説明

ミスト発生装置

【課題】芳香剤及び帯電微粒子液体夫々の効果を有効に使用者に与えることのできるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】制御部は、大径ミストと芳香を略同時に放出させ、貯水タンクに貯水された水残量が大径ミストを生成不可能な量まで減少した際に、大径ミストの放出を終了させて小径ミスト(帯電微粒子液体)の生成、放出を開始させる。その一方で制御部は、予め定めた規定時間の経過後に芳香の放出を停止させる。これにより、小径ミストは大径ミストの放出終了後に放出されることになるので、芳香の放出期間と小径ミストの放出期間が重複していない期間においては、芳香剤及び小径ミスト夫々の効果を有効に使用者に与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香及び帯電微粒子液体を放出可能なミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、供給される液体からマイクロサイズの温大径ミスト及びマイクロサイズの冷大径ミストを生成するとともに、芳香剤を揮発させて芳香を発生させるミスト発生装置が提案されている(例えば、特許文献1)。また、供給される液体からマイクロサイズの大径ミストを生成するとともに、静電霧化機構を用いてナノサイズの小径ミスト(以下、帯電微粒子液体と示す)を生成するミスト発生装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0003】
帯電微粒子液体は、その粒径が1〜数十nm程度となっているため、角質層や毛髪への浸透効果が高くなっている。その一方、大径ミストは、その粒径が1〜数十μm程度となっており、帯電微粒子液体ほど浸透効果は期待できないが、温大径ミストと冷大径ミストを交互に使用することによって新陳代謝を向上させることに期待できる。また、芳香によって、ストレスを解消したり、リラックス効果を得たりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232941号公報
【特許文献2】特開2010−17293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載のミスト発生装置では、芳香によるリラックス効果は得られるものの、前述したように、大径ミストの粒径が小径ミストの粒径よりも大きいため、その大部分は肌表面や毛髪表面に付着しやすい。したがって、大径ミストが肌表面に過剰に付着したことによって顔が濡れる場合があった。これにより、特許文献1に記載のミスト発生装置は、安全や使用上の観点から、机の上に置いて座った状態で使用する等、使用者の意思で大径ミストの被浴量を調節できるような場面での使用が好ましく、使用できる場面が限定されることがあった。また、特許文献2に記載のミスト発生装置では、大径ミストによる前述したような問題は発生し得ないものの、芳香が放出されないため、芳香によるリラックス効果が得られないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、芳香剤及び帯電微粒子液体夫々の効果を有効に使用者に与えることのできるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のミスト発生装置は、静電霧化により帯電微粒子液体を発生させる帯電微粒子液体発生部と、芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部と、前記帯電微粒子液体発生部と前記芳香発生部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記芳香及び前記帯電微粒子液体を異なるタイミングで放出させるように前記芳香発生部及び前記帯電微粒子液体発生部を夫々制御することを特徴とする。
【0008】
このミスト発生装置において、前記制御部は、前記芳香を放出させるための制御の終了後に前記帯電微粒子液体を放出させるように前記帯電微粒子液体発生部を制御することが好ましい。
【0009】
また、このミスト発生装置において、供給される液体から前記帯電微粒子液体よりも大径のミストを発生させるミスト発生部を備え、前記制御部は、前記芳香及び前記ミストを同時又は異なるタイミングで放出させるように前記芳香発生部及び前記ミスト発生部を夫々制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、芳香剤及び帯電微粒子液体夫々の効果を有効に使用者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態における美容器を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態における美容器の制御構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における大径ミスト及び小径ミストの発生に係る制御手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における芳香の放出に係る制御手順を示すフローチャートである。
【図5】(a),(b)は、第1の実施形態における切替タイミングを示す模式図である。
【図6】第2の実施形態における大径ミスト及び小径ミストの発生に係る制御手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における切替タイミングを示す模式図である。
【図8】貯水タンクの水切れに合わせて芳香の放出時間を延長させた別例を示す模式図である。
【図9】芳香の放出終了に伴って小径ミストを放出させた別例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
なお、以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、美容器の使用者が本実施形態の美容器を使用している状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の美容器10(ミスト発生装置)は、脚部11の上部に、全体が略球状に形成されるとともにその内部に美容器10を構成する各種の機構部品が収容された筐体12が固定されている。なお、筐体12の前面には、正面視円形の凹部12aが形成されている。
【0014】
筐体12の凹部12aであって使用者と対向する面には、マイクロサイズのミスト(以下、「大径ミスト」と示す)が放出される大径ミスト放出口13が設けられている。本実施形態において、大径ミストは、液体としての水を沸騰させて発生させた比較的高温(本実施形態では約40℃)の温ミストとされている。大径ミスト放出口13の周囲には、大径ミスト放出口13から放出される大径ミストの進行方向をガイドするとともに、使用者が誤って大径ミスト放出口13に触れないようにする略ラッパ状に形成されたカバー13aが設けられている。また、カバー13aの周辺には、カバー13aを筐体12に対して上下方向及び左右方向に回動可能な角度調整部材12bが、はめ込まれるように配設されている。これにより、大径ミスト放出口13は、角度調整部材12bが使用者により回動操作されることによって、大径ミストを放出させる方向を調整可能となっている。
【0015】
また、筐体12の凹部12aであって使用者と対向する面かつ大径ミスト放出口13の下方には、大径ミストより小さい帯電微粒子液体としてのナノサイズのミスト(以下、「小径ミスト」と示す)が放出される小径ミスト放出口14が設けられている。本実施形態において、小径ミストは、おおよそ1〜数十nmの大きさのミストとされているとともに、大径ミストよりも温度が低くなっている。
【0016】
また、筐体12の凹部12aであって小径ミスト放出口14の下方には、大径ミストに対して芳香放出口15から放出される芳香(香り)が交わるように、芳香放出口15が形成されている。つまり、芳香放出口15は、大径ミスト放出口13及び小径ミスト放出口14よりも前方(使用者側)に形成されていることになる。なお、本実施形態において、芳香は、所定の芳香剤を揮発させることで発生するようになっている。また、芳香放出口15には、揮発させる芳香剤を貯留する芳香皿15aが嵌合されるようになっており、芳香皿15aは芳香放出口15から着脱可能となっている。
【0017】
筐体12の頂上部には、使用者が美容器10を動作させる際に操作する押しボタン式の電源スイッチ16が配設されている。電源スイッチ16は、美容器10のオンオフ操作を行うものである。電源スイッチ16の後方には、規定量(略100ml)の水を貯留する貯水タンク17が筐体12の内部に収容された状態で設置されている。具体的に説明すると、貯水タンク17は、筐体12の上方に開口するように配設されたタンクホルダ(図示せず)に対し、上下(垂直)方向に挿入及び取出し可能に収納されている。また、筐体12の左右両側面には、美容器10を持ち運びするための取手18が取着されている。
【0018】
次に、筐体12の内部構造について図2に従って説明する。
筐体12内部には、大径ミストを発生させる大径ミスト発生部20(ミスト発生部)を構成するファンモータMと、ヒータ21が備え付けられたボイラ室22と、が収容されている。ファンモータMは、図示しない吸気口から空気を吸入し、ファンを回転させることで生じた空気流を送出(送風)するようになっている。
【0019】
この大径ミスト発生部20では、貯水タンク17に貯水された水を、図示しない水供給路を介してボイラ室22に供給するとともに、ボイラ室22においてヒータ21で加熱することにより、大径ミストが生成される。そして、ファンモータMの回転によって生じた空気流により、図示しない分岐誘導路を介して、生成された大径ミストを大径ミスト放出口13側に送出させる。
【0020】
また、筐体12内部には、小径ミストを発生させる小径ミスト発生部30(帯電微粒子液体発生部)を構成するファンモータMと、小径ミストを生成するための機構となる静電霧化機構Kと、が収容されている。そして、静電霧化機構Kは、放電を生じさせる放電電極31と、放電電極31との間に放電を生じさせる対向電極32と、放電電極31に水を供給するためのペルチェユニット33と、で構成されている。
【0021】
この小径ミスト発生部30では、ペルチェユニット33によって放電電極31を冷却さすることで、放電電極31の表面に結露水を生じさせる。そして、放電電極31と対向電極32との間に高電圧を印加することで、放電電極31の周りに放電を生じさせる。これにより、放電電極31に供給された水がレイリー効果によって静電霧化されて小径ミストが生成される。そして、ファンモータMの回転によって生じた空気流により、図示しない分岐誘導路を介して、生成された小径ミストを小径ミスト放出口14側に送出させる。
【0022】
また、筐体12内部には、芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部40を構成するファンモータMが収容されている。なお、本実施形態の美容器10では、芳香放出口15を芳香皿15aによって完全に封止しているのではなく、分岐誘導路から放出された空気流が、芳香皿15aの内部への流入を経て芳香放出口15から放出されるように間隙(図示せず)が形成されている。これにより、図示しない分岐誘導路を介して芳香が芳香放出口15から放出されることになる。
【0023】
そして、芳香発生部40では、ファンモータMの回転によって生じた空気流が、芳香皿15aの内部へ流入した後、芳香放出口15から送出される。さらに、芳香放出口15から上方に向かって放出された芳香は、大径ミスト放出口13から放出されるとともに、芳香放出口15の上方を通過する大径ミストと混合され、使用者に向かって送出される。
【0024】
なお、各発生部20,30,40を構成するファンモータMは、各発生部20,30,40毎に夫々異なるファンモータMであっても良いし、各発生部20,30,40で共通のファンモータMとした上で連通先の放出口13〜15を夫々切り替える切替機構を設けても良い。
【0025】
また、筐体12内部には、美容器10全体を制御する制御部50が収容されており、制御部50は、各発生部20,30,40による各ミスト及び芳香の放出タイミングや放出期間などを制御する。具体的には、制御部50は、芳香剤の成分と静電霧化によって生成された小径ミストが互いに反応し合うことなく、芳香剤及び小径ミスト夫々の効果を有効に使用者に与えるために、これらの放出タイミングにタイムラグを設けている。本実施形態では、芳香の放出が開始された後に小径ミストが放出されるようになっている。
【0026】
以下、制御部50が実行する具体的な制御内容について図3及び図4に従って説明する。
なお、この例では、水が貯留された貯水タンク17が既に美容器10にセットされているものとする。また、本実施形態の美容器10では、略100ml(規定量)の水を大径ミスト化させるのに要する時間が約20分となっている。
【0027】
美容器10の電源スイッチ16がオン操作されると、制御部50は回路に通電するとともに大径ミスト発生部20に電源を供給し、大径ミスト発生部20を制御する(ステップS1)。具体的には、制御部50が、ヒータ21及びファンモータMを制御することによって大径ミストが生成され、大径ミスト放出口13から放出される(ステップS2)。その後、制御部50は、電源スイッチ16がオフ操作されたか否か、すなわち、電源スイッチ16が操作されたことに従って電源スイッチ16から出力されるオフ操作信号を入力したか否かを判定する(ステップS3)。この判定結果が肯定(電源スイッチがオフ操作された)の場合、制御部50は、図3に示す処理を終了する。すなわち、制御部50は、大径ミスト発生部20の制御を停止するとともに、回路への通電を停止する。
【0028】
その一方、ステップS3の判定結果が否定(電源スイッチがオフ操作されていない)の場合、制御部50は、貯水タンク17内の水残量を確認し、大径ミストを生成可能な量が残存しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0029】
本実施形態の制御部50は、貯水タンク17内の水残量をヒータ21に設置された温度センサの検出値によって確認している。すなわち、貯水タンク17内に十分な量の大径ミストを生成できるほどの量が水が残存している場合、その水がボイラ室22に供給されてヒータ21によって過熱される。そして、ボイラ室22に水が供給されたときのヒータの温度(例えば、約100℃)を基準値とする。一方、貯水タンク17内に十分な量の大径ミストを生成できるほどの量の水が残存してない場合、その水がボイラ室22に供給されない。つまり、ヒータ21によって過熱される水が存在しないことにより、空焚き状態となってヒータの温度が基準値よりも高くなる(例えば、約130℃)。そして、温度センサが基準値よりも高い温度を検知した場合に、制御部50は、その値に基づいて貯水タンク17内に、十分な量の大径ミストを生成できるほどの量の水が残存していないことを認識することになる。
【0030】
また、貯水タンク17内の水残量の確認方法として、貯水タンク17内の水残量を水位センサで確認する方法としても良い。すなわち、水位センサの検出値が規定値に到達した場合、制御部50は、大径ミストを生成可能な量の水が貯水タンク17内に残存していないことを認識する。ちなみに、規定値として、貯水タンク17内に全く水が残存していないことを示す「0(零)」を設定しても良いし、十分な量の大径ミストを生成できない量(例えば、1ml)を示す値を設定しても良い。また、貯水タンク17内の水残量の確認方法として、貯水タンク17内の水の有無を質量にて確認する方法としても良いし、ボイラ室22の温度を確認する方法としても良い。
【0031】
ちなみに、ボイラ室22の温度検知によって貯水タンク17内の水残量を確認する場合、大径ミストを生成可能な量の水が残存しているのであれば、加熱対象となる水が十分に供給されることになるので、その加熱によってボイラ室22内の温度が高くなる。これにより、制御部50は、貯水タンク17内に大径ミストを生成可能な量の水が残存していることを確認できる。その一方で、大径ミストを生成可能な量の水が残存していないのであれば、加熱対象となる水が十分に供給されないことになるので、加熱が行われずにボイラ室22内の温度が上昇しない。これにより、制御部50は、貯水タンク17内に大径ミストを生成可能な量の水が残存していないことを確認できる。
【0032】
ステップS4の判定結果が否定(貯水タンク内に水が残存している)の場合、制御部50は、ステップS2の処理に戻る。その一方で、ステップS4の判定結果が肯定(貯水タンク内に水が残存していない)の場合、制御部50は、大径ミストの生成及び放出の停止を決定する(ステップS5)。これに伴い制御部50は、大径ミスト発生部20の制御を停止するとともに、大径ミスト発生部20への電源供給を停止することになる。ちなみに、ステップS5の処理では、大径ミスト発生部20への電源供給が停止されるだけであって、回路全体への通電が停止されるわけではない。
【0033】
その後、制御部50は、小径ミスト発生部30に電源を供給し、小径ミスト発生部30を制御する(ステップS6)。具体的には、制御部50が、ファンモータM及び静電霧化機構Kを制御することによって小径ミストが生成され、小径ミスト放出口14から放出される(ステップS7)。また、制御部50は、小径ミスト発生部30の制御開始に伴って、タイマの計測を開始する。その後、制御部50は、電源スイッチ16がオフ操作されたか否かを判定する(ステップS8)。この判定結果が肯定(電源スイッチがオフ操作された)の場合、制御部50は、小径ミストの生成及び放出の停止を決定し(ステップS10)、小径ミスト発生部30の制御を停止するとともに、回路への通電を停止する。
【0034】
その一方、ステップS8の判定結果が否定(電源スイッチがオフ操作されていない)の場合、制御部50は、タイマの値を参照し、小径ミストの最大放出時間として定められた規定時間(本実施形態では「8時間」)が経過したか否かを判定する(ステップS9)。
【0035】
ステップS9の判定結果が否定(規定時間が経過していない)の場合、制御部50は、ステップS7の処理に戻る。その一方で、ステップS9の判定結果が肯定(規定時間が経過した)の場合、制御部50は、小径ミストの生成及び放出の停止を決定する(ステップS10)。これに伴い制御部50は、小径ミスト発生部30の制御を停止するとともに、小径ミスト発生部30への電源供給を停止することになる。
【0036】
このような手順で制御を実行することにより、小径ミストは、大径ミストの放出が終了した後に放出されることになり、大径ミストと小径ミストの放出期間が重複することがない。
【0037】
また、制御部50は、図3に示す制御と並行して芳香の発生に係る制御(図4)を実行する。具体的には、制御部50は、美容器10の電源スイッチ16がオン操作されると、大径ミスト発生部20と同時に芳香発生部40にも電源を供給し、芳香発生部40を制御する(ステップS11)。具体的には、制御部50が、ファンモータMを制御することによって芳香が放出される(ステップS12)。ちなみに、制御部50は、大径ミスト及び芳香を同時期に放出させるように、大径ミスト発生部20及び芳香発生部40の制御を同時に開始させる。
【0038】
また、制御部50は、芳香発生部40の制御開始に伴ってタイマの計測を開始する。その後、制御部50は、図3に示すステップS3と同じく、電源スイッチ16がオフ操作されたか否かを判定する(ステップS3)。この判定結果が肯定(電源スイッチがオフ操作された)の場合、制御部50は、芳香の発生及び放出の停止を決定し(ステップS15)、芳香発生部40の制御を停止するとともに、回路への通電を停止する。なお、制御部50は、大径ミスト発生部20の制御と並行して芳香発生部40の制御を実行しているので、電源スイッチがオフ操作された場合、大径ミスト及び芳香の停止を決定することになる。
【0039】
その一方、ステップS3の判定結果が否定(電源スイッチがオフ操作されていない)の場合、制御部50は、タイマの値を参照し、芳香の最大放出時間として定められた規定時間(本実施形態では、20分)が経過したか否かを判定する(ステップS14)。
【0040】
ステップS14の判定結果が否定(規定時間が経過していない)の場合、制御部50は、ステップS12の処理に戻る。その一方で、ステップS14の判定結果が肯定(規定時間が経過した)の場合、制御部50は、芳香の発生及び放出の停止を決定する(ステップS15)。これに伴い制御部50は、芳香発生部40の制御を停止するとともに、芳香発生部40への電源供給を停止することになる。ただし、ステップS14を経てステップS15に移行した場合、芳香発生部40への電源供給が停止されるだけであって、回路全体への通電が停止されるわけではない。また、ステップS14を経てステップS15に移行した場合、芳香の発生及び放出の停止を契機に小径ミストが生成されるわけではない。
【0041】
したがって、貯水タンク17内に大径ミストを生成可能な量の水が残存していないのであれば、芳香の放出期間であるか否かを問わず、小径ミストが生成されることになる。つまり、芳香発生部40での芳香発生に係る制御及び小径ミスト発生部30での小径ミスト生成に係る制御の開始タイミングは異なるものの、大径ミストの放出時間によっては、その放出期間が一部重複する場合もある。ただし、芳香の放出期間(20分)よりも小径ミストの放出期間(8時間)の方が長く設定されているため、必ず、芳香及び小径ミストが単独で放出される期間が存在することになる。
【0042】
以下、大径ミスト発生部20での制御から小径ミスト発生部30での制御に切り替わる切替タイミングについて、図5(a),(b)に従って説明する。
図5(a)は、貯水タンク17に水を規定値まで貯留したことにより、芳香の放出期間(20分)と略同じ期間、大径ミストが放出される例を示している。一方、図5(b)は、貯水タンク17に水を規定値よりも少ない量(例えば、80ml)貯留したことにより、芳香の放出期間(20分)が終了するよりも前に大径ミストの放出が終了する例を示している。
【0043】
図5(a)に示すように、電源スイッチ16をオン操作した場合、大径ミスト発生部20及び芳香発生部40への電源供給によって、大径ミスト及び芳香が略同じタイミングで放出される。そして、図5(a)に示す例では、貯水タンク17に水を規定値まで貯留したことにより、大径ミスト及び芳香の放出が略同時に停止される。つまり、図3に示すステップS4の判定が肯定判定されるタイミングと、図4に示すステップS14の判定が肯定判定されるタイミングが、略一致することになる。この場合、大径ミスト及び芳香の放出が終了した後に、小径ミストが放出されることになる。
【0044】
これにより、芳香の放出が終了した後に小径ミストが生成及び放出されることになり、芳香の放出期間中に小径ミストが放出されることがなくなる。これにより、小径ミスト及び芳香剤が、互いに反応し合うこともなくなり、小径ミスト及び芳香剤夫々の効果を有効に使用者に提供することが可能となる。
【0045】
一方、図5(b)に示す例では、図5(a)に示す例と同じく、大径ミスト発生部20及び芳香発生部40への電源供給によって、大径ミスト及び芳香が略同じタイミングで放出される。ところが、図5(b)に示す例では、貯水タンク17に水を規定値よりも少ない量だけ貯留したことにより、大径ミストの放出が停止するタイミングよりも芳香の放出が停止するタイミングが遅くなる。つまり、図4に示すステップS14の判定が肯定判定されるタイミングよりも、図3に示すステップS4の判定が肯定判定されるタイミングの方が、先に到達することになる。この場合、大径ミストの放出が終了した場合であっても、規定時間(20分)が経過するまでの間、芳香が放出されることになる。
【0046】
前述したように本実施形態では、貯水タンク17内に大径ミストを生成可能な量の水が残存しない場合、大径ミストの生成制御から小径ミストの生成制御に切り替わるようになっている(図3におけるステップS5,S6)。これにより、芳香の放出期間中に小径ミストの放出が開始されることになる。ところが、制御部50は、規定時間が経過した後に芳香の放出を停止させるので、規定時間経過後は、小径ミストのみが放出されることになる。これにより、芳香の放出期間と小径ミストの放出期間が一部重複するものの、その放出期間が重複していない期間においては、互いに反応し合うこともなくなり、小径ミスト及び芳香剤夫々の効果を有効に使用者に提供することが可能となる。つまり、芳香と小径ミストの放出期間が重複する期間が短ければ、香りの変質に対する影響は小さい。
【0047】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)制御部50は、芳香及び小径ミストを異なるタイミングで放出させるように芳香発生部40及び小径ミスト発生部30を夫々制御する。これにより、小径ミストと芳香が同時に放出されていない期間において、芳香剤及び小径ミスト夫々の効果を有効に使用者に与えることができる。
【0048】
(2)制御部50は、芳香及び大径ミストを略同時に放出させるように芳香発生部40及び大径ミスト発生部20を夫々制御することで、大径ミストによって芳香剤をより揮発及び拡散することができるので、より効率よく芳香を放出することができる。
【0049】
(3)芳香放出口15から放出される芳香の放出方向と、大径ミスト放出口13から放出される大径ミストの放出方向が交わるように、芳香放出口15を形成した。これにより、芳香放出口15から上方に向かって放出された芳香は、芳香放出口15の上方を通過する大径ミストと混合され、使用者に向かって送出される。したがって、大径ミスト(温ミスト)と混合することで揮発性が高くなるので、より効率よく芳香を放出することができる。
【0050】
(4)大径ミストを放出した後に小径ミストを放出するようにしたことで、大径ミストによって新陳代謝が向上し、小径ミストの浸透効果を高めることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図6及び図7に従って説明する。
【0051】
本実施形態の美容器10は、大径ミストの放出終了契機を規定時間が経過することに変更した点が、第1の実施形態の美容器10と異なっている。このため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0052】
以下、制御部50が実行する制御手順について図6に従って説明する。
なお、この例では、水が貯留された貯水タンク17が既に美容器10にセットされているものとする。
【0053】
美容器10の電源スイッチ16がオン操作されると、制御部50は、図3におけるステップS1と同じく、大径ミスト発生部20に電源を供給し、大径ミスト発生部20を制御する。なお、制御部50は、ステップS1において、大径ミスト発生部20の制御開始に伴ってタイマの計測を開始することになる。その後、制御部50は、ステップS2の処理に移行した後、ステップS3の処理を実行する。そして、ステップS3の判定結果が否定(電源スイッチがオフ操作されていない)の場合、制御部50は、貯水タンク17に水が残存しているか否かを判定する(ステップS3a)。ステップS3aの判定結果が否定(水が残存していない)の場合、制御部50は、図6に示す処理を終了する。その一方で、ステップS3aの判定結果が肯定(水が残存している)の場合、制御部50は、ステップS4aに移行する。そして、制御部50は、ステップS4aにて、大径ミストの最大放出時間として定められた規定時間(本実施形態では「20分」)が経過したか否かを判定する。
【0054】
ステップS4aの判定結果が否定(規定時間が経過していない)の場合、制御部50は、ステップS2の処理に戻る。その一方で、ステップS4aの判定結果が肯定(規定時間が経過した)の場合、制御部50は、大径ミストの生成及び放出の停止を決定する(ステップS5)。これに伴い制御部50は、大径ミスト発生部20の制御を停止するとともに、大径ミスト発生部20への電源供給を停止することになる。その後、制御部50は、図3におけるステップS6〜S10までの処理と同一の処理を実行する。
【0055】
なお、本実施形態においても、制御部50は、図6に示す制御と並行して芳香の発生に係る制御(図4)を実行する。したがって、制御部50は、電源スイッチがオフ操作された場合(ステップS3)、大径ミスト及び芳香の停止を決定することになる。
【0056】
このような手順で制御を実行することにより、大径ミスト及び芳香の放出が終了した後に小径ミストが放出されることになるので、芳香の放出期間中に小径ミストが放出されることも確実になくなる。これにより、小径ミスト及び芳香剤が互いに反応し合うことなく、小径ミスト及び芳香剤夫々の効果を有効かつ確実に使用者に提供することが可能となる。
【0057】
以下、大径ミスト発生部20での制御から小径ミスト発生部30での制御に切り替わる切替タイミングについて、図7に従って説明する。
図7に示すように、電源スイッチ16をオン操作した場合、大径ミスト発生部20及び芳香発生部40への電源供給によって、大径ミスト及び芳香が略同じタイミングで放出される。そして、図7に示す例では、大径ミスト発生部20及び芳香発生部40での制御が開始されてから規定時間(20分)の経過に伴って、大径ミスト及び芳香の放出が同時に停止される。つまり、図6に示すステップS4aの判定が肯定判定されるタイミングと、図4に示すステップS14の判定が肯定判定されるタイミングが、略一致することになる。この場合、大径ミスト及び芳香の放出が終了した後に、小径ミストが放出されることになる。
【0058】
これにより、芳香の放出が終了した後に小径ミストが生成及び放出されることになり、芳香の放出期間中に小径ミストが放出されることがなくなる。したがって、小径ミスト及び芳香剤が、互いに反応し合うこともなくなり、小径ミスト及び芳香剤夫々の効果を有効に使用者に提供することが可能となる。
【0059】
次に、前記第1の実施形態の作用効果(1)〜(4)に加え、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(5)予め定められた芳香放出時間が経過した後に小径ミストが放出されるので、確実に、芳香剤と帯電微粒子液体が互いに反応し合うことを防止できる。これにより、変性及び分解を生じさせることなく安定した芳香を放出することができる。
【0060】
(6)また、大径ミストと芳香の放出期間を統一したことにより、芳香は常に大径ミストと混合されて使用者側に向かって搬出されることになる。これにより、芳香の揮発性を高め、より効率的に芳香を使用者に提供することができる。
【0061】
尚、各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・各実施形態において、大径ミストと芳香の放出開始時期をずらしても良い。例えば、大径ミストの放出が開始してから10秒後に芳香の放出を開始させるようにしても良いし、芳香の放出が開始してから10秒後に大径ミストの放出を開始させるようにしても良い。
【0062】
・各実施形態において、大径ミストの放出が終了してから芳香を放出させるようにしても良い。ボイラ室22に供給された水をヒータ21で加熱して大径ミストを生成しているため、美容器10内部は、ヒータ21の熱で温度が上昇している。したがって、大径ミストの放出が終了した直後であれば、美容器10内部の温度も上昇しているため、大径ミストを使用しなくても、美容器10内部の熱を利用して芳香剤の揮発性を高めることができる。ただし、大径ミストの放出が終了して1時間経過した後に芳香を放出させた場合、時間経過に伴って美容器10内部が徐々に冷却していくため、芳香の放出タイミングとしては、大径ミストの放出終了直後〜数分(例えば5分)以内が好ましい。この場合、芳香の放出方向と大径ミストの放出方向は交わらなくても良い。
【0063】
・第1の実施形態において、図8に示すように、制御部50は、大径ミストの放出中に規定時間の経過に伴って芳香の放出停止を決定したとしても、大径ミストの放出終了に連動させて芳香の放出時間を延長させるようにしても良い。このような場合、大径ミストが放出されている期間中、芳香も放出することができるので、小径ミストが放出されるまでの間、使用者に芳香を提供することができる。なお、図8のような制御を実行した場合であっても、芳香の放出期間と小径ミストの放出期間が重複しないようになっている。
【0064】
・第1の実施形態において、図9に示すように、芳香を規定時間放出した後に、小径ミストを放出させるようにしても良い。この場合、大径ミストは、貯水タンク17内に大径ミストを生成可能な量の水が残存しなくなるまで放出されることになるので、大径ミストの放出期間と小径ミストの放出期間が一部重複する場合もある。しかしながら、大径ミストと小径ミストは互いに影響を及ぼし合うことがないので、変性することがない。
【0065】
・第2の実施形態において、ステップS1aの判定結果が否定の場合、貯水タンク17への給水を促す報知を行うようにしても良い。例えば、美容器10において水切れを報知する報知ランプを設け、その報知ランプの点滅によって貯水タンク17への給水を促すようにしても良い。
【0066】
・第1の実施形態において、貯水タンク17に規定量の水が貯留されていない場合、貯水タンク17への給水を促す報知を行うようにしても良い。また、貯水タンク17に規定量の水が貯留されていない場合には、各発生部20,30,40の制御を開始せず、待機状態となるようにしても良い。
【0067】
・第2の実施形態において、ステップS1aの判定結果が否定の場合であっても、大径ミストを放出させるようにしても良い。この場合、20分経過する前に大径ミストの放出が終了することになるが、20分が経過するまでの間、芳香のみを放出させ、芳香の放出が終了した後に小径ミストを放出させるようにしても良い。
【0068】
・第1の実施形態において、貯水タンク17に規定量の水が貯留されていない場合、大径ミストの放出に合わせて芳香の放出も終了させるようにしても良い。
・各実施形態において、芳香放出口15からも温風が放出されるようにしても良い。この場合、大径ミストと混合しなくても、芳香剤の揮発性を高め、使用者に効率よく芳香を提供することができる。
【0069】
・各実施形態において、制御部50は、大径ミスト発生部20、小径ミスト発生部30、及び芳香発生部40の制御を同時に開始した上で、放出タイミングだけが異なるように放出タイミングを調節するようにしても良い。
【0070】
・各実施形態において、小径ミストの放出後に大径ミスト及び芳香を放出させるようにしても良い。
・第1の実施形態において、大径ミストの放出終了に伴って、芳香の放出を強制的に終了させるようにしても良い。これにより、芳香及び小径ミストの放出期間が重複することがなくなるので、小径ミスト及び芳香剤が、互いに反応し合うこともなくなり、小径ミスト及び芳香剤夫々の効果を有効に使用者に提供することが可能となる。
【0071】
・各実施形態では、貯水タンク17とは別に水を貯留するタンクを設置し、放電電極31をタンク内の水に浸して、毛細管現象にて放電電極31の先端部に水を供給する構成としても良い。
【0072】
・各実施形態では、水以外の液体(例えば、化粧水、薬液等)を霧化してナノメータサイズの帯電微粒子液体を生成するようにしても良い。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追加する。
【0073】
(イ)静電霧化により帯電微粒子液体を発生させる帯電微粒子液体発生部と、芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部と、前記帯電微粒子液体発生部と前記芳香発生部を制御する制御部と、を備え、前記芳香及び前記帯電微粒子液体が夫々単独で放出される期間を設定したことを特徴とするミスト発生装置。
【0074】
(ロ)請求項3に記載のミスト発生装置において、前記ミスト発生部で発生されるミストは、前記帯電微粒子液体よりもその温度が高く設定されていることを特徴とするミスト発生装置。
【符号の説明】
【0075】
10…美容器、13…大径ミスト放出口、14…小径ミスト放出口、15…芳香放出口、20…大径ミスト発生部、30…小径ミスト発生部、40…芳香発生部、50…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電霧化により帯電微粒子液体を発生させる帯電微粒子液体発生部と、
芳香剤を揮発させて芳香を発生させる芳香発生部と、
前記帯電微粒子液体発生部と前記芳香発生部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記芳香及び前記帯電微粒子液体を異なるタイミングで放出させるように前記芳香発生部及び前記帯電微粒子液体発生部を夫々制御することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記制御部は、前記芳香を放出させるための制御の終了後に前記帯電微粒子液体を放出させるように前記帯電微粒子液体発生部を制御することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のミスト発生装置において、
供給される液体から前記帯電微粒子液体よりも大径のミストを発生させるミスト発生部を備え、
前記制御部は、前記芳香及び前記ミストを同時又は異なるタイミングで放出させるように前記芳香発生部及び前記ミスト発生部を夫々制御することを特徴とするミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−200541(P2011−200541A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72112(P2010−72112)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】