説明

ミシン

【課題】縫い代を安定して検出する。
【解決手段】被縫製物を交差方向送る主送り機構20と横送り機構と、被縫製物の縫い代を検出する端部検出装置40,60と、縫い代が目標値となるように横送り機構を制御するミシン100において、端部検出装置は、光源と、複数の受光部が被縫製物幅方向に沿って複数並んで設けられ、被縫製物の側端部により遮蔽された照射光から当該被縫製物の側端部の被縫製物幅方向の位置検出を行う検出素子45,65とを有し、端部検出装置を被縫製物幅方向に沿って移動させるアクチュエータ47,67と、縫い代の目標値の変化に応じて、アクチュエータの移動制御を行う制御部13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被縫製物の側端部の位置検出を行い被縫製物の縫い代を目標値に制御するミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図16に示すように、上布と下布のそれぞれの縫い代が一致するように縫い合わせる縫製を行うために、従来のミシン100は、縫い目の形成方向に沿って上布と下布とを送る送り歯(図示略)と、縫い針101の上流側において上布と下布のそれぞれを布送り方向に直交する方向に個別に送る上下の横送り機構130(図19参照)と、各横送り機構130と送り歯との間で、上布と下布のそれぞれを縫い代側の側端部位置を検出する布端検出装置110、120とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
図17は上記ミシン100の上布CUに対する布端検出装置110の拡大正面図である。図示のように、この布端検出装置110は、送り歯による搬送方向に直交する方向(紙面左右方向)に沿ったスリット状の照射光を照射する光源111と、その照射光を受光するラインセンサ112とを備え、これら光源111とラインセンサ112の間を上布CUが通過し、当該上布CUに照射光が遮蔽されることにより光強度が低くなる位置をラインセンサ112の出力から特定し、これに基づいて上布CUの側端部の位置検出を行っている。なお、下布の布端検出装置120もこれと同様の構成となっている。
そして、上記各布端検出装置110,120で検出された上布と下布のそれぞれの側端部の位置に基づいて上布と下布を横送り機構で適正な位置に調整することで、縫い代が目標値となるように縫製を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−248390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記布端検出装置110では、図18(A)に示すように、上布CUの側端部がラインセンサ112の検出範囲における丁度中間に位置することが望ましい。この状態であれば、上布CUの側端部はラインセンサ112の検出範囲が長さ2d0である場合にその両端部のいずれからも距離d0だけ離れており、偏りがないことから、上布CUが左右いずれにズレた場合でも上布CUの側端部が検出領域外に移動することを防止しやすいからである。
しかしながら、布端検出装置110はミシンフレームに固定装備されているため、上布CUの縫い代の設定値が小さい場合或いは大きな場合には、図18(B)や図18(C)に示すように、上布CUが左右いずれかに偏った状態で縫製が行われる。
その結果、現在の上布CUの側端部からラインセンサ112の検出領域の端部までの距離が小さい左右いずれかの方向については、当該距離d1(<d0)の範囲でしか側端部の位置変化に対応することができなくなり、上布CUの側端部がd1より大きく変動すると、側端部位置が見失われ、縫製が継続できなくなってエラー停止等の事態が生じるとい問題があった。
【0005】
さらに、布端検出装置110では、上下布が直線状である場合には、上述のように、ラインセンサ112の検出範囲における中間を目標位置とすることが望ましいが、図19に示すように、側端部の形状が直線区間Sだけでなく一方に曲がった湾曲区間Kを有する形状の場合には、検出範囲の中間よりもオフセットされた位置を目標位置とすることが望ましい。
図19は縫製時における上下布(上布CUのみ図示)に対するミシン100の縫い針101の針落ち位置と横送り機構130と布端検出装置110との位置関係を平面視で示した説明図である。図中の符号Fは上下布の搬送による進行方向を示している。
また、図19に示すように、横送り方向の一方を正方向、もう一方の方向を逆方向とする場合において、図20(A)では上下布の側端部の直線区間Sの布端検出装置110による検出出力を示し、図20(B)では上下布の湾曲区間Kの布端検出装置110による検出出力を示す。
【0006】
上下布の直線区間Sでは、正逆いずれの方向にもズレを生じるがいずれか一方に偏って生じてはおらず、双方向に平均的にずれを生じるが、湾曲区間Kでは、布の側端部の湾曲する方向に向かって大きくズレを生じる傾向にあることが分かる。
このように、上下布の側端部の形状に応じて正逆いずれかの方向にずれが大きく生じることが縫製前から分かっている場合には、ズレが生じやすい方向について検出範囲を広く確保することがのぞましいが、従来のミシン100ではそのような要求に対応することができなかった。
【0007】
本発明は、被縫製物の縫い代を検出する端部検出装置の検出範囲内での被縫製物の側端部の逸脱を低減することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、被縫製物を水平面に沿って所定の送り方向に送る主送り機構と、前記被縫製物を前記水平面に平行且つ前記送り方向に直交する被縫製物幅方向に沿って移動させる横送り機構と、前記被縫製物の前記被縫製物幅方向における側端部から針落ち位置までの長さである縫い代を検出するための端部検出装置と、前記端部検出装置の検出に基づいて前記被縫製物の縫い代が目標値となるように前記横送り機構を制御するミシンにおいて、前記端部検出装置は、搬送される前記被縫製物の側端部を照射するための光源と、複数の受光部が前記被縫製物幅方向に沿って複数並んで設けられ、前記被縫製物の側端部により遮蔽された照射光の一部分の光量の違いから当該被縫製物の側端部の前記被縫製物幅方向の位置検出を行う検出素子とを有し、前記端部検出装置を前記被縫製物幅方向に沿って移動させるアクチュエータと、前記縫い代の目標値の変化に応じて、前記アクチュエータの移動制御を行う制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記制御部は、前記縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲内の予め定められた規定位置となるように前記アクチュエータの移動制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記検出範囲内の予め定められた規定位置は、検出範囲の中心位置であることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記検出範囲内の予め定められた規定位置は、設定手段により定められた検出範囲の任意の位置であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記制御部は、縫製の途中で前記縫い代の目標値が変化する場合であって、新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の規定位置までの距離が予め定めた一定量に満たない場合には、前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置を新たな目標位置として確定し、前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の規定位置までの距離が前記一定量以上となる場合には、前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲の規定位置となるように前記アクチュエータの移動制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明は、端部検出装置を前記被縫製物幅方向に沿って移動させるアクチュエータを備え、縫い代の目標値の変化に応じて、アクチュエータにより端部検出装置を移動させる移動制御を行うので、例えば、縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲の所定の位置から離れた場合に、縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置を検出範囲の所定の位置に戻すように端部検出装置を移動させることができ、これにより、被縫製物の側端部が端部検出装置の検出範囲から逸脱したり、或いは、被縫製物の側端部に対して被縫製物幅方向の片側のみが位置検出範囲が足りなくなる事態を回避することができ、広範囲での被縫製物の位置変動に対応可能となり、被縫製物の側端部の位置検出が不能となって停止状態となることを防止し、安定した縫製動作を行うことが可能となる。
【0013】
請求項2記載の発明は、制御部が、縫い代の目標値の変化に応じて、縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲の規定位置から離れた場合に、アクチュエータにより、縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置を検出範囲の規定位置に戻す制御が行われる。この場合の規定位置は、請求項3又は4記載の発明のように、検出範囲の中心位置或いは設定手段により定められた検出範囲の任意の位置とする。
前者の場合は、例えば、被縫製物の側端部が直線状であるような場合に好適である。また、後者の場合には、例えば、被縫製物の側端部が何れかの方向に曲がっている場合であって、これを考慮して予め曲がり方向に応じて被縫製物の側端部の位置ズレが生じやすい方向に検出範囲を広く確保できるように中心位置よりも片側にオフセットした規定位置を定めた場合に好適である。
これらにより、被縫製物の側端部の検出範囲からの逸脱や、被縫製物の側端部に対して被縫製物幅方向の片側のみが位置検出範囲が足りなくなる事態をより効果的に回避することができ、広範囲での被縫製物の位置変動により好適に対応することが可能となる。
【0014】
請求項5記載の発明は、その制御部が、新たな縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の中心位置までの距離が一定量以上となる場合には、新たな縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲の中心位置となるようにアクチュエータの移動制御を行うので、この場合には、検出範囲の中心位置で被縫製物の側端部の検出を行うことができ、検出範囲からの被縫製物の逸脱による検出不能となる事態を抑制し、安定した検出が可能となる。
さらに、制御部は、新たな縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の中心位置までの距離が予め定めた一定量に満たない場合には、新たな縫い代の目標値に対応する端部検出装置の検出範囲内の目標位置を新たな目標位置として確定するので、例えば、縫い代の目標値の変化量がアクチュエータの分解能よりも小さい場合であっても、分解能の制約を受けることなく、端部検出装置の検出範囲内に新たな目標位置を設定することができ、端部検出装置の移動制御を行うことができない場合であっても被縫製物の側端部を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一の実施形態である上下送りミシンの主要部を示す斜視図である。
【図2】上下送りミシンの主要部の正面方向から見た構成を簡略的に示した説明図である。
【図3】上側横送り機構の断面図である。
【図4】上布検出装置及び下布検出装置の斜視図である。
【図5】上布検出装置と下布検出装置とをY軸(正)方向の視線から見た正面図である。
【図6】上下送りミシンの制御系を示すブロック図である。
【図7】図7(A)は針落ち位置と縫い代の設定値とセンサの検出範囲内の目標位置との関係を示す説明図、図7(B)は縫い代が新たな設定値となった場合であってセンサ位置が維持されたまま新たな目標位置が設定される場合を示す説明図である。
【図8】図8(A)は針落ち位置と縫い代の設定値とセンサの検出範囲内の目標位置との関係を示す説明図、図8(B)は縫い代が新たな設定値となった場合であってセンサ位置を移動させる新たな目標位置を検出範囲の中心位置に位置決めされた場合を示す説明図である。
【図9】上布及び下布に対して行われる縫製例を示す図である。
【図10】図9の縫製を行うための縫製条件の一覧を示した図表である。
【図11】図9の縫製において第一及び第二の縫い代調節制御を行うための縫製データの設定内容を示した図表である。
【図12】主軸角度と針棒の位置(高さ)との関係を示す線図である。
【図13】図9の縫製を行う際の各針数における状態変化を示す線図であり、図13(A)は上側及び下側検出範囲調節機構による各検出装置のX軸方向の移動量を示し、図13(B)は縫い代の設定値に対応するイメージセンサ検出範囲内の目標位置の変化量を示し、図13(C)は縫い代の設定値の変化量を示している。
【図14】第一及び第二の縫い代調節制御の処理フローチャートである。
【図15】上布及び下布の検出装置の移動時間を考慮した場合の各針数における状態変化を示す線図であり、図15(A)は上側及び下側検出範囲調節機構による各検出装置のX軸方向の移動量を示し、図15(B)は縫い代の設定値に対応するイメージセンサ検出範囲内の目標位置の変化量を示し、図15(C)は縫い代の設定値の変化量を示している。
【図16】従来のミシンの正面図である。
【図17】従来のミシンの上布に対する布端検出装置の拡大正面図である。
【図18】図18(A)は布端検出装置において基準位置が中心位置となる状態で検出を行っている状態を示し、図18(B)及び図18(C)は布端検出装置において基準位置が偏った状態で検出を行っている状態を示す。
【図19】縫製時における上下布に対するミシンの縫い針の針落ち位置と横送り機構と布端検出装置との位置関係を平面視で示した説明図である。
【図20】図20(A)では上下布の側端部の直線区間の布端検出装置による検出出力を示し、図20(B)では上下布の湾曲区間の布端検出装置による検出出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[発明の実施形態]
本発明の実施形態について説明する。図1は本実施形態であるミシンとしての上下送りミシン100の主要部を示す斜視図、図2は主要部の正面方向から見た構成を簡略的に示した説明図である。
なお、以下の説明では、水平な一方向をY軸方向、水平であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向というものとする。
また、後述する上布CU(上側被縫製物)及び下布CD(下側被縫製物)の主送り機構20による送り方向はY軸方向に平行であり、送りの進行方向をY軸(正)方向とし、その逆方向をY軸(逆)方向というものとする。
また、後述する横送り機構30,40は、上布CU及び下布CDをX軸方向の双方向に移動可能であり、図1における紙面右側をX軸方向(正)、紙面左側をX軸(逆)方向というものとする。なお、このX軸方向は「被縫製物幅方向」に相当する。
【0017】
この上下送りミシン100は、針板14の上に重ねて載置された上布CUと下布CDとをそれぞれY軸(正)方向に送りながら、上布CUのX軸方向(正)側の側端部と下布CDのX軸方向(正)側の側端部とがいずれもズレを生じないように一致し且つ縫い代が縫製データに定められた目標値となるように縫い合わせる縫製制御を行うものである。
図1及び図2に示すように、上下送りミシン100は、縫い針を保持する針棒を上下動させる図示しない針棒上下動機構と、縫製時に上布CUと下布CDとをY軸(正)方向に送る主送り機構20と、針落ち位置に対してY軸(逆)方向側に位置し、上布CUをX軸方向の正逆に移動させる上側横送り機構30と、針落ち位置に対してY軸(逆)方向側に位置し、下布CDをX軸方向の正逆に移動させる下側横送り機構50と、これら横送り動作の際に上布CUと下布CDとが互いに干渉しないようにこれらを仕切る仕切り板11と、針落ち位置と上側横送り機構30との間に設けられた布端検出装置としての上布検出装置40と、針落ち位置と下側横送り機構50との間に設けられた布端検出装置としての下布検出装置60と、上布検出装置40をX軸方向に沿って移動可能な上側検出範囲調節機構46と、下布検出装置60をX軸方向に沿って移動可能な下側検出範囲調節機構66と、針板14の下側で縫い針から上糸を捕捉して下糸に絡める図示しない釜機構と、上布検出装置40及び下布検出装置60の周辺の構成の制御を行う制御装置13と、ミシン100の全体を制御するミシンコントローラ19とを備えている。
なお、針棒上下動機構と釜機構は、従来周知のものと同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0018】
[主送り機構]
図2に示すように、主送り機構20は、針板14の上で連続的に上下動して上布CUと下布CDとを押さえる布押さえ23と、針板14の下側に設けられY軸方向に沿った長円運動を行って針板14の開口部から出没する送り歯21と、針板14の上側に設けられY軸方向に沿った長円運動を行う送り足22と、布押さえ23、送り歯21及び送り足22に上下動又は長円運動を付与する不図示の動作伝達機構とを備えている。
送り歯21は長円運動における上側区間がY軸(正)方向となるように周回運動を行い、送り足22は長円運動における下側区間がY軸(正)方向となるように周回運動を行う。そして、これにより、送り歯21と送り足22とで針板14上の上布CUと下布CDとを挟み込んで一定の送りピッチで間欠的に送り動作を行うようになっている。
【0019】
また、布押さえ23は、送り歯21及び送り足22の周回動作に同期して上下動を行い、送り歯21が下方に、送り足22が上方に退避するタイミングで下降して上布CU及び下布CDを押さえ、送り歯21と送り足22とが噛み合って布送りを行うタイミングで上昇する。
上記送り歯21、送り足22及び布押さえ23は、いずれも針棒上下動機構及び釜機構の駆動源となるミシンモータ15(図6参照)から動力を得ている。
即ち、送り歯21は、ミシンモータ15の回転動作を上下の往復動作に変換する伝達機構と前後の往復動作に変換する伝達機構とにより上下と前後の往復動作を同期的に付与することで長円運動を行わせることを可能としている。
送り足22も同様であり、ミシンモータ15の回転動作を前後動に変換して送り足22を支持するロッドに付与することで送り足22を前後に往動させると共に、ミシンモータ15の回転動作を上下動に変換して送り足22を支持するロッドに付与することで上下動させる。これにより、送り足22に長円運動を行わせることを可能としている。
また、布押さえ23を支持するロッドに対してはミシンモータの回転動作を上下動に変換して伝達し、当該上下動を実現する。
【0020】
また、ミシンモータ15は、図示しない主軸を通じて針上下動機構と主送り機構20とに動力を付与しており、主軸の一回転で針上下動機構は一針分の運針を行い、主送り機構20は、1ピッチ分の送り動作を行う。
このとき、針棒が上死点の時の主軸角度を0°とすると、主軸角度270〜90°の範囲では縫い針は上布CU及び下布CDに刺さっていない状態にある。そして、上述した送り歯21及び送り足22による布送り動作は、主軸角度270〜90°の角度範囲で送り動作を行う。
【0021】
[仕切り板]
仕切り板11は、X軸方向に沿った長尺の平板であり、X軸(正)方向側の端部でミシンフレームにより片持ち状態で支持されている。
仕切り板11の下側は、ミシンベッド部の上面から幾分上方に離間して隙間が形成されており、当該隙間を通って下布CDが搬送される。また、仕切り板11の上側では上布CUが搬送され、これにより、上布CUと下布CDとを分離して個別に横送りを行うことが可能となっている。
【0022】
[上側横送り機構及び下側横送り機構]
図3は上側横送り機構30の断面図である。
上側横送り機構30は、主送り機構20に搬送される上布CUに対して主送り機構20と共にY軸(正)方向に上布CUを搬送する回転体31と、回転体31の外周に沿って均一間隔で配置されると共に上布CUの上面に接して上布CUをX軸方向(横送り方向)に移動させる複数のピニオン32と、回転体31に対して上布CUをY軸(正)方向に搬送するためのトルクを付与する搬送駆動機構33と、複数のピニオン32に対して横送りのための回転動力を付与する横送り駆動機構34と、これら各部を支持する枠体35とを備えている。
【0023】
回転体31は、二つの椀を互いに向かい合わせに一体化した内部中空の構造物であり、その回転中心と同心となるように後述する搬送駆動機構33の中空軸332の一端部に支持されている。これらはX軸回りに回転可能に枠体35に支持されている。
また、回転体31は、その内部において、X軸方向からみて放射状に45°間隔で八つのピニオン32を回転可能に支持している。これらの各ピニオン32は、回転体31の外周に形成されたX軸方向に沿ったスリット状の開口から、その外周の一部分が露出するように支持されており、回転体31は上布CUに対してこれらのピニオン32を介して当接可能となっている。
【0024】
各ピニオン32は、回転体31により、その同心円の接線方向に沿った回転軸で軸支されており、全てのピニオン32の外周に形成された歯が、回転体31の中心に配置されたX軸回りに回転を行う横送り駆動機構34のウォーム歯車341に噛合している。つまり、回転体31の内部において、回転体31と同心であるウォーム歯車343が、回転体31に対して相対的な回転を行った場合に、各ピニオン32は回転を行うようになっている。
【0025】
回転駆動機構33は、回転体31の回転駆動源である搬送モータ331と、回転体31を一端部で支持する中空支軸332と、搬送モータ331の出力軸に固定装備された主動スプロケット333と、中空支軸332に固定装備された従動スプロケット334と、各スプロケット333,334に掛け渡されたタイミングベルト335とを備えている。
【0026】
中空支軸332は、枠体35によりX軸方向に沿った状態でなお且つ回転可能に支持されている。その一端部において回転体31を固定支持している。また、中空支軸332は、全長に渡って中空となっており、その内部には同心で横送り駆動機構34の伝達軸342が挿通されている。
搬送モータ331は、ステッピングモータであり、その出力軸はX軸方向に沿った状態で枠体35に保持されている。そして、搬送モータ331の出力軸に設けられた主動スプロケット333からタイミングベルト335、従動スプロケット334を介して中空支軸332にトルクが付与されて回転体31がX軸回りに回転を行う。
なお、前述した主送り機構20は、送り歯21及び送り足22で上布CUを送る構造上、周期的な間欠送りを行うことが不可避となるが、搬送モータ331は、その動作タイミングや回転速度を任意に制御可能なステッピングモータであることから、主送り機構20に同期して上布CUの搬送を行うことが可能となっている。
【0027】
横送り駆動機構34は、各ピニオン32の回転駆動源である横送りモータ341と、中空軸332を貫通するX軸方向に沿った伝達軸342と、回転体31の内部であって伝達軸342の一端部に固定装備されたウォーム歯車343とを備えている。
ウォーム歯車343は、回転体31の内側において各ピニオン32の中央に位置しており、全てのピニオン32に噛合している。
横送りモータ341はステッピングモータであり、その出力軸は伝達軸342に直結されている。また、ステッピングモータであるため、その動作タイミングや回転速度は任意に制御することができる。
【0028】
枠体35は、回転体31が搬送される上布CUに当接するようにミシンフレームに固定支持されているが、搬送される上布CUに回転体31を良好に当接させるために、枠体35をミシンフレームに対して昇降可能又は枠体35をY軸回りに揺動可能として、自重により回転体31が搬送される上布CUに当接する構造としても良いし、アクチュエータを用いて回転体31を搬送される上布CUに当接させても良い。
【0029】
上記の構成により、上側横送り機構30は、搬送モータ331の駆動によって回転体31が回転を行い、各ピニオン32を介して回転体31に当接する上布CUをY軸(正)方向に送ることができる。
また、横送りモータ341の駆動によって、ウォーム歯車343が回転し、各ピニオン32が回転することで、上布CUのY軸方向の搬送を妨げることなくX軸方向にも移動させることができる。これにより、上布CUの縫い代の調節を行うことができる。
なお、回転体31が回転中に各ピニオン32を回転駆動させるためには、中空支軸332に対して伝達軸342が相対的に回転を生じている必要がある。このため、上布CUの横送りを実行する際には、各ピニオン32に必要な回転が得られるように、搬送モータ331の回転速度に対して所定の速度差が生じるように横送りモータ341の回転速度を制御する。
【0030】
下側横送り機構50は、上記上側横送り機構30とほぼ同様の構成を備えているので、これら各構成については説明を省略する。
この下側横送り機構50は、ミシンベッド部の内部に装備され、その回転体の上部が針板14の上面よりも幾分高く突出するように設けられており、仕切り板11の下側を搬送される下布CDに下から当接してY軸方向への送りとX軸方向への移動とを行うことを可能としている。
また、この下側横送り機構50が備える搬送モータ531及び横送りモータ541(図6参照)は上側横送り機構30の搬送モータ331及び横送りモータ341と共に制御装置13によって制御が行われる。
【0031】
[上布及び下布検出装置]
図4は上布検出装置40及び下布検出装置60の斜視図である。図示のように、上布検出装置40と下布検出装置60は、両面に光沢のある薄い金属板からなる反射板12を支持する基部18の上部と下部とによりX軸方向に沿って滑動可能に支持されている。
基部18は、X軸方向に沿った長尺の構造体であり、X軸(正)方向の端部でミシンフレームに片持ちで支持され、X軸(逆)方向の端部からは反射板12が延出されている。
また、基部18のX軸(逆)方向の端部上面と下面とからは、上布検出装置40と下布検出装置60とがそれぞれX軸(逆)方向に向かって延出されており、これら各検出装置40,60の延出端部がX軸(逆)方向に向かってコ字状に開口した形状を形成している。そして、上布検出装置40及び下布検出装置60によるコ字状開口部の内側には、反射板12がその表裏の反射面をX−Y平面に沿わせた状態で挟持されている。
つまり、上布検出装置40の延出端部の下面は反射板12の上反射面に対向し、下布検出装置60の延出端部の上面は反射板12の下反射面に対向している。
縫製時には、上記開口部の反射板12の下側に下布CDのX軸方向(正)側の側端部が差し込まれた状態で当該側端部の有無及びそのX軸方向における位置の検出が行われると共に、上記開口部の反射板12の上側に上布CUのX軸方向(正)側の側端部が差し込まれた状態で当該側端部の有無及びそのX軸方向における位置の検出が行われる。
【0032】
下布検出装置60は、内部の構成を支持する筐体61と、下布CDの側端部のX軸方向における位置検出のための光照射を行う光源としての光源ユニット62と、光源ユニット62からの照射光に基づく反射板12における反射光を受光する検出素子としてのCMOSのイメージセンサ65と、下布CDの側端部の有無検出のための光照射を行う光源としての発光LED64と、発光LED64からの照射光に基づく反射板12における反射光を受光する検出素子としての受光LED63とを備えている。
【0033】
光源ユニット62は、X軸方向に沿ったスリット状の平行光を出射する機能を有しており、例えば、LEDのような点光源と,点光源からの拡散光を平行光化するレンズと、平行光をスリット状にする絞りなどから構成されている。この光源ユニット62は平行光を照射することにより、例えば、下布CDの照射面の高さの違いによる位置検出精度の低下を防止することが可能となっている。
イメージセンサ65は、X軸方向幅が10〜20[μm]程度の微細な受光素子がX軸方向に沿って並んで形成されており、反射板12による光源ユニット62のスリット状の照射光の反射位置で反射光の長手方向における各位置での光強度を検出する。
【0034】
上記構成において、光源ユニット62は反射板12にX軸方向に沿ったスリット状の平行光を照射するが、その際、下布CDの側端部は、反射板12の下反射面の一部を遮蔽する。従って、スリット状の平行光の反射光は、下布CDの側端部の位置に応じてその長手方向の一部に光強度の低下を生じることとなる。一方、イメージセンサ65は、X軸方向に沿った受光素子が並んでいるので、その検出出力から、スリット状の平行光の反射光における光強度の低下を生じた位置を特定することができる。そして、光強度の低下を生じた位置を特定することで、下布CDの側端部のX軸方向における位置、即ち、検出時における縫い代を求めることが可能となっている。
【0035】
発光LED64及び受光LED63は、光源ユニット62及びイメージセンサ65よりもX軸(逆)方向側に配置されており、縫製時の開口部からの下布CDの逸脱を検出したり、搬送の終了時に下布CDの終端が反射板12と下布検出装置60との間を通過したことを検知する場合に使用される。
発光LED64は点光源であり拡散光を照射するが、照射位置での下布CDの存在を検知できればいいので平行光でなくともよい。
受光LED63は、反射板12による発光LED64照射光の反射位置に設けられている。
【0036】
上布検出装置40は、内部の構成を支持する筐体41と、上布CUの側端部のX軸方向における位置検出のための光照射を行う光源としての光源ユニット42と、光源ユニット42からの照射光に基づく反射板12における反射光を受光する検出素子としてのイメージセンサ45と、上布CUの側端部の有無検出のための光照射を行う光源としての発光LED44と、発光LED44からの照射光に基づく反射板12における反射光を受光する検出素子としての受光LED43とを備えている。これらの構成は、下布検出装置60の各構成と同様なので説明は省略する。
【0037】
[検出範囲調節機構]
図5は上布検出装置40と下布検出装置60とをY軸(正)方向の視線から見た正面図である。
図示のように、上述した上布検出装置40と下布検出装置60のそれぞれには、上布検出装置40又は下布検出装置60を基部18に対してX軸方向に沿って移動可能とする上側検出範囲調節機構46と下側検出範囲調節機構66とが併設されている。
上記上側検出範囲調節機構46は、上布検出装置40をX軸方向に沿って移動させるアクチュエータとしての位置調整モータ47と、上布検出装置40の筐体41のX軸(正)方向側の端部上面に設けられたラック歯48と、位置調整モータ47の出力軸に設けられ、ラック歯48に噛合するピニオン歯車49とを備えている。
上記位置調整モータ47はステッピングモータであり、制御装置13の制御の元で駆動し、位置調整モータ47の駆動により、上布検出装置40をX軸方向に沿って任意に移動させることが可能となっている。
【0038】
また、下側検出範囲調節機構66は、上側検出範囲調節機構46とほぼ同一の構成である位置調整モータ67、ラック歯68と、ピニオン歯車69を備え、この下布検出範囲調節機構66もその位置調節モータ67が制御装置13に制御されて、下布検出装置60をX軸方向に沿って任意に移動させることが可能となっている。
【0039】
[制御装置]
図6は上下送りミシン100の制御系を示すブロックである。
上下送りミシン100は、縫製時においてミシン全体を制御するミシンコントローラ19と上布検出装置40及び下布検出装置60の周辺の構成を制御する制御装置13とを備えている。
ミシンコントローラ19には、縫い針を上下動させるためのミシンモータ15が駆動回路15aを介して接続されている。また、ミシンモータ15により回転駆動する図示しないミシン主軸には、その軸角度を検出するエンコーダ16が設けられており、インターフェイス16aを介して検出軸角度をミシンコントローラ19に出力するようになっている。かかるエンコーダ16は、主軸角度の分解能が0.25[deg]、即ち、主軸1回転で1440パルスの出力を行う。
さらに、上下送りミシン100は、各種設定を入力したり、各種情報を表示したりするための操作パネル17を備えており、かかる操作パネル17もインターフェイス17aを介してミシンコントローラ19に接続されている。
【0040】
一方、制御装置13には、上布CU及び下布CDの横送り装置30,50の搬送モータ331,531と、横送りモータ341,541と、位置調整モータ47、67とがそれぞれ駆動回路331a,531a,341a,541a,47a,67aを介して接続されている。
また、制御装置13には、下布検出装置60と上布検出装置40とが、それぞれインターフェイス60a,40aを介して接続されている。なお、各イメージセンサ65,45は、いずれも検出信号をアナログで出力するため、制御装置13は、各イメージセンサ65,45のA/Dコンバータ135,136を備え、デジタル化された検出データを得ることが可能となっている。
【0041】
そして、制御装置13は、各種の演算処理を行うCPU131と、上述した各構成の動作制御に関するプログラムが格納されたROM132と、CPU131の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM133と、各種の設定データ、縫製データ等を記録する記憶部としてのEEPROM134と、前述したA/Dコンバータ135,136とを備えている。
【0042】
[縫製制御の概要]
上下送りミシン100は、毎針の針数における縫い代の値が設定された縫製データ(後述)に従って縫製が行われる。まず、ミシンコントローラ19と制御装置13による基本的な縫製動作の概要について説明する。
【0043】
上布CUの側端部が上布検出装置40と反射板12の間に挿入され、下布CDの側端部が下布検出装置60と反射板12の間に挿入された状態でミシンモータ15の駆動により縫製が開始されると、制御装置13は、ミシンコントローラ19を通じてエンコーダ16から入力されるパルス信号に基づく主軸角度を監視し、主送り機構20における間欠的な送り動作に同期するように、上側横送り機構30及び下側横送り機構50の各搬送モータ331,531及び各横送りモータ341,541を駆動させて、上側横送り機構30による上布CUの送りと下側横送り機構50による下布CDの送りを実行する。
【0044】
即ち、主送り機構20は送り歯21と送り足22とが長円軌道で周回し、その軌道の一部分で上布CUと下布CDと当接して搬送するので、搬送を行う主軸角度の角度範囲は常に一定であり、また、送りピッチも設定により決まっている。従って、エンコーダ16の出力から、搬送が行われる主軸角度の角度範囲の到達を監視し、当該角度範囲で送りピッチ分の送りを行うように、各搬送モータ331,531及び各横送りモータ341,541の駆動制御を実行する。なお、上布CU又は下布CDについて横送りを行わない場合には、各搬送モータ331,531と各横送りモータ341,541とは、相対的な速度差を生じないように等速で駆動を行い、各ピニオン32が回転を行わないように制御する。
【0045】
また、制御装置13は、次の針数における縫い代の設定値を縫製データから読み込むと共にエンコーダ16の出力に基づく主軸角度の監視を行い、所定の主軸角度(縫い針が上布CU及び下布CDに刺さってない主軸角度)となったときに上布検出装置40と下布検出装置60のイメージセンサ45,65によるセンサ出力を読み込んで、上布CUと下布CDの現在の縫い代を算出する。
そして、縫い代の設定値と検出された縫い代とを比較し、例えば、上布CUにおける検出された縫い代が小さい場合には、上側横送り機構30の横送りモータ341を搬送モータ331よりも高速で回転させ、中空支軸332に対して伝達軸342を相対的に回転させて回転体31の各ピニオン32に回転を付与し、上布CUをX軸(正)方向に移動させる。これにより、上布CUの縫い代が増加する方向に調整される。また、上布CUにおける検出された縫い代が大きい場合には、上側横送り機構30の横送りモータ341を搬送モータ331よりも低速で回転させて各ピニオン32に回転を付与し、上布CUの縫い代が減少する方向に移動させる。
なお、下布CDにおける下側横送り機構50に対する制御も同様に行われる。
そして、縫製データに定められた針数の運針が完了すると、ミシンモータが停止して縫製が終了となる。
【0046】
[第一の縫い代調節制御]
上下送りミシン100は、上述のように、一連の縫製を行う複数の針数の中で縫い代の設定値が変化するように設定され、縫製時には、毎針の縫い代の設定値通りとなるように上下の横送り機構30,50を制御する。このように、毎針の縫い代を設定通りとするために、毎針毎に上布検出装置40と下布検出装置60とにより、上布CU及び下布CD(以下、これらを便宜上「布地」と総称する場合がある)の縫い代を検出している。
そして、上下送りミシン100では、毎針の縫い代の検出において予め第一の縫い代調節制御と第二の縫い代調節制御のいずれか一方を択一的に実行することを特徴の一つとしている。
まず、制御装置13が行う第一の縫い代調節制御について説明する。
【0047】
上記縫い代の検出には、イメージセンサ45,65が使用され、当該イメージセンサ45,65は、X軸方向に沿って複数並んだ微細な検出素子によって構成される検出範囲でスリット状の反射光を受光し、布地の側端部により遮蔽され、光強度に格差を生じた位置から布地の側端部の先端位置、即ち、縫い代を特定することを可能としている。
上述のように、予め縫い代の設定値が決まっている場合には、制御装置13は、縫い代の設定値(目標値)に対応するイメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置を求めて、当該目標位置と実際に検出された布地の側端部の位置とを比較して、布地がいずれの方向にズレを生じているかを判断する。
【0048】
例えば、図7(A)に示すように、符号Nを針落ち位置、W0を縫い代の設定値とした場合、制御装置13は、針落ち位置NからX軸(正)方向に向かって縫い代W0の設定値だけ離れた位置を検出範囲内の目標位置P0に定める。
また、縫製開始の最初の縫い代の設定値の目標位置P0が、イメージセンサ45,65の検出範囲の両端部のいずれからも距離d0(検出範囲のX軸方向幅を2d0とする)となる中心位置Cと一致するように、各検出範囲調節機構46,66による位置決め制御が行われる。これは、布地の側端部がX軸方向の正逆いずれの方向に急な位置変動が生じた場合であっても、布地の検出範囲外への逸脱を抑止するためである。
そして、縫製時にはこの目標位置P0と布地の側端部の検出位置とを比較して、布地がいずれの方向に位置ズレを生じているかに応じて、上下の横送り機構30,50により布地をX軸の正逆いずれかの方向に移動させる制御が行われる。
【0049】
さらに、縫製の途中で縫い代の設定値が新たな設定値W1に変わる場合であって、針落ち位置Nから距離W1となる位置が前述した検出範囲の中心位置Cから一定距離(例えば1[mm])以上離れてない場合には、各検出範囲調節機構46,66を動作させることなく、新たな目標位置P1を設定する。つまり、前回の目標位置P0は検出範囲の中心位置Cと一致していたが、新たな目標位置P1は中心位置Cから外れた位置に設定される。
例えば、図7(B)に示すように、縫い代の新たな設定値W1がW1=W0−d1であってd1<1[mm]である場合、上布検出装置40及び下布検出装置60は現在の位置を維持したまま針落ち位置Nから距離W1となる新たな目標位置P1が設定される。
そして、この目標位置P1と布地の側端部の検出位置とを比較して、上下の横送り機構30,50による布地の横送り動作制御が行われる。
【0050】
このように、第一の縫い代調節制御では、各イメージセンサ45,65の検出範囲の中心位置Cから新たな縫い代の設定値に対応する検出範囲内での位置までの距離が一定量に満たない場合には、各検出装置40,60の検出範囲調節機構46,66を動作させることなく、新たな目標位置が設定される。
この場合、各検出装置40,60の移動動作のような機械的な動作を伴うことなく、布地の側端部の位置判定を行うための目標位置の設定の変更のようなソフトウェア上の処理が行われるだけなので、制御装置13の処理能力に応じた速度で処理を行うことができる。
【0051】
[第二の縫い代調節制御]
次に、制御装置13が行う第二の縫い代調節制御について説明する。
第二の縫い代調節制御では、縫製の途中で縫い代の設定値が新たな設定値W1に変わる場合であって、針落ち位置Nから距離W1となる位置が前述した検出範囲の中心位置Cから一定距離(例えば1[mm])以上離れた場合に、各検出範囲調節機構46,66を動作させて、新たな目標位置P1と検出範囲の中心位置Cとが一致するように移動制御を実行する。つまり、新たな目標位置P1は検出範囲の中心位置Cと一致する状態となる。
【0052】
図8(A)は前述した図7(A)と同じ状態であり、図8(B)は縫い代の設定値が新たな設定値W1に変わった場合を示す。この図8に示すように、縫い代の新たな設定値W1がW1=W0−d1であってd1≧1[mm]である場合、上布検出装置40及び下布検出装置60は検出範囲調節機構46,66によりX軸(逆)方向にd1だけ移動を行う。これにより、新たな目標位置P1は検出範囲の中心位置Cと一致する状態となる。
そして、この中心位置Cと布地の側端部の検出位置とを比較して、上下の横送り機構30,50による布地の移動制御が行われる。
【0053】
このように、第二の縫い代調節制御では、新たな目標位置P1は検出範囲の中心位置Cと一致する状態となるので、縫い代の設定値が変更された後にも、各検出装置40,60において、その検出範囲の中心を基準として布地の側端部の検出を行うことが可能となり、布地の側端部に不慮の位置変動などが生じた場合でも、検出範囲から布地の側端部が逸脱して縫製不能となる事態を回避することが可能である。
【0054】
なお、第一の縫い代調節制御と第二の縫い代調節制御のいずれを実行するかを判断するためにd1と比較した基準量は、検出範囲調節機構46,66の位置調節モータ47,67の分解能に基づく最小単位の移動量としている。即ち、ステッピングモータである位置調節モータ47,67がその分解能により各検出装置40,60を移動させることが可能な最小距離が1[mm]となっている。
縫い代の設定値が変更された場合には、新たな縫い代の設定値に対応する検出範囲内での位置が検出範囲の中心位置Cと一致するように常に第二の縫い代調節制御を実行することが望ましいが、位置調節モータ47,67の分解能により微細な位置調節に限界があるので、各検出装置40,60の移動量が小さい場合には、第一の縫い代調節制御を実行することで、常に、布地の側端部の位置を縫い代の設定値通りに維持することを可能としている。
【0055】
なお、上記上下送りミシン100では、通常、上布CUと下布CDとで縫い代を同じ値に設定するので、上記第一の縫い代調節制御と第二の縫い代調節制御について、上布検出装置40と下布検出装置60、上側横送り機構30と下側横送り機構50に対して同一の制御が行われる場合を例示したが、上布CUと下布CDとで縫い代を異なる値に設定することも可能である。その場合、上布CUと下布CDとで各々の縫い代の設定値に応じて第一の縫い代調節制御と第二の縫い代調節制御とがそれぞれ個別に行われる。
また、図7及び図8において検出範囲調節機構66の図示を省略している。
【0056】
[第一及び第二の縫い代調節制御を行うための具体的な設定]
図9は上布CU及び下布CDに対して行われる縫製例を示している。上下送りミシン100において、この上布CU及び下布CD(以下、布地とする)は図示上方に向かって搬送され、縫い目は上端から下端に向かって形成されるものとする。
この布地に対して、300針の運針を行う過程で縫い代の初期設定値を10[mm]とし、11[mm]まで変化させる縫製を行う。具体的には、縫い開始から94針までは縫い代の設定値を10[mm]として運針を行い、95〜99針の間では1針毎に縫い代を0.1[mm]ずつ増やし、100〜194針の間では縫い代を10.5[mm]に維持して運針を行い、195〜199針の間では再び1針毎に縫い代を0.1[mm]ずつ増やし、200〜300針の間では縫い代を11[mm]に維持して運針を行う。
【0057】
図10は図9の縫製を行うための縫製条件の一覧を示した図表である。図示のように、縫製の総針数は300針であり、縫製時のミシンモータ15の最高速度は3000[sti/min](rpm)、エンコーダ16の分解能は0.25[deg]、各針の縫い代の設定は前述した通りであり、イメージセンサ45,65のセンシング周期は10[ms]、検出範囲のX軸方向幅は100[mm]、分解能は0.1[mm]、位置調節モータ47,67によりセンサ移動の分解能は1.0[mm]である。
なお、これらの設定は上布CUと下布CDとについて共通している。
【0058】
図11は図9の縫製において第一及び第二の縫い代調節制御を行うための縫製データの設定内容を示した図表である。図示のように、縫製データには、第一及び第二の縫い代調節制御の順番を示したデータ番号と、第一及び第二の縫い代調節制御が行われる針数(PINNUM)と、第一及び第二の縫い代調節制御が行われる主軸角度(FREQ)、第一及び第二の縫い代調節制御が行われるエンコーダ出力信号の積算値である変更ポイント(POINT)、縫い代の設定値に対応するイメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置と中心位置Cとのズレ量(OFFSET)が設定されている。なお、目標位置と中心位置Cとのズレ量(OFFSET)の数値は単位を0.1[mm]として表記している。
【0059】
縫製データにおけるデータ番号は、処理の順番を示し、制御装置13は、縫製時にはこの順番に従って設定内容の読み取りを行う。
針数(PINNUM)、主軸角度(FREQ)、変更ポイント(POINT)は縫製開始からの各データ番号における第一又は第二の縫い代調節制御の実施タイミングをエンコーダ16の出力パルスの積算値(エンコーダ単位系)に換算するためのパラメータである。これらのパラメータは次式(1)の関係が成立する。
POINT=(PINNUM−1)×1440+(FREQ/360)×1440 …(1)
【0060】
図12は主軸角度と針棒の位置(高さ)との関係を示す線図である。針棒上死点を0°とすると、縫い針が布地に刺さっていない主軸角度の範囲は270〜90[deg]である。従って、第一又は第二の縫い代調節制御と布地の横送り動作制御とは、目標の針数の一つ手前の針数における270[deg]で実行する必要がある。
このため、この開始タイミングをエンコーダ単位系に換算すると上式(1)のようになる。なお、1440はエンコーダ16の分解能(主軸1回転の出力パルス数)である。
【0061】
図13は図9の縫製を行う際の各検出装置30,50のX軸方向の移動量とイメージセンサ45,65における検出範囲内の目標位置の変化量と縫い代の設定値の変化量とを示し、図14は図9の縫製を行う際に制御装置13が行う第一及び第二の縫い代調節制御の処理内容を示すフローチャートである。
これらに基づいて第一及び第二の縫い代調節制御の処理を説明する。
【0062】
まず、制御装置13では各種の設定の初期化処理を行う(ステップS1)。即ち、縫製データの読み取りを行うデータ番号のカウント値iを0とし、縫い代の設定値に対応するイメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置と中心位置Cとのズレ量をカウントする設定オフセット値を0とし(1カウントで0.1[mm]とする)、上下の検出装置40,60の移動量をカウントするセンサ位置オフセット値を0とする(1カウントで1.0[mm]とする)。
また、上下の布検出装置40,60の初期位置は、縫い代初期値である針落ち位置Nから10[mm]の位置に上下のイメージセンサ45,65の検出範囲の中心位置Cに一致するように配置される。
【0063】
そして、ミシンのオペレータからの操作パネル17による縫製開始の入力待ちとなり(ステップS3)、開始が入力されるとミシンモータ15の駆動を開始する(ステップS5)。また、ミシンモータ15の駆動が開始されると、制御装置13はエンコーダ16の出力信号のカウントを開始する(ステップS7)。また、この時、エンコーダ16は主軸一回転につき1パルスの回転数信号も出力を開始し、制御装置13は針数カウント値としてカウントを開始する。
【0064】
そして、エンコーダ16のカウント値が現在のデータ番号における変更ポイントの値に達したか否かを判定する(ステップS9)。
例えば、データ番号のカウント値i=0の場合には変更ポイントは135630となる。
【0065】
そして,この判定時にカウント値が変更ポイントに達していない場合にはステップS7に処理を戻してエンコーダ出力のカウントを継続する。また、エンコーダ16のカウント値が変更ポイントに達した場合には、検出範囲内の目標位置と中心位置Cとのズレ量をカウントする設定オフセット値に現在のデータ番号における目標位置と中心位置Cとのズレ量(OFFSET)の数値を加算する(ステップS11)。例えば、図13(B)の95〜99針目や195〜199針目の区間において目標位置と中心位置Cとのズレ量が増加する状態変化がこのステップS11の処理に対応している。
例えば、データ番号のカウント値i=0の場合にはズレ量(OFFSET)の数値は「1」である。この加算により針落ち位置Nから10.1[mm]の位置に新たな目標位置P1が設定される(図7参照)。この場合、新たな目標位置P1は中心位置Cに対してX軸(正)方向に0.1[mm]ズレた位置となる。そして、布地の側端部はこの目標位置P1に上下の横送り機構30,50によって横送りが行われて縫い代が10.1[mm]に修正される。
【0066】
そして、設定オフセット値を加算すると、データ番号のカウント値iも1加算する(ステップS13)。これにより、制御装置13は、次のデータ番号の設定内容の読み出しを行う。
さらに、制御装置13は、加算された設定オフセット値が10に達したか否かを判定する(ステップS15)。そして、設定オフセット値が10に達していない場合には処理をステップS7に戻す。
この設定オフセット値が10に満たない間は、検出範囲内の目標位置と中心位置Cとのズレ量が1[mm]に達していないことを意味しており、従って、制御装置13は、上布検出装置40及び下布検出装置60の移動を行うことなく検出範囲内の目標位置のみを変更する第一の縫い代調節制御を実行することとなる。
【0067】
また、設定オフセット値が10に達した場合には、検出範囲内の目標位置と中心位置Cとのズレ量が1[mm]に達したことを意味するので、制御装置13は第二の縫い代調節制御を実行する。即ち、設定オフセット値をリセットして0に戻し、センサ位置オフセット値を1加算する。当該加算により、制御装置13は位置調節モータ47,67を駆動して上布検出装置40及び下布検出装置60をX軸(正)方向に1[mm]移動させる。また、検出範囲内の目標位置を中心位置Cに一致させる。例えば、図13(A)及び図13(B)の200針目の状態変化がこれに該当する。
なお、厳密には、ステップS15において、積算された設定オフセットは、+10又は-10に達したか否かが判定される。即ち、検出範囲内の目標位置と中心位置CとのX軸(正)方向側へのズレ量が1[mm]に達した場合にも、検出範囲内の目標位置を中心位置Cに一致させる制御が行われる。この場合、制御装置13は位置調節モータ47,67を駆動して上布検出装置40及び下布検出装置60をX軸(逆)方向に1[mm]移動させる。
【0068】
次に、制御装置13は針数カウント値を参照して予定針数の300に達しているか否かを判定する(ステップS19)。そして、まだ300針に達していなければステップS7に処理を戻し、300針に達していればミシンモータ15の駆動を停止させて処理を終了する。
【0069】
[発明の実施形態の技術的効果]
上述のように、上下送りミシン100では、上布CUと下布CDの検出装置40,60をX軸方向に沿って移動させる位置調節モータ47,67を備え、縫い代の設定値(目標値)が変化した場合に、縫い代の目標値に対応する上布CUと下布CDのイメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置が中心位置Cから予め定めた一定距離(例えば1[mm])以上離れた場合に、目標位置と中心位置Cとが一致するように上側と下側の検出装置40,60を上側と下側の検出範囲調節機構46,66によって移動させる第二の縫い代調節制御を行うので、上布CUと下布CDの側端部の位置検出をイメージセンサ45,65の検出範囲の中心位置Cで行うことができ、上布CUと下布CDの側端部が検出範囲から逸脱して側端部が検出不能となる事態を効果的に抑制し、安定的に縫い代の調節制御を行うことが可能となる。
【0070】
また、制御装置13は、縫い代の設定値(目標値)が変化した場合に、縫い代の目標値に対応する上布CUと下布CDのイメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置が中心位置Cから一定距離未満である場合には、上側又は下側の検出装置40,60の移動は行わず、検出範囲内の目標位置のみを変更する第一の縫い代調節制御を行うので、例えば、縫い代の設定値の変動が位置調節モータ47,67の分解能に満たない微小距離の場合であっても、イメージセンサ45,65の検出範囲内の目標位置を設定し、上布CUと下布CDの側端部の位置検出並びに縫い代を目標値通りに縫製するための横送り動作制御を正確に行うことが可能となる。
【0071】
[その他]
なお、図13(A)に示す例では、前述した第二の縫い代調節制御における上布CUと下布CDの検出装置40,60の移動動作を高速で瞬間的に行う場合を例示し、移動の所要時間を考慮していないが、実際にはアクチュエータの性能によっては、図15(A)に示すように移動動作にはある程度の所要時間が必要となる。
従って、移動速度及びその所要時間が既知である場合には、検出装置40,60の移動速度に合わせて、図15(B)に示すように検出範囲内の目標位置を中心位置Cに徐々に近づけるように変化させることが望ましい。例えば、検出装置40,60が10[ms]で1.0[mm]移動する場合において、検出範囲内の目標位置を1[ms]毎に0.1[mm]ずつ中心位置Cに近づけるように設定を切り換えても良い。これにより、検出装置40,60の移動を行っている最中でも、高精度に布地の側端部に位置検出を行うことが可能となる。
【0072】
なお、上側検出範囲調節機構46と下側検出範囲調節機構66は、ラック−ピニオン機構により上布検出装置40と下布検出装置60の移動を行っているが、これに限るものではなく、ベルト機構やボールネジ機構、ソレノイド、ボイスコイルモータ、リニアモータ等によって上布検出装置40と下布検出装置60の移動を行ってもよい。
【0073】
また、前述した制御装置13は、第一及び第二の縫い代調節制御において、針落ち位置Nから縫い代の設定値W0だけ離れた位置を検出範囲内の目標位置P0に定め、当該目標位置P0がイメージセンサ45,65の検出範囲の規定位置としての中心位置Cと一致するように、各検出範囲調節機構46,66による位置決め制御を行い、また、縫い代の設定値が変更された場合に、新たな目標位置P1が規定位置としての中心位置Cから一定距離(例えばmとする)以上離れていない場合には各検出範囲調節機構46,66の移動を行わずにそのまま目標位置P1を確定し、新たな目標位置P1が規定位置としての中心位置Cから一定距離m以上離れた場合には、新たな目標位置P1が中心位置Cに一致するように各検出範囲調節機構46,66による位置決め制御を行っている。
しかしながら、上記のように、目標位置P0,P1の設定については、規定位置を中心位置Cとして行う場合に限定されるものではない。
例えば、所定の針数の区間では、上下布の側端部形状がカーブしていることが予め分かっているような場合には、運針の過程で基準位置に対してカーブしている方向に上下布がズレを生じやすく(例えば、側端部形状が左カーブしている場合には左にズレを生じやすい)、この場合には、規定位置を中心位置Cとするよりも、左側のズレの発生により対応可能となるように、規定位置を中心位置Cから右側にオフセットした位置として、左側の検出範囲を右側よりも広く確保することが望ましい。
従って、操作パネル17により予め規定位置を任意に設定可能とし、当該設定された規定位置をメモリなどに保有すると共に、カーブ区間などの場合には、設定された検出範囲内の規定位置に目標位置P0、P1を一致させるように各検出範囲調節機構46,66の移動制御を行ったり、また、設定された検出範囲内の規定位置から一定距離m以上離れているか否かにより各検出範囲調節機構46,66の移動制御を行うか否かを決定したりしても良い。
【符号の説明】
【0074】
12 反射板
13 制御装置(制御部)
15 ミシンモータ
16 エンコーダ
19 ミシンコントローラ
20 主送り機構
30 上側横送り機構
40 上布検出装置(端部検出装置)
42 光源ユニット
45 イメージセンサ
46 上側検出範囲調節機構
47 位置調整モータ(アクチュエータ)
50 下側横送り機構
60 下布検出装置(端部検出装置)
62 光源ユニット
65 イメージセンサ
66 下側検出範囲調節機構
67 位置調節モータ(アクチュエータ)
100 上下送りミシン
C 中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被縫製物を水平面に沿って所定の送り方向に送る主送り機構と、
前記被縫製物を前記水平面に平行且つ前記送り方向に直交する被縫製物幅方向に沿って移動させる横送り機構と、
前記被縫製物の前記被縫製物幅方向における側端部から針落ち位置までの長さである縫い代を検出するための端部検出装置と、
前記端部検出装置の検出に基づいて前記被縫製物の縫い代が目標値となるように前記横送り機構を制御するミシンにおいて、
前記端部検出装置は、搬送される前記被縫製物の側端部を照射するための光源と、複数の受光部が前記被縫製物幅方向に沿って複数並んで設けられ、前記被縫製物の側端部により遮蔽された照射光の一部分の光量の違いから当該被縫製物の側端部の前記被縫製物幅方向の位置検出を行う検出素子とを有し、
前記端部検出装置を前記被縫製物幅方向に沿って移動させるアクチュエータと、
前記縫い代の目標値の変化に応じて、前記アクチュエータの移動制御を行う制御部とを備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記制御部は、前記縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲内の予め定められた規定位置となるように前記アクチュエータの移動制御を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。
【請求項3】
前記検出範囲内の予め定められた規定位置は、検出範囲の中心位置であることを特徴とする請求項2記載のミシン。
【請求項4】
前記検出範囲内の予め定められた規定位置は、設定手段により定められた検出範囲の任意の位置であることを特徴とする請求項2記載のミシン。
【請求項5】
前記制御部は、
縫製の途中で前記縫い代の目標値が変化する場合であって、新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の規定位置までの距離が予め定めた一定量に満たない場合には、前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置を新たな目標位置として確定し、
前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置から当該検出範囲の規定位置までの距離が前記一定量以上となる場合には、
前記新たな縫い代の目標値に対応する前記端部検出装置の検出範囲内の目標位置が当該検出範囲の規定位置となるように前記アクチュエータの移動制御を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−85919(P2013−85919A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232458(P2011−232458)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】