説明

ミシン、ミシン制御プログラム、刺繍データ処理装置、及び刺繍データ処理プログラム

【課題】互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する際に、一の刺繍模様を縫製後、その刺繍模様と組み合わせて使用できる刺繍模様の刺繍データを自動で抽出可能にする。
【解決手段】ミシンは模様41を縫製する。模様41の縫製が完了したら、ミシンのCPUは組み合わせテーブルを参照し、模様41と組み合わせて使用可能な未縫製の模様42〜45に対応する刺繍データを抽出する。ミシンは模様42を縫製する。模様42の縫製が完了したら、CPUは組み合わせテーブルを参照し、模様42と組み合わせて使用可能な未縫製の模様43〜45に対応する刺繍データを抽出する。同様に模様43〜45の縫製が完了したら、CPUは模様45と組み合わせて使用可能な未縫製の模様はないと判断する。加工布に合成刺繍46の縫製が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍模様を縫製できるミシン、ミシン制御プログラム、刺繍データ処理装置、及び刺繍データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縫製対象である加工布に、文字、記号、図柄等の刺繍模様を刺繍縫製することができるミシンが知られている。ユーザは、このようなミシンを用いて、例えばミシンに予め登録されている複数の刺繍模様の中から一の刺繍模様を選択し、その選択した刺繍模様を加工布に縫製する作業を行う。各刺繍模様は通常それ単独で使用されるので装飾性の高いものが多い。ユーザは例えばこのような刺繍模様を互いに組み合わせて縫製することによって、より装飾性の高い刺繍(以下、「合成刺繍」という。)を加工布に形成したい場合がある。例えば、特許文献1には、基準位置を表す印を加工布に形成し、刺繍縫製する複数の刺繍模様の位置合わせが容易となるミシンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−319879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のミシンで合成刺繍を縫製する場合、ユーザは、刺繍模様毎に、加工布に形成された基準位置を示す縫目を基準として縫製位置を決定する必要があり、作業に手間がかかるという問題点があった。また、従来のミシンでは、ユーザは1つの刺繍模様を縫製した後、改めて次の刺繍模様をユーザ自ら選択して縫製しなければならず、作業に手間がかかるという問題点があった。また、ユーザは、例えばミシンの編集機能を使って、合成刺繍のデータを作成してから加工布に縫製することもできるが、その合成刺繍のデータを作成する為の時間と手間がかかるという問題点もあった。
【0005】
本発明の目的は、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する際に、一の刺繍模様を縫製後、その刺繍模様と組み合わせて使用できる刺繍模様の刺繍データを自動で抽出可能なミシン、ミシン制御プログラム、刺繍データ処理装置、及び刺繍データ処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るミシンは、互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段と、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記刺繍データに基づき、前記刺繍模様を被縫製物に縫製する第一縫製手段と、前記選択手段により選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記他の刺繍データに基づき、前記他の刺繍模様を前記被縫製物に縫製する第二縫製手段とを備えている。
【0007】
前記ミシンでは、抽出手段は、選択手段により選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された複数の刺繍データの中から抽出する。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、例えば、刺繍模様を縫製する度に、刺繍模様に対応する刺繍データの作成や編集を行う必要や、刺繍模様を縫製する際の位置合わせを行う必要はない。よって、面倒な設定や操作を行うことなく速やかに縫製することができる。また、例えば、単体でも装飾性を持ち刺繍模様として価値のある刺繍模様がある。このような刺繍模様を組み合わせて縫製することにより、装飾性のより高い合成刺繍を作成することができる。
【0008】
前記ミシンでは、前記刺繍データ記憶手段に記憶された各刺繍データにそれぞれ対応する刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様を特定する為の組み合わせ情報を記憶する組み合わせ情報記憶手段を備え、前記抽出手段は、前記組み合わせ情報によって特定される前記他の刺繍模様に対応する前記他の刺繍データを抽出してもよい。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、組み合わせ情報記憶手段に記憶された組み合わせ情報によって、互いに独立した複数の刺繍模様の組み合わせが特定されるので、刺繍模様毎に面倒な設定や操作を行うことなく速やかに縫製することができる。
【0009】
前記ミシンでは、前記組み合わせ情報は、前記被縫製物における前記他の刺繍模様の縫製位置を特定する位置情報を含み、前記第二縫製手段は、前記位置情報によって特定される前記縫製位置に、前記他の刺繍模様を縫製してもよい。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、組み合わせ情報記憶手段に記憶された組み合わせ情報に含まれる位置情報によって、互いに独立した複数の刺繍模様の組み合わせが特定されるので、刺繍模様毎に面倒な設定や操作を行うことなく速やかに縫製することができる。
【0010】
前記ミシンでは、表示部と、前記選択手段によって選択された前記刺繍データに対応する前記刺繍模様と、前記抽出手段によって抽出された前記他の刺繍データに対応する他の刺繍模様とを前記表示部に表示する表示制御手段とを備えてもよい。表示制御手段は、表示部に選択手段によって選択された刺繍データに対応する刺繍模様と、抽出手段によって抽出された他の刺繍データに対応する他の刺繍模様とを表示部に表示する。これにより、ユーザは、表示部に表示された選択手段によって選択された刺繍データに対応する刺繍模様と、抽出手段によって抽出された他の刺繍データに対応する他の刺繍模様とを視認することができる。
【0011】
本発明の第二態様に係るミシン制御プログラムは、ミシンのコンピュータに、互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍データに基づき、前記刺繍模様を被縫製物に縫製する第一縫製ステップと、前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにおいて抽出された前記他の刺繍データに基づき、前記他の刺繍模様を前記被縫製物に縫製する第二縫製ステップとを実行させる。抽出ステップは、選択ステップにおいて選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された複数の刺繍データの中から抽出する。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、刺繍模様毎に面倒な設定や操作を行うことなく速やかに縫製することができる。
【0012】
本発明の第三態様に係る刺繍データ処理装置は、互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段と、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出手段とを備えている。抽出手段は、選択手段により選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、選択手段により選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された複数の刺繍データの中から速やかに抽出することができる。
【0013】
本発明の第四態様に係る刺繍データ処理プログラムは、刺繍データ処理装置に内蔵されたコンピュータに、互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出ステップとを実行させる。抽出ステップは、選択ステップにおいて選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された複数の刺繍データの中から抽出する。これにより、ユーザは、互いに独立した複数の刺繍模様を組み合わせて縫製する場合、選択手段により選択された刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、刺繍データ記憶手段に記憶された複数の刺繍データの中から速やかに抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ミシン1の斜視図である。
【図2】模様41〜45を組み合わせて合成刺繍46を作成する一例を示す説明図である。
【図3】ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】組み合わせ情報テーブル21の概念図である。
【図5】組み合わせ情報テーブル22の概念図である。
【図6】組み合わせ情報テーブル23の概念図である。
【図7】組み合わせ情報テーブル24の概念図である。
【図8】組み合わせ情報テーブル25の概念図である。
【図9】合成刺繍46の縫製エリアの一例を示す説明図である。
【図10】組み合わせ縫製処理のフローチャートである。
【図11】レイアウト選択画面51の一例を示す説明図である。
【図12】モード選択画面52の一例を示す説明図である。
【図13】組み合わせ画面53の一例を示す説明図である。
【図14】単体画面54の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態であるミシン1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明において、図1の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、下方、上方を、夫々、ミシン1の前方、後方、右方、左方、下方、上方とする。
【0016】
まず、図1を参照して、ミシン1の物理的構成について説明する。ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、アーム部13、及び頭部14を有する。ベッド部11は、左右方向に長い、ミシン1の土台部である。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ延びる。アーム部13は、ベッド部11に対向して脚柱部12の上端から左方へ延びる。頭部14は、アーム部13の左先端に連結する部位である。ベッド部11の上面には、針板(図示略)が配設されている。針板の下側(つまり、ベッド部11内)には、図示しない送り歯、送り機構、釜機構、及び送り量調整用パルスモータ78(図3参照)が設けられている。送り歯は、送り機構によって駆動されて、加工布を所定の送り量で移送する。送り歯の送り量は、送り量調整用パルスモータ78によって調整される。
【0017】
ベッド部11の上側には、加工布100を保持する刺繍枠34を配置可能である。刺繍枠34は、内枠と外枠とで加工布100を挟持して保持する周知の構成を有する。刺繍枠34を移送する刺繍枠移送装置33は、周知の構成であるので簡単に説明する。刺繍枠移送装置33は、ベッド部11に対して着脱可能である。刺繍枠移送装置33の上部には、前後方向に延びるキャリッジ35が設けられる。キャリッジ35の内部には、刺繍枠34を着脱可能な枠ホルダ(図示略)と、枠ホルダを前後方向(Y方向)に移送するY軸移送機構(図示略)とが設けられている。Y軸移送機構は、Y軸モータ84(図3参照)により駆動される。
【0018】
刺繍枠移送装置33の本体内には、キャリッジ35を左右方向(X方向)に移送するX軸移送機構(図示略)が設けられている。X軸移送機構は、X軸モータ83(図3参照)により駆動される。キャリッジ35が左右方向(X方向)に移送されるのに伴って、刺繍枠34が左右方向(X方向)に移送される。
【0019】
刺繍枠34が左右方向(X方向)、及び前後方向(Y方向)に移送されるのと併せて、針棒(図示略)や釜機構(図示略)が駆動されることで、針棒(図示略)に装着された縫針(図示略)により、刺繍枠34に保持された加工布100に対して刺繍模様が縫製される。刺繍模様ではない通常の実用模様の縫製時には、ベッド部11から刺繍枠移送装置33が取り外された状態で、送り歯により加工布100が移動されながら縫製が行われる。
【0020】
脚柱部12の前面には、縦長の長方形状の液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)15が設けられている。LCD15には、コマンド、イラスト、設定値、メッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。LCD15の前面側には、タッチパネル26が設けられている。ユーザが、指や専用のタッチペンを用いてタッチパネル26の押圧操作を行うと(以下、この操作を「パネル操作」という。)、タッチパネル26によって検知される押圧位置に対応して、どの項目が選択されたかが認識される。ユーザは、このようなパネル操作によって、縫製したい模様や実行すべきコマンドを選択できる。
【0021】
アーム部13は、その上部に、開閉可能なカバー16を備えている。カバー16の下方、つまりアーム部13内の略中央部には、糸駒20が収容される凹部である糸収容部18が設けられている。糸収容部18の脚柱部12側の内壁面には、頭部14に向かって左方へ突出する糸立棒19が設けられている。糸駒20は、その挿入孔(図示略)に糸立棒19が挿入された状態で、糸収容部18に装着される。
【0022】
糸駒20に巻回された上糸(図示略)は、糸駒20から、頭部14に設けられた糸掛部(図示略)を経由して、針棒(図示略)に装着された縫針(図示略)に供給される。針棒(図示略)は、頭部14内に設けられた針棒上下動機構(図示略)により、上下動するように駆動される。針棒上下動機構は、ミシンモータ79(図3参照)により回転駆動する主軸(図示略)によって駆動される。頭部14の下端部からは、加工布100を押える押え足92が交換可能に装着される押え棒91が下方に延びている。また、アーム部13の前面下部には、開始・停止スイッチ32を含む複数の操作スイッチが設けられている。
【0023】
次に、図2を参照して、ミシン1で縫製できる合成刺繍について説明する。模様41〜45は、通常、単独で使用される模様である。合成刺繍46は、模様41〜45を互いに組み合わせて縫製できる合成刺繍の一例である。合成刺繍46は、模様41〜45を夫々単独で使用した場合と全く異なるイメージを有する。本実施形態のミシン1は、パネル操作にて例えば合成刺繍46を縫製可能とする。
【0024】
次に、図3を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。図3に示すように、ミシン1の制御部60は、CPU61、ROM62、RAM63、外部アクセスRAM68、カードスロット17、入力インターフェイス65、及び出力インターフェイス66を備えている。これらはバス67により相互に電気的に接続されている。入力インターフェイス65には、電源スイッチ31、開始・停止スイッチ32を含む複数の操作スイッチ、及びタッチパネル26等が電気的に接続されている。
【0025】
CPU61はミシン1の動作を統括制御する。ROM62は、プログラム記憶領域62A、刺繍データ記憶領域62B、組み合わせ情報テーブル記憶領域62C、画像データ記憶領域62D等を備えている。プログラム記憶領域62Aは、ミシン1の動作を制御するための各種プログラム等を記憶する。刺繍データ記憶領域62Bは、例えば、図2に示す模様41〜45の各刺繍データを夫々記憶している。これら各刺繍データは、ミシン1で縫製可能な様々な実用模様、及び刺繍模様の刺繍データの一例である。なお、刺繍データとは、縫針(図示略)が加工布100に刺さる位置である針落ち点を示すデータである。なお刺繍データは例えば糸の色を示す糸色情報を含む場合がある。組み合わせ情報テーブル記憶領域62Cは、例えば、後述する組み合わせ情報テーブル21〜25(図4〜8参照)を記憶する。画像データ記憶領域62Dは、LCD15に表示する各種画像の画像データを記憶する。
【0026】
RAM63は、縫製中番号記憶領域63A、バッファ63Bを備えている。縫製中番号記憶領域63Aは、後述する組み合わせモードにおいて、例えば縫製中の模様41〜45に夫々対応した刺繍データの識別番号を記憶する。バッファ63Bは、例えばCPU61がミシン1を制御する際に必要なデータを一時的に記憶する。
【0027】
外部アクセスRAM68には、カードスロット17が接続されている。カードスロット17は、メモリカード(図示略)と接続可能である。カードスロット17とメモリカードとを接続すれば、ミシン1は、メモリカードの情報の読み取り、及び書き込みを行うことができる。
【0028】
出力インターフェイス66には、駆動回路71〜74、85、及び86が電気的に接続されている。駆動回路71は、送り量調整用パルスモータ78を駆動させる。駆動回路72は、ミシンモータ79を駆動させる。駆動回路73は、針棒(図示略)を揺動させる針棒揺動機構(図示略)を駆動する針振りパルスモータ80を駆動させる。ただし、刺繍模様の縫製時には、送り量調整用パルスモータ78、及び針振りパルスモータ80は駆動されない。駆動回路74は、LCD15を駆動させる。駆動回路85、及び86は、刺繍枠34を移送するためのX軸モータ83、及びY軸モータ84を夫々駆動する。
【0029】
次に、図4〜8を参照して、組み合わせ情報テーブル21〜25について説明する。組み合わせ情報テーブル21〜25には、識別番号と、縫製済情報と、位置情報と、組み合わせ情報とが夫々対応づけられて記憶されている。識別番号は、刺繍データを識別する為の番号である。本実施形態では、模様41の刺繍データD1の識別番号をD1とする。模様42の刺繍データD2の識別番号をD2とする。模様43の刺繍データD3の識別番号をD3とする。模様44の刺繍データD4の識別番号をD4とする。模様45の刺繍データD5の識別番号をD5とする。縫製済情報は、例えば対象とする模様の縫製が済んだか否かを示す情報である。例えば未縫製の場合は0、縫製済みの場合は1である。位置情報は、例えば合成刺繍46を縫製する際に、模様41〜45の各位置を特定する為の情報である。組み合わせ情報は、例えば対象とする模様と組み合わせて使用できる模様の刺繍データに関する情報である。
【0030】
ここで、図9を参照して、模様41〜45の位置情報について説明する。合成刺繍46の領域は、上左エリア46A、上中エリア46B、上右エリア46C、中左エリア46D、中中エリア46E、中右エリア46F、下左エリア46G、下中エリア46H、及び下右エリア46Iの9つのエリアに分割される。上左エリア46Aは上段左側のエリアである。上中エリア46Bは上段中央のエリアである。上右エリア46Cは上段右側のエリアである。中左エリア46Dは中段左側のエリアである。中中エリア46Eは中段中央のエリアである。中右エリア46Fは中段右側のエリアである。下左エリア46Gは下段左側のエリアである。下中エリア46Hは下段中央のエリアである。下右エリア46Iは下段右側のエリアである。位置情報はこれら図2に示す模様41〜45を夫々縫製する各エリア46A〜46Iを示す情報である。
【0031】
図4に示す組み合わせ情報テーブル21には、例えば図2に示す模様41の各種情報が記憶されている。識別番号としてD1が記憶されている。縫製済情報として0が記憶されている。位置情報として上中エリア46Bを示す情報等が記憶されている。組み合わせ情報として、刺繍データD2〜D5の識別番号が記憶されている。D2〜D5は、模様41と組み合わせて使用することが可能な模様42〜45の識別番号である。
【0032】
図5に示す組み合わせ情報テーブル22には、例えば図2に示す模様42の各種情報が記憶されている。識別番号としてD2が記憶されている。縫製済情報として0が記憶されている。位置情報として中中エリア46Eを示す情報が記憶されている。組み合わせ情報として、刺繍データD1、D3〜D5の識別番号が記憶されている。D1、D3〜D5は、模様42と組み合わせて使用することが可能な模様41、43〜45の識別番号である。
【0033】
図6に示す組み合わせ情報テーブル23には、例えば図2に示す模様43の各種情報が記憶されている。識別番号としてD3が記憶されている。縫製済情報として0が記憶されている。位置情報として中左エリア46Dを示す情報が記憶されている。組み合わせ情報として、刺繍データD1、D2、D4、D5の識別番号が記憶されている。D1、D2、D4、D5は、模様43と組み合わせて使用することが可能な模様41、42、44、45の識別番号である。
【0034】
図7に示す組み合わせ情報テーブル24には、例えば図2に示す模様44の各種情報が記憶されている。識別番号としてD4が記憶されている。縫製済情報として0が記憶されている。位置情報として下中エリア46Hを示す情報が記憶されている。組み合わせ情報として、刺繍データD1〜D3、D5の識別番号が記憶されている。D1〜D3、D5は、模様44と組み合わせて使用することが可能な模様41〜43、45の識別番号である。
【0035】
図8に示す組み合わせ情報テーブル25には、例えば図2に示す模様45の各種情報が記憶されている。識別番号としてD5が記憶されている。縫製済情報として0が記憶されている。位置情報として中右エリア46Fを示す情報が記憶されている。組み合わせ情報として、刺繍データD1〜D4の識別番号が記憶されている。D1〜D4は、模様45と組み合わせて使用することが可能な模様41〜44の識別番号である。
【0036】
次に、図10を参照し、ミシン1のCPU61によって実行される組み合わせ縫製処理について説明する。本処理は、ユーザのパネル操作により「組み合わせ縫製機能」が選択された場合に、CPU61がROM62のプログラム記憶領域62Aに記憶された「組み合わせ縫製処理プログラム」を呼び出して実行する処理である。
【0037】
先ず、CPU61は、LCD15にレイアウト選択画面51(図11参照)を表示する(S1)。レイアウト選択画面51の画像データはROM62の画像データ記憶領域62Dから取得される。例えば、図11に示すように、レイアウト選択画面51は、例えば、レイアウト画像146〜148と、確定ボタン5とを表示する。レイアウト画像146は、例えば模様41〜45をレイアウトしてできる合成刺繍46を含むイメージ画像である。レイアウト画像147は、例えば図示しない複数の模様をレイアウトしてできる合成刺繍47を含むイメージ画像である。レイアウト画像148は、例えば図示しない複数の模様をレイアウトしてできる合成刺繍48を含むイメージ画像である。確定ボタン5は、ユーザのパネル操作による選択を確定する為のボタンである。ユーザは、例えばLCD15に表示されたレイアウト画像146〜148の中から一のレイアウト画像を指でタッチして選択し、確定ボタン5をタッチすることでレイアウト画像の選択を確定させる。
【0038】
次いで、CPU61は、レイアウト画像の選択が確定したか否か判断する(S2)。CPU61は、レイアウト画像の選択が確定するまでは(S2:NO)、S2に戻って待機状態となる。例えば、ユーザによりレイアウト画像146の選択が確定したと判断した場合(S2:YES)、モード選択画面52(図12参照)をLCD15に表示する(S3)。
【0039】
モード選択画面52は、例えば、レイアウト画像146、模様画像141〜145、組み合わせボタン6、単体ボタン7、確定ボタン8、及び終了ボタン9を表示する。模様画像141は模様41を含む画像である。模様画像142は模様42を含む画像である。模様画像143は模様43を含む画像である。模様画像144は模様44を含む画像である。模様画像145は模様45を含む画像である。模様画像141の左上角部には例えばD1が表示される。模様画像142の左上角部には、例えばD2が表示される。模様画像143の左上角部には、例えばD3が表示される。模様画像144の左上角部には、例えばD4が表示される。模様画像145の左上角部には、例えばD5が表示される。なお、モード選択画面52の模様画像141〜145の各画像データは、ROM62の画像データ記憶領域62Dから取得される。
【0040】
組み合わせボタン6は、例えば組み合わせモードを設定する為のボタンである。組み合わせモードは、例えば模様画像141〜145を組み合わせて縫製し、合成刺繍46を縫製する為の動作モードである。単体ボタン7は、例えば単体モードを設定する為のボタンである。単体モードは、例えば模様画像141〜145の何れかを単体で縫製する為の動作モードである。確定ボタン8は選択を確定する為のボタンである。終了ボタン9は処理を終了する為のボタンである。
【0041】
ユーザは、図12に示すモード選択画面52を見ながら、組み合わせモードで縫製するか、単体モードで縫製するかを決定する。前者の場合、ユーザは組み合わせボタン6をタッチして選択し、確定ボタン8をタッチして選択を確定させる。後者の場合、ユーザは単体ボタン7をタッチして選択し、確定ボタン8をタッチして選択を確定させる。
【0042】
次いで、CPU61は、組み合わせモードが選択されたか否か判断する(S4)。例えば組み合わせモードが選択された場合(S4:YES)、RAM63の縫製中番号記憶領域63Aに記憶される縫製中番号をD1に設定する(S5)。なお、本実施形態では、縫製中番号を自動的にD1に設定しているが、それ以外の番号でもよく、更にはユーザに選択させるようにしてもよい。
【0043】
そして、CPU61は、模様41の刺繍データD1をROM62の刺繍データ記憶領域62Bから読み込む(S6)。さらに、CPU61は、ROM62に記憶された組み合わせ情報テーブル21(図4参照)を参照し、模様41の位置情報を読み込む(S7)。組み合わせ情報テーブル21の位置情報は、上述の通り、上中エリア46Bを示す情報である。そこで、CPU61は、RAM63のバッファ63Bにおいて、読み込んだ刺繍データD1を上中エリア46Bに対応する位置に配置する。なお、CPU61は、例えば刺繍データD1の中心位置を、上中エリア46Bの中心座標に合わせて刺繍データD1を配置する。
【0044】
そして、CPU61は、RAM63のバッファ63Bに記憶された刺繍データD1に基づき、刺繍枠34に保持された加工布100において、上中エリア46Bに対応する位置に模様41を縫製する(S8)。それ故、加工布上に縫製される模様41の中心は、上中エリア46Bの中心と一致する。CPU61は、模様41の縫製が終了した場合、組み合わせ情報テーブル21(図4参照)の縫製済情報を0から1に設定する(S9)。
【0045】
次いで、CPU61は、模様41と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有るか否か判断する(S10)。ここでは、CPU61は、組み合わせ情報テーブル21に記憶された組み合わせ情報を参照する。組み合わせ情報はD2〜D5である。そこで、CPU61は、刺繍データD2に対応する組み合わせ情報テーブル22(図5参照)、刺繍データD3に対応する組み合わせ情報テーブル23(図6参照)、刺繍データD4に対応する組み合わせ情報テーブル24(図7参照)、刺繍データD5に対応する組み合わせ情報テーブル25(図8参照)の各縫製済情報を参照する。CPU61は、縫製済情報が0である刺繍データの有無を判断することにより、模様41と組み合わせて使用可能な未縫製の模様を抽出できる。例えば、図5〜図8に示す各テーブル22〜25を参照すると、何れの縫製済情報も0である。それ故、CPU61は、模様41と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有ると判断し(S10:YES)、図13に示す組み合わせ画面53を表示する(S11)。
【0046】
組み合わせ画面53は、モード選択画面52とレイアウトが同じである。CPU61は、組み合わせ情報テーブル21の縫製済情報が1であるので、模様画像141をグレー表示し、かつ選択不能とする。故にユーザは模様画像141を選択できないことがわかる。また、組み合わせモードが実行されているので、組み合わせボタン6と単体ボタン7も模様画像141と同様にグレー表示し、かつ選択不能とする。CPU61は、ユーザに模様画像142〜145の中から次に縫製する模様の画像を選択させる。CPU61は、ユーザによって例えば模様画像142が選択された場合、例えばその模様画像142の外郭を太線にして強調表示する。なお、強調表示の方法はこれに限らず、例えば選択された模様画像の全体を明るく表示してもよく、マーク等を表示させてもよい。ユーザは、LCD15に表示された模様画像142〜145の中から一の模様画像を選択し、確定ボタン5で模様画像の選択を確定させる。
【0047】
CPU61は、終了ボタン9が選択されたか否か判断する(S12)。終了ボタン9が選択されたと判断した場合(S12:YES)、組み合わせ縫製処理を終了する。終了ボタン9が選択されていないと判断した場合(S12:NO)、ユーザによって模様画像142〜145の中から一の模様画像が選択され、確定ボタン8で確定されたか否か判断する(S13)。確定ボタン8で確定されていないと判断した場合(S13:NO)、S12に戻って処理を繰り返す。例えば、ユーザによって模様画像142が選択され、確定ボタン8により確定されたと判断した場合(S13:YES)、RAM63の縫製中番号記憶領域63Aに記憶された縫製中番号をD1からD2に設定変更する(S14)。そして、CPU61はS6に戻り、模様42の刺繍データD2について、上記処理を同様に繰り返す。
【0048】
そして、模様42の縫製が終了したら、CPU61は、組み合わせ情報テーブル22の縫製済情報を0から1に設定する(S9)。CPU61は、模様42と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有るか否か判断する(S10)。ここでは、CPU61は、組み合わせ情報テーブル22に記憶された組み合わせ情報を参照する。組み合わせ情報はD1、D3〜D5である。CPU61は、刺繍データD1、D3〜D5に対応する組み合わせ情報テーブル21、23〜25を参照して縫製済情報が0である刺繍データの有無を判断する。この場合、D3〜D5の縫製済情報が0であるので、CPU61は模様42と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有ると判断し(S10:YES)、図13に示す組み合わせ画面53を表示する(S11)。ユーザにより模様43に対応する模様画像143が選択されたら(S13)、縫製中番号をD3に設定する(S14)。
【0049】
上記と同様に、S6〜S8の処理を実行し、模様43の縫製が終了したら、CPU61は、組み合わせ情報テーブル23の縫製済情報を0から1に設定する(S9)。CPU61は、模様43と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有るか否か判断する(S10)。ここでは、CPU61は、組み合わせ情報テーブル23に記憶された組み合わせ情報を参照する。組み合わせ情報はD1、D2、D4、D5である。CPU61は、刺繍データD1、D2、D4、D5に対応する組み合わせ情報テーブル21、22、24、25を参照して縫製済情報が0である刺繍データの有無を判断する。この場合、D4、D5の縫製済情報が0であるので、CPU61は模様43と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有ると判断し(S10:YES)、図13に示す組み合わせ画面53を表示する(S11)。ユーザにより模様44に対応する模様画像144が選択されたら(S13)、縫製中番号をD4に設定する(S14)。
【0050】
上記と同様に、S6〜S8の処理を実行し、模様44の縫製が終了したら、CPU61は、組み合わせ情報テーブル24の縫製済情報を0から1に設定する(S9)。CPU61は、模様44と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有るか否か判断する(S10)。ここでは、CPU61は、組み合わせ情報テーブル24に記憶された組み合わせ情報を参照する。組み合わせ情報はD1〜D3、D5である。CPU61は、刺繍データD1〜D3、D5に対応する組み合わせ情報テーブル21〜23、25を参照して縫製済情報が0である刺繍データの有無を判断する。この場合、D5の縫製済情報が0であるので、CPU61は模様44と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有ると判断し(S10:YES)、図13に示す組み合わせ画面53を表示する(S11)。ユーザにより模様45に対応する模様画像145が選択されたら(S13)、縫製中番号をD5に設定する(S14)。
【0051】
上記と同様に、S6〜S8の処理を実行し、模様45の縫製が終了したら、CPU61は、組み合わせ情報テーブル25の縫製済情報を0から1に設定する(S9)。CPU61は、模様45と組み合わせて使用可能な未縫製の模様が有るか否か判断する(S10)。ここでは、CPU61は、組み合わせ情報テーブル25に記憶された組み合わせ情報を参照する。組み合わせ情報はD1〜D4である。CPU61は、刺繍データD1〜D4に対応する組み合わせ情報テーブル21〜24を参照して縫製済情報が0である刺繍データの有無を判断する。この場合、D1〜D4の全ての縫製済情報が1であるので、CPU61は模様44と組み合わせて使用可能な未縫製の模様がないと判断し(S10:NO)、組み合わせ縫製処理を終了する。レイアウト選択画面51において選択された模様41〜45をレイアウトしてできる合成刺繍46が加工布100に縫製される。このように、ユーザは、模様41〜45を縫製する毎に面倒な設定や操作を行うことなく速やかに合成刺繍46を縫製することができる。
【0052】
ところで、CPU61は、モード選択画面52をLCD15に表示中に、組み合わせモードが選択されていないと判断した場合(S4:NO)単体モードが選択されたか否か判断する。例えば単体モードが選択されない場合(S15:NO)、CPU61は、S4の処理に戻り、ユーザが組み合わせボタン6、又は単体ボタン7の何れかをタッチして選択したか監視する(S4、S15)。単体モードが選択された場合(S15:YES)、CPU61は、図14に示す単体画面54をLCD15に表示する。単体画面54は、組み合わせ画面53の確定ボタン8の位置に戻るボタン10が配置されている点が異なっている。他は、組み合わせ画面53とレイアウトが同じである。
【0053】
単体モードは、例えば、単体画面54に表示されている模様画像141〜145から一の模様画像を選択し、選択された模様画像に対応する模様の縫製を行う。ユーザは、縫製を行う前に、刺繍枠34を移動させて、縫製位置を調整する。縫製位置の調整が完了したら、LCD15に表示される模様画像141〜145から一の模様画像を選択し、縫製を行う。縫製が完了したら、模様画像141〜145から一の模様画像を選択し、縫製を続けることができる。また、縫製を終了することもできる。組み合わせモードと異なり、例えば、ユーザの所望の位置に模様画像141〜145に対応した模様41〜45を縫製することができる。また、同じ模様を連続して縫製することもできる。
【0054】
CPU61は、縫製する模様が選択されたか否か判断する(S16)。例えば、ユーザが模様画像141をタッチして選択した場合(S16:YES)、CPU61は、RAM63のバッファ63Bに記憶した刺繍データD1に基づき、刺繍枠34に保持された加工布100に縫製する(S17)。縫製位置は、予めユーザにより調整される。例えば、ユーザは、刺繍枠移送装置33を操作し刺繍枠34を所望の位置に移動させ、刺繍枠34に保持された加工布100における縫製位置を調整することができる。一方、縫製する模様が選択されない場合(S16:NO)、ユーザにより模様画像141〜145の何れかが選択されるまでCPU61は待機状態となる。
【0055】
CPU61は、戻るボタン10が選択されたか否か判断する(S18)。ユーザが戻るボタン10をタッチして選択した場合(S18:YES)、S16の処理に戻り、CPU61は、模様が選択されるまで待機状態となる。例えば、模様41に続いて模様43を縫製する場合、ユーザは模様画像143をタッチして選択し、模様画像143に対応する模様43を刺繍枠34に保持された加工布100に縫製することができる。
【0056】
CPU61は、戻るボタン10が選択されていないと判断した場合(S18:NO)、終了ボタン9が選択されたか否か判断する(S19)。終了ボタン9が選択されていないと判断した場合(S19:NO)、S18の処理に戻る。CPU61は、ユーザが戻るボタン10、又は終了ボタン9の何れかをタッチして選択し、確定ボタン8をタッチして選択を確定するのを監視する(S18、S19)。一方、終了ボタン9が選択されたと判断した場合(S19:YES)、CPU61は、単体モードにおける縫製を完了し、組み合わせ縫製処理を終了する。
【0057】
なお、以上の説明において、図1のミシン1が、本発明の「ミシン」の一例である。図3の刺繍データ記憶領域62Bが、本発明の「刺繍データ記憶手段」の一例である。図10のS2、S4、S13を実行するCPU61が、本発明の「選択手段」の一例である。図10のS8を実行するCPU61が、本発明の「第一縫製手段」及び「第二縫製手段」の一例である。図10のS10を実行するCPU61が、本発明の「抽出手段」である。図3の組み合わせ情報テーブル記憶領域62Cが、本発明の「組み合わせ情報記憶手段」の一例である。図1のLCD15が、本発明の「表示部」の一例である。図10のS11を実行するCPU61が、本発明の「表示制御手段」の一例である。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のミシン1では、模様41〜45を組み合わせて縫製し、合成刺繍46を作成することができる。ミシン1は模様41を縫製する。模様41の縫製が完了したら、ミシン1のCPU61は組み合わせ情報テーブル21を参照し、模様41と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データを抽出する。この場合、CPU61は模様42〜45に対応する刺繍データを抽出する。次に、ミシン1は模様42を縫製する。模様42の縫製が完了したら、CPU61は組み合わせテーブル22を参照し、模様42と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データを抽出する。この場合、CPU61は模様43〜45に対応する刺繍データを抽出する。次に、ミシン1は模様43を縫製する。模様43の縫製が完了したら、CPU61は組み合わせテーブル23を参照し、模様43と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データを抽出する。この場合、CPU61は模様44、45に対応する刺繍データを抽出する。次に、ミシン1は模様44を縫製する。模様44の縫製が完了したら、CPU61は組み合わせ情報テーブル24を参照し、模様44と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データを抽出する。この場合、CPU61は模様45に対応する刺繍データを抽出する。次に、ミシン1は模様45を縫製する。模様45の縫製が完了したら、CPU61は組み合わせテーブル25を参照し、模様45と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データを抽出する。この場合、模様41〜44が縫製済みであるので、模様45と組み合わせて使用可能な未縫製の模様に対応する刺繍データは抽出されない。これにより模様41〜45の縫製が完了し、合成刺繍46が加工布100に形成される。
【0059】
また、本実施形態では、例えば、模様42を縫製する際に、模様42を縫製する位置の調整や、模様42に対応する刺繍データD2の編集等の操作や設定を行うことなく、ユーザは合成刺繍46を速やかに縫製することができる。また、単体でも装飾性を持ち刺繍模様として価値のある模様41〜45を組み合わせて縫製することにより、ユーザは装飾性のより高い合成刺繍46を縫製することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。ミシン1は、組み合わせモードにおいて合成刺繍46を作成する。合成刺繍46は、図2に示す模様41〜45を組み合わせたものであるが、例えば、文字の形状を呈する模様であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、合成刺繍46を9つの縫製エリアに分割しているが、例えば、縦横それぞれ3つに分割した9つの縫製エリアではなく横一列に並ぶ複数の縫製エリアに分割してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、合成刺繍46を9つの縫製エリアに分割しているが、例えば、縦横それぞれ3つに分割した9つの縫製エリアではなく縦一列に並ぶ複数の縫製エリアに分割してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、合成刺繍46を9つの縫製エリアに分割しているが、例えば、分割数はこれに限らない。
【符号の説明】
【0064】
1 ミシン
15 LCD
61 CPU
62B 刺繍データ記憶領域
62C 組み合わせ情報テーブル記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段と、
前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記刺繍データに基づき、前記刺繍模様を被縫製物に縫製する第一縫製手段と、
前記選択手段により選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記他の刺繍データに基づき、前記他の刺繍模様を前記被縫製物に縫製する第二縫製手段と
を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記刺繍データ記憶手段に記憶された各刺繍データにそれぞれ対応する刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様を特定する為の組み合わせ情報を記憶する組み合わせ情報記憶手段を備え、
前記抽出手段は、前記組み合わせ情報によって特定される前記他の刺繍模様に対応する前記他の刺繍データを抽出することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記組み合わせ情報は、前記被縫製物における前記他の刺繍模様の縫製位置を特定する位置情報を含み、
前記第二縫製手段は、前記位置情報によって特定される前記縫製位置に、前記他の刺繍模様を縫製することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
【請求項4】
表示部と、
前記選択手段によって選択された前記刺繍データに対応する前記刺繍模様と、前記抽出手段によって抽出された前記他の刺繍データに対応する他の刺繍模様とを前記表示部に表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のミシン。
【請求項5】
ミシンのコンピュータに、
互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍データに基づき、前記刺繍模様を被縫製物に縫製する第一縫製ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された前記他の刺繍データに基づき、前記他の刺繍模様を前記被縫製物に縫製する第二縫製ステップと
を実行させる為のミシン制御プログラム。
【請求項6】
互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段と、
前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出手段と
を備えることを特徴とする刺繍データ処理装置。
【請求項7】
刺繍データ処理装置に内蔵されたコンピュータに、
互いに独立した複数の刺繍模様にそれぞれ対応する複数の刺繍データを記憶する刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から一の刺繍データを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記刺繍模様と組み合わせて使用可能な他の刺繍模様に対応する他の刺繍データを、前記刺繍データ記憶手段に記憶された前記複数の刺繍データの中から抽出する抽出ステップと
を実行させる為の刺繍データ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−111275(P2013−111275A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260580(P2011−260580)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】