説明

ミスト発生装置及びこれを備えた美容装置

【課題】安定してミストを発生することのできるミスト発生装置及びこれを備えた美容装置を提供する。
【解決手段】美容装置は、液体を貯留する貯留タンク14と、貯留タンク14からその供給口81を通じて供給される液体をミスト化するミスト生成機構とを備えた。そして、貯留タンク14に液体に対して気体を選択的に通過させる微細孔121を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置及びこれを備えた美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置で発生させたミストを顔等に向けて放出することで、肌に潤いを与えるといった美容効果やスキンケアを目的とした美容装置がある。例えば、特許文献1に記載のミスト発生装置を備えた美容装置は、化粧水等の液体を貯留する貯留タンクと、貯留タンクからその供給口を通じて供給される液体をミスト化するミスト生成機構とを備えている。そして、ミスト生成機構で生成されたミストは、貯留タンク及びミスト生成機構を収容する本体ケースに設けられた放出口から放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許2006−40981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の美容装置は、使用者が手に持ち、所望の部位にミストが放出されるように、その姿勢や位置が適宜変更される態様で主に使用される。そのため、美容装置は、使用者がミストを当てようとする部位に応じて重力方向に対して様々な角度に傾けられることになる。したがって、貯留タンクは、液体がこぼれ出ないように、ミスト生成機構に接続される供給口以外から液体が流出しない形状とされる必要がある。すなわち、貯留タンクは、供給口のみが外部に開口する形状とされる必要がある。
【0005】
しかし、このように貯留タンクを供給口のみが外部に開口する形状とすると、貯留タンク内の液面が供給口よりも重力方向上側に位置する状態では、同貯留タンク内における空気が存在する空間は密閉された状態となる。そのため、美容装置の周囲環境(例えば、雰囲気温度や大気圧等)が変化すると、貯留タンクに存在する空気が膨張又は収縮することで、同貯留タンクの内圧が変化し、ミスト生成機構への液体の供給が不安定になることがある。その結果、ミスト生成機構で安定してミストが生成されなくなる虞があり、この点においてなお改善の余地があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、安定してミストを発生することのできるミスト発生装置及びこれを備えた美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、液体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクから該貯留タンクの供給口を通じて供給される液体をミスト化するミスト生成機構と、を備えたミスト発生装置において、前記貯留タンクには、液体に対して気体を選択的に通過させる通気手段が設けられたことを特徴とする。
【0008】
前記ミスト発生装置において、前記通気手段は、前記貯留タンクにおける前記供給口が開口する側に設けられることが好ましい。
前記ミスト発生装置において、弾性材料からなり、前記貯留タンクの内外を連通する連通孔に挿入される栓部材を備え、前記通気手段は、前記栓部材における前記連通孔の内周面に接触する接触面に形成され、前記貯留タンクの内外に開口する通気溝により構成される微細孔を含むことが好ましい。
【0009】
前記ミスト発生装置において、弾性材料からなり、前記貯留タンクの内外を連通する連通孔に挿入される栓部材を備え、前記通気手段は、前記栓部材に埋設され、前記貯留タンクの内外に開口する金属管により構成される微細孔を含むことが好ましい。
【0010】
前記ミスト発生装置において、前記貯留タンクは、光透過性を有する材料からなり、前記貯留タンクを覆う有底筒状のタンクキャップを備え、前記タンクキャップの筒部及び底部には、前記貯留タンクに臨む開口窓がそれぞれ形成されることが好ましい。
【0011】
本発明の美容装置は、上記ミスト発生装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安定してミストを発生することのできるミスト発生装置及びこれを備えた美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)本発明のミスト発生装置を備えた美容装置の放出口を閉じた状態を示す斜視図、(b)同美容装置の放出口を開いた状態を示す斜視図。
【図2】美容装置の軸方向に沿った断面図。
【図3】美容装置の分解斜視図。
【図4】美容装置における放出口カバー近傍の軸方向に沿った拡大断面図。
【図5】美容装置を後側から見たタンクキャップの斜視図。
【図6】貯留タンクの斜視図。
【図7】図6におけるB−B断面図。
【図8】別例の微細孔近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をミスト発生装置を備えた美容装置に具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1(a),(b)に示すように、美容装置1は、小型の略円柱状に形成されており、例えば鞄等に入れて持ち運びが可能な携帯用に構成されている。そして、美容装置1は、使用者が手に持ち、同美容装置1に設けられた放出口2から所望の部位(顔や腕等)にミストが放出されるように、その姿勢や位置が適宜変更される態様で主に使用される。なお、以下の説明において、美容装置1の外周面における放出口2が設けられた側を前側、その反対側を後側とする。
【0015】
図2及び図3に示すように、美容装置1は、装置本体11の一部を収容する略円筒状のハウジング12と、ハウジング12の軸方向に移動して放出口2を開閉する放出口カバー13とを備えている。装置本体11におけるハウジング12の一端側(図2における上側)には、ミスト化される液体(本実施形態では、化粧水)を貯留する貯留タンク14及び貯留タンク14を覆うタンクキャップ15が着脱可能に設けられている。一方、装置本体11におけるハウジング12の他端側(図2における下側)には、電池交換用カバー16が着脱可能に設けられている。なお、ハウジング12の外周面における後側部分には、電池の挿入方向等が記載された電池シール17、及び美容装置1の使用上の注意事項等が記載された警告シール18が貼り付けられている。
【0016】
詳述すると、装置本体11は、ハウジング12内に収容される略長方形板状の基台21を備えている。基台21は、ハウジング12の一端側から挿入され、その他端側から抜け出ないように形成されている。基台21の前側には、第1の回路基板23が固定されるとともに、第1の回路基板23にリード線24を介して固定される第2の回路基板25がネジ26により固定されている。一方、基台21の後側には、電源となる電池(本実施形態では、単四電池)27が収容されるようになっている。
【0017】
基台21の一端部(図2における上端部)には、電池27の陰極が接触する陰極端子31が設けられている。一方、基台21の他端部(図2における下端部)には、後述する陽極端子41を介して電池27の陽極に接続される可動接点端子32が設けられている。なお、陰極端子31及び可動接点端子32は、それぞれ第1の回路基板23に接続されている。
【0018】
基台21の他端側には、略有底円筒状のベースホルダ33がネジ34により固定されている。ベースホルダ33は、基台21に対してハウジング12から他端側に突出するように固定されている。そして、ベースホルダ33とハウジング12及び電池交換用カバー16との間には、ゴム等の弾性材料からなるOリング35,36がそれぞれ介在されている。これにより、ベースホルダ33とハウジング12との間、及びベースホルダ33と電池交換用カバー16との間が液体の浸入を防止した状態で封止されている。ベースホルダ33の底部には、電池27を挿入可能な挿入孔37、及び可動接点端子32の陽極端子41との接触部32aが突出する端子孔38が形成されている。
【0019】
電池交換用カバー16は、ベースホルダ33のハウジング12から突出した部分を覆うように形成されており、電池交換用カバー16の開口端はハウジング12の他端に当接している。電池交換用カバー16の内側には、略平板状の陽極端子ホルダ39が設けられており、電池交換用カバー16の底部と陽極端子ホルダ39との間に電池27の陽極が接触する陽極端子41が固定されている。そして、電池交換用カバー16をベースホルダ33に取着することにより、電池27の陽極及び可動接点端子32の接触部32aが陽極端子41に接触するようになっている。また、電池交換用カバー16の外底面には、美容装置1の品番等が記載された定格シール42が貼り付けられている。なお、電池交換用カバー16と定格シールとの間には、液体の通過を遮断しつつ、気体の通過を許容するシート状部材43が設けられている。
【0020】
図3及び図4に示すように、基台21の一端側には、上記放出口2を有するノズル51が固定されている。ノズル51は、光透過性を有する半透明材料からなり、略有底円筒状の固定部52と、固定部52における前側部分から一端側に延出される湾曲板状の放出口形成部53とを有している。固定部52とハウジング12との間には、Oリング54が介在されており、ハウジング12とノズル51の固定部52との間が液体の浸入を防止した状態で封止されている。そして、放出口2は、放出口形成部53の厚み方向(図5における左右方向)両側に開口した略円筒状に形成されている。
【0021】
なお、ノズル51には、固定部52を貫通し、放出口形成部53に隣接するようにしてポリカーボネート等からなる導光部材56が設けられている。そして、図2に示すように、導光部材56により、第1の回路基板23に実装されたLED(発光ダイオード)57の光が放出口2内に導光されるようになっている。
【0022】
図3及び図4に示すように、放出口形成部53の後側には、貯留タンク14に貯留された液体をミスト化するミスト生成機構58を挟み込むように、略平板状のノズルホルダ59が配置されている。ノズルホルダ59には、放出口2と同軸上に貫通孔60が形成されており、ネジ61によりノズル51に固定されている。
【0023】
本実施形態のミスト生成機構58は、超音波振動により貯留タンク14から供給される液体をミスト化させるように構成されている。具体的には、ミスト生成機構58は、円環状の振動子62と、振動子62に固定された薄い円板状の振動板63とを有しており、これら振動子62及び振動板63は、放出口2と同軸上に配置されている。振動板63には、多数の微小な孔(図示略)が形成されている。また、本実施形態の振動子62は、ピエゾ素子(圧電素子)からなり、リード線64を介して第1の回路基板23に接続されている。そして、振動子62は、印加される電圧に応じて径方向に拡大・縮小することにより、振動板63を超音波振動させる構成となっている。
【0024】
振動子62と、ノズル51の放出口形成部53及びノズルホルダ59との間には、それぞれパッキン65,66が介在されている。これにより、振動子62と放出口形成部53の間、及びノズルホルダ59との間が液体の浸入を防止した状態で封止されている。また、振動子62の後側に配置されるパッキン66には、ノズルホルダ59の貫通孔60内に挿入される筒状の挿入部67が形成されている。
【0025】
一方、放出口形成部53の前側には、湾曲板状のフロントカバー68が、同放出口形成部53の前側を覆うように配置されている。フロントカバー68には、放出口2と同軸上に貫通孔69が形成されている。そして、フロントカバー68は、貫通孔69に放出口2の前側端部が挿入された状態で、ネジ70によりノズルホルダ59に固定されている。なお、本実施形態では、上記ハウジング12及びフロントカバー68によって、放出口2が設けられる略円筒状の本体ケースが構成されている。また、フロントカバー68の一端には、半円形状の天板部71が形成されており、天板部71には、係合孔72が形成されている。さらに、フロントカバー68の外側面における前側部分には凸部73が形成されている。
【0026】
貯留タンク14は、光透過性を有する透明材料からなり、略直方体状に形成されている。そして、貯留タンク14は、ハウジング12の軸心よりも後側の位置において、その長手方向がハウジング12の軸方向と平行になるように配置されている。貯留タンク14のハウジング12側の端部には、前側に開口する円筒状の供給口81が形成されている。つまり、供給口81は、美容装置1の一端側が重力方向上側となる状態で、貯留タンク14の重力方向下側に位置するように形成されている。また、貯留タンク14におけるハウジング12と反対側の端壁部82には、突起83が形成されている。そして、貯留タンク14は、供給口81がパッキン66の挿入部67内に圧入されるとともに突起83がフロントカバー68の係合孔72に係合することで、装置本体11に取着されている。
【0027】
タンクキャップ15は、貯留タンク14を覆うような略有底円筒状に形成されている。タンクキャップ15の内周面には、フロントカバー68の凸部73と対応する位置に凹部85が形成されている。そして、タンクキャップ15は、凹部85に凸部73が係合することにより、フロントカバー68に取着されている。
【0028】
図4及び図5に示すように、タンクキャップ15の底部86には、開口窓としての採光窓87が貯留タンク14に臨む位置に形成され、タンクキャップ15の筒部88における後側部分には、開口窓としての確認窓89が形成されている。なお、採光窓87は周方向に延びる長孔状に形成され、確認窓89は、貯留タンク14の長手方向(ハウジング12の軸方向)に延びる長孔状に形成されている。
【0029】
図1に示すように、放出口カバー13は、ハウジング12の周方向に延び、その外周を回り込むような略円弧状に形成されている。そして、放出口カバー13は、ハウジング12の軸方向に移動して放出口2を開閉する。具体的には、放出口カバー13は、移動範囲における一端に位置(図1(a)に示す位置)した状態で放出口2を覆い(閉じ)、その他端に位置(図1(b)に示す位置)した状態で放出口2を外部に露出させる(開く)ようになっている。
【0030】
本実施形態の美容装置1には、図3及び図4に示すように、放出口2を閉じる位置にある放出口カバー13の移動を規制するロック状態と、同放出口カバー13の移動を許容するロック解除状態とを切り替え可能なロック機構94が設けられている。ロック機構94は、ネジ105によりノズル51に固定されるロックベース101と、バネ部材104により付勢されるロックボタン103とを有している。そして、ロックボタン103を押圧することにより、放出口カバー13の移動が許容されるロック解除状態となるように構成されている。なお、ネジ105と固定部52との間には、Oリング106が介在されており、ネジ105と固定部52との間が液体の浸入を防止した状態で封止されている。
【0031】
そして、美容装置1は、ミスト生成機構58への電力供給のオンオフが放出口カバー13の位置に応じて非接触で切り替えられるように構成されている。具体的には、図3に示すように、第1の回路基板23には、リードスイッチからなる電源スイッチ111が実装されている。放出口カバー13には、電源スイッチ111と対応する位置に磁石112が固定されている。これにより、放出口カバー13が放出口2が開いた状態で電源スイッチ111がオンする一方、放出口カバー13が放出口2を閉じた状態で電源スイッチ111がオフする。そして、電源スイッチ111がオンした状態で、第1の回路基板23に実装されたマイコン114(図3参照)により電池27からミスト生成機構58への電力供給が制御され、ミストが生成されるようになっている。
【0032】
なお、本実施形態の美容装置1は、上記のように電池27や貯留タンク14等の重量部品がハウジング12の軸心よりも後側に配置されることにより、その重心がハウジング12の軸心よりも後側に位置するように構成されている。これにより、美容装置1を横にした状態(軸方向が重力方向に対して略直交した状態)で、同美容装置1は、その後側が重力方向下方に位置し、放出口2が重力方向下方へ向きにくくなっている。
【0033】
(内圧調整構造)
次に、貯留タンクの内圧が一定となるように調整するための構造について説明する。
上述のように、貯留タンク14を供給口81のみが外部に開口する形状とした場合には、美容装置1の周囲環境が変化すると、同貯留タンク14の内圧が変化し、ミスト生成機構58への液体の供給が不安定になることがある。その結果、例えば内圧が高くなった場合には、ミスト生成機構58に過剰に液体が供給され、振動板63における放出口2側に液体が漏れ出すことで、安定してミストが生成されなくなる虞がある。
【0034】
この点を踏まえ、図5〜図7に示すように、貯留タンク14における供給口81が開口する側(前側)には、液体に対して気体を選択的に通過させる通気手段としての微細孔121が設けられている。なお、微細孔121は、重力方向下側に向けられても、表面張力により液体が漏れ出ないような小さな孔径(開口面積)に形成されている。そして、本実施形態では、微細孔121は、貯留タンク14の内外を連通する連通孔122に、ゴム等の弾性材料からなる略円柱状の栓部材123を挿入することにより形成されている。
【0035】
詳述すると、連通孔122は、貯留タンク14における前側の側壁部124に形成されている。なお、本実施形態では、連通孔122は、端壁部82寄りの位置に形成されており、美容装置1の一端側が重力方向上側となる状態で、供給口81よりも重力方向上側に配置されるようになっている。つまり、微細孔121は、美容装置1の一端側が重力方向上側となる状態で、供給口81よりも重力方向上側に配置されるようになっている。
【0036】
図7に示すように、栓部材123は、連通孔122の内径と略等しい外径を有する軸部125と、軸部125における前側の端部から径方向外側に延出される円環状のフランジ部126とを有している。連通孔122の内周面122aに接触する接触面としての軸部125の外周面125aには、その軸方向に延びる通気溝127が形成されている。なお、本実施形態では、栓部材123には、複数の通気溝127が周方向に等角度間隔で形成されている。通気溝127は、栓部材123が連通孔122に圧入された状態で、両端が貯留タンク14の内外に開口するように形成されている。そして、栓部材123が連通孔122に圧入された状態で、軸部125の外周面125aにおける通気溝127が形成された部分以外が連通孔122の内周面122aに圧接することで、通気溝127が上記微細孔121として構成されるようになっている。
【0037】
なお、フランジ部126の貯留タンク14との対向面には、複数の突起128が形成されている。これにより、栓部材123を連通孔122に挿入した際に、フランジ部126全体が側壁部124に密着せず、通気溝127の前側端部が閉塞されることが防止されている。また、図4に示すように、ノズルホルダ59の後面には、栓部材123と対応する位置に逃がし凹部129が形成されており、貯留タンク14が装置本体11に取着された状態で、同栓部材123がノズルホルダ59に接触しないようになっている。
【0038】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)貯留タンク14に液体に対して気体を選択的に通過させる微細孔121を設けたため、美容装置1の周囲環境の変化により、貯留タンク14内部の気体が膨張した場合には、微細孔121を介して気体が外部に吐き出される。これにより、振動板63の放出口2側に液体が漏れ出すことが抑制される。一方、貯留タンク14内部の気体が収縮した場合には、外部から気体が吸い込まれる。このように上記構成では、周囲環境が変化しても貯留タンク14内の内圧が一定に保たれるため、ミスト生成機構58へ安定して液体を供給することが可能になり、ミスト生成機構58で安定してミストを生成できるようになる。なお、微細孔121は、液体に対して気体を選択的に通過させるため、微細孔121が液面より重力方向下側に配置されても、同微細孔121を介して貯留タンク14の外に液体が漏れ出すことは抑制される。
【0039】
(2)微細孔121を貯留タンク14における供給口81が開口する側に設けた。そのため、例えば装置本体11から貯留タンク14を取り外し、供給口81を重力方向上側に向けて液体を貯留タンク14内に充填する際に、微細孔121が液面よりも重力方向下側に配置されず、重力方向上側に配置されるようになる。これにより、液体の充填時に微細孔121を介して液体が漏れ出すことを抑制できる。
【0040】
(3)貯留タンク14の側壁部124に連通孔122を形成し、同連通孔122に弾性材料からなる円柱状の栓部材を挿入した。そして、栓部材123の外周面125aに形成され、貯留タンク14の内外に開口する通気溝127により微細孔121を構成した。
【0041】
ここで、重力方向下側に向けても表面張力により液体は漏れ出ないような小さな開口面積の微細孔121を、孔空け加工により貯留タンク14に直接形成することは一般に困難である。この点、上記構成によれば、栓部材123の表面である外周面125aに形成された溝(通気溝127)により微細孔121が構成されるため、簡易な構成で容易に微細孔121を構成することができる。
【0042】
(4)貯留タンク14を、光透過性を有する材料から構成し、タンクキャップ15の筒部88に確認窓89を形成するとともに底部86に採光窓87を形成した。上記構成によれば、採光窓87からタンクキャップ15内に光が入るため、確認窓89から貯留タンク14内に貯留された液体の残量を容易に確認することができるようになる。
【0043】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態において、タンクキャップ15に採光窓87及び確認窓89を形成しなくてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、微細孔121を供給口81が開口する前側の側壁部124に設けたが、これに限らず、例えば供給口81が開口する側と反対側(後側の側壁部)に設けてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、栓部材123に形成された通気溝127により微細孔121を構成したが、これに限らず、例えば内径の小さな金属管により微細孔121を構成してもよい。図8に示す例では、軸部125の外周面125aは、その全周に亘って連通孔122の内周面122aに圧接するように形成されている。そして、栓部材123の略中央には、貯留タンク14の内外に開口する金属管131が埋設されており、金属管131により微細孔121が構成されている。
【0046】
ここで、金属管131は、例えば引き延ばすことにより、容易にその内径を小さくすることが可能になる。また、金属管131は、弾性材料からなる栓部材123に比べて十分な剛性を有する。そのため、貯留タンク14の連通孔122や栓部材123の寸法ばらつき等に起因して、例えば栓部材123を連通孔122に挿入した状態で金属管131に圧縮力が作用する場合でも、ほとんど潰れることがない。したがって、寸法ばらつき等があっても適切に気体を通過させることが可能になり、精度良く貯留タンク14の内圧を一定にすることができる。
【0047】
なお、栓部材123を用いず、孔空け加工により、直接微細孔121を貯留タンク14に形成してもよい。
・上記実施形態において、例えば貯留タンク14の連通孔122を気液分離膜により閉塞することで、同連通孔122を気体が選択的に通過するようにしてもよい。この場合には、気液分離膜が通気手段を構成する。
【0048】
・上記実施形態では、振動板63を超音波振動させることにより液体からミストを生成するようにしたが、これに限らず、例えば液体を沸騰させることによりミストを生成したり、電極からの放電によりミストを生成(静電霧化)したりしてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、本発明の美容装置1を用いて化粧水をミスト化したが、これに限らず、例えば水(純水)や他の液体をミスト化させてもよい。
・上記実施形態では、本発明をミスト発生装置を備えた美容装置1に具体化したが、ミスト発生装置を備えた他の任意の装置(携帯用の加湿器等)に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…ミスト発生装置を備えた美容装置、2…放出口、11…装置本体、12…ハウジング、13…放出口カバー、14…貯留タンク、15…タンクキャップ、16…電池交換用カバー、21…基台、33…ベースホルダ、51…ノズル、58…ミスト生成機構、59…ノズルホルダ、68…フロントカバー、81…供給口、86…底部、87…開口窓としての採光窓、88…筒部、89…開口窓としての確認窓、121…微細孔、122…連通孔、122a…内周面、123…栓部材、125…軸部、125a…接触面としての外周面、126…フランジ部、127…通気溝、131…金属管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから該貯留タンクの供給口を通じて供給される液体をミスト化するミスト生成機構と、を備えたミスト発生装置において、
前記貯留タンクには、液体に対して気体を選択的に通過させる通気手段が設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記通気手段は、前記貯留タンクにおける前記供給口が開口する側に設けられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスト発生装置において、
弾性材料からなり、前記貯留タンクの内外を連通する連通孔に挿入される栓部材を備え、
前記通気手段は、前記栓部材における前記連通孔の内周面に接触する接触面に形成され、前記貯留タンクの内外に開口する通気溝により構成される微細孔を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のミスト発生装置において、
弾性材料からなり、前記貯留タンクの内外を連通する連通孔に挿入される栓部材を備え、
前記通気手段は、前記栓部材に埋設され、前記貯留タンクの内外に開口する金属管により構成される微細孔を含むことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のミスト発生装置において、
前記貯留タンクは、光透過性を有する材料からなり、
前記貯留タンクを覆う有底筒状のタンクキャップを備え、
前記タンクキャップの筒部及び底部には、前記貯留タンクに臨む開口窓がそれぞれ形成されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えたことを特徴とする美容装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−22201(P2013−22201A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159068(P2011−159068)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】