ミスト発生装置及び美容装置
【課題】簡易な構成でありながら、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができるミスト発生装置を備えた美容装置を提供する。
【解決手段】第1電極部80,81において、付着する液体の滞留を防止するための手段として、第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、その先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能とし、放電部分であるその先端部80a,81aへの液体の滞留が防止される構成とした。
【解決手段】第1電極部80,81において、付着する液体の滞留を防止するための手段として、第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、その先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能とし、放電部分であるその先端部80a,81aへの液体の滞留が防止される構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体からミストを生成するミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させて気化させたスチーム(温ミスト)や、超音波にて霧化させたミスト(冷ミスト)を顔などの人体に向けて放出することで、肌に潤いを与えるなどの美容効果やスキンケアを目的とした装置として用いられている。尚、ミストとは、前述のように液体を気化させたスチーム(温ミスト)や、液体を霧化させた冷ミスト等のことを指し、これ以降同様の意味として使用する。
【0003】
特許文献1のミスト発生装置は、液体からミストを生成するミスト発生機構と、該ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化する放電部とで構成されていて、放電部は、一対の第1電極部と、該第1電極部の間に配置される第2電極部とを備えている。そして、第1電極部及び第2電極部間で放電を行うことで、生成されたミストを微細化して使用者に向けて放出し、微細化されたミストは使用者の肌に潤いとハリを与えて高い美容作用や健康作用が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなミスト発生装置において、放電部に設けられる電極部に液体(ミスト)の付着が生じ、電極部での放電が不安定になる。そのため、特許文献1では第1電極部に別途吸水体が装着されて第1電極部に付着した液体を吸収し、放電の阻害が抑止されるようになっている。
【0006】
しかしながら、電極部に吸水体を別途装着する態様では、ミスト発生装置の部品点数が増加して組立作業が煩雑となる等の問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構成でありながら、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体からミストを生成するミスト発生機構と、前記ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化するための電極部を有する放電部とを備えたミスト発生装置であって、前記電極部において、付着する液体の放電部分での滞留を防止するための防止手段が一体に備えられたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、電極部において、付着する液体の滞留を防止するための防止手段が一体に備えられるため、電極部に防止手段を別途装着する態様と比較して、部品点数の削減が可能で簡易な構成であり、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記防止手段は、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるような前記電極部の屈曲にて構成されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるように電極部を屈曲することで防止手段が構成されるため、電極部への一体的な防止手段の構成が容易となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミスト発生措置において、前記放電部は、一対の第1電極部と、前記第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の前記電極部に前記防止手段を備えたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、放電部は、一対の第1電極部と、該第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の電極部に防止手段が備えられるため、防止手段を備えた第1又は第2電極部において、放電部分での液体の滞留が防止されて安定的に放電を行うことが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記第2電極部は、前記第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、前記第1電極部の先端が前記第2電極部に向けて上方に屈曲されてなることをその要旨とする。
【0014】
この発明では、第2電極部は、第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、第1電極部の先端が第2電極部に向けて上方に屈曲されてなるため、第2電極部と対向する第1電極部の先端の放電部分に滞留する液体をより確実に離間又電極部から滴下させることが可能で、第1電極部及び第2電極間での放電をより安定的に行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記第1電極部は、前記第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有することをその要旨とする。
【0016】
この発明では、第1電極部は、第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有するため、仮に第1電極部において分岐先の放電部分のうちの一つに液体が滞留しても、他の分岐先の放電部分にて放電可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のミスト発生装置において、前記第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する前記第2電極部から等距離に設定されたことをその要旨とする。
【0018】
この発明では、第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する第2電極部から等距離に設定されるため、分岐先毎で安定した放電が可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置である。
【0019】
この発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えることで、請求項1〜6のいずれか一項に記載の効果と同様の効果を奏することができる美容装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態における美顔器を示す斜視図。
【図2】同美顔器を前後方向で切断し右側から見た断面図。
【図3】同美顔器を左右方向で切断し背面側から見た断面図。
【図4】同美顔器のマイナスイオン生成部部分の拡大断面図。
【図5】同美顔器の管路及び整流部部分の拡大断面図。
【図6】同美顔器の機能の概略構成を示すブロック図。
【図7】同美顔器の放電部の断面図。
【図8】同美顔器の放電部の断面図。
【図9】同美顔器の第2電極部の取り付け構造を説明するための斜視図。
【図10】別例における端部を屈曲させた第2電極部を示す模式図。
【図11】別例における下方に屈曲させた第1電極部を示す模式図。
【図12】別例における垂直方向に分岐した第1電極部を示す模式図。
【図13】別例における水平方向に分岐した第1電極部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器10を示す。有底略円筒状の本体ケース11には美顔器本体12が収容されて固定され、その本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0023】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル(温ミストノズル)21a,21b、冷ミストを放出するミストノズル(冷ミストノズル)22、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル23を有し、ミストノズル22が左右方向中央位置に、スチームノズル21aがその右側に、スチームノズル21bが左側に、そしてイオンノズル23がミストノズル22の上側にそれぞれ配置されている。尚、スチームノズル21a及び21bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0024】
またスチームノズル21a,21b、ミストノズル22、及びイオンノズル23の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定され、美顔器10の前側と使用者と対向するように使用した時のその使用者の顔表面に向けて放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー16が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル21a,21b,22,23の露出・隠蔽が可能とされている。
【0025】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ25、運転制御スイッチ26、及びコース選択スイッチ27が設けられている。電源スイッチ25は、美顔器10のオンオフ操作を行うものであり、運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースやスチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0026】
また、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンク収容部17が設けられており、該タンク収容部17内には、開口部と面一となるように給水タンク18が着脱可能に収容されている。給水タンク18は、使用者が美顔器10から取り外しての給水が可能となっており、貯留した水からスチームや冷ミストのそれぞれの生成が行われる。
【0027】
美顔器本体12には、図2に示すように、スチーム発生機構を構成するスチーム生成部31と、ミスト発生機構を構成するミスト生成部32と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン生成部33が備えられている。
【0028】
ミスト発生機構を構成するスチーム生成部31は、美顔器本体12の前側に備えられており、スチーム(温ミスト)を生成する。スチーム生成部31は、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有する殺菌機構及び加熱装置としてのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ35,36を前側と後側にそれぞれ備え、給水タンク18から給水管路19を介してPTCヒータ35,36内側のボイラ室37内に供給された水を沸騰させてスチームの生成を行っている。因みに、前側のPTCヒータ35の外側面には、給水タンク18から延びる給水管路19の一部が当接させて配置されており、ボイラ室37への流入の前に温められ該ボイラ室37内で効率良くスチームが生成されるようになっている。尚、給水管路19は、排水管路38(図6参照)を介して美顔器10の排水口38aに接続されており、排水スイッチの操作によって制御される排水管路38上の止水弁39にて美顔器10内の排水を行うことが可能となっている。
【0029】
ボイラ室37の上部には、図2及び図3に示すように、生成したスチームを一対のスチームノズル21a,21bまで案内させるためのスチーム案内管路41が接続されている。スチーム案内管路41は、その途中に分岐部42を有している。スチーム案内管路41は、図5に示すように、分岐部42から二股に分かれるように分岐部42からスチームノズル21aまでを接続する第1案内管路41aと,分岐部42からスチームノズル21bまでを接続する第2案内管路41bとを有し、第1案内管路41aの長さ(距離)L1及び第2案内管路41bの長さ(距離)L2が等しくなるように構成されている。そのため、ボイラ室37にて生成したスチームが分岐部42から分かれて第1案内管路41a及び第2案内管路41bを通って各スチームノズル21a,21bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラ室37やスチーム案内管路41内は高圧となるため、各スチームノズル21a,21bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。尚、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0030】
また、スチーム案内管路41の分岐部42の若干手前位置には、スチーム用放電部43が備えられている。スチーム用放電部43は、自身の放電により、この放電部43を通過するスチームをより微細化するとともに、放電を利用して金属微粒子(例えばPtなど)を発生させるものである。尚、スチーム用放電部43については詳しく後述する。
【0031】
スチーム用放電部43の下流側で分岐部42の直前位置には、整流機構としての整流部44が備えられている。この整流部44は、図5に示すように、スチーム案内管路41内に中空形状の中空部としての円筒部44aと、該円筒部44aから延出形成されて円筒部44aを管路41の径方向中心で支持する3本のリブ44bとが設けられて構成されている。そして、放電部43にて微細化したスチームが、その円筒部44aの内部及び3本のリブ44b間を通過する際に整流され、分岐部42から先の各スチームノズル21a,21bに同量のスチームが分岐されるようなっている。尚、円筒部44aの内径は、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径より大きく、且つ該放出孔の内径の1.5倍以下の大きさである例えば4.5mmに設定されている。
【0032】
ミスト生成部32は、前記スチーム生成部31よりも後側に備えられており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。給水タンク18から延びる給水管路19内の水は前記スチーム生成として利用される他に冷ミストとしても利用され、その給水管路19からの水の一部をミストノズル22まで送水する管路部材としての送水管路51が備えられている。送水管路51は、後側のPTCヒータ36の放熱面(垂直面)36aの平面(放熱面)方向に大きく3度蛇行(屈曲)して該放熱面36aに当接させて配置される管路部材としての当接管路51aを有している。尚、当接管路51aを蛇行させることで当接管路51a内で液体の層流が抑制されるようになっている。
【0033】
図2に示すように、送水管路51の当接管路51aは、その全体が前記放熱面36aから離間されないように離間防止部材RBにて放熱面36a側に押し付け固定されている。更に、送水管路51の当接管路51aは、図2に示すように、その径方向断面が楕円形状とされ、PTCヒータ36の放熱面36aの平面(放熱面)方向に送水管路51の断面の長手方向(図2において紙面上下方向)が沿うように配置されている。このように構成された当接管路51aの内部には、所定の水量(例えば所定コース中において放出するミスト量よりも多い水量)が保持されており、前記スチーム生成時の後側のPTCヒータ36の熱(余熱)により、冷ミスト用の水が例えば80度、30秒以上で殺菌処理されるようになっている。そのため、前記ミストノズル22から放出される冷ミストは、美容に適した衛生状態が保たれている。
【0034】
また、送水管路51のミストノズル22の直前位置にはその管内に濾過機構としてのフィルタ52が装着されている。このフィルタ52は、管路部材としての送水管路51や当接管路51a等で発生した水垢やゴミ、カスと、ミストを生成するための液体(水)自身に含まれるゴミやカスなどがミストノズル22に流れ込むことを抑制させるものであり、このためミストノズル22のつまりを抑えることができるため、ミストノズル22からミストが安定して放出されるようになっている。そのため、本装置10を使用するにあたって使用者の肌(顔面)に対して快適にミストをあて、美容効果(スキンケア効果)を高めることができる。
【0035】
また、ミスト生成部32として、美顔器本体12内には空気圧送路53が設けられており、該空気圧送路53内には電動モータを駆動源としたポンプ54の動作により空気の圧送が行われる。この圧送空気はミストノズル22の放出孔に向けて供給され、放出孔手前で送水管路51内の水と合流させることでベンチュリー効果が生じ、圧送空気とともに送水管路51内の水が吸い出されて冷ミストが生成されて放出されるようになっている。
【0036】
マイナスイオン生成部33は、図2及び図4に示すようにノズル部13内に備えられており、コロナ放電を発生させてマイナスイオンを生成する。イオン生成部33は、ノズル部13のイオンノズル23に形成される収容凹部23aに、ユニット化されたマイナスイオン放電部61が収容保持されてなる。イオン放電部61は、その収容凹部23aに収容保持されるべく所定形状をなす電極ホルダ62に対して針電極63が支持されるとともに、針電極63の先端側においてその針電極63の軸線上に円環状の中心が位置するように円環状の対向電極64が支持されて構成されている。針電極63と対向電極64とはそれぞれリード線65が接続されて電極ホルダ62から導出され、美顔器本体12の上面近傍の制御回路基板71に接続されている。
【0037】
因みに、このイオン生成部33(イオン放電部61)では、針電極63周りの空間X2は外部への開放のみで、その針電極63周りの空間X2と美顔器本体12内の空間X1とが仕切られている。これは、美顔器本体12内の空間X1に設けられるシリコン素材を使用した部材(例えば送水管路51の一部等)がPTCヒータ35,36といった熱源にて加熱されるとその空間X1内にシリコンが浮遊し、この浮遊シリコンが針電極63に付着するとコロナ放電の妨げとなりマイナスイオンの発生量が減少してしまうためであって、浮遊シリコンの針電極63への付着が未然に防止されている。
【0038】
制御回路基板71は、電源コード70(図1参照)にて外部から電源供給を受け、基板71上に搭載される各種の回路部品よりなる制御回路72の制御に基づいて、スチーム生成部31、ミスト生成部32、及びイオン生成部33のそれぞれに動作電源を供給する。図6に示すように、制御回路72は、電源スイッチ25のオンオフ操作に基づいて美顔器10の動作可能状態と及び停止状態との切り替えを行い、動作可能状態において運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27の組み合わせ操作による各種使用コースの設定に基づいて、スチーム生成部31(PTCヒータ35,36、スチーム用放電部43等)と、ミスト生成部32(ポンプ54等)との動作を制御し、またイオン生成部33(イオン放電部61)を先の各生成部31,32の動作と合わせて動作させている。そのため、マイナスイオン及びスチーム(温ミスト)による美容効果やマイナスイオン及びミスト(冷ミスト)による美容効果を得ることができる。
【0039】
そして、マイナスイオン生成時において、針電極63に高電圧が印加されると、対向電極64との電位差によって針電極63の先端周囲にコロナ放電が発生し、マイナスイオンが発生する。発生したマイナスイオンは、針電極63よりも低電位の対向電極64に引き寄せられ、イオンノズル23から外部に放出される。
【0040】
次に、上記のように構成された美顔器10の放電部としてのスチーム用放電部43について図7〜9を用いて詳細に説明する。
図7に示すように、スチーム用放電部43は、スチーム案内管路41内において放電を行うものであり、一対の第1電極部80,81と、この第1電極部80,81間に配置される第2電極部82とを備えている。
【0041】
第1電極部80,81は、細長円柱状をなし、スチーム案内管路41の両側にそれぞれ固定される電極ホルダ83によって同一高さで支持されている。第1電極部80,81は、放電部分である先端部80a,81aが水平状態から斜め約45°上方に向くように、中間部分に屈曲部80b,81bを有する形状をなしている。即ち、第1電極部80,81の先端部80a,81aは、この第1電極部80,81の上方に位置する第2電極部82の端部82a,82bに向けられている。尚、第1電極部80,81を支持する電極ホルダ83は、その基端側(第1電極部80,81を支持している方向とは反対側)が図示しない防水パッキンにて防水されており、スチーム案内管路41からスチーム(温ミスト)が流出することが防止されている。
【0042】
また、第2電極部82は、Pt含有の細長円柱状の金属部材にて構成されており、スチーム案内管路41に固定されるピンプレート84の先端部に着脱可能に支持されている。第2電極部82は、第1電極部80,81の先端部80a,81aよりも高い位置となるように配置されている。因みに、第2電極部82を支持するピンプレート84は、スチーム案内管路41の内壁面間に跨って形成される支持部85に装着されている。この支持部85には保持片85a及び係止突起85bが形成され、またピンプレート84の基端部にはU字状装着部84a及び係止孔84bが形成されている。そして、U字状装着部84aが支持部85を下側から抱え込むようにして保持片85aにて保持されるとともに係止孔84bが係止突起85bと係止することで、ピンプレート84が支持部85に対して着脱可能に装着される。
【0043】
このようなスチーム用放電部43では、スチーム案内管路41内、即ちスチーム(温ミスト)の流動経路中に位置することから、第1電極部80,81及び第2電極部82に液体が付着する。しかしながら、電極部80〜82への液体の付着は放電を阻害する要因となるため、本実施形態では第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、その先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能とし、放電部分であるその先端部80a,81aへの液体の滞留が防止されている。
【0044】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、第1電極部80,81において、付着する液体の滞留を防止するための手段として、第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能な構成としている。また本実施形態では、先端部80a,81aは第1電極部80,81より上方に位置する第2電極部82に向けて屈曲されている。このため、第1電極部80,81に付着する液体の滞留を防止するための防止手段が一体に備えられ、第1電極部80,81に防止手段を別途装着する態様と比較して、部品点数の削減が可能で簡易な構成であり、放電部分である第1電極部80,81の先端部80a,81aへの液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができる。
【0045】
(2)本実施形態では、付着する液体を放電部分から離間又は第1電極部80,81から滴下させるように第1電極部80,81を屈曲することで防止手段が構成されるため、第1電極部80,81への一体的な防止手段の構成が容易である。
【0046】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、放電部分の液体の滞留防止として第1電極部80,81の先端側を上方斜めに屈曲する態様としたが、これに限定されるものではなく、第2電極部82も含めてその態様を適宜変更してもよい。
【0047】
例えば直線状の第2電極部82に対し、図10に示すように、第1電極部80,81と同様に、第2電極部82の放電部分である端部82a,82bを下方斜め45°に向け、第1電極部80,81の先端部80a,81aに向ける屈曲部82c,82dを形成してもよい。これにより、第2電極部82においても放電部分である端部82a,82bに付着する液体はその端部82a,82bから滴下し、放電部分である端部82a,82bへの液体の滞留が防止され、放電をより安定的に行うことが可能となる。
【0048】
また例えば図11に示すように、第1電極部80,81において、先端部80a,81aを真下方向に向ける屈曲部80b,81bとし、該屈曲部80b,81bの角部を第2電極部82との放電部分としてもよい。尚、図11の態様でも第2電極部82は第1電極部80,81より若干上方に位置している。このようにしても、放電部分である屈曲部80b,81bに付着する液体は先端部80a,81a側に向けて移動(離間)し、また滴下も可能となる。
【0049】
また、屈曲部80b,81bは電極部80,81の中間部分でなく、根元としてもよい。
また例えば図12に示すように、第1電極部80,81において、垂直面において先端側を上下斜め45°にそれぞれ向けて二股に屈曲させた分岐部80c,81cをそれぞれ構成してもよい。尚、図12の態様では、第2電極部82は上下方向に向けてピンプレート84にて支持されている。このようにすれば、放電部分である先端部80a,81aに付着する液体の離間及び滴下が可能となり、また仮に先端部80a,81aの一方に液体が付着したとしても他方側にて放電が継続できるように冗長性が確保されている。また、分岐した先の各先端部80a,81aと第2電極部82の外周面82eとを等距離に設定することで、分岐先毎で安定した放電が可能となる。尚、分岐は3以上であってもよく、分岐部分は電極部80,81の中間位置でなく、根元部分であってもよい。
【0050】
尚、図13に示すように、水平面において第1電極部80,81の先端側を左右斜め45°にそれぞれ向けて二股に屈曲させた分岐部80c,81cをそれぞれ構成しても、上記の冗長性が確保できる。これら各分岐部80c,81cを上方又は下方に向けて屈曲させてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1電極部80,81よりも第2電極部82を上方に位置させたが、配置位置はこれに限定されるものではなく、例えば第1電極部80,81と第2電極部82とを同じ高さで配置してもよい。屈曲方向はこれに対応させて、放電部分から液体が離間又は滴下するように適宜変更する。
【0052】
・上記実施形態では、第1電極部80,81を2つ、つまり一対の電極を設けたが、例えば電極部80,81を1つとしてもよい。また、第2電極部82を省略する構成でもよい。
【0053】
・上記実施形態では、美顔器10にて美容装置を構成したが、美顔器10以外の美容装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…美容装置としての美顔器、31…ミスト発生機構及びミスト発生装置を構成するスチーム生成部、43…放電部としてのスチーム用放電部、80,81…電極部としての第1電極部、80a,81a…先端部、80b,81b…屈曲部、80c,81c…分岐部、82…電極部としての第2電極部、82c,82d…屈曲部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体からミストを生成するミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト発生装置は、液体をヒータにて沸騰させて気化させたスチーム(温ミスト)や、超音波にて霧化させたミスト(冷ミスト)を顔などの人体に向けて放出することで、肌に潤いを与えるなどの美容効果やスキンケアを目的とした装置として用いられている。尚、ミストとは、前述のように液体を気化させたスチーム(温ミスト)や、液体を霧化させた冷ミスト等のことを指し、これ以降同様の意味として使用する。
【0003】
特許文献1のミスト発生装置は、液体からミストを生成するミスト発生機構と、該ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化する放電部とで構成されていて、放電部は、一対の第1電極部と、該第1電極部の間に配置される第2電極部とを備えている。そして、第1電極部及び第2電極部間で放電を行うことで、生成されたミストを微細化して使用者に向けて放出し、微細化されたミストは使用者の肌に潤いとハリを与えて高い美容作用や健康作用が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなミスト発生装置において、放電部に設けられる電極部に液体(ミスト)の付着が生じ、電極部での放電が不安定になる。そのため、特許文献1では第1電極部に別途吸水体が装着されて第1電極部に付着した液体を吸収し、放電の阻害が抑止されるようになっている。
【0006】
しかしながら、電極部に吸水体を別途装着する態様では、ミスト発生装置の部品点数が増加して組立作業が煩雑となる等の問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構成でありながら、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体からミストを生成するミスト発生機構と、前記ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化するための電極部を有する放電部とを備えたミスト発生装置であって、前記電極部において、付着する液体の放電部分での滞留を防止するための防止手段が一体に備えられたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、電極部において、付着する液体の滞留を防止するための防止手段が一体に備えられるため、電極部に防止手段を別途装着する態様と比較して、部品点数の削減が可能で簡易な構成であり、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記防止手段は、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるような前記電極部の屈曲にて構成されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるように電極部を屈曲することで防止手段が構成されるため、電極部への一体的な防止手段の構成が容易となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミスト発生措置において、前記放電部は、一対の第1電極部と、前記第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の前記電極部に前記防止手段を備えたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、放電部は、一対の第1電極部と、該第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の電極部に防止手段が備えられるため、防止手段を備えた第1又は第2電極部において、放電部分での液体の滞留が防止されて安定的に放電を行うことが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記第2電極部は、前記第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、前記第1電極部の先端が前記第2電極部に向けて上方に屈曲されてなることをその要旨とする。
【0014】
この発明では、第2電極部は、第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、第1電極部の先端が第2電極部に向けて上方に屈曲されてなるため、第2電極部と対向する第1電極部の先端の放電部分に滞留する液体をより確実に離間又電極部から滴下させることが可能で、第1電極部及び第2電極間での放電をより安定的に行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のミスト発生装置において、前記第1電極部は、前記第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有することをその要旨とする。
【0016】
この発明では、第1電極部は、第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有するため、仮に第1電極部において分岐先の放電部分のうちの一つに液体が滞留しても、他の分岐先の放電部分にて放電可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のミスト発生装置において、前記第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する前記第2電極部から等距離に設定されたことをその要旨とする。
【0018】
この発明では、第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する第2電極部から等距離に設定されるため、分岐先毎で安定した放電が可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置である。
【0019】
この発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えることで、請求項1〜6のいずれか一項に記載の効果と同様の効果を奏することができる美容装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、放電部分の液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができるミスト発生装置、及びそのミスト発生装置を備えた美容装置提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態における美顔器を示す斜視図。
【図2】同美顔器を前後方向で切断し右側から見た断面図。
【図3】同美顔器を左右方向で切断し背面側から見た断面図。
【図4】同美顔器のマイナスイオン生成部部分の拡大断面図。
【図5】同美顔器の管路及び整流部部分の拡大断面図。
【図6】同美顔器の機能の概略構成を示すブロック図。
【図7】同美顔器の放電部の断面図。
【図8】同美顔器の放電部の断面図。
【図9】同美顔器の第2電極部の取り付け構造を説明するための斜視図。
【図10】別例における端部を屈曲させた第2電極部を示す模式図。
【図11】別例における下方に屈曲させた第1電極部を示す模式図。
【図12】別例における垂直方向に分岐した第1電極部を示す模式図。
【図13】別例における水平方向に分岐した第1電極部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器10を示す。有底略円筒状の本体ケース11には美顔器本体12が収容されて固定され、その本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0023】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル(温ミストノズル)21a,21b、冷ミストを放出するミストノズル(冷ミストノズル)22、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル23を有し、ミストノズル22が左右方向中央位置に、スチームノズル21aがその右側に、スチームノズル21bが左側に、そしてイオンノズル23がミストノズル22の上側にそれぞれ配置されている。尚、スチームノズル21a及び21bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0024】
またスチームノズル21a,21b、ミストノズル22、及びイオンノズル23の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定され、美顔器10の前側と使用者と対向するように使用した時のその使用者の顔表面に向けて放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー16が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル21a,21b,22,23の露出・隠蔽が可能とされている。
【0025】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ25、運転制御スイッチ26、及びコース選択スイッチ27が設けられている。電源スイッチ25は、美顔器10のオンオフ操作を行うものであり、運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースやスチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0026】
また、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンク収容部17が設けられており、該タンク収容部17内には、開口部と面一となるように給水タンク18が着脱可能に収容されている。給水タンク18は、使用者が美顔器10から取り外しての給水が可能となっており、貯留した水からスチームや冷ミストのそれぞれの生成が行われる。
【0027】
美顔器本体12には、図2に示すように、スチーム発生機構を構成するスチーム生成部31と、ミスト発生機構を構成するミスト生成部32と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン生成部33が備えられている。
【0028】
ミスト発生機構を構成するスチーム生成部31は、美顔器本体12の前側に備えられており、スチーム(温ミスト)を生成する。スチーム生成部31は、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有する殺菌機構及び加熱装置としてのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ35,36を前側と後側にそれぞれ備え、給水タンク18から給水管路19を介してPTCヒータ35,36内側のボイラ室37内に供給された水を沸騰させてスチームの生成を行っている。因みに、前側のPTCヒータ35の外側面には、給水タンク18から延びる給水管路19の一部が当接させて配置されており、ボイラ室37への流入の前に温められ該ボイラ室37内で効率良くスチームが生成されるようになっている。尚、給水管路19は、排水管路38(図6参照)を介して美顔器10の排水口38aに接続されており、排水スイッチの操作によって制御される排水管路38上の止水弁39にて美顔器10内の排水を行うことが可能となっている。
【0029】
ボイラ室37の上部には、図2及び図3に示すように、生成したスチームを一対のスチームノズル21a,21bまで案内させるためのスチーム案内管路41が接続されている。スチーム案内管路41は、その途中に分岐部42を有している。スチーム案内管路41は、図5に示すように、分岐部42から二股に分かれるように分岐部42からスチームノズル21aまでを接続する第1案内管路41aと,分岐部42からスチームノズル21bまでを接続する第2案内管路41bとを有し、第1案内管路41aの長さ(距離)L1及び第2案内管路41bの長さ(距離)L2が等しくなるように構成されている。そのため、ボイラ室37にて生成したスチームが分岐部42から分かれて第1案内管路41a及び第2案内管路41bを通って各スチームノズル21a,21bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラ室37やスチーム案内管路41内は高圧となるため、各スチームノズル21a,21bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。尚、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0030】
また、スチーム案内管路41の分岐部42の若干手前位置には、スチーム用放電部43が備えられている。スチーム用放電部43は、自身の放電により、この放電部43を通過するスチームをより微細化するとともに、放電を利用して金属微粒子(例えばPtなど)を発生させるものである。尚、スチーム用放電部43については詳しく後述する。
【0031】
スチーム用放電部43の下流側で分岐部42の直前位置には、整流機構としての整流部44が備えられている。この整流部44は、図5に示すように、スチーム案内管路41内に中空形状の中空部としての円筒部44aと、該円筒部44aから延出形成されて円筒部44aを管路41の径方向中心で支持する3本のリブ44bとが設けられて構成されている。そして、放電部43にて微細化したスチームが、その円筒部44aの内部及び3本のリブ44b間を通過する際に整流され、分岐部42から先の各スチームノズル21a,21bに同量のスチームが分岐されるようなっている。尚、円筒部44aの内径は、スチームノズル21a,21bの放出孔の内径より大きく、且つ該放出孔の内径の1.5倍以下の大きさである例えば4.5mmに設定されている。
【0032】
ミスト生成部32は、前記スチーム生成部31よりも後側に備えられており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。給水タンク18から延びる給水管路19内の水は前記スチーム生成として利用される他に冷ミストとしても利用され、その給水管路19からの水の一部をミストノズル22まで送水する管路部材としての送水管路51が備えられている。送水管路51は、後側のPTCヒータ36の放熱面(垂直面)36aの平面(放熱面)方向に大きく3度蛇行(屈曲)して該放熱面36aに当接させて配置される管路部材としての当接管路51aを有している。尚、当接管路51aを蛇行させることで当接管路51a内で液体の層流が抑制されるようになっている。
【0033】
図2に示すように、送水管路51の当接管路51aは、その全体が前記放熱面36aから離間されないように離間防止部材RBにて放熱面36a側に押し付け固定されている。更に、送水管路51の当接管路51aは、図2に示すように、その径方向断面が楕円形状とされ、PTCヒータ36の放熱面36aの平面(放熱面)方向に送水管路51の断面の長手方向(図2において紙面上下方向)が沿うように配置されている。このように構成された当接管路51aの内部には、所定の水量(例えば所定コース中において放出するミスト量よりも多い水量)が保持されており、前記スチーム生成時の後側のPTCヒータ36の熱(余熱)により、冷ミスト用の水が例えば80度、30秒以上で殺菌処理されるようになっている。そのため、前記ミストノズル22から放出される冷ミストは、美容に適した衛生状態が保たれている。
【0034】
また、送水管路51のミストノズル22の直前位置にはその管内に濾過機構としてのフィルタ52が装着されている。このフィルタ52は、管路部材としての送水管路51や当接管路51a等で発生した水垢やゴミ、カスと、ミストを生成するための液体(水)自身に含まれるゴミやカスなどがミストノズル22に流れ込むことを抑制させるものであり、このためミストノズル22のつまりを抑えることができるため、ミストノズル22からミストが安定して放出されるようになっている。そのため、本装置10を使用するにあたって使用者の肌(顔面)に対して快適にミストをあて、美容効果(スキンケア効果)を高めることができる。
【0035】
また、ミスト生成部32として、美顔器本体12内には空気圧送路53が設けられており、該空気圧送路53内には電動モータを駆動源としたポンプ54の動作により空気の圧送が行われる。この圧送空気はミストノズル22の放出孔に向けて供給され、放出孔手前で送水管路51内の水と合流させることでベンチュリー効果が生じ、圧送空気とともに送水管路51内の水が吸い出されて冷ミストが生成されて放出されるようになっている。
【0036】
マイナスイオン生成部33は、図2及び図4に示すようにノズル部13内に備えられており、コロナ放電を発生させてマイナスイオンを生成する。イオン生成部33は、ノズル部13のイオンノズル23に形成される収容凹部23aに、ユニット化されたマイナスイオン放電部61が収容保持されてなる。イオン放電部61は、その収容凹部23aに収容保持されるべく所定形状をなす電極ホルダ62に対して針電極63が支持されるとともに、針電極63の先端側においてその針電極63の軸線上に円環状の中心が位置するように円環状の対向電極64が支持されて構成されている。針電極63と対向電極64とはそれぞれリード線65が接続されて電極ホルダ62から導出され、美顔器本体12の上面近傍の制御回路基板71に接続されている。
【0037】
因みに、このイオン生成部33(イオン放電部61)では、針電極63周りの空間X2は外部への開放のみで、その針電極63周りの空間X2と美顔器本体12内の空間X1とが仕切られている。これは、美顔器本体12内の空間X1に設けられるシリコン素材を使用した部材(例えば送水管路51の一部等)がPTCヒータ35,36といった熱源にて加熱されるとその空間X1内にシリコンが浮遊し、この浮遊シリコンが針電極63に付着するとコロナ放電の妨げとなりマイナスイオンの発生量が減少してしまうためであって、浮遊シリコンの針電極63への付着が未然に防止されている。
【0038】
制御回路基板71は、電源コード70(図1参照)にて外部から電源供給を受け、基板71上に搭載される各種の回路部品よりなる制御回路72の制御に基づいて、スチーム生成部31、ミスト生成部32、及びイオン生成部33のそれぞれに動作電源を供給する。図6に示すように、制御回路72は、電源スイッチ25のオンオフ操作に基づいて美顔器10の動作可能状態と及び停止状態との切り替えを行い、動作可能状態において運転制御スイッチ26及びコース選択スイッチ27の組み合わせ操作による各種使用コースの設定に基づいて、スチーム生成部31(PTCヒータ35,36、スチーム用放電部43等)と、ミスト生成部32(ポンプ54等)との動作を制御し、またイオン生成部33(イオン放電部61)を先の各生成部31,32の動作と合わせて動作させている。そのため、マイナスイオン及びスチーム(温ミスト)による美容効果やマイナスイオン及びミスト(冷ミスト)による美容効果を得ることができる。
【0039】
そして、マイナスイオン生成時において、針電極63に高電圧が印加されると、対向電極64との電位差によって針電極63の先端周囲にコロナ放電が発生し、マイナスイオンが発生する。発生したマイナスイオンは、針電極63よりも低電位の対向電極64に引き寄せられ、イオンノズル23から外部に放出される。
【0040】
次に、上記のように構成された美顔器10の放電部としてのスチーム用放電部43について図7〜9を用いて詳細に説明する。
図7に示すように、スチーム用放電部43は、スチーム案内管路41内において放電を行うものであり、一対の第1電極部80,81と、この第1電極部80,81間に配置される第2電極部82とを備えている。
【0041】
第1電極部80,81は、細長円柱状をなし、スチーム案内管路41の両側にそれぞれ固定される電極ホルダ83によって同一高さで支持されている。第1電極部80,81は、放電部分である先端部80a,81aが水平状態から斜め約45°上方に向くように、中間部分に屈曲部80b,81bを有する形状をなしている。即ち、第1電極部80,81の先端部80a,81aは、この第1電極部80,81の上方に位置する第2電極部82の端部82a,82bに向けられている。尚、第1電極部80,81を支持する電極ホルダ83は、その基端側(第1電極部80,81を支持している方向とは反対側)が図示しない防水パッキンにて防水されており、スチーム案内管路41からスチーム(温ミスト)が流出することが防止されている。
【0042】
また、第2電極部82は、Pt含有の細長円柱状の金属部材にて構成されており、スチーム案内管路41に固定されるピンプレート84の先端部に着脱可能に支持されている。第2電極部82は、第1電極部80,81の先端部80a,81aよりも高い位置となるように配置されている。因みに、第2電極部82を支持するピンプレート84は、スチーム案内管路41の内壁面間に跨って形成される支持部85に装着されている。この支持部85には保持片85a及び係止突起85bが形成され、またピンプレート84の基端部にはU字状装着部84a及び係止孔84bが形成されている。そして、U字状装着部84aが支持部85を下側から抱え込むようにして保持片85aにて保持されるとともに係止孔84bが係止突起85bと係止することで、ピンプレート84が支持部85に対して着脱可能に装着される。
【0043】
このようなスチーム用放電部43では、スチーム案内管路41内、即ちスチーム(温ミスト)の流動経路中に位置することから、第1電極部80,81及び第2電極部82に液体が付着する。しかしながら、電極部80〜82への液体の付着は放電を阻害する要因となるため、本実施形態では第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、その先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能とし、放電部分であるその先端部80a,81aへの液体の滞留が防止されている。
【0044】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、第1電極部80,81において、付着する液体の滞留を防止するための手段として、第1電極部80,81に屈曲部80b,81bを設け、先端部80a,81aを上方に向けるようにし、先端部80a,81aに付着する液体を屈曲部80b,81bまで離間、また屈曲部80b,81bから滴下も可能な構成としている。また本実施形態では、先端部80a,81aは第1電極部80,81より上方に位置する第2電極部82に向けて屈曲されている。このため、第1電極部80,81に付着する液体の滞留を防止するための防止手段が一体に備えられ、第1電極部80,81に防止手段を別途装着する態様と比較して、部品点数の削減が可能で簡易な構成であり、放電部分である第1電極部80,81の先端部80a,81aへの液体の滞留を防止して放電を安定して行うことができる。
【0045】
(2)本実施形態では、付着する液体を放電部分から離間又は第1電極部80,81から滴下させるように第1電極部80,81を屈曲することで防止手段が構成されるため、第1電極部80,81への一体的な防止手段の構成が容易である。
【0046】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、放電部分の液体の滞留防止として第1電極部80,81の先端側を上方斜めに屈曲する態様としたが、これに限定されるものではなく、第2電極部82も含めてその態様を適宜変更してもよい。
【0047】
例えば直線状の第2電極部82に対し、図10に示すように、第1電極部80,81と同様に、第2電極部82の放電部分である端部82a,82bを下方斜め45°に向け、第1電極部80,81の先端部80a,81aに向ける屈曲部82c,82dを形成してもよい。これにより、第2電極部82においても放電部分である端部82a,82bに付着する液体はその端部82a,82bから滴下し、放電部分である端部82a,82bへの液体の滞留が防止され、放電をより安定的に行うことが可能となる。
【0048】
また例えば図11に示すように、第1電極部80,81において、先端部80a,81aを真下方向に向ける屈曲部80b,81bとし、該屈曲部80b,81bの角部を第2電極部82との放電部分としてもよい。尚、図11の態様でも第2電極部82は第1電極部80,81より若干上方に位置している。このようにしても、放電部分である屈曲部80b,81bに付着する液体は先端部80a,81a側に向けて移動(離間)し、また滴下も可能となる。
【0049】
また、屈曲部80b,81bは電極部80,81の中間部分でなく、根元としてもよい。
また例えば図12に示すように、第1電極部80,81において、垂直面において先端側を上下斜め45°にそれぞれ向けて二股に屈曲させた分岐部80c,81cをそれぞれ構成してもよい。尚、図12の態様では、第2電極部82は上下方向に向けてピンプレート84にて支持されている。このようにすれば、放電部分である先端部80a,81aに付着する液体の離間及び滴下が可能となり、また仮に先端部80a,81aの一方に液体が付着したとしても他方側にて放電が継続できるように冗長性が確保されている。また、分岐した先の各先端部80a,81aと第2電極部82の外周面82eとを等距離に設定することで、分岐先毎で安定した放電が可能となる。尚、分岐は3以上であってもよく、分岐部分は電極部80,81の中間位置でなく、根元部分であってもよい。
【0050】
尚、図13に示すように、水平面において第1電極部80,81の先端側を左右斜め45°にそれぞれ向けて二股に屈曲させた分岐部80c,81cをそれぞれ構成しても、上記の冗長性が確保できる。これら各分岐部80c,81cを上方又は下方に向けて屈曲させてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1電極部80,81よりも第2電極部82を上方に位置させたが、配置位置はこれに限定されるものではなく、例えば第1電極部80,81と第2電極部82とを同じ高さで配置してもよい。屈曲方向はこれに対応させて、放電部分から液体が離間又は滴下するように適宜変更する。
【0052】
・上記実施形態では、第1電極部80,81を2つ、つまり一対の電極を設けたが、例えば電極部80,81を1つとしてもよい。また、第2電極部82を省略する構成でもよい。
【0053】
・上記実施形態では、美顔器10にて美容装置を構成したが、美顔器10以外の美容装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…美容装置としての美顔器、31…ミスト発生機構及びミスト発生装置を構成するスチーム生成部、43…放電部としてのスチーム用放電部、80,81…電極部としての第1電極部、80a,81a…先端部、80b,81b…屈曲部、80c,81c…分岐部、82…電極部としての第2電極部、82c,82d…屈曲部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体からミストを生成するミスト発生機構と、前記ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化するための電極部を有する放電部とを備えたミスト発生装置であって、
前記電極部において、付着する液体の放電部分での滞留を防止するための防止手段が一体に備えられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記防止手段は、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるような前記電極部の屈曲にて構成されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスト発生措置において、
前記放電部は、一対の第1電極部と、前記第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の前記電極部に前記防止手段を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記第2電極部は、前記第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、
前記第1電極部の先端が前記第2電極部に向けて上方に屈曲されてなることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記第1電極部は、前記第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のミスト発生装置において、
前記第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する前記第2電極部から等距離に設定されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置。
【請求項1】
液体からミストを生成するミスト発生機構と、前記ミスト発生機構にて生成されたミストを放電により微細化するための電極部を有する放電部とを備えたミスト発生装置であって、
前記電極部において、付着する液体の放電部分での滞留を防止するための防止手段が一体に備えられたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記防止手段は、付着する液体を放電部分から離間又は電極部から滴下させるような前記電極部の屈曲にて構成されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスト発生措置において、
前記放電部は、一対の第1電極部と、前記第1電極部の間に配置される第2電極部とを備え、少なくとも一方の前記電極部に前記防止手段を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記第2電極部は、前記第1電極部の放電部分よりも上方に配置され、
前記第1電極部の先端が前記第2電極部に向けて上方に屈曲されてなることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項3に記載のミスト発生装置において、
前記第1電極部は、前記第2電極部に向けて複数に分岐し、分岐先に放電部分を有することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載のミスト発生装置において、
前記第1電極部の分岐先の放電部分は、対向する前記第2電極部から等距離に設定されたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置を備えた美容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−98165(P2011−98165A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256442(P2009−256442)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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