説明

ミキサー装置

【課題】ボウルをミキサー本体に容易に着脱できるようにしたミキサー装置を提供すること。
衝撃吸収特性に優れた衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】ミキサー装置が、下方に延びる回転可能な出力部品を有するミキサー本体と、記出力部品の下方に配置されたボウル支持部と、記ボウル支持部に取付けられボウル旋回軸を規定する少なくとも1つの回転可能なピン部材と、記ピン部材を回転可能に受容する貫通穴が形成されたブッシングとを具備し、記ボウル支持部には記ブッシングを受容する開口部が形成されており、記ピン部材が記ブッシングに対して相対的に回転するように、該開口部に記ブッシングが記ピン部材と共に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミキサーに旋回可能に結合できるボウルを有するミキサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサーは様々な材料の混合やブレンドに使用される。一般にミキサーは、略垂直に延びるミキサー要素を駆動するモータを有したミキサー本体と、このミキサー要素の下方に位置するボウルとを含む。ボウルはその内部に、混合される材料と回転可能なミキサー要素の下端とを受容する。一般にボウルはミキサー本体から取外すことができ、ボウルへの材料の装填や取出を容易にすると共に、ボウルの清掃、修理または交換ができるようになっている。
【0003】
大半の既存のミキサーにおいて、ボウルはミキサー本体に対し垂直方向に移動可能で、ボウルをミキサー要素から取外すために下降させることができる。そしてボウルが下降した位置で、混合する材料をボウルに追加したり、ボウルから取除いたりすることができる。しかしながら、ミキサーの使用者がボウルに材料を追加したり、ボウルから材料を取除いたりする際、ミキサー本体の突出部のボウルに対する配置および方向のため、ボウルに手が入らない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ボウルをミキサー本体に容易に着脱できるようにしたミキサー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、下方に延びる回転可能な出力部品を有するミキサー本体と、前記出力部品の下方に配置されたボウル支持部と、前記ボウル支持部に取付けられボウル旋回軸を規定する少なくとも1つの回転可能なピン部材と、前記ピン部材を回転可能に受容する貫通穴が形成されたブッシングとを具備し、前記ボウル支持部には前記ブッシングを受容する開口部が形成されており、前記ピン部材が前記ブッシングに対して相対的に回転するように、該開口部に前記ブッシングが前記ピン部材と共に挿入されるミキサー装置を要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明のミキサーの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、ボウルがヨーク部から垂直に離れた状態を示す図である。
【図3】図2に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、ボウルがヨーク部に結合し装填位置にあることを示す図である。
【図4】図3に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、ボウルが閉位置にある状態を示す図である。
【図5】図4に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、ボウルが使用位置にあることを示す図である。
【図6】本発明の代替的実施形態を示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図である。
【図7】戻止機構を示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図である。
【図8】図1に示すミキサーの正面模式図である。
【図9】ボウルが装填位置にあり、別の戻止機構を示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図である。
【図10】図9に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、ボウルが閉位置にある状態を示す図である。
【図10A】図10に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の斜視図で、代替的なブラケットを示す図である。
【図11】図9に示すボウル、ヨーク部およびミキサー本体部分の底面詳細図である。
【図12】図9のミキサーにおけるロッキング機構の部分断面斜視図である。
【図13】図9のミキサーの部分断面斜視図で、開位置にあるボウルスイッチを示す図である。
【図14】図9のミキサーの部分断面斜視図で、閉位置にあるボウルスイッチを示す図である。
【図15】図9のミキサーの部分断面斜視図で、閉位置にあるボウルスイッチを示す図である。
【図16】ミキサーの制御に使用できる制御構造アーキテクチャの一実施形態を示すブロック図である。
【図17】図9に示すミキサーの上面図である。
【図18】ボウルの別の実施形態の斜視図である。
【図19】ボウルの別の実施形態の斜視図である。
【図20】回転ピン部品を有するミキサー装置を示す図である。
【図21】回転ピン部品を有するミキサー装置を示す図である。
【図22】回転ピン部品を有するミキサー装置を示す図である。
【図23】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【図24】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【図25】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【図26】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【図27】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【図28】旋回するボウル襟部を有するミキサー装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は一般に符合10で示すミキサーを表し、このミキサーは略垂直に延びる主要部13と、突出部すなわち変速ヘッド14とを有するミキサー本体12を備える。ミキサー本体12は、本体の主要部13に結合されたヨーク部20を含む。ヨーク部20は上面図において略半円形で、その中にミキサーボウル18を密接して受容する形状となっている。ヨーク部20は垂直移動可能なヨーク部基部50に結合し、このヨーク部の基部50は一対のガイドレール52、54に沿って垂直方向に移動することができる。
【0008】
ミキサー10は、ミキサー本体12の中に納められたモータつまりミキサー駆動部11を含む。このミキサー駆動部11は、出力部品15(図8参照)をその中心軸Aの回りに回転させるように、この出力部品に駆動結合されている。ミキサー10は、出力部品15に取外し可能に接続され略下方に延びるミキサー要素16(例えば、ドーフックなど)を含む。混合要素16はどの様な形状でもよく、当技術分野で良く知られたバヨネット型アタッチメント(図示せず)など様々なアタッチメント機構によって出力部品15に取付けることが出来る。ボウル18は、ヨーク部20内に密接に収容されるようにミキサー本体12のヨーク部20に取付けられる形状となっている。このボウル18は、混合する材料(図示せず)を入れるボウル本体19と、面Cを形成する上部リムまたはエッジ23とを含む。ボウル18は、面Cに略垂直な中心軸Bを有する。またボウル18は垂直方向に分かれた一対のバンド部21を含み、各バンド部21はスポット溶接などによってボウル本体19に取付けられている。
【0009】
図2に示すようにミキサー10は一般に符号22で示す取付構造を含み、この取付構造はボウル18をヨーク部20およびミキサー本体12に旋回可能に結合する。一つの実施形態における取付構造22は一対のピンアーム28、30を含み、各ピンアーム28、30はボウル18に結合し外向きに突き出ている。各ピンアーム28、30はバンド部21の一つに溶接などによって結合されており、また各ピンアーム28、30からピン24、26が略下方に延びている。本実施形態における取付構造22は、ヨーク部20の遠位端に(好ましくは鋳造によって)取付けられた一対のブラケット32、34を更に含むことができ、各ブラケット32、34の中には孔36、38が形成されている。図2に示すように、ピン24、26は互いに軸方向に一直線上に整列しており、また孔36、38も軸方向に一直線上に整列している。
【0010】
ボウル18をミキサー本体12に取付けるには、図2に示すように、各ブラケット32、34の孔36、38とピン24、26とが整列するようにボウル18の位置を合わせる。そしてボウル18を下降させて、ピン24、26が対応する孔36、38に受けられ、図3に示すように、ピンアーム28、30が対応する取付ブラケット32、34と係合するようにする。ピン24、26を取付ブラケット32、34内に案内するため、各ピン24、26の先端をテーパー状に形成することが好ましい。各ピン24、26が孔36、38によって受けられると、各ピン/ブラケットの組合せによりヒンジが形成され、その周りをボウル18が旋回できるようになる。図3のボウル18は装填/取出位置にあり、ミキサー本体12およびヨーク部20から(少なくとも多少)離れた位置にボウルが旋回している。
【0011】
ボウル18をミキサー本体12に取付けた後、ボウルを図3に示す装填/取出位置から図4に示す閉位置まで旋回することができる。ボウル18が閉位置にある場合、ボウル18はミキサー本体12に近い位置でヨーク部20内に受けられ、またボウル18をミキサー要素16に対して上昇させた際、ミキサー要素16がボウル18内に入るようにボウル18の位置が合わせされる。なおボウル18が閉位置にある場合、出力部品の中心軸Aおよびミキサー要素16の中心軸と、ボウル18の中心軸Bとが合わさることが好ましい。
【0012】
ボウルを閉位置(図4)から使用位置(図5)に動かすには、垂直に延びる一対のガイドレール52、54に沿ってヨーク部基部50を動かすことによりヨーク部20を垂直に上昇させる。ヨーク部20の上昇には、一般にボウル上昇/下降駆動装置または手動クランク(図示せず)が使用される。ヨーク部20を上昇させると、それにつれてボウル18が図1、5に示す使用位置に上昇する。ボウル18が使用位置にある場合、ミキサー要素16がボウル18の内容物を混合できるように、ミキサー要素16の下部がボウル18内に入る。
【0013】
ボウル18は開口64を有する固定ブラケット60(図3、4参照)を含むことができ、またミキサー本体12は略下方に延びる固定ピン62を含むことができる。ボウル18が使用位置(図5参照)に移動した際、固定ピン62が固定ブラケット60の開口64に受容されボウルを使用位置に保持する。すなわち、固定ピンと固定ブラケットとを組合わせることにより、ボウル18が取付構造22の周りを旋回できないようにする。
【0014】
本発明の別の実施形態では、これらピンとブラケットの位置を逆にしてもよい。一例として、図6にボウル72をヨーク部20に取付けるための取付構造71を示す。この実施形態におけるボウル72は、外面74と、外面74に結合され外面74から外側に延びる一対のブラケット76、78を有する。ブラケット76、78は、それぞれ(溶接等により)バンド部21の1つに結合され、またそれらの内部には略円形の開口80が設けられている。取付構造71はヨーク部20に結合され、ヨーク部20から上方に延びる一対のピン82、84を更に含む。
【0015】
ボウル72をヨーク部20に取付けるため、ブラケット76、78は軸合わせされ、その開口80がそれぞれ関連するピン82、84を受容するように配置されており、ボウル72をヨーク部20に旋回可能に結合できるようになっている。ボウル72をヨーク部20に結合すると、ボウル72を旋回させてボウルを閉位置から出入りさせることができるようになり、上述したボウル18と同じ方法で利用することができる。なお、ボウル72は必ずしもブラケット76、78を含む必要は無く、ボウルの何れかの部分に開口80を設けてもよいものと理解されるべきである。例えば、ボウル72の周囲全体または一部に延びる縁部またはその他取付部分(図示せず)をボウル72に設け、この縁部またはその他取付部分に単数または複数の開口80を設けてもよい。必要に応じて、下方ピン84を上方ピン82よりやや短くしてヨーク部12へのボウル72の着脱が容易に行えるようにしてもよい。
【0016】
取付構造22、71によって、ボウル18、72がミキサー本体12の突出部14の下方から図7に示すボウルの装填/取出位置に旋回できるようになる。この装填/取出位置においてボウルに材料を装填、取出する際、ボウル18、72の内部に容易に手を入れることができる。更にこの装填/取出位置では、ハンドル66がミキサー本体から離れたつかみ易い部分に旋回している。
【0017】
ボウル18、72の旋回動作(すなわち、ボウルの閉位置と装填/取出位置との間の旋回動作)の間に、ボウル18、72の中心軸が殆ど傾かないよう、ブラケット32、34または76、78によって十分に支持れることが好ましい。より具体的には、ボウル18、72の中心軸Bの方位が、ボウル18、72のいかなる旋回動作の間においても、ミキサー本体12に相対して殆ど動かないことが好ましい。言い換えれば、中心軸Bはボウル18、72の旋回時に横方向に移動するものの、中心軸Bの方位はミキサー本体、または軸A、またはミキサー要素16の回転軸に相対して変わらないことが好ましい。1つの実施形態におけるボウル18、72の中心軸Bは、ボウル18、72のいかなる旋回動作の間においても、出力部品15の中心軸Aおよびミキサー要素の中心軸と概ね平行のままである。出力部品15は遊星歯車装置とすること、或いは、遊星歯車装置を含むことができる。この場合、出力部品15の中心軸Aは遊星歯車の軌道の中心となる。
【0018】
ボウル18、72上部の縁部またはエッジ23によって規定される面C内をボウル18、72が旋回し、この面Cはミキサー本体12に対して静止していることが好ましい。これによりボウル18、72はその閉位置と開位置との間を円滑に旋回し、ボウルの旋回動作の間に使用者がボウルを持ち上げる必要が無くなる。ブラケット32、34、76、78とピン24、26、82、84が協働して、このように円滑で平面的なボウル18、72の旋回動作を確かなものにすることが好ましい。例えば、ブラケット32と34との間、およびブラケット76、78との間には十分な距離を置き、旋回動作時のボウル18、72の傾きを防ぐことが好ましい。
【0019】
ボウル18をミキサー本体12に取付けるには、様々なピンおよびブラケットを使用することができる。例えば、ピン24、26、82、84およびこれらに関連する孔または開口の断面形状を略円形、または近円形(すなわち六角形や楕円形など)とすることが好ましいが、本発明の範囲から逸脱することなく他の形状のものを使用することもできる。例えば図18、19に示すように、ブラケット76、78の少なくとも1つを部分的な開口80′(すなわち、完全に囲まれていない開口)としてもよい。図18の開口80′は上面図において略半円形となっている。図19の開口80′は概ね完全な開口であるがスロット81を含んでいる。このように本発明の「開口」とは、必ずしも周囲を囲まれた開口でなくてもよいものと理解されるべきである。
【0020】
ここでは各ブラケット32、34(または76、78)がボウル18(72)にそれぞれ接合されるものとして描かれているが、ブラケット32、34(または76、78)の何れか一方のみをボウル18(72)に結合してもよい。ブラケット32、34(または76、78)の何れか一方のみをボウルに結合する場合には、もう一つのブラケットをボウルに結合された方のブラケットに結合することができる。例えば図6において、上部ブラケット76のみをボウルに結合し、下部ブラケット78は、ヨーク部20の外側に位置し上部ブラケット76に結合された、略垂直に延びる接合部材(図示せず)に結合することができる。こうすることによって、上部ブラケット76と、下部ブラケット78と、結合部材とが側面図で略C字形となる。
【0021】
更にボウル18、72を2ピースボウルとしてもよい。例えば、ボウルは環状襟部である第1部分を含んでもよい。この環状襟部上には関連するブラケット32、34、76、78が配置されている。このボウルの第1部分を前記リング21の1つと類似した襟部とし、この襟部は垂直方向に離間、配置されたブラケット32、34、76、78の少なくとも2つを支持するのに十分な厚みとすることができる。この場合、襟部はヨーク部20に旋回可能に結合することができ、またボウル18、72の第2部分は、この襟部に挿入および取出しすることができる滑らかな外面を有したボウル本体としてもよい。
【0022】
ミキサー10は、ボウル18、72が上昇、下降した際、または混合操作中にボウル18、72を閉位置に保つための戻止機構を含んでもよい。例として図3に、ボウル18を閉位置に保つために使用できる1つの戻止機構を一般に符号40で表す。(戻止機構40は、ボウル72または本ミキサーに使用される他のいかなるボウルにも使用することができる。)本実施形態における戻止機構40は、取付機構22に対しボウル18の反対側に配置することが好ましい。図示した実施形態における戻止機構40は、ヨーク部20に取付けられ中心に開口44を有する、比較的柔軟で変形可能なワッシャ42を含む。また戻止機構40は、ボウル18に取付けられ前方に延びるペグ46を含む。ワッシャ42の開口44はペグ46の最大部分よりも小さく、ボウル18が閉位置に移動した際、ペグ46がワッシャ42内に送り込まれ、締まり嵌めによってペグ46がワッシャ内部に保持されるようになっている。このように戻止機構40はボウル18を閉位置に保持するのに役立つ。
【0023】
代替的な実施形態である戻止機構40′を図7に示す。図7には戻止機構またはガイド40′がボウル18との関連で示されているが、戻止機構40′はボウル72またミキサーに使用される他のいかなるボウルにも使用することができる。本実施形態におけるペグ46はワッシャ47に取付けられており、ヨーク部20はこのワッシャ47を内部に受容する形状の陥凹部49を有する。このように陥凹部49の底面は、ボウル18が閉位置にある時にボウル18の重量の一部を支え、ワッシャ47が陥凹部49に受けられた際に、ヨーク部20がボウル18の重量を支える助けとなる。
【0024】
ボウル18上の戻止機構40、40′部分は、ミキサー本体12上に位置する対応部分に係合できる位置であればボウル18表面のどこに位置してもよい。好ましくは、ボウル18上の戻止機構40、40′部分を、ボウル18が閉位置にある際にヨーク部20の近傍となるボウル18部分に配置する。更に戻止機構40、40′の各部品の方位を逆にすることもできる。例えば、戻止機構40のペグ46をミキサー本体12上に配置し、ワッシャ42をボウル18上に配置することもできる。同様に固定ブラケット60をボウル18上に配置し、固定ピン62をミキサー本体12上に配置してもよい。
【0025】
図9から図12は、本発明のミキサーに使用できる、さら別の戻止機構104を示す。図9から図12は、ボウル102に用いられる戻止機構104を示すが、この戻止機構104は前述したボウル18、72および本ミキサーに使用される他の殆どのボウルにも使用することができる。図9から図12のボウル102は、ボウル102がブラケット76、78(図9から図12には図示せず)とその中の開口80を有する点で図6に示すボウル72に類似しており、またヨーク部20が、図6に示すヨーク部20と同様、上方に伸びるピン82、84(図9から図12には図示せず)を有している。戻止機構104はボウル102の外面108に結合した固定ブラケット106を含み、固定ブラケット106はその内部に略円形の開口109を含む。ヨーク部20はその上部に略半球形のステンレス鋼製パッド120を有することができる。戻止機構104は、把持部107を含む旋回可能な固定ハンドル110を含む。
【0026】
図12に示すように、固定ハンドル110は、ハンドル110とカム112の両者に軸を合わせて形成された開口111を貫通するピン(図示せず)を介して、カム112に回転可能に結合されている。同様にカム112は、駆動ピン113を介して固定ピン114に回転可能に結合されている。固定ピン114は略垂直方向を向いており、パッド120内に収容された略半球形の先端117を含む。固定ハンドル110とカム112と固定ピン114とは回転可能に結合されており、固定ハンドル110を旋回させると固定ピン114が垂直移動できるようになっている。例えば、図9は非施錠位置にある戻止機構104を示しており、ここでは固定ピン114がパッド120と面一、または、パッド内に埋め込まれた状態となっている。ハンドル110を図9の矢印Dの方向に回すと、カム112が矢印Dの方向に回り、固定ピン114がパッド120から上に突出するように上方へ垂直移動する。(図10、10Aを参照。ここでは固定ハンドルが約270°回転されている。)逆にハンドル110を図10、10Aの矢印Eの方向に回すと、固定ピン114が下方に垂直移動し、固定ピン114がパッド120と面一、または、パッド内に埋め込まれた状態にすることができる。
【0027】
このようにして、ボウル102が図10に示す閉位置にある時に固定ハンドル110を回すことにより、固定ピン114がパッド120から突出して固定ブラケット106の開口109に受けられ、ボウル102を閉位置に保つようにすることができる。戻止機構104を解放しボウル102を閉位置から移動したい時には、ハンドル110を矢印Eの方向に回し固定ピン114を後退させる。このように固定ピン114は、後退可能な取付けピンとして効果的に動作する。また、摩擦、オーバーセンタ機構、その他の戻り止めまたは同等手段によって固定ピン114を伸展位置に保つこともできる。ボウル18、72、102を閉位置に保つため、本発明の範囲内で、各種ラッチ、フック、相互係合配列、クラスプ、クリップ、摩擦係合面、磁石など様々な戻止機構を使用できるのは勿論である。例えばボウルは外側に延びる突起を含むことができ、ヨーク部はこの突起を内部に受容する形状の陥凹部を含むことができる。この場合、ボウルを閉位置に移動するためには、ボウルを上方に少し持ち上げ、前記の突起が陥凹部の上方に来るようにボウルを閉位置に旋回することができる。その後、ボウルを下降させ、突起が陥凹部に受けられてボウルを閉位置に保持する。
【0028】
ブラケット106の内部に開口109を設け、ボウル102の両方向への旋回を抑止できるようにすることが好ましいが、図10Aに示すようにブラケット106に開口を設けなくてもよい。この場合、ブラケット106は固定ピン114の背後に位置すると共に係合面103を有し、この係合面と固定ピン114とが係合してボウル102が閉位置から旋回出来ないようになっている。このようにボウル102は、固定ピン114が延びた位置で固定ピン114の背後に位置できる突出部、ブラケット、ピンなどを含むことができる。更に孔や開口に代わって、ブラケットが内部にピンを受容する凹所を含んでもよい。またブラケット106は、図18、19に示した開口80′に類似した部分的な開口を含むこともできる。
【0029】
本発明のミキサーは、図13から図15に示すようにボウル18、72、102が閉位置にあることを検出するためのセンサー(一般に符号130で示す)を含んでもよい。図示した実施形態におけるセンサー130は、ミキサー本体120のスロット133に受けられバネ負荷されたプランジャー132を含む。プランジャー132の内側端134は、略垂直に延びるスイッチ板137に結合されている。このプランジャー132とスイッチ板とが一緒になって作動アッセンブリ139を形成する。またセンサー130は、ミキサー本体120に結合したトリガー141を有するリミットスイッチ136を含む。センサー130はプランジャー132周辺に配置されたバネ140を含み、このバネがプランジャー132をミキサー本体12からボウル18、72、102に向けて付勢する。これにより、負荷がない場合にはスイッチ板137がトリガー141から離れる。
【0030】
ボウル18、72、102は、ボウルの外面に位置しそこから概ね外方に向かって延びる取手または突出部144を含んでもよい。図14、15に示すように、突出部144はプランジャー132と係合する形状を有しており、ボウル18、72、102が閉位置となった際にプランジャー132を内側に動かす。(これにより、バネ140が圧縮される。)突出部144がプランジャー132と係合しプランジャー132を内方に動かすと、スイッチ板137が押し込まれリミットスイッチ136のトリガー141と接触し、これによりリミットスイッチ136を作動させる。するとリミットスイッチ136が、ミキサーの中央制御装置、プロセッサーまたはCPUに信号を送信し、ボウル18、72、102が閉位置にあることを知らせる。1つの実施形態におけるボウル18、72、102および/またはプランジャー132は、ボウル18、72、102が閉位置から旋回離脱する際に、突出部144がプランジャー132と係合しこれを外に引き出す解離機能を含むことができる。この解離機能は、各種の相互係合部材、回転カムなどを含むことができる。
【0031】
ボウル18、72、102が閉位置に来てリミットスイッチ136が作動すると、ボウルが操作位置に持ち上げられ、ボウルの内容物がミキサー要素16によって混合できるようになる。スイッチ板137はヨーク部20に結合しており、したがってヨーク部20が動きに伴い、ヨーク部20およびボウル18、72、102と共に垂直に動く。スイッチ板137は、垂直に延びる比較的長い細板で、ヨーク部20の上昇に伴いトリガー141上を摺動し、これによりスイッチ板がリミットスイッチを閉または作動状態に保つようになっている。このためスイッチ板137は、ヨーク部20の可動範囲全体に渡ってスイッチ板137の少なくとも一部がトリガー141の上方に位置するように、十分な長さを有することが好ましい。
【0032】
必要に応じ、バネ140の剛性を十分に高めることにより、戻止機構104を作動させないかぎりボウル18、72、102が閉位置に留まることができないようにすることができる。言い換えれば、戻止機構104が作動してボウル18、72、102を閉位置に固定しないかぎり、バネ140がボウル102を閉位置の外に旋回させる。このようにバネ140がボウル18、72、102を閉位置の外に押し出すようにすることにより、使用者が戻止機構104を作動させるよう注意を促すことができる。ボウルを閉位置の外に押し出すためには、バネ140以外に他のバネや構造をミキサーに持たせることができることは勿論である。
【0033】
図16は、ミキサーの動作を制御するセンサー130に関連して使用することができる制御構造のブロック図を示す。リミットスイッチまたはロックスイッチ136は、制御回路170に接続されていることが好ましい。制御回路170は、使用者が所望するミキサー要素の回転速度や混合時間などを入力するためのユーザ入力パネル172に接続されている。また制御回路170は、出力部品15およびミキサー要素16の回転を制御するため、ミキサー駆動部11に接続されている。またミキサーは、ヨーク部およびボウルを上昇および/または下降させるようにボウル上昇/下降駆動部178を使用者が操作できるボウル上昇/下降スイッチ176を含んでもよい。このボウル上昇/下降スイッチ176は制御回路170と、ボウルおよびヨーク部を垂直方向に駆動するボウル上昇/下降駆動部178とに接続されている。またボウル上昇/下降駆動部178も制御回路170に接続されている。更に制御回路170は、ある種の事象に際して作動するブザーなどの信号表示機器180にも接続されている。
【0034】
図16の制御構造を用い、ボウル上昇/下降駆動部178およびミキサー駆動部11が作動する前に、スイッチ136を確実に閉にすることができる。より具体的には、スイッチ136が閉でない場合、制御回路170がミキサー駆動部11、ボウル上昇/下降駆動部178およびボウル上昇/下降スイッチ176が作動できないようにする。代わりに、スイッチ136が閉でない場合、ボウル上昇/下降駆動部178がボウルを下降させることはできるものの上昇させることはできないように制御してもよい。同様に、上昇および混合操作の際にスイッチ136が開になった場合、制御回路170がミキサー駆動部11、ボウル上昇/下降駆動部178および/またはボウル上昇/下降スイッチ176を作動できないようにし、上昇または混合操作を完全に停止させることができる。混合操作の際にセンサー130が開になった場合には、制御回路170がミキサー駆動部11の作動を停止すると共に信号表示機器180を起動して使用者の注意を促すこともできる。
【0035】
ボウル102の各部品の配置および方位は、ボウルをミキサーに適合させるように様々な形態を取ることができる。図17はボウル102の1つの実施形態を示す。図示した実施形態では、ハンドル66が互いに180°離れた方向にある。同様に、固定ブラケット106と取付ブラケット76、78とは互いに180°離れた方向にある。取付ブラケット76、78は隣接するハンドル66から約30°離れており、また突出部144は固定ブラケット76、78および固定ブラケット106から約90°離れている。
【0036】
図20から図22に示す別の実施形態では、ボウルヨーク部20の1つの側または腕に垂直に延びる貫通孔500が設けられており、その中に回転ピン組立体502が備えられている。ピン組立体502は、開口500内に固定配置されたブッシング504と、このブッシング504を貫通しブッシング504に対して回転可能なピン506とを含む。ブッシングの上側には貫通孔500上端の座面に埋め込まれた環状リップ508があり、またピン506の上部には環状リップ508上に受けられ対応するリップ510がある。ピンが回転するとリップ510の下面はリップ508の上面全体を摺動する。ブッシング504からのピン506の抜けを防止するため、ヨーク部20の底面から延びるピンの下部512に、固定ピン、ナット組立体または他の構造(図示せず)を設けてもよい。図示した実施例では、ピン506の露出した上部514は(上面から見ると)正方形になっている。ピン下部512も、図示したような矩形形状を含むことができる。
【0037】
ボウル520は、上部および下部ブラケット延長部524および526を有するブラケット機構522を含む。上部ブラケット延長部524は正方形の開口を含みこれがピンの正方形部分514に係合し、また下部ブラケット延長部526は(ボウルの垂直軸に対し)略半径方向に延びるスロットを含み、これがピン下部512に係合する。ボウル520が旋回動作すると、その回転力がブラケット機構522によってピン506に伝達し、ピンがブッシング504内で回転する。なお、ピンの上部、下部、および対応するブラケット開口部は、非円形(例えば、長円形、楕円形、三角形、4辺以上を有する形状、または何らかの不定形状)とすることができる。更に、ボウルが移動する力をピンに伝えピンを回転させるためには、ピン上部またはピン下部何れか一方のみを非円形とし、他方を円形としてもよい。ボウルはその反対側に第2のブラケット機構530を含み、ボウルをヨーク部20に対し閉位置に固定するようにできる。このブラケット機構は、前述したような開口と傾斜面を含むことができる。
【0038】
図20から図22の実施形態を、前述したボウル閉位置センサー装置、または他の適当なボウル閉位置センサー装置(例えば、機械式、光学式または磁性式センサーなど)と組み合わせることができる。ボウル閉位置センサーを起動させるため、対応する突出部をボウルに設けることができる。ボウルの開/閉状態、またヨーク部の上昇/下降状態に基づき、前述と同様な制御を行うことができる。
【0039】
ボウルをミキサー本体に取付ける時にブラケット延長部524がピンに向かって下方に移動する際、ピンが回転してブラケット延長部の開口に適当に位置合わせされるような協働面をピンの上部514およびブラケット524上にそれぞれ設ける等の追加的機能を図20から図22に示す実施形態に加えることができる。別の変形例では、ピン組立体502にねじりバネ機構を設け、ピンを回転させる外力が作用しない時にはピン506がある位置に常に付勢されるようにしてもよい。
【0040】
図23から図28は2ピース式旋回型ボウル機構を設けた別の代替的実施形態を示すもので、ここではミキサー本体のヨーク部20と枢動関係に取付けられたボウル襟部600を用い、このボウル襟部で混合および旋回動作に際しボウル602を支えるようになっている。図示した実施例におけるボウル襟部は略U字形となっているが、この襟部は(図28に破線で模式的に示すような)閉鎖リングを形成することもできる。襟部600は上方開口部604と、スロット610を含む延長部608の付いた下方に延びるブラケット606とを含む。ミキサー本体ヨーク部20は上部ピン部材612と下部ピン部材614を含み、これらが開口部604およびスロット610と係合し、前記ピン部材によって規定される枢動軸の周りをボウル襟部が回転できるようになっている。これらのピン部材は、前述したピンおよびブッシングの配置に従い固定または回転可能とすることができる。図示したボウル襟部600はボウル取付ピン616、618を含み、またボウル602はこれに対応して離間、配置された取付ブラケット620、622を含み、該ブラケットは取付ピン614、616を受容する開口を有しており、ボウルが襟部600によって支持され、襟部600と共に旋回できるようになっている。更にボウル602は、襟部600の上面に静止するように配置された外部帯部材630を含んでもよい。また襟部600は、(例えば、上述した下方に退避するピンとの相互作用によって)襟部600を閉位置に固定する際に用いる開口624を含んでもよい。清掃などのためにボウル602をボウル襟部600から容易に取外すことができる。この構成では、ボウル閉位置センサー起動用突出部をボウル襟部600またはボウル602の何れにも設けることができるが、一般的にはこのような部材をボウル自体に設け、ボウルが取付いていない場合にボウル襟部のみを閉位置に動かした際、ミキサーの特定の機能が制限されないようにすることが好ましい。
【0041】
以上、好適な実施形態を参照し本発明を詳述したが、本発明の範囲を逸脱することなく改良や変更を行うことができることは明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1 ミキサー
12 ミキサー本体
13 主要部
14 変速ヘッド
15 出力部品
16 ミキサー要素
18 ボウル
20 ヨーク部
21 バンド部
22 取付構造
23 上部リム
24 ピン
26 ピン
28 ピンアーム
30 ピンアーム
32 ブラケット
34 ブラケット
36 孔
38 孔
40 戻止機構
40′ 戻止機構
42 ワッシャ
44 開口
46 ペグ
47 ワッシャ
49 陥凹部
50 ヨーク部基部
52 ガイドレール
54 ガイドレール
60 固定ブラケット
62 固定ピン
66 ハンドル
64 開口
71 取付構造
72 ボウル
74 外面
76 ブラケット
78 ブラケット
80 開口
80′ 開口
82 ピン
84 ピン
102 ボウル
104 戻止機構
106 ブラケット
109 開口
110 固定ハンドル
111 開口
112 カム
113 駆動ピン
114 固定ピン
117 固定ピン先端
120 パッド
130 センサー
132 プランジャー
136 リミットスイッチ
137 スイッチ板
139 作動アッセンブリ
140 バネ
141 トリガー
144 突出部
170 制御回路
172 ユーザ入力パネル
176 ボウル上昇/下降スイッチ
178 ボウル上昇/下降駆動部
180 信号表示機器
500 貫通孔
502 ピン組立体
504 ブッシング
506 ピン
508 環状リップ
510 リップ
514 ピン上部
520 ボウル
524 ブラケット延長部
522 ブラケット機構
524 上部ブラケット延長部
526 下部ブラケット延長部
530 ブラケット機構
600 ボウル襟部
602 ボウル
604 開口部
606 ブラケット
610 スロット
616 取付ピン
618 取付ピン
620 取付ブラケット
622 取付ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に延びる回転可能な出力部品を有するミキサー本体と、
前記出力部品の下方に配置されたボウル支持部と、
前記ボウル支持部に取付けられボウル旋回軸を規定する少なくとも1つの回転可能なピン部材と、
前記ピン部材を回転可能に受容する貫通穴が形成されたブッシングとを具備し、
前記ボウル支持部には前記ブッシングを受容する開口部が形成されており、前記ピン部材が前記ブッシングに対して相対的に回転するように、該開口部に前記ブッシングが前記ピン部材と共に挿入されるミキサー装置。
【請求項2】
前記ミキサー本体に相対する混合位置と前記ミキサー本体に相対する開位置との間の回転に使用されるピン部材に係合するボウルを更に備える請求項1に記載のミキサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−210634(P2012−210634A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174722(P2012−174722)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2008−548478(P2008−548478)の分割
【原出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(503158936)プレマーク エフイージー リミティド ライアビリティー カンパニー (11)
【Fターム(参考)】