説明

ミストサウナ装置

【課題】 狭い浴室空間を有効利用して、ミストサウナ状態を効率よく作ることができるミストサウナ装置を提供すること。
【解決手段】 洗濯竿4が架設された浴室1に設置され、ノズル22から湯水を噴霧して浴室1の湿度と温度を上昇させるミストサウナ装置20において、ノズル22が、洗濯竿4に複数取り付けられ、洗濯竿4が、ノズル22の各々に湯水を分流させて供給する流路41,42,43が内部に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワー室に設置するミストサウナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミストサウナは、血流促進効果、体温保温効果、リラックス効果、美容効果など、種々の面で優れている。そのため、一般家庭でも、ミストサウナ装置の導入を検討することが増えてきている。
【0003】
ここで、ミストサウナ装置は、ノズル、ヒータ、送風ファンなどの機器が必要となり、設備が大型になる傾向にある。一方、一般家庭の浴室は、1坪前後のものが多く、浴室空間が限られている。従って、狭い浴室空間を有効活用しながらミストサウナ装置を設置する技術が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、浴槽の内壁面にハンドグリップを備え、ハンドグリップに、浴槽内を洗浄するための湯水を噴出する洗浄ノズルと、浴槽内でミスト浴を行うための湯水を噴出するミストノズルとが取り付けられており、ハンドグリップは中空部を備え、中空部が洗浄ノズルあるいはミストノズルへ湯水を供給する配管通路となっており、中空部の配管通路は洗浄ノズルへ湯水を供給する洗浄配管部と、ミストノズルへ湯水を供給するミスト配管部とに分けられており、洗浄配管部とミスト配管部への湯水の供給が切替弁により切り替えられる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−60984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のミストサウナ装置は、浴槽内のハンドグリップから噴霧した湯水が、浴槽内で冷やされて水滴となり、浴室全体へ行き渡りにくかった。そのため、従来のミストサウナ装置は、浴室内を有効に加湿・昇温させることが難しかった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、狭い浴室空間を有効利用して、ミストサウナ状態を効率よく作ることができるミストサウナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次のような構成を有している。
(1)洗濯竿が架設された浴室に設置され、ノズルから湯水を噴霧して前記浴室の湿度と温度を上昇させるミストサウナ装置において、前記ノズルが、前記洗濯竿に複数取り付けられ、前記洗濯竿が、前記ノズルの各々に前記湯水を分流させて供給する流路が内部に形成されていることを特徴とする。
ここで、湯水とは、温水または冷水をいう。
【0009】
(2)(1)に記載の発明において、前記ノズルが、前記洗濯竿に回転可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
(3)(2)に記載の発明において、前記洗濯竿に固定され、前記流路に連通する固定側連通路を有する固定側ノズル受け部と、前記固定側ノズル受け部に回転自在に取り付けられ、前記ノズルが斜め下方に湯水を噴霧する姿勢で中心から偏った位置に取り付けられており、前記固定側連通路から供給された湯水を前記ノズルへ供給する回転側連通路を有する回転側ノズル受け部と、を有することを特徴とする。
【0011】
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の発明において、前記流路は、前記洗濯竿の長手方向に形成されるメイン流路と、前記メイン流路から分岐して前記ノズルに接続する分岐流路とを備え、前記メイン流路は、上流側の流路断面積よりも下流側の流路断面積の方が小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記ミストサウナ装置は、洗濯竿が架設された浴室に設置され、ノズルから湯水を噴霧して浴室の湿度と温度を上昇させるミストサウナ装置において、ノズルが、洗濯竿に複数取り付けられ、洗濯竿が、ノズルの各々に湯水を分流させて供給する流路が内部に形成されているので、ミストサウナ入浴を行う場合には、浴室に架設された洗濯竿のノズルから湯水を噴霧してミストを浴室全体に行き渡らせ、浴室の湿度と温度を上昇させる。一方、ミストサウナ入浴を行わない場合には、洗濯竿を物干しとして使用することが可能である。このように、洗濯竿に、物干しとしての機能と、ノズルから湯水を噴霧する機能とを兼ね備えさせたので、洗濯竿と別に、新たにノズル等の設備を浴室の天井や側壁などに設置する必要がなく、狭い浴室空間を有効利用して、ミストサウナ状態を効率よく作ることができる。
【0013】
上記ミストサウナ装置は、ノズルが洗濯竿に回転可能に取り付けられているため、湯水の噴霧方向を変え、ミストが使用者の身体に当たる当たり方をランダムにできる。
【0014】
上記ミストサウナ装置は、洗濯竿に固定され、洗濯竿の流路に連通する固定側連通路を有する固定側ノズル受け部と、固定側ノズル受け部に回転自在に取り付けられ、ノズルが斜め下方に湯水を噴霧する姿勢で中心から偏った位置に取り付けられており、固定側連通路から供給された湯水をノズルへ供給する回転側連通路を有する回転側ノズル受け部と、を有するので、ノズルから湯水を噴霧する際に、ノズルに対して回転側ノズル受け部の中心からずれた方向に力が作用する。その力は、ノズルを介して回転側ノズル受け部に作用し、回転側ノズル受け部を固定側ノズル受け部に対して回転させる。よって、上記ミストサウナ装置によれば、ノズルの向きを湯水の水圧によって自動的に変化させることができ、ノズルを回転させる駆動手段を別途設けなくても、簡単で安価な構造で、湯水の噴霧方向を変えることができる。
【0015】
上記ミストサウナ装置は、流路が、洗濯竿の長手方向に形成されるメイン流路と、メイン流路から分岐してノズルに接続する分岐流路とを備え、メイン流路は、上流側の流路断面積よりも下流側の流路断面積の方が小さいので、洗濯竿に取り付けられた複数のノズルに供給する湯水の水圧を同程度にし、複数のノズルから浴室へミストをほぼ均一に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るミストサウナ装置を適用した浴室のイメージ図である。
【図2】同じく、ミストサウナ装置の概略構成を示す図である。
【図3】同じく、洗濯竿に取り付けられるノズルの構造を示す図である。
【図4】洗濯竿の内部流路構成を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るミストサウナ装置に適用される洗濯竿の部分拡大図であって、ノズルの構造を示す図である。
【図6】ノズルが回転する原理を説明する図である。
【図7】回転するノズルからミストを噴出する様子を示すイメージ図である。
【図8】洗濯竿の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るミストサウナ装置の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るミストサウナ装置20を適用した浴室1のイメージ図である。
浴室1は、浴槽2上の天井1aに、浴室暖房乾燥機3が設置されている。浴槽2の上方には、2本の洗濯竿4,4が架設されている。洗濯竿4は、両端部が浴室1の側壁1bに固定され、浴室暖房乾燥機3から送り出される温風が洗濯竿4にかかっている洗濯物に当たって洗濯物を乾燥させるようにされている。浴室1の側壁1bには、リモコン11が取り付けられている。リモコン11は、換気モード、衣類乾燥モード、暖房モード、涼風モード、24時間換気モード、ミストサウナモードを選んで実行できる機能を有する。本発明は、洗濯竿4が物干しとしての機能と、ノズル22から温水又は冷水(以下「湯水」という。)を噴霧する機能を兼ね備える点に特徴を有する。
【0019】
図2は、ミストサウナ装置20の概略構成を示す図である。
ミストサウナ装置20は、暖房用熱源5から床暖房などの暖房器具へ送られる温水を熱源として利用している。暖房用熱源5には、暖房用熱源5で加熱された温水を循環させる温水回路6が接続されている。熱交換器8は、温水回路6と、水道水を供給する給水回路7に接続され、給水回路7を流れる水道水と温水回路6を流れる温水との間で熱交換を行い、水道水を加熱するものである。開閉弁9は、通常、弁閉状態にされており、リモコン11によりミストサウナモードが設定されると、弁開して水道水を熱交換器8に供給する。流量調整弁12は、温水回路6上に配設され、湯水回路10に流れる湯水の温度を制御している。
【0020】
ここで、通常、給湯器では、給湯水を作るのに、最低3L/minぐらいの湯量(最低作動流量)が必要である。つまり、給湯器は、3L/min以下の湯量では稼働しない。一方、ミストサウナ装置は、給湯器の最低作動流量よりもっと少ない湯量でも、浴室にミストサウナ環境にすることができる。そのため、給湯器の湯水を利用する方式では、水や、湯水を作るためのガスを余分に使うことになり、無駄が生じる。それに対して、本実施形態のミストサウナ装置20は、暖房用熱源5で作られる暖房用温水を用い、熱交換器8で水道水と熱交換することにより、給湯器の最低作動流量より少ない流量の水道水を温水にすることができ、節水や省エネが図れるようにしている。
【0021】
熱交換器8は、湯水回路10を介して洗濯竿4に接続されている。洗濯竿4には、複数のノズル22が長手方向に均等に配置され、取り付けられている。本実施形態では、10個のノズル22A、22B、22C、22D、22E、22F、22G、22H、22I、22Jが洗濯竿4に取り付けられている。ミストサウナ装置20の動作は、リモコン11を介して入力された設定条件(浴室温度、浴室湿度、保温時間等)に従って制御される。
【0022】
図3は、洗濯竿4に取り付けられるノズルの構造を示す図である。
ノズル22は、湯水回路10に接続される雄ねじ部22bと、湯水を噴出する噴出口22aを備える。噴出口22aは、広角に湯水を噴霧するように構成されている。ノズル22は、湯水を細かい粒子で噴霧する。本実施形態では、ノズル22A〜22Jは、100μm以下のミストを噴霧する。
【0023】
図4は、洗濯竿4の内部流路構成を示す図である。
洗濯竿4の中心には、長手方向に沿って、第1メイン流路41と第2メイン流路42が連続して形成されている。第1メイン流路41は、第2メイン流路42より流路断面積が大きくされている。洗濯竿4は、第1メイン流路41から第2メイン流路42へ湯水が流れるように、湯水回路10に接続されている。第1メイン流路41は、分岐流路43A,43B,43C,43D,43Eを介してノズル22A〜22Eに接続されている。また、第2メイン流路42は、分岐流路43F,43G,43H,43I,43Jを介してノズル22F〜22Jにそれぞれ接続されている。
【0024】
このようなミストサウナ装置20は、リモコン11にミストサウナモードを実行する指示が入力されると、予め設定された設定条件に従って、動作を開始する。
【0025】
具体的には、開閉弁9が開き、水道水を熱交換器8へ供給する。開閉弁9は、例えば、各ノズル22A〜22Jが0.02l/minずつ湯水を噴霧するように、水道水の供給量を制御する。熱交換器8は、暖房用熱源5から供給される温水により、水道水を給湯温度に加熱する。給湯温度は、ミストサウナモード実行時における浴室温度に外気温などの外乱を考慮して自動的に計算される。ミストサウナモード実行時における浴室温度は、使用者がリモコン11に任意に設定できる。そのため、使用者は、例えば、夏場には浴室温度を28度に設定したり、冬場には浴室温度を43度に設定するなど、適宜変更できる。例えば、浴室温度が43度に設定された場合、熱交換器8は、給湯温度を70度とするように、温水回路6を流れる温水で給水回路7を流れる水道水を加熱する。加熱された湯水は、湯水回路10を介して洗濯竿4へ供給される。
【0026】
湯水は、第1メイン流路41から第2メイン流路42へ向かって流れる。その間に、湯水は、第1及び第2メイン流路41,42から分岐流路43A〜43Jへそれぞれ分流され、ノズル22A〜22Jから浴室1へ噴霧される。第2メイン流路42は、第1メイン流路41より流路断面積が小さい。そのため、複数のノズル22A〜22Jから湯水を噴霧しても、下流側のノズル22F〜22Jへ供給される湯水に水圧が、上流側のノズル22A〜22Eへ供給される湯水に水圧と同程度となる。よって、複数のノズル22A〜22Jからほぼ均等にミストが噴霧される。湯水は、ノズル22A〜22Jから噴霧される際には70度程度であるが、噴霧後に浴室1の空気に冷却されて温度が設定温度に低下する。浴室1に設定温度のミストが広がることにより、浴室1の湿度と温度が上昇する。浴室1の湿度と室温がミストサウナモードの設定値に達すると、その設定値を維持するように、ノズル22A〜22Jからミストが噴霧される。
【0027】
ノズル22A〜22Jに供給される湯水の流量は、0.02l/minと少ない。しかも、ノズル22A〜22Jは、100μm以下の細かい粒子でミストを噴霧する。よって、入浴者は、ミストが肌に直接当たる感覚がなく、しっとりと肌が潤う体感を得ることができる。
【0028】
リモコン11でミストサウナモードが設定されていない場合には、開閉弁9が弁閉する。そのため、洗濯竿4のノズル22A〜22Jからは湯水が噴霧されない。この場合、洗濯竿4には、ハンガーなどがつるされ、洗濯物が干される。特に、リモコン11で衣類乾燥モードを設定すれば、洗濯竿4に干した洗濯物に温風を当てて、衣類を乾燥させることができる。
【0029】
以上説明したように、本第1実施形態のミストサウナ装置20は、洗濯竿4が架設された浴室1に設置され、ノズル22から湯水を噴霧して浴室1の湿度と温度を上昇させるものにおいて、ノズル22が、洗濯竿4に複数取り付けられ、洗濯竿4が、ノズル22の各々に湯水を分流させて供給する流路41,42,43が内部に形成されているので、ミストサウナ入浴を行う場合には、洗濯竿4のノズル22から湯水を噴霧してミストを浴室1の全体に行き渡らせ、浴室1の湿度と温度を上昇させる。一方、ミストサウナ入浴を行わない場合には、洗濯竿4を物干しとして使用することが可能である。このように、洗濯竿4に、物干しとしての機能と、ノズル22から湯水を噴霧する機能とを兼ね備えさせたので、洗濯竿4と別に、新たにノズル22等の設備を浴室1の天井1aや側壁1bなどに設置する必要がなく、狭い浴室空間を有効利用して、ミストサウナ状態を効率よく作ることができる。
【0030】
また、上記ミストサウナ装置20は、流路41,42,43が、洗濯竿4の長手方向に形成されるメイン流路41,42と、メイン流路41,42から分岐してノズル22に接続する分岐流路43とを備え、メイン流路41,42は、上流側の第1メイン流路41の流路断面積よりも下流側の第2メイン流路42の流路断面積の方が小さいので、洗濯竿4に取り付けられた複数のノズル22A〜22Jに供給する湯水の水圧を同程度にし、複数のノズル22A〜22Jから浴室1へミストをほぼ均一に噴霧することができる。
【0031】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るミストサウナ装置に適用される洗濯竿4の部分拡大図であって、ノズル22の構造を示す図である。図6は、ノズル22が回転する動作原理を説明する図である。図7は、回転するノズルからミストを噴出する様子を示すイメージ図である。尚、図5〜図7では、ノズル22を簡略化して記載しており、また、図面を見やすくするために分岐流路43とノズル22の添え字A〜Jを省略して記載している。
第2実施形態のミストサウナ装置は、洗濯竿4に対してノズル22が回転自在に取り付けられている点が、相違する。
【0032】
図5に示すように、ノズル22は、固定側ノズル受け部33と回転側ノズル受け部34とを介して洗濯竿4に取り付けられている。固定側ノズル受け部33は、分岐流路43に対応して、それぞれ洗濯竿4に固定されている。固定側ノズル受け部33は、分岐流路43に連通する固定側連通路33aが形成されている。一方、回転側ノズル受け部34は、固定側ノズル受け部33に軸35を介して回転自在に取り付けられている。回転側ノズル受け部34には、固定側連通路33aに連通する回転側連通路34aが形成されている。固定側連通路33aと回転側連通路34aとの接続部分は、図示しないシール部材によりシールされ、湯水が流路接続部分から漏れないようにされている。
【0033】
図5及び図6に示すように、ノズル22は、回転側ノズル受け部34の下面に対して、中心から外側へずれた位置に偏って取り付けられている。また、ノズル22は、斜め下方へ湯水を噴霧する姿勢で、回転側ノズル受け部34に取り付けられている。図5に示すように、固定側連通路33aと回転側連通路34aは、分岐流路43から真下に供給された湯水をノズル22へ向かって斜めに供給するように、形成されている。
【0034】
このような洗濯竿4では、分岐流路43に供給された湯水が固定側連通路33aと回転側連通路34aを介してノズル22へ供給され、ノズル22から噴霧される。このとき、ノズル22は、図6の矢印F1に示すように、固定側連通路33aと回転側連通路34aを介して斜め下向きに湯水を供給され、ミストを噴出する。このとき、ノズル22には、図6に示すように、湯水を噴霧する方向(ミストを噴出する方向)と反対向きの力F2が作用する。ノズル22は、湯水を斜め下方に噴出する姿勢で、回転側ノズル受け部34に偏って取り付けられている。図6に示すように、力F2をxyz軸方向へ分解すると、x軸方向の力F3は、回転側ノズル受け部34を固定側ノズル受け部33に対して軸支させる軸35に固定され、動かない。また、y軸方向の力F4は、洗濯竿4に固定されて、動かない。これに対して、z軸方向の力F5だけは、固定されていない。そのため、回転側ノズル受け部34は、力F5に従って、図中K方向へ回転する。つまり、ノズル22は、分岐流路43から供給される湯水の水圧によって自動的に回転し、ミストを噴出する方向を変化させる。
【0035】
よって、第2実施形態のミストサウナ装置によれば、ノズル22が洗濯竿4に回転可能に取り付けられているため、湯水の噴霧方向を変え、ミストが使用者の身体に当たる当たり方をランダムにできる。
特に、図7に示すように、洗濯竿4に取り付けられた複数のノズル22が、分岐流路43から供給される湯水の水圧によってミストの噴出方向をバラバラに変えるため、使用者の身体にミストが当たる当たり方がより一層ランダムとなり、使用者に心地よさを与えることができる。
【0036】
そして、第2実施形態のミストサウナ装置は、洗濯竿4に固定され、分岐流路43に連通する固定側連通路33aを有する固定側ノズル受け部33と、固定側ノズル受け部33に回転自在に取り付けられ、ノズル22が斜め下方に湯水を噴霧する姿勢で中心から偏った位置に取り付けられており、固定側連通路33aから供給された湯水をノズル22へ供給する回転側連通路34aを有する回転側ノズル受け部34と、を有するので、ノズル22から湯水を噴霧する際に、ノズル22に対して回転側ノズル受け部34の中心からずれた方向に力が作用する。その力は、ノズル22を介して回転側ノズル受け部34に作用し、回転側ノズル受け部34を固定側ノズル受け部33に対して回転させる。よって、第2実施形態のミストサウナ装置によれば、ノズル22の向きを湯水の水圧によって自動的に変化させることができ、ノズル22を回転させる駆動手段を別途設けなくても、簡単で安価な構造で、湯水の噴霧方向を変えることができる。
【0037】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
たとえば、洗濯竿4に変えて、図8に示す洗濯竿50を浴室1に架設しても良い。洗濯竿50は、メイン流路51,53,52が長手方向に連続して形成されている。洗濯竿50の両端部から開設されたメイン流路51,52は、その間のメイン流路53より流路断面積が大きくされている。洗濯竿50は、湯水がメイン流路51,52の両方向から供給される。湯水は、ノズル22A〜22C、22H〜22Jから噴霧されるため、中心部へ向かって水圧が低下する。しかし、メイン流路51,52を接続するメイン流路53の流路断面積がメイン流路51,52より小さいため、メイン流路53を流れる湯水の水圧がメイン流路51,52と同程度となり、ノズル22A〜22Jから湯水がほぼ均等に噴霧される。
また、洗濯竿4のメイン流路は、流路断面積が上流側から下流側へ向かって連続して小さくなる略円錐形状に設けてもよい。
また、上記実施形態では、1つのリモコン11で浴室暖房乾燥とミストサウナの制御を行うようにしたが、浴室暖房乾燥用のリモコンとミストサウナ用のリモコンを別個に設けても良い。
また、上記実施形態では、リモコン11で設定した浴室温度を設定するようにした。これに対して、ノズル22に供給される湯水の温度(給湯温度)に応じて浴室温度を自動設定するようにしても良い。具体的には、例えば、使用者は、リモコン11により、給湯温度を冷水、40度、50度、60度、70度に適宜変更できるようにする。給湯温度が70度に設定された場合、熱交換器8は湯水回路10を流れる湯水の温度が70度になるように、温水回路6を流れる温水の湯量を調整し、給水回路7を流れる水道水を加熱する。加熱された水道水は、湯水回路10を介して洗濯竿4に供給される。また、リモコン11で給湯温度が冷水に設定された場合には、流量調整弁12を閉じて温水回路6を流れる温水を止め、給水回路10を流れる水道水をそのまま湯水回路10を介して洗濯竿4へ供給する。これらの場合、ノズル22からは、湯水がリモコン11で設定した給湯温度で噴霧され、浴室11に給湯温度のミストが広がることにより、浴室1の湿度と温度が上昇する。
また、上記実施形態では、洗濯竿4へ供給する湯水の湯量を0.02L/minとしたが、洗濯竿4に供給される湯量はこれに限定されるものでなく、適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 浴室
4 洗濯竿
20 ミストサウナ装置
22A〜22J ノズル
33 固定側ノズル受け部
33a 固定側連通路
34 回転側ノズル受け部
34a 回転側連通路
41 第1メイン流路(流路、メイン流路に相当)
42 第2メイン流路(流路、メイン流路に相当)
43A〜43J 分岐流路
50 洗濯竿
51、52、53 メイン流路
54A〜54J 分岐流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯竿が架設された浴室に設置され、ノズルから湯水を噴霧して前記浴室の湿度と温度を上昇させるミストサウナ装置において、
前記ノズルが、前記洗濯竿に複数取り付けられ、
前記洗濯竿が、前記ノズルの各々に前記湯水を分流させて供給する流路が内部に形成されている
ことを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載するミストサウナ装置において、
前記ノズルが、前記洗濯竿に回転可能に取り付けられている
ことを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載するミストサウナ装置において、
前記洗濯竿に固定され、前記流路に連通する固定側連通路を有する固定側ノズル受け部と、
前記固定側ノズル受け部に回転自在に取り付けられ、前記ノズルが斜め下方に湯水を噴霧する姿勢で中心から偏った位置に取り付けられており、前記固定側連通路から供給された湯水を前記ノズルへ供給する回転側連通路を有する回転側ノズル受け部と、を有する
ことを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載するミストサウナ装置において、
前記流路は、前記洗濯竿の長手方向に形成されるメイン流路と、前記メイン流路から分岐して前記ノズルに接続する分岐流路とを備え、
前記メイン流路は、上流側の流路断面積よりも下流側の流路断面積の方が小さい
ことを特徴とするミストサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205798(P2012−205798A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74155(P2011−74155)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】