説明

ミストサウナ装置

【課題】浴室内に1ミクロン未満のミスト噴霧を行うミストサウナ装置において、運転の詳細な状態検知および使用者に直感的に報知することを目的とする。
【解決手段】浴室の温度を検知する浴室温度検知手段10と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段11と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段12と、浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段23を備えたミストサウナ装置において、運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置13を浴室内に備え、運転の詳細な状態の判断は、浴室温度、浴室湿度、壁面温度と、温度設定を下げる操作により行うという構成にしたことにより、運転の詳細な状態を遠隔操作表示装置13の表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示することで、使用者のミストサウナ浴を妨害することなく感覚的に報知できるミストサウナ装置を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内をサウナ空間とするミストサウナ装置の1ミクロン未満のミスト噴霧を行うミストサウナ運転の詳細な状態検知および可視化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のミストサウナ装置は、動作状態により保護動作を行う場合や異常を検知した場合に使用者に報知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのミストサウナ装置について図7を参照しながら説明する。
【0004】
図7に示すように、装置101は温水供給手段102から温水配管103を介して浴室内にミスト噴霧を行うミスト噴霧手段104と、前記温水配管103からの温水を供給/遮断を行う供給弁105と、前記温水供給手段102から供給される温度を検知するミスト温度検知手段106と、排水を行う排水手段107と、前記ミスト温度検知手段106の変動次第で待機運転となり、待機運転である旨を使用者に報知する報知手段108を備えている。ミスト噴霧手段104と排水手段107は前記供給弁105から分岐されて接続され、それぞれ断続弁104a、107aを備えている。通常のミスト運転時は、断続弁104aを開、供給弁105を開、断続弁107aを閉とすることにより浴室内へミスト噴霧を行い、前記ミスト温度検知手段106の変動により浴室内への噴霧を止める場合は、待機運転として、断続弁104aを閉、供給弁105を開、断続弁107aを開とすることにより排水手段107により装置外へ排出されるとともに、前記報知手段108によりミスト運転のLED点滅とブザー鳴動により使用者に報知する。
【0005】
また、この種の装置として、浴槽の湯張りに連動して浴室を暖房する浴室暖房装置で、浴室の窓の開閉を浴室の温度の変動により検知し、開放を検知した場合に、使用者に報知し、暖房運転の実行を停止するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
以下、その装置について図8および図9を参照しながら説明する。
【0007】
図8に示すように、装置201は浴室の天井部に設置され、浴室の空気を循環送風する循環ファン202と、この循環ファン202で循環送風する空気を暖める加温手段203と、浴室の空気を屋外へ排出する換気ファン204と、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段205から構成されている。また、装置201の下面には、浴室へ開口して浴室の空気を吸いこむ吸い込み口206と、浴室へ空気を吹き出す吹き出し口207と、この吹き出し口207から吹き出す空気の方向を調整するルーバ208を備えている。また、装置201には、これら循環ファン202、加温手段203、換気ファン204、ルーバ208を組み合わせて駆動する制御部209と、運転動作や設定などの指示を行ったり、異常を使用者に報知する遠隔操作装置210を備えている。また、装置201は浴槽の湯張りの信号(図示せず)を受信したら前記制御部209により暖房運転を実行する。
【0008】
次に、浴室の窓の開閉の検知について説明する。浴槽の湯張りの信号により暖房運転が実行され、図9に示すように、浴室の窓が閉じている場合は線Aのような浴室の温度変化を示す。また、浴室の窓が開いている場合は点線Bのような浴室の温度変化を示す。
【0009】
浴室の窓が閉じている場合は、浴室の窓が開いている場合に対して短時間で浴室の温度が上昇することから、浴室温度の上昇率、あるいは暖房運転を開始してから所定時間経過したときの浴室温度が基準値以上なら浴室の窓は閉まっていると判断し、基準値未満なら浴室の窓が開いていると判断する。従って、湯張りの指令を受け、暖房運転を開始し、窓の開放を検知した場合に前記遠隔操作装置210により使用者に報知し、前記制御部209により暖房運転を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4697026号公報
【特許文献2】特許第3773297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような従来のミストサウナ装置においては、異常状態の検知および使用者への報知と停止動作を行う構成となっていたので、異常状態の詳細はわかるが、通常運転時の使用者への報知については運転モードと現在の設定程度であり、目に見えないほどの微細水滴のミスト噴霧を行うミスト運転の運転状態の詳細については個人差のある使用者の体感でしかわからないという課題を有していた。
【0012】
また、報知方法についても運転LEDの点滅やブザーによる構成であり、運転の詳細な状態を同様の報知方法で行うと、運転LEDの点滅では表示をわざわざ覗き込まないとよくわからない、ブザーではその音により雰囲気を壊してしまうなど、異常状態とは異なり、通常運転時に同様の報知方法で報知を行うと、使用者がリラックスしてミストサウナ浴を楽しむ事を妨害するという課題を有していた。
【0013】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ミスト運転の運転状態の詳細について使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できるミストサウナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために、本発明は、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段と、温水および水を破砕温水および水を破砕して浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段を備えたミストサウナ装置において、ミストサウナ装置に運転を指令したり、温度設定および風向設定を変更したり、ミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置を浴室内に備え、ミストサウナ運転の詳細な状態の判断は、浴室温度検知手段と、壁面温度検知手段と、浴室湿度検知手段と、温度設定を下げる操作により行うとしたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段と、温水および水を破砕して浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段を備えたミストサウナ装置において、ミストサウナ装置に運転を指令したり、温度設定および風向設定を変更したり、ミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置を浴室内に備え、ミストサウナ運転の詳細な状態の判断は、浴室温度検知手段と、壁面温度検知手段と、浴室湿度検知手段と、温度設定を下げる操作により行うという構成にしたことにより、運転開始からミストサウナ浴可能になるまでの「ミストサウナ準備中」と、「ミストサウナ運転中」と、温度設定を下げたことにより一時的に浴室温度を下げる動作を行う「クールダウン中」といったミストサウナ運転の詳細な状態が判断でき、その状態を遠隔操作表示装置の表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示し、使用者に感覚的に状態を示すこととなるので、ミスト運転の運転状態の詳細について使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できるという効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明によれば、浴室の扉の開閉を検知する浴室扉開閉検知手段と、浴室の窓の開閉を検知する浴室窓開閉検知手段とを備え、ミストサウナ運転時に少なくとも一方が開いていると検知された場合には、遠隔操作表示装置の表示画面の背景色の点滅で、使用者に報知するとともに扉および窓を閉めるよう促すという構成にしたことにより、ミスト運転中はいつでも浴室の扉または窓の開閉が確実に検知でき、浴室の扉または窓が開いていると検知した場合は、遠隔操作表示装置により使用者に報知されることとなるので、ミスト運転時に浴室の扉または窓が開いている場合は、使用者に浴室の扉および窓を閉じる作業を促すという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1のミストサウナ装置の構成図
【図2】同ミストサウナ運転の詳細な状態を示す状態遷移図
【図3】同浴室の窓が閉状態での暖房運転、ミストサウナ運転の浴室温度変化図
【図4】同ミストサウナ運転の温度設定毎の浴室温度、浴室湿度、壁面温度の目標値例を示す図
【図5】本発明の実施の形態2おけるミストサウナ装置の構成図
【図6】同ミストサウナ運転の詳細な状態を示す状態遷移図
【図7】従来のミストサウナ装置の構成図
【図8】従来の浴室の窓開閉検知手段を有する装置の構成図
【図9】浴室の窓が開状態、閉状態における暖房運転開始時からの浴室温度変化図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の請求項1記載のミストサウナ装置は、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段と、温水および水を破砕して浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段を備えたミストサウナ装置において、ミストサウナ装置に運転を指令したり、温度設定および風向設定を変更したり、ミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置を浴室内に備え、ミストサウナ運転の詳細な状態の判断は、浴室温度検知手段と、壁面温度検知手段と、浴室湿度検知手段と、温度設定を下げる操作により行うという構成としたものである。これにより、浴室温度検知手段と、壁面温度検知手段と、浴室湿度検知手段から得られる浴室温度、壁面温度、浴室湿度の値と、ミストサウナ運転における浴室の詳細な状態がわかり、また、温度設定を下げたときの操作により、ミストサウナ運転だが一旦冷やす動作になることがわかり、その状態を遠隔操作表示装置の表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示し、使用者に感覚的に状態を示すこととなるので、ミスト運転の運転状態の詳細について使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できるという効果を奏する。
【0019】
また、ミストサウナ運転の詳細な状態は、運転開始からミストサウナ浴可能になるまでの「ミストサウナ準備中」と、「ミストサウナ運転中」と、温度設定を下げたことにより一時的に浴室温度を下げる動作を行う「クールダウン中」としたという構成としたものである。これにより、例えば浴室温度と壁面温度が30℃以上、浴室湿度が80%以上なら浴室全体が暖まり、湿度も高く、発汗が促進される状態でミスト浴を楽しめる環境が整っていると判断でき、また、温度設定を下げる操作により、一旦目標温度を下げるための動作が行われる事になるので、操作後の到達条件が整うまではクールダウンの状態にあると判断でき、「ミストサウナ準備中」、「ミストサウナ運転中」あるいは「クールダウン中」といったミストサウナ運転の詳細な状態を遠隔操作表示装置により、例えば「ミストサウナ準備中」は表示画面の背景色を暖めているイメージの橙色として、進行中であるイメージの点滅とすることで表示し、「ミストサウナ運転中」は表示画面の背景色を暖めているイメージの橙色で、安定しているイメージのある点灯とすることで表示し、「クールダウン中」は表示画面の背景色を冷やすイメージのある青色の点灯と表示することで使用者に感覚的に状態を示すこととなるので、ミスト運転の運転状態の詳細について使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できるという効果を奏する。
【0020】
さらに、浴室の扉の開閉を検知する浴室扉開閉検知手段と、浴室の窓の開閉を検知する浴室窓開閉検知手段とを備え、ミストサウナ運転時に少なくとも一方が開いていると検知された場合には、遠隔操作表示装置の表示画面の背景色の点滅で、使用者に報知するとともに扉および窓を閉めるよう促すという構成としたものである。これにより、ミスト運転中はいつでも浴室の扉または窓の開閉が確実に検知でき、浴室の扉または窓が開いていると検知した場合は、遠隔操作表示装置により使用者に報知されることとなるので、ミストサウナ運転時に浴室の扉または窓が開いている場合は、使用者に浴室の扉および窓を閉じる作業を促すという効果を奏する。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるミストサウナ装置の構成図である。図において、ミストサウナ装置は、筐体1内部に浴室2内を加温する加温手段3と、浴室2内を加湿する加湿手段4と、加温手段3により加温され、加湿手段4により加湿された空気を浴室2内に送風する加温加湿空気送風手段5と、送風の為の吸い込み口6および風向を調整するための可動ルーバー7を備えた吹き出し口8と、加温手段3や加湿手段4などを制御する制御部9と、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段10と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段11を備え、浴室2内に浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段12と、運転動作や設定などの指示を行う設定手段および使用者にミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する報知手段としての遠隔操作表示装置13を備えている。
【0023】
加温手段3は、温水を供給する温水供給手段としての給湯機14から温水配管15を介して温水の循環供給を受ける第1の熱交換器16と、第1の熱交換器16に水または温水の供給を断続する加温用熱動弁17が、吸い込み口6を通して浴室2内の空気を吸引し、吹き出し口8を通して空気を吹き出す循環風路18内にあり、加温加湿空気送風手段5により通風が行われることにより、循環風路18を通る空気を加温する。
【0024】
加湿手段4は、水を供給する給水手段19と、前記温水配管15および給水配管20を介して温水と水の熱交換を行う第2の熱交換器21と、温水の流量を調整する流量調整手段22と、流量調整手段22により調整された温水および冷水を浴室内にミスト噴霧を行うミスト噴霧手段23から構成され、前記加温加湿空気送風手段5により通風が行われることで浴室2内の加湿を行う。
【0025】
加温加湿空気送風手段5は、クロスフローファンやシロッコファンなどである。ファンを回転させることで、吸い込み口6を通して浴室2内の空気を吸引し、加温手段3および加湿手段4で加温、加湿された空気を吹き出し口8を通して浴室2内に吹き出す方向に取り付けられており、回転数を後述の制御部9により制御することで通風量が変化することとなる。
【0026】
可動ルーバー7は、吹き出し口8付近に浴室2内への風向を調節するための風向変更手段として備えられ、可動ルーバー7を任意の角度に移動するステッピングモータ7aにより角度調節が可能となっている。
【0027】
制御部9は、マイクロコンピュータなどを利用した制御基板により、後述の遠隔操作表示装置13からの入力情報、加温加湿空気送風手段5のファン回転数情報、浴室温度検知手段10や壁面温度検知手段12、後述のミスト温度検知手段29からの温度情報、浴室湿度検知手段11からの湿度情報を入力とし、その情報に応じて加温加湿空気送風手段5、可動ルーバー7、加温用熱動弁17、後述の開閉弁26、流量調整手段22などに対し、リレーの開閉やオンオフ信号、風向角度指令信号、開度指令信号、開度動作速度指令信号、回転数指令信号などを出力することで各々動作させ、加温手段3や加湿手段4などを制御することとなる。
【0028】
浴室温度検知手段10は、温度に対して抵抗値が変化するサーミスタやリニア抵抗器及び白金測温抵抗体などの温度センサ、または、2種類の異なる金属線を先端で接合し、両端の温度差に応じて発生する微弱な電圧を利用した熱電対である。
【0029】
浴室湿度検知手段11は、感湿膜に高分子材料を用いられ抵抗変化や静電容量の変化を利用した湿度センサである。
【0030】
壁面温度検知手段12は、温度に対して抵抗値が変化するサーミスタやリニア抵抗器及び白金測温抵抗体などの温度センサ、または、2種類の異なる金属線を先端で接合し、両端の温度差に応じて発生する微弱な電圧を利用した熱電対である。
【0031】
遠隔操作表示装置13は、浴室2内に設けられた有線方式または電波や光、その他媒体を利用した無線方式の制御部9と双方向に通信可能なリモコンで、各操作スイッチの操作により制御部9に運転モードや温度設定、風向設定などの指令を行うこととなる。遠隔操作表示装置13には、ミストサウナ運転を指令するミストサウナ運転スイッチ13a、ミスト噴霧温度の設定を行う温度設定スイッチ13b、吹き出し口8から浴室2内への送風方向を指令する風向設定スイッチ13c、運転を停止する運転停止スイッチ13dなどが設けられている。前記制御部9は前記遠隔操作表示装置13の指令に基づいて、ミストサウナ運転スイッチ13aが押されるとミストサウナ運転を実行し、温度設定スイッチ13bが押されるとミスト噴霧温度の温度設定変更を実行し、風向設定スイッチ13cが押されると風向設定変更を実行し、運転停止スイッチ13dが押されると運転停止を実行するように構成されている。
【0032】
また、遠隔操作表示装置13は、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのカラー表示画面を備えており、後述するミストサウナ運転の詳細な状態に応じて、表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせを変えて表示することで、使用者にミストサウナ運転の詳細な状態が報知される。
【0033】
流量調整手段22は、任意の角度に移動するステッピングモータが流量弁に直結されており、このステッピングモータに制御部9から開度指令信号および開度動作速度指令信号を与えることにより任意の開度に調整可能となっている。
【0034】
ミスト噴霧手段23は第2の熱交換器21からミスト配管24を介してノズル部25へ温水および冷水の供給を断続する開閉弁26と、ノズル部25より噴霧された水滴が衝突する噴霧水衝突面27と、噴霧水衝突面27で衝突により一部微細化された水滴のうち大粒のものを振り分ける気液分離手段28とから構成され、開閉弁26の開閉によりミスト噴霧のON/OFFが制御される。
【0035】
また、ミスト噴霧温度を検知するミスト温度検知手段29が第2の熱交換器21から開閉弁26までの間に設けられている。
【0036】
気液分離手段28は、細い線形のステンレス線がランダムに絡みあった形状のものであり、噴霧水衝突面27で衝突により一部微細化された水滴が気液分離手段28のステンレス線を通過するときに、大粒の水滴がステンレス線に衝突付着し、同付着を繰り返すことにより付着水が大きくなり付着水の自重で下部に設けられた貯水部30に落下する。貯水部30は、噴霧水衝突面27で水滴にならずに付着した水も貯水できるように噴霧水衝突面27の下面にも設けられている。貯水部30の最下部は排水管31に接続されており、貯水部30に貯められた水は、排水管31から排水される。気液分離手段28でステンレス線に衝突付着しなかった微細化された水滴(1ミクロン未満の微細水滴)を含んだ空気は、吹き出し口8から浴室2に吹き出される。
【0037】
ミスト温度検知手段29は、温度に対して抵抗値が変化するサーミスタやリニア抵抗器及び白金測温抵抗体などの温度センサ、または、2種類の異なる金属線を先端で接合し、両端の温度差に応じて発生する微弱な電圧を利用した熱電対である。
【0038】
次に、遠隔操作表示装置13で挙げたミストサウナ運転スイッチ13a、温度設定スイッチ13b、風向設定スイッチ13c、運転停止スイッチ13dの各スイッチが押された場合、つまりミストサウナ運転と、温度設定変更と、風向設定変更と、運転停止について説明する。
【0039】
ミストサウナ運転は、浴室温度検知手段10、浴室湿度検知手段11、壁面温度検知手段12、ミスト温度検知手段29などで検出した値に応じて、指示された状態に到達すべく流量調整手段22を制御させ、加湿手段4の開閉弁26を開とすることで、ミスト噴霧手段23から水または温水の噴霧が行われ、加温加湿空気送風手段5を浴室2内に通風される加温加湿空気の通風量がサウナ運転用の通風量となるよう作動させるとともに、浴室2内の温度が指示された状態に維持されるように、加温用熱動弁17の開閉を制御して第1の熱交換器16に熱媒としての温水を循環供給し、この第1の熱交換器16と加湿手段4により加温および加湿された空気が循環風路18を通して吹き出し口8から浴室2内に吹き出すようにしている。
【0040】
温度設定変更は、ミスト温度検知手段29に応じて流量調整手段22を制御部9から開度指令信号および開度動作速度指令信号を与えることにより、変更された設定温度への制御を行うようにしている。
【0041】
風向設定変更は、制御部9から風向角度指令信号を与えることにより、変更された設定風向へ可動ルーバー7が動作するようにしている。
【0042】
運転停止は、制御部9からリレーの開閉やオンオフ信号、風向角度指令信号、開度指令信号、開度動作速度指令信号、回転数指令信号などを機器が停止する方向に指示する(例えば風向角度指令信号は閉)ことで運転を停止するようにしている。
【0043】
次に、ミストサウナ運転の詳細な状態について図2〜図4を参照しながら説明する。図2はミストサウナ運転の詳細な状態を4つに分類した状態遷移図である。図3はミストサウナ運転を開始してからの浴室温度の変化の例である。図4は温度設定スイッチ13bにより設定される温度設定毎の浴室温度、浴室湿度、壁面温度の目標値の例である。
【0044】
図2に示すように、ミストサウナ運転をしていない状態を示す「ミスト停止中」(状態S001)と、ミストサウナ運転スイッチ13aにより運転を開始してからミストサウナ浴可能になるまでの状態を示す「ミストサウナ準備中」(状態S002)と、後述するミストサウナ浴の条件が整っている状態を示す「ミストサウナ運転中」(状態S003)と、ミスト噴霧温度の設定を行う温度設定スイッチ13bにより温度設定を下げたことにより一時的に浴室温度を下げる動作をする状態を示す「クールダウン中」(状態S004)の4つの状態に分類している。
【0045】
状態S001において、ミストサウナ運転スイッチ13aにより運転が開始されると、浴室2をミストサウナ空間とすべく制御部9により加温手段3や加湿手段4、加温加湿空気送風手段5の制御が開始され状態S002に移行する。
【0046】
状態S002においてミストサウナ準備中の処理について図3の浴室温度の時間変化例を参照しながら説明する。まずミストサウナ運転が開始され、制御部9により加温手段3と加温加湿空気送風手段5を動作させることで浴室の温度を高める動作が行われる。(図3(1)部分)浴室温度が例えば30℃以上、且つミスト噴霧温度が50℃以上であれば温度分布を高め浴室全体を早く暖めるためにミスト噴霧手段23を動作させる。ミスト噴霧手段23を動作させると、一旦浴室温度が下降するが(図3(2)部分)、これはまだ十分暖まっていない浴室壁面や床からの輻射の影響である。よって夏場など浴室の壁面温度が高い場合は輻射の影響も少なくさらに早く暖まる。一点鎖線は図3(1)部分のまま動作させた場合の(暖房運転で浴室を暖めた場合の)浴室温度の変化例である。
【0047】
状態S002において、浴室温度検知手段10と、浴室湿度検知手段11と、壁面温度検知手段12から検知される浴室温度、浴室湿度、壁面温度が図4に示す温度設定毎の目標値に到達するとミストサウナ浴が可能になったと判断して状態S003に移行する。
【0048】
状態S003において、温度設定スイッチ13bにより温度設定を下げると図4に示す浴室温度、浴室湿度、壁面温度となるように目標値が変更され状態S004に移行する。温度設定を上げた場合も目標値が変更されるが、ミストサウナ運転は基本的に浴室を暖める運転であるので状態を分類して示す必要性がないとし、状態S003に留まる。
【0049】
状態S004において、図4に示す浴室温度、浴室湿度、壁面温度が目標値に到達すると「クールダウン中」から脱したと判断して状態S003に移行する。
【0050】
状態S002、状態S003、状態S004において、運転停止スイッチ13dが押下されたり、運転時間のタイマアップなどミストサウナ運転をしていない状態となると、状態S001移行する。
【0051】
「ミストサウナ準備中」を示す状態S002は、例えばの表示画面の背景色を暖めているイメージの橙色として、進行中であるイメージの点滅とすることで表示し、「ミストサウナ運転中」を示す状態S003は、表示画面の背景色を暖めているイメージの橙色として、安定しているイメージのある点灯とすることで表示し、「クールダウン中」を示す状態S004は、表示画面の背景色を冷やすイメージのある青色の点灯とすることで表示する。
【0052】
以上から例えば温度設定を下げて「クールダウン中」という状態になり、変更した温度設定でのミストサウナ浴の条件が整った「ミストサウナ運転中」という状態への移行がなされた場合、従来は使用者の体感でしか判断できなかったが、ミストサウナ運転の詳細な状態判断と表示により、目視できない微細なミストサウナ運転の詳細な状態が、遠隔操作表示装置13の表示画面の背景色と点灯/点滅により、(例の場合、青色の点灯から橙色の点灯となり)使用者は容易に把握することが可能となる。
【0053】
このような構成によれば、浴室の温度を検知する浴室温度検知手段10と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段11と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段12と、温水および水を破砕して浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段23を備えたミストサウナ装置において、ミストサウナ装置に運転を指令したり、温度設定および風向設定を変更したり、ミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置13を浴室内に備え、ミストサウナ運転の詳細な状態の判断は、浴室温度検知手段10と、浴室湿度検知手段11と、壁面温度検知手段12と、温度設定を下げる操作により行うという構成にしたことにより、運転開始からミストサウナ浴可能になるまでの「ミストサウナ準備中」と、「ミストサウナ運転中」と、温度設定を下げたことにより一時的に浴室温度を下げる動作を行う「クールダウン中」といったミストサウナ運転の詳細な状態が判断でき、その状態を遠隔操作表示装置13の表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示し、使用者に感覚的に状態を示すこととなるので、ミスト運転の運転状態の詳細について使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2のミストサウナ装置について図5、図6を参照しながら説明する。なお、上記実施の形態1の構成要素と同じ構成要素には、同一番号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は実施の形態2におけるミストサウナ装置の構成図を示す。図5において、ミストサウナ装置32は、実施の形態1で説明したミストサウナ装置であり、浴室の扉の開閉を検知する浴室扉開閉検知手段33と、浴室の窓の開閉を検知する浴室窓開閉検知手段34とを備える。
【0055】
浴室扉開閉検知手段33、浴室窓開閉検知手段34はリレー接点の開閉で検知する機械式のもの、または、振動により開閉を検知するもの、またはホールICと磁石の組み合わせにより開閉を検知するものである。ミストサウナ装置32内の制御部9に浴室の扉および窓の開閉情報が入力される。図3のミストサウナ運転の浴室温度の変化例より一点鎖線で示した暖房運転の浴室温度の変化とは異なり、浴室温度の変化度合いで浴室の扉や窓の開閉を予測することは困難であるため、浴室の扉や窓の開閉は予測によらないものであることが望ましい。
【0056】
次に、ミストサウナ運転の詳細な状態について図6を参照しながら説明する。実施の形態1の図2で説明した内容については省略する。
【0057】
図6において、図2で説明した4つの状態に浴室の扉、浴室の窓の少なくともいずれかが開いている状態「浴室扉、窓確認要請中」(状態S005)を加えて5つの状態に分類している。
【0058】
ミストサウナ運転モード中(点線で囲った部分)である状態S002、状態S003、状態S004において、浴室扉開閉検知手段33、浴室窓開閉検知手段34により浴室の扉、浴室の窓の少なくともいずれかが開いている場合は、浴室内をミストサウナ空間とすることが困難な状態と判断して状態S005に移行する。
【0059】
状態S002、状態S003、状態S004、状態S005において、運転停止スイッチ13dが押下されたり、運転時間のタイマアップなどミストサウナ運転をしていない状態となると、状態S001移行する。
【0060】
「浴室扉、窓確認要請中」を示す状態S005は、例えば遠隔操作表示装置13の表示画面の背景色を警告、要請のイメージの赤色として、注意をひきつけるために点滅とすることで表示する。
【0061】
このような構成によれば、浴室の扉および窓に開状態および閉状態を検知する浴室扉開閉検知手段33、34を備え、ミストサウナ運転時に開いていると検知された場合には、遠隔操作表示装置13の表示画面の背景色の点滅で、使用者に報知するとともに扉および窓を閉めるよう促すという構成としたことにより、ミストサウナ運転中はいつでも浴室の扉または窓の開閉が確実に検知でき、浴室の扉または窓が開いていると検知した場合は、遠隔操作表示装置13により使用者に報知されることとなるので、ミスト運転時に浴室の扉または窓が開いている場合は、使用者に浴室の扉および窓を閉じる作業を促すという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかるミストサウナ装置は、ミストサウナ運転の詳細な状態を検知でき、使用者のミストサウナ浴を妨害することなく報知できるものであるので、電気式、温水式を問わず浴室に使用されるミストサウナ装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 筐体
2 浴室
3 加温手段
4 加湿手段
5 加温加湿空気送風手段
6 吸い込み口
7 可動ルーバー
7a ステッピングモータ
8 吹き出し口
9 制御部
10 浴室温度検知手段
11 浴室湿度検知手段
12 壁面温度検知手段
13 遠隔操作表示装置
13a ミストサウナ運転スイッチ
13b 温度設定スイッチ
13c 風向設定スイッチ
13d 運転停止スイッチ
14 給湯機(温水供給手段)
15 温水配管
16 第1の熱交換器
17 加温用熱動弁
18 循環風路
19 給水手段
20 給水配管
21 第2の熱交換器
22 流量調整手段
23 ミスト噴霧手段
24 ミスト配管
25 ノズル部
26 開閉弁
27 噴霧水衝突面
28 気液分離手段
29 ミスト温度検知手段
30 貯水部
31 排水管
32 ミストサウナ装置
33 浴室扉開閉検知手段
34 浴室窓開閉検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の温度を検知する浴室温度検知手段と、浴室の壁面温度を検知する壁面温度検知手段と、浴室内の湿度を検知する浴室湿度検知手段と、温水および水を破砕して浴室内に1ミクロン未満の微細水滴を噴霧するミスト噴霧手段を備えたミストサウナ装置において、ミストサウナ装置に運転を指令したり、温度設定および風向設定を変更したり、ミストサウナ運転の詳細な状態を表示画面の背景色および点灯/点滅の組み合わせで表示する遠隔操作表示装置を浴室内に備え、ミストサウナ運転の詳細な状態の判断は、浴室温度検知手段と、壁面温度検知手段と、浴室湿度検知手段と、温度設定を下げる操作により行うことを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項2】
ミストサウナ運転の詳細な状態は、運転開始からミストサウナ浴可能になるまでの「ミストサウナ準備中」と、「ミストサウナ運転中」と、温度設定を下げたことにより一時的に浴室温度を下げる動作を行う「クールダウン中」としたことを特徴とする請求項1に記載のミストサウナ装置。
【請求項3】
浴室の扉の開閉を検知する浴室扉開閉検知手段と、浴室の窓の開閉を検知する浴室窓開閉検知手段とを備え、ミストサウナ運転時に少なくとも一方が開いていると検知された場合には、遠隔操作表示装置の表示画面の背景色の点滅で、使用者に報知するとともに扉および窓を閉めるよう促すことを特徴とする請求項1または2に記載のミストサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−52011(P2013−52011A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190319(P2011−190319)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】