説明

ミルシート閲覧方法およびミルシート閲覧システム

【課題】ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保しつつ、ミルシート電子ファイルの閲覧に要する手間を削減でき、閲覧するまでに要する時間を短縮すること。
【解決手段】ホストコンピュータ20において鋼板の製造後の検査に基づいて、原本としてのミルシート電子ファイルを生成し、このファイルに基づいて、同じ情報を含む閲覧版のミルシート電子ファイルを生成する。閲覧版のミルシート電子ファイルを、URIなどに基づいてアクセス可能な開示領域に格納することで、ネットワーク網1を介して注文者端末30や需要家端末40からアクセス可能な状態とする。URIに基づいて、注文者端末30や需要家端末40が閲覧版のミルシート電子ファイルにアクセスしてファイルを開くことによって、表示部32,42に閲覧版のミルシート電子ファイルを表示して、ミルシートの品質情報を閲覧可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼製品のミルシートの電子ファイルを閲覧する際のミルシート閲覧方法およびミルシート閲覧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製品における材質を証明するための添付書類として、鉄鋼メーカが鉄鋼製品を納入する際に注文者に提示する証明書のことを、ミルシートと称する。このミルシート(鋼材検査証明書)は、その電子ファイルが原本とされる。
【0003】
このような電子ファイル化されたミルシートの原本は、その保証性が厳格に担保される必要がある。そのため、ミルシートの電子ファイル(以下、ミルシート電子ファイル)を、保存されているデータベースからネットワーク網などを介してダウンロードすることができるのは、一定の権限を有する権限者に限定されている。具体的には、ミルシート電子ファイルをダウンロードすることができるのは、メーカと需要家とを仲介する商社などの注文者である。さらに、ミルシート電子ファイルをダウンロードすることが許可される注文者は1社に限定されていた。
【0004】
図5は、従来技術によるミルシートの閲覧方法の概略流れを示す模式図である。図5に示すように、従来技術においては、ミルシートまたはミルシートの複写物の受け渡しは、受注者であるメーカ100と、商社などの注文者200と、顧客などの需要家300と、最終ユーザ400との間で行われる。なお、メーカ100、注文者200、および需要家300のそれぞれには、適所に、ネットワーク網を介して相互に通信可能なコンピュータやサーバが配備されている。
【0005】
このミルシートの受け渡しにおいては、まず、ミルシートの原本であるミルシート電子ファイルがメーカ100のコンピュータやサーバにより開示される(S101:開示)。ミルシート電子ファイルのダウンロードが許されている注文者200のコンピュータにより、開示されたミルシートの電子データが、ネットワーク網を介してダウンロードされる(S102:取込)。取り込まれたミルシート電子ファイルは、注文者200のコンピュータの情報記録部に格納される(S103:保管)。そして、情報記録部に格納されたミルシート電子ファイルは、必要に応じてネットワーク網を介して需要家300に送信されたり、記録媒体などに保存されて需要家300に発送されたりする(S104:発送)。
【0006】
需要家300の品質保証部門においては、需要家300のコンピュータによって注文者200から送信された複写ファイルとしてのミルシート電子ファイルを受信したり、紙媒体に印刷されたミルシートを受領したりする(S105:受領)。その後、需要家300において、受領したミルシート電子ファイルは、需要家300のコンピュータの情報記録部に格納され保管される(S106:保管)。
【0007】
また、必要に応じて、需要家300から最終ユーザ400にミルシートを提示する必要がある場合、メーカ100のコンピュータにより複写ファイルとしてのミルシート電子ファイルが読み出され、注文者200を介して需要家300が記録媒体を入手し、紙媒体に印刷されたミルシートや電子記録媒体のミルシートのファイルなどを最終ユーザ400に提出する(S107:提出)。最終ユーザ400は紙媒体や電子記録媒体のミルシートを受領する(S108:受領)。
【0008】
一方、需要家300において、ミルシート電子ファイルを閲覧する必要が生じた際には、需要家300のコンピュータにより、メーカ100のコンピュータの情報記録部から複写ファイルとしてのミルシート電子ファイルが読み出され、閲覧される(S109:閲覧)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−345862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、メーカ100、注文者200、および需要家300などの流通上の関係者間において、ミルシート電子ファイルの受け渡しや閲覧には様々な手順を経る必要がある。そのため、需要家300が鉄鋼材を用いた製品の製造などのためにミルシートを閲覧する必要がある場合、その閲覧に手間や時間を要すると言う問題があった。一方、上述したように、ミルシートの原本であるミルシート電子ファイルの原本保証性を厳格に確保する必要もある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保しつつ、ミルシート電子ファイルの閲覧に要する手間を削減でき、閲覧するまでに要する時間を短縮することが可能なミルシート閲覧方法およびミルシート閲覧システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明に係るミルシート閲覧方法は、原本としてのミルシート電子ファイルを生成するミルシート原本生成ステップと、原本としてのミルシート電子ファイルに記録された情報と等しい情報を含む、表示および印刷のみ可能な閲覧版のミルシート電子ファイルを生成する閲覧用電子ファイル生成ステップと、閲覧版のミルシート電子ファイルを、ネットワーク網に接続された所定の端末から、ネットワーク網を介してアクセス可能な記録媒体に格納する電子ファイル開示ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るミルシート閲覧方法は、上記の発明において、所定の端末の表示部に閲覧版のミルシート電子ファイルを表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るミルシート閲覧システムは、原本としてのミルシート電子ファイルを生成するミルシート原本生成手段と、原本としてのミルシート電子ファイルに記録された情報と等しい情報を含む、表示および印刷のみ可能な閲覧版のミルシート電子ファイルを生成する閲覧用電子ファイル生成手段と、ネットワーク網に接続された少なくとも一つの端末と、閲覧版のミルシート電子ファイルを、ネットワーク網に接続された端末からネットワーク網を介してアクセス可能な記録媒体に格納する電子ファイル開示手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るミルシート閲覧システムは、上記の発明において、端末が、閲覧版のミルシート電子ファイルを表示可能な表示部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るミルシート閲覧方法およびミルシート閲覧システムによれば、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保しつつ、ミルシート電子ファイルの閲覧に要する手間を削減でき、閲覧するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧システムの全体のシステム構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧方法の処理流れを示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧システムにおける電子ファイルの種類を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、従来技術によるミルシート閲覧方法の概略流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0019】
まず、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧システムについて説明する。図1に、この一実施形態によるミルシート閲覧システムの全体構成を示す。
【0020】
図1に示すように、この一実施形態によるミルシート閲覧システムにおいては、例えばイントラネットやインターネットなどのネットワーク網1に、例えば鉄鋼材などを製造するメーカ2におけるホストコンピュータ20と、商社などの注文者3側の注文者端末30と、需要家4側の需要家端末40とが、相互に通信可能に接続されている。
【0021】
メーカ2のホストコンピュータ20には、ミルシート電子ファイルを格納可能な情報記録部21が設けられている。この情報記録部21にはミルシート電子ファイルがデータベース(ミルシートデータベース)として格納されている。注文者端末30には、情報データを格納するための情報記録部31が設けられているとともに、ミルシート電子ファイルを閲覧するための表示部32が設けられている。また、需要家端末40にも、情報データを格納するための情報記録部41が設けられているとともに、ミルシート電子ファイルを閲覧するための表示部42が設けられている。
【0022】
このように構成されたミルシート閲覧システムにおいては、注文者端末30や需要家端末40から例えばURIなどを指定してホストコンピュータ20にアクセスすることによって、ホストコンピュータ20の情報記録部21に格納されている情報データを、それぞれの情報記録部31,41に格納したり、それぞれの表示部32,42に表示させたりすることができる。
【0023】
次に、上述したミルシート閲覧システムにおいて実行される、本発明の一実施形態によるミルシート閲覧方法について説明する。図2は、この一実施形態によるミルシート閲覧方法を説明するための処理流れの模式図であり、図3は、この一実施形態によるミルシート電子ファイルの種類を示す構成図である。
【0024】
図2に示すように、この一実施形態においては、まず、需要家4が商社などの注文者3に対して鉄鋼製品の発注を行う(S1:発注)。需要家4から注文者3への製品の発注には、例えば、需要家の担当者が需要家端末40を用いて注文者3の例えば営業部門などに配備された情報処理端末(図示せず)に発注内容の情報データを送信することによって行われる。
【0025】
需要家4から製品の発注を受けた注文者3は、需要家4から通知された発注内容に基づいてメーカ2に製品の発注を行う(S2:発注)。メーカ2への発注は、例えば、注文者3の担当者が注文者端末30を用いてメーカ2の例えば営業部門などに配備された情報処理端末に発注内容の情報データを送信することによって行われる。
【0026】
注文者3からの発注はメーカ2により受注される(S3:受注)。その後、メーカ2においては、受注の際に注文者3から送信された発注内容の情報データに基づいて、鉄鋼製品が製造される(S4:製造)。そして、メーカ2において、製造された鉄鋼製品の検査が行われる(S5:検査)。この検査によって、鉄鋼製品の機械的性質、化学成分に関連する製造実績値が計測される。なお、この鉄鋼製品の検査により得られた検査結果の情報データは,例えば、発注した商社などの注文者名、需要家名、証明書番号、工事番号、および注文番号などの一般事項が、製造実績値を示す、寸法(板厚などを含む)、員数、質量、化学成分、および引張試験値などに関連づけされて、図1に示すメーカ2のホストコンピュータ20における情報記録部21に記録される。
【0027】
次に、図2に示すように,メーカ2のホストコンピュータ20において、上述した検査結果の情報データと、これに関連づけされた情報データとに基づいて、ミルシート電子ファイルが作成される(S6:作成)。このミルシート電子ファイルは、ホストコンピュータ20の情報記録部21に格納される(S7:保存)。なお、原本としてのミルシート電子ファイルが情報記録部21に格納される保存期間は、例えば10年間であるが、この保存期間は必要に応じて変更することが可能である。
【0028】
ミルシート電子ファイルが生成されて、図1に示す情報記録部21に格納されると、ホストコンピュータ20により、各種のミルシート電子ファイルが例えばPDFファイルとして出力される(S8:出力)。具体的には、原本としてのミルシート電子ファイルは、ホストコンピュータ20における種々のファイル操作が可能な状態で、ホストコンピュータ20の情報記録部21に格納される。一方、改変ができないように設定されたダウンロード版のミルシート電子ファイルと閲覧版のミルシート電子ファイルとが、ホストコンピュータ20により生成される。これらのミルシート電子ファイルは、メーカ2から鉄鋼製品を出荷した後の例えば1日経過後に、ホストコンピュータ20の情報記録部21の開示領域に格納される。この情報記録部21の開示領域は、具体的には外部の端末からURI(Uniform Resource Identifier)などによってアクセス可能な領域であり、ファイルが開示領域に格納されることによって、ネットワーク網1を介して注文者3や需要家4に対して開示される(S9:開示)。すなわち、ダウンロード版や閲覧版のミルシート電子ファイルは、注文者端末30や需要家端末40が、URIに基づいてホストコンピュータ20にアクセスした際にアクセス可能な開示領域に格納される。なお、これらのダウンロード版や閲覧版のミルシート電子ファイルがホストコンピュータ20の情報記録部21に格納される保存期間は、例えば5年間であるが、この保存期間は必要に応じて変更することが可能である。
【0029】
図3(a)は、上述したホストコンピュータ20において生成された原本としてのミルシート電子ファイルである。図3(a)に示すように,ホストコンピュータ20において生成された原本としてのミルシート電子ファイルに対しては、ホストコンピュータ20によって、保存処理、転送処理、抹消処理、および閲覧処理などの種々のファイル操作を行うことが可能である。また、この原本としてのミルシート電子ファイルは、例えば管理部門である品質保証部門(品保室)のみが操作可能に設定してもよい。そして、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保して改ざんリスクを低減するために、ミルシート電子ファイルには、電子的な徴証である電子署名および情報データに付加される検索用データなどの各種データからなるメタデータが含まれている。なお、この一実施形態においては、ミルシート電子ファイルの情報データ自体が原本となることから、ホストコンピュータ20において紙媒体などに印刷されたものは、原本ではなくコピー扱いとされる。また、この原本としてのミルシート電子ファイルは、後述する注文者3や需要家4に開示される流通用のミルシート電子ファイルとの同一性を目視などで確認するためのものである。
【0030】
また、図2に示すように、ホストコンピュータ20においてダウンロード版や閲覧版のミルシート電子ファイルの開示が行われる(S9:開示)と、注文者端末30において、ダウンロード版のミルシート電子ファイルの取り込み(ダウンロード)が可能となる。注文者端末30において、ダウンロード版のミルシート電子ファイルがダウンロードされる(S10:取込)と、このミルシート電子ファイルは注文者端末30の情報記録部31に格納される(S11:保管)。ここで、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保するために、ダウンロードが許可される商社などの注文者3は検査証明書送付先として注文時に指定された例えば1社程度に限定される。
【0031】
図3(b)は、このダウンロード版のミルシート電子ファイルを示す。図3(b)に示すように、注文者端末30においては、ダウンロード版のミルシート電子ファイルの保存および閲覧が可能である。また、ダウンロード版のミルシート電子ファイルにおける原本との同一性を担保するために、ダウンロード版ミルシート電子ファイルには、例えば有効期間が4〜5年程度の電子署名と、検索用データなどの各種メタデータとが含まれている。なお、この一実施形態において、ダウンロード版のミルシート電子ファイルが注文者端末30によって紙媒体などに印刷された場合、その紙媒体の印刷物はコピー扱いとなる。
【0032】
そして、図2に示すように、注文者3から需要家4に対してミルシートを発送する必要がある場合、ダウンロード版のミルシート電子ファイルの複写ファイルを需要家4の需要家端末40に送信する(S12:発送)。需要家4が注文者3から発送されたダウンロード版のミルシート電子ファイルを受信する(S13:受領)と、需要家4において、需要家端末40の情報記録部41にミルシート電子ファイルが検索可能な状態で格納される(S14:保管)。そして、必要に応じて、最終ユーザ(図2中図示せず)などに、ミルシート電子ファイルの印刷物を提出する(S15:提出)。
【0033】
一方、メーカ2のホストコンピュータ20においてダウンロード版のミルシート電子ファイルが開示される(S9:開示)と、必要に応じて、注文時に指定された注文者3を介することなく、需要家端末40において、ダウンロード版のミルシート電子ファイルをダウンロード可能とする場合も想定される。この場合、需要家端末40に、ダウンロード版のミルシート電子ファイルがダウンロードされる(S20:取込)と、このミルシート電子ファイルは情報記録部41に格納され(S14:保管)、必要に応じて需要家端末40により紙媒体に印刷されて最終ユーザに提出される(S15:提出)。ここで、上述した注文者3に対する場合と同様に、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保するために、ダウンロードが許可される需要家4は、検査証明書送付先として注文時に指定された例えば1社程度に限定される。
【0034】
図3(c)は、ホストコンピュータ20により生成された閲覧版のミルシート電子ファイルである。図3(c)に示すように、閲覧版のミルシート電子ファイルは、メーカ2の品質管理部門以外に設置された端末によって、抹消処理、改変処理、および取込処理ができないように構成された例えばPDFファイルからなるミルシート電子ファイルである。この閲覧版のミルシート電子ファイルは、電子署名やメタデータを含まず、さらに原本のミルシート電子ファイルにおける品質情報と同一の品質情報が表示されるように構成されている。ここで、閲覧版のミルシート電子ファイルは、原本としてのミルシート電子ファイルと区別するために異なる表示形式としてもよいし、同一の表示形式であってもよい。
【0035】
また、この閲覧版のミルシート電子ファイルは、ホストコンピュータ20の情報記録部21に格納されている場合にのみ、注文者端末30の表示部32や需要家端末40の表示部42に表示可能に制限されている。すなわち、図2に示すように、ホストコンピュータ20の情報記録部21にミルシート電子ファイルがある場合に、このミルシート電子ファイルに注文者端末30や需要家端末40がアクセスすることによって、それぞれの表示部32,42に表示される(S31,S32:閲覧)。この閲覧版のミルシート電子ファイルは、注文者端末30や需要家端末40がネットワーク網1を通じてファイルにアクセスしている状態、いわゆるオンライン状態の場合にのみ表示可能に構成されている。そのため、この一実施形態においては、閲覧版のミルシート電子ファイルは、各端末30,40において、表示部32,42に表示して閲覧したり単なる品質情報を印刷したりすることのみが可能であり、各端末30,40によってダウンロードもできないように構成されている。
【0036】
以上のように、ホストコンピュータ20の情報記録部21に格納された閲覧版のミルシート電子ファイルについては、注文者3の注文者端末30や需要家4の需要家端末40からアクセスすることによって、閲覧可能に構成されている。図4は、この閲覧に関する処理を示すフローチャートである。
【0037】
図4に示すように、この一実施形態においては、まず、ホストコンピュータ20において鋼板の製造後の検査に基づいて、原本としてのミルシート電子ファイルが生成される(ステップST1)。
【0038】
次に、ステップST2に移行すると,ホストコンピュータ20において、ダウンロード版のミルシート電子ファイルが生成されるとともに閲覧版のミルシート電子ファイルが生成される。
【0039】
ステップST3に移行すると,生成された閲覧版のミルシート電子ファイルは、ホストコンピュータ20の情報記録部21におけるURIなどに基づいてアクセス可能な開示領域に格納される。これによって、閲覧版のミルシート電子ファイルは、注文者端末30や需要家端末40からネットワーク網1を介してアクセス可能な状態となり、開示される。
【0040】
ステップST4に移行すると、注文者端末30や需要家端末40が、URIに基づいてネットワーク網1を介して閲覧版のミルシート電子ファイルにアクセスすることにより、この閲覧版のミルシート電子ファイルを開くと、それぞれの表示部32,42に閲覧版のミルシート電子ファイルが表示される。
【0041】
以上のようにして、この一実施形態においては、メーカ2のホストコンピュータ20において生成された原本としてのミルシート電子ファイルに記録された品質情報と同一の品質情報が記録された閲覧版のミルシート電子ファイルを生成し、注文者3や需要家4に対して閲覧可能にしたり印刷可能にしたりする。
【0042】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、ホストコンピュータ20において、取り出し(保存)や転送ができない閲覧および印刷のみ可能な閲覧版のミルシート電子ファイルを生成して、原本としてのミルシート電子ファイルと記載内容が等しい品質情報を注文者端末30や需要家端末40において表示させ、注文者3や需要家4に閲覧可能にしていることにより、ミルシート電子ファイルの原本保証性を担保しつつ、ミルシートを参照する必要がある流通上の関係者がミルシート電子ファイルの内容を各自の端末において直接かつ即時に閲覧することができるので、従来のミルシート電子ファイルの保管や伝達の手間を削減することができ、ミルシート電子ファイルの閲覧に要する手間を削減できるとともに要する時間を短縮することができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0044】
例えば、上述の一実施形態においては、ミルシート電子ファイルのファイル形式として、PDFファイルを選択したが、必ずしもPDFファイルに限定されるものではなく、HTMLファイルやその他のファイル形式を採用することが可能である。
【0045】
また、上述の一実施形態において、ホストコンピュータ20としては、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置を採用することができ、注文者端末30、および需要家端末40としては、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、タブレット端末、携帯端末、スマートフォンなどの種々の情報処理端末を採用することができる。また、上述のダウンロード版のミルシート電子ファイルをダウンロードすることが許可される注文者3または需要家4を1社に限定しているが、必要に応じて2社以上に対して許可することも可能であり、これらの条件は任意に変更することができる。同様に、ダウンロードが許可される注文者端末30や需要家端末40についても、必要に応じて2台以上とすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ネットワーク網
2 メーカ
3 注文者
4 需要家
20 ホストコンピュータ
21,31,41 情報記録部
30 注文者端末
32,42 表示部
40 需要家端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原本としてのミルシート電子ファイルを生成するミルシート原本生成ステップと、
前記原本としてのミルシート電子ファイルに記録された情報と等しい情報を含む、表示および印刷のみ可能な閲覧版のミルシート電子ファイルを生成する閲覧用電子ファイル生成ステップと、
前記閲覧版のミルシート電子ファイルを、ネットワーク網に接続された所定の端末から、前記ネットワーク網を介してアクセス可能な記録媒体に格納する電子ファイル開示ステップと、
を含むことを特徴とするミルシート閲覧方法。
【請求項2】
前記所定の端末の表示部に前記閲覧版のミルシート電子ファイルを表示する表示ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のミルシート閲覧方法。
【請求項3】
原本としてのミルシート電子ファイルを生成するミルシート原本生成手段と、
前記原本としてのミルシート電子ファイルに記録された情報と等しい情報を含む、表示および印刷のみ可能な閲覧版のミルシート電子ファイルを生成する閲覧用電子ファイル生成手段と、
ネットワーク網に接続された少なくとも一つの端末と、
前記閲覧版のミルシート電子ファイルを、前記ネットワーク網に接続された端末から前記ネットワーク網を介してアクセス可能な記録媒体に格納する電子ファイル開示手段と、
を備えることを特徴とするミルシート閲覧システム。
【請求項4】
前記端末が、前記閲覧版のミルシート電子ファイルを表示可能な表示部を備えることを特徴とする請求項3に記載のミルシート閲覧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109728(P2013−109728A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256541(P2011−256541)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)