説明

ミニチュアX線管冷却システム

ミニチュアX線管は、好ましくは、冷却液の流入および流出のための複数の小腔を有するカテーテルを用いて冷却される。流入は、同心円状の押出成形品カテーテル内の1つまたは複数の外側管腔を介して行なわれてもよく、この液体は、カテーテルの遠位端で、X線管のアノード端を越えて、X線管が配置された内側管腔を通過する近位側の流れに戻る。小孔を有することにより冷却液をアノードの表面上に基本的に均一に分散させる冷却剤分散ヘッドは、X線管のアノード端と係合し得る。流入する冷却液の温度および流量は、熱伝達を最適化しながら、高い圧力を必要とすることなく、小さな管腔を介して冷却剤を効率的に搬送するようにバランスがとられる。いくつかの実施形態では、アプリケータバルーン内において膨張液を冷却剤として用いており、この液体は活発に流されるか、あるいは簡易なシステムでは、静的な状態で用いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、腺管または他の小管腔等、人体内の特定部位の治療処置のためのミニチュアX線管に関し、特には、本発明は、冷却剤を搬送するために過度に大きなカテーテルを必要としない効率的な方法でそのようなミニチュアX線管を冷却することに関する。
【背景技術】
【0002】
人の治療処置のためのミニチュアまたは小型X線管は、米国特許第5,854,822号、同第5,621,780号および同第6,319,188号を始めとするいくつかの先行特許文献において論じられている。このような小型X線管は、体内の外科的開口部内での腫瘍の処置、該管を含むカテーテルを用いた血管内での処置および体内での他の放射線療法を対象としてきた。ミニチュアX線管の冷却は、特に体内の管腔内で用いられる場合には重要な問題である。従来における1つのアプローチは開ループ冷却システムであり、液体冷却剤(食塩溶液)がX線管のアノード端を通過した後、血液流に放出される。このような開放系を用いる場合、食塩溶液が43℃を超えて加熱されると、この加熱された食塩溶液によって、血液細胞を損なう可能性がある。さらに、血液への塩水の過剰な流入は有害であり得る。さらにまた、開ループ系は冷却液の滅菌性を保証するために特別な予防対策を必要とする。
【0003】
他のX線管冷却構成では、血液自体が冷却剤とて用いられてきた。これは、血液が熱いアノード(またはアノードに直に接する構造体)に直に接した場合、血液がほぼ確実に過熱され、細胞損傷が生じて血栓の形成を引き起こすため特に危険である。
【0004】
ミニチュアX線管を搬送するカテーテルのサイズを不要に大きくすることなく、該管を効果的、確実かつ効率的に冷却するミニチュアX線管冷却システム、特に閉ループ冷却システムが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような冷却システムを、血管または腺管等の体内の管腔にX線管を挿入するカテーテルの一部として提供する。
【0006】
ミニチュアX線管は、血管および人体の他の小腔に入るために十分に小型とすれば良く、冷却液の流入および流出のための複数の小腔を有するカテーテルを用いて冷却される。好ましくは、冷却液の流入は、同心円状の押出成形品カテーテル内の1つまたは複数の外側管腔を介して行なわれ、この液体は、カテーテルの遠位端で近位流動方向に戻り、X線管のアノード端を越えて、X線管と、それに取り付けられた柔軟なケーブルとが配置された内側管腔を通過する。
【0007】
1つの好適な形態では、カテーテルには、X線管のアノード端と係合し、アノードの遠位にある壁に一連の小孔を有することにより冷却液をアノードの表面上に基本的に均一に分散させる冷却剤分散ヘッドがある。内側および外側押出成形品の間の空間の外側環状部は、複数の流入管腔に分割されるため、カテーテルが急な湾曲部を通過し、1つの管腔がつぶれたとしてもなお、他の管腔が冷却液を搬送する。冷却液は、脱気することが好ましく、熱伝達を改善し、表面張力を低減するために界面活性剤を含んでもよい。
【0008】
流入する冷却液の温度およびその体積流量は、熱伝達を最適化しながら、非常に高い圧力を必要とすることなく非常に小さな管腔を介して冷却剤を効率的に搬送するようにバランスがとられる。好適な実施形態では、カテーテルの外側押出成形品は、低熱伝導性材料でできているため、冷却剤がX線管に向かって流れる際に、冷却剤の熱を絶縁して最小化する。
【0009】
アプリケータバルーンを膨張させるために用いられる液体による静的な冷却を用いるかまたはアプリケータ膨張液を流す他の冷却の実施形態は、特定の用途に有用である。これらの実施形態は、X線カテーテルのコストおよび複雑さを低減するとともに、冷却を改善することができる。
【0010】
アプリケータバルーンを満たして膨らませる液体は、X線源を冷却するために用いられる。塩水または他の液体は、静止させておくこともできるし、バルーンが適度な膨らみを維持するように圧力が制御された状態で流れるようにしておくこともできる。比較的に大量な液体がアプリケータを満たし、処置時間が比較的に短い用途では、X線源を冷却するために、液体の静的な充填が適当であり得る。これは、液体が許容温度を超えて加熱されない限り良好な効果がある。X線源上で液体を循環させるために対流を用いることができる。
【0011】
この静的なアプローチに対する改良は、アプリケータバルーンに内蔵される熱交換器を含む。これは、X線源またはアプリケータ膨張液のいずれとも接触しない移動する液体を用いて熱交換および熱除去を可能にする。
【0012】
非静的な実施形態では、なおもバルーン膨張液が冷却に用いられるが、膨張液は、アプリケータバルーンに送出され、アプリケータバルーンの膨らみを維持するために十分な差圧を維持しつつ取り除かれる。
【0013】
よって、カテーテル内に非常に小さなチャネルまたは管腔を用いてカテーテルの直径を非常に小さく保つ閉ループ冷却システムに、アノード上およびX線管上への冷却剤の均一な分散を保証し、熱伝達を最適化し、処理中に冷却剤が連続的に流れているか確認するために監視する効果的な各特徴を設け、静的冷却システムを特定な用途のための代替例として提供することにより、前述したミニチュアX線管のための冷却構成を改良することが本発明の目的の1つである。
【0014】
本発明のこれらおよび他の目的、利点および特徴は、添付の図面とともに、以下の好適な実施形態の説明を考慮することにより明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面中、図1は、切換可能なミニチュアX線管を含む遠位端14を有し、該X線管用のコントローラ16を備えたカテーテル12を介して体腔、腔管または管腔内でX線処置を行うシステム10を示す。好適な実施形態のカテーテル12は、血管、乳腺管および体内の他の小腔での使用のために十分に小径であり、約0.5mm〜4mmのオーダーの外径を有し得る。この装置10は、X線管が体内で放射線を照射した際に冷却する、ポンプおよび下記で説明する他の特徴を備えた冷却液リザーバ18を備えた冷却システムを含む。図示するように、冷却剤流入および流出もしくは還流管20および22は、リザーバ18と接続し、近位端24の近傍でカテーテル12の一部と接続する。コントローラ16からの高圧ケーブルがカテーテル12全体に延びており、好ましくは、図示するように、コントローラ16から間隔を置いた位置で冷却剤流入および流出20および22と結合する。好ましくは、26に連結器が備えられ、体内に入るカテーテルの作用部の滅菌および交換のために、カテーテル12のほぼ全長を近位端部から分離することができる。
【0016】
図2は、本発明の冷却システムでの蠕動ポンプ28の使用を模式的に示す。ここでは、図1に示すリザーバ18を、図示する構成要素と部分的に置き換えている。リザーバは冷却液充填バッグ30により提供され、蠕動ポンプ28は、ポンプのいずれの部分も液体自体に接触させることなく、通常の方法で冷却液を送り、汚染を防ぐ。流れは矢印32の方向に向いている。冷却剤は、このようにして、正圧を伴ってX線カテーテルの流入管腔に送り込まれる。
【0017】
図3は、カテーテルの遠位端14の断面を示す。この図面内には、X線管38のアノード端36が模式的に表されている。管38は、この冷却構成の好適な形態の内管または導管40により画定される内部空間内に位置する。これにより、X線管38を取り囲み、かつ図1に示すコントローラ16に繋がるケーブル44を該X線管の近位側のカテーテル12の全長に渡って取り囲む環状液体流動空間42が生じる。
【0018】
この実施形態では、図示するように、カテーテルの外管46が内管40を取り囲み、他の環状流動空間48を生じる。図示するように、外管46の遠位端50は閉じられており、この冷却構成では、冷却液は、流入方向において、1つまたは複数の外側環状管腔48内を流れ、外管46の終端で方向転換し、アノード36に対して近位方向に向かって戻り、内側および環状管腔42を通って冷却剤リザーバに戻る。
【0019】
また、本発明のこの形態のシステムでは、外導管または管46は低熱伝導性材料で形成される。冷却液は、アノードに向かう途中、外側環状管腔48内を流れており、この液体はアノードよりも冷たく、好ましくは、体温よりも冷たくなければならないため、この外管には絶縁が重要である。
【0020】
X線管のアノード端36は、アノード上の冷却液の流れおよび分散をより良好にするために、図示するようなドーム型または概ね円錐もしくは弾丸形状をしていることが有利である。これらの形状については、本発明の譲受人に譲渡された、2003年2月21日出願の同時係属中出願第10/371,401号においても論じられている。この同時係属中出願はまた、効率的な冷却のために、アノード端の表面全体に冷却液を分散させるために役立ついくつかの外側アノード端面の形状を記載している。
【0021】
図4は、流入および流出方向の両方において、多数の管腔を設ける好適な管構造を有するカテーテル12aの断面を示す。この形態のカテーテル構造では、共に押出成形品である外管46aおよび内管40aが近接して取り付けられ、これら2つの押出成形品間に環状空間を画定し、48a、48b、48cおよび48dに分割する。図示する形態では、外側押出成形品46aが基本的に単純な円筒に形成される一方、内側押出成形品40aは外側に隆起部54を有しており、内側押出成形品40aを外側押出成形品46a内に引き込む際には外側押出成形品46aの内壁と確実に係合する。これにより、内側押出成形品を外側押出成形品内の中心に位置させつつ、図示するように、カテーテルの外周回りに複数の管腔48a〜48dを画定する。これら複数の管腔は、所望であれば、それぞれ異なる目的に用いることができるが、好適な実施形態では、これらは全て、流入する冷却液をカテーテルの端部に向けて搬送するために用いられる。この構造により提供される重要な特徴は、カテーテルが一方の側で折れ曲がるかまたはねじれるまで曲げられたとしても流れを確保することである。よって、例えば、カテーテルが非常に急激な湾曲部を通過し、管腔48cでねじれが生じても、残りの管腔または少なくともそれらのいくつかが開いた状態を維持し、必要な冷却液を送達し続ける。なお、隆起部54は、(図示するような)内側押出成形品48aの外面上または外側押出成形品46aの内面上のいずれにも設けることができることは言うまでもない。これらは、所望であれば、交互に間隔を空けて配置されるように両面に設けることができるが、一方または他方の面に設けるだけで十分である。
【0022】
図4に示す構造の他の特徴は、X線管38と係合して中心に位置させる役割を果たす一連の内側突起部56である。これらの突起部56は種々の形状を取り得るが、管40aが押出成形品であるため、典型的には、これらは管40aの全長に渡って連続している。
【0023】
図5は、図4に示す冷却剤流動構成の変形例を示す。ここで、(キャップされた押出成形品とすればよい)外管46aは、基本的に、図3および図4に示すとおりであり、X線管38を内管40b内に示しているが、この実施形態では、図示するように、冷却剤送出ヘッドまたは「シャワーヘッド」58が押出成形品40bの端部に取り付けられている。環状流動空間または管腔48(図4に示すように分割されていてもいなくてもよい)を流れる液体冷却剤は、外管の閉じられた遠位端50で方向転換して冷却剤送出ヘッド58に入り、X線管のアノード端36の表面上に分散される。概ねカテーテルの長手方向に延びる一連の小孔60が、冷却剤分散ヘッド58内に設けられる。これらの小孔は、分散ヘッド58の後方に背圧を生じ、液体がこれらの孔から出る際に加速した流れをアノード端36上に流し、冷却剤還流空間61に流入させる。分散ヘッドの下流端62は、アノード端36の外部と同様の形状をしており、孔とアノード端36との間には間隔がある。これらの孔は、アノード端から離れており、孔径の概ね約3倍程度の間隔が空けられている(図5は厳密ではなく、一定の縮尺に対応していない)。好ましくは、冷却剤送出ヘッドまたは分散ヘッド58は、図示するように、アノード端の基部付近でX線管38を把持し、X線管を内側押出成形品40b内の中心に位置させる。
【0024】
図6および図7もまた、この「シャワーヘッド」または液体分散ヘッド58aをいく分異なった形態で示す。図6および図7では、分散ヘッド58aは壁64として示されており、該壁の遠位方向に孔60および遠位部65を有し、壁64の近位に近位部66を有する。遠位部65は、冷却液が(方向転換した後)図5に示す流動管腔48から流入するチャンバまたは領域70を形成し、孔60の下流側で冷却剤排出領域71を画定する。この遠位端上には、好ましくは、冷却管46aの端部と係合することにより、X線管およびシャワーヘッド58aを管内の適切な位置に保持して中心に配置することで冷却剤の分散を可能にする一連の中心位置調整プロング72が備えられる。図7は、中心位置調整突出部72および孔60を示す冷却剤分散ヘッド58aの端面図を示す。これらの図には比較的少数の孔60を示しているが、好ましくは、少なくとも3つ存在し、均一性のために必要であればさらに多く存在する。これらの孔は、上述した背圧を生じるために適切な抵抗を生成する大きさにする必要がある。
【0025】
図6および図7はまた、冷却剤分散ヘッド58aの近位端にあり、分散ヘッド58a内でX線管38と係合し、これを把持して中心に配置する中心位置調整タブまたはバンプ73を示す。好ましくは、小孔60の閉塞を防止するために、冷却液流路にフィルタが備えられる。このフィルタは、空間70(図6)内にあってもよく、カテーテルの外部および人体の外部にある流路の上流側にあってもよい。
【0026】
図5に戻り、図中に示すシャワーヘッド58の構成では、カテーテル12内でX線管38の長手方向における調整が可能である。冷却剤分散ヘッド58は、X線管38に確実に固定されるが、内側押出成形品40b内において摺動が可能である。内側押出成形品40bの内面は、「シャワーヘッド」58の表面と軋轢が比較的少なく、X線管38、それに取り付けられたケーブルおよび「シャワーヘッド」58を一体として摺動する機能を与える。この利点は、カテーテル自体を移動させることなく、処置の進行とともに、血管または他の管腔内の異なる位置にX線放射線を移動させることができる点である。これは、カテーテルの移動が組織に悪影響を与え得るかまたはカテーテルの位置制御に悪影響を与え得る場合に重要となり得る。
【0027】
図8および図9もまたこの特徴を示しており、これによって、処置中にX線管の位置を変えることができる。図8は、ケーブルおよびX線管を内側および外側押出成形品に対して後退させる手段を提供する後退ボックス76を示す。深度標識をカテーテルシャフト77に貼り付け、ユーザに見えるようにすることによって、患者の外部にある構造体78のところで深度を読み取ることができる。
【0028】
図9は、アプリケータ端の他の実施形態を詳細に示す。X線管38は、遠位端近傍に見える。好ましくは、ガイドワイヤ82を収容し追従する先端部80がアプリケータの端部に備えられる。この形態のアプリケータでは、アプリケータ端84が、その外面としてバルーン85を有する。このバルーンは適度な長さに伸び、カテーテル12aの長手方向に対して、所望どおりにX線源の位置を移動することができる。このアセンブリの使用時の直径は図中に示す86で小さくなるが、構造は上述したものと同様であり、内側および外側押出成形品により冷却液の流入および流出もしくは還流のための流動空間が画定され得る。X線管38の制御およびHVケーブルを44に示す。図10および図11は、それぞれ、図9の10−10線および11−11線に沿って図9に示す構造を見た場合の断面図である。図10では、冷却剤流動形態は、上述したものとは異なって示されており、図10に示す例では異なる4つの位置に流入管腔90を有する単一の押出成形品88を含む。流出は、破線で示す中央シャフト44を囲む空間または管腔92を通っており、これらの還流空間は、図示するように、押出成形品内に形成された凹部または溝にある。
【0029】
図10に示すように、この構成は、バルーン85が含まれるX線管38付近とは異なる。ここで、バルーン84は、アプリケータの外壁を形成するだけでなく、この領域において、バルーンと押出成形品98の外面との間に流入管腔96も形成する。この押出成形品98は、図示するように、X線源38の外面と確実に係合する内側に延びる隆起部99を有するように形成され得る。この流出管腔は、この領域では92aで示す。上記線源、すなわち、X線管38の下流では、状況が異なっており、流出管腔92aは、制御ケーブルシャフト44を取り囲み放射線源38よりも直径の小さい単一の空間と合流する。この還流または流出空間は、押出成形品98内の流出空間と近位押出成形品88内の流出チャネル92とが直に接続し密閉されるように、近位押出成形品88に固着される。このとき、すなわち、図9に示す位置86では、流入管腔90は封鎖されており、放射開口部がこの空間とバルーン85内の空間96とを連通させるために設けられる。
【0030】
1つの密閉方法では、押出成形品98は、流動空間92aが流動空間92に接続され、流入チャネル90から封鎖されるように、押出成形品88とつき合わせ結合される。バルーン85は、上記結合部付近から延びており、流入チャネル90と接続する。バルーン85の遠位部は、押出成形品98の壁に開けられた穴を介して流動空間92aと接続する。
【0031】
外部バルーン空間を流入チャネルとして用いても、アプリケータでバルーンを機能させることが可能である、すなわち、このバルーン85は、冷却剤をシステム中に送り出すために必要な圧力下で膨らみ、上記線源を体内の血管または管腔内の中心に位置させる。この目的のため、入力圧力は、バルーンのサイズ(典型的には、バルーンは小型になるにつれてより大きな圧力を必要とする)およびその用途により決定される。一般に、より大きな流動抵抗を流入チャネルに与えることにより、より大きな圧力を得ることができる。近位押出成形品88を介した流出圧力は、適切な機能および安全性のため、流入圧力の約1/3または1/4であり得る。
【0032】
図9の99にマーカーバンドを示す。これらは、X線透視検査において、処置箇所に対してX線源を位置づけするのを支援するX線不透性金属またはインクリングとすることができる。
【0033】
図12および図13は、X線源38を取り囲み、中心位置調整のための可膨張式バルーン機能を提供するアプリケータ押出成形品のさらなる実施形態の断面図を示す。図12では、カテーテルの遠位端において、押出成形品上に外部バルーンを付加する代わりに、図示するように、押出成形品自体に、薄い管腔壁100が複数の位置、好ましくは、少なくとも3箇所に中心位置調整のために形成される。冷却剤の流れが所望の圧力であるとき、薄壁100の下に画定された管腔102は、バルーン構造体として、より大きな流動空間を提供するために膨張する。各薄壁100の膨張時の形状は、図中において破線で示している。このように、カテーテル、特にアプリケータ端のサイズは、血管または他の体内管腔への挿入時に、流入冷却剤空間をほとんどまたは全く空けないことにより、小さく維持することができる。しかしながら、加圧下において冷却剤をカテーテル中に送り出す場合、図示するように、管腔102が全体的に膨張し、冷却剤を流入させるための適切な流動空間およびX線源38を血管または体内管腔内の中央に位置させるための適切な流動空間という2つの機能を果たす。
【0034】
上述した構造と同様に、冷却剤の流出または還流は、押出成形品101と放射線源38の外部との間(または該線源の近位では、HV/制御ケーブルの外部とこの押出成形品101の内部との間)に提供される。これは、図面に示すように、押出成形品101の内面上で半径方向内側に向かって延びる起伏または隆起部106により複数の還流流動空間104に分割される。これらは、放射線源38の外面と係合し、上記のように、線源38を中心位置に維持する。押出成形品101の最初をコンパクトにしたい場合は、還流管腔104にも図示するような薄い外壁108を持たせることができる。これにより、壁108が膨張することで、カテーテルおよびアプリケータの使用中に、還流流動管腔104が効率的な流動に適切なサイズに膨張する。管腔102の膨張と同様に、条件としての加圧下で管腔104を膨張させるようにすれば、アプリケータの初期の加圧されていない状態のサイズをより小さくすることが可能である。また、デバイスの挿入中に、アプリケータの管腔102および104に真空をかけることで、挿入中にアプリケータ/カテーテルのサイズをさらにコンパクトにしつつなお、動作中に冷却剤に対して十分な流動空間を提供することも可能である。
【0035】
アプリケータ押出成形品101の全径が約2mmのオーダーとなり得るため、この構造体および付随する薄壁を押し出す際には、特に破裂圧力に対して注意が必要である。
【0036】
図13は、冷却剤のための流入および流出管腔を提供するカテーテルのアプリケータ端の他の構成を示す。図11と同様に、外部バルーン94が押出成形品110を取り囲むように取り付けられる。しかしながら、この形態では、カテーテルのサイズを低減するために、遠位押出成形品110を図示するような形状にすることができる。なお、押出成形品100は円形ではないが、平坦であるかまたは図13の112に示すように、一連の位置、好ましくは、3または4以上の位置において内側に向かって溝が付けられることもある。これらの位置112は、押出成形品の内側に形成されたバンプまたは隆起部114と同じ角度位置にあり、これらの隆起部114は、上述した実施形態と同様に、放射線源38の外面と係合する。バルーン94は、遠位端において、押出成形品112の外部に固着され、近位端近傍では、図9と同様にして隣接する近位押出成形品に固着される。カテーテルが患者の血管または管腔に挿入されると、ユーザは、カテーテルの近位端において、冷却システムの吸入および排出口に真空をかける。これは、バルーン94を押出成形品110の外側に対してきつく張った状態に維持するだけでなく、流出/還流管腔116を内側に引きつけて、放射線源38と接するかまたはほぼ接する状態にすることで、カテーテルの遠位端におけるアプリケータのサイズを大きく低減させる。上記のように、冷却剤を加圧した状態で入れると、これにより、流入および流出両方の管腔が、必要な流動領域になる程度まで膨張する。
【0037】
それ自体が冷却液として機能する膨張液をシステムのアプリケータバルーンが有する本発明のさらなる実施形態を図14〜図16に示す。これらの図面はカテーテル12の遠位端を示し、各ケースにおいて、X線源38が遠位端近傍においてカテーテルの中央ガイド120内に含まれており、位置づけのために用いられる可膨張式アプリケータバルーン122が放射線源38の領域内の中央ガイド120を取り囲んでいる。各ケースにおいて、アプリケータ122は膨張した状態で示されており、アプリケータ内の膨張液124は、X線管38用の冷却剤として、静的にまたは冷却液が流動する状態で用いられる。
【0038】
1つの実施形態を図14に示す。ここで、アプリケータに充填される塩水または他の液体124は、液体を移動させることなくX線源38を冷却する。中央ガイド120は126で示される穴を有し、液体が充填されたアプリケータバルーン124と中央ガイド120の内部の連通を可能にする。自然対流が確立され、冷却液体を循環させる。この実施形態の変形例が、破線の熱交換器128を加えたものとして示されている。熱交換は単に模式的に示されており、アプリケータバルーンの内部には一連の冷却コイルがあり、熱交換器管がバルーンの壁を貫通している。実際には、交換器128中に熱交換器冷却液を送り出し還流させる管腔がカテーテル内に含まれており、これらは上述した方法のうちの1つで形成することができる。図14のデバイスは、一般に、冷却システムの簡略化を可能にする短時間の処置用に設計されているが、熱交換器を熱を除く取り除くために使用することにより、デバイスの汎用性が増す。熱交換器を用いる場合、冷却液は、X線源またはアプリケータ液124のいずれにも接触しないため、滅菌冷液の必要性がなくなり、医療機器の安全設計をさらに複雑にすることがない。いずれの場合にも、圧力調整システムを用いることで、アプリケータバルーン内の圧力を、温度が上昇し、気体(蒸気)が発生し得る状態で所望の値に維持することができる。
【0039】
図14に示す静的冷却システムの変形例を図16に示す。ここでも、熱交換器が含まれるが、アプリケータ122の内側部分を通過し、アプリケータネックまたは中央ガイド120a上の吸入および排出口132および134に接続される薄壁チューブ130を備えている。冷却剤コントローラ18(図1および図2)は、熱交換を行うようにアプリケータ液からコントローラ液に熱を伝達する冷却液体を供給し、アプリケータから熱を除去することができる。図16は模式的であるが、熱交換器用冷却液の流路がカテーテルの中央アプリケータシャフトまたはネック120a内に含まれることを示している。このアプローチの利点は、液体冷却剤の流動抵抗が非常に小さく、必要な流量をアプリケータに送出するために必要な圧力が非常に低いことである。これもまた、滅菌冷却液の必要性がない。また、例示した低流量で用いられる冷却構成は、アプリケータバルーン内での発熱の速度を遅くし、バルーン内の液体の静的な冷却効果に部分的にまたは大きく依存する。このアプローチでは、管腔が小さいカテーテルに基づく冷却と比較して、より高性能なX線源をより単純な冷却システムで動作させることが可能である。
【0040】
図15は、アプリケータ膨張液124を冷却剤として利用する他のシステムを模式的に示すが、このケースでは、活動流冷却システムを示している。冷却剤/膨張液をアプリケータに送出しつつ、アプリケータ122の膨張を所望の状態に維持するために十分な差圧を維持することができる。アプリケーション内の内部ガイド(図示せず)は、流入する冷却液をX線源の向う側へと方向づけ、中央ガイド120上の都合の良い位置から液体を除去することができる。図15は、アプリケータバルーンへの液体注入口136、およびアプリケータ122から中央ガイドへ液体124を伝達する中央ガイド管の穴138を示す。還流方向における冷却液体の流出は中央ガイドを介する。なお、注入口136も中央/アプリケータネック120に組み込んでもよい。
【0041】
一例として、直径3cmのアプリケータバルーンを備えた胸部治療機器を想定する最小のアプリケータの場合、満充填時容量はおおよそ15cmである。5ワットのX線源を5分間動作させると、温度上昇はおおよそ25℃である。0℃近くまで冷却された液体については、最終的な温度は体温未満であり、10℃付近で使用開始される液体については、最終的な温度は体温に近い37℃になる。X線源を冷却する動的に流れる液体がなく、線源アノードの温度が非常に高くなり得る実施形態では、対流を用いることにより、ポンプまたは他の機械的な解決策に頼ることなく、冷却液を移動させることができる。X線源ガイド120の一部分は、ガイド管の壁から離れた位置にX線源を配置することができ、線源の近位にあるガイド管の開口部、および線源の遠位にある開口端を用いて、強い対流を発生させて、これを用いて線源上に新たな冷却液を連続して移動させることができる。
【0042】
アプリケータ内で温度が上昇するにつれて、アプリケータ内の圧力も上昇する。圧力の上昇とともに膨張する空気袋(図示せず)を用いて、上昇する圧力を補償することができる。これは、好ましくは、人体外においてバルーンと直列にある冷却剤経路に位置する。この設計は、アプリケータおよび空気袋の弾性膨張を考慮している。アプリケータバルーンが特定のサイズに達すると、圧力を上げるためのさらなる膨張量が制限される。付加的な圧力は空気袋内に入り込む。代替的なアプローチは、排液管および圧力が特定の値を超えたときに開く圧力逃し弁を有することである。この排液管は、カテーテルの中央ガイド120内の管腔を構成し得る。
【0043】
上述した好適な実施形態は、本発明の原理を例示するためのものであり、その範囲を限定するものではない。他の実施形態およびこれらの好適な実施形態の変形例は当業者には明白であり、請求の範囲において規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】発明によるシステムを示す模式図である。
【図2】本発明の1つの実施形態における冷却液体循環方法を示す簡易模式図である。
【図3】本発明の装置のカテーテルの遠位端を示す縦断面の模式図であり、好適な冷却剤循環構成を示す。
【図4】2つの同心円状押出成形品間に形成される流入および流出または還流冷却液流路を示す横断面図である。
【図5】カテーテルの遠位端を示す模式断面図であり、X線管のアノード端上に冷却剤を分散するための装置を示す。
【図6】図4のシステムの構成要素を示す縦断面図である。
【図7】図4のシステムの構成要素を示す横断面図である。
【図8】本発明の冷却システムの特定の実施形態を示すシステム模式図である。
【図9】1つの好適な特定の実施形態においてカテーテルの遠位端を模式的に示す縦断面図である。
【図10】放射線源/アプリケータ自体の近位に冷却液の流入および流出管腔を有するカテーテル用の押出成形品の実施形態を示す横断面図である。
【図11】放射線源/アプリケータの領域で冷却液の流入および流出が行なわれる他の押出成形品を示す横断面図である。
【図12】流入および流出/還流チャネルを設け、カテーテルの外部に膨らませることが可能なバルーン部を設けたさらなるカテーテル押出成形品を示す横断面図である。
【図13】流入および流出/還流チャネルを設け、カテーテルの外部に膨らませることが可能なバルーン部を設けたさらなるカテーテル押出成形品を示す横断面図である。
【図14】バルーンまたはアプリケータがX線源のための冷却液として、静的冷却剤または流動する冷却剤のいずれかを含む構成を模式的に示す。
【図15】バルーンまたはアプリケータがX線源のための冷却液として、静的冷却剤または流動する冷却剤のいずれかを含む構成を模式的に示す。
【図16】バルーンまたはアプリケータがX線源のための冷却液として、静的冷却剤または流動する冷却剤のいずれかを含む構成を模式的に示す。
【符号の説明】
【0045】
10 冷却システム
12 カテーテル
14 遠位端
16 コントローラ
18 冷却リザーバ
20、22 還流管
24 近位端
26 連結器
28 蠕動ポンプ
30 冷却液充填バッグ
36 アノード端
38 X線管
40 内管
42、48 冷却剤還流空間
46 外管



【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の管腔内の所望の位置にカテーテルで送達可能なミニチュアX線管用冷却システムであって、該冷却システムは、
液体冷却剤を搬送するための複数の管腔を有するカテーテルであって、該カテーテルの遠位端にX線管が含まれる、カテーテルと、
前記カテーテルの遠位端近傍にアノード端を有する前記X線管とを備え、
前記カテーテルは、前記アノードに対して遠位にある冷却剤送出ヘッドを含み、該カテーテルの少なくとも1つの流入管腔から冷却剤を受け取り、前記X線管のアノード端上に冷却液の分散流を送り出し、該送出ヘッドは、該流入管腔に流動的に接続された冷却剤入口端を有し、さらに該カテーテルの近位方向に向かって、該アノード端の向う側に該冷却液を送り出すための一連の孔を備えた壁を有し、該孔は、該アノード端の実質的に全域に該冷却液を散布して該アノードを効率的に冷却するように間隔を空けて分散して配置され、
前記冷却システムは、前記アノードを通過した冷却液を回収する前記X線管の周囲の冷却剤還流空間を備え、該還流空間は、該冷却液を前記カテーテルの近位端に向けて該カテーテル内を通過させ人体から還流させる該カテーテル内の流出管腔に接続される、冷却システム。
【請求項2】
前記カテーテルの近位端に接続され、前記X線管から還流する冷却液を受ける冷却剤リザーバタンク、および該カテーテルの流入管腔を介して冷却液を送り出すポンプをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記冷却剤送出ヘッドは概ね円筒形であり、前記X線管のアノード端と重なり、これを実質的に囲む近位軸端を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記冷却剤送出ヘッドは、前記壁の遠位にある遠位端および該壁の近位にある近位端の2つの軸端を有する略円筒体を含み、該近位端は、半径方向内側に向かって延び前記X線管の外部を把持し、該X線管を前記カテーテル内の中心に位置させるために効果的な中心位置調整タブを有し、該遠位端は、前記冷却剤入口空間を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記冷却液の経路において前記孔の上流側にフィルタをさらに備え、該フィルタは、前記冷却剤送出ヘッドの孔を塞ぎ得る粒子を除去する効果がある、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタは前記冷却剤送出ヘッド内に位置する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記冷却液は、該冷却液の表面張力を低減し、熱伝達を改善するために適切な界面活性剤を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記冷却液は気泡を除くために脱気される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カテーテルは、外側押出成形品および内側押出成形品を含む2つの同心円状の押出成形品を含み、該内側押出成形品は、その内部に、前記ミニチュアX線管の外面と係合するようなサイズで配置された半径方向内側に向かって延びる隆起部を有し、該内側および外側押出成形品の一方は、他方に対向する表面上に、該他方の押出成形品の表面と係合する隔離隆起部を有し、該内側および外側押出成形品の間に少なくとも1つの冷却剤流路を形成し、前記冷却剤送出ヘッドに向かう冷却液の流入のために該カテーテルの前記流入管腔として機能する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記外側押出成形品の内面と前記内側押出成形品の外面との間に延在する前記隆起部は、前記カテーテル全体に渡って実質的に連続しており、冷却液が前記冷却剤送出ヘッドに向かって流れる複数の液体流動管腔を形成し、このため、該複数の管腔は、1つの流入管腔がつぶれ比較的に急な湾曲が該カテーテル内に生じた場合に、他の流入管腔の少なくとも1つが連続した流れを確保するために利用可能であるように、該流入する冷却液の流れを該カテーテルの外周回りに分散させる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記外側押出成形品と内側押出成形品間の空間は、流入する冷却液のために、少なくとも3つの個別なチャネルを前記カテーテルの外周回りに形成する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記内側および外側押出成形品は、熱可塑性または熱硬化性材料で形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記冷却液は、約0℃〜約37℃の範囲の温度で前記カテーテルに流入する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記冷却剤は、毎分150cc未満の速度でカテーテルに流入し流出する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテルは、該カテーテルの前記X線管近傍の領域において柔軟で伸縮可能な壁部を含み、該伸縮可能な壁部は、その後方に、該カテーテルの前記流入管腔と連通し、該X線管を冷却するために冷却液が途中で通過するチャンバを有し、該カテーテルが人体内に配置されたときに、該カテーテルの壁の伸縮可能な部分を外側に向かって延ばし、前記体内管腔の組織と係合させることによって該X線管を中心に位置させるように、該冷却液を加圧することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記カテーテルを移動することなく、前記体内管腔内でX線管の位置を調節するために、該X線管は、該カテーテル内を軸方向において前後方向に平行移動することが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルから流れ出る冷却液の温度を監視し、前記X線管上の冷却剤の流れを検証するように配置された温度モニタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記カテーテルに流入する冷却液の温度を監視するように配置された温度モニタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
冷却剤流体が前記X線管に向かって流れる前記カテーテルの前記流入管腔は、該カテーテルの外側部分にあり、該流出管腔は、該カテーテルの内側部分にあり、該流入管腔は、該流入管腔に真空を適用しながら該カテーテルを埋め込み、該カテーテルの直径を縮め、冷却液が該カテーテル中に送出されるときに、該カテーテルを再膨張させることができる柔軟な外壁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
内側押出成形品を取り囲み、前記管腔間に環状空間を形成する外側押出成形品を含み、該空間は、その外周回りで、前記複数の流入管腔に分割される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記カテーテルの前記流入および流出管腔内に、前記冷却液の連続した流れを確認するための圧力モニタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記カテーテルの前記流入および流出管腔に接続され、冷却液を汚染することなく該カテーテル中に送出する蠕動ポンプを含む冷却液リザーバをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記流入管腔は、前記カテーテルの外側部分にあり、該カテーテルは、該流入管腔の外側境界を形成する外壁を有し、該外壁は、前記冷却剤が該カテーテルおよび人体を通過して前記X線管に向けて流れる際に、該冷却剤の加熱を最小にする絶縁体として機能するように低熱伝導性材料で形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
人体の管腔内の所望の位置にカテーテルで送達可能なミニチュアX線管用冷却システムであって、該冷却システムは、
液体冷却剤を搬送するための複数の管腔を有するカテーテルであって、該カテーテルの遠位端にX線管が含まれる、カテーテルと、
前記カテーテルの遠位端近傍にアノード端を有する前記X線管とを備え、
前記カテーテルの管腔のうちの少なくとも2つがほぼ同軸かつ同心円状であって、冷却液の流入管腔として機能し閉じられた遠位端を有する外側管腔と、冷却液の流出または還流管腔として機能する内側管腔とを含み、前記X線管は、該内側管腔に対して中心にほぼ同心円状で配置され、かつ該流入管腔からの冷却液が該X線管のアノード端を通過し、該カテーテルの近位方向において内側流出管腔に還流するように配置される、冷却システム。
【請求項24】
前記カテーテルの近位端に接続され、前記X線管から還流する冷却液を受ける冷却剤リザーバタンク、および該カテーテルの流入管腔を介して冷却液を送り出すポンプをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記冷却液は、該冷却液の表面張力を低減し、熱伝達を改善するために適切な界面活性剤を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記冷却液は気泡を除くために脱気される、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記カテーテルは、外側押出成形品および内側押出成形品を含む2つの同心円状の押出成形品を含み、該内側押出成形品は、その内部に、前記ミニチュアX線管の外面と係合するようなサイズで配置された半径方向内側に向かって延びる隆起部を有し、該内側および外側押出成形品の一方は、他方に対向する表面上に、該他方の押出成形品の表面と係合する隔離隆起部を有し、該内側および外側押出成形品の間に少なくとも1つの冷却剤流路を形成し、前記冷却剤送出ヘッドに向かう冷却液の流入のために該カテーテルの前記流入管腔として機能する、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記外側押出成形品の内面と前記内側押出成形品の外面との間に延在する前記隆起部は、前記カテーテル全体に渡って実質的に連続しており、冷却液が前記冷却剤送出ヘッドに向かって流れる複数の液体流動管腔を形成し、このため、該複数の管腔は、1つの流入管腔がつぶれる比較的に急な湾曲が該カテーテル内に生じた場合に、他の流入管腔の少なくとも1つが連続した流れを確保するために利用可能であるように、該流入する冷却液の流れを該カテーテルの外周回りに分散させる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記外側押出成形品と内側押出成形品間の空間は、流入する冷却液のために、4つの個別なチャネルを前記カテーテルの外周回りに形成する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記冷却液は、約0℃〜約37℃の範囲の温度で前記カテーテルに流入する、請求項23に記載の装置。
【請求項31】
前記冷却剤は、毎分150cc未満の速度でカテーテルに流入し流出する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記カテーテルは、該カテーテルの前記X線管近傍の領域において柔軟で伸縮可能な外壁部を含み、該伸縮可能な壁部は、その後方に、該カテーテルの前記流入管腔と連通し、該X線管を冷却するために冷却液が途中で通過するチャンバを有し、該カテーテルが人体内に配置されたときに、該カテーテルの壁の伸縮可能な部分を半径方向外側に向かって延ばし、前記体内管腔の組織と係合させることによって該X線管を概ね中心に位置させるように、該冷却液を加圧することができる、請求項23に記載の装置。
【請求項33】
前記カテーテルを人体に対して移動することなく、前記体内管腔内でX線管の位置を調節するために、該X線管は、該カテーテル内を軸方向において前後方向に平行移動することが可能である、請求項23に記載の装置。
【請求項34】
前記カテーテルから流れ出る冷却剤の温度を監視し、前記X線管上の冷却剤の流れを検証するように配置された温度モニタを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項35】
冷却剤流体が前記X線管に向かって流れる前記カテーテルの前記流入管腔は、該カテーテルの外側部分にあり、該流出管腔は、該カテーテルの内側部分にあり、該流入管腔は、該流入管腔に真空を適用しながら該カテーテルを埋め込み、該カテーテルの直径を縮め、冷却液が該カテーテル中に送出されるときに、該カテーテルを再膨張させることができる柔軟で部分的に折りたたみ可能な外壁を有する、請求項23に記載の装置。
【請求項36】
内側押出成形品を取り囲み、前記管腔間に環状空間を形成する外側押出成形品を含み、該空間は、その外周回りで、前記複数の流入管腔に分割される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記カテーテルの前記流入および流出管腔内に、前記冷却液の連続した流れを確認するための圧力モニタをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項38】
前記カテーテルの前記流入および流出管腔に接続され、冷却液を汚染することなく該カテーテル中に送出する蠕動ポンプを含む冷却液リザーバをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項39】
前記流入管腔は、前記カテーテルの外側部分にあり、該カテーテルは、該流入管腔の外側境界を形成する外壁を有し、該外壁は、前記冷却剤が該カテーテルおよび人体を通過して前記X線管に向けて流れる際に、該冷却剤の加熱を最小にする絶縁体として機能するように低熱伝導性材料で形成される、請求項23に記載の装置。
【請求項40】
前記カテーテルの遠位端近傍にあり、該カテーテルに固着され、該カテーテルおよびX線管の位置調整のために該カテーテルから外側に向かって膨らむことが可能な可膨張式アプリケータバルーンであって、前記アプリケータバルーンを冷却液で膨張させる前記外側管腔から該アプリケータバルーンまでの液体流路と、冷却液を該アプリケータバルーンから前記内側管腔に流入させ、該X線管のアノード端を通過させるための該アプリケータバルーンから該カテーテルを介して該内側管腔に達する還流流路と、を含むアプリケータバルーンをさらに備え、該アプリケータバルーン内で所望の圧力を維持しながら、冷却液が該アプリケータバルーン中を流れ、該X線管のアノード端を通過することを可能にする圧力調整手段を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項41】
人体の管腔内の所望の位置にカテーテルで送達可能なミニチュアX線管用冷却システムであって、
液体冷却剤を搬送するための少なくとも1つの管腔を有するカテーテルであって、該カテーテルの遠位端にX線管が含まれる、カテーテルと、
前記カテーテルの遠位端近傍にアノード端を有する前記X線管と、
前記カテーテルの遠位端近傍で該カテーテルに接続されたアプリケータバルーンであって、該バルーンは、液体によって膨張すると、該カテーテルから外部に膨らむことが可能である、バルーンと、
前記少なくとも1つの管腔を前記アプリケータバルーンの内部と接続する流路を含む前記カテーテルと、
前記アプリケータバルーンを膨張させる冷却液による前記X線管の静的冷却のために、膨張時のアプリケータバルーン内の液体と該X線管のアノード端との流体伝達を行う前記カテーテル内の液体伝達手段と、
を備える、システム。
【請求項42】
前記伝達手段は、使用時に前記アノードが加熱されると、液体冷却剤の対流を起こし、冷却液体が連続して該アノード端を通過するように構成される、請求項41に記載の冷却システム。
【請求項43】
前記アプリケータバルーン内の熱交換管であって、流入および流出導管に接続されることにより、液体冷却剤を熱交換管を介して循環させ、流動抵抗が少ない該アプリケータバルーン内の液体から熱を取り除くことができる、熱交換管をさらに備える、請求項41に記載の冷却システム。
【請求項44】
人体の管腔内の所望の位置にカテーテルで送達可能なミニチュアX線管用冷却システムであって、該冷却システムは、
液体冷却剤を搬送するための複数の管腔を有するカテーテルであって、該カテーテルの遠位端にX線管が含まれる、カテーテルと、
前記カテーテルの遠位端近傍にアノード端を有する前記X線管と、
前記カテーテルの遠位端近傍にあり、該カテーテルに固着され、該カテーテルおよびX線管の位置調整のために該カテーテルから外側に向かって膨らむことが可能であり、前記複数の管腔のうちの1つを含み且つ流入する冷却液を搬送する液体流路を含む可膨張式バルーンであって、該流路は、前記アプリケータバルーンと連通し、該アプリケータバルーンを冷却液で膨張させる、バルーンとを備え、
前記液体流路は、該アプリケータバルーンと繋がって該液体を前記X線管のアノード端に流し、前記複数の管腔のうちの別の1つを含み且つ還流方向において前記アノードに流れた液体を人体の外に搬送するように配置される流出チャネルを含み、
前記冷却システムは、前記アプリケータバルーン内で所望の圧力を維持しながら、冷却液が該アプリケータバルーン中を流れ、前記X線管のアノード端に流れることを可能にする圧力調整手段を含む、冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−525284(P2007−525284A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500869(P2007−500869)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/004634
【国際公開番号】WO2005/091810
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505314354)ゾフト マイクロテューブ インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】