説明

ミスト発生装置およびミスト発生方法

【課題】 小型化を図ることができると共にミスト化したい液体を効率的にミスト化することができるミスト発生装置およびミスト発生方法を提供する。
【解決手段】 ミスト発生装置100は、超音波振動子10と、超音波振動子10に隣り合う位置に設けられ、かつ、超音波振動子10の超音波振動エネルギーを受けて振動する多孔質振動体20とを含む。多孔質振動体20に保持された液体は、多孔質振動体20が受けた振動エネルギーによりミスト化される。多孔質振動体20の材質は、剛性の高い金属(や硬質セラミックス)などからなることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をミスト化することができるミスト発生装置およびミスト発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香発生装置として、超音波振動を利用したミスト発生装置が提案されている(特許文献1参照)。このミスト発生装置においては、少量の芳香性のある精油を大量の水に添加したものをミスト化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−88851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の文献に開示された技術によれば、大量の水に希薄化された精油をミスト化するため、精油の芳香を継続的に漂わせたいときには、大量の水もミスト化する必要があると共に、連続的に行う必要がある。また、水を貯えるタンクも必要であり、ミスト発生装置の小型化に限界があると共にミスト発生装置を転倒させた場合の水漏れによるショートなどの問題からも逃れることができない。さらに、芳香とは関係のない水もミスト化するため、その分だけ、超音波振動子を駆動するための電力も必要となってくる。
【0005】
本発明の目的は、小型化を図ることができると共にミスト化したい液体を効率的にミスト化することができるミスト発生装置およびミスト発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.ミスト発生装置
本発明のミスト発生装置は、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に隣り合う位置に設けられ、かつ、前記超音波振動子の超音波振動エネルギーを受けて振動する多孔質振動体とを含む。
【0007】
本発明においては、超音波振動子の超音波振動エネルギーを受けて振動する多孔質振動体が設けられている。多孔質振動体は、多孔質なため、液体を保持することができる。このため、液体が保持された多孔質振動体が超音波振動エネルギーを受けて振動することで、その液体がミスト化されることとなる。多孔質振動体は多孔質形状を有するため、液体との接触面積が大きく、噴霧効率が高くなる。特に、精油を噴霧化する場合には、精油を水で希薄化させる必要がないため、水タンクが不要であり、ミスト発生装置の小型化を図ることができる。
【0008】
2.ミスト発生方法
本発明のミスト発生方法は、超音波振動子の振動エネルギーを多孔質振動体に伝達し、当該多孔質振動体に接する液体をミスト化する工程を含む。
【0009】
本発明においては、超音波振動子の超音波振動エネルギーを受けて振動する多孔質振動体が設けられている。多孔質振動体は、多孔質なため、液体を保持することができる。このため、液体が保持された多孔質振動体が超音波振動エネルギーを受けて振動することで、その液体がミスト化されることとなる。多孔質振動体は多孔質形状を有するため、液体との接触面積が大きく、噴霧効率が高くなる。特に、精油を噴霧化する場合には、精油を水で希薄化させる必要がないため、水タンクが不要であり、この発明を適用したミスト発生装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係るミスト発生装置の模式図を示す。
【図2】実施の形態に係るミスト発生装置の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、ミスト発生装置の例を示す図である。
【0013】
1.構成例
本実施の形態に係るミスト発生装置100は、超音波振動子10と、多孔質振動体20とを含む。
【0014】
超音波振動子10は、公知のものを適用することができる。超音波振動子10の大きさは、多孔質振動体20の大きさおよびミスト発生装置100の求める能力を考慮して決めることができる。
【0015】
多孔質振動体20は、超音波振動子10に隣り合う位置に設けられ、かつ、超音波振動子10の超音波振動エネルギーを受けて振動する。
【0016】
多孔質振動体20の形状及び大きさは、ミスト発生装置100の大きさ及びそのミスト発生能力を考慮して決められるが、たとえば、2〜3cm角の立方体とすることができる。また、多孔質振動体20は、円柱状であってもよい。多孔質振動体20の材質は、多孔質(具体的には粒状空孔の集合体或は微細なパイプ状構造)のもので、超音波振動子10の振動エネルギーを受けて振動するものあれば特に限定されないが、剛性の高い材質が好ましく、たとえばアルミニウム、ステンレスなどの防錆素材や硬質セラミックなどを挙げることができる。多孔質振動体20は、超音波振動子10に固定されている。固定の方法としては、固定できるものであれば限定されないが、超音波振動子10の振動エネルギーを損失無く伝える接着方法が好ましく、たとえば、接着剤による固着を挙げることができる。
【0017】
多孔質振動体20の孔径は、たとえば、10〜100μmとすることができる。孔の密度は、製造可能な範囲で密なものとするとよい。
【0018】
超音波振動子10を制御する制御部(図示せず)を設けることができる。制御部は、たとえば、CPU、ROMおよびRAMから構成されることができる。
【0019】
超音波振動子10を駆動するための電源(図示せず)は、AC電源であっても、乾電池であってもよい。
【0020】
2.使用方法
まず、多孔質振動体20に精油を滴下し、多孔質の毛細管現象を利用して、多孔質振動体20に吸収させる。多孔質振動体20への精油の滴下は、人の手によりスポイトなどを利用して行ってもよいし、又は、公知の滴下装置などの供給装置を用いて行ってもよい。滴下する精油の量は、多孔質振動体20の大きさによっても異なるが、多孔質振動体20が2〜3cm角の立方体からなる場合には、たとえば、2〜3mlとすることができる。
【0021】
超音波振動子10を駆動させて、超音波振動エネルギーを多孔質振動体10に伝達し、精油をミスト化する。
【0022】
超音波振動子10の駆動に当たって、その超音波振動子10の共振周波数の付近の高周波電圧を印可する。この駆動において、多孔質振動体20には必要量の精油のみしかないため、空焚きを防ぐという観点からと省電力化のため、パルス的な間欠駆動とするとよい。なお、正弦波又は矩形波の発信器から発信された高周波を電力増幅器により増幅する連続波での駆動であってもよく、この場合には、発信器を断続的にon−offしてもよい。
【0023】
3.作用効果
本実施の形態によれば、たとえば、次の作用効果を奏することができる。
【0024】
本実施の形態においては、多孔質振動体20が多孔質形状を有しているため、液体を保持することができ、液体との接触面積が大きい。このため、液体のミスト化効率が高い。このため、多孔質振動体20に直接に精油を滴下し、その精油をミスト化することができる。このため、従来、大量の水に希薄化された精油をミスト化していたところ、本実施の形態においては、精油を大量の水に希薄化させる必要がない。したがって、精油のみのミスト化を図ることができため精油の噴霧効率を高めることができると共に、水を貯えるタンクも不要になるため、ミスト発生装置の小型化を図ることができる。また、水タンクも不要になるため、機器を転倒させた場合の水漏れによる問題も回避することができる。
【0025】
さらに、水をミスト化させる必要がないため、使用電力量を少なくすることができると共に、精油の蒸散効率を高めることができるので、低電力の間欠駆動が可能となる。このため、電源として、AC電源でなくとも、乾電池などで駆動させることもできる。また、超音波振動子10の間欠駆動で十分な蒸散が可能となり、超音波振動子の空焚きによる破損を防止することができる。
【0026】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【0027】
ミスト化させる液は、精油のみならず、水溶液などの他の液体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、たとえば、芳香性のある精油をミスト化する芳香発生装置として適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 超音波振動子
20 多孔質振動体
100 ミスト発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子と、
前記超音波振動子に隣り合う位置に設けられ、かつ、前記超音波振動子の超音波振動エネルギーを受けて振動する多孔質振動体とを含むミスト発生装置。
【請求項2】
超音波振動子の振動エネルギーを多孔質振動体に伝達し、当該多孔質振動体に接する液体をミスト化する工程を含むミスト発生方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−17975(P2013−17975A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155281(P2011−155281)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(594121408)オクト産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】