説明

ミスト生成器

【課題】無風状態のときでも機器および機器周辺がミストにより濡れることを抑え、静音性にも優れるミスト生成器を提供する。
【解決手段】水からミストを生成するミスト生成部と、発熱体と、を備え、前記発熱体が空気を熱することで発生する上昇気流を、前記ミスト生成部が生成し上方向に放出されるミストに当てることで、ミストを拡散させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水からミスト(=霧)を生成するミスト生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水道水や電解水からミストを生成し、噴霧することで空気を加湿したり清浄するミスト生成器が実用化されている。
【0003】
上記のようなミスト生成器として例えば、特許文献1には、持ち運び可能な噴霧装置が開示されている。この噴霧装置は、加湿用の液体を貯留するための液体貯留手段と、貯留されている液体を上方に供給する液体供給手段とを備えている。また、ハウジング内の上部に設けられ、液体供給手段から供給を受けて、液体からミストを作るミスト生成手段を備えている。
【0004】
また、ミスト生成手段の上方に形成され、ミスト生成手段によって生成されたミストを通す開口を備えている。また、ハウジングの上端にオン位置とオフ位置との間で回動可能に設けられる蓋と、蓋に形成され蓋がオン位置に回動されたとき開口と連通する放出口とを備えている。これにより、ミストが開口および放出口を通って放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−168328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のミスト生成器では、無風状態のとき、上方向に放出されたミストが下方向に落ちて機器および機器周辺が濡れてしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、例えば、ファンなどの送風機構をミスト生成器に設けて、送風機構により発生する気流をミストに当て、ミストを拡散させることが考えられるが、静音性の点で問題がある。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、無風状態のときでも機器および機器周辺がミストにより濡れることを抑え、静音性にも優れたミスト生成器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のミスト生成器は、水からミストを生成するミスト生成部と、発熱体と、を備え、前記発熱体が空気を熱することで発生する上昇気流を、前記ミスト生成部が生成し上方向に放出されるミストに当てることで、ミストを拡散させる構成としている(第1の構成)。
【0010】
これによれば、上昇気流によりミストがより拡散されるので、無風状態のときでも、機器および機器周辺が濡れることを抑えることができ、静音性にも優れている。
【0011】
また、上記第1の構成において、前記ミスト生成部は、超音波振動子を含み、前記超音波振動子の振動により水からミストを生成する構成としてもよい(第2の構成)。
【0012】
また、上記第1または第2の構成において、前記発熱体は、ミストが放出される放出口の周辺に設けられた一つまたは複数のヒータ素子である構成としてもよい(第3の構成)。
【0013】
また、上記第3の構成において、前記ヒータ素子の上方に形成されるスリットを有する蓋部を備える構成としてもよい(第4の構成)。
【0014】
これによれば、上昇気流をスリットを介してミストに当てることが可能であり、また、利用者がヒータ素子に触れて火傷などをしてしまうおそれを少なくすることができる。
【0015】
また、上記第4の構成において、前記スリットは、前記ヒータ素子の真上の位置から上方へ行くほど内周側へ向かうよう形成される構成としてもよい(第5の構成)。
【0016】
これによれば、利用者がヒータ素子に触れるおそれをより少なくすることができる。
【0017】
また、上記第2の構成において、前記発熱体は、前記超音波振動子を駆動する駆動回路である構成としてもよい(第6の構成)。
【0018】
これによれば、超音波振動子を駆動する駆動回路を発熱体として用いるので、別途ヒータ素子などは不要となり、コスト上昇を抑えることができる。
【0019】
また、上記第6の構成において、前記駆動回路の一部である電源回路の近傍に一端が開口し、前記電源回路の発熱により発生する上昇気流を導くための管部を備える構成としてもよい(第7の構成)。
【0020】
これによれば、電源回路は特に発熱が大きいので、管部を介して上昇気流を効率良くミストに当てることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のミスト生成器によれば、無風状態のときでも機器および機器周辺がミストにより濡れることを抑え、静音性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るミスト生成器の外観を示した上面図および側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るミスト生成器の内部構成を示した上面図および側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るミスト生成器の外観を示した上面図および側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るミスト生成器の内部構成を示した上面図および側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るミスト生成器の内部構成を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について、ミスト生成器の一例を挙げて図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るミスト生成器100の外観を示した上面図(紙面上側)および側面図(紙面下側)である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係るミスト生成器100の内部構成を示した上面図(紙面上側)および側面図(紙面下側)である。ミスト生成器100は、概ね円筒形状をしており、例えば車両に備えられるカップホルダーに載置すれば、車両内の空気をミストにより洗浄することができる。
【0025】
ミスト生成器100は、フレーム部2を含み、フレーム部2は、吸水棒収納部4と一体化されている。フレーム部2と吸水棒収納部4はタンク3に対して着脱可能となっており、タンク3に取り付けた状態で吸水棒収納部4の一部がタンク3内に突出する。また、フレーム部2および吸水棒収納部4の上方には蓋部1が設けられる。
【0026】
吸水棒収納部4は、吸水棒5を収納可能とするように上下方向に伸びた状態で形成される。ここで、吸水棒5は、例えば繊維を重ね合わせて縮充したフェルト素材を用いて、棒状に形成されている。フェルト素材は繊維の積層物であるため、吸水棒5によれば、棒状の一端側(下部)から吸収された水を、毛細管現象によって、他端側(上側)に吸い上げることができる。
【0027】
吸水棒収納部4の下部には、タンク3に貯められた水を吸水棒5へ導くための開口部4aが形成される。また、吸水棒収納部4の上部に形成される凹部内には、上側パッキン8および下側パッキン9が設けられ、上側パッキン8と下側パッキン9によりミスト生成部7が挟持される。
【0028】
ミスト生成部7は、薄板7bの上面に、略ドーナツ形状の超音波振動子7aが接着された構成となっている。薄板7bは、例えばステンレスによって形成された板状の部材であり、その中央の一定領域にはメッシュ部7cが設けられている。メッシュ部7cは、ミストが通る程度の大きさの微小孔が多数設けられた、メッシュ状に形成されている。また、超音波振動子7aは、圧電セラミックにより形成されている。超音波振動子7aおよび薄板7bはそれぞれ、基板11に形成される振動子駆動回路にリード線13により接続される。なお、基板11は、フレーム部2内に収納される。そして、振動子駆動回路により電圧が印加されると、超音波振動子7aは高周波(超音波)で振動し、その振動は薄板7bに伝わり、薄板7bも高周波で振動することとなる。
【0029】
吸水棒収納部4の下方内部には、吸水棒5をミスト生成部7の薄板7bに押し付けるように付勢するバネ部材6が設けられる。
【0030】
また、タンク3は、フレーム部2および吸水棒収納部4が取り外された状態で給水可能である。タンク3内の水は、開口部4aを介して吸水棒5の下部に導かれ、吸水棒5により下方から上方へ吸い上げられる。
【0031】
吸水棒5の上端は、バネ部材6の付勢により、薄板7bに形成されたメッシュ部7cに押し付けられており、薄板7bが振動すると、吸水棒5により吸い上げられた水に振動が伝わる。結果、吸い上げられた水はミスト(霧状)となってメッシュ部7cを介して上方に放出される。そして、放出されたミストは、ミスト生成部7の上方に位置する上側パッキン8の開口部8aと、開口部8aの上方に位置する蓋部1の開口部1aを介して外部へ上方に放出される。
【0032】
なお、タンク3内に貯められている水は、不図示の電解処理部によって、電解水に変換されるようになっている。塩化物イオンを含む水(例えば水道水)から生成された電解水が、ミストとして外部に放出されることにより、ウィルス抑制効果などが期待される。
【0033】
さらに、ミスト生成器100では、吸水棒収納部4の上端面に開口部8aを囲むようにリング形状のヒータ素子10が設けられる。ヒータ素子10は、基板11に形成されるヒータ素子駆動回路にリード線14により接続され、ヒータ素子駆動回路により電圧が印加されることで発熱する。
【0034】
また、ヒータ素子10の真上の位置から上方へ行くほど内周側へ向かうようなスリット1bが蓋部1に形成されている。スリット1bは、上面から見ると一部が欠けたリング形状をしている。
【0035】
これにより、ヒータ素子10の発熱により温められた空気が上昇し、スリット1bを介して外部へ放出され、開口部1aから外部に放出されるミストに当てられ、ミストをより拡散させる。結果、無風状態のときでも、機器および機器周辺の濡れを抑えることが可能となる。ファンなどを用いるのではなく、ヒータ素子10の発熱によりミストを拡散させるので、静音性に優れている。
【0036】
また、利用者が外部からスリット1bに触れたとしても、ヒータ素子10に触れるおそれが少ないので、火傷などを防止できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係るミスト生成器200の外観を示した上面図(紙面上側)および側面図(紙面下側)である。また、図4は、本発明の第2実施形態に係るミスト生成器200の内部構成を示した上面図(紙面上側)および側面図(紙面下側)である。
【0038】
ミスト生成器200によるミストの生成については上述した第1実施形態に係るミスト生成器100と同様であるのでここでは詳述を省く。ミスト生成器200のミスト生成器100との差異は、ヒータ素子の配置にある。
【0039】
ミスト生成器200では、吸水棒収納部4の上端面に開口部8aを囲むよう略等間隔に四つの略矩形状のヒータ素子10’が設けられる。これらのヒータ素子10’は、基板11に形成されたヒータ素子駆動回路にリード線15により直列に接続される。なお、直列でなく並列に接続されてもよい。
【0040】
また、ヒータ素子10’の真上の位置から上方へ行くほど内周側へ向かうようなスリット1cが各ヒータ素子10’について蓋部1に形成されている。スリット1cは、上面から見ると略矩形状である。
【0041】
これにより、各ヒータ素子10’の発熱により温められた空気が上昇し、各スリット1cを介して外部へ放出され、開口部1aから外部に放出されるミストに当てられ、ミストをより拡散させる。結果、無風状態のときでも、機器および機器周辺の濡れを抑えることが可能となり、静音性にも優れている。
【0042】
また、利用者が外部からスリット1cに触れたとしても、ヒータ素子10’に触れるおそれが少ないので、火傷などを防止できる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係るミスト生成器300の内部構成を示した側面図である。なお、この側面図は、互いに直交する方向からそれぞれ見た場合の図である。
【0044】
ミスト生成器300によるミストの生成については上述した第1実施形態に係るミスト生成器100と同様であるのでここでは詳述を省く。ミスト生成器300は、第1、第2実施形態のようなヒータ素子は用いない。
【0045】
ミスト生成器300では、管部17が設けられている。管部17の一端は、基板11に形成される振動子駆動回路の一部である電源回路16の上端近傍で開口している。そして、管部17は、吸水棒収納部4の上部を貫通し、さらに、上側パッキン8を貫通し、管部17の他端が上側パッキン8の開口部8aで開口している。
【0046】
これにより、特に発熱の大きい電源回路16の発熱により温められた空気が、管部17の一端から管部17内を上昇し、開口部8aで開口する他端から放出される。放出された空気は、ミスト生成部7から放出されるミストに当たり、ミストをより拡散させる。結果、無風状態のときでも、機器および機器周辺の濡れを抑えることが可能となり、静音性にも優れている。このように、振動子駆動回路の一部である電源回路16を発熱体として用いるので、別途ヒータ素子などが不要であり、コスト上昇を抑えることができる。
【0047】
また、管部17の一端が特に発熱の大きい電源回路16の上端近傍に位置するので、効率よく上昇気流をミストに当てることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態に種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、上述した第1、第2実施形態(図2、図4)では、蓋部1に形成するスリット1b、1cは、上方へ行くほど内周側へ向かうように形成したが、ヒータ素子10、10’の上方の位置から真上に貫通するように形成してもよい。
【0050】
また、例えば、上述した第3実施形態(図5)において、管部17が吸水棒収納部4の上部を貫通し、管部17の他端が吸水棒収納部4の上端面で開口するようにし、その開口部の上方に位置するようスリットを蓋部1に形成してもよい。これにより、上昇気流を上記開口部および上記スリットを介して外部に放出させ、放出されるミストに当てることが可能となる。
【0051】
また、上記実施形態では、吸水棒により吸い上げた水を超音波振動子の振動によりミストにして放出させるミスト生成器を例として説明したが、本発明は、別の方式によりミストを生成するミスト生成器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 蓋部
1a 開口部
1b、1c スリット
2 フレーム部
3 タンク
4 吸水棒収納部
4a 開口部
5 吸水棒
6 バネ部材
7 ミスト生成部
7a 超音波振動子
7b 薄板
7c メッシュ部
8 上側パッキン
8a 開口部
9 下側パッキン
10、10’ ヒータ素子
11 基板
12 止水膜
13、14、15 リード線
16 電源回路
17 管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水からミストを生成するミスト生成部と、発熱体と、を備え、
前記発熱体が空気を熱することで発生する上昇気流を、前記ミスト生成部が生成し上方向に放出されるミストに当てることで、ミストを拡散させることを特徴とするミスト生成器。
【請求項2】
前記ミスト生成部は、超音波振動子を含み、前記超音波振動子の振動により水からミストを生成することを特徴とする請求項1に記載のミスト生成器。
【請求項3】
前記発熱体は、ミストが放出される放出口の周辺に設けられた一つまたは複数のヒータ素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミスト生成器。
【請求項4】
前記ヒータ素子の上方に形成されるスリットを有する蓋部を備えることを特徴とする請求項3に記載のミスト生成器。
【請求項5】
前記スリットは、前記ヒータ素子の真上の位置から上方へ行くほど内周側へ向かうよう形成されることを特徴とする請求項4に記載のミスト生成器。
【請求項6】
前記発熱体は、前記超音波振動子を駆動する駆動回路であることを特徴とする請求項2に記載のミスト生成器。
【請求項7】
前記駆動回路の一部である電源回路の近傍に一端が開口し、前記電源回路の発熱により発生する上昇気流を導くための管部を備えることを特徴とする請求項6に記載のミスト生成器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−156458(P2011−156458A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18512(P2010−18512)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】