説明

ミクロフィブリル化セルロースの製造方法

本発明はセルロースファイバーを処理する方法に関し、この方法はファイバーを機械的に予備処理し、引続いてファイバーを酵素により処理し、その後ファイバーをアルカリ金属水酸化物を含む溶液と混合し、引続いてファイバーを機械的に処理し、ミクロフィブリル化セルロースを生成することを含む方法である。この方法により、改善されており、またエネルギー効率の良い様相でMFCを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明はセルロースファイバーを処理することによるミクロフィブリル化セルロースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
セルロースファイバーはセルロースポリマー、すなわちセルロース鎖から形成されている多成分構造体である。当技術で知られているリグニン、ペントサンおよびその他の成分がまた、存在することがある。ファイバー中のセルロース鎖は相互に付着し、基本フィブリルを形成する。数個の基本フィブリルは相互に結合し、ミクロフィブリルを形成し、数個のミクロフィブリルは凝集体を形成する。セルロース鎖、基本フィブリルおよびミクロフィブリル間の結合は水素結合である。
【0003】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)(これはまた、ナノセルロースとしても知られている)は、木材セルロースファイバーから製造される物質であって、個々のミクロフィブリルが相互に分離している。MFCは通常、非常に細く(〜20nm)、および長さは多くの場合、100nm〜1μmである。
【0004】
MFCは多くの相違する方法によって製造することができる。ミクロフィブリルが形成されるようにセルロースファイバーを機械的に処理することができる。しかしながら、この方法は、例えばファイバーの寸断または精製に非常にエネルギーを消費する方法であり、従って多くの場合に使用されない。
【0005】
細菌を用いるナノセルロースまたはミクロフィブリル化セルロースの製造はもう一つの手段である。上記方法に対して、この方法は木材ファイバーとは別の原材料から出発する生合成法である。しかしながら、この方法は非常に高価な方法であって、また時間を消費する。
【0006】
ファイバーを分解または溶解する種々の化学物質を用いることによりセルロースからミクロフィブリルを製造することもできる。しかしながら、この方法は生成されるフィブリルの長さの制御が困難であり、これらのファイバーは多くの場合に、短すぎる。
【0007】
MFCを製造する例の一つはWO2007091942に記載されている。WO2007091942に記載の方法では、MFCは酵素の添加を組合せた精製を用いることによって製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ミクロフィブリル化セルロースの改良された製造方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明の目的は改善されており、またエネルギー効率の良い様相でミクロフィブリル化セルロースを製造する方法を提供することにある。
【0010】
これらの目的およびその他の利益が特許請求の範囲請求項1に従う方法によって達成される。セルロースファイバーを機械的に予備処理し、次いで酵素処理し、次いでアルカリ金属水酸化物を含む溶液を添加し、最後に機械的処理を付することによって非常にエネルギー効率の良い様相でミクロフィブリル化セルロース(MFC)を製造することができる。この方法は特許請求の範囲独立項および従属項に規定されている方法の好適態様によって達成される。
【0011】
本発明はセルロースファイバーの処理方法に関し、この方法はファイバーの機械的予備処理、引続くファイバーの酵素による処理、その後のファイバーをアルカリ金属水酸化物を含む溶液と混合し、ファイバーを膨張させることを含む。膨張されたファイバーを次いで、機械的に処理し、ミクロフィブリル化セルロースを生成する。この方法によって、改善されており、またエネルギー効率の良い様相でMFCを製造することができる。
【0012】
アルカリ金属水酸化物の濃度は4〜18重量%、好ましくは5〜9重量%であることができる。このアルカリ金属水酸化物の濃度は、最終機械的処理に先立ち、ファイバーの膨張を調整する。アルカリ金属水酸化物は好ましくは、水酸化ナトリウムである。
【0013】
アルカリ金属水酸化物を含む溶液はまた、亜鉛塩を含むことができる。アルカリ金属水酸化物および亜鉛塩の組合せはファイバーの膨張を改善することが示された。亜鉛塩は好ましくは、酸化亜鉛である。亜鉛塩の濃度は0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1.3重量%であることができる。
【0014】
予備処理は好ましくは、ファイバーを寸断または精製することによって行う。予備処理は酵素による処理およびアルカリ金属水酸化物を含む溶液による処理に先立ち、ファイバー構造体を開放する。この方法では、酵素処理ならびにアルカリ金属水酸化物および亜鉛塩を含む溶液による処理が効果的であって、またファイバーの膨張を改善し、従ってMFCの製造を改善する。
【0015】
精製処理期間中のファイバーのコンシステンシイは好ましくは、2.5〜30重量%である。
【0016】
ファイバー構造を分解させるために、予備処理前または予備処理中に酵素を添加することもできる。ヘミセルロースに作用するか、または分解する酵素は、例えばキシラナーゼを使用すると好ましいが、セルラーゼ、例えばエンドグルカナーゼを使用することもできる。
【0017】
溶液を用いる処理期間中の温度は0〜15℃であることができる。温度が低いほど、ファイバーの膨張は増大することが示された。
【0018】
この方法に使用される酵素は好ましくは、セルロースファイバーを分解し、ファイバーのアクセシビリティおよび活性を増加し、およびミクロフィブリル化セルロースの製造を増加するセルラーゼである。
【0019】
セルロースファイバーは好ましくは、クラフトパルプのファイバーである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は改善されており、またエネルギー効率の良い様相でミクロフィブリル化セルロースを製造する方法に関する。
【0021】
機械的予備処理、引続く酵素処理およびアルカリ金属水酸化物を含む溶液の添加の組合せは穏かな、制御可能な様相でファイバーを膨張させることができることが示された。さらに、膨張されたファイバーの追加の機械的処理はミクロフィブリル化セルロースの製造を可能にすることが示された。この方法によって、非常に制御され、およびエネルギー効率の良い様相でMFCを製造することができることが示された。
【0022】
酵素処理、引続くアルカリ金属水酸化物を含む溶液の添加はファイバーを膨張させ、この処理によってファイバーの膨張を制御することができる。酵素および上記1種または2種以上の化学物質を使用することによって小さい調整、例えば濃度の調整が可能であり、またこの方法によって、ファイバーの膨張程度を非常に精確な様相で制御し、また調整することができる。ファイバーはセルロース鎖間の水素結合が弱められることによって膨張する。水素結合は、この処理によっても弱められるが、ファイバーは別段の点で全く作用を受けない。従って、ファイバーの強度は、同一ファイバー長さを得るために使用される純粋に機械的な処理後ほど減少されない。
【0023】
酵素はファイバーの第一層を分解し、従ってファイバーのアクセシビリティを増加し、ファイバー構造体を浸透性にすることができ、フィブリル間に受入れられることができる。アルカリ金属水酸化物を含む溶液は次いで、ファイバーの第一層が弱められていることから、ファイバー構造体にさらに効果的な様相で作用することができる。若干のファイバーはアルカリ金属水酸化物を含む溶液を用いる処理中に溶解する。その後にアルカリ金属水酸化物含有量が減少すると、溶解したフィブリルは固体状態に戻る。フィブリルが固体状態に戻ったならば、これらは接着剤として作用し、ファイバーとフィブリルとの間の結合を増加する。従って、生成されたMFCは非常に良好なフィルム形成性物性を有する。
【0024】
セルロースファイバーは予備処理し、その後、酵素およびアルカリ金属水酸化物を含む溶液で処理する。ファイバーは好ましくは、酵素処理に先立ち寸断または精製し、ファイバーの比表面積を増大する。この方法で、酵素処理の効率は改善される。この寸断または精製はコンシステンシイを総重量で2〜40%において行うことができる。しかしながら、高いコンシステンシイ、好ましくは総重量で15〜40%のコンシステンシイが多くの場合に好適である。低いコンシステンシイ、例えば総重量で2〜6%のコンシステンシイまたは中程度、例えば総重量で10〜20%のコンシステンシイもまた、使用することができる。
【0025】
予備処理期間中に酵素を添加することもできる。次いで、ヘミセルロースを分解する酵素、例えばキシラナーゼを使用すると好ましいが、別種の酵素、例えばエンドグルカナーゼなどのセルラーゼを使用することもできる。酵素の添加は予備処理をさらに改善することができ、また機械的処理の程度の減少を可能にし、従って必要なエネルギーおよびファイバー強度の両方を節約することができる。
【0026】
精製および寸断以外に、ファイバーを軟化し、また引続く処理に先立ち、ファイバーをさらに活性および反応性にするために、別の機械的予備処理、例えば叩解、水蒸気への露呈、脱フィブリル化、均質化、超音波処理、乾式カッティングまたはその他の公知の機械的ファイバー処理を使用することもできる。
【0027】
予備処理後、約4〜5%の濃度を有するスラリーの形態であるファイバーに酵素を添加する。酵素は処理の開始時点で、または全反応時間中のどちらかで攪拌しながら添加する。酵素処理を用いる目的はスラリー中に存在するミクロフィブリル間の水素結合を破壊することにあり、これによりファイバーの膨張が可能になる。酵素はファイバーのアクセシビリティおよび活性を高め、引続く溶液による処理を改善する。
【0028】
使用される酵素はセルロースファイバーを分解する全ての木材分解性酵素であることができる。セルラーゼは好ましく使用されるが、別種の使用できる酵素にはキシラナーゼおよびマンナナーゼがある。酵素は多くの場合、酵素調製品であり、これは主要酵素以外に別の酵素活性を有する少量部分を含有する。酵素による処理に使用される温度は30〜85℃であることができる。しかしながら、温度は使用される酵素に依存し、特定の酵素の最適作業温度ならびにその他の処理パラメーター、例えば時間およびpHに依存する。セルラーゼが使用される場合、処理期間中の温度はほぼ50℃であることができる。
【0029】
酵素処理は30分〜5時間にわたり継続することができる。必要な時間は処理されるセルロースファイバーおよび酵素の活性ならびに処理の温度およびpHに依存する。酵素の活性は10〜1000nkat/gであることができる。
【0030】
酵素処理は温度またはpHを高め酵素を変性することによって終了することができる。別法として、アルカリ金属水酸化物を含む溶液を処理されたファイバーに直接に添加する場合、アルカリ金属水酸化物溶液のpHが酵素処理の終了に充分に高いことから、酵素を別段で変性する必要はない。酵素による処理期間中のpHは好ましくは、4〜6である。
【0031】
その後、アルカリ金属水酸化物を含む溶液を酵素処理したファイバーに添加し、スラリーを生成する。スラリーは好ましくは、総重量で1〜7%の濃度を有する。アルカリ金属水酸化物の濃度は総重量で4〜18%、好ましくは総重量で5〜9%であることができる。総重量の用語は、スラリーの総重量、すなわち溶液およびパルプの総重量を意味する。
【0032】
溶液はまた、亜鉛塩を含有することができる。アルカリ金属水酸化物と亜鉛塩との組合せは、ファイバーの膨張に非常に効果的であることが示された。亜鉛塩の濃度は総重量で0.1〜2%、好ましくは総重量で0.5〜1.3%であることができる。
【0033】
溶液がアルカリ金属水酸化物および亜鉛塩の両方を含む場合、アルカリ金属水酸化物濃度および亜鉛塩濃度は相互に依存する。一例として、アルカリ金属水酸化物の濃度が高い場合、少量の亜鉛塩が要求される。アルカリ金属水酸化物および亜鉛塩の量は、最適の結果を達成できるようにそれらの上記制限範囲内で非段階的様相で調整すべきである。従って、アルカリ金属水酸化物濃度および亜鉛塩濃度はセルロースファイバーの膨張効率の観点から相互に依存する。
【0034】
溶液による処理期間中の温度は0〜15℃であることができる。温度が低いほどファイバーの膨張は増加することが示された。しかしながら、ファイバーの溶解は温度の低下に伴い増加することから、温度をあまり低くしないようにすることは重要である。ファイバーが溶解することは望ましくないことから、温度ならびにその他のパラメーターはファイバーを膨張するが、ファイバーを溶解しない程度に制御しなければならない。
【0035】
アルカリ金属水酸化物は好ましくは、水酸化ナトリウムであるが、別種のアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムと水酸化カリウムまたはその他のアルカリ金属水酸化物との混合物を使用することもできる。亜鉛塩は好ましくは、酸化亜鉛であるが、その他の亜鉛塩、例えば塩化亜鉛または相違する亜鉛塩の混合物を使用することもできる。
【0036】
アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属水酸化物および亜鉛塩を含む溶液による処理期間中のpHは好ましくは、13以上である。アルカリ金属水酸化物を含む溶液によるファイバーの処理は、スラリーを処理期間中に混合するか、混合しないかに依存し、5分間〜2時間にわたり継続することができる。
【0037】
溶液による処理が完了した時点で、溶液は水または酸により洗出することができる。水または酸の添加に先立ち、低濃度の水酸化ナトリウムまたは別種のアルカリ金属水酸化物を添加し、溶解したセルロース(存在する場合)を含む部分を除去することができ、この部分は再使用することができる。
【0038】
アルカリ金属水酸化物含有量を減少すると、溶解したフィブリルまたは粒子は固形状態に戻る(前記のとおり)。この溶解したフィブリルまたは粒子の再生はアルカリ金属水酸化物含有量が減少された場合に生じる。この減少は水または酸を添加することによって、あるいは例えば紙またはボード形成機の湿潤している末端で別のパルプスラリーと混合することができる生成されたMFCを含む生成スラリーを添加することによって達成することができる。
【0039】
溶解したセルロースは溶解したセルロース物質およびナノ粒子の両方を含有する清明もしくは僅かに濁った溶液である。しかしながら、我々が溶解と称している溶液中の固形粒子は、これらが光学顕微鏡下に見ることができないサイズのものでなければならない。すなわち、溶解している部分はまた、ナノサイズのファイバーを含有し、従ってまた、回収し、使用すべきである。
【0040】
本発明による方法によって得られる固形部分および溶解部分は一緒に、または別々にさらに処理することができる。
【0041】
水または酸の添加に付随する欠点は、ファイバーが部分的に収縮する傾向があることにあり、このような収縮を防止すると有利である。これは、例えば水または酸の添加に先立ちファイバーを脱フィブリル化することによって、または水または酸の添加に先立ちナノ−セルロースを生成する機械的手段によって防止することができる。収縮を防止する化学物質を添加することもできる。化学物質の選択は膨張したファイバーの最終用途に関連する。一例として、表面活性成分、ベントナイトまたはTiOの添加による、CMCまたはデンプンの添加による、あるいは界面活性剤による機械的防止があり、これによりファイバー構造体は水または酸の添加に先立ち「凍結」される。
【0042】
その後、ファイバーを機械的に処理し、ミクロフィブリル化セルロースを生成する。このような処理期間の時間および温度は処理されるファイバーおよびその前の処理に依存して変わり、また所望のファイバー長さを有するファイバーが得られるように制御する。機械的処理は精製装置(refiner)、デフィブレーター(defibrator)、叩解機、摩擦グラインダー、高せん断フィブリレーター(fibrilator)(例えば、キャビトロンローター/スターター装置)、ディスパージャー(disperger)、ホモゲナイザー(例えば、微細流動化機(microfluidizer))またはその他の公知の機械的ファイバー処理装置によって行うことができる。
【0043】
本発明による方法で使用されるセルロースファイバーは好ましくは、クラフトパルプのファイバー、すなわちクラフト法に従い処理されているクラフトパルプのファイバーである。クラフトパルプ中のファイバーの第一壁は多くの場合、ファイバーを膨張から護ることが示されている。従って、膨張処理に先立ち、第一壁を除去する必要がある。ファイバーの第一壁はファイバーの予備処理を強化することによって除去することができる。すなわち、強化した精製、好ましくは高コンシステンシイ精製(consistency refining)は非常に効果的であることが示された。また、ヘミセルロースに作用する酵素を、単独で、または精製、好ましくは高コンシステンシイ精製と組合せて使用することができる。ファイバーの精製に先立ち、ファイバーを酵素で処理することもできる。しかしながら、その他の化学的パルプ、機械的パルプまたは化学−機械的パルプ、例えばスルフィットパルプもまた、使用することができる。ファイバーはまた、漂白されていてもよく、または未漂白であることもできるが、リグニン含有量が減少されており、またファイバーがさらに容易に膨張されることから、漂白されているファイバーが好適である。
【0044】
セルロースファイバーは硬木および/または軟木ファイバーであることができる。スルフィットパルプおよびパインクラフトパルプは本発明に従い処理すると、ユーカリおよびカバクラフトパルプに比較し、さらに細かいフラクションに変形される。従って、軟木クラフトパルプを本発明に従う方法で処理すると好ましい。
【0045】
本発明に従い生成されるセルロース物質はフィルムの製造に使用することができる。本明細書に記載されている方法に従い軟木クラフトパルプから製造されたMFCには非常に良好なフィルム形成性物性が得られることが示された。
【0046】
ミクロフィブリル化セルロース(MFC)はしばしばまた、ナノセルロースと称される。フィブリル化されており、表面上にミクロフィブリルを有するファイバーおよびスラリーの水相に分離して、存在するミクロフィブリルはMFCの定義内に包含される。
【0047】
(例)
カバクラフトパルプを下記に従い処理した:
−バルプコンシステンシイ20%において5時間かけて機械的に寸断する、
−250nkat/g、pH5、50℃において3時間かけてセルラーゼにより酵素処理する。
【0048】
その後、パルプを中間乾燥させることなく、10℃においてNaOH9重量%に曝し、その膨張能力を試験した。湿ったパルプ(コンシステンシイ20%)を10℃においてNaOH中に添加した。この混合物の最終内容はパルプ5重量%およびNaOH9重量%であった。混合物を100rpmで15分間にわたり攪拌し、その後同一温度において1時間45分間にわたり安定状態で放置した。試料を次いで、光学顕微鏡下に検査し、可溶性セルロースの割合を測定した。
【0049】
膨張した試料にNaOH4重量%を添加し、混合物を遠心処理し、清明/僅かに濁った上清を分離することによって精製した。上清を10%HSOで処理し、溶解したセルロースを沈殿させた。その後、精製した未溶解部分および沈殿した溶解部分の両方を透析で水によりさらに洗浄した。ファイバーの42%が溶解されたものと結論された。
【0050】
未溶解部分および沈殿した溶解部分の両方を次いで、コンシステンシイ約1.5%において10分間かけて高せん断混合し、MFCを生成した。
【0051】
本例に記載のとおりにMFCを製造した場合、総エネルギー消費量は約0.3MWh/tであった。
【0052】
従来技術試験では、従来技術に従い機械的処理を用いるMFCの製造は約2〜3MWh/tであることが示されている。
【0053】
従って、エネルギー消費量は強力に減少された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースファイバーを処理する方法であって、
−ファイバーを機械的に予備処理すること、
−ファイバーを酵素で処理すること、
−ファイバーをアルカリ金属水酸化物を含む溶液と混合し、ファイバーを膨張させること、次いで
−膨張したファイバーを機械的に処理し、ミクロフィブリル化セルロースを生成すること、
を含む方法。
【請求項2】
アルカリ金属水酸化物の濃度が総重量で4〜18%、好ましくは総重量で5〜9%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶液が亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
亜鉛塩の濃度が総重量で0.1〜2%、好ましくは総重量で0.5〜1.3%であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ファイバーを寸断または精製によって予備処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
寸断または精製処理期間中、ファイバーを総重量で2.5〜40%のコンシステンシイにおいて処理することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
溶液による処理期間中、温度が0〜15℃であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
亜鉛塩が酸化亜鉛であることを特徴とする請求項3〜8に記載の方法。
【請求項10】
酵素がセルラーゼであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ヘミセルロースに作用する酵素、例えばキシラナーゼまたはセルロースに作用する酵素、例えばセルラーゼを、ファイバーの機械的予備処理に先立って、または機械的予備処理期間中に添加することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ファイバーがクラフトパルプのファイバーであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−532952(P2012−532952A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519095(P2012−519095)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053043
【国際公開番号】WO2011/004300
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(501239516)
【Fターム(参考)】