説明

ミスト発生装置

【課題】ミスト発生装置のハウジングの底壁部にリブを形成することが困難になるといった不具合を生じさせることなく、ハウジングの外面に付着した水滴などの液体がハウジングの下方に流れ落ちることを適切に防止する。
【解決手段】ミスト発生装置MGの底壁部11には、軸状部21のポンピング作用によって水滴を流れ込ませる貫通孔16が設けられ、底壁部11の外面11aには、貫通孔16の周縁部から上部側に向けて延びた複数の第1のリブ5に加えて、複数の第2のリブ6が設けられ、これら複数の第2のリブ6は、複数の第1のリブ5とは底壁部11の周方向に位置ずれした配列で底壁部11の上部側から下部側に向けて延び、かつ下端部6bが貫通孔16から離間した配置であり、第2のリブ6の側面60に沿って流れた水滴が下端部6bに到達すると、この水滴はその後に第1のリブ5の側面50に向けて進行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの液体のミスト化(霧状化、微粒子化)を図ることが可能なミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ミスト発生装置の具体例として、特許文献1に記載されたものを先に提案している。同文献に記載されたミスト発生装置は、モータにより駆動されるロータがハウジング内に収容された構成を有しており、ハウジング内に給水が行なわれると、この水はロータの回転に伴って発生する遠心力によってロータの周囲に飛散してミスト化される。前記ハウジングには、複数のミスト噴出口が設けられており、これら複数のミスト噴出口から前記ハウジングの周囲に向けてミストが噴出する。このような構成のミスト発生装置は、たとえば浴室の天井部またはその付近の比較的高い箇所に設置されて使用され、ハウジングの周囲に噴出されたミストは、その後に重力によって下降する。したがって、浴室でのミストシャワー用途などに利用するのに好適である。
【0003】
前記ミスト発生装置においては、ハウジングの外面に付着した水滴がハウジングの下方に流れ落ちることを抑制するための手段として、ハウジングの底壁部に貫通孔を設け、かつこの貫通孔にロータの軸状部を進入させている。ロータの軸状部は、この軸状部の外周面近傍の水を上方に汲み上げるポンピング作用を発揮し、ハウジングの底壁部の外面に付着した水滴が底壁部の外面を伝って貫通孔の形成箇所まで進行すると、この水は、前記軸状部のポンピング作用によって前記貫通孔に吸い込まれる。したがって、ハウジングの底壁部からその下方に流れ落ちる水滴の量が少なくなる。さらに、特許文献1においては、そのような作用を補助するための手段として、ハウジングの底壁部の外面に複数のリブを設けている(特許文献1の図9参照)。これら複数のリブは、貫通孔から放射状に延びている。このような手段によれば、底壁部の外面に付着した水滴を各リブの側面に沿って流れさせて貫通孔内に導くことができる。水滴が各リブの側面に沿って流れる際には、この側面と水滴とが接触して、水滴が側面に吸着される力が発生する。この力により、水滴がハウジングの下方に落下し難くなる。したがって、たとえばミストシャワーを浴びている入浴者の身体上に多くの水滴が流れ落ちて不快感を与えることを抑制するのに好適となる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、ハウジングの底壁部に付着した水滴が下方に落下する現象を徹底して防止するには、底壁部に設けられるリブの数を比較的多くする必要がある。リブが少数であると、リブどうしの間隔が大きくなって、リブが設けられていない箇所から水滴が下方に落下する可能性が高くなるからである。ところが、複数のリブは貫通孔を中心とする放射状に設けられ、かつ各リブには幅があるために、リブの総数を多くすると、貫通孔の周縁部においてリブが密集することとなって、リブどうしの間に隙間を形成するようにリブを適切に形成することが困難となる。また、仮に、リブどうしの間に隙間を形成できたとしても、この隙間の幅が小さい場合には、水滴がこの隙間を円滑に流れないこととなり、水滴が滞留して成長することにより、ハウジングの下方に水滴が落下し易くなる現象を生じる。このようなことから、前記従来技術においては、ハウジングの底壁部に余り多くのリブを設けることは困難となっており、水滴落下防止性能を高める上で、未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−261610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、ハウジングの底壁部にリブを形成することが困難になるといった不具合を生じさせることなく、ハウジングの外面に付着した水滴などの液体がハウジングの下方に流れ落ちることを適切に防止することが可能なミスト発生装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるミスト発生装置は、液体を貯留可能な貯液部を内部に形成しているとともに、ミスト噴出口よりも下方に位置する底壁部の下部に、前記貯液部に連通した貫通孔が設けられ、かつ前記底壁部の外面が前記貫通孔に接近する部分ほど高さが低くなるように傾斜した傾斜面とされているハウジングと、前記貫通孔の内周壁との間に隙間を生じるように前記貫通孔に挿入された軸状部を有し、かつ回転時には前記貯液部および前記隙間に存在する液体を前記軸状部の外周面に沿って上昇させてから周囲に飛散させてミスト化を図るためのロータと、前記底壁部の外面に設けられて、前記貫通孔の周縁部から前記底壁部の上部側に向けて延びており、かつ前記底壁部の外面に付着した水滴を前記貫通孔に向けてガイドすることが可能な複数の第1のリブと、を具備している、ミスト発生装置であって、前記底壁部の外面に設けられて、前記複数の第1のリブとは前記底壁部の周方向に位置ずれした配列で前記底壁部の上部側から下部側に向けて延びており、かつ下端部が前記貫通孔から離間した配置とされている複数の第2のリブをさらに備えており、前記底壁部の外面に付着した水滴が前記各第2のリブの側面に沿って流れて前記各第2のリブの下端部に到達したときには、その後この水滴は、前記下端部から離れて、前記複数の第1のリブのいずれかの側面に向けて進行することが可能に構成されていることを特徴としている。
なお、本発明でいう水滴とは、いわゆる液滴と同義であり、たとえばミスト発生用の液体として水以外の液体が用いられて、ハウジングの底壁部にこの液体が付着した場合には、この液体も本発明でいう水滴の概念に含まれる。
【0010】
このような構成によれば、複数の第2のリブは、ハウジングの底壁部の外面のうち、上部寄りの領域に付着した水滴をガイドして複数の第1のリブに受け渡す役割を果たすこととなり、第1および第2のリブが協働して水滴を底壁部の貫通孔に導く作用が得られる。一方、第2のリブの下端部は、貫通孔の周縁部から離間しており、貫通孔の周縁部に、第2のリブを形成する必要がない。このため、本発明によれば、第1および第2のリブの総数をある程度多くした場合であっても、貫通孔の周縁部において第1および第2のリブが密集してこれらの形成が困難になるといった不具合を生じないようにすることができる。このようなことから、本発明においては、第1および第2のリブの総数をある程度多くするなどして、これらを比較的密な配列に設け、水滴落下防止性能を優れたものとすることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各第1のリブは、前記貫通孔の周縁部から前記底壁部の上縁部まで延びている。
【0012】
このような構成によれば、ハウジングの底壁部の上部側領域において、第2のリブに加えて、第1のリブをも利用して水滴のガイドを行なうことが可能となる。したがって、水滴などの液体がハウジングの下方に落下することを、より徹底して防止することが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各第1のリブのうち、少なくとも前記貫通孔の周縁部の近傍部分は、下方に進むほど前記底壁部の外面からの突出高さが高くなるように形成されている。
【0014】
このような構成によれば、各第1のリブの側面に接触している水滴がハウジングの下方に落下する現象を抑制することができる。すなわち、水滴が第1のリブの側面に接触して下方に向けて流れる場合、この水滴は下方に進むほど成長し、大きなサイズとなっていく場合が多い。この場合、水滴のサイズは、貫通孔の周縁部の近傍部分において最大となり、本来的には、この部分からハウジングの下方に水滴が落下し易くなる。これに対し、前記構成によれば、貫通孔の周縁部においては、第1のリブの高さが下方側ほど高くなっており、第1のリブの側面の面積が拡大している。したがって、水滴が成長してそのサイズが大きくなったとしても、これに対応して第1のリブの側面の面積が大きくされていることにより、第1のリブの側面に対する水滴の吸着力も増大することとなって、水滴がハウジングの下方に落下し難くなる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記各第2のリブのうち、少なくとも前記下端部およびその近傍部分は、下方に進むほど前記底壁部の外面からの突出高さが低くなるように形成されている。
【0016】
このような構成によれば、水滴が第2のリブの側面に沿って流れ、第2のリブの下端部およびその近傍に達した場合に、この水滴と第2のリブの側面との接触面積は徐々に減少していき、水滴と側面との吸着力も減少することとなる。このため、前記水滴が第2のリブの下端部から離れ易くなる。したがって、第2のリブの下端部から第1のリブに向けての水滴の受け渡しが円滑に行なわれることとなり、第2のリブの下端部からハウジングの下方に向けて水滴が落下する現象を生じ難くすることができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るミスト発生装置の一例を示し、図4のI−I断面に相当する概略断面図である。
【図2】図1に示すミスト発生装置を示し、図4のII−II断面に相当する概略断面図である。
【図3】図1のIII−III平面断面図である。
【図4】図1に示すミスト発生装置の底面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】本発明の他の例を示す要部底面図である。
【図7】本発明の他の例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図5は、本発明に係るミスト発生装置の一例を示している。
図1および図2によく表われているように、本実施形態のミスト発生装置MGは、ハウジングH、ロータ2、このロータ2の駆動用のモータM、およびハウジングHのの外面11aに設けられた複数の第1のリブ5、および複数の第2のリブ6を具備している。本実施形態については、ミスト化対象の液体として、加熱または非加熱の水(湯水)を用いる場合について説明する。なお、ミスト発生装置MGは、既述した特許文献1に記載されたミスト発生装置と比較すると、第1および第2のリブ5,6に関する構成など、一部の構成は相違するが、それ以外の基本的な構成において共通する部分がある。したがって、特許文献1と共通する構成については、比較的簡単に説明する
【0021】
ハウジングHは、全体の概略形状が上面開口のカップ状とされたハウジング本体1と、このハウジング本体1上にネジ体90を用いて組み付けられたカバー体19とを具備している。ハウジング本体1は、底壁部11、この底壁部11の上縁部11bの近傍から上向きに起立した複数の衝突壁部12、および複数のミスト噴出口13を有している。底壁部11の外面11aは、円錐面状であり、後述する貫通孔16に接近する部分ほど高さが低くなるように傾斜している。ハウジングH内には、給水管92の一部が引き込まれており、ハウジングH内の下部は、給水管92を介して外部から供給されてきた水を適当量だけ貯留可能な貯液部14として形成されている。
【0022】
ロータ2は、モータMの駆動軸30に支持されてハウジングH内に収容されており、円板状の回転板20と、この回転板20の中央部から下向きに突出した液体汲み上げ用の軸状部21とを有している。軸状部21は、上部寄りほど大径となる円錐状または円錐台状である。この軸状部21を高速で回転させた際には、貯液部14に貯留されている水をこの軸状部21の外周面に沿った膜状として上昇させることが可能であり、このようにして上昇した水は、その後に回転板20の下面の中央寄り領域から外周方向に向けて加速され、回転板20の周囲に飛散する。複数の衝突壁部12は、ロータ2の回転板20から飛散してくる水を衝突させて微小粒径のミストを発生させるための部位であり、図3に示すように、ロータ2の回転板20の周囲を囲むようにして略等間隔で並んだリブ状である。これら複数の衝突壁部12どうしの隙間のうち、ハウジングHの周囲に向けて開口する部分が、ミスト噴出口13である。
【0023】
ハウジングHの底壁部11の下部中心には、貯液部14に連通する貫通孔16が設けられている。ロータ2の軸状部21の下部は、貫通孔16に挿通しており、この貫通孔16の内周面と軸状部21の外周面との間には、たとえば0.数mm〜3mmほどの隙間16aが形成されている。この隙間16aに存在する水は、軸状部21の外周面に沿って水を上昇させる力(ポンピング作用)によって常時上方に汲み上げられる結果、貫通孔16の下方には漏れない。このことにより、ロータ2の回転時には、貯液部14に一定量の水を適切に貯留させておくことが可能である。もちろん、ロータ2の回転停止時には、ハウジングH内に存在する水を貫通孔16から下方に排出させることにより、貯液部14の残水を処理することが可能である。ただし、全ての水をミスト化した後にロータ2の駆動を停止させる制御を行なえば、貫通孔16から残水が排出されることを無くすことができる。
【0024】
図4および図5によく表われているように、複数の第1および第2のリブ5,6は、ともにハウジングHの底壁部11の外面11aに設けられ、かつ外面11aから起立した両側面50または60を有している。複数の第1のリブ5は、貫通孔16を中心とする略等角度間隔の放射状に設けられて、底壁部11の半径方向に略一定幅で延びている。各第1のリブ5の下端部5bは、貫通孔16の周縁部に位置し、かつ上端部5aは、底壁部11の上縁部11bまたはその近傍に位置している。これに対し、複数の第2のリブ6は、複数の第1のリブ5どうしの間に位置して底壁部11の半径方向に略一定幅で延びている。各第2のリブ6の上端部6aは、底壁部11の上縁部11bまたはその近傍に位置し、かつ下端部6bは、貫通孔16の周縁部から離間した位置にある。
【0025】
図1および図2に示すように、第1および第2のリブ5,6の高さh1,h2(底壁部11の外面11aから突出する高さ)は、各所一様ではなく、第1のリブ5の高さh1は、上端部5aから下端部5bに進むほど徐々に高くなっている。これに対し、第2のリブ6の高さh2は、前記とは反対に、上端部6aから下端部6bに進むほど徐々に低くなっている。
【0026】
次に、前記したミスト発生装置MGの作用について説明する。
【0027】
ミスト発生装置MGは、たとえば浴室の上部に設置されて、ミストシャワーやミストサウナ用のミストを発生させるのに用いられる。ミスト発生原理は、前記特許文献1に記載されたものと同様である。すなわち、ロータ2を回転させると、貯液部14に貯留されている水がロータ2の軸状部21により汲み上げられてから回転板20の周囲に飛散し、複数の衝突壁部12に衝突することによりミスト化される。このようにして発生したミストは、複数のミスト噴出口13からハウジングHの周囲に向けて噴出し、その後下降していく。したがって、浴室内におけるミスト発生装置MGの下方の広い空間領域に多くのミストを効率良く供給することができる。
【0028】
ハウジングHのミスト噴出口13からミストを噴出させた際には、ハウジングHの底壁部11の外面11aに一部のミストが接触し、この外面11aにおいてミストが水滴化する場合がある。このようにして発生した水滴は、次に説明するように、第1および第2のリブ5,6によって貫通孔16にガイドされる。
【0029】
図5を参照して、水滴W1〜W3が貫通孔16に向けてガイドされる場合の作用を説明する。まず、底壁部11の外面11aの上部寄り領域において水滴W1〜W3が発生し、これらがある程度の大きさまで成長すると、あるいは成長しつつ外面11aの傾斜に沿って下向き(貫通孔16に向かう方向)に流れると、水滴W1〜W3は、複数の第1および第2のリブ5,6のいずれかの側面50または60に接触する。好ましくは、第1および第2のリブ5,6どうしの間隔(底壁部11の周方向の間隔)は、水滴W1〜W3がある程度のサイズに成長すると、第1および第2のリブ5,6のいずれか一方に早期に接触し得る寸法(たとえば、4〜10mm程度)とされている。
【0030】
水滴W1が、第1のリブ5(5A)の側面50(50A)に接触した場合、この水滴W1は、側面50Aに沿って外面11a上をそのまま下向きに流れ、貫通孔16に到達する。すると、この水滴W1は、ロータ2の軸状部21によるポンピング作用により貫通孔16内に流入し、貯液部14に進行する。水滴W1が下向きに流れる過程においては、この水滴W1が他の微小水滴を取り込んで徐々に成長していき、そのサイズ(水滴W1の高さも)が徐々に大きくなっていく場合が多い。これに対し、図1を参照して説明したように、第1のリブ5の高さh1は、下端部5b側ほど高くなっているために、水滴W1のサイズが大きくなったとしても、この水滴W1に対して、第1のリブ5Aの側面50Aを広い面積で接触させることができる。水滴W1は、本来的には、そのサイズが大きくなって重量が大きくなるほど、底壁部11の外面11aからその下方に落下し易くなるが、本実施形態においては、水滴W1が成長するにしたがって第1のリブ5Aの側面50Aとの接触面積を大きくして、側面50Aと水滴W1との吸着力を高めることが可能であるため、水滴W1の落下を適切に防止することができる。
【0031】
一方、第2のリブ6(6A)の側面60(60A)に接触した水滴W2は、側面60Aに沿って下向きに流れ、第2のリブ6Aの下端部6bに到達する。すると、水滴W2は、その後に下端部6bから離れてさらに下向きに流れ、第1のリブ5(5B)の側面50(50B)に到達する。すなわち、第2のリブ6Aから第1のリブ5Bに水滴W2が受け渡される。したがって、水滴W2は、その後第1のリブ50Bの側面50Bに沿って下向きに流れ、貫通孔16内に流入することとなる。図2を参照して説明したように、第2のリブ6の高さh2は、下端部6b側ほど低くなっているために、水滴W2が下端部6bの近傍に到達すると、第2のリブ6Aの側面60Aとの接触面積が小さくなり、下端部6bから自然に離れ易くなる。このため、水滴W2が下端部6bから第1のリブ5Bに受け渡されることが円滑かつ的確に行なわれる。水滴W2が下端部6bに到達して静止している時間が長くなると、この下端部6bの位置において水滴W2が成長し、そのサイズや重量が急激に増加することに起因して、ハウジングHの下方に落下する虞を生じるが、本実施形態によれば、そのような虞を適切に回避することが可能である。第2のリブ6Aの反対側の側面60Bに水滴W3が接触した場合についても、前記したのと同様な作用を生じ、水滴W3は、下端部6bから第1のリブ5(5C)の側面50(50C)に受け渡されてから、この側面50Cに沿って下向きに流れ、貫通孔16内に流入する。
【0032】
前記説明から理解されるように、このミスト発生装置MGにおいては、複数の第1および第2のリブ5,6を利用して底壁部11の外面11aに付着した水滴を貫通孔16に適切に導くことができる。したがって、底壁部11の外面11aから入浴者の頭上に多くの水滴が落ちるといったことを適切に防止することができる。第2のリブ6の下端部6bは、貫通孔16の周縁部から離間した配置にあるために、第1および第2のリブ5,6を底壁部11の周方向に小ピッチで密に設けた場合であっても、貫通孔16の周縁部においては、第1のリブ5のみを比較的大きなピッチに形成すればよいこととなり、第1のリブ5の形成に苦慮するといった不具合も適切に回避することができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、第1および第2のリブ5,6の上端部5a,6aが、複数の衝突壁部12の直下に位置する(図4および図5の底面図において、上端部5a,6aが複数の衝突壁部12のいずれかの端部に隣接した配置にある)ように設けられている。これに対し、底壁部11の外面11aの上部寄り領域においては、複数の衝突壁部12の直下領域よりも、ミスト噴出口13の直下領域の方が水滴を生じ易い。したがって、本実施形態によれば、第1および第2のリブ5,6は、水滴を生じ易いミスト噴出口13の直下領域を挟む配置に設けられており、水滴を第1および第2のリブ5,6によって一層効率良くガイドすることが可能となる。
【0034】
図6および図7は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0035】
図6に示す実施形態においては、第1のリブ5が、底壁部11の上縁部11bまたはその近傍に達する長さに形成されておらず、底壁部11の上縁部11bと第1のリブ5の上端部5aとは比較的大きく離れている。ただし、本実施形態においても、前記実施形態と同様に、第2のリブ6に沿って下向きに流れて下端部6bに達した水滴を、これに接近した位置にある第1のリブ5によって受け取らせてから貫通孔16に向けて流れさせることが可能である。本実施形態では、底壁部11の上縁部11b寄りの領域において、第1のリブ5を利用した水滴のガイドは行なわれない。ただし、上縁部11b寄りの領域においては発生する水滴のサイズは一般的に小さいこと、および水滴がある程度の大きさになると底壁部11の下部側に向けて迅速に流れていくために、多くの水滴が上縁部11b寄りの領域から底壁部11の下方に落下する虞は少ない。したがって、本実施形態の構成であっても、水滴落下防止性能を優れたものとすることが可能である。
【0036】
図7に示す実施形態においては、ハウジングHの底壁部11が、第1および第2の領域A1,A2に区分されており、第1の領域A1には、第1および第2のリブ5,6が設けられておらず、第2の領域A2のみに第1および第2のリブ5,6が設けられている。ハウジングHのうち、第1の領域A1に対応する箇所には、ミスト噴出口13が設けられていないなどの理由により、第1の領域A1には、水滴が付着し難くされている。このような場合には、あえて第1の領域A1に第1および第2のリブ5,6を設ける必要はない。本実施形態から理解されるように、本発明においては、必ずしもハウジングの底壁部の全域に第1および第2のリブを放射状または略放射状に設けなくてもよく、それらのリブを底壁部の一部の領域のみに設けた構成とすることができる。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るミスト発生装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0038】
本発明でいう第1および第2のリブの具体的な長さ、幅、高さ、本数などは限定されない。図1および図2に示した構成とは異なり、第1および第2のリブの高さh1,h2のそれぞれを各所一様な高さに形成することもできる。ハウジングの具体的な形状、サイズ、材質なども限定されない。ハウジングの底壁部の外面は、貫通孔に接近するほど高さが低くなるように傾斜していればよく、円錐面状に代えて、たとえば下向きの略半球面状などの曲面状、あるいは角錐面状などに形成することもできる。微細なミストを多く発生させる上では、ロータの周囲に複数の衝突壁部を設けることが好ましいものの、やはりこれに限定されない。ロータを高速回転させて液体をロータの周囲に高速で飛散させるだけであっても、ミスト(この場合のミストは、粒子径が大きい粗ミスト)を発生させることが可能である。
【0039】
本発明に係るミスト発生装置は、浴室での温水または非加熱水のミスト発生用途に適するが、その具体的な用途も限定されない。浴室以外の場所に設置し、たとえば、一般家庭、工場、あるいは病院などにおける加湿用途、冷水ミストシャワーを利用した冷房その他のクーリング用途、薬液などの液体散布の用途、ミスト発生に伴うマイナスイオン効果を目的とする用途、およびそれ以外の種々の用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能な貯液部を内部に形成しているとともに、ミスト噴出口よりも下方に位置する底壁部の下部に、前記貯液部に連通した貫通孔が設けられ、かつ前記底壁部の外面が前記貫通孔に接近する部分ほど高さが低くなるように傾斜した傾斜面とされているハウジングと、
前記貫通孔の内周壁との間に隙間を生じるように前記貫通孔に挿入された軸状部を有し、かつ回転時には前記貯液部および前記隙間に存在する液体を前記軸状部の外周面に沿って上昇させてから周囲に飛散させてミスト化を図るためのロータと、
前記底壁部の外面に設けられて、前記貫通孔の周縁部から前記底壁部の上部側に向けて延びており、かつ前記底壁部の外面に付着した水滴を前記貫通孔に向けてガイドすることが可能な複数の第1のリブと、
を具備している、ミスト発生装置であって、
前記底壁部の外面に設けられて、前記複数の第1のリブとは前記底壁部の周方向に位置ずれした配列で前記底壁部の上部側から下部側に向けて延びており、かつ下端部が前記貫通孔から離間した配置とされている複数の第2のリブをさらに備えており、
前記底壁部の外面に付着した水滴が前記各第2のリブの側面に沿って流れて前記各第2のリブの下端部に到達したときには、その後この水滴は、前記下端部から離れて、前記複数の第1のリブのいずれかの側面に向けて進行することが可能に構成されていることを特徴とする、ミスト発生装置。
【請求項2】
前記各第1のリブは、前記貫通孔の周縁部から前記底壁部の上縁部まで延びている、請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記各第1のリブのうち、少なくとも前記貫通孔の周縁部の近傍部分は、下方に進むほど前記底壁部の外面からの突出高さが高くなるように形成されている、請求項1または2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記各第2のリブのうち、少なくとも前記下端部およびその近傍部分は、下方に進むほど前記底壁部の外面からの突出高さが低くなるように形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載のミスト発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−75139(P2011−75139A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224286(P2009−224286)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】