説明

ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグの非経腸製剤

MPA、その塩またはプロドラッグを含む非経腸投与に適する、注射のための粉末または凍結乾燥組成物の形態の医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグを含む、非経腸投与に適する新規の医薬組成物に関する。
【0002】
ミコフェノール酸は、本明細書にてMPAとも称され、複雑な構造および特有の感受性の天然産物であって、抗腫瘍性、抗ウイルス性、免疫抑制性、抗乾癬性、抗炎症性、および抗ガン活性を有する。
ミコフェノール酸モフェチルとしても公知の、MPAのモルホリノメチルエステルなどの高分子量誘導体が、生体内利用能を増加させるために作製されている。ミコフェノール酸モフェチルは、臓器または組織の移植拒絶の処置または予防のために、免疫抑制剤として市販されている。
【0003】
WO97/38689には、医薬組成物、例えば、ミコフェノール酸塩を含むカプセルが記載されている。前記組成物は、腸管上部にてミコフェノール酸塩を放出するのに適する。
【0004】
ミコフェノール酸ナトリウムの腸溶性錠剤は、Myfortic(登録商標)として知られている。
【0005】
緊急の状況であるか、またはMPA、その塩またはプロドラッグの経口投与が、例えば外科手術前または直後に困難な場合、非経腸投与、例えば静脈内投与、皮下投与または筋肉内投与に適する医薬組成物が望ましい。
【0006】
本出願人らは、MPA、その塩またはプロドラッグを含む医薬組成物の溶液が、生理学的pH、例えば約6.8〜約8.0のpHにて、例えば約25℃もしくはそれ以上で約2週間の貯蔵に対してまたは、例えば約121℃で15分の熱処理後の安定性が不十分であることを発見した。
【0007】
MPA、その塩またはプロドラッグを含む粉末形態の医薬組成物は、例えば、約25℃またはそれ以下で約30ヶ月の間極めて安定であり、そして適当な溶媒、好ましくは注射用水に容易に溶解され、非経腸投与に適する溶液を再構成し得る。
【0008】
従って、本発明は、MPA、その塩またはプロドラッグを含む非経腸投与のための粉末または凍結乾燥組成物の形態の医薬組成物を提供する。「非経腸投与のための」とは、前記組成物が、例えば溶液として生理学的に許容される溶媒中に再構成後に、非経腸投与に適することを意味する。好ましくは、前記組成物には、MPAまたはミコフェノール酸塩が含まれる。
【0009】
好ましくは、前記組成物は注射用である。故に、本発明はまた、注射用粉末形態の医薬組成物および適当な溶媒で該組成物を再構成することにより得られる、例えば注射などの非経腸投与のための溶液を提供する。
【0010】
本発明の好適な態様にて、
a)MPA、その塩またはプロドラッグ、
b)薬学的に許容される緩衝剤、
c)凍結乾燥充填剤、および
d)薬学的に許容される塩基性化合物、
を含む、例えば注射に適する粉末形態の医薬組成物を提供する。
好ましくは、前記組成物は、本質的に上記成分からなる。
【0011】
本発明の他の態様にて、成分(a)、(b)、(c)および(d)、ならびに(e)生理学的に許容される溶媒、を含む非経腸投与のための薬剤溶液を提供する。
【0012】
適当なミコフェノール酸塩とは、例えばMPAのカチオン塩、例えばアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩であってよく、または有機塩基との塩を使用することができる。本発明にて、好ましくはモノナトリウム塩を使用することができる。
【0013】
凍結乾燥前後の両方にて、MPA、その塩またはプロドラッグ、例えばモノナトリウム塩は、結晶形態または無定形であり得る。例えば、MPAまたはミコフェノール酸塩は、PCT/EP04/00354に開示されている結晶形態のいずれか1個であり得る。モノナトリウム塩は、例えば、必要であれば水を添加したアセトン/エタノールからの再結晶により結晶形態で得られる;融点、189−191℃。
【0014】
「薬学的に許容される緩衝剤」とは、HまたはOHが添加されるとき、pHの変化に抵抗する化合物を意味する。緩衝剤は、単一の化合物であるか、または化合物の組合せであって良い。薬学的に許容される緩衝剤の例は、例えば、非経腸投与のための溶液を6.8から8.0のpHに緩衝しておく化合物、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、またはリン酸である。
【0015】
「凍結乾燥充填剤」とは、バルクとして作用する化合物を意味し、凍結乾燥中および/または後に、マトリックス構造を提供し、および/または薬物を(例えば、活性物質の分解を遅延するかまたは抑制することにより)安定化する。適当な凍結乾燥充填剤には、例えば、マンニトール、サッカロース、ラクトース、フルクトース、グルコース、トレハロース、デキストラン、リン脂質、レシチン、ゼラチン、グリシンなどのアミノ酸、またはセルロースが含まれる。
【0016】
塩基性化合物は、好ましくは、非経腸投与のための溶液が、6.8から8.0のpHに調整されるように選択される。好ましい塩基性化合物は、塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであるか、または塩基性塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、または炭酸カリウムである。
【0017】
前記溶媒(e)は、注射用水であり得、生理食塩水であるかまたは5%グルコースの食塩水である。注射用水とは、何も加えられておらず、かつ逆浸透または蒸留により精製された、透明、無色および無臭の水である(Physician’s Desk Referenceを参照)。
【0018】
本発明の注射用粉末におけるMPA、その塩またはプロドラッグの量は、1mlの注射溶液の全量に基づき、約0.1mg〜約100mg、好ましくは約30mg〜約60mgである。注射用溶液におけるMPA、その塩またはプロドラッグの濃度の上限は、溶媒における薬剤の溶解性に依存して変わる。好ましくは、溶解助剤は存在しない。
【0019】
本発明の溶液における凍結乾燥充填剤の量は、約5〜約100mg/mlである。好ましくは、前記凍結乾燥充填剤は、溶媒(e)で再構成後に、注射用等張液が得られる量で存在する。
【0020】
緩衝剤の選択、ならびに緩衝剤および塩基の量は、注射用溶液の望ましいpHに依存して変わる。好ましくは、本発明の溶液のpHは、約6.8から約8.0の範囲内に、最も好ましくは約7.5に調整される。
【0021】
本発明の化合物は、必要な安定性および治療的有効性を提供するために、非経腸組成物に通常用いられる賦形剤をさらに含んでいて良い。賦形剤には、例えば抗酸化剤が含まれ得る。
【0022】
抗酸化剤を、特に加熱滅菌の加速条件下での酸化的分解から活性物質を保護するために用いることができる。抗酸化剤は、当業者に公知の化合物のいずれかから選択され得る。同様に、用いる抗酸化剤の量を、常套的な実験を用いて決定することができる。好ましくは、本発明の組成物は、抗酸化剤を含まない。
【0023】
本明細書に記載のいろいろな賦形剤および方法に関する課題における広範な文献を引用しており、特に、参照により本明細書に組み込まれる、Ainley WadeおよびPaul J.Weller(American Pharmaceutical Association, Washington, USAおよびPharmaceutical Press, London)編著のHandbook of Pharmaceutical Excipients、第2版;および、H.P.Fiedler編著のLexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete、第4版、Editio Cantor, Aulendorfおよびそれより前版、を参照のこと。
【0024】
好ましくは、本発明の組成物は、MPA、その塩またはプロドラッグのみを活性成分として含む。
【0025】
本発明の組成物を調製するために用いることのできる方法は、当技術分野で常套または公知の方法であり得るか、または例えばL.Lachmanらの、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,第3版,1986、H.Suckerらの、Pharmazeutische Technologie,Thieme,1991,Hager’s Handbuch der pharmazeutischen Praxis,第4版(Springer Verlag,1971)およびRemington’s Pharmaceutical Sciences,第13版(Mack Publ.,Co.,1970)またはそれより後版に記載の方法に基づく方法であり得る。
【0026】
一般に、MPA、その塩またはプロドラッグ、緩衝剤(b)および凍結乾燥充填剤(c)を、水性溶媒、優先的には注射用水に溶解し、そしてそのpHを塩基(d)で調節する。その後、生じた溶液を水で希釈し、最終的な所望の容量にすることができる。生じた溶液を、滅菌フィルター、例えば修飾ポリビニリデンフルオライド膜、例えばDurapore(ジュラポア)(登録商標)に通してろ過し、そしてバイアル、例えばガラスバイアルに満たす。前記溶液を、無菌条件下で常套方法により凍結乾燥する。生じた注射用粉末を、投与の少し前に非経腸投与のための所望の溶液を再構成するために用いることができる:前記粉末を、投与前に、所望の量の溶媒(e)、例えば注射用水と混合する。
【0027】
好ましくは、上記の製造の間、酸素(空気)を、MPA、その塩またはプロドラッグの溶液との接触から離す。これは通常、前記溶液の入った容器を、例えば窒素でパージすることにより行われる。
【0028】
本発明はまた、例えば本明細書に開示のような凍結乾燥調製物、および生理学的に許容される溶媒を含む注射キットを提供する。
本発明の組成物は、標準的な試験により示されたように、免疫抑制剤として有用である。
【0029】
本発明の組成物の活性および特性を、以下の試験で示すことができる:
a)例えば最初の急性拒絶症状または腎臓移植後6ヶ月の治療の失敗または本発明の処置の開始後6ヶ月以内の拒絶なし状態の維持の観察などの、標準的な臨床試験。本発明の組成物を、0.05〜3g/日、好ましくは0.2〜3g/日、より好ましくは0.5〜2g/日、例えば約1.5g/日の範囲の濃度で投与し、そして移植手術期間前後に投与したとき、急性拒絶率が減少し、移植後3ヶ月またはそれ以降の患者における拒絶なし状態が維持される。故に、本発明の組成物を、移植後最初の72時間の間は、既知のステロイドおよびシクロスポリン(例えば、シクロスポリン用量が常用量、例えば腎移植について約8±3mg/kgであるNEORAL(登録商標)として)と組み合わせて、約0.5gの用量で一日に2回投与することができる。ステロイド用量は、プレドニドンに関しては、移植後4日間は約2.5mg/kg、その後一週間は1mg/kg、その後2週間は0.6mg/kg投与し、その後1ヶ月は0.3mg/kg投与する。
そして、
【0030】
b)例えばラットにおける腎臓同種移植反応を観察するなどの動物試験。この試験にて、メスのフィッシャー344ラット由来の1個の腎臓を、端々吻合を用いて、一方(左側)を摘出したWFレシピエントラットの腎血管に移植する。端々尿管吻合も行う。移植術の日に処置を開始し、14日間続ける。反対側の腎摘出を移植後7日目に行い、レシピエントがドナー腎臓の能力に頼るようにする。移植片レシピエントの生存率を、機能的移植に関するパラメータとする。典型的な本発明の組成物の用量は、約1〜30mg/kgである。
【0031】
本発明の組成物は、特に以下の状態に有用である:
a)臓器、組織、もしくは細胞の同種移植または異種移植の移植拒絶の処置または予防、例えば、例えば心臓、肺、心臓−肺複合、肝臓、腎臓、腸、膵臓、皮膚、膵島細胞、神経細胞または角膜移植などのレシピエントの処置;急性拒絶の処置または予防;超急性拒絶、例えば異種移植片拒絶に関連するものの処置および予防;および、慢性拒絶、例えば移植後動脈硬化(graft-vessel disease)、または再狭窄に関連するものの処置または予防を含む。本発明の組成物は、骨髄移植後のような移植片対宿主疾患の処置または予防にも用いられる。
【0032】
b)自己免疫疾患、例えば免疫介在性疾患および炎症状態、特に関節炎(例えば、リウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節炎)およびリウマチ性疾患などの免疫成分を含む病因を有する炎症状態の処置または予防。本発明の組成物が用いられ得る特定の免疫介在性疾患には、自己免疫性の血液疾患(溶血性貧血、再生不良性貧血、真生赤血球性貧血および特発性血小板減少症が含まれるが、これらに限定されない)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、硬皮症、ウェグナー顆粒症、皮膚筋炎、多発性筋炎、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、乾癬、スティーブンジョンソン症候群、天疱瘡、特発性スプルー、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、内分泌性眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、若年性糖尿病(I型糖尿病)、非感染性ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、脈管炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎症を含むネフローゼ症候群を起こすか、または起こさない)および若年性皮膚筋炎などの処置または予防。
【0033】
本発明の組成物の適した用量は、例えば、処置される状態(例えば、疾患型または耐性の性質など)、用いる薬剤、所望の効果および投与方法に依存して、もちろん変化するであろう。
【0034】
連続的に投与するとき、有効量の薬剤を、非経腸投与、例えば静脈内点滴、または筋肉内注射もしくは皮下注射などにより、長い時間にわたり分散する2回または3回の投与で与えることができ、全1日用量を投与期間の一部または全体にわたって分散させる。皮下注射により供与するとき、1週間に3回から1日3回まで、好ましくは1週間に2回から1日1回または2回までの投与が最も好ましい。
【0035】
本発明の組成物は、好ましくは静脈内投与に適している。本投与形態の即時型反応は、緊急の状況にて非常に望ましい。その上、吸収過程を伴わないため、活性物質の用量または血中濃度を、より正確かつ迅速に得ることができる。
【0036】
一般に、満足できる結果が、1日に1回または4回までの分割量で、1日に動物体重1kgについて約1〜約30mgのミコフェノール酸塩の用量で、例えば静脈内投与などの投与により得られる。故に、患者に対する適当な日用量は、0.05〜3g/日、好ましくは0.2〜3g/日、より好ましくは0.5〜2g/日、例えば約1.5g/日のミコフェノール酸塩である。
【0037】
他の局面にて、本発明は、注射用粉末の形態の本発明の組成物および適当な溶媒を含む注射キットを提供する。
【0038】
治療的有効量のMPA、その塩またはプロドラッグを含む本発明の組成物は、唯一の活性成分として、または例えば移植片対宿主疾患、移植拒絶、または免疫介在性疾患の予防または処置などの免疫抑制的適用において、例えば他の免疫抑制剤の同時投与または個別投与など、他の免疫抑制剤と一緒に投与され得る。例えば、本発明の組成物は、シクロスポリンまたはアスコマイシン、またはその免疫抑制性の類似体または誘導体、例えばシクロスポリンA、Isa Tx247、FK−506(タクロリムス)など、mTORインヒビター、例えばラパマイシンまたはその誘導体、例えば40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、例えばWO95/14023および99/15530に記載のような誘導体、例えばABT578、または例えばWO98/02441およびWO01/14387に記載のようなラパログ(rapalog)、例えばAP23573、AP23464、AP23675、AP23841またはTAFA−93;リンパ球のホーミング特性を促進するS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールの遊離形態またはその薬学的な塩形態(例えば塩酸塩)または類似体;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキセート;ブレキナール(brequinar);レフルノミド;ミゾリビン;デオキシスパガリン;または、免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、CTLA4、B7、CD40、CD45、またはCD58、またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;または、それらの免疫調節化合物、例えばCTLA4−Ig、またはその変異体、例えばLEA29Yと組み合わせて用いられ得る。好ましい組合せには、本発明の組成物およびラパマイシンまたはその誘導体、例えば上記のような、例えば40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、および/またはリンパ球のホーミング特性を促進するS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720が含まれる。
【0039】
本発明のさらなる局面にて、本発明の組成物、例えば静脈内組成物を、免疫抑制の必要な被験者に対して投与することを含み、要すれば、例えば上記のように、他の免疫抑制剤または免疫調節化合物を同時投与、連続投与または個別投与してよい、被験者の免疫を抑制する方法を提供する。
【0040】
本発明の組成物を、かかる他の免疫抑制剤と一緒に投与するとき、前記他の免疫抑制剤の用量を、例えば、単独での使用の場合の2分の1から3分の1の用量に減らすことができる。
【0041】
使用するシクロスポリンAの典型的な用量は、例えば1〜10mg/kg/日、例えば1〜2mg/kg/日である。40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンの典型的な用量は、例えば、0.75〜5mg1日2回である。(2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールヒドロクロライドの典型的な用量は、例えば1.25〜10mg/日である。
【0042】
以下の実施例を、本発明を説明する目的で用いる。
実施例1:
リン酸水素ジナトリウム(8.70mg)およびマンニトール(125.1mg)を、注射用水(約1.5ml)に溶解し、その間、前記溶液を窒素と共にパージする。その後、ミコフェノール酸ナトリウム(160.35mg)を加え、前記溶液を水酸化ナトリウムでpH7.5に調整し、3.0mlまでの注射用水を加える。無菌条件下で、前記溶液を穴サイズ0.22μmのDurapore(登録商標)滅菌フィルターに通してろ過し、バイアルに充填する。前記溶液を、無菌条件下で凍結乾燥し、注射用粉末を得る。
【0043】
実施例2
実施例1の注射用粉末を、注射用の5mlの水で注射用溶液を再構成するために用いる。前記溶液は、透明で、pHは7.5を示し、そして静脈内、皮下および筋肉内投与に適している。
【0044】
実施例3
実施例2の溶液の12mlを、0.4ml/分の一定の点滴速度で30分かけて、腕静脈に静脈内持続点滴として12人の安定な腎移植患者に供与する。
【0045】
血液試料を、投与後36時間、以下の時点で採取する:点滴開始から0、10分、20分、30分、45分、1.0時間、1.5時間、2.0時間、4.0時間、8.0時間、12.0時間、24.0時間、36.0時間。
【0046】
前記薬剤は、これらの腎移植患者にて良好な耐容性を示す。
MPAの血漿中濃度を、図1および2に記載する。
【0047】
平均MPA AUC0−tは、42.1μgh/mlであり、AUC0−tの患者間の差異は、25%よりも小さい。平均t1/2は、9.68時間である。
さらなる例にて、ミコフェノール酸ナトリウムをミコフェノール酸モフェチルに換えること以外は実施例1から3の方法を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
(原文に記載なし)

【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミコフェノール酸(MPA)、その塩またはプロドラッグを含む非経腸投与のための粉末または凍結乾燥組成物の形態の医薬組成物。
【請求項2】
a)MPA、その塩またはプロドラッグ、
b)薬学的に許容される緩衝剤、
c)凍結乾燥充填剤、および、
d)薬学的に許容される塩基、
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記凍結乾燥充填剤がマンニトールである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記ミコフェノール酸塩がミコフェノール酸ナトリウムである、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
水で再構成された時、pH6.8〜8.0の溶液を形成する、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
生理学的に許容される溶媒で請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物を再構成することにより得られる、非経腸投与のための溶液。
【請求項7】
MPA、その塩またはプロドラッグが、約0.1から約100mg/mlの濃度である、請求項6記載の溶液。
【請求項8】
MPA、その塩またはプロドラッグが、約30mg/mlの濃度である、請求項7記載の溶液。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物と生理学的に許容される溶媒を含む、注射キット。
【請求項10】
特に、そのままのまたはトランスジェニックの臓器、組織または細胞同種移植片移植拒絶の予防または処置のための、免疫介在性疾患および/または炎症性疾患の処置または予防のための免疫抑制剤であって、要すれば、他の免疫抑制剤を同時投与、連続投与または個別投与してよい免疫抑制剤の製造を目的とした、請求項1〜5のいずれか一項記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか一項記載の溶液を被験者に投与することを含み、要すれば、他の免疫抑制剤を同時投与、連続投与または個別投与してよい、免疫抑制の必要な被験者の免疫反応を抑制する方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ミコフェノール酸(MPA)、その塩またはプロドラッグ、
b)薬学的に許容可能な緩衝剤、
c)凍結乾燥充填剤、そして、
d)薬学的に許容可能な塩基、
を含む、非経腸的投与のための粉末または凍結乾燥組成物の形態の医薬組成物。
【請求項2】
前記凍結乾燥充填剤がマンニトールである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ミコフェノール酸塩がミコフェノール酸ナトリウムである、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
水で再構成された時、pH6.8〜8.0の溶液を形成する、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
生理学的に許容可能な溶媒で、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物を再構成することにより入手可能な、非経腸投与のための溶液。
【請求項6】
MPA、その塩またはプロドラッグが、約0.1から約100mg/mlの濃度である、請求項5記載の溶液。
【請求項7】
MPA、その塩またはプロドラッグが、約30mg/mlの濃度である、請求項6記載の溶液。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物と生理学的に許容可能な溶媒を含む、注射キット。
【請求項9】
特に、そのままのまたはトランスジェニックの臓器、組織または細胞同種移植片移植拒絶の予防または処置のための、免疫介在性疾患および/または炎症性疾患の処置または予防のための免疫抑制剤であって、要すれば、他の免疫抑制剤を同時投与、連続投与または個別投与してよい免疫抑制剤の製造を目的とした、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
請求項5〜7のいずれか一項記載の溶液を被験者に投与することを含み、要すれば、他の免疫抑制剤を同時投与、連続投与または個別投与してよい、免疫抑制の必要な被験者の免疫反応を抑制する方法。

【公表番号】特表2006−522052(P2006−522052A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504937(P2006−504937)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003423
【国際公開番号】WO2004/087174
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】