ミリ波イメージングによるセキュリティ・システム
ミリ波隠匿武器及び禁制品検出システム。望ましいミリ波イメージング装置には、狭い一次元視野からミリ波放射線の周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナが含まれている。集められた放射線は、集めた周波数で増幅され、増幅された信号は、タップ付き遅延ビーム・フォーマによって周波数依存ビンに分割される。次に、これらのビンをサンプリングして、アンテナ視野の一次元画像が生成される。対象の二次元画像は、走査アンテナの視野を横切って対象を移動させるか、標的を横切るその焦点線の走査のため、アンテナを移動させることによって得ることが可能である。望ましい実施態様の場合、ミリ波イメージャと能動渦電流タイプの金属探知器を組み合わせることによって、選考技術によるセキュリティ・システム対して重要な優位性をもたらす、ハイブリッド・システムが得られる。望ましい実施態様には、ハイブリッド・ポータル・システム及びハイブリッド・ハンドヘルド式システムが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ、参考までに本明細書において援用されている、2001年9月29日提出の、米国特許出願第09/965,875号、2003年8月12日提出の米国特許出願第10/639,322号、及び、米国特許出願第10/728,432号の一部継続出願である。本発明は、検査システムに関するものであり、とりわけ、金属探知器及びミリ波イメージング・システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
(ミリ波イメージングシステム)
ミリメートル波長(1cm〜1mm、30GHz〜300GHz)で動作するイメージング・システムは周知のところである。これらのシステムは、これらの波長の放射線が、可視光のようにかなりの距離にわたる霧または煙によって完全に減衰することはないので、重要になる可能性がある。ミリメートル波長の放射線は、衣類、及び、乾燥材や壁板のようなかなりの厚さの材料も透過する。これらのミリ波イメージング・システムは、従って、霧を通した視程を向上させるための航空機用のもの、及び、隠された武器等を検出するためのセキュリティ用途のものが提案されてきた。こうしたシステムが、出願人の雇用主に譲渡された米国特許第5,121,124号明細書及び米国特許第5,365,237号明細書に解説されている。それらの特許に解説のシステムは、集められるミリ波放射線の方向が周波数の関数であるアンテナを利用している。このタイプのアンテナは、「周波数走査」アンテナと呼ばれる。集められたミリ波放射線は、スペクトル・アナライザによって分析され、一次元画像が生成される。走査によって、二次元画像を得ることが可能になる。‘124特許に解説のシステムの場合、アンテナ信号を利用して、音響光学素子(ブラッグ・セル)が変調され、次に、音響光学素子によって、レーザ・ビームが変調されて、スペクトル画像が生じる。‘237特許に解説のシステムの場合、アンテナ信号によって電気光学モジュールが変調され、次に、電気光学モジュールによってレーザ・ビームが変調されて、レーザ・ビームにミリ波情報が与えられ、さらに、レーザ・ビームがエタロンによってスペクトル成分に分割されて、画像が生成される。
【0003】
米国特許第4,654,666号明細書には、周波数走査アンテナと、アンテナによって集められたコード化放射線分布を時間コード化分布に変換して、一次元シーンを再現可能にするためのスペクトル・アナライザを含む、イメージング・システムの記載がある。
【0004】
(金属探知器)
金属探知器は、周知のところであり、セキュリティ用途に広く用いられている。重要な用途は、隠された武器及び禁制品を検出するためのウォーク・スルー式ポータル・セキュリティ装置である。こうしたポータル装置は、現在、ほとんどの空港で、乗客の検査に用いられている。金属探知器は、一般に、受動タイプと能動タイプに細分される。受動タイプは、鉄鋼材を検出するように設計されているが、他の金属に対しては感度がよくない。能動システムは、導電材料に渦電流を励起し、その磁気応答を測定する。大部分の鉄鋼材の導電率は低いので、能動システムは、鉄類の検出に関する有効度が低い。最新のセキュリティ・ポータルでは、個別センサがさまざまな高さレベルに位置する物体の検出に応答可能である。能動タイプの金属探知器の動作は、図17を参照して解説される。電源コイル112からの時変磁界110によって、導電性物体114に渦電流が生じ、その渦電流によって、さらに、磁界116が生じ、その磁界によって、検出器コイル118に導電性物体114の存在を示す電流が生じることになる。
【0005】
他の先行技術による隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システム。米国司法省の、National Institute of Justiceは、そのNIJガイド602−00(NCJ 184432)において、先行技術による隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出装置について優れた概要説明を行っている。この手引書は、http://www.ojp.usdoj.gov/nijでインターネットによって入手可能である。この文書には、多くの利用可能なシステムの特徴について、優れたものも、あまり良くないものも、両方とも解説されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、武器及び禁制品のポータル・スクリーニングに用いられる、比較的低コストで、操作が容易な、隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ミリ波隠匿武器及び禁制品検出システムが提供される。望ましいミリ波イメージング装置には、狭い一次元視野からミリ波放射線の周波数依存ビームを集めるための、少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナが含まれている。集められた放射線は、集められた周波数で増幅され、増幅信号は、タップ付き遅延ビーム・フォーマによって周波数依存ビンに分割される。次に、これらのビンをサンプリングして、アンテナ視野の一次元画像が生成される。対象に走査アンテナの視野を横切らせるか、あるいは、アンテナを移動させて、対象を横切る焦点線を走査することによって、対象の二次元画像を得ることが可能である。望ましい実施態様の場合、ミリ波イメージャと能動渦電流タイプの金属探知器を組み合わせることにより、先行技術のセキュリティ・システムに比べて重要な優位性をもたらす、ハイブリッド・システムが得られる。
【0008】
望ましい実施態様の場合、基本的ミリ波アンテナは、長さが4.5インチしかなく、79ミル間隔で狭い壁面に切り込まれた傾斜スロットを備えるWR−10導波路から構成されている。この幾何学的構成(アンテナは垂直方向に配置)によって、センサの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって垂直視野が20度に及ぶ、すなわち、93.5GHzにおける水平方向より約1度下から始まって、75.5GHzにおける水平方向より約21度下に及ぶ、周波数走査アンテナが得られる。細いロッド形状の円筒レンズが、各素子毎に導波路スロットをカバーし、垂直方向において、アンテナから19インチの位置にアンテナ・ビームの焦点を合わせる。アンテナは、直径4.5インチの垂直方向に配向が施された楕円筒リフレクタの焦点軸の1つに沿って、光路に沿って測定された、アンテナから19インチの位置に配置されたリフレクタの第2の平行焦点軸とアライメントがとられる。この構成によって、一次元ビームが得られる。焦点(光路に沿って測定されたアンテナから19インチの位置)において、視野は、幅が1/2インチにわずかに足りない程度で、高さが約6インチである。システムの焦点深度は、最短距離の14インチから最長距離の約29インチにわたる。周波数走査角度範囲は、14インチの最短動作距離において垂直方向に約4.5インチに相当する。84.5GHzの中心帯域周波数における水平及び垂直分解能(ビーム半値幅)は、約1.57度、または、19インチ焦点において1/2インチ未満である。二次元画像を得るには、水平方向における走査(アンテナまたは対象の)が必要になる。(アンテナが水平方向に配置される場合、走査は、もちろん、垂直方向になる。)
【0009】
ハンドヘルド式イメージャには、1つのユニット(アンテナ及び電子装置)だけしか用いないのが望ましい。走査は、手首または腕の動きによって実施される。望ましい実施態様の場合、6インチ×6インチの視野が、1秒の走査で画像化される。ハンドヘルド式ユニットには、組み込み式金属探知器、できれば、能動渦電流金属探知器が含まれるのも望ましい。
【0010】
望ましいポータル・ユニットの場合、64のこれらのアンテナ素子が、それぞれ16のアンテナからなる4つのスタックをなすように配列されて、ポータル禁制品スクリーナを構成する。4つのアンテナ・スタックのそれぞれは、ポータルを通過する人物の正面、側面、及び、背面の合成ミリ波画像生成を可能にするように、ポータル通過領域に向けられている。固定アンテナ素子が垂直走査を可能にし、人物の通過が水平走査を可能にする。人物は、水平エスカレータ上において静止したまま、ポータルを通過するのが望ましい。望ましいポータル・ユニットには、「ウォーク・スルー式」金属探知器を含むのが望ましい。
【0011】
「単一スティック」・イメージャと呼ばれる、もう1つの望ましいイメージャの場合、アンテナの受信素子は、長さ0.6メートルで、WR−10スロット付き導波路と、導波路のスロット付き壁面の前に配置された細いロッド形状の円筒レンズから構成されている。導波路は、短焦点距離が0.4メートルで、長焦点距離が5メートルの、垂直方向に配向が施された楕円筒リフレクタの短焦点軸に沿ってアライメントがとられている。このイメージャによれば、水平方向に走査した場合、5メートルの距離に位置する焦点で、人物の画像生成を行うのに十分な広さの一次元視野が垂直方向において得られる。傾斜スロットは、2ミリメートルの間隔で導波路の狭い壁面の1つに切り込まれている。この幾何学的構成によって、受信器の75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって一次元視野が20度に及ぶ、すなわち、93.5GHzにおける導波路軸に対する法線より約1度下から始まって、75.5GHzにおける法線より約21度下に及ぶ、周波数走査アンテナが得られる。このアンテナ幾何学的構成によって、リフレクタの頂点から5メートルの位置において約25ミリメートル(約1インチ)の水平及び垂直分解能が得られる。リフレクタは、ビームの周波数走査角(すなわち、20度)が、水平方向に対して±10度変化するように、後方に10度傾斜している。代わりに、アンテナを逆にして、前方に約8度傾斜させることも可能である。受信素子及びリフレクタを含むアンテナは、リフレクタ軸に対して垂直方向に機械的走査を行うことが可能である。ビームの垂直周波数走査及びアンテナの水平回転によって、二次元ラスタ画像が生じる。代わりに、検査を受ける人物が、固定アンテナの約1インチ幅の垂直視野を水平に横切って移動させられる間、アンテナを固定状態に保持することも可能である。これは、水平エスカレータまたは安価なトレッドミルで実施することが可能である。「ウォーク・スルー式」金属探知器は、検査を受ける人物に隠された金属を検査するため、エスカレータまたはトレッドミルに隣接して配置される。焦点深度は、4.75メートル〜5.25メートルまでの約500mm(20インチ)に及ぶので、イメージャを金属探知器から約5メートルの位置に配置して、その通過時における人物の焦点の合った画像を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1(A)、図1(B)、及び、図1(C)は、本発明の態様による一次元ミリ波アンテナの特徴を示す図面である。図1(A)には、基本アンテナ素子2の仰角視野が示されている。各アンテナ素子2は、WR−10導波路から構成されており、外寸がa=0.180”、b=0.130”で、内寸がa=0.100”、b=0.0.050”である。アンテナ素子は、長さが約4.5インチである。アンテナの作製時に、狭い壁面の1つが、40ミルから6ミルに薄くされる。従って、各WR−10導波路アンテナは、発射素子の働きをする、0.079”の間隔でその狭い壁面に切り込まれた57の傾斜スロット4を備えている。スロットの角度、従って、結合係数は、給電端における9.66度から負荷端における25度を超えるまで増大して、アンテナ全長に沿ってほぼ一定の電界強度が得られるようにする。角度方向が交番すると、連続した結合スロット間に「pi」ラジアン位相シフトが生じる。この幾何学的構成によって、垂直に取り付けられたアンテナの場合、垂直視野が20度に及ぶ(センサの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって)、すなわち、93.5GHzにおける水平方向より約1度下から始まって、水平方向より約21度下に及ぶ、周波数走査が行われることになる。
【0013】
(アンテナ素子の焦点合わせ)
望ましい実施態様の場合、図1(A)、図1(B)、及び、図1(C)に示すアンテナ素子2は、図2(A)及び図2(B)に示すように、19インチの位置に焦点が合わせられる。この場合、垂直方向に配向が施された直径4.5インチの楕円筒ミラー8は、その焦点線の1つが、ミラー8から3.5インチの位置にあるアンテナ素子2のスロット4の中心にあり、その第2の焦点線5は、図2(A)に示す焦点位置5からアンテナ2までの光路に沿って測定したところでは、ミラー8から15.5インチで、アンテナ2から19インチの位置にある。やはり、細いロッド形状のコリメータ・レンズ6が、導波路スロット4をカバーし、光路に沿って測定したところでは、アンテナから19インチの位置にアンテナ・ビーム7の垂直方向における焦点を合わせる。93.5〜73.5GHzの周波数範囲において、集められた放射線の波長は、中間帯域周波数の83.5GHzに対応する約0.14インチ(3.6mm)である。しかし、この望ましい実施態様の場合、分解素子(さらに詳細に後述する)は、水平方向と垂直方向の両方とも、幾分大きい(約0.5インチの範囲内で)。アンテナ素子2は、その集束素子と共に、図2(A)、図2(B)、図3(A)、及び、図3(B)においてアンテナ素子50と表示されている。焦点において、システムの視野は、幅が1/2インチにわずかに足りない程度で、高さは約6インチである。水平方向における分解能はないので、これによって一次元画像が得られる。二次元画像は、アンテナまたは対象の走査によって得られる。
【0014】
(アンテナ電子装置)
(較正及び増幅)
この望ましい実施態様では、ディッケ・スイッチングを利用して、イメージング・システムの較正が行われる。この技法では、図4に示すように、アンテナ信号の調査と設定温度負荷21の調査を交互に切り替えるフロント・エンド・スイッチ20が利用される。フロント・エンド・スイッチ20は、アンテナと負荷終端を3.84kHzの速度で切り替える。負荷は、1スイッチング・サイクルの間に、約40Kだけ加熱される可能性がある。これにより、ユニットは、リアルタイムで2つの温度較正を実施して、増幅器における利得変動並びに温度オフセットを補償することが可能になる。スイッチ自体は、M/A−Comによって製造された、伝送損失が約1.8dBの広帯域マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)PINスイッチである。
【0015】
フロント・エンド・スイッチは、フロント・エンド増幅ユニット22とパッケージ化され、フロント・エンド増幅ユニットに直接給電する。このフロント・エンド増幅ユニットは、2つの低雑音MMIC増幅器22A及び22B、帯域通過フィルタ22C、及び、低雑音MMIC出力増幅器22Dから構成される。増幅器は、システム全体の雑音温度を決めるので、広帯域幅であるが、低雑損指数を維持することが必要とされる。増幅器は、75.5GHz〜93.5GHzの18GHzにわたって動作する。連鎖をなす第1の2つの増幅器22A及び22Bは、18GHzにわたる雑音指数が約4dBで、利得が約19dBである。帯域通過フィルタ22Cは、これらの増幅器を設計がわずかに異なる第3の増幅器22Dから分離する。出力増幅器である、第3の増幅器22Dは、約22dBの利得が得られるように同調され、圧縮前に1mWまでの出力パワーを発生することが可能である。パッケージ化されると、利得段全体の利得が約53dBで、雑音出力パワーが−11dBmになり、雑音指数は平均して7dBになる。これには、フィルタ及び遷移による損失が含まれる。従って、各増幅チャネル22によって、53dBの利得、並びに、発熱体との整合がとれた総合負荷が得られ、現場での2温度フラット・フィールド較正のためのPINスイッチが得られる。MMIC増幅器及び帯域通過フィルタは、リン化インジウム基板上に、共平面導波路設計を用いて製作されるのが望ましい。
【0016】
(タップ付き遅延ビーム・フォーマ)
この広帯域増幅アンテナ・パワーは、図4に示すタップ付き遅延ビーム・フォーマに送り込まれて、アンテナ視野の垂直周波数画像を表わす周波数ビンに分解される。遅延線26は、増幅されたアンテナ信号をビーム・フォーマ24の32の信号ポートに送り込む。ビーム・フォーマ24の左側のポート24−1から始めて、各ポートへの信号は、36psずつ遅延させられる(その左側の隣接ポートに対して)。36psの遅延は、83.5GHzの中心帯域における3つの波長に相当する。(空中における83GHz波のミリ波周波数は、約3.6mmの波長に相当し、光は約12psでそれだけ進む。)従って、0時点にポート24−1に到達する信号は、また、36psの時点でポート24−2に到達し、576psの時点でポート24−16に到達し、1.152nsの時点でポート24−32に到達することになる。一連の32のタップによって、1.152ナノ秒の総時間間隔でサンプリングが行われ、ビーム・フォーマに関して870MHzの周波数分解能が得られる。(これらのビーム・フォーマの周波数分解能は、総時間散布量の逆数であり、従って、この場合、1/1.152ns=870MHzになる)。ビーム・フォーマによって、18,000MHzの広帯域信号が、32の出力ポート28によって表される32の周波数ビンに分類される。これによって、周波数ビン間において580MHzの平均分離が得られ、従って、垂直焦点面には、各アンテナ・ビームの1408MHzの帯域幅に対して約2.4倍となるオーバサンプリングが施される。(周波数分離は、18,000MHz/31=580MHzであり、アンテナ・ビームのビーム幅は、光がアンテナ素子を横切る時間[約0.71ns]の逆数[1/0.71ns=1.408MHz]にほぼ等しい。遅延線、ビーム形成レンズ、及び、入力遷移における損失、並びに、帯域幅分割損失によって、各レンズ出力におけるパワー・レベルが約−36dBmまで降下する。1つの組をなす32の高感度の検出ダイオード30によって、このパワーが各チャネル毎に32の周波数ビンにまとめられ、32の周波数範囲のそれぞれにおいて、アンテナ素子によって集められたミリ波光の強度に対応する電圧信号が生じることになる。次に、これらのダイオード信号のそれぞれによる電圧信号が、読み取り集積回路基板32の多重化読み取り集積回路チップによって読み取られる。
【0017】
ビーム・フォーマは、平滑な銅のクラッディングが施された、ポリプロピレンのような低損失誘電体で実施される。遅延線26は、回路パターンを生成するリソグラフィック・エッチングによって極めて低コストで形成され、さらに、加熱プレスにおいて2つのグラウンド層間に挟まれる。望ましい実施態様の場合、遅延線の内表面を形成する銅の平滑性は、極めて重要である。出願人の発見によれば、それによって、300ナノメートル以下の銅表面粗さが必要とされるので、これらの遅延線における損失が、約1.2dB/インチから約0.5dB/インチに低下することになる。先行技術によるマイクロ波表面粗さ仕様は、1400〜2900ナノメートルであった。上述のように、これら32のタップからの信号は、ビーム形成レンズ24に送り込まれ、ビーム形成レンズによって、各信号周波数範囲が32の出力ポート28の1つに送り込まれる。
【0018】
(ポータル禁制品スクリーナ)
図3(A)及び図3(B)に示す本発明の望ましい実施態様の場合、上述のタイプの64のアンテナ素子を利用して、ポータル禁制品スクリーナが設けられる。この望ましい実施態様の場合、それぞれ、16ずつからなる4組の垂直方向にスタックされたアンテナ素子50が、毎秒約1.5フィートの既知速度で、できれば、水平エスカレータに乗って、ポータルを通過する人物をモニタするように配置されている。各アンテナ素子は、長さが4.5インチであり(素子間の間隔は0.5インチ)、従って、スタックは、高さが80インチになり、図3(A)及び図3(B)に示すように、スタックのうちの2つ10A及び10Bは、人物の正面と側面を検分するように配置され、スタックのうちの2つ10C及び10Dは、人物の側面と背面を検分するように配置されている。
【0019】
人物51が、幅が約41インチのポータルに近づくと、彼/彼女は、ポータルの中心線からほぼポータル幅nの1/2(20.5インチ)に等しい距離の位置において、焦点領域に進入する。この領域において、スタック10A及び10Bをなす前方監視イメージング・アンテナは、被検者の正面中心線に焦点があわせられている。人物がポータルにさらに近づくと、センサ焦点が、52で表示のように、中心点から外側に掃引され、その人物の正面及び両側面の完全な2次元画像が生成される。毎秒1.5フィートの公称移動速度において、アンテナ・ビームは、約40ミリ秒毎に、1つの分解素子を通過する。イメージャは、水平面をわずかにオーバサンプリングして、30Hzで読み取りを行う。1秒で、人物が18インチ前進すると、2つのアンテナが、協力し、1/4インチ未満の放射によって、水平方向に分離された被検者の正面と両側面を包囲する60列の画像ピクセルを記録する。人物がポータルを離れると、スタックをなす第2のアンテナ対10C及び10Dが、同様に、彼/彼女の背面及び両側面の画像を生成する。
【0020】
(禁制品スクリーナの電子的特徴)
この実施態様の場合、各アンテナ列を構成する16のアンテナ素子は、各アンテナ用の増幅器セットとビーム・フォーマを備えた16の受信チャネルに給電する。アンテナ素子からの増幅信号は、一方が、ポータルを通過する人物の正面と両側面を表わし、もう一方が、その人物の両側面と背面を表わす1対の画像として処理される。この望ましい実施態様の場合、センサは、30Hzの速度で動作し、毎秒30の画像を生成する。正面と背面の両方の画像の画像化時間が、それぞれ、1秒かかるように、通過の設定を行うと、水平方向において、正面と背面の両方の画像には、それぞれ、60の画像が含まれることになる。垂直方向の場合、各列の16のアンテナ素子は、それぞれ、全部で512の角度ビームが得られるように、32の角度ビームを発生する。これらのビームは、アンテナ・スタックから約7インチの位置においてのみ、80インチにわたって垂直方向に等間隔をなし、約7インチを超えると、重なり合うようになる。従って、正面画像と背面画像の両方が、それぞれ、横に約60のピクセルと、縦に512のピクセルを含むことになり、その画像によって、ポータルを移動する人物のラップアラウンド図が得られる。ピクセル・サイズは、スタックから7インチの距離において、水平方向に約0.5インチで、垂直方向に約0.16インチである。アンテナから7インチをかなり超えた位置にいる人物のそれらの部分については、コンピュータ・ソフトウェアによってピクセル・データを修正し、オーバラップに適応して、連続したステッチ処理ラップアラウンド画像が得られるようにすることが可能である。
【0021】
各列の16の増幅器は、それぞれ、1つのスイッチと、WR−9入力を備えた、4つまでの縦続接続利得段を備えている。各増幅器には、パワー及び制御信号のための接続部と、利得段における帰還を阻止するのに十分なシールドが含まれている。
【0022】
(背景及び照明)
人物がポータルを通過していない場合、アンテナ・アレイは、その焦点領域内に何も捉えず、代わりに、焦点領域を越える広い領域から信号を受信する。この領域は、周囲温度でミリ波吸収発泡体によるコーティングを施すことが可能である。この発泡体は、ミリ波周波数で黒体の働きをし、アンテナに対して固定広帯域信号を放出する。発泡体温度が人体温度未満の場合、発泡体は、探知器を通過する人物との際立ったコントラストを示す。これによって、生成される画像の明瞭性及び先鋭度が向上する。また、望ましい実施態様の場合、低温熱放射源となるであろうポータルの上方に冷表面を設けることによって、検査される人物の画像に輪郭のコントラストを付加することが可能になる。従って、この冷放射源からの放射後、人物によって反射される、アンテナによって検出される帯域内のミリ波放射線は、他のより暖かい周囲放射源から反射される放射線に比べると、ごくわずかなものになる。結果として、スキャナは、その人物の身体、衣類、及び、予測される禁制品のさまざまな位置の角配向に応じて、走査される人物にかなりのコントラストを認めることになる。
【0023】
(プライバシー問題)
上述の本発明の望ましい応用例には、武器または他の禁制品の探索における、人物の衣類の下の目視検査が含まれる。一例として、空港の検査ポータルにおけるものがある。これには、多くの罪のない人々の検査が必要になる。得られる画像には、人々の温かい皮膚の特徴が示される。通常衣類で覆われている体の部分が、約0.5インチの解像度で画像生成される。従って、プライバシー問題が認められ、処理しなければならない。ポータル禁制品スクリーナの望ましい応用例の場合、一方は「女性」と表示され、もう一方は「男性」と表示された、2つの独立したスクリーナが設けられる。女性用スクリーナの検査員は、女性であり、男性用スクリーナの検査員は、男性である。検査を受ける人々の画像を示すモニタは、人目に触れないようになっており、証拠のために保管される画像は、検査員によって慎重に管理される。いかなる人物も、禁制品スクリーナによる検査を受けない権利を有するが、その権利を行使する者は、適切な手動探索を受けることになるであろう。
【0024】
もう1つの望ましい実施態様の場合、細心の注意を払うべき身体部分の位置における画像をぼかすためのコンピュータ・ソフトウェアが提供される。もう1つの実施態様では、銃、ナイフ、及び、爆弾のような特定の禁制品の認識を可能にする高度なソフトウェアが提供される。被検者の身体にこうした禁制品を暗示するものがあれば、警報信号(可聴及び/または視覚)を発することができるので、その人物を選び出して、より詳細な探索を行うことが可能になる。このソフトウェアによれば、被検者の画像の禁制品の位置に適切なロゴを配置することによって、禁制品の疑いのあるものの位置を示すことも可能である。代替態様では、記録された64の画像セグメントのうち、皮膚接触の異常を示すものだけが表示される。
【0025】
(画像)
図19(B)には、上述のポータル・システムによって記録される画像のタイプが例示されている。これらの画像は、後述のタイプの単一スティック・イメージャを用いて得られた、図19(A)に表示のミリ波データからコンピュータで生成された画像である。この被検者は、そのシャツの下に拳銃を隠している。留意すべきは、11の画像だけ(16ではなく)しかシミュレートされておらず、画像が多少オーバラップしているという点である。図19(C)に示すように、このシステムの制御システムは、役立つ情報(例えば、武器または禁制品の可能性を暗示するもの)を含む画像だけを表示するようにプログラムすることが可能である。これは、プライバシー問題を軽減するのに役立つであろう。隠された武器及び禁制品から反射され、放射される放射線の表示温度に比べて、はるかに冷たい温度に対応する放射線を生じる背景が設けられる。従って、イメージャは、暖かい生体より冷たいが、冷温背景よりは暖かいと思われる物体を識別することが可能になる。図19(C)に示すように、表示される画像だけが、これらの中間温度の表示を含むものとすることが可能である。
【0026】
(26インチ単一スティック・イメージャ)
本発明のもう1つの実施態様では、低コストの「単一スティック」・イメージャが利用されている。この場合、そのユニットは、ほぼ上述のように1つのアンテナだけしか備えていないが、この特定の事例では、アンテナの長さは、上述のポータル禁制品スクリーナ及び後述のハンドヘルド式ユニットに用いられる4.5インチ・アンテナに比べて、26インチである。
【0027】
(アンテナ)
図8(A)及び図8(B)は、本発明の態様による一次元ミリ波アンテナ素子の図面である。図8(A)には、図8(B)の側面図に示されているレンズCAのない、アンテナの正面図が示されている。アンテナ素子1は、外寸がa=0.180”、b=0.130”で、内寸がa=0.100”、b=0.050”のWR−10導波路から構成されており、このアンテナ素子のスロット付きセクションは、長さが24インチである。アンテナの製作時に、狭い壁面の1つが、40ミルから6ミルに薄くされる。狭い壁面に、2mm間隔で、300の傾斜スロット4Aが切り込まれ、これらが受信アパーチャの働きをする(これは、上述の5”アンテナの57のスロットに匹敵する)。スロットの角度は、導波路の全長に沿ってほぼ一定の信号結合が得られるように、導波路の入力ポート60における3.6度から変化し、終端7に向かって漸増する。角度の方向は交代し、連続した結合スロット間において180度の位相シフトを生じる。この幾何学的構成によって、垂直方向に取り付けられたアンテナの場合、システムの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって、20度の垂直視野に及ぶ周波数走査が行われることになる。垂直(高低)面において、アンテナ受信素子は、図9に示すように、各周波数毎に、幅0.2度の細いビームを放射する。水平面において、そのビームは、導波路の「b」寸法が小さいため、幅が120度になる。
【0028】
(アンテナ素子の焦点合わせ)
望ましい実施態様の場合、図10(A)に示すアンテナ素子1は、図10(A)及び図10(B)に示すように5メートルの位置に焦点が合わせられる。この場合、垂直方向に配向が施された、幅0.6メートルで、高さ0.8メートルの楕円筒ミラー8は、その焦点線の1つが、受信素子1のスロット5の中心に位置し、その第2の焦点9が、図10(A)に示すアンテナから5メートルに位置する。これによって、アンテナ・ビーム10は、水平方向において5メートルの位置に集束することになる。細いロッド形状のレンズ6Aは、スロット4Aをカバーし、アンテナから5メートルの位置で93.5GHzの周波数に対応するアンテナ・ビーム11を焦点12に集束させる。約75.5GHzのより周波数の低いビーム13が、アンテナから同じ距離であるが、異なる焦点14に集束させられる。図10(B)に示すビーム幾何学的特性によって、導波路アンテナ信号がスロット付き導波路の底面ポート6に確実に集まることになる。
【0029】
(アンテナ電子装置)
(較正及び増幅)
この望ましい実施態様では、ディッケ・スイッチングを利用して、イメージング・システムの較正が行われる。この技法では、図3に示すように、アンテナ2Aの調査と設定温度負荷21の調査を交互に切り替えるフロント・エンド・スイッチ20が利用される。フロント・エンド・スイッチ20は、3.84kHzの速度で切り替える。負荷は、1スイッチング・サイクルの間に、約40Kだけ加熱される可能性がある。これにより、ユニットは、リアルタイムで2つの温度較正を実施して、増幅器における利得変動並びに温度オフセットを補償することが可能になる。スイッチ自体は、M/A−Comによって製造された、伝送損失が約1.8dBの広帯域マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)PINスイッチである。
【0030】
ディッケ・スイッチ20は、低雑音増幅器62と共に、信号増幅ユニット64にパッケージ化されている。増幅器62には、タップ付き遅延ビーム・フォーマ66内のミリ波検出器を駆動するのに十分な75.5〜95.5GHzの出力パワーを送り出す、一連の低雑音MMIC広帯域増幅器が含まれている。増幅器は、システム全体の雑音温度を決めるので、広帯域幅であるが、低雑損指数を維持することが必要とされる。増幅器は、約7dBの雑音指数で、75.5GHz〜93.5GHzの18GHzにわたって動作する。MMIC増幅器及び他の増幅ユニット・コンポーネントは、リン化インジウム基板上に、共平面導波路設計を用いて製作されるのが望ましい。
【0031】
(タップ付き遅延ビーム・フォーマ)
アンテナ2Aからの広帯域増幅アンテナ信号は、図11及び図12に示すタップ付き遅延ビーム・フォーマ66に送り込まれて、アンテナ視野の垂直画像ピクセルを表わす周波数ビンに分解される。図12にさらに詳細に示されているように、ビーム・フォーマには、入力線路68、遅延線ネットワーク70、ロットマン・レンズ72、レンズの入力76及び出力78におけるホーン・アレイが含まれている。出力ホーンに接続された信号線路は、特定周波数に同調させられるミリ波検出回路80内に終端がくる。遅延線ネットワークによって、信号パワーが入力ホーン76間で分割され、隣接ホーンによってロットマン・レンズ内に放射される信号間に一定の時間遅延が生じる。ロットマン・レンズのもう一方の端部において、これらの信号が、128の出力ホーン78の1つにおいて、ある特定周波数に関して強め合うように結合し、その結果、ミリ波パワーが、それぞれに異なる周波数に合わせて異なる出力ポートに分類されることになる。入力ホーン間のインクリメンタル信号遅延は、ビーム・フォーマの300MHzの周波数分解能を実現するように選択される。ビーム・フォーマのこの狭帯域の集束能力は、図13によって例示のように、出願人による実験で実現され、立証されている。図13に認められる狭いピーク32Aは、ビーム・フォーマの128ある出力チャネルの1つの応答を表している。同様の応答は、他の周波数に関する回路の128ある出力チャネルのそれぞれにおいても観測されている。
【0032】
ビーム・フォーマは、平滑な銅のクラッディングが施された、ポリプロピレンのような低損失誘電体で実施される。遅延線70は、回路パターンを生成するリソグラフィック・エッチングによって極めて低コストで形成され、さらに、加熱プレスにおいて2つのグラウンド層間に挟まれる。上述の実施態様に関して、遅延線の内表面を形成する銅の平滑性は、極めて重要であり、出願人は、300ナノメートル以下の銅表面粗さを要求することにより、損失を約0.5dB/インチに制限する。先行技術によるマイクロ波表面粗さ仕様は、1400〜2900ナノメートルであった。
【0033】
(信号検出及びサンプリング)
図13のデータによれば、単一入力周波数において、ビーム・フォーマ材料は、約20dBの信号損失の原因となる。18GHzの広帯域入力の場合、128の出力チャネル間における入力パワーの分割によって、さらに21dBの信号損失が生じる結果として、全信号減衰は少なくともチャネル当り41dBになるであろう。従って、この極めて低いパワーが、図12に示すチャネル検出器82によって検出されることになる。検出器の出力電圧は、読み取りチップ80によって、増幅され、積算され、ディジタル化される。イメージャには、イメージャのS/N比性能が検出器及び読み取り回路において劣化しないことを保証するため、HRL Laboratories LLC社製のSbヘテロ構造ダイオードのような、極めて高感度のミリ波検出ダイオードが利用される。
【0034】
128の周波数チャネルのそれぞれに関するディジタル化信号は、データが最終的に処理され、画像をなすように表示されるコンピュータ36と情報をやりとりをする、図11に示すインターフェイス・モジュール35によって受信される。コンピュータは、チャネル利得、積分時間等のようなイメージャの最適な性能パラメータの設定にも関与する。同じコンピュータを利用して、電動式回転ステージを用いた画像の水平走査の制御が行われる。コンピュータとインターフェイス・モジュール35との間の通信線路37は、特定の用途にどちらの方法が適しているかに基づいて、有線または無線とすることが可能である。
【0035】
(現場配備のための機械走査イメージャ)
望ましい実施態様の場合、ミリ波及び低周波信号処理電子装置を含む上記アンテナ・システムは、機械的回転ステージと一体化されて、アンテナの焦点面に物体の二次元ラスタ画像を生成する。
【0036】
イメージャのこの望ましい構成が、図14(A)に示されている。スロット付き導波路受信器2A及びリフレクタ8Aを含むミリ波周波数走査アンテナ・システム84が、コンピュータ制御精密回転ステージ86の上部に取り付けられている。アンテナが取り付けられるステージのベースは、イメージャから5メートルの焦点が、ステップ毎に解像限界スポットの約1/2ずつ水平方向にシフトするように、0.12度ステップでモータ88によって水平方向に回転させられる。ステージは、ビーム角のランダムな移動が、水平方向と垂直方向の両方において0.05度を超えないことを確実なものにするため、機械的に安定するように設計が施されている。回転ベース及びモータ駆動装置は、運搬及び配備を容易にするため、頑丈な三脚架91の一部をなしている。ステッパ・モータは、遠隔コンピュータ・ステーション94から命令を受信する、モータ制御モジュール92による電力供給を受ける。ミリ波信号処理及びサンプリング・モジュール90が、アンテナ・システムと同じ回転ステージに取り付けられている。画像捕捉は、コンピュータ94と情報をやりとりするインターフェイス96によって制御される。コンピュータ94は、画像表示用のフラット・スクリーンを備えたバッテリ電源式携帯用PCが望ましい。コンピュータ特性は、イメージャ制御機能、信号捕捉、画像処理、及び、リアルタイム表示を実施するのに十分でなければならない。コンピュータ94は、アプリケーションの要件に応じて、ケーブルまたは無線リンクを介して、制御モジュール92及びインターフェイス・モジュール96と遠隔通信を行う。モジュール92とモータ88との間、ミリ波モジュール90とインターフェイス装置96との間の接続は、有線が望ましい。
【0037】
イメージャ配備の一例が、武器が隠されている可能性があるか検査するためのPOWを例示した図14(B)に示されている。オペレータ98は、コンピュータ100を利用して安全距離からイメージャ84を制御するが、POW被検者73は、イメージャの焦点面内に立つように命じられる。被検者の完全な画像が、数秒以内に走査され、隠匿武器の分析のため、コンピュータ・スクリーン72に表示される。必要があれば、被検者のさまざまな面の複数画像を順次撮ることが可能である。
【0038】
現時点における最新のテクノロジを用いた機械走査画像が、出願人によって首尾よく作成され、テストされた。イメージャによって、垂直方向にピクセル128個分、水平方向にピクセル60個分の画像サイズ、及び、2秒の捕捉時間について、約3ケルビン温度の分解能が得られた。被検者が、金属表面からの空の反射を可能にするオープン・スペース内で走査される場合、このシステムによって、この温度分解能で、銃、大型ナイフ、及び、自爆用金属パイプベストのような各種金属物体を検出することが可能であることが分った。図15(A)には、シミュレートされた自爆用パイプ・ベスト104を着用した被検者に関するこうした走査画像の例が示され、図15(B)には、金属ナイフ106の例が示され、図15(C)には、拳銃108の例が示されている。
【0039】
(金属探知器を備えたハイブリッド・ユニット)
検査を受ける人物が、固定アンテナの約1インチ幅の垂直視野を水平に横切って移動させられる間、アンテナを固定状態に保持することも可能である。これは、水平エスカレータまたは安価なトレッドミルで実施することが可能である。「ウォーク・スルー式」金属探知器は、検査を受ける人物に隠された金属を検査するため、エスカレータまたはトレッドミルに隣接して配置される。焦点深度は、4.75メートル〜5.25メートルまでの約500mm(20インチ)に及ぶので、イメージャを金属探知器から約5メートルの位置に配置して、それを通過する人物の焦点の合った画像を得ることが可能である。
【0040】
(金属探知機およびミリ波イメージャを備えたポータル)
ミリ波イメージング・システムと磁気金属探知器を1つのポータルに一緒に組み込むことにより、総合的な検出能力と物体分類の改善を達成することが可能になる。ハイブリッド・ポータルの望ましい実施態様では、提案されたミリ波イメージャは、CEIA Corporation社によって開発されたSMD600または同様の製品のような商用金属探知ポータルと並列に動作する。
【0041】
並行して機能するミリ波イメージャ及び金属探知器は、互いに補完し合い、システム性能全体のレベルを高める。金属探知器は、ごくわずかな量の金属に対しても極めて高感度であり、そのため、コイン、眼鏡、キー等のような無害な物体によって生じる警報の、高周波数に起因する問題を生じる。警報の原因を確認するため、警備担当者は、スクリーニング・プロセスをかなり緩慢なものにし、警備費用を増大させることになる、手動探索を実施しなければならない。ミリ波イメージャは、金属探知機ほど高感度でないかもしれないが、それには、画像が生成されるという利点があり、物体が危険な存在のカテゴリに入るか、危険ではない存在のカテゴリに入るかを視覚的に見極めることが可能になる。
【0042】
2つのシステムが同じポータルで利用されるという、検討されたシナリオの1つでは、金属探知器の警報を鳴らす金属物体が、こうした物体の存在を示した1つまたは複数のセクタ内のミリ波画像を利用して精査される。検出される物体のサイズ及び形状を利用して、さらに探索する必要があるか否かの判定が行われることになる。ミリ波イメージャには、金属探知器では検出できない、プラスチック、セラミック等のような非金属物体を検出する能力がある。プラスチック及びセラミック製ナイフは、主として金属探知アプローチに基づく既存のセキュリティ・システムに重大な脅威となり、多大の問題を生じる可能性がある。
【0043】
図16(A)及び図16(B)には、ミリ波及び金属探知セキュリティ・ポータル200の望ましい実施態様が示されている。金属探知ポータル201には、個別金属センサを備える垂直センサ202が設けられている。203のような金属物体が検出されると、ポータルは、警備担当者に対して警告灯(及び/または可聴警報)の形で警報信号を送る。同時に、2つのミリ波イメージャが、ポータルの右側(205A)において被検体からの熱放射データを収集し、もう2つのミリ波ミリ波イメージャが、左側(205B)からデータを収集する。いくつかのセクタの金属探知器の警告灯(または同様のインジケータ)が、対応するセクタからの熱画像と共に表示される。次に、人間のオペレータによって、または、コンピュータ・プログラムによって自動的に、さらなるスクリーニングが必要か否かの決定がなされる。金属探知器によって金属が検出されなくても、なおかつ、熱画像によって、ポータルのセキュリティ・オペレータに対し、より詳細な探索を実施させる信号を与えることになる、不審な物体の存在を知らせることが可能である。
【0044】
ミリ波イメージャの重要な利点は、場合によっては、手動探索が行えない警報状況の解決に役立つ可能性があるという点である。さらなる探索が必要とされる場合でも、被検者にもう1回ポータルを通過するように要求し、不審な物体の性質を明らかにすることが可能なより多くのミリ波画像を撮ることによって、ミリ波イメージャは、プライバシーを侵害することなく、その実施に役立つことが可能である。数回の余分な通過によって多少の時間がかかるとしても、それほど時間を費やすこともなく、特別に配属された警備担当者がその作業を実施する必要もなくなる。
【0045】
図16(A)には、ハイブリッド・ポータル300の望ましい実施態様に関する平面図が示されている。そのポータルには、金属探知ポータル301とミリ波イメージング・ポータル302Aと302Bが含まれている。ミリ波ポータルは、被検者の両側からのミリ波放射線310を集める、左(302B)と右(302A)のミリ波イメージング・センサから構成されている。被検者304は、方向311にポータル・システムに進入し、その正面(左及び右)が、センサ302A及び302Bによって画像生成される。次に、被検者は、ポータルの中心305を通過し、高さレベルのそれぞれに異なる金属探知器312が金属物体の存在を検知する。ポータルからの出口306において、被検者の背面のミリ波画像が、ミリ波センサ302Aと302Bによって撮られる。これによって、スクリーニング・サイクルが完了する。警報が鳴ると、第2のスクリーニングによって、手動探索が行えない状況を解決することが可能である。
【0046】
(ハンドヘルド式イメージャ・探知器)
図18(A)は、ハンドヘルド式ミリ波イメージ・センサ119の図面である。センサは、光路に沿って19インチ(ミラー8の背面から15.5インチ)の位置に焦点を合わせられたアンテナを備え、その焦点に位置する6インチ×1/2インチの視野の一次元画像を生成するようになっている、上述の基本イメージャ・センサ(図2(A)及び図2(B)参照)である。(ただし、このユニットの場合、アンテナが水平方向に配置されているので、固定ユニットによって一次元水平画像が生成され、垂直走査によって二次元画像が生成されるという点に留意されたい。)望ましい実施態様の場合、センサのフレーム・レートは、30Hzであり、従って、6インチ×6インチの視野の二次元画像がオペレータの腕の動きによって生じる1秒間の走査で生成されることになる。毎秒6インチより大幅に速い走査によって、多少のぼけが生じる。大幅に遅い走査によって、より際立ったコントラストが得られるが、画像は多少歪むことになる。センサは、ミリ波に対して透明なカバー122を備えるハウジング120に収容されている。最良の結果が得られるように、センサの前部は、走査される表面から約12インチの位置に保持される。ユニットの重さは約4ポンドであり、人間工学によるハンドルには、アーム・サポート124が設けられている。ハンドル125は、位置126が把握される。対象領域の画像は、スクリーン128に表示される。ユニットのバッテリは、ハンドル125内に収容されている。
【0047】
望ましい実施態様の場合、図18(B)に示すユニットには、金属探知コイル128が含まれており、揺動磁界を発生して、導電性物体に渦電流を生じさせて、別の磁界を発生させる。これらの渦電流によって生じる磁界は、次に、導電性物体の存在を示す電流を発生するのと同じコイルによって検知される。金属探知の場合、ユニットの走査は、走査を受ける表面にできるだけ接近して行われる。
【0048】
(他の実施態様)
禁制品検出技術の技術者には明らかなように、上述の例に対して多くの修正を施すことが可能である。例えば、上述のように、水平エスカレータに人物を乗せて、ポータルを通過させる代わりに、通常の歩行速度の約1/4といった指定のペースで、歩いてポータルを通過するように、その人物に要求することが可能である。図5及び図6に示すように、アンテナ素子に対する人物の適正な位置決めを確実にするため、ポータルにミリ波に対して透明なバリア60を配置することも可能である。アンテナ素子の焦点位置の選択に関して、さまざまなトレードオフが可能である。アンテナを検査を受ける人物から光学的により遠くに位置決めし、焦点距離を長くすると、アンテナ素子の焦点深度を増すことが可能である。これは、ユニットをコンパクトに保つため、図6に示すミラー61によって実施可能である。図7において、画像生成される表面とアンテナ素子との間の距離の関数として、スキャナの近似横方向分解能の推定値が示されている。
【0049】
本発明については、上記において、特定の実施態様に関連して説明されてきたが、当該技術者には明らかなように、他の多くの変更を加えることが可能である。例えば、相関した識別及び基準情報をもたらすように、ミリ波スキャナと同期した赤外線または可視光カメラを適応させることも可能である。アンテナ素子の自動焦点合わせを可能にすることによって、分解能の向上が可能になる。代わりに、さまざまな焦点距離を備えた、数組のアンテナ素子を追加して、ポータル通過時に、対象人物の各部分毎に最適な焦点を選択するように、プロセッサ・ソフトウェアにプログラミングを施すことも可能である。アンテナ・サイズが大きくなると、分解能の向上も可能になる。ポータルを通過する人物は、単一スタックの前で回転させることもできるし、4つのスタックの前で回転させることも可能である。多くのスクリーニング時間が利用可能な適用例の場合、検査を受ける人物を、自動または手動により、単一素子、または、より少ない素子で走査することが可能である。図4に示す増幅器に対して修正を施すことが可能であるが、できれば、少なくとも50dBの利得が得られるのが望ましい。図8(A)及び図8(B)に示す単一スティック・イメージャが、垂直方向に配置され、水平方向に回転させられる。他の実施態様では、これらの方向を再検討することも可能である。回転範囲は、上述の適用例の場合の数度から、360度の完全な1回転にわたる、任意の量とすることが可能である。単一スティック・イメージャは、位置を固定することが可能であり、画像生成される被検者は、垂直方向のビームを横切って側方に移動させることが可能である。さらに、被検者を垂直ビーム内で回転させることも可能である。従って、本発明の範囲は、付属の請求項及びその法的同等物によって決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一次元周波数走査スロット・アンテナの特徴を示す図である。
【図2】図1(A)〜図1(C)に示すアンテナの焦点合わせ技法を示す図である。
【図3】ポータル禁制品スキャナにおける上述のアンテナの構成64を示す図である。
【図4】ミリ波を画像に変換するための電子回路を示す図である。
【図5】スクリーニング・ポータルを通過する人物を示す図である。
【図6】被写界深度の深い実施態様を示す図である。
【図7(A)】分解能と、アンテナと対象の間の距離との関係を示す図である。
【図7(B)】分解能と、アンテナと対象の間の距離との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の望ましい実施態様の特徴を示す図である。
【図9】第2の望ましい実施態様に関するアンテナ・パターンのチャートである。
【図10】第2の望ましい実施態様のアンテナの焦点合わせ技法を示す図である。
【図11】第2の望ましい実施態様の主要構成要素を描いたブロック図である。
【図12】第2の実施態様に関するビーム・フォーマの図である。
【図13】第2の望ましい実施態様のプロトタイプからの実験データを示す図である。
【図14(A)】第2の望ましい実施態様のプロトタイプの特徴を示す図である。
【図14(B)】第2の望ましい実施態様の望ましい適用例を示す図である。
【図15】第2の望ましい実施態様によるプロトタイプによって撮られたサンプル画像を示す図である。
【図16】ハイブリッド・セキュリティ・システムの特徴を示す図である。
【図17】先行技術による能動金属探知器の特徴を示す図である。
【図18】ハンドヘルド式イメージャ及びハンドヘルド式ハイブリッド・イメージャ・探知器の特徴を示す図である。
【図19】望ましいシステムによって生成されるであろうタイプのコンピュータ画像を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ、参考までに本明細書において援用されている、2001年9月29日提出の、米国特許出願第09/965,875号、2003年8月12日提出の米国特許出願第10/639,322号、及び、米国特許出願第10/728,432号の一部継続出願である。本発明は、検査システムに関するものであり、とりわけ、金属探知器及びミリ波イメージング・システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
(ミリ波イメージングシステム)
ミリメートル波長(1cm〜1mm、30GHz〜300GHz)で動作するイメージング・システムは周知のところである。これらのシステムは、これらの波長の放射線が、可視光のようにかなりの距離にわたる霧または煙によって完全に減衰することはないので、重要になる可能性がある。ミリメートル波長の放射線は、衣類、及び、乾燥材や壁板のようなかなりの厚さの材料も透過する。これらのミリ波イメージング・システムは、従って、霧を通した視程を向上させるための航空機用のもの、及び、隠された武器等を検出するためのセキュリティ用途のものが提案されてきた。こうしたシステムが、出願人の雇用主に譲渡された米国特許第5,121,124号明細書及び米国特許第5,365,237号明細書に解説されている。それらの特許に解説のシステムは、集められるミリ波放射線の方向が周波数の関数であるアンテナを利用している。このタイプのアンテナは、「周波数走査」アンテナと呼ばれる。集められたミリ波放射線は、スペクトル・アナライザによって分析され、一次元画像が生成される。走査によって、二次元画像を得ることが可能になる。‘124特許に解説のシステムの場合、アンテナ信号を利用して、音響光学素子(ブラッグ・セル)が変調され、次に、音響光学素子によって、レーザ・ビームが変調されて、スペクトル画像が生じる。‘237特許に解説のシステムの場合、アンテナ信号によって電気光学モジュールが変調され、次に、電気光学モジュールによってレーザ・ビームが変調されて、レーザ・ビームにミリ波情報が与えられ、さらに、レーザ・ビームがエタロンによってスペクトル成分に分割されて、画像が生成される。
【0003】
米国特許第4,654,666号明細書には、周波数走査アンテナと、アンテナによって集められたコード化放射線分布を時間コード化分布に変換して、一次元シーンを再現可能にするためのスペクトル・アナライザを含む、イメージング・システムの記載がある。
【0004】
(金属探知器)
金属探知器は、周知のところであり、セキュリティ用途に広く用いられている。重要な用途は、隠された武器及び禁制品を検出するためのウォーク・スルー式ポータル・セキュリティ装置である。こうしたポータル装置は、現在、ほとんどの空港で、乗客の検査に用いられている。金属探知器は、一般に、受動タイプと能動タイプに細分される。受動タイプは、鉄鋼材を検出するように設計されているが、他の金属に対しては感度がよくない。能動システムは、導電材料に渦電流を励起し、その磁気応答を測定する。大部分の鉄鋼材の導電率は低いので、能動システムは、鉄類の検出に関する有効度が低い。最新のセキュリティ・ポータルでは、個別センサがさまざまな高さレベルに位置する物体の検出に応答可能である。能動タイプの金属探知器の動作は、図17を参照して解説される。電源コイル112からの時変磁界110によって、導電性物体114に渦電流が生じ、その渦電流によって、さらに、磁界116が生じ、その磁界によって、検出器コイル118に導電性物体114の存在を示す電流が生じることになる。
【0005】
他の先行技術による隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システム。米国司法省の、National Institute of Justiceは、そのNIJガイド602−00(NCJ 184432)において、先行技術による隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出装置について優れた概要説明を行っている。この手引書は、http://www.ojp.usdoj.gov/nijでインターネットによって入手可能である。この文書には、多くの利用可能なシステムの特徴について、優れたものも、あまり良くないものも、両方とも解説されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、武器及び禁制品のポータル・スクリーニングに用いられる、比較的低コストで、操作が容易な、隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ミリ波隠匿武器及び禁制品検出システムが提供される。望ましいミリ波イメージング装置には、狭い一次元視野からミリ波放射線の周波数依存ビームを集めるための、少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナが含まれている。集められた放射線は、集められた周波数で増幅され、増幅信号は、タップ付き遅延ビーム・フォーマによって周波数依存ビンに分割される。次に、これらのビンをサンプリングして、アンテナ視野の一次元画像が生成される。対象に走査アンテナの視野を横切らせるか、あるいは、アンテナを移動させて、対象を横切る焦点線を走査することによって、対象の二次元画像を得ることが可能である。望ましい実施態様の場合、ミリ波イメージャと能動渦電流タイプの金属探知器を組み合わせることにより、先行技術のセキュリティ・システムに比べて重要な優位性をもたらす、ハイブリッド・システムが得られる。
【0008】
望ましい実施態様の場合、基本的ミリ波アンテナは、長さが4.5インチしかなく、79ミル間隔で狭い壁面に切り込まれた傾斜スロットを備えるWR−10導波路から構成されている。この幾何学的構成(アンテナは垂直方向に配置)によって、センサの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって垂直視野が20度に及ぶ、すなわち、93.5GHzにおける水平方向より約1度下から始まって、75.5GHzにおける水平方向より約21度下に及ぶ、周波数走査アンテナが得られる。細いロッド形状の円筒レンズが、各素子毎に導波路スロットをカバーし、垂直方向において、アンテナから19インチの位置にアンテナ・ビームの焦点を合わせる。アンテナは、直径4.5インチの垂直方向に配向が施された楕円筒リフレクタの焦点軸の1つに沿って、光路に沿って測定された、アンテナから19インチの位置に配置されたリフレクタの第2の平行焦点軸とアライメントがとられる。この構成によって、一次元ビームが得られる。焦点(光路に沿って測定されたアンテナから19インチの位置)において、視野は、幅が1/2インチにわずかに足りない程度で、高さが約6インチである。システムの焦点深度は、最短距離の14インチから最長距離の約29インチにわたる。周波数走査角度範囲は、14インチの最短動作距離において垂直方向に約4.5インチに相当する。84.5GHzの中心帯域周波数における水平及び垂直分解能(ビーム半値幅)は、約1.57度、または、19インチ焦点において1/2インチ未満である。二次元画像を得るには、水平方向における走査(アンテナまたは対象の)が必要になる。(アンテナが水平方向に配置される場合、走査は、もちろん、垂直方向になる。)
【0009】
ハンドヘルド式イメージャには、1つのユニット(アンテナ及び電子装置)だけしか用いないのが望ましい。走査は、手首または腕の動きによって実施される。望ましい実施態様の場合、6インチ×6インチの視野が、1秒の走査で画像化される。ハンドヘルド式ユニットには、組み込み式金属探知器、できれば、能動渦電流金属探知器が含まれるのも望ましい。
【0010】
望ましいポータル・ユニットの場合、64のこれらのアンテナ素子が、それぞれ16のアンテナからなる4つのスタックをなすように配列されて、ポータル禁制品スクリーナを構成する。4つのアンテナ・スタックのそれぞれは、ポータルを通過する人物の正面、側面、及び、背面の合成ミリ波画像生成を可能にするように、ポータル通過領域に向けられている。固定アンテナ素子が垂直走査を可能にし、人物の通過が水平走査を可能にする。人物は、水平エスカレータ上において静止したまま、ポータルを通過するのが望ましい。望ましいポータル・ユニットには、「ウォーク・スルー式」金属探知器を含むのが望ましい。
【0011】
「単一スティック」・イメージャと呼ばれる、もう1つの望ましいイメージャの場合、アンテナの受信素子は、長さ0.6メートルで、WR−10スロット付き導波路と、導波路のスロット付き壁面の前に配置された細いロッド形状の円筒レンズから構成されている。導波路は、短焦点距離が0.4メートルで、長焦点距離が5メートルの、垂直方向に配向が施された楕円筒リフレクタの短焦点軸に沿ってアライメントがとられている。このイメージャによれば、水平方向に走査した場合、5メートルの距離に位置する焦点で、人物の画像生成を行うのに十分な広さの一次元視野が垂直方向において得られる。傾斜スロットは、2ミリメートルの間隔で導波路の狭い壁面の1つに切り込まれている。この幾何学的構成によって、受信器の75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって一次元視野が20度に及ぶ、すなわち、93.5GHzにおける導波路軸に対する法線より約1度下から始まって、75.5GHzにおける法線より約21度下に及ぶ、周波数走査アンテナが得られる。このアンテナ幾何学的構成によって、リフレクタの頂点から5メートルの位置において約25ミリメートル(約1インチ)の水平及び垂直分解能が得られる。リフレクタは、ビームの周波数走査角(すなわち、20度)が、水平方向に対して±10度変化するように、後方に10度傾斜している。代わりに、アンテナを逆にして、前方に約8度傾斜させることも可能である。受信素子及びリフレクタを含むアンテナは、リフレクタ軸に対して垂直方向に機械的走査を行うことが可能である。ビームの垂直周波数走査及びアンテナの水平回転によって、二次元ラスタ画像が生じる。代わりに、検査を受ける人物が、固定アンテナの約1インチ幅の垂直視野を水平に横切って移動させられる間、アンテナを固定状態に保持することも可能である。これは、水平エスカレータまたは安価なトレッドミルで実施することが可能である。「ウォーク・スルー式」金属探知器は、検査を受ける人物に隠された金属を検査するため、エスカレータまたはトレッドミルに隣接して配置される。焦点深度は、4.75メートル〜5.25メートルまでの約500mm(20インチ)に及ぶので、イメージャを金属探知器から約5メートルの位置に配置して、その通過時における人物の焦点の合った画像を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1(A)、図1(B)、及び、図1(C)は、本発明の態様による一次元ミリ波アンテナの特徴を示す図面である。図1(A)には、基本アンテナ素子2の仰角視野が示されている。各アンテナ素子2は、WR−10導波路から構成されており、外寸がa=0.180”、b=0.130”で、内寸がa=0.100”、b=0.0.050”である。アンテナ素子は、長さが約4.5インチである。アンテナの作製時に、狭い壁面の1つが、40ミルから6ミルに薄くされる。従って、各WR−10導波路アンテナは、発射素子の働きをする、0.079”の間隔でその狭い壁面に切り込まれた57の傾斜スロット4を備えている。スロットの角度、従って、結合係数は、給電端における9.66度から負荷端における25度を超えるまで増大して、アンテナ全長に沿ってほぼ一定の電界強度が得られるようにする。角度方向が交番すると、連続した結合スロット間に「pi」ラジアン位相シフトが生じる。この幾何学的構成によって、垂直に取り付けられたアンテナの場合、垂直視野が20度に及ぶ(センサの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって)、すなわち、93.5GHzにおける水平方向より約1度下から始まって、水平方向より約21度下に及ぶ、周波数走査が行われることになる。
【0013】
(アンテナ素子の焦点合わせ)
望ましい実施態様の場合、図1(A)、図1(B)、及び、図1(C)に示すアンテナ素子2は、図2(A)及び図2(B)に示すように、19インチの位置に焦点が合わせられる。この場合、垂直方向に配向が施された直径4.5インチの楕円筒ミラー8は、その焦点線の1つが、ミラー8から3.5インチの位置にあるアンテナ素子2のスロット4の中心にあり、その第2の焦点線5は、図2(A)に示す焦点位置5からアンテナ2までの光路に沿って測定したところでは、ミラー8から15.5インチで、アンテナ2から19インチの位置にある。やはり、細いロッド形状のコリメータ・レンズ6が、導波路スロット4をカバーし、光路に沿って測定したところでは、アンテナから19インチの位置にアンテナ・ビーム7の垂直方向における焦点を合わせる。93.5〜73.5GHzの周波数範囲において、集められた放射線の波長は、中間帯域周波数の83.5GHzに対応する約0.14インチ(3.6mm)である。しかし、この望ましい実施態様の場合、分解素子(さらに詳細に後述する)は、水平方向と垂直方向の両方とも、幾分大きい(約0.5インチの範囲内で)。アンテナ素子2は、その集束素子と共に、図2(A)、図2(B)、図3(A)、及び、図3(B)においてアンテナ素子50と表示されている。焦点において、システムの視野は、幅が1/2インチにわずかに足りない程度で、高さは約6インチである。水平方向における分解能はないので、これによって一次元画像が得られる。二次元画像は、アンテナまたは対象の走査によって得られる。
【0014】
(アンテナ電子装置)
(較正及び増幅)
この望ましい実施態様では、ディッケ・スイッチングを利用して、イメージング・システムの較正が行われる。この技法では、図4に示すように、アンテナ信号の調査と設定温度負荷21の調査を交互に切り替えるフロント・エンド・スイッチ20が利用される。フロント・エンド・スイッチ20は、アンテナと負荷終端を3.84kHzの速度で切り替える。負荷は、1スイッチング・サイクルの間に、約40Kだけ加熱される可能性がある。これにより、ユニットは、リアルタイムで2つの温度較正を実施して、増幅器における利得変動並びに温度オフセットを補償することが可能になる。スイッチ自体は、M/A−Comによって製造された、伝送損失が約1.8dBの広帯域マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)PINスイッチである。
【0015】
フロント・エンド・スイッチは、フロント・エンド増幅ユニット22とパッケージ化され、フロント・エンド増幅ユニットに直接給電する。このフロント・エンド増幅ユニットは、2つの低雑音MMIC増幅器22A及び22B、帯域通過フィルタ22C、及び、低雑音MMIC出力増幅器22Dから構成される。増幅器は、システム全体の雑音温度を決めるので、広帯域幅であるが、低雑損指数を維持することが必要とされる。増幅器は、75.5GHz〜93.5GHzの18GHzにわたって動作する。連鎖をなす第1の2つの増幅器22A及び22Bは、18GHzにわたる雑音指数が約4dBで、利得が約19dBである。帯域通過フィルタ22Cは、これらの増幅器を設計がわずかに異なる第3の増幅器22Dから分離する。出力増幅器である、第3の増幅器22Dは、約22dBの利得が得られるように同調され、圧縮前に1mWまでの出力パワーを発生することが可能である。パッケージ化されると、利得段全体の利得が約53dBで、雑音出力パワーが−11dBmになり、雑音指数は平均して7dBになる。これには、フィルタ及び遷移による損失が含まれる。従って、各増幅チャネル22によって、53dBの利得、並びに、発熱体との整合がとれた総合負荷が得られ、現場での2温度フラット・フィールド較正のためのPINスイッチが得られる。MMIC増幅器及び帯域通過フィルタは、リン化インジウム基板上に、共平面導波路設計を用いて製作されるのが望ましい。
【0016】
(タップ付き遅延ビーム・フォーマ)
この広帯域増幅アンテナ・パワーは、図4に示すタップ付き遅延ビーム・フォーマに送り込まれて、アンテナ視野の垂直周波数画像を表わす周波数ビンに分解される。遅延線26は、増幅されたアンテナ信号をビーム・フォーマ24の32の信号ポートに送り込む。ビーム・フォーマ24の左側のポート24−1から始めて、各ポートへの信号は、36psずつ遅延させられる(その左側の隣接ポートに対して)。36psの遅延は、83.5GHzの中心帯域における3つの波長に相当する。(空中における83GHz波のミリ波周波数は、約3.6mmの波長に相当し、光は約12psでそれだけ進む。)従って、0時点にポート24−1に到達する信号は、また、36psの時点でポート24−2に到達し、576psの時点でポート24−16に到達し、1.152nsの時点でポート24−32に到達することになる。一連の32のタップによって、1.152ナノ秒の総時間間隔でサンプリングが行われ、ビーム・フォーマに関して870MHzの周波数分解能が得られる。(これらのビーム・フォーマの周波数分解能は、総時間散布量の逆数であり、従って、この場合、1/1.152ns=870MHzになる)。ビーム・フォーマによって、18,000MHzの広帯域信号が、32の出力ポート28によって表される32の周波数ビンに分類される。これによって、周波数ビン間において580MHzの平均分離が得られ、従って、垂直焦点面には、各アンテナ・ビームの1408MHzの帯域幅に対して約2.4倍となるオーバサンプリングが施される。(周波数分離は、18,000MHz/31=580MHzであり、アンテナ・ビームのビーム幅は、光がアンテナ素子を横切る時間[約0.71ns]の逆数[1/0.71ns=1.408MHz]にほぼ等しい。遅延線、ビーム形成レンズ、及び、入力遷移における損失、並びに、帯域幅分割損失によって、各レンズ出力におけるパワー・レベルが約−36dBmまで降下する。1つの組をなす32の高感度の検出ダイオード30によって、このパワーが各チャネル毎に32の周波数ビンにまとめられ、32の周波数範囲のそれぞれにおいて、アンテナ素子によって集められたミリ波光の強度に対応する電圧信号が生じることになる。次に、これらのダイオード信号のそれぞれによる電圧信号が、読み取り集積回路基板32の多重化読み取り集積回路チップによって読み取られる。
【0017】
ビーム・フォーマは、平滑な銅のクラッディングが施された、ポリプロピレンのような低損失誘電体で実施される。遅延線26は、回路パターンを生成するリソグラフィック・エッチングによって極めて低コストで形成され、さらに、加熱プレスにおいて2つのグラウンド層間に挟まれる。望ましい実施態様の場合、遅延線の内表面を形成する銅の平滑性は、極めて重要である。出願人の発見によれば、それによって、300ナノメートル以下の銅表面粗さが必要とされるので、これらの遅延線における損失が、約1.2dB/インチから約0.5dB/インチに低下することになる。先行技術によるマイクロ波表面粗さ仕様は、1400〜2900ナノメートルであった。上述のように、これら32のタップからの信号は、ビーム形成レンズ24に送り込まれ、ビーム形成レンズによって、各信号周波数範囲が32の出力ポート28の1つに送り込まれる。
【0018】
(ポータル禁制品スクリーナ)
図3(A)及び図3(B)に示す本発明の望ましい実施態様の場合、上述のタイプの64のアンテナ素子を利用して、ポータル禁制品スクリーナが設けられる。この望ましい実施態様の場合、それぞれ、16ずつからなる4組の垂直方向にスタックされたアンテナ素子50が、毎秒約1.5フィートの既知速度で、できれば、水平エスカレータに乗って、ポータルを通過する人物をモニタするように配置されている。各アンテナ素子は、長さが4.5インチであり(素子間の間隔は0.5インチ)、従って、スタックは、高さが80インチになり、図3(A)及び図3(B)に示すように、スタックのうちの2つ10A及び10Bは、人物の正面と側面を検分するように配置され、スタックのうちの2つ10C及び10Dは、人物の側面と背面を検分するように配置されている。
【0019】
人物51が、幅が約41インチのポータルに近づくと、彼/彼女は、ポータルの中心線からほぼポータル幅nの1/2(20.5インチ)に等しい距離の位置において、焦点領域に進入する。この領域において、スタック10A及び10Bをなす前方監視イメージング・アンテナは、被検者の正面中心線に焦点があわせられている。人物がポータルにさらに近づくと、センサ焦点が、52で表示のように、中心点から外側に掃引され、その人物の正面及び両側面の完全な2次元画像が生成される。毎秒1.5フィートの公称移動速度において、アンテナ・ビームは、約40ミリ秒毎に、1つの分解素子を通過する。イメージャは、水平面をわずかにオーバサンプリングして、30Hzで読み取りを行う。1秒で、人物が18インチ前進すると、2つのアンテナが、協力し、1/4インチ未満の放射によって、水平方向に分離された被検者の正面と両側面を包囲する60列の画像ピクセルを記録する。人物がポータルを離れると、スタックをなす第2のアンテナ対10C及び10Dが、同様に、彼/彼女の背面及び両側面の画像を生成する。
【0020】
(禁制品スクリーナの電子的特徴)
この実施態様の場合、各アンテナ列を構成する16のアンテナ素子は、各アンテナ用の増幅器セットとビーム・フォーマを備えた16の受信チャネルに給電する。アンテナ素子からの増幅信号は、一方が、ポータルを通過する人物の正面と両側面を表わし、もう一方が、その人物の両側面と背面を表わす1対の画像として処理される。この望ましい実施態様の場合、センサは、30Hzの速度で動作し、毎秒30の画像を生成する。正面と背面の両方の画像の画像化時間が、それぞれ、1秒かかるように、通過の設定を行うと、水平方向において、正面と背面の両方の画像には、それぞれ、60の画像が含まれることになる。垂直方向の場合、各列の16のアンテナ素子は、それぞれ、全部で512の角度ビームが得られるように、32の角度ビームを発生する。これらのビームは、アンテナ・スタックから約7インチの位置においてのみ、80インチにわたって垂直方向に等間隔をなし、約7インチを超えると、重なり合うようになる。従って、正面画像と背面画像の両方が、それぞれ、横に約60のピクセルと、縦に512のピクセルを含むことになり、その画像によって、ポータルを移動する人物のラップアラウンド図が得られる。ピクセル・サイズは、スタックから7インチの距離において、水平方向に約0.5インチで、垂直方向に約0.16インチである。アンテナから7インチをかなり超えた位置にいる人物のそれらの部分については、コンピュータ・ソフトウェアによってピクセル・データを修正し、オーバラップに適応して、連続したステッチ処理ラップアラウンド画像が得られるようにすることが可能である。
【0021】
各列の16の増幅器は、それぞれ、1つのスイッチと、WR−9入力を備えた、4つまでの縦続接続利得段を備えている。各増幅器には、パワー及び制御信号のための接続部と、利得段における帰還を阻止するのに十分なシールドが含まれている。
【0022】
(背景及び照明)
人物がポータルを通過していない場合、アンテナ・アレイは、その焦点領域内に何も捉えず、代わりに、焦点領域を越える広い領域から信号を受信する。この領域は、周囲温度でミリ波吸収発泡体によるコーティングを施すことが可能である。この発泡体は、ミリ波周波数で黒体の働きをし、アンテナに対して固定広帯域信号を放出する。発泡体温度が人体温度未満の場合、発泡体は、探知器を通過する人物との際立ったコントラストを示す。これによって、生成される画像の明瞭性及び先鋭度が向上する。また、望ましい実施態様の場合、低温熱放射源となるであろうポータルの上方に冷表面を設けることによって、検査される人物の画像に輪郭のコントラストを付加することが可能になる。従って、この冷放射源からの放射後、人物によって反射される、アンテナによって検出される帯域内のミリ波放射線は、他のより暖かい周囲放射源から反射される放射線に比べると、ごくわずかなものになる。結果として、スキャナは、その人物の身体、衣類、及び、予測される禁制品のさまざまな位置の角配向に応じて、走査される人物にかなりのコントラストを認めることになる。
【0023】
(プライバシー問題)
上述の本発明の望ましい応用例には、武器または他の禁制品の探索における、人物の衣類の下の目視検査が含まれる。一例として、空港の検査ポータルにおけるものがある。これには、多くの罪のない人々の検査が必要になる。得られる画像には、人々の温かい皮膚の特徴が示される。通常衣類で覆われている体の部分が、約0.5インチの解像度で画像生成される。従って、プライバシー問題が認められ、処理しなければならない。ポータル禁制品スクリーナの望ましい応用例の場合、一方は「女性」と表示され、もう一方は「男性」と表示された、2つの独立したスクリーナが設けられる。女性用スクリーナの検査員は、女性であり、男性用スクリーナの検査員は、男性である。検査を受ける人々の画像を示すモニタは、人目に触れないようになっており、証拠のために保管される画像は、検査員によって慎重に管理される。いかなる人物も、禁制品スクリーナによる検査を受けない権利を有するが、その権利を行使する者は、適切な手動探索を受けることになるであろう。
【0024】
もう1つの望ましい実施態様の場合、細心の注意を払うべき身体部分の位置における画像をぼかすためのコンピュータ・ソフトウェアが提供される。もう1つの実施態様では、銃、ナイフ、及び、爆弾のような特定の禁制品の認識を可能にする高度なソフトウェアが提供される。被検者の身体にこうした禁制品を暗示するものがあれば、警報信号(可聴及び/または視覚)を発することができるので、その人物を選び出して、より詳細な探索を行うことが可能になる。このソフトウェアによれば、被検者の画像の禁制品の位置に適切なロゴを配置することによって、禁制品の疑いのあるものの位置を示すことも可能である。代替態様では、記録された64の画像セグメントのうち、皮膚接触の異常を示すものだけが表示される。
【0025】
(画像)
図19(B)には、上述のポータル・システムによって記録される画像のタイプが例示されている。これらの画像は、後述のタイプの単一スティック・イメージャを用いて得られた、図19(A)に表示のミリ波データからコンピュータで生成された画像である。この被検者は、そのシャツの下に拳銃を隠している。留意すべきは、11の画像だけ(16ではなく)しかシミュレートされておらず、画像が多少オーバラップしているという点である。図19(C)に示すように、このシステムの制御システムは、役立つ情報(例えば、武器または禁制品の可能性を暗示するもの)を含む画像だけを表示するようにプログラムすることが可能である。これは、プライバシー問題を軽減するのに役立つであろう。隠された武器及び禁制品から反射され、放射される放射線の表示温度に比べて、はるかに冷たい温度に対応する放射線を生じる背景が設けられる。従って、イメージャは、暖かい生体より冷たいが、冷温背景よりは暖かいと思われる物体を識別することが可能になる。図19(C)に示すように、表示される画像だけが、これらの中間温度の表示を含むものとすることが可能である。
【0026】
(26インチ単一スティック・イメージャ)
本発明のもう1つの実施態様では、低コストの「単一スティック」・イメージャが利用されている。この場合、そのユニットは、ほぼ上述のように1つのアンテナだけしか備えていないが、この特定の事例では、アンテナの長さは、上述のポータル禁制品スクリーナ及び後述のハンドヘルド式ユニットに用いられる4.5インチ・アンテナに比べて、26インチである。
【0027】
(アンテナ)
図8(A)及び図8(B)は、本発明の態様による一次元ミリ波アンテナ素子の図面である。図8(A)には、図8(B)の側面図に示されているレンズCAのない、アンテナの正面図が示されている。アンテナ素子1は、外寸がa=0.180”、b=0.130”で、内寸がa=0.100”、b=0.050”のWR−10導波路から構成されており、このアンテナ素子のスロット付きセクションは、長さが24インチである。アンテナの製作時に、狭い壁面の1つが、40ミルから6ミルに薄くされる。狭い壁面に、2mm間隔で、300の傾斜スロット4Aが切り込まれ、これらが受信アパーチャの働きをする(これは、上述の5”アンテナの57のスロットに匹敵する)。スロットの角度は、導波路の全長に沿ってほぼ一定の信号結合が得られるように、導波路の入力ポート60における3.6度から変化し、終端7に向かって漸増する。角度の方向は交代し、連続した結合スロット間において180度の位相シフトを生じる。この幾何学的構成によって、垂直方向に取り付けられたアンテナの場合、システムの75.5〜93.5GHzの動作帯域にわたって、20度の垂直視野に及ぶ周波数走査が行われることになる。垂直(高低)面において、アンテナ受信素子は、図9に示すように、各周波数毎に、幅0.2度の細いビームを放射する。水平面において、そのビームは、導波路の「b」寸法が小さいため、幅が120度になる。
【0028】
(アンテナ素子の焦点合わせ)
望ましい実施態様の場合、図10(A)に示すアンテナ素子1は、図10(A)及び図10(B)に示すように5メートルの位置に焦点が合わせられる。この場合、垂直方向に配向が施された、幅0.6メートルで、高さ0.8メートルの楕円筒ミラー8は、その焦点線の1つが、受信素子1のスロット5の中心に位置し、その第2の焦点9が、図10(A)に示すアンテナから5メートルに位置する。これによって、アンテナ・ビーム10は、水平方向において5メートルの位置に集束することになる。細いロッド形状のレンズ6Aは、スロット4Aをカバーし、アンテナから5メートルの位置で93.5GHzの周波数に対応するアンテナ・ビーム11を焦点12に集束させる。約75.5GHzのより周波数の低いビーム13が、アンテナから同じ距離であるが、異なる焦点14に集束させられる。図10(B)に示すビーム幾何学的特性によって、導波路アンテナ信号がスロット付き導波路の底面ポート6に確実に集まることになる。
【0029】
(アンテナ電子装置)
(較正及び増幅)
この望ましい実施態様では、ディッケ・スイッチングを利用して、イメージング・システムの較正が行われる。この技法では、図3に示すように、アンテナ2Aの調査と設定温度負荷21の調査を交互に切り替えるフロント・エンド・スイッチ20が利用される。フロント・エンド・スイッチ20は、3.84kHzの速度で切り替える。負荷は、1スイッチング・サイクルの間に、約40Kだけ加熱される可能性がある。これにより、ユニットは、リアルタイムで2つの温度較正を実施して、増幅器における利得変動並びに温度オフセットを補償することが可能になる。スイッチ自体は、M/A−Comによって製造された、伝送損失が約1.8dBの広帯域マイクロ波モノリシック集積回路(MMIC)PINスイッチである。
【0030】
ディッケ・スイッチ20は、低雑音増幅器62と共に、信号増幅ユニット64にパッケージ化されている。増幅器62には、タップ付き遅延ビーム・フォーマ66内のミリ波検出器を駆動するのに十分な75.5〜95.5GHzの出力パワーを送り出す、一連の低雑音MMIC広帯域増幅器が含まれている。増幅器は、システム全体の雑音温度を決めるので、広帯域幅であるが、低雑損指数を維持することが必要とされる。増幅器は、約7dBの雑音指数で、75.5GHz〜93.5GHzの18GHzにわたって動作する。MMIC増幅器及び他の増幅ユニット・コンポーネントは、リン化インジウム基板上に、共平面導波路設計を用いて製作されるのが望ましい。
【0031】
(タップ付き遅延ビーム・フォーマ)
アンテナ2Aからの広帯域増幅アンテナ信号は、図11及び図12に示すタップ付き遅延ビーム・フォーマ66に送り込まれて、アンテナ視野の垂直画像ピクセルを表わす周波数ビンに分解される。図12にさらに詳細に示されているように、ビーム・フォーマには、入力線路68、遅延線ネットワーク70、ロットマン・レンズ72、レンズの入力76及び出力78におけるホーン・アレイが含まれている。出力ホーンに接続された信号線路は、特定周波数に同調させられるミリ波検出回路80内に終端がくる。遅延線ネットワークによって、信号パワーが入力ホーン76間で分割され、隣接ホーンによってロットマン・レンズ内に放射される信号間に一定の時間遅延が生じる。ロットマン・レンズのもう一方の端部において、これらの信号が、128の出力ホーン78の1つにおいて、ある特定周波数に関して強め合うように結合し、その結果、ミリ波パワーが、それぞれに異なる周波数に合わせて異なる出力ポートに分類されることになる。入力ホーン間のインクリメンタル信号遅延は、ビーム・フォーマの300MHzの周波数分解能を実現するように選択される。ビーム・フォーマのこの狭帯域の集束能力は、図13によって例示のように、出願人による実験で実現され、立証されている。図13に認められる狭いピーク32Aは、ビーム・フォーマの128ある出力チャネルの1つの応答を表している。同様の応答は、他の周波数に関する回路の128ある出力チャネルのそれぞれにおいても観測されている。
【0032】
ビーム・フォーマは、平滑な銅のクラッディングが施された、ポリプロピレンのような低損失誘電体で実施される。遅延線70は、回路パターンを生成するリソグラフィック・エッチングによって極めて低コストで形成され、さらに、加熱プレスにおいて2つのグラウンド層間に挟まれる。上述の実施態様に関して、遅延線の内表面を形成する銅の平滑性は、極めて重要であり、出願人は、300ナノメートル以下の銅表面粗さを要求することにより、損失を約0.5dB/インチに制限する。先行技術によるマイクロ波表面粗さ仕様は、1400〜2900ナノメートルであった。
【0033】
(信号検出及びサンプリング)
図13のデータによれば、単一入力周波数において、ビーム・フォーマ材料は、約20dBの信号損失の原因となる。18GHzの広帯域入力の場合、128の出力チャネル間における入力パワーの分割によって、さらに21dBの信号損失が生じる結果として、全信号減衰は少なくともチャネル当り41dBになるであろう。従って、この極めて低いパワーが、図12に示すチャネル検出器82によって検出されることになる。検出器の出力電圧は、読み取りチップ80によって、増幅され、積算され、ディジタル化される。イメージャには、イメージャのS/N比性能が検出器及び読み取り回路において劣化しないことを保証するため、HRL Laboratories LLC社製のSbヘテロ構造ダイオードのような、極めて高感度のミリ波検出ダイオードが利用される。
【0034】
128の周波数チャネルのそれぞれに関するディジタル化信号は、データが最終的に処理され、画像をなすように表示されるコンピュータ36と情報をやりとりをする、図11に示すインターフェイス・モジュール35によって受信される。コンピュータは、チャネル利得、積分時間等のようなイメージャの最適な性能パラメータの設定にも関与する。同じコンピュータを利用して、電動式回転ステージを用いた画像の水平走査の制御が行われる。コンピュータとインターフェイス・モジュール35との間の通信線路37は、特定の用途にどちらの方法が適しているかに基づいて、有線または無線とすることが可能である。
【0035】
(現場配備のための機械走査イメージャ)
望ましい実施態様の場合、ミリ波及び低周波信号処理電子装置を含む上記アンテナ・システムは、機械的回転ステージと一体化されて、アンテナの焦点面に物体の二次元ラスタ画像を生成する。
【0036】
イメージャのこの望ましい構成が、図14(A)に示されている。スロット付き導波路受信器2A及びリフレクタ8Aを含むミリ波周波数走査アンテナ・システム84が、コンピュータ制御精密回転ステージ86の上部に取り付けられている。アンテナが取り付けられるステージのベースは、イメージャから5メートルの焦点が、ステップ毎に解像限界スポットの約1/2ずつ水平方向にシフトするように、0.12度ステップでモータ88によって水平方向に回転させられる。ステージは、ビーム角のランダムな移動が、水平方向と垂直方向の両方において0.05度を超えないことを確実なものにするため、機械的に安定するように設計が施されている。回転ベース及びモータ駆動装置は、運搬及び配備を容易にするため、頑丈な三脚架91の一部をなしている。ステッパ・モータは、遠隔コンピュータ・ステーション94から命令を受信する、モータ制御モジュール92による電力供給を受ける。ミリ波信号処理及びサンプリング・モジュール90が、アンテナ・システムと同じ回転ステージに取り付けられている。画像捕捉は、コンピュータ94と情報をやりとりするインターフェイス96によって制御される。コンピュータ94は、画像表示用のフラット・スクリーンを備えたバッテリ電源式携帯用PCが望ましい。コンピュータ特性は、イメージャ制御機能、信号捕捉、画像処理、及び、リアルタイム表示を実施するのに十分でなければならない。コンピュータ94は、アプリケーションの要件に応じて、ケーブルまたは無線リンクを介して、制御モジュール92及びインターフェイス・モジュール96と遠隔通信を行う。モジュール92とモータ88との間、ミリ波モジュール90とインターフェイス装置96との間の接続は、有線が望ましい。
【0037】
イメージャ配備の一例が、武器が隠されている可能性があるか検査するためのPOWを例示した図14(B)に示されている。オペレータ98は、コンピュータ100を利用して安全距離からイメージャ84を制御するが、POW被検者73は、イメージャの焦点面内に立つように命じられる。被検者の完全な画像が、数秒以内に走査され、隠匿武器の分析のため、コンピュータ・スクリーン72に表示される。必要があれば、被検者のさまざまな面の複数画像を順次撮ることが可能である。
【0038】
現時点における最新のテクノロジを用いた機械走査画像が、出願人によって首尾よく作成され、テストされた。イメージャによって、垂直方向にピクセル128個分、水平方向にピクセル60個分の画像サイズ、及び、2秒の捕捉時間について、約3ケルビン温度の分解能が得られた。被検者が、金属表面からの空の反射を可能にするオープン・スペース内で走査される場合、このシステムによって、この温度分解能で、銃、大型ナイフ、及び、自爆用金属パイプベストのような各種金属物体を検出することが可能であることが分った。図15(A)には、シミュレートされた自爆用パイプ・ベスト104を着用した被検者に関するこうした走査画像の例が示され、図15(B)には、金属ナイフ106の例が示され、図15(C)には、拳銃108の例が示されている。
【0039】
(金属探知器を備えたハイブリッド・ユニット)
検査を受ける人物が、固定アンテナの約1インチ幅の垂直視野を水平に横切って移動させられる間、アンテナを固定状態に保持することも可能である。これは、水平エスカレータまたは安価なトレッドミルで実施することが可能である。「ウォーク・スルー式」金属探知器は、検査を受ける人物に隠された金属を検査するため、エスカレータまたはトレッドミルに隣接して配置される。焦点深度は、4.75メートル〜5.25メートルまでの約500mm(20インチ)に及ぶので、イメージャを金属探知器から約5メートルの位置に配置して、それを通過する人物の焦点の合った画像を得ることが可能である。
【0040】
(金属探知機およびミリ波イメージャを備えたポータル)
ミリ波イメージング・システムと磁気金属探知器を1つのポータルに一緒に組み込むことにより、総合的な検出能力と物体分類の改善を達成することが可能になる。ハイブリッド・ポータルの望ましい実施態様では、提案されたミリ波イメージャは、CEIA Corporation社によって開発されたSMD600または同様の製品のような商用金属探知ポータルと並列に動作する。
【0041】
並行して機能するミリ波イメージャ及び金属探知器は、互いに補完し合い、システム性能全体のレベルを高める。金属探知器は、ごくわずかな量の金属に対しても極めて高感度であり、そのため、コイン、眼鏡、キー等のような無害な物体によって生じる警報の、高周波数に起因する問題を生じる。警報の原因を確認するため、警備担当者は、スクリーニング・プロセスをかなり緩慢なものにし、警備費用を増大させることになる、手動探索を実施しなければならない。ミリ波イメージャは、金属探知機ほど高感度でないかもしれないが、それには、画像が生成されるという利点があり、物体が危険な存在のカテゴリに入るか、危険ではない存在のカテゴリに入るかを視覚的に見極めることが可能になる。
【0042】
2つのシステムが同じポータルで利用されるという、検討されたシナリオの1つでは、金属探知器の警報を鳴らす金属物体が、こうした物体の存在を示した1つまたは複数のセクタ内のミリ波画像を利用して精査される。検出される物体のサイズ及び形状を利用して、さらに探索する必要があるか否かの判定が行われることになる。ミリ波イメージャには、金属探知器では検出できない、プラスチック、セラミック等のような非金属物体を検出する能力がある。プラスチック及びセラミック製ナイフは、主として金属探知アプローチに基づく既存のセキュリティ・システムに重大な脅威となり、多大の問題を生じる可能性がある。
【0043】
図16(A)及び図16(B)には、ミリ波及び金属探知セキュリティ・ポータル200の望ましい実施態様が示されている。金属探知ポータル201には、個別金属センサを備える垂直センサ202が設けられている。203のような金属物体が検出されると、ポータルは、警備担当者に対して警告灯(及び/または可聴警報)の形で警報信号を送る。同時に、2つのミリ波イメージャが、ポータルの右側(205A)において被検体からの熱放射データを収集し、もう2つのミリ波ミリ波イメージャが、左側(205B)からデータを収集する。いくつかのセクタの金属探知器の警告灯(または同様のインジケータ)が、対応するセクタからの熱画像と共に表示される。次に、人間のオペレータによって、または、コンピュータ・プログラムによって自動的に、さらなるスクリーニングが必要か否かの決定がなされる。金属探知器によって金属が検出されなくても、なおかつ、熱画像によって、ポータルのセキュリティ・オペレータに対し、より詳細な探索を実施させる信号を与えることになる、不審な物体の存在を知らせることが可能である。
【0044】
ミリ波イメージャの重要な利点は、場合によっては、手動探索が行えない警報状況の解決に役立つ可能性があるという点である。さらなる探索が必要とされる場合でも、被検者にもう1回ポータルを通過するように要求し、不審な物体の性質を明らかにすることが可能なより多くのミリ波画像を撮ることによって、ミリ波イメージャは、プライバシーを侵害することなく、その実施に役立つことが可能である。数回の余分な通過によって多少の時間がかかるとしても、それほど時間を費やすこともなく、特別に配属された警備担当者がその作業を実施する必要もなくなる。
【0045】
図16(A)には、ハイブリッド・ポータル300の望ましい実施態様に関する平面図が示されている。そのポータルには、金属探知ポータル301とミリ波イメージング・ポータル302Aと302Bが含まれている。ミリ波ポータルは、被検者の両側からのミリ波放射線310を集める、左(302B)と右(302A)のミリ波イメージング・センサから構成されている。被検者304は、方向311にポータル・システムに進入し、その正面(左及び右)が、センサ302A及び302Bによって画像生成される。次に、被検者は、ポータルの中心305を通過し、高さレベルのそれぞれに異なる金属探知器312が金属物体の存在を検知する。ポータルからの出口306において、被検者の背面のミリ波画像が、ミリ波センサ302Aと302Bによって撮られる。これによって、スクリーニング・サイクルが完了する。警報が鳴ると、第2のスクリーニングによって、手動探索が行えない状況を解決することが可能である。
【0046】
(ハンドヘルド式イメージャ・探知器)
図18(A)は、ハンドヘルド式ミリ波イメージ・センサ119の図面である。センサは、光路に沿って19インチ(ミラー8の背面から15.5インチ)の位置に焦点を合わせられたアンテナを備え、その焦点に位置する6インチ×1/2インチの視野の一次元画像を生成するようになっている、上述の基本イメージャ・センサ(図2(A)及び図2(B)参照)である。(ただし、このユニットの場合、アンテナが水平方向に配置されているので、固定ユニットによって一次元水平画像が生成され、垂直走査によって二次元画像が生成されるという点に留意されたい。)望ましい実施態様の場合、センサのフレーム・レートは、30Hzであり、従って、6インチ×6インチの視野の二次元画像がオペレータの腕の動きによって生じる1秒間の走査で生成されることになる。毎秒6インチより大幅に速い走査によって、多少のぼけが生じる。大幅に遅い走査によって、より際立ったコントラストが得られるが、画像は多少歪むことになる。センサは、ミリ波に対して透明なカバー122を備えるハウジング120に収容されている。最良の結果が得られるように、センサの前部は、走査される表面から約12インチの位置に保持される。ユニットの重さは約4ポンドであり、人間工学によるハンドルには、アーム・サポート124が設けられている。ハンドル125は、位置126が把握される。対象領域の画像は、スクリーン128に表示される。ユニットのバッテリは、ハンドル125内に収容されている。
【0047】
望ましい実施態様の場合、図18(B)に示すユニットには、金属探知コイル128が含まれており、揺動磁界を発生して、導電性物体に渦電流を生じさせて、別の磁界を発生させる。これらの渦電流によって生じる磁界は、次に、導電性物体の存在を示す電流を発生するのと同じコイルによって検知される。金属探知の場合、ユニットの走査は、走査を受ける表面にできるだけ接近して行われる。
【0048】
(他の実施態様)
禁制品検出技術の技術者には明らかなように、上述の例に対して多くの修正を施すことが可能である。例えば、上述のように、水平エスカレータに人物を乗せて、ポータルを通過させる代わりに、通常の歩行速度の約1/4といった指定のペースで、歩いてポータルを通過するように、その人物に要求することが可能である。図5及び図6に示すように、アンテナ素子に対する人物の適正な位置決めを確実にするため、ポータルにミリ波に対して透明なバリア60を配置することも可能である。アンテナ素子の焦点位置の選択に関して、さまざまなトレードオフが可能である。アンテナを検査を受ける人物から光学的により遠くに位置決めし、焦点距離を長くすると、アンテナ素子の焦点深度を増すことが可能である。これは、ユニットをコンパクトに保つため、図6に示すミラー61によって実施可能である。図7において、画像生成される表面とアンテナ素子との間の距離の関数として、スキャナの近似横方向分解能の推定値が示されている。
【0049】
本発明については、上記において、特定の実施態様に関連して説明されてきたが、当該技術者には明らかなように、他の多くの変更を加えることが可能である。例えば、相関した識別及び基準情報をもたらすように、ミリ波スキャナと同期した赤外線または可視光カメラを適応させることも可能である。アンテナ素子の自動焦点合わせを可能にすることによって、分解能の向上が可能になる。代わりに、さまざまな焦点距離を備えた、数組のアンテナ素子を追加して、ポータル通過時に、対象人物の各部分毎に最適な焦点を選択するように、プロセッサ・ソフトウェアにプログラミングを施すことも可能である。アンテナ・サイズが大きくなると、分解能の向上も可能になる。ポータルを通過する人物は、単一スタックの前で回転させることもできるし、4つのスタックの前で回転させることも可能である。多くのスクリーニング時間が利用可能な適用例の場合、検査を受ける人物を、自動または手動により、単一素子、または、より少ない素子で走査することが可能である。図4に示す増幅器に対して修正を施すことが可能であるが、できれば、少なくとも50dBの利得が得られるのが望ましい。図8(A)及び図8(B)に示す単一スティック・イメージャが、垂直方向に配置され、水平方向に回転させられる。他の実施態様では、これらの方向を再検討することも可能である。回転範囲は、上述の適用例の場合の数度から、360度の完全な1回転にわたる、任意の量とすることが可能である。単一スティック・イメージャは、位置を固定することが可能であり、画像生成される被検者は、垂直方向のビームを横切って側方に移動させることが可能である。さらに、被検者を垂直ビーム内で回転させることも可能である。従って、本発明の範囲は、付属の請求項及びその法的同等物によって決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一次元周波数走査スロット・アンテナの特徴を示す図である。
【図2】図1(A)〜図1(C)に示すアンテナの焦点合わせ技法を示す図である。
【図3】ポータル禁制品スキャナにおける上述のアンテナの構成64を示す図である。
【図4】ミリ波を画像に変換するための電子回路を示す図である。
【図5】スクリーニング・ポータルを通過する人物を示す図である。
【図6】被写界深度の深い実施態様を示す図である。
【図7(A)】分解能と、アンテナと対象の間の距離との関係を示す図である。
【図7(B)】分解能と、アンテナと対象の間の距離との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の望ましい実施態様の特徴を示す図である。
【図9】第2の望ましい実施態様に関するアンテナ・パターンのチャートである。
【図10】第2の望ましい実施態様のアンテナの焦点合わせ技法を示す図である。
【図11】第2の望ましい実施態様の主要構成要素を描いたブロック図である。
【図12】第2の実施態様に関するビーム・フォーマの図である。
【図13】第2の望ましい実施態様のプロトタイプからの実験データを示す図である。
【図14(A)】第2の望ましい実施態様のプロトタイプの特徴を示す図である。
【図14(B)】第2の望ましい実施態様の望ましい適用例を示す図である。
【図15】第2の望ましい実施態様によるプロトタイプによって撮られたサンプル画像を示す図である。
【図16】ハイブリッド・セキュリティ・システムの特徴を示す図である。
【図17】先行技術による能動金属探知器の特徴を示す図である。
【図18】ハンドヘルド式イメージャ及びハンドヘルド式ハイブリッド・イメージャ・探知器の特徴を示す図である。
【図19】望ましいシステムによって生成されるであろうタイプのコンピュータ画像を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナと、
B)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器と、
C)1)複数の遅延線、
2)ミリ波レンズ、及び、
3)複数のミリ波パワー検出器を具備する、
前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマと、
D)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路と、
が含まれている、システム。
【請求項2】
前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ミリ波増幅器に、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッド・システム。
【請求項6】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記遅延線が、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、1つの周波数走査アンテナであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、少なくとも20インチの長さであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、約26インチの長さであり、受信アパーチャとして機能する約300の傾斜スロットを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、1つの周波数走査アンテナであることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、少なくとも20インチの長さであることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、約26インチの長さであり、受信アパーチャとして機能する約300の傾斜スロットを含んでいることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記ミリ波イメージング・システムは、
A)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための単一ミリ波周波数走査アンテナと、
B)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器と、
C)1)複数の遅延線、
2)ミリ波レンズ、及び、
3)複数のミリ波パワー検出器、
を具備する、前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマと、
D)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路と、
が含まれている、単一スティック・ミリ波イメージング・システムであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ミリ波増幅器に、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記遅延線が、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
ポータル隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)ポータル金属探知器と、
B)それぞれ、
1)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナ、
2)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器、
3)a)複数の遅延線、
b)ミリ波レンズ、及び、
c)複数のミリ波パワー検出器を含む、
前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマ、及び、
4)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路、
を具備する、複数のミリ波センサを有するポータル禁制品スクリーナと、
が含まれている、システム。
【請求項24】
前記複数のミリ波センサのそれぞれに、前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ミリ波増幅器のそれぞれに、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記遅延線のそれぞれが、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
少なくとも1つの金属探知器が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
金属探知器が含まれることと、前記システムがハンドヘルド式システムであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
少なくとも1つの金属探知器が含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項34】
ハイブリッド・ポータル隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)ポータル金属探知器と、
B)それぞれ、
1)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナ、
2)較正のための高速スイッチ、
3)リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタを含む、前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器、
4)a)複数の遅延線、
b)ミリ波レンズ、及び、
c)複数のミリ波パワー検出器、
を含む、前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマ、
5)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路、及び、
6)前記センサの焦点合わせを行うための焦点合わせ手段、
を具備する、複数のミリ波センサを有するポータル禁制品スクリーナと、
が含まれている、ハイブリッド・システム。
【請求項35】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項36】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項37】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項38】
前記遅延線のそれぞれが、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項39】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項38に記載のハイブリッド・システム。
【請求項40】
前記複数のセンサが、それぞれ、少なくとも16のセンサを含む4つのスタックをなすように構成されることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項1】
隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナと、
B)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器と、
C)1)複数の遅延線、
2)ミリ波レンズ、及び、
3)複数のミリ波パワー検出器を具備する、
前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマと、
D)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路と、
が含まれている、システム。
【請求項2】
前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ミリ波増幅器に、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッド・システム。
【請求項6】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記遅延線が、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、1つの周波数走査アンテナであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、少なくとも20インチの長さであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、約26インチの長さであり、受信アパーチャとして機能する約300の傾斜スロットを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、1つの周波数走査アンテナであることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、少なくとも20インチの長さであることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの周波数走査アンテナが、約26インチの長さであり、受信アパーチャとして機能する約300の傾斜スロットを含んでいることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記ミリ波イメージング・システムは、
A)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための単一ミリ波周波数走査アンテナと、
B)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器と、
C)1)複数の遅延線、
2)ミリ波レンズ、及び、
3)複数のミリ波パワー検出器、
を具備する、前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマと、
D)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路と、
が含まれている、単一スティック・ミリ波イメージング・システムであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ミリ波増幅器に、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記遅延線が、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
ポータル隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)ポータル金属探知器と、
B)それぞれ、
1)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナ、
2)前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器、
3)a)複数の遅延線、
b)ミリ波レンズ、及び、
c)複数のミリ波パワー検出器を含む、
前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマ、及び、
4)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路、
を具備する、複数のミリ波センサを有するポータル禁制品スクリーナと、
が含まれている、システム。
【請求項24】
前記複数のミリ波センサのそれぞれに、前記周波数走査アンテナの焦点を合わせるための焦点合わせ手段が含まれることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記ミリ波増幅器のそれぞれに、リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタが含まれることを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記遅延線のそれぞれが、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
少なくとも1つの金属探知器が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
金属探知器が含まれることと、前記システムがハンドヘルド式システムであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
少なくとも1つの金属探知器が含まれることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項34】
ハイブリッド・ポータル隠匿武器及び禁制品イメージング及び検出システムであって、
A)ポータル金属探知器と、
B)それぞれ、
1)狭い一次元視野からのミリ波放射線による周波数依存ビームを集めるための少なくとも1つのミリ波周波数走査アンテナ、
2)較正のための高速スイッチ、
3)リン化インジウム基板上に作製された3つのMMIC増幅器と、帯域通過フィルタを含む、前記集めた周波数で、前記ミリ波放射線を増幅するためのミリ波増幅器、
4)a)複数の遅延線、
b)ミリ波レンズ、及び、
c)複数のミリ波パワー検出器、
を含む、前記増幅された、集められた放射線を分離して、前記周波数依存ビームに対応する周波数依存信号を発生するためのビーム・フォーマ、
5)周波数依存信号を読み取って、アンテナ視野の一次元画像を生成するためのサンプリング回路、及び、
6)前記センサの焦点合わせを行うための焦点合わせ手段、
を具備する、複数のミリ波センサを有するポータル禁制品スクリーナと、
が含まれている、ハイブリッド・システム。
【請求項35】
前記焦点合わせ手段に、円筒リフレクタと円筒レンズが含まれることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項36】
前記増幅器が共面導波路設計からなることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項37】
前記増幅器によって少なくとも50dBの利得が得られることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項38】
前記遅延線のそれぞれが、さまざまな長さの回路パターンを形成するようにエッチングされた銅から構成されることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【請求項39】
前記遅延線によって、表面粗さが300ナノメートル未満の銅表面が形成されることを特徴とする、請求項38に記載のハイブリッド・システム。
【請求項40】
前記複数のセンサが、それぞれ、少なくとも16のセンサを含む4つのスタックをなすように構成されることを特徴とする、請求項34に記載のハイブリッド・システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(A)】
【図7(B)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(A)】
【図14(B)】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(A)】
【図7(B)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14(A)】
【図14(B)】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−502415(P2007−502415A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523279(P2006−523279)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/025761
【国際公開番号】WO2005/017559
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(504098093)トレックス・エンタープライゼス・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/025761
【国際公開番号】WO2005/017559
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(504098093)トレックス・エンタープライゼス・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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