説明

ミリ波撮像装置

【課題】ミリ波を受信することにより被写体を撮像するミリ波撮像装置において、撮像画像から被写体内に隠れた検査対象物を検出して、検査者に通知できるようにする。
【解決手段】ミリ波撮像装置10は、被写体2から放射されるミリ波をレンズアンテナ12で集め、ミリ波センサアレー14で受信することにより、被写体2の2次元画像を撮像する。そして、その撮像画像は、画像処理装置20内に取り込まれ、表示装置28に表示される。また、画像処理装置20は、その撮像画像を処理して、撮像された被写体2の中で検波電圧が他の領域と大きく異なる特異箇所を検出し、その特異箇所と形状及び被写体2に対する大きさが類似した検査対象物4(候補)を、予め記憶部24に格納された検査対象物データの中から抽出して、その抽出した検査対象物4(候補)のシンボルマークと、検査対象物4の位置を、表示装置28に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体などの被写体から放射されるミリ波を受信することにより被写体を撮像するミリ波撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体などの被写体から放射されるミリ波を受信することによって、被写体を撮像し、その撮像画像から、被写体に隠された金属・非金属類の武器や、密輸品を検知することが提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
また、この提案で用いられるミリ波撮像装置は、通常、多数のミリ波センサを同一平面上に配置したミリ波センサアレーと、このミリ波センサアレーのミリ波入力面上に、人体などの被写体から放射されたミリ波を集束してミリ波画像を結像させるレンズとを備え、ミリ波センサアレーを構成する各ミリ波センサからの受信信号の信号レベルを、被写体画像を構成する一つの画素値として取り込むことで、被写体を撮像するようにされている。
【特許文献1】特開2006−258496号公報
【特許文献2】特許第2788519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、こうした従来のミリ波撮像装置で得られる撮像画像(ミリ波画像)は、可視光画像に比べて不鮮明であることから、その撮像画像から被写体に隠された検査対象物を見つけ出すには、検査者の経験が必要になり、経験の浅い者は撮像画像から検査対象物を見つけるのが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、被写体から放射されたミリ波を受信することで被写体を撮像するミリ波撮像装置において、撮像画像から被写体内に隠れた検査対象物を検出して、検査者に通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載のミリ波撮像装置は、被写体から放射されたミリ波を受信するミリ波センサからなる撮像手段と、該撮像手段を構成するミリ波センサからの出力に基づき、前記被写体の画像データを生成する画像データ生成手段と、検査対象となる物品毎に、当該物品の形状及び当該物品の前記被写体に対する大きさを表す検査対象物データが記憶された記憶手段と、該記憶手段に記憶された検査対象物データと、前記画像データ生成手段にて生成された画像データとを比較することにより、前記被写体内に隠れた検査対象物を検出する検出手段と、該検出手段による検出結果を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミリ波撮像装置において、前記出力手段は、前記画像データ生成手段にて生成された画像データに基づき、表示手段に前記被写体の画像を表示し、前記検出手段にて検査対象物が検出されると、表示手段に表示された被写体の画像上に前記検査対象物の位置を表示することを特徴とする。
【0008】
また次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のミリ波撮像装置において、前記検出手段は、前記被写体内に隠れた検査対象物として、前記検査対象物データで特定される物品と類似した検査対象物を1又は複数検出し、前記出力手段は、前記検出手段にて検査対象物が検出されると、前記表示手段における被写体画像の表示領域とは異なる表示領域に、前記検出手段にて検出された検査対象物の形状を表すシンボルマークを表示することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のミリ波撮像装置において、外部から入力される検査対象物の登録指令に従い、検査対象物となる物品の形状及び被写体に対する大きさを表すデータを取得し、該データを前記検査対象物データの一つとして前記記憶手段に格納する検査対象物データ登録手段、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のミリ波撮像装置には、検査対象となる物品毎に、その物品の形状及び物品の被写体に対する大きさを表す検査対象物データが記憶された記憶手段、が設けられており、検出手段が、記憶手段に記憶された検査対象物データと画像データ生成手段にて生成された画像データとを比較することにより、被写体内に隠れた検査対象物を検出し、出力手段が、その検出結果を出力する。
【0011】
このため、本発明のミリ波撮像装置によれば、被写体から放射されるミリ波を利用して被写体の画像を撮像できるだけでなく、その撮像画像から、被写体内に検査対象となる物品が隠れているか否かを自動で判定して、その判定結果を検査者に通知することができる。
【0012】
従って、本発明のミリ波撮像装置は、空港などで乗客や荷物を撮像し、その撮像画像から不正物品を検出するための撮像装置として使用するようにすれば、不正物品の検出に不慣れな検査者であっても、被写体(乗客或いは荷物)に隠された不正物品を簡単に検出することができるようになり、航空機などの安全性を向上することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載のミリ波撮像装置において、出力手段は、画像データ生成手段にて生成された画像データに基づき表示手段に被写体の画像を表示し、検出手段にて検査対象物が検出されると、その表示した被写体画像上に検査対象物の位置を表示する。
【0014】
従って、請求項2に記載のミリ波撮像装置によれば、検査者は、表示手段に表示された被写体画像から、被写体に検査対象物が隠されていることや、検査対象物が隠された位置を簡単に検知できることになり、当該ミリ波撮像装置を使って被写体に隠された検査対象物を検出する際の装置の使い勝手を向上できる。
【0015】
また次に、請求項3に記載のミリ波撮像装置においては、検出手段が、被写体内に隠れた検査対象物として、検査対象物データで特定される物品と類似した検査対象物を1又は複数検出するように構成されており、出力手段は、その検出手段にて検査対象物が検出されると、表示手段における被写体画像の表示領域とは異なる表示領域に、検出手段にて検出された検査対象物の形状を表すシンボルマークを表示する。
【0016】
従って、請求項3に記載のミリ波撮像装置によれば、表示手段に表示された被写体画像とシンボルマークとを使って、被写体内に隠された検査対象物を特定できることになり、その特定した検査対象物の種類に応じて最適なセキュリティ対策を講ずることができる。
【0017】
また、当該ミリ波撮像装置に対し被写体が接近してくるような場合、当該ミリ波撮像装置と被写体との距離が短くなるに従い、撮像画像が鮮明になって、その撮像画像から被写体内に隠された検査対象物を特定し易くなる。
【0018】
このため、請求項3に記載のミリ波撮像装置を、例えば、被写体となる人物が歩いて移動する場所に設置して、その人物が隠し持っている検査対象物を検出するのに利用するようにすれば、該装置に人物が接近してくるに従い、検査対象物が何であるかを絞り込むことができるようになり、使用者は、表示手段に表示されるシンボルマークの変化から被写体に隠された検査対象物を予測しつつ、対策を講ずることができるようになる。
【0019】
また次に、請求項4に記載のミリ波撮像装置には、検査対象物データ登録手段が設けられている。このため、請求項4に記載のミリ波撮像装置によれば、検査対象物として新たに登録したい物品がある場合には、検査対象物の登録指令と、その物品の形状及び被写体に対する大きさを表すデータを入力すれば、そのデータを検査対象物データの一つとして簡単に登録することができるようになり、ミリ波撮像装置の使い勝手をより向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明が適用されたミリ波撮像装置10の構成を表すブロック図である。
本実施形態のミリ波撮像装置10は、空港などで乗客が危険物(検査対象物4)を隠し持っていないかどうかをチェックするのに使用されるものであり、被写体2から放射されたミリ波を装置内に取り込み、ミリ波からなる被写体像を結像させるレンズアンテナ12と、このレンズアンテナ12による被写体像の結像位置に配置され、ミリ波を受信することにより被写体像を撮像するミリ波センサアレー14と、ミリ波センサアレー14からの出力をA/D変換器等からなる入力部16を介して取り込み被写体2の画像データを生成する画像処理装置20と、を備える。
【0021】
ミリ波センサアレー14は、図2に示すように構成されたミリ波センサ30を、撮像画像一画素分の撮像素子として複数備え、その複数のミリ波センサ30を平面状に配置することにより、縦×横、所定画素分の二次元画像を撮像できるように構成されている。
【0022】
また、ミリ波センサ30は、図2に示すように、ミリ波を受信するための受信アンテナ32と、受信アンテナ32からの受信信号を増幅するローノイズアンプ(LNA)34と、LNA34にて増幅された受信信号の中から、検査対象物4の検出に適した所定周波数帯(例えば75GHz帯)の受信信号を選択的に通過させるバンドパスフィルタ(BPF)36と、BPF36を通過した受信信号を検波し、その信号レベルを検出する検波回路38と、から構成されている。
【0023】
このため、ミリ波センサアレー14を構成する各ミリ波センサ30からは、各々の受信点で受信したミリ波の信号レベルに応じた検波電圧が出力され、画像処理装置20は、入力部16を介して、これら各ミリ波センサ30からの検波電圧を順次取り込むことで、画像データを生成する。
【0024】
また、画像処理装置20は、画像処理機能を有するコンピュータにて構成されており、マウスやキーボードからなる操作部22、ハードディスク等からなる記憶部24、表示装置28に被写体2の撮像画像等を表示するための表示制御部26、が接続されている。
【0025】
そして、画像処理装置20は、撮像した被写体2の画像を表示装置28に表示するだけでなく、画像データを処理することで被写体2の中に検査対象物4が隠れているか否かを判定して、検査対象物4が隠れていれば、その位置や検査対象物4の種類を表示装置28に表示する。
【0026】
以下、このように検査対象物4を検出するために画像処理装置20にて実行される被写体検査処理を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、この処理を実行するに当たって、記憶部24には、検査対象となる物品(つまり検査対象物4)毎に、物品の種別(名称)、形状及び大きさが記述された、検査対象物データ(図3参照)が予め記憶されている。
【0027】
また、検査対象物データにおいて、物品の大きさを表す数値には、被写体の標準的な大きさ(例えば被写体2となる乗客の平均的な身長)を基準値(例えば100)として、その基準値に対する比率を表す値が設定されている。
【0028】
そして、この検査対象物データは、操作部22を操作して画像処理装置20に検査対象物データの登録指令を入力することで、検査対象物4を追加登録できるようになっているが、この登録処理については、被写体検査処理の後に説明する。
【0029】
図4に示すように、被写体検査処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、入力部16を介して、ミリ波センサアレー14を構成する各ミリ波センサ30から順次検波電圧を取り込み、画像データを生成し、続くS120では、その生成した画像データに基づき、表示制御部26を介して被写体2の撮像画像(被写体画像)を表示装置28に表示する(図5参照)。
【0030】
次に、S130では、S110にて生成された画像データを処理して被写体2の背景を除去することにより撮像画像中の被写体像を認識し、その大きさ(具体的には被写体2である乗客の身長)を把握する。
【0031】
そして、続くS140では、S130で認識した被写体像の中で、被写体2全体の平均的な検波電圧に比べて検波電圧が大きく異なる箇所(以下、特異箇所という)が存在するか否かを判断し、特異箇所が存在しなければ、再度S110に移行して、上記と同様の処理を実行する。
【0032】
一方、S140にて、特異箇所があると判断されると、S150に移行して、その特異箇所の形状及び大きさを認識する。なお、特異箇所の大きさは、検査対象物データの物品の大きさを表す数値と同様、S130にて把握した被写体全体の大きさ(例えば乗客の身長)を基準として認識(数値化)される。
【0033】
次に、このように特異箇所の形状及び大きさが認識されると、S160に移行して、その認識結果と記憶部24に記憶された検査対象物データとを比較することにより、検査対象物データに登録された検査対象物4の中から、特異箇所と形状及び大きさが類似した検査対象物4を、検査対象物候補として選択する。
【0034】
なお、S160における検査対象物4の選択は、例えば、検査対象物4の形状及び大きさと、特異箇所の形状及び大きさとの類似度を算出し、その類似度が閾値を越える場合に、これらが略一致していると判断して、対応する検査対象物4を選択する、といった手順で行われる。
【0035】
そして、続くS170では、図5に示すように、表示装置28に表示された被写体2の画像の上に、今回認識した特異箇所を、検査対象物4の位置として識別可能に表示すると共に、表示装置28の被写体画像の表示領域とは異なる表示領域(図では表示装置28の表示画面右側の領域)に、S160にて検査対象物候補として選択した全て(若しくは類似度で上位n個、n:2以上の整数)の検査対象物4の形状を表すシンボルマークを表示する。
【0036】
なお、S160にて特異箇所と形状及び大きさが類似した検査対象物4が選択されていない場合、S170では、検査対象物4のシンボルマークの表示は行われず、特異箇所の位置表示のみが行われる。
【0037】
また次に、S180では、操作部22からの指令や図示しない電源スイッチのオフ操作等によって、被写体の検査は終了したか否かを判断する。そして、被写体の検査が終了していなければ、再度S110に移行し、被写体の検査が終了していれば、S190にて、今回の被写体検査処理にて認識した特異箇所の認識結果(形状/大きさ)を、検査対象物データへの登録候補として記憶するか否かを判断する。
【0038】
S190にて、特異箇所の認識結果を記憶すると判断されると、S200にて、特異箇所の認識結果(物品の形状・大きさ)を記憶部24の登録候補記憶領域に記憶した後、当該被写体検査処理を終了し、逆に、S190にて、特異箇所の認識結果は記憶しないと判断されると、そのまま当該被写体検査処理を終了する。
【0039】
なお、S190の判断処理は、認識結果を記憶するか消去するかを検査者に選択させる選択メニューを表示装置28に表示し、その後、使用者が、操作部22を介して、認識結果の記憶指令或いは消去指令を入力してくるのを待機する、といった手順で実行される。
【0040】
次に、図6は、操作部22を介して検査対象物データの登録指令が入力されたときに、画像処理装置20にて実行される、検査対象登録処理を表すフローチャートである。
図6に示すように、検査対象登録処理が開始されると、S210にて、記憶部24の登録候補記憶領域に記憶された特異箇所の認識結果(物品の形状・大きさ)を読み出し、その一覧を表示装置28に表示する。
【0041】
そして、続くS220では、操作部22を介して、表示装置28に表示した特異箇所の認識結果の一覧の中から任意の認識結果が選択されたか否かを判断することにより、認識結果が選択されるのを待ち、認識結果が選択されると、S230に移行して、表示装置28に、その選択された認識結果の検査対象物データへの登録画面を表示し、登録データの編集を受け付ける。
【0042】
なお、検査対象物4の登録データとしては、図3から明らかなように、物品の名称、形状、大きさがあり、このうち、形状及び大きさについては、特異箇所の認識結果として既にデータが存在することから、S230では、物品の名称を新規に受け付け、形状及び大きさについては、大きさの範囲など、各データの一部の修正を受け付けるようにされている。
【0043】
次に、S240では、S230で編集を受け付けた登録データに対する確定指令が入力されたか否かを判断する。そして、確定指令が入力されていなければ、再度S230に移行し、確定指令が入力されていれば、S250に移行して、S230での編集後の登録データを、検査対象物データの1つとして、記憶部24に格納し、当該処理を一旦終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のミリ波撮像装置10においては、被写体2から放射されるミリ波をレンズアンテナ12で集め、ミリ波センサアレー14で受信することにより、被写体2の2次元画像を撮像する。そして、その撮像画像は、画像処理装置20内に画像データとして取り込まれ、表示装置28に表示される。
【0045】
また、画像処理装置20は、その撮像画像を処理して、撮像された被写体2の中で検波電圧が他の領域と大きく異なる特異箇所を検出し、その特異箇所と形状及び被写体2に対する大きさが類似した検査対象物4(候補)を、予め記憶部24に格納された検査対象物データの中から抽出して、その抽出した検査対象物4(候補)のシンボルマークと、検査対象物4の位置を、表示装置28に表示する。
【0046】
このため、本実施形態のミリ波撮像装置10によれば、被写体2が検査対象物4を隠し持っている場合に、その旨を自動で検知して、撮像画像の表示画面上に、その検査対象物4のシンボルマークを表示することができ、検査者は、その表示画像から、被写体2が隠し持っている検査対象物4を簡単に見つけることができる。
【0047】
また本実施形態のミリ波撮像装置10においては、被写体2に隠された検査対象物4として、撮像画像上の特異箇所と形状及び大きさが類似した複数の検査対象物4を選択すると、その選択した全て(若しくは類似度で上位n個)の検査対象物4のシンボルマークを表示する。
【0048】
従って、検査者は、表示装置28に表示された被写体2の画像と検査対象物4のシンボルマークとから、被写体2に隠された検査対象物4を特定できることになり、その特定した検査対象物4の種類に応じて、最適なセキュリティ対策を講ずることができる。
【0049】
また、ミリ波撮像装置10を、被写体2である乗客が移動する経路上に配置すれば、乗客がミリ波撮像装置10に近付くに従い撮像画像が鮮明になって、その撮像画像から検査対象物4を特定し易くなるため、検査者は、表示装置28に表示されるシンボルマークの変化から被写体2に隠された検査対象物4を予測しつつ、対策を講ずることができるようになり、ミリ波撮像装置10の使い勝手をより向上することができる。
【0050】
また、本実施形態のミリ波撮像装置10によれば、被写体検査処理で、被写体画像の特異箇所として検出した形状及び大きさのうち、新たに検査対象物4として登録したい特異箇所があれば、登録指令を入力して検査対象登録処理を実行させることにより、新しい検査対象物4として簡単に登録することができ、これによっても、ミリ波撮像装置10の使い勝手を向上することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、ミリ波センサアレー14が、本発明の撮像手段に相当し、記憶部24が、本発明の記憶手段に相当する。また、本実施形態では、画像処理装置20にて実行される被写体検査処理の内、S110の処理が、本発明の画像データ生成手段に相当し、S130〜S160の処理が、本発明の検出手段に相当し、S120及びS170の処理が、本発明の出力手段に相当する。また更に、本実施形態では、画像処理装置20にて実行される検査対象登録処理が、本発明の検査対象物データ登録手段に相当する。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、ミリ波撮像装置10は、空港などで乗客が危険物を隠し持っていないかどうかをチェックするためのものであり、被写体2は乗客であるとして説明したが、本発明のミリ波撮像装置は、人体以外の被写体、例えば、荷物や梱包物等を撮像して、その撮像画像から、荷物や梱包物に隠された検査対象物4の有無を判定するのにも使用することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、撮像手段は、平面上に配置された複数のミリ波センサ30を使って2次元画像を撮像するミリ波センサアレー14であるものとして説明したが、撮像手段としては、例えば、ポリゴンミラー等のミリ波走査手段を介して、1つ若しくは一列のミリ波センサにミリ波画像を順次入力するように構成されたものであっても、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態のミリ波撮像装置全体の構成を表すブロック図である。
【図2】ミリ波センサの構成を表す説明図である。
【図3】記憶部に記憶された検査対象物データを説明する説明図である。
【図4】画像処理装置にて実行される被写体検査処理を表すフローチャートである。
【図5】表示装置に表示された撮像画像及び検査対象物の一例を表す説明図である。
【図6】画像処理装置にて実行される検査対象登録処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
2…被写体、4…検査対象物、10…ミリ波撮像装置、12…レンズアンテナ、14…ミリ波センサアレー、16…入力部、20…画像処理装置、22…操作部、24…記憶部、26…表示制御部、28…表示装置、30…ミリ波センサ、32…受信アンテナ、34…LNA(ローノイズアンプ)、36…BPF(バンドパスフィルタ)、38…検波回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から放射されたミリ波を受信するミリ波センサからなる撮像手段と、
該撮像手段を構成するミリ波センサからの出力に基づき、前記被写体の画像データを生成する画像データ生成手段と、
検査対象となる物品毎に、当該物品の形状及び当該物品の前記被写体に対する大きさを表す検査対象物データが記憶された記憶手段と、
該記憶手段に記憶された検査対象物データと、前記画像データ生成手段にて生成された画像データとを比較することにより、前記被写体内に隠れた検査対象物を検出する検出手段と、
該検出手段による検出結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするミリ波撮像装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記画像データ生成手段にて生成された画像データに基づき、表示手段に前記被写体の画像を表示し、前記検出手段にて検査対象物が検出されると、表示手段に表示された被写体の画像上に前記検査対象物の位置を表示することを特徴とする請求項1に記載のミリ波撮像装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記被写体内に隠れた検査対象物として、前記検査対象物データで特定される物品と類似した検査対象物を1又は複数検出し、
前記出力手段は、前記検出手段にて検査対象物が検出されると、前記表示手段における被写体画像の表示領域とは異なる表示領域に、前記検出手段にて検出された検査対象物の形状を表すシンボルマークを表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミリ波撮像装置。
【請求項4】
外部から入力される検査対象物の登録指令に従い、検査対象物となる物品の形状及び被写体に対する大きさを表すデータを取得し、該データを前記検査対象物データの一つとして前記記憶手段に格納する検査対象物データ登録手段、を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミリ波撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−8272(P2010−8272A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168863(P2008−168863)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、文部科学省、「安全・安心科学技術プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】