説明

ミスト発生装置及び美容装置

【課題】電力供給能力が異なる外部電源であっても、その電力供給能力の範囲内で動作可能なミスト発生装置及び美容装置を提供する。
【解決手段】放電を行う電極である第1の電極と、接地電極あるいは該第1の電極とは極性が反対の電位に設定される電極である第2の電極とで構成される電極部31と、放電電極部に液体を供給するペルチェ素子34とを有する負荷部に対して、外部電源16から入力される電力を供給し、電極部31から液体のミストを発生させる美容装置10であって、外部電源16の電力供給能力を把握して、その把握した電力供給能力を超えないように、負荷部に供給される電力を制御する制御部CSを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から入力される電力を用いて放電電極部に電圧が印加されることにより、該放電電極部に供給される液体のミストを発生させるミスト発生装置及び美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミストドライヤー等のミスト発生装置(美容装置)では、放電によって生成されたナノサイズのミストが、送風部の送り出す空気に乗って放出されている。こうしたミスト発生装置には、放電を行う第1の電極と、該第1の電極と電気的に対となる第2の電極とからなる放電電極部と、第1の電極を冷却して該第1の電極の表面に空気中の水分を結露させる液体供給部とが備えられている。そして、第1の電極と第2の電極との間に所定の高電圧が印加されると、第1の電極の表面に結露した水が放電によってレイリー分裂を起こす。続いて、上述のような静電霧化によって生成されたミストが、第1の電極と第2の電極との間を流れる空気によってミスト発生装置の外側へ運び出される。
【0003】
こうしたミスト発生装置の中には、例えば特許文献1のように、放電電極部の放電状態を安定させるために、第1の電極に液体を結露させる液体供給部への印加電圧を変更する制御手段を備えているものもある。また、車両用電源から電力供給を受けて動作するものもあり、例えば特許文献2では、蓄電池に蓄電した電力を用いて所定の時刻になると自動的に装置を動作させる制御手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−247477号公報
【特許文献2】特開2008−105614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年では、上述したミスト発生装置の小型化も進んで、持ち運び可能なものも実用化されつつある。それともなってミスト発生装置は、例えばコンピューター等に設けられているUSB(Universal Serial Bus)ポート等、複数種の外部電源からの電力供給が可能に構成されている。これらの外部電源には、各々に電力供給能力が定められており、その能力を超えた状態でミスト発生装置の運転がなされると、外部電源が正常に動作できなくなる虞がある。特に、外部電源としてコンピューターのUSBポートを用いる場合には、供給電圧が5V、最大電流が500mA(USB2.0仕様)と定められており、電力供給能力が比較的低いため特に注意が必要であった。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、電力供給能力が異なる外部電源であっても、その電力供給能力の範囲内で動作可能なミスト発生装置及び美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のミスト発生装置は、電圧を印加することにより放電を行う放電電極部と、前記放電電極部に液体を供給する液体供給部とを有する負荷部に対して、外部電源から入力される電力を供給し、前記放電電極部から前記液体のミストを発生させるミスト発生装置であって、前記外部電源の電力供給能力を把握して、その把握した電力供給能力を超えないように、前記負荷部に供給される電力を制御する電力制御部を
備える。
【0008】
上記構成において、前記外部電源によって蓄電される蓄電部を介して前記負荷部に電力が供給されることが好ましい。
上記構成において、前記蓄電部は、互いに異なる電力で蓄電されるように構成されており、相対的に小さい電力で蓄電が開始されることが好ましい。
【0009】
上記構成において、前記電力制御部は、前記放電電極部と前記液体供給部とを互いに異なるタイミングで始動させることが好ましい。
上記構成において、前記負荷部は、空気導入部と空気導出部とを有する空気流路に空気流を生成し、前記ミストを前記空気導出部から吹き出す送風部をさらに有し、前記電力制御部は、前記放電電極部、前記液体供給部、前記送風部を互いに異なるタイミングで始動させることが好ましい。
【0010】
上記構成において、前記負荷部における異常を検知する検知部と、前記異常を報知する報知部とを備え、前記電力制御部は、前記検知部から異常を示す信号が入力されると前記報知部を駆動することが好ましい。
【0011】
上記構成において、前記外部電源への電流の逆流を防止する逆流防止回路を備えていることが好ましい。
上記構成において、前記負荷部への電力供給を遮断する電力供給遮断回路を備えることが好ましい。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の美容装置は、電圧を印加することにより放電を行う放電電極部と、前記放電電極部に液体を供給する液体供給部とを有する負荷部に対して、外部電源から入力される電力を供給することによって、前記放電電極部から前記液体のミストを発生させるミスト発生装置を備えた美容装置であって、該ミスト発生装置が、上述したミスト発生装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力供給能力を超えないように負荷部に供給される電力が制御されることから、電力供給能力が異なる外部電源であったとしても、その電力供給能力の範囲内でミスト発生装置及び美容装置を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる美容装置の背面構造を示す背面図。
【図2】美容装置の正面構造を示す正面図。
【図3】美容装置の接続態様の一例を模式的に示す図。
【図4】図1に示した1−1線における美容装置の断面構造を示す断面図。
【図5】美容装置に内蔵されるファン及び流路形成部材を分解して示す分解斜視図。
【図6】美容装置の内部構造の一部を拡大して示す部分拡大図。
【図7】第1実施形態における美容装置の電気的構成を示すブロック図。
【図8】第1実施形態の美容装置における基本的な運転の流れを示すフローチャート。
【図9】第1実施形態の美容装置において、放電電極部と液体供給部とを同時期に始動させたときの電流の推移を示すグラフ。
【図10】第1実施形態の美容装置において、始動処理の処理手順を示すフローチャート。
【図11】第1実施形態の美容装置において、始動処理における各負荷部と電流値との関係を示すタイミングチャート。
【図12】第1実施形態の美容装置において、異常発生処理の処理手順を示すフローチャート。
【図13】第1実施形態の美容装置において、放電電極部での異常発生前後における各負荷部の駆動態様を示す図。
【図14】第2実施形態における美容装置の電気的構成を示すブロック図。
【図15】第2実施形態において、(a)蓄電時の蓄電部における電圧の推移の一例を示すグラフ、(b)蓄電時の蓄電部に流れ込む電流の推移の一例を示すグラフ。
【図16】第2実施形態において、(a)蓄電時の蓄電部における電圧の推移の一例を示すグラフ、(b)蓄電時の蓄電部に流れ込む電流の推移の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明のミスト発生装置を居住空間に設置される美容装置に具体化した第1実施形態について説明する。まず、美容装置の全体構成について図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
図1に示されるように、美容装置10が有する円板状の支持台11には、楕円体状に形成された筐体12が取り付けられている。この筐体12における支持台11側には、該筐体12を貫通する複数の矩形孔から構成される空気導入部12aが形成されている。一方、図2に示されるように、この筐体12における支持台11側とは反対側には、これもまた筐体12を貫通する1つの円形孔である空気導出部12bが形成されている。そして、筐体12の内部では、空気導入部12aから筐体12の内部へ空気が吸い込まれると、該空気が空気導出部12bから吹き出されるようになっている。
【0017】
なお、図3に示されるように、支持台11に形成されたコネクタ11aには、USBポートから電源を取り出すための電源ケーブル14が接続される。そして、電源ケーブル14のUSBプラグがコンピューター15に設けられたUSB電源に接続されると、これら電源ケーブル14とコンピューター15とで外部電源16が構成され、この外部電源16によって美容装置10が給電される。また、筐体12には、美容装置10の電源をON/OFFするための電源スイッチ17が形成されている。そして、電源スイッチ17がON操作されると各駆動部が駆動される。
【0018】
次に、美容装置10における内部の構成について図4〜図6を参照して説明する。図4に示されるように、美容装置10を構成する筐体12には、送風部としてのファン20が内蔵されている。ファン20は、筐体12の内部における支持台11側にて空気導入部12aと向かい合う位置に配設されている。このファン20における電源スイッチ17側には、支持台11側から電源スイッチ17側へ延びる矩形筒状の送風ポート20aが形成されている。そして、ファン20を駆動するための駆動信号がファン20に入力されると、筐体12における外側の空気がファン20によって筐体12の内部へ吸い込まれるとともに、筐体12の内部に吸い込まれた空気が送風ポート20aから電源スイッチ17側へ送り出される。
【0019】
ファン20が有する送風ポート20aには、筐体12に形成された空気導出部12bと該送風ポート20aとを連結する空気流路21が取り付けられている。この空気流路21は、送風ポート20aから支持台11とは反対側へ延びて空気導出部12b側へ屈曲するように形成されている。そして、ファン20の送風ポート20aから空気が送り出されると、送り出された空気は空気流路21を流れた後に空気導出部12bから筐体12の外へ吹き出される。
【0020】
図5に示されるように、空気流路21は、該空気流路21のうちで空気導出部12b側
を構成する第一流路部材22と、該空気流路21のうちで空気導入部12a側を構成する第二流路部材23とが嵌合することによって構成されている。
【0021】
まず、空気流路21のうち、第一流路部材22について以下に説明する。第一流路部材22における空気導出部12b側には、該空気導出部12bから第二流路部材23に向けて延びる矩形筒状の空気導出管22Pが形成されている。この空気導出管22Pの両筒端のうち、空気導出部12b側の筒端には、円形筒状の導出端部P1が形成されている。そして、導出端部P1が空気導出部12bに嵌め込まれることによって、第一流路部材22は筐体12に固定されている。これに対して、空気導出管22Pの両端部のうち、第二流路部材23側の筒端には、該第二流路部材23と連結する矩形筒状の連結端部P2が形成されている。また、連結端部P2の縁部には、第二流路部材23に向けて突出する複数の係止片22cが形成されている。
【0022】
なお、この空気導出管22Pの電源スイッチ17側には、制御部CSが配設されている。制御部CSは、電源スイッチ17から出力される操作信号を受けて、該操作信号に対応する駆動信号を各駆動部に出力することにより各駆動部における駆動の態様を制御する。
【0023】
上述した空気導出管22Pにおける支持台11側には、第二流路部材23に向けて窪む有底箱体の電源収容部22Sが、空気導出管22Pから支持台11に向けて延びるように形成されている。この電源収容部22Sには、各種駆動部への電源が入力される電力入力部PSが収容される。これに対して、空気導出管22Pにおける支持台11側のうち、電源収容部22Sの第二流路部材23側には、電源収容部22Sに向けて窪む第一収容部22Fが形成されている。
【0024】
上記第一収容部22Fは、図6に示されるように、ファン20における送風ポート20aの全体が該第一収容部22F内に収容されるように形成されている。この第一収容部22Fには、相対的に底が深い凹部である第一導入側凹部22aが支持台11側に形成されている。また、この第一収容部22Fには、相対的に底が浅い凹部であって、且つ、上記連結端部P2に連通する凹部である第一導出側凹部22bが、空気導出管22P側に形成されている。そして、相対的に底が深い第一導入側凹部22aにファン20の送風ポート20aが収容されている。
【0025】
次に、空気流路21のうち、第二流路部材23について以下に説明する。第二流路部材23は、図5に示されるように、上述した連結端部P2及び第一収容部22Fと向い合う板状に形成されている。この第二流路部材23にて上記係止片22cと向かい合う部位には、係止片22cと嵌合可能な複数の被係止部23cが形成されている。
【0026】
一方、第二流路部材23にて、連結端部P2及び第一収容部22Fと向い合う部位には、第一流路部材22側とは反対側に窪んだ凹部である第二収容部23Fが形成されている。この第二収容部23Fには、相対的に底が深い凹部である第二導入側凹部23aが、第一導入側凹部22aと向い合う部位に形成されている。また、この第二収容部23Fには、相対的に底が浅い凹部である第二導出側凹部23bが、第一導出側凹部22bと向かい合う部位に形成されている。
【0027】
上述した第二導入側凹部23aには、図6に示されるように、先の空気導入部12aと向い合う貫通孔である通気孔23vが形成されている。そして、上述した被係止部23cに係止片22cが嵌め込まれることによって、第二流路部材23に形成された通気孔23vの位置とファン20が有するファン吸気ポート20vとの位置が互いに整合するように、第一導入側凹部22aと第二導入側凹部23aとの間にファン20が取り付けられている。また、連結端部P2の開口縁と第一収容部22Fの開口縁とが第二収容部23Fの開
口縁に当接するように、第二流路部材23が第一流路部材22に固定されている。
【0028】
このような構成によれば、第一流路部材22と第二流路部材23とによって構成される空気流路21が、その流路の断面積に応じて下記三つの流路に区分される。
・第一導入側凹部22aと第二導入側凹部23aとに囲まれる導入側流路21i。
【0029】
・第一導出側凹部22bと第二導出側凹部23bとに囲まれる中間流路21m。
・空気導出管22Pそのものである導出側流路21b。
すなわち、導入側流路21iは、空気流路21のうちで吸気側の端部を構成する流路であって、その吸気側の端部に上記ファン20が配設された流路である。一方、中間流路21mは、空気流路21のうちで吸気側と空気導出側との間の流路であって、導入側流路21iや導出側流路21bよりも小さい流路の断面積を有している。他方、導出側流路21bは、空気流路21のうちで空気導出側の端部を構成する流路であって、その吸気側の端部に上記空気導出部12bが連結された流路である。そして、ファン20の送風ポート20aから空気が送り出されると、送り出された空気流Aの流速は、導入側流路21iを流れた後に中間流路21mで一旦速くなる。そして、中間流路21mを流れた空気流Aは、導出側流路21bにてその流速を減速させた後に空気導出部12bから筐体12の外へ吹き出される。
【0030】
次に、上記中間流路21mにミストを流入させる構成について図5及び図6を参照して説明する。中間流路21mを構成する第二導出側凹部23bの底壁には、図5に示されるように、該底壁を貫通する矩形孔であるミスト流入孔23hが形成されている。このミスト流入孔23hには、該ミスト流入孔23hにおける空気導出管22P側の縁から第一流路部材22とは反対側に向けて第二導出側凹部23bの底壁の一部が折り曲げられたかたちのガイド片23gが形成されている。
【0031】
一方、第二流路部材23において第一流路部材22とは反対側には、上述したガイド片23gが囲まれるような矩形筒状の包囲壁23wが、該反対側に向けて開口するように凸設されている。この包囲壁23wにおける開口には、該開口が閉じられるようにミスト生成部30が取り付けられている。すなわち、ミスト生成部30は、ファン20の回転によって空気流が形成される空気流路21の外に配設されている。
【0032】
ミスト生成部30における電極部31には、互いに対向する一対の電極である第1の電極32と第2の電極33とが配設されている。第1の電極32は、放電を行う電極であって、ミスト流入孔23hに向けて突出する針状に形成されている。第2の電極33は、接地電極あるいは第1の電極とは極性が反対の電位に設定される電極であって、第1の電極32の先端部側に配置された板状に形成されている。第2の電極33において第1の電極32の先端部と向かい合う部位には、貫通孔が形成されている。また、これら第1の電極32及び第2の電極33の周囲には、第1の電極32と第2の電極33との間に高電圧を印加するための電圧印加回路が形成されている。そして、上記電圧印加回路が駆動されると、第1の電極32と第2の電極33との間に高電圧が印加される。
【0033】
一方、第1の電極32の基端部には、第1の電極32の表面温度を所定の温度に冷却するためのペルチェ素子34が接続されている。ペルチェ素子34の冷却面は、第1の電極32に熱的に接触している一方、該ペルチェ素子34の放熱面は、第1の電極32側とは反対側に配置されている。また、ペルチェ素子34には、該ペルチェ素子34を駆動するための端子34aが取り付けられている。ペルチェ素子34の放熱面からの放熱は、該放熱面に接続された端子34aを通じて行われる。このような構成からなるミスト生成部30によれば、放熱面に放熱フィンを取り付ける必要がないため、ミスト生成部30のサイズを小さくすることが可能である。
【0034】
そして、空気導出部12bからミストを供給するための操作信号が入力されると、第1の電極32の表面が冷却されるべく、ペルチェ素子34に駆動電流が供給されて第1の電極32が冷却される。これによって、第1の電極32の表面には、空気中の水分が結露する。次いで、この状態から、第1の電極32と第2の電極33の間に高電圧が印加されると、第1の電極32の周辺に放電が生じる。そして、第1の電極32の表面に結露した水がこの放電によりレイリー分裂を起こして静電霧化する。すなわち、第1の電極32と第2の電極33との間の空間には、静電霧化方式にてミストが生成される。なお、ここで生成されるミストとは、直径が数nm〜数百nmの大きさのミストであって、人体の肌における角質層表面の隙間に浸透することによって肌に潤いとハリを与える効果を発現するものである。
【0035】
また、空気流路21に空気流が形成されるべく、ファン20に所定の駆動電圧が印加されて、図6に示されるように、空気流路21に空気流Aが形成される。一方、ミスト生成部30で生成されたミストは、放電時に印加される電圧によって、少なからず第1の電極32から第2の電極33に向けた速度成分Bを有することになる。そして、こうした速度成分Bを有したミストは、ガイド片23gに案内されるようにミスト流入孔23hを通過して中間流路21mへ流入する。中間流路21mでは、上述したように空気流の流速が相対的に速くなるため、ミスト流入孔23hを通過したミストが該空気流によって空気導出部12bまで効果的に運ばれることとなる。このように、ミストは、ファン20の下流で、ファン20による空気流Aと混合される。そして、ミストを含んだ空気流Aは、空気導出部12bから美容装置10の外へ放出される。
【0036】
このとき、ファン20によって形成される空気流Aが通る空気流路21の外にミスト生成部30が配設されているため、ミスト生成部30における第1の電極32と第2の電極33との間に空気流Aが直接流れ込むことがない。したがって、第1の電極32と第2の電極33との間における空気の流れが安定するため、ミストの生成量を安定させることができる。また、空気流路21の内部における空気の流れをミスト生成部30で遮ることがないため、空気流路21の内部においても乱流等の発生が抑制されて空気の流れが安定する。これにより、空気導出部12bから放出されるミストの供給量の安定性を高めることができる。
【0037】
なお、ミスト生成部30によって生成されたミストの他、包囲壁23w内の空気も中間流路21mの空気流Aによって中間流路21mへ流入する。一方、包囲壁23wとミスト生成部30との接続部分等からも包囲壁23w内には少なからず空気が流入し続ける。それゆえに、包囲壁23w内の空気が中間流路21mへ流入し続けるものの、ミスト生成部30と中間流路21mとの圧力差は概ね安定することとなる。
【0038】
次に、第1実施形態における美容装置10の電気的構成について図7を参照しながら説明する。
図7に示されるように、美容装置10は、外部電源16が接続されるコネクタ11aを備えた電力入力部PSと、美容装置10を統括制御する制御部CSとを有している。電力入力部PSは、上記コネクタ11aの下流側に配置される整流回路41と、整流回路41の下流側に配置されるスイッチング回路42とを有している。整流回路41は、美容装置10から外部電源16へ電流が流れること防止する。スイッチング回路42は、例えば機械的なスイッチやトランジスタなどで構成され、制御部CSによってON/OFF制御がなされる。スイッチング回路42は、通常時はON状態に制御されて、電極部31、ペルチェ素子34、ファン20等の各負荷部への電力供給が可能な状態となっているが、所定の条件が満たされるとOFF状態に制御されて各駆動部への電力供給が遮断される。電力入力部PSは、外部電源16から入力される電力を、図示しない変圧回路で所定の電圧に
変圧したうえで制御部CSに供給する。
【0039】
制御部CSは、電力入力部PSから電力供給を受けて動作するとともに、図示しないCPU、ROM及びRAMで構成されている。ROMには、CPUが実行する各種制御プログラムや各種データ、例えば上記所定電圧を印加させたときにおける電極部31、ペルチェ素子34、ファン20等の各負荷部における消費電力が個別に規定された消費電力データ等が記憶されている。なお、ペルチェ素子34は、電力効率が低いため負荷部の中で最も消費電力が大きい。一方、RAMには、CPUによる演算結果及び処理結果である各種データなどが一時的に記憶される。制御部CSは、各部からの入力信号に応答して、ROMに記憶された制御プログラムに基づく各種処理を実行する。
【0040】
制御部CSには、図示しない入力側インターフェースを介して、電源スイッチ17が電気的に接続されている。電源スイッチ17は、使用者によってON操作あるいはOFF操作される。制御部CSは、電源スイッチ17がON操作されて該電源スイッチ17からON操作に基づく操作信号であるON信号が入力されると美容装置10を始動させる。一方、電源スイッチ17がOFF操作されて該電源スイッチ17からOFF操作に基づく操作信号であるOFF信号が入力されると美容装置10を停止させる。
【0041】
制御部CSには、図示しない出力側インターフェースを介して、ペルチェ素子34が電気的に接続されている。制御部CSは、ペルチェ素子34をON/OFF制御することによって第1の電極32の温度を制御し、該第1の電極32への液体供給量を制御する。また制御部CSには、ペルチェ素子34の異常を検出する異常検出センサ45が電気的に接続されている。異常検出センサ45は、ペルチェ素子34の印加電圧値、電流値などを所定の周期で検出し、その検出した値が予め定めた範囲外である場合に、ペルチェ素子34に異常が発生していることを示す検出信号を制御部CSに出力する。
【0042】
制御部CSには、図示しない出力側インターフェースを介して、電極部31が電気的に接続されている。制御部CSは、電極部31をON/OFF制御することによってミスト発生量を制御する。また制御部CSには、電極部31の異常を検出する異常検出センサ46が電気的に接続されている。異常検出センサ46は、電極部31の印加電圧値、電流値などを所定の周期で検出し、その検出した値が予め定めた範囲外である場合に、電極部31に異常が発生していることを示す検出信号を制御部CSに出力する。
【0043】
制御部CSには、図示しない出力側インターフェースを介して、ファン20が電気的に接続されている。制御部CSは、ファン20をON/OFF制御することによって空気流路21を流れる空気流Aの流量を制御する。また制御部CSには、ファン20の異常を検出する異常検出センサ47が電気的に接続されている。異常検出センサ47は、ファン20の印加電圧値、電流値、回転数、温度などを所定の周期で検出し、その検出した値が予め定めた範囲外である場合に、ファン20に異常が発生していることを示す検出信号を制御部CSに出力する。
【0044】
制御部CSには、図示しない出力側インターフェースを介して、報知部48が電気的に接続されている。報知部48は、例えば、所定の効果音を発する発音部や図示しない表示パネルなどの表示部で構成されており、これらを通じて美容装置10の動作状態を使用者に通知する。制御部CSは、上記異常検出センサ45〜47のいずれか1つから検出信号が入力された場合など、必要な場合にのみ報知部48を駆動し、異常発生を示す効果音を発したり異常発生を示す表示をしたりして、使用者に対して美容装置10に異常が発生していることを通知する。
【0045】
制御部CSには、スイッチング回路51が電気的に接続されている。スイッチング回路
51は、例えば機械的なスイッチやトランジスタなどで構成されており、制御部CSとペルチェ素子34との間に介在されて制御部CSによってON/OFF制御される。スイッチング回路51は、通常時はON状態に制御されてペルチェ素子34へ電力供給が可能な状態となっているが、制御部CSからの制御信号を受けてOFF状態に制御されるとペルチェ素子34への電力供給を遮断する。
【0046】
制御部CSには、スイッチング回路52が電気的に接続されている。スイッチング回路52は、例えば機械的なスイッチやトランジスタなどで構成されており、制御部CSと電極部31との間に介在されて制御部CSによってON/OFF制御される。スイッチング回路52は、通常時はON状態に制御されて電極部31への電力供給が可能な状態となっているが、制御部CSからの制御信号を受けてOFF状態に制御されると電極部31への電力供給を遮断する。
【0047】
制御部CSには、スイッチング回路53が電気的に接続されている。スイッチング回路53は、例えば機械的なスイッチやトランジスタなどで構成されており、制御部CSとファン20との間に介在されて制御部CSによってON/OFF制御される。スイッチング回路53は、通常時はON状態に制御されてファン20への電力供給が可能な状態となっているが、制御部CSからの制御信号を受けてOFF状態に制御されるとファン20への電力供給を遮断する。
【0048】
次に、上述した構成の美容装置10において実行される各種処理について説明する。まず、美容装置10の基本的な運転の流れについて図8を参照して説明する。
図8に示されるように、美容装置10に外部電源16が接続されると(ステップS10)該外部電源16の電力供給能力、すなわち外部電源16から入力される電圧や外部電源16の許容電流値を把握する電力供給能力把握処理が実行される(ステップS20)。外部電源16の電力供給能力が把握されると、その把握した電力供給能力で美容装置10を運転させるだけの電力供給能力があるか否かの判断がなされる(ステップS30)。
【0049】
外部電源16がその電力を供給可能であると判断される場合(ステップS30:YES)、美容装置10は待機状態に移行される(ステップS40)。この待機状態において電源スイッチ17のON操作がなされると(ステップS50)、装置の始動運転から定常運転までの処理である始動処理が実行される(ステップS60)。始動処理(ステップS60)が終了すると、RAMの所定領域に格納した外部電源16の電力供給能力とROMに記憶されている消費電力データとに基づいて、該電力供給能力を超えないようにペルチェ素子34、電極部31、ファン20がON/OFF制御される定常運転に移行する(ステップS70)。
【0050】
やがて電源スイッチ17のOFF操作がなされると(ステップS80)、美容装置10の運転を停止させる停止処理が実行される(ステップS90)。この停止処理では、ペルチェ素子34、電極部31、ファン20等への電力供給が停止されることで美容装置10を停止させる。
【0051】
一方、上記ステップS30において、外部電源16の電力供給能力では美容装置10を動作させるのに必要な電力が供給できないと判断されると(ステップS30:NO)、報知部48が駆動されて所定の効果音を発するとともに表示部に所定の表示がなされることでその旨を使用者に通知し、一連の処理を終了させる(ステップS100)。
【0052】
以上が美容装置10の基本的な運転の流れであるが、これらの処理の他に美容装置10は、電源スイッチ17のON操作がなされると、後述する異常発生処理を並行して実行する。
【0053】
次に、上述した各種処理について図9〜図13を参照して説明する。なお、これらの各種処理は、制御部CSのROMに記憶させた制御プログラムに基づいて実行される。
まず、上述した電力供給能力把握処理(ステップS20)について説明する。この電力供給能力把握処理(ステップS20)は、制御部CSに対して外部電源16の電力供給能力を把握させるための処理である。外部電源16の電力供給能力は、例えば以下のようにして把握することが可能である。
【0054】
まず、制御部CSが外部電源16から入力される電圧を測定可能に構成しておく。そして外部電源16が接続されると制御部CSは、最も消費電力の大きいペルチェ素子34を試験的に駆動するとともに外部電源16から入力される電圧を測定する。このとき、外部電源16に所定の電圧降下が確認されることで外部電源16の電力供給能力を把握することができる。制御部CSは、こうして把握した外部電源16の電力供給能力をRAMの所定領域に格納する。なお、本実施形態では、USB電源であるため、電力供給能力として供給電圧5V、許容電流値500mAを示すデータが格納される。
【0055】
次に、電源スイッチ17がON操作されることによって実行される始動処理(ステップS60)について図9及び図10を参照して説明する。
ここで、電極部31、ペルチェ素子34などには、その始動時に定常運転時よりも大きな電流である突入電流が発生する。そのため、図9に示されるように、電極部31及びペルチェ素子34を同時期に始動させるとなれば、それら電極部31及びペルチェ素子34への突入電流が同時期に発生することになり外部電源16の電力供給能力(許容電流値)を超えてしまう虞がある。そこで本実施形態では、ROMに記憶された制御プログラムに基づいて、図10に示されるような手順で始動処理(ステップS60)が実行される。
【0056】
図10に示されるように、電源スイッチ17のON操作がなされると、まず、ファン20に対する電力供給が開始されて、空気導入部12aから空気導出部12bへと向かう空気流Aが空気流路21形成される(ステップS61)。次に、ファン20が定常運転となるのに十分な時間T1だけ美容装置10を待機させる(ステップS62)。そしてファン20の駆動から時間T1経過後、ペルチェ素子34に対する電力供給が開始されて第1の電極32の冷却される(ステップS63)。すなわち、駆動電流の安定する定常運転にファン20を移行させてからペルチェ素子34に電力供給が開始される。これにより、ファン20及びペルチェ素子34への突入電流が同時期に発生することを防止することができる。
【0057】
続いて、ステップS62と同様に、ペルチェ素子34の駆動電流が安定するとともに第1の電極32に液体が供給されるのに十分な時間T2だけ美容装置10を待機させる(ステップS64)。そしてペルチェ素子34の駆動から時間T2経過後、電極部31に対する電力供給が開始される(ステップS65)。これにより、第1の電極32に供給された液体がレイリー分裂を起こし、ナノサイズのミストが生成される。
【0058】
すなわち、図11に示されるように、駆動電流の安定する定常運転にペルチェ素子34を移行させてから電極部31に電極供給が開始される。これにより、ファン20、ペルチェ素子34、電極部31への電力供給が異なるタイミングで開始されることから、これら各負荷部への突入電流が同時期に発生することを防止することができる。
【0059】
また、上述したステップS64においては、ペルチェ素子34及び電極部31への突入電流が同時期に発生することを防止するだけでなく、待機中に第1の電極32の冷却を進行させて、該第1の電極32に対して十分な水分を供給することも可能になる。そして次のステップS65においては、電極部31の空放電が抑制されることから、該電極部31
の寿命を延すこともできる。
【0060】
こうした始動処理(ステップS60)が実行される美容装置10においては、外部電源16の電力供給能力を超えることなく美容装置10を定常運転に移行させることができる。また、ファン20、ペルチェ素子34、電極部31への電力供給を異なるタイミングで開始する際に最初にファン20に電力供給がなされることで、使用者に対して聴覚を通じて美容装置10が始動したことを認識させることもできる。
【0061】
次に、電源スイッチ17のON操作後に並行して実行される異常発生処理について図12及び図13を参照しながら説明する。
上述したように、電源スイッチ17がON操作された美容装置10においては、上述した基本的な流れの他、異常発生処理が並行して実行される。図12に示されるように、この異常発生処理においては、電源スイッチ17がON操作されると、異常検出センサ45〜47が駆動されて美容装置10に異常が発生していないか否かを監視する(ステップS111)。そして、異常検出センサ45〜47のいずれか1つから異常を検出した検出信号が制御部CSに入力されると、消費電力の最も大きいペルチェ素子34、及び、検出信号を出力した異常検出センサに対応する負荷部のスイッチング回路がOFF制御されて電力供給が停止される(ステップS112)。
【0062】
ここで、ペルチェ素子34を含めた全ての負荷部に電力が供給されている状態で報知部48を駆動した場合には、報知部48を駆動するだけの電力が新たに必要となるため、それによって外部電源16の電力供給能力を超えてしまう虞がある。しかし、異常が検出されたときに負荷部の中でも最も消費電力の大きいペルチェ素子34のスイッチング回路51をOFF制御することにより、外部電源16の電力供給能力を超えることなく、他の機器に供給する電力を確保することができる。
【0063】
そして制御部CSは、ペルチェ素子34に供給されていた電力を用いて報知部48を駆動して異常を示す効果音を発音部から発せさせるとともにその旨を表示部に表示させる。すなわち制御部CSは、外部電源16の電力供給能力を超えることなく、装置に異常が発生したことを使用者に通知する(ステップS113)。こうして美容装置10の異常発生処理が終了する。
【0064】
また、この異常発生処理においてファン20は、それ自体に異常が発生しなければ駆動され続けることになる。すなわち、図13に示されるように、例えば電極部31に異常が生じた場合には、ファン20には電力が供給され続ける一方、ペルチェ素子34及び電極部31への電力供給が停止されて報知部48への電力供給が開始される。こうした構成によれば、ペルチェ素子34及びスイッチング回路51の両方に異常が生じてペルチェ素子34に電力が供給され続けてしまう場合には、ペルチェ素子34がかなり高温になる虞があるが、ファン20が形成する空気流Aによってペルチェ素子34を冷却することが可能である。また、電極部31及びスイッチング回路52に異常が生じて電極部31に電力が供給され続けてしまう場合には、放電によって生成される帯電微粒子が装置内に滞留してしまう虞があるが、ファン20が形成する空気流Aに乗せて該帯電微粒子を美容装置10の外側に放出することができる。
【0065】
以上説明したように、第1実施形態における美容装置10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記構成の美容装置10では、電流供給能力把握処理(ステップS20)において外部電源16の電力供給能力が把握され、その把握した電力供給能力を超えないように各負荷部がON/OFF制御される。それゆえに、電力供給能力が異なる外部電源であっても、その電力供給能力の範囲内で美容装置10を動作させることができる。
【0066】
(2)上記構成の美容装置10では、ペルチェ素子34、電極部31、ファン20がそれぞれ異なるタイミングで始動されることから、始動時に発生する突入電流の発生時期をずらすことができる。それゆえに、美容装置10の始動時に外部電源16に要求される電流値を電力供給能力の範囲内に抑えることができる。
【0067】
(3)上記構成の美容装置10では、異常検出センサ45〜47からの入力信号に基づいて報知部48が駆動されることから、装置に異常が発生したことを使用者に通知することができる。これにより使用者は、電源スイッチのOFF操作などの安全対策をいち早く講じることができる。
【0068】
(4)上記構成の美容装置10において報知部48は、制御部CSによって装置に異常が発生していると判断される場合にのみ駆動される。こうした構成によれば、異常発生時以外は報知部48に電力が供給されないことから、報知部48を駆動するために必要な電力の分だけ電極部31やペルチェ素子34に供給される電力を高めることができる。すなわち、外部電源16の電力供給能力をその上限付近までミストの生成に用いることができる。それゆえに、美容装置10の静電霧化に関する性能を高めることができる。
【0069】
(5)上記構成の美容装置10の異常発生処理では、最も消費電力の大きいペルチェ素子34のスイッチング回路51がOFF制御されたうえで報知部48が駆動される。こうした構成によれば、報知部48を駆動するための電力を外部電源16の電力供給能力の範囲内で確保したうえで報知部48を駆動することができる。
【0070】
(6)上記構成の美容装置10のペルチェ素子34、電極部31、ファン20には、制御部CSによってON/OFF制御されるスイッチング回路51〜53を通じて電力供給がなされる。そして、異常発生処理では、異常部に対応するスイッチング回路がOFF制御される。これにより、異常部に起因して美容装置10に新たな異常が生じることを防止することができる。
【0071】
(7)美容装置10ではその電位が外部電源16よりも一時的に高くなることがある。その場合、美容装置10から外部電源16へと電流が流れ込んでしまうことで外部電源16に故障や誤作動といった不具合が生じてしまう虞がある。例えば、本実施形態のようにコンピューター15のUSB電源を外部電源16としている場合には、コンピューター15のハードディスクのみならず他のUSBポートに接続された機器に不具合が生じる虞もある。この点、上記構成の美容装置10では、電力入力部PSに整流回路41が設けられていることで美容装置10から外部電源16に電流が流れ込むことを防止することができる。これにより、故障や誤作動などといった外部電源16の不具合を防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明にかかるミスト発生装置を具体化した第2実施形態について図14〜図16を参照して説明する。なお、第1実施形態では、制御部CSとスイッチング回路51〜53とが電気的に直接接続されていたが、第2実施形態では制御部CSとスイッチング回路51〜53とが蓄電部55を介して電気的に接続されている。以下では、蓄電部55に関して詳細に説明するとともに、第1実施形態と同じ構成ついては第1実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0072】
図14に示されるように、第2実施形態の美容装置10には、蓄電部55が設けられている。蓄電部55は、例えばコンデンサーなどで構成されており、外部電源16から供給される電力を蓄電する。すなわち、ペルチェ素子34、電極部31、ファン20等の各負荷部には、蓄電部55に一旦蓄電された電力が供給される。蓄電部55から各負荷部に供
給される電力は、蓄電部55を介すことなく各負荷部に供給される電力に比べて電気的なノイズが少ない。そのため、各負荷部に蓄電部55の電力が供給される第2実施形態の美容装置10においては、各負荷部を安定して動作させることができる。また、外部電源16の電力供給能力を超えるような電力が負荷部に供給されるとしても、その電力は蓄電部55から供給される電力である。すなわち、外部電源16にとっては蓄電部55がバッファーとして機能することから、負荷部に供給される電力が外部電源16に与える電気的な影響を緩和することができる。
【0073】
なお、蓄電部55において、充電時間をt、そのとき蓄電部55に流れ込む電流値をI(t)、電力入力部PSと蓄電部55の電位差をE、外部電源16から蓄電部55までの電気的な抵抗をR、蓄電部55の静電容量をCとすると下記の式(1)で示される。
【0074】
I(t)=E/R×exp((−1/RC)t)…(1)
この式(1)からも明らかなように、外部電源16と蓄電部55との電位差Eが大きいほど、すなわち蓄電部55の電位が低いほど蓄電部55には大きな電流が流れることになる。また外部電源16から蓄電部55までの電気的な抵抗が小さいほど蓄電部55には大きな電流が流れ込み充電時間が短くなることになる。そのため、図15に示されるように、蓄電開始時の蓄電部55に外部電源16の電力供給能力を超える電流が流れ込む虞がある。これは、電気的な抵抗が大きい蓄電経路を通じて蓄電部55を蓄電することで解消可能であるが、蓄電部55に流れ込む電流が小さくなるため、蓄電部55が十分に蓄電されるまでに多大な時間を要することになる。
【0075】
そこでこの美容装置10においては、図14に示されるように、電気的な抵抗が相対的に大きい第1蓄電回路56と電気的な抵抗が相対的に小さい第2蓄電回路57とで蓄電経路が構成されている。この第1蓄電回路56の電気的な抵抗は、たとえ蓄電部55の電位が低い状態で蓄電が開始されても、美容装置10に適用可能な全ての外部電源16の電力供給能力を超えない電流が蓄電部55に流れ込む程度のものである。そして制御部CSは、ROMに記憶した制御プログラムに基づき、蓄電経路として第1蓄電回路56あるいは第2蓄電回路57を選択する。
【0076】
詳述すると、図16に示されるように、制御部CSは、電力供給能力把握処理(ステップS20)で把握された外部電源16の供給能力が美容装置10を運転させるために必要な電力が供給可能であると判断される(ステップS30:YES)と、電気的な抵抗が相対的に大きい第1蓄電回路56を選択して蓄電部55の蓄電を開始する。これにより、たとえ蓄電開始時に蓄電部55の電位が低い状態であったとしても、外部電源16の電力供給能力を超える電流を蓄電部55が要求することがない。
【0077】
制御部CSは、蓄電部55の蓄電を開始してから時間T3経過後、蓄電経路を第1蓄電回路56から第2蓄電回路57へと切り替える。この時間T3とは、蓄電経路を電気的な抵抗の低い第2蓄電回路57に切り替えたときに蓄電部55に流れ込む電流が外部電源16の電力供給能力内となる状態まで蓄電部55が第1蓄電回路56を通じて蓄電されるまでに要する時間である。こうした構成によれば、充電経路が第2蓄電回路57に切り替えられると電気的な抵抗が小さくなるため蓄電部55に流れ込む電流が大きくなるものの、外部電源16の電力供給能力を超える電流が蓄電部55に流れ込むことを抑えられる。そして制御部CSは、コネクタ11aから外部電源16が外されるまで第2蓄電回路57を用いて蓄電部55を蓄電し続ける。なお、こうした制御部CSの蓄電経路の選択は、美容装置10が待機中であるか稼動中であるかに関わらず実行される。
【0078】
以上説明したように第2実施形態の美容装置10によれば、第1実施形態に記載した(1)〜(7)に記載した効果に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(8)上記構成の美容装置10では、各負荷部に蓄電部55から電力が供給される。これにより、各負荷部に供給される電力を安定させることができる。
【0079】
(9)また、外部電源16にとっては蓄電部55がバッファーとして機能することから、負荷部で消費される電力に起因する外部電源16への電気的な影響を緩和することができる。
【0080】
(10)上記構成の美容装置10では、電気的な抵抗が相対的に大きい第1蓄電回路56と電気的な抵抗が相対的に小さい第2蓄電回路57とで蓄電経路が構成され、制御部CSによって蓄電経路が選択される。これにより、蓄電部55の電位が低い状態であっても、外部電源16の電力供給能力を超える電流が蓄電部55に流れ込むことがない。
【0081】
(11)そして、蓄電開始から時間T3経過後に第2蓄電回路57に切り替えられることから、第1蓄電回路56のみで蓄電がなされる場合に比べて、蓄電部55が十分に蓄電されるまでに要する時間を短縮することができる。
【0082】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。
・上記第1及び第2実施形態において、スイッチング回路51〜53は、異常発生時に負荷部への電力供給を遮断できるものであればよく、例えば電力ヒューズなどで構成されていてもよい。
【0083】
・上記第1及び第2実施形態において、スイッチング回路51〜53が割愛される構成であってもよい。こうした構成においては、異常発生処理で例えばペルチェ素子34への電力供給を停止する際には、制御部CSの制御によりペルチェ素子34の駆動を直接停止させるとよい。
【0084】
・上記第1及び第2実施形態の電力入力部PSにおいて、整流回路41が割愛されてもよい。この際、美容装置10の電位が外部電源16よりも高くなることを抑える対策が必要となる。
【0085】
・上記第1及び第2実施形態の異常発生処理において、異常発生時には、ペルチェ素子34及び電極部31への電力供給が停止されてもよい。また、電極部31、ペルチェ素子34、ファン20、これら全てへの電力供給を停止して、報知部48のみに電力供給がなされる構成であってもよい。こうした構成によれば、異常発生時には電極部31への電力供給がなされることがないことから、第1の電極32に液体が結露していない状態での放電、すなわち空放電を抑えることができる。これにより電極部31の寿命を延すことができる。
【0086】
・また、報知部48が割愛される構成であってもよい。こうした構成における異常発生処理では、各スイッチング回路51〜53、あるいはスイッチング回路42をOFF制御することにより、各負荷部への電力供給を一斉に停止させるとよい。
【0087】
・上記第1及び第2実施形態の始動処理(ステップS60)においては、ペルチェ素子34の始動から、ペルチェ素子34によって第1の電極32に液体が供給されるのに十分な時間T1経過後に電極部31を始動させた。これに限らず電極部31を始動させるタイミングは、例えば、第1の電極32の温度を検出する検出センサを制御部CSに電気的に接続する。そしてその検出センサからの検出信号に基づいて、第1の電極32の温度が所定の温度を下回ったときであってもよい。
【0088】
・また例えば、第1の電極32付近の温度及び湿度を検出する検出センサを制御部CS
に電気的に接続する。そしてその検出センサからの検出信号に基づいて、第1の電極32付近の温度及び湿度が所定値を満たしてから所定時間経過したときであってもよい。
【0089】
・上記第1及び第2実施形態の始動処理(ステップS60)においては、ファン20、ペルチェ素子34、電極部31の順で始動させたが、始動させる順序はこれに限られるものではない。例えば、ペルチェ素子34、電極部31、ファン20という順序にしてもよい。この順序であれば、電極部31付近におけるミストが十分な濃度に到達してからミストを装置の外側へ放出させることができる。
【0090】
・上記第1及び第2実施形態において、電極部31、ペルチェ素子34、ファン20の突入電流の合計が外部電源の電力供給能力を超えなければ、これらを同時期に始動させてもよい。
【0091】
・上記第2実施形態において蓄電経路は、第1蓄電回路56と第2蓄電回路57とで構成されている。これに限らず、蓄電経路は、第1及び第2蓄電回路56,57に加えて、例えば第2蓄電回路57よりも電気的な抵抗の小さい第3蓄電回路をさらに有していてもよい。こうした構成であれば、制御部CSの選択によって、蓄電部55を十分に蓄電するまでの時間をさらに短縮することが可能になる。
【0092】
・上記第2実施形態において電極部31、ペルチェ素子34、ファン20は、共通する1つの蓄電部55から電力が供給されている。これを変更して、電極部31、ペルチェ素子34、ファン20の各々が互いに異なる蓄電部から電力が供給される構成であってもよい。
【0093】
・上記第1及び第2実施形態の電力供給能力把握処理(ステップS20)では、外部電源の電力供給能力が把握されればよく、その把握方法は限定されるものではない。例えば、次のようにして外部電源の電力供給能力を把握してもよい。
【0094】
すなわち、美容装置10に接続可能な外部電源、例えば車のシガーソケット、ACアダプタ、電池等の各々に対応するコネクタを電力入力部PSに設ける。ROMには、外部電源が接続されるコネクタと各外部電源の電力供給能力とを関連付けた外部電源データを記憶させる。そして制御部CSに各コネクタを監視させ、外部電源が接続されたコネクタと上記外部電源データとによって、外部電源の電力供給能力を把握させてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、第1の電極32を冷却するペルチェ素子で液体供給部を構成した。これに限らず、液体供給部は、タンク内に貯留された液体をポンプや配管等を用いて電極部31に供給するような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
CS…電力制御部としての制御部、PS…電力入力部、10…美容装置、12a…空気導入部、12b…空気導出部、16…外部電源、20…送風部としてのファン、21…空気流路、30…ミスト生成部、31…電極部、34…ペルチェ素子、41…逆流防止回路としての整流回路、45,46,47…検知部としての異常検出センサ、48…報知部、42,51,52,53…電力供給遮断回路としてのスイッチング回路、55…蓄電部、56…第1蓄電回路、57…第2蓄電回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を印加することにより放電を行う放電電極部と、前記放電電極部に液体を供給する液体供給部とを有する負荷部に対して、外部電源から入力される電力を供給し、前記放電電極部から前記液体のミストを発生させるミスト発生装置であって、
前記外部電源の電力供給能力を把握して、その把握した電力供給能力を超えないように、前記負荷部に供給される電力を制御する電力制御部を備える
ことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記外部電源によって蓄電される蓄電部を介して前記負荷部に電力が供給される
請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記蓄電部は、
互いに異なる電力で蓄電されるように構成されており、相対的に小さい電力で蓄電が開始される
請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、
前記放電電極部と前記液体供給部とを互いに異なるタイミングで始動させる
請求項1〜3のいずれか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
前記負荷部は、
空気導入部と空気導出部とを有する空気流路に空気流を生成し、前記ミストを前記空気導出部から吹き出す送風部をさらに有し、
前記電力制御部は、
前記放電電極部、前記液体供給部、前記送風部を互いに異なるタイミングで始動させる請求項4に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
前記負荷部における異常を検知する検知部と、
前記異常を報知する報知部と
を備え、
前記電力制御部は、
前記検知部から異常を示す信号が入力されると前記報知部を駆動する
請求項1〜5のいずれか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項7】
前記外部電源への電流の逆流を防止する逆流防止回路を備える
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項8】
前記負荷部への電力供給を遮断する電力供給遮断回路を備える
請求項1〜7のいずれか一項に記載のミスト発生装置。
【請求項9】
電圧を印加することにより放電を行う放電電極部と、前記放電電極部に液体を供給する液体供給部とを有する負荷部に対して、外部電源から入力される電力を供給することによって、前記放電電極部から前記液体のミストを発生させるミスト発生装置を備えた美容装置であって、
該ミスト発生装置が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のミスト発生装置である
ことを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−85960(P2012−85960A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237487(P2010−237487)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】