説明

ミキシングヘッド及び発泡ポリウレタン成形品の製造方法

【課題】ヘッド本体やセンターロッドの耐久性が良好であり、且つ比較的高い供給精度にて混合物を供給することができるミキシングヘッドと、このミキシングヘッドを用いた発泡ポリウレタン成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】筒状のヘッド本体10と、該ヘッド本体10内に回転自在に保持されたセンターロッド30と、該ヘッド本体10の内周面とセンターロッド30の外周面との間に形成されたミキシングチャンバ50と、該センターロッド30を回転させる駆動装置と、該ヘッド本体10に設けられた、混合される原料を該ミキシングチャンバ50内へ供給するための原料供給部11,12と、該ミキシングチャンバ50内を進退可能なクリーニングロッド40とを備えてなるミキシングヘッド1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシングヘッドに係り、例えば発泡ポリウレタン成形品を成形するためのポリオール成分とイソシアネート成分などの二液を混合するよう構成されたミキシングヘッドに関する。また、本発明は、このミキシングヘッドを用いた発泡ポリウレタン成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソシアネート成分とポリオール成分とを混合するためのミキシングヘッドとしては、高圧ミキシングヘッドと低圧(摩擦型)ミキシングヘッドとがある。
【0003】
高圧ミキシングヘッドは、原料をミキシングチャンバ内に高圧で吐出することにより、該ミキシングチャンバ内で原料を撹拌するよう構成されたものである(例えば特許文献1の図3)。ミキシングチャンバ内の原料はエジェクターロッドで押し出される。この高圧ミキシングヘッドでは、各原料をミキシングチャンバ内に高圧で吐出するための高圧ノズルが各原料ごとに必要である。
【0004】
低圧ミキシングヘッドは、ミキシングチャンバ内に回転可能なローター(本発明においては、センターロッドと称する。)を設置しておき、原料を低圧でミキシングチャンバ内に吐出し、該ローターによって原料を撹拌し、混合物を自然流下によって流出させるようにしたものである(例えば特許文献1の図5及び特許文献2)。
【0005】
特許文献1の図5では、ヘッド本体の内周面は、下端側ほど直径が小さくなるテーパ形状(すり鉢形状)となっており、ローターの外周面も、下端側ほど直径が小さくなるテーパ形状(円錐形状)となっている。該ローターは、ヘッド本体の内周面と同軸状に配置されている。ヘッド本体の下端には、混合物の流出口が設けられている。原料混合工程においては、ローターはヘッド本体の内周面から上方へ若干離隔しており、このローターの外周面とヘッド本体の内周面との間の隙間がミキシングチャンバとなっている。このローターの外周面とヘッド本体の内周面との間に各原料が供給され、ローターが回転することにより、原料の混合が行われる。原料混合工程の最終段階では、ローターの外周面とヘッド本体の内周面との間の隙間をなくすようにローターが下降する。これにより、該ローターの外周面とヘッド本体の内周面との間に残留した混合物が該ローターによって流出口から押し出される。これにより、比較的高い供給精度にて混合物を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−154116
【特許文献2】特開2000−94437
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の図5のミキシングヘッドにあっては、原料混合工程の最終段階でローター(センターロッド)の外周面とヘッド本体の内周面との間の隙間をなくすようにローターが下降するため、その度にヘッド本体の内周面とローターの外周面とが接触してこれらが摩耗するおそれがある。
【0008】
本発明は、ヘッド本体やセンターロッドの耐久性が良好であり、且つ比較的高い供給精度にて混合物を供給することができるミキシングヘッドを提供することを目的とする。また、本発明は、このミキシングヘッドを用いた発泡ポリウレタン成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のミキシングヘッドは、筒状のヘッド本体と、該ヘッド本体内に回転自在に保持されたセンターロッドと、該ヘッド本体の内周面とセンターロッドの外周面との間に形成されたミキシングチャンバと、該ヘッド本体に設けられた、混合される原料を該ミキシングチャンバ内へ供給するための原料供給部と、該ミキシングチャンバ内を進退可能なクリーニングロッドとを備えてなるものである。
【0010】
請求項2のミキシングヘッドは、請求項1において、前記クリーニングロッドは、前記センターロッドに外嵌した筒状であり、該クリーニングロッドを該センターロッドに沿って進退させるための進退装置が該ミキシングヘッドに設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3のミキシングヘッドは、請求項2において、前記センターロッドの外周面及びヘッド本体の内周面に沿って摺動する合成樹脂又はゴム製のクリーニングリングが前記クリーニングロッドに取り付けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4のミキシングヘッドは、請求項2又は3において、前記進退装置はシリンダ装置であり、前記ヘッド本体に連設されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5のミキシングヘッドは、請求項4において、前記シリンダ装置のシリンダが前記ヘッド本体に着脱可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の発泡ポリウレタン成形品の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のミキシングヘッドによってポリオール成分とイソシアネート成分とを混合して金型に供給し、発泡ポリウレタン成形品を製造することを特徴とするものである。
【0015】
請求項7の発泡ポリウレタン成形品の製造方法は、請求項6において、前記ミキシングヘッドの前記ミキシングチャンバ内に残留する混合物を前記クリーニングロッドで押し出して金型に供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明(請求項1)のミキシングヘッドにあっては、原料をヘッド本体とセンターロッドとの間のミキシングチャンバに供給し、センターロッドを回転させることにより混合する。従って、本発明のミキシングヘッドは、原料を高圧でミキシングチャンバに吐出するための高圧ノズルが不要である。
【0017】
本発明では、ヘッド本体内で混合された混合物は、クリーニングロッドによってヘッド本体から押し出すことができる。これにより、混合物をヘッド本体から迅速に且つ殆ど残留することなく全量排出させることができるので、混合物の供給精度が良好である。また、このため、発泡ポリウレタン成形品を効率よくまた精度よく製造することが可能となる。
【0018】
本発明では、ミキシングチャンバ内の残留混合物を排出するために、上記特許文献1の図5のミキシングヘッドのようにセンターロッドの外周面とヘッド本体の内周面とを接触させる必要がないので、ヘッド本体の内周面とセンターロッドの外周面とが徒に磨耗することを防止することができる。これにより、ヘッド本体及びセンターロッドの耐久性を良好なものとすることが可能である。
【0019】
請求項2の通り、クリーニングロッドを、センターロッドに外嵌した筒状とし、進退装置によってミキシングチャンバ内を進退させることにより、ミキシングチャンバ内を効率よくクリーニングすることができる。また、請求項3の通り、このクリーニングロッドに、センターロッドの外周面及びヘッド本体の内周面に沿って摺動する合成樹脂又はゴム製のクリーニングリングを設けておくことにより、クリーニングチャンバ内の残留物を効率よくミキシングチャンバ外へ押し出すことができる。
【0020】
請求項4の通り、進退装置としてシリンダ装置をヘッド本体に連設することにより、ミキシングヘッドがコンパクトなものとなる。この場合、請求項5の通り、シリンダ装置のシリンダをヘッド本体に着脱可能に連結することにより、ミキシングヘッドを容易に分解してメンテナンスすることができる。
【0021】
本発明(請求項6)の発泡ポリウレタン成形品の製造方法にあっては、かかる本発明のミキシングヘッドによってポリオール成分とイソシアネート成分とを混合して金型に供給し、発泡ポリウレタン成形品を製造する。この際、請求項7の通り、ミキシングチャンバ内に残留する混合物をクリーニングロッドで押し出して金型に供給することにより、発泡ポリウレタン成形品を効率よくまた精度よく製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係るミキシングヘッドの構成図である。
【図2】図1のミキシングヘッドのクリーニングロッド前進状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係るミキシングヘッドの縦断面図、第1図(b)は第1図(a)のB−B線断面図、第1図(c)は第1図(a)のC−C線断面図、第1図(d)はクリーニングロッド先端部付近の斜視図である。なお、第1図(a)〜(c)は、クリーニングロッドがミキシングチャンバから後退した状態を示している。第2図は、クリーニングロッドがミキシングチャンバ内に前進した状態におけるミキシングヘッドの縦断面図である。
【0024】
このミキシングヘッド1は、円筒状のヘッド本体10と、該ヘッド本体10に連設された進退装置としてのシリンダ装置20と、該ヘッド本体10及びシリンダ装置20の軸心部を縦通するセンターロッド30と、該センターロッド30に外嵌したクリーニングロッド40等を備えている。このミキシングヘッド1は、通常は、ヘッド本体10の軸心線方向が上下方向となるように設置されて使用される。以下、上下方向とは、このようにヘッド本体10の軸心線方向が上下方向となるようにミキシングヘッド1を設置したときの上下方向をいう。ただし、ミキシングヘッド1の設置形態はこれに限定されるものではなく、例えばヘッド本体10が斜めに延在するように設置されてもよい。
【0025】
ヘッド本体10の上部には、このミキシングヘッド1によって混合される原料の供給口11,12が設けられている。この実施の形態では、ヘッド本体10に、第1の供給口11及び第2の供給口12の計2個の供給口が設けられているが、3個以上の供給口が設けられてもよい。この実施の形態では、第1図(c)の通り、これらの供給口11,12同士は、ヘッド本体10の下端から実質的に同一高さに、且つヘッド本体10の周方向に約90°の間隔をおいて設けられているが、供給口11,12の配置はこれに限定されない。例えば、これらの供給口11,12同士は、ヘッド本体10の直径方向に対峙して設けられてもよい。また、これらの供給口11,12同士は、上下に位置をずらして設けられてもよい。これらの供給口11,12には、それぞれ、原料供給用のディスペンサ(図示略)が接続される。
【0026】
このシリンダ装置20は、内部に後述のピストン42を収容した円筒状のシリンダ21を備えており、このシリンダ21がヘッド本体10の上端側に同軸状に連なっている。この実施の形態では、ヘッド本体10の上端部に、外向きに拡開する鍔部13が設けられており、この鍔部13にシリンダ21の下端が連結されている。第1図(a)の通り、この実施の形態では、鍔部13の外周面に雄螺子(符号略)が設けられ、シリンダ21の下端部の内周面に設けられた雌螺子(符号略)が該雄螺子に螺合することにより、シリンダ21がヘッド本体10に着脱可能に連結されている。なお、ヘッド本体10とシリンダ21との連結構造はこれに限定されない。
【0027】
この実施の形態では、シリンダ装置20は、エアの圧力によりピストン42を上下動させるエアシリンダ装置であり、シリンダ21の上部と下部とにそれぞれエアの供給排出用のポート22,23が設けられている。シリンダ21の上端を閉鎖するようにエンドプレート24が取り付けられている。このエンドプレート24の中央部にはセンターロッド30の挿通孔25が設けられている。この挿通孔25に上から被さるように押えプレート26がエンドプレート24の上面に取り付けられている。この押えプレート26の中央部には、後述の回転駆動装置連結軸31が挿通される挿通孔27が設けられている。この押えプレート26の挿通孔27は、エンドプレート24の挿通孔25よりも小径となっている。なお、シリンダ装置20の構成はこれに限定されない。
【0028】
センターロッド30は、このヘッド本体10とシリンダ21との連結体を縦通している。このセンターロッド30は、ヘッド本体10の内径よりも若干小径の円柱状であり、ヘッド本体10及びシリンダ21と同軸状に配置されている。このヘッド本体10の内周面とセンターロッド30の外周面との間のクリアランスがミキシングチャンバ50となっている。このミキシングチャンバ50の下端側(ヘッド本体10の下端の内周面とセンターロッド30の下端の外周面との間)は、下方に向って開放しており、このミキシングチャンバ50内で混合された混合物は、ヘッド本体10の下端から自然流下によって流出するようになっている。センターロッド30は、下端をヘッド本体10の下端と揃えて配置され、上端部は、エンドプレート24の挿通孔25に挿通されている。
【0029】
センターロッド30の上端部から細軸状の回転駆動装置連結軸31が突設されている。この回転駆動装置連結軸31は、押え部材26の挿通孔27を通過してシリンダ装置20の上方に突出している。この回転駆動装置連結軸31にモータ等の回転駆動装置(図示略)が連結され、センターロッド30がその軸心回りに回転駆動される。センターロッド30の上端部は、環状の軸受部材32によって挿通孔25に回転自在に支持されている。この軸受部材32は、この実施の形態ではフッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の高摺動性の合成樹脂のリングにて構成されている。なお、軸受部材32の材質や構成はこれに限定されない。例えば、この軸受部材32はボールベアリング等であってもよい。
【0030】
センターロッド30の形状や配置、設置構造、回転駆動装置との連結構造等の構成は、図示以外の構成であってもよい。
【0031】
クリーニングロッド40は、このセンターロッド30に外嵌し、上下方向に摺動自在な円筒状部材よりなる。クリーニングロッド40の外径は、ヘッド本体10の内径よりも若干小さいものとなっており、クリーニングロッド40はヘッド本体10内にまで進出可能となっている。このクリーニングロッド40の下端にクリーニングリング41が取り付けられている。このクリーニングリング41は、この実施の形態では、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の高摺動性の合成樹脂のリングにて構成されている。なお、クリーニングリング41を構成する材料はこれに限定されるものではなく、例えばグラファイトやシリコン樹脂などにより構成してもよく、あるいはアルミニウムや銅などの軟金属により構成してもよい。
【0032】
この実施の形態では、クリーニングリング41は、センターロッド30の全周を取り囲む環状のものである。このクリーニングリング41は、内周面がセンターロッド30の外周面に全周にわたって密着すると共に、外周面がヘッド本体10の内周面に全周にわたって密着しており、クリーニングロッド40が進退するときには、実質的に該センターロッド30の外周面及びヘッド本体10の内周面との密着状態を保ったまま、これらの面に沿って摺動することが可能な内径及び外径並びに構成を有している。このクリーニングリング41は、クリーニングロッド40の下端にビス留め等により着脱可能に取り付けられており、摩耗した場合には新しいものに交換可能となっている。なお、クリーニングリング41のクリーニングロッド40への取付方法はこれに限定されない。
【0033】
クリーニングロッド40の上部には、ピストン42が取り付けられている。この実施の形態では、該ピストン42は、中央部にクリーニングロッド40の挿通孔42aを有した円盤状のものであり、この挿通孔42aにクリーニングロッド40が挿通されて該クリーニングロッド40の外周面に固着されている。なお、ピストン42の形状やクリーニングロッド40への取付構造はこれに限定されない。このピストン42の外周面に装着されたOリング43がシリンダ21の内周面に対し全周にわたって実質的に気密に密着しており、クリーニングロッド40が進退するときには、実質的にこのヘッド本体10の内周面との密着状態を保ったまま、このヘッド本体10の内周面に沿って摺動可能となっている。
【0034】
ポート22を大気に開放した状態でポート23からピストン42の下側に圧縮エアを供給すると、クリーニングロッド40は、その上端が軸受部材32に当接するまで上昇する(第1図(a))。クリーニングロッド40がこの上昇限に位置した状態にあっては、第1図(a)の通り、クリーニングリング41は、少なくともその下端側がヘッド本体10の内周面とセンターロッド30の外周面と間に入り込んでおり、供給口11,12よりも上方においてミキシングチャンバ50の上端側を気密に閉鎖した状態となっている。ポート23を大気に開放した状態でポート22からピストン42の上側に圧縮エアを供給すると、クリーニングロッド40は、クリーニングリング41の下端がヘッド本体10及びセンターロッド30の下端と面一状となるまで下降する(第2図)。クリーニングロッド40、ピストン42、シリンダ21又はヘッド本体10には、クリーニングリング41が第2図の位置にて停止するようにストッパ(図示略)が設けられている。なお、クリーニングロッド40の上下動をその上昇限(第1図(a)の位置)及び下降限(第2図の位置)にて停止させるための構成は、これに限定されない。クリーニングロッド40が下降限まで下降した状態において、クリーニングリング41が若干(クリーニングリング41がヘッド本体10の内周面及びセンターロッド30の外周面との密着状態を維持しうる範囲内において)ヘッド本体10及びセンターロッド30の下端から下方へ突出するように構成されてもよい。
【0035】
このように構成されたミキシングヘッドを用いてウレタン原料の混合を行うには、ヘッド本体10の筒軸心線方向が上下方向となるようにし、クリーニングロッド40を第1図(a)のように上昇限に位置させ、センターロッド30を高速、例えば数千rpmで回転させた状態で、各供給口11,12からポリオール成分及びイソシアネート成分を供給する。これにより、ミキシングチャンバ50内においてこれらの原料が混合される。このミキシングチャンバ50内の混合物は、自然流下によりヘッド本体10の下端から流出して発泡ポリウレタン成形品の成形用金型(図示略)に供給される。必要量の原料を各供給口11,12から供給した後、クリーニングロッド40を第2図の位置まで下降させ、ミキシングチャンバ50内の混合物をヘッド本体10の下端から押し出す。
【0036】
その後、ピストン42を第1図(a)の上昇限まで上昇させた後、次回の原料混合を行う。
【0037】
このミキシングヘッド1にあっては、原料をヘッド本体10とセンターロッド30との間のミキシングチャンバ50に供給し、センターロッド30を回転させることにより原料を混合する。従って、原料を高圧でミキシングチャンバ50に吐出するための高圧ノズルが不要であり、構成が簡易である。また、シリンダ装置20によりクリーニングリング41付きのクリーニングロッド40を進退させてミキシングチャンバ50内の混合物を排出するので、ミキシングチャンバ50内に混合物が殆ど残らず、速やかに排出されるから、混合物の金型への供給精度が良好である。従って、発泡ポリウレタン成形品を効率よく、また精度よく成形することができる。また、このようにクリーニングリング41付きのクリーニングロッド40によりミキシングチャンバ50内の混合物を排出するので、ミキシングチャンバ50内に混合物が殆ど残らず、清掃も容易である。
【0038】
本発明では、ミキシングチャンバ50内の残留混合物を排出するために、上記特許文献1の図5のミキシングヘッドのようにセンターロッド30の外周面とヘッド本体10の内周面とを接触させる必要がないので、ヘッド本体10の内周面とセンターロッド30の外周面とが徒に磨耗することを防止することができる。これにより、ヘッド本体10及びセンターロッド30の耐久性を良好なものとすることが可能である。
【0039】
この実施の形態では、シリンダ21がヘッド本体10に対し着脱可能となっているので、ヘッド本体10をシリンダ装置20と分離し、清掃等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0040】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【0041】
例えば、クリーニングロッド40を進退させるための進退装置は、エアシリンダ装置以外のものであってもよい。エアシリンダ装置以外の進退装置としては、例えば、油圧シリンダやリニアモーター等を用いてもよい。進退装置としてリニアモーターを用いる場合には防爆機構を設ける。
【0042】
本発明のミキシングヘッドは、発泡ポリウレタン成形品の製造以外の用途に用いてもよく、ウレタン原料以外の材料を混合するのに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ミキシングヘッド
10 ヘッド本体
11,12 供給口
20 シリンダ装置
21 シリンダ
30 センターロッド
40 クリーニングロッド
41 クリーニングリング
42 ピストン
50 ミキシングチャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のヘッド本体と、
該ヘッド本体内に回転自在に保持されたセンターロッドと、
該ヘッド本体の内周面とセンターロッドの外周面との間に形成されたミキシングチャンバと、
該センターロッドを回転させる駆動装置と、
該ヘッド本体に設けられた、混合される原料を該ミキシングチャンバ内へ供給するための原料供給部と、
該ミキシングチャンバ内を進退可能なクリーニングロッドと
を備えてなるミキシングヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記クリーニングロッドは、前記センターロッドに外嵌した筒状であり、
該クリーニングロッドを該センターロッドに沿って進退させるための進退装置が該ミキシングヘッドに設けられていることを特徴とするミキシングヘッド。
【請求項3】
請求項2において、前記センターロッドの外周面及びヘッド本体の内周面に沿って摺動する合成樹脂又はゴム製のクリーニングリングが前記クリーニングロッドに取り付けられていることを特徴とするミキシングヘッド。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記進退装置はシリンダ装置であり、前記ヘッド本体に連設されていることを特徴とするミキシングヘッド。
【請求項5】
請求項4において、前記シリンダ装置のシリンダが前記ヘッド本体に着脱可能に連結されていることを特徴とするミキシングヘッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のミキシングヘッドによってポリオール成分とイソシアネート成分とを混合して金型に供給し、発泡ポリウレタン成形品を製造することを特徴とする発泡ポリウレタン成形品の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、前記ミキシングヘッドの前記ミキシングチャンバ内に残留する混合物を前記クリーニングロッドで押し出して金型に供給することを特徴とする発泡ポリウレタン成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−51162(P2012−51162A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194060(P2010−194060)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】