ミスト発生装置及び美容装置
【課題】ミスト室に向けて液体を流入させる流入口が閉塞することを抑制できるミスト発生装置及び美容装置を提供する。
【解決手段】供給された水からミストを発生させるボイラー室を備え、ボイラー室内に前記液体を流入させる開口部69aには、開口部の口縁の一部を構成する凸部80によってボイラー室内に臨む非平面部が形成される。
【解決手段】供給された水からミストを発生させるボイラー室を備え、ボイラー室内に前記液体を流入させる開口部69aには、開口部の口縁の一部を構成する凸部80によってボイラー室内に臨む非平面部が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体からミストを生成するミスト発生装置、及び該ミスト発生装置を備えた美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載の蒸気発生装置が知られている。この蒸気発生装置では、蒸発槽の内側面に給水槽から延びる給水路の経路出口が開口され、その経路出口を介して蒸発槽内に供給された水を加熱手段の熱によって沸騰させることにより蒸気を発生させている。
【0003】
また、上記の蒸気発生装置には、蒸発槽の底部に設けられた排水口と、上記の経路出口が開口する内側面との間に、蒸発槽内を仕切るスケールネットが設けられている。そして、蒸発槽の内側面に水の加熱により生成されて付着したスケールが内側面から剥離して塊となって落下したとしても、このスケールはスケールネットを通過することができないため、排水口がスケールによって閉塞されることが抑制されるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−60943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の蒸気発生装置では、蒸発槽の内側面から剥離して落下したスケールが、蒸発槽の内側面に開口した給水路の経路出口を閉塞することにより、給水槽から蒸発槽への液体の供給が遮断されてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ミスト室内に液体を流入させる流入口が閉塞することを抑制できるミスト発生装置及び美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のミスト発生装置は、供給された液体からミストを発生させるミスト室を備え、前記ミスト室内に前記液体を流入させる流入口には、前記流入口の口縁によって、又は、前記流入口の口縁と当該口縁よりも前記ミスト室側に突出した凸部とによって、前記ミスト室内に臨む非平面部が形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のミスト発生装置において、前記凸部は、前記流入口の口縁の一部を構成していることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記凸部は、前記流入口の口縁における少なくとも当該流入口の中心位置よりも上側となる位置に設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のミスト発生装置は、前記ミスト室内における前記流入口の口縁よりも上側の内面が鉛直方向に沿った平面状をなすように構成されることを特徴とする。
また、本発明の美容装置は、ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、上記構成のミスト発生装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ミスト室内に液体を流入させる流入口が閉塞することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の美顔器の斜視図。
【図2】同美顔器の背面図。
【図3】給水タンク及びタンクホルダーの断面図。
【図4】美顔器本体の背面図。
【図5】タンクホルダーに接続される管路の斜視図。
【図6】図2における6−6線矢視断面図。
【図7】美顔器本体を後方側から見た斜視図。
【図8】スチーム生成機構の拡大断面図。
【図9】ボイラーの斜視図。
【図10】(a)はPTCヒーターの加熱面にスケールが析出した状態を模式的に示す断面図、(b)は図10(a)に示す状態からスケールの一部が剥離した状態を模式的に示す断面図。
【図11】(a)は剥離したスケールが凸部に上方から係止した状態を模式的に示す断面図、(b)は剥離したスケールがボイラー室の底面まで沈降した状態を模式的に示す断面図。
【図12】(a)は本発明に係る別の実施形態のボイラーの斜視図、(b)は本発明に係る別の実施形態のボイラーにおいて、剥離したスケールがボイラーの底面まで沈降した状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器に具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の美顔器10における有底略円筒状の本体ケース11内には美顔器本体12が収容されている。また、本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。そして、ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0014】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面の中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル16a,16b、冷ミストを放出するミストノズル17、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル18を有している。そして、ミストノズル17が左右方向中央位置に、スチームノズル16aがその右側に、スチームノズル16bが左側に、イオンノズル18がミストノズル17の上側にそれぞれ配置されている。尚、スチームノズル16a,16bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0015】
また、スチームノズル16a,16b、ミストノズル17、及びイオンノズル18の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定されている。すなわち、美顔器10の前側と使用者とが対向するように使用された時に、その使用者の顔表面に向けて各ノズル16a,16b,17,18の放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー19が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル16a,16b,17,18の露出・隠蔽が可能とされている。
【0016】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ20、運転制御スイッチ21、及びコース選択スイッチ22が設けられている。電源スイッチ20は、美顔器10のオンオフ操作を行うものである。また、運転制御スイッチ21及びコース選択スイッチ22は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースや、スチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0017】
また、メインカバー15の前端部には、開閉操作部23として、開閉操作板24及び開閉操作カバー25が設けられている。開閉操作板24は、メインカバー15に図示しない締結ねじにより固定された開閉操作カバー25に対して、その後端部が回動可能に取り付けられており、この開閉操作板24の前端部にはフック部26が設けられている。そして、開閉操作板24のフック部26は、メインカバー15が閉じられた際に、美顔器本体12の上面の前端部に設けられたフック受け部27に対して図示しないばねの付勢力に基づき掛止することにより、メインカバー15の開放動作をロックするようになっている。また、開閉操作カバー25の後端部にはフック部28が設けられており、このフック部28にはミストノズル17を掃除するためのミスト針29が着脱自在に取り付けられている。
【0018】
また、図2に示すように、美顔器本体12の後方下部における右寄りの位置には、インレットプラグ30が設けられている。そして、このインレットプラグ30には、外部から電源を供給するための電源コード31が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
また、美顔器本体12の後方下部における左寄りの位置には、美顔器本体12の内部から水(液体)を排水するための排水口32、及び該排水口32を通じた排水動作を操作するための排水操作板33が設けられている。そして、本体ケース11には、排水口32及び排水操作板33を覆うように排水カバー34が回動自在に取り付けられている。
【0020】
また、図1に示すように、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンクホルダー35が設けられており、該タンクホルダー35内には、本体ケース11の開口部と面一となるように給水タンク36が着脱可能に収容されている。
【0021】
具体的には、図3に示すように、タンクホルダー35において給水タンク36を収容する内面には、給水タンク36を相対移動不能に係止させるタンク固定部37が設けられている。このタンク固定部37は、先端部38aが凸状をなすタンクフック38と、該タンクフック38をその先端部38aがタンクホルダー35の内側に向くようにして基端側から付勢するタンクフックバネ39とを備えている。そして、給水タンク36がタンクホルダー35に対して装着されると、タンクホルダー35の内側に付勢されたタンクフック38の先端部38aが、給水タンク36の外側面に設けられた凹部40に対して係合することにより、給水タンク36がタンクホルダー35に対して相対移動不能に係止されるようになっている。
【0022】
また、図4及び図5に示すように、タンクホルダー35の下部からは、図2に示した排水口32に連なる排出チューブ41が延設されている。この排出チューブ41の途中には分岐部42が設けられ、その分岐部42には下流側が二股状に分岐した給水チューブ43の上流端が接続されている。そして、この給水チューブ43の各下流端は、給水タンク36から給水された水からスチーム(ミスト)を発生させるミスト発生装置としてのスチーム生成機構44(図6参照)、及び給水タンク36から給水された水から冷ミストを生成する冷ミスト生成機構45に対してそれぞれ接続されている。なお、排出チューブ41における分岐部42よりも上流側及び給水チューブ43における分岐位置よりも上流側となる各位置からは分岐チューブ41a,43aが鉛直方向上側に延びるように分岐し、それらの各上端がタンクホルダー35に接続されている。そして、排出チューブ41内及び給水チューブ43内から気泡が各分岐チューブ41a,43a及びタンクホルダー35を通じて外部に排出されるようになっている。
【0023】
図6に示すように、スチーム生成機構44は、美顔器本体12の中央よりも前側に備えられており、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター46a,46bを前側と後側にそれぞれ備えている。そして、スチーム生成機構44は、給水タンク36から給水チューブ43を介してPTCヒーター46a,46bの内側のミスト室としてのボイラー室47内に供給された水を沸騰させてスチーム(ミスト)の生成を行っている。
【0024】
ボイラー室47の上部には、生成したスチームを一対のスチームノズル16a,16bまで案内するためのスチーム案内管路48が接続されている。そのため、ボイラー室47にて生成されたスチームはスチーム案内管路48を通って各スチームノズル16a,16bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラー室47やスチーム案内管路48内は高圧となるため、各スチームノズル16a,16bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。尚、スチームノズル16a,16bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0025】
また、スチーム案内管路48の途中位置には、スチーム放電部49が備えられている。スチーム放電部49は、自身の放電により、通過するスチームをより微細化するものである。また、このスチーム放電部49では、抗酸化作用があり肌にも良いとされる金属(例えば白金)を用い、放電を利用してその金属微粒子を発生させている。
【0026】
冷ミスト生成機構45は、スチーム生成機構44よりも後側に備えられており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。給水タンク36から給水チューブ43を通じて供給される水はスチーム生成として利用される他に冷ミスト生成としても利用され、その給水タンク36からの水の一部をミストノズル17まで送水する送水管路50が備えられている。送水管路50は、後側のPTCヒーター46bの放熱面の平面方向に蛇行して該放熱面に当接するように配置される殺菌部51を有している。この殺菌部51の内部には、所定の水量が保持されており、スチーム生成時の後側のPTCヒーター46bの熱(余熱)により、冷ミスト用の水が例えば80℃以上、30秒以上で殺菌処理されるようになっている。このように殺菌された水が送水管路50に供給される。その結果、ミストノズル17から放出される冷ミストは、美容に適した衛生状態に保たれる。
【0027】
また、図7に示すように、冷ミスト生成機構45として、美顔器本体12内には左右一対のポンプブロック52が設けられている。これらのポンプブロック52は、電源モーターを駆動源としたポンプ53と、該ポンプ53から送出される空気をミストノズル17に向けて流動させるエアチューブ54とを各々備えている。そして、各ポンプブロック52から送出される空気は、両エアチューブ54が接続されるエアパイプ55で混合されることにより風量が増大した状態で、エアチューブ56(図6参照)を通じてミストノズル17へと送風される。
【0028】
次に、スチーム生成機構44の詳細な構成について図8及び図9に基づき説明する。
図8に示すように、スチーム生成機構44のボイラー60における下方寄りの位置には、給水路61が水平方向に延びるように形成されている。そして、この給水路61の一端側(図8では右端側)には、給水チューブ43がはめ込むようにして接続されている。また、ボイラー60の下面には、鉛直方向に延びる垂直空間を形成するように混合部62が凹設されている。
【0029】
また、ボイラー60には、混合部62の下側の開口を液密状に封止するようにボイラーキャップ63が取着されている。ボイラーキャップ63は、前後両側が開口した略筒状をなしており、その内側の空間域64が給水路61の他端側(図8では左端側)に接続されている。また、ボイラーキャップ63において空間域64の内面の一部を構成する上壁部65にはボイラーキャップ63内の空間域64を混合部62に連通させる貫通孔66が上下方向に貫通するように形成されている。
【0030】
さらに、ボイラー60には、混合部62の上方となる位置に、給水路61から供給される水がボイラー60により加熱されてスチーム化した後に結露して高温の水となった場合に、その高温の水を一時的に貯留する貯留部67が鉛直方向に延びる垂直空間を形成するように設けられている。すなわち、混合部62及び貯留部67は、鉛直方向に延びる同一直線上に連続して延びるように構成されている。なお、この貯留部67の流路断面形状は、混合部62の流路断面形状よりも小さくなるように構成されている。そして、貯留部67の下端部は、混合部62の天井面の略中央位置に開口している。
【0031】
また、混合部62及び貯留部67の前後両側となる位置には、給水タンク36から供給された水をPTCヒーター46a,46bで加熱して沸騰させるためのボイラー室47が、ボイラー60における鉛直方向に沿う前後各外壁面60aとPTCヒーター46a,46bとの間に囲み形成される。
【0032】
ボイラー室47は、その内部空間が上下方向を長手方向とすると共に左右方向を短手方向とし且つ前後方向を厚み方向とする薄い略直方体形状をなしている。また、各ボイラー室47における上下方向に沿う両内壁面のうち、一方の内側面はボイラー60の前後各外壁面60aで構成される一方、他方の内壁面はボイラー室47の側方に上下方向に沿って立設された薄い平板状のPTCヒーター46a,46bの加熱面68a,68bで構成されている。そして、これらのボイラー室47の下端部に対して、その基端を混合部62の上端部に接続した連通部69の先端が接続されることにより、混合部62とボイラー室47とが連通されている。すなわち、連通部69の先端側(ボイラー室47側)の開口部69aは、混合部62からボイラー室47に向けて水を流入させる流入口を構成している。
【0033】
なお、連通部69は、前後方向に水平に延びるように設けられている。そのため、連通部69は、上下方向に延びる混合部62及び貯留部67に対して直交する構成となっている。そして、本実施形態では、給水路61、空間域64、貫通孔66、混合部62、連通部69により、給水タンク36から供給された水をボイラー室47に向けて供給する給水経路71が構成されている。そして、給水経路71を介してボイラー室47に供給された水は、ボイラー室47内でPTCヒーター46a,46bによって加熱されることによりスチーム化されるようになっている。
【0034】
また、ボイラー60には、貯留部67の上方となる位置に、その下部が貯留部67に連通するとともに、その上部がスチーム案内管路48内に対して図示しない通孔を介して連通する合流部72が形成されている。そして、この合流部72に対して前後両ボイラー室47の上端部から各々前後方向に水平に延びるように形成されたスチーム流路73が接続されている。すなわち、合流部72を介してスチーム流路73が貯留部67に対して連通している。そして、スチーム案内管路48内で結露した高温の水の一部がスチーム流路73を通じて貯留部67に還流されるようになっている。すなわち、貯留部67には、給水タンク36から給水経路71を通じて供給される水よりも高温の水が貯留される。そして、給水タンク36から供給される比較的低温の水は、貯留部67内に貯留された比較的高温の水と混合部62内で混合されて予備加熱された状態で、連通部69を通じてボイラー室47に供給されるようになっている。
【0035】
なお、図8及び図9に示すように、ボイラー60においてPTCヒーター46a,46bの加熱面68a,68bに対して前後方向で対向する非加熱面である外壁面60aには、複数(本実施形態では3つ)の凸部80が形成されている。これらの凸部80は、連通部69におけるボイラー室47に開口する開口部69aの口縁の一部を構成するように該開口部69aの口縁上に点在している。より具体的には、連通部69(開口部69a)の中心軸S1に対して真上となる一位置、及び同中心軸S1と略同一の高さ位置であって且つ同中心軸S1を基準として左右に対称となる二位置に、これらの凸部80が一つずつ形成されている。そして、これらの凸部80は、連通部69の開口部69aの口縁上にボイラー室47に臨む凹凸形状の非平面部を形成している。また、ボイラー室47の一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aには、連通部69の開口部69aに連続した凹溝81が該開口部69aから鉛直下方に延びるように形成されている。
【0036】
次に、上記のように構成された美顔器10の作用について、特に、ボイラー室47における一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aに設けられた凸部80の作用に着目して以下説明する。なお、前後の両ボイラー室47は同一構成であるため、以下ではPTCヒーター46aにより水が加熱される前側のボイラー室47について説明することにする。
【0037】
さて、図10(a)に示すように、ボイラー室47内の水がPTCヒーター46aの加熱面68aによって加熱されて沸騰すると、この沸騰した水に含まれる不純物がスケール82としてPTCヒーター46aの加熱面68aに対して析出する。この場合、PTCヒーター46aの加熱面68aは平面状をなしているため、この加熱面68aには平板状のスケール82が層状をなすように析出する。
【0038】
ここで、ボイラー室47内の水は、PTCヒーター46aの加熱面68aによって加熱されて沸騰した状態にあるため、ボイラー室47内の水には対流が生じている。そのため、図10(b)に示すように、ボイラー室47内の水の対流によってPTCヒーター46aの加熱面68aに析出したスケール82が部分的に剥離することがあり得る。
【0039】
この場合、図11(a)に示すように、剥離したスケール82は、重力に従ってボイラー室47内の水中を鉛直下方に沈降した後に、連通部69の開口部69aの中心軸S1よりも上方に設けられた凸部80によって下方から係止される。そのため、ボイラー室47への水の流入口を構成する連通部69の開口部69aが、剥離したスケール82によって閉塞されることが抑制される。
【0040】
また、図11(b)に示すように、凸部80によって係止されたスケール82が、ボイラー室47内の水の対流によってボイラー室47の底面まで重力に従って沈降し、連通部69の開口部69aを覆うこともあり得る。特に、ボイラー室47内は、沸騰した水によって内圧が高まった状態にあるため、ボイラー室47から連通部69内に水が逆流することにより、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを液密状に閉塞することもあり得る。
【0041】
この点、本実施形態によれば、連通部69の開口部69aの口縁上には、複数の凸部80が間隔を隔てて設けられている。そのため、これらの凸部80の先端にスケール82が密着したとしても、これらの凸部80の間の口縁に沿う隙間がスケール82と連通部69の開口部69aの口縁との間に確保される。したがって、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを覆うように沈降したとしても、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入が確実に確保される。
【0042】
特に、本実施形態によれば、連通部69の開口部69aの口縁の一部を構成するように複数の凸部80が設けられている。そのため、剥離したスケール82の大きさが連通部69の開口部69aよりも僅かに大きい場合であっても、かかるスケール82は連通部69の開口部69aの口縁上に設けられた凸部80の先端に確実に当接する。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、ボイラー室47における一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aには、連通部69の開口部69aから連続した凹溝64が形成されている。そのため、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aの口縁に対して張り付くように密着することが凹溝64の存在によってより確実に抑制される。その結果、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを液密状に閉塞することがより確実に抑制される。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0044】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)スケール82が連通部69の開口部69aの近傍に沈降したとしても、このスケール82は連通部69の開口部69aの口縁に形成された凹凸形状の非平面部に対して部分的に接触する。そのため、開口部69aの口縁とスケール82との間にはクリアランスが確保される。したがって、ボイラー室47に向けて開口部69aを通じて水を確実に供給することができる。
【0045】
(2)スケール82が連通部69の開口部69aの口縁に設けられた凸部80の先端に当接することにより、スケール82と連通部69の開口部69aの口縁との間に確実にクリアランスを確保することができる。
【0046】
(3)連通部69の開口部69aの中心軸S1よりも上側に設けられた凸部80は、重力に従って下方に沈降するスケール82を下方から係止することにより、連通部69の開口部69aの少なくとも一部を開放する。そのため、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することをより確実に抑制できる。
【0047】
(4)平面状をなすボイラー室47の内壁面に堆積した平板状のスケール82がその内壁面から剥離したとしても、そのスケール82は、連通部69の開口部69aに形成された凹凸形状の非平面部に対して、当該スケール82の平面状をなす面が若干のクリアランスを介在させた状態で接触する。そのため、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することを好適に抑制できる。
【0048】
(5)剥離したスケール82が、連通部69の開口部69aよりも僅かに大きい場合であっても、スケール82は、連通部69の開口部69aの口縁の一部を構成する凸部80の先端に確実に当接する。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0049】
(6)ボイラー室47の内壁面には、連通部69の開口部69aから連続した凹溝64が形成されているため、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aの口縁に対して張り付くように密着することをより確実に抑制できる。
【0050】
上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、図12(a)に示すように、ボイラー60における連通部69の開口部69aの口縁を囲むようにして、切り欠き部90aを有する略円筒状のリブ90を設けてもよい。この構成によれば、図12(b)に示すように、スケール82がリブ90の内側の開口部69aを覆うように沈降したとしても、連通部69とボイラー室47とはリブ90に設けられた切り欠き部90aを介して連通した状態が維持される。そのため、連通部69からボイラー室47に向けて水を確実に供給することができる。なお、リブ90に対する切り欠き部90aの形成位置は任意の位置を採用することができる。また、リブ90における複数の箇所に切り欠き部90aを設ける構成としてもよい。
【0051】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁を構成する凸部80は、該開口部69aの口縁上に任意の配置態様で設けてもよい。ただし、連通部69の開口部69aよりも上方から重力に従って沈降したスケール82を下方から係止して開口部69aが閉塞することを抑制するためには、開口部69aの中心軸S1よりも上側となる位置を含む配置態様で凸部80を設けることが望ましい。
【0052】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁から僅かに離間した位置に凸部80を設ける構成としてもよい。この構成においても、スケール82が連通部69の開口部69aを覆うように沈降したとしても、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することを抑制できる。
【0053】
・上記実施形態において、連通部69の内面から中心軸S1と平行な方向に延出した凸部を連通部69の開口部69aの口縁よりもボイラー室47側に突出するように設け、この凸部と開口部69aの口縁とによって非平面部を構成してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、ボイラー室47の内壁面を構成するボイラー60の外壁面60aにおける下方寄りの面域を非平面状に形成しておき、この非平面状の面域に連通部69の開口部69aが開口形成されるようにしてもよい。このようにすれば、連通部69における開口部69aの口縁は自ずと非平面部を構成することになる。
【0055】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64の延びる方向は鉛直方向下側に限定されず、任意の方向を採用することができる。また、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64を開口部69aの周囲の複数箇所に設けてもよい。
【0056】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁上に凸部80を設けることなく、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64を形成するようにしてもよい。この構成によれば、連通部69の開口部69aを覆うようにスケール82が沈降したとしても、連通部69とボイラー室47とが、開口部69aに連続するように設けられた凹溝64を介して連通した状態を維持することができる。
【0057】
・上記実施形態において、PTCヒーター46a,46bによりスチームを発生させるスチーム生成機構44に代えて、超音波振動にて水をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、ミストを発生させるようにしてもよい。
【0058】
・上記各実施形態において、本発明を美顔器10に具体化したが、加湿器などに具体化してもよい。
・上記実施形態では、液体として水に具体化したが、アルカリイオン水、美容液を含んだ水、電解水、芳香剤を含んだ水等で実施してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…美容装置としての美顔器、44…ミスト発生装置を構成するスチーム生成機構、47…ミスト室としてのボイラー室、69a…流入口を構成する開口部、80…凸部、90…凸部としてのリブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体からミストを生成するミスト発生装置、及び該ミスト発生装置を備えた美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載の蒸気発生装置が知られている。この蒸気発生装置では、蒸発槽の内側面に給水槽から延びる給水路の経路出口が開口され、その経路出口を介して蒸発槽内に供給された水を加熱手段の熱によって沸騰させることにより蒸気を発生させている。
【0003】
また、上記の蒸気発生装置には、蒸発槽の底部に設けられた排水口と、上記の経路出口が開口する内側面との間に、蒸発槽内を仕切るスケールネットが設けられている。そして、蒸発槽の内側面に水の加熱により生成されて付着したスケールが内側面から剥離して塊となって落下したとしても、このスケールはスケールネットを通過することができないため、排水口がスケールによって閉塞されることが抑制されるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−60943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の蒸気発生装置では、蒸発槽の内側面から剥離して落下したスケールが、蒸発槽の内側面に開口した給水路の経路出口を閉塞することにより、給水槽から蒸発槽への液体の供給が遮断されてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ミスト室内に液体を流入させる流入口が閉塞することを抑制できるミスト発生装置及び美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のミスト発生装置は、供給された液体からミストを発生させるミスト室を備え、前記ミスト室内に前記液体を流入させる流入口には、前記流入口の口縁によって、又は、前記流入口の口縁と当該口縁よりも前記ミスト室側に突出した凸部とによって、前記ミスト室内に臨む非平面部が形成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のミスト発生装置において、前記凸部は、前記流入口の口縁の一部を構成していることを特徴とする。
また、本発明のミスト発生装置において、前記凸部は、前記流入口の口縁における少なくとも当該流入口の中心位置よりも上側となる位置に設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のミスト発生装置は、前記ミスト室内における前記流入口の口縁よりも上側の内面が鉛直方向に沿った平面状をなすように構成されることを特徴とする。
また、本発明の美容装置は、ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、上記構成のミスト発生装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ミスト室内に液体を流入させる流入口が閉塞することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態の美顔器の斜視図。
【図2】同美顔器の背面図。
【図3】給水タンク及びタンクホルダーの断面図。
【図4】美顔器本体の背面図。
【図5】タンクホルダーに接続される管路の斜視図。
【図6】図2における6−6線矢視断面図。
【図7】美顔器本体を後方側から見た斜視図。
【図8】スチーム生成機構の拡大断面図。
【図9】ボイラーの斜視図。
【図10】(a)はPTCヒーターの加熱面にスケールが析出した状態を模式的に示す断面図、(b)は図10(a)に示す状態からスケールの一部が剥離した状態を模式的に示す断面図。
【図11】(a)は剥離したスケールが凸部に上方から係止した状態を模式的に示す断面図、(b)は剥離したスケールがボイラー室の底面まで沈降した状態を模式的に示す断面図。
【図12】(a)は本発明に係る別の実施形態のボイラーの斜視図、(b)は本発明に係る別の実施形態のボイラーにおいて、剥離したスケールがボイラーの底面まで沈降した状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をミスト発生装置を備える美容装置としての美顔器に具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合には、図中における矢印に示す方向を示すものとする。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の美顔器10における有底略円筒状の本体ケース11内には美顔器本体12が収容されている。また、本体ケース11の開口部と面一をなす美顔器本体12の上面にはノズル部13及びスイッチ部14が設置されている。そして、ノズル部13及びスイッチ部14を有する美顔器本体12の上面は、本体ケース11に対し開閉可能(傾動可能)に取り付けられたメインカバー15にて露出・隠蔽が可能とされている。
【0014】
ノズル部13は、美顔器本体12の上面の中央に設けられており、スチーム(温ミスト)を放出する一対のスチームノズル16a,16b、冷ミストを放出するミストノズル17、及びマイナスイオンを放出するイオンノズル18を有している。そして、ミストノズル17が左右方向中央位置に、スチームノズル16aがその右側に、スチームノズル16bが左側に、イオンノズル18がミストノズル17の上側にそれぞれ配置されている。尚、スチームノズル16a,16bは、互いの間隔が例えば70mmに設定されている。
【0015】
また、スチームノズル16a,16b、ミストノズル17、及びイオンノズル18の各放出方向は前側斜め上方の同一方向に向くように設定されている。すなわち、美顔器10の前側と使用者とが対向するように使用された時に、その使用者の顔表面に向けて各ノズル16a,16b,17,18の放出方向が向くように設定されている。また、このノズル部13にもノズルカバー19が開閉可能(傾動可能)に取り付けられ、その開閉にて各ノズル16a,16b,17,18の露出・隠蔽が可能とされている。
【0016】
また、ノズル部13の手前右側には、スイッチ部14として、それぞれ押しボタンスイッチにて構成される電源スイッチ20、運転制御スイッチ21、及びコース選択スイッチ22が設けられている。電源スイッチ20は、美顔器10のオンオフ操作を行うものである。また、運転制御スイッチ21及びコース選択スイッチ22は、その操作にて、スチームと冷ミストとを組み合わせて対象体に向けて放出するコースや、スチームのみを放出するコースといった各種のコースの選択、及びその決定(動作開始)を行うものである。
【0017】
また、メインカバー15の前端部には、開閉操作部23として、開閉操作板24及び開閉操作カバー25が設けられている。開閉操作板24は、メインカバー15に図示しない締結ねじにより固定された開閉操作カバー25に対して、その後端部が回動可能に取り付けられており、この開閉操作板24の前端部にはフック部26が設けられている。そして、開閉操作板24のフック部26は、メインカバー15が閉じられた際に、美顔器本体12の上面の前端部に設けられたフック受け部27に対して図示しないばねの付勢力に基づき掛止することにより、メインカバー15の開放動作をロックするようになっている。また、開閉操作カバー25の後端部にはフック部28が設けられており、このフック部28にはミストノズル17を掃除するためのミスト針29が着脱自在に取り付けられている。
【0018】
また、図2に示すように、美顔器本体12の後方下部における右寄りの位置には、インレットプラグ30が設けられている。そして、このインレットプラグ30には、外部から電源を供給するための電源コード31が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
また、美顔器本体12の後方下部における左寄りの位置には、美顔器本体12の内部から水(液体)を排水するための排水口32、及び該排水口32を通じた排水動作を操作するための排水操作板33が設けられている。そして、本体ケース11には、排水口32及び排水操作板33を覆うように排水カバー34が回動自在に取り付けられている。
【0020】
また、図1に示すように、ノズル部13の左側には、美顔器本体12の上面から凹設されてなるタンクホルダー35が設けられており、該タンクホルダー35内には、本体ケース11の開口部と面一となるように給水タンク36が着脱可能に収容されている。
【0021】
具体的には、図3に示すように、タンクホルダー35において給水タンク36を収容する内面には、給水タンク36を相対移動不能に係止させるタンク固定部37が設けられている。このタンク固定部37は、先端部38aが凸状をなすタンクフック38と、該タンクフック38をその先端部38aがタンクホルダー35の内側に向くようにして基端側から付勢するタンクフックバネ39とを備えている。そして、給水タンク36がタンクホルダー35に対して装着されると、タンクホルダー35の内側に付勢されたタンクフック38の先端部38aが、給水タンク36の外側面に設けられた凹部40に対して係合することにより、給水タンク36がタンクホルダー35に対して相対移動不能に係止されるようになっている。
【0022】
また、図4及び図5に示すように、タンクホルダー35の下部からは、図2に示した排水口32に連なる排出チューブ41が延設されている。この排出チューブ41の途中には分岐部42が設けられ、その分岐部42には下流側が二股状に分岐した給水チューブ43の上流端が接続されている。そして、この給水チューブ43の各下流端は、給水タンク36から給水された水からスチーム(ミスト)を発生させるミスト発生装置としてのスチーム生成機構44(図6参照)、及び給水タンク36から給水された水から冷ミストを生成する冷ミスト生成機構45に対してそれぞれ接続されている。なお、排出チューブ41における分岐部42よりも上流側及び給水チューブ43における分岐位置よりも上流側となる各位置からは分岐チューブ41a,43aが鉛直方向上側に延びるように分岐し、それらの各上端がタンクホルダー35に接続されている。そして、排出チューブ41内及び給水チューブ43内から気泡が各分岐チューブ41a,43a及びタンクホルダー35を通じて外部に排出されるようになっている。
【0023】
図6に示すように、スチーム生成機構44は、美顔器本体12の中央よりも前側に備えられており、駆動電流の供給に基づいて発熱しその発熱の自己制御機能を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター46a,46bを前側と後側にそれぞれ備えている。そして、スチーム生成機構44は、給水タンク36から給水チューブ43を介してPTCヒーター46a,46bの内側のミスト室としてのボイラー室47内に供給された水を沸騰させてスチーム(ミスト)の生成を行っている。
【0024】
ボイラー室47の上部には、生成したスチームを一対のスチームノズル16a,16bまで案内するためのスチーム案内管路48が接続されている。そのため、ボイラー室47にて生成されたスチームはスチーム案内管路48を通って各スチームノズル16a,16bまでそれぞれ案内される。そして、ボイラー室47やスチーム案内管路48内は高圧となるため、各スチームノズル16a,16bの放出孔からはある程度の勢いを以てスチームが放出されるようになっている。尚、スチームノズル16a,16bの放出孔の内径は例えば3.6mmに設定されている。
【0025】
また、スチーム案内管路48の途中位置には、スチーム放電部49が備えられている。スチーム放電部49は、自身の放電により、通過するスチームをより微細化するものである。また、このスチーム放電部49では、抗酸化作用があり肌にも良いとされる金属(例えば白金)を用い、放電を利用してその金属微粒子を発生させている。
【0026】
冷ミスト生成機構45は、スチーム生成機構44よりも後側に備えられており、ベンチュリー効果を用いて冷ミストを生成する。給水タンク36から給水チューブ43を通じて供給される水はスチーム生成として利用される他に冷ミスト生成としても利用され、その給水タンク36からの水の一部をミストノズル17まで送水する送水管路50が備えられている。送水管路50は、後側のPTCヒーター46bの放熱面の平面方向に蛇行して該放熱面に当接するように配置される殺菌部51を有している。この殺菌部51の内部には、所定の水量が保持されており、スチーム生成時の後側のPTCヒーター46bの熱(余熱)により、冷ミスト用の水が例えば80℃以上、30秒以上で殺菌処理されるようになっている。このように殺菌された水が送水管路50に供給される。その結果、ミストノズル17から放出される冷ミストは、美容に適した衛生状態に保たれる。
【0027】
また、図7に示すように、冷ミスト生成機構45として、美顔器本体12内には左右一対のポンプブロック52が設けられている。これらのポンプブロック52は、電源モーターを駆動源としたポンプ53と、該ポンプ53から送出される空気をミストノズル17に向けて流動させるエアチューブ54とを各々備えている。そして、各ポンプブロック52から送出される空気は、両エアチューブ54が接続されるエアパイプ55で混合されることにより風量が増大した状態で、エアチューブ56(図6参照)を通じてミストノズル17へと送風される。
【0028】
次に、スチーム生成機構44の詳細な構成について図8及び図9に基づき説明する。
図8に示すように、スチーム生成機構44のボイラー60における下方寄りの位置には、給水路61が水平方向に延びるように形成されている。そして、この給水路61の一端側(図8では右端側)には、給水チューブ43がはめ込むようにして接続されている。また、ボイラー60の下面には、鉛直方向に延びる垂直空間を形成するように混合部62が凹設されている。
【0029】
また、ボイラー60には、混合部62の下側の開口を液密状に封止するようにボイラーキャップ63が取着されている。ボイラーキャップ63は、前後両側が開口した略筒状をなしており、その内側の空間域64が給水路61の他端側(図8では左端側)に接続されている。また、ボイラーキャップ63において空間域64の内面の一部を構成する上壁部65にはボイラーキャップ63内の空間域64を混合部62に連通させる貫通孔66が上下方向に貫通するように形成されている。
【0030】
さらに、ボイラー60には、混合部62の上方となる位置に、給水路61から供給される水がボイラー60により加熱されてスチーム化した後に結露して高温の水となった場合に、その高温の水を一時的に貯留する貯留部67が鉛直方向に延びる垂直空間を形成するように設けられている。すなわち、混合部62及び貯留部67は、鉛直方向に延びる同一直線上に連続して延びるように構成されている。なお、この貯留部67の流路断面形状は、混合部62の流路断面形状よりも小さくなるように構成されている。そして、貯留部67の下端部は、混合部62の天井面の略中央位置に開口している。
【0031】
また、混合部62及び貯留部67の前後両側となる位置には、給水タンク36から供給された水をPTCヒーター46a,46bで加熱して沸騰させるためのボイラー室47が、ボイラー60における鉛直方向に沿う前後各外壁面60aとPTCヒーター46a,46bとの間に囲み形成される。
【0032】
ボイラー室47は、その内部空間が上下方向を長手方向とすると共に左右方向を短手方向とし且つ前後方向を厚み方向とする薄い略直方体形状をなしている。また、各ボイラー室47における上下方向に沿う両内壁面のうち、一方の内側面はボイラー60の前後各外壁面60aで構成される一方、他方の内壁面はボイラー室47の側方に上下方向に沿って立設された薄い平板状のPTCヒーター46a,46bの加熱面68a,68bで構成されている。そして、これらのボイラー室47の下端部に対して、その基端を混合部62の上端部に接続した連通部69の先端が接続されることにより、混合部62とボイラー室47とが連通されている。すなわち、連通部69の先端側(ボイラー室47側)の開口部69aは、混合部62からボイラー室47に向けて水を流入させる流入口を構成している。
【0033】
なお、連通部69は、前後方向に水平に延びるように設けられている。そのため、連通部69は、上下方向に延びる混合部62及び貯留部67に対して直交する構成となっている。そして、本実施形態では、給水路61、空間域64、貫通孔66、混合部62、連通部69により、給水タンク36から供給された水をボイラー室47に向けて供給する給水経路71が構成されている。そして、給水経路71を介してボイラー室47に供給された水は、ボイラー室47内でPTCヒーター46a,46bによって加熱されることによりスチーム化されるようになっている。
【0034】
また、ボイラー60には、貯留部67の上方となる位置に、その下部が貯留部67に連通するとともに、その上部がスチーム案内管路48内に対して図示しない通孔を介して連通する合流部72が形成されている。そして、この合流部72に対して前後両ボイラー室47の上端部から各々前後方向に水平に延びるように形成されたスチーム流路73が接続されている。すなわち、合流部72を介してスチーム流路73が貯留部67に対して連通している。そして、スチーム案内管路48内で結露した高温の水の一部がスチーム流路73を通じて貯留部67に還流されるようになっている。すなわち、貯留部67には、給水タンク36から給水経路71を通じて供給される水よりも高温の水が貯留される。そして、給水タンク36から供給される比較的低温の水は、貯留部67内に貯留された比較的高温の水と混合部62内で混合されて予備加熱された状態で、連通部69を通じてボイラー室47に供給されるようになっている。
【0035】
なお、図8及び図9に示すように、ボイラー60においてPTCヒーター46a,46bの加熱面68a,68bに対して前後方向で対向する非加熱面である外壁面60aには、複数(本実施形態では3つ)の凸部80が形成されている。これらの凸部80は、連通部69におけるボイラー室47に開口する開口部69aの口縁の一部を構成するように該開口部69aの口縁上に点在している。より具体的には、連通部69(開口部69a)の中心軸S1に対して真上となる一位置、及び同中心軸S1と略同一の高さ位置であって且つ同中心軸S1を基準として左右に対称となる二位置に、これらの凸部80が一つずつ形成されている。そして、これらの凸部80は、連通部69の開口部69aの口縁上にボイラー室47に臨む凹凸形状の非平面部を形成している。また、ボイラー室47の一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aには、連通部69の開口部69aに連続した凹溝81が該開口部69aから鉛直下方に延びるように形成されている。
【0036】
次に、上記のように構成された美顔器10の作用について、特に、ボイラー室47における一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aに設けられた凸部80の作用に着目して以下説明する。なお、前後の両ボイラー室47は同一構成であるため、以下ではPTCヒーター46aにより水が加熱される前側のボイラー室47について説明することにする。
【0037】
さて、図10(a)に示すように、ボイラー室47内の水がPTCヒーター46aの加熱面68aによって加熱されて沸騰すると、この沸騰した水に含まれる不純物がスケール82としてPTCヒーター46aの加熱面68aに対して析出する。この場合、PTCヒーター46aの加熱面68aは平面状をなしているため、この加熱面68aには平板状のスケール82が層状をなすように析出する。
【0038】
ここで、ボイラー室47内の水は、PTCヒーター46aの加熱面68aによって加熱されて沸騰した状態にあるため、ボイラー室47内の水には対流が生じている。そのため、図10(b)に示すように、ボイラー室47内の水の対流によってPTCヒーター46aの加熱面68aに析出したスケール82が部分的に剥離することがあり得る。
【0039】
この場合、図11(a)に示すように、剥離したスケール82は、重力に従ってボイラー室47内の水中を鉛直下方に沈降した後に、連通部69の開口部69aの中心軸S1よりも上方に設けられた凸部80によって下方から係止される。そのため、ボイラー室47への水の流入口を構成する連通部69の開口部69aが、剥離したスケール82によって閉塞されることが抑制される。
【0040】
また、図11(b)に示すように、凸部80によって係止されたスケール82が、ボイラー室47内の水の対流によってボイラー室47の底面まで重力に従って沈降し、連通部69の開口部69aを覆うこともあり得る。特に、ボイラー室47内は、沸騰した水によって内圧が高まった状態にあるため、ボイラー室47から連通部69内に水が逆流することにより、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを液密状に閉塞することもあり得る。
【0041】
この点、本実施形態によれば、連通部69の開口部69aの口縁上には、複数の凸部80が間隔を隔てて設けられている。そのため、これらの凸部80の先端にスケール82が密着したとしても、これらの凸部80の間の口縁に沿う隙間がスケール82と連通部69の開口部69aの口縁との間に確保される。したがって、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを覆うように沈降したとしても、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入が確実に確保される。
【0042】
特に、本実施形態によれば、連通部69の開口部69aの口縁の一部を構成するように複数の凸部80が設けられている。そのため、剥離したスケール82の大きさが連通部69の開口部69aよりも僅かに大きい場合であっても、かかるスケール82は連通部69の開口部69aの口縁上に設けられた凸部80の先端に確実に当接する。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、ボイラー室47における一方の内壁面(非加熱面)を構成するボイラー60の外壁面60aには、連通部69の開口部69aから連続した凹溝64が形成されている。そのため、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aの口縁に対して張り付くように密着することが凹溝64の存在によってより確実に抑制される。その結果、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aを液密状に閉塞することがより確実に抑制される。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0044】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)スケール82が連通部69の開口部69aの近傍に沈降したとしても、このスケール82は連通部69の開口部69aの口縁に形成された凹凸形状の非平面部に対して部分的に接触する。そのため、開口部69aの口縁とスケール82との間にはクリアランスが確保される。したがって、ボイラー室47に向けて開口部69aを通じて水を確実に供給することができる。
【0045】
(2)スケール82が連通部69の開口部69aの口縁に設けられた凸部80の先端に当接することにより、スケール82と連通部69の開口部69aの口縁との間に確実にクリアランスを確保することができる。
【0046】
(3)連通部69の開口部69aの中心軸S1よりも上側に設けられた凸部80は、重力に従って下方に沈降するスケール82を下方から係止することにより、連通部69の開口部69aの少なくとも一部を開放する。そのため、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することをより確実に抑制できる。
【0047】
(4)平面状をなすボイラー室47の内壁面に堆積した平板状のスケール82がその内壁面から剥離したとしても、そのスケール82は、連通部69の開口部69aに形成された凹凸形状の非平面部に対して、当該スケール82の平面状をなす面が若干のクリアランスを介在させた状態で接触する。そのため、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することを好適に抑制できる。
【0048】
(5)剥離したスケール82が、連通部69の開口部69aよりも僅かに大きい場合であっても、スケール82は、連通部69の開口部69aの口縁の一部を構成する凸部80の先端に確実に当接する。したがって、混合部62からボイラー室47への連通部69を通じた水の流入がより確実に確保される。
【0049】
(6)ボイラー室47の内壁面には、連通部69の開口部69aから連続した凹溝64が形成されているため、剥離したスケール82が連通部69の開口部69aの口縁に対して張り付くように密着することをより確実に抑制できる。
【0050】
上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、図12(a)に示すように、ボイラー60における連通部69の開口部69aの口縁を囲むようにして、切り欠き部90aを有する略円筒状のリブ90を設けてもよい。この構成によれば、図12(b)に示すように、スケール82がリブ90の内側の開口部69aを覆うように沈降したとしても、連通部69とボイラー室47とはリブ90に設けられた切り欠き部90aを介して連通した状態が維持される。そのため、連通部69からボイラー室47に向けて水を確実に供給することができる。なお、リブ90に対する切り欠き部90aの形成位置は任意の位置を採用することができる。また、リブ90における複数の箇所に切り欠き部90aを設ける構成としてもよい。
【0051】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁を構成する凸部80は、該開口部69aの口縁上に任意の配置態様で設けてもよい。ただし、連通部69の開口部69aよりも上方から重力に従って沈降したスケール82を下方から係止して開口部69aが閉塞することを抑制するためには、開口部69aの中心軸S1よりも上側となる位置を含む配置態様で凸部80を設けることが望ましい。
【0052】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁から僅かに離間した位置に凸部80を設ける構成としてもよい。この構成においても、スケール82が連通部69の開口部69aを覆うように沈降したとしても、スケール82が連通部69の開口部69aを閉塞することを抑制できる。
【0053】
・上記実施形態において、連通部69の内面から中心軸S1と平行な方向に延出した凸部を連通部69の開口部69aの口縁よりもボイラー室47側に突出するように設け、この凸部と開口部69aの口縁とによって非平面部を構成してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、ボイラー室47の内壁面を構成するボイラー60の外壁面60aにおける下方寄りの面域を非平面状に形成しておき、この非平面状の面域に連通部69の開口部69aが開口形成されるようにしてもよい。このようにすれば、連通部69における開口部69aの口縁は自ずと非平面部を構成することになる。
【0055】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64の延びる方向は鉛直方向下側に限定されず、任意の方向を採用することができる。また、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64を開口部69aの周囲の複数箇所に設けてもよい。
【0056】
・上記実施形態において、連通部69の開口部69aの口縁上に凸部80を設けることなく、連通部69の開口部69aに連続する凹溝64を形成するようにしてもよい。この構成によれば、連通部69の開口部69aを覆うようにスケール82が沈降したとしても、連通部69とボイラー室47とが、開口部69aに連続するように設けられた凹溝64を介して連通した状態を維持することができる。
【0057】
・上記実施形態において、PTCヒーター46a,46bによりスチームを発生させるスチーム生成機構44に代えて、超音波振動にて水をミスト化する装置や静電霧化装置を用いてミスト化する装置等を用い、ミストを発生させるようにしてもよい。
【0058】
・上記各実施形態において、本発明を美顔器10に具体化したが、加湿器などに具体化してもよい。
・上記実施形態では、液体として水に具体化したが、アルカリイオン水、美容液を含んだ水、電解水、芳香剤を含んだ水等で実施してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…美容装置としての美顔器、44…ミスト発生装置を構成するスチーム生成機構、47…ミスト室としてのボイラー室、69a…流入口を構成する開口部、80…凸部、90…凸部としてのリブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された液体からミストを発生させるミスト室を備え、
前記ミスト室内に前記液体を流入させる流入口には、前記流入口の口縁によって、又は、前記流入口の口縁と当該口縁よりも前記ミスト室側に突出した凸部とによって、前記ミスト室内に臨む非平面部が形成されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記凸部は、前記流入口の口縁の一部を構成していることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記凸部は、前記流入口の口縁における少なくとも当該流入口の中心位置よりも上側となる位置に設けられることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト室内における前記流入口の口縁よりも上側の内面が鉛直方向に沿った平面状をなすように構成されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のミスト発生装置を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項1】
供給された液体からミストを発生させるミスト室を備え、
前記ミスト室内に前記液体を流入させる流入口には、前記流入口の口縁によって、又は、前記流入口の口縁と当該口縁よりも前記ミスト室側に突出した凸部とによって、前記ミスト室内に臨む非平面部が形成されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記凸部は、前記流入口の口縁の一部を構成していることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載のミスト発生装置において、
前記凸部は、前記流入口の口縁における少なくとも当該流入口の中心位置よりも上側となる位置に設けられることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト室内における前記流入口の口縁よりも上側の内面が鉛直方向に沿った平面状をなすように構成されることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
ミストを放出して肌表面の手入れを行う美容装置において、
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のミスト発生装置を備えたことを特徴とする美容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−205727(P2012−205727A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73258(P2011−73258)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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