ミスト発生装置
【課題】本発明は、ミスト浴によってもたらされる効果が低減されることなく、入浴者の様々な使用条件に沿うことができるミスト発生装置の提供することを目的とした。
【解決手段】ミスト発生装置1は、供給された湯水を噴霧可能なもので、霧状の湯水を噴射する噴射部12を有するミスト噴射体2と、ミスト噴射体2が間接的に保持された基体3とを有する。ミスト噴射体2と基体3との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられている。これにより、基体3の位置を固定しつつも、ミストの噴射方向を変更することができる。
【解決手段】ミスト発生装置1は、供給された湯水を噴霧可能なもので、霧状の湯水を噴射する噴射部12を有するミスト噴射体2と、ミスト噴射体2が間接的に保持された基体3とを有する。ミスト噴射体2と基体3との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられている。これにより、基体3の位置を固定しつつも、ミストの噴射方向を変更することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を霧状に発生させることができるミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭の浴室内において、入浴者の心をリラックスさせたり、肌の潤いを高めて心身の健康増進に役立たせることができるミスト発生装置が知られている。この種のミスト発生装置には、浴室の天井や壁に据え付ける据え付け型や、浴室の混合栓に接続できる混合栓取付型がある。特に、最近では、大掛かりな設置工事を必要とせず、比較的安価に購入できる混合栓取付型のものが人気である。
【0003】
ところで、混合栓取付型のミスト発生装置を使用したミスト浴は、入浴者によって様々な方法があり、特に、女性と男性で異なる場合がある。
具体的には、女性は四肢などの部分的な冷えを感じる(所謂冷え性)方が少なくなく、特に足元に温かいミストを長時間浴びせる傾向があり、また男性は、シャワーの代わりにミストを浴びることがあるため、頭部から身体全体に温かいミストを浴びる傾向がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、一般的なシャワー装置のように把持したり、可動式の保持部等に装置本体を掛けて適宜高さを変更して、ミスト噴射を行うことができるシャワー型のミスト発生装置が開示されている。
即ち、特許文献1のミスト発生装置は、例えば、可動式の保持部を所望の位置に調整することで、ミストが噴射される高さを容易に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のミスト発生装置では、ミストの噴射方向を変更することができないため、ミスト浴の効果を十分に発揮させることができず、女性、男性を十分に満足させることができない場合があった。
即ち、特許文献1では、可動式の保持部によって、ミスト発生装置の高低の位置を適宜変更することは可能であるが、ミストの噴射方向の変更はできないため、いずれの高さに変更しても、ミストの噴射角度は一定である。そのため、可動式の保持部の高さが高くなるにしたがって、ミストの噴射領域が装置本体から離れる方向に移動し、その噴射領域の移動に伴って、入浴者自身の立ち位置も移動しなければならなかった。これにより、装置と入浴者の間隔が拡がるため、男性のように頭部から全身にミストを浴びる場合、ミストが全身に到達する前に適温より低温となってしまい、ミスト浴の効果を低減させていた。
【0007】
また、従来のシャワー型のミスト発生装置は、入浴者自身が把持するか、可動式の保持部に掛けて固定する構成とされている。そこで、女性のように足元に局所的にミストを噴射したいような場合であっても、下方側に固定した保持部に装置を掛けてミストを足元に浴びせることが考えられるが、保持部の下方側への可動範囲には限界があるため、保持部を最下端に固定してミストを浴びせたとしても、足首あたりに適温のミストを浴びせることは困難であった。そのため、足元にミストを浴びせる場合は、把持する方が有効的である。しかしながら、長時間ミストを浴びせる場合に、入浴者自身で装置本体を把持するのは、大変であり、本来ミスト浴によってもたらされるリラックス効果が低減してしまう問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、ミスト浴によってもたらされる効果が低減されることなく、入浴者の様々な使用条件に沿うことができるミスト発生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、供給された湯水を噴霧可能なミスト発生装置であって、霧状の湯水を噴射する噴射部を有するミスト噴射体と、少なくとも1つのミスト噴射体が間接的に保持された基体とを有し、ミスト噴射体と基体との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられていることを特徴とするミスト発生装置である。
【0010】
本発明のミスト発生装置は、噴射部を有するミスト噴射体が間接的に基体に保持された構成であり、ミスト噴射体と基体との間に少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられているため、ミストの噴射方向をより自由に変更することが可能である。即ち、本発明のミスト発生装置によれば、ミストの噴射対象に、的確な角度で噴射することができるため、温かいミストを噴射する場合においては、適温のミストを使用者に浴びせることができ、ミスト浴をより効果的なものとすることができる。
なお、ここで言う「間接的に保持」とは、別部材を介して接続されたことを意味している。
【0011】
例えば、本発明のミスト発生装置を先に説明したシャワー型として採用し、回転方向の自由度を、上下方向と、左右方向に持たせたとすれば、装置本体の高さを別部材(例えば、上記した保持部等)によって固定した上に、ミスト噴射体を上下方向に回転させて噴射方向を変更することができるため、ミストの噴射角度をミスト浴の効果を減じない最適の角度にすることができる。これにより、先に説明したように、装置本体を高い位置に固定した場合に、ミストの噴射領域が装置本体から遠ざかって、使用者が浴びるミストの温度が適温でなくなってしまう不具合が防止される。
また、直接的にミストを浴びずに間接的なミスト浴を楽しみたいというような場合であっても、ミスト噴射体を左右方向に回転させてミストの噴射方向を使用者の位置からずらすことができるため、わざわざ使用者自身が移動する必要がない上、使用者の使用条件を選ばない。
【0012】
また、本発明のミスト発生装置は、ミスト噴射体が基体に保持されて、ミスト噴射体が基体に対して相対的に回転する構成であるため、ミスト噴射体と基体とを横並びの関係にすることで床又は台置きとして安定を図ることができる。例えば、基体の面積の広い部位を床又は台側にしたり、ミスト噴射体と基体を近接又は離反方向に回転させてミスト噴射体と基体の双方を利用した配置とすることで、床又は台置きの際の装置の安定性を確保することができる。そして、その状態で、ミスト噴射体を使用者の所望の角度に向ければ、床又は台側から使用者に対してミストを噴射させることができる。これにより、特に足元に温かいミストを浴びせたいという女性の使用条件を満足することができる。
従って、本発明のミスト発生装置によれば、基体を有し、その基体に対してミスト噴射体を回転させて角度を変更できるため、入浴者の様々な使用条件に沿うことができる。さらに、ミストを最適な角度で噴射させることができるため、使用者に適温のミストを浴びせることができ、ミスト浴によってもたらされる効果を低減させることがなくなる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられており、当該流路を通過する湯水の流量を調整できる流量調整機能を有することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置である。
【0014】
かかる構成によれば、流量調整機能によって、ミストの噴射量や噴射の勢いを調整することができる。これにより、本発明によれば、局所的な部位(例えば顔等の局部)にミストを当てたいような場合に、カラン等を操作することなく、噴射量や勢いを調整できる。そのため、ミスト浴中の流量調整が煩わしくない。
【0015】
請求項3に記載の発明は、ミスト噴射体と基体は、所定の姿勢にあるときは両者の流路が連通する開口面積が最大となるものであって、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して前記所定の姿勢から相対的に回転すると、ミスト噴射体と基体の流路が連通する開口面積が変化するものであって、当該開口面積を変化させることで流路を通過する湯水の流量が調整されることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置である。
【0016】
かかる構成によれば、流路調整機能は、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を他方に対して相対的に回転させる操作によって果たされるため、操作が容易な上、操作前の状態と操作後の状態とを直感的に判別させることができる。即ち、本発明は、所定の姿勢を例えばミスト噴射体と基体とがほぼ直線状である姿勢とすれば、ミスト噴射体と基体とがそれ以外の姿勢であれば、流量が制限されていると直感的に判断させることができる。
さらに付言すると、調整された流量の程度を判断する基準が目盛りなどではなく、装置の姿勢であるため、使用者がたとえ視力が低い方や、お年寄りの方であっても、誤操作を招く懸念がない。
【0017】
請求項4に記載の発明は、1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体が複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0018】
かかる構成によれば、基体に対して、2軸の回転方向の自由度を備えたミスト噴射体が複数設けられているため、ミストの使用方法の幅を拡げることができる。例えば、2つのミスト噴射体が基体を挟むように設けられた構成であれば、双方のミスト噴射体をミストの噴射方向が交差するように回転させたり、逆に双方のミスト噴射体をミストの噴射方向が平行又は離れる方向に回転させることができる。
【0019】
即ち、図20に示すように、例えば、各部位を縦に並べて、噴射されるミストを交差するようにすることで、ミストの噴射領域が狭くなる反面、噴射領域におけるミストの密度を高めることができる。これにより、ミスト噴射によるシャワー効果を得ることができる。また、ミストはシャワーに比べて、単位時間当たりの吐出流量が少ないため、一般的に節水効果が高いとされている。即ち、ミスト噴射によるシャワー効果を利用することで、環境保護を図る(所謂エコロジー)ことができる。
また、図21に示すように、各部位を縦に並べて、噴射されるミストを平行又は離れるようにすることで、ミストの噴射領域を広げることができるため、天井埋込型などのミスト付浴室暖房装置のように、効率的に浴室内をミスト雰囲気にすることができる。即ち、本発明のミスト発生装置によれば、本格的なミスト浴が可能となる。
【0020】
さらに、前記したように、2つのミスト噴射体が基体を挟むように設けられた構成においては、各部位を横に並べて使用することもできる。そして、横に並べて使用する場合は、前記した方法に加えて、床又は台置きして使用することもできる。即ち、図22に示すように、基体の表面積が広い部分を床又は台に平置き、又は、いずれか一方又は双方のミスト噴射体を、基体に対して近接又は離反方向に回転させて、基体に加えて少なくとも1つのミスト噴射体が床又は台に当接するように配置することで、装置の安定性を確保することができる。そして、本発明のミスト発生装置は、この状態でミストを噴射させることができるため、足元に適温のミストを浴びせることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、ミスト噴射体と基体の内部には、湯水が流れる流路が設けられ、基体から各ミスト噴射体までの流路が独立していることを特徴とする請求項4に記載のミスト発生装置である。
【0022】
かかる構成によれば、基体に設けられた複数のミスト噴射体は、それぞれが基体からミスト噴射体までの独立した流路を有しているため、各ミスト噴射体の流路に流れる流量が減少した場合に、それに連動して別のミスト噴射体の流路を流れる流量が減少するようなことが発生し得ない。同様に、各ミスト噴射体の流路に流れる流量が増大した場合に、それに連動して別のミスト噴射体の流路を流れる流量が増大することもない。即ち、例えば、請求項3に示すような構成を備えた場合、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して相対的に回転させるだけで、流路を通過する流量を調整することができるが、1つのミスト噴射体に流れる流量を絞っても、別のミスト噴射体に流れる流量が減少側変更されるような不具合は生じない。これによれば、複数のミスト噴射体を有する構成であって、噴射領域を狭めるため特定のミスト噴射体だけを使用したいような場合や、特定の部位(顔等)に集中的にミストを浴びせたいが、ミスト噴射体から噴射されるミストが過剰と感じてしまうような場合に特に効果的である。
【0023】
請求項6に記載の発明は、1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体に加えて、直接的に保持されたミスト噴射体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置である。
なお、ここで言う「直接的に保持」とは、ミスト噴射体と基体とが別部材を回することなく接続されたことを意味する。
【0024】
かかる構成によれば、基体に直接的に保持させたミスト噴射体と、基体に間接的に保持されたミスト噴射体が組み合わされているため、組み合わせが豊富である。
【0025】
本発明のミスト発生装置は、基体に間接的に保持されたミスト噴射体は、繋ぎ部材を介して接続されているものであることが望ましい。(請求項7)
【0026】
請求項8に記載の発明は、基体は、ミスト噴射体に対して、湯水の流れ方向上流側に位置するもので、前記繋ぎ部材は、基体に導入された湯水をミスト噴射体側に案内する流路形成部としての機能を備えていることを特徴とする請求項7に記載のミスト発生装置である。
【0027】
かかる構成によれば、湯水は基体に供給され、その湯水が流路形成部として機能する繋ぎ部材を通過してミスト噴射体に導入されるため、構成がシンプルである。即ち、ミスト噴射体に湯水を供給する流路を別部材として用意する必要がなく、部材点数を最小に抑えることができるため、製造コストを増加させることがない。
【0028】
請求項9に記載の発明は、基体に湯水を導入する導入継ぎ手を有し、導入継ぎ手は、湯水が供給される湯水供給管と接続されるものであって、基体と当該導入継ぎ手は、相対回転可能であることを特徴とする請求項8に記載のミスト発生装置である。
【0029】
かかる構成によれば、湯水供給管と接続される導入継ぎ手に対して、基体が相対的に回転可能であるため、先に説明したシャワー型として採用した場合に、装置が配置される場所を選ばない。例えば、床又は台置きするような場合であっても、基体が導入継ぎ手に対して回転可能であるため、湯水供給管が捻れて装置の安定性が悪くなるような不具合が抑制される。
【0030】
請求項10に記載の発明は、前記導入継ぎ手は、平面状の外側面を有し、当該平面状の外側面と、当該外側面と交差する関係の基体のいずれかの外側面は、同一平面を共有可能であることを特徴とする請求項9に記載のミスト発生装置である。
【0031】
かかる構成によれば、導入継ぎ手の外側面に平面状のものがあり、その平面状の外側面と、基体のいずれかの外側面が、ほぼ同一の平面を共有可能であるため、装置を床や台等に置いて使用するような場合に、導入継ぎ手の平面上の外側面と、その外側面とほぼ同一の平面を共有する基体の外側面とで装置を支持することが可能となる。これにより、基体単独で装置を支持する場合と比較すると、安定性が向上する。
【0032】
本発明のミスト発生装置は、前記繋ぎ部材は、スイベルジョイント構造を備えていることが望ましい。(請求項11)
【0033】
請求項12に記載の発明は、ミスト噴射体は、ほぼ板状であり、基体は、ミスト噴射体より厚みがあることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0034】
かかる構成によれば、基体がミスト噴射体より厚みがある構成とされているため、床や台に置いて使用するような場合に、装置を基体のみで支持させたとしても、安定性を確保することができる。即ち、ミスト噴射体を床や台に当接させることなく、安定性を図れるため、床や台に置いて使用する場合であっても、ミストの噴射角度の自由度が増す。
【0035】
請求項13に記載の発明は、ミスト噴射体は、前記噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0036】
かかる構成によれば、フロント部材に設けられた噴射部に対して、閉塞部材を近接・離反方向に移動させて、噴射部に対する閉塞部材の位置によって、シャワー噴射とミスト噴射を切り換えることが可能な構成とされている。即ち、閉塞部材を噴射部に対して近接状態にしたり、噴射部から閉塞部材を離して両者の間隔を空けた状態にして、噴射部における湯水の流れ方(直進的又は旋回)を変更することで、シャワーとミストを切り換えることができる。従って、本発明によれば、簡単な構造でシャワー機能とミスト機能を一体的に備えた装置にできるため、製造コストの増加を招かない。
【発明の効果】
【0037】
本発明のミスト発生装置では、ミスト噴射体が基体に対して2軸の回転方向の自由度を備えているため、ミストの噴射方向を多様に変更することができる。これにより、ミスト浴による効果を低減させることなく、入浴者の様々な使用条件に沿うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一実施形態に係るミスト発生装置の設置状態を示す説明図である。
【図2】図1のミスト発生装置を示す斜視図である。
【図3】図2のミスト発生装置の分解斜視図である。
【図4】図3のミスト噴射体の分解斜視図である。
【図5】図4と異なる角度から見たミスト噴射体の分解斜視図である。
【図6】図5のA方向(窪み壁面側から見た)から見たフロント部材の矢視図である。
【図7】ミスト噴射体を示す断面図である。
【図8】凸部を示す拡大斜視図である。
【図9】図8の二点鎖線をB−B方向から見た断面図である。
【図10】図3のC方向から見た流路形成部材の矢視図である。(破線部は流路)
【図11】基体を示す分解斜視図である。(二点鎖線は便宜上の領域区分け線である)
【図12】基体上部を示す図11のD方向矢視図である。
【図13】基体下部を示す図11のE方向矢視図である。(二点鎖線は便宜上の領域区分け線である)
【図14】基体下部を示す図11のF方向矢視図である。
【図15】図3のG方向から見た導入継ぎ手の矢視図である。(破線部は流路)
【図16】図2のH方向から見たミスト発生装置の矢視図である。
【図17】基体と流路形成部材との接続関係を示す説明図である。
【図18】ミスト噴射体の回転動作を示す概念図で、(a)〜(c)は回転状況を示した図である。(左右方向から見た図)
【図19】ミスト噴射体の回転動作を示す概念図で、(a)〜(c)は回転状況を示した図である。(上下方向から見た図)
【図20】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(保持部)
【図21】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(保持部)
【図22】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(浴室床)
【図23】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(浴槽床)
【図24】第二実施形態のミスト発生装置における流路形成部材を示す斜視図である。
【図25】第二実施形態のミスト発生装置における流路形成部材と基体との接続関係を示す説明図である。
【図26】(a)〜(d)は、第二実施形態におけるミスト噴射体の回転動作と各姿勢における連通開口の状態を示す概念図である。
【図27】図24の流路形成部材の変形例を示す斜視図である。
【図28】図27の流路形成部材とミスト噴射体との接続関係を示す説明図である。
【図29】(a)〜(d)は、第二実施形態の変形例におけるミスト噴射体の回転動作と各姿勢における連通開口の状態を示す概念図である。
【図30】第三実施形態に係るミスト発生装置のミスト噴射体を示す分解斜視図である。
【図31】図30と異なる角度から見たミスト噴射体の分解斜視図である。
【図32】湯水がミスト用流路形成部とミスト用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図33】湯水がシャワー用流路形成部とシャワー用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図34】図31のシャワー発生装置を示すI−I方向の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、第一実施形態に係るミスト発生装置1について説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の関係は図面を基準とする。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1に示すように、浴室10内において、図示しない熱源機から供給された湯水を流す可撓性のホース(湯水供給管)11に接続されており、供給された湯水をミスト状にして外部に噴射可能な装置である。
【0040】
ミスト発生装置1は、図2、3に示すように、湯水をミスト状にして外部に噴射する複数の噴射部12を有する2つのミスト噴射体2と、その2つのミスト噴射体2に挟まれた位置に配され、ミスト噴射体2より湯水の流れ方向上流側に位置した1つの基体3と、基体3の背面に配され、基体3に導入された湯水をミスト噴射体2側に案内する流路形成部材(繋ぎ部材)5と、ホース11(図1)から供給される湯水を基体3に導入する導入継ぎ手6により構成されている。
【0041】
ミスト噴射体2は、樹脂を射出成形したもので、正面視した形状がほぼ正方形であり、図4に示すように、噴射部12を備えたフロント部材21と、フロント部材21と組み合わさって湯水が導入される噴射体空間30(図7)を形成するリア部材22と、噴射体空間30に配置されて噴射部12への湯水の流入を制限する閉塞部材23とによって構成されている。
【0042】
フロント部材21は、図5に示すように、一方の壁面側(後述する円錐状流路35側)の中央を含む部分が、他方の壁面側(後述する噴射流路36側)に向かってほぼすり鉢状に窪んでおり(窪み部65)、その窪み部65に後述するリア部材22の装着部61が嵌合する被装着部60と、噴射部12が位置する凸部8が設けられている。
【0043】
窪み部65は、図6に示すように、平面視すると、大円66と小円67があり、大円66の内径を有する円柱部69(図5)と、大円66と小円67とをテーパー状に結んだ頂角を有さない円錐部70(図5)により形成されている。即ち、円柱部69と円錐部70は、窪み方向中途で連続している。また、円柱部69の内径の大きさは、後述するリア部材22の装着部61の外径とほぼ同じ大きさとされている。即ち、円柱部69は、リア部材22の装着部61が嵌め込まれる被装着部60とされている。なお、円柱部69側の円柱部69と円錐部70との境界近傍には、円柱部69の内径の大きさとほぼ同じ外径を有したリング状のパッキンが配されるため、リア部材22の装着部61は、このパッキンを考慮した形状に成形されている。
【0044】
円錐部70には、図5、7に示すように、傾斜した壁面に対して垂直に盛り上がった複数の凸部8(本実施形態では12個)と、凸部8の一部を囲った囲み部40が設けられている。
凸部8は、後述する閉塞部材23の台座であり、円錐部70の傾斜面に対して平面視した形状がほぼ長方形状である。また、凸部8は、円錐部70の傾斜面の中間あたりに位置しており、それぞれが円形状に並べて配されている。
囲み部40は、凸部8における円錐部70の傾斜方向に延びた側面(以下、斜面側側面と称す)に沿って設けられた直線状のリブで、円錐部70の傾斜面からの突出長さが凸部8の突出長さより長くされている。より具体的には、囲み部40は、1つの凸部8に対して2本設けられており、円柱部69と円錐部70の境界側の凸部8の頂点から凸部8の斜面側側面の中途あたりまでの長さとされている。即ち、囲み部材40の長さは、凸部8の斜面側側面の長さより短くされており、1つの凸部8に設けられた2本の囲み部材40は、互いに平行な位置関係とされている。
【0045】
また、凸部8の位置には、図5〜7に示すように、フロント部材21の円錐部70における厚み方向に延びた流路状の噴射部12と、噴射部12に湯水を導入する旋回流形成溝13が設けられている。
【0046】
噴射部12は、図8、9に示すように、湯水の流れ方向上流側から導入部37と、円錐状流路35と、噴射流路36とが連通して形成されている。具体的には、一方の壁面側(以下、窪み壁面側とも称す)に導入部37が位置し、他方の壁面側(以下、吐出壁面側とも称す)に噴射流路36が位置する。そして、円錐状流路35は窪み壁面と吐出壁面の中間に位置している。即ち、導入部37と円錐状流路35及び円錐状流路35と噴射流路36は、フロント部材21の厚み方向中途で連通している。換言すれば、導入部37と噴射流路36は、同一の壁面側に位置することはない。
【0047】
導入部37は、凸部8の天面を貫通した開口を有した円柱状の流路である。また、導入部37の内壁には、後述する旋回流形成溝13の下流側が連通して形成された終端側溝型開口13bが2箇所設けられている。即ち、1つの導入部37に対して、2箇所の終端側溝型開口13bから湯水が導入される。
【0048】
円錐状流路35は、上流側で導入部37と連通しており、フロント部材21の窪み壁面側から噴射流路36との連通部に向かってテーパー状に内径が狭くなる流路である。即ち、円錐状流路35は、下流側に向かって次第に流量が制限されるため、流速が加速される箇所である。また、円錐状流路35においては、湯水を流路の軸線方向に交差するように流すことで(実際には流路断面の接線方向に流す)、湯水の旋回流を効率的に発生させることができる箇所である。なお、円錐状流路35は、導入部37と後述する噴射流路36との間に位置し、いずれの境界においても流路が連続しており、その境界部においては、円錐状流路35の上流側と導入部37との内径の大きさと、円錐状流路35の下流側と噴射流路36との内径の大きさはほぼ等しい。
【0049】
噴射流路36は、流路形状が円柱状であり、湯水の流れ方向のいずれの箇所においても流路断面の内径の大きさがほぼ等しい流路である。即ち、噴射流路36に導入された湯水は、流路抵抗を無視すれば、流速をほぼ等速にして下流側に流れる箇所である。また、前記したように、噴射流路36の内径は、円錐状流路35における最下流部の内径の大きさとほぼ同じである。また、噴射流路36は、フロント部材21の吐出壁面側に設けられた後述する噴射凹部42と連通している。
【0050】
旋回流形成溝13は、図8に示すように、凸部8の天面側に開放された溝型流路であり、円錐部70の傾斜方向に延びている。そして、旋回流形成溝13は、凸部8の外側面(斜面側側面と異なる面)を貫通した始端側溝型開口(流路始端)13aと、導入部37の内壁を貫通した終端側溝型開口13bを有している。
【0051】
より具体的には、旋回流形成溝13は、1つの噴射部12に対して2本ずつ設けられている。そして、その2本の旋回流形成溝13は、導入部37の流路断面に対する接線方向とされると共に互いに平行とされており、さらに両者が互いにずれた位置関係に配されている。換言すると、2本の旋回流形成溝13は、導入部37に導入した湯水を同じ方向に旋回させることができる位置関係である。これにより、各旋回流形成溝13から導入部37に導入されて旋回する湯水が、互いに衝突し合うことがない。具体的には、いずれの終端側溝型開口13bを介して導入部37に湯水が導入されたとしても、その湯水は導入部37の内壁に沿って同一方向に旋回しながら噴射部12に流入される。
【0052】
また、窪み部65における、小円67のさらに内側には、図5〜7に示すように、窪み方向と真逆方向に立設した外径の異なる2つの円柱体71、72が形成されている。具体的には、円柱体71は、小円67の内径より若干小さい外径であり、円柱体72は、円柱体71の外径より小さい外径とされている。そして、円柱体71の突端部に、円柱体72の基端部が一体的に接合された構成とされている。また、円柱体72の長さは、円柱体72の突端部が窪み部65の開口縁が有する平面とほぼ同一の平面を共有する程度の長さに設計されている。そして、円柱体72の突端面には、リア部材22を組み合わせる際にネジ等を螺合する雌ネジ部80が形成されている。
なお、凸部8は、円錐部70の傾斜面の中間に配されており、円柱体71の外径が窪み部65の小円67より若干小さくされているため、凸部8に位置する始端側溝型開口13aが、円柱部71又は円柱部72によって閉塞されることはない。
【0053】
また、図5、6に示すように、窪み壁面における窪み部65の外側領域には、四角形の各頂点近傍に吐出壁面側に貫通しない雌ネジ部84が1つずつ設けられている。
【0054】
一方、フロント部材21の吐出壁面側は、図4に示すように、大円66と小円67を結ぶようにテーパー状に盛り上がった形状とされており、その盛り上がりテーパー部73に噴射部12と連通した噴射凹部42が円形状に12個並べて設けられている。即ち、各噴射部12を通過した湯水は、それぞれの噴射凹部42から外部に吐出されてミスト状に拡散する。なお、噴射凹部42は、図9に示すように、吐出壁面側から窪み壁面側に向かって内径が小さくされたすり鉢形状とされている。換言すると、噴射凹部42は、吐出方向に向かって内径が拡がるような形状とされている。
【0055】
リア部材22は、図4、5に示すように、フロント部材21とほぼ同じ大きさとされており、フロント部材21と組み合わされてフロント部材21とリア部材22との間に湯水が流入する噴射体空間30(図7)を形成する部材である。即ち、リア部材22は、フロント部材21が組み合わされる側の一方の壁面(以下、フロント壁面と称す)の中央を含む位置に、当該壁面からリング状に突出した装着部61が設けられている。装着部61は、フロント部材21の被装着部60に嵌め込まれる部分である。また、装着部61の突端側の外周には、フロント部材21の被装着部60の内壁に沿って配されるパッキンが位置するため、図7に示すように、突端側の外周に沿って段状に切り欠かれた段切り部75が設けられている。即ち、装着部61においては、基端側の外径はフロント部材21の被装着部60の内径とほぼ同じであり、突端側の段切り部75における外径の大きさは、基端側の外径の大きさより小さく、前記パッキンの内径とほぼ同じ大きさとされている。
【0056】
装着部61の突出長さは、フロント部材21の被装着部60に嵌め込んだ際に、装着部61の突端部と凸部8の間に若干間隔が形成される程度の長さである。具体的には、図7に示すように、前記間隔は、凸部8に配置した後述する閉塞部材23を装着部61の突端部が当接できる程度である。
【0057】
また、リア部材22には、図4に示すように、装着部61の内側領域にフロント壁面から垂直方向に突出した複数の押さえ部33が設けられている。押さえ部33は、凸部8に配置された後述する閉塞部材23を押さえるもので、凸部8の位置に対応するように設けられている(本実施形態では12個)。即ち、押さえ部33の突出長さは、図7に示すように、リア部材22をフロント部材21と組み合わせた際に、凸部8に配置した閉塞部材23の中間当たりと当接できる程度の長さである。なお、押さえ部33は、円錐部70上に配置された閉塞部材23と当接し、装着部61よりも内側に配置されているため、押さえ部33の突出長さは装着部61の突出長さより長いと言える。
【0058】
また、リア部材22のフロント壁面には、図4に示すように、装着部61の中心に、円柱体受け部76が設けられている。円柱体受け部76は、フロント部材21の円柱体72の外径とほぼ等しい開口径を有した筒体であり、リア部材22とフロント部材21とを組み合わせた際に、円柱体72が挿通される部分である。そして、円柱体受け部76には、フロント壁面側と他方の壁面側(以下、導入壁面側と称す)とを貫通したネジ孔82が、円柱体72が有する雌ネジ部80と連通する位置に形成されている。
【0059】
また、フロント壁面における装着部61の内側領域には、導入壁面側から供給される湯水がフロント部材21とリア部材22とにより形成される噴射体空間30に導入されるフロント壁面開口45が設けられている。フロント壁面開口45は、リア部材22の部材の厚み方向に貫通した流路39の一部である。
また、装着部61の外側領域には、四角形の各頂点近傍にフロント壁面側と吐出壁面側を貫通したネジ孔85が1つずつ設けられている。なお、ネジ孔85は、フロント部材21の雌ネジ部84の位置と対応する位置に配されている。
【0060】
一方、リア部材22の導入壁面側には、フロント壁面開口45を有する流路39の一部であって、フロント壁面開口45より湯水の流れ方向上流側に位置する導入壁面開口(図示しない)が設けられている。また、前記導入壁面開口の位置には、導入壁面から突出するように当該壁面と一体的に接合された流路接続部47が設けられている。流路接続部47は、流路39と連通した円柱状の被装着空間15を備え、被装着空間15に後述する流路形成部材5の一部が装着される。また、被装着空間15の軸線は、流路39の軸線と直交した関係である。即ち、被装着空間15に装着された流路形成部材5を流れる湯水は、導入壁面に沿った方向に流れる。そして、被装着空間15では、装着された流路形成部材5を、被装着空間15の軸回りに回転させることを可能としている。
【0061】
閉塞部材23は、ほぼ平らな板状の部材であり、平面の大きさがフロント部材21に設けられた凸部8とほぼ同一の面積とされている。
【0062】
従って、本実施形態におけるミスト噴射体2は、フロント部材21の被装着部60と、リア部材22の装着部61を嵌合させて組み付けられて形成されている。具体的には、図7に示すように、ミスト噴射体2は、フロント部材21の被装着部60に、図示しないパッキンを装着した状態のリア部材22の装着部61が嵌め込まれている。さらに、この状態においては、フロント部材21の窪み壁面に位置する円柱体72の突端部が、リア部材22の円柱体受け部76に嵌め込まれている。そして、円柱体72の雌ネジ部80と、円柱体受け部76のネジ孔82が連通した状態でネジが螺合されている。また、フロント部材21とリア部材22の各頂点近傍に配された雌ネジ部84とネジ孔85も連通した状態でネジが螺合されている。これにより、フロント部材21とリア部材22との間には、供給された湯水が流入する噴射体空間30が形成される。なお、噴射体空間30は、フロント部材21の窪み壁面と、被装着部60と、リア部材22のフロント壁面と、装着部61によって囲まれた部分である。
【0063】
また、フロント部材21とリア部材22の間には、閉塞部材23が配置されて、ミストを発生させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。具体的には、図7に示すように、閉塞部材23は、フロント部材21の凸部8の位置に配され、フロント部材21の囲み部40とリア部材22の押さえ部33によって、噴射部12の位置からずれないようにされている。換言すれば、閉塞部材23をフロント部材21の凸部8に配置した状態においては、噴射部12の導入部37が閉塞されている。一方で、旋回流形成溝13は、常に始端側溝型開口13aの開放状態が維持されている。
即ち、本実施形態では、ミスト噴射体2に供給された湯水は、噴射体空間30に導入されると、旋回流形成溝13から噴射部12に導入されるため、噴射部12においては、湯水の旋回流が確実に形成され、外部に噴霧される。
【0064】
また、流路形成部材5は、樹脂を射出成形したものを穿設を施して形成したもので、所謂スイベルジョイント構造を備えた継ぎ手部材である。即ち、図3に示すように、流路形成部材5は、ブロック部24と、2つのジョイント部25、26と、1つの軸部27とによって構成されている。
ブロック部24は、ほぼ直方体で、図10に示すように、内部に湯水が流れる流路34が穿設により形成されている。流路34は、供給された湯水が導入される導入側開口34aと、その導入側開口34aより下流側に位置しブロック部24から吐出される吐出側開口34bとを有しており、導入側開口34aから導入された湯水は「L」字を描くように流れて吐出側開口34bから吐出される。
【0065】
ジョイント部25、26は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成され、外部にリング状のパッキンが嵌り込むリング状の溝部77が設けられている。そして、2つのジョイント部25、26のうちの一方が、ブロック部24における導入側開口34aと連通するように配され、残りの他方が、吐出側開口34bと連通するように配されている。なお、導入側開口34a側に配されたジョイント部25には、溝部77が1箇所設けられ、吐出側開口34b側に配されたジョイント部26には、溝部77が2箇所設けられている。
【0066】
軸部27は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、ジョイント部26の突出方向と反対方向に突出するように配されている。そして、軸部27の中心軸と、導入側開口34aに連通するように配されたジョイント部26の中心軸がほぼ一致する配置とされている。即ち、流路形成部材5は、軸部27とジョイント部26を回転軸として、流路形成部材5自身を回転させることを可能としている。
また、前記したように、ジョイント部25は、ミスト噴射体2の被装着空間15に装着され、ジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2を回転可能としている。
【0067】
基体3は、樹脂を射出成形したものであり、図3に示すように、外観がほぼローマ字の「H」を寝かせたような形状で、主に流路形成部材5の軸部27を保持する役割を担う基体上部16と、主に後述する導入継ぎ手6から供給される湯水を流路形部材5側に案内する流路の役割を担う基体下部17とにより構成されている。
【0068】
基体上部16は、図11に示すように、正面視した形状がほぼ「T」字型で、コア部50から左右方向及び下方に張り出した合計3つの張出部51〜53を備えている。コア部50は、それぞれの張出部51〜53が一体的に接合された部分で、上部面(図12)から下方に向かって円柱状に穿設された取付穴55が設けられている。取付穴55は、コア部50の上部面における中央に位置し、下方に位置する張出部52に形成されたネジ穴56と連通している。なお、ネジ穴56は、張出部52の下部面(図12)の中央に位置している。
【0069】
そして、張出部52のネジ穴56は、下部面(図11)から上方に向かって円柱状に穿設された穴である。従って、基体上部16は、取付穴55とネジ穴56によって、上下方向に貫通した孔が形成されている。なお、取付穴55は、ネジ穴56より内径が大きくされている。
また、張出部52には、ネジ穴56の近傍であって、張出部52の下部面の中心からずれた位置に、下部面から下方(図12)に突出した棒状の回転阻止部54が設けられている。
【0070】
左右に位置する張出部51、53にはそれぞれ、下部面(図12)から上方に向かって貫通しない程度に穿設された受け穴57が設けられている。受け穴57は、円柱状の穴で、流路形成部材5の軸部27を回転可能に保持する部分である。即ち、受け穴57の内径の大きさは、軸部27の外径の大きさとほぼ同一とされている。なお、張出部51、53は、コア部50を挟んで向きが左右対称である事以外に相違点がなく、ほぼ同一の構成である。
【0071】
基体下部17は、図11に示すように、正面視した形状がローマ字「T」を逆さにしたもので、コア部58から左右方向及び上方に張り出した合計3つの張出部62〜64を備えている。コア部58は、それぞれの張出部62〜64が一体的に接合された部分で、他方の側面側(図13の背面側)から一方の側面側(図13の正面側)に向かって貫通しない程度に穿設された挿通孔59が設けられている。そして、この挿通孔59に後述する導入継ぎ手6の一部が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。また、コア部58には、導入継ぎ手6から導入された湯水を、左右の張出部62、64に流す分岐流路46が形成されている。即ち、挿通孔59と分岐流路46は連通しており、互いにほぼ直交する関係とされている。
【0072】
そして、左右に位置する張出部62、64にはそれぞれ、分岐流路46と連通し上部面(図13)を貫通した装着空間68が設けられている。即ち、装着空間68は、張出部62と張出部64で左右対称の関係であり、一方が「L」字型で、他方は「L」字型を反転させた形状である。また、装着空間68における外部貫通側には、流路形成部材5のジョイント部26が装着されるため、装着空間68の外部貫通側の内径の大きさは、ジョイント部26の外径の大きさとほぼ同一とされている。即ち、この装着空間68の一部に流路形成部材5のジョイント部26が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。なお、前記したように、流路形成部材5は、基体3に対して、ジョイント部26を回転軸として相対的に回転可能である。
【0073】
コア部58の上方に位置する張出部63には、図14に示すように、基体上部16と基体下部17を一体的に組み合わせた際に、基体上部16のネジ孔56と対向する位置に雌ネジ部86が設けられ、基体上部16の回転阻止部54と対向する位置に阻止部挿通穴87が設けられている。雌ネジ部86と阻止部挿通穴87は共に張出部63の上部面(図13)から下方に向かって穿設されており、他のいずれの孔にも連通していない。
従って、本実施形態における基体3は、連通状態の基体上部16のネジ孔56と基体下部17の雌ネジ部86にネジを挿通して螺合し、基体上部16の回転阻止部54を基体下部17の阻止部挿通穴87に保持させることで形成される。なお、本実施形態では、外観形状を良く見せるために、基体3の取付穴55には穴を隠す蓋部材90が装着されている。
【0074】
導入継ぎ手6は、図3に示すように、直方体状の継ぎ手ブロック部43と、円筒状の2つの継ぎ手ジョイント部48、49により構成されている。
継ぎ手ブロック部43は、図15に示すように、内部に湯水が流れる流路78が穿設により形成されている。流路78は、供給された湯水が導入される導入側開口78aと、その導入側開口78aより下流側に位置し継ぎ手ブロック部43から吐出される吐出側開口78bとを有しており、導入側開口78aから導入された湯水は「L」字を描くように流れて吐出側開口78bから吐出される。
【0075】
継ぎ手ジョイント部48、49は、継ぎ手ブロック部43から突出するように一体的に接合された部分であって、双方共、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成されている。そして、継ぎ手ジョイント部48が継ぎ手ブロック部43に対して湯水の流れ方向下流側に位置し、継ぎ手ジョイント部49が継ぎ手ブロック部43に対して上流側に位置するように配されている。即ち、継ぎ手ジョイント部49が、継ぎ手ブロック部43における導入側開口78aと連通するように配され、継ぎ手ジョイント部48が、吐出側開口78bと連通するように配されている。また、吐出側開口78b側に配された継ぎ手ジョイント部48は、リング状のパッキンが装着される溝部79が2箇所設けられている。そして、継ぎ手ジョイント部48は、基体3の挿通孔59に装着され、継ぎ手ジョイント部48を回転軸として基体3を回転可能としている。
【0076】
次に、ミスト発生装置1の組み立て構造について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1、2に示すように、導入継ぎ手6における湯水の流れ方向上流側に配された継ぎ手ジョイント部49がホース(湯水供給管)11と接続され、導入継ぎ手6の下流側に配された継ぎ手ジョイント部48が、基体3と接続されている。具体的には、継ぎ手ジョイント部48は、図15に示すように、基体3における基体下部17の挿通孔59に挿通されている。この状態においては、基体3が継ぎ手ジョイント部48を回転軸として相対的に回転可能である。なお、継ぎ手ジョイント部48に配されたリング状のパッキンは、導入継ぎ手6と基体3によって挟持された配置である。
【0077】
また、基体3には、導入継ぎ手6から供給された湯水をミスト噴射体2に案内する流路形成部材5が基体3と相対的に回転可能に接続されている。具体的には、基体上部16の受け部57に流路形成部材5の軸部27が挿通して配置され、基体下部17の装着空間68に流路形成部材5のジョイント部26が挿通して配置されている。即ち、流路形成部材5は、軸部27とジョイント部26を回転軸にするべく、基体3に接続されている。また、この状態においては、流路形成部材5のジョイント部26に形成された流路が基体3の基体内部流路の一部を形成している。なお、ジョイント部26の溝部77に配されたリング状のパッキンは、流路形成部材5と基体3によって挟持された配置である。
【0078】
そして、流路形成部材5は、ミスト噴射体2を相対的に回転可能な配置とされている。具体的には、流路形成部材5のジョイント部25が、ミスト噴射体2における流路接続部47の被装着空間15に挿通されて、ミスト噴射体2がジョイント部25を回転軸にするべく、流路形成部材5と接続されている。また、この状態においては、流路形成部材5に形成された流路がリア部材22の流路39と連通している。なお、ジョイント部25の溝部77に配されたリング状のパッキンは、流路形成部材5とミスト噴射体2によって挟持された配置である。
【0079】
従って、本実施形態のミスト発生装置1では、導入継ぎ手6に供給された湯水は、導入継ぎ手6の下流側に位置する継ぎ手ジョイント部48の流路を流れて基体3の分岐流路46に導入され、分岐流路46を通過した湯水が流路形成部材5に導入され、流路形成部材5の下流側のジョイント部25からミスト噴射体2に供給される。そして、2つのミスト噴射体2に供給された湯水は、各噴射体空間30に導入され、それぞれの噴射部12から外部に向かって噴霧することができる。
【0080】
また、本実施形態のミスト発生装置1では、ミスト噴射体2が、基体3に対して、2軸の回転方向に自由度を備えた構成とされている。即ち、流路形成部材5のジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2を回転させれば、図18に示すように、ファンの羽根のごとく回転させることができ、流路形成部材5の軸部27とジョイント部26を回転軸としてミスト噴射体2を回転させれば、図19に示すように、鳥の翼のごとく仰ぐような方向に回転させることができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、導入継ぎ手6が、継ぎ手ジョイント部48を回転軸として基体3に対して相対的に回転することも可能である。そのため、導入継ぎ手6を回転させて、継ぎ手ブロック部43のいずれかの外側面を、基体3の底部の外側面と位置を合わせることで、装置1全体としての底面積を増大させることができる。換言すれば、継ぎ手ブロック部43の回転位置によっては、継ぎ手ブロック部43のいずれかの外側面と、基体3の底部に位置する外側面をほぼ同一の平面を共有する配置にすることができる。これにより、ミスト発生装置1を床や台等に直接置くような場合であっても、装置の安定性を十分確保することができる。
【0082】
次に、ミスト発生装置1の作用について説明する。
ミスト発生装置1は、浴室内の混合栓44を操作して、適温の湯水が湯水供給管11に供給されると、導入継ぎ手6と基体3と流路形成部材5を介して、各ミスト噴射体2に湯水が導入されて、各噴射部12においてその湯水をミスト状にして噴射する。
【0083】
具体的には、基体3から各ミスト噴射体2に湯水が分配されると、その湯水はフロント部材21とリア部材22の間に形成された噴射体空間30に導入される。そして、噴射体空間30に導入された湯水は、外部と連通した低圧側の噴射部12に向かって流れようとする。
また、噴射体空間30においては、供給される湯水の流量が外部に吐出される流量より多いため、内部が外気圧より高圧状態となる。即ち、閉塞部材23が、噴射体空間30内部の水圧の作用によって、凸部8に対して垂直方向に押圧される。これにより、閉塞部材23と凸部8との密着性が高められる。
従って、噴射体空間30に導入された湯水は、閉塞部材23によって閉塞された噴射部12の導入部37には直接流入せず、始端側溝型開口13aから旋回流形成溝13に導入されて噴射部12に流入する。
【0084】
ここで、上記したように、旋回流形成溝13は、導入部37の流路断面に対して接線方向に延びた流路である。そのため、閉塞部材23の作用により、旋回流形成溝13から噴射部12に一定以上の吐出圧で湯水が導入されると、湯水は円錐状流路35の流路側面に沿って旋回流を発生させる。
【0085】
そして、その湯水の旋回流は、円錐状流路35においては、徐々に旋回の範囲が狭くされながら噴射流路36に向かって進行するため、進行するにしたがって、徐々に旋回速度が増す。そして、旋回速度が高速となった湯水が噴射凹部43に至ると、旋回により生じた遠心力によって外部に拡散されてミストとなる。
【0086】
次に、第一実施形態のミスト発生装置1の使用例について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、従来のシャワー装置のように、使用者が把持したり、可動式の保持部38に固定して使用する方法に加えて、単に床や台等に置いて使用する方法を可能としている。特に、本実施形態では、保持部38に固定したり、床や台等に置いて使用する際に有効的であるため、保持部38に固定した場合と、床や台等に置いた場合について説明する。
【0087】
従来のシャワー装置のように、保持部38に固定した場合においては、図20、21に示すように、基体3の上下にミスト噴射体2が並ぶようにすれば、シャワー効果とミスト効果を有効的に使い分けることができる。即ち、図20に示すように、2つのミスト噴射体2を使用者の方向に向けつつ、ミストの噴射方向が交差するように配置すれば、噴射領域が狭くなる反面、噴射領域中の単位面積当たりのミストの量が増加するため、シャワーで頭や身体を洗い流すように、ミストを浴びせることができる。また、図21に示すように、2つのミスト噴射体2を使用者に向けつつ、ミストの噴射方向が互いに離反するように配置すれば、ミストの噴射領域が広くなる。これにより、使用者全体を適温のミストで覆うことができ、ミストサウナを効果的なものとすることができる。
【0088】
なお、図20、21では、ミスト発生装置1の正面に使用者がいるものとしているため、流路形成部材5の軸部27とジョイント部26を回転軸としてミスト噴射体2を所望の角度に調整しているが、ミスト発生装置1の正面に使用者がいない場合は、さらに流路形成部材5のジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2の角度を変化させてもよい。また、ミスト噴射体2を基体3の上下に並べずに、基体3の左右に並べて使用してもよい。
【0089】
また、基体3の左右にミスト噴射体2を並べれば、浴室の床や台等の上に直接的に置くこともでき、保持部38の可動領域から外れた位置からのミスト噴射を可能とする。即ち、図22に示すように、基体3の左右にミスト噴射体2を並べ、浴室10の床に置けば、基体3の外側面と、導入継ぎ手6の継ぎ手ブロック部43が浴室10の床に当接するため、装置1が安定した状態で、主に足元に対するミスト噴射を行うことができる。また、浴室10における洗面台の上に置けば、上半身あるいは顔のみにミスト噴射を行うことができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、浴槽74の床に置いて、半身浴ミストとしての使用も可能である。即ち、図23に示すように、湯水を張っていない状態の浴槽74の床に、基体3の左右にミスト噴射体2を並べたミスト発生装置1を置く。そして、浴槽74に蓋88をする。具体的には、浴槽74の蓋88は、使用者の身体が隠れ、顔が露出する程度に閉じた状態とする。その状態でミストを噴射すれば、浴槽74内にミスト雰囲気が形成されるため、顔または上半身以外の部分を適温のミスト雰囲気内にさらすことができる。
【0091】
次に、第二実施形態のミスト発生装置201について説明する。
本実施形態のミスト発生装置201は、流路形成部材205と基体203の基体下部217を除く構成が上記したミスト発生装置1とほぼ同じ構成を有するため、異なる点に注目して説明する。また、以下の説明においては、上記実施形態と共通する構成は同じ番号を利用して説明を省略する。
【0092】
流路形成部材205は、前記した流路形成部材5とほぼ同様の構成を備えており、樹脂を射出成形したものを穿設を施して形成したもので、所謂スイベルジョイント構造を備えた継ぎ手部材である。即ち、図24に示すように、流路形成部材205は、ブロック部24と、2つのジョイント部25、28と、1つの軸部27とによって構成されている。
なお、ブロック部24、ジョイント部25、並びに、軸部27は、上記説明を準用して説明を省略し、ジョイント部28のみを説明する。
【0093】
即ち、ジョイント部28は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成され、外部にリング状のパッキンが嵌り込むリング状の溝部(図示しない)が設けられている。そして、ジョイント部28は、図25に示すように、ブロック部24における導入側開口34aと連通するように配されている。これに対して、ブロック部24の吐出側開口34b側には、ジョイント部25が配されている。
【0094】
また、本実施形態では、ジョイント部28の端部側近傍の側面に湯水が通過するジョイント側流入開口31が形成されている。ジョイント側流入開口31は、後述する基体203の基体下部217の分岐流路46に連通する開口で、当該開口面積は分岐流路46の断面積とほぼ同じか若干大きく設定されている。
【0095】
基体下部217は、前記した基体下部17とほぼ同様の構成を備えており、図25に示すように、正面視した形状がローマ字「T」を逆さにしたもので、コア部58から左右方向及び上方に張り出した合計3つの張出部62〜64を備えている。コア部58は、挿通孔59と、左右の張出部62、64に流す分岐流路46が形成されており、そのコア部58の上方に位置する張出部63には、雌ネジ部86と阻止部挿通穴87が設けられている(図11)。
【0096】
そして、コア部58の左右に位置する張出部62、64にはそれぞれ、分岐流路46と連通し上部面を貫通した装着空間81が設けられている。本実施形態の装着空間81は、円筒状であり、図25を基準にすると、底面が分岐流路46の底部よりも下方に位置する。また、装着空間81には、流路形成部材205のジョイント部28が装着されるため、装着空間81の内径の大きさは、ジョイント部28の外径の大きさとほぼ同一とされている。即ち、この装着空間81に流路形成部材205のジョイント部28が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。具体的には、装着空間81にジョイント部28が装着されて、ジョイント側流入開口31と分岐流路46が連通状態となれば、基体内部流路の一部が形成される。
【0097】
ここで、流路形成部材205は、流路形成部材5と同様、基体203に対して、ジョイント部28を回転軸として相対的に回転することができる。そのため、流路形成部材205が回転された場合の姿勢によっては、ジョイント側流入開口31の開口位置が分岐流路46と連通し得る位置ではない場合あるいは若干ずれて連通している場合がある。即ち、本実施形態では、ジョイント側流入開口31と分岐流路46との連通状態を変化させることで、ジョイント側流入開口31を通過する湯水の流量が調整でき、ミストの噴射量を調整することができる(流量調整機能)。
【0098】
より具体的に説明すると、本実施形態は、図26に示すように、ジョイント部28(図25)を基準に、ミスト噴射体2が基体203に対して相対的に回転することで、ジョイント側流入開口31と分岐流路46との連通状態を変化させることができる構成とされている。
例えば、図26(a)に示すミスト噴射体2の通常の姿勢(所定の姿勢)時に、ジョイント側流入開口31と分岐流路46とがほぼ一致した最大連通開口になるとした場合、その通常の姿勢からミスト噴射体2の姿勢を変化させると、連通開口の状態が変化する。即ち、図26(a)の状態から、ミスト噴射体2をジョイント部28を軸に回転させて図26(b)や図26(c)の状態にすれば、連通開口面積が減少する。これにより、ジョイント側流入開口31を通過する湯水の流量が実質的に減少するため、図26(b)、(c)の右側のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少する。なお、このとき、左側のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少することはない。
【0099】
また、図26(d)に示すように、基体203にほぼ直交する程度あるいは実質的にジョイント側流入開口31と分岐流路46とが連通しない位置までミスト噴射体2を回転させると、連通開口がなくなる。これにより、ジョイント側流入開口31への湯水の流入が阻止されるため、図26(d)の右側のミスト噴射体2からミストが噴射されなくなる。なお、図26(d)では、ミスト噴射体2をミストの噴射側に向けて回転させてミストの噴射を制限したが、噴射面の裏面側に向けて回転させてミストの噴射を制限しても同様の効果を得ることができる。
【0100】
このように、第二実施形態では、流路形成部材205のジョイント部28の側面にジョイント側流入開口31を設け、ミスト噴射体2の回転姿勢に応じて、基体203の分岐流路46との連通開口面積が変化する構成としたため、複数のミスト噴射体2が1つの基体203に接続されている場合であっても、それぞれのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を独立して調整することができる。即ち、1つのミスト噴射体2の回転姿勢をミスト量の減少側あるいは増加側に変更した場合であっても、別のミスト噴射体2の回転姿勢が変更されない限り、回転姿勢を変更したミスト噴射体2から噴射されるミスト量に追従するように、別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が減少あるいは増加することはない。ただし、混合栓44における開度を固定した場合において、1つのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を減少側に調整すると、別のミスト噴射体2における水圧が増加するため、当該別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が若干増加したり、1つのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を増加側に調整すると、別のミスト噴射体2における水圧が減少するため、当該別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が若干減少する場合はある。
従って、このような作用を利用すれば、ミストを顔等の局部のみに噴射する場合に、噴射量及び噴射領域を最適にすることができるため、ミスト浴の効果を低減することなく節水効果が期待できる。また、ミスト浴中、混合栓44をわざわざ操作することなく、使用者に最も近いミスト噴射体2を回転させることで、噴射量及び噴射領域を変更できるため、便利である上、流路調整の程度を直感的に認識させることができる。
【0101】
また、第二実施形態のミスト発生装置201と同様の作用効果を得ることができる別の実施形態として、ミスト噴射体2に装着される側のジョイント部29にジョイント側流入開口32が設けられた流路形成部材206を備えた構成が挙げられる。
即ち、この別の実施形態は、図27に示すように、ジョイント側流入開口32が、流路形成部材206におけるジョイント部29の端部側近傍の側面に形成されており、流路形成部材206がミスト噴射体2に接続された際に、噴射体内部流路の一部を形成する構成とされている。具体的には、図28に示すように、ジョイント部29がミスト噴射体2に装着されて、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の噴射体空間30に湯水を導入する流路39が連通状態となれば、噴射体内部流路の一部が形成される。
【0102】
この構成によれば、流路形成部材206のジョイント部29を基準に、ミスト噴射体2を基体3に対して相対的に回転させることで、ジョイント側流入開口32の開口位置を移動させることができる。これにより、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の流路39との連通状態を変更できるため、ジョイント側流入開口32を通過する湯水の流量が調整されて、ミストの噴射量が調整される(流量調整機能)。
【0103】
より具体的に説明すると、本実施形態は、図29に示すように、ジョイント部29(図28)を基準に、ミスト噴射体2を基体3に対して相対的に回転させることで、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の流路39との連通状態を変化させることができる構成とされている。
例えば、図29(a)に示すミスト噴射体2の通常の姿勢(所定の姿勢)時に、ジョイント側流入開口32と流路39とがほぼ一致した最大連通開口になるとすれば、その通常の姿勢からミスト噴射体2の姿勢を変化させれば、連通開口の状態を変化させることができる。即ち、図29(a)の状態から、ミスト噴射体2をジョイント部29を軸に回転させて図29(b)や図29(c)の状態にすれば、連通開口面積が減少する。これにより、ジョイント側流入開口32を通過する湯水の流量が実質的に減少するため、図29(b)、(c)の正面のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少する。なお、このとき、紙面奥のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少することはない。
【0104】
また、図29(d)に示すように、基体3にほぼ直交する程度あるいは実質的にジョイント側流入開口32と流路39とが連通しない位置まで回転させると、連通開口がなくなる。これにより、ジョイント側流入開口32への湯水の流入が阻止されるため、図29の正面のミスト噴射体2からミストが噴射されなくなる。なお、図29(d)では、ミスト噴射体2を噴射面が上方に向くように回転させてミストの噴射を制限したが、噴射面が下方に向くように回転させてミストの噴射を制限しても同様の効果を得ることができる。
このように、ミスト噴射体2側のジョイント部29にジョイント側流入開口32を設けた構成にしても、前記した第二実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
上記実施形態では、ミストのみを噴射するミスト発生装置1を示したが、本発明ではこれに限定されず、ミスト噴射とシャワー噴射の双方の機能を備えた装置であっても構わない(第三実施形態)。以下、ミスト発生装置について説明するが、ミスト噴射体のみが上記実施形態と異なる構成となるため、ミスト発生装置のミスト噴射体92のみに注目して説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の部材等については同じ番号を付して説明を省略する。
【0106】
第三実施形態のミスト発生装置は、図30、31に示すように、噴射部12を有するフロント部材97と、フロント部材97と一体的に組み合わさって装置の外郭の一部を形成するリア部材98と、噴射部12に導入される湯水の流入方向の切り換えを可能とする閉塞部材99とによって構成されている。
【0107】
フロント部材97は、噴射部12が設けられ装置の外郭の一部を形成する外郭部材125と、外郭部材125とリア部材98との間に位置し異なる2流路を備えた中間部材126とにより構成されている。
外郭部材125は、ほぼ円形の板状体であり、一方の壁面側が外郭部材125の厚み方向(他方の壁面側)に窪んだ外郭側凹部133が設けられている(以下、外郭側凹部133が設けられた壁面を有凹壁面と称す)。外郭側凹部133は、窪み形状がほぼ円柱状である。また、外郭側凹部133には、外郭部材125の壁面であって凹部の底部から垂直方向に突出したほぼ円柱状の凸部104が複数(本実施形態では33個)設けられている。いずれの凸部104も、壁面からの突出長さが等しく形成されている。
【0108】
また、凸部104の位置には、上記実施形態と同様の噴射部12及び旋回流形成溝13が設けられている。
中間部材126は、図30、31に示すように、ほぼ円形のフランジ部140と、シャワー用流路形成部141と、ミスト用流路形成部142とを備えた部材である。
フランジ部140は、一方の壁面側(以下、下流壁面側とも称す)に、外郭部材125の外郭側凹部133に嵌り込むリング状に突出したフロント側装着部143が設けられている。フロント側装着部143には、外周壁を沿うように図示しないリング状のパッキンが装着される。即ち、フロント側装着部143の外径の大きさは、外郭側凹部133の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0109】
また、フロント側装着部143は、壁面からの突出長さが外郭部材125の外郭側凹部133の窪み深さとほぼ同じである。即ち、外郭側凹部133にフロント側装着部143が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部143の突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、外郭側凹部133にフロント側装着部143が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部143の突端部は外郭側凹部133の底部の壁面に当接する。
【0110】
また、フランジ部140には、他方の壁面側(以下、上流壁面側とも称す)に、後述するリア部材98のリア側被装着部111に嵌り込むリング状に突出したリア側装着部110が設けられている。リア側装着部110にも、外周壁を沿うように図示しないリング状のパッキンが装着されるため、リア側装着部110の外径の大きさがリア側被装着部111の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0111】
シャワー用流路形成部141は、フランジ部140のほぼ中心を厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部140における上流壁面と下流壁面の双方から配管が突出した流路である。即ち、シャワー用流路形成部141は、上流側配管部141aと、下流側配管部141bと、両者の間に位置し両者を連通させるシャワー用フランジ流路部(図示しない)を備えている。
上流側配管部141aは、フランジ部140の上流壁面から垂直に突出しており、配管の側壁を貫通した2つの導入口151と、突端面に流路内部まで貫通しないネジ等が螺合される雌ネジ部152と、突端面近傍の外側壁であって導入口151より突端面側の位置に図示しないリング状のパッキンが装着される外周溝153が設けられている。
【0112】
導入口151は、湯水が導入される開口で、開口形状がほぼ円形であり、2つの開口とも同じ開口径を有している。また、一方の導入口151を、開口に対して内側垂直方向に覗くと、一方の導入口151の開口と他方の導入口151の開口がほぼ重なる位置関係である。即ち、導入口151の一方の開口は、他方の開口に対して、上流側配管部141aの外周方向に180度離れた位置に配されている。なお、導入口151の開口径は、後述するリア部材98の流路接続部47の共通流路164の内径と連通できる程度の大きさにされている。
雌ネジ部152は、上流側配管部141aの突端面のほぼ中心にあり、後述するリア部材98とネジ等を用いて接続される部分である。
外周溝153は、リング状に形成された溝で、図示しないパッキンの一部が上流側配管部141aの外周面より若干外側にはみ出る程度の深さとされている。
【0113】
また、下流側配管部141bは、フランジ部140の下流壁面から垂直に突出しており、壁面からの突出長さがフロント側装着部143の突出長さよりも短く、突端面に湯水が排出される排出開口155が設けられている。
即ち、シャワー用流路形成部141に導入される湯水は、導入口151から上流側配管部141aに流入し、図示しないシャワー用フランジ流路部を介して下流側配管部141bに流れて排出開口155から排出される。
【0114】
ミスト用流路形成部142は、2箇所あり、フランジ部140の厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部140の直径上であってシャワー用流路形成部141を挟むような位置に設けられている。具体的には、ミスト用流路形成部142は、シャワー用流路形成部141の導入口151に対して、90度ずれた位置に配されている。
ミスト用流路形成部142は、上流壁面側の壁面から垂直方向に突出した突出流路部142aと、下流壁面側における中間部材126の厚み方向に円錐状に窪んだ窪み部142bと、両者の間に位置し両者を連通させるミスト用フランジ流路部(図示しない)とにより構成されている。
【0115】
突出流路部142aは、配管状の流路であり、突出長さがリア側装着部110の突出長さと同じで、突端部に湯水が導入される導入口158が設けられている。導入口158の内径の大きさは、後述するリア部材98のミスト用開口157の内径とほぼ同じ大きさにされている。
窪み部142bは、湯水の流れ方向下流側(下流壁面側)に向かってテーパー状に内径が拡げられた流路である。
即ち、ミスト用流路形成部142に導入される湯水は、導入口158から突出流路部142aに流入し、図示しないミスト用フランジ流路部を介して窪み部142bから排出される。
【0116】
また、本実施形態では、突出流路部142aを囲繞するように突出保持部156が設けられている。突出保持部156は、突出流路部142aから一定間隔を空けて配されており、その間隔に図示しないリング状のパッキンを配して保持する部分である。また、突出保持部156は、壁面からの突出長さが突出流路部142aの突出長さと同じ大きさにされている。なお、図示しないパッキンは、突出保持部156と突出流路部142aの突端部よりも外側に若干突出させる必要があるため、突出保持部156と突出流路部142aとの間の深さがパッキンの部材厚より小さくされている。
【0117】
リア部材98は、フロント部材97とほぼ同じ大きさの円形体で、一方の壁面側(以下、装着壁面側とも称す)にフロント部材97のリア側装着部110が嵌め込まれる壁面から突出したリング状のリア側被装着部111が設けられ、他方の壁面側(以下、接続壁面側とも称す)に流路接続部47が設けられ、さらにリア部材98の厚み方向(装着壁面側から接続壁面側方向)に貫通したシャワー用貫通孔160及びミスト用貫通孔157が設けられている。
【0118】
リア側被装着部111は、内径の大きさがフロント部材97のリア側装着部110に図示しないパッキンを装着した状態の外径の大きさと同じあるいは若干小さくされている。また、リア側被装着部111は、壁面からの突出長さがフロント部材97のリア側装着部110の突出長さとほぼ同じである。即ち、リア側被装着部111にリア側装着部110が嵌り込んだ状態においては、互いの突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、リア側被装着部111にリア側装着部110が嵌り込んだ状態においては、リア側被装着部111の突端部は中間部材126の壁面に当接し、リア側装着部110の突端部はリア部材98の壁面に当接する。
【0119】
シャワー用貫通孔160及びミスト用貫通孔157は、流路断面が円形で、リア側被装着部111の内側領域内に配されている。そして、シャワー用貫通孔160がリア部材98の中心に位置し、ミスト用貫通孔157がシャワー用貫通孔160からずれた位置に配されている。具体的には、シャワー用貫通孔160は、図32、33に示すように、リア部材98とフロント部材97の中心を一致させた状態において、常に重なり合う位置関係である。一方、ミスト用貫通孔157は、図32、33に示すように、リア部材98とフロント部材97の中心を一致させた状態において、ミスト用流路形成部142と同じ円周上にあり、ミスト用貫通孔157とミスト用流路形成部材142を重ね合わせた際に双方の開口がほぼ重なり合う位置関係である。
【0120】
シャワー用貫通孔160は、内径の大きさがシャワー用流路形成部141における上流側配管部141aの外径の大きさと同じあるいは若干大きくされており、上流側配管部141aが挿入される部分である。即ち、シャワー用貫通孔160は、上流側配管部141aを保持する保持部として機能し、シャワー用貫通孔160に挿入された上流側配管部141aに湯水が流れる。従って、シャワー用貫通孔160には、実質的に湯水の流れはない。
一方、ミスト用貫通孔157は、内径の大きさがミスト用流路形成部142における突出流路部142aの内径の大きさと同じあるいは若干大きくされている。
【0121】
流路接続部47は、リア部材98の接続壁面側からシャワー用貫通孔160とミスト用貫通孔157を覆い、双方の貫通孔に湯水を送ることができる共通流路164を備えた部分である。流路接続部47における下流側には、ネジ等の接続手段が挿通可能なネジ孔161が設けられている。具体的には、このネジ孔161は、シャワー用貫通孔160の中心にあたる箇所にある。即ち、シャワー用貫通孔160にシャワー用流路形成部141の上流側配管部141aを挿通して雌ネジ部152をネジ孔161に合わせた状態で、ネジ孔161にネジ等を挿通して、リア部材98に対してフロント部材97を保持することができる。本実施形態では、このネジ等を用いてフロント部材97を保持しつつも、フロント部材97をリア部材98に対して相対回転可能な構成としている。
【0122】
閉塞部材99は、フロント部材97やリア部材98に使用された材質より軟質の合成樹脂やゴム等の弾性体が採用されている。閉塞部材99は、ほぼ円形の板体であって、フロント部材97における全ての噴射部12を覆うことができる程度の面積を有していると共に、閉塞部材99の中心に厚み方向に貫通した貫通孔146を有する。また、閉塞部材99の厚みは、中間部材126の下流側配管部141bの突出長さよりも小さい値である。即ち、閉塞部材99は、ほぼドーナツ形状の板体である。
貫通孔146は、開口径の大きさがフロント部材97における中間部材126の下流側配管部141bの外径の大きさとほぼ等しく、下流側配管部141bが挿通される。そして、閉塞部材99は、下流側配管141bの突出長さよりも小さい値の厚みを有しているため、下流側配管141bの突出長さの領域内で移動する。即ち、下流側配管141bは、閉塞部材99がフロント部材97における噴射部12に対して近接・離反する際のガイドとしての機能を果たす。
【0123】
従って、ミスト噴射体92は、図34に示すように、リア部材98の流路接続部47が流路形成部材5と接続されており、そのリア部材98にフロント部材97が接続されて形成されている。即ち、リア部材98は、装着壁面側のリア側被装着部111にフロント部材97における中間部材126のリア側装着部110が、図示しないパッキンを装着した状態で嵌め込まれている。これにより、リア側装着部110とリア部材98と中間部材126によって囲まれたリア側空間119が形成される。リア部材98のシャワー用貫通孔160には、中間部材126における上流側配管部141aが図示しないパッキンを装着した状態で挿通されている。そして、上流側配管部141aにおける導入口151が、リア部材98の接続部145における共通流路164と連通し得る位置に配されている。具体的には、上流側配管141aは、シャワー用貫通孔160に対して相対的に回転可能に挿通されており、上流側配管部141aを配管の周方向に所定の位置まで回転させると、導入口151が共通流路164と連通することができる配置である。なお、2つの導入口151のうち、一方の導入口151が共通流路164と連通した状態となれば、同時に他方の導入口151が共通流路164と連通した状態となることはない。
【0124】
さらに、上流側配管部141aとシャワー用貫通孔160の軸線がほぼ一致しているとすれば、その軸線を中心に、リア部材98のミスト用貫通孔157と中間部材126のミスト用流路形成部142が同一の円周上に存在する。即ち、図31、32に示すように、ミスト用流路形成部142の位置は、前記軸線を中心に、中間部材126をリア部材98に対して摺動回転すれば、ミスト用貫通孔157に連通することができる配置である。なお、1つのミスト用貫通孔157(固定側の貫通孔)に対して、2つのミスト用流路形成部142(回転移動側の流路)があるため、一方のミスト用流路形成部142がミスト用貫通孔157と連通した状態となれば、同時に他方のミスト用流路形成部142がミスト用貫通孔157と連通した状態となることはない。
また、ミスト用流路形成部142の突出流路部142aと突出保持部156との間には、図示しないパッキンが配されている。
【0125】
そして、中間部材126には、下流壁面側において、外郭部材125が組み付けられている。即ち、外郭部材125の外郭側凹部133に対して、図示しないパッキンが装着された状態の中間部材126のフロント側装着部143が嵌め込まれている。これにより、外郭部材125と中間部材126との間に湯水が流入するフロント側空間114が形成される。
また、中間部材126におけるシャワー用流路形成部141の排出開口155は、凸部104の天面より下流側に閉塞部材99の厚みより小さい間隔を空けた配置とされている。即ち、フロント側空間114においては、シャワー用流路形成部141の排出開口155は下流側に位置し、ミスト用流路形成部142の排出側は上流側に位置している。
【0126】
なお、本実施形態では、外郭部材125と中間部材126との組み付けに、外郭側凹部133にフロント側装着部143を嵌合させて組み付ける手段に加えて、外郭部材125の外郭側凹部133側の壁面であって外郭側凹部133より外側の領域に、厚み方向に貫通しないネジ孔(図示しない)を設け、中間部材126に前記ネジ孔に対応する位置に厚み方向に貫通したネジ孔(図示しない)を設け、双方のネジ孔の位置を合わせてネジ等で締め付ける手段が併用されている。
【0127】
また、本実施形態では、外郭部材125と中間部材126との間に、閉塞部材99を配置させて、噴射部12に導入される湯水の流入方向を切り換えて、湯水をシャワー流又はミスト流として噴射させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。
即ち、フロント側空間114において、閉塞部材99の貫通孔146に中間部材126の下流側配管部141bを配し、閉塞部材99が外郭部材125の凸部104と対向するように配置されている。具体的には、閉塞部材99は、中間部材126の下流壁面と外郭部材125の凸部104の突端面との間に位置する。
以上が、シャワーとミストを切り替え可能としたミスト噴射体92の説明である。
【0128】
上記実施形態では、ミスト噴射体2が基体3に対して2軸の回転方向に自由度を有した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、3軸以上の回転方向に自由度を備えた構成であっても構わない。例えば、3軸の回転方向に自由度を持たせる場合であれば、上記実施形態に示した流路形成部材5を2つ連結させればよい。その場合、1つの流路形成部材には軸部27が不要となるため、軸部27有りと、軸部27無しを組み合わせれば、ミスト噴射体に3軸の回転方向の自由度を与えることが可能となる。
なお、この構成を達成させるためには、ミスト噴射体の流路接続部の形状を変形させる必要がある。具体的には、流路接続部における装着空間の開口方向を流路形成部材のジョイント部の突出方向に合わせて変更することが必要である。
【0129】
上記実施形態では、2つのミスト噴射体2を、1つの基体3に接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、1つの基体に1又は3つ以上のミスト噴射体2を接続した構成であっても構わない。
また、上記実施形態では、1つの基体3に2つのミスト噴射体2を流路形成部材5を用いて間接的に接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、1つの基体に間接的に接続されたミスト噴射体を少なくとも1つ備え、さらに当該基体に直接的に接続されたミスト噴射体を備えたミスト発生装置であっても構わない。
【0130】
上記実施形態では、繋ぎ部材(流路形成部材)5が、ミスト噴射体2を回転させる回転軸の機能と、ミスト噴射体2へ湯水を供給する流路の機能を兼ね備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、繋ぎ部材は回転軸の機能のみを備えた構成であっても構わない。即ち、湯水を供給する専用の配管等をミスト噴射体2に接続し、その配管等で直接的にミスト噴射体2に湯水を供給する構成であっても構わない。
【0131】
上記実施形態では、流路形成部材205、206と接続する基体3、203側とミスト噴射体2側のいずれかのジョイント部28、29にジョイント側流入開口31、32を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、基体3、203側とミスト噴射体2側の双方のジョイント部にジョイント側流入開口31、32を設けた構成であっても構わない。
また、ジョイント部を基体側やミスト噴射体側に一体的に設け、そのジョイント部にジョイント側流入開口を設けた構成であっても構わない。
【0132】
また、上記実施形態では、流量調整機能として、ミスト噴射体2を軸に対して回転させて、連通開口の開口面積を増減する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、公知のバルブ等を用いて、ミスト発生装置内部を流れる湯水の流量を調整する構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0133】
1、201 ミスト発生装置
2 ミスト噴射体
3、203 基体
5、205、206 流路形成部材(繋ぎ部材、流路形成部)
12 噴射部
13 旋回流形成溝
21、97 フロント部材
22、98 リア部材
23、99 閉塞部材
28 ジョイント部
29 ジョイント部
31、32 ジョイント側流入開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を霧状に発生させることができるミスト発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭の浴室内において、入浴者の心をリラックスさせたり、肌の潤いを高めて心身の健康増進に役立たせることができるミスト発生装置が知られている。この種のミスト発生装置には、浴室の天井や壁に据え付ける据え付け型や、浴室の混合栓に接続できる混合栓取付型がある。特に、最近では、大掛かりな設置工事を必要とせず、比較的安価に購入できる混合栓取付型のものが人気である。
【0003】
ところで、混合栓取付型のミスト発生装置を使用したミスト浴は、入浴者によって様々な方法があり、特に、女性と男性で異なる場合がある。
具体的には、女性は四肢などの部分的な冷えを感じる(所謂冷え性)方が少なくなく、特に足元に温かいミストを長時間浴びせる傾向があり、また男性は、シャワーの代わりにミストを浴びることがあるため、頭部から身体全体に温かいミストを浴びる傾向がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、一般的なシャワー装置のように把持したり、可動式の保持部等に装置本体を掛けて適宜高さを変更して、ミスト噴射を行うことができるシャワー型のミスト発生装置が開示されている。
即ち、特許文献1のミスト発生装置は、例えば、可動式の保持部を所望の位置に調整することで、ミストが噴射される高さを容易に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−267059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のミスト発生装置では、ミストの噴射方向を変更することができないため、ミスト浴の効果を十分に発揮させることができず、女性、男性を十分に満足させることができない場合があった。
即ち、特許文献1では、可動式の保持部によって、ミスト発生装置の高低の位置を適宜変更することは可能であるが、ミストの噴射方向の変更はできないため、いずれの高さに変更しても、ミストの噴射角度は一定である。そのため、可動式の保持部の高さが高くなるにしたがって、ミストの噴射領域が装置本体から離れる方向に移動し、その噴射領域の移動に伴って、入浴者自身の立ち位置も移動しなければならなかった。これにより、装置と入浴者の間隔が拡がるため、男性のように頭部から全身にミストを浴びる場合、ミストが全身に到達する前に適温より低温となってしまい、ミスト浴の効果を低減させていた。
【0007】
また、従来のシャワー型のミスト発生装置は、入浴者自身が把持するか、可動式の保持部に掛けて固定する構成とされている。そこで、女性のように足元に局所的にミストを噴射したいような場合であっても、下方側に固定した保持部に装置を掛けてミストを足元に浴びせることが考えられるが、保持部の下方側への可動範囲には限界があるため、保持部を最下端に固定してミストを浴びせたとしても、足首あたりに適温のミストを浴びせることは困難であった。そのため、足元にミストを浴びせる場合は、把持する方が有効的である。しかしながら、長時間ミストを浴びせる場合に、入浴者自身で装置本体を把持するのは、大変であり、本来ミスト浴によってもたらされるリラックス効果が低減してしまう問題がある。
【0008】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、ミスト浴によってもたらされる効果が低減されることなく、入浴者の様々な使用条件に沿うことができるミスト発生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、供給された湯水を噴霧可能なミスト発生装置であって、霧状の湯水を噴射する噴射部を有するミスト噴射体と、少なくとも1つのミスト噴射体が間接的に保持された基体とを有し、ミスト噴射体と基体との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられていることを特徴とするミスト発生装置である。
【0010】
本発明のミスト発生装置は、噴射部を有するミスト噴射体が間接的に基体に保持された構成であり、ミスト噴射体と基体との間に少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられているため、ミストの噴射方向をより自由に変更することが可能である。即ち、本発明のミスト発生装置によれば、ミストの噴射対象に、的確な角度で噴射することができるため、温かいミストを噴射する場合においては、適温のミストを使用者に浴びせることができ、ミスト浴をより効果的なものとすることができる。
なお、ここで言う「間接的に保持」とは、別部材を介して接続されたことを意味している。
【0011】
例えば、本発明のミスト発生装置を先に説明したシャワー型として採用し、回転方向の自由度を、上下方向と、左右方向に持たせたとすれば、装置本体の高さを別部材(例えば、上記した保持部等)によって固定した上に、ミスト噴射体を上下方向に回転させて噴射方向を変更することができるため、ミストの噴射角度をミスト浴の効果を減じない最適の角度にすることができる。これにより、先に説明したように、装置本体を高い位置に固定した場合に、ミストの噴射領域が装置本体から遠ざかって、使用者が浴びるミストの温度が適温でなくなってしまう不具合が防止される。
また、直接的にミストを浴びずに間接的なミスト浴を楽しみたいというような場合であっても、ミスト噴射体を左右方向に回転させてミストの噴射方向を使用者の位置からずらすことができるため、わざわざ使用者自身が移動する必要がない上、使用者の使用条件を選ばない。
【0012】
また、本発明のミスト発生装置は、ミスト噴射体が基体に保持されて、ミスト噴射体が基体に対して相対的に回転する構成であるため、ミスト噴射体と基体とを横並びの関係にすることで床又は台置きとして安定を図ることができる。例えば、基体の面積の広い部位を床又は台側にしたり、ミスト噴射体と基体を近接又は離反方向に回転させてミスト噴射体と基体の双方を利用した配置とすることで、床又は台置きの際の装置の安定性を確保することができる。そして、その状態で、ミスト噴射体を使用者の所望の角度に向ければ、床又は台側から使用者に対してミストを噴射させることができる。これにより、特に足元に温かいミストを浴びせたいという女性の使用条件を満足することができる。
従って、本発明のミスト発生装置によれば、基体を有し、その基体に対してミスト噴射体を回転させて角度を変更できるため、入浴者の様々な使用条件に沿うことができる。さらに、ミストを最適な角度で噴射させることができるため、使用者に適温のミストを浴びせることができ、ミスト浴によってもたらされる効果を低減させることがなくなる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられており、当該流路を通過する湯水の流量を調整できる流量調整機能を有することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置である。
【0014】
かかる構成によれば、流量調整機能によって、ミストの噴射量や噴射の勢いを調整することができる。これにより、本発明によれば、局所的な部位(例えば顔等の局部)にミストを当てたいような場合に、カラン等を操作することなく、噴射量や勢いを調整できる。そのため、ミスト浴中の流量調整が煩わしくない。
【0015】
請求項3に記載の発明は、ミスト噴射体と基体は、所定の姿勢にあるときは両者の流路が連通する開口面積が最大となるものであって、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して前記所定の姿勢から相対的に回転すると、ミスト噴射体と基体の流路が連通する開口面積が変化するものであって、当該開口面積を変化させることで流路を通過する湯水の流量が調整されることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置である。
【0016】
かかる構成によれば、流路調整機能は、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を他方に対して相対的に回転させる操作によって果たされるため、操作が容易な上、操作前の状態と操作後の状態とを直感的に判別させることができる。即ち、本発明は、所定の姿勢を例えばミスト噴射体と基体とがほぼ直線状である姿勢とすれば、ミスト噴射体と基体とがそれ以外の姿勢であれば、流量が制限されていると直感的に判断させることができる。
さらに付言すると、調整された流量の程度を判断する基準が目盛りなどではなく、装置の姿勢であるため、使用者がたとえ視力が低い方や、お年寄りの方であっても、誤操作を招く懸念がない。
【0017】
請求項4に記載の発明は、1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体が複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0018】
かかる構成によれば、基体に対して、2軸の回転方向の自由度を備えたミスト噴射体が複数設けられているため、ミストの使用方法の幅を拡げることができる。例えば、2つのミスト噴射体が基体を挟むように設けられた構成であれば、双方のミスト噴射体をミストの噴射方向が交差するように回転させたり、逆に双方のミスト噴射体をミストの噴射方向が平行又は離れる方向に回転させることができる。
【0019】
即ち、図20に示すように、例えば、各部位を縦に並べて、噴射されるミストを交差するようにすることで、ミストの噴射領域が狭くなる反面、噴射領域におけるミストの密度を高めることができる。これにより、ミスト噴射によるシャワー効果を得ることができる。また、ミストはシャワーに比べて、単位時間当たりの吐出流量が少ないため、一般的に節水効果が高いとされている。即ち、ミスト噴射によるシャワー効果を利用することで、環境保護を図る(所謂エコロジー)ことができる。
また、図21に示すように、各部位を縦に並べて、噴射されるミストを平行又は離れるようにすることで、ミストの噴射領域を広げることができるため、天井埋込型などのミスト付浴室暖房装置のように、効率的に浴室内をミスト雰囲気にすることができる。即ち、本発明のミスト発生装置によれば、本格的なミスト浴が可能となる。
【0020】
さらに、前記したように、2つのミスト噴射体が基体を挟むように設けられた構成においては、各部位を横に並べて使用することもできる。そして、横に並べて使用する場合は、前記した方法に加えて、床又は台置きして使用することもできる。即ち、図22に示すように、基体の表面積が広い部分を床又は台に平置き、又は、いずれか一方又は双方のミスト噴射体を、基体に対して近接又は離反方向に回転させて、基体に加えて少なくとも1つのミスト噴射体が床又は台に当接するように配置することで、装置の安定性を確保することができる。そして、本発明のミスト発生装置は、この状態でミストを噴射させることができるため、足元に適温のミストを浴びせることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、ミスト噴射体と基体の内部には、湯水が流れる流路が設けられ、基体から各ミスト噴射体までの流路が独立していることを特徴とする請求項4に記載のミスト発生装置である。
【0022】
かかる構成によれば、基体に設けられた複数のミスト噴射体は、それぞれが基体からミスト噴射体までの独立した流路を有しているため、各ミスト噴射体の流路に流れる流量が減少した場合に、それに連動して別のミスト噴射体の流路を流れる流量が減少するようなことが発生し得ない。同様に、各ミスト噴射体の流路に流れる流量が増大した場合に、それに連動して別のミスト噴射体の流路を流れる流量が増大することもない。即ち、例えば、請求項3に示すような構成を備えた場合、ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して相対的に回転させるだけで、流路を通過する流量を調整することができるが、1つのミスト噴射体に流れる流量を絞っても、別のミスト噴射体に流れる流量が減少側変更されるような不具合は生じない。これによれば、複数のミスト噴射体を有する構成であって、噴射領域を狭めるため特定のミスト噴射体だけを使用したいような場合や、特定の部位(顔等)に集中的にミストを浴びせたいが、ミスト噴射体から噴射されるミストが過剰と感じてしまうような場合に特に効果的である。
【0023】
請求項6に記載の発明は、1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体に加えて、直接的に保持されたミスト噴射体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置である。
なお、ここで言う「直接的に保持」とは、ミスト噴射体と基体とが別部材を回することなく接続されたことを意味する。
【0024】
かかる構成によれば、基体に直接的に保持させたミスト噴射体と、基体に間接的に保持されたミスト噴射体が組み合わされているため、組み合わせが豊富である。
【0025】
本発明のミスト発生装置は、基体に間接的に保持されたミスト噴射体は、繋ぎ部材を介して接続されているものであることが望ましい。(請求項7)
【0026】
請求項8に記載の発明は、基体は、ミスト噴射体に対して、湯水の流れ方向上流側に位置するもので、前記繋ぎ部材は、基体に導入された湯水をミスト噴射体側に案内する流路形成部としての機能を備えていることを特徴とする請求項7に記載のミスト発生装置である。
【0027】
かかる構成によれば、湯水は基体に供給され、その湯水が流路形成部として機能する繋ぎ部材を通過してミスト噴射体に導入されるため、構成がシンプルである。即ち、ミスト噴射体に湯水を供給する流路を別部材として用意する必要がなく、部材点数を最小に抑えることができるため、製造コストを増加させることがない。
【0028】
請求項9に記載の発明は、基体に湯水を導入する導入継ぎ手を有し、導入継ぎ手は、湯水が供給される湯水供給管と接続されるものであって、基体と当該導入継ぎ手は、相対回転可能であることを特徴とする請求項8に記載のミスト発生装置である。
【0029】
かかる構成によれば、湯水供給管と接続される導入継ぎ手に対して、基体が相対的に回転可能であるため、先に説明したシャワー型として採用した場合に、装置が配置される場所を選ばない。例えば、床又は台置きするような場合であっても、基体が導入継ぎ手に対して回転可能であるため、湯水供給管が捻れて装置の安定性が悪くなるような不具合が抑制される。
【0030】
請求項10に記載の発明は、前記導入継ぎ手は、平面状の外側面を有し、当該平面状の外側面と、当該外側面と交差する関係の基体のいずれかの外側面は、同一平面を共有可能であることを特徴とする請求項9に記載のミスト発生装置である。
【0031】
かかる構成によれば、導入継ぎ手の外側面に平面状のものがあり、その平面状の外側面と、基体のいずれかの外側面が、ほぼ同一の平面を共有可能であるため、装置を床や台等に置いて使用するような場合に、導入継ぎ手の平面上の外側面と、その外側面とほぼ同一の平面を共有する基体の外側面とで装置を支持することが可能となる。これにより、基体単独で装置を支持する場合と比較すると、安定性が向上する。
【0032】
本発明のミスト発生装置は、前記繋ぎ部材は、スイベルジョイント構造を備えていることが望ましい。(請求項11)
【0033】
請求項12に記載の発明は、ミスト噴射体は、ほぼ板状であり、基体は、ミスト噴射体より厚みがあることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0034】
かかる構成によれば、基体がミスト噴射体より厚みがある構成とされているため、床や台に置いて使用するような場合に、装置を基体のみで支持させたとしても、安定性を確保することができる。即ち、ミスト噴射体を床や台に当接させることなく、安定性を図れるため、床や台に置いて使用する場合であっても、ミストの噴射角度の自由度が増す。
【0035】
請求項13に記載の発明は、ミスト噴射体は、前記噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0036】
かかる構成によれば、フロント部材に設けられた噴射部に対して、閉塞部材を近接・離反方向に移動させて、噴射部に対する閉塞部材の位置によって、シャワー噴射とミスト噴射を切り換えることが可能な構成とされている。即ち、閉塞部材を噴射部に対して近接状態にしたり、噴射部から閉塞部材を離して両者の間隔を空けた状態にして、噴射部における湯水の流れ方(直進的又は旋回)を変更することで、シャワーとミストを切り換えることができる。従って、本発明によれば、簡単な構造でシャワー機能とミスト機能を一体的に備えた装置にできるため、製造コストの増加を招かない。
【発明の効果】
【0037】
本発明のミスト発生装置では、ミスト噴射体が基体に対して2軸の回転方向の自由度を備えているため、ミストの噴射方向を多様に変更することができる。これにより、ミスト浴による効果を低減させることなく、入浴者の様々な使用条件に沿うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第一実施形態に係るミスト発生装置の設置状態を示す説明図である。
【図2】図1のミスト発生装置を示す斜視図である。
【図3】図2のミスト発生装置の分解斜視図である。
【図4】図3のミスト噴射体の分解斜視図である。
【図5】図4と異なる角度から見たミスト噴射体の分解斜視図である。
【図6】図5のA方向(窪み壁面側から見た)から見たフロント部材の矢視図である。
【図7】ミスト噴射体を示す断面図である。
【図8】凸部を示す拡大斜視図である。
【図9】図8の二点鎖線をB−B方向から見た断面図である。
【図10】図3のC方向から見た流路形成部材の矢視図である。(破線部は流路)
【図11】基体を示す分解斜視図である。(二点鎖線は便宜上の領域区分け線である)
【図12】基体上部を示す図11のD方向矢視図である。
【図13】基体下部を示す図11のE方向矢視図である。(二点鎖線は便宜上の領域区分け線である)
【図14】基体下部を示す図11のF方向矢視図である。
【図15】図3のG方向から見た導入継ぎ手の矢視図である。(破線部は流路)
【図16】図2のH方向から見たミスト発生装置の矢視図である。
【図17】基体と流路形成部材との接続関係を示す説明図である。
【図18】ミスト噴射体の回転動作を示す概念図で、(a)〜(c)は回転状況を示した図である。(左右方向から見た図)
【図19】ミスト噴射体の回転動作を示す概念図で、(a)〜(c)は回転状況を示した図である。(上下方向から見た図)
【図20】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(保持部)
【図21】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(保持部)
【図22】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(浴室床)
【図23】ミスト発生装置の使用方法を示す概念図である。(浴槽床)
【図24】第二実施形態のミスト発生装置における流路形成部材を示す斜視図である。
【図25】第二実施形態のミスト発生装置における流路形成部材と基体との接続関係を示す説明図である。
【図26】(a)〜(d)は、第二実施形態におけるミスト噴射体の回転動作と各姿勢における連通開口の状態を示す概念図である。
【図27】図24の流路形成部材の変形例を示す斜視図である。
【図28】図27の流路形成部材とミスト噴射体との接続関係を示す説明図である。
【図29】(a)〜(d)は、第二実施形態の変形例におけるミスト噴射体の回転動作と各姿勢における連通開口の状態を示す概念図である。
【図30】第三実施形態に係るミスト発生装置のミスト噴射体を示す分解斜視図である。
【図31】図30と異なる角度から見たミスト噴射体の分解斜視図である。
【図32】湯水がミスト用流路形成部とミスト用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図33】湯水がシャワー用流路形成部とシャワー用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図34】図31のシャワー発生装置を示すI−I方向の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、第一実施形態に係るミスト発生装置1について説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の関係は図面を基準とする。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1に示すように、浴室10内において、図示しない熱源機から供給された湯水を流す可撓性のホース(湯水供給管)11に接続されており、供給された湯水をミスト状にして外部に噴射可能な装置である。
【0040】
ミスト発生装置1は、図2、3に示すように、湯水をミスト状にして外部に噴射する複数の噴射部12を有する2つのミスト噴射体2と、その2つのミスト噴射体2に挟まれた位置に配され、ミスト噴射体2より湯水の流れ方向上流側に位置した1つの基体3と、基体3の背面に配され、基体3に導入された湯水をミスト噴射体2側に案内する流路形成部材(繋ぎ部材)5と、ホース11(図1)から供給される湯水を基体3に導入する導入継ぎ手6により構成されている。
【0041】
ミスト噴射体2は、樹脂を射出成形したもので、正面視した形状がほぼ正方形であり、図4に示すように、噴射部12を備えたフロント部材21と、フロント部材21と組み合わさって湯水が導入される噴射体空間30(図7)を形成するリア部材22と、噴射体空間30に配置されて噴射部12への湯水の流入を制限する閉塞部材23とによって構成されている。
【0042】
フロント部材21は、図5に示すように、一方の壁面側(後述する円錐状流路35側)の中央を含む部分が、他方の壁面側(後述する噴射流路36側)に向かってほぼすり鉢状に窪んでおり(窪み部65)、その窪み部65に後述するリア部材22の装着部61が嵌合する被装着部60と、噴射部12が位置する凸部8が設けられている。
【0043】
窪み部65は、図6に示すように、平面視すると、大円66と小円67があり、大円66の内径を有する円柱部69(図5)と、大円66と小円67とをテーパー状に結んだ頂角を有さない円錐部70(図5)により形成されている。即ち、円柱部69と円錐部70は、窪み方向中途で連続している。また、円柱部69の内径の大きさは、後述するリア部材22の装着部61の外径とほぼ同じ大きさとされている。即ち、円柱部69は、リア部材22の装着部61が嵌め込まれる被装着部60とされている。なお、円柱部69側の円柱部69と円錐部70との境界近傍には、円柱部69の内径の大きさとほぼ同じ外径を有したリング状のパッキンが配されるため、リア部材22の装着部61は、このパッキンを考慮した形状に成形されている。
【0044】
円錐部70には、図5、7に示すように、傾斜した壁面に対して垂直に盛り上がった複数の凸部8(本実施形態では12個)と、凸部8の一部を囲った囲み部40が設けられている。
凸部8は、後述する閉塞部材23の台座であり、円錐部70の傾斜面に対して平面視した形状がほぼ長方形状である。また、凸部8は、円錐部70の傾斜面の中間あたりに位置しており、それぞれが円形状に並べて配されている。
囲み部40は、凸部8における円錐部70の傾斜方向に延びた側面(以下、斜面側側面と称す)に沿って設けられた直線状のリブで、円錐部70の傾斜面からの突出長さが凸部8の突出長さより長くされている。より具体的には、囲み部40は、1つの凸部8に対して2本設けられており、円柱部69と円錐部70の境界側の凸部8の頂点から凸部8の斜面側側面の中途あたりまでの長さとされている。即ち、囲み部材40の長さは、凸部8の斜面側側面の長さより短くされており、1つの凸部8に設けられた2本の囲み部材40は、互いに平行な位置関係とされている。
【0045】
また、凸部8の位置には、図5〜7に示すように、フロント部材21の円錐部70における厚み方向に延びた流路状の噴射部12と、噴射部12に湯水を導入する旋回流形成溝13が設けられている。
【0046】
噴射部12は、図8、9に示すように、湯水の流れ方向上流側から導入部37と、円錐状流路35と、噴射流路36とが連通して形成されている。具体的には、一方の壁面側(以下、窪み壁面側とも称す)に導入部37が位置し、他方の壁面側(以下、吐出壁面側とも称す)に噴射流路36が位置する。そして、円錐状流路35は窪み壁面と吐出壁面の中間に位置している。即ち、導入部37と円錐状流路35及び円錐状流路35と噴射流路36は、フロント部材21の厚み方向中途で連通している。換言すれば、導入部37と噴射流路36は、同一の壁面側に位置することはない。
【0047】
導入部37は、凸部8の天面を貫通した開口を有した円柱状の流路である。また、導入部37の内壁には、後述する旋回流形成溝13の下流側が連通して形成された終端側溝型開口13bが2箇所設けられている。即ち、1つの導入部37に対して、2箇所の終端側溝型開口13bから湯水が導入される。
【0048】
円錐状流路35は、上流側で導入部37と連通しており、フロント部材21の窪み壁面側から噴射流路36との連通部に向かってテーパー状に内径が狭くなる流路である。即ち、円錐状流路35は、下流側に向かって次第に流量が制限されるため、流速が加速される箇所である。また、円錐状流路35においては、湯水を流路の軸線方向に交差するように流すことで(実際には流路断面の接線方向に流す)、湯水の旋回流を効率的に発生させることができる箇所である。なお、円錐状流路35は、導入部37と後述する噴射流路36との間に位置し、いずれの境界においても流路が連続しており、その境界部においては、円錐状流路35の上流側と導入部37との内径の大きさと、円錐状流路35の下流側と噴射流路36との内径の大きさはほぼ等しい。
【0049】
噴射流路36は、流路形状が円柱状であり、湯水の流れ方向のいずれの箇所においても流路断面の内径の大きさがほぼ等しい流路である。即ち、噴射流路36に導入された湯水は、流路抵抗を無視すれば、流速をほぼ等速にして下流側に流れる箇所である。また、前記したように、噴射流路36の内径は、円錐状流路35における最下流部の内径の大きさとほぼ同じである。また、噴射流路36は、フロント部材21の吐出壁面側に設けられた後述する噴射凹部42と連通している。
【0050】
旋回流形成溝13は、図8に示すように、凸部8の天面側に開放された溝型流路であり、円錐部70の傾斜方向に延びている。そして、旋回流形成溝13は、凸部8の外側面(斜面側側面と異なる面)を貫通した始端側溝型開口(流路始端)13aと、導入部37の内壁を貫通した終端側溝型開口13bを有している。
【0051】
より具体的には、旋回流形成溝13は、1つの噴射部12に対して2本ずつ設けられている。そして、その2本の旋回流形成溝13は、導入部37の流路断面に対する接線方向とされると共に互いに平行とされており、さらに両者が互いにずれた位置関係に配されている。換言すると、2本の旋回流形成溝13は、導入部37に導入した湯水を同じ方向に旋回させることができる位置関係である。これにより、各旋回流形成溝13から導入部37に導入されて旋回する湯水が、互いに衝突し合うことがない。具体的には、いずれの終端側溝型開口13bを介して導入部37に湯水が導入されたとしても、その湯水は導入部37の内壁に沿って同一方向に旋回しながら噴射部12に流入される。
【0052】
また、窪み部65における、小円67のさらに内側には、図5〜7に示すように、窪み方向と真逆方向に立設した外径の異なる2つの円柱体71、72が形成されている。具体的には、円柱体71は、小円67の内径より若干小さい外径であり、円柱体72は、円柱体71の外径より小さい外径とされている。そして、円柱体71の突端部に、円柱体72の基端部が一体的に接合された構成とされている。また、円柱体72の長さは、円柱体72の突端部が窪み部65の開口縁が有する平面とほぼ同一の平面を共有する程度の長さに設計されている。そして、円柱体72の突端面には、リア部材22を組み合わせる際にネジ等を螺合する雌ネジ部80が形成されている。
なお、凸部8は、円錐部70の傾斜面の中間に配されており、円柱体71の外径が窪み部65の小円67より若干小さくされているため、凸部8に位置する始端側溝型開口13aが、円柱部71又は円柱部72によって閉塞されることはない。
【0053】
また、図5、6に示すように、窪み壁面における窪み部65の外側領域には、四角形の各頂点近傍に吐出壁面側に貫通しない雌ネジ部84が1つずつ設けられている。
【0054】
一方、フロント部材21の吐出壁面側は、図4に示すように、大円66と小円67を結ぶようにテーパー状に盛り上がった形状とされており、その盛り上がりテーパー部73に噴射部12と連通した噴射凹部42が円形状に12個並べて設けられている。即ち、各噴射部12を通過した湯水は、それぞれの噴射凹部42から外部に吐出されてミスト状に拡散する。なお、噴射凹部42は、図9に示すように、吐出壁面側から窪み壁面側に向かって内径が小さくされたすり鉢形状とされている。換言すると、噴射凹部42は、吐出方向に向かって内径が拡がるような形状とされている。
【0055】
リア部材22は、図4、5に示すように、フロント部材21とほぼ同じ大きさとされており、フロント部材21と組み合わされてフロント部材21とリア部材22との間に湯水が流入する噴射体空間30(図7)を形成する部材である。即ち、リア部材22は、フロント部材21が組み合わされる側の一方の壁面(以下、フロント壁面と称す)の中央を含む位置に、当該壁面からリング状に突出した装着部61が設けられている。装着部61は、フロント部材21の被装着部60に嵌め込まれる部分である。また、装着部61の突端側の外周には、フロント部材21の被装着部60の内壁に沿って配されるパッキンが位置するため、図7に示すように、突端側の外周に沿って段状に切り欠かれた段切り部75が設けられている。即ち、装着部61においては、基端側の外径はフロント部材21の被装着部60の内径とほぼ同じであり、突端側の段切り部75における外径の大きさは、基端側の外径の大きさより小さく、前記パッキンの内径とほぼ同じ大きさとされている。
【0056】
装着部61の突出長さは、フロント部材21の被装着部60に嵌め込んだ際に、装着部61の突端部と凸部8の間に若干間隔が形成される程度の長さである。具体的には、図7に示すように、前記間隔は、凸部8に配置した後述する閉塞部材23を装着部61の突端部が当接できる程度である。
【0057】
また、リア部材22には、図4に示すように、装着部61の内側領域にフロント壁面から垂直方向に突出した複数の押さえ部33が設けられている。押さえ部33は、凸部8に配置された後述する閉塞部材23を押さえるもので、凸部8の位置に対応するように設けられている(本実施形態では12個)。即ち、押さえ部33の突出長さは、図7に示すように、リア部材22をフロント部材21と組み合わせた際に、凸部8に配置した閉塞部材23の中間当たりと当接できる程度の長さである。なお、押さえ部33は、円錐部70上に配置された閉塞部材23と当接し、装着部61よりも内側に配置されているため、押さえ部33の突出長さは装着部61の突出長さより長いと言える。
【0058】
また、リア部材22のフロント壁面には、図4に示すように、装着部61の中心に、円柱体受け部76が設けられている。円柱体受け部76は、フロント部材21の円柱体72の外径とほぼ等しい開口径を有した筒体であり、リア部材22とフロント部材21とを組み合わせた際に、円柱体72が挿通される部分である。そして、円柱体受け部76には、フロント壁面側と他方の壁面側(以下、導入壁面側と称す)とを貫通したネジ孔82が、円柱体72が有する雌ネジ部80と連通する位置に形成されている。
【0059】
また、フロント壁面における装着部61の内側領域には、導入壁面側から供給される湯水がフロント部材21とリア部材22とにより形成される噴射体空間30に導入されるフロント壁面開口45が設けられている。フロント壁面開口45は、リア部材22の部材の厚み方向に貫通した流路39の一部である。
また、装着部61の外側領域には、四角形の各頂点近傍にフロント壁面側と吐出壁面側を貫通したネジ孔85が1つずつ設けられている。なお、ネジ孔85は、フロント部材21の雌ネジ部84の位置と対応する位置に配されている。
【0060】
一方、リア部材22の導入壁面側には、フロント壁面開口45を有する流路39の一部であって、フロント壁面開口45より湯水の流れ方向上流側に位置する導入壁面開口(図示しない)が設けられている。また、前記導入壁面開口の位置には、導入壁面から突出するように当該壁面と一体的に接合された流路接続部47が設けられている。流路接続部47は、流路39と連通した円柱状の被装着空間15を備え、被装着空間15に後述する流路形成部材5の一部が装着される。また、被装着空間15の軸線は、流路39の軸線と直交した関係である。即ち、被装着空間15に装着された流路形成部材5を流れる湯水は、導入壁面に沿った方向に流れる。そして、被装着空間15では、装着された流路形成部材5を、被装着空間15の軸回りに回転させることを可能としている。
【0061】
閉塞部材23は、ほぼ平らな板状の部材であり、平面の大きさがフロント部材21に設けられた凸部8とほぼ同一の面積とされている。
【0062】
従って、本実施形態におけるミスト噴射体2は、フロント部材21の被装着部60と、リア部材22の装着部61を嵌合させて組み付けられて形成されている。具体的には、図7に示すように、ミスト噴射体2は、フロント部材21の被装着部60に、図示しないパッキンを装着した状態のリア部材22の装着部61が嵌め込まれている。さらに、この状態においては、フロント部材21の窪み壁面に位置する円柱体72の突端部が、リア部材22の円柱体受け部76に嵌め込まれている。そして、円柱体72の雌ネジ部80と、円柱体受け部76のネジ孔82が連通した状態でネジが螺合されている。また、フロント部材21とリア部材22の各頂点近傍に配された雌ネジ部84とネジ孔85も連通した状態でネジが螺合されている。これにより、フロント部材21とリア部材22との間には、供給された湯水が流入する噴射体空間30が形成される。なお、噴射体空間30は、フロント部材21の窪み壁面と、被装着部60と、リア部材22のフロント壁面と、装着部61によって囲まれた部分である。
【0063】
また、フロント部材21とリア部材22の間には、閉塞部材23が配置されて、ミストを発生させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。具体的には、図7に示すように、閉塞部材23は、フロント部材21の凸部8の位置に配され、フロント部材21の囲み部40とリア部材22の押さえ部33によって、噴射部12の位置からずれないようにされている。換言すれば、閉塞部材23をフロント部材21の凸部8に配置した状態においては、噴射部12の導入部37が閉塞されている。一方で、旋回流形成溝13は、常に始端側溝型開口13aの開放状態が維持されている。
即ち、本実施形態では、ミスト噴射体2に供給された湯水は、噴射体空間30に導入されると、旋回流形成溝13から噴射部12に導入されるため、噴射部12においては、湯水の旋回流が確実に形成され、外部に噴霧される。
【0064】
また、流路形成部材5は、樹脂を射出成形したものを穿設を施して形成したもので、所謂スイベルジョイント構造を備えた継ぎ手部材である。即ち、図3に示すように、流路形成部材5は、ブロック部24と、2つのジョイント部25、26と、1つの軸部27とによって構成されている。
ブロック部24は、ほぼ直方体で、図10に示すように、内部に湯水が流れる流路34が穿設により形成されている。流路34は、供給された湯水が導入される導入側開口34aと、その導入側開口34aより下流側に位置しブロック部24から吐出される吐出側開口34bとを有しており、導入側開口34aから導入された湯水は「L」字を描くように流れて吐出側開口34bから吐出される。
【0065】
ジョイント部25、26は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成され、外部にリング状のパッキンが嵌り込むリング状の溝部77が設けられている。そして、2つのジョイント部25、26のうちの一方が、ブロック部24における導入側開口34aと連通するように配され、残りの他方が、吐出側開口34bと連通するように配されている。なお、導入側開口34a側に配されたジョイント部25には、溝部77が1箇所設けられ、吐出側開口34b側に配されたジョイント部26には、溝部77が2箇所設けられている。
【0066】
軸部27は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、ジョイント部26の突出方向と反対方向に突出するように配されている。そして、軸部27の中心軸と、導入側開口34aに連通するように配されたジョイント部26の中心軸がほぼ一致する配置とされている。即ち、流路形成部材5は、軸部27とジョイント部26を回転軸として、流路形成部材5自身を回転させることを可能としている。
また、前記したように、ジョイント部25は、ミスト噴射体2の被装着空間15に装着され、ジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2を回転可能としている。
【0067】
基体3は、樹脂を射出成形したものであり、図3に示すように、外観がほぼローマ字の「H」を寝かせたような形状で、主に流路形成部材5の軸部27を保持する役割を担う基体上部16と、主に後述する導入継ぎ手6から供給される湯水を流路形部材5側に案内する流路の役割を担う基体下部17とにより構成されている。
【0068】
基体上部16は、図11に示すように、正面視した形状がほぼ「T」字型で、コア部50から左右方向及び下方に張り出した合計3つの張出部51〜53を備えている。コア部50は、それぞれの張出部51〜53が一体的に接合された部分で、上部面(図12)から下方に向かって円柱状に穿設された取付穴55が設けられている。取付穴55は、コア部50の上部面における中央に位置し、下方に位置する張出部52に形成されたネジ穴56と連通している。なお、ネジ穴56は、張出部52の下部面(図12)の中央に位置している。
【0069】
そして、張出部52のネジ穴56は、下部面(図11)から上方に向かって円柱状に穿設された穴である。従って、基体上部16は、取付穴55とネジ穴56によって、上下方向に貫通した孔が形成されている。なお、取付穴55は、ネジ穴56より内径が大きくされている。
また、張出部52には、ネジ穴56の近傍であって、張出部52の下部面の中心からずれた位置に、下部面から下方(図12)に突出した棒状の回転阻止部54が設けられている。
【0070】
左右に位置する張出部51、53にはそれぞれ、下部面(図12)から上方に向かって貫通しない程度に穿設された受け穴57が設けられている。受け穴57は、円柱状の穴で、流路形成部材5の軸部27を回転可能に保持する部分である。即ち、受け穴57の内径の大きさは、軸部27の外径の大きさとほぼ同一とされている。なお、張出部51、53は、コア部50を挟んで向きが左右対称である事以外に相違点がなく、ほぼ同一の構成である。
【0071】
基体下部17は、図11に示すように、正面視した形状がローマ字「T」を逆さにしたもので、コア部58から左右方向及び上方に張り出した合計3つの張出部62〜64を備えている。コア部58は、それぞれの張出部62〜64が一体的に接合された部分で、他方の側面側(図13の背面側)から一方の側面側(図13の正面側)に向かって貫通しない程度に穿設された挿通孔59が設けられている。そして、この挿通孔59に後述する導入継ぎ手6の一部が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。また、コア部58には、導入継ぎ手6から導入された湯水を、左右の張出部62、64に流す分岐流路46が形成されている。即ち、挿通孔59と分岐流路46は連通しており、互いにほぼ直交する関係とされている。
【0072】
そして、左右に位置する張出部62、64にはそれぞれ、分岐流路46と連通し上部面(図13)を貫通した装着空間68が設けられている。即ち、装着空間68は、張出部62と張出部64で左右対称の関係であり、一方が「L」字型で、他方は「L」字型を反転させた形状である。また、装着空間68における外部貫通側には、流路形成部材5のジョイント部26が装着されるため、装着空間68の外部貫通側の内径の大きさは、ジョイント部26の外径の大きさとほぼ同一とされている。即ち、この装着空間68の一部に流路形成部材5のジョイント部26が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。なお、前記したように、流路形成部材5は、基体3に対して、ジョイント部26を回転軸として相対的に回転可能である。
【0073】
コア部58の上方に位置する張出部63には、図14に示すように、基体上部16と基体下部17を一体的に組み合わせた際に、基体上部16のネジ孔56と対向する位置に雌ネジ部86が設けられ、基体上部16の回転阻止部54と対向する位置に阻止部挿通穴87が設けられている。雌ネジ部86と阻止部挿通穴87は共に張出部63の上部面(図13)から下方に向かって穿設されており、他のいずれの孔にも連通していない。
従って、本実施形態における基体3は、連通状態の基体上部16のネジ孔56と基体下部17の雌ネジ部86にネジを挿通して螺合し、基体上部16の回転阻止部54を基体下部17の阻止部挿通穴87に保持させることで形成される。なお、本実施形態では、外観形状を良く見せるために、基体3の取付穴55には穴を隠す蓋部材90が装着されている。
【0074】
導入継ぎ手6は、図3に示すように、直方体状の継ぎ手ブロック部43と、円筒状の2つの継ぎ手ジョイント部48、49により構成されている。
継ぎ手ブロック部43は、図15に示すように、内部に湯水が流れる流路78が穿設により形成されている。流路78は、供給された湯水が導入される導入側開口78aと、その導入側開口78aより下流側に位置し継ぎ手ブロック部43から吐出される吐出側開口78bとを有しており、導入側開口78aから導入された湯水は「L」字を描くように流れて吐出側開口78bから吐出される。
【0075】
継ぎ手ジョイント部48、49は、継ぎ手ブロック部43から突出するように一体的に接合された部分であって、双方共、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成されている。そして、継ぎ手ジョイント部48が継ぎ手ブロック部43に対して湯水の流れ方向下流側に位置し、継ぎ手ジョイント部49が継ぎ手ブロック部43に対して上流側に位置するように配されている。即ち、継ぎ手ジョイント部49が、継ぎ手ブロック部43における導入側開口78aと連通するように配され、継ぎ手ジョイント部48が、吐出側開口78bと連通するように配されている。また、吐出側開口78b側に配された継ぎ手ジョイント部48は、リング状のパッキンが装着される溝部79が2箇所設けられている。そして、継ぎ手ジョイント部48は、基体3の挿通孔59に装着され、継ぎ手ジョイント部48を回転軸として基体3を回転可能としている。
【0076】
次に、ミスト発生装置1の組み立て構造について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1、2に示すように、導入継ぎ手6における湯水の流れ方向上流側に配された継ぎ手ジョイント部49がホース(湯水供給管)11と接続され、導入継ぎ手6の下流側に配された継ぎ手ジョイント部48が、基体3と接続されている。具体的には、継ぎ手ジョイント部48は、図15に示すように、基体3における基体下部17の挿通孔59に挿通されている。この状態においては、基体3が継ぎ手ジョイント部48を回転軸として相対的に回転可能である。なお、継ぎ手ジョイント部48に配されたリング状のパッキンは、導入継ぎ手6と基体3によって挟持された配置である。
【0077】
また、基体3には、導入継ぎ手6から供給された湯水をミスト噴射体2に案内する流路形成部材5が基体3と相対的に回転可能に接続されている。具体的には、基体上部16の受け部57に流路形成部材5の軸部27が挿通して配置され、基体下部17の装着空間68に流路形成部材5のジョイント部26が挿通して配置されている。即ち、流路形成部材5は、軸部27とジョイント部26を回転軸にするべく、基体3に接続されている。また、この状態においては、流路形成部材5のジョイント部26に形成された流路が基体3の基体内部流路の一部を形成している。なお、ジョイント部26の溝部77に配されたリング状のパッキンは、流路形成部材5と基体3によって挟持された配置である。
【0078】
そして、流路形成部材5は、ミスト噴射体2を相対的に回転可能な配置とされている。具体的には、流路形成部材5のジョイント部25が、ミスト噴射体2における流路接続部47の被装着空間15に挿通されて、ミスト噴射体2がジョイント部25を回転軸にするべく、流路形成部材5と接続されている。また、この状態においては、流路形成部材5に形成された流路がリア部材22の流路39と連通している。なお、ジョイント部25の溝部77に配されたリング状のパッキンは、流路形成部材5とミスト噴射体2によって挟持された配置である。
【0079】
従って、本実施形態のミスト発生装置1では、導入継ぎ手6に供給された湯水は、導入継ぎ手6の下流側に位置する継ぎ手ジョイント部48の流路を流れて基体3の分岐流路46に導入され、分岐流路46を通過した湯水が流路形成部材5に導入され、流路形成部材5の下流側のジョイント部25からミスト噴射体2に供給される。そして、2つのミスト噴射体2に供給された湯水は、各噴射体空間30に導入され、それぞれの噴射部12から外部に向かって噴霧することができる。
【0080】
また、本実施形態のミスト発生装置1では、ミスト噴射体2が、基体3に対して、2軸の回転方向に自由度を備えた構成とされている。即ち、流路形成部材5のジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2を回転させれば、図18に示すように、ファンの羽根のごとく回転させることができ、流路形成部材5の軸部27とジョイント部26を回転軸としてミスト噴射体2を回転させれば、図19に示すように、鳥の翼のごとく仰ぐような方向に回転させることができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、導入継ぎ手6が、継ぎ手ジョイント部48を回転軸として基体3に対して相対的に回転することも可能である。そのため、導入継ぎ手6を回転させて、継ぎ手ブロック部43のいずれかの外側面を、基体3の底部の外側面と位置を合わせることで、装置1全体としての底面積を増大させることができる。換言すれば、継ぎ手ブロック部43の回転位置によっては、継ぎ手ブロック部43のいずれかの外側面と、基体3の底部に位置する外側面をほぼ同一の平面を共有する配置にすることができる。これにより、ミスト発生装置1を床や台等に直接置くような場合であっても、装置の安定性を十分確保することができる。
【0082】
次に、ミスト発生装置1の作用について説明する。
ミスト発生装置1は、浴室内の混合栓44を操作して、適温の湯水が湯水供給管11に供給されると、導入継ぎ手6と基体3と流路形成部材5を介して、各ミスト噴射体2に湯水が導入されて、各噴射部12においてその湯水をミスト状にして噴射する。
【0083】
具体的には、基体3から各ミスト噴射体2に湯水が分配されると、その湯水はフロント部材21とリア部材22の間に形成された噴射体空間30に導入される。そして、噴射体空間30に導入された湯水は、外部と連通した低圧側の噴射部12に向かって流れようとする。
また、噴射体空間30においては、供給される湯水の流量が外部に吐出される流量より多いため、内部が外気圧より高圧状態となる。即ち、閉塞部材23が、噴射体空間30内部の水圧の作用によって、凸部8に対して垂直方向に押圧される。これにより、閉塞部材23と凸部8との密着性が高められる。
従って、噴射体空間30に導入された湯水は、閉塞部材23によって閉塞された噴射部12の導入部37には直接流入せず、始端側溝型開口13aから旋回流形成溝13に導入されて噴射部12に流入する。
【0084】
ここで、上記したように、旋回流形成溝13は、導入部37の流路断面に対して接線方向に延びた流路である。そのため、閉塞部材23の作用により、旋回流形成溝13から噴射部12に一定以上の吐出圧で湯水が導入されると、湯水は円錐状流路35の流路側面に沿って旋回流を発生させる。
【0085】
そして、その湯水の旋回流は、円錐状流路35においては、徐々に旋回の範囲が狭くされながら噴射流路36に向かって進行するため、進行するにしたがって、徐々に旋回速度が増す。そして、旋回速度が高速となった湯水が噴射凹部43に至ると、旋回により生じた遠心力によって外部に拡散されてミストとなる。
【0086】
次に、第一実施形態のミスト発生装置1の使用例について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、従来のシャワー装置のように、使用者が把持したり、可動式の保持部38に固定して使用する方法に加えて、単に床や台等に置いて使用する方法を可能としている。特に、本実施形態では、保持部38に固定したり、床や台等に置いて使用する際に有効的であるため、保持部38に固定した場合と、床や台等に置いた場合について説明する。
【0087】
従来のシャワー装置のように、保持部38に固定した場合においては、図20、21に示すように、基体3の上下にミスト噴射体2が並ぶようにすれば、シャワー効果とミスト効果を有効的に使い分けることができる。即ち、図20に示すように、2つのミスト噴射体2を使用者の方向に向けつつ、ミストの噴射方向が交差するように配置すれば、噴射領域が狭くなる反面、噴射領域中の単位面積当たりのミストの量が増加するため、シャワーで頭や身体を洗い流すように、ミストを浴びせることができる。また、図21に示すように、2つのミスト噴射体2を使用者に向けつつ、ミストの噴射方向が互いに離反するように配置すれば、ミストの噴射領域が広くなる。これにより、使用者全体を適温のミストで覆うことができ、ミストサウナを効果的なものとすることができる。
【0088】
なお、図20、21では、ミスト発生装置1の正面に使用者がいるものとしているため、流路形成部材5の軸部27とジョイント部26を回転軸としてミスト噴射体2を所望の角度に調整しているが、ミスト発生装置1の正面に使用者がいない場合は、さらに流路形成部材5のジョイント部25を回転軸としてミスト噴射体2の角度を変化させてもよい。また、ミスト噴射体2を基体3の上下に並べずに、基体3の左右に並べて使用してもよい。
【0089】
また、基体3の左右にミスト噴射体2を並べれば、浴室の床や台等の上に直接的に置くこともでき、保持部38の可動領域から外れた位置からのミスト噴射を可能とする。即ち、図22に示すように、基体3の左右にミスト噴射体2を並べ、浴室10の床に置けば、基体3の外側面と、導入継ぎ手6の継ぎ手ブロック部43が浴室10の床に当接するため、装置1が安定した状態で、主に足元に対するミスト噴射を行うことができる。また、浴室10における洗面台の上に置けば、上半身あるいは顔のみにミスト噴射を行うことができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、浴槽74の床に置いて、半身浴ミストとしての使用も可能である。即ち、図23に示すように、湯水を張っていない状態の浴槽74の床に、基体3の左右にミスト噴射体2を並べたミスト発生装置1を置く。そして、浴槽74に蓋88をする。具体的には、浴槽74の蓋88は、使用者の身体が隠れ、顔が露出する程度に閉じた状態とする。その状態でミストを噴射すれば、浴槽74内にミスト雰囲気が形成されるため、顔または上半身以外の部分を適温のミスト雰囲気内にさらすことができる。
【0091】
次に、第二実施形態のミスト発生装置201について説明する。
本実施形態のミスト発生装置201は、流路形成部材205と基体203の基体下部217を除く構成が上記したミスト発生装置1とほぼ同じ構成を有するため、異なる点に注目して説明する。また、以下の説明においては、上記実施形態と共通する構成は同じ番号を利用して説明を省略する。
【0092】
流路形成部材205は、前記した流路形成部材5とほぼ同様の構成を備えており、樹脂を射出成形したものを穿設を施して形成したもので、所謂スイベルジョイント構造を備えた継ぎ手部材である。即ち、図24に示すように、流路形成部材205は、ブロック部24と、2つのジョイント部25、28と、1つの軸部27とによって構成されている。
なお、ブロック部24、ジョイント部25、並びに、軸部27は、上記説明を準用して説明を省略し、ジョイント部28のみを説明する。
【0093】
即ち、ジョイント部28は、ブロック部24から突出するように一体的に接合された部分であって、内外を連通するように直線の流路が穿設により形成され、外部にリング状のパッキンが嵌り込むリング状の溝部(図示しない)が設けられている。そして、ジョイント部28は、図25に示すように、ブロック部24における導入側開口34aと連通するように配されている。これに対して、ブロック部24の吐出側開口34b側には、ジョイント部25が配されている。
【0094】
また、本実施形態では、ジョイント部28の端部側近傍の側面に湯水が通過するジョイント側流入開口31が形成されている。ジョイント側流入開口31は、後述する基体203の基体下部217の分岐流路46に連通する開口で、当該開口面積は分岐流路46の断面積とほぼ同じか若干大きく設定されている。
【0095】
基体下部217は、前記した基体下部17とほぼ同様の構成を備えており、図25に示すように、正面視した形状がローマ字「T」を逆さにしたもので、コア部58から左右方向及び上方に張り出した合計3つの張出部62〜64を備えている。コア部58は、挿通孔59と、左右の張出部62、64に流す分岐流路46が形成されており、そのコア部58の上方に位置する張出部63には、雌ネジ部86と阻止部挿通穴87が設けられている(図11)。
【0096】
そして、コア部58の左右に位置する張出部62、64にはそれぞれ、分岐流路46と連通し上部面を貫通した装着空間81が設けられている。本実施形態の装着空間81は、円筒状であり、図25を基準にすると、底面が分岐流路46の底部よりも下方に位置する。また、装着空間81には、流路形成部材205のジョイント部28が装着されるため、装着空間81の内径の大きさは、ジョイント部28の外径の大きさとほぼ同一とされている。即ち、この装着空間81に流路形成部材205のジョイント部28が装着されて、基体内部流路の一部が形成される。具体的には、装着空間81にジョイント部28が装着されて、ジョイント側流入開口31と分岐流路46が連通状態となれば、基体内部流路の一部が形成される。
【0097】
ここで、流路形成部材205は、流路形成部材5と同様、基体203に対して、ジョイント部28を回転軸として相対的に回転することができる。そのため、流路形成部材205が回転された場合の姿勢によっては、ジョイント側流入開口31の開口位置が分岐流路46と連通し得る位置ではない場合あるいは若干ずれて連通している場合がある。即ち、本実施形態では、ジョイント側流入開口31と分岐流路46との連通状態を変化させることで、ジョイント側流入開口31を通過する湯水の流量が調整でき、ミストの噴射量を調整することができる(流量調整機能)。
【0098】
より具体的に説明すると、本実施形態は、図26に示すように、ジョイント部28(図25)を基準に、ミスト噴射体2が基体203に対して相対的に回転することで、ジョイント側流入開口31と分岐流路46との連通状態を変化させることができる構成とされている。
例えば、図26(a)に示すミスト噴射体2の通常の姿勢(所定の姿勢)時に、ジョイント側流入開口31と分岐流路46とがほぼ一致した最大連通開口になるとした場合、その通常の姿勢からミスト噴射体2の姿勢を変化させると、連通開口の状態が変化する。即ち、図26(a)の状態から、ミスト噴射体2をジョイント部28を軸に回転させて図26(b)や図26(c)の状態にすれば、連通開口面積が減少する。これにより、ジョイント側流入開口31を通過する湯水の流量が実質的に減少するため、図26(b)、(c)の右側のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少する。なお、このとき、左側のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少することはない。
【0099】
また、図26(d)に示すように、基体203にほぼ直交する程度あるいは実質的にジョイント側流入開口31と分岐流路46とが連通しない位置までミスト噴射体2を回転させると、連通開口がなくなる。これにより、ジョイント側流入開口31への湯水の流入が阻止されるため、図26(d)の右側のミスト噴射体2からミストが噴射されなくなる。なお、図26(d)では、ミスト噴射体2をミストの噴射側に向けて回転させてミストの噴射を制限したが、噴射面の裏面側に向けて回転させてミストの噴射を制限しても同様の効果を得ることができる。
【0100】
このように、第二実施形態では、流路形成部材205のジョイント部28の側面にジョイント側流入開口31を設け、ミスト噴射体2の回転姿勢に応じて、基体203の分岐流路46との連通開口面積が変化する構成としたため、複数のミスト噴射体2が1つの基体203に接続されている場合であっても、それぞれのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を独立して調整することができる。即ち、1つのミスト噴射体2の回転姿勢をミスト量の減少側あるいは増加側に変更した場合であっても、別のミスト噴射体2の回転姿勢が変更されない限り、回転姿勢を変更したミスト噴射体2から噴射されるミスト量に追従するように、別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が減少あるいは増加することはない。ただし、混合栓44における開度を固定した場合において、1つのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を減少側に調整すると、別のミスト噴射体2における水圧が増加するため、当該別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が若干増加したり、1つのミスト噴射体2から噴射されるミスト量を増加側に調整すると、別のミスト噴射体2における水圧が減少するため、当該別のミスト噴射体2から噴射されるミスト量が若干減少する場合はある。
従って、このような作用を利用すれば、ミストを顔等の局部のみに噴射する場合に、噴射量及び噴射領域を最適にすることができるため、ミスト浴の効果を低減することなく節水効果が期待できる。また、ミスト浴中、混合栓44をわざわざ操作することなく、使用者に最も近いミスト噴射体2を回転させることで、噴射量及び噴射領域を変更できるため、便利である上、流路調整の程度を直感的に認識させることができる。
【0101】
また、第二実施形態のミスト発生装置201と同様の作用効果を得ることができる別の実施形態として、ミスト噴射体2に装着される側のジョイント部29にジョイント側流入開口32が設けられた流路形成部材206を備えた構成が挙げられる。
即ち、この別の実施形態は、図27に示すように、ジョイント側流入開口32が、流路形成部材206におけるジョイント部29の端部側近傍の側面に形成されており、流路形成部材206がミスト噴射体2に接続された際に、噴射体内部流路の一部を形成する構成とされている。具体的には、図28に示すように、ジョイント部29がミスト噴射体2に装着されて、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の噴射体空間30に湯水を導入する流路39が連通状態となれば、噴射体内部流路の一部が形成される。
【0102】
この構成によれば、流路形成部材206のジョイント部29を基準に、ミスト噴射体2を基体3に対して相対的に回転させることで、ジョイント側流入開口32の開口位置を移動させることができる。これにより、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の流路39との連通状態を変更できるため、ジョイント側流入開口32を通過する湯水の流量が調整されて、ミストの噴射量が調整される(流量調整機能)。
【0103】
より具体的に説明すると、本実施形態は、図29に示すように、ジョイント部29(図28)を基準に、ミスト噴射体2を基体3に対して相対的に回転させることで、ジョイント側流入開口32とミスト噴射体2の流路39との連通状態を変化させることができる構成とされている。
例えば、図29(a)に示すミスト噴射体2の通常の姿勢(所定の姿勢)時に、ジョイント側流入開口32と流路39とがほぼ一致した最大連通開口になるとすれば、その通常の姿勢からミスト噴射体2の姿勢を変化させれば、連通開口の状態を変化させることができる。即ち、図29(a)の状態から、ミスト噴射体2をジョイント部29を軸に回転させて図29(b)や図29(c)の状態にすれば、連通開口面積が減少する。これにより、ジョイント側流入開口32を通過する湯水の流量が実質的に減少するため、図29(b)、(c)の正面のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少する。なお、このとき、紙面奥のミスト噴射体2から噴射されるミストの量が減少することはない。
【0104】
また、図29(d)に示すように、基体3にほぼ直交する程度あるいは実質的にジョイント側流入開口32と流路39とが連通しない位置まで回転させると、連通開口がなくなる。これにより、ジョイント側流入開口32への湯水の流入が阻止されるため、図29の正面のミスト噴射体2からミストが噴射されなくなる。なお、図29(d)では、ミスト噴射体2を噴射面が上方に向くように回転させてミストの噴射を制限したが、噴射面が下方に向くように回転させてミストの噴射を制限しても同様の効果を得ることができる。
このように、ミスト噴射体2側のジョイント部29にジョイント側流入開口32を設けた構成にしても、前記した第二実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0105】
上記実施形態では、ミストのみを噴射するミスト発生装置1を示したが、本発明ではこれに限定されず、ミスト噴射とシャワー噴射の双方の機能を備えた装置であっても構わない(第三実施形態)。以下、ミスト発生装置について説明するが、ミスト噴射体のみが上記実施形態と異なる構成となるため、ミスト発生装置のミスト噴射体92のみに注目して説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の部材等については同じ番号を付して説明を省略する。
【0106】
第三実施形態のミスト発生装置は、図30、31に示すように、噴射部12を有するフロント部材97と、フロント部材97と一体的に組み合わさって装置の外郭の一部を形成するリア部材98と、噴射部12に導入される湯水の流入方向の切り換えを可能とする閉塞部材99とによって構成されている。
【0107】
フロント部材97は、噴射部12が設けられ装置の外郭の一部を形成する外郭部材125と、外郭部材125とリア部材98との間に位置し異なる2流路を備えた中間部材126とにより構成されている。
外郭部材125は、ほぼ円形の板状体であり、一方の壁面側が外郭部材125の厚み方向(他方の壁面側)に窪んだ外郭側凹部133が設けられている(以下、外郭側凹部133が設けられた壁面を有凹壁面と称す)。外郭側凹部133は、窪み形状がほぼ円柱状である。また、外郭側凹部133には、外郭部材125の壁面であって凹部の底部から垂直方向に突出したほぼ円柱状の凸部104が複数(本実施形態では33個)設けられている。いずれの凸部104も、壁面からの突出長さが等しく形成されている。
【0108】
また、凸部104の位置には、上記実施形態と同様の噴射部12及び旋回流形成溝13が設けられている。
中間部材126は、図30、31に示すように、ほぼ円形のフランジ部140と、シャワー用流路形成部141と、ミスト用流路形成部142とを備えた部材である。
フランジ部140は、一方の壁面側(以下、下流壁面側とも称す)に、外郭部材125の外郭側凹部133に嵌り込むリング状に突出したフロント側装着部143が設けられている。フロント側装着部143には、外周壁を沿うように図示しないリング状のパッキンが装着される。即ち、フロント側装着部143の外径の大きさは、外郭側凹部133の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0109】
また、フロント側装着部143は、壁面からの突出長さが外郭部材125の外郭側凹部133の窪み深さとほぼ同じである。即ち、外郭側凹部133にフロント側装着部143が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部143の突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、外郭側凹部133にフロント側装着部143が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部143の突端部は外郭側凹部133の底部の壁面に当接する。
【0110】
また、フランジ部140には、他方の壁面側(以下、上流壁面側とも称す)に、後述するリア部材98のリア側被装着部111に嵌り込むリング状に突出したリア側装着部110が設けられている。リア側装着部110にも、外周壁を沿うように図示しないリング状のパッキンが装着されるため、リア側装着部110の外径の大きさがリア側被装着部111の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0111】
シャワー用流路形成部141は、フランジ部140のほぼ中心を厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部140における上流壁面と下流壁面の双方から配管が突出した流路である。即ち、シャワー用流路形成部141は、上流側配管部141aと、下流側配管部141bと、両者の間に位置し両者を連通させるシャワー用フランジ流路部(図示しない)を備えている。
上流側配管部141aは、フランジ部140の上流壁面から垂直に突出しており、配管の側壁を貫通した2つの導入口151と、突端面に流路内部まで貫通しないネジ等が螺合される雌ネジ部152と、突端面近傍の外側壁であって導入口151より突端面側の位置に図示しないリング状のパッキンが装着される外周溝153が設けられている。
【0112】
導入口151は、湯水が導入される開口で、開口形状がほぼ円形であり、2つの開口とも同じ開口径を有している。また、一方の導入口151を、開口に対して内側垂直方向に覗くと、一方の導入口151の開口と他方の導入口151の開口がほぼ重なる位置関係である。即ち、導入口151の一方の開口は、他方の開口に対して、上流側配管部141aの外周方向に180度離れた位置に配されている。なお、導入口151の開口径は、後述するリア部材98の流路接続部47の共通流路164の内径と連通できる程度の大きさにされている。
雌ネジ部152は、上流側配管部141aの突端面のほぼ中心にあり、後述するリア部材98とネジ等を用いて接続される部分である。
外周溝153は、リング状に形成された溝で、図示しないパッキンの一部が上流側配管部141aの外周面より若干外側にはみ出る程度の深さとされている。
【0113】
また、下流側配管部141bは、フランジ部140の下流壁面から垂直に突出しており、壁面からの突出長さがフロント側装着部143の突出長さよりも短く、突端面に湯水が排出される排出開口155が設けられている。
即ち、シャワー用流路形成部141に導入される湯水は、導入口151から上流側配管部141aに流入し、図示しないシャワー用フランジ流路部を介して下流側配管部141bに流れて排出開口155から排出される。
【0114】
ミスト用流路形成部142は、2箇所あり、フランジ部140の厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部140の直径上であってシャワー用流路形成部141を挟むような位置に設けられている。具体的には、ミスト用流路形成部142は、シャワー用流路形成部141の導入口151に対して、90度ずれた位置に配されている。
ミスト用流路形成部142は、上流壁面側の壁面から垂直方向に突出した突出流路部142aと、下流壁面側における中間部材126の厚み方向に円錐状に窪んだ窪み部142bと、両者の間に位置し両者を連通させるミスト用フランジ流路部(図示しない)とにより構成されている。
【0115】
突出流路部142aは、配管状の流路であり、突出長さがリア側装着部110の突出長さと同じで、突端部に湯水が導入される導入口158が設けられている。導入口158の内径の大きさは、後述するリア部材98のミスト用開口157の内径とほぼ同じ大きさにされている。
窪み部142bは、湯水の流れ方向下流側(下流壁面側)に向かってテーパー状に内径が拡げられた流路である。
即ち、ミスト用流路形成部142に導入される湯水は、導入口158から突出流路部142aに流入し、図示しないミスト用フランジ流路部を介して窪み部142bから排出される。
【0116】
また、本実施形態では、突出流路部142aを囲繞するように突出保持部156が設けられている。突出保持部156は、突出流路部142aから一定間隔を空けて配されており、その間隔に図示しないリング状のパッキンを配して保持する部分である。また、突出保持部156は、壁面からの突出長さが突出流路部142aの突出長さと同じ大きさにされている。なお、図示しないパッキンは、突出保持部156と突出流路部142aの突端部よりも外側に若干突出させる必要があるため、突出保持部156と突出流路部142aとの間の深さがパッキンの部材厚より小さくされている。
【0117】
リア部材98は、フロント部材97とほぼ同じ大きさの円形体で、一方の壁面側(以下、装着壁面側とも称す)にフロント部材97のリア側装着部110が嵌め込まれる壁面から突出したリング状のリア側被装着部111が設けられ、他方の壁面側(以下、接続壁面側とも称す)に流路接続部47が設けられ、さらにリア部材98の厚み方向(装着壁面側から接続壁面側方向)に貫通したシャワー用貫通孔160及びミスト用貫通孔157が設けられている。
【0118】
リア側被装着部111は、内径の大きさがフロント部材97のリア側装着部110に図示しないパッキンを装着した状態の外径の大きさと同じあるいは若干小さくされている。また、リア側被装着部111は、壁面からの突出長さがフロント部材97のリア側装着部110の突出長さとほぼ同じである。即ち、リア側被装着部111にリア側装着部110が嵌り込んだ状態においては、互いの突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、リア側被装着部111にリア側装着部110が嵌り込んだ状態においては、リア側被装着部111の突端部は中間部材126の壁面に当接し、リア側装着部110の突端部はリア部材98の壁面に当接する。
【0119】
シャワー用貫通孔160及びミスト用貫通孔157は、流路断面が円形で、リア側被装着部111の内側領域内に配されている。そして、シャワー用貫通孔160がリア部材98の中心に位置し、ミスト用貫通孔157がシャワー用貫通孔160からずれた位置に配されている。具体的には、シャワー用貫通孔160は、図32、33に示すように、リア部材98とフロント部材97の中心を一致させた状態において、常に重なり合う位置関係である。一方、ミスト用貫通孔157は、図32、33に示すように、リア部材98とフロント部材97の中心を一致させた状態において、ミスト用流路形成部142と同じ円周上にあり、ミスト用貫通孔157とミスト用流路形成部材142を重ね合わせた際に双方の開口がほぼ重なり合う位置関係である。
【0120】
シャワー用貫通孔160は、内径の大きさがシャワー用流路形成部141における上流側配管部141aの外径の大きさと同じあるいは若干大きくされており、上流側配管部141aが挿入される部分である。即ち、シャワー用貫通孔160は、上流側配管部141aを保持する保持部として機能し、シャワー用貫通孔160に挿入された上流側配管部141aに湯水が流れる。従って、シャワー用貫通孔160には、実質的に湯水の流れはない。
一方、ミスト用貫通孔157は、内径の大きさがミスト用流路形成部142における突出流路部142aの内径の大きさと同じあるいは若干大きくされている。
【0121】
流路接続部47は、リア部材98の接続壁面側からシャワー用貫通孔160とミスト用貫通孔157を覆い、双方の貫通孔に湯水を送ることができる共通流路164を備えた部分である。流路接続部47における下流側には、ネジ等の接続手段が挿通可能なネジ孔161が設けられている。具体的には、このネジ孔161は、シャワー用貫通孔160の中心にあたる箇所にある。即ち、シャワー用貫通孔160にシャワー用流路形成部141の上流側配管部141aを挿通して雌ネジ部152をネジ孔161に合わせた状態で、ネジ孔161にネジ等を挿通して、リア部材98に対してフロント部材97を保持することができる。本実施形態では、このネジ等を用いてフロント部材97を保持しつつも、フロント部材97をリア部材98に対して相対回転可能な構成としている。
【0122】
閉塞部材99は、フロント部材97やリア部材98に使用された材質より軟質の合成樹脂やゴム等の弾性体が採用されている。閉塞部材99は、ほぼ円形の板体であって、フロント部材97における全ての噴射部12を覆うことができる程度の面積を有していると共に、閉塞部材99の中心に厚み方向に貫通した貫通孔146を有する。また、閉塞部材99の厚みは、中間部材126の下流側配管部141bの突出長さよりも小さい値である。即ち、閉塞部材99は、ほぼドーナツ形状の板体である。
貫通孔146は、開口径の大きさがフロント部材97における中間部材126の下流側配管部141bの外径の大きさとほぼ等しく、下流側配管部141bが挿通される。そして、閉塞部材99は、下流側配管141bの突出長さよりも小さい値の厚みを有しているため、下流側配管141bの突出長さの領域内で移動する。即ち、下流側配管141bは、閉塞部材99がフロント部材97における噴射部12に対して近接・離反する際のガイドとしての機能を果たす。
【0123】
従って、ミスト噴射体92は、図34に示すように、リア部材98の流路接続部47が流路形成部材5と接続されており、そのリア部材98にフロント部材97が接続されて形成されている。即ち、リア部材98は、装着壁面側のリア側被装着部111にフロント部材97における中間部材126のリア側装着部110が、図示しないパッキンを装着した状態で嵌め込まれている。これにより、リア側装着部110とリア部材98と中間部材126によって囲まれたリア側空間119が形成される。リア部材98のシャワー用貫通孔160には、中間部材126における上流側配管部141aが図示しないパッキンを装着した状態で挿通されている。そして、上流側配管部141aにおける導入口151が、リア部材98の接続部145における共通流路164と連通し得る位置に配されている。具体的には、上流側配管141aは、シャワー用貫通孔160に対して相対的に回転可能に挿通されており、上流側配管部141aを配管の周方向に所定の位置まで回転させると、導入口151が共通流路164と連通することができる配置である。なお、2つの導入口151のうち、一方の導入口151が共通流路164と連通した状態となれば、同時に他方の導入口151が共通流路164と連通した状態となることはない。
【0124】
さらに、上流側配管部141aとシャワー用貫通孔160の軸線がほぼ一致しているとすれば、その軸線を中心に、リア部材98のミスト用貫通孔157と中間部材126のミスト用流路形成部142が同一の円周上に存在する。即ち、図31、32に示すように、ミスト用流路形成部142の位置は、前記軸線を中心に、中間部材126をリア部材98に対して摺動回転すれば、ミスト用貫通孔157に連通することができる配置である。なお、1つのミスト用貫通孔157(固定側の貫通孔)に対して、2つのミスト用流路形成部142(回転移動側の流路)があるため、一方のミスト用流路形成部142がミスト用貫通孔157と連通した状態となれば、同時に他方のミスト用流路形成部142がミスト用貫通孔157と連通した状態となることはない。
また、ミスト用流路形成部142の突出流路部142aと突出保持部156との間には、図示しないパッキンが配されている。
【0125】
そして、中間部材126には、下流壁面側において、外郭部材125が組み付けられている。即ち、外郭部材125の外郭側凹部133に対して、図示しないパッキンが装着された状態の中間部材126のフロント側装着部143が嵌め込まれている。これにより、外郭部材125と中間部材126との間に湯水が流入するフロント側空間114が形成される。
また、中間部材126におけるシャワー用流路形成部141の排出開口155は、凸部104の天面より下流側に閉塞部材99の厚みより小さい間隔を空けた配置とされている。即ち、フロント側空間114においては、シャワー用流路形成部141の排出開口155は下流側に位置し、ミスト用流路形成部142の排出側は上流側に位置している。
【0126】
なお、本実施形態では、外郭部材125と中間部材126との組み付けに、外郭側凹部133にフロント側装着部143を嵌合させて組み付ける手段に加えて、外郭部材125の外郭側凹部133側の壁面であって外郭側凹部133より外側の領域に、厚み方向に貫通しないネジ孔(図示しない)を設け、中間部材126に前記ネジ孔に対応する位置に厚み方向に貫通したネジ孔(図示しない)を設け、双方のネジ孔の位置を合わせてネジ等で締め付ける手段が併用されている。
【0127】
また、本実施形態では、外郭部材125と中間部材126との間に、閉塞部材99を配置させて、噴射部12に導入される湯水の流入方向を切り換えて、湯水をシャワー流又はミスト流として噴射させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。
即ち、フロント側空間114において、閉塞部材99の貫通孔146に中間部材126の下流側配管部141bを配し、閉塞部材99が外郭部材125の凸部104と対向するように配置されている。具体的には、閉塞部材99は、中間部材126の下流壁面と外郭部材125の凸部104の突端面との間に位置する。
以上が、シャワーとミストを切り替え可能としたミスト噴射体92の説明である。
【0128】
上記実施形態では、ミスト噴射体2が基体3に対して2軸の回転方向に自由度を有した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、3軸以上の回転方向に自由度を備えた構成であっても構わない。例えば、3軸の回転方向に自由度を持たせる場合であれば、上記実施形態に示した流路形成部材5を2つ連結させればよい。その場合、1つの流路形成部材には軸部27が不要となるため、軸部27有りと、軸部27無しを組み合わせれば、ミスト噴射体に3軸の回転方向の自由度を与えることが可能となる。
なお、この構成を達成させるためには、ミスト噴射体の流路接続部の形状を変形させる必要がある。具体的には、流路接続部における装着空間の開口方向を流路形成部材のジョイント部の突出方向に合わせて変更することが必要である。
【0129】
上記実施形態では、2つのミスト噴射体2を、1つの基体3に接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、1つの基体に1又は3つ以上のミスト噴射体2を接続した構成であっても構わない。
また、上記実施形態では、1つの基体3に2つのミスト噴射体2を流路形成部材5を用いて間接的に接続した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、1つの基体に間接的に接続されたミスト噴射体を少なくとも1つ備え、さらに当該基体に直接的に接続されたミスト噴射体を備えたミスト発生装置であっても構わない。
【0130】
上記実施形態では、繋ぎ部材(流路形成部材)5が、ミスト噴射体2を回転させる回転軸の機能と、ミスト噴射体2へ湯水を供給する流路の機能を兼ね備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、繋ぎ部材は回転軸の機能のみを備えた構成であっても構わない。即ち、湯水を供給する専用の配管等をミスト噴射体2に接続し、その配管等で直接的にミスト噴射体2に湯水を供給する構成であっても構わない。
【0131】
上記実施形態では、流路形成部材205、206と接続する基体3、203側とミスト噴射体2側のいずれかのジョイント部28、29にジョイント側流入開口31、32を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、基体3、203側とミスト噴射体2側の双方のジョイント部にジョイント側流入開口31、32を設けた構成であっても構わない。
また、ジョイント部を基体側やミスト噴射体側に一体的に設け、そのジョイント部にジョイント側流入開口を設けた構成であっても構わない。
【0132】
また、上記実施形態では、流量調整機能として、ミスト噴射体2を軸に対して回転させて、連通開口の開口面積を増減する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、公知のバルブ等を用いて、ミスト発生装置内部を流れる湯水の流量を調整する構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0133】
1、201 ミスト発生装置
2 ミスト噴射体
3、203 基体
5、205、206 流路形成部材(繋ぎ部材、流路形成部)
12 噴射部
13 旋回流形成溝
21、97 フロント部材
22、98 リア部材
23、99 閉塞部材
28 ジョイント部
29 ジョイント部
31、32 ジョイント側流入開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された湯水を噴霧可能なミスト発生装置であって、
霧状の湯水を噴射する噴射部を有するミスト噴射体と、少なくとも1つのミスト噴射体が間接的に保持された基体とを有し、
ミスト噴射体と基体との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられており、当該流路を通過する湯水の流量を調整できる流量調整機能を有することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
ミスト噴射体と基体は、所定の姿勢にあるときは両者の流路が連通する開口面積が最大となるものであって、
ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して前記所定の姿勢から相対的に回転すると、ミスト噴射体と基体の流路が連通する開口面積が変化するものであって、当該開口面積を変化させることで流路を通過する湯水の流量が調整されることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体が複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項5】
ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられ、
基体から各ミスト噴射体までの流路が独立していることを特徴とする請求項4に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体に加えて、直接的に保持されたミスト噴射体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項7】
基体に間接的に保持されたミスト噴射体は、繋ぎ部材を介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項8】
基体は、ミスト噴射体に対して、湯水の流れ方向上流側に位置するもので、
前記繋ぎ部材は、基体に導入された湯水をミスト噴射体側に案内する流路形成部としての機能を備えていることを特徴とする請求項7に記載のミスト発生装置。
【請求項9】
基体に湯水を導入する導入継ぎ手を有し、
導入継ぎ手は、湯水が供給される湯水供給管と接続されるものであって、基体と当該導入継ぎ手は、相対回転可能であることを特徴とする請求項8に記載のミスト発生装置。
【請求項10】
前記導入継ぎ手は、平面状の外側面を有し、当該平面状の外側面と、当該外側面と交差する関係の基体のいずれかの外側面は、同一平面を共有可能であることを特徴とする請求項9に記載のミスト発生装置。
【請求項11】
前記繋ぎ部材は、スイベルジョイント構造を備えていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項12】
ミスト噴射体は、ほぼ板状であり、
基体は、ミスト噴射体より厚みがあることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項13】
ミスト噴射体は、前記噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、
閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項1】
供給された湯水を噴霧可能なミスト発生装置であって、
霧状の湯水を噴射する噴射部を有するミスト噴射体と、少なくとも1つのミスト噴射体が間接的に保持された基体とを有し、
ミスト噴射体と基体との間には、少なくとも2軸の回転方向の自由度が備えられていることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられており、当該流路を通過する湯水の流量を調整できる流量調整機能を有することを特徴とする請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
ミスト噴射体と基体は、所定の姿勢にあるときは両者の流路が連通する開口面積が最大となるものであって、
ミスト噴射体と基体の少なくとも一方を、他方に対して前記所定の姿勢から相対的に回転すると、ミスト噴射体と基体の流路が連通する開口面積が変化するものであって、当該開口面積を変化させることで流路を通過する湯水の流量が調整されることを特徴とする請求項2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体が複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項5】
ミスト噴射体と基体の内部には、それぞれ湯水が流れる流路が設けられ、
基体から各ミスト噴射体までの流路が独立していることを特徴とする請求項4に記載のミスト発生装置。
【請求項6】
1つの基体には、間接的に保持されたミスト噴射体に加えて、直接的に保持されたミスト噴射体が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項7】
基体に間接的に保持されたミスト噴射体は、繋ぎ部材を介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項8】
基体は、ミスト噴射体に対して、湯水の流れ方向上流側に位置するもので、
前記繋ぎ部材は、基体に導入された湯水をミスト噴射体側に案内する流路形成部としての機能を備えていることを特徴とする請求項7に記載のミスト発生装置。
【請求項9】
基体に湯水を導入する導入継ぎ手を有し、
導入継ぎ手は、湯水が供給される湯水供給管と接続されるものであって、基体と当該導入継ぎ手は、相対回転可能であることを特徴とする請求項8に記載のミスト発生装置。
【請求項10】
前記導入継ぎ手は、平面状の外側面を有し、当該平面状の外側面と、当該外側面と交差する関係の基体のいずれかの外側面は、同一平面を共有可能であることを特徴とする請求項9に記載のミスト発生装置。
【請求項11】
前記繋ぎ部材は、スイベルジョイント構造を備えていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項12】
ミスト噴射体は、ほぼ板状であり、
基体は、ミスト噴射体より厚みがあることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項13】
ミスト噴射体は、前記噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、
閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のミスト発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−45368(P2012−45368A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94436(P2011−94436)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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