ミクロスフェア薬物担体、調製方法、組成物及びその使用
ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体、該薬物担体を含む製剤及び該製剤の調製方法、並びに該担体の使用が開示される。該担体は、式(I)によって表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリラクチドブロックコポリマー又はその誘導体を、主要な担体材料として含む:CH3O−[CH2−CH2−O]m−[C(O)−CH(CH3)−O]n−R (I)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術の分野に関する。具体的には、本発明は、薬物負荷担体が薬物担体組成物の製剤である薬物担体組成物、及び該製剤の調製方法、並びに該薬物担体組成物の使用に関する。より具体的には、本発明は、薬物負荷担体がナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物の製剤であるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物、及びナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の製剤の調製方法、並びにナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物担体のミクロスフェア製剤は、近年開発された新しい製剤である。新しい薬物担体としてのミクロスフェア担体は、デンプン、タンパク質、キトサン、ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、セルロース及びゼラチン等の生分解性材料で作製される球状担体薬物送達系である。ミクロスフェア中の薬物は、材料に分散又は包埋されて(embed)、粒径が概して0.3〜300μmである球状固体を形成する。典型的には、1μm未満の粒径を持つ球体はナノスフェア又はミリミクロスフェアと呼ばれ、1μm超の粒径を持つ球体はミクロスフェアと呼ばれる。該球体は、活性分子を患部組織及びヒト臓器へ運搬し、次いで、標的臓器における薬物放出を制御することができ、これによって多くの有害な薬物反応を低減させることができるだけでなく、薬物の選択性及び治療指数を改善することもできる。制御放出及び標的化薬物送達系の開発のためのミクロスフェア薬物担体を開発し使用することに重要な意義がある。
【0003】
伝統的な製剤と比較して、ミクロスフェア製剤は下記の利点を有する:(1)投与用量及び頻度を大幅に低減させること、並びに患者のコンプライアンスを改善すること、(2)半減期の短い薬物の作用時間を延長し、且つ薬物濃度をインビボで安定に保つことができる長い持続放出時間、(3)より低い毒性及び副作用、(4)標的化、(5)酸及び酵素による破壊からポリペプチド及びタンパク質を保護するために薬物の安定性を改善すること。
【0004】
新しい技術、新しい過程及び新しい材料の開発に伴って、長時間作用型生分解性注射用ミクロスフェアが新しい薬物製剤の最も重要な研究分野の1つとなってきた。とりわけこの10年の間に、新しい生分解性ポリマーがミクロスフェア製剤にとって重要な担体となってきており、一般に使用されるのは、ポリ乳酸(PLA,polylactic acid)、ポリグリコール酸(PGA,polyglycolic acid)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー(PLGA,polylactic acid-polyglycolic acid copolymer)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート等であり、ここで、PLA及びPLGAは、望ましい安全性、生体適合性及び生分解性を有し、FDAによって臨床使用を承認されている。該ポリマーは元来、外科手術用の縫合糸及び骨を固定するためのネジ等にされるものであったが、今や、これらから作製される市場の製品は、リュープロレリンミクロスフェア(Lupron Depot)、トリプトレリンミクロスフェア(Trelstar Depot)、オクトレオチドミクロスフェア(Sandostatin LAR)、ソマトトロピンミクロスフェア(Neutropin Depot)及びゴセレリンインプラント(Zoladex)等を包含する。
【0005】
ミクロスフェアは、卓越した発展の潜在性を持つ一種の新しい薬物担体であるが、市場に出すことが困難ないくつかの薬物を直接的にもたらす多くの問題を現在も依然として有する。そのような問題は、例えば、低いカプセル化効率及び薬物負荷率;ミクロスフェアの形状及びインビボでの生分解等によって引き起こされる薬物の非ゼロレベル放出;薬物放出をより効率的に最も適切な期間に発生させると認められていないこと;いくつかの疾患の包括的な予防及び治療を実現することができないような、持続放出系における薬物の異なる放出手順及び放出速度についての不十分な研究;並びに観念化が認められていないこと等である。これらの問題は、実質的に、薬物担体材料の特性の欠陥に起因するものである。
【0006】
ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー及びポリカプロラクトン等はすべて脂溶性フラグメントから構成され、これらの巨大分子化合物は、それらの分子量を制御することによって薬物放出速度を調節することができるだけである。しかしながら、巨大分子化合物の重合に影響を与える多くの要因があるため、材料の合成時に理想的な分子量を得ることは困難である。その上、薬物負荷ミクロスフェアを調製する場合、いくつかの親水性化合物の薬物負荷率及びカプセル化効率は、高い脂溶性特質のためにより低くなっている。近年、多くの研究がポリ乳酸−ポリグリコール酸ミクロスフェアに焦点を合わせており、該ミクロスフェアは、担体材料の分解によって強酸であるグリコール酸を放出し得ることから、皮下注射又は静脈注射後、投与部位又は血管に対して強い刺激(irritation)を引き起こし得る。これらの理由により、これらの高分子材料の薬物担体としての使用は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、薬物カプセル化効率及び薬物負荷率が改善され、一定の薬物放出速度を有し、投与部位に対しても血管に対しても刺激(irritation)がなく、且つ毒性及び副作用がより低い、新しい薬物担体系を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
薬物ミクロスフェア製剤についての研究作業中、本発明の発明者は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を薬物ミクロスフェアの担体材料として使用することにより、上記の問題を実質的に解決し得ることを見出すことが出来た。
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、より高い薬物負荷率及びカプセル化効率、投与部位に対しても血管に対しても刺激(stimulation)なしに制御可能な薬物放出速度を有するナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物を提供することであり;本発明の別の目的は、薬物負荷担体が上述した薬物担体組成物である薬物負荷ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を提供することであり;本発明のまた別の目的は、薬物負荷ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するための方法を提供することであり;本発明のさらなる目的は、前記ミクロスフェア薬物担体組成物の使用を提供することである。
【0010】
本発明の上記の目的を目指して、本発明の技術的解決法は次の通りである。
【0011】
一態様において、本発明は、下記の式(I)で表される薬物担体生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体:
【0012】
【化1】
(I)
【0013】
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、ここでx=1〜8、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体を提供する。
【0014】
好ましくは、上述した薬物担体に従って、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体のHLB値は0.01〜19.84である。
【0015】
好ましくは、上述した薬物担体に従って、薬物担体は、薬物放出速度を調節するための1又は2以上の他の高分子材料をさらに包含し、好ましくは、他の高分子材料対式(I)で表される生分解性コポリマー又はその誘導体の質量比は0%〜50%である。
【0016】
別の態様において、本発明は、薬物製剤が上記の薬物担体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を提供する。
【0017】
好ましくは、上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤に従って、ナノスフェア又はミクロスフェアは、上記の薬物担体で薬学的活性成分を包むことによって調製されるナノスフェア又はミクロスフェアであり、好ましくは、薬学的活性成分は、下記:抗結核薬、抗ハンセン病薬、抗ウイルス薬、抗マラリア薬、抗アメーバ薬、抗トリコモナス薬、抗フィラリア薬、駆虫薬、広域スペクトル抗生物質、抗真菌薬、鎮痛薬、鎮痛解熱薬、抗痛風薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱(antidepressants)薬、脳血管、脳代謝に作用する薬物、及び向知性薬、カルシウムアンタゴニスト、慢性心不全を治療するための薬物、抗不整脈薬、末梢血管拡張薬、血中脂質調節及び抗動脈硬化薬、白血球の増殖を促進するための薬物、抗血小板薬、ホルモン(hormons)薬、避妊薬、血糖降下薬、甲状腺ホルモン(hormones)薬及び抗甲状腺薬、抗新生物薬、免疫に作用する薬物、痩せ薬、抗骨粗しょう症薬、並びに前立腺肥大に対する薬物の1又は2以上から選択される。
【0018】
好ましくは、薬学的活性成分は、下記:リファンピン、アムロジピン、スタブジン、アジスロマイシン、ナプロキセン、ロピニロール、パロキセチン、シンナリジン、ロバスタチン、フルベストラント、オルリスタット、フルコナゾール、塩酸トラマドール、カルバマゼピン、クラリスロマイシン、メロキシカム、プロベネシド、塩酸チオリダジン、チミペロン、クロルプロチキセン、リスペリドン、アルプラゾラム、トラゾドン、ファムシクロビル、塩酸アミトリプチリン、ニモジピン、ドネペジル、カプトプリル、ノルエチンドロン、グリクラジド及びメルファランの1又は2以上から選択される。
【0019】
より好ましくは、薬学的活性成分は、フルベストラント、ナプロキセン又はカルバマゼピンである。
【0020】
好ましくは、上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤に従って、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径は100nm〜1mmであり、薬物負荷率は、0.01%〜30%、好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20%〜30%である。
【0021】
別の態様において、本発明は、
a.上記に記載されている溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬学的活性成分を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してナノスフェア又はミクロスフェアを形成するステップ、
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、
好ましくは、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該溶解した担体材料を含有する該溶媒系における該薬学的活性成分の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、
好ましくは、該非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンであり、
好ましくは、該溶媒系対該非溶媒系の体積比が10:1〜1:10であるステップ、且つ/或いは
好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を該非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0:10〜2:10であるステップを包含する、
上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法を提供する。
【0022】
好ましくは、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための上述した方法に従って、方法は、
a.薬学的活性成分及び上述した担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.該油相を水性相に添加し、乳化して水中油滴(O/W)型エマルションを獲得するステップ、
c.該O/W型エマルションを撹拌し、加温して、該O/W型エマルション中の該有機溶媒を完全に揮発させるステップ、
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップを包含し、
好ましくは、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、薬物対該担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、該油相における該担体材料の好ましい濃度が1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール(polylol)溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液であり、該水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、
好ましくは、使用されるpH調整剤が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基及び緩衝塩から選択され、且つ/或いは
好ましくは、該油相対該水性相の体積比が1:300〜1:5である。
【0023】
好ましくは、上記の調製する方法に従って、方法は、
a.上記に記載されている通りの溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を溶解する又は分散させるステップ、
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを包含し、
ここで、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該担体材料の溶媒系に溶解又は分散された薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、
好ましくは、該担体材料が可塑剤をさらに含み、より好ましくは、該可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、該可塑剤対該担体材料の質量比が0%〜50%であり、且つ/或いは
好ましくは、該溶媒系が固着防止剤をさらに含み、該固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0%〜100%である。
【0024】
別の態様において、本発明は、下記の式(I)で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体:
【0025】
【化2】
(I)
【0026】
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
の、薬物担体の調製における使用を提供する。
【0027】
本発明の目的は、下記の技術的解決法によって実現することもできる。
一態様において、本発明は、下記の構造式(I)で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体
【0028】
【化3】
(I)
【0029】
[m=4〜454であり、
n=4〜2778であり、
Rは、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
を、主要な担体材料として包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物を提供する。
【0030】
構造式(I)から、高分子ポリマー担体材料は、親水性フラグメントであるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール及び親油性フラグメントであるポリ乳酸又はその誘導体から構成されることが分かる。この特性のために、薬物担体組成物は、種々の薬物を包むのに適しており、満足な薬物負荷率及びカプセル化効率を得ることができる。一方で、薬物放出速度に関して、担体材料の親水性−親油性バランス(HLB,hydrophile-lipophile balance)値は、親油性及び親水性フラグメントのサイズを制御することによって調節でき、それにより、薬物放出速度の制御性を実際に実現する。
【0031】
担体材料の相対分子量は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(212〜20000)−ポリ乳酸又はその誘導体(288〜200000)である。好ましくは、担体材料の相対分子量は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(1000〜10000)−ポリ乳酸又はその誘導体(5000〜100000)である。
【0032】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、薬物担体組成物は、親水性薬物、又はポリエチレングリコールフラグメント及びポリ乳酸フラグメントとの良好な親和性を有する薬物を包むために使用される。加えて、本発明の薬物担体組成物は、脂溶性薬物を包むのにもやはり適している。いくつかの脂溶性薬物については、ポリ乳酸の末端基−Rを、それらの特性(電荷等)に従って修飾して、より高い薬物負荷率及びカプセル化効率を持つ担体ミクロスフェアを得るように、担体材料との薬物の親和性を増強することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、Rは構造式(I)中の−Hであり、別の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH3であり、また別の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH2CH3であり、またいくつかの他の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH2(CH2)xCH3であり、ここでx=1〜8である。いくつかの脂溶性薬物については、いくつかの実施形態において、構造式(I)中のRは負に荷電した末端基であり、好ましくは、該負に荷電した末端基は、−COCH2CH2CO2H等の1個の負電荷、−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H等の2個の負電荷及び−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]等の4個の負電荷で荷電している。いくつかの他の実施形態において、構造式(I)中のRは正に荷電した末端基であり、好ましくは、該正に荷電した末端基は、−COCH2CH2NH2等の1個の正電荷、−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2等の2個の正電荷及び−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]等の4個の正電荷で荷電している。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CO2Hである。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2Hである。別の好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]である。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NH2である。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2である。別の好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]である。
【0033】
本発明において使用される担体材料のHLB値は、0.01〜19.84である。包まれる薬物の特性及び薬物放出速度の要求に基づいて、異なるHLB値を持つ担体材料が選択され得る。加えて、薬物担体は、薬物放出速度を調節するために、1又は2以上の他の高分子材料を補助材料としてさらに包含し得る。好ましくは、他の高分子材料対担体材料の質量比は0%〜50%である。他の高分子材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン等である。
【0034】
1つの好ましい実施形態において、本発明によるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体は、Rが、正に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンであり、包まれている薬学的活性成分が、負に荷電した基を持つ薬物、例えばナプロキセン等である、上述した式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する。Rが、正に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンである、式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、本発明のナノスフェア(nanpsphere)又はミクロスフェア薬物担体を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤は、他の担体材料を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤と比較して、優れたカプセル化効率、薬物負荷率の有意な増大及びインビトロにおける薬物放出速度の持続を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、本発明によるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体は、Rが、負に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸であり、包まれている薬学的活性成分が、正に荷電した基を持つ薬物、例えばカルバマゼピン等である、上述した式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する。Rが、負に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸である、式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤は、他の担体材料を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤と比較して、優れたカプセル化効率、薬物負荷率の有意な増大及びインビトロにおける薬物放出速度の持続を有する。
【0036】
別の態様において、本発明は、薬物担体が、本発明による上述した薬物担体組成物である、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を提供する。
【0037】
好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤において、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径は100nm〜1mmである。
【0038】
薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤において、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は0.01%〜30%であり、好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は5%〜30%であり、より好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は10%〜30%であり、最も好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は20%〜30%である。
【0039】
本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、異なる投与経路で使用され得る。一実施形態において、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、経口調製物である。別の実施形態において、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、静脈又は皮下注射使用のための注射剤にされる。
【0040】
別の態様において、本発明は、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法をさらに提供する。本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、相分離法、液中乾燥法又は噴霧乾燥法等の種々の方法を用いて調製され得る。
【0041】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために相分離法が使用され、該方法は、下記のステップ;
a.本発明の溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してミクロスフェア又はナノスフェアを形成するステップ、好ましくは、ゆっくり添加し、撹拌若しくは高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して分散させるステップ、
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該担体材料を溶解した溶媒系における薬物の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、好ましくは、撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力が1〜10回で200〜2000バールであり、マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回で100〜2000バールであり、好ましくは、該非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンであり、好ましくは、該溶媒系対該非溶媒(nonslovent)系の体積比が10:1〜1:10であり、好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を該非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0:10〜2:10であるステップ
を包含する。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために液中乾燥法が使用され、該方法は、下記のステップ:
a.薬物及び本発明の担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.該油相を水性相に添加し、乳化して水中油滴(O/W)型エマルションを獲得するステップ、好ましくは、撹拌若しくは高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して乳化するステップ、
c.該O/W型エマルションを撹拌し、加温して、該O/W型エマルション中の該有機溶媒を完全に揮発させるステップ、
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップを包含し、
ここで、該薬物対該担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、好ましくは、該油相における該担体材料の濃度が1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液であり、水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、好ましくは、pH値を調整するために使用される材料が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基又は緩衝塩であり、好ましくは、該油相対該水性相の体積比が1:300〜1:5であり、好ましくは、機械的撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザー及び該マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回で100〜1500バールである。
【0043】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために噴霧乾燥法が使用され、該方法は、下記のステップ:
a.本発明の担体材料の溶媒系に薬物を溶解する又は分散させるステップ、
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを包含し、
ここで、好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該担体材料の溶媒系に溶解又は分散された薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、好ましくは、該担体材料が可塑剤をさらに含み、好ましくは、該可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、該可塑剤対該担体材料の質量比が0%〜50%であり、好ましくは、該溶媒系が固着防止剤をさらに含み、該固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0%〜100%である。
【0044】
本発明において開示されている薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法において、ナノスフェア/ミクロスフェアは、大気圧下、減圧下で乾燥させてよく、又は凍結乾燥によって乾燥させてよい。好ましい実施形態において、大気乾燥及び減圧下での乾燥の温度は25℃〜80℃である。好ましい実施形態において、凍結乾燥の予備凍結温度(pre-freezed temperature)は−25℃〜−45℃であり、一次乾燥温度は15℃〜40℃である。
【0045】
加えて、本発明において開示されている薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法において、担体材料の溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルであってよく、前述の溶媒は、単独で又は混合物中で使用され得る。
【0046】
別の態様において、本発明は、疾患を治療するための本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の使用をさらに提供する。治療される疾患の種類は、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤に含有される薬物に依存する。
【0047】
また別の態様において、本発明は、薬剤の調製における本発明のナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物の使用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0048】
先行技術と比較して、本発明の有利な技術的効果は、以下を包含する。
本発明のミクロスフェア薬物担体に関しては、本発明のブロックコポリマー性高分子担体材料の合成が制御可能であるため、分子量、高分子コポリマーの親水性/親油性フラグメントの比を適切に選択すること、及び包まれている薬物の異なる特性に従って異なる活性官能基を位置付けることを可能にし、それにより、薬物カプセル化効率及び薬物負荷率を増大させ、薬物放出速度の制御性を実現する。例えば、これらの新しい高分子材料を合成する場合、HLB値(親水性−親油性バランス)は、担体材料が異なる薬物に適するようにし、且つ異なる臨床治療に適し、投薬の異なる目的を実現するように、薬物担体に異なる薬物放出特質を与える、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール並びにポリ乳酸及びその誘導体の分子量を、予め算出することによって制御できる。
【0049】
本発明の薬物担体を使用する薬物組成物、例えば薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤に関しては、インビボにおける薬物の濃度は、それらの薬物放出速度の持続により、長時間一定レベルに維持され得、頻回投与によって引き起こされる血中濃度の変化を回避し、一般的な製剤と比較して、薬物の安定性を増大させ、毒性及び副作用を低減させ、且つ患者の薬物安全性を改善する。加えて、高分子ポリマーの分解は、グリコール酸を生成せず、投与部位に対しても血管に対しても刺激(stimulation)を引き起こさず、このことが、薬物安全性を大幅に改善させる。
【0050】
コポリマーミクロスフェアの調製方法については、液中乾燥法が本技術において最も使用され、液中乾燥法において最も使用される溶媒はジクロロメタンであり、アセトンを使用することもある。界面活性剤を含む水溶液が連続相として最も使用され、脱イオン水を使用することもある。撹拌が乳化の方法において最も使用され、超音波を使用することもある。ゆっくり加温しながらの連続乾燥法が凝固の方法として最も使用され、急速回転蒸発を使用することもある。本発明においては相分離法及び噴霧乾燥法が使用され、そのいずれも、良好な調製効果を実現した。一方で(Meanwile)、本発明は、先行技術と比較して下記の明確な特質及び利点を有する薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために液中乾燥法を改善した。
1)ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチル等の単一又は混合有機溶媒が本発明において使用され、これらの有機溶媒のすべては水中におけるある特定の溶解性を有し、したがって、液中乾燥法に特に適している。
2)界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液が本発明の連続相として使用され、該溶液は、先行技術において使用される脱イオン水と比較して、エマルション滴の形成及び安定化にとってより有益である。
3)本発明において使用される機械的攪拌、高速せん断、高圧均質化又はマイクロジェットポンプ等の乳化法は、超音波乳化法よりもミクロスフェアの粒径を制御することが容易である。
4)急速乾燥回転蒸発法と比較して、本発明において使用される凝固のための、ゆっくり加温しながらの連続乾燥法は、凝固中にミクロスフェアがその形状を確実に保つようにすることは容易であるが、集合させること及び解体することは困難であり、カプセル化効率の低減をもたらす。加えて、本発明のミクロスフェアの薬物放出速度は、より安定である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の分子量分布の試験スペクトルを示す図である。
【図2】実施例2において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、5000/8000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図3】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図4】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のDSC−Tg試験スペクトルを示す図である。
【図5】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のDSC−Tf試験スペクトルを示す図である。
【図6】実施例4において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の分子量分布の試験スペクトルを示す図である。
【図7】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図8】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のDSC−Tg試験スペクトルを示す図である。
【図9】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のDSC−Tf試験スペクトルを示す図である。
【図10】実施例6において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、15000/55000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図11】実施例7において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/40000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図12A−12B】実施例9において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−デカン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図13】実施例9において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−デカン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図14A−14B】実施例10において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図15】実施例10において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図16A−16B】実施例11において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図17A−17B】実施例12において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図18】実施例12において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図19A−19B】実施例13において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図20】実施例13において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図21A−21B】実施例14において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図22】実施例14において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図23A−23B】実施例15において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図24】実施例15において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図25】実施例46におけるフルベストラントミクロスフェア試料1(ポリ乳酸−グリコール酸コポリマーが主要な担体材料として使用される)の皮下注射後の、ラットにおける血漿−時間曲線中の薬物濃度を示す図である。
【図26】実施例46におけるフルベストラントミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)の皮下注射後の、ラットにおける血漿−時間曲線中の濃度を示す図である。
【図27】実施例47におけるナプロキセンミクロスフェア試料1(ポリ乳酸−グリコール酸コポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図28】実施例47におけるナプロキセンミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図29】実施例48におけるカルバマゼピンミクロスフェア試料1(ポリ乳酸が主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図30】実施例48におけるカルバマゼピンミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸ブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図31】実施例49において化合物担体材料及び単一担体材料によって調製されるカルバマゼピンミクロスフェアの薬物放出曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
下記の実施例を参照して本発明をさらに詳細に例証するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0053】
下記の実施例において、使用される薬物の供給源、使用される試薬の基準及び製造業者、並びに機器のモデル及び製造業者等は、表1〜4に示されている。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
下記の実施例1〜14は、本発明の代表的なメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びその誘導体の調製を例示するものである。
【0059】
試薬:D,L−ラクチド、L−ラクチド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(mPEG)、スズオクトエート、ジクロロメタン、無水エチルエーテル、無水エタノール及び酢酸エチル。
【0060】
機器:高速液体クロマトグラフ(Waters 2695、US Waters Corp.社製);電子分析天秤(Beijing Sartorius Balance Co., Ltd.社製、China);ZKAB-35真空乾燥炉;恒温乾燥炉;デシケーター;SHB-III水循環真空ポンプ;Y90S-4油真空ポンプ;DF-101S恒温マグネチックスターラー等。
【0061】
反応方程式:
【0062】
【化4】
【実施例1】
【0063】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の調製
分量の割合:4gのD,L−ラクチド、4gのメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(mPEG、Mw=10000)、0.16gのスズオクトエート
【0064】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、200pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を200pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で2時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6gであり、収率は約75%である。
【0065】
試験結果:GPCによって決定された分子量の分布結果を図1及び表5に示す。
【0066】
【表5】
【実施例2】
【0067】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、5000/8000)の調製
分量の割合:9gのD,L−ラクチド、5gのmPEG(Mw=5000)、1gのスズオクトエート
【0068】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を60℃に加熱し、150pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約12gであり、収率は約85.7%である。
【0069】
試験結果:H−NMR試験結果を図2及び表6に示す。
【0070】
【表6】
【実施例3】
【0071】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)の調製
分量の割合:10.4gのD,L−ラクチド、1.01gのmPEG(Mw=2000)、0.26gのスズオクトエート
【0072】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を60℃に加熱し、180pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を180pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6.6gであり、収率は約59.8%である。
【0073】
試験結果:H−NMR及びDSC試験結果を図3〜5及び表7〜8に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【実施例4】
【0076】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の調製
分量の割合:4gのD,L−ラクチド、4gのmPEG(Mw=10000)、0.16gのスズオクトエート
【0077】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、190pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を180pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で2時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6gであり、収率は約75%である。
【0078】
試験結果:分子量の分布のGPC試験結果を図6及び表9に示す。
【0079】
【表9】
【実施例5】
【0080】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)の調製
分量の割合:8gのD,L−ラクチド、1.5gのmPEG(Mw=20000)、0.06gのスズオクトエート
【0081】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、150pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密封された状況である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約7.6gであり、収率は約80%である。
【0082】
試験結果:H−NMR及びDSC試験結果を図7〜9及び表10〜11に示す。
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【実施例6】
【0085】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、15000/55000)の調製
分量の割合:25.5gのD,L−ラクチド、7gのmPEG(Mw=15000)、0.28gのスズオクトエート
【0086】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を70℃に加熱し、170pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約21gであり、収率は約64%である。
【0087】
試験結果:H−NMR試験結果を図10及び表12に示す。
【0088】
【表12】
【実施例7】
【0089】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/40000)の調製
分量の割合:30gのD,L−ラクチド、1.5gのmPEG(Mw=2000)、0.3gのスズオクトエート
【0090】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を70℃に加熱し、200pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を200pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約27.5gであり、収率は約87.5%である。
【0091】
試験結果:H−NMR試験結果を図11及び表13に示す。
【0092】
【表13】
【実施例8】
【0093】
mPEG−PLA(2000/40000)−メチルの調製
分量の割合:7.0gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.0gの水素化ナトリウム、2mlのヨードメタン
【0094】
操作:mPEG−PLA(2000/40000)ポリマー及び水素化ナトリウムを、80mlの乾燥テトラヒドロフランに添加し、25℃で1.5時間撹拌しながら反応させる。次いで、ヨードメタンを混合物に添加し、25℃で24時間撹拌しながら反応させる。1mlの無水エタノールを混合物に添加し、30分間撹拌する。混合物の溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで、20mlのジクロロメタンを混合物に添加する。濾過後、濾液を250mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れる。得られた混合物を50℃の真空乾燥炉に入れ、1〜2日間乾燥させて、6.1gの白色粉末状固体を得る。
【0095】
構造式:
【0096】
【化5】
【0097】
試験結果:生成物はテトラヒドロフラン等の有機溶媒に不溶性であるため、検出できない。
【実施例9】
【0098】
mPEG−PLA(2000/20000)−デカンの調製
分量の割合:7.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.45gの水素化ナトリウム、2mlのブロモデカン
【0099】
操作:mPEG−PLA(2000/20000)ポリマー及び0.45gの水素化ナトリウムを、80mlの乾燥テトラヒドロフランに添加し、25℃で1.5時間撹拌しながら反応させる。次いで、ブロモデカンを混合物に添加し、25℃で42時間撹拌しながら反応させる。混合物を蒸発乾固させ、次いで、80mlのジクロロメタンを添加する。濾過後、濾液を蒸発させる。20mlのジクロロメタンを再度添加して生成物を溶解し、次いで、溶液を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れる。得られた混合物を50℃の真空乾燥炉に入れ、1〜2日間乾燥させて、4.88gの白色粉末状固体を得る。
【0100】
構造式:
【0101】
【化6】
【0102】
試験結果を表14に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図12A及び12Bに示し、GPC試験結果を図13に示す。
【0103】
【表14】
【実施例10】
【0104】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸の調製
分量の割合:30.0gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.0gのコハク酸無水物、0.1gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,dicyclohexylcarbodiimide)
【0105】
操作:30.05gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.07gのコハク酸無水物、0.1gのDCC及び130mlのジクロロメタンを、250mlの三つ口フラスコに添加する。次いで、20mlのDMFを添加し、25℃で24時間撹拌する。溶媒を蒸発させて、黄色っぽい褐色の粘性液体を得る。80mlのジクロロメタンを添加して粘性液体を十分に溶解し、次いで、生じた溶液を、1800mlの無水エチルエーテルに激しく(voilent)かき混ぜながら注ぎ入れる。次いで、10mlの濃塩酸を混合物に添加し、1時間撹拌する。濾過後、濾過ケーキを自然乾燥させ、80mlのジクロロメタンに溶解し、次いで、500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキを無水エチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.4gの白色綿毛状固体を得る。
【0106】
構造式:
【0107】
【化7】
【0108】
試験結果を表15に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図14A及び14Bに示し、GPC試験結果を図15に示す。
【0109】
【表15】
【実施例11】
【0110】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸の調製
分量の割合:10.0gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸、0.17gのHoBt、0.1gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、0.1gのL−グルタミン酸
【0111】
操作:10.0gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸及び70mlのジクロロメタンを、100mlの三つ口フラスコに添加し、撹拌して溶解する。0.09gのDCC及び0.17gのHoBtを生じた溶液に添加し、次いで、20mlのDMFを添加する。混合物を0℃に冷却し、8時間撹拌する。反応混合物を濾過し、次いで、0.10gのL−グルタミン酸を濾液に添加し、終夜撹拌し、自然に加温させ、25℃で10時間反応させる。反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。次いで、生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、7.0gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0112】
構造式:
【0113】
【化8】
【0114】
試験結果を表16に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図16A及び16Bに示す。
【0115】
【表16】
【実施例12】
【0116】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2の調製
分量の割合:
第一ステップ:2.0gのN−Boc−グルタミン酸、3.51gのDCC、2.35gのHoBt、2.57gのL−グルタミン酸
第二ステップ:1.07gの第一ステップの生成物
第三ステップ:10.05gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸、0.11gのDCC、0.18gのHoBt、0.31gの第二ステップの生成物
【0117】
操作:
第一ステップ:100mlの三つ口フラスコに、2.0gのN−Boc−グルタミン酸、3.51gのDCC、2.35gのHoBtを添加し、次いで、70mlのテトラヒドロフランを添加し、撹拌して溶解し、0℃に冷却し、4時間撹拌する。反応混合物を濾過し、濾液を、120mlのテトラヒドロフラン中の2.57gのL−グルタミン酸の溶液に添加し、終夜撹拌し、自然に加温させ、続いて25℃で10時間反応させる。反応混合物を蒸発させ、これに100mlのジクロロメタンを添加し、次いで0.5時間撹拌し、濾過する。濾液を、飽和重炭酸ナトリウム溶液及び飽和クエン酸溶液でそれぞれ2回洗浄し、次いで飽和生理食塩水で1回洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。5mlの無水エチルエーテルを残留物に添加し、続いて、ボトルの壁面を優しく拭き取り、固体が次第に沈殿し、冷蔵庫内で終夜冷却し、次いで濾過して、2.3gの白色固体(I)を得る。
【0118】
第二ステップ:第一ステップにおいて得られた1.07gの固体(I)を、20mlのジクロロメタンに添加し、室温で撹拌すると、固体は実質的に不溶性である。2mlのトリフルオロ酢酸をゆっくり添加した後、固体はまもなく完全に溶解し、30分間撹拌する。生じた溶液を蒸発させ、これに20mlのジクロロメタンを添加し、全体的に溶解するまで撹拌し、蒸発させる。この手順をもう一度繰り返す。5mlの無水エチルエーテルを蒸留フラスコに添加すると、続いてすぐに白色沈殿物の出現があり、冷蔵庫内で終夜冷却し、次いで濾過する。次いで、フィルターケージを30℃で2日間真空乾燥させて、0.85gの白色固体(II)を得る。
【0119】
第三ステップ:100mlの三つ口フラスコに、10.05gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸、0.11gのDCC及び0.18gのHoBtを添加し、続いて、70mlのジクロロメタン及び20mlのDMFを添加する。混合物を撹拌し、次いで、氷水浴中で終夜冷却する。0.31gの上記で調製した固体(II)を0℃の系に添加し、続いて25℃まで加温し、10時間反応させる。反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキを無水エチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、7.0gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0120】
構造式:
【0121】
【化9】
【0122】
試験結果を表17に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図17A及び17Bに示し、GPC試験結果を図18に示す。
【0123】
【表17】
【実施例13】
【0124】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニンの調製
分量の割合:15.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.93gのDCC、0.05gのDMAP、0.51gのN−Boc−Ala
【0125】
操作:100mlの三つ口フラスコに、15.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.93gのDCC、0.05gのDMAP及び0.51gのN−Boc−Alaを添加し、続いて、ジクロロメタン(70ml)及びDMF(20ml)を添加する。混合物を撹拌して溶解し、25℃で24時間反応させ、次いで濾過する。5mlのトリフルオロ酢酸を濾液にゆっくり添加し、生じた混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒の一部を蒸発させ、次いで、混合物を750mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで70mlのジクロロメタンに溶解する。次いで、溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、50℃で2日間真空乾燥させて、12.85gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0126】
構造式:
【0127】
【化10】
【0128】
試験結果を表18に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図19A及び19Bに示し、GPC試験結果を図20に示す。
【0129】
【表18】
【実施例14】
【0130】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジンの調製
分量の割合:6.0gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン、0.12gのDCC、0.16gのN−Boc−N−Fmoc−リジン、0.09gのHoBt
【0131】
操作:100mlの三つ口フラスコに、0.16gのN−Boc−N−Fmoc−リジン及び0.12gのDCCを添加し、続いて20mlのジクロロメタンを添加する。次いで、混合物を撹拌し、0℃に冷却し、続いて0.09gのHoBtを添加する。生じた混合物を0℃で7時間撹拌し、濾過する。濾液を、30mlのジクロロメタン中の6.0gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニンの溶液に添加し、氷水浴下で1時間撹拌し、続いて25℃で終夜撹拌する。
【0132】
5mlのトリフルオロ酢酸を反応混合物に添加し、室温で6時間撹拌し、次いで、15mlのトリエチルアミンを添加し、室温で終夜撹拌する。
【0133】
反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.2gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0134】
構造式:
【0135】
【化11】
【0136】
試験結果を表19に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図21A及び21Bに示し、GPC試験結果を図22に示す。
【0137】
【表19】
【実施例15】
【0138】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン−リジン2の調製
分量の割合:
第一ステップ:2.81gのN−Boc−N−Fmoc−リジン、0.91gのHoBt、1.42gのDCC、0.65gのリジン
第二ステップ:0.16gの第一ステップの生成物、0.07gのDCC、0.06gのHoBt、6.62gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン
【0139】
操作:
第一ステップ:100mlの三つ口フラスコに、2.81gのN−Boc−N−Fmoc−リジン及び30mlのTHFを添加し、続いて0.91gのHoBtを添加し、0℃に冷却し、1.42gのDCCを添加し、次いで、0℃で6時間撹拌し、濾過する。濾液を、30mlのTHF中の0.65gのリジンの溶液に添加し、0℃で1時間撹拌し、次いで25℃で10時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、次いで、10mlのジクロロメタンを添加し、濾過する。濾液を、飽和炭酸ナトリウム溶液、飽和クエン酸溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ2回洗浄し、乾燥させ、ほぼ蒸発乾固させる。2mlの無水エチルエーテルを残留物に添加し、続いてゆっくり振とうすると、次いで固体が出現する。混合物を冷蔵庫内で終夜冷却し、濾過し、濾過ケーキを50℃で真空乾燥させて、1.53gの白色固体(I)を得る。
【0140】
第二ステップ:上記のステップから得られた0.16gの白色固体(I)、0.07gのDCC、0.06gのHoBt及び20mlのジクロロメタンを、氷水浴中で8時間撹拌する。濾過後、濾液を、50mlのジクロロメタン中の6.62gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジンの溶液に添加し、続いて25℃で終夜撹拌する。
【0141】
5mlのトリフルオロ酢酸を反応混合物に添加し、室温で2時間撹拌し、次いで、15mlのトリエチルアミンを添加し、室温で終夜撹拌する。
【0142】
反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.6gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0143】
構造式:
【0144】
【化12】
【0145】
試験結果を表20に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図23A及び23Bに示し、GPC試験結果を図24に示す。
【0146】
【表20】
【0147】
下記の実施例16〜45は、相分離法、液中乾燥法又は噴霧乾燥法等の上述した方法により、本発明の代表的なメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を担体として使用して調製される、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の典型的な例を提供するものである。
【実施例16】
【0148】
リファンピンミクロスフェアの調製
処方:
【0149】
【表21】
【0150】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は約2000/30000であり、その構造式は、
【0151】
【化13】
m≒45 n≒417
【0152】
である。
【0153】
調製方法:液中乾燥法を使用する。リファンピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、2500rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、次いで、1000バールの圧力で、マイクロジェットポンプを用いて3回均質化する。生じたエマルションを室温に置き、250rpmの撹拌速度で3時間撹拌し、30℃にゆっくり加熱し、1時間撹拌し続け、40℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で3回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0154】
適応症:主として結核症及び他の肺結核又はハンセン病(lepriasis)に使用する。この製品は、経口投与、皮下注射又は静脈注射してよい。
【0155】
主成分:リファンピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0156】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.6〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は円形である。
【0157】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.3%である。
【0158】
カプセル化効率:78.4%。
【実施例17】
【0159】
アムロジピンミクロスフェアの調製
処方:
【0160】
【表22】
【0161】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/40000であり、その構造式は、
【0162】
【化14】
m≒226 n≒555
【0163】
である。
【0164】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アムロジピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを35℃の水浴に置き、300rpmの撹拌速度で1時間撹拌し続け、40℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で3回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0165】
適応症:主として高血圧症に使用する。この製品は、経口投与又は皮下注射してよい。
【0166】
主成分:アムロジピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/40000)
【0167】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0168】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.5%である。
【0169】
カプセル化効率:75.3%。
【実施例18】
【0170】
スタブジンミクロスフェアの調製
処方:
【0171】
【表23】
【0172】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/30000であり、その構造式は、
【0173】
【化15】
m≒113 n≒417
【0174】
である。
【0175】
調製方法:調製には相分離法を使用する。ポリイソブチルエステルをシクロヘキサンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをクロロホルムに添加し、音波破砕して溶解する。次いで、50μm未満の粒径に微粉化したスタブジンを添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜる。生じた混合物を溶媒相として使用し、6000rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらにせん断し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、50μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0176】
適応症:主としてAIDS感染症及び他のウイルス感染症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0177】
主成分:スタブジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/30000)
【0178】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:50μm〜1mm、大部分は250〜800μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0179】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は43.8%である。
【0180】
カプセル化効率:83.6%。
【実施例19】
【0181】
アジスロマイシンナノスフェアの調製
処方:
【0182】
【表24】
【0183】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/10000であり、その構造式は、
【0184】
【化16】
m≒45 n≒139
【0185】
である。
【0186】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アジスロマイシン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下、室温で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、続いて、室温及び800バールの圧力で、高圧ホモジナイザーを用いて3回均質化する。エマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで、40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0187】
適応症:主として、感受性微生物によって引き起こされる、気道、皮膚及び軟部組織の感染症に使用する。この製品は、静脈注射又は皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0188】
主成分:アジスロマイシン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/10000)
【0189】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.5〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0190】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は10.2%である。
【0191】
カプセル化効率:64.3%。
【実施例20】
【0192】
ナプロキセンミクロスフェアの調製
処方:
【0193】
【表25】
【0194】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0195】
【化17】
m≒45 n≒555
【0196】
である。
【0197】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0198】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0199】
主成分:ナプロキセン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0200】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0201】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.4%である。
【0202】
カプセル化効率:89.2%。
【実施例21】
【0203】
ロピニロールミクロスフェアの調製
処方:
【0204】
【表26】
【0205】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0206】
【化18】
m≒45 n≒278
【0207】
である。
【0208】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、モノステアリン酸グリセリン、クエン酸トリエチル及びロピニロールを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、4L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0209】
適応症:主としてパーキンソン病に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0210】
主成分:ロピニロール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0211】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0212】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は22.6%である。
【0213】
カプセル化効率:55.1%。
【実施例22】
【0214】
パロキセチンミクロスフェアの調製
処方:
【0215】
【表27】
【0216】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/15000であり、その構造式は、
【0217】
【化19】
m≒226 n≒208
【0218】
である。
【0219】
調製方法:液中乾燥法を使用する。パロキセチン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを凍結乾燥(予備凍結温度は−40℃であり、一次乾燥温度は30℃である)して、生成物を得る。
【0220】
適応症:主として鬱病の治療に使用される。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0221】
主成分:パロキセチン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/15000)
【0222】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0223】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.4%である。
【0224】
カプセル化効率:63.2%。
【実施例23】
【0225】
シンナリジンミクロスフェアの調製
処方:
【0226】
【表28】
【0227】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/8000であり、その構造式は、
【0228】
【化20】
m≒113 n≒111
【0229】
である。
【0230】
調製方法:液中乾燥法を使用する。シンナリジン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、5000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0231】
適応症:主として、脳血栓症、脳梗塞、脳動脈硬化症、脳出血の回復期、くも膜下出血の回復期、外傷後脳症候群、平衡異常及び平衡障害、冠動脈(cronary)硬化症及び血液供給障害、並びに不健康な末梢循環によって引き起こされる疾患に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0232】
主成分:シンナリジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/8000)
【0233】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0234】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.4%である。
【0235】
カプセル化効率:82.0%。
【実施例24】
【0236】
ロバスタチンミクロスフェアの調製
処方:
【0237】
【表29】
【0238】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/40000であり、その構造式は、
【0239】
【化21】
m≒113 n≒555
【0240】
である。
【0241】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、コレステロール、フタル酸ジエチル及びロバスタチンを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、4L/分の窒素圧、60℃の流入空気温度及び15%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0242】
適応症:主として脂質異常症に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0243】
主成分:ロバスタチン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/40000)
【0244】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0245】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は27.2%である。
【0246】
カプセル化効率:54.4%。
【実施例25】
【0247】
フルベストラントミクロスフェアの調製
処方:
【0248】
【表30】
【0249】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0250】
【化22】
m≒45 n≒278
【0251】
である。
【0252】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0253】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0254】
主成分:フルベストラント、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0255】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0256】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.5%である。
【0257】
カプセル化効率:68.0%。
【実施例26】
【0258】
オルリスタットミクロスフェアの調製
処方:
【0259】
【表31】
【0260】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0261】
【化23】
m≒45 n≒417
【0262】
である。
【0263】
調製方法:調製には相分離法を使用する。オレイン酸ナトリウムを純水に添加し、撹拌して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びオルリスタットをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を溶媒相として使用し、800rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらにせん断し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて800μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0264】
適応症:主として脂肪症及び脂質異常症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0265】
主成分:オルリスタット、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0266】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜800μm、大部分は150〜600μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0267】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は56.6%である。
【0268】
カプセル化効率:75.1%。
【実施例27】
【0269】
フルコナゾールミクロスフェアの調製
処方:
【0270】
【表32】
【0271】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は20000/80000であり、その構造式は、
【0272】
【化24】
m≒454 n≒1111
【0273】
である。
【0274】
調製方法:調製には相分離法を使用する。オレイン酸ナトリウムを純水に添加し、撹拌して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。次いで、微粉化したフルコナゾール(粒径は50μm未満である)を添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜる。生じた混合物を溶媒相として使用し、800rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらに撹拌し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、80μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間乾燥させて、生成物を得る。
【0275】
適応症:主として真菌感染症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0276】
主成分:フルコナゾール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=20000/80000)
【0277】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:80μm〜1mm、大部分は250〜850μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0278】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は73.3%である。
【0279】
カプセル化効率:69.5%。
【実施例28】
【0280】
塩酸トラマドールミクロスフェアの調製
処方:
【0281】
【表33】
【0282】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/5000であり、その構造式は、
【0283】
【化25】
m≒22 n≒69
【0284】
である。
【0285】
調製方法:調製には相分離法を使用する。
(1)5mlのジクロロメタン及び処方量のSpan-85をシリコーン油に添加し、均質化して貯蔵する。
(2)塩酸トラマドール及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーを5mlのジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。
(3)(2)を(1)に添加し、均質化し、ミクロスフェアが生成されなくなるまで、1000rpmの撹拌速度下で石油エーテルにゆっくり添加し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、50μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間乾燥させて、生成物を得る。
【0286】
適応症:主として鎮痛剤に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0287】
主成分:塩酸トラマドール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/5000)
【0288】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:50〜1000μm、大部分は150〜600μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0289】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は65.8%である。
【0290】
カプセル化効率:66.7%。
【実施例29】
【0291】
クラリスロマイシンミクロスフェアの調製
処方:
【0292】
【表34】
【0293】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/10000であり、その構造式は、
【0294】
【化26】
m≒45 n≒139
【0295】
である。
【0296】
調製方法:液中乾燥法を使用する。クラリスロマイシン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、続いて、800バールの圧力で高圧ホモジナイザーを用いて2回均質化する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを凍結乾燥(予備凍結温度は−40℃であり、一次乾燥温度は35℃である)して、生成物を得る。
【0297】
適応症:主として、感受性微生物によって引き起こされる感染症に使用する。この製品は、静脈注射又は皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0298】
主成分:クラリスロマイシン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/10000)
【0299】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.5〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0300】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は21.0%である。
【0301】
カプセル化効率:78.3%。
【実施例30】
【0302】
メロキシカムミクロスフェアの調製
処方:
【0303】
【表35】
【0304】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約1000/40000であり、その構造式は、
【0305】
【化27】
m≒22 n≒555
【0306】
である。
【0307】
調製方法:液中乾燥法を使用する。メロキシカム及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0308】
適応症:主として、関節リウマチ、強直性脊椎炎及び変形性関節炎等に使用する。この製品は、関節内注射及び皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0309】
主成分:メロキシカム、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/40000)
【0310】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0311】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は14.3%である。
【0312】
カプセル化効率:73.8%。
【実施例31】
【0313】
プロベネシドミクロスフェアの調製
処方:
【0314】
【表36】
【0315】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/30000であり、その構造式は、
【0316】
【化28】
m≒45 n≒417
【0317】
である。
【0318】
調製方法:液中乾燥法を使用する。プロベネシド及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、2000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0319】
適応症:主として痛風等の治療に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0320】
主成分:プロベネシド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0321】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜70μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0322】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.7%である。
【0323】
カプセル化効率:88.2%。
【実施例32】
【0324】
塩酸チオリダジンミクロスフェアの調製
処方:
【0325】
【表37】
【0326】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/30000であり、その構造式は、
【0327】
【化29】
m≒45 n≒417
【0328】
である。
【0329】
調製方法:液中乾燥法を使用する。塩酸チオリダジン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0330】
適応症:主として統合失調症の治療に使用し、統合失調症、ベサニア(vesania)、並びに興奮、不安及び緊張を伴う更年期症候群に適用可能である。この製品は、皮下注射してよい。
【0331】
主成分:塩酸チオリダジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0332】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0333】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.6%である。
【0334】
カプセル化効率:88.7%。
【実施例33】
【0335】
チミペロンミクロスフェアの調製
処方:
【0336】
【表38】
【0337】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、
【0338】
【化30】
m≒45 n≒555
【0339】
である。
【0340】
調製方法:液中乾燥法を使用する。チミペロン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0341】
適応症:主として統合失調症の治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0342】
主成分:チミペロン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0343】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0344】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は15.6%である。
【0345】
カプセル化効率:78.8%。
【実施例34】
【0346】
クロルプロチキセンミクロスフェアの調製
処方:
【0347】
【表39】
【0348】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0349】
調製方法:液中乾燥法を使用する。クロルプロチキセン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0350】
適応症:主として、不安又は鬱病を伴う統合失調症、閉経期鬱病及び不安神経症等に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0351】
主成分:クロルプロチキセン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0352】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0353】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.5%である。
【0354】
カプセル化効率:87.3%。
【実施例35】
【0355】
リスペリドンミクロスフェアの調製
処方:
【0356】
【表40】
【0357】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0358】
調製方法:液中乾燥法を使用する。リスペリドン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0359】
適応症:主として統合失調症の治療に使用し、とりわけ、陽性及び陰性症状並びにそれらに付随する情動性症状(不安及び鬱病等)に対して、より良好な治療効果を有する。この製品は、皮下注射してよい。
【0360】
主成分:リスペリドン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0361】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜70μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0362】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.0%である。
【0363】
カプセル化効率:86.7%。
【実施例36】
【0364】
アルプラゾラムミクロスフェアの調製
処方:
【0365】
【表41】
【0366】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0367】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アルプラゾラム及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0368】
適応症:主として、不安、鬱病及び不眠症を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0369】
主成分:アルプラゾラム、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0370】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0371】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.5%である。
【0372】
カプセル化効率:83.3%。
【実施例37】
【0373】
トラゾドンミクロスフェアの調製
処方:
【0374】
【表42】
【0375】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約10000/100000であり、その構造式は、
【0376】
【化31】
m≒226 n≒1389
【0377】
である。
【0378】
調製方法:液中乾燥法を使用する。トラゾドン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、5000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを35℃の水浴に入れ、2時間撹拌し、次いで、40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0379】
適応症:主として鬱病を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0380】
主成分:トラゾドン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/100000)
【0381】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0382】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.5%である。
【0383】
カプセル化効率:90.6%。
【実施例38】
【0384】
ファムシクロビルミクロスフェアの調製
処方:
【0385】
【表43】
【0386】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0387】
【化32】
m≒45 n≒278
【0388】
である。
【0389】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、モノステアリン酸グリセリン及びファムシクロビルを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0390】
適応症:主としてウイルス感染症に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0391】
主成分:ファムシクロビル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0392】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0393】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は36.9%である。
【0394】
カプセル化効率:56.7%。
【実施例39】
【0395】
塩酸アミトリプチリンミクロスフェアの調製
処方:
【0396】
【表44】
【0397】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0398】
【化33】
m≒45 n≒555
【0399】
である。
【0400】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、セバシン酸ジブチル及び塩酸アミトリプチリンを順に添加し、撹拌して溶解する。次いで、生じた溶液にシリカゲル粉末を添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜ、次いで、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0401】
適応症:主として、種々の鬱病及び抑鬱状態を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0402】
主成分:塩酸アミトリプチリン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0403】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0404】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は33.4%である。
【0405】
カプセル化効率:52.1%。
【実施例40】
【0406】
ニモジピンミクロスフェアの調製
処方:
【0407】
【表45】
【0408】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0409】
【化34】
m≒45 n≒417
【0410】
である。
【0411】
調製方法:ニモジピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、6L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0412】
適応症:主として、急性脳血管疾患の回復期中の血液循環及び種々の原因によって引き起こされるくも膜下出血後の脳血管攣縮を改善するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0413】
主成分:ニモジピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0414】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0415】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は44.7%である。
【0416】
カプセル化効率:56.5%。
【実施例41】
【0417】
ドネペジルミクロスフェアの調製
処方:
【0418】
【表46】
【0419】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/40000であり、その構造式は、
【0420】
【化35】
m≒226 n≒555
【0421】
である。
【0422】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、生じた溶液にフタル酸ジメチル及びドネペジルを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、80%のリングファンブロー率、8L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0423】
適応症:主として老年性認知症を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0424】
主成分:ドネペジル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/40000)
【0425】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:1〜10μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0426】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は27.5%である。
【0427】
カプセル化効率:54.0%。
【実施例42】
【0428】
カプトプリルミクロスフェアの調製
処方:
【0429】
【表47】
【0430】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/30000であり、その構造式は、
【0431】
【化36】
m≒22 n≒417
【0432】
である。
【0433】
調製方法:カプトプリル及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、7L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び30%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0434】
適応症:主として高血圧症に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0435】
主成分:カプトプリル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/30000)
【0436】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:1〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0437】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は47.7%である。
【0438】
カプセル化効率:58.6%。
【実施例43】
【0439】
ノルエチンドロンミクロスフェア
処方:
【0440】
【表48】
【0441】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/30000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0442】
調製方法:ノルエチンドロン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、70%のリングファンブロー率、6L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0443】
適応症:主として女性の避妊に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0444】
主成分:ノルエチンドロン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/30000)
【0445】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0446】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は36.7%である。
【0447】
カプセル化効率:56.6%。
【実施例44】
【0448】
グリクラジドミクロスフェアの調製
処方:
【0449】
【表49】
【0450】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0451】
【化37】
m≒45 n≒417
【0452】
である。
【0453】
調製方法:グリクラジド及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、80%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0454】
適応症:主として、成人型糖尿病、脂肪症又は血管病変を伴う糖尿病患者に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0455】
主成分:グリクラジド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0456】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0457】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は33.9%である。
【0458】
カプセル化効率:51.5%。
【実施例45】
【0459】
メルファランミクロスフェアの調製
処方:
【0460】
【表50】
【0461】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0462】
【化38】
m≒45 n≒555
【0463】
である。
【0464】
調製方法:メルファラン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0465】
適応症:主として、多発性骨髄腫、乳がん、卵巣がん、慢性リンパ球性及び顆粒球性白血病、並びに悪性リンパ腫等に使用し、動脈灌流によって四肢悪性黒色腫、軟部組織肉腫及び骨肉腫を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0466】
主成分:メルファラン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0467】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0468】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は18.6%である。
【0469】
カプセル化効率:53.7%。
【0470】
下記の実施例46〜49は、本発明の代表的な薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の薬学的対照実験及びインビボ薬物動態学的対照実験を提供するものである。
【実施例46】
【0471】
異なる担体材料を用いて調製したフルベストラントミクロスフェアの、ラットにおける薬物動態についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)であるフルベストラントミクロスフェア
処方:
【0472】
【表51】
【0473】
注記:ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(50/50、Mw=40000)の構造式は、
【0474】
【化39】
m≒350 n≒350
【0475】
である。
【0476】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びPLGAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する(篩上に多くの材料固体があるが、顕微鏡下で観察すると球体であることはほとんどあり得ない)。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する(濾液中には10μm未満の数個のミクロスフェアがある)。ミクロスフェアを回収し、500mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、計3.52gの乾燥生成物を約64%の収率で得る。
【0477】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0478】
主成分:フルベストラント、ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(50/50、Mw=40000)
【0479】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0480】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.6%である。
【0481】
カプセル化効率:60.2%。
【0482】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーであるフルベストラントミクロスフェア
処方:
【0483】
【表52】
【0484】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0485】
【化40】
m≒45 n≒555
【0486】
である。
【0487】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する(篩上には150μmを超えるミクロスフェアがほとんどない)。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する(濾液中には10μm未満の数個のミクロスフェアがある)。ミクロスフェアを回収し、500mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、計4.41gの乾燥生成物を約80%の収率で得る。
【0488】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0489】
主成分:フルベストラント、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0490】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0491】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は11.0%である。
【0492】
カプセル化効率:87.7%。
【0493】
2)ラットにおける薬物動態実験
実験ユニット:中国薬科大学(China Pharmaceutical University)
【0494】
機器:オートサンプラー、カラムオーブン、エレクトロスプレーイオン化インターフェース、2695液体クロマトグラフ及びMasslynx 4.0 MSワークステーションを含有するMicromass Quattroミクロ液体クロマトグラフ−質量分析器;METTLER社製10万分の1の電子天秤;Milli-Q Water Purifier;MICROMAX 3591 Centrifuge卓上高速遠心分離機(THERMO ELECTRON社製);タービンミキサー(Huxi analytical instrument factory社製、Shanghai、China)。
【0495】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のメタノール;残りの試薬は市販の分析的に純粋なもの;自家調製し、Milli-Q Water Purifierで精製した再蒸留水。
【0496】
被検薬物:
薬学的活性成分、フルベストラント:99%
フルベストラントミクロスフェアの試料1:8.6%
フルベストラントミクロスフェアの試料2:11.0%
ミクロスフェア試料の溶媒:2ボトル、50ml/ボトル
上述した製品はすべて、中国Xi'an Libang Pharmaceutical Co., Ltd.社によって提供される。
【0497】
フルベストラントミクロスフェアの試料はすべて、ミクロスフェア試料の溶媒を使用して10mg/mlに調製する。
【0498】
エモジン:中国葯品生物制品検定所によって提供される内部標準、バッチ番号:0756−200110であり、含有量決定に使用される。
【0499】
HPLC条件:
移動相:メタノール:水=85:15(v:v)
クロマトグラフィーカラム:100×2.0mm、shim-pack;プレカラムphenomenex社製C18(ODSオクタデシル)、4mm×2.0 ID 10/pk;カラム温度:35℃;注入体積:5μL;流速:0.2ml/分;
LC−MS−MS条件:
毛細管電圧:3.00kV;コーン電圧:30V;抽出器電圧:3.00V;RFレンズ電圧:0.3V;ソース温度:120℃;脱溶媒和温度:400℃;コーンガス流速:30L/時;脱溶媒和ガス流速:500L/時;LM1分解能:13.0;HM1分解能:13.0;イオンエネルギー:10.5;入口:−2;衝突:20;出口:2;LM2分解能:13.0;HM2分解能:13.0;イオンエネルギー:10.5;ガス電池ピラニ圧力:4.0e−3ミリバール;フルベストラント:[M-H+] m/z 605.6→427.4;エモジン:[M-H+] m/z 269.4→225.1.
【0500】
実験方法:
12匹のラット(rates)はすべて180〜220gの体重を持つ雌である。ラットを2つの群に分け、各群が6匹のラットを有するものとし、これらは試料1及び2の群である。処方の異なる50mg/kg(すなわち1ml/200g)のフルベストラント製剤を、ラットに皮下注射する。投与の前後0.5、1、3、6、10、24時間、2、4、7、10、14、21、28日目及び5、6、7、8、9、10、11、12、13週目にそれぞれ0.3mlの血液を眼窩静脈からヘパリン化チューブに回収し、3500rpmで10分間遠心分離する。血漿(0.1ml)を量化して回収し、分析の準備を整える。
【0501】
データ分析:
AUC、Tmax及びCmax並びに他のパラメーターは、各動物における血漿中濃度−時間のデータを使用して算出する。
【0502】
結果を、図25、図26及び表21に示す。
【0503】
【表53】
【0504】
実験結果:試料1と比較して、試料2は、より大きいAUC値、より長い半減期及びより平滑な血漿中薬物濃度を有する。試料1は、明白なバースト効果、血漿中薬物濃度曲線における明白な二重ピーク、及び血漿中薬物濃度における大規模な変化を有する。結果は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーによって調製されたフルベストラントミクロスフェアが、より卓越した薬物負荷率及びカプセル化効率を有するだけでなく、より平滑な薬物放出速度及びより長い持続放出効果の継続時間も有することを示す。
【実施例47】
【0505】
異なる担体材料を用いて調製したナプロキセンミクロスフェアのインビトロ放出についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA、75/25、40000の分子量)であるナプロキセンミクロスフェア
処方:
【0506】
【表54】
【0507】
注記:ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(75/25、Mw=40000)の構造式は、
【0508】
【化41】
m≒465 n≒155
【0509】
である。
【0510】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びPLGAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。せん断機の上に多量の材料が付着していることが分かる。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上に多くの材料固体があるが、顕微鏡下で観察すると球体であることはほとんどあり得ない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、1.45gの乾燥ミクロスフェアを60.3%の収率で得る。
【0511】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0512】
主成分:ナプロキセン、ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(75/25、Mw=40000)
【0513】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0514】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は13.3%である。
【0515】
カプセル化効率:47.6%。
【0516】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニン(mPEG−PLA−アラニン、Mw=2000/40000)であるナプロキセンミクロスフェア
処方:
【0517】
【表55】
【0518】
注記:mPEG−PLA−アラニンの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0519】
【化42】
m≒45 n≒555
【0520】
である。
【0521】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びmPEG−PLA−アラニンをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。せん断機の上に付着している材料固体はないことが分かる。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、150μmの篩目で濾過すると、篩上に材料固体はほとんどない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、2.05gの乾燥ミクロスフェアを85.4%の収率で得る。
【0522】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0523】
主成分:ナプロキセン、mPEG−PLA−アラニン(Mw=2000/40000)
【0524】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜40μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0525】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.3%である。
【0526】
カプセル化効率:88.4%。
【0527】
2)インビトロ薬物放出についての研究
機器:JASCO社から入手されるSHA-A恒温水浴振動器、及び高速液体クロマトグラフ(UV-2075 UV検出器、PU-2089注入ポンプ、AS-2055オートサンプラー)。
【0528】
被検薬物:中国Chongqing Southwest No. 2 Pharmaceutical Factory Co., Ltd.社から入手される純度99.0%のナプロキセン。
【0529】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のメタノール;中国Xi'an Chemical Reagent Factory社から入手される分析的に純粋なリン酸二水素カリウム、リン酸;英国CRODA Inc.社から入手されるTween-80。
【0530】
クロマトグラフィー条件:HPLC法を使用する。オクタデシルシラン化学的結合シリカゲルを充填剤として、メタノール−0.01mol/Lリン酸二水素カリウム溶液(75:25、pH値はリン酸を用いて3.0に調節する)を移動相として、240nmの検出波長及び1.0ml/分の流速で使用する。
【0531】
実験方法:各0.1gのミクロスフェアを有する6つの試料をそれぞれ正確に秤量し、6つのガラス輸液ボトルにそれぞれ入れる。37℃に予熱した100mlの0.2%Tween-80溶液を、ガラス輸液ボトルのそれぞれに正確に添加する。ガラス輸液ボトルをゴムストッパーで堅く閉め、アルミニウムキャップで蓋をし、水平状態の37℃±2℃の水浴中で迅速に固定し、水平方向に約4cmの振幅及び1分間当たり100回の頻度で直ちに振とうする。振とうの1、2、4、8、24、28、32及び48時間後に、ボトルのそれぞれからゴムストッパーを経由して1mlの懸濁液を抽出し(懸濁液中の内容物が沈殿していた場合には、振とうして分布を均一化した後に抽出すべきである)、次いで、1mlの0.2%Tween-80溶液をボトルのそれぞれに補充する。懸濁液を、被検試料溶液として0.2μmのフィルター膜に通して濾過する。加えて、滴量のナプロキセンを正確に秤量し、これに移動相を添加して溶解し、それを、対照溶液として1mlの溶液当たり50μgのナプロキセンを含有するように希釈する。20μlの対照溶液及び20μlの被検試料溶液を正確に取り、クロマトグラフに注入する。クロマトグラムを記録し、累積放出量を、外部標準法によりピーク面積を用いて算出する。
【0532】
実験結果及び結論:実験結果を図27及び図28に示す。実験結果は、試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率がすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度が試料1のものよりも平滑であることを示す。
【0533】
ナプロキセンの化学構造は次の通りである。
【0534】
【化43】
【0535】
ナプロキセンの構造において、カルボキシル基のイオン化後に電気陰性基を生成することになり、一方、試料2において使用される担体材料は、電気陽性基を運搬するmPEG−PLA−アラニンである。この担体材料の特殊な化学特性のために、ナプロキセンと担体材料との間の親和性は、試料2のミクロスフェア薬物担体において大幅に増強しており、それにより、薬物負荷率及びカプセル化効率を改善する。他方で、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体には親水基ポリエチレングリコールが含有され、ミクロスフェアの形成及び凝固に寄与し、薬物担体ミクロスフェアの収率を改善する。しかしながら、試料1の担体材料は、この化学特性を保有しない。試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率はすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度は試料1のものよりも平滑である。
【実施例48】
【0536】
異なる担体材料を用いて調製したカルバマゼピンミクロスフェアのインビトロ放出についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸(PLA、Mw=40000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0537】
【表56】
【0538】
注記:ポリ乳酸(PLA、Mw=40000)の構造式は、
【0539】
【化44】
n≒555
【0540】
である。
【0541】
調製方法:液中乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びポリ乳酸をジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上に球体に形成されない多くの材料固体がある。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、1.40gの乾燥ミクロスフェアを63.5%の収率で得る。
【0542】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽(glossopharyngsal)神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0543】
主成分:カルバマゼピン、ポリ乳酸(PLA、Mw=40000)
【0544】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0545】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.2%である。
【0546】
カプセル化効率:56.3%。
【0547】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸(mPEG−PLA−コハク酸、Mw=2000/40000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0548】
【表57】
【0549】
注記:mPEG−PLA−コハク酸の重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、
【0550】
【化45】
m≒45 n≒555
【0551】
である。
【0552】
調製方法:液中乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びmPEG−PLA−コハク酸をジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上にはいかなる材料固体も大きなミクロスフェアもほとんどない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中には数個の小さなミクロスフェアがある。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、1.75gの乾燥ミクロスフェアを79.1%の収率で得る。
【0553】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0554】
主成分:カルバマゼピン、mPEG−PLA−コハク酸(Mw=2000/40000)
【0555】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜40μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0556】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.3%である。
【0557】
カプセル化効率:76.7%。
【0558】
2)インビトロ薬物放出についての研究
機器:JASCO社から入手されるSHA-A恒温水浴振動器、及び高速液体クロマトグラフ(UV-2075 UV検出器、PU-2089注入ポンプ、AS-2055オートサンプラー)
【0559】
被検薬物:中国Changzhou Yabang Pharmaceutical Co., Ltd.社から入手される純度99.5%のカルバマゼピン。
【0560】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のアセトニトリル及びメタノール;中国Xi'an Chemical Reagent Factory社から入手される分析的に純粋な氷酢酸;中国Tianjin Kermel Chemical Reagent Co., Ltd.社から入手される分析的に純粋なヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド。
【0561】
クロマトグラフィー条件:HPLC法を使用する。オクタデシルシラン化学的結合シリカゲルを充填剤として、アセトニトリル−メタノール−0.05%(v/v)氷酢酸溶液(5:5:90)を移動相として、230nmの検出波長及び1.0ml/分の流速で使用する。
【0562】
実験方法:各0.1gのミクロスフェアを有する6つの試料をそれぞれ正確に秤量し、6つのガラス輸液ボトルにそれぞれ入れる。37℃に予熱した100mlの0.01%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド溶液を、ガラス輸液ボトルのそれぞれに正確に添加する。ガラス輸液ボトルをゴムストッパーで堅く閉め、アルミニウムキャップで蓋をし、水平状態の37℃±2℃の水浴中で迅速に固定し、水平方向に約4cmの振幅及び1分間当たり100回の頻度で直ちに振とうする。振とうの1、2、4、8、24、28、32、40及び48時間後に、ボトルのそれぞれからゴムストッパーを経由して1mlの懸濁液を抽出し(懸濁液中の内容物が沈殿していた場合には、振とうして分布を均一化した後に抽出すべきである)、次いで、1mlの0.01%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド溶液をボトルのそれぞれに補充する。懸濁液を、被検試料溶液として0.2μmのフィルター膜に通して濾過する。加えて、滴量のカルバマゼピンを正確に秤量し、これに移動相を添加して溶解し、それを、対照溶液として1mlの溶液当たり25μgのカルバマゼピンを含有するように希釈する。20μlの対照溶液及び20μlの被検試料溶液を正確に取り、クロマトグラフに注入する。クロマトグラムを記録し、累積放出量を、外部標準法によりピーク面積を用いて算出する。
【0563】
実験結果及び結論:実験結果を図29及び図30に示す。実験結果は、試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率がすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度が試料1のものよりも平滑であり、試料2には試料1のようなバースト効果がないことを示す。
【0564】
カルバマゼピンの化学構造は次の通りである。
【0565】
【化46】
【0566】
カルバマゼピンの構造において、アミド基がイオン化する際に電気陽性基を生成することになり、一方、試料2において使用される担体材料は、電気陰性基を持つmPEG−PLA−コハク酸である。この担体材料の特殊な化学特性のために、カルバマゼピンと担体材料との間の親和性は大幅に増強しており、それにより、試料2のミクロスフェア薬物担体における薬物負荷率及びカプセル化効率を改善する。他方で、mPEG−PLA−コハク酸は、親水基ポリエチレングリコールを包含し、ミクロスフェアの形成及び凝固に寄与し、薬物担体ミクロスフェアの収率を改善する。しかしながら、試料1の担体材料は、この化学特性を保有しない。試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率はすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度は試料1のものよりも平滑である。
【実施例49】
【0567】
カルバマゼピンミクロスフェアのインビトロ薬物放出挙動に対する化合物担体材料及び単一mPEG−PLA担体材料の影響
1)カルバマゼピンミクロスフェアの調製
A.試料1:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、Mw=1000/5000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0568】
【表58】
【0569】
調製方法:噴霧乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びmPEG−PLAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素流速、30℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0570】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防又は治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0571】
主成分:カルバマゼピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/5000)
【0572】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm、ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0573】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.0%である。
【0574】
カプセル化効率:33.30%。
【0575】
B.試料2:その担体材料が、50%のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、Mw=1000/5000)及び50%のポリ乳酸(PLA、Mw=40000)を包含する化合物担体材料である、カルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0576】
【表59】
【0577】
調製方法:噴霧乾燥法を使用する。カルバマゼピン、mPEG−PLA及びPLAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素流速、30℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0578】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0579】
主成分:カルバマゼピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びポリ乳酸
【0580】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm、ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0581】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.2%である。
【0582】
カプセル化効率:36.3%。
【0583】
2)実施例48と同じ方法を用いるインビトロ薬物放出についての研究
実験結果及び結論:実験結果を図31に示す。実験結果は、これらの2つの試料の形状、薬物負荷率及びカプセル化効率が同様であることを示す。試料2は試料1に満たないが、これら2つの試料はいずれもある特定のバースト効果を有する。試料2の薬物放出速度は、試料1のものよりも遅く、これは理論上の推論と一致する。この実験結果は、mPEG−PLAポリマーに、ポリ乳酸等の異なる特性を持つ適当な他のポリマーを添加することにより、担体ミクロスフェアの薬物放出速度を調節し得ることを示唆している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術の分野に関する。具体的には、本発明は、薬物負荷担体が薬物担体組成物の製剤である薬物担体組成物、及び該製剤の調製方法、並びに該薬物担体組成物の使用に関する。より具体的には、本発明は、薬物負荷担体がナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物の製剤であるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物、及びナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の製剤の調製方法、並びにナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物担体のミクロスフェア製剤は、近年開発された新しい製剤である。新しい薬物担体としてのミクロスフェア担体は、デンプン、タンパク質、キトサン、ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、セルロース及びゼラチン等の生分解性材料で作製される球状担体薬物送達系である。ミクロスフェア中の薬物は、材料に分散又は包埋されて(embed)、粒径が概して0.3〜300μmである球状固体を形成する。典型的には、1μm未満の粒径を持つ球体はナノスフェア又はミリミクロスフェアと呼ばれ、1μm超の粒径を持つ球体はミクロスフェアと呼ばれる。該球体は、活性分子を患部組織及びヒト臓器へ運搬し、次いで、標的臓器における薬物放出を制御することができ、これによって多くの有害な薬物反応を低減させることができるだけでなく、薬物の選択性及び治療指数を改善することもできる。制御放出及び標的化薬物送達系の開発のためのミクロスフェア薬物担体を開発し使用することに重要な意義がある。
【0003】
伝統的な製剤と比較して、ミクロスフェア製剤は下記の利点を有する:(1)投与用量及び頻度を大幅に低減させること、並びに患者のコンプライアンスを改善すること、(2)半減期の短い薬物の作用時間を延長し、且つ薬物濃度をインビボで安定に保つことができる長い持続放出時間、(3)より低い毒性及び副作用、(4)標的化、(5)酸及び酵素による破壊からポリペプチド及びタンパク質を保護するために薬物の安定性を改善すること。
【0004】
新しい技術、新しい過程及び新しい材料の開発に伴って、長時間作用型生分解性注射用ミクロスフェアが新しい薬物製剤の最も重要な研究分野の1つとなってきた。とりわけこの10年の間に、新しい生分解性ポリマーがミクロスフェア製剤にとって重要な担体となってきており、一般に使用されるのは、ポリ乳酸(PLA,polylactic acid)、ポリグリコール酸(PGA,polyglycolic acid)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー(PLGA,polylactic acid-polyglycolic acid copolymer)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート等であり、ここで、PLA及びPLGAは、望ましい安全性、生体適合性及び生分解性を有し、FDAによって臨床使用を承認されている。該ポリマーは元来、外科手術用の縫合糸及び骨を固定するためのネジ等にされるものであったが、今や、これらから作製される市場の製品は、リュープロレリンミクロスフェア(Lupron Depot)、トリプトレリンミクロスフェア(Trelstar Depot)、オクトレオチドミクロスフェア(Sandostatin LAR)、ソマトトロピンミクロスフェア(Neutropin Depot)及びゴセレリンインプラント(Zoladex)等を包含する。
【0005】
ミクロスフェアは、卓越した発展の潜在性を持つ一種の新しい薬物担体であるが、市場に出すことが困難ないくつかの薬物を直接的にもたらす多くの問題を現在も依然として有する。そのような問題は、例えば、低いカプセル化効率及び薬物負荷率;ミクロスフェアの形状及びインビボでの生分解等によって引き起こされる薬物の非ゼロレベル放出;薬物放出をより効率的に最も適切な期間に発生させると認められていないこと;いくつかの疾患の包括的な予防及び治療を実現することができないような、持続放出系における薬物の異なる放出手順及び放出速度についての不十分な研究;並びに観念化が認められていないこと等である。これらの問題は、実質的に、薬物担体材料の特性の欠陥に起因するものである。
【0006】
ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー及びポリカプロラクトン等はすべて脂溶性フラグメントから構成され、これらの巨大分子化合物は、それらの分子量を制御することによって薬物放出速度を調節することができるだけである。しかしながら、巨大分子化合物の重合に影響を与える多くの要因があるため、材料の合成時に理想的な分子量を得ることは困難である。その上、薬物負荷ミクロスフェアを調製する場合、いくつかの親水性化合物の薬物負荷率及びカプセル化効率は、高い脂溶性特質のためにより低くなっている。近年、多くの研究がポリ乳酸−ポリグリコール酸ミクロスフェアに焦点を合わせており、該ミクロスフェアは、担体材料の分解によって強酸であるグリコール酸を放出し得ることから、皮下注射又は静脈注射後、投与部位又は血管に対して強い刺激(irritation)を引き起こし得る。これらの理由により、これらの高分子材料の薬物担体としての使用は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、薬物カプセル化効率及び薬物負荷率が改善され、一定の薬物放出速度を有し、投与部位に対しても血管に対しても刺激(irritation)がなく、且つ毒性及び副作用がより低い、新しい薬物担体系を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
薬物ミクロスフェア製剤についての研究作業中、本発明の発明者は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を薬物ミクロスフェアの担体材料として使用することにより、上記の問題を実質的に解決し得ることを見出すことが出来た。
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、より高い薬物負荷率及びカプセル化効率、投与部位に対しても血管に対しても刺激(stimulation)なしに制御可能な薬物放出速度を有するナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物を提供することであり;本発明の別の目的は、薬物負荷担体が上述した薬物担体組成物である薬物負荷ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を提供することであり;本発明のまた別の目的は、薬物負荷ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するための方法を提供することであり;本発明のさらなる目的は、前記ミクロスフェア薬物担体組成物の使用を提供することである。
【0010】
本発明の上記の目的を目指して、本発明の技術的解決法は次の通りである。
【0011】
一態様において、本発明は、下記の式(I)で表される薬物担体生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体:
【0012】
【化1】
(I)
【0013】
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、ここでx=1〜8、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体を提供する。
【0014】
好ましくは、上述した薬物担体に従って、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体のHLB値は0.01〜19.84である。
【0015】
好ましくは、上述した薬物担体に従って、薬物担体は、薬物放出速度を調節するための1又は2以上の他の高分子材料をさらに包含し、好ましくは、他の高分子材料対式(I)で表される生分解性コポリマー又はその誘導体の質量比は0%〜50%である。
【0016】
別の態様において、本発明は、薬物製剤が上記の薬物担体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を提供する。
【0017】
好ましくは、上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤に従って、ナノスフェア又はミクロスフェアは、上記の薬物担体で薬学的活性成分を包むことによって調製されるナノスフェア又はミクロスフェアであり、好ましくは、薬学的活性成分は、下記:抗結核薬、抗ハンセン病薬、抗ウイルス薬、抗マラリア薬、抗アメーバ薬、抗トリコモナス薬、抗フィラリア薬、駆虫薬、広域スペクトル抗生物質、抗真菌薬、鎮痛薬、鎮痛解熱薬、抗痛風薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱(antidepressants)薬、脳血管、脳代謝に作用する薬物、及び向知性薬、カルシウムアンタゴニスト、慢性心不全を治療するための薬物、抗不整脈薬、末梢血管拡張薬、血中脂質調節及び抗動脈硬化薬、白血球の増殖を促進するための薬物、抗血小板薬、ホルモン(hormons)薬、避妊薬、血糖降下薬、甲状腺ホルモン(hormones)薬及び抗甲状腺薬、抗新生物薬、免疫に作用する薬物、痩せ薬、抗骨粗しょう症薬、並びに前立腺肥大に対する薬物の1又は2以上から選択される。
【0018】
好ましくは、薬学的活性成分は、下記:リファンピン、アムロジピン、スタブジン、アジスロマイシン、ナプロキセン、ロピニロール、パロキセチン、シンナリジン、ロバスタチン、フルベストラント、オルリスタット、フルコナゾール、塩酸トラマドール、カルバマゼピン、クラリスロマイシン、メロキシカム、プロベネシド、塩酸チオリダジン、チミペロン、クロルプロチキセン、リスペリドン、アルプラゾラム、トラゾドン、ファムシクロビル、塩酸アミトリプチリン、ニモジピン、ドネペジル、カプトプリル、ノルエチンドロン、グリクラジド及びメルファランの1又は2以上から選択される。
【0019】
より好ましくは、薬学的活性成分は、フルベストラント、ナプロキセン又はカルバマゼピンである。
【0020】
好ましくは、上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤に従って、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径は100nm〜1mmであり、薬物負荷率は、0.01%〜30%、好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20%〜30%である。
【0021】
別の態様において、本発明は、
a.上記に記載されている溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬学的活性成分を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してナノスフェア又はミクロスフェアを形成するステップ、
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、
好ましくは、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該溶解した担体材料を含有する該溶媒系における該薬学的活性成分の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、
好ましくは、該非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンであり、
好ましくは、該溶媒系対該非溶媒系の体積比が10:1〜1:10であるステップ、且つ/或いは
好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を該非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0:10〜2:10であるステップを包含する、
上述したナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法を提供する。
【0022】
好ましくは、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための上述した方法に従って、方法は、
a.薬学的活性成分及び上述した担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.該油相を水性相に添加し、乳化して水中油滴(O/W)型エマルションを獲得するステップ、
c.該O/W型エマルションを撹拌し、加温して、該O/W型エマルション中の該有機溶媒を完全に揮発させるステップ、
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップを包含し、
好ましくは、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、薬物対該担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、該油相における該担体材料の好ましい濃度が1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール(polylol)溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液であり、該水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、
好ましくは、使用されるpH調整剤が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基及び緩衝塩から選択され、且つ/或いは
好ましくは、該油相対該水性相の体積比が1:300〜1:5である。
【0023】
好ましくは、上記の調製する方法に従って、方法は、
a.上記に記載されている通りの溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を溶解する又は分散させるステップ、
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを包含し、
ここで、該担体材料の溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、該担体材料の溶媒系に溶解又は分散された薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、
好ましくは、該担体材料が可塑剤をさらに含み、より好ましくは、該可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、該可塑剤対該担体材料の質量比が0%〜50%であり、且つ/或いは
好ましくは、該溶媒系が固着防止剤をさらに含み、該固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0%〜100%である。
【0024】
別の態様において、本発明は、下記の式(I)で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体:
【0025】
【化2】
(I)
【0026】
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
の、薬物担体の調製における使用を提供する。
【0027】
本発明の目的は、下記の技術的解決法によって実現することもできる。
一態様において、本発明は、下記の構造式(I)で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体
【0028】
【化3】
(I)
【0029】
[m=4〜454であり、
n=4〜2778であり、
Rは、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3、(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
を、主要な担体材料として包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物を提供する。
【0030】
構造式(I)から、高分子ポリマー担体材料は、親水性フラグメントであるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール及び親油性フラグメントであるポリ乳酸又はその誘導体から構成されることが分かる。この特性のために、薬物担体組成物は、種々の薬物を包むのに適しており、満足な薬物負荷率及びカプセル化効率を得ることができる。一方で、薬物放出速度に関して、担体材料の親水性−親油性バランス(HLB,hydrophile-lipophile balance)値は、親油性及び親水性フラグメントのサイズを制御することによって調節でき、それにより、薬物放出速度の制御性を実際に実現する。
【0031】
担体材料の相対分子量は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(212〜20000)−ポリ乳酸又はその誘導体(288〜200000)である。好ましくは、担体材料の相対分子量は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(1000〜10000)−ポリ乳酸又はその誘導体(5000〜100000)である。
【0032】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、薬物担体組成物は、親水性薬物、又はポリエチレングリコールフラグメント及びポリ乳酸フラグメントとの良好な親和性を有する薬物を包むために使用される。加えて、本発明の薬物担体組成物は、脂溶性薬物を包むのにもやはり適している。いくつかの脂溶性薬物については、ポリ乳酸の末端基−Rを、それらの特性(電荷等)に従って修飾して、より高い薬物負荷率及びカプセル化効率を持つ担体ミクロスフェアを得るように、担体材料との薬物の親和性を増強することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、Rは構造式(I)中の−Hであり、別の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH3であり、また別の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH2CH3であり、またいくつかの他の実施形態において、Rは構造式(I)中の−CH2(CH2)xCH3であり、ここでx=1〜8である。いくつかの脂溶性薬物については、いくつかの実施形態において、構造式(I)中のRは負に荷電した末端基であり、好ましくは、該負に荷電した末端基は、−COCH2CH2CO2H等の1個の負電荷、−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H等の2個の負電荷及び−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]等の4個の負電荷で荷電している。いくつかの他の実施形態において、構造式(I)中のRは正に荷電した末端基であり、好ましくは、該正に荷電した末端基は、−COCH2CH2NH2等の1個の正電荷、−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2等の2個の正電荷及び−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]等の4個の正電荷で荷電している。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CO2Hである。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2Hである。別の好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]である。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NH2である。1つの好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2である。別の好ましい実施形態において、Rは構造式(I)中の−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]である。
【0033】
本発明において使用される担体材料のHLB値は、0.01〜19.84である。包まれる薬物の特性及び薬物放出速度の要求に基づいて、異なるHLB値を持つ担体材料が選択され得る。加えて、薬物担体は、薬物放出速度を調節するために、1又は2以上の他の高分子材料を補助材料としてさらに包含し得る。好ましくは、他の高分子材料対担体材料の質量比は0%〜50%である。他の高分子材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン等である。
【0034】
1つの好ましい実施形態において、本発明によるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体は、Rが、正に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンであり、包まれている薬学的活性成分が、負に荷電した基を持つ薬物、例えばナプロキセン等である、上述した式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する。Rが、正に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンである、式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、本発明のナノスフェア(nanpsphere)又はミクロスフェア薬物担体を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤は、他の担体材料を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤と比較して、優れたカプセル化効率、薬物負荷率の有意な増大及びインビトロにおける薬物放出速度の持続を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、本発明によるナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体は、Rが、負に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸であり、包まれている薬学的活性成分が、正に荷電した基を持つ薬物、例えばカルバマゼピン等である、上述した式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する。Rが、負に荷電した末端基、例えばメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸である、式(I)で表されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤は、他の担体材料を用いて調製された薬物担体ミクロスフェア又はナノスフェア製剤と比較して、優れたカプセル化効率、薬物負荷率の有意な増大及びインビトロにおける薬物放出速度の持続を有する。
【0036】
別の態様において、本発明は、薬物担体が、本発明による上述した薬物担体組成物である、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を提供する。
【0037】
好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤において、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径は100nm〜1mmである。
【0038】
薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤において、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は0.01%〜30%であり、好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は5%〜30%であり、より好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は10%〜30%であり、最も好ましくは、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの薬物負荷率は20%〜30%である。
【0039】
本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、異なる投与経路で使用され得る。一実施形態において、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、経口調製物である。別の実施形態において、本発明のナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、静脈又は皮下注射使用のための注射剤にされる。
【0040】
別の態様において、本発明は、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法をさらに提供する。本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤は、相分離法、液中乾燥法又は噴霧乾燥法等の種々の方法を用いて調製され得る。
【0041】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために相分離法が使用され、該方法は、下記のステップ;
a.本発明の溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してミクロスフェア又はナノスフェアを形成するステップ、好ましくは、ゆっくり添加し、撹拌若しくは高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して分散させるステップ、
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、
好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該担体材料を溶解した溶媒系における薬物の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、好ましくは、撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力が1〜10回で200〜2000バールであり、マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回で100〜2000バールであり、好ましくは、該非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンであり、好ましくは、該溶媒系対該非溶媒(nonslovent)系の体積比が10:1〜1:10であり、好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を該非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0:10〜2:10であるステップ
を包含する。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために液中乾燥法が使用され、該方法は、下記のステップ:
a.薬物及び本発明の担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.該油相を水性相に添加し、乳化して水中油滴(O/W)型エマルションを獲得するステップ、好ましくは、撹拌若しくは高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して乳化するステップ、
c.該O/W型エマルションを撹拌し、加温して、該O/W型エマルション中の該有機溶媒を完全に揮発させるステップ、
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップを包含し、
ここで、該薬物対該担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、好ましくは、該油相における該担体材料の濃度が1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液であり、水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、好ましくは、pH値を調整するために使用される材料が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基又は緩衝塩であり、好ましくは、該油相対該水性相の体積比が1:300〜1:5であり、好ましくは、機械的撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザー及び該マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回で100〜1500バールである。
【0043】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために噴霧乾燥法が使用され、該方法は、下記のステップ:
a.本発明の担体材料の溶媒系に薬物を溶解する又は分散させるステップ、
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを包含し、
ここで、好ましくは、該溶媒系における該担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、該担体材料の溶媒系に溶解又は分散された薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、好ましくは、該担体材料が可塑剤をさらに含み、好ましくは、該可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、該可塑剤対該担体材料の質量比が0%〜50%であり、好ましくは、該溶媒系が固着防止剤をさらに含み、該固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、該固着防止剤対該担体材料の質量比が0%〜100%である。
【0044】
本発明において開示されている薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法において、ナノスフェア/ミクロスフェアは、大気圧下、減圧下で乾燥させてよく、又は凍結乾燥によって乾燥させてよい。好ましい実施形態において、大気乾燥及び減圧下での乾燥の温度は25℃〜80℃である。好ましい実施形態において、凍結乾燥の予備凍結温度(pre-freezed temperature)は−25℃〜−45℃であり、一次乾燥温度は15℃〜40℃である。
【0045】
加えて、本発明において開示されている薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の調製方法において、担体材料の溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルであってよく、前述の溶媒は、単独で又は混合物中で使用され得る。
【0046】
別の態様において、本発明は、疾患を治療するための本発明の薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の使用をさらに提供する。治療される疾患の種類は、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤に含有される薬物に依存する。
【0047】
また別の態様において、本発明は、薬剤の調製における本発明のナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体組成物の使用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0048】
先行技術と比較して、本発明の有利な技術的効果は、以下を包含する。
本発明のミクロスフェア薬物担体に関しては、本発明のブロックコポリマー性高分子担体材料の合成が制御可能であるため、分子量、高分子コポリマーの親水性/親油性フラグメントの比を適切に選択すること、及び包まれている薬物の異なる特性に従って異なる活性官能基を位置付けることを可能にし、それにより、薬物カプセル化効率及び薬物負荷率を増大させ、薬物放出速度の制御性を実現する。例えば、これらの新しい高分子材料を合成する場合、HLB値(親水性−親油性バランス)は、担体材料が異なる薬物に適するようにし、且つ異なる臨床治療に適し、投薬の異なる目的を実現するように、薬物担体に異なる薬物放出特質を与える、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール並びにポリ乳酸及びその誘導体の分子量を、予め算出することによって制御できる。
【0049】
本発明の薬物担体を使用する薬物組成物、例えば薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤に関しては、インビボにおける薬物の濃度は、それらの薬物放出速度の持続により、長時間一定レベルに維持され得、頻回投与によって引き起こされる血中濃度の変化を回避し、一般的な製剤と比較して、薬物の安定性を増大させ、毒性及び副作用を低減させ、且つ患者の薬物安全性を改善する。加えて、高分子ポリマーの分解は、グリコール酸を生成せず、投与部位に対しても血管に対しても刺激(stimulation)を引き起こさず、このことが、薬物安全性を大幅に改善させる。
【0050】
コポリマーミクロスフェアの調製方法については、液中乾燥法が本技術において最も使用され、液中乾燥法において最も使用される溶媒はジクロロメタンであり、アセトンを使用することもある。界面活性剤を含む水溶液が連続相として最も使用され、脱イオン水を使用することもある。撹拌が乳化の方法において最も使用され、超音波を使用することもある。ゆっくり加温しながらの連続乾燥法が凝固の方法として最も使用され、急速回転蒸発を使用することもある。本発明においては相分離法及び噴霧乾燥法が使用され、そのいずれも、良好な調製効果を実現した。一方で(Meanwile)、本発明は、先行技術と比較して下記の明確な特質及び利点を有する薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤を調製するために液中乾燥法を改善した。
1)ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチル等の単一又は混合有機溶媒が本発明において使用され、これらの有機溶媒のすべては水中におけるある特定の溶解性を有し、したがって、液中乾燥法に特に適している。
2)界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1つ、又は2つ以上の混合溶液が本発明の連続相として使用され、該溶液は、先行技術において使用される脱イオン水と比較して、エマルション滴の形成及び安定化にとってより有益である。
3)本発明において使用される機械的攪拌、高速せん断、高圧均質化又はマイクロジェットポンプ等の乳化法は、超音波乳化法よりもミクロスフェアの粒径を制御することが容易である。
4)急速乾燥回転蒸発法と比較して、本発明において使用される凝固のための、ゆっくり加温しながらの連続乾燥法は、凝固中にミクロスフェアがその形状を確実に保つようにすることは容易であるが、集合させること及び解体することは困難であり、カプセル化効率の低減をもたらす。加えて、本発明のミクロスフェアの薬物放出速度は、より安定である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の分子量分布の試験スペクトルを示す図である。
【図2】実施例2において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、5000/8000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図3】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図4】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のDSC−Tg試験スペクトルを示す図である。
【図5】実施例3において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)のDSC−Tf試験スペクトルを示す図である。
【図6】実施例4において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の分子量分布の試験スペクトルを示す図である。
【図7】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図8】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のDSC−Tg試験スペクトルを示す図である。
【図9】実施例5において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)のDSC−Tf試験スペクトルを示す図である。
【図10】実施例6において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、15000/55000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図11】実施例7において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/40000)のH−NMR試験スペクトルを示す図である。
【図12A−12B】実施例9において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−デカン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図13】実施例9において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−デカン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図14A−14B】実施例10において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図15】実施例10において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図16A−16B】実施例11において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図17A−17B】実施例12において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図18】実施例12において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図19A−19B】実施例13において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図20】実施例13において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図21A−21B】実施例14において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図22】実施例14において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図23A−23B】実施例15において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の1H−NMR及び13C−NMR試験スペクトルをそれぞれ示す図である。
【図24】実施例15において調製されるメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン)の分子量分布のGPC試験スペクトルを示す図である。
【図25】実施例46におけるフルベストラントミクロスフェア試料1(ポリ乳酸−グリコール酸コポリマーが主要な担体材料として使用される)の皮下注射後の、ラットにおける血漿−時間曲線中の薬物濃度を示す図である。
【図26】実施例46におけるフルベストラントミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)の皮下注射後の、ラットにおける血漿−時間曲線中の濃度を示す図である。
【図27】実施例47におけるナプロキセンミクロスフェア試料1(ポリ乳酸−グリコール酸コポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図28】実施例47におけるナプロキセンミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニンブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図29】実施例48におけるカルバマゼピンミクロスフェア試料1(ポリ乳酸が主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図30】実施例48におけるカルバマゼピンミクロスフェア試料2(メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸ブロックコポリマーが主要な担体材料として使用される)のインビトロ薬物放出曲線を示す図である。
【図31】実施例49において化合物担体材料及び単一担体材料によって調製されるカルバマゼピンミクロスフェアの薬物放出曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
下記の実施例を参照して本発明をさらに詳細に例証するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0053】
下記の実施例において、使用される薬物の供給源、使用される試薬の基準及び製造業者、並びに機器のモデル及び製造業者等は、表1〜4に示されている。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
下記の実施例1〜14は、本発明の代表的なメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びその誘導体の調製を例示するものである。
【0059】
試薬:D,L−ラクチド、L−ラクチド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(mPEG)、スズオクトエート、ジクロロメタン、無水エチルエーテル、無水エタノール及び酢酸エチル。
【0060】
機器:高速液体クロマトグラフ(Waters 2695、US Waters Corp.社製);電子分析天秤(Beijing Sartorius Balance Co., Ltd.社製、China);ZKAB-35真空乾燥炉;恒温乾燥炉;デシケーター;SHB-III水循環真空ポンプ;Y90S-4油真空ポンプ;DF-101S恒温マグネチックスターラー等。
【0061】
反応方程式:
【0062】
【化4】
【実施例1】
【0063】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の調製
分量の割合:4gのD,L−ラクチド、4gのメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール(mPEG、Mw=10000)、0.16gのスズオクトエート
【0064】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、200pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を200pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で2時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6gであり、収率は約75%である。
【0065】
試験結果:GPCによって決定された分子量の分布結果を図1及び表5に示す。
【0066】
【表5】
【実施例2】
【0067】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、5000/8000)の調製
分量の割合:9gのD,L−ラクチド、5gのmPEG(Mw=5000)、1gのスズオクトエート
【0068】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を60℃に加熱し、150pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約12gであり、収率は約85.7%である。
【0069】
試験結果:H−NMR試験結果を図2及び表6に示す。
【0070】
【表6】
【実施例3】
【0071】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/20000)の調製
分量の割合:10.4gのD,L−ラクチド、1.01gのmPEG(Mw=2000)、0.26gのスズオクトエート
【0072】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を60℃に加熱し、180pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を180pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6.6gであり、収率は約59.8%である。
【0073】
試験結果:H−NMR及びDSC試験結果を図3〜5及び表7〜8に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
【表8】
【実施例4】
【0076】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、10000/10000)の調製
分量の割合:4gのD,L−ラクチド、4gのmPEG(Mw=10000)、0.16gのスズオクトエート
【0077】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、190pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を180pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で2時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約6gであり、収率は約75%である。
【0078】
試験結果:分子量の分布のGPC試験結果を図6及び表9に示す。
【0079】
【表9】
【実施例5】
【0080】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、20000/120000)の調製
分量の割合:8gのD,L−ラクチド、1.5gのmPEG(Mw=20000)、0.06gのスズオクトエート
【0081】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を80℃に加熱し、150pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密封された状況である)、混合物を170℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約7.6gであり、収率は約80%である。
【0082】
試験結果:H−NMR及びDSC試験結果を図7〜9及び表10〜11に示す。
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【実施例6】
【0085】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、15000/55000)の調製
分量の割合:25.5gのD,L−ラクチド、7gのmPEG(Mw=15000)、0.28gのスズオクトエート
【0086】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を70℃に加熱し、170pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を150pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で110℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約21gであり、収率は約64%である。
【0087】
試験結果:H−NMR試験結果を図10及び表12に示す。
【0088】
【表12】
【実施例7】
【0089】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、2000/40000)の調製
分量の割合:30gのD,L−ラクチド、1.5gのmPEG(Mw=2000)、0.3gのスズオクトエート
【0090】
操作:
D,L−ラクチド及びmPEGをフラスコに添加し、次いで、スズオクトエートを滴下して混合物を形成する。フラスコを栓で密閉し、真空化する。次いで、混合物を70℃に加熱し、200pa以下の真空度下で30分間脱水する。圧力を200pa以下に保ち、混合物を、50℃/分の温度上昇速度で120℃まで急速に加熱する。真空を遮断した後(フラスコは依然として密閉状態である)、混合物を150℃まで加熱し続け、10rpmの機械的攪拌下で4時間反応させる。反応終了後、反応生成物を室温に冷却し、そこに適切な量のジクロロメタンを添加して生成物を溶解し、次いで終夜置く。翌日、生じた溶液を約10倍体積のエチルエーテルに滴下して、沈殿させる。濾過後、濾過ケーキを回収し、40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。生成物の重量は約27.5gであり、収率は約87.5%である。
【0091】
試験結果:H−NMR試験結果を図11及び表13に示す。
【0092】
【表13】
【実施例8】
【0093】
mPEG−PLA(2000/40000)−メチルの調製
分量の割合:7.0gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.0gの水素化ナトリウム、2mlのヨードメタン
【0094】
操作:mPEG−PLA(2000/40000)ポリマー及び水素化ナトリウムを、80mlの乾燥テトラヒドロフランに添加し、25℃で1.5時間撹拌しながら反応させる。次いで、ヨードメタンを混合物に添加し、25℃で24時間撹拌しながら反応させる。1mlの無水エタノールを混合物に添加し、30分間撹拌する。混合物の溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで、20mlのジクロロメタンを混合物に添加する。濾過後、濾液を250mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れる。得られた混合物を50℃の真空乾燥炉に入れ、1〜2日間乾燥させて、6.1gの白色粉末状固体を得る。
【0095】
構造式:
【0096】
【化5】
【0097】
試験結果:生成物はテトラヒドロフラン等の有機溶媒に不溶性であるため、検出できない。
【実施例9】
【0098】
mPEG−PLA(2000/20000)−デカンの調製
分量の割合:7.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.45gの水素化ナトリウム、2mlのブロモデカン
【0099】
操作:mPEG−PLA(2000/20000)ポリマー及び0.45gの水素化ナトリウムを、80mlの乾燥テトラヒドロフランに添加し、25℃で1.5時間撹拌しながら反応させる。次いで、ブロモデカンを混合物に添加し、25℃で42時間撹拌しながら反応させる。混合物を蒸発乾固させ、次いで、80mlのジクロロメタンを添加する。濾過後、濾液を蒸発させる。20mlのジクロロメタンを再度添加して生成物を溶解し、次いで、溶液を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れる。得られた混合物を50℃の真空乾燥炉に入れ、1〜2日間乾燥させて、4.88gの白色粉末状固体を得る。
【0100】
構造式:
【0101】
【化6】
【0102】
試験結果を表14に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図12A及び12Bに示し、GPC試験結果を図13に示す。
【0103】
【表14】
【実施例10】
【0104】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸の調製
分量の割合:30.0gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.0gのコハク酸無水物、0.1gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,dicyclohexylcarbodiimide)
【0105】
操作:30.05gのmPEG−PLA(2000/40000)ポリマー、1.07gのコハク酸無水物、0.1gのDCC及び130mlのジクロロメタンを、250mlの三つ口フラスコに添加する。次いで、20mlのDMFを添加し、25℃で24時間撹拌する。溶媒を蒸発させて、黄色っぽい褐色の粘性液体を得る。80mlのジクロロメタンを添加して粘性液体を十分に溶解し、次いで、生じた溶液を、1800mlの無水エチルエーテルに激しく(voilent)かき混ぜながら注ぎ入れる。次いで、10mlの濃塩酸を混合物に添加し、1時間撹拌する。濾過後、濾過ケーキを自然乾燥させ、80mlのジクロロメタンに溶解し、次いで、500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキを無水エチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.4gの白色綿毛状固体を得る。
【0106】
構造式:
【0107】
【化7】
【0108】
試験結果を表15に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図14A及び14Bに示し、GPC試験結果を図15に示す。
【0109】
【表15】
【実施例11】
【0110】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸の調製
分量の割合:10.0gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸、0.17gのHoBt、0.1gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、0.1gのL−グルタミン酸
【0111】
操作:10.0gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸及び70mlのジクロロメタンを、100mlの三つ口フラスコに添加し、撹拌して溶解する。0.09gのDCC及び0.17gのHoBtを生じた溶液に添加し、次いで、20mlのDMFを添加する。混合物を0℃に冷却し、8時間撹拌する。反応混合物を濾過し、次いで、0.10gのL−グルタミン酸を濾液に添加し、終夜撹拌し、自然に加温させ、25℃で10時間反応させる。反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。次いで、生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、7.0gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0112】
構造式:
【0113】
【化8】
【0114】
試験結果を表16に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図16A及び16Bに示す。
【0115】
【表16】
【実施例12】
【0116】
mPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸−グルタミン酸2の調製
分量の割合:
第一ステップ:2.0gのN−Boc−グルタミン酸、3.51gのDCC、2.35gのHoBt、2.57gのL−グルタミン酸
第二ステップ:1.07gの第一ステップの生成物
第三ステップ:10.05gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸、0.11gのDCC、0.18gのHoBt、0.31gの第二ステップの生成物
【0117】
操作:
第一ステップ:100mlの三つ口フラスコに、2.0gのN−Boc−グルタミン酸、3.51gのDCC、2.35gのHoBtを添加し、次いで、70mlのテトラヒドロフランを添加し、撹拌して溶解し、0℃に冷却し、4時間撹拌する。反応混合物を濾過し、濾液を、120mlのテトラヒドロフラン中の2.57gのL−グルタミン酸の溶液に添加し、終夜撹拌し、自然に加温させ、続いて25℃で10時間反応させる。反応混合物を蒸発させ、これに100mlのジクロロメタンを添加し、次いで0.5時間撹拌し、濾過する。濾液を、飽和重炭酸ナトリウム溶液及び飽和クエン酸溶液でそれぞれ2回洗浄し、次いで飽和生理食塩水で1回洗浄し、乾燥させ、蒸発させる。5mlの無水エチルエーテルを残留物に添加し、続いて、ボトルの壁面を優しく拭き取り、固体が次第に沈殿し、冷蔵庫内で終夜冷却し、次いで濾過して、2.3gの白色固体(I)を得る。
【0118】
第二ステップ:第一ステップにおいて得られた1.07gの固体(I)を、20mlのジクロロメタンに添加し、室温で撹拌すると、固体は実質的に不溶性である。2mlのトリフルオロ酢酸をゆっくり添加した後、固体はまもなく完全に溶解し、30分間撹拌する。生じた溶液を蒸発させ、これに20mlのジクロロメタンを添加し、全体的に溶解するまで撹拌し、蒸発させる。この手順をもう一度繰り返す。5mlの無水エチルエーテルを蒸留フラスコに添加すると、続いてすぐに白色沈殿物の出現があり、冷蔵庫内で終夜冷却し、次いで濾過する。次いで、フィルターケージを30℃で2日間真空乾燥させて、0.85gの白色固体(II)を得る。
【0119】
第三ステップ:100mlの三つ口フラスコに、10.05gのmPEG−PLA(2000/40000)−コハク酸−グルタミン酸、0.11gのDCC及び0.18gのHoBtを添加し、続いて、70mlのジクロロメタン及び20mlのDMFを添加する。混合物を撹拌し、次いで、氷水浴中で終夜冷却する。0.31gの上記で調製した固体(II)を0℃の系に添加し、続いて25℃まで加温し、10時間反応させる。反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキを無水エチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、7.0gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0120】
構造式:
【0121】
【化9】
【0122】
試験結果を表17に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図17A及び17Bに示し、GPC試験結果を図18に示す。
【0123】
【表17】
【実施例13】
【0124】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニンの調製
分量の割合:15.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.93gのDCC、0.05gのDMAP、0.51gのN−Boc−Ala
【0125】
操作:100mlの三つ口フラスコに、15.0gのmPEG−PLA(2000/20000)ポリマー、0.93gのDCC、0.05gのDMAP及び0.51gのN−Boc−Alaを添加し、続いて、ジクロロメタン(70ml)及びDMF(20ml)を添加する。混合物を撹拌して溶解し、25℃で24時間反応させ、次いで濾過する。5mlのトリフルオロ酢酸を濾液にゆっくり添加し、生じた混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒の一部を蒸発させ、次いで、混合物を750mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで70mlのジクロロメタンに溶解する。次いで、溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、50℃で2日間真空乾燥させて、12.85gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0126】
構造式:
【0127】
【化10】
【0128】
試験結果を表18に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図19A及び19Bに示し、GPC試験結果を図20に示す。
【0129】
【表18】
【実施例14】
【0130】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジンの調製
分量の割合:6.0gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン、0.12gのDCC、0.16gのN−Boc−N−Fmoc−リジン、0.09gのHoBt
【0131】
操作:100mlの三つ口フラスコに、0.16gのN−Boc−N−Fmoc−リジン及び0.12gのDCCを添加し、続いて20mlのジクロロメタンを添加する。次いで、混合物を撹拌し、0℃に冷却し、続いて0.09gのHoBtを添加する。生じた混合物を0℃で7時間撹拌し、濾過する。濾液を、30mlのジクロロメタン中の6.0gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニンの溶液に添加し、氷水浴下で1時間撹拌し、続いて25℃で終夜撹拌する。
【0132】
5mlのトリフルオロ酢酸を反応混合物に添加し、室温で6時間撹拌し、次いで、15mlのトリエチルアミンを添加し、室温で終夜撹拌する。
【0133】
反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.2gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0134】
構造式:
【0135】
【化11】
【0136】
試験結果を表19に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図21A及び21Bに示し、GPC試験結果を図22に示す。
【0137】
【表19】
【実施例15】
【0138】
mPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン−リジン2の調製
分量の割合:
第一ステップ:2.81gのN−Boc−N−Fmoc−リジン、0.91gのHoBt、1.42gのDCC、0.65gのリジン
第二ステップ:0.16gの第一ステップの生成物、0.07gのDCC、0.06gのHoBt、6.62gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジン
【0139】
操作:
第一ステップ:100mlの三つ口フラスコに、2.81gのN−Boc−N−Fmoc−リジン及び30mlのTHFを添加し、続いて0.91gのHoBtを添加し、0℃に冷却し、1.42gのDCCを添加し、次いで、0℃で6時間撹拌し、濾過する。濾液を、30mlのTHF中の0.65gのリジンの溶液に添加し、0℃で1時間撹拌し、次いで25℃で10時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、次いで、10mlのジクロロメタンを添加し、濾過する。濾液を、飽和炭酸ナトリウム溶液、飽和クエン酸溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ2回洗浄し、乾燥させ、ほぼ蒸発乾固させる。2mlの無水エチルエーテルを残留物に添加し、続いてゆっくり振とうすると、次いで固体が出現する。混合物を冷蔵庫内で終夜冷却し、濾過し、濾過ケーキを50℃で真空乾燥させて、1.53gの白色固体(I)を得る。
【0140】
第二ステップ:上記のステップから得られた0.16gの白色固体(I)、0.07gのDCC、0.06gのHoBt及び20mlのジクロロメタンを、氷水浴中で8時間撹拌する。濾過後、濾液を、50mlのジクロロメタン中の6.62gのmPEG−PLA(2000/20000)−アラニン−リジンの溶液に添加し、続いて25℃で終夜撹拌する。
【0141】
5mlのトリフルオロ酢酸を反応混合物に添加し、室温で2時間撹拌し、次いで、15mlのトリエチルアミンを添加し、室温で終夜撹拌する。
【0142】
反応混合物を500mlの無水エチルエーテルに注ぎ入れ、濾過し、濾過ケーキを自然乾燥させ、次いで、50mlのジクロロメタンに溶解する。生じた溶液を500mlの冷メタノールに注ぎ入れる。濾過後、濾過ケーキをエチルエーテルで数回洗浄し、次いで、50℃で2日間真空乾燥させて、5.6gの灰白色綿毛状固体を得る。
【0143】
構造式:
【0144】
【化12】
【0145】
試験結果を表20に示し、1H−NMR及び13C−NMRスペクトルを図23A及び23Bに示し、GPC試験結果を図24に示す。
【0146】
【表20】
【0147】
下記の実施例16〜45は、相分離法、液中乾燥法又は噴霧乾燥法等の上述した方法により、本発明の代表的なメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を担体として使用して調製される、薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の典型的な例を提供するものである。
【実施例16】
【0148】
リファンピンミクロスフェアの調製
処方:
【0149】
【表21】
【0150】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は約2000/30000であり、その構造式は、
【0151】
【化13】
m≒45 n≒417
【0152】
である。
【0153】
調製方法:液中乾燥法を使用する。リファンピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、2500rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、次いで、1000バールの圧力で、マイクロジェットポンプを用いて3回均質化する。生じたエマルションを室温に置き、250rpmの撹拌速度で3時間撹拌し、30℃にゆっくり加熱し、1時間撹拌し続け、40℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で3回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0154】
適応症:主として結核症及び他の肺結核又はハンセン病(lepriasis)に使用する。この製品は、経口投与、皮下注射又は静脈注射してよい。
【0155】
主成分:リファンピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0156】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.6〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は円形である。
【0157】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.3%である。
【0158】
カプセル化効率:78.4%。
【実施例17】
【0159】
アムロジピンミクロスフェアの調製
処方:
【0160】
【表22】
【0161】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/40000であり、その構造式は、
【0162】
【化14】
m≒226 n≒555
【0163】
である。
【0164】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アムロジピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを35℃の水浴に置き、300rpmの撹拌速度で1時間撹拌し続け、40℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で3回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0165】
適応症:主として高血圧症に使用する。この製品は、経口投与又は皮下注射してよい。
【0166】
主成分:アムロジピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/40000)
【0167】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0168】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.5%である。
【0169】
カプセル化効率:75.3%。
【実施例18】
【0170】
スタブジンミクロスフェアの調製
処方:
【0171】
【表23】
【0172】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/30000であり、その構造式は、
【0173】
【化15】
m≒113 n≒417
【0174】
である。
【0175】
調製方法:調製には相分離法を使用する。ポリイソブチルエステルをシクロヘキサンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをクロロホルムに添加し、音波破砕して溶解する。次いで、50μm未満の粒径に微粉化したスタブジンを添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜる。生じた混合物を溶媒相として使用し、6000rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらにせん断し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、50μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0176】
適応症:主としてAIDS感染症及び他のウイルス感染症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0177】
主成分:スタブジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/30000)
【0178】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:50μm〜1mm、大部分は250〜800μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0179】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は43.8%である。
【0180】
カプセル化効率:83.6%。
【実施例19】
【0181】
アジスロマイシンナノスフェアの調製
処方:
【0182】
【表24】
【0183】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/10000であり、その構造式は、
【0184】
【化16】
m≒45 n≒139
【0185】
である。
【0186】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アジスロマイシン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下、室温で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、続いて、室温及び800バールの圧力で、高圧ホモジナイザーを用いて3回均質化する。エマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで、40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0187】
適応症:主として、感受性微生物によって引き起こされる、気道、皮膚及び軟部組織の感染症に使用する。この製品は、静脈注射又は皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0188】
主成分:アジスロマイシン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/10000)
【0189】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.5〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0190】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は10.2%である。
【0191】
カプセル化効率:64.3%。
【実施例20】
【0192】
ナプロキセンミクロスフェアの調製
処方:
【0193】
【表25】
【0194】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0195】
【化17】
m≒45 n≒555
【0196】
である。
【0197】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0198】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0199】
主成分:ナプロキセン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−3−アミノプロピオニルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0200】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0201】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.4%である。
【0202】
カプセル化効率:89.2%。
【実施例21】
【0203】
ロピニロールミクロスフェアの調製
処方:
【0204】
【表26】
【0205】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0206】
【化18】
m≒45 n≒278
【0207】
である。
【0208】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、モノステアリン酸グリセリン、クエン酸トリエチル及びロピニロールを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、4L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0209】
適応症:主としてパーキンソン病に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0210】
主成分:ロピニロール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0211】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0212】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は22.6%である。
【0213】
カプセル化効率:55.1%。
【実施例22】
【0214】
パロキセチンミクロスフェアの調製
処方:
【0215】
【表27】
【0216】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/15000であり、その構造式は、
【0217】
【化19】
m≒226 n≒208
【0218】
である。
【0219】
調製方法:液中乾燥法を使用する。パロキセチン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを凍結乾燥(予備凍結温度は−40℃であり、一次乾燥温度は30℃である)して、生成物を得る。
【0220】
適応症:主として鬱病の治療に使用される。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0221】
主成分:パロキセチン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/15000)
【0222】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0223】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.4%である。
【0224】
カプセル化効率:63.2%。
【実施例23】
【0225】
シンナリジンミクロスフェアの調製
処方:
【0226】
【表28】
【0227】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/8000であり、その構造式は、
【0228】
【化20】
m≒113 n≒111
【0229】
である。
【0230】
調製方法:液中乾燥法を使用する。シンナリジン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、5000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0231】
適応症:主として、脳血栓症、脳梗塞、脳動脈硬化症、脳出血の回復期、くも膜下出血の回復期、外傷後脳症候群、平衡異常及び平衡障害、冠動脈(cronary)硬化症及び血液供給障害、並びに不健康な末梢循環によって引き起こされる疾患に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0232】
主成分:シンナリジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−メチルでエンドキャップされたポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/8000)
【0233】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0234】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.4%である。
【0235】
カプセル化効率:82.0%。
【実施例24】
【0236】
ロバスタチンミクロスフェアの調製
処方:
【0237】
【表29】
【0238】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000/40000であり、その構造式は、
【0239】
【化21】
m≒113 n≒555
【0240】
である。
【0241】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、コレステロール、フタル酸ジエチル及びロバスタチンを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、4L/分の窒素圧、60℃の流入空気温度及び15%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0242】
適応症:主として脂質異常症に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0243】
主成分:ロバスタチン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=5000/40000)
【0244】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0245】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は27.2%である。
【0246】
カプセル化効率:54.4%。
【実施例25】
【0247】
フルベストラントミクロスフェアの調製
処方:
【0248】
【表30】
【0249】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0250】
【化22】
m≒45 n≒278
【0251】
である。
【0252】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0253】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0254】
主成分:フルベストラント、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0255】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0256】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.5%である。
【0257】
カプセル化効率:68.0%。
【実施例26】
【0258】
オルリスタットミクロスフェアの調製
処方:
【0259】
【表31】
【0260】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0261】
【化23】
m≒45 n≒417
【0262】
である。
【0263】
調製方法:調製には相分離法を使用する。オレイン酸ナトリウムを純水に添加し、撹拌して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びオルリスタットをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を溶媒相として使用し、800rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらにせん断し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて800μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間真空乾燥させて、生成物を得る。
【0264】
適応症:主として脂肪症及び脂質異常症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0265】
主成分:オルリスタット、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0266】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜800μm、大部分は150〜600μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0267】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は56.6%である。
【0268】
カプセル化効率:75.1%。
【実施例27】
【0269】
フルコナゾールミクロスフェアの調製
処方:
【0270】
【表32】
【0271】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は20000/80000であり、その構造式は、
【0272】
【化24】
m≒454 n≒1111
【0273】
である。
【0274】
調製方法:調製には相分離法を使用する。オレイン酸ナトリウムを純水に添加し、撹拌して溶解する。生じた溶液を非溶媒相として使用して貯蔵する。メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。次いで、微粉化したフルコナゾール(粒径は50μm未満である)を添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜる。生じた混合物を溶媒相として使用し、800rpmの高速せん断下で非溶媒相にゆっくり添加し、10分間さらに撹拌し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、80μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間乾燥させて、生成物を得る。
【0275】
適応症:主として真菌感染症に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0276】
主成分:フルコナゾール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=20000/80000)
【0277】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:80μm〜1mm、大部分は250〜850μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0278】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は73.3%である。
【0279】
カプセル化効率:69.5%。
【実施例28】
【0280】
塩酸トラマドールミクロスフェアの調製
処方:
【0281】
【表33】
【0282】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/5000であり、その構造式は、
【0283】
【化25】
m≒22 n≒69
【0284】
である。
【0285】
調製方法:調製には相分離法を使用する。
(1)5mlのジクロロメタン及び処方量のSpan-85をシリコーン油に添加し、均質化して貯蔵する。
(2)塩酸トラマドール及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーを5mlのジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。
(3)(2)を(1)に添加し、均質化し、ミクロスフェアが生成されなくなるまで、1000rpmの撹拌速度下で石油エーテルにゆっくり添加し、次いで、300rpmの撹拌速度で30分間撹拌し、続いて1mmの篩目で濾過する。濾液を回収し、50μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄し、40℃で2時間乾燥させて、生成物を得る。
【0286】
適応症:主として鎮痛剤に使用する。このミクロスフェアは経口調製物にしてよく、皮下注射してもよい。
【0287】
主成分:塩酸トラマドール、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/5000)
【0288】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:50〜1000μm、大部分は150〜600μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0289】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は65.8%である。
【0290】
カプセル化効率:66.7%。
【実施例29】
【0291】
クラリスロマイシンミクロスフェアの調製
処方:
【0292】
【表34】
【0293】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/10000であり、その構造式は、
【0294】
【化26】
m≒45 n≒139
【0295】
である。
【0296】
調製方法:液中乾燥法を使用する。クラリスロマイシン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、6000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断し、続いて、800バールの圧力で高圧ホモジナイザーを用いて2回均質化する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて1μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、0.2μmの篩目で濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを凍結乾燥(予備凍結温度は−40℃であり、一次乾燥温度は35℃である)して、生成物を得る。
【0297】
適応症:主として、感受性微生物によって引き起こされる感染症に使用する。この製品は、静脈注射又は皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0298】
主成分:クラリスロマイシン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/10000)
【0299】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:0.2〜1μm、大部分は0.5〜0.8μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0300】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は21.0%である。
【0301】
カプセル化効率:78.3%。
【実施例30】
【0302】
メロキシカムミクロスフェアの調製
処方:
【0303】
【表35】
【0304】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約1000/40000であり、その構造式は、
【0305】
【化27】
m≒22 n≒555
【0306】
である。
【0307】
調製方法:液中乾燥法を使用する。メロキシカム及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0308】
適応症:主として、関節リウマチ、強直性脊椎炎及び変形性関節炎等に使用する。この製品は、関節内注射及び皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0309】
主成分:メロキシカム、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/40000)
【0310】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0311】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は14.3%である。
【0312】
カプセル化効率:73.8%。
【実施例31】
【0313】
プロベネシドミクロスフェアの調製
処方:
【0314】
【表36】
【0315】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/30000であり、その構造式は、
【0316】
【化28】
m≒45 n≒417
【0317】
である。
【0318】
調製方法:液中乾燥法を使用する。プロベネシド及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、2000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0319】
適応症:主として痛風等の治療に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0320】
主成分:プロベネシド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0321】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜70μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0322】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.7%である。
【0323】
カプセル化効率:88.2%。
【実施例32】
【0324】
塩酸チオリダジンミクロスフェアの調製
処方:
【0325】
【表37】
【0326】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/30000であり、その構造式は、
【0327】
【化29】
m≒45 n≒417
【0328】
である。
【0329】
調製方法:液中乾燥法を使用する。塩酸チオリダジン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0330】
適応症:主として統合失調症の治療に使用し、統合失調症、ベサニア(vesania)、並びに興奮、不安及び緊張を伴う更年期症候群に適用可能である。この製品は、皮下注射してよい。
【0331】
主成分:塩酸チオリダジン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0332】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0333】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.6%である。
【0334】
カプセル化効率:88.7%。
【実施例33】
【0335】
チミペロンミクロスフェアの調製
処方:
【0336】
【表38】
【0337】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、
【0338】
【化30】
m≒45 n≒555
【0339】
である。
【0340】
調製方法:液中乾燥法を使用する。チミペロン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0341】
適応症:主として統合失調症の治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0342】
主成分:チミペロン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0343】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0344】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は15.6%である。
【0345】
カプセル化効率:78.8%。
【実施例34】
【0346】
クロルプロチキセンミクロスフェアの調製
処方:
【0347】
【表39】
【0348】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0349】
調製方法:液中乾燥法を使用する。クロルプロチキセン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0350】
適応症:主として、不安又は鬱病を伴う統合失調症、閉経期鬱病及び不安神経症等に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0351】
主成分:クロルプロチキセン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0352】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0353】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.5%である。
【0354】
カプセル化効率:87.3%。
【実施例35】
【0355】
リスペリドンミクロスフェアの調製
処方:
【0356】
【表40】
【0357】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0358】
調製方法:液中乾燥法を使用する。リスペリドン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で真空乾燥させて、生成物を得る。
【0359】
適応症:主として統合失調症の治療に使用し、とりわけ、陽性及び陰性症状並びにそれらに付随する情動性症状(不安及び鬱病等)に対して、より良好な治療効果を有する。この製品は、皮下注射してよい。
【0360】
主成分:リスペリドン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0361】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜70μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0362】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は16.0%である。
【0363】
カプセル化効率:86.7%。
【実施例36】
【0364】
アルプラゾラムミクロスフェアの調製
処方:
【0365】
【表41】
【0366】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0367】
調製方法:液中乾燥法を使用する。アルプラゾラム及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0368】
適応症:主として、不安、鬱病及び不眠症を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0369】
主成分:アルプラゾラム、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0370】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は30〜60μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0371】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.5%である。
【0372】
カプセル化効率:83.3%。
【実施例37】
【0373】
トラゾドンミクロスフェアの調製
処方:
【0374】
【表42】
【0375】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は約10000/100000であり、その構造式は、
【0376】
【化31】
m≒226 n≒1389
【0377】
である。
【0378】
調製方法:液中乾燥法を使用する。トラゾドン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、5000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを35℃の水浴に入れ、2時間撹拌し、次いで、40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する。ミクロスフェアを回収し、100mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、生成物を得る。
【0379】
適応症:主として鬱病を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0380】
主成分:トラゾドン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/100000)
【0381】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0382】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.5%である。
【0383】
カプセル化効率:90.6%。
【実施例38】
【0384】
ファムシクロビルミクロスフェアの調製
処方:
【0385】
【表43】
【0386】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/20000であり、その構造式は、
【0387】
【化32】
m≒45 n≒278
【0388】
である。
【0389】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、モノステアリン酸グリセリン及びファムシクロビルを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0390】
適応症:主としてウイルス感染症に使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0391】
主成分:ファムシクロビル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/20000)
【0392】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0393】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は36.9%である。
【0394】
カプセル化効率:56.7%。
【実施例39】
【0395】
塩酸アミトリプチリンミクロスフェアの調製
処方:
【0396】
【表44】
【0397】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0398】
【化33】
m≒45 n≒555
【0399】
である。
【0400】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、セバシン酸ジブチル及び塩酸アミトリプチリンを順に添加し、撹拌して溶解する。次いで、生じた溶液にシリカゲル粉末を添加し、続いて均一に分散するまで強くかき混ぜ、次いで、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0401】
適応症:主として、種々の鬱病及び抑鬱状態を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0402】
主成分:塩酸アミトリプチリン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0403】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0404】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は33.4%である。
【0405】
カプセル化効率:52.1%。
【実施例40】
【0406】
ニモジピンミクロスフェアの調製
処方:
【0407】
【表45】
【0408】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0409】
【化34】
m≒45 n≒417
【0410】
である。
【0411】
調製方法:ニモジピン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、6L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0412】
適応症:主として、急性脳血管疾患の回復期中の血液循環及び種々の原因によって引き起こされるくも膜下出血後の脳血管攣縮を改善するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0413】
主成分:ニモジピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0414】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0415】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は44.7%である。
【0416】
カプセル化効率:56.5%。
【実施例41】
【0417】
ドネペジルミクロスフェアの調製
処方:
【0418】
【表46】
【0419】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は10000/40000であり、その構造式は、
【0420】
【化35】
m≒226 n≒555
【0421】
である。
【0422】
調製方法:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、撹拌して溶解し、次いで、生じた溶液にフタル酸ジメチル及びドネペジルを順に添加し、撹拌して溶解し、続いて、80%のリングファンブロー率、8L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0423】
適応症:主として老年性認知症を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0424】
主成分:ドネペジル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=10000/40000)
【0425】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:1〜10μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0426】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は27.5%である。
【0427】
カプセル化効率:54.0%。
【実施例42】
【0428】
カプトプリルミクロスフェアの調製
処方:
【0429】
【表47】
【0430】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/30000であり、その構造式は、
【0431】
【化36】
m≒22 n≒417
【0432】
である。
【0433】
調製方法:カプトプリル及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、7L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び30%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0434】
適応症:主として高血圧症に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0435】
主成分:カプトプリル、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/30000)
【0436】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:1〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0437】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は47.7%である。
【0438】
カプセル化効率:58.6%。
【実施例43】
【0439】
ノルエチンドロンミクロスフェア
処方:
【0440】
【表48】
【0441】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は1000/30000であり、その構造式は、上記の実施例と同じである。
【0442】
調製方法:ノルエチンドロン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、70%のリングファンブロー率、6L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0443】
適応症:主として女性の避妊に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0444】
主成分:ノルエチンドロン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/30000)
【0445】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0446】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は36.7%である。
【0447】
カプセル化効率:56.6%。
【実施例44】
【0448】
グリクラジドミクロスフェアの調製
処方:
【0449】
【表49】
【0450】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/30000であり、その構造式は、
【0451】
【化37】
m≒45 n≒417
【0452】
である。
【0453】
調製方法:グリクラジド及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、80%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び20%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0454】
適応症:主として、成人型糖尿病、脂肪症又は血管病変を伴う糖尿病患者に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0455】
主成分:グリクラジド、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/30000)
【0456】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:5〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0457】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は33.9%である。
【0458】
カプセル化効率:51.5%。
【実施例45】
【0459】
メルファランミクロスフェアの調製
処方:
【0460】
【表50】
【0461】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0462】
【化38】
m≒45 n≒555
【0463】
である。
【0464】
調製方法:メルファラン及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素圧、40℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0465】
適応症:主として、多発性骨髄腫、乳がん、卵巣がん、慢性リンパ球性及び顆粒球性白血病、並びに悪性リンパ腫等に使用し、動脈灌流によって四肢悪性黒色腫、軟部組織肉腫及び骨肉腫を治療するために使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0466】
主成分:メルファラン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0467】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0468】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は18.6%である。
【0469】
カプセル化効率:53.7%。
【0470】
下記の実施例46〜49は、本発明の代表的な薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェア製剤の薬学的対照実験及びインビボ薬物動態学的対照実験を提供するものである。
【実施例46】
【0471】
異なる担体材料を用いて調製したフルベストラントミクロスフェアの、ラットにおける薬物動態についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)であるフルベストラントミクロスフェア
処方:
【0472】
【表51】
【0473】
注記:ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(50/50、Mw=40000)の構造式は、
【0474】
【化39】
m≒350 n≒350
【0475】
である。
【0476】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びPLGAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する(篩上に多くの材料固体があるが、顕微鏡下で観察すると球体であることはほとんどあり得ない)。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する(濾液中には10μm未満の数個のミクロスフェアがある)。ミクロスフェアを回収し、500mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、計3.52gの乾燥生成物を約64%の収率で得る。
【0477】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0478】
主成分:フルベストラント、ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(50/50、Mw=40000)
【0479】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0480】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.6%である。
【0481】
カプセル化効率:60.2%。
【0482】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーであるフルベストラントミクロスフェア
処方:
【0483】
【表52】
【0484】
注記:メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0485】
【化40】
m≒45 n≒555
【0486】
である。
【0487】
調製方法:液中乾燥法を使用する。フルベストラント及びメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、3分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過する(篩上には150μmを超えるミクロスフェアがほとんどない)。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過する(濾液中には10μm未満の数個のミクロスフェアがある)。ミクロスフェアを回収し、500mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、計4.41gの乾燥生成物を約80%の収率で得る。
【0488】
適応症:主として乳がんの治療に使用する。この製品は、皮下注射してよい。
【0489】
主成分:フルベストラント、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=2000/40000)
【0490】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜30μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0491】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は11.0%である。
【0492】
カプセル化効率:87.7%。
【0493】
2)ラットにおける薬物動態実験
実験ユニット:中国薬科大学(China Pharmaceutical University)
【0494】
機器:オートサンプラー、カラムオーブン、エレクトロスプレーイオン化インターフェース、2695液体クロマトグラフ及びMasslynx 4.0 MSワークステーションを含有するMicromass Quattroミクロ液体クロマトグラフ−質量分析器;METTLER社製10万分の1の電子天秤;Milli-Q Water Purifier;MICROMAX 3591 Centrifuge卓上高速遠心分離機(THERMO ELECTRON社製);タービンミキサー(Huxi analytical instrument factory社製、Shanghai、China)。
【0495】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のメタノール;残りの試薬は市販の分析的に純粋なもの;自家調製し、Milli-Q Water Purifierで精製した再蒸留水。
【0496】
被検薬物:
薬学的活性成分、フルベストラント:99%
フルベストラントミクロスフェアの試料1:8.6%
フルベストラントミクロスフェアの試料2:11.0%
ミクロスフェア試料の溶媒:2ボトル、50ml/ボトル
上述した製品はすべて、中国Xi'an Libang Pharmaceutical Co., Ltd.社によって提供される。
【0497】
フルベストラントミクロスフェアの試料はすべて、ミクロスフェア試料の溶媒を使用して10mg/mlに調製する。
【0498】
エモジン:中国葯品生物制品検定所によって提供される内部標準、バッチ番号:0756−200110であり、含有量決定に使用される。
【0499】
HPLC条件:
移動相:メタノール:水=85:15(v:v)
クロマトグラフィーカラム:100×2.0mm、shim-pack;プレカラムphenomenex社製C18(ODSオクタデシル)、4mm×2.0 ID 10/pk;カラム温度:35℃;注入体積:5μL;流速:0.2ml/分;
LC−MS−MS条件:
毛細管電圧:3.00kV;コーン電圧:30V;抽出器電圧:3.00V;RFレンズ電圧:0.3V;ソース温度:120℃;脱溶媒和温度:400℃;コーンガス流速:30L/時;脱溶媒和ガス流速:500L/時;LM1分解能:13.0;HM1分解能:13.0;イオンエネルギー:10.5;入口:−2;衝突:20;出口:2;LM2分解能:13.0;HM2分解能:13.0;イオンエネルギー:10.5;ガス電池ピラニ圧力:4.0e−3ミリバール;フルベストラント:[M-H+] m/z 605.6→427.4;エモジン:[M-H+] m/z 269.4→225.1.
【0500】
実験方法:
12匹のラット(rates)はすべて180〜220gの体重を持つ雌である。ラットを2つの群に分け、各群が6匹のラットを有するものとし、これらは試料1及び2の群である。処方の異なる50mg/kg(すなわち1ml/200g)のフルベストラント製剤を、ラットに皮下注射する。投与の前後0.5、1、3、6、10、24時間、2、4、7、10、14、21、28日目及び5、6、7、8、9、10、11、12、13週目にそれぞれ0.3mlの血液を眼窩静脈からヘパリン化チューブに回収し、3500rpmで10分間遠心分離する。血漿(0.1ml)を量化して回収し、分析の準備を整える。
【0501】
データ分析:
AUC、Tmax及びCmax並びに他のパラメーターは、各動物における血漿中濃度−時間のデータを使用して算出する。
【0502】
結果を、図25、図26及び表21に示す。
【0503】
【表53】
【0504】
実験結果:試料1と比較して、試料2は、より大きいAUC値、より長い半減期及びより平滑な血漿中薬物濃度を有する。試料1は、明白なバースト効果、血漿中薬物濃度曲線における明白な二重ピーク、及び血漿中薬物濃度における大規模な変化を有する。結果は、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマーによって調製されたフルベストラントミクロスフェアが、より卓越した薬物負荷率及びカプセル化効率を有するだけでなく、より平滑な薬物放出速度及びより長い持続放出効果の継続時間も有することを示す。
【実施例47】
【0505】
異なる担体材料を用いて調製したナプロキセンミクロスフェアのインビトロ放出についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA、75/25、40000の分子量)であるナプロキセンミクロスフェア
処方:
【0506】
【表54】
【0507】
注記:ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(75/25、Mw=40000)の構造式は、
【0508】
【化41】
m≒465 n≒155
【0509】
である。
【0510】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びPLGAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。せん断機の上に多量の材料が付着していることが分かる。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上に多くの材料固体があるが、顕微鏡下で観察すると球体であることはほとんどあり得ない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、1.45gの乾燥ミクロスフェアを60.3%の収率で得る。
【0511】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0512】
主成分:ナプロキセン、ポリ乳酸−グリコール酸コポリマー(75/25、Mw=40000)
【0513】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0514】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は13.3%である。
【0515】
カプセル化効率:47.6%。
【0516】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−アラニン(mPEG−PLA−アラニン、Mw=2000/40000)であるナプロキセンミクロスフェア
処方:
【0517】
【表55】
【0518】
注記:mPEG−PLA−アラニンの重量平均分子量は2000/40000であり、その構造式は、
【0519】
【化42】
m≒45 n≒555
【0520】
である。
【0521】
調製方法:液中乾燥法を使用する。ナプロキセン及びmPEG−PLA−アラニンをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、4000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。せん断機の上に付着している材料固体はないことが分かる。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、150μmの篩目で濾過すると、篩上に材料固体はほとんどない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、300mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で2時間真空乾燥させて、2.05gの乾燥ミクロスフェアを85.4%の収率で得る。
【0522】
適応症:主として、関節リウマチ、変形性関節炎、強直性脊椎炎及び痛風等に使用する。この製品は、皮下注射及び関節内注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0523】
主成分:ナプロキセン、mPEG−PLA−アラニン(Mw=2000/40000)
【0524】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜40μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0525】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は17.3%である。
【0526】
カプセル化効率:88.4%。
【0527】
2)インビトロ薬物放出についての研究
機器:JASCO社から入手されるSHA-A恒温水浴振動器、及び高速液体クロマトグラフ(UV-2075 UV検出器、PU-2089注入ポンプ、AS-2055オートサンプラー)。
【0528】
被検薬物:中国Chongqing Southwest No. 2 Pharmaceutical Factory Co., Ltd.社から入手される純度99.0%のナプロキセン。
【0529】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のメタノール;中国Xi'an Chemical Reagent Factory社から入手される分析的に純粋なリン酸二水素カリウム、リン酸;英国CRODA Inc.社から入手されるTween-80。
【0530】
クロマトグラフィー条件:HPLC法を使用する。オクタデシルシラン化学的結合シリカゲルを充填剤として、メタノール−0.01mol/Lリン酸二水素カリウム溶液(75:25、pH値はリン酸を用いて3.0に調節する)を移動相として、240nmの検出波長及び1.0ml/分の流速で使用する。
【0531】
実験方法:各0.1gのミクロスフェアを有する6つの試料をそれぞれ正確に秤量し、6つのガラス輸液ボトルにそれぞれ入れる。37℃に予熱した100mlの0.2%Tween-80溶液を、ガラス輸液ボトルのそれぞれに正確に添加する。ガラス輸液ボトルをゴムストッパーで堅く閉め、アルミニウムキャップで蓋をし、水平状態の37℃±2℃の水浴中で迅速に固定し、水平方向に約4cmの振幅及び1分間当たり100回の頻度で直ちに振とうする。振とうの1、2、4、8、24、28、32及び48時間後に、ボトルのそれぞれからゴムストッパーを経由して1mlの懸濁液を抽出し(懸濁液中の内容物が沈殿していた場合には、振とうして分布を均一化した後に抽出すべきである)、次いで、1mlの0.2%Tween-80溶液をボトルのそれぞれに補充する。懸濁液を、被検試料溶液として0.2μmのフィルター膜に通して濾過する。加えて、滴量のナプロキセンを正確に秤量し、これに移動相を添加して溶解し、それを、対照溶液として1mlの溶液当たり50μgのナプロキセンを含有するように希釈する。20μlの対照溶液及び20μlの被検試料溶液を正確に取り、クロマトグラフに注入する。クロマトグラムを記録し、累積放出量を、外部標準法によりピーク面積を用いて算出する。
【0532】
実験結果及び結論:実験結果を図27及び図28に示す。実験結果は、試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率がすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度が試料1のものよりも平滑であることを示す。
【0533】
ナプロキセンの化学構造は次の通りである。
【0534】
【化43】
【0535】
ナプロキセンの構造において、カルボキシル基のイオン化後に電気陰性基を生成することになり、一方、試料2において使用される担体材料は、電気陽性基を運搬するmPEG−PLA−アラニンである。この担体材料の特殊な化学特性のために、ナプロキセンと担体材料との間の親和性は、試料2のミクロスフェア薬物担体において大幅に増強しており、それにより、薬物負荷率及びカプセル化効率を改善する。他方で、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体には親水基ポリエチレングリコールが含有され、ミクロスフェアの形成及び凝固に寄与し、薬物担体ミクロスフェアの収率を改善する。しかしながら、試料1の担体材料は、この化学特性を保有しない。試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率はすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度は試料1のものよりも平滑である。
【実施例48】
【0536】
異なる担体材料を用いて調製したカルバマゼピンミクロスフェアのインビトロ放出についての薬学的実験データ及び予備的研究
1)薬学的実験データ
A.試料1:その担体材料がポリ乳酸(PLA、Mw=40000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0537】
【表56】
【0538】
注記:ポリ乳酸(PLA、Mw=40000)の構造式は、
【0539】
【化44】
n≒555
【0540】
である。
【0541】
調製方法:液中乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びポリ乳酸をジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上に球体に形成されない多くの材料固体がある。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中にあるミクロスフェアはさらに少なくなる。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、1.40gの乾燥ミクロスフェアを63.5%の収率で得る。
【0542】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽(glossopharyngsal)神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0543】
主成分:カルバマゼピン、ポリ乳酸(PLA、Mw=40000)
【0544】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜50μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0545】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は8.2%である。
【0546】
カプセル化効率:56.3%。
【0547】
B.試料2:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸−コハク酸(mPEG−PLA−コハク酸、Mw=2000/40000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0548】
【表57】
【0549】
注記:mPEG−PLA−コハク酸の重量平均分子量は約2000/40000であり、その構造式は、
【0550】
【化45】
m≒45 n≒555
【0551】
である。
【0552】
調製方法:液中乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びmPEG−PLA−コハク酸をジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解する。生じた溶液を、3000rpmの高速せん断下で水相にゆっくり添加し、5分間さらにせん断する。生じたエマルションを30℃の水浴に入れ、300rpmの撹拌速度で2時間撹拌し、35℃にさらに加熱し、0.5時間撹拌し、次いで40℃に加熱し、0.5時間撹拌し、続いて150μmの篩目で濾過すると、篩上にはいかなる材料固体も大きなミクロスフェアもほとんどない。濾液を回収し、10μmの篩目でさらに濾過すると、濾液中には数個の小さなミクロスフェアがある。ミクロスフェアを回収し、200mlの水で5回洗浄する。湿ったミクロスフェアを40℃で乾燥させて、1.75gの乾燥ミクロスフェアを79.1%の収率で得る。
【0553】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0554】
主成分:カルバマゼピン、mPEG−PLA−コハク酸(Mw=2000/40000)
【0555】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜150μm、大部分は20〜40μm;ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0556】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.3%である。
【0557】
カプセル化効率:76.7%。
【0558】
2)インビトロ薬物放出についての研究
機器:JASCO社から入手されるSHA-A恒温水浴振動器、及び高速液体クロマトグラフ(UV-2075 UV検出器、PU-2089注入ポンプ、AS-2055オートサンプラー)
【0559】
被検薬物:中国Changzhou Yabang Pharmaceutical Co., Ltd.社から入手される純度99.5%のカルバマゼピン。
【0560】
試薬:米国TEDIA Company社から入手されるクロマトグラフィー等級のアセトニトリル及びメタノール;中国Xi'an Chemical Reagent Factory社から入手される分析的に純粋な氷酢酸;中国Tianjin Kermel Chemical Reagent Co., Ltd.社から入手される分析的に純粋なヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド。
【0561】
クロマトグラフィー条件:HPLC法を使用する。オクタデシルシラン化学的結合シリカゲルを充填剤として、アセトニトリル−メタノール−0.05%(v/v)氷酢酸溶液(5:5:90)を移動相として、230nmの検出波長及び1.0ml/分の流速で使用する。
【0562】
実験方法:各0.1gのミクロスフェアを有する6つの試料をそれぞれ正確に秤量し、6つのガラス輸液ボトルにそれぞれ入れる。37℃に予熱した100mlの0.01%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド溶液を、ガラス輸液ボトルのそれぞれに正確に添加する。ガラス輸液ボトルをゴムストッパーで堅く閉め、アルミニウムキャップで蓋をし、水平状態の37℃±2℃の水浴中で迅速に固定し、水平方向に約4cmの振幅及び1分間当たり100回の頻度で直ちに振とうする。振とうの1、2、4、8、24、28、32、40及び48時間後に、ボトルのそれぞれからゴムストッパーを経由して1mlの懸濁液を抽出し(懸濁液中の内容物が沈殿していた場合には、振とうして分布を均一化した後に抽出すべきである)、次いで、1mlの0.01%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド溶液をボトルのそれぞれに補充する。懸濁液を、被検試料溶液として0.2μmのフィルター膜に通して濾過する。加えて、滴量のカルバマゼピンを正確に秤量し、これに移動相を添加して溶解し、それを、対照溶液として1mlの溶液当たり25μgのカルバマゼピンを含有するように希釈する。20μlの対照溶液及び20μlの被検試料溶液を正確に取り、クロマトグラフに注入する。クロマトグラムを記録し、累積放出量を、外部標準法によりピーク面積を用いて算出する。
【0563】
実験結果及び結論:実験結果を図29及び図30に示す。実験結果は、試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率がすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度が試料1のものよりも平滑であり、試料2には試料1のようなバースト効果がないことを示す。
【0564】
カルバマゼピンの化学構造は次の通りである。
【0565】
【化46】
【0566】
カルバマゼピンの構造において、アミド基がイオン化する際に電気陽性基を生成することになり、一方、試料2において使用される担体材料は、電気陰性基を持つmPEG−PLA−コハク酸である。この担体材料の特殊な化学特性のために、カルバマゼピンと担体材料との間の親和性は大幅に増強しており、それにより、試料2のミクロスフェア薬物担体における薬物負荷率及びカプセル化効率を改善する。他方で、mPEG−PLA−コハク酸は、親水基ポリエチレングリコールを包含し、ミクロスフェアの形成及び凝固に寄与し、薬物担体ミクロスフェアの収率を改善する。しかしながら、試料1の担体材料は、この化学特性を保有しない。試料2のミクロスフェアの収率、薬物負荷率及びカプセル化効率はすべて試料1のものよりも明らかに高く、試料2のミクロスフェアのインビトロ薬物放出速度は試料1のものよりも平滑である。
【実施例49】
【0567】
カルバマゼピンミクロスフェアのインビトロ薬物放出挙動に対する化合物担体材料及び単一mPEG−PLA担体材料の影響
1)カルバマゼピンミクロスフェアの調製
A.試料1:その担体材料がメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、Mw=1000/5000)であるカルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0568】
【表58】
【0569】
調製方法:噴霧乾燥法を使用する。カルバマゼピン及びmPEG−PLAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素流速、30℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0570】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防又は治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0571】
主成分:カルバマゼピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(Mw=1000/5000)
【0572】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜20μm、ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0573】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.0%である。
【0574】
カプセル化効率:33.30%。
【0575】
B.試料2:その担体材料が、50%のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー(mPEG−PLA、Mw=1000/5000)及び50%のポリ乳酸(PLA、Mw=40000)を包含する化合物担体材料である、カルバマゼピンミクロスフェア
処方:
【0576】
【表59】
【0577】
調製方法:噴霧乾燥法を使用する。カルバマゼピン、mPEG−PLA及びPLAをジクロロメタンに添加し、音波破砕して溶解し、続いて、90%のリングファンブロー率、5L/分の窒素流速、30℃の流入空気温度及び10%の蠕動ポンプの送り率で噴霧乾燥させる。乾燥終了後、ミクロスフェアを回収して生成物を得る。
【0578】
適応症:(1)抗てんかん、(2)三叉神経痛及び舌咽神経痛を治療する、(3)神経原性尿崩症を治療する、(4)躁鬱病を予防及び治療する。この製品は、皮下注射してよく、経口調製物にしてもよい。
【0579】
主成分:カルバマゼピン、メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー及びポリ乳酸
【0580】
粒径の範囲及びミクロスフェアの形状:10〜30μm、ミクロスフェアの形状は比較的円形である。
【0581】
薬物負荷率:HPLC法によって決定される薬物負荷率は9.2%である。
【0582】
カプセル化効率:36.3%。
【0583】
2)実施例48と同じ方法を用いるインビトロ薬物放出についての研究
実験結果及び結論:実験結果を図31に示す。実験結果は、これらの2つの試料の形状、薬物負荷率及びカプセル化効率が同様であることを示す。試料2は試料1に満たないが、これら2つの試料はいずれもある特定のバースト効果を有する。試料2の薬物放出速度は、試料1のものよりも遅く、これは理論上の推論と一致する。この実験結果は、mPEG−PLAポリマーに、ポリ乳酸等の異なる特性を持つ適当な他のポリマーを添加することにより、担体ミクロスフェアの薬物放出速度を調節し得ることを示唆している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)
【化1】
(I)
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体。
【請求項2】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体のHLB値が0.01〜19.84である、請求項1に記載の薬物担体。
【請求項3】
薬物放出速度を調節するための1又は2以上の他の高分子材料をさらに包含し、好ましくは、前記他の高分子材料が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー又はポリカプロラクトンであり、好ましくは、前記他の高分子材料の式(I)で表される生分解性コポリマー又はその誘導体の質量に対する比が0%〜50%である、請求項1又は2に記載の薬物担体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項5】
ナノスフェア又はミクロスフェアが、請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体で薬学的活性成分を包むことによって調製されるナノスフェア又はミクロスフェアである、請求項4に記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項6】
薬学的活性成分が、抗結核薬、抗ハンセン病薬、抗ウイルス薬、抗マラリア薬、抗アメーバ薬、抗トリコモナス薬、抗フィラリア薬、駆虫薬、広域スペクトル抗生物質、抗真菌薬、鎮痛薬、鎮痛解熱薬、抗痛風薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、脳血管、脳代謝に作用する薬物、及び向知性薬、カルシウムアンタゴニスト、慢性心不全を治療するための薬物、抗不整脈薬、末梢血管拡張薬、血中脂質調節及び抗動脈硬化薬、白血球の増殖を促進するための薬物、抗血小板薬、ホルモン薬、避妊薬、血糖降下薬、甲状腺ホルモン薬及び抗甲状腺薬、抗新生物薬、免疫に作用する薬物、痩せ薬、抗骨粗しょう症薬、並びに前立腺肥大に対する薬物の1又は2以上から選択され、
好ましくは、リファンピン、アムロジピン、スタブジン、アジスロマイシン、ナプロキセン、ロピニロール、パロキセチン、シンナリジン、ロバスタチン、フルベストラント、オルリスタット、フルコナゾール、塩酸トラマドール、カルバマゼピン、クラリスロマイシン、メロキシカム、プロベネシド、塩酸チオリダジン、チミペロン、クロルプロチキセン、リスペリドン、アルプラゾラム、トラゾドン、ファムシクロビル、塩酸アミトリプチリン、ニモジピン、ドネペジル、カプトプリル、ノルエチンドロン、グリクラジド及びメルファランの1又は2以上から選択され、
より好ましくは、フルベストラント、ナプロキセン又はカルバマゼピンである、請求項5に記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項7】
薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径が100nm〜1mmであり、薬物負荷率が、0.01%〜30%、好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20%〜30%である、請求項4〜6のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項8】
a.請求項1〜3のいずれかに記載の溶解した担体材料を含有する溶媒系に医薬学的活性成分を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してナノスフェア又はミクロスフェアを形成するステップ、及び
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、を含み、
好ましくは、前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、前記溶媒系における前記担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記溶解した担体材料を含有する前記溶媒系における前記薬学的活性成分の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、
好ましくは、前記非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン又はアセトンであり、
好ましくは、前記溶媒系対前記非溶媒系の体積比が10:1〜1:10であり、
好ましくは、前記非溶媒系が、ゆっくり添加され、撹拌、高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して分散され、より好ましくは、撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力が、1〜10回にわたって200〜2000バールであり、前記マイクロジェットポンプの圧力が、1〜10回にわたって100〜2000バールであり、並びに/或いは
好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を前記非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、前記固着防止剤対前記担体材料の質量比が0:10〜2:10である、請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項9】
a.薬学的活性成分及び請求項1〜3のいずれかに記載の担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.前記油相を水性相に添加し、乳化してO/W型エマルションを得るステップ、
c.前記O/W型エマルションを撹拌し、加温して、前記O/W型エマルション中の前記有機溶媒を完全に揮発させるステップ、及び
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップ、を含み、
好ましくは、前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、薬物対前記担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、前記油相における前記担体材料の好ましい濃度が1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1又は2以上の混合溶液であり、前記水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、
好ましくは、使用されるpH調整剤が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基及び緩衝塩から選択され、
好ましくは、前記油相対前記水性相の体積比が1:300〜1:5であり、並びに/或いは
好ましくは、機械的攪拌(agitation)、高速せん断、高圧均質化又はマイクロジェットポンプで乳化し、より好ましくは、前記機械的攪拌の撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力及び前記マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回にわたって100〜1500バールである、請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項10】
a.請求項1〜3のいずれかに記載の溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を溶解又は分散させるステップ、及び
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを含み、
前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、前記溶媒系における前記担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記担体材料の前記溶媒系に溶解又は分散された前記薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、
好ましくは、前記担体材料が可塑剤をさらに含み、より好ましくは、前記可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、前記可塑剤対前記担体材料の質量比が0%〜50%であり、且つ/或いは
好ましくは、前記溶媒系が固着防止剤をさらに含み、前記固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、前記固着防止剤対前記担体材料の質量比が0%〜100%である、
請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項11】
下記の式(I)
【化2】
(I)
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体の、薬物担体の調製における使用。
【請求項1】
下記の式(I)
【化1】
(I)
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物担体。
【請求項2】
メトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体のHLB値が0.01〜19.84である、請求項1に記載の薬物担体。
【請求項3】
薬物放出速度を調節するための1又は2以上の他の高分子材料をさらに包含し、好ましくは、前記他の高分子材料が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー又はポリカプロラクトンであり、好ましくは、前記他の高分子材料の式(I)で表される生分解性コポリマー又はその誘導体の質量に対する比が0%〜50%である、請求項1又は2に記載の薬物担体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体を包含する、ナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項5】
ナノスフェア又はミクロスフェアが、請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体で薬学的活性成分を包むことによって調製されるナノスフェア又はミクロスフェアである、請求項4に記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項6】
薬学的活性成分が、抗結核薬、抗ハンセン病薬、抗ウイルス薬、抗マラリア薬、抗アメーバ薬、抗トリコモナス薬、抗フィラリア薬、駆虫薬、広域スペクトル抗生物質、抗真菌薬、鎮痛薬、鎮痛解熱薬、抗痛風薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗鬱薬、脳血管、脳代謝に作用する薬物、及び向知性薬、カルシウムアンタゴニスト、慢性心不全を治療するための薬物、抗不整脈薬、末梢血管拡張薬、血中脂質調節及び抗動脈硬化薬、白血球の増殖を促進するための薬物、抗血小板薬、ホルモン薬、避妊薬、血糖降下薬、甲状腺ホルモン薬及び抗甲状腺薬、抗新生物薬、免疫に作用する薬物、痩せ薬、抗骨粗しょう症薬、並びに前立腺肥大に対する薬物の1又は2以上から選択され、
好ましくは、リファンピン、アムロジピン、スタブジン、アジスロマイシン、ナプロキセン、ロピニロール、パロキセチン、シンナリジン、ロバスタチン、フルベストラント、オルリスタット、フルコナゾール、塩酸トラマドール、カルバマゼピン、クラリスロマイシン、メロキシカム、プロベネシド、塩酸チオリダジン、チミペロン、クロルプロチキセン、リスペリドン、アルプラゾラム、トラゾドン、ファムシクロビル、塩酸アミトリプチリン、ニモジピン、ドネペジル、カプトプリル、ノルエチンドロン、グリクラジド及びメルファランの1又は2以上から選択され、
より好ましくは、フルベストラント、ナプロキセン又はカルバマゼピンである、請求項5に記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項7】
薬物担体ナノスフェア又はミクロスフェアの粒径が100nm〜1mmであり、薬物負荷率が、0.01%〜30%、好ましくは5%〜30%、より好ましくは10%〜30%、最も好ましくは20%〜30%である、請求項4〜6のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤。
【請求項8】
a.請求項1〜3のいずれかに記載の溶解した担体材料を含有する溶媒系に医薬学的活性成分を分散させるステップ、
b.非溶媒系に添加してナノスフェア又はミクロスフェアを形成するステップ、及び
c.凝固させ、回収し、洗浄し、乾燥させるステップ、を含み、
好ましくは、前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、前記溶媒系における前記担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記溶解した担体材料を含有する前記溶媒系における前記薬学的活性成分の濃度が0.01%〜80%(g/ml)であり、
好ましくは、前記非溶媒系が、エチルエーテル、石油エーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン又はアセトンであり、
好ましくは、前記溶媒系対前記非溶媒系の体積比が10:1〜1:10であり、
好ましくは、前記非溶媒系が、ゆっくり添加され、撹拌、高速せん断若しくは高圧均質化下で、又はマイクロジェットポンプを使用して分散され、より好ましくは、撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力が、1〜10回にわたって200〜2000バールであり、前記マイクロジェットポンプの圧力が、1〜10回にわたって100〜2000バールであり、並びに/或いは
好ましくは、ポリイソブチルエステル、ポリエチレン及びブチルゴムの1又は2以上を前記非溶媒系に固着防止剤として添加し、より好ましくは、前記固着防止剤対前記担体材料の質量比が0:10〜2:10である、請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項9】
a.薬学的活性成分及び請求項1〜3のいずれかに記載の担体材料を有機溶媒に溶解して油相を作製するステップ、
b.前記油相を水性相に添加し、乳化してO/W型エマルションを得るステップ、
c.前記O/W型エマルションを撹拌し、加温して、前記O/W型エマルション中の前記有機溶媒を完全に揮発させるステップ、及び
d.濾過し、洗浄し、回収し、乾燥させるステップ、を含み、
好ましくは、前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、薬物対前記担体材料の質量比が1:50〜1:3であり、前記油相における前記担体材料の好ましい濃度が1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記水性相が、界面活性剤溶液、単糖又は多糖溶液、ポリオール溶液、セルロース溶液、及びコロイド溶液の1又は2以上の混合溶液であり、前記水性相のpH値が3.0〜10.5の範囲内であり、
好ましくは、使用されるpH調整剤が、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基及び緩衝塩から選択され、
好ましくは、前記油相対前記水性相の体積比が1:300〜1:5であり、並びに/或いは
好ましくは、機械的攪拌(agitation)、高速せん断、高圧均質化又はマイクロジェットポンプで乳化し、より好ましくは、前記機械的攪拌の撹拌速度が100〜1000rpmであり、せん断速度が1000〜10000rpmであり、高圧ホモジナイザーの圧力及び前記マイクロジェットポンプの圧力が1〜10回にわたって100〜1500バールである、請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項10】
a.請求項1〜3のいずれかに記載の溶解した担体材料を含有する溶媒系に薬物を溶解又は分散させるステップ、及び
b.噴霧乾燥装置の乾燥塔にスプレー剤の形態で噴霧し、乾燥させ、単離し、回収するステップを含み、
前記担体材料に適切な溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エタノール及び酢酸エチルの1又は2以上であり、
好ましくは、前記溶媒系における前記担体材料の濃度が0.1%〜50%(g/ml)であり、
好ましくは、前記担体材料の前記溶媒系に溶解又は分散された前記薬物の濃度が0.01%〜50%(g/ml)であり、好ましくは、流入空気温度が30℃〜80℃であり、
好ましくは、前記担体材料が可塑剤をさらに含み、より好ましくは、前記可塑剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル及びグリセリルトリアセテートの1又は2以上であり、前記可塑剤対前記担体材料の質量比が0%〜50%であり、且つ/或いは
好ましくは、前記溶媒系が固着防止剤をさらに含み、前記固着防止剤が、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、タルク粉末、シリカゲル及びステアリン酸マグネシウムの1又は2以上であり、前記固着防止剤対前記担体材料の質量比が0%〜100%である、
請求項4〜7のいずれかに記載のナノスフェア又はミクロスフェア薬物製剤を調製するための方法。
【請求項11】
下記の式(I)
【化2】
(I)
[式中、
m=4〜454、好ましくは20〜454、より好ましくは120〜230又は20〜45、最も好ましくは45であり、
n=4〜2778、好ましくは60〜1400、より好ましくは300〜1400又は60〜150、最も好ましくは400〜555であり、
置換基Rが、
a.中性末端基
−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2(CH2)xCH3(x=1〜8)、
b.負に荷電した末端基
1個の負電荷:−COCH2CH2CO2H
2個の負電荷:−COCH2CH2CONHCH(CO2H)(CH2)2CO2H
4個の負電荷:
−COCH2CH2CONHCH[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H](CH2)2[CONHCH(CO2)(CH2)2CO2H]及び
c.正に荷電した末端基
1個の正電荷:−COCH2CH2NH2
2個の正電荷:−COCH2CH2NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2
4個の正電荷:
−COCH2CH2NHCOCH[NHCOCH(NH2)(CH2)4NH2](CH2)4NH[COCH(NH2)(CH2)4NH2]から選択される]
で表される生分解性のメトキシでエンドキャップされたポリエチレングリコール−ポリ乳酸ブロックコポリマー又はその誘導体の、薬物担体の調製における使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2013−500944(P2013−500944A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521932(P2012−521932)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001154
【国際公開番号】WO2011/011978
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512013455)シーアン リーバン メディカル テクノロジー シーオー., エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】XI’AN LIBANG MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001154
【国際公開番号】WO2011/011978
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512013455)シーアン リーバン メディカル テクノロジー シーオー., エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】XI’AN LIBANG MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【Fターム(参考)】
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