説明

ミラー面と照明ユニットとを有するミラーユニット

本発明はミラー面を備えたミラーユニット前面と、複数の光源及びレンチキュラレンズのアレイを有する照明ユニットと、をもつミラーユニットを提供する。当該光源及びレンチキュラレンズのアレイは、ミラーユニットの光をミラーユニット前面の前にある空間に出力するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鏡面(ミラー面)と照明ユニットとを有するミラーユニットに関する。本発明はまた当該ミラーユニットを、ミラーユニットの少なくとも一部によって特に情報を表示する試着室の鏡として使用することにも関し、光はミラーユニット内の照明ユニットにより生成される。
【背景技術】
【0002】
ミラーは、店舗で、オフィスで、家庭で、(シャワー及びトイレの完備した)浴室で、試着室で、等々で使われるばかりでなく、廊下で、階段で、ロビー等でも使われている。
【0003】
しばしば、ミラーと照明部品とが互いに組み合わされたり、又は1つのユニットに組み込まれたりする。
【0004】
例えばドイツ国特許公開公報DE 19703913は、キャビネットに少なくとも部分的に回転可能に配置された支持管により形成されている支持デバイスについて記載しており、照明部品が固定されている。当該照明部品は支持管へと安全に固定され、孔のエリアで支持管の外周部と係合するクランプタイプの基礎部分へと確実に接続されている。支持管は、照明部品用の電気ケーブルを収容している。支持管は、両端が回転可能であるよう設置されている。支持管はキャビネットの横にある2個の部品を互いに接続し、上部のエリアは支持管用のベアリングを形成している。
【0005】
ドイツ国特許公報DE 3218416は、クライアントの座席の前に配置される作業用のミラーについて記載しており、当該ミラーは、好ましくは1人の係員によって作業、特に理髪作業を行う際に使用するよう意図されており、当該作業用のミラーは、調髪されているクライアントの少なくとも一部が当該クライアントによって、適切な場合、係員によっても観察範囲内に観察されることができるミラー面を有し、当該作業用ミラーは、観察範囲外に存在する少なくとも一つの表示領域を有し、ミラー面の領域は後部照明を備えた透明な鏡として設計され、点灯可能な照明デバイスがミラー面の背後にオプションで設けられており、当該照明デバイスにより照明されたときに、クライアントに見えるようになる情報手段が取り付けられることが可能である。
【0006】
米国特許公報US 6801371は、平面ミラーを内部に収納するための携帯用のケース本体に適用される多機能の着替え用のミラーを記載しており、当該ミラーに加え、光を透過する効果を示す材料から作られた外部を覆う凸面のミラーが、彼/彼女が平面ミラーを凝視すると、ユーザの反射像を拡大するために用いることができる。ケースの蓋が開いた際、ユーザは平面ミラー又は凸面ミラーの何れかを直接使用することが可能であろう。
【0007】
米国特許公開公報US 2008278935は、ミラーランプの本体と、ミラーランプ本体に取り付けられた懸下プレートと、当該懸下プレートと着脱可能に組み合わされた壁への取り付けプレートと、を含むミラーランプについて記載している。懸下プレートは、ミラーランプが壁ランプ又は夜間ランプとして機能するよう、ミラーランプ本体を壁に取り付けるために、壁への取り付けプレートに懸下される。加えて、懸下プレートは壁への取り付けプレートから着脱可能であり、この結果、ミラーランプ本体が照明機能を提供し、それぞれ着替え用ミラーの機能又は化粧用ミラーの機能を提供するよう操作される。更に、ミラーランプ本体が別に機能する場合、当該ミラーランプが卓上ランプとして機能するようミラーランプ本体の基部はテーブルに装着可能である。当該ミラーランプは更に、懸下プレートに取り付けられ、ミラーランプ本体の基部にある収容チャンバに収容されるバッテリ・ボックスを有し、少なくとも1個の充電式電池が当該バッテリ・ボックスに収容されており、発光部材に電力を供給するために、当該発光部材に電気的に接続している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ミラーと照明とを提供している従来技術の幾つかのシステムの欠点は、例えば試着室内などの照明が最適ではないことである。従来技術のシステムの更なる欠点は、これらのシステムが情報を、及び/又は明確且つ直観的なユーザー・インターフェースをユーザへと提供する能力をもっていないことであり、これは、斯様な機能に対するニーズがあるように見える。
【0009】
これ故、代替のミラーユニットを提供することが本発明の目的であり、これは好ましくは少なくとも部分的に上記の一つ以上の欠点を更に取り除く。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、
a. ミラー面を有するミラーユニット前面と、
b. ミラーユニットの光を当該ミラーユニット前面の前にある空間(「ミラー前面」としても示される)に提供する、複数の光源及びレンチキュラレンズのアレイを有する照明ユニットと、を有するミラーユニットを提供する。
【0011】
レンチキュラレンズは、照明ユニットからの光を所望の方向へと導くことができる。例えばミラー面に実質的に垂直な方向へ、及び/又はミラー面の法線に対してある角度をもつ方向へと導くことができる。例えば、(斯様な法線に対する)角度は眩しさを減じる又は防止するよう選択されてもよいし、及び/又は壁、天井、及び床の一つ以上を照らすよう選択されてもよい。レンチキュラレンズのアレイを使用することの長所は更に、かなり薄くて安価なレンズが使われてもよいことで、従来技術の幾つかのミラーユニットと比べて、比較的薄いミラーユニットが設計でき、生産コストを制御できることである。「レンチキュラレンズのアレイ」という用語が、複数のレンチキュラレンズのアレイを含むこともできる。
【0012】
好ましくは、照明ユニットの光源は、LED(発光ダイオード)及びOLED(有機発光ダイオード)からなるグループから選択されるが、他の実施例において白熱灯及び/又は蛍光灯がLED及び/又はOLEDに加えて又は代替的に使用されるのを排除することはない。当業者には明らかであるように、2つ以上の光源のタイプの組合せも適用されることができる。
【0013】
好ましい実施例では、複数の光源は複数のOLEDを有する。更に別の実施例では、照明ユニットは光導波路、及び当該光導波路へと光を発するよう配置された一つ以上の光源、好ましくは一つ以上の半導体LEDを有し、光導波路は複数の光の抽出領域を有し、一つ以上の光源、光導波路、複数の光の抽出領域、及びレンチキュラレンズのアレイが、ミラーユニットの光を当該ミラーユニット前面の前にある空間に出力するよう配置される。光の抽出領域は、空腔、凹み、突起、マイクロプリズム、微細溝、又は他の構造など、光導波路内で意図的に不規則であることができ、この不規則部が、入射したミラー光の少なくとも一部を、光導波路を出るよう(一つ以上のレンチキュラレンズの方向に)誘導する。
【0014】
光導波路が複数の蛍光体のドットがある領域を有することも可能であり、青色、紫色、又は紫外線のLED光が、例えば黄色及び/又は他の色に変換される。これゆえ実施例では、本発明は、一つ以上の光の抽出領域が、一つ以上の光源のうちの少なくとも一つからの光の少なくとも一部を、当該一つ以上の光源のうちの少なくとも一つからの光とは別の波長をもつミラーユニットの光へと変換するよう構成された発光性の物質(即ち、蛍光体)を有するミラーユニットの実施例も提供する。光源は概して紫外光及び/又は青色光を出力し、光の抽出領域は、光源からの光の少なくとも一部を例えば青緑色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、及び赤色光の一つ以上の色へと変換することが出来るよう選択された一つ以上の発光性の物質を有する。光源が紫外光を出力する場合、発光性の物質は青色光を出力することが出来るよう選択されることもできる。この態様で、光の抽出領域にある発光アレイが設けられる。更に、光の抽出領域は光、即ち、ミラーユニットの光を発し、当該ミラーユニットの光は、光の抽出点から光の抽出点へと変化するスペクトル特性をもつ。
【0015】
光の抽出領域のアレイは、例えば規則的なアレイ若しくは不規則なアレイでもよいし、又は両者の組み合わせでもよい。
【0016】
特定の実施例では照明ユニットは、ミラーユニットの光の少なくとも一部を用いて全体照明を出力するよう配置される。これは特に、照明ユニットによって発生した光の一部又は全てが、ミラーユニット前面の前にある空間の少なくとも一部を照らすために使われることを意味する。これは「直接」照明である。しかし実施例では、照明ユニットにより生成された光の一部が、ミラー面に対する法線から離れてゆく方向に導かれてもよい。後者の実施例ではミラーユニットは、前記照明ユニットが点灯された場合、光が壁、床、及び天井の一つ以上のものにより反射されるよう配置される。ミラーユニットがユーザ用の鏡として使用できるように配置された場合、ミラー面に対する法線は、ミラー面の前にいる彼自身/彼女自身を観ている観察者と交差する法線である。「鏡の前にある空間の少なくとも一部を照らす」とのフレーズは、ミラー面に対する法線角度が0°乃至90°の範囲で光が導かれる実施例を特に示す。
【0017】
特定の実施例ではミラーユニットは、全体照明の少なくとも一部をミラー面に対する法線と交差する方向に出力するよう配置される。斯様な実施例ではミラーユニットは、ミラー面の前にいる観察者、即ちミラー面の前の空間の(一部)にいる観察者を照明するために使用される。例えば、斯様なミラーユニットが特に試着室の鏡として使用される。これゆえ特定の実施例では、ミラー面を有するミラーユニット前面と、複数の光源を有する照明ユニットと、ミラーユニットの光をミラーユニット前面の前にある空間へと提供するよう配置されたレンチキュラレンズのアレイと、を有する試着室の鏡が提供される。
【0018】
更なる実施例ではミラーユニットは、全体照明の少なくとも一部をミラー面の法線に対して65°乃至90°の範囲の角度にする方向に出力するよう配置される。斯様な角度は、壁、天井、及び床を照明するために選択されるが、鏡の前にいる人の目に直接向けられることはない。これらの方向の光が出力された場合、斯様な光は特に全体照明として使用される。
【0019】
ミラー又はより具体的にはミラー面は、必ずしも平坦である必要はないことに留意されたい。曲面でもよいし、又は他の形状を有してもよい。しかしながらミラー面は、実質的に平面であることが好ましい。実質的に平面をもつ実施例では、法線に対する光線の角度は、実質的にミラー面に対するあらゆる法線に対する角度でもある。
【0020】
更に他の実施例では、ミラーユニットは光をミラー面から離れる方向に、例えばミラーユニットの背後の壁へと発するよう配置され、該当する光は「周囲光」と呼ばれる。周囲光は、ミラー面に対する法線に対して90°よりも大きく180°を含む範囲の角度で進む光に特に合致する。
【0021】
特に好ましい実施例では照明ユニットは、ミラーユニットの光の少なくとも一部を使用して三次元画像を生成するよう構成される。この態様では特にミラーは魅力的な特徴を具備できる。更に一層好ましくは照明ユニットは、ミラーユニットの光の少なくとも一部を使用してシンボル、特に情報を含む三次元画像を生成するよう構成される。実施例では、シンボル又は情報は特に商標、価格情報などの宣伝情報、ニュース情報、家事規則等の一つ以上に関してもよい。用語「三次元画像」が、一つ以上の三次元画像に関してもよい。
【0022】
ミラーユニットが予め定められた三次元画像を提供するよう構成されていてもよく、即ち、ミラーは、内容が原則として変更されることができない三次元画像を提供する。しかしながら一実施例では、例えばユーザによって内容が変えられてもよい。後者の実施例では、一種のディスプレイ、即ち三次元のディスプレイユニットを有するミラーユニットが提供される。
【0023】
レンチキュラレンズを使用してどのように三次元画像を生成するかは従来から知られている。例えばS. Hentschke等による、2006年9月18日〜21日の、ケント・ステート大学、OH、米国でのSIDでの論題 P 17若しくはM.P.C.M.、又はKrijn等による、SIDジャーナル、巻16/8(2008年)、頁847乃至頁855、又はC. van Berkel等による、SPIEの第2653巻、頁32乃至頁39を参照のこと。
【0024】
更に他の実施例では、本発明はミラーユニットを提供し、照明ユニットがミラーユニットの光の少なくとも一部を用いて三次元の仮想スイッチを生成するよう更に構成され、当該ミラーユニットは更に接近センサとコントローラとを有し、接近センサが三次元の仮想スイッチから予め定められた距離の範囲内に接近した場合、照明ユニットと接近センサとがセンサ信号を出力するよう構成され、コントローラは、ミラーユニットによって出力されるミラーユニットの光の照明パラメータと、ミラーユニットにより表示される情報の表示パラメータと、ミラーユニットが配置されている空間の空間状態と、から成るグループから選択された一つ以上のパラメータを制御するよう構成される。特にこの態様で、目に見える(「有形の」)直観的なユーザー・インターフェースが提供されることができ、試着室内又は(トイレとシャワーを完備した)浴室等などにいるユーザは、照明、及び/又はミラーユニットによって(特に)提供される情報、及び/又は
温度、音楽、換気等などの一つ以上の空間の状態、などの予め定められたパラメータを操作することができ、これらのパラメータはミラーユニットが配置された空間に他の装置によって提供され、オプションで他のパラメータが提供されてもよい。
【0025】
本発明によるミラーユニットがベゼル(枠部)を更に有してもよく、一実施例では照明ユニットが一体化されている。本発明の照明システムの長所は、比較的薄いミラーユニット(したがって比較的薄いベゼル)を提供できる点である。例えば、ミラーユニットは、一実施例では、ミラーと同じ厚さをもつことができる。更に別の実施例では、ベゼルはミラーよりも僅かに厚く、例えばミラーよりも約1mm乃至10mm厚い。
【0026】
特定の実施例ではベゼルは透明であり、ミラーユニットの光の少なくとも一部がベゼルを通してミラーユニット前面の前にある空間に出力される。他の実施例では、ミラー面は半透明(例えば双方向のミラー)であるよう構成され、ミラーユニットの光の少なくとも一部がミラー面を通してミラーユニット前面の前にある空間に出力される。斯様な実施例では、ミラーの前面全体が実質的にミラー面である。一実施例では、ベゼルは双方向のミラーであって、照明ユニットの光の少なくとも一部が当該双方向のミラーを通して当該ミラーの前にある空間を通過するよう構成された、双方向のミラーを有する。
【0027】
これゆえ本発明は、本願明細書で説明されているミラーユニットを試着室のミラーとして使用することも提供する。当該ミラーユニットは、着替え室若しくは着替えエリアのミラーとして、又は(シャワー及びトイレが完備した)浴室のミラーとして、廊下若しくは階段のミラーとして使用されることもできる。当該ミラーユニットが更に、ミラーユニットの光の少なくとも一部によって情報を表示するために使用されてもよい。
【0028】
照明ユニットによって全体照明として生成される光は好ましくは白色光であり、他方、周囲光はどのような色もでもよい。三次元画像を提供するために生成される光も、どのような色もでもよい。周囲光の色及び/又は三次元画像の色も(複数の)仮想三次元スイッチを介して例えばユーザによって決められた時間と共に変化してもよい。色は、例えば青色、緑色、黄色、又は赤色等でもよい(上記も参照)。本願明細書において用語「光」は、特に可視光、即ち約380nm乃至780nmの範囲の波長をもつ光に合致する。本明細書で用いられる用語、白色光は、当業者に知られている。白色光は特に、約2,000Kと20,000Kとの間、特に2,700K乃至20,000Kの相関色温度を有する光に合致しており、全体照明用には特に約2,700K乃至6,500Kの範囲であり、バックライトの目的用には特に約7,000K乃至20,000Kの範囲であり、特にBBL(黒体場)から約15 SDCM(色合せの標準偏差値)以内、特にBBLから約10 SDCM以内、より特別の場合にはBBLから約5 SDCM以内である。「予め定められた色」という用語は、色の三角形の範囲内にあるどのような色に合致してもよいが、さもなければ特に白色光を指してもよい。
【0029】
本願明細書で説明されている実施例では、他の用語の中でとりわけ、「光を出力するよう構成された」、「三次元(画像)を生成するよう構成された」、及び、「全体照明を提供するよう構成された」、及び類似の用語が利用されている。これらの用語は特に、「スイッチが入れられた」状態にあるミラーユニットが、説明された特徴を提供することが可能なことを示すために用いられている。説明を明確にするために、実施例は、しばしば「作動状態」にて説明されている。本願明細書において説明されている実施例、及び請求項において請求されている実施例は、説明された光を提供するミラーユニットに限定されるのではなく、「スイッチが切られた」ミラーユニットも含んでいる。
【0030】
本発明の実施例がここで、対応する参照符号が対応するパーツを示している添付の概観図を引用して、例の態様のみで説明されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】本発明による、ミラーを備えたミラーユニットの実施例を概観的に示す。
【図1b】ミラーユニットの実施例を断面図で概観的に示す。
【図1c】ミラー光の少なくとも一部が発して全体照明を提供するよう構成されたミラーユニットを示す。
【図1d】ミラーユニットがミラーユニットの光の少なくとも一部を用いて三次元画像を生成するように更に構成されている実施例を概観的に示す。
【図2a】三次元画像が、複数の光源とレンチキュラレンズのアレイとを使用してどのように生成できるかについて示す。
【図2b】パターン化されたOLEDデバイスの実施例を概観的に示す。
【図2c】光導波路と光源とが設けられている実施例を概観的に示す。
【図3a】照明ユニットがベゼルと一体化された実施例の断面図を概観的に示す。
【図3b】ミラー面が半透明であり、ミラー光の少なくとも一部が当該ミラー面を通して発される実施例の断面図を概観的に示す。
【図4】本発明による照明ユニットの実施例を概観的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1aは、ミラー102を有するミラーユニット100を概観的に描いている。ミラー102及びミラーユニット100は、したがってミラー面101を有する。このミラー面が、ミラーユニット前面110に配置されている。
【0033】
ミラーユニット100は更に照明ユニット120を有するが、しかし概観図である図1aには当該照明ユニット120は図示されていない。照明ユニット120は(ミラーユニット100、又はより正確にはミラーユニットを有する照明ユニット120が「スイッチを入れられた」状態にある場合)、ミラーユニットの光250を出力するよう構成されており、当該光は「ミラー光」とも呼ばれる。図1aでは、光250が概観的に示されている。
【0034】
ミラーユニット100は、屋内又は屋外の何れかにある空間に配置されることができる。ミラーユニット100として配置された場合、ミラーユニット前面110の前には空間があり、符号4により示されている。
【0035】
この態様で、ミラーユニット100の実施例が提供され、当該ユニットは、
a. ミラー面101を有するミラーユニット前面110と、
b. ミラーユニットの光250をミラーユニット前面110の前にある空間4に提供するよう配置された複数の光源200(図示されず、下記参照)及びレンチキュラレンズのアレイ300(図示されず、下記参照)を有する照明ユニット120と、を有する。
【0036】
図1aは、部屋の壁に配置され、化粧テーブルなどのテーブルの上にあるミラーユニット100の実施例を例の態様で示している。
【0037】
概略図においてミラーユニット100は更に、例の態様で、ミラー面101を囲んでいるベゼル130を有する。当該ベゼル130は、ミラー102を当該ミラー102よりも大きな長さ及び/又は幅をもつ支持部上に配置することによって(ベゼルのスペースが)得られることもできる。
【0038】
図1aが遠近法によって実施例を概観的に示す一方、図1bはミラーユニット100の実施例を概観的に断面図で示している。ここでは、ミラーユニット120は前面110と背面125とを有する。ここではベゼル130がミラー102を囲んでいる。更にオプションで、本実施例では、照明ユニット120が周囲光260も提供するよう配置されており、
当該周囲光260が、ミラーの前面110の前にある空間4に(率先して)導かれることはない。
【0039】
更に図1bは、ミラー面101に対する法線5を概観的に示している。法線5は任意の場所に配置される。図4に描かれているように、ミラー面101の前にいる人を照明するために、ミラー光250の少なくとも一部は、法線に対する角度で好ましくは0°乃至90°の範囲にされることであろう。下記の図4も参照。
【0040】
図1cは、より多くの詳細をもつ更なる実施例を概観的に示している。図1cのミラーユニット100は、ミラー光の少なくとも一部を発し、符号252を用いて示される全体照明を提供するよう構成されている。この全体照明252の一部が、法線に対して約65°乃至90°の範囲の角度など、横向きに発される。斯様なミラー光250は壁、及び/又は床、及び/又は天井を照明するために使用され、これによって間接的な全体光を提供する。ミラー光250の一部が、より小さな角度で発されてもよく、特にミラー面101の前に配置された目標物又は人等を直接照明するために使用されてもよい。更に、ミラーユニット100、より正確には照明ユニット120(図示されず)が、周囲光260も提供するよう構成されてもよい。全体照明252の色は概して白色であろうが、周囲光260はオプションで色付きでもよい。
【0041】
図1dはミラーユニット100、特に照明ユニット120が更にミラーユニットの光250の少なくとも一部を用いて三次元画像251を生成するよう構成されている実施例を概観的に示す。図1dで概観的に描かれている実施例では照明ユニット120は、ミラーユニットの光250の少なくとも一部を用いてシンボル、特に情報を含む三次元画像251を生成するよう構成されている。例えば商標が、(一つの/複数の)三次元のシンボルとして表示されてもよい。
【0042】
好ましい実施例では照明ユニット120は更に、ミラーユニットの光250の少なくとも一部を使用して三次元の仮想スイッチ253を生成するよう構成される。図1dは、数字として描かれている5つの仮想スイッチ(1乃至5)を概観的に示している。「スイッチ」という用語の代わりに、「ボタン」という用語が使用されてもよい。仮想ボタン又は仮想スイッチは、電子回路を制御するために特に可視デバイスでもよく、当該可視デバイスは、回路を起動するためにタッチされることを必ずしも必要とするのではなく、仮想ボタン又は仮想スイッチが見える場所に接近している(ここでは人間(の一部)を含む)目標物により起動される。特にミラーユニット100は更に接近センサ40及びコントローラ50(図示されず)を有し、(目標物、例えば手又は指によって)当該接近センサ40が三次元仮想スイッチ253から予め定められた距離内、例えば約0mm乃至10mm以内に接近した場合、照明ユニット120及び接近センサ40がセンサ信号を出力するよう構成されている。センサ信号に応答してコントローラ50は、ミラーユニット100によって出力されるミラーユニットの光250の照明パラメータと、ミラーユニット100によって表示される情報の表示パラメータと、ミラーユニット100が配置された空間4の空間状態と、から成るグループから選択された一つ以上のパラメータを制御するよう構成されている。特にこの態様で、可視で(「有形で」)直観的なユーザー・インターフェースが提供されることができ、試着室内の人、又は(トイレとシャワーが完備した)バスルーム内の人等などのユーザは、(それぞれ、全体照明及び/又は周囲照明の強度及び/又は色のような)照明、及び/又は、ミラーユニットによって提供された(特に)情報、及び/又は、他の装置によってミラーユニットが配置された空間に提供される一つ以上の温度、音楽、換気等などの空間の状態、などのような予め定められたパラメータを操作することができ、及びオプションで他のパラメータも操作することができる。図1dは、照明ユニットが光250を用いて三次元画像251、(複数の)三次元仮想スイッチ253、及び全体照明252を生成するよう構成されているミラーユニットの実施例を概観的に示している。
【0043】
図2a乃至図2cは更に、レンチキュラレンズのアレイ300及び光源200の実施例を概観的に描いており、これらは照明ユニット中に全体照明などの光を導くため、及び/又は三次元画像を提供するために使うことができる。図2aは、三次元画像が複数の光源200とレンチキュラレンズのアレイ300とを使用してどのように生成されるかを示している。これは従来から知られている。図2b及び図2cは、照明ユニット120の2つの特定の実施例を概観的に描いている。図2bは、パターン化されたOLEDデバイスの実施例を概観的に描いており、例えば、発光パターンは、インクジェット印刷によって得られることが可能である。一実施例では、照明ユニット120は様々な光のパターンを提供するよう配置され、同パターンは、互いに独立してオン/オフが切替えられることが可能である。これは例えば(複数の)三次元仮想スイッチ253を使用し行われることができる。図2bでは、2個のOLED 201がレンチキュラレンズのアレイ300と共に示されている。OLED 201はOLED光204を発生し、OLED 201及びレンチキュラレンズのアレイ300が、OLED光204から、特定の方向若しくは複数の特定の方向に進む全体照明光、及び/又は三次元画像を生成するよう配置されることができる。これゆえ本実施例では、複数の光源200が複数のOLED 201を特に有する。
【0044】
図2cに概観的に描かれている更に別の実施例では、光導波路210と光源202とが設けられている。「光源」という用語は、複数の光源を指すこともある。本実施例では、一つ以上の光源202が光203を光導波路210へと発するように配置される。光導波路210は、例えばポリマ製の光導波路でもよいが、ガラス又は別の材料を有することもできる。光導波路210は特に複数の光の抽出領域211、例えば光導波路210の界面部及び同光導波路の外側にある所定の不規則な複数の部分を有する。一つ以上の光源202、光導波路210、複数の光の抽出領域211、及びレンチキュラレンズのアレイ300が、ミラーユニットの光250をミラーユニット前面110の前にある空間4に提供するよう構成される。これ故、一つ以上の光源202、光導波路210、複数の光の抽出領域211、及びレンチキュラレンズのアレイ300は、特定の方向若しくは複数の特定の方向に進む全体照明光、及び/又は三次元画像を提供するよう構成される。一実施例では、光の抽出領域211は、発光性物質のドットを有する。
【0045】
照明ユニット120は特に、ミラーユニット100と一体化される。照明ユニット120の一部はミラー102の背後に配置されるが、ベゼル130がミラーユニット100に含まれる場合は特に、当該照明ユニット120は、少なくとも部分的にベゼル130と一体化される。図3aは、照明ユニット120がベゼル130と一体化された実施例を概観的に描いている。図3aは、ベゼル130の実施例の断面図を概観的に描いている。
【0046】
図3aでは、2つの照明ユニット120が概観的に描かれている。上側のユニットは例えば、ミラー光250を使用して三次元画像251、特に仮想三次元スイッチ253を提供するよう構成されている。更にこの実施例では、ミラーユニット100、ここでは特にベゼル130が一つ以上の接近センサ40を有し、同センサへの(複数の)接近があった場合、センサ信号を出力するよう構成されている。各々の仮想三次元スイッチ253が斯様な接近センサ40を伴っていてもよい。下側の照明ユニット120は例えば、ミラー光250を用いて全体照明252を提供するよう構成されている。更に、これもベゼル130に含まれているコントローラ50が概観的に描かれている。このコントローラ50はセンサ信号を受信し、これにより、例えば光の強度、及び/又は全体照明252の色等を制御するよう構成される。
【0047】
ミラー光250がベゼル130から出射せねばならない少なくとも複数の位置で、ベゼル130は透明でもよいが、しかし当該ベゼル130は、ミラー光がミラーユニット前面110の前にある空間4に伝播できる開口部を有してもよい。これゆえ一実施例ではベゼル130は透明であり、ミラーユニットの光250の少なくとも一部がミラーユニット前面110の前にある空間4へとベゼル130を通して出力される。
【0048】
図3bは、ミラー面101が半透明である(即ちミラー102の少なくとも一部が半透明である)ように構成され、ミラーユニットの光250の少なくとも一部が、ミラー面101を通してミラーユニット前面110の前にある空間4へと発される実施例を(断面図で)概観的に描いている。この実施例の長所は、ベゼル130が照明ユニット120を受容するのが必要でないということである。ベゼル130が無くてさえもよく、これは美的理由で所望されるかも知れない。図3bで概観的に描かれた実施例は、ベゼル130の実施例を含んでいる。
【0049】
図4は、本発明によるミラーユニット100の実施例を概観的に描いている。光250が種々異なる方向へ発されている。左側の光線は、空間4を法線5から離れてゆく方向に進む。右側の光線は、空間4をミラー面101に対する法線5と交差する方向に進む。法線5に対する光250の角度が伝播角度γにより示されている。左側の光線は、例えば約45°の伝播角度γをもっている。右側の光線は約25°の伝播角度γをもっている。約65°に等しいか又はより大きな角度、及び約90°に等しいか又は好ましくは小さな角度で、間接的な全体照明が実現される。約65°よりも小さな伝播角度γを有する光が直接的な全体照明として使われる。更に概略図では、別の方向に進む光260が出力されており、当該光は周囲光として示されており、法線5に対して90°よりも大きく、180°に等しいか又は小さな範囲の伝播角度をもっている。
【0050】
本願明細書において、「実質的に垂直な」又は「実質的に含む」などで使われている用語「実質的に」が、当業者には理解されていることであろう。用語「実質的に」はまた、「全体的に」、「完全に」、「全ての」等の、用例を含むこともできる。これゆえ実施例では、形容詞、実質的に、が削除されることもできる。該当する場合、用語「実質的に」は、95%又はより高い値、特に99%又はより高い値、更には99.5%又はより高い100%を含む値など、90%又はより高い値に符合することもある。用語「有する」はまた、当該用語「有する」が「含む」を意味している実施例を含む。
【0051】
更にまた、本願明細書中及び請求項中にある用語、第1の、第2の、第3の、等は、類似のエレメント間を区別するために使用されており、シーケンスの順序又は時間的な順序を必ずしも説明しているわけではない。使われた用語が適切な状況の下で交換可能であることを理解すべきであり、及び本願明細書において説明されている本発明の実施例は、本願明細書で説明されている又は例示されている以外の別のシーケンスでの動作ができることを理解されたい。
【0052】
本願明細書で使用されているデバイスは、とりわけ、動作時に関して説明されている。当業者には明らかなように、本発明が動作の方法又は動作状態にあるデバイスに限定されることはない。
【0053】
上に記した実施例が本発明を限定するよりはむしろ、例示している点に留意する必要があり、当業者は、添付の請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能である点に留意する必要がある。請求項において括弧の間に置かれた如何なる参照符号も当該請求項を限定するものとして解釈されてはならない。動詞「有する」及びその活用型の使用が、請求項において規定された以外のエレメント又はステップの存在を排除することはない。エレメントに先行する前置詞「a」又は「an」が、複数の斯様なエレメントの存在を排除することはない。本発明は、複数の異なるエレメントを有するハードウェアにより実行されることができ、適切にプログラムされたコンピュータにより実行されることができる。複数の手段を列挙しているデバイス請求項において、これらの手段の幾つかが全く同一のハードウェアの品目により実行されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において再引用されているという単なる事実は、これらの手段の組合せは有効に使われることができないことを示してはいない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーユニットであって、
ミラー面を有するミラーユニット前面と、
ミラーユニットの光を前記ミラーユニット前面の前にある空間に出力するよう構成された複数の光源及びレンチキュラレンズのアレイを有する照明ユニットと、
を有する、ミラーユニット。
【請求項2】
前記複数の光源が複数のOLEDを有することを特徴とする、請求項1に記載のミラーユニット。
【請求項3】
前記照明ユニットが光導波路と光を当該光導波路へと発するように構成される一つ以上の光源、好ましくは一つ以上の半導体LEDとを有し、前記光導波路が複数の光の抽出領域を有し、前記一つ以上の光源、前記光導波路、前記複数の光の抽出領域、及び前記レンチキュラレンズのアレイが、前記ミラーユニットの光を前記ミラーユニット前面にある前記空間に出力することを特徴とする、請求項1又は2に記載のミラーユニット。
【請求項4】
前記複数の光の抽出領域の一つ以上が、前記一つ以上の光源のうちの少なくとも一つからの前記光の少なくとも一部を、前記一つ以上の光源のうちの少なくとも一つからの前記光とは別の波長をもつミラーユニットの光へと変換する発光性の物質を有することを特徴とする、請求項3に記載のミラーユニット。
【請求項5】
前記照明ユニットが、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部を用いて全体照明を提供することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のミラーユニット。
【請求項6】
前記ミラーユニットが前記全体照明の少なくとも一部を、前記ミラー面に対する法線と交差する方向に提供することを特徴とする、請求項5に記載のミラーユニット。
【請求項7】
前記ミラーユニットが前記全体照明の少なくとも一部を、前記ミラー面に対する法線に対して65°乃至90°の範囲の角度を成す方向に提供することを特徴とする、請求項5又は6に記載のミラーユニット。
【請求項8】
前記照明ユニットが、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部を使用して三次元画像を生成することを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載のミラーユニット。
【請求項9】
前記照明ユニットが前記ミラーユニットの光の少なくとも一部を使用して、シンボル、特に情報を含む三次元画像を生成することを特徴とする、請求項1乃至8の何れか一項に記載のミラーユニット。
【請求項10】
前記照明ユニットが更に、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部を使用して三次元の仮想スイッチを生成することを特徴とし、前記ミラーユニットが更に、接近センサとコントローラとを有することを特徴とし、当該接近センサが前記三次元の仮想スイッチから所定の距離内に接近した場合、前記照明ユニットと前記接近センサとがセンサ信号を出力することを特徴とし、及び前記コントローラがセンサ信号に応答して、前記ミラーユニットにより出力される前記ミラーユニットの光についての照明パラメータと、前記ミラーユニットにより表示される情報についての表示パラメータと、前記ミラーユニットが配置されている前記空間の状態と、からなるグループから選択された一つ以上のパラメータを制御することを特徴とする、請求項1乃至9の何れか一項に記載のミラーユニット。
【請求項11】
ベゼルを更に有する、請求項1乃至10の何れか一項に記載のミラーユニットであって、前記照明ユニットが当該ベゼル内に一体化されていることを特徴とする、ミラーユニット。
【請求項12】
ベゼルを更に有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載のミラーユニットであって、当該ベゼルが透明であり、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部が、当該ベゼルを通して前記ミラーユニット前面の前にある前記空間に出力されることを特徴とする、ミラーユニット。
【請求項13】
前記ミラー面が半透明であり、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部が、当該ミラー面を通して前記ミラーユニット前面の前にある前記空間に出力されることを特徴とする、請求項1乃至12の何れか一項に記載のミラーユニット。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のミラーユニットの、試着室の鏡としての使用。
【請求項15】
前記ミラーユニットが更に、前記ミラーユニットの光の少なくとも一部によって情報を表示するために使用されることを特徴とする、請求項14に記載のミラーユニットの使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516180(P2012−516180A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547028(P2011−547028)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050304
【国際公開番号】WO2010/086775
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】