説明

ミスト発生装置

【課題】ミストを生成するための回転基板が小径であり、全体として小型であるにもかかわらず、微細なミストを生成できるミスト発生装置を提供する。
【解決手段】本体ケース1の内部に、モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを配置する。衝突壁37と液体通路57とを交互に配置した環状の衝突壁列56を、回転基板4の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設ける。外側の衝突壁列56の衝突壁37を、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向させて、液体を確実に衝突壁37に衝突させて微細化する。液体通路57の通路幅を、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水または化粧水などの液体を微細なミストにして送出するミスト発生装置に関する。ミスト発生装置は、肌を潤いのある状態にする加湿器として、あるいは喉や口腔を湿らせる吸入器として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るミスト発生装置は、回転基板上に送給された液体を遠心力で跳ね飛ばして、回転基板上に設けた衝突壁に衝突させることにより、液体を微細化するが、この種のミスト発生装置は例えば特許文献1に公知である。そこでは、対向する一対の円盤の間に、中心から放射状に伸びる8枚の羽根と、多数の邪魔部材とが、円盤と一体に設けてあり、回転する円盤の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、邪魔部材に衝突することによってさらに微細化されて、円盤の間から外方へ放出される。
【0003】
同様のミスト発生装置は、特許文献2にも開示されている。そこでは、上下一対の円板の間に、径方向に伸びる多数の案内路を有する環状壁と、案内路の出口に臨む多数のコロとが設けてある。回転する一対の円板の間に液体を送給すると、液体が遠心力で跳ね飛ばされてミスト化され、案内路を通ってコロに衝突することによりさらに液体が微細化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第98/05432号パンフレット(第15頁第5〜19行、第8図)
【特許文献2】実開昭62−179052号のマイクロフィルム(第8頁第6〜8行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のミスト発生装置では、邪魔部材が疎らにしか配置されていないため、液体が邪魔部材に衝突することなく対向空間から飛び出ることがあり、液体を十分に微細化することができない。その点、特許文献2のミスト発生装置のように、案内路の出口に臨んでコロを配置すると、液体を確実にコロに衝突させて微細化できる。
【0006】
本発明の目的は、外に向けて移動する液体の流速を大きくすることで、微細なミストを生成できるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを有し、 衝突壁37と液体通路57とを交互に配置した環状の衝突壁列56を、回転基板4の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設けているミスト発生装置である。各衝突壁列56は、外側の衝突壁列56の衝突壁37が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向する状態で配置されており、液体通路57の通路幅を、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成していることを特徴とする。
【0008】
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60aの出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60aは、この壁60aの出口端E1を中心にして回転方向に角度αだけ傾斜している。回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60bの出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60bは、この壁60bの出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜している。角度αと角度βの関係は、α<βとなるよう設定されている。
【0009】
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60aの出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60aは、仮想基準線M1に沿って形成されている。回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60bの出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60bは、この壁60bの出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜している。
【0010】
衝突壁37の外面59のうち、少なくとも液体通路57に臨む周面部分を内凹み状に形成している。
【0011】
回転基板4の中心に臨む衝突壁37の内面58を、回転基板4の外周縁よりも曲率の小さい内凸状の湾曲面、もしくは平坦面で構成している。
【0012】
衝突壁列56が回転基板4の径方向へ多重に設けてあり、径方向外側に位置する衝突壁列56の液体通路57の数を、径方向内側に位置する衝突壁列56の液体通路57の数よりも大きく設定している。
【0013】
回転基板4と、衝突壁37の上面を覆う天板38とが、それぞれ支持ベース32に突設した係止突起51に係合されて、回転基板4と天板38と支持ベース32との三者を同行回転可能に一体化している。
【0014】
天板38の中央にリング状の導入体44が設けられて、液体送給手段を構成する給液管28が導入体44に挿通されており、導入体44の内面に、下拡がりテーパー状の案内面47を形成している。
【0015】
給液管28の下端の給液口45を、案内面47と、回転基板4のベース部36との間の領域に配置している。
【0016】
給液口45と対向する回転基板4の上面に流動促進突起46が設けられており、流動促進突起46の上端部を給液口45の開口面よりも上方に配置している。
【0017】
最外周の衝突壁列56の周囲に臨む支持ベース32の上面に、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片70を設けている。
【0018】
翼片70が、支持ベース32の回転方向下手側へ向かって下り傾斜する翼面71を備えている。
【0019】
支持ベース32に、翼片70の回転領域の外周面を囲む導風筒72を設けている。
【0020】
翼片70の翼面71に臨む支持ベース32に、空気導入用の通気口73を上下貫通状に形成している。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、衝突壁37と液体通路57とを交互に配置した環状の衝突壁列56を少なくとも二重に設け、外側の衝突壁列56の衝突壁37を、内側の衝突壁列56の液体通路57に対向させたので、液体が最外周の衝突壁列56の外方へ飛び出るまでの間に、少なくとも一度は衝突壁37に衝突させることができ、したがって、液体を確実に微細化することができる。
【0022】
液体通路57の通路幅を、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成すると、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体(微細化途中のミストを含む)を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。
【0023】
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60aの出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60aは、回転方向側の壁60aの出口端E1を中心にして回転方向に角度αだけ傾斜しており、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60bの出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60bは、回転方向逆側の壁60bの出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜している。そのうえで、角度αと角度βの関係を、α<βとなるよう設定することにより、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60aが仮想基準線M1に対して回転方向に角度αだけ傾斜していると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動を促進でき、より一層、液体の流速を大きくすることができる。
【0024】
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60aの出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60aは、仮想基準線M1に沿って形成されており、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60bの出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60bは、回転方向逆側の壁60bの出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜していることにより、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60aが仮想基準線M1に沿って形成されていると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動が容易となり、液体の流速を大きくすることができる。
【0025】
衝突壁37の外面59のうち、少なくとも液体通路57に臨む周面部分を内凹み状に形成していることにより、衝突壁37の外面59のうち、少なくとも液体通路57に臨む周面部分を内凹み状に形成すると、液体通路57を流れる液体が、外面59の表面側に回り込むのを抑制できる。液体が外面59の表面側へ回り込むには、遠心力に逆らう必要があるためである。したがって、液体通路57の出口における水切りを良くして、液体通路57の出口に臨む衝突壁37に液体を効率良く衝突させて、液体の微細化を促進できる。さらに、外面59の回転方向上流側で、衝突壁列の間を流れる気流を外向きに案内して、液体通路57の出口における水切りを良くするとともに、外面59の表面に液溜まりが生じるのを防止できる。
【0026】
回転基板4の中心に臨む衝突壁37の内面58を、回転基板4の外周縁よりも曲率の小さい内凸状の湾曲面、もしくは平坦面で構成することにより、特許文献2のように曲率が大きい内凸状の湾曲面で内面を構成する場合に比べて、液体の粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、内面を外凹み状の湾曲面で構成する場合に比べて、内面58に衝突した液体を、その両側の液体通路57へスムーズに案内でき、内面58に衝突した液体が内面58の表面に残留するのを解消できる。
【0027】
衝突壁列56を回転基板4の径方向へ多重(三重以上)に設けて、外周側の衝突壁列56に多くの液体通路57を設けると、液体の進行方向を多様化させて、液体をよく分散させることができ、液体の微細化を促進できる。また、液体通路57と対向する衝突壁37に液体を繰り返し衝突させて、ミストをさらに確実に微細化できる。
【0028】
衝突壁37の上面を覆う天板38を設けると、液体が斜め上方へ跳ね飛ばされて衝突壁37に衝突しない事態を確実に回避できる。換言すれば、液体を確実に衝突壁37に衝突させて微細化することができる。また、回転基板4および天板38を、支持ベース32に突設した係止突起51に係合すると、回転基板4および天板38を支持ベース32に固定するための構造を簡素化できる。また、前記三者4・38・32を、係止突起51を介して機械的に結合するので、化粧成分を含む液体をミスト化する場合に、結合構造が化粧成分で劣化することが無く、三者4・38・32が強固に一体化された状態を長期にわたって維持できる。
【0029】
リング状の導入体44を天板38に設け、導入体44の内面に下拡がりテーパー状の案内面47を形成すると、案内面47に付着した液体は、外向きの遠心力を受けて、案内面47に沿って下向きに案内され、回転基板4と天板38の間に向かって跳ね飛ばされる。このように、下拡がりテーパー状の案内面47を設けていると、液体を回転基板4と天板38の間へスムーズに案内できる。
【0030】
給液管28の下端の給液口45を、案内面47と、回転基板4のベース部36との間の領域に配置すると、給液口45から送給される液体が案内面47の上方へ漏れ出るのを確実に防止して、液体を回転基板4と天板38の間へ確実に案内できる。なお、案内面47とベース部36の間の領域には、周囲を案内面47に囲まれる導入体44の内側の領域が含まれる。
【0031】
給液口45と対向する回転基板4の上面に流動促進突起46を設けて、流動促進突起46の上端部を給液口45の開口面よりも上方に配置すると、給液口45に達した液体を流動促進突起46に沿って積極的に流下案内することができる。つまり、流動促進突起46は、液体が表面張力で液滴化しようとするのを妨げて、液体の下方への流動を促して連続した流れを形成する。したがって、液滴が断続的に回転基板4の上面に落下するのを防いで、液体を安定した状態で回転基板4へ連続して供給でき、回転基板4の上面における液体の量を安定化できる。
【0032】
最外周の衝突壁列56の周囲に臨む支持ベース32の上面に、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片70を設けると、最外周の衝突壁列56の液体通路57を通って径方向外側へ跳ね飛ばされたミストを、本体ケース1の外へ確実に送出できる。
【0033】
翼片70が、支持ベース32の回転方向側へ向かって下り傾斜する翼面71を備えると、翼面71に沿う上向きの空気流をスムーズに形成でき、ミストを効率良く送出することができる。
【0034】
翼片70の回転領域の外周面を囲む導風筒72を設けると、発生する気流を確実に上向きにして、ミストを上方へ送出することができる。
【0035】
翼片70の翼面71に臨む支持ベース32に、空気導入用の通気口73を上下貫通状に形成すると、翼片70に対して下方から空気を供給して、ミストを送出するための上向きの空気流をスムーズに形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図2】ミスト発生装置の概略構造を示す縦断側面図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す図である。
【図5】回転基板の平面図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】図6におけるC−C線断面図である。
【図8】回転基板の製造法の概略を示す断面図である。
【図9】図1におけるA−A線断面図である。
【図10】図4におけるB−B線断面図である。
【図11】モーターの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】ミスト発生装置の使用例を示す説明図である。
【図13】本発明の別実施例に係る回転基板の衝突壁の平面図である。
【図14】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図15】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図16】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図17】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の要部の縦断側面図である。
【図18】図17の一部を拡大して示す図である。
【図19】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【図20】本発明の別実施例に係るミスト発生装置の縦断側面図である。
【図21】本発明の別実施例に係る回転基板の衝突壁の平面図である。
【図22】本発明の別実施例に係る回転基板の衝突壁の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施例1) 図1ないし図12は本発明に係るミスト発生装置の実施例を示す。図2において符号1は本体ケース、符号2は本体ケース1に対して着脱されるキャップである。本体ケース1の内部には、メインモーター(モーター)3で回転駆動される円盤状の回転基板4と、ミスト生成用の水(液体)を収容するタンク5と、タンク5に収容した水を回転基板4に送給する液体送給手段などが配置してある。メインモーター3は、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8をオン操作することにより起動する。符号9は電池、符号10はミスト発生装置の制御部である。電池9は、メインモーター3および制御部10と、後述するポンプモーター26に電力を供給する。
【0038】
回転基板4は、メインモーター3で回転駆動されることにより、液体送給手段から送給された水を跳ね飛ばして微細ミストを生成するが、その詳細については後述する。本体ケース1の上部には、回転基板4で生成した微細ミストが周囲に飛散するのを防ぐフード14と、フード14で案内された微細ミストを含む空気流を斜め上向きに変向して送出するノズル15とが設けてある。フード14は、後述する翼片70で発生された空気流を案内する導風筒体を兼ねており、その内部の下半側に回転基板4が配置してある。回転基板4の上面中央に臨むフード14の内面には、後述する水の吐出通路25を支持する円筒状の支持壁16と、同壁16を支持する4個の支持リブ17とが設けてある。支持壁16と支持リブ17により支持体が構成され、両者16・17(支持体)はフード14と一体に成形してある。支持リブ17はフード14から支持壁16に向けて延出した断面逆三角形状のリブからなる。支持体17は、1個でもよいが、使用者の指の回転基板4への接触を防止するため、少なくとも2個以上設けることが好ましい。つまり、吐出通路25を支持する支持体は、指の進入を阻止する阻止体として機能する。支持体はフード14に対して別体で構成されていてもよい。
【0039】
タンク5は、本体ケース1の下部の装填部20に対して着脱自在に装着してあり、その上部中央に水の出入口21が開口してある。符号22はシールリングである。タンク5の満水時の水量は2mlである。液体送給手段は、出入口21の上方に配置された送液ポンプ23と、送液ポンプ23を駆動するポンプモーター26と、送液ポンプ23の吸込口からタンク5の内底に向かって伸びる吸込通路24と、送液ポンプ23の吐出口と回転基板4との間に配置される吐出通路25とで構成される。吐出通路25は、送液ポンプ23の吐出口からフード14の支持壁16にわたって配置される送液チューブ27と、送液チューブ27に連通して回転基板4に向かって下方へ伸びる給液管28とで構成される。送液ポンプ23は低圧仕様のギヤポンプからなり、毎秒0.01mlの水を吐出通路25へ送出する。
【0040】
図1に示すように、メインモーター3の上方には、メインモーター3で回転駆動される丸皿状の支持ベース32が配置してあり、支持ベース32の下面に設けた連結ボス33が、メインモーター3の出力軸34に連結してある。支持ベース32の内面中央に、回転基板4が固定してある。図5に示すように回転基板4は、円盤状のベース部36と、ベース部36の上面に立設された多数の衝突壁37とを備える。ベース部36の上面に水を送給して回転基板4を回転駆動させると、遠心力で水を跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて、水を微細化しミスト化することができる。符号38は、衝突壁37の上面を覆う天板である。天板38は、ベース部36と同径の円盤状に形成されて、各衝突壁37の上面で支持される。回転基板4および天板38は、ニッケルなどの金属を素材として形成してある。
【0041】
図3に示すように、天板38の中央には円形の開口43が形成してあり、開口43の周縁部にリング状の導入体44が装着してある。導入体44は樹脂成形品からなり、例えば天板38の開口43に対してアウトサート成形を行うことにより作製する。導入体44には、回転基板4に水を送給する給液管28が挿通してあり、給液管28の下端の給液口45が、僅かな隙間を介して回転基板4のベース部36と近接対向している。給液口45に臨むベース部36の上面中央には、円柱状の流動促進突起46が上向きに突設してあり、流動促進突起46の上端部は給液口45の開口面よりも上方に配置されている。流動促進突起46は、給液口45に達した水を積極的に流下案内して、ベース部36の上面に流れ込む連続的な水流を形成する。流動促進突起46と衝突壁37の突出寸法は同じである。
【0042】
導入体44の内周面には、下拡がりテーパー状の案内面47が形成してあり、案内面47の下端よりも下方に、給液管28の給液口45が配置されている。案内面47に付着した水は、外向きの遠心力を受けて、案内面47に沿って下向きに案内されて、回転基板4と天板38の間の空間に向かって跳ね飛ばされる。
【0043】
図4に示すように、回転基板4および天板38は、支持ベース32の内面に立設された係止突起51を介して支持ベース32に固定してある。詳しくは、回転基板4と天板38のそれぞれに、係止突起51に対応する貫通孔52・53を形成し、貫通孔52・53に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、両板4・38を支持ベース32に固定している。係止突起51は、支持ベース32の内面の3個所に設けてある(図9参照)。
【0044】
図5に示すように衝突壁37は、ベース部36の中央近傍を除く上面全体に設けてあり、ベース部36の周方向に所定間隔で列設されて、環状の衝突壁列56を構成している。衝突壁列56において隣接する衝突壁37の間に、遠心力で跳ね飛ばされる液体が通過する液体通路57が形成してある。衝突壁列56は、回転基板4の径方向へ少なくとも二重に設ければよいが、衝突壁列56を多重(三重以上)に設けると、水の微細化をより促進できて好ましい。本実施例では、衝突壁列56が十重に設けてあり、外側の衝突壁列56の衝突壁37の大半が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向している。
【0045】
具体的には、内側から1番目の衝突壁列56(第1衝突壁列)が、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してある。内側から2番目の衝突壁列56(第2衝突壁列)も、16個の衝突壁37および液体通路57で構成してあり、第2衝突壁列の各衝突壁37は、第1衝突壁列の液体通路57の出口に臨むように配置してある。これによれば、回転基板4の中央に送給されて遠心力で跳ね飛ばされた水が、第1衝突壁列あるいは第2衝突壁列を構成する衝突壁37に必ず衝突する。
【0046】
内から3番目の衝突壁列56(第3衝突壁列)は、第2衝突壁列よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。同様に、第3衝突壁列より外側の第4〜第10衝突壁列も、径方向内側に位置する衝突壁列56よりも多くの衝突壁37および液体通路57で構成してある。このように、外周側の衝突壁列56に多くの液体通路57を設けると、水の進行方向を多様化させて、回転基板4の面全体に広がるように水を分散させることができ、水の微細化を促進できる。
【0047】
なお、第1衝突壁列の各液体通路57の出口に臨ませる衝突壁37は、第2衝突壁列の衝突壁37である必要は無く、それより外周側の衝突壁列56の衝突壁37であってもよい。第1衝突壁列の各液体通路57の出口に、第2〜第10衝突壁列のいずれかの衝突壁37を臨ませておけば、水が最外周の衝突壁列56の外方へ飛び出るまでの間に、少なくとも一度は水を衝突壁37に衝突して微細化することができる。
【0048】
図6に示すように衝突壁37は、回転基板4の中心に臨む内面58と、回転基板4の径方向外側に臨む外面59と、内面58と外面59とを繋ぐ一対の側面60とを備え、外面59が内面58よりも長い略台形柱状に形成してある。遠心力で跳ね飛ばされた水は、内面58に衝突して粉砕される。内面58は、水の粉砕効果を向上するために、僅かに内方へ膨出する湾曲面で形成してある。この湾曲面は、該湾曲面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して対称である。また、内面58の曲率半径R2は、回転基板4の外周縁の曲率半径(回転基板4の半径)R1よりも十分に大きく設定してある。外面59と側面60は平坦面で形成してある。隣接する衝突壁37の側面60の間に形成される液体通路57の通路幅は、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成してある。
【0049】
液体通路57の出口の通路幅lは、衝突壁37の幅寸法(外面59の幅寸法)Lよりも小さく設定してある。また、回転基板4の径方向に係る衝突壁37の厚み寸法Tは、上記通路幅lよりも小さく設定してある。つまり、T<l<Lである。衝突壁37の厚み寸法Tを小さく設定すると、回転基板4の小径化を実現してミスト発生装置の全体を小型化できる。図7に示すように、衝突壁37の突出寸法Hは、ベース部36の厚み寸法H1、および、衝突壁37の厚み寸法Tよりも小さく設定してある。衝突壁37の突出寸法Hを小さく設定すると、回転基板4全体の上下寸法を小さくして、ミスト発生装置の小型化を実現することができる。
【0050】
図8に示すように回転基板4は、一次電鋳工程と二次電鋳工程とを経て作製される。一次電鋳工程においては、導電性の母型64の表面に、ベース部36の形状に対応する一次パターンレジストを形成した後、母型64を電鋳槽に入れて、一次パターンレジストで覆われていない母型64の表面に電着金属を電鋳して、ベース部36に相当する一次電鋳層65を形成する。次に、一次パターンレジストを除去して、一次電鋳層65の表面に研磨処理を施す。なお、一次パターンレジストは、例えば母型64の表面に感光性樹脂層を形成し、その表面にパターンフィルムを密着させたのち露光し、露光部を除去することにより形成される。後述する二次パターンレジスト66も同様の方法で形成できる。
【0051】
二次電鋳工程においては、次電鋳層65の表面に、衝突壁37および流動促進突起46の形状に対応する二次パターンレジスト66を形成した後、これを電鋳槽に入れて、二次パターンレジスト66で覆われていない一次電鋳層65の表面に電着金属を電鋳して、衝突壁37および流動促進突起46に相当する二次電鋳層67を形成する。次に、二次パターンレジスト66を除去して、二次電鋳層67の高さを揃える研磨処理を施すと、ベース部36、衝突壁37および流動促進突起46を一体に備える回転基板4が得られる。
【0052】
図1、図9および図10に示すように、最外周の衝突壁列56の周囲に臨む支持ベース32の上面には、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片70が設けてある。翼片70は、支持ベース32と一体に設けられる三角ブロック状の突起で構成されて、支持ベース32の内面周縁部の8個所に、支持ベース32の周方向に等間隔に配置してある。翼片70は、支持ベース32の回転方向(図9および図10の矢印方向)側へ向かって下り傾斜する翼面71を有しており、支持ベース32を矢印方向に回転させると、翼面71に沿う上向きの空気流が発生する。
【0053】
翼片70で発生させた気流を確実に上向きにして、ミストを上方へ送出するために、支持ベース32の周縁部に、翼片70の回転領域の外周面を囲む導風筒72が上向きに立設してある。導風筒72の立設方向は、支持ベース32の回転軸方向に一致している。図4に示すように、導風筒72の高さ寸法(支持ベース32の内面から導風筒72の上端までの上下寸法)h1は、翼片70の上下方向の高さ寸法h2よりも大きく設定してある。また、導風筒72の高さ寸法h1は、翼片70の高さ寸法h1の2倍を超えない値に設定してある。つまり、h2<h1<2×h2である。このように、導風筒72の高さ寸法h1を、翼片70の高さ寸法h2よりも大きく設定し、さらに、該高さ寸法h2の2倍よりも小さく設定すると、支持ベース32の回転による軸ぶれが起こりにくく、かつ空気流を効率良く上方へ案内できる。
【0054】
各翼片70の回転方向下手側には、支持ベース32を上下に貫通する一対の通気口73が形成してある。一対の通気口73は、支持ベース32の径方向に並べて配置してあり、外側の通気口73は翼面71の下端に連通している。通気口73を設けることにより、翼片70に対して下方から空気を供給して、ミストを送出するための上向きの空気流をスムーズに形成できる。
【0055】
スイッチボタン8が操作されたときの、メインモーター3およびポンプモーター26の動作を、図11のタイミングチャートを用いて説明する。制御部10(図2参照)は、スイッチボタン8がオン操作されると、まずメインモーター3を起動し、それから所定時間が経過したのち、ポンプモーター26を起動する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を先行して起動し、送液ポンプ23よりも回転基板4を先に駆動させると、大径のミストが生成されるのを防止できる。
【0056】
一方、スイッチボタン8がオフ操作されると、制御部10は、まずポンプモーター26を停止し、それから所定時間が経過したのち、メインモーター3を停止する。このように、ポンプモーター26に対してメインモーター3を遅れて停止し、送液ポンプ23が停止した後に回転基板4を停止すると、送液ポンプ23から送給された水を、回転基板4上に残すことなくミスト化して放出できるので、回転基板4上に水が残留したまま放置されるのを解消できる。したがって、次にミスト発生装置を使用するときに、大径のミストが生成されるのを防止できる。
【0057】
以上のように構成したミスト発生装置は、例えば図12に示すように、顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給して、顔の肌面に潤いを与えるために使用することができる。ノズル15から送出されるミストの径は30〜50μmとごく小さいので、ミストが肌面に付着しても肌面が濡れることはない。また、雨粒が肌面に当たる場合のような衝撃や接触感を生じることもなく、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。
【0058】
超音波振動による微細化方式を採用した従来のミスト発生装置においては、液体の粘度が水よりも大きくなると、液体の微細化能力が著しく低下していた。これに対し、液体を遠心力で跳ね飛ばして衝突壁37に衝突させて微細化する本発明のミスト発生装置によれば、液体の粘度が比較的大きい場合にも、液体を効果的に微細化することができ、微細化できる液体の粘度の範囲を従来に比べて拡大できる。
【0059】
図13以下は、本発明に係るミスト発生装置の別実施例であるが、そこでは、上記実施例1と異なる内容を主に説明し、上記実施例1と同じ部材には同じ符号を付して、その説明を省略する。つまり、説明を省略している内容は、上記実施例1と同様の内容である。
【0060】
(実施例2) 図13のミスト発生装置は、衝突壁37の形態が上記実施例1のミスト発生装置と異なる。具体的には、外面59を内凹み状に形成して、外面59の両側に、側面60に向かって内周側から外周側へ傾斜する傾斜面81を形成した。側面60と傾斜面81に挟まれる角部の角度は、上記の実施例における側面60と外面59に挟まれる角部の角度よりも小さい。
【0061】
以上のように構成した衝突壁37によれば、液体通路57を側面60に沿って流れる水が、外面59の表面側に回り込むのを抑制できる。水が側面60から傾斜面81へ回り込むには、遠心力に逆らう必要があるためである。したがって、液体通路57の出口における水切りを良くして、液体通路57の出口に臨む衝突壁37に水を効率良く衝突させて、水の微細化を促進できる。さらに、回転方向逆側の傾斜面81で、衝突壁列の間を流れる気流を外向きに案内して、液体通路57の出口における水切りを良くするとともに、外面59の表面に液溜まりが生じるのを防止できる。なお、外面59の全体を、円弧状の内凹み面で構成することもでき、その場合にも上記と同様の作用効果を奏する。
【0062】
(実施例3) 図14のミスト発生装置は、導風筒72の外周面に複数のファンブレード83を設ける点が、上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導風筒72はファンボスを兼ねる。翼片70に加えてファンブレード83を設けることにより、より強い上向きの空気流を発生させて、生成したミストを確実に送出できる。
【0063】
(実施例4) 図15のミスト発生装置は、導入体44の形態が上記のミスト発生装置と異なる。ここでの導入体44は、回転基板4および天板38と同様に、係止突起51を介して支持ベース32に固定される。具体的には、導入体44の外周面に、天板38の上面に沿うフランジ85が一体に形成してあり、係止突起51に対応する貫通孔86がフランジ85に形成してある。回転基板4、天板38およびフランジ85の貫通孔52・53・86に挿通した係止突起51の上端を熱かしめすることにより、回転基板4、天板38および導入体44の三者が支持ベース32に固定してある。
【0064】
(実施例5) 図16のミスト発生装置は、天板38を樹脂で形成して、天板38と導入体44を一体に形成する点と、案内面47を下拡がりのベルマウス状に形成する点が、上記のミスト発生装置と異なる。
【0065】
(実施例6) 図17および図18のミスト発生装置は、上下に重ねた2枚の回転基板4A・4Bを備えており、上記のミスト発生装置の2倍の量のミストを生成することができる。下側の回転基板4Aは、上記のミスト発生装置における回転基板4と同一に形成してあり、上側の回転基板4Bは、中央に円形の通口88を有し、流動促進突起46が省略してあること以外は、上記回転基板4と同一に形成してある。下側の回転基板4Aの各衝突壁37の上面に、上側の回転基板4Bのベース部36が載置され、上側の回転基板4Bの各衝突壁37の上面に、天板38が載置してある。
【0066】
送液ポンプ23による水の送出量は、上記のミスト発生装置の2倍に設定してあり、給液管28は内外二重構造に形成してある。内側の給液管28Aは、上側の回転基板4Bの通口88を挿通し、給液管28Aの下端の給液口45Aが、上下の回転基板4A・4Bのベース部36の間に配置してある。外側の給液管28Bの下端の給液口45Bは、上側の回転基板4Bのベース部36と、導入体44の案内面47の下端との間に配置してある。給液口45Bは通口88よりも大径に形成してある。以上の構成によれば、内側の給液管28Aで下側の回転基板4Aに水を送給し、外側の給液管28Bで上側の回転基板4Bに水を送給できる。上下の回転基板4A・4Bに送給された水は、遠心力を受けて跳ね飛ばされて、衝突壁37に衝突して微細化される。
【0067】
(実施例7) 図19のミスト発生装置は、本体ケース1が上ケース1aと下ケース1bとで構成されて、全体として略球状に形成してある。本体ケース1の内部に、メインモーター3、回転基板4、タンク5、液体供給手段としての揚水軸90などが配置してある。下ケース1bの内面上部には、メインモーター3を支持する円盤状の支持壁91と、同壁91を支持する複数個の放射枠92とが配置してある。メインモーター3は、上下端のそれぞれに出力軸34A・34Bを備えた両軸型のモーターからなる。支持壁91の上面には、メインモーター3を覆う容器状のフード93が装着してある。
【0068】
メインモーター3の上側の出力軸34Aは、フード93を貫通して、フード93の上面側に配置された送風ファン94に連結してある。送風ファン94は、円筒状のファンボス95と、ファンボス95の外周面に設けられる複数のファンブレード96とを備える。送風ファン94が回転駆動すると、フード93の外周面および本体ケース1の内周面に沿う上向きの空気流が発生する。
【0069】
メインモーター3の下側の出力軸34Bは、支持壁91を貫通して、支持壁91の下面側に配置された揚水軸90に連結してある。揚水軸90は、頂点部分が下を向く円錐状に形成してある。下ケース1bの内部にはタンク5が組み付けてあり、タンク5内の水に揚水軸90が浸漬してある。タンク5の底部には、揚水軸90の下端部を僅かな隙間を介して囲む円錐形状の凹部98が形成してある。この凹部98を設けることにより、タンク5内の水の残量が少なくなったときにも、水を揚水軸90の外周面に接触させることができ、したがって、タンク5内の水を揚水軸90でほぼ残さず汲み上げることができる。タンク5の下面と下ケース1bの内底面との間には、電池9と回路基板99とが組み込んである。回路基板99には、本体ケース1の外面に設けたスイッチボタン8で切り換えられるスイッチや、電源回路を構成する電子部品などが実装してある。
【0070】
回転基板4は、下面側に衝突壁列56(衝突壁37・液体通路57)を備えており、揚水軸90の上端に組み付けられて、揚水軸90と一体に回転する。タンク5の上端には、回転基板4の周囲を囲む衝突筒100が、タンク5と一体に設けてある。衝突筒100は上拡がりのテーパー状に形成してあり、その内周面は凹凸面で構成してある。先述の放射枠92は、衝突筒100の上端面で支持される。上ケース1aの下部には、タンク5に水を供給するための給水口101が開設してあり、給水口101を塞ぐキャップ102が装着してある。給水口101から本体ケース1内に注がれた水は、放射枠92の間を通ってタンク5に流れ込む。
【0071】
上ケース1aの上面には、生成したミストを本体ケース1の外へ送出するための送出口104が開設してあり、この送出口104を囲むようにノズル15が装着してある。上ケース1aの上面と送風ファン94との間には、上面でボール105を支持する円盤状のボール支持体106が配置してある。ボール支持体106には、送風ファン94のファンボス95と対向する部分を除く全体に、生成したミストを通過させる多数の通口107が開設してある。
【0072】
ボール105は、送出口104の最狭部である上端縁よりもやや大径に形成してある。常態におけるボール105は、ボール支持体106の上面中央に設けた収容筒部108に収容されて、通口107から送出口104へ向かう空気流を妨げないが、ミスト発生装置の全体が下向きにされたときには、ボール105が送出口104に向かって落下して、想像線で示すように送出口104を塞いで、本体ケース1の内部の水が送出口104から漏れ出るのを防止する。
【0073】
スイッチボタン8をオン操作すると、メインモーター3が起動して、揚水軸90および回転基板4が回転駆動され、さらに送風ファン94が回転駆動される。揚水軸90が回転すると、遠心力の作用で、タンク5内の水が揚水軸90の外周面に沿って這い上がって、回転基板4のベース部36の下面に到る。回転基板4に到った水は、遠心力によって径方向外側へ跳ね飛ばされて、衝突壁37に何度か衝突して微細化され、次いで衝突筒100の凹凸面に衝突してさらに微細化される。こうして生成されたミストは、送風ファン94が形成する上向きの空気流に乗って、放射枠92の間、ボール支持体106の通口107、および送出口104を順に通過して、ノズル15の先端から送出される。
【0074】
(実施例8) 図20のミスト発生装置は、テーブルなどの水平面上に載置した状態で使用するものであって、有底状に形成した本体ケース1の内部が、区分壁111で上下に区画してある。区分壁111の上側のミスト生成室112には、ミストを生成するための回転基板4が収容してある。回転基板4は、天板38とともに、区分壁111の上面中央に配置した支持ベース32に固定してある。区分壁111の下側には、メインモーター3、タンク5、電池9、および制御部10などが収容してある。
【0075】
回転基板4で生成したミストは、図20に破線で示すように遠心方向に飛び出し、やがて上向きに変向して本体ケース1の上面の開口(出口)へ向かう。本体ケース1の開口(出口)に顔を近付けると、顔の全体にミストを送給して肌面に潤いを与えることができる。本体ケース1の開口(出口)には、実施例1のようなノズル15を設けることもできる。本実施例の送風手段は、実施例1と同様に回転基板4と一体的に構成した翼片70と、その翼片70を回転駆動するモーター3であるが、支持ベース32の下面に設けた連結ボス33が取り付けられるモーター3の回転軸の反対側に、回転軸を突出して、そこに軸流ファンを取り付けた構成のものであってもよい。また、別途、送風専用のモーターと、そのモーター軸に取り付けられる軸流ファンまたは遠心ファンとからなる送風手段であってもよい。
【0076】
遠心方向に飛び出したミストが途中で上向きに変向するのは、ミストの遠心方向の運動エネルギーが空気抵抗を受けて徐々に失われ、やがて支持ベース32の翼片70および導風筒72が形成する遠心方向と直交する上向きの空気流にベンチュリー効果によって吸い寄せられるためである。もちろん翼片70による空気流生起の際の吸引力による吸込み作用も多少影響している。このときミストは、上向きの空気流がない状態であれば遠心方向の運動エネルギーは完全には失われずに周囲壁(導風筒体)に衝突する。しかし実際は、周囲壁(導風筒体)に衝突せずに上向きの空気流の吸い込み力に負けて、或いは翼片70の吸引力に負けて遠心方向の向きからUターンする流れになり、最終的に直交方向の向きに変向される。ミスト生成室112の周囲を囲む本体ケース1の周囲壁は空気流やミストを案内する導風筒体を兼ねており、上記のミスト発生装置のフード14よりも大径に形成してある。以上のように、遠心方向に飛ばされたミストは、周囲壁(導風筒体)に衝突するよりも先に空気抵抗により遠心方向の運動エネルギーを失って、遠心方向と直交する空気流(図20の中央矢印)に吸い寄せられる。なお、遠心方向に飛ばされたミストは、周囲に行くにしたがい蒸発して徐々にその体積(質量)が小さくなり、速度低下が著しく早まる。上向きの空気流に吸い寄せられ運ばれたミストは、周囲壁(導風筒体)に案内されて、周囲壁(導風筒体)の開口(出口)から装置外部にミストが放出される。このとき周囲壁(導風筒体)は、空気流の流れに沿ってその流路が徐々に絞られているため、空気流の速度が上昇し空気流によって運ばれるミストが導風筒体(本体ケース1)に付着し難い。なお、実施例1のミスト発生装置においては、ミストがフード14の内面に一度は衝突してから上方へ送出される。
【0077】
上記構成のミスト発生装置は以下の態様で実施することができる。なお以下の態様では、実施例1におけるフード14を、実施例8の本体ケース1のように、遠心方向に飛び出したミストが他の構造物、ここではフード14に衝突する前に運動エネルギーが失われる回転基板4の外周位置に配置されるように設定されていれば、つまり大きな径のフード14を回転基板4の外周位置に設ければ、実施例8と同じような作用効果が得られるので、広く実施例1のフード14に適用した内容も含むものである。また、以下の態様の目的は、微細なミストを放出できるミスト発生装置を提供することにある。
ミスト発生装置は、
回転基板4の回転により遠心方向に飛び出したミストが、他の構造物に衝突する前に遠心方向の運動エネルギーが失われていくように成し、
回転基板4とともに駆動した送風手段(翼片70、メインモーター3)による空気流により、遠心方向の運動エネルギーが失われていったミストを運ぶことを特徴とする。
上記構成により、回転基板4から飛び出したミストは、運動エネルギーが失われていく過程で蒸発によって体積が小さくなる。したがって顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給しても、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。また、その小さくなったミストが送風手段による空気流により運ばれるので、送風手段の出力を小さくできる。すなわち、装置の省電力を可能にできる。或いは、翼片70などの起風体を小型化できる。
【0078】
ミスト発生装置は、
回転基板4の回転により遠心方向全周に飛び出したミストが、他の構造物に衝突する前に遠心方向の運動エネルギーが失われていくように成し、
回転基板4とともに駆動した送風手段(翼片70、メインモーター3)による空気流を、遠心方向と直交する方向に案内する導風筒体(フード14、本体ケース1)を設け、
導風筒体の中央部分に遠心方向と直交する方向に移動する空気流を生起し、その空気流によって、遠心方向の運動エネルギーが失われていったミストを運ぶことを特徴とする。
上記構成により、回転基板4から飛び出したミストは、運動エネルギーが失われていく過程で蒸発によって体積が小さくなる。その小さくなったミストが送風手段による空気流により運ばれるので、送風手段の出力を小さくできる。すなわち、装置の省電力を可能にできる。或いは、翼片70などの起風体を小型化できる。また、運動エネルギーを失う前の大きなミストを運べば、肌に対しての接触感が大きくなる。そこで中央部分に空気流を生起して、その中央部分の空気流によるベンチュリー効果によってミストを運ぶようにすれば、体積の小さい、すなわち質量の小さいミストを選択して吸い寄せることができるので、より一層小さい体積のミストを運ぶことができる。したがって顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給しても、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。
【0079】
回転基板4の回転により遠心方向にミストを生成するミスト発生装置であって、
遠心方向に飛び出したミストの遠心方向の運動エネルギーが失われていく回転基板4の外周位置に導風筒体(フード14、本体ケース1)を設け、
導風筒(フード14、本体ケース1)は、回転基板4とともに駆動した送風手段(翼片70、メインモーター3)による空気流を遠心方向と直交する方向に案内し、
導風筒体(フード14、本体ケース1)の中央部分に遠心方向と直交する方向に移動する空気流を生起し、その空気流によって、遠心方向の運動エネルギーが失われていったミストを導風筒体(フード14、本体ケース1)の出口から装置外部に放出することを特徴とする。
上記構成により、回転基板4から飛び出したミストは、運動エネルギーが失われていく過程で蒸発によって体積が小さくなる。その小さくなったミストが送風手段による空気流により運ばれるので、送風手段の出力を小さくできる。すなわち、装置の省電力を可能にできる。或いは、翼片70などの起風体を小型化できる。また、運動エネルギーを失う前の大きなミストを運べば、肌に対しての接触感が大きくなる。そこで中央部分に空気流を生起して、その中央部分の空気流によるベンチュリー効果によってミストを運ぶようにすれば、体積の小さい、すなわち質量の小さいミストを選択して吸い寄せることができるので、より一層小さい体積のミストを運ぶことができる。したがって顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給しても、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。
【0080】
回転基板4の回転により遠心方向にミストを生成するミスト発生装置であって、
遠心方向に飛び出したミストの遠心方向の運動エネルギーが失われていく回転基板4の外周位置に導風筒体(フード14、本体ケース1)を設け、
導風筒体(フード14、本体ケース1)は、回転基板4とともに駆動した送風手段(翼片70、メインモーター3)による空気流を遠心方向と直交する方向に案内し、
導風筒体(フード14、本体ケース1)は、空気流の流れに沿ってその流路が徐々に絞られており、
導風筒体(フード14、本体ケース1)の中央部分に遠心方向と直交する方向に移動する空気流を生起し、その空気流によって、遠心方向の運動エネルギーが失われていったミストを導風筒体(フード14、本体ケース1)の出口から装置外部に放出することを特徴とする。
上記構成により、回転基板4から飛び出したミストは、運動エネルギーが失われていく過程で蒸発によって体積が小さくなる。その小さくなったミストが送風手段による空気流により運ばれるので、送風手段の出力を小さくできる。すなわち、装置の省電力を可能にできる。或いは、翼片70などの起風体を小型化できる。また、運動エネルギーを失う前の大きなミストを運べば、肌に対しての接触感が大きくなる。そこで中央部分に空気流を生起して、その中央部分の空気流によるベンチュリー効果によってミストを運ぶようにすれば、体積の小さい、すなわち質量の小さいミストを選択して吸い寄せることができるので、より一層小さい体積のミストを運ぶことができる。したがって顔に向かって微細なミストを含む空気流を送給しても、恰も霧や霞が肌面に当たる場合のような、接触感を殆ど感じることのない柔和な感触となる。また、導風筒体(フード14、本体ケース1)は、空気流の流れに沿ってその流路が徐々に絞られているので、空気流の速度が上昇し空気流によって運ばれるミストが導風筒体(フード14、本体ケース1)に付着し難い。つまり装置外部に放出されるミストの量が減少し難い。
【0081】
(実施例9) 図21のミスト発生装置は、衝突壁37の形態が上記実施例1のミスト発生装置と異なる。具体的には、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60a(側面60)の出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60a(側面60)は、出口端E1を中心にして回転方向に所定角度α(角度αだけ)傾斜している。また、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60b(側面60)は、出口端E2を中心にして回転方向に所定角度β(角度βだけ)傾斜している。また、角度αと角度βの関係は、α<βとなるよう設定されている。これにより、両壁60a・60b(側面60・60)によって形成される液体通路57の通路幅が、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成される。このように、液体通路57を形成する両壁60a・60b(側面60・60)が非線対称の形態であっても、液体通路57の通路幅を、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成していれば、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体(微細化途中のミストを含む)を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60a(側面60)が仮想基準線M1に対して回転方向に角度αだけ傾斜していると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動を促進でき、実施例1に比べて、液体の流速を大きくすることができる。また、本実施例も、形状は異なるが、実施例2と同様に、外面59を内凹み状の円弧として、外面59の両側に、出口端E1・E2から衝突壁37の幅方向中央に向かって下り傾斜する傾斜面81を形成している。白抜き矢印は回転基板4の回転方向を示す。
【0082】
上記ミスト発生装置の構成は以下の態様で実施できる。
ミスト発生装置は、
モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを有し、
衝突壁37と液体通路57とを交互に配置した環状の衝突壁列56を、回転基板4の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設けているミスト発生装置であって、
各衝突壁列56は、外側の衝突壁列56の衝突壁37が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向する状態で配置されており、
液体通路57の通路幅が、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成されており、
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60a(側面60)の出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60a(側面60)は、回転方向側の壁60a(側面60)の出口端E1を中心にして回転方向に角度αだけ傾斜しており、
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60b(側面60)は、回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜しており、
角度αと角度βの関係は、α<βとなるよう設定されていることを特徴とする。
この構成により、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体(微細化途中のミストを含む)を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60a(側面60)が仮想基準線M1に対して回転方向に角度αだけ傾斜していると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動を促進でき、より一層、液体の流速を大きくすることができる。
【0083】
(実施例10) 図22のミスト発生装置は、衝突壁37の形態が上記実施例1のミスト発生装置と異なる。具体的には、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60a(側面60)の出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60a(側面60)は、その仮想基準線M1に沿って形成されている。また、回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60b(側面60)は、回転方向逆側の出口端E2を中心にして回転方向に所定角度β(角度βだけ)傾斜している。これにより、両壁60a・60b(側面60・60)によって形成される液体通路57の通路幅が、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成される。このように、液体通路57を形成する両壁60a・60b(側面60・60)が非線対称の形態であっても、液体通路57の通路幅を、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成していれば、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体(微細化途中のミストを含む)を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60a(側面60)が仮想基準線M1に沿って形成されていると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動が容易となり、実施例1に比べて、液体の流速を大きくすることができる。また、本実施例も、形状は異なるが、実施例2と同様に、外面59を内凹み状の円弧として、外面59の両側に、出口端E1・E2から衝突壁37の幅方向中央に向かって傾斜する傾斜面81を形成している。白抜き矢印は回転基板4の回転方向を示す。
【0084】
上記ミスト発生装置の構成は以下の態様で実施できる。
ミスト発生装置は、
モーター3で回転駆動される回転基板4と、ミスト生成用の液体を収容するタンク5と、タンク5に収容した液体を回転基板4に送給する液体送給手段とを有し、
衝突壁37と液体通路57とを交互に配置した環状の衝突壁列56を、回転基板4の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設けているミスト発生装置であって、
各衝突壁列56は、外側の衝突壁列56の衝突壁37が、内側の衝突壁列56の液体通路57と対向する状態で配置されており、
液体通路57の通路幅が、回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成されており、
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向側の壁60a(側面60)の出口端E1を通る仮想基準線M1を想定するとき、回転方向側の壁60a(側面60)は、仮想基準線M1に沿って形成されており、
回転基板4の回転中心と、液体通路57を形成する回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を通る仮想基準線M2を想定するとき、回転方向逆側の壁60b(側面60)は、回転方向逆側の壁60b(側面60)の出口端E2を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜していることを特徴とする。
この構成により、外周側へ向かって液体通路57を流れる液体(微細化途中のミストを含む)を集束して、流速を大きくすることができる。したがって、液体通路57を通過した液体が外周側の衝突壁37に衝突するときの粉砕効果を向上して、微細なミストを生成できる。さらに、液体通路57の、回転方向側の壁60a(側面60)が仮想基準線M1に沿って形成されていると、内外の衝突壁列56・56に存在する空気の液体通路57への移動が容易となり、液体の流速を大きくすることができる。
【0085】
その他、衝突壁列56は正円状に限られず、楕円状に形成することができる。回転基板4の上下両面に衝突壁列56を設けることができる。ポンプモーター26を省略して、メインモーター3を両軸型のモーターで構成し、送液ポンプ23をメインモーター3で駆動することができる。導風筒72を支持ベース32と別体に形成して、フード14や本体ケース1に固定することができる。給液管28の給液口45の位置は特に限定されないが、上記の実施例のように案内面47の下方に配置するか、あるいは周囲を案内面47に囲まれる導入体44の内側の領域に配置することが望ましい。
【0086】
衝突壁37の内面58を平坦面で構成することができる。このときの平坦面は、該平坦面の中心を通る回転基板4の径方向の直線に対して直交する。衝突壁37の側面60を湾曲面で形成することができる。この場合にも、液体通路57の通路幅を回転基板4の外周側へ向かって幅狭に形成することにより、外周側へ向かって液体通路57を流れる水を集束して、流速を大きくすることができる。内面58と側面60の区別を無くして、全体を1つの内凸状の円弧面で構成してもよい。
【0087】
回転基板4と天板38を支持ベース32に固定する際に、係止突起51の上端をかしめる固定構造に代えて、係止突起51にねじ込んだビスで回転基板4と天板38を締結固定する構造を採ることができる。なお、係止突起51の上端をかしめる方法と、係止突起51にビスをねじ込む方法とのいずれを採る場合でも、係止突起51は、支持ベース32の内面の少なくとも2個所に設けていれば足りる。
【0088】
本発明のミスト発生装置は、ヘアードライヤやヘアーアイロンなどの髪処理装置に搭載することができる。ミスト発生装置を搭載した髪処理装置によれば、髪に適度に水分を供給できるため、過乾燥を防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 本体ケース
3 メインモーター
4 回転基板
5 タンク
23 送液ポンプ
26 ポンプモーター
28 給液管
32 支持ベース
36 ベース部
37 衝突壁
38 天板
44 導入体
45 給液口
46 流動促進突起
47 案内面
51 係止突起
56 衝突壁列
57 液体通路
70 翼片
71 翼面
72 導風筒
73 通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター(3)で回転駆動される回転基板(4)と、ミスト生成用の液体を収容するタンク(5)と、タンク(5)に収容した液体を回転基板(4)に送給する液体送給手段とを有し、
衝突壁(37)と液体通路(57)とを交互に配置した環状の衝突壁列(56)を、回転基板(4)の回転中心を囲む状態で、径方向へ少なくとも二重に設けているミスト発生装置であって、
各衝突壁列(56)は、外側の衝突壁列(56)の衝突壁(37)が、内側の衝突壁列(56)の液体通路(57)と対向する状態で配置されており、
液体通路(57)の通路幅を、回転基板(4)の外周側へ向かって幅狭に形成していることを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
回転基板(4)の回転中心と、液体通路(57)を形成する回転方向側の壁(60a)の出口端(E1)を通る仮想基準線(M1)を想定するとき、回転方向側の壁(60a)は、この壁(60a)の出口端(E1)を中心にして回転方向に角度αだけ傾斜しており、
回転基板(4)の回転中心と、液体通路(57)を形成する回転方向逆側の壁(60b)の出口端(E2)を通る仮想基準線(M2)を想定するとき、回転方向逆側の壁(60b)は、この壁(60b)の出口端(E2)を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜しており、
角度αと角度βの関係は、α<βとなるよう設定されている請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
回転基板(4)の回転中心と、液体通路(57)を形成する回転方向上流側の壁(60a)の出口端(E1)を通る仮想基準線(M1)を想定するとき、回転方向側の壁(60a)は、仮想基準線(M1)に沿って形成されており、
回転基板(4)の回転中心と、液体通路(57)を形成する回転方向逆側の壁(60b)の出口端(E2)を通る仮想基準線(M2)を想定するとき、回転方向逆側の壁(60b)は、この壁(60b)の出口端(E2)を中心にして回転方向に角度βだけ傾斜している請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
衝突壁(37)の外面(59)のうち、少なくとも液体通路(57)に臨む周面部分を内凹み状に形成している請求項1から3のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。
【請求項5】
回転基板(4)の中心に臨む衝突壁(37)の内面(58)を、回転基板(4)の外周縁よりも曲率の小さい内凸状の湾曲面、もしくは平坦面で構成している請求項1から4のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。
【請求項6】
衝突壁列(56)が回転基板(4)の径方向へ多重に設けてあり、
径方向外側に位置する衝突壁列(56)の液体通路(57)の数を、径方向内側に位置する衝突壁列(56)の液体通路(57)の数よりも大きく設定している請求項1から5のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。
【請求項7】
回転基板(4)と、衝突壁(37)の上面を覆う天板(38)とが、それぞれ支持ベース(32)に突設した係止突起(51)に係合されて、回転基板(4)と天板(38)と支持ベース(32)との三者を同行回転可能に一体化している請求項1から6のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。
【請求項8】
天板(38)の中央にリング状の導入体(44)が設けられて、液体送給手段を構成する給液管(28)が導入体(44)に挿通されており、
導入体(44)の内面に、下拡がりテーパー状の案内面(47)を形成している請求項7に記載のミスト発生装置。
【請求項9】
給液管(28)の下端の給液口(45)を、案内面(47)と、回転基板(4)のベース部(36)との間の領域に配置している請求項8に記載のミスト発生装置。
【請求項10】
給液口(45)と対向する回転基板(4)の上面に流動促進突起(46)が設けられており、
流動促進突起(46)の上端部を給液口(45)の開口面よりも上方に配置している請求項8または9に記載のミスト発生装置。
【請求項11】
最外周の衝突壁列(56)の周囲に臨む支持ベース(32)の上面に、周辺の空気およびミストを強制的に送出する翼片(70)を設けている請求項7から10のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。
【請求項12】
翼片(70)が、支持ベース(32)の回転方向下手側へ向かって下り傾斜する翼面(71)を備えている請求項11に記載のミスト発生装置。
【請求項13】
支持ベース(32)に、翼片(70)の回転領域の外周面を囲む導風筒(72)を設けている請求項11または12に記載のミスト発生装置。
【請求項14】
翼片(70)の翼面(71)に臨む支持ベース(32)に、空気導入用の通気口(73)を上下貫通状に形成している請求項11から13のいずれかひとつに記載のミスト発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−9705(P2013−9705A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142494(P2011−142494)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】