説明

ミリ波撮像装置

【課題】人体などの被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することにより、被写体を撮像するミリ波撮像装置において、被写体の配置領域内に外部から入射した熱雑音の影響を受けることなく、鮮明な被写体像が得られるようにする。
【解決手段】被写体2となる人体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することで、被写体2の画像を撮像するミリ波撮像装置において、撮像時に被写体2が位置する被写体配置領域(検査対象領域)を挟んで、撮像装置本体10とは反対側に、遮蔽板4を設ける。遮蔽板4は、外部から検査対象領域内に侵入した熱雑音が、撮像装置本体10に入射するのを防止するためのものであり、熱雑音を反射可能な金属板若しくは熱雑音を吸収可能な電波吸収体にて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することにより被写体を撮像するミリ波撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体などの被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することによって、被写体を撮像し、その撮像画像から、被写体に隠された武器や密輸品等を検知することが提案されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−177175号公報
【特許文献2】特開2008−241352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この提案の装置は、被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することにより被写体を撮像する所謂パッシブ型の撮像装置であることから、被写体にミリ波を照射し、その反射波から被写体を撮像するアクティブ型の撮像装置に比べて、装置構成を簡単にすることができる。
【0005】
しかし、こうしたパッシブ型の撮像装置では、被写体から放射される微弱な熱雑音(ミリ波)を受信し、その微弱な受信信号から被写体の撮像画像を生成することになるため、撮像対象となる被写体が配置される被写体配置領域内に外部から熱雑音が入射すると、その熱雑音の影響を受けて、被写体を正常に撮像することができないことがあった。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、人体などの被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することにより、被写体を撮像するミリ波撮像装置において、被写体の配置領域内に外部から入射した熱雑音の影響を受けることなく、鮮明な被写体像が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を透過させて、所定の結像位置に当該熱雑音からなる被写体像を結像させるレンズアンテナと、
前記レンズアンテナにより結像された被写体像各部の熱雑音を受信する受信アンテナを備え、該受信アンテナによる熱雑音の受信レベルから前記被写体の画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備えたミリ波撮像装置において、
撮像時に前記被写体が位置する被写体配置領域を挟んで、前記レンズアンテナとは反対側に、少なくとも前記レンズアンテナからみて前記アンテナ素子により前記被写体像を撮像可能な撮像可能範囲内で、前記熱雑音の通過を阻止する遮蔽板を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミリ波撮像装置において、前記遮蔽板は、前記熱雑音を反射可能な金属からなることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のミリ波撮像装置において、前記遮蔽板は、前記ミリ波帯の熱雑音を吸収可能な電波吸収体からなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミリ波撮像装置において、前記遮蔽板を構成する電波吸収体の温度を一定温度にするための温度調整手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のミリ波撮像装置において、前記遮蔽板の上方には、板面が前記レンズアンテナ側に向くよう屈曲させた屈曲部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のミリ波撮像装置において、前記遮蔽板と前記レンズアンテナとの間の床面の少なくとも一部を、波形形状にしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のミリ波撮像装置において、
前記画像データ生成手段は、
前記レンズアンテナによる被写体像の結像位置付近に配置され、当該被写体像を形成している熱雑音を前記アンテナ素子に向けて反射する反射板と、
前記反射板を揺動することで、前記被写体像各位置の熱雑音を前記アンテナ素子へ入射させる走査手段と、
前記走査手段を介して前記反射板を揺動しつつ前記アンテナ素子から受信信号を取り込むことで、前記被写体像を表す画像データを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のミリ波撮像装置においては、撮像時に被写体が配置される被写体配置領域を挟んで、レンズアンテナとは反対側に、熱雑音の通過を阻止する遮蔽板が設けられている。
【0014】
そして、この遮蔽板は、少なくとも、レンズアンテナからみてアンテナ素子により被写体像を撮像可能な撮像可能範囲内で、熱雑音の通過を阻止できる大きさになっていることから、外部から被写体配置領域に入射した熱雑音(ミリ波)が、レンズアンテナを介して、アンテナ素子に入射されるのを防止できる。
【0015】
よって、本発明のミリ波撮像装置によれば、遮蔽板により、被写体の後方から撮像可能範囲内に入射する不要な熱雑音を遮断することができるようになり、その不要な熱雑音の影響を受けることなく、被写体を撮像することができるようになる。
【0016】
このため、本発明のミリ波撮像装置を用いて被写体を撮像すれば、鮮明な被写体像を得ることができ、その撮像画像から被写体に隠された武器や密輸品等を検知する際の検知精度を高めることができる。
【0017】
ここで、遮蔽板は、不要な熱雑音(ミリ波)を遮蔽することができればよく、請求項2に記載のように、熱雑音を反射可能な金属にて構成してもよく、或いは、請求項3に記載のように、熱雑音を吸収可能な電波吸収体にて構成してもよい。
【0018】
そして、このうち、電波吸収体は、熱雑音の透過率及び反射率が低く、放射率が高く、しかも、周囲温度が高くなる程、熱雑音(ミリ波)の放射が強くなることから、遮蔽板を電波吸収体にて構成した際には、周囲温度が低く温度変化が少ない条件下で利用する、というように、その利用条件を制限する必要がある。
【0019】
このため、遮蔽板を電波吸収体にて構成する際には、請求項4に記載のように、遮蔽板を構成する電波吸収体の温度を一定温度にするための温度調整手段を設けることが望ましい。更に言えば、その設定温度は、人体温度と大きな温度差を有した温度に設定するのが望ましい。
【0020】
これに対し、金属板は、熱雑音の反射率が高く、放射率及び透過率は低く、しかも、これらは温度の影響を受け難いことから、遮蔽板を金属にて構成した際には、利用条件を制限することなく利用することができる。
【0021】
なお、遮蔽板を金属にて構成する場合、アンテナ素子にて受信されるミリ波帯の熱雑音を遮蔽できればよいので、必ずしも金属板にて構成する必要はなく、網目状のものを利用してもよく、或いは、合成樹脂フィルムに金属箔や金属性のメッシュを貼り付けた導電性フィルムを利用してもよい。
【0022】
一方、請求項5に記載のように、遮蔽板の上方には、板面がレンズアンテナ側に向くよう屈曲させた屈曲部を形成してもよい。
そしてこのようにした場合、遮蔽板による熱雑音(ミリ波)の遮蔽可能範囲が同じであれば、遮蔽板の高さを低くすることができる。
【0023】
よって、請求項5に記載の発明は、遮蔽板を高さ制限がある場所に設置する際に極めて有効な発明となる。
ところで、撮像可能範囲に床面が含まれる場合、床面から反射した熱雑音(ミリ波)により、撮像画像が乱れることも考えられる。
【0024】
このため、このような場合には、請求項6に記載のように、遮蔽板とレンズアンテナとの間の床面の少なくとも一部を、波形形状にすることで、床面の表面における反射を抑制し、熱雑音(ミリ波)の透過性を向上させて、その反射波がレンズアンテナから受信アンテナへ入射するのを防止するようにしてもよい。
【0025】
そして、このようにすれば、床面からの反射波の影響を受けることなく、より鮮明な撮像画像を得ることができる。
また、画像データ生成手段は、レンズアンテナにより結像される被写体像の画像領域に、多数のアンテナ素子を2次元配置し、各アンテナ素子からの出力を順次取り込むことで、画像データを生成するようにしてもよい。
【0026】
しかし、このためにはミリ波帯の熱雑音を受信可能な多数のアンテナ素子を2次元状に配置した平面アンテナや、各アンテナ素子からの受信信号を各々処理する多数の信号処理回路が必要になるため、ミリ波撮像装置のコストアップを招くことになる。
【0027】
そこで、画像データ生成手段は、請求項7に記載のように、反射板と、走査手段と、制御手段とから構成し、制御手段が、走査手段を介して反射板を揺動しつつアンテナ素子から受信信号を取り込むことで画像データを生成するようにするとよい。
【0028】
つまり、このようにすれば、平面アンテナを用いる場合に比べて、アンテナ素子や信号処理回路(後述の検波回路や増幅回路等)の数を減らして、ミリ波撮像装置のコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態のミリ波撮像装置全体の構成を表す概略構成図である。
【図2】図1に示す撮像装置の構成を表す説明図である。
【図3】ミリ波撮像装置の床面の変形例を表す断面図である。
【図4】電波吸収体を用いた遮蔽板の構成例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用されたミリ波撮像装置全体の構成を表す概略構成図である。
本実施形態のミリ波撮像装置は、空港などで乗客が危険物を隠し持っていないかどうかをチェックするのに使用されるものであり、被写体の配置対象領域である検査対象領域に位置する乗客を被写体2として、被写体2から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することにより被写体2の画像を撮像する撮像装置本体10と、検査対象領域を挟んで撮像装置本体10とは反対側に設けられた遮蔽板4とから構成されている。
【0031】
ここで、撮像装置本体10には、図2に示すように、検査対象領域内に位置する被写体2から放射されたミリ波帯の熱雑音を装置内に取り込み、熱雑音からなる被写体像を結像させるレンズアンテナ12と、このレンズアンテナ12による被写体像の結像位置付近に配置された反射板14と、この反射板14にて反射されたミリ波帯の熱雑音を受信してその信号レベルを検出する受信部20と、反射板14を中心軸周りに双方向に揺動させて、被写体像各位置の熱雑音を受信部20へ入射させるアクチュエータ16とが備えられている。
【0032】
受信部20は、ミリ波帯の熱雑音を受信可能な複数のアンテナ素子20aを水平方向に配置してなるラインセンサにて構成されており、反射板14は、水平方向に配置された中心軸周りに揺動されることで、レンズアンテナ12にて結像された画像を垂直方向に走査し、水平方向一ライン分の熱雑音(ミリ波)を順次ラインセンサに入射させる。
【0033】
また、受信部20には、複数のアンテナ素子20aからの受信信号をそれぞれ増幅する複数の増幅回路や受信信号をそれぞれ検波する複数の検波回路(検波用のダイオード等)が内蔵されており、各検波回路により検波された検波信号が一ライン分出力される。
【0034】
そして、この検波信号は、入力装置24を介して、画像処理装置30に入力される。
画像処理装置30は、マイクロコンピュータ等にて構成されており、駆動装置22を介してアクチュエータ16を駆動することにより、反射板14を揺動させて、レンズアンテナ12による結像画像を垂直方向に走査しつつ、受信部20に周期的に同期信号を出力することで、受信部20から結像画像の水平方向一ライン分の検波信号を順次出力させ、その水平方向一ライン分の検波信号を順次取り込むことで、結像体像に対応した画像データを生成する。
【0035】
そして、画像処理装置30は、その生成した画像データを、出力装置26を介して外部のディスプレイや記憶装置へ出力することで、検査対象領域を撮像した撮像画像をディスプレイへ表示するか、或いは、その画像データを記憶装置に記憶させる。
【0036】
従って、本実施形態のミリ波撮像装置の使用者は、ディスプレイに表示された撮像画像を見ることで、検査対象領域に被写体2となる人が居ることを検知したり、その表示画像から被写体2である人が隠し持っている凶器を検知したりすることができる。
【0037】
また、記憶装置に記憶された画像データにてディスプレイに撮像画像を表示させることで、使用者は、検査対象領域に居た人物を確認するとか、その人物が持っている物体を確認するといったことができる。
【0038】
一方、遮蔽板4は、検査対象領域の外部から検査対象領域内に、撮像装置本体10の受信部20にて受信可能なミリ波帯の熱雑音が侵入し、その侵入した熱雑音が撮像装置本体10内に入射するのを防止するためのものであり、本実施形態では、熱雑音を反射可能な金属板にて構成されている。
【0039】
そして、この遮蔽板4の大きさは、レンズアンテナ12からみて、受信部20により被写体像を撮像可能な撮像可能範囲(図1に一点鎖線で示す領域)をカバーすることのできる大きさになっている。
【0040】
なお、本実施形態のミリ波撮像装置において、撮像装置本体10と遮蔽板4との間隔(つまり検査対象領域の幅)L1は、数メートル(例えば約2.4m)に設定されている。
そして、撮像装置本体10にて被写体2を撮像する際、使用者は、被写体2である人を遮蔽板4付近に立たせるか、遮蔽板4近傍を歩かせることにより、被写体2から遮蔽板4側に放射されたミリ波帯の熱雑音が遮蔽板4から反射されて撮像装置本体10に入射するのを防止する。
【0041】
このように、本実施形態のミリ波撮像装置によれば、検査対象領域を挟んで撮像装置本体10とは反対側に、ミリ波帯の熱雑音を反射可能な金属板からなる遮蔽板4が設けられている。
【0042】
そして、この遮蔽板4の大きさは、レンズアンテナ12(換言すれば撮像装置本体10)からみて、受信部20によりミリ波帯の熱雑音を受信可能な撮像可能範囲(図1に一点鎖線で示す領域)をカバーできる大きさになっているので、検査対象領域の外から検査対象領域に入射した不要な熱雑音が、レンズアンテナ12を介して受診部20に入射するのを防止できる。
【0043】
よって、本実施形態によれば、撮像装置本体10において、検査対象領域外から入射した熱雑音の影響を受けることなく、検査対象領域内に居る人(被写体2)を撮像することができるようになり、鮮明な撮像画像を得ることができる。
【0044】
そして、その撮像画像は、表示若しくは記憶されることから、使用者は、表示若しくは記憶された撮像画像に基づき、被写体2に隠された武器や密輸品等を精度良く検知することができるようになる。
【0045】
なお、本実施形態においては、アクチュエータ16及びその駆動装置22が、本発明の走査手段に相当し、画像処理装置30が本発明の制御手段に相当する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【0046】
例えば、図1に点線で示すように、遮蔽板4には、上方で板面を被写体2側に屈曲させることで屈曲部4aを形成してもよい。
そしてこのようにした場合、熱雑音(ミリ波)の遮蔽可能範囲が同じであれば、遮蔽板4の高さを低くすることができる(図1では高さをH1だけ低くできる)。
【0047】
よって、この構成は、遮蔽板4を高さ制限がある場所に設置する際に極めて有効な構成となる。
また、上記実施形態では、遮蔽板4として、金属板を用いるものとして説明したが、遮蔽板は、検査対象領域外から入射した熱雑音(ミリ波)を遮蔽することができればよいことから、熱雑音を吸収可能な電波吸収体を用いて構成してもよく、金属からなる網目状のものを用いて構成してもよく、或いは、導電性フィルムを用いて構成してもよい。
【0048】
また、撮像装置本体10による撮像可能範囲に床面が含まれる場合、床面から反射した熱雑音(ミリ波)により、撮像画像が乱れることも考えられる。
そこで、図3に示すように、撮像時に被写体2が載る床面には、電波吸収体であるフェライト等を混入させたシート材6を敷設し、その上に、補強用の床材8を設けるようにしてもよい。
【0049】
なお、この床材8は、熱雑音(ミリ波)を透過可能な合成樹脂にて構成すればよいが、その表面には、所謂コルゲート加工によって波形形状の凹凸を形成することが望ましい。
つまり、このようにすれば、床材8表面からの熱雑音(ミリ波)の反射が抑制されるため、その反射波が撮像装置本体10に入射するのを防止できる。また、被験者の滑り止めにもなる。
【0050】
一方、このように床や遮蔽板に電波吸収体を用いる場合、電波吸収体は、温度や湿度によって特性が変化することから、温度や湿度を一定に保持することが望ましい。
そこで、電波吸収体を用いて床や遮蔽板を形成する際には、図4に示すように、裏面に電波吸収体からなるシート材6を積層した表板32と、裏板34とで、内部空間36を有する遮蔽板本体40を構成し、その内部空間36に、温度調整手段としての空調装置40から一定温度・一定湿度の空調空気を送り込むようにするとよい。
【0051】
そして、このときの空調空気の設定温度は、人体温度と大きな温度差を有するような温度に設定するのがよい。
ここで、図4に示す遮蔽体本体40は、被写体の後方に配置される遮蔽部38だけでなく、被写体が載るための床部39も備えた、断面L字型に形成されており、空調装置42は、遮蔽体本体40が設置される床の上に置かれ、遮蔽体本体40の下端後方から空調空気を送り込むことで、遮蔽体本体40の床部39の内部空間と遮蔽部38の内部空間とに同時に空調空気を送り込むようにされている。
【0052】
そして、遮蔽体本体40の遮蔽部38に送り込まれた空調空気は、遮蔽部38の上端側から循環用パイプ44を介して、空調空気42に戻され、温度、湿度が調整された後、再度、遮蔽体本体40に送られる。
【0053】
このように、遮蔽板を、内部空間36を有する遮蔽板本体40とその内部空間36に空調空気を送り込む空調装置42とで構成すれば、遮蔽板本体40に設けられた電波吸収体からなるシート材6の温度・湿度を一定に保ち、撮像装置本体10により常時安定した撮像画像が得られるようになる。
【0054】
なお、遮蔽部38及び床部39の表板32には、ミリ波の透過率の高いものを使用するのが望ましい。
また、床部39の表板32の表面には、図3に示したように、所謂コルゲート加工によって波形形状の凹凸を形成することが望ましい。
【0055】
また次に、上記実施形態においては、熱雑音を受信する受信部20を、アンテナ素子を一列に配置してなるラインセンサにて構成し、アクチュエータ16を介して反射板14を垂直方向に揺動(走査)することで、被写体2の画像を撮像するものとして説明したが、例えば、アクチュエータ16を、反射板14を水平方向にも垂直方向にも走査可能に構成すれば、受信部20を一つのアンテナ素子にて構成することができる。
【0056】
また例えば、受信部20を、複数のアンテナ素子を平面上に配置した2次元センサ(換言すれば平面アンテナ)として構成すれば、走査用の反射板14やアクチュエータ16を用いることなく、被写体2の画像を撮像することができる。
【0057】
一方、上記実施形態のように、遮蔽板4を設けて、熱雑音検出用のアンテナ素子に不要な熱雑音が入射されるのを防止する技術は、人を検知する検知装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
2…被写体、4…遮蔽板、6…シート材(電波吸収体)、8…床材、10…撮像装置本体、12…レンズアンテナ、14…反射板、16…アクチュエータ、20…受信部、20a…アンテナ素子、22…駆動装置、24…入力装置、26…出力装置、30…画像処理装置、32…表板、34…裏板、36…内部空間、38…遮蔽部、39…床部、40…遮蔽板本体、42…空調装置、44…循環用パイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から放射されるミリ波帯の熱雑音を透過させて、所定の結像位置に当該熱雑音からなる被写体像を結像させるレンズアンテナと、
前記レンズアンテナにより結像された被写体像各部の熱雑音を受信する受信アンテナを備え、該受信アンテナによる熱雑音の受信レベルから前記被写体の画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備えたミリ波撮像装置において、
撮像時に前記被写体が位置する被写体配置領域を挟んで、前記レンズアンテナとは反対側に、少なくとも前記レンズアンテナからみて前記アンテナ素子により前記被写体像を撮像可能な撮像可能範囲内で、前記熱雑音の通過を阻止する遮蔽板を設けたことを特徴とするミリ波撮像装置。
【請求項2】
前記遮蔽板は、前記熱雑音を反射可能な金属からなることを特徴とする請求項1に記載のミリ波撮像装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、前記ミリ波帯の熱雑音を吸収可能な電波吸収体からなることを特徴とする請求項1に記載のミリ波撮像装置。
【請求項4】
前記遮蔽板を構成する電波吸収体の温度を一定温度にするための温度調整手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載のミリ波撮像装置。
【請求項5】
前記遮蔽板の上方には、板面が前記レンズアンテナ側に向くよう屈曲させた屈曲部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のミリ波撮像装置。
【請求項6】
前記遮蔽板と前記レンズアンテナとの間の床面の少なくとも一部を、波形形状にしたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のミリ波撮像装置。
【請求項7】
前記画像データ生成手段は、
前記レンズアンテナによる被写体像の結像位置付近に配置され、当該被写体像を形成している熱雑音を前記アンテナ素子に向けて反射する反射板と、
前記反射板を揺動することで、前記被写体像各位置の熱雑音を前記アンテナ素子へ入射させる走査手段と、
前記走査手段を介して前記反射板を揺動しつつ前記アンテナ素子から受信信号を取り込むことで、前記被写体像を表す画像データを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のミリ波撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−237417(P2011−237417A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88368(P2011−88368)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、文部科学省、「安全・安心科学技術プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】