説明

ミキサー装置

【課題】余分な機器類を必要とすることなく、簡易な構成で流体混合できるミキサー装置を提供する。
【解決手段】ミキサー・エレメント3が一対のジェット孔7,7を備え、前記一対のジェット孔から噴射される第1の流体S同士を衝突空間9内で流出方向に180度以下のなす角度を持って衝突させて流体出口11から排出すると共に、前記衝突空間9の背後に第2の流体Kを吸引する吸引孔13を備え、前記一対のジェット孔7,7から噴射される第1の流体S同士の衝突により前記衝突空間9の背後に生じる負圧により前記吸引孔13から第2の流体Kを吸引し、当該衝突空間9内で第1および第2の流体S,Kを衝突させて混合する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己吸入作用を持つ静止混合器としてのミキサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の「静止混合器」が提案され、例えば(1)エジェクターで液体中に気体を吸引させ、渦巻きポンプ等の遠心式ポンプで攪拌混合させる装置、(2)ポンプ出口部に連接させた静止型ミキサーで攪拌混合させる装置(特許文献1)、(3)ミキサーの内部に回転する攪拌器を装備させて、機械的に攪拌混合させる装置(特許文献2)などが提案されている。(2)静止型ミキサーでの攪拌混合方法に着目すると、従来の静止型ミキサーは、その流れ方向で、複数枚の金網を構成して絞り効果で分散を図ったり(特許文献3)、捩れ板を挿入して攪拌混合を図ったり、あるいは、複数個の並列ジェットで相互の流速差で剪断応力を働かせたり(上述の特許文献1)して流体の混合を図り、これらをポンプ出口部に連接させて、気液混合流体の均質化やマイクロバブル化を図っている。
【0003】
本出願人も、既に「気液混合装置(PCT/JP2010/002252)」を提案している。当該技術は、一対の対抗ジェットにより流体を直角に衝突させて、この衝突のエネルギーにより当該流体を粉砕・分散・拡散させて混合作用を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4002439号公報
【特許文献2】特開2009−39600号公報
【特許文献3】特開2008−289990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、例えば、「静止混合器」に対し混合流体を予め上流側で混合して供給するか、あるいは対抗するジェットにポンプ等を用いて流体を供給し当該流体を衝突させて混合供給するか、いずれかの方式以外になく、これらの技術では、混合流体を予め混合させる機器や、流体供給用のポンプ等が必要となっていた。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、余分な機器類を必要とすることなく、簡易な構成で流体混合できるミキサー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ミキサー・エレメントが一対のジェット孔を備え、前記一対のジェット孔から噴射される第1の流体同士を衝突空間内で流出方向に180度以下のなす角度を持って衝突させて流体出口から排出すると共に、前記衝突空間の背後に第2の流体を吸引する吸引孔を備え、前記一対のジェット孔から噴射される第1の流体同士の衝突により前記衝突空間の背後に生じる負圧により前記吸引孔から第2の流体を吸引し、当該衝突空間内で第1および第2の流体を衝突させて混合する構成としたことを特徴とする。
【0007】
流体の噴流による発生負圧を利用し、他の流体を吸引して混合させた後に、下流に供給する機器としては、所謂、ベンチュリ効果を利用した機器が知られている。
それらの中で、(1)空気供給により、例えば水を吸引して霧化を図る「霧吹き」や、同じく空気供給により洗浄油(灯油)を吸引して自動車部品を洗浄する機器、あるいは、(2)養殖池等での空気供給のために、循環ポンプにより水を供給し、そのベンチュリ効果により、空気吸引して気液混在流体を供給する機器(前出の、エジェクター方式)などが存在している。
これらの機器は、その何れもが大気圧近傍で同圧「吸引流体も供給流体も同じ圧力下」において行われている。このため、例えば供給流体が「液体(水)」で、吸引流体が「気体(空気)」の場合は、その混合領域は、大気圧近傍のため、基本的には、液中(水槽)に多孔質セラミックスを介して空気供給する条件と類似であり、液中の空気溶存度は、単に液体温度により一義的に決定されてしまう。
【0008】
一方、本出願人が既申請の「気液混合装置(PCT/JP2010/002252)」では、混合領域は、対抗するジェットからの衝突空間のため、大凡、ジェット入口圧力の2倍の圧力空間となる。このため、この衝突領域に、吸引流体を導けば、「供給流体と吸引流体」とを、高い圧力下で作用させる事が可能となる。
しかしながら、既申請の装置では、出口部と軸状に、吸引流体流出孔を設けているため、吸引作用が行われない。
【0009】
本発明では、一対のジェット孔から噴射される第1の流体同士を衝突空間内で流出方向にθJ=180度以下のなす角度を持って衝突させる構成としたため、前記衝突空間の背後に生じる負圧により前記吸引孔から第2の流体を吸引でき、Vの噴出速度を与える、対抗ジェットの両者の向きを、同じθJ/2の角度で流体の出口側に傾けることにより、「V・sinθJ/2」の速度エネルギーから生じる負圧「=ρ・(V・sinθJ/2)2/2」により、流体の吸引機能を発揮させることができる。この負圧は、「θJ/2」を鋭角にするに連れて、衝突エネルギーが小さくなる代わりに、生成負圧を大きくできる。
したがって、対抗ジェットから噴出する流体の速度エネルギーを利用して、異種の第1の流体及び第2の流体を自己吸引させて、当該異種流体を対抗ジェット流体の高圧下で混在させることができる。
また、被吸引流体のエネルギーで他の流体を吸引し、その流体を衝突領域の高圧下で作用させることで、流体相互の反応性を高めることができる。例えば吸引流体を「オゾン」とすると、対抗ジェットから噴出される流体の高圧下「=衝突空間」にオゾンを供給し、その反応性を高めることができる。
【0010】
この場合において、前記ミキサー・エレメントが一対のジェット孔を1乃至複数組備えていてもよい。
前記流体出口が角度θfを持った末広がりの円錐状を成し、第1および第2の流体を対向ジェットの衝突部分で高圧混合させた後に、前記円錐状の流体出口で拡散混合させる構成としてもよい。
前記吸引孔に流量調整弁やポンプを連接させ、当該吸引孔から吸引される流体流量を管理可能としてもよい。
前記一対のジェット孔から液体を供給し、前記吸引孔より気体を吸引させてもよい。
前記一対のジェット孔から水道水を供給し、前記吸引孔より環境下の空気を吸引させて、水の霧化を図り散水してもよい。
前記一対のジェット孔に消火ホース先端部を連通し、当該一対のジェット孔に高圧水を供給し、前記吸引孔より二酸化炭素を吸引させて、高濃度・二酸化炭素水を生成させて放水するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、対抗ジェットから噴出する流体の速度エネルギーを利用して、異種の第1の流体及び第2の流体を自己吸引させて、当該異種流体を対抗ジェット流体の高圧下で混在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態を示すシステム図である。
【図2】Aはミキサー・エレメントを示す端面図、Bは断面図である。
【図3】ミキサー・エレメントの要部の拡大図である。
【図4】別実施の形態を示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、例えば学校の運動場や都会の炎暑の地域空間などに水を噴霧する噴霧システムを示している。この実施の形態では、水道水(〜0.2MPa〜)の噴流による発生負圧を利用し、運動場または上記の地域空間の空気を吸引して混合させた後に、当該運動場または上記の地域空間に噴霧し、外部エネルギーがゼロで、水の気化潜熱により、環境温度を低下させて涼しい環境を作ることが可能である。類似の考えで、圧縮空気を噴射して、霧吹きの方法で、水を霧化させて冷却を図る方法があるが、本実施の形態では、圧縮空気などを利用せずに、上述したように、水道の水圧を利用するため、外部エネルギーがゼロの上、流体供給管が、水供給管のみで、構成が簡単な特徴を有する。
【0014】
図1において、1は支持バーを示している。この支持バー1には、複数個のミキサー・エレメント3,3,3…が取り付けられている。ミキサー・エレメント3,3,3…には水道水Sの供給ホース5が接続され、ミキサー・エレメント3の内部では、水道水S(第1の流体)の噴流による発生負圧を利用して、運動場または上記地域空間の空気K(第2の流体)を吸引して混合させた後に、霧化した混合流体Rを噴霧する。
ミキサー・エレメント3,3,3…は、図2A及び図2Bに示すように、樹脂製のハウジング31を有して構成されている。樹脂製のハウジング31内には、O−リング32を介して、樹脂性の本体33が圧入されている。なお、樹脂製ハウジングは、SUS等の金属製であってもよい。
【0015】
この本体33には、流出方向に180度以下のなす角度「θJ」を持って、一対の対向ジェット孔(=内径φd1の一対のジェット孔)7,7が設けられている。図示の例では、φd1の細孔のジェット7が旋盤加工されているが、加工法はこれに囚われず、SUS等の金属製の薄板にフォト・エッチング等の技術で製造されたものであってもよい。あるいは、SUS細管を挿入して構成されてもよい。
対向ジェット孔7,7の合流部には、内径φdcの円柱状の衝突空間9が設けられ、この衝突空間9に連続して出口に向かって角度θfで開放される円錐状空間(流体出口11)が形成され、最下流の位置にリング部12が形成されている。当該円錐部の頂点に近い場所に、内径φdcの上記衝突空間9が設けられている。衝突空間9の内径φdcの大きさは、「(φdc)2≧n(φd1)2」の関係で構成される。但し、n=ジェット数である。対抗ジェット7,7は流量に応じて「1乃至複数組」設けられる。
当該ジェット孔7には、雌ネジ部7Aが設けられ、エルボ8(図1)が接続されて、エルボ8に上記供給ホース5が接続されている。
【0016】
一対のジェット孔7には供給ホース5(図1)を介して水道水S(水道圧力=〜0.2MPa〜)が供給される。水道水Sは、内径φd1の細孔ジェットより噴射され、内径φdcの円柱状衝突空間9で激しく衝突する。衝突の際の運動量が流体出口11の出口方向に向いているため、衝突空間9の背後には負圧が発生する。この衝突空間9の背後には内径φdg(φdg<φdc)の吸引孔13が貫通形成される。
この構成では、吸引孔13は、運動場または上記の地域空間に開放している。そして、衝突空間9の背後に負圧が発生することで、当該負圧を利用して、上記吸引孔13から運動場または上記地域空間の空気Kが吸引される。
【0017】
つぎに、衝突空間9内での混合原理を説明する。
図3に示すように、一対のジェット孔7からの噴流を、衝突空間9において互いに衝突させることにより、流体の微細化・均質混合が図られる。すなわち、当該ジェット孔7の向きを流出方向に180度以下のなす角度θjで衝突させる。この結果、出口部に、Vj・cos(θj/2)(m/sec)の速度で吐出される。これによると「θj」を「180°」よりも小にするに連れ、その速度は大となり、負圧も増加する。一方で、衝突速度は、2・Vj・sin(θj/2)のため、「θj」を「180°」よりも小にするに連れ、衝突速度は小さくなる。このため、「θj=120°」を基本として、衝突エネルギーと、必要となる吸引気体量との関係から、最適な「θj」が決定される。θj≧120°の領域では、流体の微細化及び混合性能の追及が基本の設計となる一方で、θj≦120°の領域では、吸引気体量の増加が基本の設計となる。
【0018】
本実施の形態では、一対のジェット孔7からの噴流を、衝突空間9において互いに衝突させることで、対抗ジェット7,7から噴出する水道水の速度エネルギーを利用して、空気を自己吸引させて、当該空気と水道水とを対抗ジェット7,7の水道水の高圧下で混在させるため、混在流体の微細化・均質混合が図られ、微細化された混在流体を運動場または上記の地域空間に噴霧でき、外部エネルギーがゼロで、水の気化潜熱により、環境温度を低下させて涼しい環境ができる。
【0019】
図4は、別実施の形態を示し、ミキサー・エレメント3を、魚の養殖池等の水槽21内に没入させている。ミキサー・エレメント3の構成は、図2に示す構成と同一である。この例では、ミキサー・エレメント3の一対のジェット孔7に循環ホース22が接続され、循環ホース22は、その途中に循環ポンプ23に接続されて、循環ホース22の先端が水槽21内に没入されている。また、ミキサー・エレメント3の吸引孔13にはエアーホース24が接続され、エアーホース24には流量の調整弁25が接続され、エアーホース24の端部は大気に開放されている。
【0020】
循環ポンプ23を駆動すると、水槽21内の水Sが吸引されて、循環ホース22を介して一対のジェット孔7に供給される。
水槽21内の水は、図2を参照し、内径φd1の細孔ジェットより噴射され、内径φdcの円柱状衝突空間9で激しく衝突する。衝突の際の運動量が流体出口11の出口方向に向いているため、衝突空間9の背後には負圧が発生する。
この衝突空間9の背後には内径φdgの吸引孔13が貫通形成され、上記負圧により、この吸引孔13を通じてエアーホース24の端部から空気Kが吸引される。すなわち、対抗ジェット7,7から噴出する水槽21内の水Sの速度エネルギーを利用して、空気Kを自己吸引させて、空気Kと水槽21内の水Sとを対抗ジェット7,7の水槽21内の水Sの高圧下で混在させることで、混在流体の微細化・均質混合が図られ、微細化された混合流体Rが水槽21内の水中に気泡として供給される。この構成によれば、エアーホース24に設けた調整弁25の開度調整により気泡を制御できる。
すなわち調整弁25の開度を大きくすれば、大量の空気が大きな気泡状態で供給され、調整弁25の開度を絞ったときには、マイクロバブル状態で供給され、これにより養殖池等における溶存酸素濃度(=生体の利用可能酸素量)を調整できる。
【0021】
尚、別の応用例として、図示は省略したが、ミキサー・エレメント3の一対のジェット孔7に水道水を供給し、吸引孔13から二酸化炭素を吸引する構成としてもよい。
この構成では、ミキサー・エレメント3を例えば農場などに配置し、二酸化炭素の溶存度を高めた混合流体Rを農場などの植物に散布でき、農場での植物育成に多大な効果を発揮できる。一般的に、水の霧化を図る場合は、コンプレッサーを用いて行われる。しかし、この技術では、水道水を、当該ミキサーに導くことにより、吸引空気あるいは吸引二酸化炭素などを用いて、水の微粒子化が可能になるため、外部エネルギー=ゼロで、農場の水散布などが可能となる。
【0022】
上記作用を確実にするために、図2に示すように、角度θfで開放される円錐状空間(流体出口11)の先端部に、「φdc」の内径を有する円柱状空間(衝突空間9)を設け、当該空間9に、「θj」の角度を有する内径「φdj」の一対の対抗するジェット孔7,7を設け。そして、その背後に生成される負圧による吸引作用により、流体吸引させるために、円柱状空間9に連接させて、内径「φdg」の細孔流路(吸引孔13)を設ける。この結果、対抗ジェットに流体供給することにより、「φdg」から、異種の流体が吸引され、吸引された「流体」は、対抗ジェットの衝突面に導かれ、「P=2ρ・(Vj・sin(θj/2))2/2」の高圧下で混合される。このように、混合領域(衝突空間9)が、高圧下のため、対抗ジェット流体が例えば、「水」等の液体で、吸引流体が「空気」等の気体の場合、液体の衝突領域での液体中の「空気含有率」は、その圧力に比例して増加する。反応性の低い気体の場合は、ミキサー前で混合させても問題ないが、反応性の高い「オゾン」の場合、加圧することにより、「2O3」から「3O2」に戻るため、その効果が失われる。一方、本実施の形態のように、対抗ジェット流体が例えば、「水」等の液体で、反応性のある「オゾン」を吸引気体として使用した場合、発生オゾン量のままで、高圧反応領域に導けるため、単純に混合させるよりも、オゾンの反応効果を高められ、例えば、水中の細菌等の滅菌効果を向上できる。
【0023】
つぎに、別実施の形態を説明する。
火災を消火させる場合には、一般的に、放水が行われる。この火災は、可燃物の存在、可燃物の(引火/燃焼)温度、酸化剤の存在の、三つの要素により継続されることが知られている。放水は、これらの三要素の中で、「可燃物の(引火/燃焼)温度」を下げることにより消火を図るものである。
本実施の形態では、ミキサー・エレメント3の一対のジェット孔7に水道水を供給し、吸引孔13から二酸化炭素を吸引する構成とした場合、他の気体に比して、二酸化炭素の水への溶解度が大きいことに加え、高圧下で混合させるために、二酸化炭素の溶解度がその圧力に比例して、更に高められる。この高濃度二酸化炭素水を、火災に適用した場合、水そのものによる「可燃物の(引火/燃焼)温度」を下げる効果に加え、高濃度二酸化炭素水が火炎に触れることにより、放水中の二酸化炭素が溶出し、酸化剤の存在を阻害するため、消炎効果が更に高められる。
【0024】
本実施の形態では、φdcの円柱状の衝突空間9を設け、対抗ジェット孔7,7の向きを、流体出口11方向に傾けることにより、その背後に「負圧」を生成させて、吸引孔13から異種の流体を吸引させ、衝突空間9の高圧領域で両者の流体の混合を図り、反応性のある流体の場合は、その効果を促進できる。
【0025】
例えば、気体の、水等の液体の溶解度は、ヘンリーの法則により、流体圧力に比例し、温度に反比例する関係にある。この結果、単純に、ベンチュリ効果による水等の液体中へのオゾン供給の場合に比較して、溶存オゾン量が大きく増加するため、例えば、水中細菌の滅菌等の化学反応に優れることが期待できる。あるいは、二酸化炭素の液体としての水等の溶解度が高いと同時に、前述のように、気体溶解度は圧力に比例するため、高圧衝突領域(衝突空間9)では、二酸化炭素溶存度はその圧力に比例して増加する。この二酸化炭素含有流体を、そのまま高圧下で供給した場合、例えば、消火のための噴水では、燃焼体を、水で冷却して延焼を防止すると共に、二酸化炭素含有水が、火炎に触れる事により、溶解していた二酸化炭素が放出されて、酸化剤としての酸素(空気)を排除するため、相乗効果によって、単なる放水よりも、消火能力に優れる効果が期待できる。このため、出口方向と逆の中央部の、対抗ジェットの背部に、出口と軸状に、吸引孔13を設けて、出口方向に、斜め状に配置した「対抗ジェットによる吸引力」を利用して、異種流体を吸引できるようにした。また、吸引孔13に連接させて、流量調整弁25等を設けて、吸引流体の流量を調整できる構成とした。
【0026】
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものでないことは明らかである。例えば、角度θfで開放される円錐状空間(流体出口11)の最下流位置にリング部12を設けているが、リング部12は図2に示す軸方向長さの2倍以上の長さとしてもよい。
また、燃焼改善やNOx低減のために、燃料中に水を混在させた「水エマルジョン燃料」が知られている。しかし、一般的に、水と油は溶解しないため、均質混合させることは難しい。このため、両者の混合の仲介のために、界面活性剤が使用され、あるいは、外部から機械的に攪拌混合させる例がある。
本実施の形態では、このような「水エマルジョン燃料」を製造する上でも有効である。すなわち、対抗ジェット孔7,7には、「燃料」を供給し、吸引孔13からは、「対抗ジェットによる吸引力」を利用して、「水」を供給すると、吸引された「水」は、燃料相互の衝突空間にて燃料と共に、微粒化・拡散混合が図られ、効率的に、「水エマルジョン燃料」を生成することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 支持バー
3,3,3… ミキサー・エレメント
31 ハウジング
33 本体
7,7 ジェット
9 衝突空間
11 流体出口
12 リング部
13 吸引孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサー・エレメントが一対のジェット孔を備え、
前記一対のジェット孔から噴射される第1の流体同士を衝突空間内で流出方向に180度以下のなす角度を持って衝突させて流体出口から排出すると共に、
前記衝突空間の背後に第2の流体を吸引する吸引孔を備え、
前記一対のジェット孔から噴射される第1の流体同士の衝突により前記衝突空間の背後に生じる負圧により前記吸引孔から第2の流体を吸引し、
当該衝突空間内で第1および第2の流体を衝突させて混合する構成としたことを特徴とするミキサー装置。
【請求項2】
前記ミキサー・エレメントが一対のジェット孔を1乃至複数組備えたことを特徴とする請求項1に記載のミキサー装置。
【請求項3】
前記流体出口が角度θfを持った末広がりの円錐状を成し、第1および第2の流体を対向ジェットの衝突部分で高圧混合させた後に、前記円錐状の流体出口で拡散混合させることを特徴とする請求項1または2に記載のミキサー装置。
【請求項4】
前記吸引孔に流量調整弁やポンプを連接させ、当該吸引孔から吸引される流体流量を管理可能としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のミキサー装置。
【請求項5】
前記一対のジェット孔から液体を供給し、前記吸引孔より気体を吸引させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のミキサー装置。
【請求項6】
前記一対のジェット孔から水道水を供給し、前記吸引孔より環境下の空気を吸引させて、水の霧化を図り散水することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のミキサー装置。
【請求項7】
前記一対のジェット孔に消火ホース先端部を連通し、当該一対のジェット孔に高圧水を供給し、前記吸引孔より二酸化炭素を吸引させて、高濃度・二酸化炭素水を生成させて放水することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のミキサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−187464(P2012−187464A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51374(P2011−51374)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(511063549)有限会社イワセ (1)
【出願人】(591160338)株式会社技術開発総合研究所 (12)
【Fターム(参考)】