説明

ミスト散水装置

【課題】住宅等の庭の植木や園芸植物などへの水撒き作業において、足場の悪い箇所でも安全に作業でき、また一定時間、継続的にミスト散水することができる散水装置を提供する。
【解決手段】水道蛇口10に配管11,13を介してミストを発生する噴霧ノズル20a、20bを取り付け、蛇口10から噴霧ノズル20a、20bに至る配管11,13,の途中に蓄圧容器14、バルブ12、圧力計15を設けるとともに、噴霧ノズル20a、20bを植物等の水やりに適した位置に配置して、蓄圧容器14に水と所定の圧力を蓄えることにより、一定時間及び/又は一定量を噴霧する散水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭の植木や園芸植物への水やり、屋根等のミスト冷却、ミスト冷房等に関して、蛇口から水道水を供給するだけで、ミスト散水に必要な一定量の水を、噴霧ノズルから噴霧するとともに、蛇口を閉じてもあるいは水道から切り離しても、一定時間、噴霧を継続した後、自動的に噴霧を終了することができるミスト散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水撒きするための用具として、各種の散水用品や自動潅水機、スプリンクラーなどがホームセンターなどで販売されている。また、農業や園芸用にバルブ類やタイマー、リレー等の組み合わせた散水制御装置などがある。
【0003】
ミスト噴霧によって散水する装置に関する特許文献は見出さないが、高圧水によるミスト散水は既に農業分野などでは広く導入されており、ノズル・メーカー等からミスト散水の実例を多数紹介されている。一方、散水制御装置については、多くの特許が公開されている。
例えば、特許文献1では、農作物や園芸植物に水撒きをするためタイマー、リレー、バルブ等の組み合わせで装置を作った散水するシステムが公開されている。
また、蓄圧容器を用いた散水装置については、特許文献2の、建築物の壁面に散水して清掃する装置として、屋上から吊り下げられた有人ケージ内等に洗浄水を持ち込む携行用圧力タンクとしてアキュムレーターを採用した、洗浄水の散水装置が公開されている。
【特許文献1】登録実用新案第3016301号 散水制御装置
【特許文献2】特開2002−28587号公報 壁面清掃用散水装置及び汚水回収装置
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅等の庭の植木や園芸植物などへの水撒き作業で、密集した植え込み、狭いベランダや坪庭、また高い位置にハンガープランターを掛けた壁面やラティスなど、足場の悪い箇所での作業には安全面での課題がある。
【0005】
また、シダ植物やコケ植物、あるいは洋ランの栽培等には、一定時間、継続的にミスト散水することが好ましいが、市販されている自動潅水システムは、ミスト発生の方式ではなく、また、散水箇所や散水の開始時間と終了時間などを予め設定しなければならないという問題がある。
【0006】
更に、このようなシステムは時間を設定する仕組みなので、雨天でも自動散水して、水資源の浪費に繋がるおそれがある。
【0007】
そして、蛇口が遠い場合には、長い配管を必要とするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るミスト散水装置は、水道蛇口に配管を介してミストを発生する噴霧ノズルを取り付け、前記蛇口から前記噴霧ノズルに至る前記配管の間に蓄圧容器を設けるとともに、前記噴霧ノズルを植物等の水やり等に適した位置に配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るミスト散水装置は、前記蓄圧容器に水と所定の圧力を蓄えることにより、一定時間及び/又は一定量を噴霧することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るミスト散水装置は、前記蓄圧容器から前記噴霧ノズルまでの配管の間に、バルブを設けて噴霧の制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るミスト散水装置は、前記蛇口から前記蓄圧容器までの配管の前記蓄圧容器側にチェック弁を設け、前記蛇口側に着脱が容易な継ぎ手を設け、前記バルブと前記チェック弁の間に圧力計を設置したことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るミスト散水装置は、前記着脱が容易な継ぎ手と前記チェック弁の間にアロマ精油を含む溶液を蓄える容器を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水道に繋いで、水と同時に圧力を蓄えることができる蓄圧容器が設けられ、配管を介して端末にミスト発生用の噴霧ノズルが配置されている。蛇口を開くと、蛇口からの水の吐出量に比べて噴霧ノズルからミストとして噴出する水の量は微少であるため、噴霧ノズルからミストを噴出しながら蓄圧容器に水と圧力が蓄えられる。噴霧ノズルの口径は小さく、また水道圧又は水道圧以下での噴霧であって吐出量は少ない。
【0014】
本発明によれば、前述のように、蛇口を開いて噴霧ノズルからミストを噴出しつつ蓄圧容器に水と圧力を蓄えた後、蛇口を閉じてから噴霧が一定時間継続すると徐々に圧力が低下し、やがて自然に噴霧が終了するので、噴霧終了のバルブ操作やタイマー付きバルブなどの設置を必要としない。
【0015】
本発明によれば、蛇口を開いて、蓄圧容器に所定の水量と圧力が蓄えられたことを圧力計の表示により知ることができる。圧力計の表示が上昇を続けて、停止した数値は水道圧と同一であるとともに蓄圧容器に蓄圧された圧力である。そして、この時、蓄圧容器は満水状態である。
【0016】
また、蓄圧容器の後に設けられたバルブを操作することにより、圧力の解放を待たず直ちにミスト噴霧の停止操作を行うこともできる。有料の水道水ながら、より少量で有効に用いることにより、他の手段に比べて低コストで簡便なミスト散水を実現することができる。
【0017】
ミスト噴霧の停止操作に電磁バルブを用いる場合は、タイマーやリモート・コントロール・スイッチを設けて電磁バルブに信号を送ることにより、省資源のための制御を行うことができる。
【0018】
更に、蓄圧容器に水を蓄えて蛇口を閉じた後、着脱が容易なワンタッチ継ぎ手の接続を解除しても、チェック弁によって蓄圧容器に貯えられた水と圧力は保持されているので、ワンタッチ継ぎ手(蓄圧容器側)から噴霧ノズルまでを水源から切り離し、場所を移してミスト噴霧することができる。
【0019】
また、着脱が容易な継ぎ手とチェック弁の間に設けた容器にアロマ精油を含む溶液を蓄えることによって、着脱が容易な継ぎ手と蛇口とをホースで繋いだ給水時に、微量のアロマ精油を畜圧容器に蓄える水に加えることができる。
【実施例】
【0020】
図1において、1はミスト散水システム、10は水道蛇口、12は配管11(例えばホース)を介して蛇口10に連結されたバルブ、13はチューブ等の配管、14は配管11の途中に設置された蓄圧容器、15は圧力計、16はチェック弁、17aと17bはワンタッチ継ぎ手、18はアロマ精油を含む溶液を蓄える容器、19はドレン抜きコック、20a、20bは、チューブ13を介して手動弁12に連結された噴霧ノズルである。
【0021】
バルブ12と蛇口10を開くと水道水が噴霧ノズル20a、20bまでの配管内と蓄圧容器14を満たして、前記噴霧ノズル20a、20bからミストが噴出する。
そして、前記蛇口10を閉じると、前記蓄圧容器14内の水が供給されて、前記噴霧ノズル20a、20bから一定時間、ミストの噴霧が持続する。
【0022】
図2において、21は、噴霧ノズル20aから噴出したミストが立木30に付着した水滴である。
【0023】
図3は噴霧ノズル20a、20bである。口径がおよそ0.5mmの噴霧ノズル20a、20bからミストとして噴出する水の量は、圧力計15が表示する水道圧が0.4MPaの時には1分間当たりおよそ0.14リットル程度である。
【0024】
図1のように前記噴霧ノズル20a、20bを用いて、1時間噴霧した場合、16.8リットルの水道水が必要で、1ケ月間毎日噴霧したと仮定すると約0.5立法メートルの水道水を噴霧し、およそ90円の水道料金がかかるが、この水道料金には下水道使用料も含まれている。
【0025】
前述のように、例えば蛇口10を開いて前記噴霧ノズル20a、20bからミストとして水が噴出するが、水の量は圧力の低下とともに減少し、やがて蓄圧容器14内の水が出尽くして自然に噴霧が終了する。
【0026】
従って、前記圧容器14内の水の残量と残りの噴霧時間は、前記圧力計15が表示する現在の圧力から想定することができる。
【0027】
また、ミスト噴霧の停止操作のために蓄圧容器14の後流に電磁バルブ12を設ける場合は、同時にタイマーやリモート・コントロール・スイッチを設けることにより、必要に応じて電磁バルブ12を閉じることにより簡易で安価な節水のための制御を行うことができる。また、蓄圧容器14に水の残量があれば、必要に応じて電磁バルブ12を開いてミストを噴霧することもできる。
【0028】
蓄圧容器14には、窒素を封入したアキュムレーターまたは耐圧エアタンク等を用いることができるが、アキュムレーターの窒素ガスのチャージ圧は、水道圧が0.4MPa程度の場合、0.15MPa程度が好ましい。
【0029】
蓄圧容器14に水を蓄えて、蛇口10を閉じた後、着脱が容易なワンタッチ継ぎ手17a、17bの接続を解除して、前記ワンタッチ継ぎ手(蓄圧容器側)17bから噴霧ノズル20までを、ワンタッチ継ぎ手(蛇口側)17aから切り離して、遠隔地に場所を移してミスト噴霧することができる。
【0030】
本装置を移動式ミスト冷房装置として屋外で用いる場合、蛇口からの給水前に、ドレン抜きコック19aを開いて容器18に残った水を抜いて、代わりにシトロネア、レモンユーカリ、ラベンダーなどのアロマ精油を含む溶液を前記容器18に容れることによって、アロマ精油が有するといわれている虫よけ効果や芳香作用を加えることができる。
【0031】
アロマ精油はそのままでは水に溶けないので、例えば5mlの無水エタノールにシトロネア精油10滴を入れてよく混ぜ合わせ、更に精製水45mlを加えて混ぜた溶液を前記容器18に容れる。そして、前記ワンタッチ継ぎ手(蓄圧容器側)17bと前記ワンタッチ継ぎ手(蛇口側)17aを繋いで、前記蛇口10を開くと水道水が勢いよく溶液を前記蓄圧容器14に流し込みながら混ざり合う。
【0032】
アロマ精油を含む溶液は、密封状態で冷暗所に数ケ月の保存が可能なので、1シーズンに必要な溶液をまとめて作り置くことができる。
【0033】
アロマ精油を含む溶液は、市販の小さな噴霧器を用いて虫よけや芳香スプレーとして使われる程度の濃度であるが、本装置を用いることにより希釈倍率が更に200倍以上薄められる。このため、本装置から噴出するミストから直接放たれる香りは微少で、身体や衣服に触れると、気化して香り立つ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るミスト散水装置の概略構成図である。
【図2】噴霧ノズルの設置図である。
【図3】噴霧ノズルの断面図である。
【図4】移動式ミスト冷房装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0035】
ミスト散水装置
移動式ミスト冷房装置
10 水道蛇口
11 ホース
12 バルブ(手動又は電磁)
13 チューブ
14 蓄圧容器
15 圧力計
16 チェック弁
17a ワンタッチ継ぎ手(蛇口側)
17b ワンタッチ継ぎ手(蓄圧容器側)
18 容器
19a ドレン抜きコック
19b ドレン抜きコック
20a 噴霧ノズル
20b 噴霧ノズル
21 水滴
30 立木
40 移動カート
41 キャスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道蛇口に配管を介してミストを発生する噴霧ノズルを取り付け、前記蛇口から前記噴霧ノズルに至る前記配管の間に蓄圧容器を設けるとともに、前記噴霧ノズルを植物の水やり等に適した位置に配置することを特徴とするミスト散水装置。
【請求項2】
前記蓄圧容器に水と所定の圧力を蓄えることにより、一定時間及び/又は一定量を噴霧することを特徴とする請求項1に記載のミスト散水装置。
【請求項3】
前記蓄圧容器から前記噴霧ノズルまでの配管の間に、バルブを設けて噴霧の制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミスト散水装置。
【請求項4】
前記蛇口から前記蓄圧容器までの配管の前記蓄圧容器側にチェック弁を設け、前記蛇口側に着脱が容易な継ぎ手を設け、前記バルブと前記チェック弁の間に圧力計を設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のミスト散水装置。
【請求項5】
前記着脱が容易な継ぎ手と前記チェック弁の間にアロマ精油を含む溶液を蓄える容器を設置したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載のミスト散水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−46600(P2013−46600A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265254(P2011−265254)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(309043768)テクノ環境機器株式会社 (6)
【Fターム(参考)】