説明

ミストサウナ装置

【課題】フィルタ不通過のミストを排水するためのドレン配管を不要とし、フィルタ不通過のミストをミストサウナ浴に利用するようにしたミストサウナ装置を提供する。
【解決手段】本発明のミストサウナ装置は、空気吸入口11とミスト吐出口12とを有する装置本体1と、この装置本体1内に設けられ、空気吸入口11とミスト吐出口12とを連通すると共に送風ファン80によって送られた空気が内部を流通する循環通路2と、循環通路2内に設けられる第1の加熱手段3と、第1の加熱手段3よりも循環通路2下流側に設けられ、循環通路2内にミストを放出するミスト放出口36と、ミスト放出口36よりも循環通路2下流側に設けられ、所定のサイズ以上のミストの通過を制限するフィルタ7と、循環通路2内に設けられ、フィルタ7不通過のミストを蒸発させる第2の加熱手段4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミストサウナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粒径の小さいミストを浴室などのミストサウナ空間に供給して、ミストサウナ浴を行なわせるミストサウナ装置が、例えば特許文献1により知られている。この特許文献1に示されたミストサウナ装置は、空気吸入口とミスト吐出口とを有する装置本体と、この装置本体内に設けられ空気吸入口とミスト吐出口とを連通する循環通路とを備えている。循環通路内には、この通路内にミストを放出するミスト放出口が設けられており、このミスト放出口よりも下流側には、フィルタが設けられている。このフィルタは所定の粒径以上のミストの通過を制限するようになっており、この通過の制限されたフィルタ不通過のミストはフィルタが載置された排水部に溜められる。排水部に溜められたミスト(水)は、この排水部に接続されたドレン管を介して装置外部に出され、排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−78061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように上記特許文献1のミストサウナ装置は、フィルタによりカットされたミストを排水する必要があるため、外部の排水設備等に接続されたドレン管が必要となる。すなわち従来のようなミストサウナ装置は、設置するに当たって装置を取り付けたうえでさらにこのドレン管を配管する必要があり、手間がかかるものとなっていた。
【0005】
また上記特許文献1のミストサウナ装置は、効率よく水を使用するという観点でも改善の余地があった。つまり発生させたミストのうちフィルタによってカットされた水が、単に排水されているだけであるため、有効に使用されているとは言えない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタ不通過のミストを排水するためのドレン配管を不要とし、フィルタ不通過のミストをミストサウナ浴に利用するようにしたミストサウナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のミストサウナ装置は以下の構成とする。
【0008】
本発明のミストサウナ装置は、空気吸入口11とミスト吐出口12とを有する装置本体1と、この装置本体1内に設けられ、空気吸入口11とミスト吐出口12とを連通すると共に送風ファン80によって送られた空気が内部を流通する循環通路2と、循環通路2内に設けられ、この循環通路2内の空気を加熱する第1の加熱手段3と、第1の加熱手段3よりも循環通路2下流側に設けられ、循環通路2内にミストを放出するミスト放出口36と、ミスト放出口36よりも循環通路2下流側に設けられ、ミスト放出口36から放出されたミストのうち所定のサイズ以上のミストの通過を制限し且つ所定のサイズ未満のミストの通過を許容するフィルタ7と、循環通路2内に設けられ、フィルタ7不通過のミストを蒸発させる第2の加熱手段4とを備えている。
【0009】
ミスト放出口36からミストを放出すると、そのミストは、大部分が送風ファン80によって流通する空気に沿ってフィルタ7に到着する。フィルタ7に到着したミストのうち所定のサイズ未満のミストはフィルタ7を通過する。一方、所定のサイズ以上のミストは、フィルタ7の通過が制限されるが、第2の加熱手段4により加熱されて蒸発する。またミスト放出口36から放出されたミストのうちフィルタ7に到着しなかったミストが一部に発生したとしても、そのミストは第2の加熱手段4により加熱されて蒸発する。そしてこれらの蒸発したミストは、流通する循環通路2内の空気とともにミスト吐出口12から吐出される。これにより本発明のミストサウナ装置は、フィルタ7不通過のミストを排水するためのドレン管が不要となる。さらにこのフィルタ7不通過のミストを蒸発し、この水蒸気をミストサウナ空間の加湿に利用するため、フィルタ7不通過のミストを排水せずに使用することができる。
【0010】
また本発明のミストサウナ装置は、循環通路2が通路の途中で第1通路27とこれに隣接する第2通路28とに分岐し且つこれらが下流側で合流するように形成されており、第1通路27には前記ミスト放出口36と前記フィルタ7とが設けられると共に第2通路28には第2の加熱手段4が設けられ、第1通路27に、前記フィルタ7不通過のミストを第2の加熱手段4へ導く導水手段29が設けられていることが好ましい。
【0011】
所定のサイズ以上のミストは、フィルタ7の通過が制限されて第1通路内に留まるが、この第1通路に設けられた導水手段29により、このフィルタ7不通過のミストは第2の加熱手段4へ導水される。またミスト放出口36から放出されたミストのうちフィルタ7に到着しなかったミストが一部に発生したとしても、そのミストも導水手段29により第2の加熱手段4へ導水される。第2の加熱手段4に導かれたこれらの水は、第1の加熱手段3を通過して加熱された温風と第2の加熱手段4とによって蒸発する。この水蒸気は、第2の加熱手段4によって加熱された下通路22を流通する空気とフィルタ7を通過した微細なミストと共に、ミスト吐出口12から吐出される。これにより効果的なミストサウナ浴を行なうことができる。
【0012】
また前記第1通路27が上通路21であると共に前記第2通路28が上通路21の下方に隣接する下通路22であり、前記導水手段29が、上通路21の下側面26に設けられて上通路21と下通路22とを連通する連通路24であることが好ましい。
【0013】
このように構成すれば、フィルタ7不通過のミストの上通路21から下通路22への導水を、重力を利用して行なうことができる。
【0014】
また前記導水手段29は、フィルタ7不通過のミストの通水又は止水を可能とさせる開閉手段290をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
これにより、仮に、第2の加熱手段4が作動していなかったりあるいは運転開始時に所定の温度に達していなかったりした場合に、第2の加熱手段4への通水を止めることができる。これにより、第2の加熱手段4に導かれた水が蒸発されずに第2通路28内に滞留してしまうのを低減できる。
【0016】
また本発明のミストサウナ装置は、第1の加熱手段3及び第2の加熱手段4がいずれも熱交換器であることが好ましい。
【0017】
この構成により、本発明のミストサウナ装置は一層簡略な構成のものとなる。
【0018】
また、本発明のミストサウナ装置は、ミストサウナ運転終了時に、前記ミスト放出口36によるミストの供給が停止した時点から所定の時間、第1の加熱手段3と第2の加熱手段4と送風ファン80とを作動させるようにすることが好ましい。
【0019】
仮に運転終了時に、第2の加熱手段4や循環通路2内にミスト(水)が残っていたとしても、このように作動させることで、その残水を乾燥させることができる。これによりカビの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のミストサウナ装置によれば、フィルタ不通過のミストを排水するためのドレン配管を不要とし、フィルタ不通過のミストをミストサウナ浴に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態の側断面図である。
【図2】同上の配管の接続を説明するための概略図である。
【図3】本実施形態のミストサウナ装置の使用例を説明する斜視図である。
【図4】本実施形態の他の例の配管の接続を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。図1,2には本実施形態のミストサウナ装置を示し、図3には本実施形態のミストサウナ装置が取り付けられた使用例を示す。説明の便宜上、以下においては、使用例における設置状態に基づいて本実施形態のミストサウナ装置の説明を行なう。
【0023】
本実施形態のミストサウナ装置は、ミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aであり、浴室の天井Bに取り付けられる。このミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、図3に示されるように、浴室外に設けられた熱源機90に接続されており、この熱源機90との間で熱媒を循環する。本実施形態の熱源機90は、家庭用の水道管に接続されており、その水道管からの水を加熱して作られた湯水を熱媒としている。このミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、浴室外に設けられたリモコン操作部91によって操作されるようになっており、このリモコン操作部91によって各種機能の運転が操作される。
【0024】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、ミストサウナ浴を行なうミストサウナ機能、室内暖房を行なう暖房機能、室内の空気の入れ替えを行なう換気機能、室内や衣類の乾燥を行なう乾燥機能を有している。これらの機能のうちミストサウナ機能は、スプラッシュミスト(50〜100μm程度の粒径のミスト)を噴霧するスプラッシュミスト浴機能と、スプラッシュミストよりもさらに微細なミストを噴霧するマイクロミスト浴機能とをさらに有している。このミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、図1,2に示されるように、微細なミストを浴室内に供給するミスト吐出口12を有し且つスプラッシュミストを浴室内に供給するスプラッシュミスト発生ノズル50が取り付けられた装置本体1によって主体が構成されている。
【0025】
装置本体1はミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aの外郭を形成する。装置本体1は、図1に示されるように、天井Bの上方に底面が位置し且つ下方が開口した有底箱形状の装置ケーシング14と、この装置ケーシング14の開口を閉塞し上面が天井B下面に当接するグリル板15とを備える。このグリル板15には、室内の空気を装置内に取り込む空気吸入口11と、装置内から温風などの空気を吹き出す開閉自在な吹出し口16とが設けられている。本実施形態ではこの吹出し口16がミスト吐出口12を構成している。
【0026】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、装置本体1内に空気吸入口11と吹出し口16とを連通する循環通路2が設けられている。循環通路2は、空気吸入口11から吹出し口16に向けて空気が流通するようになっており、この流通する空気の流れは、通路2内に設けられた送風ファン80によって形成される。この循環通路2は、図1に示されるように、通路2の途中で上通路21(第1通路27)と下通路22(第2通路28)とに分岐しており、これらは仕切り板23を介して上下に隣接配置されている。この上通路21と下通路22とは下流側で合流しており、合流した循環通路2は吹出し口16に連通している。
【0027】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、分岐前の循環通路2に第1の加熱手段3が設けられており、その下流側に位置する下通路22に第2の加熱手段4が設けられている。これら第1の加熱手段3と第2の加熱手段4とはいずれも熱交換器30,40により構成されており、いずれも循環通路2内を流通する空気を加熱する。第1の加熱手段3の熱交換器30は、横辺部300と縦辺部301とが連設された略L字形状の熱交換器であり、流通する空気は、横辺部300を通過した後に縦辺部301を通過する。この第1の加熱手段3の熱交換器30は、図2に示されるように、熱源機90からの熱媒(温水)が循環・流通する暖房用温水管路31の途中に配置される。この暖房用温水管路31には第1の加熱手段3の熱交換器30の上流側に熱動弁32が設けられており、この熱動弁32を開放することで第1の加熱手段3の熱交換器30と熱源機90との間で熱媒が循環する。第2の加熱手段4の熱交換器40は、図1に示されるように、下通路22を覆うように傾斜した状態で配設されており、表面に金属製のフィン401を備えている。この金属製のフィン401は、鉛直方向に対して傾斜した状態となっており、空気流通方向に沿うように配置される。この第2の加熱手段4の熱交換器40は、図2に示されるように、暖房用温水管路31の第1の加熱手段3の熱交換器30の上流側の熱動弁32のさらに上流側から分岐したミスト加熱用温水管路44に接続されている。このミスト加熱用温水管路44の下流側の端部は、第1の加熱手段3の熱交換器30の下流側に接続される。このミスト加熱用温水管路44に接続された第2の加熱手段4の熱交換器40は、その上流側に後述のミスト用熱交換器42が接続されており、ミスト用熱交換器42に対しては直列的に接続され、第1の加熱手段3の熱交換器30に対しては並列的に接続されている。なお、図2中の符号33は浴室内の温度を検知する浴室温度センサーであり、符号34は熱源からの温水(熱媒)の温度を検知する温水往き温度センサーである。
【0028】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、図1に示されるように、循環通路2の第1の加熱手段3の熱交換器30よりも下流側の上通路21にマイクロミスト発生ノズル35が設けられており、このマイクロミスト発生ノズル35は粒径が5〜20μm程度の微細なミストを放出する。マイクロミスト発生ノズル35は、循環通路2内に臨む前端がミスト放出口36となっており、その後端側が、図2に示されるように、マイクロミスト用電磁弁37を介してミスト用給水配管38に連通接続される。ミスト用給水配管38は、一端が外部の吸水管に接続されると共に、他端が排水管に接続されている。このミスト用給水配管38には、ストレーナ39・給水電磁弁41が接続されており、このストレーナ39・給水電磁弁41よりも下流側に上述したミスト用熱交換器42が接続され、さらにその下流側にマイクロミスト発生ノズル35が接続される。さらにマイクロミスト発生ノズル35の分岐部分の下流側には排水電磁弁43が接続されている。
【0029】
ミスト用熱交換器42は熱源機90から循環する熱媒を熱源とする。このミスト用熱交換器42は、図2に示されるように、ミスト加熱用温水管路44に接続されている。このミスト加熱用温水管路44は、ミスト用熱交換器42の上流側に水比例弁45が設けられており、ミスト用熱交換器42の下流側には温水戻りセンサー46が管路に沿って配置され、さらにその下流側に第2の加熱手段4の熱交換器40が設けられている。この水比例弁45は、ミスト(スプラッシュミスト及び微細なミスト)の温度を検知するミスト温度センサー49の検知温度に基づいて、ミスト加熱用温水管路44からミスト用熱交換器42に供給される熱媒の供給量の調整を行ない、設定温度を得るために必要な流量の熱媒をミスト用熱交換器42に供給する。
【0030】
したがって排水電磁弁43を閉じた状態で給水管から水が供給されると、このミスト用給水配管38に流入した水は、ストレーナ39・給水電磁弁41を通過し、ミスト用熱交換器42にて熱交換を行なって加熱され、その後マイクロミスト発生ノズル35に到達し、ミスト放出口36から微細なミストとなって放出される。
【0031】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、図1に示されるように、循環通路2のマイクロミスト発生ノズル35が設けられた部分よりも下流側に、上通路21を閉塞するようにしてフィルタ7が設けられている。このフィルタ7は、ミスト放出口36から放出されたミストのうち所定のサイズ以上のミストの通過を制限し、且つ所定のサイズ未満のミストの通過を許容する。そもそもマイクロミスト発生ノズル35から放出される微細なミストは、ある程度一定の粒径となっているのであるが、一部に大きなサイズのミストが混じっている。そこでこの大きなサイズのミストをカットするためにフィルタ7が設けられており、このフィルタ7を設けることで、微細なミストのみを浴室内に吐出することができるようになる。なお本実施形態のフィルタ7は、微細なミスト(例えば5μm未満のミスト)を通過させ、粒径の大きなミスト(例えば5μm以上のミスト)の通過を制限する。
【0032】
上通路21において、フィルタ7が設けられている部分よりも循環通路2上流側の下側面26には、下方に凹没した集水部25が設けられている。集水部25は、少なくともフィルタ7の上流側の面の直下部分からミスト放出口36の直下部分に亙る範囲の領域に設けられている。集水部25はその底面に、下通路22にまで貫通する連通路24が設けられており、この底面は連通路24に近付くほど漸次下方に傾斜した傾斜面となっている。この連通路24には電磁弁からなる開閉手段290が設けられており、この開閉手段290は、連通路24を流通する水を、下通路22へ通水させ又は止水させる。この連通路24の下通路22側の開口端は第2の加熱手段4の熱交換器40の直上に位置しており、連通路24を通って落下した水が第2の加熱手段4の熱交換器40の上端部(詳しくは、熱交換器40の上方側に位置する金属製のフィン401の上縁近傍)に落下するようになっている。フィルタ7によりカットされたミストは、フィルタ7表面を流下してゆき、その後集水部25に集まる。そして、集水部25に溜められたミスト(水)は、連通路24を通って落下し、第2の加熱手段4の熱交換器40の上端部に落下する。熱交換器40の上端部に落下した水は、傾斜したフィン401を伝って流下してゆき、流下しながら最終的に蒸発する。本実施形態においてはこの連通路24が、前記フィルタ7不通過のミストを上通路21から第2の加熱手段4へ導く導水手段29を構成している。
【0033】
循環通路2のフィルタ7よりも下流側では、上述の通り上通路21と下通路22とが合流しており、この合流した循環通路2は吹出し口16に連通する。
【0034】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、グリル板15に、スプラッシュミストを噴霧する複数のスプラッシュミスト発生ノズル50が浴室内に臨むようにして設けられている。このスプラッシュミスト発生ノズル50は、先端部がスプラッシュミスト噴霧口51となっており、図2に示されるように、後端部がミスト用給水配管38から分岐したスプラッシュミスト用管路47に接続されている。このスプラッシュミスト用管路47にはノズル開閉弁48が設けられている。またこのスプラッシュミスト用管路47に、この管路47を流通する湯水の温度を検知する上述のミスト温度センサー49が設けられている。
【0035】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、装置本体1内部に換気ファン81が設けられている。この換気ファン81は、図1,3に示されるように、空気吸入口11と室外に臨む換気口83とを連通する換気路82内に設けられており、この換気路82内の空気を空気吸入口11から換気口83へ向かうように流通させる。
【0036】
本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、制御部により各種の運転制御がなされる。この制御部は、マイクロコンピュータにより構成されており、リモコン操作部91による信号や浴室温度センサー33・温水往き温度センサー34・ミスト温度センサー49・温水戻りセンサー46からの各検知信号を受信し、この各検知信号に基づいて各弁の開閉駆動や送風ファン80・換気ファン81の駆動を行なわせる。例えば、制御部は、浴室温度センサー33に基づいて送風ファン80を制御し、浴室内の温度を所定の温度に保たせたり、またミスト運転開始時に排水電磁弁43を一定時間開放させて、ミスト用熱交換器42やミスト用給水配管38内に溜まっている温度の低い残水を外部に排出させたりする。
【0037】
上記構成のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、以下のように動作する。
【0038】
スプラッシュミストよりも粒径の小さい微細ミストによるミストサウナを行なう場合、リモコン操作部91のマイクロミストサウナ運転スイッチを押す。すると、リモコン操作部91から制御部に向けてマイクロミストサウナの開始を指令する信号が送られる。制御部は熱源機90に指令を送り、それを受けた熱源機90は稼働し始める。制御部は、それと同時に熱動弁32と水比例弁45を開放する。熱動弁32が開放すると、熱源機90から送られた高温の熱媒(約80℃の温水)が暖房用温水管路31を循環しはじめ、水比例弁45が開放すると、この高温の熱媒がミスト加熱用温水管路44を循環しはじめる。温水往き温度センサー34が所定の温度(例えば60℃)以上を検知すると、制御部は送風ファン80を駆動し、同時に吹出し口16を開放させる。すると、浴室内の空気を空気吸入口11を介して装置本体1内に取り込み、吹出し口16から温風を吹き出す。この後、浴室温度センサーが所定の温度(例えば25℃)以上を検知すると、制御部は、マイクロミスト用電磁弁37を開放してマイクロミスト発生ノズル35からミストを放出させる。このミストは、その大部分が循環通路2内を流通する空気に沿ってフィルタ7に到着し、所定の粒径のミストのみこのフィルタ7を通過し、その下流で下通路22を流通する空気と合流して、吹出し口16から吐出される。
【0039】
このときフィルタ7によって通過が制限されたミストは、フィルタ7に沿って下方に流下し、仕切り板23に設けられた集水部25に落下する。またミスト放出口36から放出されたミストのうちフィルタ7に到着しなかったミストが一部に発生したとしても、そのミストは集水部25に落下する。これらの落下したミストは、集水部25に設けられた連通路24を通って下通路22内に移動し、第2の加熱手段4の熱交換器40の上端部に落下する。熱交換器40の上端部に落下した水滴は、傾斜した金属製のフィン401を伝って流下してゆき、流下しながら最終的に蒸発する。蒸発したミスト(水)は、蒸気となって下通路22を流通する空気と共に浴室内に吹き出される。
【0040】
次いで、この状態からマイクロミストサウナの運転を終了するには、リモコン操作部91の運転停止スイッチを押す。すると、制御部はマイクロミスト用電磁弁37と給水電磁弁41を閉じる。このとき制御部は、熱動弁32を開放させたままの状態を維持させると共に、送風ファン80を駆動させたままの状態を維持させる。そして、マイクロミスト用電磁弁37を閉じた時点から所定の時間(本実施形態では5分間)経過後に、熱動弁32を閉じるとともに送風ファン80を停止させる。
【0041】
このように本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、フィルタ7不通過のミストを蒸発させる第2の加熱手段4が設けられているため、フィルタ7不通過のミストを排水するためのドレン管が不要となる。さらにこのフィルタ7不通過のミスト(水滴)を蒸発し、この水蒸気をミストサウナ空間の加湿に利用するため、フィルタ7不通過のミストを排水せずに使用することができる。
【0042】
また、ミストの供給が停止した時点から所定の時間、第1の加熱手段3と第2の加熱手段4と送風ファン80とを作動させるようにしたため、仮に運転終了時に第2の加熱手段4や循環通路2内に水滴が残っていたとしても、その水滴を蒸発・乾燥させることができる。これにより循環通路2内や第2の加熱手段4にカビが発生するのを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、第2の加熱手段4の熱交換器40が下通路22を覆うように設けられ、しかも傾斜しているため、下通路22を流通する空気を効果的に加熱しつつ、表面を伝うフィルタ7不通過の水をゆっくり流下させて確実に蒸発させることができる。
【0044】
また導水手段29が連通路24によって構成されているため、フィルタ7不通過のミストを第2の加熱手段4に重力を利用して導水することができる。これにより一層コンパクトな構成となる。さらに、この導水手段29に開閉手段290が設けられているため、仮に、第2の加熱手段4の熱交換器40が作動していなかったりあるいは所定の温度に達していなかったりした場合等に、第2の加熱手段4への導水を止めることができる。これにより、第2の加熱手段4に導かれた水が蒸発されずに第2通路28内に滞留してしまうのを低減でき、カビの発生などを防ぐことができる。
【0045】
次に、スプラッシュミストによるミストサウナを行なう場合には、リモコン操作部91のスプラッシュミストサウナ運転スイッチを押す。すると、上述の動作と同じ制御が行なわれ、吹出し口16から温風が吹き出し、浴室内の温度を上昇させる。浴室温度センサーが25℃以上を検知すると、制御部は、ノズル開閉弁48を開放してスプラッシュミストノズル50からスプラッシュミストを放出させる。
【0046】
暖房運転を行なう場合にはリモコン操作部91の暖房運転スイッチを押す。すると、制御部は、熱動弁32と水比例弁45を開放する。この後温水往き温度センサー34が60℃以上を検知すると、制御部は送風ファン80を駆動し、同時に吹出し口16を開放させ、吹出し口16から温風を吹き出させる。そして、浴室の温度を所定の温度にまで上昇させたのち、浴室温度センサー33の検知信号に基づいて、送風ファン80の回転を制御し、浴室内を一定温度に保たせる。
【0047】
換気運転を行なう場合にはリモコン操作部91の換気運転スイッチを押す。すると、制御部は、換気ファン81を駆動させて浴室内の空気を室外に排出させる。
【0048】
乾燥運転を行なう場合にはリモコン操作部91の乾燥運転スイッチを押す。すると、制御部は、熱動弁32及び水比例弁45を開放し、また送風ファン80及び換気ファン81を駆動させる。この後は、浴室温度センサー33に基づいて送風ファン80の回転を制御し、室内温度が所定の設定値になるように駆動制御を行なう。
【0049】
上記のように本実施形態は、第2の加熱手段4の熱交換器40が、ミスト用熱交換器42の下流側に直列的に配置されており、従来は排熱されていたミスト用熱交換器42からの熱量を利用するようになっているので、エネルギーを高効率で使用することができる。
【0050】
ここで本実施形態の各熱交換器30,40,42は、図4のような配管とされていてもよい。
【0051】
暖房用温水管路31には、第1の加熱手段3の熱交換器30が接続されており、その第1の加熱手段3の熱交換器30の上流側に熱動弁32が設けられている。この暖房用温水管路31の熱動弁32の上流側には、ミスト加熱用温水管路44とは別に分岐温水管路52が接続されている。この分岐温水管路52には、第2の加熱手段4の熱交換器40が設けられており、この第2の加熱手段4の熱交換器40の上流側には熱動弁53が接続されている。この分岐温水管路52の下流側の端部は、暖房用温水管路31の第1の加熱手段3の熱交換器30の下流側に接続されている。
【0052】
このような構成によれば、各熱交換器30,40,42の制御を精度よく行なうことができ、例えば使用しない熱交換器のみの作動を停止したり、熱交換器ごとに熱媒の流量を調節し供給する熱量を調整する等できて、効率の良い運転制御を行なうことが可能となる。
【0053】
以上、本発明のミストサウナ装置をミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aに基づいて説明したが、本発明のミストサウナ装置は、少なくともミストサウナの機能を有していればよく、暖房のみの運転や乾燥運転や換気運転をさせる構成は必ずしも必要ではない。
【0054】
また本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは浴室に取り付けられていたが、本発明のミストサウナ装置は、サウナルームのような部屋に用いられるものであってもよく、この点限定されるものではない。また本実施形態の熱交換器30,40の熱媒は温水が用いられていたが、本発明はこの点限定されるものではない。
【0055】
また、本実施形態ではミストをノズルによって生成する構成であったが、本発明のミスト吐出口12から放出されるミストは、ノズルによって生成されるもののみに限定されない。また、本実施形態のミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機Aは、5μm未満の粒径の微細なミストが、フィルタ7によって濾過されてミスト吐出口12から吐出される構成であったが、本発明のミストサウナ装置は、多様なサイズのミストに適用可能であり、ミスト吐出口12から吐出されるミストの大きさは本実施形態のものに限定されない。
【0056】
また本実施形態は、導水手段29を連通路24が構成した例であったが、本発明の導水手段は、必ずしも連通路である必要はなく、例えばポンプを介して第2の加熱手段に導水する構成であってもよく、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 装置本体
11 空気吸入口
12 ミスト吐出口
14 装置ケーシング
15 グリル板
16 吹出し口
2 循環通路
21 上通路
22 下通路
23 仕切り板
24 連通路
25 集水部
26 下側面
27 第1通路
28 第2通路
29 導水手段
290 開閉手段
3 第1の加熱手段
35 マイクロミスト発生ノズル
36 ミスト放出口
4 第2の加熱手段
401 フィン
50 スプラッシュミスト発生ノズル
7 フィルタ
80 送風ファン
81 換気ファン
A ミストサウナ機能付き浴室暖房乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸入口とミスト吐出口とを有する装置本体と、
この装置本体内に設けられ、空気吸入口とミスト吐出口とを連通すると共に送風ファンによって送られた空気が内部を流通する循環通路と、
循環通路内に設けられ、この循環通路内の空気を加熱する第1の加熱手段と、
第1の加熱手段よりも循環通路下流側に設けられ、循環通路内にミストを放出するミスト放出口と、
ミスト放出口よりも循環通路下流側に設けられ、ミスト放出口から放出されたミストのうち所定のサイズ以上のミストの通過を制限し且つ所定のサイズ未満のミストの通過を許容するフィルタと、
循環通路内に設けられ、フィルタ不通過のミストを蒸発させる第2の加熱手段と、
を備えたことを特徴とする、ミストサウナ装置。
【請求項2】
前記循環通路は、通路の途中で第1通路とこれに隣接する第2通路とに分岐し且つこれらが下流側で合流するように形成されており、
第1通路には前記ミスト放出口と前記フィルタとが設けられると共に第2通路には第2の加熱手段が設けられ、
第1通路に、前記フィルタ不通過のミストを第2の加熱手段へ導く導水手段が設けられた、請求項1記載のミストサウナ装置。
【請求項3】
前記第1通路は上通路であると共に前記第2通路が上通路の下方に隣接する下通路であり、
前記導水手段は、上通路の下側面に設けられて上通路と下通路とを連通する連通路である、請求項2記載のミストサウナ装置。
【請求項4】
前記導水手段は、フィルタ不通過のミストの通水又は止水を可能とさせる開閉手段をさらに備えている、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のミストサウナ装置。
【請求項5】
前記第1の加熱手段及び第2の加熱手段がいずれも熱交換器である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のミストサウナ装置。
【請求項6】
ミストサウナ運転終了時に、
前記ミスト放出口によるミストの供給が停止した時点から所定の時間、第1の加熱手段と第2の加熱手段と送風ファンとを作動させるようにした、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のミストサウナ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−200431(P2011−200431A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70566(P2010−70566)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】