説明

ミスト発生装置

【課題】超音波ミストを生成する生成液を液柱で攪拌しながら、超音波ミストを生成し得るミスト生成装置を提供する。
【解決手段】生成液2を貯留した貯留槽1と、生成液2内に配設した超音波振動子3と、超音波振動子3から出力される振動エネルギーを反射して、生成液2の液面から液柱5を放出させる反射板4とを備えたミスト発生装置において、反射板4と液柱5の落下位置との距離を、液柱5の放出方向で対向する貯留槽1の内側面の距離の半分以上とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顔等の肌面にミストを供給してスキンケアを行うミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミスト発生装置の一種類として、超音波ミストを放出して肌面に供給することにより、潤いのある肌面を生成するようにしたものがある。超音波ミストは、ミスト生成液内で超音波振動子を振動させることにより、生成液の表面から液柱を隆起させ、その液柱の表面から放出される微粒子化された液体である。
【0003】
特許文献1には、霧化用液体内で超音波振動子を振動させ、その超音波振動子の振動エネルギーを反射部によって反射して液面に液柱を発生させ、その液柱から超音波ミストを生成する霧化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される霧化装置では、液柱が液面からほぼ垂直方向に隆起するため、霧化用液体が攪拌され難い。従って、霧化用液体を加熱しなから霧化したり、霧化用液体に洗剤等を混ぜた場合に、霧化用液体が攪拌され難いため、霧化ミストの温度や洗剤濃度にばらつきが生じるという問題点がある。
【0006】
この発明の目的は、超音波ミストを生成する生成液を、液柱で攪拌しながら超音波ミストを生成し得るミスト生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のミスト発生装置は、生成液を貯留した貯留槽と、前記生成液内に配設した超音波振動子と、前記超音波振動子から出力される振動エネルギーを反射して、前記生成液の液面から液柱を放出させる反射板とを備えたミスト発生装置において、前記反射板と前記液柱の落下位置との距離を、前記液柱の放出方向で対向する貯留槽の内側面の距離の半分以上としたことを特徴とする。
【0008】
また、上記構成において、前記反射板から放出される液柱と前記生成液の液面との間の角度を鋭角とすることが好ましい。
また、上記構成において、前記反射板を前記対向する内側面の一方の内側面近傍に設け、前記液柱を他方の内側面に落下させることが好ましい。
【0009】
また、上記構成において、前記生成液を加熱するヒーターを、前記超音波振動子及び前記反射板の取付位置を除いた位置で、前記貯留槽の側面に設けることが好ましい。
また、上記構成において、前記貯留槽の底面を、前記液柱の落下位置から前記反射板の取付位置に向かって前記生成液の深さを徐々に深くする斜面とすることが好ましい。
【0010】
また、上記構成において、前記液柱の放出方向に直交する方向で対向する前記貯留槽の内側面の間隔を、前記液柱の直径と等しくすることが好ましい
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超音波ミストを生成する生成液を、液柱で攪拌しながら超音波ミストを生成し得るミスト生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第一の実施形態のミスト発生装置を示す概略図である。
【図2】第二の実施形態のミスト発生装置を示す概略図である。
【図3】第三の実施形態のミスト発生装置を示す概略図である。
【図4】第四の実施形態のミスト発生装置を示す概略図である。
【図5】第五の実施形態のミスト発生装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1に示すミスト発生装置は、スキンケアを行うために肌面に供給するミストを生成するものであり、貯留槽1内に超音波ミストを生成するための生成液2が貯留されている。前記生成液2は、貯留槽1に設けられるヒーター(図示しない)により適宜な温度に加熱されている。
【0014】
前記貯留槽1の底面の一側には超音波振動子3が配設されている。超音波振動子3は、近接する貯留槽1の内側面に向かって斜め上方に向けて設置され、超音波振動子3が振動すると、その振動エネルギーは当該内側面に向かって放出される。
【0015】
前記超音波振動子3のエネルギーが放出される前記貯留槽1の内側面には、反射板4が設置される。前記反射板4は、前記超音波振動子3に向かってやや斜め下方に傾けて設置されている。
【0016】
そして、前記超音波振動子3の振動エネルギーは反射板4で斜め上方に向かって反射され、反射された振動エネルギーに基づいて、生成液2が液柱5となって押し上げられる。すると、液柱5の表面で発生した表面波が干渉を起こし、液体を衝突させるとともに引きちぎるように作用するエネルギーが液柱5の表面張力に打ち勝って、生成液を微粒子化して飛散させる。このような動作により液柱5の表面から超音波ミストMが放出される。
【0017】
また、超音波振動子3から放射される振動エネルギーの中心と、反射板4で反射されて放射される振動エネルギーの中心との挟み角αがほぼ直角を成すように、言い換えれば超音波振動子3から放射される振動エネルギーが反射板4に対しほぼ45度の入射角で入射するように設定されている。
【0018】
この結果、前記液柱5の放出方向は、生成液2の液面との間の角度が鋭角となる状態で反射板4から斜め上方に向かって放出され、その先端部は放物線状に下降して生成液2の液面に向かって落下する。
【0019】
前記貯留槽1の大きさは、液柱5の液面への落下位置が、前記貯留槽1の中央Cと前記反射板4に対向する貯留槽1の内側面6との間となるように設定されている。言い換えれば、貯留槽1の大きさは、反射板4と液柱5の落下位置との距離が、貯留槽1の反射板4取付側の内側面と他方の内側面6との距離の半分以上となるように形成されている。
【0020】
前記貯留槽1の天面7の前記内側面6側には送風口8が設けられ、その送風口8の近傍に送風用ファン9が設けられている。そして、送風用ファン9の作動により、貯留槽1外から貯留槽1内に向かって送風されるようになっている。
【0021】
前記貯留槽1の天面7の前記反射板4側には放出口10が設けられている。そして、前記送風口8から送られた風により、前記液柱5の表面で発生した超音波ミストMが放出口10から貯留槽1外へ放出されるようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成されたミスト発生装置の作用を説明する。
超音波振動子3が振動すると、その振動エネルギーが反射板4で反射されて液柱5が斜め上方に向かって放出され、液柱5の先端部は放物線状に下降して生成液2の液面に向かって落下する。そして、液柱5の先端は、貯留槽1の中央Cと内側面6との間に落下する。
【0023】
液柱5の表面で発生した超音波ミストMは、送風口8から貯留槽1内に送られる風で放出口10から放出される。
上記のようなミスト発生装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)液柱5の先端が、反射板4が取着される内側面と対向する内側面6の近傍で生成液2の液面に向かって落下する。すると、生成液2には液柱の落下位置から反射板4に向かう対流が生じるため、生成液2が適度に攪拌される。従って、生成液2の温度や、生成液2に添加される添加剤の濃度を均一に保ち、超音波ミストMの温度や添加剤濃度を安定化させることができる。
(2)貯留槽1の内側面6が液柱5の落下位置近傍となるように位置させて、反射板4と内側面6との間隔を縮小することにより、貯留槽1を小型化することができる。
(第二の実施形態)
図2は、ミスト発生装置の第二の実施形態を示す。前記第一の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明する。
【0024】
この実施形態では、液柱5は反射板4に対向する内側面6に接する位置で落下するように構成されている。すなわち、反射板4と内側面6との間隔が第一の実施形態よりさらに短縮されている。その他の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0025】
このようなミスト発生装置では、第一の実施形態と同様な効果を得ることができるとともに、貯留槽1をさらに小型化することができる。
(第三の実施形態)
図3は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、貯留槽1内の生成液2で超音波ミストとスチームミストを生成する場合を示す。前記第二の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明する。
【0026】
図3に示すように、貯留槽1の側面にはヒーター11が取着され、そのヒーター11で生成液2が加熱されて沸騰し、スチームミストが生成される。
前記ヒーター11は、前記超音波振動子3及び反射板4の近傍を除く位置で、貯留槽1の側面に取着されている。その他の構成は、第二の実施形態と同様である。
【0027】
このような構成により、貯留槽1内で超音波ミストMとスチームミストとが生成されて混合され、その混合ミストが放出口10から放出される。
このように構成されたミスト発生装置では、第二の実施形態と同様な効果を得ることができる。また、液柱5が液面から放出される反射板4近傍では、ヒーター11が設けられていないので、反射板4近傍の生成液2が沸騰することなく、生成液2のゆれ及び液面のゆれが抑制される。従って、安定した液柱5を生成して、超音波ミストMを安定して生成することかできる。
(第四の実施形態)
図4は、第四の実施形態を示す。この実施形態は、貯留槽1内の生成液2の攪拌を更に促進するために、貯留槽1の底面を傾斜させたものである。前記第二の実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明する。
【0028】
図4に示すように、貯留槽1の底面12は内側面6側から超音波振動子3及び反射板4の取付位置に向かって生成液2の深さが徐々に深くなる斜面に形成され、超音波振動子3の取付位置が最も深くなるように形成されている。その他の構成は、第二の実施形態と同様である。
【0029】
このような構成により、液柱5の先端部は内側面6にぶつかった後、底面12に案内されて超音波振動子3及び反射板4の取付位置まで案内される。従って、第二の実施形態に比して、生成液2の攪拌効果をさらに向上させることができる。
(第五の実施形態)
図5は、第五の実施形態を示す。この実施形態は、第四の実施形態の貯留槽1の前後幅を縮小してさらに小型化を図るようにしたものである。第四の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明する。
【0030】
図5はこの実施形態の貯留槽1の平面図を示し、貯留槽1の正面方向からの形状は図4と同様である。貯留槽1の上部は、その前後方向の内側面13a,13bの間隔W、すなわち液柱5の放出方向に直交する方向の内側面13a,13bの間隔が液柱5の直径とほぼ同一となるように形成され、液柱5は貯留槽1の内側面13a,13bの間で放出される。その他の構成は、第四の実施形態と同様である。
【0031】
このような構成により、第四の実施形態に比して貯留槽1を前後方向に小型化することができるとともに、液柱5を貯留槽1の内側面13a,13b間で、内側面13a,13bに阻害されることなく放出することができる。
【0032】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第三の実施形態以外の各実施形態でも、貯留槽にスチームミスト発生装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…貯留槽、2…生成液、3…超音波振動子、4…反射板、5…液柱、6…内側面、11…ヒーター、12…底面、13a,13b…内側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成液を貯留した貯留槽と、
前記生成液内に配設した超音波振動子と、
前記超音波振動子から出力される振動エネルギーを反射して、前記生成液の液面から液柱を放出させる反射板と
を備えたミスト発生装置において、
前記反射板と前記液柱の落下位置との距離を、前記液柱の放出方向で対向する貯留槽の内側面の距離の半分以上としたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記反射板から放出される液柱と前記生成液の液面との間の角度を鋭角としたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミスト発生装置において、
前記反射板を前記対向する内側面の一方の内側面近傍に設け、前記液柱を他方の内側面に落下させたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記生成液を加熱するヒーターを、前記超音波振動子及び前記反射板の取付位置を除いた位置で、前記貯留槽の側面に設けたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記貯留槽の底面を、前記液柱の落下位置から前記反射板の取付位置に向かって前記生成液の深さを徐々に深くする斜面としたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のミスト発生装置において、
前記液柱の放出方向に直交する方向で対向する前記貯留槽の内側面の間隔を、前記液柱の直径と等しくしたことを特徴とするミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−200534(P2012−200534A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70375(P2011−70375)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】