説明

ミラーホルダ

【課題】支点部及び調整ネジの間にバネを配置すると、バネによる付勢力がミラー保持部材にもモーメントとして作用する。
【解決手段】ミラー4を保持するミラー保持部材3を、マウント部材2に、支点部8により傾動自在にかつ調整ネジ6により傾動角を調整自在に支持する。該調整ネジ6及び支点部8と一軸上に、前記ミラー保持部材3をマウント部材2に向けて付勢する圧縮バネ10,11を備えた座12,13を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばレーザ発振器などの光学装置において、ミラーを保持するミラーホルダに係り、詳しくは、ミラーの傾動角を調整する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザ発振器は、相対向して配置された全反射ミラー及び出力ミラーの間にレーザ媒体を設け、該レーザ媒体に励起光を照射して得られた光をミラー間で反射増幅させた後、その一部を出力ミラーによりレーザ光として取り出している。
【0003】
このようなレーザ発振器においては、上述した一対のミラーの平行度を保つと共に安定したレーザ出力を得るために、ミラーを保持しその傾動角を調整可能なミラーホルダが知られている。この種のミラーホルダは、レーザ発振器等の光学装置のベースに固定されるマウント部材と、ミラーを一体に保持して上記マウント部材に対して傾動自在に支持されたミラー保持部材と、を有し、上記マウント部材とミラー保持部材との間にネジ機構を設け、複数の調整ネジの進退運動によって上記マウント部材に対するミラーの傾きを調整している(特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1記載のものは、図7(A)及び(B)に示すように、マウント部材101とミラー102を備えたミラー保持部材103とを引張コイルバネ104で接続し、該引張コイルバネ104の付勢力に抗して調整ネジ105を進退させることで、ミラー102のマウント部材101に対する傾動角を調整する。
【0005】
特許文献2記載のものは、マウント部材に圧縮バネの圧縮応力を受ける係止部を設け、連結ネジが上記圧縮バネ、マウント部材、及びミラー保持部材を順に貫通して、上記マウント部材が上記ミラー保持部材に付勢されると共に接続され、該圧縮バネの付勢力に抗して調整ネジを進退させてマウント部材に対するミラーの傾動角を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−21835号公報
【特許文献2】特開2007−156204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1及び2記載のものは、マウント部材101とミラー102を保持するミラー保持部材103とを引張コイルバネ104や圧縮バネといった付勢部材を用いて接続及び保持する構造となっているが、何れも付勢部材104が、ミラー保持部材103をマウント部材101に対して傾動自在に支持する支点106と調整ネジ105との間に位置している(図7(A)及び(B)参照)。この場合、特許文献1記載のもののように、引張バネ104の強い付勢力がミラー保持部材103に作用すると、該ミラー保持部材103が撓み、該ミラー保持部材103に保持されたミラー102の角度を正確に設定することが困難となって、例えばレーザ発振器等の光学装置における相対向して配置されるミラー間での反射増幅に重要な平面度を損なう虞がある(図8参照)。
【0008】
上記マウント部材に圧縮バネの圧縮応力を受ける係止部を設けた特許文献2記載のものも、上記マウント部材にある係止部だけでなく、上記連結ネジを介してミラー保持部材にも圧縮バネの付勢力が作用するので、上記ミラー保持部材に装着されたミラーが撓む虞がある。
【0009】
なお、マウント部材とミラー保持部材を接続する付勢部材には、例えば調整ネジを動かして上記マウント部材に対するミラーの傾動角を調整する場合において、ブレなくミラーを保持するために強い付勢力が必要であるので、付勢力の弱い付勢部材に換えることはできない。
【0010】
また、支点と調整ネジの間に付勢部材を配置する必要から小型化に制限があった。
【0011】
そこで、本発明は、ミラーを保持するミラー保持部材が撓むことなく、傾動可能に構成したミラーホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ミラー(4)を一体的に保持するミラー保持部材(3)と、
該ミラー保持部材(3)に対向配置されるマウント部材(2)と、
前記ミラー保持部材(3)を前記マウント部材(2)に対して傾動自在に支持する支点部(8)と、
前記ミラー保持部材(3)及び前記マウント部材(2)のいずれか一方に螺合され、他方に先端が当接して、前記マウント部材(3)に対する前記ミラー保持部材(2)の傾動角を調整する調整ネジ(6)と、
前記ミラー保持部材(3)と前記マウント部材(2)とが、前記支点部(8)及び前記調整ネジ(6)を介して当接するように付勢する付勢部材(10,11),(101,11)と、
を備えてなるミラーホルダ(1)において、
前記付勢部材(10,11),(101,11)が、前記支点部(8)及び前記調整ネジ(6)と一軸上に配置されてなる、
ことを特徴とするミラーホルダ(1)にある。
【0013】
なお、支点部は、ボール(8)でも、マウント部材(2)及びミラー保持部材(3)のいずれか一方(例えばマウント部材)に螺合したネジの先端に設けた半球状の当接部でもよい。また、付勢部材は、圧縮バネ等のバネでも、互いに反発又は吸引する磁石でもよい。
【0014】
例えば図1を参照して、前記調整ネジ(6)が螺合されている、前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか一方に、前記付勢部材(10,11)を支持する座(12,13)を一体に設け、
該座(12,13)と前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか他方との間に、前記付勢部材(10,11)をその付勢力に抗するように配置し、
前記座(12,13)と前記付勢部材(10,11)と前記調整ネジ(6)又は前記支点部(8)とが一軸上に配置されてなる。
【0015】
なお、調整ネジ(6)は、マウント部材(2)に螺合されて、その先端の当接部(5)がミラー支持部材(3)に当接することが好ましいが、逆でもよい。
【0016】
例えば図3を参照して、前記調整ネジ(6)の先端から、前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか他方を貫通して延出するロッド(14)に座(12)を設け、
該座(12)と前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか他方との間に、前記付勢部材(10)をその付勢力に抗して配置し、
前記座(12)と前記付勢部材(10)と前記調整ネジ(6)が一軸上に配置されてなる。
【0017】
例えば図3を参照して、前記支点部(8)から、前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)の少なくとも一方を貫通して延出するロッド(15)に座(13)を設け、
該座(13)と前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)の少なくとも一方との間に、前記付勢部材(11)をその付勢力に抗するように配置し、
前記座(13)と前記付勢部材(11)と前記支点部(8)とが一軸上に配置されてなる。
【0018】
なお、支点部が上述したネジ先端の半球状の当接部により構成される場合、上記ロッド(15)は、前記当接部に接する側の前記マウント部材(2)又は前記ミラー保持部材(3)(例えばミラー保持部材)を貫通して延びる1個で足りる。
【0019】
例えば図1及び図3を参照して、前記付勢部材(10,11)は、圧縮バネであることが好ましいが、互いに反発する1対の磁石でもよい。
【0020】
例えば図6を参照して、前記座(12,13)における前記付勢部材(10,11)の反対側からロックボルト(20)を螺合し、該座(10,11)と前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか他方との間を前記ロックボルト(20)で固定してなる。
【0021】
例えば図4を参照して、前記付勢部材が吸着方向に付勢される磁石(10,11)からなり、
該磁石(10,11)が、前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)のいずれか他方に配置されて前記調整ネジ(6)の先端を吸着すると共に、前記マウント部材(2)及び前記ミラー保持部材(3)の少なくとも一方に配置されて前記支点部(8)を吸着してなる。
【0022】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る本発明によると、ミラー保持部材とマウント部材は支点部及び調整ネジを介して当接し、該支点部及び調整ネジと一軸上に付勢力が作用するので、該付勢力により、ミラー保持部材が撓むことがなく、比較的強い付勢力でミラー保持部材を保持するものでありながら、ミラーを高い精度に保持することができる。これによって、例えばレーザ発振器等の光学装置において、安定したレーザ出力を得ることができる。また、前記支点部及び調整ネジと一軸上に付勢部材を設けたので、調整ネジと支点部の間を詰めることができ、小型化が可能になる。
【0024】
請求項2に係る本発明によると、調整ネジが螺合されているマウント部材及びミラー保持部材のいずれか一方に、付勢部材を支持する座を、付勢部材と上記調整ネジ又は支点部とが一軸上かつ一体に設けたので、ミラーの高い平面度を維持すると共に、構造が簡単で信頼性がある。
【0025】
請求項3及び請求項4に係る本発明によると、上記座を設けるために、調整ネジが螺合されているマウント部材及びミラー保持部材のいずれか一方が、例えばそれらのいずれか他方を囲むようにして延設する必要がないので、更なる小型化が可能になる。
【0026】
請求項5に係る本発明によると、付勢部材が圧縮バネであるので、比較的簡易な構造で、安定してミラー保持部材を保持することができる。
【0027】
請求項6に係る本発明によると、付勢部材と調整ネジ又は支点部と一軸上で、マウント部材及びミラー保持部材のいずれか他方がロックボルト及び上記調整ネジによって挟持されるので、ミラーの平面度は維持したままでマウント部材にミラー保持部材を確実に固定することができる。
【0028】
請求項7に係る本発明によると、調整ネジ又は支点部と一軸上に配置される付勢部材が磁石からなり、上記調整ネジ及び支点部を吸着するので、ミラーの平面度は維持したままで、簡易でコンパクトな構造でマウント部材に対するミラー保持部材の傾動角を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るミラーホルダを示す図であって、(A)は正面図、(B)は側部断面図である。
【図2】図1(B)における、ミラーホルダに作用する付勢力の関係を示す模式図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るミラーホルダを示す図であって、(A)は正面図、(B)は側部断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るミラーホルダを示す図であって、(A)は正面図、(B)は側部断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るミラーホルダを示す図であって、(A)は正面図、(B)は側部断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係るミラーホルダを示す図であって、(A)は正面図、(B)は側部断面図である。
【図7】本発明の従来技術に係る実施例の一例を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。
【図8】図7(B)における、ミラーホルダに作用する付勢力の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態に係るミラーホルダについて説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1(A)及び(B)に示すように、第1の実施の形態によるミラーホルダ1は、例えば図示されないレーザ発振器のベース部分に固定される側面視略々コ字状のマウント部材2と、該マウント部材2のコ字部内に対向配置されて、該マウント部材2に対して後述のごとく傾動自在に支持されるミラー保持部材3と、を有する。該ミラー保持部材3は、上記マウント部材2の反対側にミラー4を装着する。
【0032】
上記マウント部材2には、上記ミラー保持部材3の反対側から、先端に半球状の当接部5,5を有する2本の調整ネジ6,6が螺合され、該調整ネジ6,6の先端の当接部5,5は上記ミラー保持部材3を押圧する。該ミラー保持部材3は、押圧される面に受部7を有し、該受部7は硬度の高い材料からなり上記当接部5が嵌合するように凹部を形成する。
【0033】
なお、本実施例においては2本の調整ネジを配置したが、2本以上でもよく、調整ネジと一軸上の部材は2本の調整ネジにおいて互いに同一なので、一方の調整ネジ及びそれと一軸上の部材のみを説明して、他方の説明は省略する。
【0034】
正面視(図1(A)参照)において、上記調整ネジ6,6が配置されている位置から延びる線が直交する位置にボール8が設けられ、該ボール8は、上記マウント部材2及びミラー保持部材3に挟持されている。上記マウント部材2及びミラー保持部材3の上記ボール8と当接する位置において、断面三角形状のすり鉢形状からなる窪部9が形成され、上記ボール8は、上記窪部9に位置決めされて上記ミラー保持部材3を傾動自在に支持する支点部を構成する。
【0035】
また、上記マウント部材2は、上記ミラー保持部材3が調整ねじ6又はボール8とで挟持するように、かつ上記調整ネジ6又は上記ボール8と一軸上に圧縮バネ10,11を係止する座12,13を一体に設ける。該座12,13とミラー保持部材3との間に圧縮バネ10,11が縮されており、調整ネジ6と同一軸線上に配置された圧縮バネ10は、ミラー保持部材の受部7を調整ネジ6の先端の当接部5に当接するように付勢し、支点部であるボール8の正面図における中心点と同一軸線上に配置された圧縮バネ11は、ミラー保持部材をボール8に当接するように付勢して、ミラー保持部材3をマウント部材2に一体に支持している。
【0036】
なお、上記座12,13は、上記マウント部材2と一体加工しても、別部材で取付けてもよい。
【0037】
なお、上記座12,13及びそれらとの上記ミラー保持部材3の対向面に配置される付勢部材である圧縮バネ10,11の代わりに、互いに反発する磁石を備えてもよい。
【0038】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、ミラーホルダ1は、上記座12に係止された圧縮バネ10が、上記ミラー保持部材3を上記調整ネジ6の先端の当接部5に付勢し、該付勢力に抗するように調整ネジ6を回転して上記ミラー保持部材3を押圧することで、上記圧縮バネ11によりマウント部材2とミラー保持部材3との間で位置決め・挟持された上記ボール8を支点として、上記マウント部材2に対する上記ミラー4と一体の上記ミラー保持部材3の傾動角を調整する。
【0039】
また、上記当接部5又はボール8と上記圧縮バネ10,11は、圧縮バネの作用線上にて一軸上に配置され、図2に示すように、圧縮バネ10,11による付勢力Xが上記ミラー保持部材3を介して上記当接部5及びボール8に作用するので、上記ミラー保持部材3が該付勢力により撓むことがなく、上記ミラー4の高い平面度を維持したまま、該ミラー4の上記マウント部材に対する傾動角を調整することができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
ついで、図3(A)及び(B)に沿って、第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と重複する部分については、図に同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施の形態は、第1の実施の形態における上記座12の代わりに、上記当接部5から上記ミラー保持部材3を貫通してロッド14を延出して設け、該ロッド14の先端に座12を設ける。更に、上記支点となるボール8から両側に、上記マウント部材2及び上記ミラー保持部材3を貫通するロッド15,15を延出して設け、各ロッド15,15の先端に座13,13を設ける。上記座12,13,13に圧縮バネ10,11,11を係止する。
【0042】
なお、上記支点は、上述したボールに限らず、上記マウント部材2及びミラー保持部材3のいずれか一方(例えばマウント部)に螺合したネジの先端に形成した半球状の当接面でもよく、この場合、上記支点となるボール8の両側から延びるロッド15,15は、上記ネジが螺合していない他方の側(例えばミラー保持部材)にのみに延びるもので足りる。
【0043】
なお、上記座12,13,13及びそれらとの上記ミラー保持部材3及び上記マウント部材2の対向面に、互いに反発する磁石を備えてもよい。
【0044】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、ミラーホルダ1は、上記座12,13,13に係止された圧縮バネ10,11,11が、上記マウント部材2及びミラー保持部材3を上記当接部5及びボール8に付勢し、該付勢力に抗するように調整ネジ6を回転して上記ミラー保持部材を押圧する。これにより、上記圧縮バネ11,11によりマウント部材2とミラー保持部材3との間で位置決め・挟持された上記ボール8を支点として、上記マウント部材に対する上記ミラー4と一体の上記ミラー保持部材3の傾動角を調整する。この場合も上記第1の実施の形態と同様に、圧縮バネ10,11等の付勢部材によりミラー保持部材3が撓むことはない。
【0045】
(第3の実施の形態)
ついで、図4(A)及び(B)に沿って、第3の実施の形態について説明するが、上記第2の実施の形態と重複する部分については、図に同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施の形態は、付勢部材として、圧縮バネ10,11,11に代わり、磁石を設けたものである。
【0047】
ミラーホルダ1は、上記調整ネジ6の先端の当接部5が磁性体からなり、かつ上記ミラー保持部材3には、上記当接部5に当接する受部7を挟むようにして磁石10を配置する。
【0048】
また、上記マウント部材2及びミラー保持部材3に、上記ボール8が挟持されるように互いに吸着する磁石11,11を配置する。該磁石11,11には、断面三角形状のすり鉢形状からなる窪部9,9が形成され、上記ボール8は、上記窪部9,9に位置決めされて上記ミラー保持部材3を傾動自在に支持する支点部を構成する。
【0049】
上記磁石10は、受部7を介して調整ネジ6の先端の当接部5を吸引し、上記磁石11、11は、支点部となるボール8を挟んで互いに吸引して、ミラー保持部材3をマウント部材2に支持する付勢部材を構成し、上記磁石10は、調整ネジ6の軸線と同一軸上に配置され、上記磁石11、11は、支点部であるボール8の正面図における中心点と同一軸上に配置されている。
【0050】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、ミラーホルダ1は、上記当接部5と磁石10、及び上記磁石11,11が互いに吸着し、上記調整ネジ6を回転して上記ミラー保持部材3を押圧することで、上記窪部9,9に位置決め・挟持された上記ボール8を支点として、上記マウント部材2に対する上記ミラー保持部材3の傾動角を調整する。この際、先の実施の形態と同様に、各磁石10、11、11の吸引方向(付勢方向)が調整ネジ6及び支点部8の当接方向と同一軸線に位置して、ミラー保持部材3は、上記磁石の吸引力がモーメントとして作用することはない。
【0051】
(第4の実施の形態)
ついで、図5(A)及び(B)に沿って、第4の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と重複する部分については、図に同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
本実施の形態は、第1の実施の形態において、上記マウント部材2に対する上記ミラー保持部材3の傾動角を一度所定の角度に設定したときに、その角度で上記ミラー保持部材3を固定するためのロック部材を追加したものである。
【0053】
ミラーホルダ1において、ミラー保持部材3は、正面視上記ミラー4の中心と同軸上におけるマウント部材2側にネジ孔16を形成し、マウント部材2の上記ネジ孔16に対向する位置に丸孔17を形成する。そして、丸孔17を貫通してネジ孔16に螺合し得るロックボルト18を備える。
【0054】
本実施の形態は、上記マウント部材2に対する上記ミラー4と一体の上記ミラー保持部材3の傾動角を調整した状態で、上記ロックボルト18を、マウント部材2側から上記丸孔17を貫通してネジ孔16に螺合する。これにより、ロックボルト18が、該ロックボルト18の頭部18aとネジ孔16との間で、ミラー保持部材3をマウント部材2にロックされて、ミラー4は、上記調整された位置に維持される。
【0055】
(第5の実施の形態)
ついで、図6(A)及び(B)に沿って、第5の実施の形態について説明するが、上記第4の実施の形態と重複する部分については、図に同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施の形態は、第4の実施の形態において、上記ロックボルト18が、正面視上記ミラー4の中心と同軸上に上記ミラー保持部材3と螺合するために、強く締めると該ミラー保持部材3が撓む虞があることから、該ミラー保持部材3の撓みを避けつつ、ロックを達成するものである。
【0057】
ミラーホルダ1は、上記座12,13にネジ孔19,19を形成する。そして、ロックボルト20,20を、上記圧縮バネ10,11の反対側から上記ネジ孔19,19に螺合して、上記圧縮バネ10,11の中心を貫通してその先端を上記ミラー保持部材3に押圧する。
【0058】
本実施の形態は、以上のような構成からなるので、ミラーホルダ1は、上記ロックボルト20,20を上記座12,13のネジ孔19,19に螺合していない状態で、上記調整ネジ6を回転して、上記ミラー保持部材3の傾動角を調整する。この状態で、上記座12,13のネジ孔19,19に上記ロックボルト20,20を螺合し、上記調整ネジ6及びボール8と一軸上でそれらの反対側から上記ミラー保持部材3を押圧して、上記ミラー保持部材3を撓むことなく固定する。この状態では、ロックボルト20,20の締付力は、調整ネジ6及び支点であるボール8と同一線上に作用するので、ミラー保持部材3が撓むことはない。
【0059】
なお、上述した実施の形態は、調整ネジ6をマウント部材2に螺合して配置したが、該調整ネジをミラー保持部材3に螺合して、該調整ネジの先端をマウント部材2に当接して上記ミラー保持部材3の傾動角を調整自在に設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ミラーホルダ
2 マウント部材
3 ミラー保持部材
4 ミラー
6 調整ネジ
8 ボール(支点部)
10,11 圧縮バネ
10,11 磁石
12,13 座
14,15 ロッド
18,20 ロックボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーを一体的に保持するミラー保持部材と、
該ミラー保持部材に対向配置されるマウント部材と、
前記ミラー保持部材を前記マウント部材に対して傾動自在に支持する支点部と、
前記ミラー保持部材及び前記マウント部材のいずれか一方に螺合され、他方に先端が当接して、前記マウント部材に対する前記ミラー保持部材の傾動角を調整する調整ネジと、
前記ミラー保持部材と前記マウント部材とが、前記支点部及び前記調整ネジを介して当接するように付勢する付勢部材と、
を備えてなるミラーホルダにおいて、
前記付勢部材が、前記支点部及び前記調整ネジと一軸上に配置されてなる、
ことを特徴とするミラーホルダ。
【請求項2】
前記調整ネジが螺合されている、前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか一方に、前記付勢部材を支持する座を一体に設け、
該座と前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか他方との間に、前記付勢部材をその付勢力に抗するように配置し、
前記座と前記付勢部材と前記調整ネジ又は前記支点部とが一軸上に配置されてなる、
請求項1記載のミラーホルダ。
【請求項3】
前記調整ネジの先端から、前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか他方を貫通して延出するロッドに座を設け、
該座と前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか他方との間に、前記付勢部材をその付勢力に抗して配置し、
前記座と前記付勢部材と前記調整ネジが一軸上に配置されてなる、
請求項1記載のミラーホルダ。
【請求項4】
前記支点部から、前記マウント部材及び前記ミラー保持部材の少なくとも一方を貫通して延出するロッドに座を設け、
該座と前記マウント部材及び前記ミラー保持部材の少なくとも一方との間に、前記付勢部材をその付勢力に抗するように配置し、
前記座と前記付勢部材と前記支点部とが一軸上に配置されてなる、
請求項1記載のミラーホルダ。
【請求項5】
前記付勢部材が圧縮バネである、
請求項1ないし4のいずれか記載のミラーホルダ。
【請求項6】
前記座における前記付勢部材の反対側からロックボルトを螺合し、該座と前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか他方との間を前記ロックボルトで固定してなる、
請求項2記載のミラーホルダ。
【請求項7】
前記付勢部材が吸着方向に付勢される磁石からなり、
該磁石が、前記マウント部材及び前記ミラー保持部材のいずれか他方に配置されて前記調整ネジの先端を吸着すると共に、前記マウント部材及び前記ミラー保持部材の少なくとも一方に配置されて前記支点部を吸着してなる、
請求項1記載のミラーホルダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−247568(P2012−247568A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118252(P2011−118252)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(592253736)シグマ光機株式会社 (46)
【Fターム(参考)】