説明

ミスト噴霧システム

【課題】第1に、冷却作用を確実に発揮できると共に、結露発生も防止され、第2に、沈塵作用を確実に発揮できると共に、結露発生や凍結発生も防止され、第3に、しかもこれらが簡単容易に実現される、ミスト噴霧システムを提案する。
【解決手段】このミスト噴霧システム1は、水供給手段2からのポンプ3を経由した加圧水Aを、給水管4にて所定位置の噴霧ノズル5へと給水し、微粒子化したミストBとして噴霧する。そして例えば、外気温が高い夏季に使用され、もって、噴霧されるミストBの蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、体感温度を下げ清涼感を体感可能とする。又、ミストBが、ホコリや粉塵が浮遊する空間に噴霧され、もって、ホコリや粉塵を包み込んで沈下させる沈塵作用を発揮する。そして熱変換塗料Cが、温度対策用に例えば給水管4に塗布されており、熱変換塗料Cは、遮熱機能や断熱機能を発揮可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト噴霧システムに関する。すなわち、水をミストとして噴霧し、もって冷却作用により体感温度を下げたり、ホコリや粉塵を沈塵させる、ミスト噴霧システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
この種のミスト噴霧システムは、例えば外気温が高い夏季等において、道路,広場,公園,グランド,駐車場,プロムナード,各種施設,各種イベント会場,等々に設置される。そして、噴霧されるミストの蒸発気化熱(潜熱)による冷却作用に基づき、体感温度を下げ清涼感を演出すべく使用され、ヒートアイランド現象対策としても効果的であり、浮遊するミストによる癒し空間創出効果も期待されている。
他方、ホコリや粉塵が浮遊する工場,作業場,倉庫,建物外壁,店舗等に設置され、もってミストの沈塵作用に基づき、環境浄化用としても使用されている。
【0003】
《従来技術》
そして、このミスト噴霧システムでは、水道やタンク等の水供給手段から供給された水を、ポンプにて加圧水として、給水管にて所定位置の各噴霧ノズルへと給水し、もって、噴霧ノズルが微粒子化したミストを噴霧するようになっている。
噴霧されたミストは、微細な粒径の霧となっており、人体や衣服等を殆ど濡らすことなく、冷却作用や沈塵作用を発揮する。
そして、このようなミスト噴霧システムでは、水道やタンク等の水供給手段やポンプと、各噴霧ノズルの設置場所とは、多くの場合かなり離れており、両者間は総延長距離数m〜数10mに及ぶ給水管を経由して、給水接続されていた。
【0004】
《先行技術文献情報》
この種のミスト噴射システムの従来例としては、次の特許文献1,2,3に示された技術が、挙げられる。
【特許文献1】特開2006−177578号公報
【特許文献2】特開2008−70007号公報
【特許文献3】登録実用新案第2592899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種従来例のミスト噴霧システムにあっては、次の第1,第2の問題が指摘されていた。
《第1の問題について》
例えば、外気温が高い夏季等に、冷却作用により体感温度を下げ、清涼感を演出すべく使用された場合において、途中の給水管が、太陽光線にさらされる等により外気温の影響を受け易く、給水される加圧水の温度が上昇してしまう、という指摘があった(その用途に鑑み、給水管は外部露出配管され、しかも多岐にわたり分岐配管されることが多かった)。
もって、噴霧されるミストの温度が上昇してしまい、ミストによる周囲空間の冷却作用が低下すると共に、肌に直接触れるミストの温度も高くなり、結局、体感温度が下がらず、所期の清涼感を体感できなくなる、という問題が生じていた。
又、高温の外気に比し低温の加圧水を給水する給水管の外周回りに、結露が生じ、例えば屋内配管された給水管の場合は、結露被害が発生する、という問題も指摘されていた。
【0006】
《第2の問題について》
他方、ホコリや粉塵の沈塵用に使用された場合は、太陽光線が強く外気温が高い夏季等において、給水管にて給水される加圧水の温度上昇により、噴霧されたミストが、直ちに蒸発気化(水蒸気化)してしまう、という指摘があった。
もって、噴霧されたミストが、空中を浮遊するホコリや粉塵を、包み込み付着して沈下させる、所期の沈塵作用を発揮しない、という問題が指摘されていた。
又、外気温が高い夏季等に使用された場合は、給水管について結露発生の問題が、前述と同様に指摘されていた。更に、外気温が低い冬季等に使用された場合は、給水管そして加圧水の凍結事故が発生し、ミスト噴霧に支障が生じる、という問題が指摘されていた。
【0007】
《本発明について》
本発明のミスト噴霧システムは、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、冷却作用を確実に発揮できると共に、結露発生も防止され、第2に、沈塵作用を確実に発揮できると共に、結露発生や凍結発生も防止され、第3に、しかもこれらが簡単容易に実現される、ミスト噴霧システムを提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1のミスト噴霧システムは、水供給手段からのポンプを経由した加圧水を、給水管にて所定位置の噴霧ノズルへと給水し、もって微粒子化したミストとして噴霧する。そして、温度対策用に熱変換塗料が使用されていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。請求項2のミスト噴霧システムでは、請求項1において、該熱変換塗料は、遮熱機能や断熱機能を発揮可能であり、該給水管に塗布されている。そして、外気温が高い場合は、該給水管にて給水される該加圧水の温度上昇や該給水管の結露が防止され、外気温が低い場合は、該給水管の凍結が防止されること、を特徴とする。
【0009】
請求項3については、次のとおり。請求項3のミスト噴霧システムは、請求項2において、外気温が高い夏季等に使用され、もって、噴霧される該ミストの蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、体感温度を下げ清涼感を体感可能とすること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。請求項4のミスト噴霧システムは、請求項3において、車載されていること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。請求項5のミスト噴霧システムは、請求項2において、該ミストは、太陽電池の光起電素子パネルに向け噴霧され、もって、蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、該光起電素子パネルの温度上昇を防止すること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。請求項6のミスト噴霧システムは、請求項2において、該ミストは、ホコリや粉塵が浮遊する空間に向け噴霧され、もって、該ホコリや粉塵を包み込んで沈下させる沈塵作用を発揮すること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。請求項7のミスト噴霧システムは、請求項6において、該給水管にて給水される該加圧水は、粉砕された界面活性剤が混入されており、もって、該ミストの沈塵作用が促進されると共に、一旦地面や床に沈下した該ホコリや粉塵が、事後に空間へと再浮遊することが防止されること、を特徴とする。
【0010】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)このミスト噴霧システムでは、水供給手段そしてポンプからの加圧水が、給水管を経由して噴射ノズルへと給水され、もって微粒子化したミストとして噴霧される。
(2)そして例えば、外気温が高い夏季等に使用され、ミストの蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、体感温度を下げるべく使用される。又、太陽電池パネル等の温度上昇を防止すべく使用される。
(3)他方、浮遊するホコリ対策,粉塵対策としても使用され、ミストが沈塵作用を発揮する。
(4)そして給水管等に、熱変換塗料が塗布されている。
(5)そこでまず、塗布された熱変換塗料の遮熱機能により、太陽光線に基づく給水管等や加圧水の温度上昇が、防止される。更に、熱変換塗料の断熱機能により、高い外気温からの熱伝導が抑えられ、この面からも、これらの温度上昇が防止される。
(6)これらにより、噴霧されるミストの温度上昇が防止され、もってミストが、冷却作用を確実に発揮するようになる。従って、体感温度を下げたり、太陽電池パネルの温度上昇を防止したりすることが、支障なく実現される。
(7)又、熱変換塗料の断熱機能により、給水管等の結露も防止される。
(8)噴霧されるミストの温度上昇が防止されるので、ミストが、直ちに蒸発気化することなく、ホコリや粉塵の沈塵作用を確実に発揮可能となる。
(9)冬季等の外気温が低い場合に使用された際は、熱変換塗料の断熱機能により、給水管そして加圧水の凍結が防止される。
(10)そして、このミスト噴霧システムは、給水管等に熱交換塗料を塗布するという、簡単な構成よりなる。
(11)そこで、このような本発明のミスト噴霧システムは、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
《第1の効果》
第1に、本発明のミスト噴霧システムは、冷却効果を確実に発揮できると共に、結露発生も防止される。
すなわち、このミスト噴霧システムでは、給水管等に熱変換塗料が塗布されているので、太陽光線や熱伝導による給水管そして加圧水の温度上昇が防止される。もって、次のようになる。
まず、外気温が高い夏季等において、清涼感を演出すべく使用された場合は、前述したこの種従来例のように、噴霧されるミストの温度が上昇してしまうことは、確実に防止される。もって、ミストによる周囲空間の冷却作用や、肌に直接触れたミストの冷却作用により、所期の通り体感温度が確実に下げられ、清涼感を体感できるようになる。
又、システム全体を車載することも可能であり、例えば、ゴルフ場のカートに搭載された場合は、炎天下におけるゴルファーの安全確保に寄与することができる。又、太陽電池の光起電素子パネルに向け噴霧する場合は、ミストの冷却作用により同パネルの温度上昇を防止することができ、太陽電池の効率向上に寄与可能である。
更に、熱変換塗料が塗布されているので、外気温が高い夏季等において、給水管等の結露も防止され、例えば屋内配管された給水管の結露被害は回避される。
【0012】
《第2の効果》
第2に、本発明のミスト噴霧システムは、沈塵作用を確実に発揮できると共に、結露発生や凍結発生も防止される。
すなわち、このミスト噴霧システムでは、給水管等に熱変換塗料が塗布されているので、太陽光線や熱伝達による給水管等そして加圧水の温度上昇が防止される。もって、次のようになる。
まず、ホコリや粉塵の沈塵用に使用された場合、前述したこの種従来例のように、夏季等において使用しても、ミストが直ちに蒸発気化してしまうことは、回避される。もってミストが、ホコリや粉塵の沈塵作用を確実に果たし、環境浄化に寄与可能となる。
又、熱変換塗料が塗布されているので、外気温が高い夏季等において、給水管等の結露被害が回避され、外気温が低い冬季等において、給水管等そして加圧水の凍結事故も防止される。なお、粉砕された界面活性剤を混入しておくと、その表面活性作用により、ミストの沈塵作用が促進されると共に、沈下したホコリや粉塵の再浮遊も防止される。
【0013】
《第3の効果》
第3に、しかも本発明のミスト噴霧システムでは、これら第1,第2の効果が、簡単容易に実現される。
すなわち、このミスト噴霧システムでは、給水管,その他のシステムに、熱変換塗料を塗布することにより、簡単で手間のかからぬ構成により、上述した第1,第2の効果が容易に実現される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
《図面について》
以下、本発明のミスト噴霧システムを、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。そして図1は、第1例の構成説明図、図2は、第2例の構成説明図、図3は、第3例の構成説明図である。
【0015】
《ミスト噴霧システム1の概要について》
まず、図1,図2,図3を参照して、このミスト噴霧システム1の概要について、一般的に説明する。
このミスト噴霧システム1は、水供給手段2からのポンプ3を経由した加圧水Aを、給水管4を経由して、所定位置に配置された噴霧ノズル5へと給水し、もって微粒子化したミストBとして噴霧する。
まず水供給手段2は、図示例では上水道である水道6とタンク7が使用されているが、図示例によらず、タンク7を用いず水道6から直接としてもよく、逆に、車載する場合のようにタンク7のみとすることも考えられる。後者の場合は、タンク7への定期的給水や、ポンプ3用のバッテリーの定期的充電交換等が、必要となる。
ポンプ3としては、通常仕様の給水ポンプが使用される。このミスト噴霧システム1において、機械的メンテナンスが必要な箇所は、ポンプ3廻りのユニットのみである。
給水管4は、ステンレス等の金属製や樹脂製よりなり、多岐にわたって分岐配管されることが多い。例えば図1の例では、1台のポンプ3から多数本のパラソル8へと、給水管4が分岐配管されており、各パラソル8にそれぞれ付設された例えば計80個の噴霧ノズル5へと、加圧水Aを給水する。このように給水管4は、その管路の総延長距離が長いことが多いと共に、屋内配管,外部配管,地上露出配管,地中配管等されるが、いずれにしても地上露出配管は必須的である。
【0016】
そして噴霧ノズル5は、微粒子化されたミストBを噴霧する。ミストBは、極めて微細な粒径の霧となっており、人体や衣服や周囲の物等を濡らすという感触は、殆どない。このような噴霧ノズル5としては、加圧水を噴流衝突させるタイプ、空気と混合して吹き出すタイプ、高圧噴射タイプ、霧吹きノズルタイプ、その他各種タイプのものがある。
いずれにしても、噴霧ノズル5から噴霧されたミストBは、無数の微小な水滴いわゆるドライミストとなり、あたかも煙のようになって、噴霧された周囲空間を飛散しつつ浮遊する。
ミストBの粒径は、0.1μm程度(密なミストB)〜500μm程度(粗いミストB)まで各様であり、その用途に応じた粒径が選択される。例えば、冷却作用,清涼感演出用の場合は、粒径が小さいものが採用され、沈塵作用用の場合は、粒径が大きいもの採用される。このようなミストBの粒径は、噴霧ノズル5のノズル形状設定や、噴霧ノズル5に給水される加圧水Aの圧力設定や流量設定等により、調製される。
ミスト噴霧システム1は、概略このようになっている。
【0017】
《図1の例について》
そして、このミスト噴霧システム1は、例えば図1の第1例に示したように、外気温が高い夏季等に使用され、もって、ミストBの蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、体感温度を下げ清涼感を体感可能とすべく使用される。
すなわち、各噴霧ノズル5から噴霧された粒子径が極めて小径のミストBは、事後、液体から気体へ蒸散,蒸発,気化するが、その際の水蒸気への蒸発気化熱(潜熱)により、冷却作用を発揮する。つまり、周囲空間の空気の熱を吸収し奪って、温度降下せしめると共に(夏季等では2〜5℃程度温度降下する)、肌に直接触れた場合は、その熱を奪って温度降下せしめ、もって、体感温度を下げ清涼感を体感させるようになっている。
この種のミスト噴霧システム1は、これらの点に鑑み、夏季等において、道路,広場,グランド,駐車場,プロムナード,各種施設,各種イベント会場、等々で設置,使用される。
図1に示した例では、例えば10本程度の各パラソル8について、傘部を支える心棒ホルダーに、ミスト噴霧システム1の噴霧ノズル5がそれぞれ付設されており、ポンプ3からの加圧水Aが、分岐された給水管4を経由して給水されるようになっている。もってパラソル8下に、噴霧されたミストBにて温度降下ゾーンが形成され、クールオアシスとして清涼感を体感できるようになっている。
図1の例は、このようになっている。
【0018】
《図2の例について》
次に、図2の第2例について説明する。図2に示した例では、太陽光線エネルギーを電気エネルギーに変換利用する太陽光発電の太陽電池9について、そのシリコン半導体製の光起電素子パネル10に向けて、ミスト噴霧システム1の噴霧ノズル5が、付設されている。
そしてミストBが、太陽光線を浴びて温度上昇が顕著化し易い光起電素子パネル10に向けて噴霧され、もって蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、光起電素子パネル10の温度上昇を防止し、太陽電池9の効率を向上せしめるようになっている。このように、このミスト噴霧システム1の冷却作用は、前述した第1の例のように人を対象とせず、物を対象としても利用可能である。
なお第1に、このミスト噴霧システム1の給水管4について、加圧水A中に混入した水垢やカルキ等の異物除去用のフィルター11(例えば、逆浸透法等の膜分離フィルター)を、図示のように途中に介装しておくと、一般と太陽電池9の効率が向上するようになる。すなわち、光起電素子パネル10外表面について、水垢やカルキ等の異物膜形成が防止されるので、太陽光線が確実に光起電素子パネル10に照射するようになり、ミストB噴霧による弊害発生を回避可能となる。
なお第2に、光起電素子パネル10を保持するアルミ製等の基板,その他のホルダーフレーム12について、熱変換塗料Cを塗布しておくと、太陽電池9の効率が一段と向上するようになる。すなわち、塗布された熱変換塗料Cが遮熱機能や断熱機能を発揮して、ホルダーフレーム12の温度上昇が抑制されるので、この面からも、光起電素子パネル10の温度上昇を防止可能となる。
図2の例は、このようになっている。
【0019】
《図3の例について》
次に、図3の第3例について説明する。図3に示した例では、ホコリや粉塵Dが空中を浮遊する工場,作業場,倉庫,建物外壁,店舗等々において、ミスト噴霧システム1が設置,使用される。
そして、ミスト噴霧システム1の噴霧ノズル5から、ミストBが、ホコリや粉塵Dが浮遊する空間に向け噴霧され、もって、ホコリや粉塵Dを包み込んで沈下させる沈塵作用を発揮する。すなわち、この場合のミストBは、前述した図1,図2等の冷却作用発揮の場合とは異なり、その粒径等に基づき、直ちに蒸発,気化することなく、噴霧された周囲空間に飛散すると共に、同空間を浮遊するホコリや粉塵Dを、包み込むように付着,吸着し、もって地面Eへと沈下させる沈塵作用を発揮する。
なお加圧水Aについて、粉砕した界面活性剤を予め混入しておくと、ミストBの沈塵作用が促進されると共に、一旦地面Eや床に沈下したホコリや粉塵Dが、事後に空間へと再浮遊することが防止される。
すなわち、界面活性剤は周知のごとく、物質との界面の液体の表面張力を低下させる界面活性機能を有しており、界面に吸着してこのような機能を発揮する。そこで、界面活性剤を粉砕して、予め加圧水A中や加圧水Aとなる水中に、3〜5重量%程度混入しておくと、噴霧されたミストBのホコリや粉塵Dに対する沈塵作用が、促進されるようになる。ホコリや粉塵Dは、ミストBが付着,吸着し易くなり、濡れ易くなる。
又、一旦地面E等に沈下したホコリや粉塵Dは、ミストBや界面活性剤の重量が付加されているので、舞い上がりにくく再浮遊しにくくなる。
図3の例は、このようになっている。
【0020】
《熱変換塗料Cについて》
次に、図1〜図3を参照して、熱変換塗料Cについて説明する。このミスト噴霧システム1では、温度対策用に熱変換塗料Cが使用される。
代表的には図示のように、給水管4に熱変換塗料Cが塗布されているが、その他、タンク7,ポンプ3,噴霧ノズル5等の外表面にも、塗布することが考えられる。そして熱変換塗料Cは、この種従来例のように反射方式によらないで、遮熱機能を発揮可能であると共に、断熱機能も発揮可能である。
もって、夏季など外気温が高い場合は、主に遮熱機能により、塗布された給水管4等の温度上昇を防止するが、更にこれに断熱機能も加わる。これに対し、冬季など外気温が低い場合は、断熱機能により塗布された給水管4等の温度低下を防止する。
【0021】
これらについて、更に詳述する。まず、本発明で採用された熱変換塗料Cの遮熱機能について述べる。この遮熱機能は、赤外線が変換された熱エネルギーを蓄熱することなくエネルギー変換し、もって運動エネルギーとして消費,放出することを内容とする旨、理論づけられている。
すなわち、この熱変換塗料Cの遮熱機能は、反射方式のこの種従来例の遮熱塗料とは異なり、塗膜中に蓄熱しようとする熱を急激放出する放熱方式が基づく。つまり、太陽光線等に含まれ熱の基になる赤外線に対応する方式として、反射方式によらず、熱交換方式,放熱方式に基づく。
太陽光線等に含まれる赤外線は、→熱変換塗料Cの塗膜に当たると、→熱エネルギーに変換されて、塗膜中に分散,移動するが、→塗膜の熱変換塗料Cの熱交換作用の強い放熱物質に、接触することにより、→直ちにエネルギー変換される。→そして、このエネルギー変換が表層で起きる為に、大半の熱は運動エネルギーとして消費,消化,放出される。→このようにして熱は、熱変換塗料Cの遮熱機能により、熱変換塗料Cの塗膜内部に蓄熱されることなく、直ちに急激に放出,放熱されてしまう。
そして熱変換塗料Cは、このような遮熱機能を十分に発揮可能な塗布厚にて、塗布される。又、このような熱変換塗料Cとしては、例えば、アクリルポリオールを主剤とし、イソシアネート樹脂を硬化剤として用いてなるものが、代表的である。更に、この熱変換塗料Cは、温度依存性熱変換塗料とも称されるが、熱交換塗料と称されることもある。商品としては、アルバー工業(大阪府門真市岸和田3−6−4)から製品名タフコートD42,D47等が販売されている。
【0022】
次に、この熱変換塗料Cの断熱機能について述べる。この断熱機能は、熱変換塗料Cの低い熱伝導率により、給水管4等と外気間の熱伝導移動を抑えることを内容とし、夏季等においては、上述したメイン機能である遮熱機能の補助的機能,補充的機能となるが、冬季等においてはメイン機能となる。
そして、この熱変換塗料Cの断熱機能は、塗布対象の給水管4等の素材である金属や樹脂に比し、熱変換塗料Cの熱伝導率が低いことに基づく。熱変換塗料Cは、このような低い熱伝導率に基づき、給水管4等と外気間の熱伝導,熱移動を阻止可能な塗布厚に設定される。熱変換塗料Cは、前述した遮熱機能を発揮可能な塗布厚よりなると共に、この断熱機能を発揮可能な塗布厚とされる。
熱交換塗料Cは、このようになっている。
【0023】
《作用等》
本発明のミスト噴霧システム1は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)このミスト噴霧システム1では、水供給手段2そしてポンプ3からの加圧水Aが、給水管4を経由した後、所定位置に配設された各噴射ノズル5へと、給水される。もって各噴霧ノズル5は、微粒子化した霧状のミストBを噴霧する(図1,図2,図3の例を参照)。
【0024】
(2)そして、このミスト噴霧システム1は、代表的には外気温が高い夏季等に使用され、ミストBの蒸発気化熱(潜熱)により冷却作用を発揮する。
もって例えば、体感温度を下げ清涼感を体感させるべく、使用されたり(図1の例を参照)、太陽光線を浴びて温度が上昇し易い太陽電池9の光起電素子パネル10その他の温度上昇を抑制すべく、使用される(図2の例を参照)。
【0025】
(3)更に、このミスト噴霧システム1は、浮遊するホコリや粉塵Dの対策としても、使用可能であり、ミストBが沈塵作用を発揮する(図3の例を参照)。
【0026】
(4)さて、本発明のミスト噴霧システム1では、その給水管4等に熱変換塗料Cが塗布されている。熱変換塗料Cは、遮熱機能や断熱機能を発揮可能である。
【0027】
(5)そこで、このミスト噴霧システム1では、まず、塗布された熱変換塗料Cの遮熱機能により、夏季等の強い太陽光線に基づく、給水管4等そして供給される加圧水Aの温度上昇が、防止される。
更に、熱変換塗料Cの断熱機能により、高い外気温からの熱伝導が抑えられ、この面からも、給水管4等そして加圧水Aの温度上昇が、防止される。
【0028】
(6)これらにより、噴霧されるミストBの温度上昇も防止されるので、ミストBが、その蒸発気化熱(潜熱)による冷却作用を、確実に発揮するようになる。
そこで、このミスト噴霧システム1にあっては、前述したように体感温度を下げたり(図1の例を参照)、太陽電池9の光起電素子パネル10その他の温度上昇を防止したりすることが(図2の例を参照)、支障なく確実に実現可能となる。
【0029】
(7)又、このミスト噴霧システム1では、塗布された熱変換塗料Cの断熱機能により、給水管4等の結露も防止される。高温の外気に比し低温の加圧水Aを給水する給水管4等について、その外周回りに結露が発生することが抑えられる。
【0030】
(8)他方、噴霧されるミストBの温度上昇が防止されるので、ミストBが、ホコリや粉塵Dの沈塵作用を、確実に発揮可能となる(図3の例を参照)。
すなわち、このミスト噴霧システム1は、太陽光線が強く外気温が高い夏季等において、沈塵用に使用しても、噴射されたミストBは、直ちに蒸発気化することなく微小な水滴状を維持して、空中を浮遊するホコリや粉塵Dの沈塵作用を、確実に果たすようになる。
【0031】
(9)又、このミスト噴霧システム1は、冬季等の外気温が低い場合に使用された際は、給水管4等に塗布された熱変換塗料Cのの断熱機能により、給水管4そして加圧水Aの凍結が防止され、もってミストBの噴霧に支障が生じるようなことも回避される。
【0032】
(10)そして、このミスト噴霧システム1は、その給水管4等に熱交換塗料Cを塗布するという、簡単な構成により、給水管4を保温材で被覆するような公知手段によらずとも、以上述べた作用が容易に実現される。
本発明の作用等は、このようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るミスト噴霧システムについて、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、第1例の構成説明図である。
【図2】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、第2例の構成説明図である。
【図3】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、第3例の構成説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ミスト噴霧システム
2 水供給手段
3 ポンプ
4 給水管
5 噴霧ノズル
6 水道
7 タンク
8 パラソル
9 太陽電池
10 光起電素子パネル
11 フィルター
12 ホルダーフレーム
A 加圧水
B ミスト
C 熱変換塗料
D ホコリや粉塵
E 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水供給手段からのポンプを経由した加圧水を、給水管にて所定位置の噴霧ノズルへと給水し、もって微粒子化したミストとして噴霧する、ミスト噴霧システムにおいて、
温度対策用に熱変換塗料が使用されていること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項2】
請求項1に記載したミスト噴霧システムにおいて、該熱変換塗料は、遮熱機能や断熱機能を発揮可能であり、該給水管に塗布されており、
外気温が高い場合は、該給水管にて給水される該加圧水の温度上昇や該給水管の結露が防止され、外気温が低い場合は、該給水管の凍結が防止されること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項3】
請求項2に記載したミスト噴霧システムであって、外気温が高い夏季等に使用され、もって、噴霧される該ミストの蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、体感温度を下げ清涼感を体感可能とすること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項4】
請求項3に記載したミスト噴霧システムであって、車載されていること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項5】
請求項2に記載したミスト噴霧システムにおいて、該ミストは、太陽電池の光起電素子パネルに向け噴霧され、もって、蒸発気化熱により冷却作用を発揮して、該光起電素子パネルの温度上昇を防止すること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項6】
請求項2に記載したミスト噴霧システムにおいて、該ミストは、ホコリや粉塵が浮遊する空間に向け噴霧され、もって、該ホコリや粉塵を包み込んで沈下させる沈塵作用を発揮すること、を特徴とするミスト噴霧システム。
【請求項7】
請求項6に記載したミスト噴霧システムにおいて、該給水管にて給水される該加圧水は、粉砕された界面活性剤が混入されており、もって、該ミストの沈塵作用が促進されると共に、一旦地面や床に沈下した該ホコリや粉塵が、事後に空間へと再浮遊することが防止されること、を特徴とするミスト噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−78264(P2010−78264A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249607(P2008−249607)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(506356106)株式会社ハットリ工業 (5)
【出願人】(508182497)株式会社資源再生開発機構 (2)
【Fターム(参考)】