説明

ミラー調整機構、光学測定用セル、水質測定装置およびミラー調整方法

【課題】ミラーの調整を簡易な構造で実現可能なミラー調整機構、光学測定用セル、水質測定装置およびミラー調整方法を提供する。
【解決手段】ミラー調整機構1は、本体部10の内部空間11に臨むように配置されるミラー部材20と、ミラー部材20を保持する保持部材30と、本体部10と保持部材30との間に介装されるゴム部材40と、本体部10の雌ねじ部13と螺合し、送りねじ作用により保持部材30を押圧する押圧部材50と、押圧部材50に取り付けられ、保持部材30との押圧状態を調整する調整部材60と、を備えている。ゴム部材40は、保持部材30が押圧部材50により押圧されることで変形し、また、保持部材30が調整部材60により押圧されることでも変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光を反射するミラーの反射面を調整するためのミラー調整機構、光学測定用セル、水質測定装置およびミラー調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水源から各末端にいたる給水ラインの水質の管理は、特に都市部において、給水パイプが複雑に入り組んでいる場合に、パイプの材質の経年劣化の監視なども含めて、よりきめ細かい管理が必要になってきている。この場合、pH、濁度、色度及び残留塩素などの水質基準に係わる省令上の基本的な測定項目を測定する測定器を、複数の測定ポイントに配備することになる。これら基本的な測定項目のうち、pH、導電率及び残留塩素などは、被測定液体に電気化学的な電極を挿入することで測定が可能である。
【0003】
また、濁度及び色度は、光源からの光ビームを被測定液体に照射し、その透過光等を測定することで検出することが可能である。なお、濁度と色度は測定方式が互いに同じであることから、濁度と色度を同時に測定・補正する測定器がある。
【0004】
特許文献1には、光源から反射ミラーを介して受光部に至る測定光路が平面視でV字状に形成されているセルの構造が開示されている。このセルは、床部において光源と受光部との間に位置する供給部と、天井部において反射ミラーに隣接する排出部と、を有する。供給部から試料水と共に流入した気泡等は、測定光路にかからないように、その浮力で上昇し、かつ、試料水の流れに乗って排出部から排出される。
【0005】
【特許文献1】特開2008−232790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、このような水質測定装置を含め、装置の小型化を図りつつ必要な光路長を確保する場合には、反射ミラーを用いて光学装置を構成することが考えられるが、そのような場合には、光学部を構成する各種の構造部品を高い精度で製造することで、所望の光学特性を持たせている。しかしながら、構成部品を組み立てる際にも高い精度で行わないと、所望の光学特性を発揮させることが困難になる。その一方で、光路を調整する機構を備える光学装置が従来から提案されているものの、複雑な構造になってしまい、光学部の小型化やコストの低減を実現することが困難である。
【0007】
本発明は、ミラーの調整を簡易な構造で実現可能なミラー調整機構、光学測定用セル、水質測定装置およびミラー調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用されるミラー調整機構は、入射した光を反射するミラーの反射面を調整するためのミラー調整機構であって、前記ミラーを保持する保持部と、前記保持部を収容する本体部と、前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記第2の押圧部を複数備えていることを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される光学測定用セルは、床面、天井面及び壁部を含む複数の面で画成される領域を有し、試料水が当該領域に流入する流入部を当該床面に有し、試料水が当該領域から流出する流出部を当該天井面に有する本体部と、前記本体部の前記領域に試料水測定用の光を前記本体部の壁部から発する発光部と、前記発光部により発せられる光を受ける受光部と、前記発光部により発せられる光を反射して前記受光部に向けて反射する反射部と、前記本体部に収容され、前記反射部を保持する保持部と、前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、を含むことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、前記ゴム部材は、前記保持部と前記本体部との間をシールするものであることを特徴とすることができる。
【0012】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される水質測定装置は、濁度及び/又は色度を含む複数の項目を測定する水質測定装置であって、床面、天井面及び壁部を含む複数の面で画成される領域を有し、試料水が当該領域に流入する流入部を当該床面に有し、試料水が当該領域から流出する流出部を当該天井面に有する本体部と、前記本体部の前記領域に試料水測定用の光を前記本体部の壁部から発する発光部と、前記発光部により発せられる光を受ける受光部と、前記発光部により発せられる光を反射して前記受光部に向けて反射する反射部と、前記本体部に収容され、前記反射部を保持する保持部と、前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、を含むことを特徴とするものである。
【0013】
更にまた本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用されるミラー調整方法は、入射した光を反射する反射面を有するミラーを保持部で保持し、当該保持部を本体部で収容した状態で当該反射面を調整するためのミラー調整方法であって、前記保持部と前記本体部との間に配置するゴム部材が当該保持部および当該本体部に接触する状態で当該本体部に固定される第1の押圧部により当該ゴム部材を変形させるための押圧力を当該保持部に付与し、前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を第2の押圧部により前記保持部に付与することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミラーの調整を簡易な構造で実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るミラー調整機構1を示す概略構成図である。同図の(a)は正面図であり、同図の(b)は、押圧部材50の右側面図である。
同図に示すミラー調整機構1は、内部空間11を有する本体部10に配設されたものである。この本体部10は、内部空間11が外部と連通する開口部12を有する。この開口部12は、軸方向Xに沿って内径が互いに異なる複数の段形状に形成され、また、この開口部12には雌ねじ部13が形成されている。
ミラー調整機構1は、本体部10の開口部12に配設されている。さらに説明すると、ミラー調整機構1は、本体部10の内部空間11において、図示しない光源からの光を反射するミラー部材(ミラー、反射部、反射面)20の姿勢を本体部10に対して変更するためのものである。すなわち、ミラー調整機構1は、ミラー部材20の反射面の位置ないし角度を微調整するのに用いられている。
【0016】
このミラー調整機構1は、本体部10の内部空間11に臨むように配置されるミラー部材20と、ミラー部材20の裏面側に位置してミラー部材20を保持する保持部材(保持部)30と、保持部材30の外周面に位置して本体部10と保持部材30との間に介装されるゴム部材40と、を備えている。
また、ミラー調整機構1は、本体部10の雌ねじ部13と螺合し、送りねじ作用により保持部材30を押圧する第1の押圧部の一例としての押圧部材50を備えている。また、ミラー調整機構1は、押圧部材50に取り付けられ、保持部材30との押圧状態を調整する第2の押圧部の一例としての調整部材60を備えている。
【0017】
ミラー部材20は、ガラス板の片面(同図の右側の面)にアルミ蒸着の反射層を有し、入射した光を全反射するものである。なお、本実施の形態では、ミラー部材20の反射面を調整する機構について説明しているが、入射した光の一部を反射して残りを透過させる図示しない部分透過鏡(ハーフミラー)を調整する機構に適用することも考えられる。
保持部材30は、一端面(同図の左側の端面)に形成されてミラー部材20を保持する凹部31と、他端面(同図の右側の端面)に形成されたフランジ部32と、を有する。保持部材30は、このフランジ部32を介して本体部10に取り付けられるものである。付言すると、保持部材30は、雄ねじ部を有するものではなく、したがって、本体部10とねじ結合されるものではない。
【0018】
ゴム部材40は、保持部材30のフランジ部32と本体部10の開口部12とに接して配置されるものであり、保持部材30が押圧部材50により押圧されることで変形し、また、保持部材30が調整部材60により押圧されることでも変形する。
なお、このゴム部材40としては、押圧力に応じて変形するものであれば良い。したがって、例えば、フランジ部32の側面に沿って所定間隔で配置するゴム片を用いることや、フランジ部32の側面に沿って配置される線状のゴムを用いることが考えられる。また、ゴム部材40として、環状のゴム(例えばパッキン)を用いることも考えられる。
【0019】
押圧部材50は、断面円形の外周に雄ねじが形成された雄ねじ部51と、雄ねじ部51に隣接して形成されたフランジ部52と、フランジ部52側の端面から雄ねじ部51側の端面に貫通して形成された複数の雌ねじ部53と、を有する。押圧部材50は、雄ねじ部51を本体部10にねじ込んでフランジ部52が本体部10に当接することで、本体部10に取り付けられる。なお、複数の雌ねじ部53は、同一円周上に位置している。
押圧部材50の複数の雌ねじ部53の各々には、雄ねじを有する調整部材60がねじ込まれる。この調整部材60の先端は、保持部材30におけるフランジ部32側の端面と当接する。なお、本実施の形態では、調整部材60として、ねじ頭がない所謂止めねじを用いているが、ねじ頭のある一般的なねじ(なべ小ねじ)を用いることも考えられる。
【0020】
ミラー調整機構1の組み立てについて説明する。
図2は、ミラー調整機構1を構成する部材の分解断面図である。
同図に示すように、保持部材30の凹部31にミラー部材20を取り付け、また、保持部材30の外周面にゴム部材40を取り付ける。その後に、保持部材30を本体部10の開口部12に挿入する。これにより、ゴム部材40は、保持部材30と本体部10との間に位置する。
そして、押圧部材50を本体部10の開口部12から挿入し、雌ねじ部13と螺合させる。押圧部材50をねじ込んでいくと、押圧部材50のフランジ部52が本体部10と当接し、位置決めされる。このときに、ゴム部材40は、押圧部材50から保持部材30を介して押圧力を受け、変形する。
こうして、ミラー調整機構1の組み立てが行われる。
【0021】
ミラー調整機構1の作用について説明する。
図3は、ミラー調整機構1によるミラー部材20の調整を説明する図である。同図では、ゴム部材40の変形の度合いと保持部材30の本体部10に対する姿勢とを説明するために、(a)〜(d)に分けて示している。すなわち、同図の(a)および(b)は、ミラー調整機構1の組み立て途中の状態を示す図であり、同図の(c)および(d)は、ミラー調整機構1の調整をした状態を示す図である。
同図の(a)に示す状態では、ゴム部材40は押圧力を受けておらず、変形していない。そして、同図の(b)に示す状態では、押圧部材50がねじ込まれて本体部10に固定されると、押圧部材50は、保持部材30を内方(同図の左方向)に押圧する。これに伴って、ゴム部材40も同様に押圧され、押圧部材50による押圧力により変形する。
その後、同図の(c)に示す状態では、押圧部材50の複数の雌ねじ部53の各々と螺合している複数の調整部材60がねじ込まれると、調整部材60の先端が保持部材30に当接する。このような当接によって、保持部材30がさらに内方に押圧力を受け、これに伴って、ゴム部材40はさらに変形する。このようなゴム部材40の変形によって、保持部材30は、本体部10に対する位置が変わり、保持部材30の凹部31に取り付けられているミラー部材20も同様に、本体部10に対する位置が変わる。
【0022】
ここで、同図の(d)に示すように、複数の調整部材60のねじ込み量を互いに異ならしめることによって、ゴム部材40の変形量が部分的に異なるようにすることも可能である。すなわち、同図の(d)に示すようなゴム部材40の変形量の差sを形成することによって、保持部材30およびミラー部材20は、本体部10に対する姿勢が変わり、その結果、ミラー部材20の反射面の角度を変えることができる。
これらの調整作業は、ミラー部材20により反射される光の光量を、図示しない検出器を用いて測定しながら、複数の調整部材60の各々のねじ込み量を調整することにより行われる。そして、調整作業によって、ミラー部材20の反射面の位置ないし角度を調整することが可能である。
【0023】
次に、本実施の形態に係るミラー調整機構1を光学測定用セル100の一部に備える場合について説明する。さらに説明すると、光学測定用セル100を含んで構成される検出器Dについて説明する。
図4は、ミラー調整機構1を備える検出器Dの概略正面図であり、図5は、検出器Dの概略平面図である。
図4及び図5に示す検出器Dは、試料水が流れる配管P1,P2に接続されるセル(測定槽、測定セル)100と、セル100内に光(試料水測定用の光)を照射する光源(発光部)110と、光源110からの光を受ける受光部120と、光源110及び受光部120の配置された壁部と対向する壁部に配置されるミラー調整機構1と、入射光強度を測定するための比較用受光部111と、を備えている。この検出器Dは、透過光法を用いて試料水の濁度と色度の測定を行うものである。
【0024】
ここで、検出器Dが備えるセル100には試料水が流入している。このため、図1に示すミラー調整機構1のゴム部材40は、本体部10の内部空間11と外部との間を封止するシール作用を有するものを用いている。具体的には、ゴム部材40としてパッキンを利用している。すなわち、シール部材としてのパッキンを積極的に変形させ、その変形を利用してミラー部材20の調整を行っている。なお、ゴム部材40のほかに、図示しないシール部材を別途備える構成も考えられる。
【0025】
検出器Dについて更に説明する。検出器Dは、セル100内に光を当ててその透過光を測定するものである。すなわち、測定した透過光の減衰の度合いが試料水中の懸濁物質の濃度に関連することを利用して濁度等を検出するものである。別の言い方をすると、試料水を透過する光が、試料水中の懸濁物や色度成分による吸収を受けて減衰するという性質を使用して濁度や色度を測定するものである。付言すると、光源110の比較用受光部111は、吸収がないときの光の強度(入射光強度)を測定するためのものである。
この検出器Dには、いわゆるフローセルによる連続測定方式が採用されている。
【0026】
光源110と受光部120とは互いに隣接して配設され、ミラー調整機構1のミラー部材20は、光源110及び受光部120と離間して配設されている。このように、光源110から受光部120までの測定光路Oが1回反射のV字状となるように、光源110、受光部120及びミラー部材20を配置している。したがって、検出器Dの小型化を実現しつつ測定光路Oの長さを十分に確保することが可能になり、高精度な計測を可能にしている。
【0027】
セル100は、床部(床面)103、天井部(天井面)104及び壁部(壁面)105を含む複数の面で画成される領域Aと、上流側の配管P1の上端に接続され、試料水を領域Aに供給する供給部(流入部)101と、下流側の配管P2の下端に接続され、領域Aから試料水を排出する排出部(流出部)102と、を備えている。すなわち、上流側の配管P1から供給部101を介して供給された試料水は、領域Aを通って排出部102から排出される。領域Aは、セル100の内部において水平方向(横方向)Hに延びて形成されている。
なお、図4及び図5に示すセル100の本体部は、図1の本体部10に相当するものであり、また、図4及び図5に示す領域Aは、図1の本体部10の内部空間11に相当するものである。
【0028】
ここで、図4に示すように、セル100の供給部101は、セル100の床部103に配設され、また、排出部102は、セル100の天井部104に配設されている。すなわち、試料水は、下から上に通水しており、そして、セル100の領域Aには、試料水が下方から供給され、セル100の領域Aの試料水は、上方に排出される。
【0029】
また、セル100の領域A内において、セル100の天井部104と測定光路Oの上端との間には隙間寸法δの隙間が形成されている。この隙間寸法δは、後述するように、セル100の領域A内に試料水と共に流入した気泡が測定光路Oに入らないような寸法である。
【0030】
図5に示すように、供給部101と排出部102との平面視における位置は、互いに異なる。すなわち、供給部101は、光源110及び受光部120が配設されている側に位置し、また、排出部102は、ミラー部材20が配設されている側に位置している。このため、供給部101からセル100の領域Aに供給された試料水が滞留することなく排出部102から排出され、試料水の入れ替えが円滑に行われる。
【0031】
更に説明すると、供給部101は、平面視において、光源110からミラー部材20を経て受光部120に至る測定光路Oから外れる位置(測定光路Oの外)に配設され、また、排出部102は、測定光路Oに重なる位置に配設されている。付言すると、供給部101は、光源110と受光部120との間に位置するように配設され、また、排出部102は、ミラー部材20に隣接して配設されている。
【0032】
次に、検出器Dの作用について説明する。
図4に示すように、試料水が供給部101からセル100の領域Aに供給される際に試料水と共に供給部101から流入した気泡等は、その浮力により供給部101から垂直方向Vの上側(上方)に浮上していく。このとき、気泡等は、測定光路Oを横切ることなく供給部101から上方に進み(図2参照)、やがて天井部104ないしは天井部104付近に到達する。
【0033】
セル100の領域A内では、試料水は排出部102に向けて流れる。このため、天井部104に到達した気泡等は、この試料水の流れに従って排出部102へ進み、そして、試料水と共に排出部102から配管P2に排出される。その際に、気泡等は、測定光路Oよりも上方を通り、測定光路Oに入り込まない。
【0034】
このように、供給部101から試料水と共に流入した気泡等は、図4に気泡の流れとして破線で示すように、測定光路Oにかからないように、その浮力で上昇し、かつ、試料水の流れに乗って排出部102から排出される。このため、気泡等が光学的な測定に影響を及ぼさない。
【0035】
更に説明すると、セル100の供給部101から試料水を供給する前に気泡等を積極的に除去しなくても済み、また、セル100の供給部101から気泡等と共に試料水が供給された後に気泡等の動きを積極的に制御する装置を用いなくても済むので、簡易な構成で気泡等の影響を排除することができる。すなわち、測定に際し気泡等の影響を受けない検出器Dを小型かつ低コストで実現することが可能になる。
【0036】
なお、本実施の形態では、セル100の天井部104を水平方向Hに延びるように形成されているが、より円滑に排出部102に向かう気泡等の流れを形成するために、排出部102の位置が上側に位置するようにセル100の天井部104を傾斜させることも考えられる。
【0037】
次に、上述した検出器Dが適用される水質測定装置200について説明する。
図6は、検出器Dが適用される水質測定装置200の構成を説明するためのブロック図である。上述した検出器Dは、濁度及び色度を含む多項目の水質測定を行う水質測定装置に適用することができる。なお、同図では、検出器Dが検出部201の一部を構成するものとして図示している。
同図に示す水質測定装置200は、濁度及び色度を含む多項目を検出する検出部201と、検出部201にユーザが動作指示を与えるための指示部202と、検出部201の検出結果に基づいて演算を行うと共に各部の制御を行う演算制御部203と、演算制御部203による演算結果を表示する表示部204と、検出部201の検出結果を記憶すると共に演算制御部203が用いる各種のデータを記憶する記憶部205と、を含むものである。
【0038】
ここで、検出部201の検出結果としては、比較用受光部111の検出結果及び受光部120の検出結果が含まれる。すなわち、濁度及び色度の測定について簡単に説明すると、光源110(図5参照)から出射された光を試料水中に透過させて受光部120がその光を受光する。
そして、演算制御部203は、比較用受光部111の検出結果としての電気信号及び受光部120の検出結果としての電気信号に基づいて光の減衰の度合いを求め、記憶部205に予め記憶されている所定の演算式を用いて濁度及び色度を演算する。
【0039】
なお、演算制御部203は、例えばCPU等で構成することができる。また、表示部204は、例えばデジタル表示器等で構成することができ、記憶部205は、例えば不揮発性メモリ等で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態に係るミラー調整機構を示す概略構成図である。
【図2】ミラー調整機構を構成する部材の分解断面図である。
【図3】ミラー調整機構によるミラー部材の角度調整を説明する図である。
【図4】ミラー調整機構を備える検出器の概略正面図である。
【図5】ミラー調整機構を備える検出器の概略平面図である。
【図6】検出器が適用される水質測定装置の構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1…ミラー調整機構、10…本体部、11…内部空間、12…開口部、13…雌ねじ部、20…ミラー部材、30…保持部材、31…凹部、32…フランジ部、40…ゴム部材、50…押圧部材、51…雄ねじ部、52…フランジ部、53…雌ねじ部、60…調整部材、X…軸方向、100…セル、200…水質測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を反射するミラーの反射面を調整するためのミラー調整機構であって、
前記ミラーを保持する保持部と、
前記保持部を収容する本体部と、
前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、
前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、
前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、
を含むことを特徴とするミラー調整機構。
【請求項2】
前記第2の押圧部を複数備えていることを特徴とする請求項1に記載のミラー調整機構。
【請求項3】
床面、天井面及び壁部を含む複数の面で画成される領域を有し、試料水が当該領域に流入する流入部を当該床面に有し、試料水が当該領域から流出する流出部を当該天井面に有する本体部と、
前記本体部の前記領域に試料水測定用の光を前記本体部の壁部から発する発光部と、
前記発光部により発せられる光を受ける受光部と、
前記発光部により発せられる光を反射して前記受光部に向けて反射する反射部と、
前記本体部に収容され、前記反射部を保持する保持部と、
前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、
前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、
前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、
を含むことを特徴とする光学測定用セル。
【請求項4】
前記ゴム部材は、前記保持部と前記本体部との間をシールするものであることを特徴とする請求項3に記載の光学測定用セル。
【請求項5】
濁度及び/又は色度を含む複数の項目を測定する水質測定装置であって、
床面、天井面及び壁部を含む複数の面で画成される領域を有し、試料水が当該領域に流入する流入部を当該床面に有し、試料水が当該領域から流出する流出部を当該天井面に有する本体部と、
前記本体部の前記領域に試料水測定用の光を前記本体部の壁部から発する発光部と、
前記発光部により発せられる光を受ける受光部と、
前記発光部により発せられる光を反射して前記受光部に向けて反射する反射部と、
前記本体部に収容され、前記反射部を保持する保持部と、
前記保持部と前記本体部との間に位置し、当該保持部および当該本体部に接するゴム部材と、
前記ゴム部材を変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記本体部に固定される第1の押圧部と、
前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を前記保持部に付与する状態で前記第1の押圧部に配設される第2の押圧部と、
を含むことを特徴とする水質測定装置。
【請求項6】
入射した光を反射する反射面を有するミラーを保持部で保持し、当該保持部を本体部で収容した状態で当該反射面を調整するためのミラー調整方法であって、
前記保持部と前記本体部との間に配置するゴム部材が当該保持部および当該本体部に接触する状態で当該本体部に固定される第1の押圧部により当該ゴム部材を変形させるための押圧力を当該保持部に付与し、
前記第1の押圧部の押圧力により変形する前記ゴム部材をさらに変形させるための押圧力を第2の押圧部により前記保持部に付与する
ことを特徴とするミラー調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−156587(P2010−156587A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334202(P2008−334202)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】