ミスト発生装置、及び美容装置
【課題】ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能なミスト発生装置及び美容装置を提供すること。
【解決手段】使用者がミストノズル20(ミスト放出口21)に接触しないようにミストノズル20からの距離を規制する開位置を維持するとともに、ミストノズル20を覆う閉位置を維持するように形成された保護具26が備えられる。
【解決手段】使用者がミストノズル20(ミスト放出口21)に接触しないようにミストノズル20からの距離を規制する開位置を維持するとともに、ミストノズル20を覆う閉位置を維持するように形成された保護具26が備えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置、及びミスト発生装置を有する美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させたり超音波にて霧化させたりして発生させたミストを顔など人体に向けて放出することで、肌に潤いを与えるなどの美容効果や肌ケアを目的とした装置として用いられている。図15に示すように、このようなミスト発生装置80として、ミストを放出するミストノズル81,82に保護具83が取り付けられ、本体ケース84に対し開閉可能に取り付けられた本体蓋85にてミストノズル81,82及び保護具83が露出・隠蔽可能に構成されたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このミスト発生装置80では、ミストノズル81,82からの距離を規制するように保護具83が設けられているため、この保護具83によって使用者の手がミストノズル81,82に触れる動作を規制することができる。これにより、例えばミストノズル81,82から噴射された直後の比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミストノズル81,82に使用者の手が直接触れることを抑制することができる。さらに、ミスト発生装置80では、本体蓋85によってミストノズル81,82を隠蔽することで、ミストノズル81,82への埃などの異物の付着・堆積を回避できるため、ミストノズル81,82を衛生に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−295813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記ミスト発生装置80において、本体蓋85によってミストノズル81,82を隠蔽するためには、それらミストノズル81,82に取り付けられた保護具83も収納可能なように本体蓋85を形成する必要がある。これにより、本体蓋85が大型化するため、その本体蓋85が取り付けられるミスト発生装置80も大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能なミスト発生装置及び美容装置を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ミストを生成しその生成したミストをミストノズルから所定の方向へ放出させるミスト発生手段を備えたミスト発生装置において、使用者が前記ミストノズルに接触しないように前記ミストノズルからの距離を規制する第1の位置を維持するとともに、少なくとも前記ミストノズルを覆う第2の位置を維持するように形成された可動式の保護具を備えることをその要旨とする。
【0007】
この発明では、保護具を第1の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルからの距離が規制されるため、使用者の手がミストノズルに対して接近したときに、ミストノズルに触れる前に保護具に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミストノズルに直接触れることを抑制することができる。また、保護具を第2の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルが覆われた状態が維持されるため、ミストノズルへの異物の付着・堆積も抑制することができる。このように保護具の位置(姿勢)を変更するのみで、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。したがって、従来のミスト発生装置80のように、保護具と別に本体蓋を設ける必要がない。これにより、本体蓋が省略された分だけミスト発生装置を小型化することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、第1の可動範囲で前記ミストノズルと連動して動き、前記第1の可動範囲とは異なる第2の可動範囲で前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、第1の可動範囲において保護具がミストノズルと連動して動くため、この第1の可動範囲においては、保護具の角度を変更することによってミストノズルの角度を変更することができる。これにより、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向を変更することができる。このように、保護具を操作することによりミストノズルの角度を変更できるため、角度調整の操作性を向上させることができる。さらに、ミストノズルに直接触れることなくミストの放出方向を変更することができるため、使用者の手がミストノズルに触れることを好適に抑制することができる。また、第2の可動範囲においては、保護具がミストノズルとは独立して動くため、この第2の可動範囲でも保護具とミストノズルとが連動して動く場合に比べて、ミストノズルの可動範囲を狭くすることができ、ミストノズル周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミスト発生装置において、前記第1の可動範囲は、前記ミストノズルの可動範囲であり、前記第2の可動範囲は、前記ミストノズルの可動が規制されてから前記保護具が前記第2の位置に維持されるまでの可動範囲であることをその要旨とする。
【0011】
この発明では、ミストノズルの可動範囲では保護具とミストノズルとが連動して動くため、保護具を操作することによってミストノズルの角度を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。また、第1の位置から第2の位置に移行される第2の可動範囲では保護具が独立して動くため、その第2の可動範囲の分だけミストノズルの可動範囲を狭くすることができ、ミストノズル周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のミスト発生装置において、前記保護具と前記ミストノズルとを連動させるリンク機構をさらに備え、前記保護具は、前記リンク機構により前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、リンク機構により保護具とミストノズルが連動して動くため、保護具を操作することによってミストノズルの角度を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。そして、保護具の操作によってミストノズルの角度を調整できるため、使用者の手がミストノズルに触れることを好適に抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のミスト発生装置において、前記リンク機構は、前記保護具と前記ミストノズルとを接続するリンク部材を備え、前記リンク部材は、屈曲していることをその要旨とする。
【0015】
この発明では、リンク機構をなすリンク部材を屈曲させている。このため、第2の可動範囲では保護具がミストノズルから独立して動く一方で、第1の可動範囲では保護具とミストノズルとが連動するように、第1の可動範囲及び第2の可動範囲を分けて設定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のミスト発生装置において、前記リンク部材の屈曲角度は鈍角であることをその要旨とする。この発明では、リンク部材の屈曲角度を鈍角としているため、第1の可動範囲と第2の可動範囲とを分けて設定することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のミスト発生装置において、前記リンク機構を保持する保持部材には、前記リンク部材が可動するための可動空間が設けられていることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、可動空間を保持部材に設けているため、保持部材とリンク部材とが接触することを抑制し、保護具とミストノズルを少ない力でスムーズに操作することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記保護具の開閉状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき前記ミスト発生手段を制御する制御手段とを備えることをその要旨とする。
【0020】
この発明では、保護具の開閉状態を検知手段で検知するとともに、この検知手段の検知結果に基づきミスト発生手段を制御できる。
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記保護具に接触可能な接触部をさらに備え、前記接触部は、前記第1の可動範囲において前記保護具に接触して前記保護具を保持可能に構成されている一方で、前記第2の可動範囲において前記保護具に非接触として前記保護具の保持を解除することで前記保護具を前記第2の位置に維持させるように構成されていることをその要旨とする。
【0021】
この発明では、第1の可動範囲において接触部の接触により保護具が保持されるため、保護具の操作によってミストノズルを所望の角度に調整した状態を保持させることができる。その一方で、第2の可動範囲では、接触部が非接触とされて保護具の保持が解除され、保護具が第2の位置に維持される。このため、保護具によりミストノズルが覆われた状態が維持されるため、ミストノズルへの異物の付着・堆積を抑制することができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のミスト発生装置において、前記接触部は、前記保護具に対して移動可能に構成されていることをその要旨とする。
この発明では、接触部が保護具に対して移動可能なため、保護具が第2の可動範囲から第1の可動範囲へ操作された場合、接触部が保護具と非接触の状態から接触する状態へ変化することで操作感(操作に要する力)に変化を与え、第1の可動範囲と第2の可動範囲との境界を使用者に認識させることができる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることをその要旨とする。
この発明では、保護具がミストノズルと連動して動くため、保護具の角度を変更することによってミストノズルの角度を変更することができる。このように保護具を操作することによりミストノズルの角度を変更できるため、角度調整の操作性を向上させることができるとともに、ミストノズルに使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることをその要旨とする。
この発明では、保護具がミストノズルとは独立して動くため、これら保護具とミストノズルとを連結する連結手段が必要ない。このため、簡便な構成によって、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記第1の位置は、前記保護具の少なくとも一部が前記ミストノズルの上方に配置されるとともに、前記ミストノズルから放出される前記ミストを使用者に向けて放出可能な位置であることをその要旨とする。
【0026】
この発明では、ミストノズルからミストが放出されているときに、使用者の手がミストノズルに対し上方から接近したとしても、ミストノズルに触れる前にそのミストノズルの上方に配置された保護具に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミストノズルに直接触れることを抑制することができる。
【0027】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記ミスト発生手段は、液体から温ミストを生成することをその要旨とする。
この発明では、ミストノズルから比較的高温の温ミストが放出される。ここで、保護具を第1の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルからの距離が規制されるため、ミストノズルから放出された直後で比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミストノズルに使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
【0028】
請求項15に記載の発明は、ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスト発生装置を有する美容装置であることをその要旨とする。この発明によれば、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能なミスト発生装置及び美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)、(b)は、第1の実施形態における美容器を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における美容器を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図3】(a)、(b)は、第1の実施形態における保護具の動作を説明するための概略断面図である。
【図4】(a)、(b)は、第2の実施形態における美容器を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態における美容器の配管構成を示す模式図である。
【図6】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し左側から見た断面図である。
【図7】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を水平方向で切断し上方から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図9】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図10】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図11】(a)〜(d)は、第2の実施形態における保護具、及びミストノズルの動作を説明するための模式図である。
【図12】(a)、(b)は、変形例における保護具の動作を説明するための概略断面図である。
【図13】変形例における保護具を示す概略断面図である。
【図14】変形例における保護具を示す概略断面図である。
【図15】従来の美容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明を美容器に具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」は、美容器の使用者が、美容器を使用する際に美容器に向いた状態を基準とした場合の「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」を示すものとする。
【0032】
図1は、本実施形態のミスト発生装置を備える美容装置としての美容器10を示す。有底略円筒状の本体ケース11には美容器本体12が収容されて固定されている。美容器本体12の上ハウジング13の上面13aの前側中央部には、上面13aの法線方向に突出する突出部14が形成されている。
【0033】
そして、突出部14の後側の上ハウジング13には、突出部14の後側面から後方に向けて下方に傾斜される傾斜面15を有する凹部16が形成されている。この凹部16には、温ミストを放出(噴出)するミストノズル20が配設されている。ミストノズル20は、ミスト放出口21の周りに略ドーム状に形成されたノズルカバー22が一体形成されて構成されている。
【0034】
このミストノズル20は、図2に示すように、ミスト放出口21の内側に、ノズルパッキン23が固着され、そのノズルパッキン23にはノズルホルダ24が連結固定されている。ノズルホルダ24には、蛇腹状に形成された蛇腹部材25の先端部が連結固定されている。そして、蛇腹部材25を介して誘導された温ミストは、ミスト放出口21に誘導されるようになっている。
【0035】
ミストノズル20は、美容器本体12に対し所定角度(例えば、25〜55°)で矢印A方向(上下方向)に回動可能となるように図示しない支持軸を介して同美容器本体12に取着されている。そして、ミストノズル20を上下方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整可能となっている。
【0036】
ミストノズル20のノズルカバー22には、図1に示すように、保護具26が上下方向に回動可能に取着されている。この保護具26は、略矩形状に形成され、その左右両側部が垂下されて断面略コの字状に形成されている。そして、保護具26は、図1(a)に示すようにミストノズル20を露出させて美容器10を使用可能な第1の位置としての開位置(開かれた状態)と、図1(b)に示すようにミストノズル20を覆う第2の位置としての閉位置(閉じられた状態)との間で上下方向に回動可能に構成されている。
【0037】
保護具26は、美容器10を使用する際、開位置を保つようになっている。この開位置は、図1(a)に示すように、ミストノズル20、とくにミスト放出口21からの距離(使用者とミスト放出口21との距離)を規制するように保護具26が配置されるため、使用者の手がミスト放出口21に直接触れるのを抑制することのできる位置(姿勢)になっている。すなわち、保護具26がミスト放出口21(ミストノズル20)の上方に配置されるため、例えば保護具26の上方から下方へ向けて使用者の手が移動し、ミスト放出口21に触れようとすると、ミスト放出口21に触れる前に保護具26に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミスト放出口21に直接触れることを抑制することができる。また、上記開位置は、保護具26が上方に向けられるため、保護具26によって温ミストの放出が遮られず、使用者に対し温ミストを放出するのに適した姿勢にもなっている。
【0038】
一方、保護具26が閉位置の場合には、図1(b)に示すように、保護具26の外側面26aが上記突出部14の表面と面一になり、ミストノズル20が保護具26及び凹部16によって形成される空間に収容されるようになっている。このため、美容器10を使用しない場合、保護具26を閉じることでミストノズル20(とくに、ミスト放出口21)に異物が付着することを抑制し、衛生に保つことができるようになっている。また、ミストノズル20のミスト放出口21に異物が付着することで、温ミストの放出方向が変化し、使用感を損なうことを防止することができる。すなわち、温ミストが予め定めた方向以外の方向に放出されることを抑制できる。そして、保護具26は、この閉位置を保つようになっている。具体的には、保護具26の先端部に設けられたフック部26b(図1(a)参照)を、突出部14の後方に設けられた開閉ボタン14aに係合させることにより、外力を加えない状態でも保護具26が閉位置に維持されるようになっている。なお、使用者により開閉ボタン14aが押し込み操作されると、開閉ボタン14aが手前方向に回動するとともにその開閉ボタン14aとフック部26bとの係合が解除され、保護具26を開けることができるようになっている。
【0039】
このように保護具26の位置(姿勢)を変更することのみによって、使用者の手がミストノズル20に直接触れるのを抑制できるとともに、美容器10の未使用時にミストノズル20への異物の付着を抑制することができる。このため、保護具26と別に従来の本体蓋85を設ける必要がない。したがって、本体蓋85が省略された分だけ美容器10を小型化することができる。
【0040】
また、美容器本体12の上ハウジング13の上面13aの右側には、電源ボタン27と運転制御ボタン28とが前後方向に並べて設けられている。電源ボタン27は、美容器10の電源をオン及びオフする際に操作されるボタンであり、運転制御ボタン28は、電源がオン状態のときに美容器10の運転開始及び運転停止をする際に操作されるボタンである。
【0041】
保護具26の後側には、ミストノズル20から放出する温ミストを発生するのに使用される液体(本実施形態では、水)を、所定量(本実施形態では、約100ml)貯蔵する給水タンク29が、美容器本体12に収容された状態で設置されている。具体的には、給水タンク29は、図2に示すように、美容器本体12の上面に開口するように形成されたタンクホルダ29aに対し、上下(垂直)方向に挿入及び取り出し可能に収納されている。
【0042】
美容器本体12には、図2に示すように、ミスト発生機構30が備えられている。ミスト発生機構30は、給水タンク29から供給される水を加熱して温ミストを発生させる温ミストボイラ室31と、発生させた温ミストを微細化(イオン化)する放電部32と、微細化した温ミストを放出するミストノズル20とから主に構成されている。
【0043】
給水タンク29をセットするタンクホルダ29aの下端に設けられた接続部29bには、給水タンク29から供給される水を、ミスト発生機構30及び排水口(図示略)へ供給可能に分岐させる分岐部Gが連設されている。分岐部Gには、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)で形成された給水パイプP1の一端が接続されている。給水パイプP1の他端は、温ミストボイラ室31に接続されており、タンクホルダ29aから温ミストボイラ室31に水を供給する給水経路K1が形成されている。温ミストボイラ室31には、供給された水を加熱して温ミストを発生させる温ミストヒータ31aを備えた沸騰室31bが設けられている。沸騰室31bには、給水経路K1から側方に分岐された給水経路K2により水が供給されるようになっている。なお、この沸騰室31bの水位は、所定の水位Wに保たれるようになっている。
【0044】
また、温ミストボイラ室31の上方には、温ミストヒータ31aにより発生した温ミストをミストノズル20へ誘導する温ミスト誘導部材33が接続されている。この温ミスト誘導部材33には、上記蛇腹部材25の下端が接続されている。そして、温ミスト誘導部材33及び蛇腹部材25によって、温ミストヒータ31aにより発生した温ミストをミスト放出口21へ誘導する温ミスト経路M1が形成されている。
【0045】
温ミスト誘導部材33には、温ミスト経路M1の内部に放電部32が設けられている。放電部32は、高圧回路34に接続された放電針を温ミスト経路M1に面して設置したものであり、その放電針からの高圧放電によって温ミストが微細化される。
【0046】
このように構成されたミスト発生機構30は、給水タンク29からタンクホルダ29aに供給された水が、給水経路K1及び給水経路K2を通って沸騰室31bに供給される。沸騰室31bに供給された水は、温ミストヒータ31aにより加熱及び気化されることで、温ミスト化される。発生された温ミストは、温ミスト経路M1を通って上方に導かれるとともに、放電部32において放電針の間で行われる高圧放電により微細化(イオン化)される。この微細化された温ミストは、ミスト放出口21から前方に向けて放出(噴射)される。そして、ミストノズル20を矢印A方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。
【0047】
ここで、ミストノズル20は、上述したように、美容器本体12に対して図示しない支持軸に回動可能に軸支されている。詳述すると、ミストノズル20は、支持軸の中心軸線Xを回転中心として回動し、ノズルカバー22の端部が規制部35に当接することによりその回動範囲が規制されるようになっている。そして、ミストノズル20は、その回動範囲では、ミスト放出口21及びノズルカバー22が連結固定されたノズルホルダ24が図示しない板バネにより左右からバネ付勢されており、その摩擦力によりその時々の回動位置が保持されるようになっている。
【0048】
次に、保護具26とミストノズル20との連結構造について図3に基づき説明する。なお、図3は、保護具26とミストノズル20との連結構造及びそれら保護具26及びミストノズル20の動作を説明するための概略断面図である。
【0049】
図3に示すように、ノズルカバー22のミスト放出口21の後側には、貫通孔22aが形成されているとともに、その貫通孔22aの左右両側には、左右一対(一方のみ図示)の回転支持片40が後方に向かって延出形成されている。この左右一対の回転支持片40には、保護具26が上下方向に回転可能に軸支されている。具体的には、保護具26は、支持軸(図示略)の中心軸線Yを回転中心として回動可能に回転支持片40に取り付けられている。また、ノズルカバー22の内側には、貫通孔22aと相対向するようにベース部22bが形成されている。このベース部22bと上記回転支持片40に回転可能に軸支された保護具26との間には、貫通孔22aに挿通されたバネ41が連結されている。
【0050】
また、保護具26は、回転支持片40に対する開方向(上方向)の回動がストッパー(図示略)によって規制されており、例えば当該保護具26がミストノズル20の上方に配置され、且つ当該保護具26によって温ミストの放出が遮られない位置(図1(a)参照)で全開状態となるように設定されている。ここで、保護具26が開位置に位置する時には、保護具26は、バネ41の弾性力により、常に回転支持片40に対して全開状態(ストッパーによって回動が規制された状態)となる。換言すると、開位置の保護具26とノズルカバー22のベース部22bとは、保護具26からの圧縮荷重によってバネ41を所定のバネ荷重(設定荷重)で圧縮した状態で保持されるようになっている。ここで、上記バネ荷重は、中心軸線Xを回転中心としてノズルカバー22(ミストノズル20)を回転させる荷重(回転荷重)よりも強い荷重になるように設定されている。
【0051】
このため、保護具26に対してミストノズル20の回転荷重よりも強い荷重が加えられるまでは、上記全開状態を維持したまま保護具26とミストノズル20とが一体となって中心軸線Xを回転中心として回動する(図3(a)、(b)参照)。すなわち、ミストノズル20の回動範囲(第1の可動範囲)では、保護具26とミストノズル20(ミスト放出口21)との位置関係(すなわち、保護具26の開位置)が維持されたまま保護具26とミストノズル20とが連動して回動する。したがって、保護具26を上下方向に回動させることで、ミストノズル20の角度、ひいてはミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。なお、上述したように、ミストノズル20の回動範囲では、ミスト放出口21及びノズルカバー22が連結固定されたノズルホルダ24が図示しない板バネにより左右からバネ付勢されており、その摩擦力により上記調整した回動位置を保持することができる。
【0052】
一方、図3(b)に示すようにミストノズル20の回動が規制部35によって規制された後、保護具26に対してバネ41のバネ荷重よりも強い荷重が加えられると、バネ41が縮み、保護具26が中心軸線Xを回転中心として閉方向(下方向)に回動するようになっている。そして、保護具26のフック部26bを、突出部14(図1参照)の開閉ボタン14aに係合することにより、保護具26は閉位置を維持する(図3(b)の2点鎖線参照)。このように、保護具26を閉じる際には、保護具26がミストノズル20とは独立して回動する。すなわち、ミストノズル20の下方向の回動が規制部35によって規制されてから閉位置を維持するまでの範囲(第2の可動範囲)では、保護具26がミストノズル20とは独立して回動するようになっている。なお、保護具26が閉位置のときに、開閉ボタン14aが押し込み操作されると、その開閉ボタン14aとフック部26bとの係合が解除され、バネ41の付勢力によって保護具26が図3(b)の実線で示す位置(全開状態)まで回動される。
【0053】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態の保護具26は、使用者の手がミスト放出口21(ミストノズル20)に接触しないように保護する開位置(使用位置)を維持し、美容器10の未使用時にミスト放出口21への異物の付着を回避する閉位置(未使用位置)を維持するようにした。このため、保護具26の位置(姿勢)を変更することのみによって、ミスト放出口21(ミストノズル20)への使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。したがって、従来のミスト発生装置80のように、保護具26と別に本体蓋85を設ける必要がない。これにより、その本体蓋85が省略された分だけ美容器10を小型化することができ、小さなスペースにも美容器10を収納することができる。さらに、本体蓋85が省略された分だけ部品点数を減らすことができる。
【0054】
(2)本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲で保護具26とミストノズル20とが連動して回動するようにした。このため、保護具26を上下方向に回動させることで、ミストノズル20の角度、ひいてはミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。このように、保護具26を操作することによって温ミストの放出方向を調整することができるため、その放出方向の調整の操作性を向上させることができる。さらに、ミスト放出口21に直接触れることなく温ミストの放出方向を調整することができるため、使用者の手がミスト放出口21に触れることを好適に抑制することができる。
【0055】
(3)本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲以外で保護具26がミストノズル20とは独立して回動するようにした。このため、保護具26の回動範囲全てで保護具26とミストノズル20とが連動して回動する場合と比べて、ミストノズル20の回動範囲を狭くすることができ、保護具26及びミストノズル20周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0056】
(4)本実施形態では、比較的高温の温ミストを放出するミストノズル20に対して保護具26を設けるようにした。これにより、ミストノズル20から放出された直後で比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミスト放出口21に使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を美容器に具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略化する。
【0057】
図4に示すように、美容器本体12において、上ハウジング13の上面13aの前側中央部には、上方に開口する開口部13bが形成されている。上ハウジング13には、この開口部13bと整合させて凹部16を形成するベース部材44が組み付けられている。
【0058】
ベース部材44には、美容器本体12に対し所定角度(例えば、25〜55°)で矢印Ya方向(上下方向)に回動可能となるように図示しない支持軸を介して、温ミストを放出(噴射)するミストノズル20が取着されている。ミストノズル20は、温ミストを放出するミスト放出口21の周りを覆うように形成された保持部材としてのノズルカバー22が一体形成されて構成されている。本実施形態では、ミストノズル20を上下方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整可能となっている。
【0059】
ノズルカバー22においてミスト放出口21の下方には、ノズルカバー22の外面の法線方向に延びるように、端面視略U字状のミストガイド48が立設されている。ミストガイド48は、ミスト放出口21の下方及び左右側方を囲うように形成されており、左右方向及び下方向から使用者の手指がミストノズル20に接近することを防止するようになっている。ミストガイド48の基端部であってミスト放出口21の下方に対応する位置には、ミストガイド48を上下方向に貫通する逃がし孔48aが設けられており、ミストガイド48の上部で結露した液体(水など)が滞留しないようになっている。
【0060】
また、ベース部材44においてミストノズル20の後方には、ミストノズル20を保護するための保護具42が上下方向(矢印Ybに示す)に回動可能に取着されている。保護具42は、図4(a)に示すようにミストノズル20を覆う第2の位置としての閉位置(閉じられた状態)と、図4(b)に示すように保護具42の最大開放位置との間で上下方向に回動可能に構成されている。また、本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲(図10で矢印H1に示す第1の可動範囲H1)で保護具42とミストノズル20とが連動して回動する一方で、ミストノズル20の回動範囲以外(図10で矢印H2に示す第2の可動範囲H2)で保護具42がミストノズル20とは独立して回動するようになっている。本実施形態では、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2の境界位置が外力によらず保護具42の回動位置を維持可能な最小開放位置となる(図9に示す)。
【0061】
図4に示すように、保護具42は、略半円形の平板状に形成されているとともに、左右の両基端部42aが、ベース部材44に対して回転可能に支持された回転軸43(図8〜図10に示す)に固定されている。保護具42の下面の略中央には、この下面から下方へ向かって平面視略U字状の前方リブ42bが垂下されている。この前方リブ42bは、保護具42を閉位置(閉じた状態)とした場合に、ミストガイド48の内側であってミストノズル20(ミスト放出口21)の前方を覆うように配設されている。また、保護具42の下面において、前方リブ42bの左右側方には、この下面から下方へ向かって、前後方向に延びる一対の側方リブ42cが垂下されている。この側方リブ42cは、保護具42を閉じた状態とした場合にミストガイド48の左右側方を覆うように配設されている。すなわち、保護具42が閉位置に位置している状態において、ミストノズル20(ミスト放出口21)は、前方が前方リブ42bに覆われるとともに、左右側方が側方リブ42c及びミストガイド48によって覆われるようになっている。このため、本実施形態では、保護具42を閉位置とした場合に、ミストノズル20(ミスト放出口21)から放出される温ミストが前方及び側方に放出されないようになっている。
【0062】
また、保護具42の下面には、前方リブ42bから後方へ延びる凹状に形成された排気通路42dが形成されている。排気通路42dにおいて保護具42の基端部側には、保護具42の下面と上面とを連通する排気口42eが形成されている。すなわち、本実施形態において排気口42eは、保護具42において使用者から最も距離をおいた保護具42の後方に形成されている。本実施形態では、保護具42を閉位置とした場合に各リブ42b,42cによって遮られた温ミストが排気通路42dを通過して排気口42eから上方に向かって排出されるようになっている。
【0063】
また、保護具42の後側には、ミストノズル20から放出する温ミストを発生するのに使用される液体(本実施形態では、水)を、所定量(本実施形態では、約100ml)貯蔵する給水タンク29が、美容器本体12に収容された状態で設置されている。給水タンク29は、美容器本体12に対し上下(垂直)方向に挿入及び取り出し可能に収納されている。
【0064】
上ハウジング13の上面13aにおいて、ミストノズル20(保護具42)の左前方には、美容器10の電源をオン及びオフする際に操作される電源ボタン27が設けられている。また、上ハウジング13の上面13aにおいて、ミストノズル20の右前方には、複数種類用意された美容器10の運転モードのうちから1つの運転モードを選択する際に操作されるモード切替ボタン45が設けられている。また、上ハウジング13の上面13aには、モード切替ボタン45と前後方向に並ぶように、モード切替ボタン45の操作によって選択された運転モードで美容器10の運転開始させる際、及び運転停止をする際に操作される運転制御ボタン28が設けられている。
【0065】
美容器10(本体ケース11)の前面側において、上下方向の略中央には、静電霧化装置46a(点線で示す)により液体を霧化させて発生させた帯電微粒子ミスト(帯電微粒子液体)を放出するための帯電微粒子ミスト放出口46が設けられている。
【0066】
次に、本実施形態の美容器本体12(美容器10)の配管構成(内部構造)について、図5にしたがって説明する。なお、図5に示す水位Wは、略一定に保たれるようになっている。
【0067】
美容器本体12には、美容器本体12(上ハウジング13)の上面13aに開口し、給水タンク29を収納可能なタンクホルダ29aが設けられている。タンクホルダ29aには、空気抜き孔29cが開口形成されている。また、タンクホルダ29aには、オーバーフロー孔29dが設けられており、タンクホルダ29a内の水位がオーバーフロー孔29dの形成位置まで上昇した際に、タンクホルダ29a内の水をタンクホルダ29aの外部に排出するようになっている。また、タンクホルダ29aの下端には、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)で形成された給水パイプP1の上流端が接続されているとともに、この給水パイプP1の下流端は、上下方向に延びる有底略円筒状に形成された貯留部55の下端部に接続されている。給水パイプP1は、給水タンク29(タンクホルダ29a)から貯留部55へ水を供給する給水経路K1を形成している。また、給水パイプP1は、途中で分岐されるとともに、空気抜き孔29cに接続されている。このため、本実施形態では、給水パイプP1内の空気(気泡)が空気抜き孔29cを介してタンクホルダ29aに排出されるようになっている。
【0068】
貯留部55の底部には、貯留部55の底部を2つの領域に区画するように、貯留部55の底部から上方に延びる板状の仕切り壁55aが形成されている。そして、給水パイプP1は、貯留部55の底部において、仕切り壁55aで区画された一方の底部に接続されている。また、貯留部55の底部において、仕切り壁55aで区画された他方の底部は、供給された水を温ミストヒータ57で加熱するための沸騰室58の下端部と連通部59により連通されている。連通部59は、貯留部55から沸騰室58へ水を供給する給水経路K2を形成している。このため、本実施形態において、給水パイプP1を介して供給された比較的低温の水は、下端部から貯留部55内に供給された後に仕切り壁55aに沿って上方へ移動し、貯留部55内に貯留されている水と混合される。そして、本実施形態では、新たに供給された比較的低温の水と、既に貯留部55内に貯留されている水とを混合した水が沸騰室58に供給されるようになっている(矢印Yc,Ydに示す)。
【0069】
沸騰室58は、上下方向に沿って立設された温ミストヒータ57の加熱面57aに沿って上下方向に延びる薄平板状に形成されている。温ミストヒータ57は、例えばPTC(positive temperature coefficient)素子からなる。連通部59を介して沸騰室58に供給された水は、沸騰室58内で温ミストヒータ57により加熱され、温ミスト化されるようになっている。また温ミストヒータ57には、温度センサ57bが設けられている。
【0070】
沸騰室58の上端部の側方には、扁平な有底略円筒状に形成された下部温ミスト誘導部材61が連設されている。本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61が下部温ミスト経路M2aを形成している。下部温ミスト誘導部材61は、沸騰室58で生成された水蒸気(温ミスト)を一時的に収容するとともに、ミストノズル20が配設された上方へ誘導するようになっている(矢印Yfで示す)。また、下部温ミスト誘導部材61の底面には、この下部温ミスト誘導部材61の底面に開口するように、前述した貯留部55が連設されている。このため、本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61の内部で結露により生じた水や、沸騰室58で沸騰することに伴って飛散した水など、比較的高温(約80〜100℃)の水が下部温ミスト誘導部材61を介して貯留部55へ還流されるようになっている(矢印Yeで示す)。すなわち、温ミストの発生中(温ミストヒータ57による加熱中)には、給水タンク29、タンクホルダ29a、及び給水パイプP1内の水と比較して、高温の水が貯留部55に常時供給されることになる。このため、貯留部55に貯留されている水は、給水タンク29から新たに供給される水と比較して高温となる。このため、本実施形態では、沸騰室58に対し予備的に加熱した温水を供給可能とし、給水パイプP1から供給される比較的低温(室温)の水を沸騰室58に直接供給する場合と比較して、温ミストヒータ57の加熱面57aの温度低下を抑制し、温ミストの発生量が低下することを抑制できる。このように、本実施形態では、貯留部55が還流路としても機能する。
【0071】
また、本実施形態では、貯留部55(還流路)及び沸騰室58が平行に配置される一方で、連通部59(給水経路K2)及び下部温ミスト誘導部材61(温ミスト経路M2a)が平行に配置されている。すなわち、貯留部55、連通部59(給水経路K2)、沸騰室58、及び下部温ミスト誘導部材61(温ミスト経路M2a)により、四角環状の管路が形成されている。
【0072】
下部温ミスト誘導部材61の上端部には、下部温ミスト誘導部材61を通過した温ミストをさらに上方(ミストノズル20)へ誘導するとともに、高圧放電により温ミストを微細化(イオン化)する放電部32を備えた上部温ミスト誘導部材62が連設されている。上部温ミスト誘導部材62の下部(下部温ミスト誘導部材61の上部)には、上部温ミスト誘導部材62の底部を形成するとともに、下部温ミスト誘導部材61の底部と上部温ミスト誘導部材62の底部との間で段差(段違い構造)を形成する防止壁63が設けられている。防止壁63は、沸騰室58から飛散する比較的高温の水が下部温ミスト誘導部材61より上方(ミストノズル20側)へ直接侵入することを阻止するようになっている。このため、本実施形態では、沸騰室58から飛散した比較的高温の水がミストノズル20より放出されることを抑制している。
【0073】
上部温ミスト誘導部材62内において防止壁63の上部には、放電部32が設けられている。放電部32は、高電圧が印加される一対の放電針62aと、各放電針62aの間に配設される中間電極部62bとから構成されている。放電部32では、各放電針62aからの高圧放電によって温ミストが微細化される。
【0074】
上部温ミスト誘導部材62の上端には、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)からなり、蛇腹状に形成された蛇腹部材25の上流端(下端)が連結固定されている。また、蛇腹部材25の下流端(上端)は、略円筒状に形成されたノズルホルダ24に連結固定されている。ノズルホルダ24は、ミストノズル20(ノズルカバー22)の内側であってミスト放出口21の周囲に固着された略円環状のノズルパッキン23に連結固定されている。このため、本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61を通過した温ミストは、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25によってミストノズル20(ミスト放出口21)へ誘導される(矢印Ygで示す)。本実施形態では、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25によって、温ミストヒータ57により発生させた温ミストをミスト放出口21へ誘導する上部温ミスト経路M2bが形成されている。
【0075】
本実施形態では、給水タンク29、タンクホルダ29a、給水パイプP1が給水機構部を構成し、貯留部55(還流路)、沸騰室58、温ミストヒータ57、及び下部温ミスト誘導部材61が加熱機構部を構成する。また、本実施形態では、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25、ミストノズル20(ミスト放出口21)がミスト放出機構部を構成している。そして、本実施形態では、加熱機構部及びミスト放出機構部がミスト発生手段としてのミスト発生機構30を構成する。
【0076】
そして、本実施形態では、第1の実施形態とは異なる連結構造により、保護具42とミストノズル20とが連結されている。以下、本実施形態の保護具42とミストノズル20との連結構造について、図6〜図10に基づき説明する。
【0077】
図6に示すように、保護具42の左右の両基端部42aは、ベース部材44の後部に対して回転可能に支持された回転軸43に一体となって回動可能に固定されている。また、回転軸43には、側面視略楕円板状(カム状)をなす当接部材65が回転軸43と一体となって回動可能に固定されている。当接部材65は、回転軸43の中心軸線W1から外縁部までの離間距離が一定に保たれることで円弧状をなす第1領域R1と、この第1領域R1より前方に設定され、回転軸43の中心軸線W1から外縁部までの離間距離が第1領域R1よりも短く設定された第2領域R2とが形成されている。また、当接部材65の外縁部において、第1領域R1と第2領域R2との境界部には、中心軸線W1に直交する方向の外側に突出する突起部65aが形成されている。なお、本実施形態において当接部材65は、保護具42の一部をなしている。当接部材65において、突起部65aの後側には、突起部65aと連続するように曲面(湾曲面)をなす曲面部65bが形成されている。
【0078】
ベース部材44において当接部材65の下方には、ベース部材44の固定部44cに固定されたバネ66aにより上方に向かって付勢された有蓋略円筒状をなす接触部としてのフロート部材66が配設されている。フロート部材66は、下方から上方へ向かって直径が減少する略スカート状に形成されている。また、フロート部材66の外周面には、上下方向に沿って延びるリブ66cが形成されている。また、フロート部材66は、ベース部材44に形成された丸孔状の挿入部44aに挿入されて上下方向に移動可能に支持されている。フロート部材66は、リブ66cを介して挿入部44aの内周面と接しており、フロート部材66の外周面と挿入部44aの内周面との接触面積を減少させて、スムーズに上下方向に移動可能に構成されている。また、フロート部材66は、このフロート部材66の下端部に形成された円環状の突起部66bが挿入部44aの下側開口部の周囲に形成された係止部44dに係止されることで、上方への移動が規制されている。
【0079】
そして、フロート部材66の上側端部は、当接部材65の第1領域R1において、バネ66aの付勢力によって当接部材65の外縁部に接触(当接)し、当接部材65が回動しないように保持するようになっている。すなわち、本実施形態において、バネ66aの付勢力(バネ荷重)は、当接部材65の第1領域R1にフロート部材を当接させた際に、保護具42が自重によって下方(閉位置)へ回動しない荷重に設定されている。このため、当接部材65の第1領域R1では、保護具42が自重によって下方(閉位置)へ回動しないように保持され、保護具42の回動位置が維持されるようになっている。本実施形態では、保護具42が第1の可動範囲H1に位置している場合、フロート部材66が第1領域R1に位置し、フロート部材66が当接部材65の第1領域R1に対して直角に接触するように設定されている。
【0080】
一方、フロート部材66の上側端部は、当接部材65の第2領域R2において、上方への移動が規制されることで当接部材65の外縁部に接触しないようになっている。すなわち、第2領域R2において当接部材65は、フロート部材66による保持状態が解除された非保持状態とされる。このため、当接部材65の第2領域R2では、保護具42が自重によって下方へ回動するようになっている。本実施形態では、保護具42が第2の可動範囲H2に位置している場合、フロート部材66が第2領域R2に位置し、当接部材65に接触しないようになっている。
【0081】
また、本実施形態において、突起部65aは、第1領域R1と第2領域R2の境界に位置しているため、保護具42が最小開放位置を通過する際に、フロート部材66が乗り越えるように接触(当接)するようになっている。このため、本実施形態の美容器10では、保護具42を操作して第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2へ移動させた場合、及び第2の可動範囲H2から第1の可動範囲H1へ移動させた場合に、突起部65aを乗り越えさせるために比較的大きな力が必要となる。このため、本実施形態では、保護具42の可動範囲の境界部分で比較的大きな抵抗感(所謂、クリック感)を使用者に感じさせることができるようになっている。また、前述のように、本実施形態の当接部材65には、曲面部65bが形成されており、保護具42の回動動作に伴ってフロート部材66が第1領域R1側から突起部65aを乗り越える際の抵抗を小さくするようになっている。
【0082】
図7に示すように、回転軸43には、この回転軸43と一体となって回動可能にヒンジピン68が固定されている。このため、ヒンジピン68は、保護具42の開閉動作に伴って回転軸43とともに回動するようになっている。また、ベース部材44には、保護具42が第1の可動範囲H1にあることを検知するための検知手段としての開閉検知スイッチ67が配設されている。この開閉検知スイッチ67は、保護具42が第1の可動範囲H1に位置していることでヒンジピン68を検知し、開放信号を出力するように構成されている。すなわち、開閉検知スイッチ67は、保護具42が第2の可動範囲H2から第1の可動範囲H1へ操作されるのに伴って、保護具42が最小開放位置を通過するのと同時に開放信号の出力を開始する。その一方で、開閉検知スイッチ67は、保護具42が第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2へ操作されるのに伴って、保護具42が最小開放位置を通過するのと同時に開放信号の出力を停止するようになっている。
【0083】
図8〜図10に示すように、本実施形態において、ミストノズル20(ノズルカバー22)と保護具42とは、リンク機構69によって連結されている。なお、本実施形態の美容器10では、ミストノズル20及び保護具42の左右両側にリンク機構69が設けられているため、一方(右側)のリンク機構69についてのみ説明し、他方(左側)のリンク機構69についての説明を省略する。
【0084】
図8〜図10に示すように、保護具42が固定された回転軸43には、略方形板状に形成された第1リンク基台71が回転軸43と一体に回動可能に固定されている。第1リンク基台71には、平板状の部材の中心線が所定の角度(屈曲角度D)で交差するように一体形成された接続部材としてのリンク部材72の後端が第1ピン部材71aで組み付けられているとともに、このリンク部材72は、左右方向に水平に延びる第1ピン部材71aの軸線周りで回動可能に支持されている。本実施形態のリンク部材72の屈曲部における屈曲角度Dは、鈍角(本実施形態では132°)に設定されている。
【0085】
また、リンク部材72の前端は、ノズルカバー22と一体に形成された第2リンク基台73に第2ピン部材73aで組み付けられているとともに、リンク部材72は、左右方向に水平に延びる第2ピン部材73aの軸線周りで回動可能に支持されている。
【0086】
ノズルカバー22の内側には、リンク部材72が可動(動作)するための可動空間Sが形成されている。また、ベース部材44には、規制部35が設けられているとともに、ミストノズル20(ノズルカバー22)は、この規制部35にミストノズル20(ミストガイド48の下面)が当接することにより下方への回動範囲が規制されるようになっている。また、ベース部材44において、保護具42の左右の両基端部42aに対応する部分には、この両基端部42aと当接することで保護具42の上方への回動を規制する保護具規制部44bが形成されている。
【0087】
次に、本実施形態の美容器10の電気的構成について説明する。
図4に示すように、美容器本体12には、美容器10の動作を制御するための制御手段としての制御基板75が設けられている(点線で示す)。制御基板75には、温ミストヒータ57、放電部32、及び静電霧化装置46aが電気的に接続されている。また、制御基板75には、電源ボタン27、運転制御ボタン28、及びモード切替ボタン45が電気的に接続されている。また、制御基板75には、温度センサ57b、及び開閉検知スイッチ67が接続されている。また、制御基板75には、美容器10が水平面に載置されているか否かを検知する図示しない傾斜検知センサが接続されている。本実施形態の傾斜検知センサは、美容器10の底面から下方に突出する検知片を備えるとともに、美容器10が水平面に載置されることに伴って、検知片が美容器10の自重により装置内部に押し込まれたことを検知し、検知信号を出力するように構成されている。
【0088】
本実施形態の制御基板75は、電源ボタン27の押下操作によって電源投入がされると、初期運転モードとして帯電微粒子ミスト放出口46から帯電微粒子ミストを放出させる「帯電微粒子モード」を初期設定する。また、制御基板75は、モード切替ボタン45が押下操作された際に出力する操作信号を入力する毎に、「帯電微粒子モード」と、温ミストをミストノズル20(ミスト放出口21)から放出させる「温ミストモード」とを切り替えて設定する。なお、制御基板75は、開閉検知スイッチ67からの開放信号、及び傾斜検知センサからの検知信号の両信号が入力されていることを条件として、モード切替ボタン45から操作信号を入力した際に、「温ミストモード」を設定するようになっている。すなわち、制御基板75は、モード切替ボタン45から操作信号を入力した場合であっても、開閉検知スイッチ67からの開放信号、及び傾斜検知センサからの検知信号の両信号を入力していない場合、「温ミストモード」を設定しないように構成されている。また、制御基板75は、既に「温ミストモード」を設定している場合において、開閉検知スイッチ67からの開放信号及び傾斜検知センサからの検知信号のうち少なくとも何れか一方を入力しなくなった時点で、「帯電微粒子モード」を設定するようになっている。
【0089】
制御基板75は、帯電微粒子モードを設定している場合、運転制御ボタン28が押下操作された際に出力する操作信号を入力すると、静電霧化装置46aを制御して帯電微粒子ミストを生成し、帯電微粒子ミスト放出口46から放出させる。また、本実施形態の制御基板75は、「温ミストモード」を設定している場合、運転制御ボタン28から操作信号を入力すると、温ミストヒータ57及び放電部32に通電を開始して温ミストを生成するとともに、ミストノズル20(ミスト放出口21)から温ミストを放出させる。
【0090】
また、制御基板75は、温ミストヒータ57及び放電部32へ通電をしている場合であっても、開閉検知スイッチ67から開放信号が入力されなくなった時点で温ミストヒータ57及び放電部32への通電を停止(中止)する。すなわち、本実施形態の美容器10では、温ミスト放出中であっても、保護具42が第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2又は閉位置へ回動されたことを契機に温ミストの生成及び放出を停止(中止)するようになっている。
【0091】
同様に、制御基板75は、温ミストヒータ57及び放電部32へ通電をしている場合であっても、傾斜検知センサから検知信号が入力されなくなった時点で温ミストヒータ57及び放電部32への通電を停止(中止)する。このため、本実施形態の美容器10では、温ミスト放出中であっても、美容器10が傾斜したり、水平面から浮き上がってしまったりしたことを契機に温ミストの生成及び放出を停止(中止)するようになっている。なお、この場合、制御基板75は、上ハウジング13に設けられた図示しない報知ランプ(例えばLEDなど)を制御して異常状態である旨を報知する。
【0092】
なお、制御基板75は、温度センサ57bで計測した温ミストヒータ57の表面温度が所定温度(例えば128℃)に達した場合、温ミストヒータ57への通電を停止して空焚きを防止するようになっている。
【0093】
次に、本実施形態の美容器10において、保護具42及びミストノズル20(ノズルカバー22)の動作について説明する。図8は、保護具42が閉位置に位置している状態を示すとともに、図9は、保護具42が最小開放位置に位置している状態を示している。また、図10は、保護具42が最大開放位置に位置している状態を示している。また、図11(d)において、実線は保護具42が閉位置に位置している状態を示し、一点鎖線は保護具42が最小開放位置に位置している状態を示し、二点鎖線は保護具42が最大開放位置に位置している状態を示している。
【0094】
図8、図9、及び図11(d)に示すように、閉位置から最小開放位置までの第2の可動範囲H2では、保護具42の回動動作に伴って第1リンク基台71が上方へ回動されるとともに、リンク部材72の後端が上方へ移動される。しかしながら、リンク部材72の前端及び第2リンク基台73は、リンク部材72の移動に連動することなくその位置が維持されるようになっている。このため、第2の可動範囲H2において、ミストノズル20は、保護具42の回動動作に連動して回動しない。すなわち、第2の可動範囲H2において、保護具42は、ミストノズル20から独立して動作するようになっている。なお、第2の可動範囲H2においてミストノズル20は、ベース部材44の規制部35に接触して下方への回動が規制された状態となっている。
【0095】
また、図11(c)に示すように、第2の可動範囲H2(第2領域R2)では、保護具42の回転軸43に固定された当接部材65とフロート部材66が非接触状態とされる。このため、本実施形態の保護具42は、使用者が保護具42を上方へ回動操作した後に、第2の可動範囲H2内で手指を離して操作を中止した場合、保護具42の自重により閉位置へ自動的に復帰するようになっている。すなわち、本実施形態の保護具42は、常には閉位置に維持されるようになっている。このため、本実施形態では、美容器10の不使用時などに閉状態を維持し、埃などの異物がミストノズル20(ミスト放出口21)に付着・堆積することを抑制できる。
【0096】
また、図11(b)及び図11(d)に示すように、保護具42が使用者の操作により上方に回動されて最小開放位置を通過する場合には、フロート部材66が当接部材65の突起部65aを乗り越えることで操作に抵抗感(クリック感)を生じさせるようになっている。また、本実施形態では、保護具42が最小開放位置を通過する(操作に抵抗感が生じる)のと略同時に、開閉検知スイッチ67がヒンジピン68を検知して開放信号が制御基板75に出力され、モード切替ボタン45の操作による「温ミストモード」の設定や、運転制御ボタン28の操作による温ミストの放出が許容されるようになっている。このため、本実施形態では、最小開放位置を通過する際に生じる抵抗感(クリック感)によって、温ミストを放出可能であることを使用者に理解させることができるようになっている。
【0097】
また、図10、及び図11(d)に示すように、最小開放位置から最大開放位置までの第1の可動範囲H1内では、保護具42の上方への回動動作に伴ってリンク部材72が上方に引き上げられると、連動してノズルカバー22の第2リンク基台73が上方に移動される。また、第1の可動範囲H1内では、保護具42の下方への回動動作に伴ってリンク部材72が下方に押下げられると、連動して第2リンク基台73が下方に移動される。すなわち、第1の可動範囲H1において、保護具42の回動動作に連動してミストノズル20(ノズルカバー22)が中心軸線W2を回動中心として上下方向に回動する。このため、第1の可動範囲H1では、保護具42を回動操作することで、ミストノズル20(ミスト放出口21)からの温ミストの放出方向を調整することができるようになっている。したがって、本実施形態では、温ミストの放出方向を調整する際に、使用者の手指がミストノズル20(ミスト放出口21)に近接することを防止できる。
【0098】
また、図11(a)に示すように、本実施形態において第1の可動範囲H1(第1領域R1)内では、保護具42の回転軸43に固定された当接部材65とフロート部材66が接触状態とされ、使用者が保護具42の操作を中止して手指を離したとしても、保護具42の回動位置が維持(保持)される。このため、第1の可動範囲H1内では、保護具42の回動位置が維持されることに伴って、温ミストの放出方向が維持されるようになっている。したがって、本実施形態では、保護具42を回動操作することによって、第1の可動範囲H1内において温ミストの放出方向を任意に調整可能であるとともに、その温ミストの放出方向を維持(保持)可能になっている。
【0099】
また、図10及び図11(d)に示すように、第1の可動範囲H1では、ミストノズル20に対する保護具42の相対的な位置(開放位置)は一定に維持されるようになっている。より具体的に言えば、第1の可動範囲H1において、保護具42は、この保護具42がミストノズル20の上方に配置され、且つこの保護具42によって温ミストの放出が遮られない位置を維持するようになっている。本実施形態では、この第1の可動範囲H1における、ミストノズル20に対する保護具42の位置が第1の位置となる。
【0100】
本実施形態において第2の可動範囲H2は、ミストノズル20(ノズルカバー22)が下方向への回動が規制されてから保護具42が閉位置を維持するまでの範囲として把握できる。本実施形態において第2の可動範囲H2は、保護具42の閉位置からミストノズル20(ノズルカバー22)の上方向への回動が開始されるまでの範囲として把握することも可能である。また、本実施形態において、第1の可動範囲H1は、ミストノズル20(ノズルカバー22)の回動範囲として把握できる。
【0101】
以上のように構成された第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果(1)〜(4)に加えて、以下の特徴的な作用効果を有する。
(5)リンク機構69によって保護具42とミストノズル20(ノズルカバー22)とを連結したため、保護具42とミストノズル20の動作を連動させることができる。したがって、第1の実施形態と同様に、保護具42を操作することによってミストノズル20の回動位置(角度)を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。そして、保護具42の操作によってミストノズル20の角度を調整できるため、使用者の手がミストノズル20に触れることを好適に抑制することができる。
【0102】
(6)リンク機構69を構成するリンク部材72を屈曲させた。このため、第2の可動範囲H2では保護具42がミストノズル20から独立して動く一方で、第1の可動範囲H1では、保護具42とミストノズル20とが連動するように、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2を分けて設定することができる。
【0103】
(7)また、リンク部材72の屈曲角度を鈍角とした。このため、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2とを分けて設定することができる。
(8)リンク部材72の可動空間Sをミストノズル20のノズルカバー22内に設けた。このため、ノズルカバー22とリンク機構69のリンク部材72とが接触することを抑制するとともに、保護具42とミストノズル20を少ない力でスムーズに操作することができる。
【0104】
(9)保護具42の開閉状態を検知する開閉検知スイッチ67と、この開閉検知スイッチ67からの開放信号に基づき温ミストヒータ57への通電(温ミストの生成及び放出)を制御する制御基板75を設けた。このため、保護具42の開閉状態に応じて、温ミストの生成及び放出を制御することができる。
【0105】
(10)第1の可動範囲H1において、フロート部材66が保護具42と一体に回動する当接部材65に接触(当接)することにより保護具42の回動位置が保持される。このため、第1の可動範囲H1では、保護具42の回動操作によってミストノズル20(温ミストの放出方向)を所望の角度に調整した状態を保持することができる。その一方で、第2の可動範囲H2では、フロート部材66と当接部材65とが非接触とされて保護具42の回動位置の保持が解除されるとともに、保護具42が自重により閉位置に維持される。このため、保護具42によりミストノズル20(ミスト放出口21)が覆われた状態を維持することができるため、ミストノズル20への異物の付着・堆積を抑制できる。
【0106】
(11)フロート部材66を保護具42に対して移動可能に構成した。このため、保護具42が可動範囲を跨いで回動操作される場合に、当接部材65とフロート部材66の接触状態と非接触状態とが切替えられることで、保護具42の操作感(操作に要する力)を変化させ、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2との境界を使用者に認識させることができる。
【0107】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1の実施形態の保護具26及び回転支持片40は、使用者の手がミスト放出口21に触れるのを抑制する開位置と、美容器10の未使用時にミスト放出口21への異物の付着を回避する閉位置との双方を維持可能な構成であれば、その構成を適宜変更してもよい。
【0108】
例えば保護具26の支持構成を図12に示すような構成に変更してもよい。すなわち、ノズルカバー22に支持部50が固着されている。この支持部50は、ベース部51にバネ52の一端が固着され、ガイド部53に沿って上下方向に摺動可能に形成された可動フック54に上記バネ52の他端が固着されるように構成されている。
【0109】
また、保護具26は、カム26cに固着され、そのカム26cの中心軸線Zを回転中心として回動可能にミストノズル20のノズルカバー22に取着されている。そして、保護具26の開位置においては、図12(a)に示すように、バネ52の付勢力によって可動フック54が上方に付勢され、その可動フック54と上記カム26cの凸部26dとが嵌合される。ここで、上記付勢力は、ミストノズル20を可動させる可動力よりも大きくなるように設定されている。このため、ミストノズル20の回動範囲では、カム26cの凸部26dが可動フック54に嵌合したままミストノズル20、保護具26及び支持部50が一体となって中心軸線Xを回転中心として回動する(図12(a)、(b)参照)。すなわち、ミストノズル20の回動範囲では、保護具26とミストノズル20(ミスト放出口21)との上下方向の位置関係が維持されたままそれら保護具26とミストノズル20とが連動して回動する。
【0110】
一方、図12(b)に示すようにミストノズル20の回動が規制部35によって規制された後、保護具26に対してバネ52の付勢力よりも強い力が加えられると、可動フック54がバネ52の付勢力に抗して下動し、カム26cの凸部26dと可動フック54との嵌合が外れる。すると、保護具26及びカム26cがミストノズル20とは独立して中心軸線Zを回転中心として矢印B方向(閉方向)に回動される。
【0111】
このような構成であっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、ここでは、付勢手段としてバネ52を使用したが、弾性部材(ゴムやスポンジなど)ならば、任意に変更してもよい。
【0112】
・また、上記第1の実施形態において、保護具26の支持構成を図13に示すような構成に変更してもよい。すなわち、先の図3及び図12に示した保護具26では、所定の回動範囲(ミストノズル20の回動範囲)で保護具26とミストノズル20とが連動して回動し、それ以外の可動範囲で保護具26が独立して回動するように構成したが、図13に示す保護具26では、保護具26の全ての回動範囲でミストノズル20と連動して回動するように構成した。具体的には、ミストノズル20のノズルカバー22に支持部60を固着し、その支持部60に保護具26を固着し、ミストノズル20と保護具26とを一体に形成するようにした。この場合の保護具26及び支持部60は、ミストノズル20と連動して中心軸線Xを回転中心として上下方向に回動する。なお、この場合には、保護具26のフック部26bが開閉ボタン14a(図1参照)に係合可能な位置まで保護具26を回動させることができるように、規制部35aによってミストノズル20の回動範囲が上記実施形態の場合よりも広く設定されている。
【0113】
このような構成であっても、上記第1の実施形態の(1)、(2)、(4)と同様の作用効果を得ることができる。
・また、保護具26の支持構成を図14に示すような構成に変更してもよい。すなわち、本体ケース11に固着された支持部70に、保護具26が回転支点Vを回転中心として回動可能に取着されている。その一方で、ミストノズル20は、美容器本体12に対して中心軸線Xを回転中心として回動可能に取着されている。このため、保護具26は、全ての回動範囲においてミストノズル20とは独立して回動するようになっている。なお、この場合、ミストノズル20から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整するには、ノズルカバー22を操作してそのノズルカバー22を上下方向に回動させる必要がある。但し、このような構成であっても、保護具26の開位置では、図14に示すように、保護具26がミスト放出口21(ミストノズル20)からの距離を規制するようにミスト放出口21の上方に配置されるため、使用者の手がミスト放出口21に触れるのを抑制することができる。例えば保護具26の上方から下方へ向けて使用者の手が移動し、ミスト放出口21に触れようとすると、ミスト放出口21に触れる前に保護具26に手が接触することになるため、使用者の手が意図せずにミスト放出口21に直接触れることを抑制することができる。このため、このような構成であっても、上記第1の実施形態の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0114】
・上記第1の実施形態では、保護具26とミストノズル20とを連結させるためにバネ41を使用したが、弾性部材ならば、任意に変更してもよい。例えば、ゴムやスポンジなどに変更してもよい。
【0115】
・上記各実施形態の保護具26,42の形状を適宜変更してもよい。例えば保護具26,42を、内部に空間を有する略御椀状に形成するようにしてもよい。なお、この場合には、保護具26,42の閉位置において、その保護具26,42の内部に形成された空間にミストノズル20が収納される。
【0116】
・上記第1の実施形態では、保護具26にフック部26bを設け、このフック部26bを美容器本体12(の突出部14)に係合させるようにしたが、例えば美容器本体12にフック部を設け、このフック部を保護具26に係合させる構成としてもよい。また、その係合を解除するための開閉ボタンを保護具26に設けるようにしてもよい。
【0117】
・上記第1の実施形態では、開閉ボタン14aの押し込み操作によってその開閉ボタン14aと保護具26のフック部26bとの係合を解除するようにした。これに限らず、例えば開閉ボタン14aを省略して突出部14に凹部を形成し、その凹部に保護具26のフック部26bを係合させる構成とし、閉位置から開位置に移行させる際に保護具26を撓ませることでその係合を解除させるようにしてもよい。
【0118】
・上記第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に開閉ボタン14a及びフック部26bを設けて閉位置に維持するように構成してもよい。
・上記第2の実施形態において、リンク部材72の屈曲角度Dは異なる角度に設定してもよい。すなわち、リンク部材72の屈曲角度Dは、鈍角であればどのような角度に設定してもよい。
【0119】
・上記第2の実施形態において、リンク部材72の屈曲角度Dは、鋭角に設定してもよく、また屈曲部を省略して直線状に形成してもよい。
・上記第2の実施形態において、リンク部材72は平板状に形成したが、断面円形や多角形の棒状に形成してもよい。
【0120】
・上記第2の実施形態において、フロート部材66をゴムやスポンジなどの弾性体により付勢するようにしてもよい。また、フロート部材66に代えて、板ばねなどを当接部材65に当接させるようにしてもよい。
【0121】
・上記第2の実施形態において、当接部材65の突起部65aを省略してもよい。このように構成しても、当接部材65とフロート部材66の状態が非接触状態及び接触状態の間で変化することで保護具42の操作感(操作に要する力)に変化を与え、使用者に第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2の境界を認識させることができる。
【0122】
・上記第2の実施形態において、第2領域R2でもフロート部材66が当接部材65と接触するように構成してもよい。この場合、当接部材65の第2領域R2にフロート部材66が当接されることで、保護具42の自重による下方(閉位置)への回動が妨げられないように構成する。例えば、当接部材65の第2領域R2は、この第2領域R2にフロート部材66が接触した状態において、側面視でフロート部材66の付勢方向に対して前方に向かって上がる様に傾斜する直線をなす平面状に形成するとよい。このように構成によれば、当接部材65の第2領域R2にフロート部材66が接触した際に、このフロート部材66が当接部材65の第2領域R2に対して直角に接触しないようにできる。このため、本変形例では、バネ66aの付勢力を逃がし、保護具42の自重による下方(閉位置)への回動が妨げられないようにできる。
【0123】
・上記第2の実施形態において、フロート部材66を保護具42の基端部42aに直接接触させるようにしてもよい。
・上記各実施形態のミストノズル20におけるノズルカバー22を省略するようにしてもよい。
【0124】
・上記各実施形態では、ミストノズル20をその回動範囲において異なる複数の角度の位置で維持可能な構成としたが、例えば単一の角度の位置のみで維持可能なようにミストノズル20を構成するようにしてもよい。
【0125】
・上記各実施形態では、ミスト発生機構30にて温ミストを生成する構成としたが、例えば温ミストよりも低温の冷ミストを生成する構成としてもよい。なお、この場合、ミストノズル20から冷ミストが放出される。
【0126】
・上記各実施形態では、温ミストヒータ31a,57にて水(他の液体でも可)を沸騰させて温ミストを生成する構成としたが、超音波振動にて液体をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、温ミストや冷ミストを生成してもよい。
【0127】
・上記各実施形態では、温ミストが放出されるミストノズル20を一つ設けたが、ミストノズルを二つ以上設けるようにしてもよい。このとき、温ミストが放出される温ミストノズルを複数設けるようにしてもよいし、冷ミストが放出される冷ミストノズルを複数設けるようにしてもよい。また、一つ又は複数の温ミストノズルと一つ又は複数の冷ミストノズルとを設けるようにしてもよい。
【0128】
・上記第1の実施形態の美容器10において、ミストノズル20と併せて、マイナスイオンやプラスイオンなどを放出するノズルや、保湿剤や美白剤などの薬剤を放出するノズルや、帯電微粒子液体を放出するノズルなどを設けるようにしてもよい。この場合、少なくともミストノズル20に対して保護具26が設けられていれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0129】
・上記各実施形態において、温ミストヒータ31a,57で加熱して温ミストを生成するための液体として、保湿剤や美白剤などを含む液体や、芳香剤を含む液体を給水タンク29に貯留するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10…美容器(ミスト発生装置、美容装置)、20…ミストノズル、21…ミスト放出口(ミストノズル)、22…ノズルカバー(保持部材)、26…保護具、30…ミスト発生機構(ミスト発生手段)、42…保護具、65…当接部材、66…フロート部材(接触部)、67…開閉検知スイッチ(検知手段)、69…リンク機構、72…リンク部材、75…制御基板(制御手段)、D…屈曲角度、S…可動空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置、及びミスト発生装置を有する美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させたり超音波にて霧化させたりして発生させたミストを顔など人体に向けて放出することで、肌に潤いを与えるなどの美容効果や肌ケアを目的とした装置として用いられている。図15に示すように、このようなミスト発生装置80として、ミストを放出するミストノズル81,82に保護具83が取り付けられ、本体ケース84に対し開閉可能に取り付けられた本体蓋85にてミストノズル81,82及び保護具83が露出・隠蔽可能に構成されたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このミスト発生装置80では、ミストノズル81,82からの距離を規制するように保護具83が設けられているため、この保護具83によって使用者の手がミストノズル81,82に触れる動作を規制することができる。これにより、例えばミストノズル81,82から噴射された直後の比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミストノズル81,82に使用者の手が直接触れることを抑制することができる。さらに、ミスト発生装置80では、本体蓋85によってミストノズル81,82を隠蔽することで、ミストノズル81,82への埃などの異物の付着・堆積を回避できるため、ミストノズル81,82を衛生に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−295813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記ミスト発生装置80において、本体蓋85によってミストノズル81,82を隠蔽するためには、それらミストノズル81,82に取り付けられた保護具83も収納可能なように本体蓋85を形成する必要がある。これにより、本体蓋85が大型化するため、その本体蓋85が取り付けられるミスト発生装置80も大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能なミスト発生装置及び美容装置を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ミストを生成しその生成したミストをミストノズルから所定の方向へ放出させるミスト発生手段を備えたミスト発生装置において、使用者が前記ミストノズルに接触しないように前記ミストノズルからの距離を規制する第1の位置を維持するとともに、少なくとも前記ミストノズルを覆う第2の位置を維持するように形成された可動式の保護具を備えることをその要旨とする。
【0007】
この発明では、保護具を第1の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルからの距離が規制されるため、使用者の手がミストノズルに対して接近したときに、ミストノズルに触れる前に保護具に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミストノズルに直接触れることを抑制することができる。また、保護具を第2の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルが覆われた状態が維持されるため、ミストノズルへの異物の付着・堆積も抑制することができる。このように保護具の位置(姿勢)を変更するのみで、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。したがって、従来のミスト発生装置80のように、保護具と別に本体蓋を設ける必要がない。これにより、本体蓋が省略された分だけミスト発生装置を小型化することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、第1の可動範囲で前記ミストノズルと連動して動き、前記第1の可動範囲とは異なる第2の可動範囲で前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、第1の可動範囲において保護具がミストノズルと連動して動くため、この第1の可動範囲においては、保護具の角度を変更することによってミストノズルの角度を変更することができる。これにより、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向を変更することができる。このように、保護具を操作することによりミストノズルの角度を変更できるため、角度調整の操作性を向上させることができる。さらに、ミストノズルに直接触れることなくミストの放出方向を変更することができるため、使用者の手がミストノズルに触れることを好適に抑制することができる。また、第2の可動範囲においては、保護具がミストノズルとは独立して動くため、この第2の可動範囲でも保護具とミストノズルとが連動して動く場合に比べて、ミストノズルの可動範囲を狭くすることができ、ミストノズル周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミスト発生装置において、前記第1の可動範囲は、前記ミストノズルの可動範囲であり、前記第2の可動範囲は、前記ミストノズルの可動が規制されてから前記保護具が前記第2の位置に維持されるまでの可動範囲であることをその要旨とする。
【0011】
この発明では、ミストノズルの可動範囲では保護具とミストノズルとが連動して動くため、保護具を操作することによってミストノズルの角度を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。また、第1の位置から第2の位置に移行される第2の可動範囲では保護具が独立して動くため、その第2の可動範囲の分だけミストノズルの可動範囲を狭くすることができ、ミストノズル周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のミスト発生装置において、前記保護具と前記ミストノズルとを連動させるリンク機構をさらに備え、前記保護具は、前記リンク機構により前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、リンク機構により保護具とミストノズルが連動して動くため、保護具を操作することによってミストノズルの角度を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。そして、保護具の操作によってミストノズルの角度を調整できるため、使用者の手がミストノズルに触れることを好適に抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のミスト発生装置において、前記リンク機構は、前記保護具と前記ミストノズルとを接続するリンク部材を備え、前記リンク部材は、屈曲していることをその要旨とする。
【0015】
この発明では、リンク機構をなすリンク部材を屈曲させている。このため、第2の可動範囲では保護具がミストノズルから独立して動く一方で、第1の可動範囲では保護具とミストノズルとが連動するように、第1の可動範囲及び第2の可動範囲を分けて設定することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のミスト発生装置において、前記リンク部材の屈曲角度は鈍角であることをその要旨とする。この発明では、リンク部材の屈曲角度を鈍角としているため、第1の可動範囲と第2の可動範囲とを分けて設定することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のミスト発生装置において、前記リンク機構を保持する保持部材には、前記リンク部材が可動するための可動空間が設けられていることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、可動空間を保持部材に設けているため、保持部材とリンク部材とが接触することを抑制し、保護具とミストノズルを少ない力でスムーズに操作することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記保護具の開閉状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき前記ミスト発生手段を制御する制御手段とを備えることをその要旨とする。
【0020】
この発明では、保護具の開閉状態を検知手段で検知するとともに、この検知手段の検知結果に基づきミスト発生手段を制御できる。
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記保護具に接触可能な接触部をさらに備え、前記接触部は、前記第1の可動範囲において前記保護具に接触して前記保護具を保持可能に構成されている一方で、前記第2の可動範囲において前記保護具に非接触として前記保護具の保持を解除することで前記保護具を前記第2の位置に維持させるように構成されていることをその要旨とする。
【0021】
この発明では、第1の可動範囲において接触部の接触により保護具が保持されるため、保護具の操作によってミストノズルを所望の角度に調整した状態を保持させることができる。その一方で、第2の可動範囲では、接触部が非接触とされて保護具の保持が解除され、保護具が第2の位置に維持される。このため、保護具によりミストノズルが覆われた状態が維持されるため、ミストノズルへの異物の付着・堆積を抑制することができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のミスト発生装置において、前記接触部は、前記保護具に対して移動可能に構成されていることをその要旨とする。
この発明では、接触部が保護具に対して移動可能なため、保護具が第2の可動範囲から第1の可動範囲へ操作された場合、接触部が保護具と非接触の状態から接触する状態へ変化することで操作感(操作に要する力)に変化を与え、第1の可動範囲と第2の可動範囲との境界を使用者に認識させることができる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることをその要旨とする。
この発明では、保護具がミストノズルと連動して動くため、保護具の角度を変更することによってミストノズルの角度を変更することができる。このように保護具を操作することによりミストノズルの角度を変更できるため、角度調整の操作性を向上させることができるとともに、ミストノズルに使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記保護具は、前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることをその要旨とする。
この発明では、保護具がミストノズルとは独立して動くため、これら保護具とミストノズルとを連結する連結手段が必要ない。このため、簡便な構成によって、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記第1の位置は、前記保護具の少なくとも一部が前記ミストノズルの上方に配置されるとともに、前記ミストノズルから放出される前記ミストを使用者に向けて放出可能な位置であることをその要旨とする。
【0026】
この発明では、ミストノズルからミストが放出されているときに、使用者の手がミストノズルに対し上方から接近したとしても、ミストノズルに触れる前にそのミストノズルの上方に配置された保護具に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミストノズルに直接触れることを抑制することができる。
【0027】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、前記ミスト発生手段は、液体から温ミストを生成することをその要旨とする。
この発明では、ミストノズルから比較的高温の温ミストが放出される。ここで、保護具を第1の位置に維持することによって、その保護具によりミストノズルからの距離が規制されるため、ミストノズルから放出された直後で比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミストノズルに使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
【0028】
請求項15に記載の発明は、ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスト発生装置を有する美容装置であることをその要旨とする。この発明によれば、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ミストノズルへの使用者の接触及び異物の付着を抑制しつつも、小型化が可能なミスト発生装置及び美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)、(b)は、第1の実施形態における美容器を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における美容器を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図3】(a)、(b)は、第1の実施形態における保護具の動作を説明するための概略断面図である。
【図4】(a)、(b)は、第2の実施形態における美容器を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態における美容器の配管構成を示す模式図である。
【図6】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し左側から見た断面図である。
【図7】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を水平方向で切断し上方から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図9】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図10】第2の実施形態における保護具、ミストノズル、及びベース部材を前後方向で切断し右側から見た断面図である。
【図11】(a)〜(d)は、第2の実施形態における保護具、及びミストノズルの動作を説明するための模式図である。
【図12】(a)、(b)は、変形例における保護具の動作を説明するための概略断面図である。
【図13】変形例における保護具を示す概略断面図である。
【図14】変形例における保護具を示す概略断面図である。
【図15】従来の美容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明を美容器に具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」は、美容器の使用者が、美容器を使用する際に美容器に向いた状態を基準とした場合の「前(手前)」「後」「上」「下」「左」「右」を示すものとする。
【0032】
図1は、本実施形態のミスト発生装置を備える美容装置としての美容器10を示す。有底略円筒状の本体ケース11には美容器本体12が収容されて固定されている。美容器本体12の上ハウジング13の上面13aの前側中央部には、上面13aの法線方向に突出する突出部14が形成されている。
【0033】
そして、突出部14の後側の上ハウジング13には、突出部14の後側面から後方に向けて下方に傾斜される傾斜面15を有する凹部16が形成されている。この凹部16には、温ミストを放出(噴出)するミストノズル20が配設されている。ミストノズル20は、ミスト放出口21の周りに略ドーム状に形成されたノズルカバー22が一体形成されて構成されている。
【0034】
このミストノズル20は、図2に示すように、ミスト放出口21の内側に、ノズルパッキン23が固着され、そのノズルパッキン23にはノズルホルダ24が連結固定されている。ノズルホルダ24には、蛇腹状に形成された蛇腹部材25の先端部が連結固定されている。そして、蛇腹部材25を介して誘導された温ミストは、ミスト放出口21に誘導されるようになっている。
【0035】
ミストノズル20は、美容器本体12に対し所定角度(例えば、25〜55°)で矢印A方向(上下方向)に回動可能となるように図示しない支持軸を介して同美容器本体12に取着されている。そして、ミストノズル20を上下方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整可能となっている。
【0036】
ミストノズル20のノズルカバー22には、図1に示すように、保護具26が上下方向に回動可能に取着されている。この保護具26は、略矩形状に形成され、その左右両側部が垂下されて断面略コの字状に形成されている。そして、保護具26は、図1(a)に示すようにミストノズル20を露出させて美容器10を使用可能な第1の位置としての開位置(開かれた状態)と、図1(b)に示すようにミストノズル20を覆う第2の位置としての閉位置(閉じられた状態)との間で上下方向に回動可能に構成されている。
【0037】
保護具26は、美容器10を使用する際、開位置を保つようになっている。この開位置は、図1(a)に示すように、ミストノズル20、とくにミスト放出口21からの距離(使用者とミスト放出口21との距離)を規制するように保護具26が配置されるため、使用者の手がミスト放出口21に直接触れるのを抑制することのできる位置(姿勢)になっている。すなわち、保護具26がミスト放出口21(ミストノズル20)の上方に配置されるため、例えば保護具26の上方から下方へ向けて使用者の手が移動し、ミスト放出口21に触れようとすると、ミスト放出口21に触れる前に保護具26に手が接触することになる。これにより、使用者の手がミスト放出口21に直接触れることを抑制することができる。また、上記開位置は、保護具26が上方に向けられるため、保護具26によって温ミストの放出が遮られず、使用者に対し温ミストを放出するのに適した姿勢にもなっている。
【0038】
一方、保護具26が閉位置の場合には、図1(b)に示すように、保護具26の外側面26aが上記突出部14の表面と面一になり、ミストノズル20が保護具26及び凹部16によって形成される空間に収容されるようになっている。このため、美容器10を使用しない場合、保護具26を閉じることでミストノズル20(とくに、ミスト放出口21)に異物が付着することを抑制し、衛生に保つことができるようになっている。また、ミストノズル20のミスト放出口21に異物が付着することで、温ミストの放出方向が変化し、使用感を損なうことを防止することができる。すなわち、温ミストが予め定めた方向以外の方向に放出されることを抑制できる。そして、保護具26は、この閉位置を保つようになっている。具体的には、保護具26の先端部に設けられたフック部26b(図1(a)参照)を、突出部14の後方に設けられた開閉ボタン14aに係合させることにより、外力を加えない状態でも保護具26が閉位置に維持されるようになっている。なお、使用者により開閉ボタン14aが押し込み操作されると、開閉ボタン14aが手前方向に回動するとともにその開閉ボタン14aとフック部26bとの係合が解除され、保護具26を開けることができるようになっている。
【0039】
このように保護具26の位置(姿勢)を変更することのみによって、使用者の手がミストノズル20に直接触れるのを抑制できるとともに、美容器10の未使用時にミストノズル20への異物の付着を抑制することができる。このため、保護具26と別に従来の本体蓋85を設ける必要がない。したがって、本体蓋85が省略された分だけ美容器10を小型化することができる。
【0040】
また、美容器本体12の上ハウジング13の上面13aの右側には、電源ボタン27と運転制御ボタン28とが前後方向に並べて設けられている。電源ボタン27は、美容器10の電源をオン及びオフする際に操作されるボタンであり、運転制御ボタン28は、電源がオン状態のときに美容器10の運転開始及び運転停止をする際に操作されるボタンである。
【0041】
保護具26の後側には、ミストノズル20から放出する温ミストを発生するのに使用される液体(本実施形態では、水)を、所定量(本実施形態では、約100ml)貯蔵する給水タンク29が、美容器本体12に収容された状態で設置されている。具体的には、給水タンク29は、図2に示すように、美容器本体12の上面に開口するように形成されたタンクホルダ29aに対し、上下(垂直)方向に挿入及び取り出し可能に収納されている。
【0042】
美容器本体12には、図2に示すように、ミスト発生機構30が備えられている。ミスト発生機構30は、給水タンク29から供給される水を加熱して温ミストを発生させる温ミストボイラ室31と、発生させた温ミストを微細化(イオン化)する放電部32と、微細化した温ミストを放出するミストノズル20とから主に構成されている。
【0043】
給水タンク29をセットするタンクホルダ29aの下端に設けられた接続部29bには、給水タンク29から供給される水を、ミスト発生機構30及び排水口(図示略)へ供給可能に分岐させる分岐部Gが連設されている。分岐部Gには、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)で形成された給水パイプP1の一端が接続されている。給水パイプP1の他端は、温ミストボイラ室31に接続されており、タンクホルダ29aから温ミストボイラ室31に水を供給する給水経路K1が形成されている。温ミストボイラ室31には、供給された水を加熱して温ミストを発生させる温ミストヒータ31aを備えた沸騰室31bが設けられている。沸騰室31bには、給水経路K1から側方に分岐された給水経路K2により水が供給されるようになっている。なお、この沸騰室31bの水位は、所定の水位Wに保たれるようになっている。
【0044】
また、温ミストボイラ室31の上方には、温ミストヒータ31aにより発生した温ミストをミストノズル20へ誘導する温ミスト誘導部材33が接続されている。この温ミスト誘導部材33には、上記蛇腹部材25の下端が接続されている。そして、温ミスト誘導部材33及び蛇腹部材25によって、温ミストヒータ31aにより発生した温ミストをミスト放出口21へ誘導する温ミスト経路M1が形成されている。
【0045】
温ミスト誘導部材33には、温ミスト経路M1の内部に放電部32が設けられている。放電部32は、高圧回路34に接続された放電針を温ミスト経路M1に面して設置したものであり、その放電針からの高圧放電によって温ミストが微細化される。
【0046】
このように構成されたミスト発生機構30は、給水タンク29からタンクホルダ29aに供給された水が、給水経路K1及び給水経路K2を通って沸騰室31bに供給される。沸騰室31bに供給された水は、温ミストヒータ31aにより加熱及び気化されることで、温ミスト化される。発生された温ミストは、温ミスト経路M1を通って上方に導かれるとともに、放電部32において放電針の間で行われる高圧放電により微細化(イオン化)される。この微細化された温ミストは、ミスト放出口21から前方に向けて放出(噴射)される。そして、ミストノズル20を矢印A方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。
【0047】
ここで、ミストノズル20は、上述したように、美容器本体12に対して図示しない支持軸に回動可能に軸支されている。詳述すると、ミストノズル20は、支持軸の中心軸線Xを回転中心として回動し、ノズルカバー22の端部が規制部35に当接することによりその回動範囲が規制されるようになっている。そして、ミストノズル20は、その回動範囲では、ミスト放出口21及びノズルカバー22が連結固定されたノズルホルダ24が図示しない板バネにより左右からバネ付勢されており、その摩擦力によりその時々の回動位置が保持されるようになっている。
【0048】
次に、保護具26とミストノズル20との連結構造について図3に基づき説明する。なお、図3は、保護具26とミストノズル20との連結構造及びそれら保護具26及びミストノズル20の動作を説明するための概略断面図である。
【0049】
図3に示すように、ノズルカバー22のミスト放出口21の後側には、貫通孔22aが形成されているとともに、その貫通孔22aの左右両側には、左右一対(一方のみ図示)の回転支持片40が後方に向かって延出形成されている。この左右一対の回転支持片40には、保護具26が上下方向に回転可能に軸支されている。具体的には、保護具26は、支持軸(図示略)の中心軸線Yを回転中心として回動可能に回転支持片40に取り付けられている。また、ノズルカバー22の内側には、貫通孔22aと相対向するようにベース部22bが形成されている。このベース部22bと上記回転支持片40に回転可能に軸支された保護具26との間には、貫通孔22aに挿通されたバネ41が連結されている。
【0050】
また、保護具26は、回転支持片40に対する開方向(上方向)の回動がストッパー(図示略)によって規制されており、例えば当該保護具26がミストノズル20の上方に配置され、且つ当該保護具26によって温ミストの放出が遮られない位置(図1(a)参照)で全開状態となるように設定されている。ここで、保護具26が開位置に位置する時には、保護具26は、バネ41の弾性力により、常に回転支持片40に対して全開状態(ストッパーによって回動が規制された状態)となる。換言すると、開位置の保護具26とノズルカバー22のベース部22bとは、保護具26からの圧縮荷重によってバネ41を所定のバネ荷重(設定荷重)で圧縮した状態で保持されるようになっている。ここで、上記バネ荷重は、中心軸線Xを回転中心としてノズルカバー22(ミストノズル20)を回転させる荷重(回転荷重)よりも強い荷重になるように設定されている。
【0051】
このため、保護具26に対してミストノズル20の回転荷重よりも強い荷重が加えられるまでは、上記全開状態を維持したまま保護具26とミストノズル20とが一体となって中心軸線Xを回転中心として回動する(図3(a)、(b)参照)。すなわち、ミストノズル20の回動範囲(第1の可動範囲)では、保護具26とミストノズル20(ミスト放出口21)との位置関係(すなわち、保護具26の開位置)が維持されたまま保護具26とミストノズル20とが連動して回動する。したがって、保護具26を上下方向に回動させることで、ミストノズル20の角度、ひいてはミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。なお、上述したように、ミストノズル20の回動範囲では、ミスト放出口21及びノズルカバー22が連結固定されたノズルホルダ24が図示しない板バネにより左右からバネ付勢されており、その摩擦力により上記調整した回動位置を保持することができる。
【0052】
一方、図3(b)に示すようにミストノズル20の回動が規制部35によって規制された後、保護具26に対してバネ41のバネ荷重よりも強い荷重が加えられると、バネ41が縮み、保護具26が中心軸線Xを回転中心として閉方向(下方向)に回動するようになっている。そして、保護具26のフック部26bを、突出部14(図1参照)の開閉ボタン14aに係合することにより、保護具26は閉位置を維持する(図3(b)の2点鎖線参照)。このように、保護具26を閉じる際には、保護具26がミストノズル20とは独立して回動する。すなわち、ミストノズル20の下方向の回動が規制部35によって規制されてから閉位置を維持するまでの範囲(第2の可動範囲)では、保護具26がミストノズル20とは独立して回動するようになっている。なお、保護具26が閉位置のときに、開閉ボタン14aが押し込み操作されると、その開閉ボタン14aとフック部26bとの係合が解除され、バネ41の付勢力によって保護具26が図3(b)の実線で示す位置(全開状態)まで回動される。
【0053】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態の保護具26は、使用者の手がミスト放出口21(ミストノズル20)に接触しないように保護する開位置(使用位置)を維持し、美容器10の未使用時にミスト放出口21への異物の付着を回避する閉位置(未使用位置)を維持するようにした。このため、保護具26の位置(姿勢)を変更することのみによって、ミスト放出口21(ミストノズル20)への使用者の接触及び異物の付着を抑制することができる。したがって、従来のミスト発生装置80のように、保護具26と別に本体蓋85を設ける必要がない。これにより、その本体蓋85が省略された分だけ美容器10を小型化することができ、小さなスペースにも美容器10を収納することができる。さらに、本体蓋85が省略された分だけ部品点数を減らすことができる。
【0054】
(2)本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲で保護具26とミストノズル20とが連動して回動するようにした。このため、保護具26を上下方向に回動させることで、ミストノズル20の角度、ひいてはミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整することができる。このように、保護具26を操作することによって温ミストの放出方向を調整することができるため、その放出方向の調整の操作性を向上させることができる。さらに、ミスト放出口21に直接触れることなく温ミストの放出方向を調整することができるため、使用者の手がミスト放出口21に触れることを好適に抑制することができる。
【0055】
(3)本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲以外で保護具26がミストノズル20とは独立して回動するようにした。このため、保護具26の回動範囲全てで保護具26とミストノズル20とが連動して回動する場合と比べて、ミストノズル20の回動範囲を狭くすることができ、保護具26及びミストノズル20周辺の構成をコンパクトにすることができる。
【0056】
(4)本実施形態では、比較的高温の温ミストを放出するミストノズル20に対して保護具26を設けるようにした。これにより、ミストノズル20から放出された直後で比較的高温の温ミストや、その温ミストを放出しているミスト放出口21に使用者の手が直接触れることを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を美容器に具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略化する。
【0057】
図4に示すように、美容器本体12において、上ハウジング13の上面13aの前側中央部には、上方に開口する開口部13bが形成されている。上ハウジング13には、この開口部13bと整合させて凹部16を形成するベース部材44が組み付けられている。
【0058】
ベース部材44には、美容器本体12に対し所定角度(例えば、25〜55°)で矢印Ya方向(上下方向)に回動可能となるように図示しない支持軸を介して、温ミストを放出(噴射)するミストノズル20が取着されている。ミストノズル20は、温ミストを放出するミスト放出口21の周りを覆うように形成された保持部材としてのノズルカバー22が一体形成されて構成されている。本実施形態では、ミストノズル20を上下方向に回動させることで、ミスト放出口21から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整可能となっている。
【0059】
ノズルカバー22においてミスト放出口21の下方には、ノズルカバー22の外面の法線方向に延びるように、端面視略U字状のミストガイド48が立設されている。ミストガイド48は、ミスト放出口21の下方及び左右側方を囲うように形成されており、左右方向及び下方向から使用者の手指がミストノズル20に接近することを防止するようになっている。ミストガイド48の基端部であってミスト放出口21の下方に対応する位置には、ミストガイド48を上下方向に貫通する逃がし孔48aが設けられており、ミストガイド48の上部で結露した液体(水など)が滞留しないようになっている。
【0060】
また、ベース部材44においてミストノズル20の後方には、ミストノズル20を保護するための保護具42が上下方向(矢印Ybに示す)に回動可能に取着されている。保護具42は、図4(a)に示すようにミストノズル20を覆う第2の位置としての閉位置(閉じられた状態)と、図4(b)に示すように保護具42の最大開放位置との間で上下方向に回動可能に構成されている。また、本実施形態では、ミストノズル20の回動範囲(図10で矢印H1に示す第1の可動範囲H1)で保護具42とミストノズル20とが連動して回動する一方で、ミストノズル20の回動範囲以外(図10で矢印H2に示す第2の可動範囲H2)で保護具42がミストノズル20とは独立して回動するようになっている。本実施形態では、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2の境界位置が外力によらず保護具42の回動位置を維持可能な最小開放位置となる(図9に示す)。
【0061】
図4に示すように、保護具42は、略半円形の平板状に形成されているとともに、左右の両基端部42aが、ベース部材44に対して回転可能に支持された回転軸43(図8〜図10に示す)に固定されている。保護具42の下面の略中央には、この下面から下方へ向かって平面視略U字状の前方リブ42bが垂下されている。この前方リブ42bは、保護具42を閉位置(閉じた状態)とした場合に、ミストガイド48の内側であってミストノズル20(ミスト放出口21)の前方を覆うように配設されている。また、保護具42の下面において、前方リブ42bの左右側方には、この下面から下方へ向かって、前後方向に延びる一対の側方リブ42cが垂下されている。この側方リブ42cは、保護具42を閉じた状態とした場合にミストガイド48の左右側方を覆うように配設されている。すなわち、保護具42が閉位置に位置している状態において、ミストノズル20(ミスト放出口21)は、前方が前方リブ42bに覆われるとともに、左右側方が側方リブ42c及びミストガイド48によって覆われるようになっている。このため、本実施形態では、保護具42を閉位置とした場合に、ミストノズル20(ミスト放出口21)から放出される温ミストが前方及び側方に放出されないようになっている。
【0062】
また、保護具42の下面には、前方リブ42bから後方へ延びる凹状に形成された排気通路42dが形成されている。排気通路42dにおいて保護具42の基端部側には、保護具42の下面と上面とを連通する排気口42eが形成されている。すなわち、本実施形態において排気口42eは、保護具42において使用者から最も距離をおいた保護具42の後方に形成されている。本実施形態では、保護具42を閉位置とした場合に各リブ42b,42cによって遮られた温ミストが排気通路42dを通過して排気口42eから上方に向かって排出されるようになっている。
【0063】
また、保護具42の後側には、ミストノズル20から放出する温ミストを発生するのに使用される液体(本実施形態では、水)を、所定量(本実施形態では、約100ml)貯蔵する給水タンク29が、美容器本体12に収容された状態で設置されている。給水タンク29は、美容器本体12に対し上下(垂直)方向に挿入及び取り出し可能に収納されている。
【0064】
上ハウジング13の上面13aにおいて、ミストノズル20(保護具42)の左前方には、美容器10の電源をオン及びオフする際に操作される電源ボタン27が設けられている。また、上ハウジング13の上面13aにおいて、ミストノズル20の右前方には、複数種類用意された美容器10の運転モードのうちから1つの運転モードを選択する際に操作されるモード切替ボタン45が設けられている。また、上ハウジング13の上面13aには、モード切替ボタン45と前後方向に並ぶように、モード切替ボタン45の操作によって選択された運転モードで美容器10の運転開始させる際、及び運転停止をする際に操作される運転制御ボタン28が設けられている。
【0065】
美容器10(本体ケース11)の前面側において、上下方向の略中央には、静電霧化装置46a(点線で示す)により液体を霧化させて発生させた帯電微粒子ミスト(帯電微粒子液体)を放出するための帯電微粒子ミスト放出口46が設けられている。
【0066】
次に、本実施形態の美容器本体12(美容器10)の配管構成(内部構造)について、図5にしたがって説明する。なお、図5に示す水位Wは、略一定に保たれるようになっている。
【0067】
美容器本体12には、美容器本体12(上ハウジング13)の上面13aに開口し、給水タンク29を収納可能なタンクホルダ29aが設けられている。タンクホルダ29aには、空気抜き孔29cが開口形成されている。また、タンクホルダ29aには、オーバーフロー孔29dが設けられており、タンクホルダ29a内の水位がオーバーフロー孔29dの形成位置まで上昇した際に、タンクホルダ29a内の水をタンクホルダ29aの外部に排出するようになっている。また、タンクホルダ29aの下端には、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)で形成された給水パイプP1の上流端が接続されているとともに、この給水パイプP1の下流端は、上下方向に延びる有底略円筒状に形成された貯留部55の下端部に接続されている。給水パイプP1は、給水タンク29(タンクホルダ29a)から貯留部55へ水を供給する給水経路K1を形成している。また、給水パイプP1は、途中で分岐されるとともに、空気抜き孔29cに接続されている。このため、本実施形態では、給水パイプP1内の空気(気泡)が空気抜き孔29cを介してタンクホルダ29aに排出されるようになっている。
【0068】
貯留部55の底部には、貯留部55の底部を2つの領域に区画するように、貯留部55の底部から上方に延びる板状の仕切り壁55aが形成されている。そして、給水パイプP1は、貯留部55の底部において、仕切り壁55aで区画された一方の底部に接続されている。また、貯留部55の底部において、仕切り壁55aで区画された他方の底部は、供給された水を温ミストヒータ57で加熱するための沸騰室58の下端部と連通部59により連通されている。連通部59は、貯留部55から沸騰室58へ水を供給する給水経路K2を形成している。このため、本実施形態において、給水パイプP1を介して供給された比較的低温の水は、下端部から貯留部55内に供給された後に仕切り壁55aに沿って上方へ移動し、貯留部55内に貯留されている水と混合される。そして、本実施形態では、新たに供給された比較的低温の水と、既に貯留部55内に貯留されている水とを混合した水が沸騰室58に供給されるようになっている(矢印Yc,Ydに示す)。
【0069】
沸騰室58は、上下方向に沿って立設された温ミストヒータ57の加熱面57aに沿って上下方向に延びる薄平板状に形成されている。温ミストヒータ57は、例えばPTC(positive temperature coefficient)素子からなる。連通部59を介して沸騰室58に供給された水は、沸騰室58内で温ミストヒータ57により加熱され、温ミスト化されるようになっている。また温ミストヒータ57には、温度センサ57bが設けられている。
【0070】
沸騰室58の上端部の側方には、扁平な有底略円筒状に形成された下部温ミスト誘導部材61が連設されている。本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61が下部温ミスト経路M2aを形成している。下部温ミスト誘導部材61は、沸騰室58で生成された水蒸気(温ミスト)を一時的に収容するとともに、ミストノズル20が配設された上方へ誘導するようになっている(矢印Yfで示す)。また、下部温ミスト誘導部材61の底面には、この下部温ミスト誘導部材61の底面に開口するように、前述した貯留部55が連設されている。このため、本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61の内部で結露により生じた水や、沸騰室58で沸騰することに伴って飛散した水など、比較的高温(約80〜100℃)の水が下部温ミスト誘導部材61を介して貯留部55へ還流されるようになっている(矢印Yeで示す)。すなわち、温ミストの発生中(温ミストヒータ57による加熱中)には、給水タンク29、タンクホルダ29a、及び給水パイプP1内の水と比較して、高温の水が貯留部55に常時供給されることになる。このため、貯留部55に貯留されている水は、給水タンク29から新たに供給される水と比較して高温となる。このため、本実施形態では、沸騰室58に対し予備的に加熱した温水を供給可能とし、給水パイプP1から供給される比較的低温(室温)の水を沸騰室58に直接供給する場合と比較して、温ミストヒータ57の加熱面57aの温度低下を抑制し、温ミストの発生量が低下することを抑制できる。このように、本実施形態では、貯留部55が還流路としても機能する。
【0071】
また、本実施形態では、貯留部55(還流路)及び沸騰室58が平行に配置される一方で、連通部59(給水経路K2)及び下部温ミスト誘導部材61(温ミスト経路M2a)が平行に配置されている。すなわち、貯留部55、連通部59(給水経路K2)、沸騰室58、及び下部温ミスト誘導部材61(温ミスト経路M2a)により、四角環状の管路が形成されている。
【0072】
下部温ミスト誘導部材61の上端部には、下部温ミスト誘導部材61を通過した温ミストをさらに上方(ミストノズル20)へ誘導するとともに、高圧放電により温ミストを微細化(イオン化)する放電部32を備えた上部温ミスト誘導部材62が連設されている。上部温ミスト誘導部材62の下部(下部温ミスト誘導部材61の上部)には、上部温ミスト誘導部材62の底部を形成するとともに、下部温ミスト誘導部材61の底部と上部温ミスト誘導部材62の底部との間で段差(段違い構造)を形成する防止壁63が設けられている。防止壁63は、沸騰室58から飛散する比較的高温の水が下部温ミスト誘導部材61より上方(ミストノズル20側)へ直接侵入することを阻止するようになっている。このため、本実施形態では、沸騰室58から飛散した比較的高温の水がミストノズル20より放出されることを抑制している。
【0073】
上部温ミスト誘導部材62内において防止壁63の上部には、放電部32が設けられている。放電部32は、高電圧が印加される一対の放電針62aと、各放電針62aの間に配設される中間電極部62bとから構成されている。放電部32では、各放電針62aからの高圧放電によって温ミストが微細化される。
【0074】
上部温ミスト誘導部材62の上端には、耐熱性を備えた弾性材料(例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム)からなり、蛇腹状に形成された蛇腹部材25の上流端(下端)が連結固定されている。また、蛇腹部材25の下流端(上端)は、略円筒状に形成されたノズルホルダ24に連結固定されている。ノズルホルダ24は、ミストノズル20(ノズルカバー22)の内側であってミスト放出口21の周囲に固着された略円環状のノズルパッキン23に連結固定されている。このため、本実施形態では、下部温ミスト誘導部材61を通過した温ミストは、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25によってミストノズル20(ミスト放出口21)へ誘導される(矢印Ygで示す)。本実施形態では、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25によって、温ミストヒータ57により発生させた温ミストをミスト放出口21へ誘導する上部温ミスト経路M2bが形成されている。
【0075】
本実施形態では、給水タンク29、タンクホルダ29a、給水パイプP1が給水機構部を構成し、貯留部55(還流路)、沸騰室58、温ミストヒータ57、及び下部温ミスト誘導部材61が加熱機構部を構成する。また、本実施形態では、上部温ミスト誘導部材62、蛇腹部材25、ミストノズル20(ミスト放出口21)がミスト放出機構部を構成している。そして、本実施形態では、加熱機構部及びミスト放出機構部がミスト発生手段としてのミスト発生機構30を構成する。
【0076】
そして、本実施形態では、第1の実施形態とは異なる連結構造により、保護具42とミストノズル20とが連結されている。以下、本実施形態の保護具42とミストノズル20との連結構造について、図6〜図10に基づき説明する。
【0077】
図6に示すように、保護具42の左右の両基端部42aは、ベース部材44の後部に対して回転可能に支持された回転軸43に一体となって回動可能に固定されている。また、回転軸43には、側面視略楕円板状(カム状)をなす当接部材65が回転軸43と一体となって回動可能に固定されている。当接部材65は、回転軸43の中心軸線W1から外縁部までの離間距離が一定に保たれることで円弧状をなす第1領域R1と、この第1領域R1より前方に設定され、回転軸43の中心軸線W1から外縁部までの離間距離が第1領域R1よりも短く設定された第2領域R2とが形成されている。また、当接部材65の外縁部において、第1領域R1と第2領域R2との境界部には、中心軸線W1に直交する方向の外側に突出する突起部65aが形成されている。なお、本実施形態において当接部材65は、保護具42の一部をなしている。当接部材65において、突起部65aの後側には、突起部65aと連続するように曲面(湾曲面)をなす曲面部65bが形成されている。
【0078】
ベース部材44において当接部材65の下方には、ベース部材44の固定部44cに固定されたバネ66aにより上方に向かって付勢された有蓋略円筒状をなす接触部としてのフロート部材66が配設されている。フロート部材66は、下方から上方へ向かって直径が減少する略スカート状に形成されている。また、フロート部材66の外周面には、上下方向に沿って延びるリブ66cが形成されている。また、フロート部材66は、ベース部材44に形成された丸孔状の挿入部44aに挿入されて上下方向に移動可能に支持されている。フロート部材66は、リブ66cを介して挿入部44aの内周面と接しており、フロート部材66の外周面と挿入部44aの内周面との接触面積を減少させて、スムーズに上下方向に移動可能に構成されている。また、フロート部材66は、このフロート部材66の下端部に形成された円環状の突起部66bが挿入部44aの下側開口部の周囲に形成された係止部44dに係止されることで、上方への移動が規制されている。
【0079】
そして、フロート部材66の上側端部は、当接部材65の第1領域R1において、バネ66aの付勢力によって当接部材65の外縁部に接触(当接)し、当接部材65が回動しないように保持するようになっている。すなわち、本実施形態において、バネ66aの付勢力(バネ荷重)は、当接部材65の第1領域R1にフロート部材を当接させた際に、保護具42が自重によって下方(閉位置)へ回動しない荷重に設定されている。このため、当接部材65の第1領域R1では、保護具42が自重によって下方(閉位置)へ回動しないように保持され、保護具42の回動位置が維持されるようになっている。本実施形態では、保護具42が第1の可動範囲H1に位置している場合、フロート部材66が第1領域R1に位置し、フロート部材66が当接部材65の第1領域R1に対して直角に接触するように設定されている。
【0080】
一方、フロート部材66の上側端部は、当接部材65の第2領域R2において、上方への移動が規制されることで当接部材65の外縁部に接触しないようになっている。すなわち、第2領域R2において当接部材65は、フロート部材66による保持状態が解除された非保持状態とされる。このため、当接部材65の第2領域R2では、保護具42が自重によって下方へ回動するようになっている。本実施形態では、保護具42が第2の可動範囲H2に位置している場合、フロート部材66が第2領域R2に位置し、当接部材65に接触しないようになっている。
【0081】
また、本実施形態において、突起部65aは、第1領域R1と第2領域R2の境界に位置しているため、保護具42が最小開放位置を通過する際に、フロート部材66が乗り越えるように接触(当接)するようになっている。このため、本実施形態の美容器10では、保護具42を操作して第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2へ移動させた場合、及び第2の可動範囲H2から第1の可動範囲H1へ移動させた場合に、突起部65aを乗り越えさせるために比較的大きな力が必要となる。このため、本実施形態では、保護具42の可動範囲の境界部分で比較的大きな抵抗感(所謂、クリック感)を使用者に感じさせることができるようになっている。また、前述のように、本実施形態の当接部材65には、曲面部65bが形成されており、保護具42の回動動作に伴ってフロート部材66が第1領域R1側から突起部65aを乗り越える際の抵抗を小さくするようになっている。
【0082】
図7に示すように、回転軸43には、この回転軸43と一体となって回動可能にヒンジピン68が固定されている。このため、ヒンジピン68は、保護具42の開閉動作に伴って回転軸43とともに回動するようになっている。また、ベース部材44には、保護具42が第1の可動範囲H1にあることを検知するための検知手段としての開閉検知スイッチ67が配設されている。この開閉検知スイッチ67は、保護具42が第1の可動範囲H1に位置していることでヒンジピン68を検知し、開放信号を出力するように構成されている。すなわち、開閉検知スイッチ67は、保護具42が第2の可動範囲H2から第1の可動範囲H1へ操作されるのに伴って、保護具42が最小開放位置を通過するのと同時に開放信号の出力を開始する。その一方で、開閉検知スイッチ67は、保護具42が第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2へ操作されるのに伴って、保護具42が最小開放位置を通過するのと同時に開放信号の出力を停止するようになっている。
【0083】
図8〜図10に示すように、本実施形態において、ミストノズル20(ノズルカバー22)と保護具42とは、リンク機構69によって連結されている。なお、本実施形態の美容器10では、ミストノズル20及び保護具42の左右両側にリンク機構69が設けられているため、一方(右側)のリンク機構69についてのみ説明し、他方(左側)のリンク機構69についての説明を省略する。
【0084】
図8〜図10に示すように、保護具42が固定された回転軸43には、略方形板状に形成された第1リンク基台71が回転軸43と一体に回動可能に固定されている。第1リンク基台71には、平板状の部材の中心線が所定の角度(屈曲角度D)で交差するように一体形成された接続部材としてのリンク部材72の後端が第1ピン部材71aで組み付けられているとともに、このリンク部材72は、左右方向に水平に延びる第1ピン部材71aの軸線周りで回動可能に支持されている。本実施形態のリンク部材72の屈曲部における屈曲角度Dは、鈍角(本実施形態では132°)に設定されている。
【0085】
また、リンク部材72の前端は、ノズルカバー22と一体に形成された第2リンク基台73に第2ピン部材73aで組み付けられているとともに、リンク部材72は、左右方向に水平に延びる第2ピン部材73aの軸線周りで回動可能に支持されている。
【0086】
ノズルカバー22の内側には、リンク部材72が可動(動作)するための可動空間Sが形成されている。また、ベース部材44には、規制部35が設けられているとともに、ミストノズル20(ノズルカバー22)は、この規制部35にミストノズル20(ミストガイド48の下面)が当接することにより下方への回動範囲が規制されるようになっている。また、ベース部材44において、保護具42の左右の両基端部42aに対応する部分には、この両基端部42aと当接することで保護具42の上方への回動を規制する保護具規制部44bが形成されている。
【0087】
次に、本実施形態の美容器10の電気的構成について説明する。
図4に示すように、美容器本体12には、美容器10の動作を制御するための制御手段としての制御基板75が設けられている(点線で示す)。制御基板75には、温ミストヒータ57、放電部32、及び静電霧化装置46aが電気的に接続されている。また、制御基板75には、電源ボタン27、運転制御ボタン28、及びモード切替ボタン45が電気的に接続されている。また、制御基板75には、温度センサ57b、及び開閉検知スイッチ67が接続されている。また、制御基板75には、美容器10が水平面に載置されているか否かを検知する図示しない傾斜検知センサが接続されている。本実施形態の傾斜検知センサは、美容器10の底面から下方に突出する検知片を備えるとともに、美容器10が水平面に載置されることに伴って、検知片が美容器10の自重により装置内部に押し込まれたことを検知し、検知信号を出力するように構成されている。
【0088】
本実施形態の制御基板75は、電源ボタン27の押下操作によって電源投入がされると、初期運転モードとして帯電微粒子ミスト放出口46から帯電微粒子ミストを放出させる「帯電微粒子モード」を初期設定する。また、制御基板75は、モード切替ボタン45が押下操作された際に出力する操作信号を入力する毎に、「帯電微粒子モード」と、温ミストをミストノズル20(ミスト放出口21)から放出させる「温ミストモード」とを切り替えて設定する。なお、制御基板75は、開閉検知スイッチ67からの開放信号、及び傾斜検知センサからの検知信号の両信号が入力されていることを条件として、モード切替ボタン45から操作信号を入力した際に、「温ミストモード」を設定するようになっている。すなわち、制御基板75は、モード切替ボタン45から操作信号を入力した場合であっても、開閉検知スイッチ67からの開放信号、及び傾斜検知センサからの検知信号の両信号を入力していない場合、「温ミストモード」を設定しないように構成されている。また、制御基板75は、既に「温ミストモード」を設定している場合において、開閉検知スイッチ67からの開放信号及び傾斜検知センサからの検知信号のうち少なくとも何れか一方を入力しなくなった時点で、「帯電微粒子モード」を設定するようになっている。
【0089】
制御基板75は、帯電微粒子モードを設定している場合、運転制御ボタン28が押下操作された際に出力する操作信号を入力すると、静電霧化装置46aを制御して帯電微粒子ミストを生成し、帯電微粒子ミスト放出口46から放出させる。また、本実施形態の制御基板75は、「温ミストモード」を設定している場合、運転制御ボタン28から操作信号を入力すると、温ミストヒータ57及び放電部32に通電を開始して温ミストを生成するとともに、ミストノズル20(ミスト放出口21)から温ミストを放出させる。
【0090】
また、制御基板75は、温ミストヒータ57及び放電部32へ通電をしている場合であっても、開閉検知スイッチ67から開放信号が入力されなくなった時点で温ミストヒータ57及び放電部32への通電を停止(中止)する。すなわち、本実施形態の美容器10では、温ミスト放出中であっても、保護具42が第1の可動範囲H1から第2の可動範囲H2又は閉位置へ回動されたことを契機に温ミストの生成及び放出を停止(中止)するようになっている。
【0091】
同様に、制御基板75は、温ミストヒータ57及び放電部32へ通電をしている場合であっても、傾斜検知センサから検知信号が入力されなくなった時点で温ミストヒータ57及び放電部32への通電を停止(中止)する。このため、本実施形態の美容器10では、温ミスト放出中であっても、美容器10が傾斜したり、水平面から浮き上がってしまったりしたことを契機に温ミストの生成及び放出を停止(中止)するようになっている。なお、この場合、制御基板75は、上ハウジング13に設けられた図示しない報知ランプ(例えばLEDなど)を制御して異常状態である旨を報知する。
【0092】
なお、制御基板75は、温度センサ57bで計測した温ミストヒータ57の表面温度が所定温度(例えば128℃)に達した場合、温ミストヒータ57への通電を停止して空焚きを防止するようになっている。
【0093】
次に、本実施形態の美容器10において、保護具42及びミストノズル20(ノズルカバー22)の動作について説明する。図8は、保護具42が閉位置に位置している状態を示すとともに、図9は、保護具42が最小開放位置に位置している状態を示している。また、図10は、保護具42が最大開放位置に位置している状態を示している。また、図11(d)において、実線は保護具42が閉位置に位置している状態を示し、一点鎖線は保護具42が最小開放位置に位置している状態を示し、二点鎖線は保護具42が最大開放位置に位置している状態を示している。
【0094】
図8、図9、及び図11(d)に示すように、閉位置から最小開放位置までの第2の可動範囲H2では、保護具42の回動動作に伴って第1リンク基台71が上方へ回動されるとともに、リンク部材72の後端が上方へ移動される。しかしながら、リンク部材72の前端及び第2リンク基台73は、リンク部材72の移動に連動することなくその位置が維持されるようになっている。このため、第2の可動範囲H2において、ミストノズル20は、保護具42の回動動作に連動して回動しない。すなわち、第2の可動範囲H2において、保護具42は、ミストノズル20から独立して動作するようになっている。なお、第2の可動範囲H2においてミストノズル20は、ベース部材44の規制部35に接触して下方への回動が規制された状態となっている。
【0095】
また、図11(c)に示すように、第2の可動範囲H2(第2領域R2)では、保護具42の回転軸43に固定された当接部材65とフロート部材66が非接触状態とされる。このため、本実施形態の保護具42は、使用者が保護具42を上方へ回動操作した後に、第2の可動範囲H2内で手指を離して操作を中止した場合、保護具42の自重により閉位置へ自動的に復帰するようになっている。すなわち、本実施形態の保護具42は、常には閉位置に維持されるようになっている。このため、本実施形態では、美容器10の不使用時などに閉状態を維持し、埃などの異物がミストノズル20(ミスト放出口21)に付着・堆積することを抑制できる。
【0096】
また、図11(b)及び図11(d)に示すように、保護具42が使用者の操作により上方に回動されて最小開放位置を通過する場合には、フロート部材66が当接部材65の突起部65aを乗り越えることで操作に抵抗感(クリック感)を生じさせるようになっている。また、本実施形態では、保護具42が最小開放位置を通過する(操作に抵抗感が生じる)のと略同時に、開閉検知スイッチ67がヒンジピン68を検知して開放信号が制御基板75に出力され、モード切替ボタン45の操作による「温ミストモード」の設定や、運転制御ボタン28の操作による温ミストの放出が許容されるようになっている。このため、本実施形態では、最小開放位置を通過する際に生じる抵抗感(クリック感)によって、温ミストを放出可能であることを使用者に理解させることができるようになっている。
【0097】
また、図10、及び図11(d)に示すように、最小開放位置から最大開放位置までの第1の可動範囲H1内では、保護具42の上方への回動動作に伴ってリンク部材72が上方に引き上げられると、連動してノズルカバー22の第2リンク基台73が上方に移動される。また、第1の可動範囲H1内では、保護具42の下方への回動動作に伴ってリンク部材72が下方に押下げられると、連動して第2リンク基台73が下方に移動される。すなわち、第1の可動範囲H1において、保護具42の回動動作に連動してミストノズル20(ノズルカバー22)が中心軸線W2を回動中心として上下方向に回動する。このため、第1の可動範囲H1では、保護具42を回動操作することで、ミストノズル20(ミスト放出口21)からの温ミストの放出方向を調整することができるようになっている。したがって、本実施形態では、温ミストの放出方向を調整する際に、使用者の手指がミストノズル20(ミスト放出口21)に近接することを防止できる。
【0098】
また、図11(a)に示すように、本実施形態において第1の可動範囲H1(第1領域R1)内では、保護具42の回転軸43に固定された当接部材65とフロート部材66が接触状態とされ、使用者が保護具42の操作を中止して手指を離したとしても、保護具42の回動位置が維持(保持)される。このため、第1の可動範囲H1内では、保護具42の回動位置が維持されることに伴って、温ミストの放出方向が維持されるようになっている。したがって、本実施形態では、保護具42を回動操作することによって、第1の可動範囲H1内において温ミストの放出方向を任意に調整可能であるとともに、その温ミストの放出方向を維持(保持)可能になっている。
【0099】
また、図10及び図11(d)に示すように、第1の可動範囲H1では、ミストノズル20に対する保護具42の相対的な位置(開放位置)は一定に維持されるようになっている。より具体的に言えば、第1の可動範囲H1において、保護具42は、この保護具42がミストノズル20の上方に配置され、且つこの保護具42によって温ミストの放出が遮られない位置を維持するようになっている。本実施形態では、この第1の可動範囲H1における、ミストノズル20に対する保護具42の位置が第1の位置となる。
【0100】
本実施形態において第2の可動範囲H2は、ミストノズル20(ノズルカバー22)が下方向への回動が規制されてから保護具42が閉位置を維持するまでの範囲として把握できる。本実施形態において第2の可動範囲H2は、保護具42の閉位置からミストノズル20(ノズルカバー22)の上方向への回動が開始されるまでの範囲として把握することも可能である。また、本実施形態において、第1の可動範囲H1は、ミストノズル20(ノズルカバー22)の回動範囲として把握できる。
【0101】
以上のように構成された第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果(1)〜(4)に加えて、以下の特徴的な作用効果を有する。
(5)リンク機構69によって保護具42とミストノズル20(ノズルカバー22)とを連結したため、保護具42とミストノズル20の動作を連動させることができる。したがって、第1の実施形態と同様に、保護具42を操作することによってミストノズル20の回動位置(角度)を調整することができ、そのミストノズルから放出されるミストの放出方向も調整することができる。そして、保護具42の操作によってミストノズル20の角度を調整できるため、使用者の手がミストノズル20に触れることを好適に抑制することができる。
【0102】
(6)リンク機構69を構成するリンク部材72を屈曲させた。このため、第2の可動範囲H2では保護具42がミストノズル20から独立して動く一方で、第1の可動範囲H1では、保護具42とミストノズル20とが連動するように、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2を分けて設定することができる。
【0103】
(7)また、リンク部材72の屈曲角度を鈍角とした。このため、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2とを分けて設定することができる。
(8)リンク部材72の可動空間Sをミストノズル20のノズルカバー22内に設けた。このため、ノズルカバー22とリンク機構69のリンク部材72とが接触することを抑制するとともに、保護具42とミストノズル20を少ない力でスムーズに操作することができる。
【0104】
(9)保護具42の開閉状態を検知する開閉検知スイッチ67と、この開閉検知スイッチ67からの開放信号に基づき温ミストヒータ57への通電(温ミストの生成及び放出)を制御する制御基板75を設けた。このため、保護具42の開閉状態に応じて、温ミストの生成及び放出を制御することができる。
【0105】
(10)第1の可動範囲H1において、フロート部材66が保護具42と一体に回動する当接部材65に接触(当接)することにより保護具42の回動位置が保持される。このため、第1の可動範囲H1では、保護具42の回動操作によってミストノズル20(温ミストの放出方向)を所望の角度に調整した状態を保持することができる。その一方で、第2の可動範囲H2では、フロート部材66と当接部材65とが非接触とされて保護具42の回動位置の保持が解除されるとともに、保護具42が自重により閉位置に維持される。このため、保護具42によりミストノズル20(ミスト放出口21)が覆われた状態を維持することができるため、ミストノズル20への異物の付着・堆積を抑制できる。
【0106】
(11)フロート部材66を保護具42に対して移動可能に構成した。このため、保護具42が可動範囲を跨いで回動操作される場合に、当接部材65とフロート部材66の接触状態と非接触状態とが切替えられることで、保護具42の操作感(操作に要する力)を変化させ、第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2との境界を使用者に認識させることができる。
【0107】
尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1の実施形態の保護具26及び回転支持片40は、使用者の手がミスト放出口21に触れるのを抑制する開位置と、美容器10の未使用時にミスト放出口21への異物の付着を回避する閉位置との双方を維持可能な構成であれば、その構成を適宜変更してもよい。
【0108】
例えば保護具26の支持構成を図12に示すような構成に変更してもよい。すなわち、ノズルカバー22に支持部50が固着されている。この支持部50は、ベース部51にバネ52の一端が固着され、ガイド部53に沿って上下方向に摺動可能に形成された可動フック54に上記バネ52の他端が固着されるように構成されている。
【0109】
また、保護具26は、カム26cに固着され、そのカム26cの中心軸線Zを回転中心として回動可能にミストノズル20のノズルカバー22に取着されている。そして、保護具26の開位置においては、図12(a)に示すように、バネ52の付勢力によって可動フック54が上方に付勢され、その可動フック54と上記カム26cの凸部26dとが嵌合される。ここで、上記付勢力は、ミストノズル20を可動させる可動力よりも大きくなるように設定されている。このため、ミストノズル20の回動範囲では、カム26cの凸部26dが可動フック54に嵌合したままミストノズル20、保護具26及び支持部50が一体となって中心軸線Xを回転中心として回動する(図12(a)、(b)参照)。すなわち、ミストノズル20の回動範囲では、保護具26とミストノズル20(ミスト放出口21)との上下方向の位置関係が維持されたままそれら保護具26とミストノズル20とが連動して回動する。
【0110】
一方、図12(b)に示すようにミストノズル20の回動が規制部35によって規制された後、保護具26に対してバネ52の付勢力よりも強い力が加えられると、可動フック54がバネ52の付勢力に抗して下動し、カム26cの凸部26dと可動フック54との嵌合が外れる。すると、保護具26及びカム26cがミストノズル20とは独立して中心軸線Zを回転中心として矢印B方向(閉方向)に回動される。
【0111】
このような構成であっても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、ここでは、付勢手段としてバネ52を使用したが、弾性部材(ゴムやスポンジなど)ならば、任意に変更してもよい。
【0112】
・また、上記第1の実施形態において、保護具26の支持構成を図13に示すような構成に変更してもよい。すなわち、先の図3及び図12に示した保護具26では、所定の回動範囲(ミストノズル20の回動範囲)で保護具26とミストノズル20とが連動して回動し、それ以外の可動範囲で保護具26が独立して回動するように構成したが、図13に示す保護具26では、保護具26の全ての回動範囲でミストノズル20と連動して回動するように構成した。具体的には、ミストノズル20のノズルカバー22に支持部60を固着し、その支持部60に保護具26を固着し、ミストノズル20と保護具26とを一体に形成するようにした。この場合の保護具26及び支持部60は、ミストノズル20と連動して中心軸線Xを回転中心として上下方向に回動する。なお、この場合には、保護具26のフック部26bが開閉ボタン14a(図1参照)に係合可能な位置まで保護具26を回動させることができるように、規制部35aによってミストノズル20の回動範囲が上記実施形態の場合よりも広く設定されている。
【0113】
このような構成であっても、上記第1の実施形態の(1)、(2)、(4)と同様の作用効果を得ることができる。
・また、保護具26の支持構成を図14に示すような構成に変更してもよい。すなわち、本体ケース11に固着された支持部70に、保護具26が回転支点Vを回転中心として回動可能に取着されている。その一方で、ミストノズル20は、美容器本体12に対して中心軸線Xを回転中心として回動可能に取着されている。このため、保護具26は、全ての回動範囲においてミストノズル20とは独立して回動するようになっている。なお、この場合、ミストノズル20から放出される温ミストの放出方向を上下方向に調整するには、ノズルカバー22を操作してそのノズルカバー22を上下方向に回動させる必要がある。但し、このような構成であっても、保護具26の開位置では、図14に示すように、保護具26がミスト放出口21(ミストノズル20)からの距離を規制するようにミスト放出口21の上方に配置されるため、使用者の手がミスト放出口21に触れるのを抑制することができる。例えば保護具26の上方から下方へ向けて使用者の手が移動し、ミスト放出口21に触れようとすると、ミスト放出口21に触れる前に保護具26に手が接触することになるため、使用者の手が意図せずにミスト放出口21に直接触れることを抑制することができる。このため、このような構成であっても、上記第1の実施形態の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0114】
・上記第1の実施形態では、保護具26とミストノズル20とを連結させるためにバネ41を使用したが、弾性部材ならば、任意に変更してもよい。例えば、ゴムやスポンジなどに変更してもよい。
【0115】
・上記各実施形態の保護具26,42の形状を適宜変更してもよい。例えば保護具26,42を、内部に空間を有する略御椀状に形成するようにしてもよい。なお、この場合には、保護具26,42の閉位置において、その保護具26,42の内部に形成された空間にミストノズル20が収納される。
【0116】
・上記第1の実施形態では、保護具26にフック部26bを設け、このフック部26bを美容器本体12(の突出部14)に係合させるようにしたが、例えば美容器本体12にフック部を設け、このフック部を保護具26に係合させる構成としてもよい。また、その係合を解除するための開閉ボタンを保護具26に設けるようにしてもよい。
【0117】
・上記第1の実施形態では、開閉ボタン14aの押し込み操作によってその開閉ボタン14aと保護具26のフック部26bとの係合を解除するようにした。これに限らず、例えば開閉ボタン14aを省略して突出部14に凹部を形成し、その凹部に保護具26のフック部26bを係合させる構成とし、閉位置から開位置に移行させる際に保護具26を撓ませることでその係合を解除させるようにしてもよい。
【0118】
・上記第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に開閉ボタン14a及びフック部26bを設けて閉位置に維持するように構成してもよい。
・上記第2の実施形態において、リンク部材72の屈曲角度Dは異なる角度に設定してもよい。すなわち、リンク部材72の屈曲角度Dは、鈍角であればどのような角度に設定してもよい。
【0119】
・上記第2の実施形態において、リンク部材72の屈曲角度Dは、鋭角に設定してもよく、また屈曲部を省略して直線状に形成してもよい。
・上記第2の実施形態において、リンク部材72は平板状に形成したが、断面円形や多角形の棒状に形成してもよい。
【0120】
・上記第2の実施形態において、フロート部材66をゴムやスポンジなどの弾性体により付勢するようにしてもよい。また、フロート部材66に代えて、板ばねなどを当接部材65に当接させるようにしてもよい。
【0121】
・上記第2の実施形態において、当接部材65の突起部65aを省略してもよい。このように構成しても、当接部材65とフロート部材66の状態が非接触状態及び接触状態の間で変化することで保護具42の操作感(操作に要する力)に変化を与え、使用者に第1の可動範囲H1と第2の可動範囲H2の境界を認識させることができる。
【0122】
・上記第2の実施形態において、第2領域R2でもフロート部材66が当接部材65と接触するように構成してもよい。この場合、当接部材65の第2領域R2にフロート部材66が当接されることで、保護具42の自重による下方(閉位置)への回動が妨げられないように構成する。例えば、当接部材65の第2領域R2は、この第2領域R2にフロート部材66が接触した状態において、側面視でフロート部材66の付勢方向に対して前方に向かって上がる様に傾斜する直線をなす平面状に形成するとよい。このように構成によれば、当接部材65の第2領域R2にフロート部材66が接触した際に、このフロート部材66が当接部材65の第2領域R2に対して直角に接触しないようにできる。このため、本変形例では、バネ66aの付勢力を逃がし、保護具42の自重による下方(閉位置)への回動が妨げられないようにできる。
【0123】
・上記第2の実施形態において、フロート部材66を保護具42の基端部42aに直接接触させるようにしてもよい。
・上記各実施形態のミストノズル20におけるノズルカバー22を省略するようにしてもよい。
【0124】
・上記各実施形態では、ミストノズル20をその回動範囲において異なる複数の角度の位置で維持可能な構成としたが、例えば単一の角度の位置のみで維持可能なようにミストノズル20を構成するようにしてもよい。
【0125】
・上記各実施形態では、ミスト発生機構30にて温ミストを生成する構成としたが、例えば温ミストよりも低温の冷ミストを生成する構成としてもよい。なお、この場合、ミストノズル20から冷ミストが放出される。
【0126】
・上記各実施形態では、温ミストヒータ31a,57にて水(他の液体でも可)を沸騰させて温ミストを生成する構成としたが、超音波振動にて液体をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、温ミストや冷ミストを生成してもよい。
【0127】
・上記各実施形態では、温ミストが放出されるミストノズル20を一つ設けたが、ミストノズルを二つ以上設けるようにしてもよい。このとき、温ミストが放出される温ミストノズルを複数設けるようにしてもよいし、冷ミストが放出される冷ミストノズルを複数設けるようにしてもよい。また、一つ又は複数の温ミストノズルと一つ又は複数の冷ミストノズルとを設けるようにしてもよい。
【0128】
・上記第1の実施形態の美容器10において、ミストノズル20と併せて、マイナスイオンやプラスイオンなどを放出するノズルや、保湿剤や美白剤などの薬剤を放出するノズルや、帯電微粒子液体を放出するノズルなどを設けるようにしてもよい。この場合、少なくともミストノズル20に対して保護具26が設けられていれば、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0129】
・上記各実施形態において、温ミストヒータ31a,57で加熱して温ミストを生成するための液体として、保湿剤や美白剤などを含む液体や、芳香剤を含む液体を給水タンク29に貯留するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0130】
10…美容器(ミスト発生装置、美容装置)、20…ミストノズル、21…ミスト放出口(ミストノズル)、22…ノズルカバー(保持部材)、26…保護具、30…ミスト発生機構(ミスト発生手段)、42…保護具、65…当接部材、66…フロート部材(接触部)、67…開閉検知スイッチ(検知手段)、69…リンク機構、72…リンク部材、75…制御基板(制御手段)、D…屈曲角度、S…可動空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミストを生成しその生成したミストをミストノズルから所定の方向へ放出させるミスト発生手段を備えたミスト発生装置において、
使用者が前記ミストノズルに接触しないように前記ミストノズルからの距離を規制する第1の位置を維持するとともに、少なくとも前記ミストノズルを覆う第2の位置を維持するように形成された可動式の保護具を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、第1の可動範囲で前記ミストノズルと連動して動き、前記第1の可動範囲とは異なる第2の可動範囲で前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記第1の可動範囲は、前記ミストノズルの可動範囲であり、
前記第2の可動範囲は、前記ミストノズルの可動が規制されてから前記保護具が前記第2の位置に維持されるまでの可動範囲であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記保護具と前記ミストノズルとを連動させるリンク機構をさらに備え、
前記保護具は、前記リンク機構により前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のミスト発生装置において、
前記リンク機構は、前記保護具と前記ミストノズルとを接続するリンク部材を備え、
前記リンク部材は、屈曲していることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のミスト発生装置において、
前記リンク部材の屈曲角度は鈍角であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のミスト発生装置において、
前記リンク機構を保持する保持部材には、前記リンク部材が可動するための可動空間が設けられていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項8】
請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記保護具の開閉状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき前記ミスト発生手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記保護具に接触可能な接触部をさらに備え、
前記接触部は、前記第1の可動範囲において前記保護具に接触して前記保護具を保持可能に構成されている一方で、前記第2の可動範囲において前記保護具に非接触として前記保護具の保持を解除することで前記保護具を前記第2の位置に維持させるように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載のミスト発生装置において、
前記接触部は、前記保護具に対して移動可能に構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項11】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項12】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記第1の位置は、前記保護具の少なくとも一部が前記ミストノズルの上方に配置されるとともに、前記ミストノズルから放出される前記ミストを使用者に向けて放出可能な位置であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生手段は、液体から温ミストを生成することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項15】
ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、
請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスト発生装置を有することを特徴とする美容装置。
【請求項1】
ミストを生成しその生成したミストをミストノズルから所定の方向へ放出させるミスト発生手段を備えたミスト発生装置において、
使用者が前記ミストノズルに接触しないように前記ミストノズルからの距離を規制する第1の位置を維持するとともに、少なくとも前記ミストノズルを覆う第2の位置を維持するように形成された可動式の保護具を備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、第1の可動範囲で前記ミストノズルと連動して動き、前記第1の可動範囲とは異なる第2の可動範囲で前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記第1の可動範囲は、前記ミストノズルの可動範囲であり、
前記第2の可動範囲は、前記ミストノズルの可動が規制されてから前記保護具が前記第2の位置に維持されるまでの可動範囲であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記保護具と前記ミストノズルとを連動させるリンク機構をさらに備え、
前記保護具は、前記リンク機構により前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のミスト発生装置において、
前記リンク機構は、前記保護具と前記ミストノズルとを接続するリンク部材を備え、
前記リンク部材は、屈曲していることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のミスト発生装置において、
前記リンク部材の屈曲角度は鈍角であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のミスト発生装置において、
前記リンク機構を保持する保持部材には、前記リンク部材が可動するための可動空間が設けられていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項8】
請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記保護具の開閉状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき前記ミスト発生手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記保護具に接触可能な接触部をさらに備え、
前記接触部は、前記第1の可動範囲において前記保護具に接触して前記保護具を保持可能に構成されている一方で、前記第2の可動範囲において前記保護具に非接触として前記保護具の保持を解除することで前記保護具を前記第2の位置に維持させるように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載のミスト発生装置において、
前記接触部は、前記保護具に対して移動可能に構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項11】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、前記ミストノズルと連動して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項12】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記保護具は、前記ミストノズルとは独立して動くように構成されていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記第1の位置は、前記保護具の少なくとも一部が前記ミストノズルの上方に配置されるとともに、前記ミストノズルから放出される前記ミストを使用者に向けて放出可能な位置であることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生手段は、液体から温ミストを生成することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項15】
ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、
請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスト発生装置を有することを特徴とする美容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−87909(P2011−87909A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72107(P2010−72107)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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