説明

ミスト発生装置及びこれを備える美容装置

【課題】殺菌部内での液体の殺菌効果のばらつきを少なくすることができるミスト発生装置及びこれを備える美容装置を提供する。
【解決手段】美顔器の冷ミスト生成機構は、給水タンク36から供給された水を殺菌する殺菌部51と、殺菌部51で殺菌された水をミスト化し、該ミストを外部に放出するミスト生成部と、を備えている。殺菌部51は、その上端が給水タンク36内において水が収容される収容空間36Aの下端P1よりも鉛直方向において同一位置又は下方に位置するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のミストを発生させるミスト発生装置及びこれを備える美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スチーム(「温ミスト」ともいう。)を生成するためのスチーム生成機構及びミスト(「冷ミスト」ともいう。)を生成するためのミスト生成機構を備える美容装置として、例えば特許文献1に記載の美容装置が提案されている。この美容装置のミスト生成機構には、給水タンクから供給された水(液体)をヒーターによって殺菌する殺菌部と、該殺菌部で殺菌された水をミスト化させるミスト生成部とが設けられている。
【0003】
殺菌部の上端は、鉛直方向において給水タンクの下端よりも上方に位置している。こうした殺菌部内には、給水タンクに収容される水の水面と殺菌部内に貯留される水の水面との水頭差を利用し、給水タンクから水が供給される。そして、殺菌部で殺菌された水は、供給されたミスト生成部でミスト化され、ミストがミストノズルから放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−187764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、殺菌部内には、給水タンク内の水面と殺菌部内の水面との水頭差を利用して水が供給される。そのため、殺菌部の上端が給水タンクの下端よりも上方に位置する配置構成の場合には、給水タンク内における水の収容量に応じて、殺菌部内に供給される水量が変動するおそれがある。このように殺菌部内への水の供給量が変動すると、殺菌部内への水の流入に伴う殺菌部内での水温の変動量が異なる。その結果、殺菌部による殺菌効果にばらつきが生じる。こうした殺菌効果のばらつきを抑えるためには、殺菌部内への水の供給量が一定となるように工夫する必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、殺菌部内での液体の殺菌効果のばらつきを少なくすることができるミスト発生装置及び美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、液体収容部から供給された液体を殺菌する殺菌部と、前記殺菌部で殺菌された液体をミスト化し、該ミストを外部に放出するミスト生成部と、を備えたミスト発生装置において、前記殺菌部を、その上端が前記液体収容部内において液体が収容される液体収容空間の下端よりも鉛直方向において同一位置又は下方に位置するように配置したことを要旨とする。
【0008】
本発明のミスト発生装置は、前記殺菌部内で液体に乱流を発生させるための乱流発生部をさらに備えることが好ましい。
本発明のミスト発生装置において、前記乱流発生部は、前記殺菌部内での液体の流動方向が変わるように構成されていることが好ましい。
【0009】
本発明のミスト発生装置において、前記乱流発生部は、前記殺菌部内への液体の流入口と、前記殺菌部内からの液体の流出口とを一直線で結ぶ方向と交差する方向に延びる板部を有することが好ましい。
【0010】
本発明のミスト発生装置において、前記殺菌部内からの液体の流出口は、前記殺菌部内への液体の流入口よりも鉛直方向上側に配置され、前記流出口には、液体の供給方向において前記流出口から離間するほど通路断面積が狭くなるように形成された絞り部が接続されていることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
本発明のミスト発生装置は、加熱装置による加熱によって液体をスチーム化するスチーム生成機構をさらに備え、前記殺菌部は、該殺菌部内の液体を前記加熱装置の余熱で殺菌することが好ましい。
【0012】
本発明の美容装置は、上記ミスト発生装置を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、殺菌部内での液体の殺菌効果のばらつきを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のミスト発生装置を備える美容装置の一実施形態である美顔器を示す斜視図。
【図2】美顔器を示す背面図。
【図3】給水タンク及びタンクホルダーを示す断面図。
【図4】美顔器本体を示す背面図。
【図5】タンクホルダーに接続される管路を示す斜視図。
【図6】図2における6−6線矢視断面図。
【図7】美顔器本体を後方側から見た斜視図。
【図8】給水タンクと殺菌部との配置態様を説明する断面図。
【図9】殺菌部の構成を説明する断面図。
【図10】別の実施形態の連通路の構成を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、ミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器に具体化した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の美顔器10における有底略円筒状の本体ケース11内には美顔器本体12が収容されている。また、本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。そして、ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0017】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面の中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル16a,16b、冷ミストを放出するミストノズル17、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル18を有している。そして、ミストノズル17が左右方向中央位置に、スチームノズル16aがその右側に、スチームノズル16bが左側に、イオンノズル18がミストノズル17の上側にそれぞれ配置されている。なお、スチームノズル16a,16bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0018】
また、スチームノズル16a,16b、ミストノズル17、及びイオンノズル18の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定されている。すなわち、美顔器10の前側と使用者とが対向するように使用されたときに、その使用者の顔表面に向けて各ノズル16a,16b,17,18の放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー19が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル16a,16b,17,18の露出・隠蔽が可能とされている。
【0019】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ20、運転制御スイッチ21、及びコース選択スイッチ22が設けられている。電源スイッチ20は、美顔器10のオンオフ操作を行うものである。また、運転制御スイッチ21及びコース選択スイッチ22は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースや、スチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0020】
また、メインカバー15の前端部には、開閉操作部23として、開閉操作板24及び開閉操作カバー25が設けられている。開閉操作板24は、メインカバー15に図示しない締結ねじにより固定された開閉操作カバー25に対して、その後端部が回動可能に取り付けられており、この開閉操作板24の前端部にはフック部26が設けられている。そして、開閉操作板24のフック部26は、メインカバー15が閉じられた際に、美顔器本体12の上面の前端部に設けられたフック受け部27に対して図示しないばねの付勢力に基づき掛止することにより、メインカバー15の開放動作をロックするようになっている。また、開閉操作カバー25の後端部にはフック部28が設けられており、このフック部28にはミストノズル17を掃除するためのミスト針29が着脱自在に取り付けられている。
【0021】
また、図2に示すように、美顔器本体12の後方下部における右寄りの位置には、インレットプラグ30が設けられている。そして、このインレットプラグ30には、外部から電源を供給するための電源コード31が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
また、美顔器本体12の後方下部における左寄りの位置には、美顔器本体12の内部から水(液体)を排水するための排水口32、及び該排水口32を通じた排水動作を操作するための排水操作板33が設けられている。そして、本体ケース11には、排水口32及び排水操作板33を覆うように排水カバー34が回動自在に取り付けられている。
【0023】
また、図1に示すように、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンクホルダー35が設けられており、該タンクホルダー35内には、本体ケース11の開口部と面一となるように液体収容部としての給水タンク36が着脱可能に収容されている。
【0024】
具体的には、図3に示すように、タンクホルダー35において給水タンク36を収容する内面には、給水タンク36を相対移動不能に係止させるタンク固定部37が設けられている。このタンク固定部37は、先端部38aが凸状をなすタンクフック38と、該タンクフック38をその先端部38aがタンクホルダー35の内側に向くようにして基端側から付勢するタンクフックバネ39とを備えている。そして、給水タンク36がタンクホルダー35に対して装着されると、タンクホルダー35の内側に付勢されたタンクフック38の先端部38aが、給水タンク36の外側面に設けられた凹部40に対して係合することにより、給水タンク36がタンクホルダー35に対して相対移動不能に係止されるようになっている。
【0025】
また、図4及び図5に示すように、タンクホルダー35の下部からは、図2に示した排水口32に連なる排出チューブ41が延設されている。この排出チューブ41の途中には分岐部42が設けられ、その分岐部42には下流側が二股状に分岐した給水チューブ43の上流端が接続されている。そして、この給水チューブ43の各下流端は、給水タンク36から給水された水からスチーム(温ミスト)を発生させるスチーム生成機構44(図6参照)、及び給水タンク36から給水された水から冷ミストを生成する冷ミスト生成機構45に対してそれぞれ接続されている。なお、排出チューブ41における分岐部42よりも上流側及び給水チューブ43における分岐位置よりも上流側となる各位置からは分岐チューブ41a,43aが鉛直方向上側に延びるように分岐し、それらの各上端がタンクホルダー35に接続されている。そして、排出チューブ41内及び給水チューブ43内から気泡が各分岐チューブ41a,43a及びタンクホルダー35を通じて外部に排出されるようになっている。
【0026】
図6に示すように、スチーム生成機構44は、美顔器本体12の中央よりも前側に備えられており、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター46a,46bを前側と後側にそれぞれ備えている。そして、スチーム生成機構44は、給水タンク36から給水チューブ43を介してPTCヒーター46a,46bの内側のボイラー室47内に供給された水を沸騰させてスチームの生成を行っている。
【0027】
ボイラー室47の上部には、生成したスチームを一対のスチームノズル16a,16bまで案内するためのスチーム案内管路48が接続されている。そのため、ボイラー室47にて生成されたスチームはスチーム案内管路48を通って各スチームノズル16a,16bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラー室47やスチーム案内管路48内は高圧となるため、各スチームノズル16a,16bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。なお、スチームノズル16a,16bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0028】
また、スチーム案内管路48の途中位置には、スチーム放電部49が備えられている。スチーム放電部49は、自身の放電により、通過するスチームをより微細化するものである。また、このスチーム放電部49では、抗酸化作用があり肌にも良いとされる金属(例えば白金)を用い、放電を利用してその金属微粒子を発生させている。
【0029】
冷ミスト生成機構45は、図6に示すように、スチーム生成機構44よりも後側に配置されており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。こうした冷ミスト生成機構45は、後側のPTCヒーター46bの放熱面(図6では後面)46b1に対向して配置されるボイラーブロック60を備えている。このボイラーブロック60には、給水チューブ43を介して供給された給水タンク36からの水を、PTCヒーター46bの放熱面46b1からの熱(余熱)を用いて殺菌する殺菌部51が形成されている。この殺菌部51では、給水チューブ43を介して供給された水が、例えば80℃以上、30秒以上で殺菌処理される。
【0030】
ボイラーブロック60の上側には、殺菌済みとなった水を一時的に貯留する気液分離部70が設けられている。この気液分離部70内の気液分離室71では、殺菌部51から供給された水と、該水に含まれる気泡とが分離される。そのため、気液分離室71内では、気泡を多く含んだ水が供給されるほど水位が下方に変位する。
【0031】
また、気液分離部70には、該気液分離部70の上側から下方に突出する筒形状の給水ノズル(突出部材)72が接続されている。この給水ノズル72の鉛直方向における中途よりも下側の部位は、気液分離室71内に位置している。
【0032】
給水ノズル72の上端は、上方に配置される異物捕捉部80内とミスト継手81を介して連通している。異物捕捉部80内には、下方(給水ノズル72側)から上方に流動する水に含まれる異物を捕捉するためのミストフィルター83が設けられている。こうした異物捕捉部80の上端には、継手84を介してミストチューブ85が接続されている。そして、このミストチューブ85の下流端には、ベンチュリー構造のミストノズル17が接続されている。その結果、ミストフィルター83を通過した殺菌済みの水がミストノズル17に供給され、該ミストノズル17では、ベンチュリー効果によって、美容に適した衛生状態に保たれた冷ミストが生成される。こうした冷ミストが、ミストノズル17から放出される。
【0033】
また、図6及び図7に示すように、冷ミスト生成機構45には、ボイラーブロック60からミストノズル17までの水の供給経路を左右方向から挟むように一対のポンプブロック52が設けられている。これら各ポンプブロック52は、電源モーターを駆動源としたポンプ53と、該ポンプ53から送出される空気をミストノズル17に向けて流動させる第1エアチューブ54とを備えている。各第1エアチューブ54の下流端は、3つ股状のエアパイプ55に接続されている。こうしたエアパイプ55は、第2エアチューブ56を介してミストノズル17に接続されている。つまり、ミストノズル17には、各ポンプ53の駆動によって各ポンプブロック52から送出された空気が合流した状態で供給される。
【0034】
その結果、ポンプが一つの場合と比較してミストノズル17に送出される空気の風量が増大し、ミストノズル17からは、より多くの冷ミストが放出される。したがって、本実施形態では、ミストノズル17、各ポンプブロック52、エアパイプ55及び第2エアチューブ56により、殺菌部51で殺菌された水をミスト化し、該ミストを外部に放出するミスト生成部が構成される。
【0035】
次に、ボイラーブロック60について説明する。なお、以降において上下方向とは、美顔器10を水平面に設置した場合の上下方向と一致するものとする。
図6及び図8に示すように、ボイラーブロック60内には、水を殺菌する殺菌部51と、該殺菌部51の上側に位置する連通路61とが形成されている。この連通路61は、殺菌部51で殺菌済みとなった水を気液分離部70に導くための通路である。
【0036】
殺菌部51には、該殺菌部51内の水面と給水タンク36内の水面との高さ、即ち水頭差を利用し、給水タンク36から水が供給される。こうした殺菌部51は、その上端が給水タンク36内において水を収容する収容空間(液体収容空間)36Aの下端P1よりも下側に位置するように配置されている。なお、本実施形態では、殺菌部51の上端は、収容空間36Aの下端P1よりも下方に位置するタンクホルダー35の下端(即ち、底部)P2と上下方向において略同一位置に位置している。
【0037】
図8及び図9に示すように、殺菌部51において、その下端側に流入口62が形成されると共に、その上端側に流出口63が形成されている。そして、給水チューブ43からの水は、流入口62を介して殺菌部51内に流入する。また、殺菌部51内の水は、流出口63から連通路61に流出し、該連通路61を介して気液分離室71内に供給される。
【0038】
こうした殺菌部51内には、流入口62と流出口63とを一直線で結ぶ方向に延びる仮想線S1と交差する方向(図9では左右方向)に延びる複数(本実施形態では5つ)の板部(乱流発生部)64が設けられている。これら各板部64は、上下方向にほぼ等間隔に配置されている。各板部64は、下から順に、板部64A、板部64B、板部64C、板部64D、板部64Eとする。そして、こうした各板部64によって、殺菌部51内には、流入口62から流出口63に至るまでの蛇行した経路が形成される。
【0039】
すなわち、流入口62を介して殺菌部51内に流入した水は、殺菌部51の下壁51Aと板部64Aとの間の第1の経路651を図9における左方に流動する。第1の経路651の下流端(図9では左端)に到達した水は、板部64Aと板部64Bとの間の第2の経路652を図9における右方に流動する。第2の経路652の下流端(図9では右端)に到達した水は、板部64Bと板部64Cとの間の第3の経路653を図9における左方に流動する。第3の経路653の下流端(図9では左端)に到達した水は、板部64Cと板部64Dとの間の第4の経路654を図9における右方に流動する。第4の経路654の下流端(図9では右端)に到達した水は、板部64Cと板部64Dとの間の第5の経路655を図9における左方に流動する。第5の経路655の下流端(図9では左端)に到達した水は、板部64Dと殺菌部51の上壁51Bとの間の第6の経路656を図9における右方に流動する。そして、第5の経路655を通過した水は、流出口63を介して殺菌部51外に流出する。
【0040】
このとき、殺菌部51内において水の流動方向が変更される部分66(図9では一点鎖線で囲まれた部分)では、水の乱流が発生する。その結果、温度の低い水と高い水とが混ざり合うため、殺菌部51内において水温の均一化が図られる。
【0041】
次に、本実施形態の殺菌部51の作用について説明する。
さて、殺菌部51の水が気液分離部70側に供給されると、その供給量とほぼ同等の水が、給水タンク36から給水チューブ43を介して供給される。そして、殺菌部51では、PTCヒーター46bの余熱によって、殺菌部51内の水が殺菌される。
【0042】
しかも、殺菌部51の上端は、給水タンク36内の収容空間36Aの下端P1よりも下側に位置している(図8参照)。そのため、給水タンク36から気液分離室71までの水の供給経路においては、給水タンク36内の水位の変動によって、殺菌部51よりも下流側(即ち、殺菌部51の上側)で水位が変動する。その結果、給水タンク36内の水の収容量が多い場合であっても少なく場合であっても、殺菌部51で貯留される水量はほぼ一定である。すなわち、給水タンク36に収容される水の収容量に関係なく、殺菌部51内に供給される水の供給量はほぼ一定となる。したがって、PTCヒーター46bによる加熱性能に変化がないのであれば、殺菌部51での殺菌作用のばらつきの程度が小さくなる。
【0043】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)殺菌部51の上端は、給水タンク36内の収容空間36Aの下端P1よりも下側に位置している。そのため、給水タンク36内に水が収容されていれば、殺菌部51で貯留される水量は一定である。給水タンク36に収容される水の収容量に関係なく、殺菌部51内に供給される水の供給量はほぼ一定となる。したがって、殺菌部51の上端が収容空間36Aの下端P1よりも下側に位置する場合と比較して、殺菌部51内での水の殺菌効果のばらつきを少なくすることができる。
【0044】
(2)本実施形態では、殺菌部51の上端は、タンクホルダー35の下端P2と上下方向において略同一位置に位置している。そのため、給水タンク36内に収容される水が無くなったとしても、タンクホルダー35内に水が収容されていれば、殺菌部51で貯留される水量はほぼ一定である。そのため、給水タンク36内に水が無くなった状態で美顔器10を利用する場合であっても、殺菌部51内での水の殺菌効果のばらつきを少なくすることができる。
【0045】
(3)殺菌部51では水に乱流を発生させている。そのため、殺菌部51内に流入したばかりの温度の低い水と、殺菌部51内で既に暖められた温度の高い水とが混じり合う。そのため、殺菌部51内での水温の均一化を図ることができ、殺菌部51内で殺菌された水を、気液分離部70側に供給することができる。すなわち、美容に適した衛生状態に保たれた冷ミストを、ミストノズル17から放出させることができる。
【0046】
(4)本実施形態の殺菌部51では、複数の板部64を設けることにより、PTCヒーター46bの放熱面46b1に沿って水が蛇行するように流動する。つまり、殺菌部51内の水は、PTCヒーター46bの放熱面46b1の各部位によって満遍なく加熱される。したがって、殺菌部51内では、水を好適に殺菌することができる。
【0047】
(5)また、本実施形態の殺菌部51は、スチーム生成機構44を構成するPTCヒーター46bからの余熱を利用して水を殺菌している。そのため、殺菌専用の加熱装置をPTCヒーター46bとは別に設ける場合と比較して、美顔器10全体の小型化、低コスト化及び省電力化に貢献することができる。
【0048】
(6)また、PTCヒーター46bの放熱面46b1から放出される熱が、殺菌部51内の水に吸収される。つまり、殺菌部51が放熱面46b1から離間した位置に配置される場合と比較して、放熱面46b1からの放熱効率を向上させることができる。その結果、スチーム生成機構44でのスチームの生成効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、殺菌部51と気液分離部70との間に位置する連通路61に、図10に示すように、殺菌部51の流出口63から離間するほど通路断面積が狭くなる絞り部61Aを設けてもよい。この場合、連通路61において絞り部61Aよりも下流側の部位(即ち、絞り部61Aよりも上側の部位)の通路断面積を狭くすることができる。これにより、殺菌部51への給水タンク36側からの水の単位時間あたりの流入量は、絞り部61Aを設けない場合と比較して少なくなる。その結果、殺菌部51への給水タンク36側からの水の流入に起因した、殺菌部51内での水温の低下量を少なくすることができる。
【0050】
なお、こうした絞り部61Aを備える連通路61と気液分離部70との間には、連結用管路を設けてもよい。
・実施形態において、殺菌部51に設けられる板部64の数は、5つ以外の任意数(例えば3つや6つ)であってもよい。
【0051】
・実施形態において、板部64A〜64Eは、上記仮想線S1と交差する方向に延びる構成であれば、任意の方向に延びる構成であってもよい。例えば、板部64と仮想線S1とが交差する角度を、任意の角度(例えば、90°)としてもよい。
【0052】
また、各板部64A〜64Eと仮想線S1とが交差する角度を、板部64A〜64E毎に個別に設定してもよい。
また、板部64は、一方向に延びる構成以外の任意の構成(例えば、円弧状をなす構成)であってもよい。
【0053】
・実施形態において、乱流発生部は、殺菌部51内で水に乱流を発生させることが可能な構成であれば、任意の構成であってもよい。例えば、乱流発生部は、殺菌部51内での水の流動によって回転する水車であってもよい。
【0054】
・実施形態において、ボイラーブロック60の代わりに、PTCヒーター46bの放熱面46b1に沿って水を流動させるための流動管路を設けてもよい。この場合、流動管路が、殺菌部として機能する。
【0055】
こうした流動管路を放熱面46b1に沿って蛇行させた構成としてもよい。
・実施形態において、殺菌部51内に、乱流発生部を設けなくてもよい。
・実施形態において、殺菌部51を、その上端がタンクホルダー35の下端(即ち、底部)P2よりも下方となるように配置してもよい。
【0056】
・実施形態において、殺菌部51の上端が給水タンク36内の収容空間36Aの下端P1よりも下方に位置するのであれば、殺菌部51を、その上端がタンクホルダー35の下端(即ち、底部)P2よりも上方となるように配置してもよい。
【0057】
・実施形態において、殺菌部51を、その上端が給水タンク36内の収容空間36Aの下端P1と同一位置となるように配置してもよい。
・実施形態において、殺菌専用の加熱装置を、PTCヒーター46bとは別途設けてもよい。この場合、殺菌部51を、PTCヒーター46bから離間した位置に配置してもよい。
【0058】
殺菌専用の加熱装置を備えた美顔器10は、スチーム生成機構44を備えない構成であってもよい。
・各実施形態において、冷ミスト生成機構45では、ベンチュリー効果を利用しない他の任意の方法(例えば、超音波を利用する方法)で冷ミストを発生させてもよい。
【0059】
・各実施形態において、冷ミスト生成機構45には、水以外の任意の液体を供給するようにしてもよい。液体としては、例えば、アルカリイオン水、美容液を含んだ水、電解水、芳香剤を含んだ水などが挙げられる。
【0060】
・本発明のミスト発生装置を、美容器11以外の他の任意の装置(例えば、ミストドライヤーや加湿器等)に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…ミスト発生装置、美容装置の一例としての美顔器、17…ミスト生成部を構成するミストノズル、36…液体収容部の一例としての給水タンク、36A…液体収容空間の一例としての収容空間、44…スチーム生成機構、46b…加熱装置の一例としてのPTCヒーター、51…殺菌部、52…ミスト生成部を構成するポンプブロック、55…ミスト生成部を構成するエアパイプ、56…ミスト生成部を構成する第2エアチューブ、61A…絞り部、62…流入口、63…流出口、64,64A〜64E…乱流発生部の一例としての板部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容部から供給された液体を殺菌する殺菌部と、
前記殺菌部で殺菌された液体をミスト化し、該ミストを外部に放出するミスト生成部と、を備えたミスト発生装置において、
前記殺菌部を、その上端が前記液体収容部内において液体が収容される液体収容空間の下端よりも鉛直方向において同一位置又は下方に位置するように配置したことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記殺菌部内で液体に乱流を発生させるための乱流発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記乱流発生部は、前記殺菌部内での液体の流動方向が変わるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記乱流発生部は、前記殺菌部内への液体の流入口と、前記殺菌部内からの液体の流出口とを一直線で結ぶ方向と交差する方向に延びる板部を有することを特徴とする請求項3に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
前記殺菌部内からの液体の流出口は、前記殺菌部内への液体の流入口よりも鉛直方向上側に配置され、
前記流出口には、液体の供給方向において前記流出口から離間するほど通路断面積が狭くなるように形成された絞り部が接続されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
加熱装置による加熱によって液体をスチーム化するスチーム生成機構をさらに備え、
前記殺菌部は、前記加熱装置の余熱で液体を殺菌することを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載のミスト発生装置を備えることを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−205731(P2012−205731A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73262(P2011−73262)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】