説明

ミネラル活性水の製造方法

【課題】ミネラル活性水としての効用が、生成後従来のものより格段に長時間持続するミネラル活性水の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成して均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターを製造する工程と、水を前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通すことにより、超微粒子化すると共に前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターのミネラル成分を溶出させる工程と、前記水に溶出させたミネラル成分によって前記水のpH値及びORP値を低下させる工程とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル活性水の製造方法に関するものであり、より詳細には、水を特殊なミネラルセラミックスフィルターに通すことにより、その天然鉱石群に含まれる成分と作用させて活性化する、ミネラル活性水の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、水をミネラルセラミックスフィルターに通すことにより、その天然鉱石群に含まれる成分と作用させて活性化するための、種々のミネラル活性水の製造方法が提唱されている。これらの多くは、水を多数の多孔質セラミックスボールを充填した槽に通し、その鉱石のミネラル成分を溶出させることにより、酸化体質の改善に有効と考えられている、マイナスイオンの一種である活性水素を豊富に含むミネラル活性水を生成するものである。
【0003】
一般に、物質が酸素と結合することが酸化と呼ばれ、酸化物が酸素を失うことが還元と呼ばれており、それらの活性を表す尺度として、酸化還元電位(ORP)が用いられている(その単位はmV)。このORP値のプラス値が高いほど酸化力が大きく、そのマイナス値が大きいほど還元力が強くて活性水素量が豊富なものと評価される。一般の水道水のORP値は、+300mV〜+600mVであり、活性水のORP値は、−200mV以下である。
【0004】
しかるに、従来の活性水の生成装置によって作られる活性水の場合、その効用性及び効用持続時間の点において難点がある。即ち、従来の活性水の場合は、短時間の内にORP値が上昇してpH値が酸性方向に戻ってしまい、その活性水としての効用はせいぜい5時間程度しか持続せず、生成後短時間の内に使用しない限り、その効用を享受することができないという問題があるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−35472号公報
【特許文献2】特開2002−192171号公報
【特許文献3】特開2004−160386号公報
【特許文献4】特開2004−321982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の活性水の生成装置によって作られる活性水の場合、その効用持続性に難点があり、生成後短時間の内に使用しなければ、その効用を享受することができないという問題があった。本発明は、このような従来技術における問題を解決するためになされたもので、ミネラル活性水としての効用が、生成後従来のものより格段に長時間持続するミネラル活性水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは種々試験研究を重ねた結果、従来の活性水の生成装置によって作られる活性水の効用が短時間しか持続しないのは、水の活性化、換言すれば、クラスターの細分化が十分でないことに起因することを突き止め、この問題を解決するには、クラスターの細分化を十分に行う必要があるとの知見を得て本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成して均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターを製造する工程と、水を前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通して超微粒子化した状態にて前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターのミネラル成分を溶出させる工程と、前記水に溶出させたミネラル成分によって前記水のpH値及びORP値を低下させる工程とから成ることを特徴とするミネラル活性水の製造方法である。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの細孔分布測定による中央細孔直径は約2μmとなるようにされ、前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの気孔率は約53%となるようにされ、また、前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの遠赤外線放射率は、約81%となるようにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したとおりであり、本発明に係るミネラル活性水の製造方法においては、水を、1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成して得た均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通すことにより超微粒子化することができ、その状態で多孔質ミネラルセラミックスフィルターに接触させるためにミネラル成分が十分に溶出し、その溶出したミネラル成分の作用により、水のpH値及びORP値を長時間低く保つことが可能となり、以て、ミネラル活性水の効用を長時間持続させ得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る方法によって製造された多孔質ミネラルセラミックスフィルターについて行った、細孔分布測定試験の結果を示すグラフである。
【図2】本発明に係る方法によって製造された多孔質ミネラルセラミックスフィルターにおける、遠赤外線放射率の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明に係るミネラル活性水の製造方法は、1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成して均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターを製造する工程と、水を前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通すことにより、超微粒子化すると共に前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターのミネラル成分を溶出させる工程と、前記水に溶出させたミネラル成分によって前記水のpH値及びORP値を低下させる工程とから成ることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る方法においては、均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターを製造することが最も重要である。そのような多孔質ミネラルセラミックスフィルターは、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)等の鉱物を1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成することにより得られる。
【0014】
ここで、1280℃〜1300℃の温度で焼成することとしたのは、1280℃以下で焼成した場合は、細孔のサイズが不均一となり、また、1300℃以上で焼成した場合は、セラミックスが大きく収縮して細孔のサイズが小さくなり過ぎ、気孔率も低下するからである。また、13時間前後焼成することとしたのは、焼成時間がこれより短いと、セラミックスの強度が十分なものとなり得ないからであり、焼成時間がこれより長いと、セラミックスが大きく収縮して細孔のサイズが小さくなり過ぎ、気孔率も低下するからである。
【0015】
図1は、上記焼成条件で焼成した多孔質ミネラルセラミックスフィルターの場合に均一な細孔が形成されることを実証するために行った、水銀圧入法による細孔分布測定試験の結果を示す、log微分細孔容積分布図である。この分布図から明らかなように、本多孔質ミネラルセラミックスフィルターにおけるピークの幅は非常に狭いものとなっている。このことは、本多孔質ミネラルセラミックスフィルターには、均一な細孔が多数存在することを意味する。そして、このピークの幅が広くなればなるほど細孔は不均一ということになり、不均一の程度が大きくなると、ピークは現われなくなる。
【0016】
上記細孔分布測定試験結果の主なデータを以下に示す。
(1)全細孔容積 0.3057cm/g
(2)気孔率 53.25%
(3)中央細孔直径 21.81μm
【0017】
また、遠赤外線は水を活性化させる、即ち、クラスターを細分化させることが知られている。従って、遠赤外線放射率の高いフィルターを用いれば、クラスターの細分化が促進されるであろうと考えられる。
【0018】
図2のグラフは、本多孔質ミネラルセラミックスフィルターについての遠赤外線放射率の試験結果を示すものであり(放射率100%を最大とした場合の相対評価)、このグラフから明らかなように、本多孔質ミネラルセラミックスフィルターの場合は、幅広い波長帯(横軸が波長)において高い遠赤外線放射率を有しているので、この多孔質ミネラルセラミックスフィルターを用いれば、クラスターの細分化が促進されるであろうことは容易に理解できる。なお、上記遠赤外線放射率の試験は、日本電子株式会社製遠赤外線分光放射計(JIR−E500)を用い、ヒーター温度100℃で行ったもので、その結果は、被検資料の表面温度が89.5℃で、積分放射率が81.6%であった。
【0019】
水を多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通した場合、鉱石に含まれるミネラル成分(主にカルシウムやカリウム等の金属元素)が水に溶けて陽イオン(Ca、K)になり、この陽イオン群が、水のpH値及びORP値を変化させるように作用する。本発明に係る方法においては、水を上記のようにして製造した多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通すことにより超微粒子化し、その超微粒子化した状態で多孔質ミネラルセラミックスフィルターに接触させてミネラル成分を溶出させる。このように超微粒子化した水にミネラル成分を溶出させるため、そこには、水のpH値及びORP値を低下させるように作用するミネラル成分が十分に含有されることになる。
【0020】
上述したように、従来のミネラル活性水の場合は、一旦pHやORPが変化しても、時間の経過と共にそれらの数値が原水の数値に戻ってしまう傾向がある。これに対して本発明に係る方法により製造されたミネラル活性水の場合は、水は多孔質ミネラルセラミックスフィルターを通過することにより活性化(クラスターの細分化)された状態で鉱石と接触するために、その効果が長時間持続するのである。
【0021】
下記表は、このような本発明の効果を確認するために行った計量試験の結果を示すものである。この計量試験は、原水と、本発明に係る方法によって得た水の生成直後及び24時間後におけるpH値及びORP値を測定したものである。なお、この試験において、pH測定には上水試験法VI−1 9.2ガラス電極法を用い、ORP測定には白金電極法を用いた。
【0022】
(表1)

【0023】
上記表1から明らかなように、pH値は生成直後に9.1(21.6℃)であり、24時間後には8.6(20.0℃)であってその間に大きな変化はなく、ORP値は、生成直後に170mVであり、24時間後には140mVであって、やはりその間に大きな変化はない。このことから、本発明に係る方法においては、水の物性変化が急速に進行し、且つ、その変化した状態、換言すれば、そのミネラル活性水としての効用が長時間持続するものであることが確認された。
【0024】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1280℃〜1300℃の温度で13時間前後焼成して均一な細孔を多数有する多孔質ミネラルセラミックスフィルターを製造する工程と、
水を前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターに通すことにより、超微粒子化すると共に前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターのミネラル成分を溶出させる工程と、
前記水に溶出させたミネラル成分と前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターからの遠赤外線放射との相乗作用により、前記水のpH値及びORP値を低下させる工程
とから成ることを特徴とするミネラル活性水の製造方法。
【請求項2】
前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの細孔分布測定による中央細孔直径は、約2μmである、請求項1に記載のミネラル活性水の製造方法。
【請求項3】
前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの気孔率は、約53%である、請求項1又は2に記載のミネラル活性水の製造方法。
【請求項4】
前記多孔質ミネラルセラミックスフィルターの遠赤外線放射率は、約81%である、請求項1乃至3のいずれかに記載のミネラル活性水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−218322(P2011−218322A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92572(P2010−92572)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(501071499)
【出願人】(502306914)
【Fターム(参考)】