説明

ミスト装置

【課題】 温まり、視界が良好で、息苦しさがない空間を、安全に生成するミスト装置を提供する。
【解決手段】 水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えたミスト装置であって、前記ミスト装置の外部から、前記ミスト装置内部へ外気を導入するための吸込み部と、前記水蒸気に外気を供給するための送風装置と、前記送風装置により導入された外気を加熱する加熱装置と、前記水蒸気生成装置により生成された水蒸気と、前記送風装置により供給された外気とを混合して混合気を生成する混合部と、前記混合部で生成された混合気を吐出する吐出部と、前記送風装置及び前記加熱装置及び前記水蒸気生成装置のいずれかを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、前記加熱装置と前記水蒸気生成装置を停止させ、その後に、前記送風装置を停止することを特徴とするミスト装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に水蒸気を空間内に供給し、ミスト空間とするミスト装置の制御方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、身体を芯まで効率よく温めて発汗を促進したり、血行を促進し、身体に良好に作用するサウナ装置がある。サウナ装置には、例えば、遠赤外線を利用した「ドライサウナ」などと呼ばれるサウナ装置や、水蒸気を用いた「スチームサウナ」などと呼ばれるサウナ装置がある。
【0003】
しかしながら、いわゆる「ドライサウナ」では、空間内(サウナ室内)の室温が例えば約100℃程度と高いため、身体に負担がかかるという問題がある。また、吸い込んだ空気によって胸が蒸せたり、呼吸が苦しく感じる場合もある。
【0004】
一方、いわゆる「スチームサウナ」では、約100℃程度の飽和水蒸気を空間に供給しており、湿度が高いため、「ドライサウナ」に比べ、45℃程度の低温でも、温まり、発汗作用が得られるが、室温における飽和水分量を超えた水分が、浮遊する液滴となり、この液滴を吸込むことにより、呼吸が苦しく感じる場合がある。また、この浮遊する液滴により、サウナ室内が白濁し、サウナ室内の視界が悪くなり、圧迫感からさらに呼吸が苦しく感じ、その他にも、テレビ、ビデオ等の映像も見えづらくなるという問題がある。
【0005】
このような課題に対して、室内に水蒸気を供給し、室外と連通する通気口から新鮮空気を取り入れ、さらに、室内の液滴化した水分を室内の加熱装置で再加熱する装置がある(特許文献1)。特許文献1(特許昭59−26307号公報)に記載された装置は、蒸気を供給し、室外と連通する通気口から新鮮空気を導入することで、息苦しさをなくし、さらに、液滴化した室内の水滴を、加熱装置で再加熱することで、液滴が再度気化し、白濁の無い見通しの良い視界を得ることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1(特許昭59−26307号公報)に記載された装置を運転すると、通気口から新鮮空気を取り入れる際、空気の量が少なく、使用者が高温の混合気に触れ、火傷のおそれがあった。特許文献1(特許昭59−26307号公報)に記載された装置は、この点において改善の余地がある。
【0007】
このような高温蒸気への接触による使用者の火傷の課題に対して、室外で生成された水蒸気を室内に取り入れ、送風装置にて室内の空気を混合して供給する装置がある(特許文献2)。特許文献2(特開平8−214275号公報)に記載された装置は、水蒸気を室内へ供給し、室内の空気を送風装置にて装置内へ取り入れ、水蒸気と混合させて供給することで、使用者が高温の水蒸気に触れて火傷することを防止することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2(特開平8−214275号公報)に記載された装置を運転すると、装置停止時に、水蒸気生成装置が停止する前に、送風装置が停止することで、高温の水蒸気が使用者に触れ、火傷するおそれがあった。特許文献2(特開平8−214275号公報)に記載された装置は、この点において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許昭59−26307号公報
【特許文献2】特開平8−214275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、温まり、視界が良好で、息苦しさがない空間を、安全に生成するミスト装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えたミスト装置であって、前記ミスト装置の外部から、前記ミスト装置内部へ外気を導入するための吸込み部と、前記水蒸気に外気を供給するための送風装置と、前記送風装置により導入された外気を加熱する加熱装置と、前記水蒸気生成装置により生成された水蒸気と、前記送風装置により供給された外気とを混合して混合気を生成する混合部と、前記混合部で生成された混合気を吐出する吐出部と、前記送風装置及び前記加熱装置及び前記水蒸気生成装置のいずれかを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、前記加熱装置と前記水蒸気生成装置を停止させ、その後に、前記送風装置を停止することを特徴とするミスト装置が提供される。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、前記水蒸気生成装置を停止させた後に前記加熱装置を停止させ、その後に、前記送風装置を停止することを特徴とする請求項1に記載のミスト装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、温まり、視界が良好で、息苦しさがないサウナ空間を安全に生成するミスト装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態にかかるミスト装置を例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかるミスト装置の、起動時の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図3】本実施形態にかかるミスト装置の、運転時の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
【図4】本実施形態にかかるミスト装置の、停止時の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。
【図5】本実施形態にかかるミスト装置の、運転時の動作の他の具体例を例示するフローチャート図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるミスト装置の、他の具体例を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えたミスト装置であって、前記ミスト装置の外部から、前記ミスト装置内部へ外気を導入するための吸込み部と、前記水蒸気に外気を供給するための送風装置と、前記送風装置により導入された外気を加熱する加熱装置と、前記水蒸気生成装置により生成された水蒸気と、前記送風装置により供給された外気とを混合して混合気を生成する混合部と、前記混合部で生成された混合気を吐出する吐出部と、前記送風装置及び前記加熱装置及び前記水蒸気生成装置のいずれかを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、前記加熱装置と前記水蒸気生成装置を停止させ、その後に、前記送風装置を停止することを特徴とするミスト装置である。
【0016】
このミスト装置によれば、水蒸気生成装置により生成された水蒸気と送風装置により送風された外気と、外気を加熱する加熱装置が配置され、装置の停止時に、加熱装置と水蒸気生成装置が停止した後、送風装置が停止することで、温まり、視界が良好で、息苦しさがない空間を安全に生成する装置を提供することができる。
【0017】
また、第2の発明は、前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、前記水蒸気生成装置を停止させた後に前記加熱装置を停止させ、その後に、前記送風装置を停止することを特徴とする請求項1に記載のミスト装置である。
【0018】
このミスト装置によれば、制御部は、ミスト装置の停止時に、水蒸気生成装置を停止した後、加熱装置を停止させ、その後、送風装置を停止することで、使用者の火傷を防止する安全な装置を供給することができ、かつ、流路内で結露した水蒸気を乾燥させてから装置が停止するため、流路内での細菌、カビの発生を抑制することができる装置を提供することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態にかかるミスト装置とミスト空間を例示する模式図である。図1は、ミストを生成するミスト生成装置100と使用者がサウナ入浴を行うミスト空間200とからなり、ミスト生成装置100は、ミスト生成装置100内部で生成したミストをミスト空間200に吹き出す吹出部300と、ミスト空間200から空気をミスト生成装置100内部へ供給する吸込み部400を備えている。ミスト生成装置100と、ミスト空間200とは、吹出部300と、吸込み部400を介して連通されている。なお、本明細書において「水蒸気」とは、気化した水をいうものとする。
【0021】
ミスト生成装置100は、給水源から供給された水を通水したり止水したりする給水弁102と、給水源から供給された水を水蒸気として生成する水蒸気生成装置104と、ミスト空間200内の空気をミスト生成装置100内へ供給し、ミスト生成装置100で加温加湿された空気を再度ミスト空間200へ供給する送風装置108と、送風装置108より供給された空気を加熱する加熱装置110と、水蒸気生成装置104より供給された水蒸気と加熱装置110により加熱された空気を混合する混合部112と、を有している。
【0022】
また、ミスト生成装置100は、混合部112からミスト空間へ供給される混合気の温度を検知する吹出温度検知部120と、ミスト空間200の温度を検知する空間温度検知部122と、ミスト空間200の湿度を検知する空間湿度検知部124と、吹出温度検知部120、空間温度検知部122および、空間湿度検知部124の検知結果に基づいて給水弁102と、水蒸気生成装置104と、加熱装置110と、送風装置108と、の動作を制御する制御部114と、をさらに有している。
【0023】
給水弁102と水蒸気生成装置104とは流路130aを介して接続されており、水蒸気生成装置104と混合部112とは流路130bを介して接続されている。そして、給水弁102と、水蒸気生成装置104と、混合部112と、は流路130a、130bを介してそれぞれ直列に接続されている。
【0024】
一方、吸込み部400と送風装置108とは、流路140aを介して接続されており、送風装置108と加熱装置110とは流路140bを介して接続されており、加熱装置110と混合部112とは、流路140cを介して接続されており、混合部112と吹出部300とは流路150を介して接続されている。そして、吸込み部400と、送風装置108と、加熱装置110と、混合部112と、吹出部300と、は、流路140a、140b、140cを介してそれぞれ直列に接続されている。
【0025】
水蒸気生成装置104は、電気あるいは燃料などにより水を加熱蒸発させ、水蒸気を生成する装置である。水蒸気生成装置104で加熱され生成された水蒸気は、流路130bを通って混合部112に供給される。
【0026】
給水弁102は、水蒸気生成装置104の内部に設けられた図示しない水量検知部の検知結果によって開閉されてもよい。図示しない水分量検知部の検知結果に基づいて給水弁102を開閉することで、確実に水蒸気生成装置104の内部の「空焚き」を防止できる。
【0027】
送風装置108は、ファンと、このファンを回転させる駆動モーターを有しており、ミスト空間200内の空気を、吸込み部400から、流路140aを介して送風装置108が吸込み、送風装置108から流路140bを通って、加熱装置110に供給する。加熱装置110は、電気、燃料、あるいは高温流体との熱交換により、空気を加熱する装置である。加熱装置110にて加熱された混合気は、流路140cを通って、混合部112へ供給される。
【0028】
水蒸気生成装置104にて生成された水蒸気は、通常、飽和蒸気圧以上は存在しない。飽和蒸気圧を超えた分は、液化し、液滴となり空間を浮遊する。これが、視界を白濁させる原因となり、また、呼吸の際、液滴の気道への吸着により、息苦しさを感じさせる原因となる。飽和蒸気圧は温度に依存し、温度が高いほど高くなる。水蒸気生成装置104から供給された水蒸気は、温度が低下すると、液滴を生じる。
【0029】
流路130bを通って供給された水蒸気と流路140cを通って供給された空気は、混合部112で混合され、加熱加湿された混合気となる。このとき、140cを通って供給された空気は、加熱装置110での加熱量が小さいと、混合部112にて、水蒸気の熱を空気が奪うことにより、混合気全体の温度が低下し、それに伴い、飽和水蒸気圧も低下する。このとき、混合気の水蒸気分圧が飽和水蒸気圧を越えると、結露を生じる。ここで生じた結露はミスト空間200へ供給され、ミスト空間の余計な水分として、省エネ、視界不良の原因となるが、制御部114にて加熱装置110の加熱量が混合部112にて結露を生じない量に制御しているので、混合部112では結露が生じない。混合部112で混合された、加熱された空気と水蒸気は、流路150を通ってミスト空間200へ供給される。
【0030】
また、吹出温度検知部120は、吹出部300に設けられている。そして、吹出温度検知部120の検知結果が例えば、約60℃以下となるように制御部114は水蒸気生成装置104の動作(出力)と加熱装置110の動作(出力)を制御する。約60℃以下とは人体に直接触れても安全な温度である。人体は60℃のお湯に3秒程度触れると火傷するが、本ミスト装置は、水蒸気と空気の混合気を供給するため、少なくとも3秒以上触れていても火傷の危険性は小さい。
【0031】
一方、空間温度検知部122は、ミスト空間200内にあって、吹出部300から遠隔した場所に設けられている。これは、ミスト装置運転中の吹出部300の近傍では、ミスト空間200に供給される混合気が、その供給量に関わらず、約60℃程度と高い温度に保たれており、ミスト空間200の温度を正確に検知できないおそれがあるためである。そして、空間温度検知部122の検知結果が例えば、37℃程度になるように、制御部114は、水蒸気生成装置104と加熱装置110の動作(出力)を制御する。
【0032】
また、空間湿度検知部124は、ミスト空間200内にあって、吹出部300から遠隔した場所に設けられている。これは、ミスト装置運転中の吹出部300の近傍では、ミスト空間200に供給される混合気が、その供給量に関わらず、約60℃程度と高い温度、かつ、湿度が高い状態に保たれており、ミスト空間200の湿度を正確に検知できないおそれがあるためである。そして、空間湿度検知部124の検知結果が相対湿度100%となるように、制御部114は、水蒸気生成装置104と加熱装置110の動作(出力)を制御する。
【0033】
ここで、制御部114は、水蒸気生成装置104が生成する水蒸気量と加熱装置110の加熱量を制御することによってミスト空間200の温度と湿度を制御できる。すなわち、制御部114は、ミスト空間200の温度が設定温度(例えば約37℃程度)よりも十分低い場合には、より多くの水蒸気量を生成するように水蒸気生成装置104の動作を制御し、さらにより多く加熱するよう加熱装置110の動作を制御する。一方、ミスト空間200の温度が設定温度に近づいた場合、あるいは設定温度と略同等になった場合には、より少ない水蒸気量を生成するように水蒸気生成装置104の動作を制御し、より加熱量が小さくなるように加熱装置110の動作を制御できる。
【0034】
また、制御部114は、混合部112にて相対湿度が所定湿度以下になるよう水蒸気生成装置104、加熱装置110の動作を制御する。制御部114は、混合部112の湿度が所定湿度以上であった場合には、水蒸気量を減らすように、水蒸気生成装置104の動作を制御し、さらにより多く加熱するよう加熱装置110の動作を制御する。混合部112にて、所定湿度以下とは最大でも、結露を生じる湿度以下である。
【0035】
送風装置108の風量は、ミスト空間200と、ミスト空間200の周辺状態によって決定する。ミスト空間200の大きさ、壁部材の種類、断熱材の有無、窓の有無、窓の大きさ、扉の形状、大きさや、ミスト空間200の外気温度、集合住宅か、戸建住宅かによって、ミスト空間200から外部への放熱の状態が変化する。放熱の状態が変化することで、ミスト空間200内での水蒸気の結露量が変化するので、結露量に合わせた送風装置108の風量の調整が必要である。放熱量が多い場合は、結露する水蒸気の量も多くなるため、風量をより多くすることで、混合気が循環する量を多くし、空間内で水蒸気が結露する前にミスト生成装置100内に空気を回収する。
【0036】
送風装置108の風量は、ミスト空間200によって、あらかじめ設定しておいてもよいし、ミスト生成装置100を運転中に、過去、例えば、5分間のミスト温度検知部122の検出値による温度上昇と、水蒸気生成装置104、加熱装置110の出力値を参照し、ミスト空間200の放熱量を求め、設定してもよい。
【0037】
空間で人間が安静にしている際、熱の収支は大きく3つの経路に分類できる。まず第一は、皮膚を介した空間と人体の熱の移動であり、その中には、さらに、皮膚と空気との対流熱伝達、皮膚から空間への蒸発、輻射の3様態が考えられる。
皮膚と空気との対流熱伝達は、流体内に生ずる境界層を通しての熱移動であって、物体の形状や流体の速度、密度など諸状態によって変化するものである。温風にて、皮膚を温める際、皮膚表面の空気の流速を大きくすることで、空気と、皮膚との境界層を薄くすることができ、同じ温度でも、流速が大きい方が、空気から皮膚への熱の移動量は大きくなる。ただし、風速を大きくしすぎると、人体にとって不快に感じるといった課題がある。
皮膚から空間への蒸発による熱移動とは、汗や、付着した水分等、皮膚表面から、液体が蒸発する際、気化熱により、皮膚表面から熱を奪うことである。空間の露点温度(温度を低下させていった際、結露が生じる温度)が、皮膚温よりも低い場合、蒸発により皮膚から空間へ熱が移動する。
輻射とは、空間を隔てた2つの物体の間に行われる熱移動で、中間に媒体を必要とせず、熱が移動する。
【0038】
第2の熱収支経路は、呼吸時の気道を介した空間との熱移動である。サウナのように、体温より温度が高い空気が、呼吸により、気道や肺胞内に取り入れられ、これらを加温する。このとき、湿度変化は、湿った気道を通ることで、飽和に近い状態まで加湿されて呼気として排出される。この過程で、対流および蒸発による熱移動が生じる。
【0039】
第3の熱収支経路は、代謝と呼ばれる、人体内部の熱産生である。人体と空間の熱の移動ではなく、人間が生命活動をする上で常に生成されている熱量であり、一般的な成人男性で安静にしている際でも、100W程度の熱を常に産生している。
【0040】
前記、人体の熱収支経路の中で、皮膚と空気との対流熱伝達は、温度、皮膚表面の風速以外にも、湿度の影響を大きく受ける、空間の露点温度(温度を低下させていった際、結露が生じる温度)が、皮膚温度以上の時、皮膚表面では、水分の凝縮が生じ、凝縮熱が発生し、人体へ熱が移動する。このときの移動量は、露点温度が高いほど大きくなる。すなわち、同じ空間温度の際、相対湿度100%にて、空間温度=露点温度となり、皮膚へ与える熱量がもっとも大きくなる。
【0041】
また、皮膚から空間への蒸発による熱移動についても、空間の露点温度が皮膚温度以上の際は、皮膚から空間への蒸発は生じることはなく、気化熱を奪うこともないため、人体から空間への熱の移動は生じない。
【0042】
さらに、第二の熱収支とした前記、呼吸時の気道を介した空間との熱移動に関しても、湿度の高い空気が気道に導入されることで、空気から気道への凝縮熱が生じ、空気から人体へ熱が移動する。この際も、露点温度が高い、つまり湿度が高いほど、移動する熱量が大きくなり、より人体が温まる。
【0043】
第三の熱収支とした前記、代謝については、湿度により代謝量が上がることはないが、湿度が高く、皮膚温度や、気道表面の温度よりも空間の露点温度が高い際には、蒸発による皮膚から空間への熱移動や、呼吸による気道から空間への熱移動がなくなるため、代謝による熱産生がすべて身体内部に留まることとなり、身体の温まりが高くなる。
【0044】
以上のことから、湿度が高いほど、身体へ与える熱量が大きくなり、また、身体から空間へ移動する熱量も小さくなる。空間の温度を上げれば、水の飽和蒸気圧も大きくなり、空間の水分量を大きくすることが可能になり、さらに身体へ与える熱量を大きくすることができるが、温度を上げると、身体にかかる負担が大きくなり、身体が楽でなくなる。したがって、温度は人体の核温である約37℃に保ち、相対湿度を100%まで上昇させることで、身体が楽で、温まるという両方の効果を得ることができる。
【0045】
ミスト空間200は例えば浴室やシャワーブースなどであり、そのミスト空間200には浴槽202や水栓装置204などが適宜設けられている。そして、使用者は水蒸気と加熱した空気によって温められたミスト空間200に入室し、その混合気に入浴することにより、ミスト空間200の温度(例えば約37℃程度)よりも高い体感温度を得ることができる。これは、水蒸気生成装置104が生成する水蒸気量と加熱装置110の加熱量を制御して、設定温度に保たれたミスト空間200に使用者が入室すると、使用者の肌の表面全体に且つ均一に水蒸気が凝縮することにより、その凝縮熱が全身に作用するためである。
【0046】
前述のように、送風装置108により、ミスト空間内200の空気をミスト装置100内に供給し、加熱装置110で加熱し、混合部112にて水蒸気と混合してからミスト空間内200に噴出すことで、ミスト空間200内に液滴が浮遊せず、透明な空間とすることができるとともに、吹出部300から供給する混合気の温度を人体が火傷しない温度まで低下させることができる。しかし、ミスト装置100の起動時は、ミスト空間200を短時間で入浴可能な温度にするため、水蒸気生成装置を早急に大出力で動作させることがあり、その際、送風装置108や、加熱装置110が動作する前に、水蒸気生成装置104を運転してしまうと、混合部112にて水蒸気と加熱された空気が混合される前に、ミスト空間200に水蒸気生成装置104で生成した水蒸気が、そのまま供給されることがある。この場合、ミスト空間200内にて入浴行為を行っている使用者に直接水蒸気が接触する可能性があり、火傷の危険があった。
【0047】
そこで、本実施形態にかかるミスト装置は、ミスト空間200内に直接水蒸気が供給されることを防止するように、制御部114にて、水蒸気生成装置104、送風装置108、加熱装置110の動作を制御できる。なお、本実施例においては、水蒸気生成装置104と送風装置108、加熱装置110の動作を、制御部114によって制御しているが、それぞれに制御部を設け、それらを連動させて制御しても良い。
【0048】
本実施形態においては、ミスト装置100の起動時に、まず送風装置108が起動し、ミスト装置100内に外気を導入した後、加熱装置110と水蒸気生成装置104が起動するよう制御部114が動作を制御する。送風装置108が加熱装置110と水蒸気生成装置104の動作の前に起動することで、加熱装置108が過加熱し、加熱装置108自身や、周りの機器の損傷を抑制することができ、また、高温の水蒸気が直接、ミスト空間200内に供給されることなく、使用者の火傷の負傷を抑制することができる。
【0049】
また、より好ましくは、ミスト装置100の起動時に、送風装置108が起動した後、加熱装置110が起動し、その後、水蒸気生成装置104が起動するよう制御部112が動作を制御する。送風装置108が起動し、ミスト装置100内に外気を導入した後、加熱装置110が起動し、その後、水蒸気生成装置104が起動するよう制御部112が動作を制御することで、高温の水蒸気が直接ミスト空間200へ供給されることを防止し、使用者への火傷などの傷害を防止することができるし、さらに、起動時に水蒸気生成装置104にて生成された水蒸気が混合部112へ供給される際には、外気は加熱装置108にて加温されているため、混合部112での結露を抑制することができ、混合部112と、その下流部での水蒸気の結露による水の無駄をなくすことができる。
【0050】
以下、本実施形態にかかるミスト装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
【0051】
図2は、本実施形態にかかるミスト装置の動作の具体例を例示するフローチャート図である。まず、ミスト装置100が運転を開始すると(ステップS010)、送風装置108が運転を開始する(ステップS020)。送風装置108は、DCモータを駆動源とするファンであり、回転数を検知することが可能である。所望の回転数に制御することで、ミスト装置100内に導入する空気と、ミスト装置からミスト空間200へ吹出す空気の風量を制御することができる。次に、DCモータの回転数を検知し、所望の回転数になっていることが確認されてから(ステップS030)、加熱装置110が運転を開始する(ステップS040)。吹出部300には、吹出す気体の温度を検知する吹出温度検知部120が設置されており、吹出温度検知部120の検出値と空間温度検知部122の検出値の差より、加熱手段110が正常に働いていることを確認し(ステップS050)、水蒸気生成装置104が運転を開始する(ステップS100)。ステップS50時、吹出温度検知部120の検出する温度は、送風装置108の送風量と加熱装置110の加熱量で決まる。例えば、空間温度20℃、送風装置108の風量が40m3/hである際、加熱装置110の加熱量が400Wであった際、吹出温度は、約50℃となる。流路150での放熱を考慮する必要があるが、空間温度20℃以下であった場合や、温度が50℃を大きく超えている場合は、正常に働いていないと判断する。
【0052】
このように、送風装置108が運転を開始した後、加熱装置110が運転を開始することで、加熱装置110が過加熱し、加熱装置110周りの部材を損傷したり、加熱装置110自身を損傷することを防止することができる。また、送風装置108が運転していることを確実に検知しているので、制御部114にて運転信号を出しても、送風装置108自体の故障や、他の外的要因で運転しなかった場合は、加熱装置110の運転を開始しないので、非常時においても、加熱装置110自身や、その周りの部材の損傷を防止することができる。
【0053】
加熱装置110の運転状態は、前述の吹出温度検知部120にて検知することが可能である。本実施例においては、空間温度検知部122は吹出部300より離れた位置にあるため、ミスト空間200内の温度、ひいてはミスト装置100内に導入される空気の温度に近い値となっている。この空間温度検知部122と吹出温度検知部120との差より、加熱装置110が運転しているかを判別する。すなわち、空間温度検知部122の検出温度よりも、吹出温度検知部122の温度の方が高い際は、加熱装置110が運転していると判定する。加熱装置110が運転していることを確認してから、水蒸気生成装置104の運転を開始することにより、前述のように、加熱装置110が運転している状態で送風装置108を運転しているので、水蒸気生成装置104にて生成された水蒸気を、直接、ミスト空間200に供給されることなく、送風装置108より供給される空気と混合部112にて確実に混合させることができる。そして、混合されて適度な温度まで低下した混合気をミスト空間200に供給することで、使用者が高温の水蒸気に触れることを防止し、火傷などの傷害を防止することができる。
【0054】
また、加熱装置110が運転を開始してから、水蒸気生成装置104が運転を開始するので、水蒸気生成装置104で生成された水蒸気は、加熱装置110により加熱された空気と混合部114で混合される。結露は、空気の飽和蒸気圧を越えた際に生じ、飽和蒸気圧は空気の温度が高いほど高い。したがって、加熱装置110により、外気の温度が上昇しているため、水蒸気生成装置108で生成された水蒸気を混合しても、混合部114とその下流の流路150や、吹出部300にて結露する量が少なくなり、余計な水分が生じず、省エネであるし、管路内に溜まった水分で流路が塞がれることによる水蒸気生成装置104への余分な圧力や、水分が溜まることがによる管路内でのカビの繁殖を抑制することができる。
【0055】
本実施例では、ステップS030において、送風装置108の運転確認をDCモータの回転数検出によりおこなったが、あらかじめ設定された時間が経過してから、加熱装置110の運転を開始してもよい。また、ステップS050において、空間温度検知部122の検出値と吹出温度検知部120の温度差で、加熱装置110の運転を確認し、水蒸気生成装置104の運転を開始したが、加熱装置110の運転を開始してから、あらかじめ設定された時間が経過した後、水蒸気生成装置104の運転を開始してもよい。
【0056】
図3は、図2以降の本実施形態にかかるミスト装置の動作の具体例を例示するフローチャート図である。
水蒸気生成装置108が運転を開始すると(ステップS100)、空間温度検知部122はミスト空間200の空間温度を測定する(ステップS102)。ここで、ミスト空間200の設定温度と測定温度との差により、制御部114が、水蒸気生成装置と加熱装置のトータル出力を決定する(ステップS104)。トータル出力の決定は、PID(比例積分微分)定数などの制御パラメータを用いることが望ましい。
【0057】
このとき、トータル出力とあらかじめ設定しておいた混合部112の所定湿度Hmaxより、水蒸気生成装置104の出力Wmaxを算出する。混合部112の湿度は、水蒸気生成装置104で生成される水蒸気量と、加熱装置110での加熱量、ミスト装置100内に導入する空気の湿度と、送風装置108の送風量により決定する。送風量はミスト空間200の大きさから、あらかじめ設定しておき、空気の湿度の仮定と、混合部112の設定湿度より、水蒸気量、加熱量の値が決まる。水蒸気量は水蒸気生成装置104の出力に比例し、加熱量は加熱装置110の出力に比例する。また、送風量は送風装置108の回転数によって決定する。混合部112での湿度が所定湿度より大きくなると、ミスト空間200の水分量が大きくなり、浮遊する液滴が生じることから、混合部112は所定湿度以下になる必要がある。ここで、混合部112が所定湿度以下になる水蒸気生成装置104の出力の最大値Wmaxが算出される(ステップS106)。このとき、外気の湿度の仮定は、混合部112にて結露が生じないようにするため、100%RHとすることが望ましい。
【0058】
次に、ミスト空間200の湿度を設定値にするための、水蒸気生成装置104、加熱装置110の出力を決定する。まず、ミスト空間湿度検知部124にて、ミスト空間内の湿度を測定する(ステップS108)。ミスト空間湿度検知部124の検出値により、ミスト空間200が相対湿度100%となるよう、水蒸気生成装置104の出力Whを制御部114が設定し、(ステップS110)、ステップS104にて決定したトータル出力と、ステップS110にて決定した水蒸気生成装置104の出力Whより、加熱装置110の出力Qhを制御部114が設定され(ステップS112)、混合部112の相対湿度Hhが算出される(ステップS114)。
【0059】
次に、ステップS114で算出された混合部112の相対湿度Hhと、ステップS106にて設定した所定湿度Hmaxを比較し、HhがHmax以下の際は(ステップS116:Hh≦Hmax)、水蒸気生成装置104の出力はWhと設定される(ステップS118)。逆に、ステップS114で算出された混合部112の相対湿度Hhが所定湿度Hmaxよりも大きい場合は(ステップS116:Hh>Hmax)、水蒸気生成装置104の出力はWmaxと設定される(ステップS120)。ミスト空間200の温湿度が設定値付近になった場合は、ミスト空間200で放熱が生じているため、混合部112の方が、ミスト空間200よりも温度が高く、Hhの方がHmaxよりも小さいが、送風装置108の送風量が小さく、空間湿度検知部124まで水蒸気が拡散せず、空間湿度検知部124が低い値を示した際や、ミスト空間200の温度が低温の状態から運転を開始した運転初期の空間湿度検知部124に水蒸気が到達する前にミスト空間200内で結露を起こし、水分量が大幅に減少した際には、HhがHmaxよりも大きくなる。このとき、水蒸気生成装置104の出力にWhを採用すると、ミスト空間200内の水分量が大きくなり、結露量が多く、浮遊する液滴が大量に生じ、視界が悪くなるおそれがある。
【0060】
続いて、水蒸気生成装置104の出力が決定し(ステップS118、ステップS120)、トータル出力も決定しているため(ステップS104)、加熱装置110の出力が決定し(ステップS122)、ミスト空間200内に混合気が供給される。(ステップS124)。
【0061】
次に、制御部114は、ミスト装置の運転を停止する指示が使用者からあったか否かを判断する(ステップS126)。ミスト装置の運転を停止する指示が使用者から無かった場合には(ステップS126:無)、再び空間温度検知部122はミスト空間200の空間温度を測定し(ステップS102)、以下前述した動作を繰り返し行う。
【0062】
これによれば、ミスト空間200を温度設定値(例えば37℃)、相対湿度設定値(100%)に維持することができ、身体が温まり、視界が良好で、息苦しくないミスト空間を生成可能である。
【0063】
ミスト装置の運転を停止する指示が使用者から有った場合には(ステップS126:有)、制御部114は、ミスト装置の運転停止処理を行う(ステップS300)。
【0064】
本実施形態においては、ミスト装置100の停止時に、まず水蒸気生成装置104と加熱装置110が停止し、ミスト空間200への水蒸気の供給と外気の加熱を停止した後、送風装置108が停止するよう制御部114が動作を制御する。水蒸気生成装置104と加熱装置110が停止した後、送風装置108が停止することで、加熱装置108が過加熱し、加熱装置108自身や、周りの機器の損傷を抑制することができ、また、高温の水蒸気が直接、ミスト空間200内に供給されることなく、使用者の火傷の負傷を抑制することができる。
【0065】
また、より好ましくは、ミスト装置100の停止時に、水蒸気生成装置104が停止した後、加熱装置110が停止し、その後、送風装置108が停止するよう制御部114が動作を制御する。水蒸気生成装置104が停止し、ミスト空間200への水蒸気の供給が停止した後、加熱装置110が停止し、その後、送風装置108が停止することで、高温の水蒸気が直接ミスト空間200へ供給されることを防止し、使用者への火傷などの傷害を防止することができるし、さらに、水蒸気生成装置104が停止した後も加熱装置110と送風装置104が動いているので、流路150内に結露した水蒸気を乾燥させ、細菌、カビの発生を抑制することができ、流路内の汚れや、ミスト空間200内の汚染を抑制することができる。
【0066】
図4は、本実施例にかかるミスト装置の運転停止指示後の動作を例示するフローチャートである。
ミスト装置の運転停止指示があった際、まず、水蒸気生成装置104の運転を停止する(ステップS310)。その後、水蒸気生成装置104の運転停止の確認を、吹出温度検知部120の検出値と空間温度検知部122の検出値との差から判断する(ステップS320)。水蒸気生成装置104が運転している場合、混合部112にて、加熱装置110で加熱された外気?と水蒸気生成装置104にて生成された水蒸気が混合されるため、送風装置108の送風量と加熱装置110での加熱量から算出される吹出温度よりも吹出温度検知部120の検出値は高くなる。前述のように一例として、空間温度20℃、送風量40m3/h、加熱量400Wの際、吹出温度は約50℃となる。この値よりも大きい場合、水蒸気生成装置104は運転していると判定する。
【0067】
水蒸気生成装置104の運転が停止したことを確認した後、加熱装置110の運転を停止する(ステップS330)。水蒸気生成装置104が停止した後、加熱装置110が停止することで、流路150内での水蒸気の結露を抑制することができる。また、加熱装置110を運転している際でも、外気温により、流路150内の水蒸気が結露する場合がある。流路150内に結露水がある状態で時間が経過すると、流路150内で細菌や、カビが発生し、汚れ、使用者への健康被害が生じるおそれがある。水蒸気生成装置104が停止した後も、加熱装置110が動作しているので、流路150内の結露水を乾燥させることができ、細菌、カビの発生を抑制し、汚れや、使用者への健康被害を防止することができる。
【0068】
加熱装置110が停止した後、吹出温度検知部120と空間温度検知部122の検出値の差より、加熱装置110の停止を確認する(ステップS340)。加熱装置110の運転が停止している場合、吹出し温度検知部120と空間温度検知部122の検出値の差はほぼ0となる。加熱装置110の運転停止が確認された場合、送風装置104の運転を停止する(ステップS350)。この時点で、ミスト装置100の運転が停止する(ステップS400)。
【0069】
水蒸気生成装置104の運転が停止した後、送風装置108の運転が停止することで、水蒸気生成装置104で生成された高温の水蒸気が直接、使用者に触れ、火傷する危険がなくなる。また、加熱装置110の運転が停止した後、送風装置108の運転が停止することで、加熱装置110の過加熱を抑制することができ、加熱装置110自身や、周りの機器の過熱による損傷を防ぐことができる。
【0070】
図5は、本実施形態にかかるミスト装置の動作の、起動時と停止時を除く、他の具体例を例示するフローチャート図である。
図3では、ステップS108において、ミスト空間湿度検知部124の検出値により、ミスト空間200が相対湿度100%となるよう、水蒸気生成装置104の出力を決定したが、図5においては、あらかじめ設定されたミスト空間200の情報と、想定されるミスト空間200の外気温度により、出力比を制御部にて演算し、決定する。
【0071】
ステップS104にてトータル出力を決定し、設定されたミスト空間200の大きさ、使用部材、窓の有無、扉の形状等の情報を参照する(ステップS208)。そして、過去5分間のミスト温度検知部122の検出値による温度上昇と、水蒸気生成装置104、加熱装置110の出力値を参照し、現在の外気温度を演算にて求める(ステップS209)。ステップS209にて求めた外気温度と、ミスト空間200の情報より、ミスト空間200の相対湿度が100%となる水蒸気生成装置104の出力Wh2を決定する(ステップS210)。
【0072】
これによれば、空間湿度検知部124を有することなく、ミスト空間200を温度設定値(例えば37℃)、相対湿度設定値(100%)に維持することができ、身体が温まり、視界が良好で、息苦しくないミスト空間を生成可能である。そして、その他の動作については、図3に表した具体例の動作と同様である。但し、ステップS209における判断基準である過去「5分間」およびミスト空間200の情報(大きさ、使用部材、窓の有無、扉の形状)は、これだけに限定されず、適宜設定変更することができる。
【0073】
なお、本具体例では、ステップS208、ステップS209において、ミスト空間200の情報、現在の外気温度を求め、水蒸気生成装置104の出力を決定したが、水蒸気生成装置104、加熱装置110の出力比をあらかじめ決めておいてもよい。水蒸気生成装置104と加熱装置110の出力比が一定であれば、ミスト空間200内に供給される混合気の加熱量に対する水分量が一定となる。ミスト空間200での温度低下と結露量が比例関係となるため、ミスト空間200の設定温度(例えば37℃)、設定湿度(相対湿度100%)近辺に制御可能である。
【0074】
以下、本発明の実施例について説明する。外気温度は25℃、外気湿度は60%とし、ミスト空間の設定温湿度を37℃ 100%とした。これを絶対湿度に換算すると、0.0411kg/kg−DAとなる。水蒸気生成装置104の出力を1.3kW(水蒸気生成量約1.7kg/h)、加熱装置110の出力0.2kW、送風装置108の送風量を40.4kg/hとすると、混合部112の温度は50.5℃、相対湿度は94%となり、吹出部300から供給された混合気が、ミスト空間200内の壁面や床などで結露し、空間の雰囲気下では、大量の結露を起こすことなく、ミスト空間200の温度は37℃±1℃、相対湿度100%(水分量換算で、0.0411kg/kg−DA±0.001kg/kg−DA)で維持することができ、相対湿度100%以上で、かつ、空間に浮遊する液滴の量が少ないことで、身体が楽で温まり、発汗し、視界が良好なミスト空間200を生成することができた。なお、kg/kg−DAは乾き空気1kgあたりに何kgの水分があるのかを示す指標である。
【0075】
ミスト空間の大きさは800×1600×2000mmで、ミスト空間の壁の材質は石膏ボードを芯材として、周りを鋼板でサンドしたものである。
【0076】
次に、図6に、本発明の他の実施形態にかかるミスト装置を例示する模式図を示す。
ミスト生成装置100の吸込み部420と送風装置108とは、流路145aを介して接続されており、送風装置108と加熱装置110とは流路145bを介して接続されており、加熱装置110と混合部112とは、流路145cを介して接続されており、混合部112と吹出部300とは流路150を介して接続されている。そして、吸込み部400と、送風装置108と、加熱装置110と、混合部112と、吹出部300と、は、流路145a、145b、145cを介してそれぞれ直列に接続されている。本実施例において、吸込み部420はミスト空間200の外部の空気を導入する。
【0077】
吸込み部420は、流路145aを介して送風装置108が装置外部の空気を吸込み、送風装置108から流路145bを通って、加熱装置110に供給する。加熱装置110にて加熱された空気は、流路145cを通って、混合部112へ供給される。 混合部112では、水蒸気生成装置104より生成された水蒸気と混合され、生成された混合気は、流路150を通ってミスト空間200へ供給される。
【0078】
吸込み部420がミスト空間200の外部の空気を吸込んでいることから、常に新鮮な空気がミスト空間200に供給され、さらに、混合部112で所定湿度以下になるように運転制御されているため、ミスト空間200は、温まり、発汗が大きく、視界が良好な空間となっている。ミスト装置100起動時は、図示しない流路145a内にある外気温度検知部430にて検知された温度と、吹出温度検知部120にて検知された温度との差より、加熱装置110が起動したことを検知した後、水蒸気生成装置104を起動させる。
より好ましくは、流路145c内にある図示しない加熱空気温度検知部440の検知温度と外気温度検知部430の検知温度との差から加熱装置の起動を検知し、水蒸気生成装置を起動させる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水蒸気生成部100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや吹出温度検知部120および空間温度検知部122、空間湿度検知部124の設置形態や設置場所、吹出部300や、吸込み部400、420の位置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0080】
また例えば、図3に表したステップS104および図5に表したステップS204における判断基準である設定過去時間「5分間」や、ミスト空間200の大きさ、壁部材の種類、断熱材の有無、窓の有無、窓の大きさ、扉の形状、大きさや、ミスト空間200の外気温度、躯体の状態、集合住宅か、戸建住宅等の状態については、これだけに限定されず、適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0081】
100 ミスト生成装置、 102 給水弁、 104 水蒸気生成装置、 108 送風装置 112 加熱装置、 114 制御部、 120 吹出温度検知部、 122 空間温度検知部、 130a、130b、130c 流路、 200 ミスト空間、 202 浴槽、 204 水栓装置、 300 吹出部、 400吸込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を生成する水蒸気生成装置を備えたミスト装置であって、
前記ミスト装置の外部から、前記ミスト装置内部へ外気を導入するための吸込み部と、
前記水蒸気に外気を供給するための送風装置と、
前記送風装置により導入された外気を加熱する加熱装置と、
前記水蒸気生成装置により生成された水蒸気と、前記送風装置により供給された外気とを混合して混合気を生成する混合部と、
前記混合部で生成された混合気を吐出する吐出部と、
前記送風装置及び前記加熱装置及び前記水蒸気生成装置のいずれかを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、
前記加熱装置と前記水蒸気生成装置を停止させ、
その後に、前記送風装置を停止する
ことを特徴とするミスト装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ミスト装置の停止時に、
前記水蒸気生成装置を停止させた後に前記加熱装置を停止させ、
その後に、前記送風装置を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載のミスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−220910(P2010−220910A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73164(P2009−73164)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】