説明

ミリ波イメージングセンサ

【課題】ミリ波センサそれぞれを高い位置決め精度で固定できるようにすると共に、その高い位置決め精度を維持しやすくする。
【解決手段】 被写体から放射されるミリ波の到来方向に向けて延びるアンテナ部62と、該アンテナ部62により受信されたミリ波の信号レベルを検出する検波部68と、を有するミリ波センサ60が、ミリ波の到来方向と交差する平面上に複数配置されたミリ波イメージングセンサ20であって、ミリ波センサ20は、それぞれアンテナ部62と検波部68とをつなぐ経路を取り囲む導電性のシールド部材80を備え、該シールド部材80の外周形状により、当該ミリ波センサ60と隣接するミリ波センサ60のシールド部材80との位置決めが行われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体から放射されるミリ波を受信することにより、被写体を撮像するミリ波イメージングセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミリ波の到来方向に向けて延びるミリ波センサを、ミリ波の到来方向と交差する平面上に複数配置したミリ波イメージングセンサが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−124551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなミリ波イメージングセンサにおいては、ミリ波センサそれぞれの後端側と、この後端側に嵌合する部材と、でコネクタを形成し、このコネクタによりミリ波センサそれぞれの位置決めおよび固定を行うように構成されている。
【0005】
ただ、このような位置決めおよび固定は、ミリ波センサそれぞれの後端側のみで実現されているため、ミリ波センサが長くなるほど固定時の僅かなズレでミリ波センサの向きが大きくズレやすく、高い位置決め精度で固定することが難しい。また、精度よく固定できたとしても、上記と同様の理由から、ミリ波センサを形成する部材の反りなどの影響を受けやすく、高い位置決め精度を維持するのに適しているとはいえない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ミリ波センサそれぞれを高い位置決め精度で固定できるようにすると共に、その高い位置決め精度を維持しやすくするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1の構成(請求項1)は、被写体から放射されるミリ波の到来方向に向けて延びるアンテナ部と、該アンテナ部により受信されたミリ波の信号レベルを検出する検波部と、を有するミリ波センサが、ミリ波の到来方向と交差する平面上に複数配置されたミリ波イメージングセンサである。そして、前記ミリ波センサは、それぞれ前記アンテナ部と前記検波部とをつなぐ経路を取り囲む導電性のシールド部材を備え、該シールド部材の外周形状により、当該ミリ波センサと隣接する前記ミリ波センサのシールド部材との位置決めが行われている。
【0008】
また、この構成は、以下に示す第2の構成(請求項2)のようにするとよい。この構成において、前記ミリ波センサは、ミリ波の到来方向に沿って延びる板状の基板上に、前記アンテナ部と前記検波部とをつなぐ経路,および,前記検波部が設けられており、前記シールド部材が、少なくとも前記経路の設けられた領域を含む前記基板上の領域を取り囲んでいる。
【0009】
また、上記各構成は、以下に示す第3の構成(請求項3)のようにするとよい。この構成において、前記ミリ波センサは、シールド部材が導電性の金属部材により形成されている。
【発明の効果】
【0010】
上記各構成に係るミリ波イメージングセンサであれば、アンテナ部と検波部とをつなぐ経路を取り囲む導電性のシールド部材を、それぞれ隣接するミリ波センサの位置決めを実現するスペーサとして機能させることができる。
【0011】
ここで、アンテナ部と検波部とをつなぐ経路は、構造上、ミリ波センサの後端側には配置されないため、この経路を取り囲むシールド部材で位置決めする構成であれば、ミリ波センサの後端で位置決めする構成と比べて、ミリ波センサの先端側での位置決めが実現できる。
【0012】
これにより、固定時のズレや、固定後における部材の反りなどの影響を受けにくくなる結果、ミリ波センサそれぞれを高い位置決め精度で固定することができるようになり、その高い位置決め精度を維持しやすくなる。
【0013】
また、第3の構成のように、シールド部材を導電性の金属部材により形成すれば、その熱伝達率に応じた放熱効果も期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ミリ波撮像装置の全体構成を示すブロック図
【図2】ミリ波センサの構成を示すブロック図
【図3】ミリ波センサの全体像を示す側面図(a)および上面図(b)
【図4】ミリ波イメージセンサの構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
ミリ波撮像装置1は、図1に示すように、被写体から放射されるミリ波を取り込んで被写体像を結像させるレンズアンテナ10と、被写体から放射されるミリ波により被写体像を撮像するミリ波イメージングセンサ20と、レンズアンテナ10に取り込まれたミリ波を反射させてミリ波イメージングセンサ20へと導く反射面32を有するリフレクタ30と、ミリ波撮像装置1全体の動作を制御する制御部50と、を備えている。
【0016】
このミリ波イメージングセンサ20は、複数のミリ波センサ60が、ミリ波の到来方向と交差する平面上にm行n列(m,n=1,2,…;ただしm=1,n=1を除く)で配置されている。
【0017】
このミリ波センサ60は、図2に示すように、被写体から放射されるミリ波の到来方向に向けて延びるアンテナ部62と、アンテナ部62からの受信信号を増幅するローノイズアンプ(LNA)64と、LNA64にて増幅された受信信号の信号レベルを検出する検波部68と、を備え、これらアンテナ部62以外が、ミリ波の到来方向に沿って延びる板状の基板70上に設けられている。なお、アンテナ部62は、後端側のみが基板70上に取り付けられている。
【0018】
また、このミリ波センサ60は、図3に示すように、それぞれアンテナ部62から検波部68に至る経路,LNA64,および,検波部68を含む基板70上の領域を取り囲む導電性のシールド部材80を備えている。なお、このシールド部材80は、導電性の金属部材により形成されている。
【0019】
そして、このシールド部材80は、隣接するミリ波センサ60と接触する外周形状(以降「隣接外周形状」という)が、その隣接するミリ波センサ60のシールド部材80と接触してミリ波センサ60同士の位置決めを実現する形状となっている(図4参照)。
【0020】
本実施形態では、各ミリ波センサ60をm行n列で配置するための隣接外周形状として、それぞれ行方向,列方向に沿った平面が採用されており、これにより、ミリ波の到来方向と交差する断面において、シールド部材80は、上記領域を取り囲む四角形(下辺は開口している)となっている。
【0021】
このミリ波イメージングセンサ20における各ミリ波センサ22からは、各々の受信点で受信したミリ波の信号レベルに応じた検出値が取得され、制御部50は、これら各ミリ波センサ60からの検出値を順次取り込むことで画像データを生成する。
【0022】
上記のような構成のミリ波イメージングセンサ20であれば、アンテナ部62から検波部68に至る経路,LNA64,および,検波部68を含む基板70上の領域を取り囲む導電性のシールド部材80を、それぞれ隣接するミリ波センサ60の位置決めを実現するスペーサとして機能させることができる。
【0023】
ここで、上記経路,LNA64,および,検波部68は、構造上、ミリ波センサ60の後端側には配置されないため(図3参照)、これらを含む一部の領域を取り囲むシールド部材80で位置決めする構成であれば、ミリ波センサの後端で位置決めする構成と比べて、ミリ波センサ60の先端側での位置決めが実現できる。
【0024】
これにより、固定時のズレや、固定後における部材の反りなどの影響を受けにくくなる結果、ミリ波センサ60それぞれを高い位置決め精度で固定することができるようになり、その高い位置決め精度を維持しやすくなる。
【0025】
また、上記構成では、シールド部材80が導電性の金属部材により形成されているため、その熱伝達率に応じた放熱効果も期待することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上記実施形態においては、ミリ波イメージングセンサ20におけるミリ波センサ60それぞれが、複数のミリ波センサ60が、ミリ波の到来方向と交差する平面上にm行n列で配置されている構成を例示した。しかし、複数のミリ波センサ60の配置は、m行n列以外の配置としてもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、ミリ波イメージングセンサ20における各ミリ波センサ60をm行n列で配置するための隣接外周形状として、それぞれ行方向,列方向に沿った平面が採用された構成を例示した。しかし、この隣接外周形状としては、ミリ波センサ60同士の位置決めをすることができれば、上記以外の形状を採用してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…ミリ波撮像装置、10…レンズアンテナ、20…ミリ波イメージングセンサ、30…リフレクタ、32…反射面、50…制御部、60…ミリ波センサ、62…アンテナ部、68…検波部、80…シールド部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から放射されるミリ波の到来方向に向けて延びるアンテナ部と、該アンテナ部により受信されたミリ波の信号レベルを検出する検波部と、を有するミリ波センサが、ミリ波の到来方向と交差する平面上に複数配置されたミリ波イメージングセンサであって、
前記ミリ波センサは、それぞれ前記アンテナ部と前記検波部とをつなぐ経路を取り囲む導電性のシールド部材を備え、該シールド部材の外周形状により、当該ミリ波センサと隣接する前記ミリ波センサのシールド部材との位置決めが行われている
ことを特徴とするミリ波イメージングセンサ。
【請求項2】
前記ミリ波センサは、ミリ波の到来方向に沿って延びる板状の基板上に、前記アンテナ部と前記検波部とをつなぐ経路,および,前記検波部が設けられており、前記シールド部材が、少なくとも前記経路の設けられた領域を含む前記基板上の領域を取り囲んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のミリ波イメージングセンサ。
【請求項3】
前記ミリ波センサは、シールド部材が導電性の金属部材により形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミリ波イメージングセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−281738(P2010−281738A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136440(P2009−136440)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、文部科学省、「安全・安心科学技術プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】