説明

ミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋、並びにミスト噴霧方法

【課題】 近年、人体を清潔に保つため、人体を洗浄するための方法や装置のニーズが高まってきている。本発明は、上記要求に応えるミスト噴霧方法、並びにミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋を提供するものである。
【解決手段】筐体1aの内部に、金属イオン水生成手段である銀イオン溶出ユニット2などと、銀イオン溶出ユニット2などを制御する制御部7と、霧化ノズル11とを備え、筐体1aの外面に、人の存在を感知する手段として人感センサー13を備えるミスト噴霧装置であって、霧化ノズル11は駆動用モーター(図示せず)により、そのノズルの方向を人が存在する方向に変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体が存在する方向にミストを噴霧させることができるミスト噴霧方法、並びにミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体を清潔に保つため、人体を洗浄するための装置として、様々の機器が考案されている。
【0003】
例えば、実開平7−17391号公報(特許文献1)では、人体洗浄装置として便器に取り付ける銀イオン電解装置付局部洗浄装置が記載されている。この銀イオン電解装置付局部洗浄装置は、銀イオン水により、局部の洗浄を行うものである。
【0004】
例えば、特開2004−208748号公報(特許文献2)では、人体洗浄装置として銀イオンを使用した下肢水浴装置が記載されている。この下肢水浴装置は、足指や足指間の汚れや雑菌の除去を行うものである。
【0005】
例えば、特開2004−160130号公報(特許文献3)では、霧化器により、消臭液や除菌作用などがある浄化霧を直接身体や頭髪に噴霧して、身体を浄化する方法が記載されている。
【0006】
また、人体を洗浄するものではないが、特表2004−524875号公報(特許文献4)では、銀イオン水を霧化して空気中に噴霧し、その空気を加湿及び殺菌する加湿方法と加湿装置が記載されている。
【特許文献1】実開平7−17391号公報
【特許文献2】特開2004−208748号公報
【特許文献3】特開2004−160130号公報
【特許文献4】特開2004−524875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実開平7−17391号公報(特許文献1)や、特開2004−208748号公報(特許文献2)による人体洗浄装置では、局部や足など人体の一部分にしか銀イオンを付着させることができないため、人体の一部分しか抗菌することができなかった。また、銀イオンを付着させる工程の最中に、歩いて移動したりすることができなかった。
【0008】
また、特開2004−160130号公報(特許文献3)による身体を浄化する方法では、除菌液などの浄化液を噴霧ホルダーに設けられている噴霧口から噴出させるが、この噴霧ホルダーをユーザーが自ら操作して、自分の身体に噴霧する必要があった。
【0009】
特表2004−524875号公報(特許文献4)にある加湿方法や加湿装置では、空気を加湿し、殺菌することはできるが、人体表面や部屋の内壁や床、天井などに銀イオンを付着させて、抗菌・殺菌を行うことまでは想定されていない。
【0010】
本発明は上記の点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自らミストを身体に噴霧する動作を行うことなく、人体のなるべく広い範囲に抗菌性のある金属イオンを付着させるミスト噴霧方法、並びにミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に従ったミスト噴霧装置は、抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段と、水を霧化する霧化手段と、を備えたミスト噴霧装置であって、金属イオン水を霧化手段により霧化してミストとし、ミストを人体が存在する方向に噴霧することを特徴とする。
【0012】
この構成によると、抗菌性を有する金属イオン水を霧化してミスト状にし、人体が存在する方向に噴霧するので、ミストが人体の広い範囲に付着し、人体を抗菌することができる。
【0013】
この発明のミスト噴霧装置においては、霧化する水を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。
【0014】
このような構成にすれば、霧化する水が金属イオン水である場合、加熱することによって、金属イオンの抗菌性能が高くなる。
【0015】
この発明のミスト噴霧装置においては、噴霧を終了する前の所定時間のみ、金属イオン水生成手段により金属イオン水を生成し、金属イオン水を噴霧することが好ましい。
【0016】
このような構成にすれば、人体に銀イオンを付着させることができるとともに、常に金属イオン水を噴霧する場合に比べ、金属イオンの消費を抑えることができる。
【0017】
この発明のミスト噴霧装置においては、噴霧を終了する前の所定時間、前記金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水の金属イオン濃度を、それまでの期間の濃度よりも上昇させることが好ましい。
【0018】
このような構成にすれば、濃度の高い金属イオン水が付着するので、金属イオンの付着が少ない部分の金属付着量を補うことができる。
【0019】
この発明のミスト噴霧装置においては、人が存在するときのみ、金属イオン水生成手段により金属イオン水を生成し、金属イオン水を噴霧することが好ましい。
【0020】
このような構成にすれば、人体に銀イオンを付着させることができるとともに、常に金属イオン水を噴霧する場合に比べ、金属イオンの消費を抑えることができる。
【0021】
この発明のミスト噴霧装置においては、人が存在する方向に、金属イオン水を噴霧する方向を切り替えることが好ましい。
【0022】
このような構成にすれば、人が存在する方向に金属イオン水を噴霧することができるので、人が存在する場所によっては金属イオン水の噴霧が行われないという可能性を低減することができる。
【0023】
この発明のミスト噴霧装置においては、人が存在する方向が複数存在する場合、金属イオン水を噴霧する方向を人が存在する各方向に順次切り替える、または、金属イオン水を噴霧する方向をスイングさせることが好ましい。
【0024】
このような構成にすれば、複数の人が別々の位置に存在しているとしても、それぞれの人が存在する方向に金属イオン水を噴霧することができるので、人が存在する場所によっては金属イオン水の噴霧が行われないという可能性を低減することができる。
【0025】
この発明のミスト噴霧装置においては、給水管と、給湯管と、のうち少なくとも一方と連結されており、給水管または給湯管より供給される水またはお湯が金属イオン水生成手段に供給されることが好ましい。
【0026】
このような構成にすれば、水を貯えておく給水タンクを備える必要がなく、常に水または湯の供給が可能となる。
【0027】
この発明に従った部屋は、上述した構成を有するミスト噴霧装置を備える。
【0028】
この発明の部屋によれば、ミスト噴霧装置から噴霧された抗菌性を有する金属イオン水により人体だけでなく、部屋の内壁や天井及び床面、部屋内に置かれている椅子などに抗菌性を有する金属イオンを付着させることができ、カビやヌメリの発生を防止することができる。特に、部屋の隅や、排水口などの水が残りやすいところでもカビやヌメリの発生を防止することができる。
【0029】
この発明の部屋においては、部屋内を換気する換気手段と、部屋内を乾燥する乾燥手段とのうち少なくとも一方を備えることが好ましい。
【0030】
このような構成にすれば、金属イオンの抗菌・殺菌効果に加え、換気手段、乾燥手段により部屋内の湿度が下げることができ、人体に付いた銀イオンミストをすばやく乾燥することができるとともに、部屋のカビやヌメリの発生をよりすばやく抑えることができる。
【0031】
この発明の部屋においては、物体を懸架する懸架手段を備えることが好ましい。
【0032】
このような構成にすれば、部屋内に物体を懸架することができる。
【0033】
この発明に従ったミスト噴霧方法は、抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水を霧化してミストとし、ミストを、人体が存在する方向に噴霧することを特徴とする。
【0034】
この方法によると、抗菌性を有する金属イオン水を霧化してミスト状にし、人体が存在する方向に噴霧するので、ミストが人体の広い範囲に付着し、人体を抗菌することができる。
【0035】
この発明に従ったミスト噴霧方法は、抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水を霧化してミストとし、ミストを噴霧することを特徴とする。
【0036】
この方法によると、抗菌性を有する金属イオン水を霧化してミスト状にし、ミストを人体や浴室内などの噴霧対象に噴霧することで広い範囲に付着させ、人体や浴室内などを抗菌することができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明によれば、抗菌性を有する金属イオン水を霧化してミスト状にし、人体の存在する方向に噴霧することにより人体の広い範囲に銀イオンを付着させることができる。また、ミスト噴霧装置を備えた部屋の場合には、部屋の内壁や天井及び床面、部屋内に置かれている椅子などに抗菌性を有する金属イオンを付着させることができ、金属イオンが付着した部分において、カビやヌメリの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明のミスト噴霧方法、並びにミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋の実施の形態を図に従って説明する。
【0039】
本発明のミスト噴霧方法を実施するためのミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋の第1の実施の形態を図1に従って説明する。図1は、本発明のミスト噴霧装置を備えた部屋の概略斜視図である。なお、第1の実施の形態では、ミスト噴霧装置としてミストサウナ装置を、部屋としてサウナ室を例として用いている。図1に示すようにサウナ室100の内部には、ミストサウナ装置1、腰掛部101などが配設されている。ミストサウナ装置1は、サウナ室100の上方の壁面12に設置されている。なお、ここでは、サウナ室100の天面や床面、側面など全てをまとめて壁面12と呼ぶこととする。
【0040】
図2は壁面12に設置された状態のミストサウナ装置1の概略断面図である。図2に示すように、ミストサウナ装置1は、筐体1aの内部に金属イオン水生成手段である銀イオン溶出ユニット2と、三方弁3と、給水弁4と、水温を測定する温度センサー5と、加熱手段であるヒーター6と、銀イオン溶出ユニット2と三方弁3と給水弁4と温度センサー5とヒーター6とを制御する制御部7と、散水管9と霧化ノズル11と、人の存在を感知する手段として人感センサー13とを備えており、また、筐体1aの外部にその一部が突出している導水管8と排水管10とを備えている。この霧化ノズル11は駆動用モーター(図示せず)により、そのノズルの方向を変更することができるようになっている。この方向変更機構としては、例えば、ドアホンなどのカメラの方向変更に用いられる既知のパンチルト機構などを用いればよいので詳細は説明しない。また、人感センサー13としては、例えば、特開平1−110282号公報に記載されている赤外線検出装置や、特開平1−277796号公報に記載されている光学的物体検出装置を用いることにより、人が存在する方向(位置)を検知することができる。もちろん、CCDなどを用いて映像的に人の存在する方向(位置)を確認する手段を用いても良い。なお、人感センサー13と駆動用モーターとは、制御部7により制御される。
【0041】
導水管8は、筐体1aの内部にてその一端が三方弁3に連結されており、他の一端は筐体1aの外部にある例えば給水管である水道管(図示せず)に連結されている。また、筐体1a内の導水管8には三方弁3側から外部側(水道管側)に向かって、給水弁4、温度センサー5、ヒーター6がこの順番に配設されている。すなわち、水道管から導水管8に導かれた水は、ヒーター6、温度センサー5、給水弁4をこの順番に通って三方弁3に到達することになる。ヒーター6は、導水管8を流れる水を加熱するものであり、温度センサー5は水道管から導水管8に導かれる水の温度を測定する。また、給水弁4が開くと水道管から導水管8内に水が流れ込み、閉じると水が止まる仕組みになっている。
【0042】
排水管10は、筐体1aの内部にてその一端が三方弁3に連結されており、他の一端は筐体1aの外部にある例えば下水管(図示せず)に連結されている。
【0043】
散水管9はその一端が三方弁3に連結され、他の一端は霧化ノズル11に連結されている。この散水管9は、霧化ノズル11のノズル方向を変更できるようにするために、フレキシブルな構造のホースなどを用いることが好ましい。あるいは、霧化ノズル11と散水管9の連結に蛇腹ホースなどを用いてもよい。なお、散水管9の途中に銀イオン溶出ユニット2が配設されている。
【0044】
三方弁3は、導水管8から流れてくる水を、散水管9あるいは排水管10のどちらかに導くものである。散水管9に導く場合、水は霧化ノズル11を経て、サウナ室100内にミストとして散布される。また、排水管10に導く場合、水は下水管に排水される。
【0045】
なお、導水管8は水道管ではなく、外部に設置されている給湯設備(例えば、給湯器やボイラー等)の給湯管に連結し、水ではなく、お湯を導水管8内に導くようにしてもよい。この場合、温度が高い水であるお湯がミストサウナ装置1に供給されることになるので、加熱手段(本実施形態ではヒーター6)を設けなくてもよい。ただし、加熱手段をあえて設けることにより、例えば次のような利点がある。外部(屋外)に設置されている給湯設備から配管を通って導水管8に導かれる水は、すぐに所望の水温(人が冷たさを感じない温度、例えば30℃から45℃の間の温度)が得られないことがあり、このような場合に加熱手段(本実施形態ではヒーター6)により水温を上げることができるので、加熱手段を設けない場合に比べ、ミストを噴霧するまでの時間を短縮することができる。
【0046】
図3は銀イオン溶出ユニット2の概略断面図である。図3(A)は水平概略断面図、図3(B)は垂直概略断面図である。図3(A)、図3(B)に示すように、銀イオン溶出ユニット2は合成樹脂などの絶縁材料から形成されるケース21を有し、ケース21の内部には、例えば、大きさ20mm×50mm、厚さ1mm程度の金属電極である板状の銀電極22a、22bが約5mmの距離を隔ててほぼ平行となるように配設されている。また、銀電極22a、22bにはそれぞれ接続端子23a、23bが一体に形成されている。接続端子23a、23bは例えば、配線(図示せず)により制御部7に接続されている。ケース21には、水が流入する流入口24、水が流出する流出口25が設けられており、流入口24からからケース内に水が流入し、流出口25から水がケース外に流出することができる。すなわち、銀電極22a、22bの長手方向と平行に水が流れることになる。
【0047】
銀電極22a、22bが水中に浸かり水が流れている状態で、制御部7により銀電極22a、22b間に電圧が印加されると、陽極側の銀電極において、Ag→Ag++e-の反応が起こり、水中に銀イオン(Ag+)が溶出する。銀イオン(Ag+)が溶出しつづければ陽極側の銀電極は減耗していく。銀電極22aまたは22bから溶出する銀イオンは、優れた殺菌効果及び防カビ効果を発揮する。従って、銀イオン水は、抗菌性を有する抗菌水として作用する。なお、ここでいう抗菌または殺菌とは、細菌や真菌を殺菌、抗菌することだけでなく、ウイルスを不活化することも含む。また、銀イオンによりウイルスが不活化されることは、「銀イオン水 L.A.クリスキー著 新日本鋳鍛造協会(出版会) 1993年」に記載されている。
【0048】
他方陰極側の銀電極では、H++e-→1/2H2の反応が生じ、水素が発生するとともに、水中に含まれるカルシウムなどが炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物のスケールとして銀電極の表面に析出する。
【0049】
また電極の成分金属である銀の塩化物及び硫化物が表面に発生する。従って、使用が長期にわたると、炭酸カルシウムや塩化物や硫化物などのスケールが電極表面に厚く堆積し、金属イオンである銀イオンの溶出を妨げる。このため、銀イオンの溶出量が不安定になったり、電極の減耗が不均一になったりする。そこで、制御部7は、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22b間の印加電圧の極性反転を周期的(例えば20秒毎)に行うことにより、銀電極22a、22bへのスケールの付着および、一方の銀電極のみが消耗してしまうことを防いでいる。
【0050】
なお、金属電極としては、銀電極以外にも、抗菌性を有する金属イオンを溶出可能な金属であれば良く、具体的には、銅、銀と銅との合金、亜鉛などが選択可能である。銀電極から溶出する銀イオン、銅電極から溶出する銅イオン、または亜鉛電極から溶出する亜鉛イオンは、優れた殺菌効果及び防カビ効果を発揮する。銀と銅との合金からは銀イオンと銅イオンとを同時に溶出させることができる。また、陽極が金属イオンを溶出する電極で、陰極が金属イオンを溶出しない電極であっても良い。電極形態が2枚以上(複数)の電極から構成される場合は、すべて同じ材質の金属電極であっても良いし、いずれかが金属電極で、他の電極が非金属電極(例えば、炭素電極、導電性プラスチック電極など)であっても良く、メッキの電極であっても良い。さらには、イオン化しにくい金属電極(例えば、チタン電極、貴金属である白金電極,金電極など)であっても良い。あるいは、材質の異なる複数の金属電極(例えば、銀電極と銅電極など)から構成されていても良い。
【0051】
銀イオンの溶出は、電流値を一定として、電圧の印加時間を調節するいわゆる定電流制御により行う。銀イオン水の銀イオン濃度は、電極間を流れる電気量と水の量などで制御できる。例えば、上記のような構造の銀イオン溶出ユニット2の場合、90ppbの銀イオン水を得るには、水の量が1L/min、電流値3mAにすればよい。また、600ppbの銀イオン水を得るには、水の量が1L/min、電流値10mAにすればよい。なお、銀イオンの溶出量は、低電流域を除いて、電気量(C)=一定電流値(A)×時間(sec)に概ね比例する。また、水量が一定であれば、電気量と得られる銀イオン水の銀濃度には相関があるため、電流値を調節することで、所望濃度の銀イオン水を得ることができる。このように、銀電極22a、22bに所定電流を一定流量の水に流すことで所望の銀イオン濃度を得ることができる。また、給水弁や霧化ノズルなどの構造により、流量はほぼ固定できるため、一定電流を流すことにより、ほぼ一定の銀イオン水を生成することができる。なお、様々な濃度の銀イオン水を得ることができるように、電流値と時間の組合せを、実験により予め求めておくことが好ましい。
【0052】
なお、これら銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンは、人体に対して刺激性がなく、毒性も低い。そのため、人がミストに触れても大丈夫なので、人に対しても使用することができる。さらに、金属イオンやその化合物は揮発しにくいため、次亜塩素酸などのように、温度を上げたり、換気を行なったりすることで揮発が促進されて、効果が失われたり、不快な臭気が発生したりすることもない。
【0053】
また、上記した銀イオン溶出ユニット2のような形態の金属イオン水生成手段においては、電圧の印加の有無で金属イオンである銀イオンの溶出/非溶出を選択でき、また、上述したように電流や電圧印加時間を制御することにより銀イオンの溶出量を制御できる。従って、例えばゼオライトなどの金属イオン担持体から金属イオンを溶出させる方式に比べ、金属イオンを投入するかどうかの選択や金属イオンの濃度の調節をすべて電気的に行えるので使い勝手がよくなる。
【0054】
続いて、ミストサウナ装置1のミスト噴霧開始動作について説明する。図4はミストサウナ装置の第1噴霧動作開始ルーチンを示すフローチャートである。なお、この動作は制御部7に設けられているマイコン(図示せず)により制御される。
【0055】
S100から第1噴霧動作開始ルーチンが開始され、S101に進む。S101にて、温度センサー5により、導水管8内の水温が所定温度(人が冷たさを感じない温度、例えば30℃から45℃の間。本実施形態では45℃とする)以上であるかを確認する。水温が所定温度未満であれば(Noであれば)、後述するS106に移行する。水温が所定温度以上であれば(Yesであれば)、S102に移行する。S102にて三方弁3を散水管9側に切り替え、S103に移行する。
【0056】
S103にて給水弁4を開き、S104に移行する。この時点で、導水管8内の水(お湯)は散水管9に導かれることになる。S104にて、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22bに通電を開始する。この時点で、散水管9内の水(お湯)に銀イオンが添加されることになり、銀イオン水が生成される。この銀イオン水は散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に放出される。このとき、人感センサー13により人の存在する方向(位置)が検知されていれば、制御部7は駆動用モーター(図示せず)を駆動させて霧化ノズル11を人が存在する方向に向ける。このとき、複数の位置で人の存在が検知されていれば、霧化ノズル11をスイングさせる、あるいは一定時間毎(例えば30秒毎)に霧化ノズル11の方向をそれぞれの人体が存在する方向(位置)に順次変更するようにすればよい。また、このとき、人の存在が検知されていなければ、霧化ノズル11の方向は、変更しても、変更しなくても良いし、スイングさせても良い。その後、S105に移行する。S105にて第1噴霧動作開始ルーチンから抜ける。
【0057】
また、S101にて、水温が所定温度未満であれば(Noであれば)、S106に移行する。S106にて加熱手段であるヒーター6に通電し、S107に移行する。S107にて三方弁3を排水管10側に切り替え、S108に移行する。S108にて給水弁4を開き、S109に移行する。この時点で導水管8内の水(お湯)は排水管10に導かれることになる。
【0058】
S109にて、水温が所定温度付近となるように、ヒーター6の通電量や、給水弁4の開度の調整による水量調整を行いつつ、水温を確認する。水温が所定温度(本実施形態では45℃)未満であれば(Noであれば)、S109に戻る。水温が所定温度以上であれば(Yesであれば)、S110に移行する。S110にて三方弁3を散水管9側に切り替え、S104に移行する。この時点で、導水管8内の水(お湯)は散水管9に導かれることになる。
【0059】
S104にて、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22bに通電を開始する。この時点で、散水管9内の水(お湯)に銀イオンが添加されることになり、銀イオン水が生成される。この銀イオン水は散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に放出される。このとき、人感センサー13により人の存在する方向(位置)が検知されていれば、制御部7は駆動用モーター(図示せず)を駆動させて霧化ノズル11を人が存在する方向に向ける。このとき、複数の位置で人の存在が検知されていれば、霧化ノズル11をスイングさせる、あるいは一定時間毎(例えば30秒毎)に霧化ノズル11の方向をそれぞれの人体が存在する方向(位置)に順次変更するようにすればよい。また、このとき、人の存在が検知されていなければ、霧化ノズル11の方向は、変更しても、変更しなくても良いし、スイングさせても良い。その後、S105に移行する。S105にて噴霧動作開始ルーチンから抜ける。
【0060】
このように、サウナ室100内に放出された銀イオン水ミストは、サウナ室100内の壁面12や、サウナ室100内に備えられている腰掛部101や洗面器などに付着し、銀イオンの持つ抗菌性・抗カビ性・殺菌性により、壁面12や腰掛部101や洗面器などが抗菌されることになる。
【0061】
なお、ミストを維持するためには、多量の水を使用する必要がある。例えば、室内温度が40℃、容積が10m3の室内を相対湿度100%にするためには550mLの水が必要であり、ミストを空気中に存在させるには、550mL以上の水が必要となる。すなわち、サウナ室100として利用するには、ミストを維持しなければならず、連続して水を供給する必要がある。そこで、ミストサウナ装置を、給水管か給湯管のうち少なくとも一方に接続する(本実施形態では給水管である水道管に接続している)ことによって、給水弁4の制御により給水量を制御する構成となっている。
【0062】
このようにすることで、多量の水を貯えることができる大きなタンクを備える必要が無くなる。また、水温を調節する(加熱する)場合でも、配管を通過する水を加熱して水温調節を行なえばよいので、要求される加熱手段の能力(例えば、ヒーターの場合は出力(W)、ガスの場合はカロリー(kcal))は、タンクに貯えられている多量の水全てを温度調整する場合に必要な能力に比べて、小さくすることができる。
【0063】
なお、霧化ノズル11に換えて、超音波振動子やベンチュリー効果によって銀イオン水を霧化してもよい。この場合、霧化されたミストの噴出し方向の変更方法としては、例えば、空気調和機の室内機によく用いられる、縦ルーバーと横ルーバーによる既知の吹出し方向変更機構を用いればよい。
【0064】
続いて、銀イオンを用いた抗菌効果について表1、表2を用いて説明する。
【0065】
表1は、「防菌防黴vol.22,No.9,pp.531−536,1994」からの引用であり、「大腸菌(E.coli)に対する銀イオンの抗菌効果」を示す表である。表2は、実際に本発明者が試験を実施した「クラドスポリウム(Cladosporium cladosporioides)に対する銀イオンの抗菌効果」を示す表である。試験方法は、いずれも、銀イオン水と菌液とを接触させ、初期菌数と24時間後の菌数を比較したものである。試験菌種としては、サウナ室100内や浴室内に存在する微生物である、大腸菌(E.coli)と、クロカビとして知られるクラドスポリウム(Cladosporium cladosporioides)を用いている。なお、表1の「0ppbとの対数値差」とは、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の10ppbの菌数との対数値差、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の100ppbの菌数との対数値差を表しており、表2の「0ppbとの対数値差」とは、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の90ppbの菌数との対数値差、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の600ppbの菌数との対数値差を表している。
【0066】
表1、表2に記載するように、どちらの菌に対しても効果があった。また、銀イオンの濃度が高いほど抗菌効果が高いことがわかる。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
続いて、銀イオンを用いた人体にいる菌に対する抗菌効果について表3、表4を用いて説明する。
【0070】
表3、表4とも、実際に本発明者が試験を実施したものであり、表3は「カンジダ(Candida albicans)に対する銀イオンの抗菌効果」を示す表であり、表4は「白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)に対する銀イオンの抗菌効果」を示す表である。試験方法は、いずれも、銀イオン水と菌液とを接触させ、初期菌数と所定時間後の菌数を比較したものである。試験菌種としては、人体の皮膚などに繁殖して、害を及ぼすことがある菌を使用した。なお、表3の「0ppbとの対数値差」とは、10分後の0ppbの菌数と10分後の90ppbの菌数との対数値差、10分後の0ppbの菌数と10分後の600ppbの菌数との対数値差を表しており、表4の「0ppbとの対数値差」とは、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の90ppbの菌数との対数値差、24時間後の0ppbの菌数と24時間後の600ppbの菌数との対数値差を表している。
【0071】
表3、表4に記載するように、どちらの菌に対しても効果があった。また、銀イオンの濃度が高いほど抗菌効果が高いことがわかる。
【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
なお、サウナ室100内にミストサウナ装置1から噴霧するミストの温度としては、人が冷たさを感じないようにするため、30〜45℃が好ましい。この温度は、本来微生物の繁殖に適した温度であり、サウナ室100内に菌の繁殖をもたらす恐れがあるが、抗菌効果がある金属イオンを含む本発明のミストであれば、そのようなことはない。また、金属イオン水として銀イオン水を用いた場合、銀イオン水の水温が高くなる程、細菌の銀に対する耐性が低下することが知られている。このことは公知であり、「銀イオン水 L.A.クリスキー著 新日本鋳鍛造協会(出版会) 1993年」に記載されている。
【0075】
このように、ミスト噴霧装置であるミストサウナ装置1を用いれば、銀イオン水(抗菌性を有する金属イオンを含む金属イオン水)を霧化し、人感センサー13により人が存在する方向(位置)を検知すると、サウナ室100内の人が存在する方向(位置)に自動的に霧化ノズル11を向けて、銀イオン水ミストを噴霧するので、人体周辺にミストを集中させることができ、人体表面の幅広い範囲(頭、首、腕、胸、腹、背中、臀部、足などミストにさらされている部分)にミストを付着させ易くなる。また、人はサウナ室100内を自由に動き回ることができ、一箇所に留まる必要がなく、サウナを楽しみながら、人体表面の広い範囲を抗菌することができる。
【0076】
さらに、サウナ室100内の壁面12、サウナ室100内に置かれている洗面器、椅子等を銀イオン水にてコーティングすることができる。ここでコーティングとは、サウナ室100内の壁面12やサウナ室100内に置かれている洗面器などの表面の一部または全部に銀イオンミストを付着させることをいう。このように、付着した銀イオンミストは、乾燥した後も、銀化合物として残り、抗菌作用をもたらす。また、排水溝や排水口にも銀イオン水を付着させることができる。
【0077】
さらに、人の存在が検知されていないときに、霧化ノズル11の方向を、霧化ノズル11の動作可能範囲の中間点付近に変更する、あるいは、部屋の中心付近に噴霧できる位置に変更する、または、ランダムに変更する、または、スイングさせる、などのようにすれば、サウナ室100内に満遍なく銀イオンミストを噴霧することができる。
【0078】
また、サウナ室100内や浴室などは、室内壁面12(天面、底面など)などの広い範囲にわたって水に触れることになる。天井や壁の高い部分などは、清掃を行うのが大変であり、銀イオンミストを付着させることで、天井や壁の高い部分におけるカビの繁殖やヌメリの発生を低減することができる。特に、ミストサウナである場合には、水に触れる部分は、室内全域に及ぶ。このような条件では、水が長期間にわたって残留しやすく、このような場所には菌の繁殖によるヌメリや臭気が発生したり、カビが発生したりしやすい。しかし、ミストに銀イオン水(抗菌性を有する金属イオンを含む金属イオン水)を用いることによって、銀イオンの抗菌・防カビ作用によって、水が残留しても、ヌメリやカビなどを防ぐことができる。
【0079】
なお、本実施形態においては、S104にて、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22bに通電し、散水管9内の水(お湯)に銀イオンが添加され、銀イオン水が生成されるようになっているが、人感センサー13により、サウナ室100内に人が存在するかどうかを検知し、人がサウナ室100内にいる場合には、銀イオン水を生成し、銀イオン水をミスト化して噴霧し、人がいない場合には、ミストを噴霧しないようにしてもよい。あるいは、人がサウナ室100内にいる場合には、銀イオン水を生成し、銀イオン水をミスト化して噴霧し、人がいない場合には、銀イオンを含まないミストを噴霧するようにしてもよい。このようにすれば、人体に銀イオンを付着させることができるとともに、常に金属イオン水を噴霧する場合に比べ、金属イオンの消費を抑えることができ、銀電極22a、22bの消耗を抑えることができる。
【0080】
また、サウナ室100に暖房装置を設けておいても良い。
【0081】
さらに、本実施形態ではミスト噴霧装置であるミストサウナ装置1を備える部屋としてサウナ室100を用いて説明を行ったが、部屋はサウナ専用室でなくてもよく、例えば浴室などにミストサウナ装置1を備えてもよい。また、サウナ室や浴室は、業務用であってもよいし、家庭用であってもよい。さらに、天井付近に取り付けるタイプではなく、床面に据え置くタイプの装置であってもよい。
【0082】
さらにまた、「人が存在する方向」とは、おそらく人が存在するであろうと思われる方向も含む。例えば、サウナ室や浴室内で人が存在するであろうと考えられる方向(腰掛部101や、体を洗う洗い場などが設置されている方向など。この方向はユーザーが設定し、設定データが制御部7に記憶されるようにしておけばよい。また、構造上、腰掛部101や洗い場などのユーザーがいる場所が限定できる場合には、予めその方向に向けて設置しておいてもよい。)にミストを噴霧する。あるいは、直接人に向けて噴霧するのではなく、前述した人が存在するであろうと思われる方向に向けてほぼ水平方向に噴霧し、ミストを重力により自然落下させてもよい。このようにすることで、人感センサー13を付ける必要がなく、コストダウンにつながる。
【0083】
次に、本発明のミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋の第2の実施の形態として、ミスト噴霧装置であるミストサウナ装置1の他のミスト噴霧開始動作について説明する。第2の実施の形態において、前述の実施の形態について説明した構成部分と同じ部分については同一符号を付し、その説明を省略する。第2の実施の形態においては、ミストサウナ装置1は、第1の一定期間運転モードを有する。第1の一定期間運転モードとは、例えば、一定期間の間のみミストサウナ装置1を動作させてミストを噴霧させるが、この一定期間のうち、噴霧を終了する前の最後の所定時間(以後、第1運転時間と呼ぶ)の間だけ、金属イオンを含むミストを噴霧し、それ以外は金属イオンを含まないミストを噴霧するモードである。この一定期間(例えば30分間、60分間など)と、所定時間である第1運転時間(最後の15分、最後の20分など)は固定であっても良いし、ユーザーが任意に決定できるようにしても良い。なお、第1運転時間と一定期間との関係は、「第1運転時間≦一定期間」とする。
【0084】
図5は、ミストサウナ装置の第1の一定期間運転モードのルーチンを示すフローチャート、図6は、ミストサウナ装置の第2噴霧動作開始ルーチンを示すフローチャートである。
【0085】
図5のS200から第1の一定期間運転モードのルーチンが開始され、次のステップに進む。S200の次ステップはS300である。S300は図6に示すフローチャートをもつルーチンである。S300から第2噴霧動作開始ルーチンが始まり、S301に進む。S301にて、温度センサー5により、導水管8内の水温が所定温度(人が冷たさを感じない温度、例えば30℃から45℃の間。本実施形態では45℃とする)以上であるかを確認する。水温が所定温度未満であれば(Noであれば)、後述するS305に移行する。水温が所定温度以上であれば(Yesであれば)、S302に移行する。S302にて三方弁3を散水管9側に切り替え、S303に移行する。
【0086】
S303にて給水弁4を開き、S304に移行する。この時点で、導水管8内の水(お湯)は散水管9に導かれ、散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に噴霧される。S304にて噴霧動作開始ルーチン2から抜けて図5のS201に進む。
【0087】
また、S301にて、水温が所定温度未満であれば(Noであれば)、S305に移行する。S305にて加熱手段であるヒーター6に通電し、S306に移行する。S306にて三方弁3を排水管10側に切り替え、S307に移行する。S307にて給水弁4を開き、S308に移行する。この時点で導水管8内の水(お湯)は排水管10に導かれることになる。
【0088】
S308にて水温が所定温度(本実施形態では45℃)未満であれば(Noであれば)、S308に戻る。水温が所定温度以上であれば(Yesであれば)、S309に移行する。S309にて三方弁3を散水管9側に切り替え、S304に移行する。この時点で、導水管8内の水(お湯)は散水管9に導かれ、散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に噴霧される。S304にて噴霧動作開始ルーチン2から抜けて図5のS201に進む。
【0089】
S201にて「経過運転時間≧運転予定時間−第1運転時間」であるかどうかを確認する。ここで経過運転時間とは、第1の一定期間運転モードでミストサウナ装置1の動作が開始されてから経過した時間である。また、運転予定時間とは、前述したミストサウナ装置1を動作させる一定期間のことである。さらに、第1運転時間とは、前述したように金属イオンを含むミストを噴霧する最後の所定時間のことである。
【0090】
「「経過運転時間≧運転予定時間−第1運転時間」が成立しなければ(Noであれば)、S201に戻り、成立するまでS201を繰り返す。経過運転時間≧運転予定時間−第1運転時間」が成立すれば(Yesであれば)、S202に移行する。
【0091】
S202にて、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22bに通電を開始する。この時点で、散水管9内の水(お湯)に銀イオンが添加されることになり、銀イオン水が生成される。この銀イオン水は散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に放出される。このとき、人感センサー13により人の存在が確認されていれば、制御部7は駆動用モーター(図示せず)を駆動させて霧化ノズル11を人が存在する方向に向ける。このとき、複数の位置で人の存在が検知されていれば、霧化ノズル11をスイングさせる、あるいは一定間隔毎(例えば30秒毎)に霧化ノズル11の方向をそれぞれの人の位置に順次変更するようにすればよい。また、このとき、人の存在が検知されていなければ、霧化ノズル11の方向は、変更しても、変更しなくても良いし、スイングさせても良い。なお、S202に至るまでは、霧化ノズル11を人の存在する方向に向けないようにしても良いし、人の存在する方向に向けておいても良い。その後、S203に移行する。
【0092】
S203にて「経過運転時間≧運転予定時間」であるかどうかを確認する。「経過運転時間≧運転予定時間」が成立しなければ(Noであれば)、S203に戻り、成立するまでS203を繰り返す。「経過運転時間≧運転予定時間」が成立すれば(Yesであれば)、S204に移行する。
【0093】
S204にて、噴霧動作を停止し、S205へ進む。すなわち、S204にて制御部7は、給水弁4を閉じ、銀電極22a、22bへの通電を停止し、ヒーター6への通電を停止するなどの噴霧動作を停止させる動作を行う。S205にて第1の一定期間運転モードのルーチンから抜ける。
【0094】
上述した第1の一定期間運転モードにおいて、例えば、運転予定時間=60分、第1運転時間=15分が設定されているとする。この場合、ミストサウナ装置1の動作開始から45分が経過するまでは、銀イオンを含まないミストを噴霧し、ミストサウナ装置1の動作開始から45分経過後に、銀イオンを含むミストが噴霧され、ミストサウナ装置1の動作開始から60分後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0095】
このような第1の一定期間運転モードを設けることにより、長時間サウナに入りすぎて体力を消耗してしまう可能性を低減することができる。また、一定期間経過すると自動的にミストサウナ装置1のミスト噴霧動作が停止されるので、ユーザーによるミストサウナ装置1の停止忘れを防止することができる。
【0096】
また、長時間にわたって銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)を含むミストを噴霧する場合、初期に噴霧したミストに含まれる銀イオンは、サウナ室100内やユーザーの体表面に付着するものの、水滴や汗などとともにサウナ室100内から排水口や排水溝などへ流れてしまう。そのため排水溝や排水口などを抗菌できる効果があるものの、サウナ室100内やユーザーの体表面を抗菌するという点では無駄に銀イオンを消費していた。しかし、このような第1の一定期間運転モードを設けることにより、銀イオンの消費量を抑えつつ、サウナ室100内やユーザーの人体表面に銀イオンを効果的に付着させることができる。
【0097】
なお、上述したが、運転予定時間や第1運転時間は固定であっても良いが、ユーザーが任意に設定できるようにしても良い。また、第1運転時間は、銀イオン水(抗菌性を有する金属イオン水)のミストがサウナ室100内全体や人体表面に行き渡る程度の時間が必要であるが、サウナ室100の容積やミストサウナ装置1のミスト噴霧量などさまざまな要因によりその時間は異なるので、実験的に求めることが好ましい。
【0098】
なお、第1運転時間=運転予定時間とすることもできる。この場合は、ミストサウナ装置1の動作開始から銀イオンミストを噴霧することになる。
【0099】
このように、銀イオン溶出の有無を切り替えて運転を行う場合には、上記した銀イオン溶出ユニット2のような電圧の印加の有無で銀イオンの溶出/非溶出を選択できる方式であれば、使い勝手がよい。
【0100】
本実施形態のその他の変形例として、例えば、「経過運転時間≧第1所定時間」が成立するまでは、銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)を含まないミストを噴霧し、成立すれば、銀イオンを含むミストを噴霧するモードであってもよい。ただし、この第1所定時間は、運転予定時間よりも小さいものする。なお、第1所定時間は、固定であっても良いし、ユーザーが任意に設定できるものであっても良い。この場合、第1所定時間=15分であるとすると、運転予定時間が60分の場合であっても、90分の場合であっても、ミストサウナ装置1の動作開始から15分が経過するまでは、銀イオンを含まないミストを噴霧し、15分経過後に、銀イオンを含むミストが噴霧されることになる。そして、運転予定時間経過後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0101】
あるいは、「経過運転時間≧運転予定時間×第1所定率」が成立するまでは銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)を含まないミストを噴霧し、成立すれば、銀イオンを含むミストを噴霧するモードであってもよい。この場合、第1所定率は、0〜1までの間であるとする。なお、この第1所定率は固定であっても良いし、ユーザーが任意に設定できるものであっても良い。この場合、運転予定時間=60分、第1所定率=0.25であったとすると、ミストサウナ装置1の動作開始から15分(60分×0.25=15分)が経過するまでは、銀イオンを含まないミストを噴霧し、15分経過後に、銀イオンを含むミストが噴霧されることになる。そして、60分経過後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0102】
次に、本発明のミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋の第3の実施の形態として、ミスト噴霧装置であるミストサウナ装置1の他のミスト噴霧開始動作について説明する。第3の実施の形態において、前述の実施の形態について説明した構成部分と同じ部分については同一符号を付し、その説明を省略する。第3の実施の形態においては、ミストサウナ装置1は、第2の一定期間運転モードを有する。第2の一定期間運転モードとは、例えば、一定期間の間のみミストサウナ装置1を動作させてミストを噴霧させるが、この一定期間のうち、噴霧を終了する前の最後の所定時間(以後、第2運転時間と呼ぶ)の間だけ、金属イオン水の金属イオン濃度を、それ以前の濃度よりも高くし、ミストを噴霧するモードである。この一定期間(例えば30分間、60分間など)と、所定時間である第2運転時間(最後の15分、最後の20分など)は固定であっても良いし、ユーザーが任意に決定できるようにしても良い。なお、第2運転時間と一定期間との関係は、「第2運転時間≦一定期間」とする。
【0103】
図7はミストサウナ装置の第2の一定期間運転モードのルーチンを示すフローチャートである。
【0104】
図7のS250から第2の一定期間運転モードのルーチンが開始され、次のステップに進む。S250の次ステップはS100である。S100は、上述した図4に示すフローチャートをもつルーチンであるので、ここでは、説明を省略する。S100を抜けると、図7のS251に進む。
【0105】
S251にて「経過運転時間≧運転予定時間−第2運転時間」であるかどうかを確認する。ここで経過運転時間とは、第2の一定期間運転モードでミストサウナ装置1の動作が開始されてから経過した時間である。また、運転予定時間とは、前述したミストサウナ装置1を動作させる一定期間のことである。さらに、第2運転時間とは、前述したようにそれ以前の濃度よりも高くしたミストを噴霧する最後の所定時間のことである。
【0106】
「「経過運転時間≧運転予定時間−第2運転時間」が成立しなければ(Noであれば)、S251に戻り、成立するまでS251を繰り返す。経過運転時間≧運転予定時間−第2運転時間」が成立すれば(Yesであれば)、S252に移行する。
【0107】
S252にて、銀イオン溶出ユニット2の銀電極22a、22bへの通電量を増加させることにより、銀イオンの溶出量を上昇させ、S253に移行する。この時点で、散水管9内の水(お湯)に添加される銀イオンの量が増加することになり、第2運転時間が経過する前の銀イオン水よりも濃度の高い銀イオン水が生成される。この銀イオン水は散水管9を通り、霧化ノズル11にてミスト化され、サウナ室100内に放出される。
【0108】
S253にて「経過運転時間≧運転予定時間」であるかどうかを確認する。「経過運転時間≧運転予定時間」が成立しなければ(Noであれば)、S253に戻り、成立するまでS253を繰り返す。「経過運転時間≧運転予定時間」が成立すれば(Yesであれば)、S254に移行する。
【0109】
S254にて、噴霧動作を停止し、S255へ進む。すなわち、S254にて制御部7は、給水弁4を閉じ、銀電極22a、22bへの通電を停止し、ヒーター6への通電を停止するなどの噴霧動作を停止させる動作を行う。S255にて第2の一定期間運転モードのルーチンから抜ける。
【0110】
上述した第2の一定期間運転モードにおいて、例えば、運転予定時間=60分、第2運転時間=15分が設定されているとする。この場合、ミストサウナ装置1の動作開始から45分が経過するまでは、例えば、濃度90ppbの銀イオン水ミストを噴霧し、ミストサウナ装置1の動作開始から45分経過後に、濃度600ppbの銀イオン水ミストが噴霧され、ミストサウナ装置1の動作開始から60分後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0111】
このような第2の一定期間運転モードを設けることにより、上述した第1の一定期間運転モードと同様に、長時間サウナに入りすぎて体力を消耗してしまう可能性を低減することができる。また、一定期間経過すると自動的にミストサウナ装置1のミスト噴霧動作が停止されるので、ユーザーによるミストサウナ装置1の停止忘れを防止することができる。
【0112】
また、長時間にわたって銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)を含むミストを噴霧する場合、初期に噴霧したミストに含まれる銀イオンは、サウナ室100内やユーザーの体表面に付着するものの、水滴や汗などとともにサウナ室100内から排水口や排水溝などへ流れてしまう。そのため排水溝や排水口などを抗菌できる効果があるものの、サウナ室100内やユーザーの体表面を抗菌するという点では無駄に銀イオンを消費していた。しかし、このような第2の一定期間運転モードを設けることにより、最後に濃度の高い銀イオン水ミストを噴霧することで、銀イオンの消費量を抑えつつ、サウナ室100内やユーザーの人体表面に銀イオンを効果的に付着させることができる。
【0113】
なお、上述したが、運転予定時間や第2運転時間は固定であっても良いが、ユーザーが任意に設定できるようにしても良い。また、第2運転時間は、高濃度の銀イオン水(抗菌性を有する金属イオン水)のミストがサウナ室100内全体及び人体表面に行き渡る程度の時間が必要であるが、サウナ室100の容積やミストサウナ装置1のミスト噴霧量などさまざまな要因によりその時間は異なるので、実験的に求めることが好ましい。また、第2運転時間中に噴霧する銀イオン水濃度と、それ以外の期間の銀イオン水濃度は、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。
【0114】
なお、第1運転時間=運転予定時間とすることもできる。この場合は、ミストサウナ装置1の動作開始から高濃度の銀イオンミストを噴霧することになる。
【0115】
このように、銀イオン溶出の濃度を切り替える運転を行う場合には、上記した銀イオン溶出ユニット2のような電圧の印加の有無で銀イオンの溶出/非溶出を選択できる方式であれば、使い勝手がよい。
【0116】
本実施形態のその他の変形例として、例えば、「経過運転時間≧第2所定時間」が成立するまでは、低濃度(例えば、90ppb)の銀イオン水(抗菌性を有する金属イオン水)ミストを噴霧し、成立すれば、高濃度(例えば、600ppb)の銀イオン水ミストを噴霧するモードであってもよい。ただし、この第2所定時間は、運転予定時間よりも小さいものする。なお、第2所定時間は、固定であっても良いし、ユーザーが任意に設定できるものであっても良い。この場合、第2所定時間=15分であるとすると、運転予定時間が60分の場合であっても、90分の場合であっても、ミストサウナ装置1の動作開始から15分が経過するまでは、低濃度(例えば、90ppb)の銀イオン水ミストを噴霧し、15分経過後に、高濃度(例えば、600ppb)の銀イオン水ミストが噴霧されることになる。そして、運転予定時間経過後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0117】
あるいは、「経過運転時間≧運転予定時間×第2所定率」が成立するまでは、低濃度(例えば、90ppb)の銀イオン水(抗菌性を有する金属イオン水)ミストを噴霧し、成立すれば、高濃度(例えば、600ppb)の銀イオン水ミストを噴霧するモードであってもよい。この場合、第2所定率は、0〜1までの間であるとする。なお、この第2所定率は固定であっても良いし、ユーザーが任意に設定できるものであっても良い。この場合、運転予定時間=60分、第1所定率=0.25であったとすると、ミストサウナ装置1の動作開始から15分(60分×0.25=15分)が経過するまでは、低濃度(例えば、90ppb)の銀イオン水ミストを噴霧し、15分経過後に、高濃度(例えば、600ppb)の銀イオン水ミストが噴霧されることになる。そして、60分経過後にミストサウナ装置1の動作が停止する。
【0118】
本発明のミスト噴霧装置及びそれを備えた部屋の第4の実施の形態を図8に従って説明する。図8は、本発明のミスト噴霧装置を備えた部屋の第4の実施の形態の概略斜視図である。なお、第4の実施の形態では、ミスト噴霧装置としてミストサウナ装置を、部屋としてサウナ室を例として用いている。図8に示すようにサウナ室100の内部には、換気手段である換気扇14と、乾燥手段である乾燥装置15と、懸架手段である物干し棒16とを備えている。第4の実施の形態において、前述の実施の形態について説明した構成部分と同じ部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0119】
図9は換気扇14の概略断面図である。換気扇14は筐体14aと、フィルタ14b、プロペラファン14c、ルーバー14dなどから成る。プロペラファン14cは図示しないファンモーターに接続されており、回転可能となっている。換気扇14は図8、図9に示すように、壁面12に設置されている。ファンモーターが回転するとプロペラファン14cも回転し、サウナ室100内の空気は、フィルタ14bを通り、ルーバー14dから屋外に排出されるようになっている。また、ファンモーターの回転方向を逆にすることで、屋外の空気をサウナ室100内に引き込むこともできる。
【0120】
図10は乾燥装置15の概略断面図である。乾燥装置15は筐体15aと、フィルタ15bと、シロッコファン15cと、ルーバー15dと、熱交換器15eなどから成る。シロッコファン15cは図示しないファンモーターに接続されており、回転可能となっている。熱交換器15eはエアコンなどで使われている公知のものであり、その配管内には高温のお湯が流れている。乾燥装置15は、図8、図10に示すように、壁面12(天面側の壁面)に設置されている。ファンモーターが回転するとシロッコファン15cも回転し、サウナ室100内の空気は、フィルタ15bを通り、シロッコファン15cを介して、熱交換器15eに達する。熱交換器15eにおいて、この空気は暖められ、ルーバー15dが向いている方向に温風として吹き出され、再びサウナ室100内に戻されるようになっている。なお、熱交換器15eの配管にお湯を流さず、シロッコファン15cのみを回転させれば、送風装置としても利用することができる。
【0121】
また、ミストサウナ装置1と換気扇14、ミストサウナ装置1と乾燥装置15は図示しない通信ケーブルにより接続されおり通信可能となっている。そして、換気扇14と乾燥装置15は、ミストサウナ装置1の制御部7により、運転開始及び運転停止が制御されるようになっている。
【0122】
続いて、ミストサウナ装置1の換気付き運転について説明する。図11は換気付き運転モードのルーチンを示すフローチャートである。S400から換気付き運転モードが開始され、S100に移行する。
【0123】
このS100は図4に示す第1噴霧動作開始ルーチンのことであるので、詳細な説明は省略する。S100の第1噴霧動作開始ルーチンから抜けるとS401に移行する。
【0124】
S401にて「経過運転時間≧ミスト噴霧運転時間」であるかどうかを確認する。ここで経過運転時間とは、換気付き運転モードでミストサウナ装置1の動作が開始されてから経過した時間である。また、ミスト噴霧運転時間とは、ミストサウナ装置1がミスト噴霧動作を行う予定時間のことである。このミスト噴霧運転時間は、固定であってもよいし、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。この段階で、銀イオン水ミストをサウナ室100内に噴霧することで、人体表面やサウナ室100内の壁面や排水溝や排水口や、サウナ室100内に置かれている洗面器などに銀イオン水を付着させる。
【0125】
「経過運転時間≧ミスト噴霧運転時間」が成立しなければ(Noであれば)、S401に戻り、成立するまでS401を繰り返す。「経過運転時間≧ミスト噴霧運転時間」が成立すれば(Yesであれば)、S402に移行する。
【0126】
S402にて、噴霧動作を停止し、S403へ進む。すなわち、S402にて、給水弁4を閉じ、銀電極22a、22bへの通電を停止し、ヒーター6への通電を停止するなどの噴霧動作を停止させる動作を行う。
【0127】
S403にて、換気扇14の運転を開始する。すなわち、ファンモーター(図示せず)への通電が行われ、プロペラファン14cを回転させて、サウナ室100内の空気や残留しているミストを屋外へ排出する。これにより、サウナ室100内にいる人の人体表面に付着している銀イオン水を乾燥させることができる。次にS404へ移行する。
【0128】
S404にて「換気経過運転時間≧換気動作運転時間」であるかどうかを確認する。ここで換気経過運転時間とは、換気付き運転モードで換気扇14の換気動作が開始されてから経過した時間である。また、換気動作運転時間とは、換気扇14が換気を行う予定時間のことである。この換気動作運転時間は、固定であってもよいし、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。
【0129】
「換気経過運転時間≧換気動作運転時間」が成立しなければ(Noであれば)、S404に戻り、成立するまでS404を繰り返す。「換気経過運転時間≧換気動作運転時間」が成立すれば(Yesであれば)、S405に移行する。
【0130】
S405にて換気扇14の運転を停止し、S406に移行する。S406にて換気付き運転モードのルーチンから抜ける。
【0131】
上述した換気付き運転モードにおいて、例えば、ミスト噴霧運転時間=30分、換気動作運転時間=180分が設定されているとする。この場合、ミストサウナ装置1は動作開始から30分間は、銀イオンを含むミストを噴霧し、30分経過後に、ミストの噴霧を停止する。続いて換気扇14を回して換気を開始する。このとき、換気経過運転時間のカウントが始まる。そして、換気経過運転時間が180分を経過するまでは、換気扇14を回して換気を続け、換気経過運転時間が180分を経過すると、換気扇14が停止する。
【0132】
上述したような換気付き運転モードを行なうことで、抗菌性を有する金属イオンである銀イオンを含むミストがサウナ室100内に噴霧されるとともに、換気により人体表面に付着した銀イオン水やサウナ室100内に行き渡った銀イオン水が乾燥し易くなる。人体表面やサウナ室100内の壁面12などに付着した銀イオン水が乾燥した場合、銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)は次亜塩素酸イオンなどのように揮発することはなく、銀化合物(金属化合物)として残留する。このような形で残留した銀化合物(金属化合物)は、微小であるため溶解しやすく、水分(例えば、汗や結露)が触れた時に銀イオン(金属イオン)となって抗菌効果を発揮する。
【0133】
このようにして、人体表面やサウナ室100内を抗菌処理することができる。また、換気運転によって、完全にサウナ室100内を乾燥させることができなかった場合にも、銀イオンミストは有効である。実際には、換気運転を実施しても、サウナ室100内には、洗面器や椅子などがおかれていることが多く、その陰になる部分や下になる部分など、乾燥させるのが難しい部分がある。また、排水口などには常に水がたまっており、乾燥させるのがきわめて困難な部分もある。それらの部分に、ヌメリや臭気やカビが発生してユーザーに不快感を与えることがある。
【0134】
紫外線ランプを利用した殺菌・抗菌方法の場合、洗面器や椅子などの陰となる部分や排水口などの水が常に溜まっている部分などに対して、紫外線を照射することが難しく効果的でない。しかし、銀イオンミストの場合、ミストの形態で陰となる部分に回り込んだり、銀イオン水として排水口や排水溝に流れ込んだりするので、殺菌・抗菌効果を得やすくなる。また、銀イオンミスト中の水が一部乾燥することにより、ミスト中の銀イオン濃度が高くなる。銀イオン濃度が高くなると、前述した表2にあるように、抗菌効果が高まるので、より効果的にヌメリや臭気やカビを防ぐことができる。このように、乾燥前や換気前に、銀イオンミスト(金属イオンミスト)を噴霧することで、サウナ室100内の抗菌処理を行い、ヌメリなどを防ぐことができる。
【0135】
なお、上述したが、ミスト噴霧運転時間や換気動作運転時間は固定であっても良いが、ユーザーが任意に設定できるようにしても良い。また、ミスト噴霧運転時間は、銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)が人体表面やサウナ室100内全体に行き渡る程度の時間が必要であるが、サウナ室100の内容積やミストの噴霧量などさまざまな要因によりその時間は異なるので、実験的に求めることが好ましい。
【0136】
本実施形態のその他の変形例として、換気扇14に替えて乾燥装置15により、人体表面やサウナ室100内の乾燥を行ってもよい。この場合、図12に示す乾燥付き運転モードのルーチンを示すフローチャートに従って乾燥が行われる。
【0137】
S500からS502までは、図11に示す換気付き運転モードのルーチンを示すフローチャートのS400からS402と同じ動作であるため、説明を省略する。
【0138】
S503にて、乾燥装置15の運転を開始する。すなわち、ファンモーター(図示せず)への通電が行われ、シロッコファン15cを回転させて、サウナ室100内の空気を吸い込み、熱交換器15eにて温度を上げたあと、再びサウナ室100内に温風として吹き出す。これにより、サウナ室100内にいる人の人体表面に付着している銀イオン水を乾燥させることができる。次にS504へ移行する。
【0139】
S504にて「乾燥経過運転時間≧乾燥動作運転時間」であるかどうかを確認する。ここで乾燥経過運転時間とは、乾燥付き運転モードで乾燥装置15の乾燥動作が開始されてから経過した時間である。また、乾燥動作運転時間とは、乾燥装置15が乾燥動作を行う予定時間のことである。この乾燥動作運転時間は、固定であってもよいし、ユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。
【0140】
「乾燥経過運転時間≧乾燥動作運転時間」が成立しなければ(Noであれば)、S504に戻り、成立するまでS504を繰り返す。「乾燥経過運転時間≧乾燥動作運転時間」が成立すれば(Yesであれば)、S505に移行する。
【0141】
S505にて乾燥装置15の運転を停止し、S506に移行する。S506にて乾燥付き運転モードのルーチンから抜ける。
【0142】
上述した乾燥付き運転モードにおいて、例えば、ミスト噴霧運転時間=30分、乾燥動作運転時間=60分が設定されているとする。この場合、ミストサウナ装置1は動作開始から30分間は、銀イオンを含むミストを噴霧し、30分経過後に、ミストの噴霧を停止する。続いて乾燥装置15を動作させて乾燥を開始する。このとき、乾燥経過運転時間のカウントが始まる。そして、乾燥経過運転時間が60分を経過するまでは、乾燥装置15を動作させて乾燥を続け、乾燥経過運転時間が60分を経過すると、乾燥装置15が停止する。
【0143】
上述したような乾燥付き運転モードを行なうことで、抗菌性を有する金属イオンである銀イオンを含むミストがサウナ室100内に噴霧されるとともに、乾燥装置15から噴出される温風により人体表面に付着した銀イオン水やサウナ室100内に行き渡った銀イオン水が乾燥し易くなる。人体表面やサウナ室100内の壁面12などに付着した銀イオン水が乾燥した場合、銀イオン(抗菌性を有する金属イオン)は次亜塩素酸イオンなどのように揮発することはなく、銀化合物(金属化合物)として残留する。このような形で残留した銀化合物(金属化合物)は、微小であるため溶解しやすく、水分(例えば、汗や結露)が触れた時に銀イオン(金属イオン)となって抗菌効果を発揮する。
【0144】
また、温風によって、サウナ室100内の温度を上げて乾燥運転を行った場合には、乾燥運転終了後にサウナ室100内の温度が低下してサウナ室100内の壁面12などに結露が生じることがあるが、この結露により、再び銀イオンとなり抗菌効果が発揮されることになる。
【0145】
また、サウナ室100は、物干し棒16を備えているので、この物干し棒16に洗濯後の衣類などを掛けて乾燥装置15を動作させることで、サウナ室100を乾燥室としても使用することが可能となる。
【0146】
さらに、物干し棒16に衣類(肌着やシャツなど)やタオルなどを掛けた状態で、ミストサウナ装置1から抗菌性を有する金属イオンである銀イオンを含むミストを噴霧する。そうすることで、衣類などに銀イオンミストを付着させる。その後、換気扇14による換気や、乾燥装置15による乾燥を行なうことで、衣類などに付着した銀イオン水を乾燥させる。
【0147】
洗濯後の衣類の乾燥に時間がかかった場合、菌が繁殖し、不快な臭気を発することがあるが、付着させた銀イオンの抗菌効果により、臭気の発生を防ぐことができる。また、衣類に付着した銀イオンミストが乾燥した場合、銀イオンは次亜塩素酸イオンなどのように揮発することはなく、銀化合物として残留する。このような形で残留した銀化合物は、微小であるため溶解しやすく、水分(例えば、汗や雨滴など)が触れた時に銀イオンとなって抗菌効果を発揮する。
【0148】
なお、衣類以外にもマットや、スーツなど、洗濯を行いにくいものに対しても銀イオンミストにより、抗菌処理を行うことができる。
【0149】
また、上記実施形態においては、換気手段である換気扇14と、乾燥手段である乾燥装置15とを、別々に動作させるモードであったが、換気扇14と乾燥装置15とを併用するモードであってもよい。例えば、ミストサウナ装置1の動作終了後、換気扇14にて、サウナ室100に滞留しているミストや水蒸気の大部分を屋外に排出した後、乾燥装置15により乾燥を行うようにしても良い。
【0150】
また、乾燥手段は、上述した温水を利用して温風を吹き出す乾燥装置15に替えて、エアコンを使用してもよい。エアコンを用いた場合は、除湿、暖房を行うことができるので、より効率的に人体表面や部屋、洗濯物などの乾燥を行うことが可能となる。
【0151】
また、上記実施形態においては、換気手段と乾燥手段は別体に設けられているが、一体であってもよい。さらにミスト噴霧装置と乾燥手段を一体化し、乾燥手段による温風も人体が存在する方向を検知し、人体が存在する方向に向かって吹出す構造としてもよい。
【0152】
以上の実施の形態は一例に過ぎず、ミスト噴霧装置の具体的な構成、銀イオン溶出ユニットや金属電極(銀電極)の具体的な形状や構成、取り付け位置などについても、すべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るミスト噴霧装置を備えた部屋の概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るミストサウナ装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る銀イオン溶出ユニットの概略断面図であり、(A)は水平概略断面図、(B)は垂直概略断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るミストサウナ装置の第1噴霧動作開始ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るミストサウナ装置の第1の一定期間運転モードのルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るミストサウナ装置の第2噴霧動作開始ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るミストサウナ装置の第2の一定期間運転モードのルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係るミスト噴霧装置を備えた部屋の概略斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る換気扇の概略断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る乾燥装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る換気付き運転モードのルーチンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る乾燥付き運転モードのルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0154】
1 ミストサウナ装置
1a 筐体
2 銀イオン溶出ユニット
3 三方弁
4 給水弁
5 温度センサー
6 ヒーター
7 制御部
8 導水管
9 散水管
10 排水管
11 霧化ノズル
12 壁面
13 人感センサー
14 換気扇
14a 筐体
14b フィルタ
14c プロペラファン
14d ルーバー
15 乾燥装置
15a 筐体
15b フィルタ
15c シロッコファン
15d ルーバー
15e 熱交換器
16 物干し棒
21 ケース
22a 銀電極
22b 銀電極
23a 接続端子
23b 接続端子
24 流入口
25 流出口
100 サウナ室
101 腰掛部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段と、
水を霧化する霧化手段と、を備えたミスト噴霧装置であって、
前記金属イオン水を前記霧化手段により霧化してミストとし、前記ミストを人体が存在する方向に噴霧するミスト噴霧装置。
【請求項2】
前記霧化する水を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミスト噴霧装置。
【請求項3】
噴霧を終了する前の所定時間のみ、前記金属イオン水生成手段により金属イオン水を生成し、前記金属イオン水を噴霧することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミスト噴霧装置。
【請求項4】
噴霧を終了する前の所定時間、前記金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水の金属イオン濃度を、それまでの期間の濃度よりも上昇させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のミスト噴霧装置。
【請求項5】
人が存在するときのみ、前記金属イオン水生成手段により金属イオン水を生成し、前記金属イオン水を噴霧することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のミスト噴霧装置。
【請求項6】
人が存在する方向に、金属イオン水を噴霧する方向を切り替えることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のミスト噴霧装置。
【請求項7】
人が存在する方向が複数存在する場合、金属イオン水を噴霧する方向を人が存在する各方向に順次切り替える、または、金属イオン水を噴霧する方向をスイングさせることを特徴とする請求項6に記載のミスト噴霧装置。
【請求項8】
給水管と、給湯管と、のうち少なくとも一方と連結されており、該給水管または給湯管より供給される水またはお湯が前記金属イオン水生成手段に供給されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のミスト噴霧装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のミスト噴霧装置を備えた部屋。
【請求項10】
前記部屋内を換気する換気手段と、前記部屋内を乾燥する乾燥手段とのうち少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項9に記載の部屋。
【請求項11】
物体を懸架する懸架手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の部屋。
【請求項12】
抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水を霧化してミストとし、前記ミストを、人体が存在する方向に噴霧するミスト噴霧方法。
【請求項13】
抗菌性を有する金属イオンを水に添加して金属イオン水を生成する金属イオン水生成手段により生成される金属イオン水を霧化してミストとし、前記ミストを噴霧するミスト噴霧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−68586(P2007−68586A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255778(P2005−255778)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】