ミクロ切断方法及び情報処理システム
本発明は、本発明の第一の側面において、生物学、組織学及び病理学のための方法であり、前記方法は:生物材料を含む対象物(10)の第一のスライス(12)の第一のデジタルイメージ(44)を準備し;前記対象物の第二のスライス(14)の第二のデジタルイメージ(46)を生成し;前記第一のイメージの関心領域(48)に基づき前記第二のスライスの関心領域を決定(50)し;前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域(50)を決定し;前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する方法を提供する。
本発明は、本発明の他の側面において、生物学、組織学及び病理学のために使用する情報処理システムであり、前記情報処理システムは、既定の一組の処理識別子(64);生物材料を含む対象物(10)に関連する一組のデータ記録(68、70、72);前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライス(12、14)を識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が前記スライスが対象とされる処理を指示し;ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、ユーザーインターフェース(52、56、58、60)を含む、情報処理システムを提供する。
本発明は、本発明の他の側面において、生物学、組織学及び病理学のために使用する情報処理システムであり、前記情報処理システムは、既定の一組の処理識別子(64);生物材料を含む対象物(10)に関連する一組のデータ記録(68、70、72);前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライス(12、14)を識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が前記スライスが対象とされる処理を指示し;ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、ユーザーインターフェース(52、56、58、60)を含む、情報処理システムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第一の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学の分野で使用される方法に関する。第二の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学の分野で使用されるシステムに関する。第三の側面において、本発明は、データキャリアに関する。第四の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学に分野で使用されるための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理学者はケアサイクルの診断部分の中心的役割を果たす。組織サンプルが生検の際に患者から採取された際に、通常、該生検からの組織及び細胞の顕微鏡的観察により、病理学者は該疾患の性質及び重度(主に癌関連)について最終診断を行う。
【0003】
生検からの材料を含む顕微鏡スライドは通常次のような数ステップで調製される。最初に、該材料が固定のためにホルマリン中に置かれ、続いてパラフィンブロックへ処理され、ここから薄い(〜5μm)スライスが切断される。これらのスライスの一つが顕微鏡ガラス基板上に置かれ、後ひとつ又はそれ以上の染色剤が適用され、関連する細胞又は組織部分が顕微鏡で可視化される。最後にマッチング液/固定剤をスライスに加え、薄い(〜170μm)顕微鏡カバースリップを組織の上に置いて組織を完全にシールする。これにより該スライスを含むスライドの長期保存(>10年)が可能になる。しばしば、該パラフィンブロックを10年以上同様に保存する必要がある。
【0004】
病理学は、現在ではアナログ的仕事ではあるが、診断効率及び品質の改善のためにデジタル病理学の方向へ向かう強い力がある。デジタル病理学とは、実験室でのスライドのデジタル化を意味し、結果のイメージをサーバ上に記憶させ、病理学者が自分自身のワークステーションから容易にアクセスでき、医学的に関連する情報を同僚又は他の医者と共有することができる。デジタル病理学の採用により、病理学者がもはや自分ではスライドを扱うことなく、むしろデジタルイメージ及び他の医学的情報と協働して診断を行うようになろう。
【0005】
適切な切断技術、例えばレーザーによるミクロ切断(レーザーミクロ切断)などを用いて、ひとつ又はそれ以上の小さなサンプルを組織スライスから切り出し、DNA遺伝子型又はRNA転写プロフィールなどのさらなる分子レベル試験の対象とされる。該組織スライドの調製は、病理組織スライドの場合において非常にアナログ的であり、該選択された組織サンプルの抽出及び収集を可能とするためにカバースリップが組織の上には置かれない、という違いがある。組織学的試験は、関心領域のひとつ又はいくつかの領域を選択して顕微鏡観察により実行される。しばしばこの選択は病理学者によりなされ、スライドの背面にマークされる。オペレータはその後、該関心領域とその他の領域を分ける線に沿って切断するために集光レーザービームを使用することができる。分離された組織はその後、粘着テープを用いるか又はそれを脱焦点化させたビームで動かして収集カゴに集められる。その後集められた組織はさらに処理される。現在レーザーミクロ切断システムは主に研究実験室で用いられている。
【0006】
一般的病理学的プラクティスにおいてレーザーミクロ切断がより広く採用されるための一つの解決すべき問題は、現在のミクロ切断システムが、従来の病理学作業工程とは合致していないということである。現在は、該サンプル上にカバースリップが置かれていることにより通常の診断のために用いられるサンプルにつきレーザーミクロ切断を実施することはできない。これらの通常のスライドは処理の間に損傷を受けてはならないものである。さらに、現在病理学者は、どの領域が選択されるべきかを指示するために該スライドを物理的に取り扱う必要があり、これにより該スライドがより実験室から実験室へ移動される。この作業工程の不適合は、デジタル病理学の導入によりさらに拡大する恐れがある。というのは、病理学者はもはやスライドを物理的に扱わなくなるだろうからである。従って、ミクロ切断をデジタル病理学作業工程に組み込む新たなシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、生物学的材料の関心領域を選択すること、該領域から材料を抽出との組み合わされたステップを提供することである。本発明の他の課題は、同じパラフィンブロックなどから少なくとも2つのスライスの切断を含む作業工程の制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、独立請求項の構成により達成される。さらに具体的なかつ好ましい実施態様は従属請求項に記載されている。第一の側面による方法は:生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備し;前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成し;前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定し;前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定し;前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する、方法である。
【0009】
前記第二のスライスの関心領域から材料を抽出することで、前記第一のスライスの関心領域の材料について結論が出され得る。ただし、前記第一のスライスと前記第二のスライスが十分に類似している場合である。このために、前記第一のスライス及び第二のスライスが対象物から切断される前に隣接していることが有利である。また、前記第二のスライスの切断には、前記第一のスライスに平行して前記第二のスライスを切断することを含むことができる。対象物は、生物材料を含むパラフィンブロックを含むか、それ自体であってよい。さらに、前記第一のイメージの生成は、対象物から前記第一のスライスの切断を含んでいてよい。同様に、前記第二のイメージの生成は、対象物から前記第二のスライスを切断することを含んでいてよい。前記第二のスライスの関心領域の決定及び前記第二のスライスの関心領域から材料を抽出することは組み合わせることができる。特に前記第二のスライスの関心領域は、前記第二のイメージの関心領域に基づいて前記第二のスライスから材料を抽出することにより後天的に定められ得る。この場合、前記第二のスライスの関心領域は、材料が抽出された領域である。
【0010】
前記第二のイメージの関心領域の決定は、前記第一のイメージの特徴の位置を前記第二のイメージの類似の特徴の位置へマッピングする幾何学変換を決定すること;及び該幾何学変換を前記第一のイメージの関心領域へ適用すること、を含む。
【0011】
本明細書で、用語「特徴」とは、あるイメージの全ての局所的光学的特徴、例えば点、線又はパターンを意味する。点は、例えば、それぞれのスライスの領域内の細胞の集合又は密度増加など、による。本方法は、前記第一のイメージ及び第二のイメージの特徴を、特徴検出又はパターン認識方法を用いて識別することを含む。幾何学的変換は特に、イメージ平面内での移動、イメージ面に垂直軸回りの回転、及び拡大縮小操作である。幾何学的変換の決定は従って、移動ベクトル、回転角及び拡大縮小ファクタの決定を含み、拡大縮小ファクタは前記第一のイメージと第二のイメージとのサイズの比率を示す。
【0012】
前記第二の関心領域の決定は、前記第一のイメージと第二のイメージを、前記第一のイメージの少なくともいくつかの特徴が第二のイメージの類似の特徴上に重なるように並べるか及び/又は前記第一のイメージと第二のイメージの重なりのコントラストが最大化されるように並べることを含む。このために、本方法は、前記第一のイメージ及び第二のイメージの特徴を、特徴検出又はパターン認識方法を用いて識別することを含むもことができる。
【0013】
前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出することは、前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して切断道具の新たな位置を決定し;及び前記第二のスライスに関して前記切断道具を前記新たな位置へ移動させる、ことを含む。切断道具は又、例えば、カッタ、メス又はレーザービームであり得る。
【0014】
該新たな位置の決定には、ルックアップテーブル参照又は機能評価、前記第二のイメージの位置を前記第二のスライスに関して切断道具の位置へ又は前記第二のスライスに関して前記切断道具の位置と同等の情報に関連付けるルックアップテーブル又は機能が挙げられる。ルックアップテーブルには、メモリに記憶されるか又はデータキャリア上のデジタルルックアップテーブルが挙げられる。ルックアップテーブルの生成又はルックアップテーブルの修正は、較正ステップに該当する。
【0015】
本発明の第二の側面による装置又はシステムは:生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備する手段;前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成する手段;前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域を決定する手段;前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域を決定する手段;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する手段を含む。
【0016】
これにより本発明の第一の側面による方法を実施する方法が提供される。
【0017】
前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出するための手段は、前記第二のスライスから材料を切断するための切断道具を準備する装置;前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して前記切断道具の新たな位置を決定する手段;前記新たな位置へ前記第二のスライスに関して前記切断道具を動かす手段、を含む。前記切断道具を準備するための装置は、例えば、カッタ、メス又はレーザービームを生成するレーザーが挙げられる。
【0018】
前記第二のイメージを生成する手段は顕微鏡対象物を含むことができ、材料を抽出する手段はレーザービーム生成のためのレーザーを含むことができ、及び前記装置又はシステムは、前記顕微鏡対象物を介して前記第二のスライスへレーザービームを透過させるように構成され得る。従って、前記スライスをイメージングするため及びレーザービームのため本質的に同じ光路が提供される。ここで、レーザービームと前記スライスからの光りは反対方向に進行することは理解されるべきである。顕微鏡対象物の潜在的な配列誤りによる誤差は従って低減され得る。
【0019】
本発明の第三の側面によるデータキャリアは、本発明の第1の側面による方法を実施するための第二の側面による装置又はシステムを制御するための指示を含む。データキャリアは、例えば、CD、DVD、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの磁気データキャリアなどの光学データキャリアを含む。データキャリアは、異なる物理的ユニットを含むという意味で分布されたデータキャリアであり得る。この場合、データキャリアに記憶されている全ての情報は、情報の異なる部分を含む異なるユニットに分布形式で記憶されている。
【0020】
本発明の第四の側面による情報処理システムは、既定の一組の処理識別子を準備し;生物材料を含む対象物に関連する一組のデータ記録を準備し;前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が、前記スライスが対象とされる処理を指示し;ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、インターフェースを準備する。
【0021】
情報処理システムは従って、少なくとも2つのスライスを、例えばパラフィンブロックから切断することを含む作業工程を制御することを実行する。情報処理装置は、ハードウェア及びソフトウェアの手段により、記載されたように構成され、該ハードウェアは、ソフトウェアが記憶されているメモリを含み、該ソフトウェアは該ハードウェアを制御するための実行可能な指示を含む。データ記録は、デジタル(例えばバイナリ)形式でメモリ中に表現されている。より具体的には、前記スライス識別子及び/又は処理識別子は英数字定数のデジタル表現であってよい。一組のデータ記録は第一のデータ記録及び第二のデータ記録を含み、前記第一のデータ記録の前記処理識別子と前記第二のデータ記録の前記処理識別子は異なる。前記ユーザーインタフェースは、前記選択されたデータ記録の内容を表示するために構成され得る。前記ユーザーインタフェースによりさらに、ユーザが、前記一組のデータ記録を修正し及び/又は前記一組のデータ記録に新たなデータを加え、及び/又は前記一組のデータ記録からデータ記録を削除することができる。前記情報処理システムは、コンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ又はコンピュータネットワークを含むことができる。前記情報処理システムは、入力手段及び出力手段を含み得る。前記入力及び出力手段は、例えば、少なくとも、キーボード、マウス、トラックボール、音声認識手段、液晶表示などのモニタ及び音声出力手段などを含むことができる。前記入力手段及び出力手段は前記処理システムに組み込まれるか、又は前記情報処理システムと操作的に接続される別のユニットを形成することができる。前記ユーザーインタフェースは、入力手段及び出力手段を制御するソフトウェアにより実行され、従ってユーザは情報を情報処理システムを用いて情報を交換することができる。前記情報処理システムは、前記一組の識別子、一組のデータ記録及び前記ユーザーインタフェースを制御するためのソフトウェアを記憶するメモリを含むことができる。前記メモリは、単一の物理的ユニットにより提供される必要はなく、いくつかの別々のメモリを含むことができる。別々のメモリは、例えばハードディスク等の磁気データキャリア又はコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又は複数のラッシュメモリなどの光学データキャリアにより提供され得る。
【0022】
一組の処理識別子には、スライスに関する処理の次の事項から選択される処理を識別する処理識別子が含まれる。即ち、前記スライスにつきなにもしない;前記スライスを記録する;前記スライスを取り出す;前記スライスのイメージを生成する;前記スライスを顕微鏡スライド又はカートリッジに含める;前記スライスを他の実験室へ送る;前記スライスから材料を抽出する;前記スライスを凍結する;前記スライスを加熱する;前記スライスをシールする;前記スライスの関心領域をマークする;前記スライスを染色する;前記スライスを第一の染色方法で染色する;前記スライスを第二の染色方法で染色する;2つの染色方法の間で色の変換を定める、こと。
【0023】
前記処理は音声ラベル及び/又は言語ラベルが与えられる。情報処理システムは前記ラベルがモニタ上に表示されるように構成される。情報処理識別子は、対象物のスライスの自動又は手動処理のために使用されてもよい。
【0024】
前記一組のデータ記録は、前記スライス識別子により示される少なくともいくつかのスライスにつき、前記少なくともいくつかのスライスが前記対象物から切断される前に配置される順序に対応する順序を示すことができる。例えば、前記データ記録それぞれ又は少なくともいくつかに数を含めることができ、例えば、前記対象物から切断される第一のスライスを数1と番号付けされ、切断された第二のスライスを数2と番号付けされるなどである。これにより、隣接するスライスに関するデータ記録を見出す助けとなる。これらの数は、前記隣接するそれぞれの厚さについての情報と共に、前記対象物の三次元イメージを生成するために使用することができる。特定のスライスに関しかつ前記対象物の前記スライスにより既に占められた場所を示す数は、スライス識別子に組み込まれることができ、又は前記データ記録の他のエントリを形成することができる。これに加えて、又はこれに代えて、データ記録は他のデータ記録を指すエントリ点を含むことができる。例えば隣接するスライスのデータ記録である。また、一組のスライスを示す情報が前記データ記録へ加えることができる。これは、一組のスライスを特定するために有用であり得る。というのは、第一の染色方法と第二の染色方法とのそれぞれの間の色変換を定めるために使用されるためである。色変換方法の例は、前の適用において適用した者により表されている。一組のスライスは、例えば、第一の記録の第一のポインタであって、該第一のポインタは第二のデータ記録を指示する第一のポインタにより及び/又は第二のデータ記録の第二のポインタであって、該第二のポイントタは該第一のデータ記録を指示する第二のポインタにより指示され得る。
【0025】
ユーザーインタフェースは、ユーザが、前記一組のプロセス識別子から他のプロセス識別子を選択することで、前記選択されたデータ記録のプロセス識別子を修正することを可能にするように構成される。このために、ユーザーインターフェースは、該プロセス識別子のリスト及び/又は該プロセス識別子に対応するプロセスラベルのリストを表示するように構成される。
【0026】
該一組のデータ記録の第一のデータ記録は、第一のイメージ又は第一のイメージ識別子を含み得る。該第一のイメージは、該第一のデータ記録の該スライス識別子により識別されるスライスのデジタルイメージであり、及び前記第一のイメージ識別子は、前記第一のイメージを識別する。同様に、該一組のデータ記録の第二のデータ記録は、第二のイメージ又は第二のイメージ識別子を含み得る。該第二のイメージは、該第二のデータ記録の該スライス識別子により識別されるスライスのデジタルイメージであり、及び前記第二のイメージ識別子は、前記第二のイメージを識別する。好ましい実施態様によれば、対応するスライスは、対象物から平行切断の方法で切断される。本情報処理システムは、前記第一のイメージと前記第二のイメージとを、前記第一のイメージの特徴が前記第二のイメージの特徴に応じるように重ねられ、前記第一のイメージと第二のイメージとの間の移動及び/又は回転及び/又はサイズ比率を決定するように構成される。従って、前記第一のイメージの点又はピクセル及び対応する第二のイメージの点又はピクセルのマッピングが、移動ベクトル及び回転角度を用いて簡単な方法で表現され得る。さらに、本情報処理システムは、前記第一のイメージの関心領域に基づき前記第二のイメージの関心領域を決定するように構成され得る。本情報処理システムはまた、前記第一のイメージと第二のイメージを同時に表示し、対応する関心領域の2つのイメージのそれぞれを示すように構成され得る。
【0027】
ここで、前記第一のデータ記録は、前記第一のイメージの関心領域を示す情報を含み、前記関心領域はユーザにより定められ、前記情報は、前記対象物の第二のスライスを例えばミクロ切断のために調製するために実験室へ送られるために記録されたものである。
【0028】
さらに、本情報処理システムは、関心領域の決定のために、前記第一のイメージと前記第二のスライスの第二のデジタルイメージを重ね、前記第一のイメージの関心領域を前記第二のイメージに投影することにより前記第二のスライスから切断されるように構成され得る。従って、対応するイメージの対応する関心領域が効率的に決定され得る。
【0029】
ユーザーインタフェースにより、ユーザは、一組の実験室識別子から選択される実験室識別子を前記選択されたデータ記録に追加し、及び前記選択されたデータ記録又は選択されたコンポーネントを、前記選択された実験室識別子により識別された実験室へ送ることができる。例えば、第一の実験室で作業する病理学者は、従って、第一のスライスのデータ記録をミクロ切断装置を有する第二の実験質へ送ることができる。病理学者は、前記データ記録に、第一のスライスのデジタルイメージ及び該イメージで定められた関心領域を含めることができる。前記第二の実験室で、前記第一のスライスに類似の第二のスライスが切断され得る。さらに、第一のスライスのデジタルイメージの関心領域に対応する関心領域が、本発明の第一及び第二の側面につき説明されたように決定され得る。
【0030】
ユーザーインタフェースはまた、病理学者が実験室に、生理学的材料を含む対象物(例えばパラフィンブロックから)から2つのスライスを切断し、これら2つのスライスのデジタルイメージを生成することを依頼するように構成され得る。
【0031】
関連する側面において、本方法は次のステップを含む。生物学的材料を含むブロックを受け取り;該ブロックから第一の切断で、第一のスライスを切断し;前記第一の切断と平行な第二の切断で、前記ブロックから第二のスライスを切断し;第一の基板上に前記第一のスライスを置き;第二の基板上に前記第二のスライスを置き;前記第一のスライス上にカバースライドを置き;前記第二のスライスにカバーせず;前記第二のスライスから材料を抽出する、ことである。
【0032】
従って、2つの顕微鏡スライドが調製される。即ち、前記第一の基板、第一のスライス及びカバースライドを含む第一の顕微鏡スライド及び前記第二のスライスである。前記第一の顕微鏡スライド及び第二の顕微鏡スライドはまた、この特許出願においては、前記標準スライド及び前記切断スライドとしてそれぞれ参照されるものである。異なるスライドがまた、従って、診断及びミクロ切断のために使用され得る。前記ブロックは、具体的にはパラフィンブロックであり得る。生物学的材料には、例えば、組織、血液又はバクテリア又は菌の個々の細胞を含み得る。前記第一のスライス及び第二のスライスは、好ましくはブロックの近い部分から切断されるものであり。従ってこれらは類似の形態を示すことが予測されるからである。
【0033】
前記第二の切断は、具体的には、前記第一の切断に隣接する。従って、前記第一の切断とだにの切断は非常に類似の形態を示すことが予想される。
【0034】
抽出されるべき材料は、例えば、レーザーミクロ切断により抽出され得る。又は、例えば、微細メスを用いて機械的に抽出され得る。
【0035】
本方法はさらに、第一のイメージとなる前記第一のスライスのデジタルイメージの生成と、第二のイメージとなる第二のスライスのデジタルイメージを生成を含む。
【0036】
本方法はさらに、前記第一のスライスがイメージングのため及び/又は保存のためのものであることを、かつ前記第二のスライスがミクロ切断を行うためのものであること、を示す情報を含み得る。
【0037】
本方法はさらに、次のステップを含む。前記第一のイメージの関心領域を定め;前記第一のイメージの前記関心領域から前記第二のイメージの関心領域を決定し;及び前記第二のイメージの前記関心領域から、前記第二のスライスの関心領域を決定する、ことである。又は、該関心領域は前記第二のイメージ内で直接定めることができ、それから、前記第二のスライスの対応する関心領域が決定され得る。しかしながら、前記第一のスライスはカバースリップでカバーされており、使用される装置に依存して、前記第一のスライスはより簡便にかつより正確にイメージングされることができるということが予想できる。また、前記第一のスライスが試験され興味領域が定められた後にだけ前記第二のスライスが生成されるという場合もあり得る。
【0038】
前記第二の興味領域の決定には前記第一のイメージ及び第二のイメージを重ね、前記第一のイメージの特徴と前記第二のイメージの特徴とを一致させる、ことが含まれる。2つのイメージの対応する特徴は自動的に識別され得る。例えば、パターン認識アルゴリズムを用いる。かかる特徴には、例えば、細胞、細胞構造又は細胞集合物を含む。2つのイメージのいわゆる登録の目的は、切断されるべき前記第二のスライスの部分を決定することである。信頼性、品質管理及び健康管理当局の認可の理由から、病理学者が該登録の成果を明示的に承認することが必要となり得る。
【0039】
本方法はさらに、前記第一のイメージをコンピュータから切断ユニットへ送ることを含む。該切断ユニットは、リアルタイムで前記第二のスライスから前記第二のイメージを生成し、同時に前記第一のイメージを生成された第二のイメージに重ねることができる。前記切断ユニットに関して前記第二のスライスの不整合な動きに起因する誤差が最小化される。
【0040】
他の関連する側面において、本方法は、前記生物学的材料を含むブロックを受け取り;第一の切断で、前記ブロックから第一のスライスを切断し;前記第一の切断と平行な第二の切断で、前記ブロックから第二のスライスを切断し;前記第一のスライスを第一の基板に置き;前記第二のスライスを第二の基板に置き;前記第一のスライス上にカバースライドを置き;前記第二のスライスをカバーせず;前記第二のスライスから材料を抽出する、ことを含む。
【0041】
本システムは:前記第一のスライス又は第二のスライスのデジタルイメージの興味領域を決定するためのコンピュータ;と前記興味領域についての情報と共に前記デジタルイメージを前記コンピュータから受け取り、前記デジタルイメージ及びデジタル情報から、前記第二のスライスの対応する興味領域を決定し、前記第二のスライスの興味領域から材料を抽出するための切断ユニットを含む。
【0042】
該システムは、作業工程システムに統合されていてよい。本システムは完全に自動化されてよい。又は、該システムのいくつかの機能が、少なくとも選択可能に、人により行われてもよい。従って、一人の人又は一人以上の人、例えば一人以上の病理学者又は実験補助者が、該システムの一部となり得る。本システムは、複数の群(例えば生理学者及び実験室)によりイメージの保存及び取り出しを行うためのデータベースシステム、及びこれらのイメージを見て、興味領域を選択するためのソフトウェア(例えば、自動的に又は病理学者により)を含むワークステーションを用いることができる。選択された興味領域についての情報は該データベースシステムに保存されるか、又は直接実験室へ送られ、そこで切断スライドが、前記生物学的材料が含まれるブロックからの隣接した切断から調製される。切断ユニットは、第二のイメージを生成するために前記切断スライドのイメージを取得するためのイメージングシステムと、前記第一のイメージ(該切断スライドから得られる)と第二のイメージ(前記標準スライドから得られる)を重ねて前記切断スライドの興味領域を識別するための情報処理装置を含むことができる。これにより、前記切断ユニットが適切な領域を切断して収集することが可能となる。切断ユニットは、具体的にはレーザーミクロ切断ユニットであり得る。本システムは複数の機械又は装置を含むことができるが、それらは必ずしもお互いに物理的に結合されている必要はない、ということは指摘されるべきことである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、生物学的材料を含むパラフィンブロクの模式的側面図である。
【図2】図2は、第一の顕微鏡及び第二の顕微鏡スライドの模式的側面図である。
【図3】図3は、第一の切断方法のフローチャートである。
【図4】図4は、第二の切断方法のフローチャートである。
【図5】図5は、第一の作業工程を模式的に示す。
【図6】図6は、第二の作業工程を模式的に示す。
【図7】図7は、第一の操作段階でのレーザーミクロ切断の例を模式的に示す。
【図8】図8は、図7の第二の操作段階でのレーザーミクロ切断の例を模式的に示す。
【図9】図9は、第一のデジタルイメージの例及び第二のデジタルイメージの例を模式的に示す。
【図10】図10は、情報処理システムの例を模式的に示す。
【図11】図11は、図10に示される情報処理システムにより読み取られるデータキャリアに記録される情報を模式的に示す。 特に記載されない限り、類似の参照符号異なる図面で表される場合、同一又は類似のコンポーネントを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1には、生物学的材料、例えばひとつ又はそれ以上の組織又は個々の細胞などを含むパラフィンブロック10の模式的側面を示す。前記ブロックは第一の層12及び隣接する第二の層14を含む。これらは第一のスライス12及び第二のスライス14を形成するためにブロックから切断されるものである。前記第一の層12及び第二の層14は、また、前記1つの層12、14が類似の特徴を有するに十分近い距離で離れていれば、該ブロックの隣接する層でなくてもよい。より具体的には、2つの層12、14は、両方の層にわたり該ブロック10の興味領域についてお互いに十分近くにあるものである。ここで層12、14は概念的なものであることに、留意すべきである。即ち、これらは該ブロックのいかなる形態上の特徴により必ずしも定められるものではなく、むしろこれらは該ブロック10から切断された後から定められるものである。留意すべきは、第一のスライスの切断及び第二のスライス14の切断の間は相当な遅れがあり得る(例えば数日、数週間、数ヶ月、又は数年)、ということである。
【0045】
図2を参照して、一組の顕微鏡スライド22、24が示される。スライドの組22、24は第一の顕微鏡スライド22(標準スライド)及び第二の顕微鏡スライド24(切断スライド)を含む。標準スライドは、図1で参照される上記の第一のスライス12を支持する透明な第一の基板16及び透明カバースリップ20を含む。マッチング液(図示されていない)がまた基板16及びカバースリップ20間に含まれていてもよい。切断スライド24は、図1で参照される上記の第二のスライス14を支持する第二の基板を含む。標準スライス14とは対照的に、切断スライド26は、前記第二のスライス14を上から遮断するエレメントを含まない。具体的にはカバースリップを含まない。標準スライド22は、顕微鏡下で研究されるものであり、及び/又は最小期間保存されるものである(例えば一月又は一年)。前記切断スライド24は第二のスライス14から、例えば第二のスライス14をレーザーミクロ切断技術などを用いて切断することで、サンプルを取得するためのものである。
【0046】
図3は病理学及び組織学で使用される方法の例を示す。第一のステップ301で、生物学材料を含むパラフィンブロックが調製される。これは当該技術の全ての知られた方法で実施可能である。第一の切断を例えばミクロトームを用いて行いブロックから第一のスライスを取得する(ステップ302)。前記第一のスライスは透明基板に載せて染色されかつカバースリップでカバーされ標準スライドを形成する。これは顕微鏡によりイメージ化され得る。前記顕微鏡は、例えば、明視野イメージイングモード及び/又は暗視野イメージイングモード又は共焦点イメージイングモードを提供する。病理学者又はコンピュータはその後前記第一のスライスのイメージを分析する。コンピュータは、パターン認識ソフトウェアを備えていてよい。第一のスライスのイメージに基づき、さらに詳細な分析がなされるべきかを決定される。その場合、興味領域が前記第一のスライスで定められ(ステップ306)、第二のスライスが前記第一の切断に対して平行に、好ましくは隣接してブロックから切断される(ステップ308)。場合により、前記第二のスライスはイメージ化される前に、標準スライドを作成するために用いた同じ染色又は異なる染色剤で染色され得る。前記第一のスライスのイメージと前記第二のスライスのイメージを重ね合わせることで、前記第一のスライスで定めた興味領域が第二のスライスに投影され、第二のスライスの興味領域を定める(ステップ310)。ステップ310は、切断ユニットに前記第二のスライスを置くことを含む。前記切断ユニットは、前記第二のスライスのイメージを取得し、該イメージ(第二のイメージ)及び前記第一のスライスのイメージ(第一のイメージ)を重ね合わせて、前記第一イメージの興味領域から前記第二のスライスの対応する興味領域を決定するように構成されている。前記切断ユニットは、これらのステップを制御するためのコンピュータを含んでよい。第二のスライスの興味領域が決定されると、それが前記第二のスライスから切断される(ステップ311)。これはさらなる分析のための異なるステーションへ送られる。ステップ305においてさらなる分析を要求されない場合、前記プロセスは終了する。
【0047】
図4には、図3で参照された上記方法の変法が示されている。ステップ401からステップ411はそれぞれ図3で示した方法のステップ302から311に類似する。この方法は、しかし次の点で異なる。即ち、前記第二のスライスが、前記生物学的材料のさらなる分析が実施されるべきかどうかを決定(ステップ405)する前に前記第一のスライドと共に調製されるという点である(ステップ402及び408)。
【0048】
図5には可能な作業工程の例が示さされる。実験室(lab)では、パラフィンブロック(501)を調製するか他の実験室から受け取る。前記パラフィンブロックからいくつかの標準スライドが切断されて調製される(502)。標準スライドはデジタル化され(503)、このデジタルイメージが、画像保存交信システム(PACS)に保存される。ワークステーション操作が自動的に又は例えば病理学者により、前記PACSから少なくともひとつのデジタルイメージを取り出しそれを表示装置へ表示して該病理学者が診断することができる。病理学者がさらなる試験(例えばDNA試験など)をこのサンプルにつき要求する場合には、病理学者は表示上の標準スライドのデジタルイメージの興味領域に対応する興味領域を選択する。ワークステーションは、要求される試験のタイプを示す情報と共に前記興味領域を示す情報を実験室情報システム(507)へ送る(506)。前記実験室情報システムから取り出した情報に基づいて、新たなスライスが実験室のパラフィンブロックから、好ましくは前記標準スライドを作成するために用いられた前記切断に隣接して切断される。この新たなスライスは、切断スライドを形成するために処理され、ミクロ切断装置へ置かれる。ミクロ切断装置は前記切断スライドのデジタル顕微鏡イメージを生成する(509)。標準スライド及び切断スライドのデジタルイメージは特徴認識ソフトウェアを用いて重ねあわされ、すでに識別された標準スライドのデジタルイメージの興味領域と合致する、前記切断スライドの興味領域を決定する。切断スライドの興味領域のイメージは、その後場合により更なる参照のために保存される。ミクロ切断装置はその後、前記切断スライドの興味領域の材料を切断して取り出す(511)。切断されて取り出された材料はさらに分析される(512)。
【0049】
図6には、他の可能な作業工程が示される。標準スライド及び切断スライドが、標準スライドが試験される前にパラフィンブロックから調製される(602、608)。これらのスライドのデジタルイメージが生成され(603、604)PACSに保存される(607)。病理学者はここで、さらなる試験(興味領域の)のために領域を示すためにこれらのイメージを直接用いることができる。この情報は再び、レーザーミクロ切断システムへ(610)送られ、そこで切断スライドの興味領域が、標準スライドのイメージ又は前記切断スライドのイメージのいずれかに示される興味領域から導き出される。これは、高精度ステージ又はイメージ認識の方法によりなされ得る。ミクロ切断システムはその後、かかる決定された領域を前記切断スライドから切り出す(611)。
【0050】
図7及び8には、光源28、ステージ26、顕微鏡対象物30、イメージセンサ32、レーザー34及び情報処理装置38を含むミクロ切断装置40が模式的に示される。示される例では、情報処理装置38はデータキャリア42を含むパーソナルコンピュータである。PC38は、ステージ26、イメージセンサ32及びレーザー34と操作可能に接続される(連続線で示されるように)。データキャリア42は前記装置40に次に記載する操作を行わせるように制御する。
【0051】
生物学的材料を含む、例えばパラフィンブロックなどの対象物から切り出された薄いスライス(第二のスライス)14が、透明基板18(例えばガラススライド)に置かれる。基板18はステージ26により支持される。調製の第一の操作段階で、図7に示されるように、光源28(例えば白色発光ランプ)が透明基板18を介して前記スライス14を均等に照明する。スライス14の少なくとも一部分が顕微鏡対象物30の視野内にある。顕微鏡対象物30は、少なくともスライス14からの光りを集め、前記スライス14の光学イメージ又は前記スライス14の一部分の光学イメージを前記センサ32上に生成する。ここで「スライスのイメージ」とは、またそれぞれのスライスの一部分のイメージをも意味する。イメージセンサ32は、例えば、ピクセル化光センサ(例えば電荷結合装置(CCD)などにより提供される)であり得る。光センサ32は、前記スライス14の光学イメージの強度及び色分布を示す出力シグナルを生成する。出力シグナルはPC38に送られる。出力シグナルに基づいて、PC38は前記スライス14のデジタルイメージを生成する。スライス14のデジタルイメージのそれぞれのピクセルの位置は、前記顕微鏡対象物30に関して前記スライス14のxy位置に対応して関連する。第一のスライス12(図1参照)であって、同じパラフィンブロックから前記第二のスライス14と平行に切断された第一のスライス12のデジタルイメージは、データキャリア42へ記録される。前記第一のスライス12及び第二のスライス14のデジタルイメージは、前記第一のイメージ及び前記第二のイメージとして参照される。また、前記第一のイメージとともにデータキャリア42の記憶されるのは、前記第一の定められた興味領域である。前記第一のイメージ及びそこで定められた興味領域は、病理学者により使用される(図示されていない)他の情報処理装置から受け取られ得る。他の情報処理装置を使用することで、病理学者は前記最初のイメージの興味領域を定めた。前記第1のイメージ及びそこで定められた興味領域から、PC38は前記第二の対応する興味領域を決定する。前記第一のイメージ、第二のイメージ及びそこで定められた興味領域の模式的表現が図9の例として与えられている。前記第二のイメージの興味領域のピクセルは、基板18の前記第二のスライス14の興味領域に対応してxy位置に直接対応する。
【0052】
図8に示されるように、続く第二の操作段階では、イメージセンサ32は外され、前記レーザー34は、レーザービーム36を、前記顕微鏡対象物36を通じて前記スライス14に到達させることができる。(図示されていないが)他の実施態様では、イメージセンサ32は外されず、レーザービーム36が、前記顕微鏡対象物及びレーザー34の間に設けられたビームスプリッタにより案内される。どちらの実施態様でも、レーザービーム36の焦点(図で矢印36の先端により示される)は顕微鏡対象物30へ固定される。顕微鏡対象物30のイメージ平面での位置を特徴付けるxy座標は、レーザービーム36がxF及びyF(例えばxF=0及びyF=0)を固定するように選択される。座標xF及びyFは第二のイメージの知られた第一のピクセルに対応する。前記第一のピクセルは従って、前記スライス14が1第二のイメージが取得された最初の位置に維持される限り、前記スライス14条にレーザービーム36の焦点位置に対応する。PC38は従って、前記第二のイメージの第二のピクセルを選択し、前記第二のピクセルは、前記第二のイメージの残りから興味領域を分離する線上にある。言い換えると、前記第二のピクセルは、興味領域とそれに隣接する領域の間の境界線上である。PC38はその後前記選択された第二のピクセルから前記第一のピクセルを指示する変換ベクトルを決定する(前記第一のピクセルはなお、前記スライス14に関してレーザービーム36の焦点の現在の位置の対応する)。変位ベクトルから、PCは(例えばルックアップテーブルにより)前記ステージ26の対応する変換ベクトルを決定し、かかる決定された変換ベクトルにより前記ステージ26を移動させる。従って、レーザービーム36の焦点は、前記第二のイメージの前記第二のピクセルに対応する第二のスライスのある点へ移動されることとなる。ここまでレーザー34は不活性(スイッチオフ)であってもよいが、いずれにしてもレーザービーム及びその焦点はここまで単なる概念及び/又は仮定にすぎないことが、理解されるべきである。レーザービーム36が不活性である場合、ここでスイッチオンとされる。ピクセルが、前記レーザービーム36の焦点に対するxy位置に対応することを呼び出される第二のイメージ、及びそこで定められる興味領域から、及びルックアップテーブルを用いて、PC38はステージ28のxy位置変位を決定し、従ってスライス14上のレーザービーム36の焦点の軌跡が、前記第二のイメージの隣接領域からの前記第二のイメージの興味領域を分離する閉鎖線に対応する。従ってレーザービーム36はスライス14から材料の一部を切り出す。切り出された部分は第二のイメージの興味領域に対応する。従って、切断された断片はまた、前記第一の興味領域に対応する。切り出された断片はスライス14から当該技術分野において知られた全ての方法で又は全ての他の適切な方法で(例えばレーザーパルス(レーザー36又は他のレーザーからの)を用いてスライス14から断片を集めるなど)又は接着テープを用いて、スライス14から取り出すことができる。
【0053】
図7及び8を参照して上で説明された設定の多くの変形例が、本発明の本質から離れることなく考えられる。例えば、レーザービーム36はまた、顕微鏡対象物36を介してというよりもむしろ前記スライス14に透明基板18を介して適用され得る。これにより、顕微鏡対象物を介して切断プロセスを観察することができるようになり、及び/又はスライス14から切り出された断片を同じレーザービーム36で集めることができるようになる。
【0054】
図9は、図7及び8を参照して説明された第一のイメージ44及び第二のイメージ46が模式的に例示されている。第一のイメージ44及び第二のイメージ46は、生物学的材料(例えば組織又は個々の細胞など)を含むパラフィンブロックの平行スライスから得られた。従って前記第一のイメージ及び第二のイメージは類似している。特徴A、B、C、D(例えば細胞の塊)は両方のイメージに見える。第二のイメージ46での特徴A、B、C、Dは、第一のイメージ44の対応する特徴A、B、C、Dと比較するといくらかサイズが異なる。さらに、第二のイメージ46は第一のイメージに対して約20度回転している。図9にはまた、第一のイメージ44の興味領域48及び、前記第一のイメージ44の興味領域48から前記第二のイメージ46で決定された対応する興味領域50が示されている。ひとつの実施態様において、第二のイメージ46での興味領域50は、幾何学的変換により得られたものである。該幾何学的変換は、前記第一のイメージ44の特徴A、B、C、Dを前記第二のイメージ46での類似の特徴A、B、C、Dの位置へマッピングし、かかる決定された幾何学的変換を前記第一のイメージの興味領域48の領域に適用するものである。他の実施態様によれば、第二のイメージの興味領域50が、前記第一のイメージ44及び第二のイメージ46を、第一のイメージの少なくともいくつかの特徴(例えば、A、B及びC)を第二のイメージの類似の特徴(例えばA、B及びC)上に投影するように並べることで決定される。又は、第二のイメージの興味領域50は、第一のイメージ44及び第二のイメージ46の重なりのコントラストが最大となるように決定され得る。
【0055】
図10には、本発明の第四の側面による情報処理システム62の例が示される。示される例において、情報処理システム62はデータキャリア54(例えば磁気ディスク又は光学記憶装置又は全ての適切なメモリなど)、モニタ60(例えば液晶表示(LCD))、キーボード58及びマウス又はトラックボール56を含む。データキャリア54はひとつ又はそれ以上の物理的ユニットで提供されてよい。データキャリア54は、PC32を制御するための指示を含み、特にユーザーインタフェースを提供するための指示を含み、ユーザ(図示されていない)が、キーボード及び/又はマウス又はトラックボール56を介して前記照明システムにデータを入力し、かつ該モニタ60を介してデータを取り出すことを可能とする。情報処理システム62はさらに、入力手段及び/出力手段(例えば音響により入出力手段)を含み得る。さらにひとつ又はそれ以上のコンピュータを含んでいてよい。例えば、情報処理システム62はコンピュータネットワークにより提供されてよい。
【0056】
情報処理システム62のデータキャリア54が図11に模式的に示される。データキャリア62に記憶されているのは、既定のプロセス識別子64のセット及び生物学的材料を含む対象物10(図1に示される)に関するデータ記録68、70、72のセットである。データキャリア54はさらに、情報処理システム62を制御するための指示66を含む。示される例では、プロセス識別子64のセットは6つの異なるプロセス識別子(プロセスID1からプロセスID6)が含まれ、それぞれが固有の英数字で定められている。データキャリア54に記憶されるのはまた、前記プロセス識別子に関するラベル(図示されていない)である。例えば、識別子「プロセスID1」はラベル「ミクロ切断」又はラベル「取り出し」を伴うことが可能である。さらに、この例では、データ記録68、70、72のそれぞれが、前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及びプロセス識別子64のセットから選択されるプロセス識別子を含み、前記プロセス識別子は前記それぞれのスライスが対象とされるべきプロセスを指示する。例えば、データ記録68はスライス識別子「スライスID1」及びプロセス識別子「プロセスID1」を持ち、これは、識別子「スライスID1]で識別される物理的スライスは、ミクロ切断プロセスの対象とされることが意図されていることを意味する。スライス識別子はまた、例えば英数字形、又はバーコードで、物理的スライス自体の上に又はスライド、カートリッジ又は他の前記物理的スライスを含む支持装置上に指示され得る。データ記録68、70、72のそれぞれはさらにスライス番号を含むことができる。これにより、それぞれのスライスが対象物(例えばパラフィンブロック)から切り出される前に対応する順に配置することができる。例えば、「スライス番号1」、「スライス番号2」及び「スライス番号3」は、数値3、4、5をそれぞれ持ち、これらの番号は、スライス識別子「スライスID1」、「スライスID2」、「スライスID3」が、パラフィンブロックから切り出される前にこの順に隣接して配置されることを意味する。スライス番号「スライス番号1」、「スライス番号2」、「スライス番号3」はまた、それぞれのスライス識別子「スライスID1」、「スライスID2」、「スライスID3」と統合されてもよい。
【0057】
図10及び11をまとめて参照して、PC32、モニタ60、キーボード58雄マウス又はトラックボール56は、ユーザーインタフェースを提供し、これによりユーザが、前記データキャリア54に保存されたデータ記憶セットからデータ記録(例えばデータ記録68)を選択することを可能にする。ユーザーインタフェースは、例えば、モニタ上にメニューを提供することができる。これにより、ユーザは、選択され例えば物理的スライスについて意図される使用を指示することができるようになる。意図される使用は対応するプロセス識別子により識別される。
【0058】
従って情報処理装置62により、特にデジタル病理学及びテレパソロジーの分野において、同じ対象物(例えば同じパラフィンブロック)から切断されたひとつ又はそれ以上のスライスを含む種々のプロセスを、ユーザが制御又は管理することを可能とする。例えば、ユーザは、あるスライスが取り出されることになっていること、及び他のスライスがミクロ切断のために使用されることになっていることを指示することが可能となる。
【0059】
これに代えて又はこれに加えて、ユーザは、選択される第一のスライス及び選択される第二のスライスについて、第一の染色方法及び第二の染色方法を選択することが可能となる。第一の染色方法は、第一の実験室で常に使用される方法であり、第二の染色方法は第二の実験室で通常使用される染色方法であってよい。第一の染色法を用いて第一のスライスを染色し、第二の染色方法を用いて第二のスライスを染色し、これらの2つのスライスを比較することで、色変換が決定される。色変換は、第一の実験室で取得されたスライスのデジタルイメージの色を、前記第二の実験室で作業する人(例えば病理学者)に馴染みのある色に変換するために適用され得る。
【0060】
本発明は特に、医学病理学実験室におけるレーザーミクロ切断のために使用され得る。又は顕微鏡関連染色方法、特にデジタル病理学及びテレパソロジーとの組み合わせにおいて関連する色の標準化及び/又は変換のために使用され得る。
【0061】
本発明はここまで、図面及び記載に基づいて詳細に説明されたが、図面及び説明は例示のためでありなんらを制限するためのものではない。本発明は、開示された実施態様により限定されるものではない。上で説明されなかった、均等物、組み合わせ及び変形もまた、本発明の本質から離れることなく実現され得る。
【0062】
動詞「含む」及びその関連用語は、「含む」で参照されたエレメント又はステップ以外のエレメント又はステップを除外するものではない。単一のユニットが、請求項に記載されるいくつかの方法の機能を提供することができることは、留意すべきである。ある特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利には使用できないということを意味するものではない。特許請求の範囲のすべての参照符号は、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきものではない。
【技術分野】
【0001】
第一の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学の分野で使用される方法に関する。第二の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学の分野で使用されるシステムに関する。第三の側面において、本発明は、データキャリアに関する。第四の側面において、本発明は、生物学、組織学及び病理学に分野で使用されるための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理学者はケアサイクルの診断部分の中心的役割を果たす。組織サンプルが生検の際に患者から採取された際に、通常、該生検からの組織及び細胞の顕微鏡的観察により、病理学者は該疾患の性質及び重度(主に癌関連)について最終診断を行う。
【0003】
生検からの材料を含む顕微鏡スライドは通常次のような数ステップで調製される。最初に、該材料が固定のためにホルマリン中に置かれ、続いてパラフィンブロックへ処理され、ここから薄い(〜5μm)スライスが切断される。これらのスライスの一つが顕微鏡ガラス基板上に置かれ、後ひとつ又はそれ以上の染色剤が適用され、関連する細胞又は組織部分が顕微鏡で可視化される。最後にマッチング液/固定剤をスライスに加え、薄い(〜170μm)顕微鏡カバースリップを組織の上に置いて組織を完全にシールする。これにより該スライスを含むスライドの長期保存(>10年)が可能になる。しばしば、該パラフィンブロックを10年以上同様に保存する必要がある。
【0004】
病理学は、現在ではアナログ的仕事ではあるが、診断効率及び品質の改善のためにデジタル病理学の方向へ向かう強い力がある。デジタル病理学とは、実験室でのスライドのデジタル化を意味し、結果のイメージをサーバ上に記憶させ、病理学者が自分自身のワークステーションから容易にアクセスでき、医学的に関連する情報を同僚又は他の医者と共有することができる。デジタル病理学の採用により、病理学者がもはや自分ではスライドを扱うことなく、むしろデジタルイメージ及び他の医学的情報と協働して診断を行うようになろう。
【0005】
適切な切断技術、例えばレーザーによるミクロ切断(レーザーミクロ切断)などを用いて、ひとつ又はそれ以上の小さなサンプルを組織スライスから切り出し、DNA遺伝子型又はRNA転写プロフィールなどのさらなる分子レベル試験の対象とされる。該組織スライドの調製は、病理組織スライドの場合において非常にアナログ的であり、該選択された組織サンプルの抽出及び収集を可能とするためにカバースリップが組織の上には置かれない、という違いがある。組織学的試験は、関心領域のひとつ又はいくつかの領域を選択して顕微鏡観察により実行される。しばしばこの選択は病理学者によりなされ、スライドの背面にマークされる。オペレータはその後、該関心領域とその他の領域を分ける線に沿って切断するために集光レーザービームを使用することができる。分離された組織はその後、粘着テープを用いるか又はそれを脱焦点化させたビームで動かして収集カゴに集められる。その後集められた組織はさらに処理される。現在レーザーミクロ切断システムは主に研究実験室で用いられている。
【0006】
一般的病理学的プラクティスにおいてレーザーミクロ切断がより広く採用されるための一つの解決すべき問題は、現在のミクロ切断システムが、従来の病理学作業工程とは合致していないということである。現在は、該サンプル上にカバースリップが置かれていることにより通常の診断のために用いられるサンプルにつきレーザーミクロ切断を実施することはできない。これらの通常のスライドは処理の間に損傷を受けてはならないものである。さらに、現在病理学者は、どの領域が選択されるべきかを指示するために該スライドを物理的に取り扱う必要があり、これにより該スライドがより実験室から実験室へ移動される。この作業工程の不適合は、デジタル病理学の導入によりさらに拡大する恐れがある。というのは、病理学者はもはやスライドを物理的に扱わなくなるだろうからである。従って、ミクロ切断をデジタル病理学作業工程に組み込む新たなシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、生物学的材料の関心領域を選択すること、該領域から材料を抽出との組み合わされたステップを提供することである。本発明の他の課題は、同じパラフィンブロックなどから少なくとも2つのスライスの切断を含む作業工程の制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、独立請求項の構成により達成される。さらに具体的なかつ好ましい実施態様は従属請求項に記載されている。第一の側面による方法は:生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備し;前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成し;前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定し;前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定し;前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する、方法である。
【0009】
前記第二のスライスの関心領域から材料を抽出することで、前記第一のスライスの関心領域の材料について結論が出され得る。ただし、前記第一のスライスと前記第二のスライスが十分に類似している場合である。このために、前記第一のスライス及び第二のスライスが対象物から切断される前に隣接していることが有利である。また、前記第二のスライスの切断には、前記第一のスライスに平行して前記第二のスライスを切断することを含むことができる。対象物は、生物材料を含むパラフィンブロックを含むか、それ自体であってよい。さらに、前記第一のイメージの生成は、対象物から前記第一のスライスの切断を含んでいてよい。同様に、前記第二のイメージの生成は、対象物から前記第二のスライスを切断することを含んでいてよい。前記第二のスライスの関心領域の決定及び前記第二のスライスの関心領域から材料を抽出することは組み合わせることができる。特に前記第二のスライスの関心領域は、前記第二のイメージの関心領域に基づいて前記第二のスライスから材料を抽出することにより後天的に定められ得る。この場合、前記第二のスライスの関心領域は、材料が抽出された領域である。
【0010】
前記第二のイメージの関心領域の決定は、前記第一のイメージの特徴の位置を前記第二のイメージの類似の特徴の位置へマッピングする幾何学変換を決定すること;及び該幾何学変換を前記第一のイメージの関心領域へ適用すること、を含む。
【0011】
本明細書で、用語「特徴」とは、あるイメージの全ての局所的光学的特徴、例えば点、線又はパターンを意味する。点は、例えば、それぞれのスライスの領域内の細胞の集合又は密度増加など、による。本方法は、前記第一のイメージ及び第二のイメージの特徴を、特徴検出又はパターン認識方法を用いて識別することを含む。幾何学的変換は特に、イメージ平面内での移動、イメージ面に垂直軸回りの回転、及び拡大縮小操作である。幾何学的変換の決定は従って、移動ベクトル、回転角及び拡大縮小ファクタの決定を含み、拡大縮小ファクタは前記第一のイメージと第二のイメージとのサイズの比率を示す。
【0012】
前記第二の関心領域の決定は、前記第一のイメージと第二のイメージを、前記第一のイメージの少なくともいくつかの特徴が第二のイメージの類似の特徴上に重なるように並べるか及び/又は前記第一のイメージと第二のイメージの重なりのコントラストが最大化されるように並べることを含む。このために、本方法は、前記第一のイメージ及び第二のイメージの特徴を、特徴検出又はパターン認識方法を用いて識別することを含むもことができる。
【0013】
前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出することは、前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して切断道具の新たな位置を決定し;及び前記第二のスライスに関して前記切断道具を前記新たな位置へ移動させる、ことを含む。切断道具は又、例えば、カッタ、メス又はレーザービームであり得る。
【0014】
該新たな位置の決定には、ルックアップテーブル参照又は機能評価、前記第二のイメージの位置を前記第二のスライスに関して切断道具の位置へ又は前記第二のスライスに関して前記切断道具の位置と同等の情報に関連付けるルックアップテーブル又は機能が挙げられる。ルックアップテーブルには、メモリに記憶されるか又はデータキャリア上のデジタルルックアップテーブルが挙げられる。ルックアップテーブルの生成又はルックアップテーブルの修正は、較正ステップに該当する。
【0015】
本発明の第二の側面による装置又はシステムは:生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備する手段;前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成する手段;前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域を決定する手段;前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域を決定する手段;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する手段を含む。
【0016】
これにより本発明の第一の側面による方法を実施する方法が提供される。
【0017】
前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出するための手段は、前記第二のスライスから材料を切断するための切断道具を準備する装置;前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して前記切断道具の新たな位置を決定する手段;前記新たな位置へ前記第二のスライスに関して前記切断道具を動かす手段、を含む。前記切断道具を準備するための装置は、例えば、カッタ、メス又はレーザービームを生成するレーザーが挙げられる。
【0018】
前記第二のイメージを生成する手段は顕微鏡対象物を含むことができ、材料を抽出する手段はレーザービーム生成のためのレーザーを含むことができ、及び前記装置又はシステムは、前記顕微鏡対象物を介して前記第二のスライスへレーザービームを透過させるように構成され得る。従って、前記スライスをイメージングするため及びレーザービームのため本質的に同じ光路が提供される。ここで、レーザービームと前記スライスからの光りは反対方向に進行することは理解されるべきである。顕微鏡対象物の潜在的な配列誤りによる誤差は従って低減され得る。
【0019】
本発明の第三の側面によるデータキャリアは、本発明の第1の側面による方法を実施するための第二の側面による装置又はシステムを制御するための指示を含む。データキャリアは、例えば、CD、DVD、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの磁気データキャリアなどの光学データキャリアを含む。データキャリアは、異なる物理的ユニットを含むという意味で分布されたデータキャリアであり得る。この場合、データキャリアに記憶されている全ての情報は、情報の異なる部分を含む異なるユニットに分布形式で記憶されている。
【0020】
本発明の第四の側面による情報処理システムは、既定の一組の処理識別子を準備し;生物材料を含む対象物に関連する一組のデータ記録を準備し;前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が、前記スライスが対象とされる処理を指示し;ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、インターフェースを準備する。
【0021】
情報処理システムは従って、少なくとも2つのスライスを、例えばパラフィンブロックから切断することを含む作業工程を制御することを実行する。情報処理装置は、ハードウェア及びソフトウェアの手段により、記載されたように構成され、該ハードウェアは、ソフトウェアが記憶されているメモリを含み、該ソフトウェアは該ハードウェアを制御するための実行可能な指示を含む。データ記録は、デジタル(例えばバイナリ)形式でメモリ中に表現されている。より具体的には、前記スライス識別子及び/又は処理識別子は英数字定数のデジタル表現であってよい。一組のデータ記録は第一のデータ記録及び第二のデータ記録を含み、前記第一のデータ記録の前記処理識別子と前記第二のデータ記録の前記処理識別子は異なる。前記ユーザーインタフェースは、前記選択されたデータ記録の内容を表示するために構成され得る。前記ユーザーインタフェースによりさらに、ユーザが、前記一組のデータ記録を修正し及び/又は前記一組のデータ記録に新たなデータを加え、及び/又は前記一組のデータ記録からデータ記録を削除することができる。前記情報処理システムは、コンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ又はコンピュータネットワークを含むことができる。前記情報処理システムは、入力手段及び出力手段を含み得る。前記入力及び出力手段は、例えば、少なくとも、キーボード、マウス、トラックボール、音声認識手段、液晶表示などのモニタ及び音声出力手段などを含むことができる。前記入力手段及び出力手段は前記処理システムに組み込まれるか、又は前記情報処理システムと操作的に接続される別のユニットを形成することができる。前記ユーザーインタフェースは、入力手段及び出力手段を制御するソフトウェアにより実行され、従ってユーザは情報を情報処理システムを用いて情報を交換することができる。前記情報処理システムは、前記一組の識別子、一組のデータ記録及び前記ユーザーインタフェースを制御するためのソフトウェアを記憶するメモリを含むことができる。前記メモリは、単一の物理的ユニットにより提供される必要はなく、いくつかの別々のメモリを含むことができる。別々のメモリは、例えばハードディスク等の磁気データキャリア又はコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又は複数のラッシュメモリなどの光学データキャリアにより提供され得る。
【0022】
一組の処理識別子には、スライスに関する処理の次の事項から選択される処理を識別する処理識別子が含まれる。即ち、前記スライスにつきなにもしない;前記スライスを記録する;前記スライスを取り出す;前記スライスのイメージを生成する;前記スライスを顕微鏡スライド又はカートリッジに含める;前記スライスを他の実験室へ送る;前記スライスから材料を抽出する;前記スライスを凍結する;前記スライスを加熱する;前記スライスをシールする;前記スライスの関心領域をマークする;前記スライスを染色する;前記スライスを第一の染色方法で染色する;前記スライスを第二の染色方法で染色する;2つの染色方法の間で色の変換を定める、こと。
【0023】
前記処理は音声ラベル及び/又は言語ラベルが与えられる。情報処理システムは前記ラベルがモニタ上に表示されるように構成される。情報処理識別子は、対象物のスライスの自動又は手動処理のために使用されてもよい。
【0024】
前記一組のデータ記録は、前記スライス識別子により示される少なくともいくつかのスライスにつき、前記少なくともいくつかのスライスが前記対象物から切断される前に配置される順序に対応する順序を示すことができる。例えば、前記データ記録それぞれ又は少なくともいくつかに数を含めることができ、例えば、前記対象物から切断される第一のスライスを数1と番号付けされ、切断された第二のスライスを数2と番号付けされるなどである。これにより、隣接するスライスに関するデータ記録を見出す助けとなる。これらの数は、前記隣接するそれぞれの厚さについての情報と共に、前記対象物の三次元イメージを生成するために使用することができる。特定のスライスに関しかつ前記対象物の前記スライスにより既に占められた場所を示す数は、スライス識別子に組み込まれることができ、又は前記データ記録の他のエントリを形成することができる。これに加えて、又はこれに代えて、データ記録は他のデータ記録を指すエントリ点を含むことができる。例えば隣接するスライスのデータ記録である。また、一組のスライスを示す情報が前記データ記録へ加えることができる。これは、一組のスライスを特定するために有用であり得る。というのは、第一の染色方法と第二の染色方法とのそれぞれの間の色変換を定めるために使用されるためである。色変換方法の例は、前の適用において適用した者により表されている。一組のスライスは、例えば、第一の記録の第一のポインタであって、該第一のポインタは第二のデータ記録を指示する第一のポインタにより及び/又は第二のデータ記録の第二のポインタであって、該第二のポイントタは該第一のデータ記録を指示する第二のポインタにより指示され得る。
【0025】
ユーザーインタフェースは、ユーザが、前記一組のプロセス識別子から他のプロセス識別子を選択することで、前記選択されたデータ記録のプロセス識別子を修正することを可能にするように構成される。このために、ユーザーインターフェースは、該プロセス識別子のリスト及び/又は該プロセス識別子に対応するプロセスラベルのリストを表示するように構成される。
【0026】
該一組のデータ記録の第一のデータ記録は、第一のイメージ又は第一のイメージ識別子を含み得る。該第一のイメージは、該第一のデータ記録の該スライス識別子により識別されるスライスのデジタルイメージであり、及び前記第一のイメージ識別子は、前記第一のイメージを識別する。同様に、該一組のデータ記録の第二のデータ記録は、第二のイメージ又は第二のイメージ識別子を含み得る。該第二のイメージは、該第二のデータ記録の該スライス識別子により識別されるスライスのデジタルイメージであり、及び前記第二のイメージ識別子は、前記第二のイメージを識別する。好ましい実施態様によれば、対応するスライスは、対象物から平行切断の方法で切断される。本情報処理システムは、前記第一のイメージと前記第二のイメージとを、前記第一のイメージの特徴が前記第二のイメージの特徴に応じるように重ねられ、前記第一のイメージと第二のイメージとの間の移動及び/又は回転及び/又はサイズ比率を決定するように構成される。従って、前記第一のイメージの点又はピクセル及び対応する第二のイメージの点又はピクセルのマッピングが、移動ベクトル及び回転角度を用いて簡単な方法で表現され得る。さらに、本情報処理システムは、前記第一のイメージの関心領域に基づき前記第二のイメージの関心領域を決定するように構成され得る。本情報処理システムはまた、前記第一のイメージと第二のイメージを同時に表示し、対応する関心領域の2つのイメージのそれぞれを示すように構成され得る。
【0027】
ここで、前記第一のデータ記録は、前記第一のイメージの関心領域を示す情報を含み、前記関心領域はユーザにより定められ、前記情報は、前記対象物の第二のスライスを例えばミクロ切断のために調製するために実験室へ送られるために記録されたものである。
【0028】
さらに、本情報処理システムは、関心領域の決定のために、前記第一のイメージと前記第二のスライスの第二のデジタルイメージを重ね、前記第一のイメージの関心領域を前記第二のイメージに投影することにより前記第二のスライスから切断されるように構成され得る。従って、対応するイメージの対応する関心領域が効率的に決定され得る。
【0029】
ユーザーインタフェースにより、ユーザは、一組の実験室識別子から選択される実験室識別子を前記選択されたデータ記録に追加し、及び前記選択されたデータ記録又は選択されたコンポーネントを、前記選択された実験室識別子により識別された実験室へ送ることができる。例えば、第一の実験室で作業する病理学者は、従って、第一のスライスのデータ記録をミクロ切断装置を有する第二の実験質へ送ることができる。病理学者は、前記データ記録に、第一のスライスのデジタルイメージ及び該イメージで定められた関心領域を含めることができる。前記第二の実験室で、前記第一のスライスに類似の第二のスライスが切断され得る。さらに、第一のスライスのデジタルイメージの関心領域に対応する関心領域が、本発明の第一及び第二の側面につき説明されたように決定され得る。
【0030】
ユーザーインタフェースはまた、病理学者が実験室に、生理学的材料を含む対象物(例えばパラフィンブロックから)から2つのスライスを切断し、これら2つのスライスのデジタルイメージを生成することを依頼するように構成され得る。
【0031】
関連する側面において、本方法は次のステップを含む。生物学的材料を含むブロックを受け取り;該ブロックから第一の切断で、第一のスライスを切断し;前記第一の切断と平行な第二の切断で、前記ブロックから第二のスライスを切断し;第一の基板上に前記第一のスライスを置き;第二の基板上に前記第二のスライスを置き;前記第一のスライス上にカバースライドを置き;前記第二のスライスにカバーせず;前記第二のスライスから材料を抽出する、ことである。
【0032】
従って、2つの顕微鏡スライドが調製される。即ち、前記第一の基板、第一のスライス及びカバースライドを含む第一の顕微鏡スライド及び前記第二のスライスである。前記第一の顕微鏡スライド及び第二の顕微鏡スライドはまた、この特許出願においては、前記標準スライド及び前記切断スライドとしてそれぞれ参照されるものである。異なるスライドがまた、従って、診断及びミクロ切断のために使用され得る。前記ブロックは、具体的にはパラフィンブロックであり得る。生物学的材料には、例えば、組織、血液又はバクテリア又は菌の個々の細胞を含み得る。前記第一のスライス及び第二のスライスは、好ましくはブロックの近い部分から切断されるものであり。従ってこれらは類似の形態を示すことが予測されるからである。
【0033】
前記第二の切断は、具体的には、前記第一の切断に隣接する。従って、前記第一の切断とだにの切断は非常に類似の形態を示すことが予想される。
【0034】
抽出されるべき材料は、例えば、レーザーミクロ切断により抽出され得る。又は、例えば、微細メスを用いて機械的に抽出され得る。
【0035】
本方法はさらに、第一のイメージとなる前記第一のスライスのデジタルイメージの生成と、第二のイメージとなる第二のスライスのデジタルイメージを生成を含む。
【0036】
本方法はさらに、前記第一のスライスがイメージングのため及び/又は保存のためのものであることを、かつ前記第二のスライスがミクロ切断を行うためのものであること、を示す情報を含み得る。
【0037】
本方法はさらに、次のステップを含む。前記第一のイメージの関心領域を定め;前記第一のイメージの前記関心領域から前記第二のイメージの関心領域を決定し;及び前記第二のイメージの前記関心領域から、前記第二のスライスの関心領域を決定する、ことである。又は、該関心領域は前記第二のイメージ内で直接定めることができ、それから、前記第二のスライスの対応する関心領域が決定され得る。しかしながら、前記第一のスライスはカバースリップでカバーされており、使用される装置に依存して、前記第一のスライスはより簡便にかつより正確にイメージングされることができるということが予想できる。また、前記第一のスライスが試験され興味領域が定められた後にだけ前記第二のスライスが生成されるという場合もあり得る。
【0038】
前記第二の興味領域の決定には前記第一のイメージ及び第二のイメージを重ね、前記第一のイメージの特徴と前記第二のイメージの特徴とを一致させる、ことが含まれる。2つのイメージの対応する特徴は自動的に識別され得る。例えば、パターン認識アルゴリズムを用いる。かかる特徴には、例えば、細胞、細胞構造又は細胞集合物を含む。2つのイメージのいわゆる登録の目的は、切断されるべき前記第二のスライスの部分を決定することである。信頼性、品質管理及び健康管理当局の認可の理由から、病理学者が該登録の成果を明示的に承認することが必要となり得る。
【0039】
本方法はさらに、前記第一のイメージをコンピュータから切断ユニットへ送ることを含む。該切断ユニットは、リアルタイムで前記第二のスライスから前記第二のイメージを生成し、同時に前記第一のイメージを生成された第二のイメージに重ねることができる。前記切断ユニットに関して前記第二のスライスの不整合な動きに起因する誤差が最小化される。
【0040】
他の関連する側面において、本方法は、前記生物学的材料を含むブロックを受け取り;第一の切断で、前記ブロックから第一のスライスを切断し;前記第一の切断と平行な第二の切断で、前記ブロックから第二のスライスを切断し;前記第一のスライスを第一の基板に置き;前記第二のスライスを第二の基板に置き;前記第一のスライス上にカバースライドを置き;前記第二のスライスをカバーせず;前記第二のスライスから材料を抽出する、ことを含む。
【0041】
本システムは:前記第一のスライス又は第二のスライスのデジタルイメージの興味領域を決定するためのコンピュータ;と前記興味領域についての情報と共に前記デジタルイメージを前記コンピュータから受け取り、前記デジタルイメージ及びデジタル情報から、前記第二のスライスの対応する興味領域を決定し、前記第二のスライスの興味領域から材料を抽出するための切断ユニットを含む。
【0042】
該システムは、作業工程システムに統合されていてよい。本システムは完全に自動化されてよい。又は、該システムのいくつかの機能が、少なくとも選択可能に、人により行われてもよい。従って、一人の人又は一人以上の人、例えば一人以上の病理学者又は実験補助者が、該システムの一部となり得る。本システムは、複数の群(例えば生理学者及び実験室)によりイメージの保存及び取り出しを行うためのデータベースシステム、及びこれらのイメージを見て、興味領域を選択するためのソフトウェア(例えば、自動的に又は病理学者により)を含むワークステーションを用いることができる。選択された興味領域についての情報は該データベースシステムに保存されるか、又は直接実験室へ送られ、そこで切断スライドが、前記生物学的材料が含まれるブロックからの隣接した切断から調製される。切断ユニットは、第二のイメージを生成するために前記切断スライドのイメージを取得するためのイメージングシステムと、前記第一のイメージ(該切断スライドから得られる)と第二のイメージ(前記標準スライドから得られる)を重ねて前記切断スライドの興味領域を識別するための情報処理装置を含むことができる。これにより、前記切断ユニットが適切な領域を切断して収集することが可能となる。切断ユニットは、具体的にはレーザーミクロ切断ユニットであり得る。本システムは複数の機械又は装置を含むことができるが、それらは必ずしもお互いに物理的に結合されている必要はない、ということは指摘されるべきことである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、生物学的材料を含むパラフィンブロクの模式的側面図である。
【図2】図2は、第一の顕微鏡及び第二の顕微鏡スライドの模式的側面図である。
【図3】図3は、第一の切断方法のフローチャートである。
【図4】図4は、第二の切断方法のフローチャートである。
【図5】図5は、第一の作業工程を模式的に示す。
【図6】図6は、第二の作業工程を模式的に示す。
【図7】図7は、第一の操作段階でのレーザーミクロ切断の例を模式的に示す。
【図8】図8は、図7の第二の操作段階でのレーザーミクロ切断の例を模式的に示す。
【図9】図9は、第一のデジタルイメージの例及び第二のデジタルイメージの例を模式的に示す。
【図10】図10は、情報処理システムの例を模式的に示す。
【図11】図11は、図10に示される情報処理システムにより読み取られるデータキャリアに記録される情報を模式的に示す。 特に記載されない限り、類似の参照符号異なる図面で表される場合、同一又は類似のコンポーネントを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1には、生物学的材料、例えばひとつ又はそれ以上の組織又は個々の細胞などを含むパラフィンブロック10の模式的側面を示す。前記ブロックは第一の層12及び隣接する第二の層14を含む。これらは第一のスライス12及び第二のスライス14を形成するためにブロックから切断されるものである。前記第一の層12及び第二の層14は、また、前記1つの層12、14が類似の特徴を有するに十分近い距離で離れていれば、該ブロックの隣接する層でなくてもよい。より具体的には、2つの層12、14は、両方の層にわたり該ブロック10の興味領域についてお互いに十分近くにあるものである。ここで層12、14は概念的なものであることに、留意すべきである。即ち、これらは該ブロックのいかなる形態上の特徴により必ずしも定められるものではなく、むしろこれらは該ブロック10から切断された後から定められるものである。留意すべきは、第一のスライスの切断及び第二のスライス14の切断の間は相当な遅れがあり得る(例えば数日、数週間、数ヶ月、又は数年)、ということである。
【0045】
図2を参照して、一組の顕微鏡スライド22、24が示される。スライドの組22、24は第一の顕微鏡スライド22(標準スライド)及び第二の顕微鏡スライド24(切断スライド)を含む。標準スライドは、図1で参照される上記の第一のスライス12を支持する透明な第一の基板16及び透明カバースリップ20を含む。マッチング液(図示されていない)がまた基板16及びカバースリップ20間に含まれていてもよい。切断スライド24は、図1で参照される上記の第二のスライス14を支持する第二の基板を含む。標準スライス14とは対照的に、切断スライド26は、前記第二のスライス14を上から遮断するエレメントを含まない。具体的にはカバースリップを含まない。標準スライド22は、顕微鏡下で研究されるものであり、及び/又は最小期間保存されるものである(例えば一月又は一年)。前記切断スライド24は第二のスライス14から、例えば第二のスライス14をレーザーミクロ切断技術などを用いて切断することで、サンプルを取得するためのものである。
【0046】
図3は病理学及び組織学で使用される方法の例を示す。第一のステップ301で、生物学材料を含むパラフィンブロックが調製される。これは当該技術の全ての知られた方法で実施可能である。第一の切断を例えばミクロトームを用いて行いブロックから第一のスライスを取得する(ステップ302)。前記第一のスライスは透明基板に載せて染色されかつカバースリップでカバーされ標準スライドを形成する。これは顕微鏡によりイメージ化され得る。前記顕微鏡は、例えば、明視野イメージイングモード及び/又は暗視野イメージイングモード又は共焦点イメージイングモードを提供する。病理学者又はコンピュータはその後前記第一のスライスのイメージを分析する。コンピュータは、パターン認識ソフトウェアを備えていてよい。第一のスライスのイメージに基づき、さらに詳細な分析がなされるべきかを決定される。その場合、興味領域が前記第一のスライスで定められ(ステップ306)、第二のスライスが前記第一の切断に対して平行に、好ましくは隣接してブロックから切断される(ステップ308)。場合により、前記第二のスライスはイメージ化される前に、標準スライドを作成するために用いた同じ染色又は異なる染色剤で染色され得る。前記第一のスライスのイメージと前記第二のスライスのイメージを重ね合わせることで、前記第一のスライスで定めた興味領域が第二のスライスに投影され、第二のスライスの興味領域を定める(ステップ310)。ステップ310は、切断ユニットに前記第二のスライスを置くことを含む。前記切断ユニットは、前記第二のスライスのイメージを取得し、該イメージ(第二のイメージ)及び前記第一のスライスのイメージ(第一のイメージ)を重ね合わせて、前記第一イメージの興味領域から前記第二のスライスの対応する興味領域を決定するように構成されている。前記切断ユニットは、これらのステップを制御するためのコンピュータを含んでよい。第二のスライスの興味領域が決定されると、それが前記第二のスライスから切断される(ステップ311)。これはさらなる分析のための異なるステーションへ送られる。ステップ305においてさらなる分析を要求されない場合、前記プロセスは終了する。
【0047】
図4には、図3で参照された上記方法の変法が示されている。ステップ401からステップ411はそれぞれ図3で示した方法のステップ302から311に類似する。この方法は、しかし次の点で異なる。即ち、前記第二のスライスが、前記生物学的材料のさらなる分析が実施されるべきかどうかを決定(ステップ405)する前に前記第一のスライドと共に調製されるという点である(ステップ402及び408)。
【0048】
図5には可能な作業工程の例が示さされる。実験室(lab)では、パラフィンブロック(501)を調製するか他の実験室から受け取る。前記パラフィンブロックからいくつかの標準スライドが切断されて調製される(502)。標準スライドはデジタル化され(503)、このデジタルイメージが、画像保存交信システム(PACS)に保存される。ワークステーション操作が自動的に又は例えば病理学者により、前記PACSから少なくともひとつのデジタルイメージを取り出しそれを表示装置へ表示して該病理学者が診断することができる。病理学者がさらなる試験(例えばDNA試験など)をこのサンプルにつき要求する場合には、病理学者は表示上の標準スライドのデジタルイメージの興味領域に対応する興味領域を選択する。ワークステーションは、要求される試験のタイプを示す情報と共に前記興味領域を示す情報を実験室情報システム(507)へ送る(506)。前記実験室情報システムから取り出した情報に基づいて、新たなスライスが実験室のパラフィンブロックから、好ましくは前記標準スライドを作成するために用いられた前記切断に隣接して切断される。この新たなスライスは、切断スライドを形成するために処理され、ミクロ切断装置へ置かれる。ミクロ切断装置は前記切断スライドのデジタル顕微鏡イメージを生成する(509)。標準スライド及び切断スライドのデジタルイメージは特徴認識ソフトウェアを用いて重ねあわされ、すでに識別された標準スライドのデジタルイメージの興味領域と合致する、前記切断スライドの興味領域を決定する。切断スライドの興味領域のイメージは、その後場合により更なる参照のために保存される。ミクロ切断装置はその後、前記切断スライドの興味領域の材料を切断して取り出す(511)。切断されて取り出された材料はさらに分析される(512)。
【0049】
図6には、他の可能な作業工程が示される。標準スライド及び切断スライドが、標準スライドが試験される前にパラフィンブロックから調製される(602、608)。これらのスライドのデジタルイメージが生成され(603、604)PACSに保存される(607)。病理学者はここで、さらなる試験(興味領域の)のために領域を示すためにこれらのイメージを直接用いることができる。この情報は再び、レーザーミクロ切断システムへ(610)送られ、そこで切断スライドの興味領域が、標準スライドのイメージ又は前記切断スライドのイメージのいずれかに示される興味領域から導き出される。これは、高精度ステージ又はイメージ認識の方法によりなされ得る。ミクロ切断システムはその後、かかる決定された領域を前記切断スライドから切り出す(611)。
【0050】
図7及び8には、光源28、ステージ26、顕微鏡対象物30、イメージセンサ32、レーザー34及び情報処理装置38を含むミクロ切断装置40が模式的に示される。示される例では、情報処理装置38はデータキャリア42を含むパーソナルコンピュータである。PC38は、ステージ26、イメージセンサ32及びレーザー34と操作可能に接続される(連続線で示されるように)。データキャリア42は前記装置40に次に記載する操作を行わせるように制御する。
【0051】
生物学的材料を含む、例えばパラフィンブロックなどの対象物から切り出された薄いスライス(第二のスライス)14が、透明基板18(例えばガラススライド)に置かれる。基板18はステージ26により支持される。調製の第一の操作段階で、図7に示されるように、光源28(例えば白色発光ランプ)が透明基板18を介して前記スライス14を均等に照明する。スライス14の少なくとも一部分が顕微鏡対象物30の視野内にある。顕微鏡対象物30は、少なくともスライス14からの光りを集め、前記スライス14の光学イメージ又は前記スライス14の一部分の光学イメージを前記センサ32上に生成する。ここで「スライスのイメージ」とは、またそれぞれのスライスの一部分のイメージをも意味する。イメージセンサ32は、例えば、ピクセル化光センサ(例えば電荷結合装置(CCD)などにより提供される)であり得る。光センサ32は、前記スライス14の光学イメージの強度及び色分布を示す出力シグナルを生成する。出力シグナルはPC38に送られる。出力シグナルに基づいて、PC38は前記スライス14のデジタルイメージを生成する。スライス14のデジタルイメージのそれぞれのピクセルの位置は、前記顕微鏡対象物30に関して前記スライス14のxy位置に対応して関連する。第一のスライス12(図1参照)であって、同じパラフィンブロックから前記第二のスライス14と平行に切断された第一のスライス12のデジタルイメージは、データキャリア42へ記録される。前記第一のスライス12及び第二のスライス14のデジタルイメージは、前記第一のイメージ及び前記第二のイメージとして参照される。また、前記第一のイメージとともにデータキャリア42の記憶されるのは、前記第一の定められた興味領域である。前記第一のイメージ及びそこで定められた興味領域は、病理学者により使用される(図示されていない)他の情報処理装置から受け取られ得る。他の情報処理装置を使用することで、病理学者は前記最初のイメージの興味領域を定めた。前記第1のイメージ及びそこで定められた興味領域から、PC38は前記第二の対応する興味領域を決定する。前記第一のイメージ、第二のイメージ及びそこで定められた興味領域の模式的表現が図9の例として与えられている。前記第二のイメージの興味領域のピクセルは、基板18の前記第二のスライス14の興味領域に対応してxy位置に直接対応する。
【0052】
図8に示されるように、続く第二の操作段階では、イメージセンサ32は外され、前記レーザー34は、レーザービーム36を、前記顕微鏡対象物36を通じて前記スライス14に到達させることができる。(図示されていないが)他の実施態様では、イメージセンサ32は外されず、レーザービーム36が、前記顕微鏡対象物及びレーザー34の間に設けられたビームスプリッタにより案内される。どちらの実施態様でも、レーザービーム36の焦点(図で矢印36の先端により示される)は顕微鏡対象物30へ固定される。顕微鏡対象物30のイメージ平面での位置を特徴付けるxy座標は、レーザービーム36がxF及びyF(例えばxF=0及びyF=0)を固定するように選択される。座標xF及びyFは第二のイメージの知られた第一のピクセルに対応する。前記第一のピクセルは従って、前記スライス14が1第二のイメージが取得された最初の位置に維持される限り、前記スライス14条にレーザービーム36の焦点位置に対応する。PC38は従って、前記第二のイメージの第二のピクセルを選択し、前記第二のピクセルは、前記第二のイメージの残りから興味領域を分離する線上にある。言い換えると、前記第二のピクセルは、興味領域とそれに隣接する領域の間の境界線上である。PC38はその後前記選択された第二のピクセルから前記第一のピクセルを指示する変換ベクトルを決定する(前記第一のピクセルはなお、前記スライス14に関してレーザービーム36の焦点の現在の位置の対応する)。変位ベクトルから、PCは(例えばルックアップテーブルにより)前記ステージ26の対応する変換ベクトルを決定し、かかる決定された変換ベクトルにより前記ステージ26を移動させる。従って、レーザービーム36の焦点は、前記第二のイメージの前記第二のピクセルに対応する第二のスライスのある点へ移動されることとなる。ここまでレーザー34は不活性(スイッチオフ)であってもよいが、いずれにしてもレーザービーム及びその焦点はここまで単なる概念及び/又は仮定にすぎないことが、理解されるべきである。レーザービーム36が不活性である場合、ここでスイッチオンとされる。ピクセルが、前記レーザービーム36の焦点に対するxy位置に対応することを呼び出される第二のイメージ、及びそこで定められる興味領域から、及びルックアップテーブルを用いて、PC38はステージ28のxy位置変位を決定し、従ってスライス14上のレーザービーム36の焦点の軌跡が、前記第二のイメージの隣接領域からの前記第二のイメージの興味領域を分離する閉鎖線に対応する。従ってレーザービーム36はスライス14から材料の一部を切り出す。切り出された部分は第二のイメージの興味領域に対応する。従って、切断された断片はまた、前記第一の興味領域に対応する。切り出された断片はスライス14から当該技術分野において知られた全ての方法で又は全ての他の適切な方法で(例えばレーザーパルス(レーザー36又は他のレーザーからの)を用いてスライス14から断片を集めるなど)又は接着テープを用いて、スライス14から取り出すことができる。
【0053】
図7及び8を参照して上で説明された設定の多くの変形例が、本発明の本質から離れることなく考えられる。例えば、レーザービーム36はまた、顕微鏡対象物36を介してというよりもむしろ前記スライス14に透明基板18を介して適用され得る。これにより、顕微鏡対象物を介して切断プロセスを観察することができるようになり、及び/又はスライス14から切り出された断片を同じレーザービーム36で集めることができるようになる。
【0054】
図9は、図7及び8を参照して説明された第一のイメージ44及び第二のイメージ46が模式的に例示されている。第一のイメージ44及び第二のイメージ46は、生物学的材料(例えば組織又は個々の細胞など)を含むパラフィンブロックの平行スライスから得られた。従って前記第一のイメージ及び第二のイメージは類似している。特徴A、B、C、D(例えば細胞の塊)は両方のイメージに見える。第二のイメージ46での特徴A、B、C、Dは、第一のイメージ44の対応する特徴A、B、C、Dと比較するといくらかサイズが異なる。さらに、第二のイメージ46は第一のイメージに対して約20度回転している。図9にはまた、第一のイメージ44の興味領域48及び、前記第一のイメージ44の興味領域48から前記第二のイメージ46で決定された対応する興味領域50が示されている。ひとつの実施態様において、第二のイメージ46での興味領域50は、幾何学的変換により得られたものである。該幾何学的変換は、前記第一のイメージ44の特徴A、B、C、Dを前記第二のイメージ46での類似の特徴A、B、C、Dの位置へマッピングし、かかる決定された幾何学的変換を前記第一のイメージの興味領域48の領域に適用するものである。他の実施態様によれば、第二のイメージの興味領域50が、前記第一のイメージ44及び第二のイメージ46を、第一のイメージの少なくともいくつかの特徴(例えば、A、B及びC)を第二のイメージの類似の特徴(例えばA、B及びC)上に投影するように並べることで決定される。又は、第二のイメージの興味領域50は、第一のイメージ44及び第二のイメージ46の重なりのコントラストが最大となるように決定され得る。
【0055】
図10には、本発明の第四の側面による情報処理システム62の例が示される。示される例において、情報処理システム62はデータキャリア54(例えば磁気ディスク又は光学記憶装置又は全ての適切なメモリなど)、モニタ60(例えば液晶表示(LCD))、キーボード58及びマウス又はトラックボール56を含む。データキャリア54はひとつ又はそれ以上の物理的ユニットで提供されてよい。データキャリア54は、PC32を制御するための指示を含み、特にユーザーインタフェースを提供するための指示を含み、ユーザ(図示されていない)が、キーボード及び/又はマウス又はトラックボール56を介して前記照明システムにデータを入力し、かつ該モニタ60を介してデータを取り出すことを可能とする。情報処理システム62はさらに、入力手段及び/出力手段(例えば音響により入出力手段)を含み得る。さらにひとつ又はそれ以上のコンピュータを含んでいてよい。例えば、情報処理システム62はコンピュータネットワークにより提供されてよい。
【0056】
情報処理システム62のデータキャリア54が図11に模式的に示される。データキャリア62に記憶されているのは、既定のプロセス識別子64のセット及び生物学的材料を含む対象物10(図1に示される)に関するデータ記録68、70、72のセットである。データキャリア54はさらに、情報処理システム62を制御するための指示66を含む。示される例では、プロセス識別子64のセットは6つの異なるプロセス識別子(プロセスID1からプロセスID6)が含まれ、それぞれが固有の英数字で定められている。データキャリア54に記憶されるのはまた、前記プロセス識別子に関するラベル(図示されていない)である。例えば、識別子「プロセスID1」はラベル「ミクロ切断」又はラベル「取り出し」を伴うことが可能である。さらに、この例では、データ記録68、70、72のそれぞれが、前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及びプロセス識別子64のセットから選択されるプロセス識別子を含み、前記プロセス識別子は前記それぞれのスライスが対象とされるべきプロセスを指示する。例えば、データ記録68はスライス識別子「スライスID1」及びプロセス識別子「プロセスID1」を持ち、これは、識別子「スライスID1]で識別される物理的スライスは、ミクロ切断プロセスの対象とされることが意図されていることを意味する。スライス識別子はまた、例えば英数字形、又はバーコードで、物理的スライス自体の上に又はスライド、カートリッジ又は他の前記物理的スライスを含む支持装置上に指示され得る。データ記録68、70、72のそれぞれはさらにスライス番号を含むことができる。これにより、それぞれのスライスが対象物(例えばパラフィンブロック)から切り出される前に対応する順に配置することができる。例えば、「スライス番号1」、「スライス番号2」及び「スライス番号3」は、数値3、4、5をそれぞれ持ち、これらの番号は、スライス識別子「スライスID1」、「スライスID2」、「スライスID3」が、パラフィンブロックから切り出される前にこの順に隣接して配置されることを意味する。スライス番号「スライス番号1」、「スライス番号2」、「スライス番号3」はまた、それぞれのスライス識別子「スライスID1」、「スライスID2」、「スライスID3」と統合されてもよい。
【0057】
図10及び11をまとめて参照して、PC32、モニタ60、キーボード58雄マウス又はトラックボール56は、ユーザーインタフェースを提供し、これによりユーザが、前記データキャリア54に保存されたデータ記憶セットからデータ記録(例えばデータ記録68)を選択することを可能にする。ユーザーインタフェースは、例えば、モニタ上にメニューを提供することができる。これにより、ユーザは、選択され例えば物理的スライスについて意図される使用を指示することができるようになる。意図される使用は対応するプロセス識別子により識別される。
【0058】
従って情報処理装置62により、特にデジタル病理学及びテレパソロジーの分野において、同じ対象物(例えば同じパラフィンブロック)から切断されたひとつ又はそれ以上のスライスを含む種々のプロセスを、ユーザが制御又は管理することを可能とする。例えば、ユーザは、あるスライスが取り出されることになっていること、及び他のスライスがミクロ切断のために使用されることになっていることを指示することが可能となる。
【0059】
これに代えて又はこれに加えて、ユーザは、選択される第一のスライス及び選択される第二のスライスについて、第一の染色方法及び第二の染色方法を選択することが可能となる。第一の染色方法は、第一の実験室で常に使用される方法であり、第二の染色方法は第二の実験室で通常使用される染色方法であってよい。第一の染色法を用いて第一のスライスを染色し、第二の染色方法を用いて第二のスライスを染色し、これらの2つのスライスを比較することで、色変換が決定される。色変換は、第一の実験室で取得されたスライスのデジタルイメージの色を、前記第二の実験室で作業する人(例えば病理学者)に馴染みのある色に変換するために適用され得る。
【0060】
本発明は特に、医学病理学実験室におけるレーザーミクロ切断のために使用され得る。又は顕微鏡関連染色方法、特にデジタル病理学及びテレパソロジーとの組み合わせにおいて関連する色の標準化及び/又は変換のために使用され得る。
【0061】
本発明はここまで、図面及び記載に基づいて詳細に説明されたが、図面及び説明は例示のためでありなんらを制限するためのものではない。本発明は、開示された実施態様により限定されるものではない。上で説明されなかった、均等物、組み合わせ及び変形もまた、本発明の本質から離れることなく実現され得る。
【0062】
動詞「含む」及びその関連用語は、「含む」で参照されたエレメント又はステップ以外のエレメント又はステップを除外するものではない。単一のユニットが、請求項に記載されるいくつかの方法の機能を提供することができることは、留意すべきである。ある特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利には使用できないということを意味するものではない。特許請求の範囲のすべての参照符号は、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学、組織学及び病理学のために使用する方法であり、前記方法は:
生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージの準備;
前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージの生成;
前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域の決定;
前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域の決定;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、前記第二のイメージの関心領域の決定が、
前記第一のイメージの特徴の位置を前記第二のイメージの類似の特徴の位置へマッピングする幾何学変換を決定すること;及び
該幾何学変換を前記第一のイメージの関心領域へ適用することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であり、前記第二の関心領域の決定は、前記第一のイメージと第二のイメージを、前記第一のイメージの少なくともいくつかの特徴が第二のイメージの類似の特徴上に重なるように並べるか及び/又は前記第一のイメージと第二のイメージの重なりのコントラストが最大化されるように並べることを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であり、前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出することは、
前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して切断道具の新たな位置を決定し;及び
前記第二のスライスに関して前記切断道具を前記新たな位置へ移動させることを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であり、前記新たな位置の決定には、ルックアップテーブル参照又は機能評価、前記第二のイメージの位置を前記第二のスライスに関して切断道具の位置へ又は前記第二のスライスに関して前記切断道具の位置と同等の情報に関連付けるルックアップテーブル又は機能が含まれる、方法。
【請求項6】
生物学、組織学及び病理学において使用される装置又はシステムであり、前記装置又はシステムは:
生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備する手段;
前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成する手段;
前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定する手段;
前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定する手段;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する手段を含む、装置又はシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の装置又はシステムであり、前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出するための手段は、
前記第二のスライスから材料を切断するための切断道具を準備する装置;
前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して前記切断道具の新たな位置を決定する手段;
前記新たな位置へ前記第二のスライスに関して前記切断道具を動かす手段を含む、装置又はシステム。
【請求項8】
請求項6に記載の装置又はシステムであり、前記第二のイメージを生成する手段は顕微鏡対象物を含むことができ、材料を抽出する手段はレーザービーム生成のためのレーザーを含むことができ、及び前記装置又はシステムは、前記顕微鏡対象物を介して前記第二のスライスへレーザービームを透過させるように構成され得る、装置又はシステム。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法を実施するための、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の装置又はシステムを制御するための指示を含む、データキャリア。
【請求項10】
生物学、組織学及び病理学のために使用する情報処理システムであり、前記情報処理システムは、
既定の一組の処理識別子を提供し;
生物材料を含む対象物に関連する一組のデータ記録を準備し;前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が前記スライスが対象とされる処理を指示し;
ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、インターフェースを提供するように構成される、情報処理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記一組の処理識別子には、次のスライスに関する処理:
前記スライスにつきなにもしない;
前記スライスを記録する;
前記スライスを取り出す;
前記スライスのイメージを生成する;
前記スライスを顕微鏡スライド又はカートリッジに含める;
前記スライスを他の実験室へ送る;
前記スライスから材料を抽出する;
前記スライスを凍結する;
前記スライスを加熱する;
前記スライスをシールする;
前記スライスの関心領域をマークする;
前記スライスを染色する;
前記スライスを第一の染色方法で染色する;
前記スライスを第二の染色方法で染色する;及び
2つの染色方法の間で色の変換を定める、ことから選択される処理を識別する処理識別子を含む、情報処理システム。
【請求項12】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記一組のデータ記録は、前記スライス識別子により示される少なくともいくつかのスライスにつき、前記少なくともいくつかのスライスが前記対象物から切断される前に配置される順序に対応する順序を示すことができる、情報処理システム。
【請求項13】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザーイターフェースが、前記ユーザが、前記選択されたデータ記録の前記プロセス識別子を、前記プロセス識別子のセットから他のプロセス識別子を選択することで変更することを可能とするように構成される、情報処理システム。
【請求項14】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記データ記録のセットの第一のデータ記録が第一のイメージ又は第一のイメージ識別子を含み、前記第一のイメージが、前記第一のデータ記録の前記スライス識別子により識別される前記スライスのデジタルイメージである、情報処理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理システムであり、前記第一のデータ記録が、前記第1のイメージの興味領域を示す情報を含み、前記興味領域がユーザ及びミクロ切断のための前記対象物の第二のスライスを調製するために実験室へ送られるために記録された前記情報により定められた、情報処理システム。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理システムであり、前記情報処理システムが前記第二のスライスから切断される興味領域を、前記第一のイメージ及び前記第二のスライスの第二のデジタルイメージを重ね合わせ、前記第一のイメージに定められる前記興味領域を前記第二のイメージに投影することで、決定するように構成される情報処理システム。
【請求項17】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザーインタフェースが、ユーザが、一組の実験室識別子から選択される実験室識別子を前記選択されたデータ記録に追加し、及び前記選択されたデータ記録又は選択されたコンポーネントを、前記選択された実験室識別子により識別された実験室へ送ることができるように構成される、情報処理システム。
【請求項18】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザインタフェースが、前記病理学者が実験室に、生理学的材料を含む対象物から2つのスライスを切断し、これら2つのスライスのデジタルイメージを生成することを依頼するように構成される、情報処理システム。
【請求項1】
生物学、組織学及び病理学のために使用する方法であり、前記方法は:
生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージの準備;
前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージの生成;
前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域の決定;
前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域の決定;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、前記第二のイメージの関心領域の決定が、
前記第一のイメージの特徴の位置を前記第二のイメージの類似の特徴の位置へマッピングする幾何学変換を決定すること;及び
該幾何学変換を前記第一のイメージの関心領域へ適用することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であり、前記第二の関心領域の決定は、前記第一のイメージと第二のイメージを、前記第一のイメージの少なくともいくつかの特徴が第二のイメージの類似の特徴上に重なるように並べるか及び/又は前記第一のイメージと第二のイメージの重なりのコントラストが最大化されるように並べることを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であり、前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出することは、
前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して切断道具の新たな位置を決定し;及び
前記第二のスライスに関して前記切断道具を前記新たな位置へ移動させることを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であり、前記新たな位置の決定には、ルックアップテーブル参照又は機能評価、前記第二のイメージの位置を前記第二のスライスに関して切断道具の位置へ又は前記第二のスライスに関して前記切断道具の位置と同等の情報に関連付けるルックアップテーブル又は機能が含まれる、方法。
【請求項6】
生物学、組織学及び病理学において使用される装置又はシステムであり、前記装置又はシステムは:
生物材料を含む対象物の第一のスライスの第一のデジタルイメージを準備する手段;
前記対象物の第二のスライスの第二のデジタルイメージを生成する手段;
前記第一のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定する手段;
前記第二のイメージの領域に基づき前記第二のスライスの関心領域決定する手段;及び
前記第二のスライスの前記関心領域から材料を抽出する手段を含む、装置又はシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の装置又はシステムであり、前記第二のスライスの関心領域を決定し、そこから材料を抽出するための手段は、
前記第二のスライスから材料を切断するための切断道具を準備する装置;
前記第二のイメージの関心領域に基づいて、前記第二のスライスに関して前記切断道具の新たな位置を決定する手段;
前記新たな位置へ前記第二のスライスに関して前記切断道具を動かす手段を含む、装置又はシステム。
【請求項8】
請求項6に記載の装置又はシステムであり、前記第二のイメージを生成する手段は顕微鏡対象物を含むことができ、材料を抽出する手段はレーザービーム生成のためのレーザーを含むことができ、及び前記装置又はシステムは、前記顕微鏡対象物を介して前記第二のスライスへレーザービームを透過させるように構成され得る、装置又はシステム。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法を実施するための、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の装置又はシステムを制御するための指示を含む、データキャリア。
【請求項10】
生物学、組織学及び病理学のために使用する情報処理システムであり、前記情報処理システムは、
既定の一組の処理識別子を提供し;
生物材料を含む対象物に関連する一組のデータ記録を準備し;前記データ記録のそれぞれが:前記対象物のスライスを識別するスライス識別子及び前記一組の処理識別子から選択される処理識別子を含み、前記処理識別子が前記スライスが対象とされる処理を指示し;
ユーザが前記一組のデータ記録からデータ記録を選択できるように、インターフェースを提供するように構成される、情報処理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記一組の処理識別子には、次のスライスに関する処理:
前記スライスにつきなにもしない;
前記スライスを記録する;
前記スライスを取り出す;
前記スライスのイメージを生成する;
前記スライスを顕微鏡スライド又はカートリッジに含める;
前記スライスを他の実験室へ送る;
前記スライスから材料を抽出する;
前記スライスを凍結する;
前記スライスを加熱する;
前記スライスをシールする;
前記スライスの関心領域をマークする;
前記スライスを染色する;
前記スライスを第一の染色方法で染色する;
前記スライスを第二の染色方法で染色する;及び
2つの染色方法の間で色の変換を定める、ことから選択される処理を識別する処理識別子を含む、情報処理システム。
【請求項12】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記一組のデータ記録は、前記スライス識別子により示される少なくともいくつかのスライスにつき、前記少なくともいくつかのスライスが前記対象物から切断される前に配置される順序に対応する順序を示すことができる、情報処理システム。
【請求項13】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザーイターフェースが、前記ユーザが、前記選択されたデータ記録の前記プロセス識別子を、前記プロセス識別子のセットから他のプロセス識別子を選択することで変更することを可能とするように構成される、情報処理システム。
【請求項14】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記データ記録のセットの第一のデータ記録が第一のイメージ又は第一のイメージ識別子を含み、前記第一のイメージが、前記第一のデータ記録の前記スライス識別子により識別される前記スライスのデジタルイメージである、情報処理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理システムであり、前記第一のデータ記録が、前記第1のイメージの興味領域を示す情報を含み、前記興味領域がユーザ及びミクロ切断のための前記対象物の第二のスライスを調製するために実験室へ送られるために記録された前記情報により定められた、情報処理システム。
【請求項16】
請求項15に記載の情報処理システムであり、前記情報処理システムが前記第二のスライスから切断される興味領域を、前記第一のイメージ及び前記第二のスライスの第二のデジタルイメージを重ね合わせ、前記第一のイメージに定められる前記興味領域を前記第二のイメージに投影することで、決定するように構成される情報処理システム。
【請求項17】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザーインタフェースが、ユーザが、一組の実験室識別子から選択される実験室識別子を前記選択されたデータ記録に追加し、及び前記選択されたデータ記録又は選択されたコンポーネントを、前記選択された実験室識別子により識別された実験室へ送ることができるように構成される、情報処理システム。
【請求項18】
請求項10に記載の情報処理システムであり、前記ユーザインタフェースが、前記病理学者が実験室に、生理学的材料を含む対象物から2つのスライスを切断し、これら2つのスライスのデジタルイメージを生成することを依頼するように構成される、情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−525579(P2012−525579A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507859(P2012−507859)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051725
【国際公開番号】WO2010/125495
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051725
【国際公開番号】WO2010/125495
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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