説明

ミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法

【課題】 生ごみ等の大量の有機物を極めて効果的に且つ効率よく処理することができるミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法の提供。
【解決手段】 枠体の内部にミミズと有機物を投入して有機物を処理する有機物処理器であって、前記枠体内部には、バーク堆肥を有する第1地層と、ミミズが入れられた第2地層と、バーク堆肥を有する第3地層が下方から順番に堆積されてなる処理部が配され、前記第1地層から前記第3地層に至るように設けられた有機物投入用の空間部が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法に関し、より詳しくは、生ごみ等の大量の有機物を極めて効果的に且つ効率よく処理することができるミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場や飲食店などから出る生ゴミ等の有機物は、産業廃棄物処理業者に委託して焼却処分したり、地中に埋設したりして処分する場合がほとんどであった。また、一般家庭から出る生ゴミも、地方自治体が焼却処分して処理を行っている場合がほとんどであった。
特に、上記するような焼却による処理を行う場合には、焼却温度によってはダイオキシンが発生する問題があり、地中に埋設した場合には有害物質が発生して土壌汚染を引き起こす等の問題があった。
【0003】
そのため、最近では環境への影響に配慮し、生ゴミ等の有機物を焼却したり地中に埋設したりするのではなく、資源としてリサイクルする種々の手法が提案されている。
例えば、消費者から排出された生ゴミ等の有機物を有機微生物やミミズを利用することにより発酵処理して堆肥化、飼料化し、農家、畜産、水産業の新たな食糧の生産に再利用する静脈リサイクルと、これらの堆肥、飼料を利用して製造された食糧資源を各消費者に流通、消費させる動脈リサイクルとからなる一般廃棄物リサイクル支援システム及び一般廃棄物リサイクル方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示される発明では、ミミズを利用した生物処理によるリサイクルシステムとすることにより、有機物のリサイクルのみならず、ミミズの増殖、拡販をも考慮したミミズを利用した生ゴミ処理方法及びシステムが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される発明では、ミミズが行う有機物及びミミズの糞の量を効率よく管理することを目的とした発明であるので、ミミズが行う有機物処理の能力を効果的に高める(ミミズが処理を行う有機物の処理量を増加させる)ことはできなかった。
【0005】
また、特許文献2に開示される発明では、ミミズとともに生ゴミを投入する箱体に通気孔を設けるとともに、箱体内部に上記通気孔に対応して通気層を敷設し、上記通気孔から通気層を介して外気を箱体内部に導くようにしたので、ミミズの育成不良と、ミミズの這い出しとをともに防止することができる。この発明を利用することによって、生ゴミの処理効率を高めることができるとともに、ミミズの糞、液肥を確実に回収することができる。
しかしながら、特許文献2に開示される生ごみ処理器では、通気孔及び通気層を設けなければならず、複雑な構成を必要としているため、大規模に行うことができない問題点を有していた。また、特許文献2に開示される発明は、ミミズが外部に逃げ出す心配のない通気層を設けたに過ぎず、ミミズの有機物処理能力を高めることはできなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−136200号公報
【特許文献2】特開2003−136046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、生ごみ等の大量の有機物を極めて効果的に且つ効率よく処理することができるとともに、ミミズが行う有機物処理能力を促進させることができるミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法を提供する 。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、枠体の内部にミミズと有機物を投入して有機物を処理する有機物処理器であって、前記枠体内部には、バーク堆肥を有する第1地層と、ミミズが入れられた第2地層と、バーク堆肥を有する第3地層が下方から順番に堆積されてなる処理部が配され、前記第1地層から前記第3地層に至るように設けられた有機物投入用の空間部が設けられていることを特徴とするミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項2記載の発明は、前記空間部は、下方から上方に向けて拡大するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項3記載の発明は、前記第3地層は、飲料抽出に使用された植物残渣が混入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項4記載の発明は、前記第3地層は、胞子植物の菌床が載置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項5記載の発明は、前記処理部は、乾燥して粉砕した消臭効果を有する植物が混入されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項6記載の発明は、前記処理部の底部には、木炭及び/又は竹炭が配置されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項7記載の発明は、前記枠体は、木材で成形されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
請求項8記載の発明は、前記処理部の表面を覆う被覆材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器を提供する。
【0009】
請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至8いずれかに記載されるミミズを利用した有機物処理器において、前記処理部が形成する空間部に有機物を投入し、投入された前記有機物が処理された後に、前記処理部を取り除き、前記処理部が取り除かれた前記枠体に、新たな処理部を形成することを特徴とするミミズを利用した有機物処理方法を提供する。
請求項10記載の発明は、取り除かれた前記処理部のミミズと土を分離することを特徴とする請求項9記載のミミズを利用した有機物処理方法を提供する。
これらの発明を提供することによって、上記課題を悉く解決する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によって、バーク堆肥を有する第1及び第3地層の間にミミズが配されるように処理部が形成されるので、ミミズが有機物を処理する処理能力を効果的に高めることができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項2記載の発明によって、空間部が下方から上方へ至るに従って拡大するように形成されているので、ミミズが有機物を処理する効率を高めることができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項3記載の発明によって、飲料抽出に使用される植物残渣を第3地層に混入するので、有機物の腐敗臭が生じた場合であっても効果的に消臭を行うことができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項4記載の発明によって、胞子植物の菌床がミミズにとって栄養価の高い飼料となるので、ミミズの処理能力を高めることができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項5記載の発明によって、消臭効果を有する植物を処理部に混入するので、有機物の腐敗臭が生じた場合であっても効果的に消臭を行うことができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項6記載の発明によって、枠体底部に木炭及び/又は竹炭を配置するので、有機物の腐敗臭が生じた場合であっても効果的に消臭を行うことができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項7記載の発明によって、枠体が木材で形成されるので、枠体内部の通気性及び排水性を極めて良好にすることができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
請求項8記載の発明によって、処理部に被覆材を設けるので、日よけ及び保湿により、ミミズの処理能力を高めることができるミミズを利用した有機物処理器を提供することができる。
【0011】
請求項9記載の発明によって、有機物を有害なダイオキシン等の物質を発生させることなく、安全に且つ確実に有機物を処理することができるミミズを利用した有機物処理方法を提供することができる。
また、有機物の処理が終了した処理部をそのまま取り出して、新しい処理部と入れ替えることが容易に行うことができるので、繰り返し利用することができるミミズを利用した有機物の処理方法を提供することができる。
請求項10記載の発明によって、処理部をミミズと土に分離して販売するので、増殖したミミズとミミズの糞である栄養価の高い土を販売することができるミミズを利用した有機物処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係るミミズを利用した有機物処理器(1)を図面を使用して説明する。
図1は本発明のミミズを利用した有機処理器を複数並設した状態を示す図であり、図2は図1に於けるA−A線断面図であり、図3は有機物を載置した状態を示す断面図である。
本発明に有機物処理器(1)は、畑や田んぼ等の土の上に設けられており、畑や田んぼ等の土の上に枠体(2)を載置することによって、ミミズの逃げ出しや処理された土が枠体(2)外部へ流出することを防止することができる。尚、この枠体(2)は、土の中に土台を設けることによって安定感を有するように設計されることが好ましい。
この枠体(2)の形状は、特に限定されるものではなく、使用者により適宜選択されるが、図1及び図2では、短手方向の幅(W1)と高さ(H)が、「W1:H=5:1」になるように示されている。この幅と高さの比率は、特に限定されるものではないが、「W1:H=4〜6:1」に設定されることが好ましい。
また、枠体(2)の長手方向に於ける長さは特に限定されず、使用者が適宜利用することのできるスペースに応じて設定することができる。
枠体(2)は、木材やコンクリートブロックにより形成することができるが、木材により形成されることが好ましい。このように木材により形成されることにより、枠体(2)内部と外気との通気性及び排水性を高めることができ、枠体(2)内部の通気性及び排水性が極めて良好となり、ミミズの成育条件を良好な状態に保つことが可能となるからである。
【0013】
枠体(2)には、ミミズが有機物を処理する処理部(4)が設けられる。
この処理部(4)は、図2で示される如く、下方から上方へ、第1地層(41)、第2地層(42)及び第3地層(43)がこの順番で堆積して形成されている。
第1地層(41)は、バーク堆肥により形成される土の層である。第1地層(41)にバーク堆肥を使用することによって、処理部(4)の保温性及び保湿性をミミズの育成に適した状態に保つことができる。このバーク堆肥は、市販されているものを利用することができる。尚、使用されるバーク堆肥は、木材等の樹皮を堆積し醗酵させたものである。
この第1地層(41)の高さ(h1)は、枠体(2)の高さ(H)に対して、約1/7〜1/5になるように設定されている。
【0014】
第2地層(42)は、ミミズを有する土の層である。この第2地層(42)に含まれるミミズの種類は、特に限定されるものではなく、シマミミズ(Eisenia fetida)やアカミミズ(Lumbricus rubellus)等を利用することができる。
尚、ミミズは、約10〜15cmの体長を有するミミズをこの第2地層(42)へ投入する。投入されたミミズは、処理部(4)内で成長するとともに繁殖を繰り返すことになる。
第2地層(42)の土は、特に限定されるものではないが、上記するようなバーク堆肥を使用することが好ましい。
この第2地層(42)の高さ(h2)は、枠体(2)の高さ(H)に対して、約1/6〜1/4になるように設定されている。
【0015】
第3地層(43)は、第1地層(41)と同じくバーク堆肥を有している。
第3地層(43)の高さ(h3)は、枠体(2)の高さ(H)に対して、約1/7〜1/5になるように設定されている。
上記する第1及び第3地層(41、43)によって、この処理部(4)は第2地層(42)が挟まれるように形成されていることになる。
また、この第3地層(43)は、飲料抽出に使用された植物残渣が混入されている。このように植物残渣が混入されることによって、有機物の腐敗臭を消臭することができ、腐敗臭の拡散による公害を防止することができる。
植物残渣としては、コーヒー豆からコーヒーを抽出した際に生じるコーヒー豆のカスやお茶葉からお茶を抽出した際に生じるお茶葉のカスを例示することができる。
このように飲料抽出に使用された植物残渣は、上記するようなものを使用することができるが、コーヒー豆のカスを使用することが好ましい。コーヒー豆のカスを使用することによって、コーヒーの香りにより効果的に消臭効果を奏することができるからである。
尚、コーヒー豆やお茶葉の種類は、特に限定されるものではなく、消臭効果の高いものまた、保温効果の高いものを使用することが好ましい。
この第3地層(43)に含有される植物残渣は、バーク堆肥と植物残渣の重量比が、1:1/3〜1になるように調製されている。このように調製されることにより、腐敗臭に対する消臭効果と処理部(4)の土中の温度に対する保温効果や保湿効果等の効果を奏することができるからである。尚、この植物残渣は、一般家庭から排出される及び/又は工場等から排出される植物残渣を利用することによって、リサイクルを進めることができる。
【0016】
この第3地層(43)には、胞子植物の菌床が載置されていることが好ましい。このように胞子植物の菌床を載置することにより、ミミズの好適な餌となるからである。
この胞子植物の菌床は、きのこ等の胞子植物を水につけた後、細かく粉砕することによって、作成される。尚、胞子植物は、特に限定されるものではなく、一般的に食されているきのこを利用することができる。
【0017】
処理部(4)は、図2で示す如く、短手方向の断面において底部から上部に沿って徐々に空間が広くなる略V字状になるように枠内(2)に設けられている。具体的には、略V字状の空間を形成するように、枠体(2)内部の中央底部(21)から外側上方(22、23)へ向かって傾斜するように形成されている。この傾斜面は、上方に向かって膨らみを有している。
また、中央底部(21)においては、所定間隔(W2)を空けるように第1地層(41)が配置されている。この所定間隔(W2)は、枠体(2)の幅(W1)に対して、1/20〜1/10の比率を有するように形成されている。
このように処理部(4)を略V字状に形成することによって、下方から上方に至るに従って広がる空間部(5)を有していることになり、この空間部(5)には有機物が投入されることになる(図3参照)。
このように略V字状に空間部(5)を形成することにより、有機物を効率良く収容することができるとともに、ミミズを有する第2地層(42)と効率良く接触するようになり、ミミズが行う有機物の処理を効率良く促進させることができる。
また、処理部(4)及び有機物が投入される空間部(5)を上記する如く形成することによって、月日が経過した後に、人手を利用せずとも、ミミズ自身により有機物及び土(バーク堆肥)が混合される。
【0018】
処理部(4)は、有機物の腐敗臭を更に確実に抑制するために、乾燥して粉砕した消臭効果を有する植物が混入されていることが好ましい。
この処理部(4)に混入される植物としては、消臭効果を期待することのできる植物であれば特に限定されないが、キク科のヨモギ属(Artemisia L.)の植物を使用することが好ましい。ヨモギ属の植物を利用することによって、ヨモギ属自体の植物が有する香りにより有機物の腐敗臭を抑制することができる。尚、上記の植物は、特に限定されるものではなく、消臭効果の高い植物であれば採用することができる。
尚、ヨモギ属の植物としては、ニガヨモギ(A. absinthium L.)、カワラヨモギ(A. capillaris)、シナヨモギ(A. cina Berg.)、タラゴン(A. dracunculus L.)、オトコヨモギ(A. japonica Thunb.)、ミブヨモギ(A. maritima L.)、ヨモギ(A. princeps Pamp.)、アサギリソウ(A. schmidtiana Maxim.)等を例示することができる。
【0019】
処理部(4)は、温度を20〜70℃、湿度を30〜60%に保つことが好ましい。この条件下に保つことによって、ミミズが成長する最も好適な条件を満たしミミズの育成を効率良く促進させることができる。
また、上記する如く温度及び湿度の条件を満たすために、土(バーク堆肥)及びミミズの総重量約10tに対して300〜500L水を約5日毎に与えることが好ましい。尚、この水を与える条件は、梅雨、夏場や冬場等の気候や天候によって適宜調整される。
【0020】
処理部(4)の第1地層(41)を配する前に、木炭及び/又は竹炭を有する第4地層(44)を、第1地層(41)の下方に設けても構わない(図4参照)。木炭及び/又は竹炭を敷設して第4地層(44)を設けることによって、有機物の腐敗臭を消臭することができるからである。
上記するような、植物残渣や木炭及び竹炭を利用することによって、ミミズに悪影響を及ぼすことなく、有機物の腐敗臭を消臭することができる。
また、これらの消臭効果を奏するものは、処理部(4)に含有させることもできるし、処理部(4)に載置することにより利用することもできる。
【0021】
処理部(4)が上記する如く短手方向の断面視において略V字状に形成され、空間部(5)に有機物が投入され、この有機物を覆うように土(バーク堆肥)が配され面一となるよう調整された後に、処理部(4)の日よけ及び保温のための被覆材(45)が設けられても構わない(図4参照)。
この被覆材(45)は、特に限定されるものではなく、布、麻袋、ござ及び古紙(ダンボール紙や新聞紙等)を利用することができ、いずれも日よけ効果を有するとともに処理部(4)の保温性及び保湿性を高める効果を奏することができる。尚、図4で示される被覆材(45)は、処理部(4)を完全に覆うように示されているが、通気性のことを考えて、一部を露出するように覆設させることもできる。
【0022】
枠体(2)の枠に沿って灌水用のチューブ(図示せず)を設けても構わない。このように枠体(2)の長手方向及び/又は短手方向の枠に沿ってチューブを設けることによって、適宜水を処理部(2)に供給することができるからである。このチューブを設けることによって、温度・湿度の条件をミミズの飼育に好適な条件に保つことができる。
【0023】
本発明に係るミミズを利用した有機物処理器(1)は、図1で示す如く、複数の有機物処理器(1)を並設させることができる。このように複数並設させることによって、一の処理器(1)毎に一定のタイムラグを設定して処理を行うことができ、処理の状態を確認することができる。例えば、一の処理器(1)を、有機物が10日で完全に処理できるように設定したとすると、10の処理器(1)を設けることによって、一日毎にその処理の経過を観察することができる。
例えば、図5では、(A)の処理器(1)では、新しい処理部(4)を形成した状態であり、(B)の処理器(1)では、有機物(魚類)が腐敗している状態を示しており、(C)の処理部(1)では、(B)の処理部(1)よりも更に腐敗が進んでいる状態を示している。このように時系列的に処理器(1)を並設することによって、有機物の腐敗の進行状況を把握することができる。尚、図5では、便宜上被覆材(45)や有機物を覆う土等は示していない。
このように複数の処理器(1)を設けることによって、ある一定期間毎の処理の状態を確認することができるようになるので、梅雨時、夏場や冬場等の季節に応じて処理器(1)の処理能力に応じて、供給される有機物の量を調整することができる。
また、処理器(1)と処理器(1)の間には、作業を補助するモノレール(図示せず)が設けることもできる。このようにモノレールを設けることにより、有機物の運搬や土、ミミズの回収等の作業を効果的に行うことができる。
尚、この処理器(1)同士の間隔は、特に限定されないが、モノレールを設置する場合であれば、約1mの間隔を有することが好ましい。
【0024】
次に本発明のミミズを利用した有機物処理器の作用を説明する。
図6は、本発明を使用する場合のフローチャートを示す。
枠体(2)を畑に設置する(S1)。このとき、枠体(2)の形状や大きさは、直方体形状で、幅(W1)が3m、長手方向の長さが14m、高さ(H)が60cmに設定された。
次に、第1地層(41)を形成する(S3)。この第1地層(41)を配する前に、木炭及び/又は竹炭を敷設しても構わない(S2)。このように木炭及び/又は竹炭を利用することによって、消臭効果を高めることができる。
尚、この第1地層(41)を形成する際には、図2で示す如く、所定間隔(W2)を有して形成されている。
【0025】
第1地層(41)が形成されると、第1地層(41)に載置されるように第2地層(42)が形成される(S4)。この第2地層(42)は、ミミズを有する地層であり、図2で示す如く、第1地層(41)が有する所定間隔(W2)よりも広い間隔を有するように形成される。この第2地層(42)には、総重量約10kgのミミズが入れられている。
次いで、第2地層(42)が形成されると、第2地層(42)に載置されるように第3地層(43)が形成される(S5)。この第3地層(43)は、図2で示す如く、第2地層(42)が有する所定間隔よりも広い間隔を有するように形成される。
このように第1乃至第3地層(41、42、43)を形成することにより、短手方向の断面形状が略V字状になる。
尚、消臭効果を高めるために、ヨモギを粉砕して処理部(2)に混入したり、ミミズの育成を高めるために、きのこ(胞子植物)の菌床を第3地層(43)に粉砕して載置したりすることもできる。
【0026】
第1乃至第3地層(41、42、43)が形成されて、有機物を収容する空間部(5)が形成されると、この空間部(5)へ有機物が投入される(S6)。
有機物が投入されると、バーク堆肥をその上から載置して、面一になるように調整する。
このとき、季節や天候に応じて被覆材を処理部(4)に載置する。
これにより、有機物を処理する準備ができる。
本発明に係る有機物処理器(1)は、ミミズの有機物を処理する能力によって、所定時間を経過すると有機物が自動的に処理されていることになる。
尚、この明細書中の作用の説明に記載される本処理器(1)を使用することによって、下記の(表1)の如く処理結果が得られる。
この(表1)に示される処理日数とは、処理器(1)に投入される有機物の種類とこの有機物の重量に対して、処理するのに必要な日数を表示している。例えば、「野菜ごみ:1t」の有機物であれば、約10日で処理が終了することが示されている。
尚、この処理日数は、季節により、有機物が腐敗する時間が異なるため多少の時間的誤差を含んでいる。
【0027】
【表1】

【0028】
有機物処理器(1)を複数設けた場合であれば、経過時間毎(例えば、一日、一週間等)に変化を観察することができるので、新たな処理器(1)に有機物を供給する場合、ミミズの処理能力に応じて有機物の供給量を変更することができる。
【0029】
有機物の処理が完了し所定時間経過した処理器(1)では、枠体(2)内に、ミミズと栄養価の極めて高い土が存在することになる。
有機物が完全に処理されたことを確認すると、土とミミズを回収する(S7)。尚、土やミミズはそのまま再度使用しても構わない。ミミズを回収する際の目安としては、ミミズの体長が約10〜20cmにまで成長した時点で回収することが好ましい。
これらを収集して、土とミミズにわける。このようにして、栄養価の高い土及び十分に成長したミミズを得ることができ、土及びミミズを夫々販売することができる(S8、S9)。
また、枠体(2)内の全ての土及びミミズを取り去ることによって、新たな処理部(2)を上記するような工程により再度形成して、有機物の処理を行うことができる(S10)。
このようにして、本処理器(1)を使用すると、有機物が処理できるだけでなく、ミミズの繁殖、栄養価の高い土の提供をある一定期間において繰り返し行うことができる。また、複数の処理器(1)を並設しているため、天気、気温や湿度等の天候や季節に応じて有機物の処理量を調節して処理することができるので、有機物を完全に処理することができ、近隣に対して有機物の腐敗臭の問題を引き起こすことがない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、生ごみ等の大量の有機物を極めて効果的に且つ効率よく処理することができるミミズを利用した有機物処理器及びミミズを利用した有機物処理方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るミミズを利用した有機物処理器の外観斜視図である。
【図2】処理部の断面図を示す。
【図3】処理部と空間の位置を示す断面図である。
【図4】処理部の他の実施形態に於ける断面図である。
【図5】本発明を利用する場合の処理部の様子を示す。
【図6】本発明を使用する場合のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0032】
1・・・ミミズを利用した有機物処理器
2・・・枠体
4・・・処理部
41・・第1地層
42・・第2地層
43・・第3地層
45・・被覆材
5・・・空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の内部にミミズと有機物を投入して有機物を処理する有機物処理器であって、
前記枠体内部には、バーク堆肥を有する第1地層と、ミミズが入れられた第2地層と、バーク堆肥を有する第3地層が下方から順番に堆積されてなる処理部が配され、
前記第1地層から前記第3地層に至るように設けられた有機物投入用の空間部が設けられていることを特徴とするミミズを利用した有機物処理器。
【請求項2】
前記空間部は、下方から上方に向けて拡大するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項3】
前記第3地層は、飲料抽出に使用された植物残渣が混入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項4】
前記第3地層は、胞子植物の菌床が載置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項5】
前記処理部は、乾燥して粉砕した消臭効果を有する植物が混入されてなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項6】
前記処理部の底部には、木炭及び/又は竹炭が配置されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項7】
前記枠体は、木材で成形されていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項8】
前記処理部の表面を覆う被覆材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のミミズを利用した有機物処理器。
【請求項9】
上記請求項1乃至8いずれかに記載されるミミズを利用した有機物処理器において、
前記処理部が形成する空間部に有機物を投入し、
投入された前記有機物が処理された後に、前記処理部を取り除き、
前記処理部が取り除かれた前記枠体に、新たな処理部を形成することを特徴とするミミズを利用した有機物処理方法。
【請求項10】
取り除かれた前記処理部のミミズと土を分離することを特徴とする請求項9記載のミミズを利用した有機物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−43565(P2006−43565A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227058(P2004−227058)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(304037887)有限会社エコパークミヤビ (1)
【Fターム(参考)】