に沿って回動自在に軸支すると共に、前記ゲート軸10の外周部は混合処理時の磨耗からゲート軸10を保護可能なように略円弧形状の耐磨耗性の軸ライナー11にて被覆する。一方、排出口7の側縁部には前記軸ライナー外周面11aに当接させてシールするシールライナー14を固着し、ゲート蓋8の閉動作に伴い回動するゲート軸10の軸ライナー外周面11aを前記シールライナー14で掻き取らせて軸ライナー外周面11aの付着物を除去し、ゲート蓋8閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種材料を投入して混合調整するミキサの排出ゲートに関し、特にシール性能に優れたミキサの排出ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
各種材料を混合調整するのに、一般的にミキサが使用されている。例えば、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するような場合では、加熱乾燥処理した骨材や、石粉、溶融アスファルト等の各種材料を所定量ずつ二軸式ミキサ等の混合槽に投入し、所定時間混合・攪拌処理して所望のアスファルト混合物を製造している。そして、こうして製造したアスファルト混合物は、混合槽の底部に設けた排出ゲートより随時排出し、次バッチ以降の製造に備えるようにしている。
【0003】
前記排出ゲートは、混合槽の底部に開口した混合物排出用の排出口と、該排出口を開放・閉鎖可能なゲート蓋とから構成され、材料混合時には前記ゲート蓋をエアシリンダ等にて閉動作して排出口を閉鎖した状態で混合処理する一方、混合処理を終えた混合物を排出するときにはゲート蓋を開動作して排出口を開放状態として混合物を排出する。
【0004】
前記排出ゲートとしては様々なタイプのものを採用することができ、例えば、特許文献1(実開昭56−31839号公報)に示されるように、混合槽底部の排出口に臨ませるように断面略半月状のゲート蓋を回動自在に軸支して、該ゲート蓋の回動動作に応じて排出口を開閉させるように構成した回転式の排出ゲートや、特許文献2(実公平3−57446号公報)や特許文献3(実公昭57−42661号公報)に示されるように、混合槽底部の排出口と略一致する板状のゲート蓋を備える一方、混合槽の外部に軸支したゲート軸にゲートアームを介して前記ゲート蓋を取り付け、エアシリンダ等にて前記ゲート軸を回動させることでゲート軸を中心にゲート蓋を回動させて排出口を開閉させるように構成した排出ゲートなどがある。
【0005】
なお、特許文献2や特許文献3に示されるタイプの排出ゲートは、特許文献1に示される回転式の排出ゲート等よりも構造的に排出口の開口面積を広く取りやすく、そのため混合物を比較的短時間で排出でき、例えば、アスファルト混合物等を製造する場合のように、混合物の出荷スピードが要求されるような場合には好適に対応することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭56−31839号公報
【特許文献2】実公平3−57446号公報
【特許文献3】実公昭57−42661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ミキサの混合槽底部に配設される排出ゲートにあっては、上記のような混合物の排出性能等と併せて、混合処理時における材料の漏洩を防ぐため排出口とゲート蓋との高いシール性(密閉性)も要求されるが、例えば、特許文献2に示される構造の排出ゲートでは、混合物の排出に伴って排出口やゲート蓋の周縁部に混合物が少なからず付着・残留するため、ゲート蓋の閉鎖時にこの付着物の噛み込みを生じることも考えられ、その場合には十分なシール性が保てずに材料の漏洩を来すおそれも懸念される。
【0008】
一方、特許文献3に示される構造の排出ゲートでは、ゲート蓋の一端縁部が排出口の一端縁部と常に摺動しながら開閉動作する構造であるため、少なくともこれらゲート蓋や排出口の一端縁部への付着物を抑制でき、ゲート蓋閉鎖時における噛み込みを低減できると期待されるものの、リンク機構を採用しているなどゲート構造が比較的複雑であるため、メンテナンス面やコスト面において不利と考えられる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑み、装置構成がシンプルで低廉ながらも、排出ゲートでの付着物を抑制できてゲート蓋閉鎖時の噛み込みを低減可能なミキサの排出ゲートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のミキサの排出ゲートでは、ミキサの混合槽の底部に混合物排出用の排出口を開口し、該排出口に回動自在に備えたゲート蓋にて排出口を開閉するように構成したミキサの排出ゲートであって、前記ゲート蓋の基端縁部と一体に固着したゲート軸をその上面部を混合槽内に臨ませるように排出口の側縁部に沿って回動自在に軸支し、該ゲート軸の外周部は混合処理時の磨耗からゲート軸を保護する略円弧形状の軸ライナーにて被覆する一方、排出口の側縁部には前記軸ライナーの外周面に当接させてシールするシールライナーを固着し、ゲート蓋の閉動作に伴い回動するゲート軸の軸ライナー外周面を前記シールライナーで掻き取らせて軸ライナー外周面の付着物を除去し、ゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成したことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2記載のミキサの排出ゲートでは、前記シールライナーの固着位置を軸ライナーに対して進退調整自在としたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項3記載のミキサの排出ゲートでは、前記シールライナーの軸ライナーとの当接部分を軸ライナーの外周面に対して面接触可能なように略円弧形状に形成したことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4記載のミキサの排出ゲートでは、前記シールライナーを略平板状に形成して排出口の側縁部と軸ライナーの外周面とで挟持させるように配設し、シールライナーの平面部を軸ライナー外周面に当接させてシールするように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1記載のミキサの排出ゲートによれば、ゲート蓋の基端縁部と一体に固着したゲート軸をその上面部を混合槽内に臨ませるように排出口の側縁部に沿って回動自在に軸支し、該ゲート軸の外周部は混合処理時の磨耗からゲート軸を保護する略円弧形状の軸ライナーにて被覆する一方、排出口の側縁部には前記軸ライナーの外周面に当接させてシールするシールライナーを固着し、ゲート蓋の閉動作に伴い回動するゲート軸の軸ライナー外周面を前記シールライナーで掻き取らせて軸ライナー外周面の付着物を除去し、ゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成したので、装置構成がシンプルで低廉ながらも、ゲート蓋の閉鎖を確実なものとすることができ、ゲートのシール性を安定して良好に維持できる。
【0015】
また、請求項2記載のミキサの排出ゲートによれば、前記シールライナーの固着位置を軸ライナーに対して進退調整自在としたので、軸ライナーやシールライナーに磨耗が生じてシール性が低下した場合でも、シールライナーの固着位置を進退調整させればシール性を容易に良好な状態に回復できる。
【0016】
また、請求項3記載のミキサの排出ゲートによれば、前記シールライナーの軸ライナーとの当接部分を軸ライナーの外周面に対して面接触可能なように略円弧形状に形成したので、シールライナーの接触面積を広く取れてシール性を高めることができると共に、磨耗の進行をシールライナーや軸ライナーの円周面全体で略均等に分散させることができるためライナー寿命を延ばせてメンテナンス面で有利である。
【0017】
また、請求項4記載のミキサの排出ゲートによれば、前記シールライナーを略平板状に形成して排出口の側縁部と軸ライナーの外周面とで挟持させるように配設し、シールライナーの平面部を軸ライナー外周面に当接させてシールするように構成したので、装置構成がシンプルでより低廉に抑えることができると共に、軸ライナーやシールライナーに磨耗が生じてシール性が低下した場合でも、シールライナーを進退調整させればシール性を容易に良好な状態に回復できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るミキサの排出ゲートの一実施例を示す、断面正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】別の実施例の図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るミキサの排出ゲートにあっては、各種材料を混合調整するミキサの混合槽の底部に混合物排出用の排出口を開口し、該排出口に回動自在に備えたゲート蓋にて排出口を開閉するようにして排出ゲートを構成している。また、前記ゲート蓋の基端縁部と一体に固着したゲート軸をその上面部を混合槽内に臨ませるように、排出口一端の側縁部に沿って回動自在に軸支していると共に、混合槽内に晒される前記ゲート軸の外周部は混合処理時の磨耗からゲート軸を保護するために、略円弧形状の耐磨耗性の軸ライナーにて被覆している。
【0020】
また、前記軸ライナー近傍の排出口側縁部には軸ライナー外周面に当接させてシールするシールライナーを固着しており、ゲート蓋の閉動作に伴い回動するゲート軸の軸ライナー外周面を前記シールライナーでその都度掻き取らせるようにして、混合物の排出時に付着・残留した軸ライナー外周面の付着物を除去し、ゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成している。
【0021】
また、排出口の側縁部に固着するシールライナーの固着位置は、軸ライナーに対して前後に進退調整自在として、初期設置時や各ライナーの磨耗時等にも容易に対応可能なようにしていると共に、シールライナーの軸ライナーとの当接部分を軸ライナーの略円弧形状の外周面に対して面接触可能なように、軸ライナーの外径と近似した略円弧形状に形成している。
【0022】
そして、上記構成の排出ゲートを備えたミキサにて、例えばアスファルト混合物を製造する場合には、先ず、エアシリンダ等にてゲート蓋を閉動作して排出口を閉鎖した上で、別途設置されたドライヤ等にて加熱乾燥処理した各種粒径の骨材や、石粉、溶融アスファルト等の各種材料を所定量ずつ前記ミキサの混合槽に投入し、所定時間混合・攪拌処理して所望のアスファルト混合物を製造する。そして、エアシリンダ等にてゲート蓋を開動作して排出口を開放状態とし、製造したアスファルト混合物を排出・出荷した後、再度ゲート蓋を閉動作して排出口を閉鎖し、次バッチ以降のアスファルト混合物の製造に備える。
【0023】
このとき、アスファルト混合物の排出に伴い、排出ゲートの排出口やゲート蓋周縁部へは混合物が少なからず付着するが、ゲート蓋基端縁部のゲート軸を被覆する軸ライナーへの付着物については、軸ライナー外周面と当接させるように配したシールライナーによりゲート蓋の閉動作の度に掻き取れ、それによってゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防げてゲート閉鎖を確実なものとすることができ、装置構成がシンプルで低廉ながらも、排出ゲートのシール性を安定して良好に維持できる。
【0024】
また、軸ライナーやシールライナーが当接する部分において磨耗で隙間が生じてシール性が低下した場合でも、軸ライナーに対するシールライナーの固着位置を前後に適宜進退調整させればシール性を容易に元の良好な状態に回復できる。また、シールライナーと軸ライナーとを常時面接触可能なようにお互いの当接部分を近似した略円弧形状に形成したことにより、シールライナーの接触面積を広く取れてシール性を向上させることができると共に、例え磨耗が発生しても偏磨耗させることなくシールライナーや軸ライナーの円周面全体に亘って略均等に分散させることができるため、シールライナーや軸ライナーの寿命を延ばせてメンテナンス面で有利である。
【0025】
なお、上記装置構成に代えて、例えば、前記シールライナーを略平板状に形成して排出口の側縁部と軸ライナーの外周面とで挟持させるように配設し、シールライナーの平面部を軸ライナー外周面に当接させてシールするように構成することもでき、このようなシンプルな構成とすれば装置コストをより低廉に抑えられ、磨耗発生時にもシールライナーを適宜進退調整させることでシール性を容易に元の良好な状態に回復することができる。
【0026】
このように、本発明に係るミキサの排出ゲートによれば、ゲート蓋のゲート軸をその上面部を混合槽内に臨ませるように排出口の側縁部に沿って回動自在に軸支し、該ゲート軸の外周部を磨耗保護用の軸ライナーで被覆すると共に、排出口の側縁部には前記軸ライナーの外周面に押し当てるように当接させてシールするシールライナーを固着し、ゲート蓋の閉動作に伴い回動するゲート軸の軸ライナー外周面を前記シールライナーでその都度掻き取らせて軸ライナー外周面の付着物を取り除き、ゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成したので、装置構成がシンプルでメンテナンス面やコスト面で有利としながらも、ゲート蓋の閉鎖を確実なものとすることができてゲートのシール性を安定して良好に保て、付着の生じやすいミキサの混合槽の排出ゲートにも好適に採用できる。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の一実施例を図1〜図2に基づいて説明する。
【0028】
図中の1は、例えば、アスファルト混合物を混合調整するのに採用される二軸式のミキサであって、二双の胴より成る混合槽2内に二本の平行な混合軸3を貫通し、混合槽2に固定した軸受(図示せず)にてそれぞれ回転自在に軸支している。前記混合軸3には半径方向に多数のアーム4を放射状に配設し、該アーム4の先端部にはそれぞれ適宜角度を有した混合羽根5を取り付けており、各混合軸3は駆動用モータ(図示せず)にて図1中の矢印にて示すように、相反方向へ回転するようにしている。また、混合槽2の内壁面には耐摩耗性のライナー6を敷き詰めるように貼着しており、アスファルト混合物を混合処理する際の磨耗等から混合槽2内壁を保護している。
【0029】
なお、本実施例ではミキサとして二軸式ミキサをあげて説明するが、何らこれに限定されるものではなく、例えば、一つの胴部より成る混合槽内に一本の混合軸を貫通させた一軸式ミキサ等に対しても同様に採用することができる。
【0030】
前記混合槽2の各胴の底部にはそれぞれ混合軸3と平行にアスファルト混合物排出用の排出口7を開口していると共に、該排出口7の側縁部に排出口開閉用のゲート蓋8を回動自在に備え、該ゲート蓋8の近傍に備えたエアシリンダ(図示せず)のピストンロッドの伸縮駆動に応じて、図中の矢印にて示すように、ゲート蓋8を回動させて排出口7を開閉するように排出ゲート9を構成している。
【0031】
また、前記ゲート蓋8の基端縁部と一体に固着したゲート軸10の上面部を混合槽2内に臨ませ、ゲート軸10外径部が混合槽2の底部内壁面と略面一となるように、排出口7一端の(図中の混合槽2の外側位置の)側縁部に沿って回動自在に軸支していると共に、ゲート軸10の外周部のうち少なくとも混合槽2内に晒される上面部は、混合処理時の磨耗から保護可能なように略円弧形状の耐摩耗性の軸ライナー11にて被覆している。
【0032】
なお、ゲート蓋8基端縁部のゲート軸10を、上記のように、その上面部を混合槽2内に臨ませるようにして排出口7側縁部に沿って回動自在に軸支するように構成したことにより、特許文献2に示される構成の排出ゲート等と比較して、ゲート蓋8開閉時に要する高さスペース(ゲート蓋8の回動半径)を若干抑えることができ、例えば、高さスペース等に制約がある既設のアスファルトプラントに採用する場合でも好適に採用することが可能となる。
【0033】
また、ゲート蓋8の内壁面にも混合槽2と同様に耐摩耗性のゲートライナー12を貼着していると共に、各ゲート蓋8間に位置する混合槽2底部中央には、左右混合軸3の各混合羽根5の回転軌跡に沿うように略山形状に形成した耐摩耗性のライナー13を固着して壁面を磨耗から保護している。
【0034】
各ゲート軸10の軸ライナー11近傍の排出口7側縁部には、軸ライナー11の外周面11aに押し当てるように当接させてシールするシールライナー14を固定ボルト15にて固着しており、該シールライナー14の軸ライナー11との接触面である内周面14aは、図2に示すように、軸ライナー11の略円弧形状の外周面11aに対して面接触可能なように軸ライナー11の外径と近似した略円弧形状に形成している。また、前記シールライナー14には固定ボルト15挿通用に所定長さのスリット16を穿設しており、初期調整時や、或いは軸ライナー11やシールライナー14の磨耗時等には、図2中の矢印にて示すように、軸ライナー11に対するシールライナー14の固着位置を適宜進退調整して容易に対応可能なようにしている。
【0035】
一方、ゲート蓋8の遊端部には、ゲート蓋8閉鎖時に排出口7他端の(図中の混合槽2の内側位置の)側縁部の山形状ライナー13に押し当てるように当接させてシールするシールライナー17を固定ボルト18にて固着していると共に、該シールライナー17にも前記同様に固定ボルト18挿通用に所定長さのスリット19を穿設しており、初期調整時や、或いは山形状ライナー13やシールライナー17の磨耗時等には、図2中の矢印にて示すように、シールライナー17の固着位置を適宜進退調整して容易に対応可能なようにしている。
【0036】
そして、上記構成の排出ゲート9を備えたミキサ1にてアスファルト混合物を製造するときには、先ず、エアシリンダを駆動してゲート蓋8を閉動作して排出口7を閉鎖した後、別途設置されるドライヤ等にて加熱乾燥処理した各種粒径の骨材や、石粉、溶融アスファルト等の各種材料を所定量ずつ前記ミキサ1の混合槽2に投入し、所定時間混合・攪拌処理して所望のアスファルト混合物を製造する。そして、エアシリンダにてゲート蓋8を開動作して排出口7を開放状態とし、製造したアスファルト混合物を排出・出荷した後、再度ゲート蓋8を閉動作して排出口7を閉鎖し、次バッチ以降のアスファルト混合物の製造に備える。
【0037】
このとき、アスファルト混合物の排出に伴い、排出ゲート9の排出口7やゲート蓋8周縁部へ混合物が少なからず付着するが、ゲート蓋8基端縁部のゲート軸10を被覆する軸ライナー11への付着物については、軸ライナー11の外周面11aと面接触させるように配したシールライナー14により、図2に示すように、ゲート蓋8の閉動作の度に掻き取ることができ、それによってゲート蓋8閉鎖時における噛み込みを防げてゲート閉鎖を確実なものとすることができ、排出ゲート9のシール性を安定して良好に維持できる。また、軸ライナー11やシールライナー14が当接する部分において磨耗を来たし、各ライナー間に隙間を生じてシール性が低下した場合でも、固定ボルト15を締緩操作してシールライナー14をスリット16に沿って軸ライナー11側に適宜移動調整することにより、シール性を容易に元の良好な状態に回復させることができる。
【0038】
また、シールライナー14の内周面14aと軸ライナー11の外周面11aとをそれぞれほぼ同径の略円弧形状に形成しているので、シールライナー14の接触面積を広く取れてシール性を向上させることができると共に、磨耗発生時にも偏磨耗を防げ、シールライナー14の内周面14aと軸ライナー11の外周面11aの全体に亘って略均等に分散させることができるため、シールライナー14や軸ライナー11の寿命を延ばせてメンテナンス面で有利である。
【0039】
このように、本発明に係るミキサ1の排出ゲート9によれば、ゲート蓋8のゲート軸10をその上面部を混合槽2内に臨ませるように排出口7の側縁部に沿って回動自在に軸支し、該ゲート軸10の外周部を磨耗防止用の軸ライナー11で被覆すると共に、排出口7の側縁部には前記軸ライナー11の外周面11aに押し当てるように当接させてシールするシールライナー14を固着し、ゲート蓋8の閉動作に伴い回動するゲート軸10の軸ライナー外周面11aを前記シールライナー14でその都度掻き取らせて軸ライナー11の外周面11aの付着物を除去し、ゲート蓋8閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成したので、装置構成が比較的シンプルでメンテナンス面やコスト面で有利としながらも、ゲート蓋8の閉鎖を確実なものとすることができて排出ゲート9のシール性を安定して良好に保て、例えば付着の生じやすいアスファルトミキサやコンクリートミキサ等の混合槽の排出ゲートにも好適に採用することができる。
【実施例2】
【0040】
また、図3は本発明の第二の実施例のミキサの排出ゲートを示すものであり、図3中に示される第一の実施例と同じ構成部分については同一の番号を付して説明は省略する。
【0041】
本実施例のミキサ1の排出ゲート9´にあっては、混合槽2底部の排出口7側縁部にシールライナー支持用の支持材20を、排出口7に向けて若干傾斜させた状態で固着している一方、略平板状に形成したシールライナー14´を前記支持材20の傾斜面に沿わせるように配して固定ボルト15´にて固着しており、前記シールライナー14´の先端部は排出口7側縁部と軸ライナー11の外周面11aとで挟持させ、かつ先端が混合槽2内壁を被覆するライナー6と略面一となるように混合槽2内に臨ませている。また、前記シールライナー14´には固定ボルト15´挿通用に所定長さのスリット16´を穿設しており、初期調整時や、或いは軸ライナー11やシールライナー14´の磨耗時等には、図3中の矢印にて示すように、シールライナー14´の固着位置を適宜進退調整して容易に対応可能なようにしている。
【0042】
上記構成の排出ゲート9´にあっては、構造がよりシンプルで装置コストを低廉に抑えることができると共に、磨耗発生時においてもその磨耗の程度に応じてシールライナー14´を適宜進退調整するだけで容易にシール性を良好な状態に回復することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ミキサ 2…混合槽
6…ライナー(混合槽内壁用) 7…排出口
8…ゲート蓋 9、9´…排出ゲート
10…ゲート軸 11…軸ライナー
11a…軸ライナー外周面 12…ライナー(ゲート蓋用)
14、14´…シールライナー 14a…シールライナー内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサの混合槽の底部に混合物排出用の排出口を開口し、該排出口に回動自在に備えたゲート蓋にて排出口を開閉するように構成したミキサの排出ゲートであって、前記ゲート蓋の基端縁部と一体に固着したゲート軸をその上面部を混合槽内に臨ませるように排出口の側縁部に沿って回動自在に軸支し、該ゲート軸の外周部は混合処理時の磨耗からゲート軸を保護する略円弧形状の軸ライナーにて被覆する一方、排出口の側縁部には前記軸ライナーの外周面に当接させてシールするシールライナーを固着し、ゲート蓋の閉動作に伴い回動するゲート軸の軸ライナー外周面を前記シールライナーで掻き取らせて軸ライナー外周面の付着物を除去し、ゲート蓋閉鎖時の噛み込みを防ぐように構成したことを特徴とするミキサの排出ゲート。
【請求項2】
前記シールライナーの固着位置を軸ライナーに対して進退調整自在としたことを特徴とする請求項1記載のミキサの排出ゲート。
【請求項3】
前記シールライナーの軸ライナーとの当接部分を軸ライナーの外周面に対して面接触可能なように略円弧形状に形成したことを特徴とする請求項1または2記載のミキサの排出ゲート。
【請求項4】
前記シールライナーを略平板状に形成して排出口の側縁部と軸ライナーの外周面とで挟持させるように配設し、シールライナーの平面部を軸ライナー外周面に当接させてシールするように構成したことを特徴とする請求項1または2記載のミキサの排出ゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−18132(P2013−18132A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151117(P2011−151117)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】